JP2008534201A - 腰仙椎関節用の椎間インプラント - Google Patents

Abstract

【解決手段】本発明は、患者の仙骨と第５腰椎との間に配置されるインプラントに関する。このインプラントは、連結バー２２と、この連結バーの各端部を仙骨に締結する手段２４、２６と、スペーサ２０とを備え、このスペーサは第５腰椎の棘突起と協働するための第１の端部と、前記連結バーと協働するための第２の端部とを有している。このインプラントは、前記連結バー２２が第１の幾何学的に共通の軸線上にある２つの端部３８、４０と、前記両端部に結合された中間部分３６とを有し、この中間部分は第１幾何学的軸線に平行な第２幾何学的軸線上で、第１幾何学的軸線とは相対的に偏心しており、スペーサの第２の端部が前記中間部分と協働することを特徴とする。
【選択図】図２Ｂ

Description

本発明は、腰仙椎関節用の椎間インプラントに関する。

脊柱の構造において、腰椎の下側に位置する仙骨は５個の椎骨で構成されており、これら５個の椎骨は、ヒトの進化過程を経て一体化したものとなった。Ｓ１と表記される仙骨の最上位の椎骨は、Ｌ５と表記される第５腰椎と結合している。この関節が腰仙椎関節、すなわちＬ５−Ｓ１関節を構成していることを図１に示す。

各腰椎は中間後方の突出部「棘突起」を有しており、以下では突起１０と呼ぶ。ヒトの進化過程で仙椎はその突起を失ってしまい、代わりに小さな隆起１２が残存するのみである。

ヒトの場合、ある種の腰痛は、２個の椎骨間の相対的な移動に関わる応力がこれら２個の椎骨間に位置する椎間板に作用することによると考えられる。

椎間板の負担を軽減するために、２個の椎骨が互いに対して移動するのを制限すべく、数多くの椎間インプラントが既に知られている。特に仏国特許第２７７５１８３号（特許文献１）に記載のインプラントが該当する。このインプラントは、上面と下面において長手方向に２つの凹部を有するスペーサであって、いずれも同一方向すなわちスペーサの正中面の方向に向かっており、スペーサを中間に移植することになる隣接した椎骨の突起を受けるように構成される。このスペーサは、これらの突起を取り巻くストラップによって所定の位置に保持される。脊柱の一部をブロックすることにより、スペーサが当該椎骨の上方および下方から負荷を転移させ、それにより椎骨間に位置する椎間板の負担を軽減させている。しかしながら、仙骨領域の構造のため、具体的には椎骨Ｓ１に突起が欠落しているため、Ｌ５−Ｓ１関節にこのような種類のスペーサを配置することは困難である。

また欧州特許第１１３８２６８号（特許文献２）に記載されるように、腰仙椎領域の構造に特に適合させた種類のインプラントも知られている。このインプラントは、椎間スペーサと連結バーとを備えている。この椎間スペーサは互いにほぼ直交する２つの凹部を有し、連結バーは、椎骨Ｓ１に締結させた２個のフックを用いて仙骨に取り付けられている。具体的には、後弓とも呼ばれる椎骨Ｓ１の上位部にフックが当接しており、ステープル等の締結手段によってそれぞれ仙骨に締結され、この締結手段によってフックを位置決めして安定させることができる。フックが仙骨に装着されると、バーがフックに締結され、椎間スペーサは所定の位置に配置される。スペーサの上方凹部は椎骨Ｌ５の突起を受けるように適合させてあり、下方凹部はバーを受けるように適合させた形状とし、スペーサがバー上に静止するようになっている。

それでも、この種のインプラントにはいくつか欠点がある。まず、スペーサの下方凹部を連結バーに係止できるようにするには、連結バーが仙骨から十分離れた距離にあることが必要となる。その結果、第一に、このインプラントが比較的大きくなり、第二に、スペーサの下方端とバーとの間の結合状態が不安定となってしまう。何より、連結バーと第５腰椎の棘突起との間にスペーサを配置する作業は外科医にとって容易ではない。スペーサの両端部が突起によって連結バーに確実に保持されるようにするには、スペーサの両端部に配置された２つの凹部の深さが十分なものでなくてはならない。したがって、仙骨と第５腰椎の間隔を比較的大きく取る必要がある。
仏国特許第２７７５１８３号明細書 欧州特許第１１３８２６８号明細書

本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、本発明の一の目的は、所定の位置に良好に収まる腰仙椎関節用の椎間インプラントであって、外科医が所定の位置に配置し易いようにした腰仙椎関節用の椎間インプラントを提供することにある。

課題を解決するための手段及び発明の効果

以上の目的を達成するために、本発明は、患者の仙骨と第５腰椎との間に配置されるインプラントが、連結バーと、この連結バーを仙骨に締結する手段と、スペーサとを備えている。このスペーサは第５腰椎の棘突起と協働するための第１の端部と、前記連結バーと協働するための第２の端部とを有している。このインプラントは、前記連結バーが共通の第１幾何学的軸線上にある２つの端部と、前記両端部に結合された中間部分とを有している。、この中間部分は第１幾何学的軸線に平行な第２幾何学的軸線上で第１幾何学的軸線とは相対的に偏心しており、スペーサの第２の端部が前記中間部分と協働する。

連結バーが特殊な形状、例えばクランクシャフト状としているので、スペーサを所定の位置に配置する際に配置し易いように適合させた位置を、連結バーの中間部分に対して与えることができる。

好ましい実施の形態において、このインプラントは、前記連結バーの両端部を円形の直断面に形成したことを特徴とする。また、連結バーを仙骨に締結するための各締結手段は、前記バーの両端の一を枢動自在に支持するように適合させたヘッド部と、作動位置としたときバーの前記端部の枢動を阻止するよう適合させたロック部材とを備えることを特徴とする。

上述した特徴の組み合わせにより、まずスペーサの下方端部を所定の位置に配置し易いように、仙骨から離間された中間部分に向かう角度方向を連結バーに与え、次いで前記中間部分が連結バーの主軸を中心に枢動するようにして、連結バーを正確な位置に配置する可能となることが理解されよう。

好ましくは、このインプラントは、スペーサの前記第２の端部がバーの中間部分を支持するための凹部を備えており、前記凹部は前記スペーサがバーの中間部分の第２幾何学的軸線を中心に枢動自在とすることを特徴とする。

上述した特徴の組み合わせにより、連結バーの中間部分を適切な最終位置に調整すべく連結バーが主軸を中心にして枢動可能とするのみならず、スペーサ全体がスペーサの上部を第五腰椎の棘突起と接触させるよう連結バーの中間部分を中心にして枢動可能としていることも理解されよう。

さらに好ましくは、スペーサの下方端部に設けた凹部は、バーの中間部分をスペーサの下方端部に対してスナップ式に嵌着させる手段を備えており、これにより外科医の作業を一層容易にできる。

本発明に係る他の特徴と効果は、限定しない実施例として挙げた本発明の実施形態に関して以下の説明を読めば一層明確なものとなる。

まず図２Ａ、図２Ｂ、図２Ｃに基づき、腰仙椎関節用の椎間インプラントにおける構成要素を説明する。

このインプラントは本質的に、椎間スペーサ２０と、連結バー２２と、この連結バー２２を仙骨に締結するための２つの締結システム２４及び２６とで構成されている。

スペーサ２０は、本体２８と、椎間スペーサ用として標準的な上端部３０（すなわち、第５腰椎の棘突起を受けるための凹部３２を形成している）と、連結バー２２と協働するための下方端部とを備えている。

連結バー２２は、椎間スペーサ２０の第２の端部３４と協働する中間部分３６と、仙骨における各締結システム２４及び２６と協働する２つの締結端部３８及び４０とを有する。

ここで図５を参照して、本発明に係る必須の要素を構成する連結バー２２の好ましい実施形態を詳細に説明する。バーの締結端部３８及び４０は円形の横断面としており、これらの両端は共通の幾何学的軸線Ｘ−Ｘ’と同心となっている。対照的に、スペーサ２０の下方端部と協働するバーの中間部分３６は、軸線Ｘ−Ｘ’と平行であるがその軸線とは偏心した軸線Ｙ−Ｙ’を有している。より正確には、中間部分３６は直径の小さな円筒形状部分４２と、この円筒形状部分４２を２つの締結端部３８及び４０に連結した２つのＳ字形屈曲部分４４及び４６とを備えている。

さらに図２Ａ、図２Ｂ、図２Ｃ、図３に基づき、連結バー２２を仙骨に締結するための締結装置２４及び２６における好ましい実施形態を説明する。これら２つの締結装置は同一のものであるから、装置２４のみについて説明する。

各図に示した実施形態では、本質的に下方の骨用ネジ５０と上方の骨用ネジ５２で構成されている。下方の骨用ネジ５０は、ヘッド部５６と結合用ロッド部分５８とで構成されたシュー５４に嵌着されている。シュー５４のヘッド部５６は、連結バー２２の締結端部４０を支持するように適合させた半円筒形の凹部を有する。引締め時にロックするロック部材６０は、連結バー２２の端部を保持し、連結バー２２がネジ５０に対して回転しないようにする役目を果たしている。上方ネジ５２のヘッド部６２には、シュー５４の結合用ロッド５８の端部を支持するように適合させた半円筒形状の凹部６４も形成されている。第２のロック部材６６は、結合用ロッド５８がネジ５２のヘッド部に対して回転しないようにする役目を果たしている。締結装置２４及び２６は仙骨に係入するための要素を構成しており、それぞれの締結装置は本質的にネジ５０及び５２とシュー５４とで構成される。これにより、極めて効果的に連結バー２２の両端部を仙骨に係入可能となる。ただ、本発明を逸脱せずに締結装置２４及び２６を簡略化することも可能であることはいうまでもない。これら締結装置２４及び２６は、骨用ネジ５０の代わりに各締結装置において骨用ネジ５２を１個のみにすることも可能である。そして、連結バー２２の締結端部３８及び４０を骨用ネジ５２のヘッド部に直接係入させればよい。

ここで図４Ａ及び図４Ｂを参照して、椎間スペーサ２０の下方端部３４を詳述する。

上述の通り、スペーサの下方端部３４は連結バー２２の中間部分３６と協働する。スペーサの下方端部３４は、連結バーの中間部分３６が挿入可能となるよう、さらに正確に述べると、連結バーの小径部分４２が挿入可能となるよう、横向きのスロット７２を設けた実質的に円形の横断面をなすハウジング（窪み）７０を備えるのが好ましい。この挿入用スロット７２の一縁端部は、スナップ式締結具７４を弾性的に変形させて小径の部分４２が窪み７０内に係入可能となるように、スナップ式締結具７４を構成している。さらに、窪み７０の横断面の直径は、連結バーの小径部分４２の直径より僅かに大きくしてある。したがって、連結バーの小径部分４２が窪み７０内に係入されると、スペーサ２０はバーの第２の軸線Ｙ−Ｙ’を中心にして枢動自在となる。一方でスナップ式締結具７４により、スペーサは下方端部においてバーに締結された状態に維持される。

スペーサ２０の上方端部３０は本質的に、腰椎Ｌ５の棘突起１０を受けるために上記の凹部３２を備えている。図４Ａ及び４Ｂに示すように、スペーサ本体は、符号８０を付した挿通用の凹部を備えることで、椎間スペーサ本体に一定の弾性力を付与する役目を果たすのが好ましい。スペーサの上方端部３０は、既知の通り棘突起１０に固着させる必要がある。これは、凹部３２の一縁端に固着させた第１の端部８４を有する可撓性の結束帯８２で行うことが好ましい。スペーサ本体の対面側には、好ましくはスナップ式締結システム８６、８８によってスペーサに締結されるセルフロック具８４が設けられる。結束帯８２の自由端はセルフロック具８４に係入されており、外科医は前記自由端を引っ張ることで、棘突起を上方の窪み３２に固着させることができる。

以下、外科医がインプラントを所定の位置に配置する際の手順を説明する。

まず、外科医が下方の骨用ネジ５０と上方の骨用ネジ５２を仙骨に螺入し、シュー５４を下方のネジ５０のヘッド部に装着する。そしてシュー５４を介してネジ５０及び５２が確実に連結されるように、ロック部材６６を締結する。次に、連結バー２２の締結端部３８及び４０をシュー５４の半円筒形状の凹部に係入する。このバーの両端３８及び４０は円形の横断面となっているので、バーの中間部分３６は前記バーの軸線Ｘ−Ｘ’を中心にして、締結装置２４及び２６に対して枢動自在となる。このように枢動自在としたことにより、バーの中間部分３６を仙骨から離れるように移動できるようになり、スナップ式締結用の凹部７０内にバーの小径部分４２を係入しやすくできる。スペーサの下方端部がスナップ式締結によりバーに係着されると、バーの中間部分は、スペーサ本体の前面９０を仙骨に効果的に当接するように枢動できる。図４Ａ及び図４Ｂに示すように、スペーサ本体の前面９０を平坦とせず、可能な限り仙骨の形状に合致する形状としている。

さらに、スペーサ２０がバー２２の中間部分の軸線Ｙ−Ｙ’を中心にして枢動自在としているため、第５腰椎の棘突起をスペーサの上方窪み３２内に一層係合しやすくできる。このようにスペーサをバーに対して枢動可能であり、仙骨における締結装置２４及び２６に対しても枢動可能としているため、スペーサ２０を適切に載置することができる。特に、スペーサの下方端部は、窪み７０に係入されたバーの中間部分３６と仙骨の後面との間で「楔び止め」が可能となる。このようにしてスペーサ２０を適切に位置決めし、その結果連結バー２２を適切に位置決めする。そしてシュー５４のロック部材６０が締結され、これによりバー２２は締結装置２４、２６、及び仙骨に対して移動が阻止される。

残る外科医がなすべき作業は、結束帯８２を棘突起上の所定の位置に配置し、突起の周囲で結束帯を引き締めるように結束帯の自由端を引っ張り、さらにスペーサ２０の上方端部を突起に締結することである。

腰仙椎関節を表す図である。 本発明に係るインプラントの平面図である。 本インプラントの立面図である。 本インプラントの側面図である。 本発明のインプラントで用いる２種類のネジに関する立面図である。 一の角度から見たスペーサの斜視図である。 他の角度から見たスペーサの斜視図である。 連結バーの斜視図である。

符号の説明

Ｌ５…椎骨（第５腰椎）
Ｓ１…仙骨の最上位の椎骨
１０…突起
１２…隆起
２０…椎間スペーサ
２２…連結バー
２４…締結装置（締結システム）
２６…締結装置（締結システム）
２８…本体
３０…上端部
３２…凹部
３４…椎間スペーサの第２の端部
３６…バーの中間部分
３８…連結バーの締結端部
４０…連結バーの締結端部
４２…バーの小径部分
４４…Ｓ字形屈曲部
４６…Ｓ字形屈曲部
５０…下方の骨用ネジ
５２…上方の骨用ネジ
５４…シュー
５６…ヘッド部
５８…結合用ロッド部分
６０…ロック部材
６２…上方ネジのヘッド部
６４…凹部
６６…第２のロック部材
７０…窪み
７２…スロット
７４…スナップ式締結具
８０…挿通用の凹部
８２…結束帯
８４…セルフロック具
８８…スナップ式締結システム
８６…スナップ式締結システム
９０…スペーサ本体の前面

Claims (7)

1. 患者の仙骨と第５腰椎との間に配置されるインプラントであって、
   連結バーと、
   該連結バーの各端部を仙骨に締結するための締結手段と、
   第５腰椎の棘突起と協働するための第１の端部と、前記連結バーと協働するための第２の端部とを有するスペーサとを備えており、
   前記連結バーが共通の第１幾何学的軸線上にある２つの端部と、前記両端部に結合された中間部分とを有しており、該中間部分は第１幾何学的軸線に平行した第２幾何学的軸線上であって第１幾何学的軸線とは相対的に偏心しており、スペーサの第２の端部が前記中間部分と協働することを特徴とするインプラント。
2. 請求項１に記載のインプラントにおいて、
   前記連結バーの両端部が円形の横断面であり、連結バーを仙骨に締結するための各締結手段は、前記バーの両端の一を枢動自在に支持するように適合させたヘッド部と、作動位置にしたときバーの前記端部が枢動しないように適合させたロック部材とを備えることを特徴とするインプラント。
3. 請求項１又は２に記載のインプラントにおいて、
   スペーサの前記第２の端部がバーの中間部分を受けるための凹部を備え、前記凹部は前記スペーサがバーの中間部分の第２幾何学的軸線を中心に枢動自在としたことを特徴とするインプラント。
4. 請求項３に記載のインプラントにおいて、
   スペーサの前記第２の端部は、スペーサをバーの中間部分に締結させるためのスナップ式の締結手段を備えることを特徴とするインプラント。
5. 請求項１乃至４のいずれか一に記載のインプラントにおいて、
   前記スペーサは、脊柱の方に面した第１面と該第１面に対向する第２面とを有し、前記第１面は対接する仙骨の形状に合うように非平面としていることを特徴とするインプラント。
6. 請求項２に記載のインプラントにおいて、
   各締結手段は仙骨に螺入するためにネジ切りした部分を備え、ヘッド部は前記バーの円筒形状の端部を支持するために半円筒形状の開放型凹部を備えることを特徴とするインプラント。
7. 請求項３に記載のインプラントにおいて、
   前記スペーサの第２の端部に設けた凹部は、自在に枢動するバーの中間部分を支持するのに十分な断面とし、さらにスペーサはバーを凹部に挿入するためのスロットを備えており、該スロットはスペーサの第２面に形成され、スナップ式の締結効果を発揮するよう、中間部分の横断面に対する寸法に構成してなることを特徴とするインプラント。

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