JP2008534074A - 組成物ならびに長期効力を得るための医療機器を用いたラパマイシン類縁体の投与方法 - Google Patents

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Abstract

ラパマイシンおよびパクリタキセルシステムと比較して、安全で、効果的で、生じる炎症の程度が低いゾタロリムスを含むシステムおよび組成物が開示される。製薬上許容される担体もしくは賦形剤を含むか支持することができる支持構造を有する医療機器であり、担体または賦形剤が1以上の治療薬もしくは物質を含むことができ、担体には表面上にコーティングがあり、そのコーティングは例えば医薬などの治療化合物を有する。医療機器用の支持構造には、血管系で使用される冠動脈ステント、末梢ステント、カテーテル、動静脈移植片、バイパス移植片および薬剤送達バルーンなどがある。これらの組成物およびシステムは、抗増殖剤、抗血小板剤、抗炎症剤、抗血栓剤、細胞傷害薬、サイトカインもしくはケモカイン結合を阻害する薬剤、細胞脱分化阻害薬、抗高脂血薬、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害薬、細胞増殖抑制剤またはこれらおよび他薬剤の組み合わせなどの他の薬剤と併用することができる。

Description

本発明は、組織への薬剤送達の改善、安全性および炎症応答の低減という特徴を有する新規な薬剤送達システムに関する。
ステント
血液が血管を流れ、狭窄部分に到達すると、その進行は阻害され、栄養素、酸素の送達および細胞老廃物の回収を妨げられていない流れに頼る下流組織に害が生じる。血管などの体内腔が開いた状態に維持することを目的としたステントを入れる。ステントは、例えば拡張可能なワイヤーメッシュその他の有孔材料製のチューブである。ステントは、血管に限らず胆管、食道、気管または大気管支、尿管および尿道などのいくつかの他の体内腔で広く使用されている。この救命機器には、英国の歯科医の名前チャールズ・ステント(Charles Stent;1845〜1901)がついている。
ステントは、1980年代後半に血管形成術後に血管開通性を維持することを目的として開発された。ステント植込み術は、今日行われる血管形成術の90%に関与している。ステントが導入される以前は、再狭窄の率は、バルーン血管形成術による治療を受けた患者の30%〜50%の範囲であった。ステント内再狭窄の拡張後の再発率は選択された患者下位集合で70%という高いものとなり得るが、新規ステント留置での血管造影性再狭窄率は約20%である。ステントの留置によって、再狭窄率は15%〜20%まで低下した。このパーセントは、純粋に機械的なステント植込み術で得ることができる最良の結果を表すものであろう。
手術その他の関連する侵襲的処置では、再狭窄の予防、血管もしくは腔壁の支持もしくは補強の提供ならびに他の治療的もしくは回復的機能のための血管、尿道その他のアクセス困難な箇所でのステントなどの介入的要素を有する医療機器の挿入が、長期治療の一般的形態になってきた。代表的には、血管カテーテルまたは同様の経腔機器を用いて、そのような介入的要素を対象箇所に使用して、その対象箇所にステントを運び、そこでは後に、それが開放されて拡張するか、イン・サイツで拡張される。これらの機器は通常、それが埋込時に接触する血管その他の組織に組み込まれる永久的インプラントとして設計されている。
埋め込まれたステントなどの介入的要素は、血栓溶解剤などの医薬を運搬するのにも用いられてきた。ステント自体の材料を不活性ポリマー薬剤キャリアとして用いることで医薬を運搬するよう作ることができる形状記憶熱膨張性プラスチックステント機器が開示されている(Froix, 1992)。親水性(または親油性)薬剤を有する薬剤混合コーティングからの薬剤溶出速度は、コーティングされた機器が体液もしくは血液と接触すると最初は非常に速いのが普通である。従って、薬剤送達ステントにおいては、損失および全身副作用を最小限としながら、身体内の標的部位で治療薬剤濃度を得ることが現在もなお問題として残されている。いわゆる「バースト効果」を減らすための一つの技術は、生理活性 材料を有するコーティング層の上にポロシゲンを含む膜を加えるものである(Eury et al., 1997; Helmus et al., 1995)。ポリマーは、薬剤放出コーティングとしてステント上でも用いられる(Yang et al., 2002)。ディングおよびヘルムス(Ding and Helmus)は、エラストマーが上塗りされていることで、ステントに塗られた下塗り部からの生理活性薬の放出を制御するエラストマーコーティングされたインプラントについて記載している(Ding and Helmus, 2001)。タッチ(Tuch)は、薬剤投与を制御するためのステント上の多孔質ポリマーを開示している(Tuch, 1997)コピアら(Kopia et al.)は、ラパマイシンおよびデキサメタゾンなどの薬剤の組み合わせを加えたポリマーでコーティングしたステントについて記載している(Kopia et al., 2001)。ピンチャク(Pinchuk)は、薬剤送達に関連するコーティングを用いることができるポリマー材料のステントを開示している(Pinchuk, 1992)。生体分解性または生体吸収性ポリマーを用いる種類の機器も開示されている(MacGregor, 1991; Tang et al., 1990)。サハチアン(Sahatjian)は、ヒドロゲルポリマーおよび予め選択された薬剤からなるステントに施されるコーティングを開示しており、可能な薬剤には細胞増殖阻害薬およびヘパリンなどがある(Sahatjian, 1994)。ポリマーコーティングを溶媒に溶かし、治療材料をその溶媒中に分散させ、その後に溶媒を留去する治療材料を含むコーティング血管内ステントのさらなる製造方法がある(Berg et al., 1995)。
ヘパリンを放出するものなどのポリマー/薬剤/膜システム(Helmus, 1990)では、2つの異なる機能性の層が必要である。ディングおよびヘルムス(Ding and Helmus)は、生理活性種が硬化コーティング内に組み込まれている生体安定性疎水性エラストマーを用いるステント補綴具のコーティング方法について記載している。これらのコーティングにおいて、ポリマーの量は比較的高く、例えば薬剤付与コーティングの約70%である(Ding and Helmus, 2002)。
有害な内腔収縮を治療する上で有効であるが、血管ステントは医学的アイロニーであり、それを治療に用いた状態を再形成するリスクを有する。ステントは、内腔内の肥厚内皮組織−新生内膜の発達を生じ得る。発達の程度は多様であるが、新生内膜が成長して、ある種の再狭窄である血管腔の閉塞を生じる可能性がある。再狭窄は、血管腔に対して強く作用する新生内膜組織による損傷冠動脈壁の治癒プロセスである。 従って、仮通過の通行料は非常に高い。
ラパマイシン
1964年のイースター島へのカナダ探検隊が、強力な免疫抑制性で、抗真菌性および抗増殖性の分子を産生する真菌を発見した。真菌はスレン・セーガル(Suren Sehgal)の手でイースター島からカナダの研究室に到着し、その人物が1972年に真菌ストレプトミセス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)の精製化合物の特性を解明したが、この知見は断念された。セーガルは1987年に研究をやり直し、その化合物を免疫抑制剤として開発した。今日、ラパマイシン(イースター島原住民がかれらの故国をいう名称であるラパ・ヌイ(Rapa Nui)にちなんで命名)は臓器移植のリスクおよびステントの副作用の低下に用いられ、抗腫瘍医薬として研究が続けられている。
シロリムスとも称されるラパマイシンは、イン・ビトロおよびイン・ビボの両方で、特にはカンジダ・アルビカンスに対して真菌増殖を阻害する大環状トリエン抗生物質である(Baker et al., 1978; Sehgal, 1975; Sehgal, 1976; Sehgal et al., 1975; Vezina etai, 1975)。ラパマイシン単独(Surendra, 1989)またはピシバニールとの併用(Eng, 1983)が、抗腫瘍活性を有することが明らかになっている。1977に、アレルギー性脳脊髄炎(多発性硬化症のモデル)、アジュバント関節炎および関節リウマチの実験モデルで、ラパマイシンが免疫抑制剤として有効であることが示された(Martel et al., 1977)。ラパマイシンはまた、IgE様抗体の形成も効果的に阻害する(Martel et al., 1977)。
化合物シクロスポリン(シクロスポリンA)は、 臓器移植および免疫調節の分野に導入されて以来広い用途が見出されており、移植術における成功率の大幅な上昇をもたらした。最近、強力な免疫調節活性を有するいくつかの種類の大環状化合物が発見されている。ストレプトミセス・ツクバエンシス(S. tsukubaensis)株から単離された23員大環状ラクトンである免疫抑制剤FK−506などのストレプトミセス属から単離された多くの大環状化合物がすでに報告されている(Okuhara et al., 1986)。
C−21でのアルキル置換基においてFK−506とは異なるFR−900520およびFR−900523などの他の関連する天然物が、ストレプトミセス・ハイグロスコピクス・ヤクシムナエンシス(S. hygroscopicus yakushimnaensis)から単離されている。ストレプトミセス・ツクバエンシス(S. tsukubaensis)が産生する別の類縁体FR−900525は、ピペコリン酸部分がプロリン基に代わっている点でFK−506とは異なる。腎臓毒性などのシクロスポリンおよびFK−506に関連する副作用が不満足であることで、局所的には有効であるが全身的には効果がない免疫抑制剤などの、効力および安全性が改善された免疫抑制剤化合物に向けた研究が引き続き行われている(Luly, 1995)。
組織不適合齧歯類での臓器移植片の生存期間を延長させる能力を有することから、ラパマイシンの免疫抑制効果も文献(FASEB, 1989, 3, 3411)で開示されている(Morris and Meiser, 1989)。ラパマイシンがT細胞活性化を阻害する能力が、ストラウチによって開示されている(M. Strauch, FASEB, 1989, 3, 3411)。ラパマイシンのこれらおよび他の生理効果についての総説がある(Morris, 1992)。
ラパマイシンは、動物モデルでの新生内膜増殖を低減させ、ヒトでの再狭窄率を低下させることが明らかになっている。ラパマイシンが、関節リウマチ治療用の薬剤としてのそれの選択を支持する特徴である抗炎症効果をも示すことを明らかにした証拠が発表されている。 細胞増殖と炎症の両方がバルーン血管形成術およびステント留置後の再狭窄病変形成の原因であると考えられることから、ラパマイシンおよびそれの類縁体が再狭窄予防に提案されている。
ラパマイシンのエステルおよびジエステル誘導体(位置31および42でのエステル化)が、抗真菌剤として(Rakhit, 1982)、そしてラパマイシンの水溶性プロドラッグ(Stella, 1987)として有用であることが明らかになっている。
ラパマイシンおよび30−デメトキシラパマイシンの発酵および精製が記載されている(Paiva et al., 1991; Sehgal et al., 1983; Sehgal et al, 1975; Vezina et al, 1975)。
ラパマイシンの多くの化学修飾が試みられている。それには、ラパマイシンのエステルおよびジエステル誘導体(Caufield, 1992)、ラパマイシンの27−オキシム類(Failli, 1992a);ラパマイシンの42−オキソ類縁体(Caufield, 1991);二環式ラパマイシン類(Kao, 1992a);ラパマイシン二量体(Kao, 1992b);ラパマイシンのシリルエーテル類(Failli, 1992b);およびアリールスルホネートおよびスルファメート(Failli, 1993)の製造などがある。最近、ラパマイシンが、それの天然エナンチオマー型で合成されている(Hayward et al., 1993; Nicolaou et al., 1993; Romo et al., 1993)。
FK−506のようにラパマイシンは、FKBP−12に結合する(Bierer et al., 1991; Dumont et al., 1990; Fretz etal, 1991; Harding et al, 1989; Siekierka et al, 1989)。ラパマイシン:FKBP−12複合体は、FK−506:FKBP−12複合体が阻害するタンパク質であるカルシニューリンとは異なるさらに別のタンパク質に結合する(Brown et al, 1994; Sabatini et al, 1994)。
経皮経腔冠動脈血管形成術(PTCA)が、1970年代にアンドレアス・グルンツイッヒ(Andreas Gruntzig)によって開発された。最初のイヌ冠動脈拡張が、1975年9月24日に行われた。PTCAの使用を示す研究が、翌年に米国心臓協会の年会で発表された。その後間もなくして、最初のヒト患者がスイスのチューリッヒで研究され、それに続いてサンフランシスコおよびニューヨークで最初の米国人患者で行われた。この手術は閉塞性冠動脈疾患患者の治療に関する介入的心臓病学の実務を変えるものであったが、その手術は長期的解決をもたらすものではなかった。患者は血管閉塞に関連する胸部疼痛の一時的な軽減を得るのみであり、多くの場合で再手術が必要であった。再狭窄病変の存在がその新たな手術の有用性を制限することが確認された。1980年代後半には、血管形成術後の血管開通性を維持することを目的としてステントが導入された。今日行われる血管形成術のうちの90%でステント植込み術が行われる。ステント導入以前は、再狭窄率はバルーン血管形成術で処置した患者の30%〜50%の範囲であった。ステント内再狭窄の拡張後の再発率は、選択された患者下位集合で70%と高い可能性があるが、デ・ノボステント留置での血管造影再狭窄率は約20%である。ステントの留置によって、再狭窄率は15%〜20%まで低下した。このパーセントは恐らく、純粋に機械的なステント植込み術で得ることができる最良の結果を代表するものである。再狭窄病変は主として、時間経過および組織病理学的外観の両方でアテローム硬化性疾患とは明瞭に異なる新生内膜過形成によって引き起こされるものである。再狭窄は、血管腔に強く影響する新生内膜組織による損傷を受けた冠動脈壁の治癒プロセスである。ステント内再狭窄病変に対しては、血管近接照射療法が有効であるように思われる。しかしながら、放射線照射には、実用性および費用の制限ならびに安全性および期間についての長い間の疑問がある。
従って、再狭窄率を現在のレベルの少なくとも50%まで下げることが望まれる。薬剤溶離ステントを作製および評価するべく主たる努力が介入機器業界で行われているのはこのためである。主としてそのようなシステムが周辺処置法または慢性的経口薬物の形態での補助療法を必要としないと考えられることから、そのような機器は、成功すれば、多くの長所を有することになると考えられる。
ゾタロリムス
今日ではゾタロリムスとしてより良く知られているABT−578[40−エピ−(1−テトラゾリル)−ラパマイシン]は、ラパマイシン由来の半合成マクロライドトリエン抗生物質である。ゾタロリムスは、それの前駆体であるラパマイシンと同様のT細胞リンパ球増殖の強力な阻害薬である。ゾタロリムスは、コーティング心血管ステント、特には薬剤溶出ステント(DES)で特に利用されて、再狭窄を低減している(Mollison et al., 2003)。ゾタロリムスの構造は図式Iに示してある。
ラパマイシンの他の化学修飾が試みられている。それにはラパマイシンのモノおよびジエステル誘導体(Caufield, 1992)、ラパマイシンの27−オキシム類(Failli, 1992a);ラパマイシンの42−オキソ類縁体(Caufield, 1991);二環式ラパマイシン(Kao, 1992a);ラパマイシン二量体(Kao, 1992b);ラパマイシンのシリルエーテル(Failli, 1992b);およびアリールスルホネートおよびスルファメート(Failli, 1993)の製造などがある。
抗真菌、免疫抑制および抗腫瘍の活性に加えて、ラパマイシンおよびゾタロリムスは、他のmTOR 阻害薬と同様に、動物モデルでの新生内膜増殖ならびにヒトでの再狭窄の率を低下させる。ラパマイシンおよびゾタロリムスはまた、抗炎症効果を示す。タクロリムス(FK506)、ラパマイシン、エベロリムスおよび特にはゾタロリムスなどのラパマイシンの類縁体でコーティングされたステントは、臨床試験での再狭窄を予防する上で有効である。
Figure 2008534074
Figure 2008534074
第1の態様において本発明は、製薬上許容される担体もしくは賦形剤を有する支持構造;ならびにゾタロリムスまたはそのプロドラッグ、誘導体、エステル、塩を含む第1の治療組成物を有する薬剤送達システムであって、システムを対象の体内腔に移植した時に、システムに隣接する腔壁へのゾタロリムスの送達が第1の治療組成物と同様の用量を含む対照薬剤送達システムからの対照治療組成物の送達と比較した場合のものより大きいシステムに関するものである。対照治療薬は、エベロリムス、ラパマイシン、タクロリムス(FK506)、バイオリムスA9、CCI−779、RAD001、AP23573およびこれらの組み合わせなどのオリムス(olimus)薬剤;ならびにデキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブ、スリンダクおよびそれらの組み合わせなどの抗炎症薬であることができる。両方のシステムが、他のオリムス薬剤および抗炎症剤、ならびに抗体などの抗増殖剤、抗血小板剤、抗血栓溶解剤および抗血栓剤のような別の治療薬を含むことができる。そのようなシステムでは、腔壁へのゾタロリムス送達は、対照と比較した場合、移植から少なくとも28日間増加させることができる。さらに、そのシステムから溶出するゾタロリムスの累積パーセントを、移植から28日後にラパマイシンを含む対照薬剤送達システムから溶出されるラパマイシンの累積パーセントより有意に大きくすることができる。その薬剤送達の差は、システム移植から14日以降で対照治療薬の5倍強から対照治療薬の10倍以までの非常に大きいものであることができる。体内腔は、例えば血管であることができ、その場合、ゾタロリムスを有するシステムの移植は、移植から3ヶ月以上経った時点での、第2の治療組成物を含む対照薬剤送達システムと比較した場合の新生内膜過形成の低減と相関している。低減は、移植180日後で対照薬剤送達システムと比較して≧60%であり、移植90日後で対照薬剤送達システムと比較して≧30%であることができる。さらに、少なくとも移植56日後および移植182日後までに、第2の治療薬を含む対照薬剤送達システムと比較して、炎症を有意に低減することができる、。ステント重複試験で用いた場合、移植28日後に、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムと比較して、内皮化が有意に指向される。同様に、ステント重複試験で移植28日後に、ラパマイシン28日を含む対照薬剤送達システムと比較して、フィブリン産生が有意に低減される。システムが含むことができる場合、例えばそのようなステントにおいて、ゾタロリムスの濃度は10μg/mmステントであり、対照治療組成物の濃度は10μg/mmステントであることができ、対照治療薬はラパマイシンを含むことができる。そのようなシステムが有効であり得る対象には、ブタ、ウサギおよびヒトなどの脊椎動物などがある。
第2の態様において本発明は、製薬上許容される担体もしくは賦形剤を有する支持構造;ならびにゾタロリムスまたはそのプロドラッグ、誘導体、エステル、塩を含む第1の治療組成物を有する薬剤送達システムであって、システムを対象の体内腔に移植した時に、移植から90日以上後に、第1の治療組成物と同様の用量を含む対照薬剤送達システムからの対照治療組成物の送達と比較した場合に、新生内膜過形成が有意に低減されているシステムに関するものである。対照治療薬は、エベロリムス、ラパマイシン、タクロリムス(FK506)、バイオリムスA9、CCI−779、RAD001、AP23573およびこれらの組み合わせなどのオリムス薬剤;ならびにデキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブ、スリンダクおよびそれらの組み合わせなどの抗炎症薬であることができる。両方のシステムが、他のオリムス薬剤および抗炎症剤、ならびに抗体などの抗増殖剤、抗血小板剤、抗血栓溶解剤および抗血栓剤のような別の治療薬を含むことができる。そのようなシステムでは、腔壁へのゾタロリムス送達は、対照と比較した場合、移植から少なくとも28日間増加させることができる。さらに、そのシステムから溶出するゾタロリムスの累積パーセントを、移植から28日後にラパマイシンを含む対照薬剤送達システムから溶出されるラパマイシンの累積パーセントより有意に大きくすることができる。その薬剤送達の差は、システム移植から14日以降で対照治療薬の5倍強から対照治療薬の10倍以までの非常に大きいものであることができる。体内腔は、例えば血管であることができ、その場合、ゾタロリムスを有するシステムの移植は、移植から3ヶ月以上経った時点での、第2の治療組成物を含む対照薬剤送達システムと比較した場合の新生内膜過形成の低減と相関している。低減は、移植180日後で対照薬剤送達システムと比較して≧60%であり、移植90日後で対照薬剤送達システムと比較して≧30%であることができる。さらに、少なくとも移植56日後および移植182日後までに、第2の治療薬を含む対照薬剤送達システムと比較して、炎症を有意に低減することができる、。ステント重複試験で用いた場合、移植28日後に、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムと比較して、内皮化が有意に指向される。同様に、ステント重複試験で移植28日後に、ラパマイシン28日を含む対照薬剤送達システムと比較して、フィブリン産生が有意に低減される。システムが含むことができる場合、例えばそのようなステントにおいて、ゾタロリムスの濃度は10μg/mmステントであり、対照治療組成物の濃度は10μg/mmステントであることができ、対照治療薬はラパマイシンを含むことができる。そのようなシステムが有効であり得る対象には、ブタ、ウサギおよびヒトなどの脊椎動物などがある。
第3の態様において本発明は、製薬上許容される担体もしくは賦形剤を有する支持構造;ならびにゾタロリムスまたはそのプロドラッグ、誘導体、エステル、塩を含む第1の治療組成物を有する薬剤送達システムであって、システムを対象の体内腔に移植した時に、移植から90日後に、第1の治療組成物と同様の用量を含む対照薬剤送達システムからの対照治療組成物の送達と比較した場合に、炎症が有意に低減されているシステムに関するものである。対照治療薬は、エベロリムス、ラパマイシン、タクロリムス(FK506)、バイオリムスA9、CCI−779、RAD001、AP23573およびこれらの組み合わせなどのオリムス薬剤;ならびにデキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブ、スリンダクおよびそれらの組み合わせなどの抗炎症薬であることができる。両方のシステムが、他のオリムス薬剤および抗炎症剤、ならびに抗体などの抗増殖剤、抗血小板剤、抗血栓溶解剤および抗血栓剤のような別の治療薬を含むことができる。そのようなシステムでは、腔壁へのゾタロリムス送達は、対照と比較した場合、移植から少なくとも28日間増加させることができる。さらに、そのシステムから溶出するゾタロリムスの累積パーセントを、移植から28日後にラパマイシンを含む対照薬剤送達システムから溶出されるラパマイシンの累積パーセントより有意に大きくすることができる。その薬剤送達の差は、システム移植から14日以降で対照治療薬の5倍強から対照治療薬の10倍以までの非常に大きいものであることができる。体内腔は、例えば血管であることができ、その場合、ゾタロリムスを有するシステムの移植は、移植から3ヶ月以上経った時点での、第2の治療組成物を含む対照薬剤送達システムと比較した場合の新生内膜過形成の低減と相関している。低減は、移植180日後で対照薬剤送達システムと比較して≧60%であり、移植90日後で対照薬剤送達システムと比較して≧30%であることができる。さらに、少なくとも移植56日後および移植182日後までに、第2の治療薬を含む対照薬剤送達システムと比較して、炎症を有意に低減することができる、。ステント重複試験で用いた場合、移植28日後に、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムと比較して、内皮化が有意に指向される。同様に、ステント重複試験で移植28日後に、ラパマイシン28日を含む対照薬剤送達システムと比較して、フィブリン産生が有意に低減される。システムが含むことができる場合、例えばそのようなステントにおいて、ゾタロリムスの濃度は10μg/mmステントであり、対照治療組成物の濃度は10μg/mmステントであることができ、対照治療薬はラパマイシンを含むことができる。そのようなシステムが有効であり得る対象には、ブタ、ウサギおよびヒトなどの脊椎動物などがある。
さらに別の態様において本発明は、本発明の薬剤送達システムを用いた対象の治療に関するものであり、血管腔へのシステムの移植を含む。
別の態様において本発明は、製薬上許容される担体または賦形剤を有することができる支持構造;およびゾタロリムスまたはプロドラッグ、それの誘導体、エステルまたは塩を含む治療組成物を有する薬剤送達システムであって、対象の血管内腔に移植してから30日後に支持構造からゾタロリムスが有意に溶出するシステムに関する。溶出したゾタロリムスは、機器を移植してから15〜30日後に機器上に負荷されたゾタロリムスの85%〜100%を含むことができ、溶出したゾタロリムスは、ラパマイシンを含有する対照薬剤送達システムと比較した場合に、送達システムに隣接する血管の壁で5〜15倍に濃縮されている。例えば、対照治療組成物がラパマイシンである場合、組織中のゾタロリムスの量は同じ時間点でラパマイシンより大きく、同様に血液中のゾタロリムスの濃度は同じ時間点でラパマイシンの濃度より低い。このシステムでは、送達システムに隣接する血管壁の単位当たりの溶出ゾタロリムスの濃度cは、移植後の時間t(単位:時)で、
0≦t<120の時、6μg/g≦c≦113μg/g;
120≦t<168の時、5μg/g≦c≦40μg/g;および
168≦t<720の時、2.5μg/g≦c≦50μg/gが含まれ、同様に、血液1mL当たりのゾタロリムスの全血濃度cは、ウサギでの移植からd日後に、
0≦d≦2の時、1.5≦c≦4;
2<d≦3の時、1.4≦c≦1.5;
3<d≦4の時、1.3≦c≦1.4;
4<d≦28の時、0≦c≦1.3を含む。システムで移植された血管腔の新生内膜面積は、90日以降において、対照システムで移植した血管腔の新生内膜面積より有意に少ない。同様に、システムで移植された血管腔の新生内膜面積は、過伸展試験で移植から30日以上後に、1.5mm以下である。システムはさらに、対照システムと比較した場合に、システムの移植から90日以上後に、炎症を有意に低減している。やはり注目すべき点として、システムの表面を覆う内皮細胞は、重複ウサギモデルでのシステムの移植から28日後に有意に集密であり、そのような内皮化は75%を超える。
本発明は、薬剤送達のシステムおよびそのシステムを用いた治療方法を提供する。本発明のシステムは、固体担体および適宜にポリマーコーティングと組み合わせたゾタロリムスの組み合わせを利用するものである。これらのシステムは、特にラパマイシンまたはタクロリムスでコーティングしたステント(FK506)などの現在入手可能な製品と比較した場合に、特に優れた特性を有する。これらの長所には、薬剤の全身分布とは対照的なシステムに直接隣接する組織への薬剤送達増加、炎症の軽減および最も重要なものとして長期効力などがある。従って本発明のシステムは、特にはシステムを血管腔に移植してそれを開口状態に維持する場合のように、治療対象の状態が治療の副作用として再度生じるという医学的アイロニーをより良好に回避するものである。
定義
プロドラッグとは、例えば血液中での加水分解によって上記式の親化合物にイン・ビボで容易に変換される化合物を指す。非常に詳細な議論が、ヒグチおよびステラ(Higuchi and Stella, 1987)およびロッシュ(Roche, 1987)(これらはいずれも参照によって本明細書に組み込まれる)によって提供されている。
製薬上許容されるプロドラッグとは、妥当な医学的判断の範囲内で、不当な毒性、刺激およびアレルギー反応を伴わずにヒトおよび下等哺乳類の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/危険度比に相応し、所期の用途に有効である医薬、ならびに可能な場合は、本発明の化合物の両性イオン型を指す。本発明の特に有用な製薬上許容されるプロドラッグは、本発明の化合物のC−31ヒドロキシル基のプロドラッグエステルである。
オリムス薬剤には、エベロリムス、ラパマイシン、タクロリムス(FK506)、バイオリムスA9、CCI−779、RAD001、AP23573などがある。
プロドラッグエステルとは、生理条件下で加水分解されるいくつかのエステル形成基のいずれかを指す。プロドラッグエステル基の例には、アセチル、エタノイル、ピバロイル、ピバロイルオキシメチル、アセトキシジメチル、フタリジル、メトキシジメチル、インダニル等、ならびに本発明の化合物のC−31ヒドロキシル基への天然もしくは合成アミノ酸のカップリングから誘導されるエステル基などがある。
「有意に」とは、統計的有意差を指す。
対象とは、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ラット、マウス、モルモットなどの温血脊椎動物ならびにヒトなどの脊椎動物を意味する。
支持構造とは、製薬上許容される担体または賦形剤を含有または支持することができる骨格であって、担体または賦形剤が1以上の治療薬または治療物質、例えば1以上の薬剤および/または他の化合物を含むことができるものを意味する。この支持構造は、代表的には金属またはポリマー材料で形成される。治療薬または治療物質を含有することができる生体分解性ポリマーを含むポリマー材料で形成される適切な支持構造は、米国特許第6413272号および同第5527337号に開示されているものなどがある(これらは参照によって本明細書に組み込まれる;Igaki, 2002;Stack et al., 1996)が、これらに限定されるものではない。
治療化合物とは、適切な用量で対象に投与した場合に、その対象に対して有用な効果を有する医薬物質を意味する。
下記のセクションでは、最初にゾタロリムスの本発明のシステムで用いることができるポリマーについて説明し、次に医薬組成物について説明する。その後、システムで投与可能な薬剤組み合わせの説明を行い、次に本発明のシステムの投与が有効であり得る多くの疾患および状態の一部の列挙を含めた治療方法について説明する。それから、本発明のシステムについての安全性、効力および薬剤放出の動態を当業者が確認できる試験をいくつか挙げる。最後のセクションでは、本発明の各種態様を説明および裏付ける実施例を提供する。
ポリマー
本発明において使用する場合にコーティングは、治療物質、すなわち薬剤が実質的にそれに可溶であるか効果的に分散し得るあらゆるポリマー材料も含みうる。コーティングの目的は、治療物質のための制御放出賦形剤として働くことまたは病変部位において送達される治療物質の貯蔵所となることである。コーティングはポリマーであることができ、さらに親水性、疎水性、生体分解性または非生体分解性でありうる。ポリマーコーティングのための材料は、ポリカルボン酸、セルロース系ポリマー、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマー、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、グリコサミノグリカン、多糖類、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートバレレート、ポリアクリルアミド、ポリエーテルおよびの混合物およびコポリマーからなる群より選択することができる。ポリウレタン分散(BAYHYDROL等)およびアクリル酸ラテックス分散液などのポリマー分散液から調製されるコーティングも、治療物質とともに使用できる。
生体分解性ポリマーには、ポリ(L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリグリコリド、ポリ(ジアキサノン)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリオルトエステルなどのポリマー;ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリヒドロキシ(ブチレート−コ−バレレート)、ポリグリコリド−コ−トリメチレンカーボネートなどのコポリマー;ポリ無水物;ポリホスホエステル;ポリホスホエステル−ウレタン;ポリアミノ酸;ポリシアノアクリレート;フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲンおよびヒアルロン酸などの生体分子;およびの混合物などがある。本発明における使用に適した生体安定材料には、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカプロラクタム、ポリイミド、ポリビニルクロリド、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、アクリルポリマーおよびコポリマー、ポリアクリロニトリル、オレフィンとビニルモノマーのポリスチレンコポリマー(スチレンアクリロニトリルコポリマー、エチレンメチルメタクリレートコポリマー、エチレンビニルアセテートなど)、ポリエーテル、レーヨン、セルロース系物質(酢酸セルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース等など)、パリレンおよびその誘導体;およびの混合物およびコポリマーなどがある。
別の有用なポリマーは、ポリ(MPC:LMA:HPMA:TSMA)[式中、w、x、yおよびzはポリマーを製造するための供給材料において使用されるモノマーの分子比を表わし、MPCは2−メタクリオイルオキシエチルホスホリルコリン単位を表わし、LMAはラウリルメタクリレート単位を表わし、HPMAは2−ヒドロキシプロピルメタクリレート単位を表わし、およびTSMAは3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートを表わす]である。薬剤含浸ステントは、先に血栓、動脈硬化性プラークおよび/または増殖性平滑筋細胞によって閉塞した冠状動脈の開存性を維持するために使用できる。抗増殖薬の送達はステント内再狭窄の割合を低下させる。
本明細書に記載の化合物または薬剤は、既報のもの(Bowers et al., 2000; Bowers et al., 1998; Lewis and Leppard, 2002; Lewis and Leppard, 2005)などのポリマー化合物でコーティングされているステントに適用することができる。ステントのポリマーコーティングへの化合物または薬剤の組み込みは、ポリマー−コーティングステントを化合物または薬剤を含む溶液に十分な時間(例えば5分間など)浸漬し、次に十分な時間にわたって空気によってコーティングステントを乾燥させる(例えば30分間など)ことで行うことができる。噴霧またはインクジェット塗布などの治療化合物塗布の他の方法を用いることができる。次に、化合物または薬剤を含むポリマー−コーティングステントを、バルーンカテーテルからの配備によって冠動脈血管に送ることができる。ステント以外に、本発明の薬剤を血管系に導入するのに使用可能な他の機器には、移植物、カテーテルおよびバルーンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
保護層厚さ(保護層を用いる場合)を用いて、薬剤の放出動態を過剰に妨害することなく薬剤送達を調節することができる。
医療機器上のポリマー層および治療化合物
ステント(例:図1A)などの医療機器に含めるべき好適な薬剤負荷ポリマー層の提供には大きな柔軟性がある。例えば、対象薬剤に関連する治療ウィンドウパラメータ(一般には治療上有効と毒性の間のレベル)内で、併用される薬剤の比率は互いに関して変動し得る。例えば、1実施形態は、90:10総薬剤:ポリマー比を有し、併用する薬剤の比率は1:1であることができる。そこで、ゾタロリムス/パクリタキセルの組み合わせを送達するステントは、PCポリマー層に10μg/mmのゾタロリムスおよび10μg/mmのパクリタキセルを有し、5μg/mmのPC上塗り層を有することができる。しかしながら、総薬剤:ポリマー比はそれより低くすることができ、例えば40:60以下とする。薬剤の総量の上限は、選択されるポリマーでの選択される薬剤の混和性、薬剤/ポリマー混合物の安定性、例えば滅菌との適合性および混合物の物性、例えば流動性/加工性、弾力性、脆性、粘度(このコーティングがステント支柱間に蜘蛛の巣状に張ったり、架橋したりしない等)、ステントプロファイルを実質的に増加させたり、層間剥離や亀裂を引き起こしたり、または皺ができにくいコーティング厚さなどのいくつかの要素によって決まる。代表的なステント支柱は、約60〜80ミクロン隔てて配置されており、それは薬剤/ポリマー/ポリマー保護層の上限が約30ミクロンであることを示唆している。
医薬組成物
医薬組成物は、経口的、直腸的、非経口的、槽内、膣内、腹腔内、局所外用的(粉末、軟膏、滴剤または経皮貼付剤などによって)、口腔粘膜経路で、経口または経鼻スプレーとして、または血管系内に設置されたステントにおけるように局所的に投与しうる少なくとも1種類の治療化合物および製薬上許容される担体または賦形剤を含有する。製薬上許容される担体は、無毒性の固体、半固体または液体充填剤、希釈剤、被包材料または何らかの種類の製剤補助剤である。非経口投与には、静脈、動脈、筋肉、腹腔内、胸骨内、くも膜下もしくは髄腔内、皮下もしくは皮内および関節内の注射、注入および、例えば血管系などでの設置などがある。
非経口注射のための医薬組成物は、製薬上許容される無菌水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳剤ならびに使用の直前に無菌注射用溶液または分散液に再生するための無菌粉末を含む。適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶剤または賦形剤の例は、水、エタノール、多価アルコール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のような)、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含む。例えばレシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合は必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの佐剤を含有しうる。様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めることによって微生物の作用の防ぐことができる。また、糖類、塩化ナトリウム等のような等張剤を含むことも望ましいと考えられる。一ステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの、吸収を遅延させる物質を含めることによって注射用医薬形態の長期吸収をもたらすことができる。
薬剤の効果を延長するため、皮下または筋肉注射によって薬剤吸収を遅延させることができる。これは、水溶解度の低い結晶性または無定形物質の液状懸濁液を使用することによって実現しうる。薬剤の吸収速度はその溶解速度によって決まり、そして溶解速度は結晶の大きさおよび結晶形態によって決まり得る。また、非経口投与される製剤の遅延吸収は、薬剤を油性賦形剤に溶解するまたは懸濁することによって実現される。
注射用デポー剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中に薬剤のミクロ被包マトリックスを形成することによって作製される。薬剤対ポリマーの比率および使用する個々のポリマーの性質に依存して、薬剤放出速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。注射用デポー製剤はまた、体組織と適合性のリポソームまたはミクロ乳剤中に薬剤を捕獲することによっても製造される。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターで濾過することによって、もしくは使用の直前に無菌水または他の無菌注射用媒質に溶解するまたは分散することができる無菌固体組成物の形態の滅菌薬を組み込むことによって、滅菌することができる。
経口投与用の固体製剤には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末および顆粒などがある。そのような固体製剤では、活性化合物を、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な製薬上許容される賦形剤または担体、および/または(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、(b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、(c)グリセリンなどの保湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、一部のシリケートおよび炭酸ナトリウム、(e)パラフィンなどの分解遅延剤、(f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(g)例えばセチルアルコールおよび一ステアリン酸グリセロールなどの湿展剤、(h)カオリンおよびベントナイト粘度などの吸収剤、および(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤と混合する。カプセル、錠剤および丸薬の場合、製剤は緩衝剤を含むこともできる。
同様の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を使用して軟、半固体および硬充填ゼラチンカプセルまたは液体充填カプセル中の充填剤として使用しうる。
錠剤、糖衣丸、カプセル、丸剤および顆粒剤の固体製剤は、腸溶コーティングおよび医薬製剤技術分野において公知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルと共に製造することができる。それらは乳白剤を含んでいてもよく、また、適宜に遅延的に腸管の一定部位においてのみまたは腸管の一定部位において優先的に有効成分を放出する組成物でありうる。使用しうる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびロウなどがある。薬剤を含有するそれらの包埋組成物を、ステント、移植片、カテーテルおよびバルーンなどの医療機器上に配置することができる。
活性化合物はまた、適宜に1以上の賦形剤の入ったマイクロカプセル形態でありうる。
直腸または膣投与のための組成物は、本発明の化合物を、室温では固体であるが体温では液体であることから、直腸または膣腔内で溶融して活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ロウなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって製造できる坐薬または停留浣腸である。
併用薬剤
ポリマーコーティングステントにおける使用のためにここで述べる化合物は、他の薬理物質と組み合わせて使用することができる。本発明の化合物と組み合わせて、再狭窄を防止する上で最も有効である薬理物質は、抗増殖物質、抗血小板物質、抗炎症薬、抗血栓薬および血栓崩壊剤のカテゴリーに分類されうる。これらのクラスはさらに細別することができる。例えば、抗増殖物質は抗有糸分裂薬でありうる。抗有糸分裂薬は、細胞分裂を阻害するかまたは細胞分裂に影響を及ぼし、それによって正常に細胞分裂に関わる過程が起こらなくなる。抗有糸分裂薬の1つのサブクラスはビンカアルカロイドを含む。ビンカアルカロイドの代表的な例は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、エトポシド、テニポシド、ノコダゾール、インジルビン、および、例えばダウノルビシン、ダウノマイシンおよびプリカマイシンなどのアントラサイクリン誘導体を含むが、これらに限定されない。抗有糸分裂薬の他のサブクラスには、例えばシクロホスファミド、シスプラチン、カルムスチン、タウロムスチン、ボフムスチンおよびフォテムスチンなどの抗有糸分裂性アルキル化剤、および、例えばメトトレキサート、フルオロウラシル、5−ブロモデオキシウリジン、6−アザシチジンおよびシタラビンなどの抗有糸分裂性代謝産物などがある。抗有糸分裂性アルキル化剤は、DNA、RNAまたはタンパク質を共有結合性修飾することによって細胞分裂に影響を及ぼし、それによってDNA複製、RNA転写、RNA翻訳、タンパク質合成、またはこれらの組合せを阻害する。使用可能な他の抗増殖薬または抗新生物薬には、ブレオマイシンまたはプリカマイシンなどの抗生物質などがある。タンパク質キナーゼの阻害薬として作用する抗増殖剤も使用し得る。それには、Y−27632、AP23464、PD98059、ゲニステイン、スタウロスポリン、PKC412、CGP−41251、ダフネチン、SB203580、KN−62、H−7、TKI963、RPR101511AおよびK252Aなどがある。
抗有糸分裂薬の1例にパクリタキセルがある。本明細書で使用される場合、パクリタキセルには、そのアルカロイド自体およびそれの天然型と誘導体、ならびにそれの合成型および半合成型などがある。
抗血小板物質は、(1)表面、代表的にはトロンボゲン形成性表面への血小板の接着を阻害する、(2)血小板の凝集を阻害する、(3)血小板の活性化を阻害する、または(4)の組合せ、によって作用する治療薬である。血小板の活性化は、血小板が休止した静止状態から、トロンボゲン形成性表面との接触によって誘導されるいくつかの形態変化を受ける状態へと変換される過程である。これらの変化は、仮足の形成を伴う、血小板の形状の変化、膜受容体への結合、および、例えばADPおよび血小板第4因子などの小分子およびタンパク質の分泌を含む。血小板の接着の阻害因子として働く抗血小板物質には、エプチフィバチド、チロフィバン、糖タンパク質IIbIIIaまたはαvβ3への結合を阻害するRGD(Arg−Gly−Asp)に基づくペプチド、gpIIbIIIaまたはαvβ3への結合を遮断する抗体、抗P−セレクチン抗体、抗E−セレクチン抗体、P−セレクチンまたはE−セレクチンのそれぞれのリガンドへの結合を遮断するペプチド、サラチン、および抗フォンビルブラント因子抗体などがあるが、これらに限定されない。ADPを介した血小板凝集を阻害する物質には、ジスアグレギンおよびシロスタゾールなどがあるが、これらに限定されない。利用可能な他の抗血小板剤には、クロピドグレル、ジピリダモールおよびチクロピジンなどがある。
抗炎症薬も使用できる。これらの例には、プレドニゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、エストラジオール、ならびに例えばサリチル酸誘導体であるアスピリン、サリチル酸ナトリウム、サルサラート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジンおよびオルサラジン、アセトアミノフェンなどのパラ−アミノフェノール誘導体、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェンおよびオキサプロジンなどのアリールプロピオン酸類、メフェナミン酸およびメクロフェナム酸などのアントラニル酸類、トルメチン、ジクロフェナクおよびケトロラクなどのヘテロアリール酢酸類、オキシカム類(ピロキシカム、テノキシカム、メロキシカム)などのエノール酸類、ピラゾリジンジオン類(フェニルブタゾン)、インドメタシン、スリンダクおよびエトドラクなどのインドールおよびインデン酢酸類そしてアルカノン類(ナブメトン)などの非ステロイド系抗炎症剤などがあるが、これらに限定されるものではない。利用可能な別の抗炎症剤には、レフルノミド、フルチカゾン、クロベタゾールおよびアダリムマブなどがある。抗炎症剤の他の例には、サイトカインまたはケモカインのコグネイト受容体への結合を阻害して、サイトカインまたはケモカインによって導入されるプロ炎症性シグナルを阻害するものを含む。これらの物質の代表的な例は、抗IL−1、抗IL−2、抗IL−3、抗IL−4、抗IL−8、抗IL−15、抗−MCP1、抗GM−CSF、および抗TNF抗体などがあるが、これらに限定されない。
抗血栓薬は、何らかの段階で凝固経路に介入することができる化学的および生物学的薬剤を含む。特定薬剤の例には、第Xa因子の活性を阻害する小分子などがあるが、これらに限定されない。さらに、例えばヘパリン、硫酸ヘパラン、例えばクリバリン(登録商標)の商標名を有する化合物などの低分子量ヘパリン、および例えばアリクストラ(登録商標)の商標名を有する化合物などの合成オリゴ糖類のような、直接または間接的に、第Xa因子とトロンビンの両方を阻害することができるヘパリノイド型物質。他の第Xa因子の阻害薬には、フォンダパリヌクスおよびイドラパリナックスなどがある。また、例えばメラガトラン、キシメラガトラン、アルガトロバン、イノガトラン、およびトロンビンについてのPhe−Pro−Argフィブリノーゲン基質の結合部位のペプチドミメティックなどの、直接トロンビン阻害因子も含まれる。使用可能な別のトロンビン阻害薬は、ヒルジン、ヒルゲン、ヒルログおよびビバリルジンがある。送達できるもう1つのクラスの抗血栓薬は、例えば抗第VII/VIIa因子抗体、rNAPc2、および組織因子系凝固阻害因子(TFPI)などの第VII/VIIa因子阻害因子である。別のアプローチには、タンパク質C、活性化タンパク質Cおよび可溶性トロンボモジュリンなどの第Va/VIIIa因子の阻害薬、ならびにプラスミノーゲン活性化因子阻害薬−1(PAI−1)、活性化TAFI(TAFIa)もしくは第XIIIa因子の阻害薬などの内因性フィブリン溶解活性を高める薬剤などがあり得る。
血栓(血餅)を分解するのを助ける物質と定義することができる血栓崩壊剤も、血餅を溶解するその作用が、血栓のフィブリンマトリックス内に捕捉された血小板を分散させるのを助けるので、補助物質として使用できる。血栓崩壊剤の代表的な例は、ウロキナーゼまたは組換えウロキナーゼ、プロウロキナーゼまたは組換えプロウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子またはその組換え形態、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レタプラーゼおよびストレプトキナーゼを含むが、これらに限定されない。
本発明の化合物と組み合わせて使用できる他の薬剤は、例えばTGFなどのアポトーシス誘導物質、および10−ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカンおよびドキソルビシンなどのトポイソメラーゼ阻害因子のような細胞傷害性薬剤である。本発明の化合物と組み合わせて使用できる他の種類の薬剤は、細胞脱分化を阻害する薬剤および細胞増殖抑制性薬剤である。
本発明の化合物と組み合わせて使用できる他の薬剤には、例えばフェノフィブレートなどの抗脂血症薬、例えばバチミスタットなどのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害因子、例えばダルセンタンなどのエンドセリン−A−受容体の拮抗物質、およびαvβ3インテグリン受容体の拮抗物質などがある。
ゾタロリムス化合物およびそれの誘導体は、1以上の免疫抑制剤と併用投与することもできる。本発明の範囲に含まれる免疫抑制剤には、イムラン(登録商標)アザチオプリン・ナトリウム、ブレキナール・ナトリウム、スパニジン(登録商標)グスペリムス・3塩酸塩(デオキシスパガリンとも称される)、ミゾリビン(ブレディニンとも称される)、セルセプト(登録商標)ミコフェノール酸モフェチル、ネオーラル(登録商標)シクロスポリンA(商標名サンデイミュン(登録商標)下にシクロスポリンAの各種製剤としても販売されている)、プログラフ(登録商標)タクロリムス(FK−506とも称される)、ラパマイシンおよびラパミューン(登録商標)、レフルノミド(HWA−486とも称される)、プレドニゾロンおよびそれの誘導体などの糖質コルチコイド類、オルソクローン(OKT3)およびゼナパックス(登録商標)などの抗体治療ならびにサイモグロブリン類などの抗胸腺細胞グロブリン類などがあるが、これらに限定されるものではない。
ステントを用いる同時投与
別の治療化合物を血管に移植したステントを用いてゾタロリムスと同時投与する場合、ゾタロリムス:化合物の重量比rは、一方の薬剤の活性が他方の活性を弱めず(すなわち、妨害しない)、同時投与の全体的な効果が相加的および場合によっては相乗的であるようなものである。化合物がパクリタキセルである場合のゾタロリムス:化合物の有用な比は、約10:7強、さらには約10:7≦r≦10:0.01、約10:7≦r≦10:0.1、さらに有用なのは約r=10:1である。
血管移植用のステントなどの移植可能な医療機器に用いた場合、治療化合物の代表的な用量は0.01μg/mm〜100μg/mmである。代表的には、実際の最大値はポリマー、薬剤および機器を製造する方法によって決まる。他の用量は治療化合物の性質によって変動し得るが、ゾタロリムスまたはパクリタキセルをステントに用いる場合、代表的な用量は0.01μg/mm〜20μg/mm、0.1μg/mm〜15μg/mmであり、さらに有用なものは1μg/mm〜10μg/mmである。しかしながら、ゾタロリムス:パクリタキセルの比が約10:7≦γ≦10:0.01、約10:7≦γ≦10:0.1以内、さらに有用なものとしてγ=10:1に維持される限りにおいて、いかなる投与法も使用可能であり、生理的安全性はあまり低下しない。10:7(ゾタロリムス:パクリタキセル)などの比率でゾタロリムスおよびパクリタキセルを用いる有用なステントの例には、5μg/mmのゾタロリムスおよび3.5μg/mmのパクリタキセルを有するステントなどがあり、例えば10:1ステントでは、10μg/mmのゾタロリムスを用いることができ、1μg/mmのパクリタキセルとなる。
一般的に言えば、併用で有用な薬剤は、併用される他方の薬剤の所望の活性に悪影響を与えない。従って、提案された組み合わせにおける一方の薬剤は、他方の薬剤の所望の活性、例えば抗増殖活性を阻害しない。いずれの薬剤も、他方の薬剤の分解を引き起こしたり促進したりはしない。しかしながら、組み合わせなければ、例えば滅菌中に崩壊するために好適ではないように思われる薬剤が、別の薬剤との相互作用のために実際には有用となる可能性がある。
治療方法
実施例に具体的に記載されたもの(それらに限定されるものではない)などの本発明の化合物は、哺乳類(特にヒト)において免疫調節活性を有する。免疫抑制剤として、ゾタロリムスおよび誘導体は、心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、肺、膵臓、小腸、四肢、筋肉、神経、十二指腸、小腸、膵島細胞等のような器官または組織の移植による拒否反応;骨髄移植によって引き起こされる対宿主性移植片病;関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病、ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎等のような自己免疫疾患などの、免疫を介した疾患の治療および予防のために有用である。さらなる用途には、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じんま疹、血管性水腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリテマトーデス、座瘡および円形脱毛症などの炎症性および過増殖性皮膚疾患および免疫を介した疾病の皮膚症状発現;角結膜炎、春季結膜炎、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮性ジストロフィー、角膜白斑、および眼天疱瘡などの様々な眼疾患(自己免疫およびその他)の治療および予防などがある。さらに、喘息(例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息および塵埃喘息)、特に慢性または難治性喘息(例えば遅発型喘息および気道過敏症)、気管支炎、アレルギー性鼻炎等のような状態などの可逆性閉塞性気道疾患は、本発明の化合物の標的となる。胃潰瘍、虚血性疾患によって引き起こされる血管損傷および血栓症などの粘膜および血管の炎症。さらに、内膜平滑筋細胞過形成、特に生体介在または機械介在の血管損傷後の再狭窄および血管閉塞は、本発明の化合物によって治療または予防することができる。
他の治療可能な状態は、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病および潰瘍性大腸炎などの腸の炎症/アレルギー;多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発性神経炎、多発神経炎、単神経炎および神経根障害などの神経疾患;甲状腺機能亢進症およびバセドー病などの内分泌疾患;赤芽球癆、再生不良性貧血、低形成貧血、特発性血小板現象性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、顆粒球減少症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血および赤血球形成不全などの血液疾患;骨粗鬆症などの骨疾患;サルコイドーシス、肺線維症および特発性間質性肺炎などの呼吸器系疾患;皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線過敏症および皮膚T細胞リンパ腫などの皮膚疾患;動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発動脈炎および心筋症などの循環器系疾患;強皮症、ヴェグナー肉芽腫症およびシェーグレン症候群などの膠原病;好酸球性筋膜炎;歯肉、歯周組織、歯槽骨およびセメント質の病変などの歯周病;糸球体腎炎などのネフローゼ症候群;脱毛を予防することまたは発毛を与えることおよび/または毛発生および毛成長を促進することによる男性型脱毛症または老人性脱毛症;筋ジストロフィー;膿皮症およびセザリー症候群;アジソン病;例えば保存、移植または虚血性疾患(例えば血栓症および心筋梗塞)のときに起こる器官(心臓、肝臓、腎臓および消化管など)の虚血−再灌流損傷などの器官傷害のような、活性酸素を介した疾患;内毒素性ショック、偽膜性腸炎および薬剤または放射線によって引き起こされる大腸炎などの腸疾患;虚血性急性腎不全および慢性腎不全などの腎疾患;肺−酸素または薬剤(例えばパラコートおよびブレオマイシン)によって引き起こされる中毒症、肺癌および肺気腫などの肺疾患;白内障、鉄沈着症、網膜炎、色素変性症、老年性黄斑変性、硝子体瘢痕化および角膜アルカリ熱傷などの眼疾患;多形性紅斑、線状IgA水疱症およびセメント皮膚炎などの皮膚炎;および歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染(例えば大気汚染)によって引き起こされる疾患、加齢、発癌、癌転移および高山病などのその他の疾患;ヒスタミンまたはロイコトリエン−C4放出によって引き起こされる疾患;腸、血管または神経ベーチェット病および口腔、皮膚、眼、外陰部、関節、精巣上体、肺、腎臓等を冒すベーチェット病などのベーチェット病などがあるが、これらに限定されるものはない。さらに、本発明の化合物は、免疫原性疾患(例えば自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変および硬化性胆管炎などの慢性自己免疫性肝疾患)、部分的肝切除、急性肝壊死(例えば毒素、ウイルス性肝炎、ショックまたは無酸素症によって引き起こされる壊死)、B型ウイルス性肝炎、非A/非B型肝炎、肝硬変(アルコール性肝硬変など)および劇症肝不全、遅発型肝不全および「慢性期急性増悪(acute-on-chronic)」肝不全(慢性肝疾患がある状態での急性肝不全)などの肝不全の治療および予防に有用であり、およびさらに、化学療法効果の増強のようなそれらの有用な作用の故に様々な疾患に有用であり、サイトメガロウイルス感染、特にHCMV感染に、また抗炎症作用の故にネフローゼ、強皮症、肺線維症、動脈硬化症、鬱血性心不全、心室肥大、術後癒着および瘢痕化、卒中、心筋梗塞および虚血と再灌流に関連する損傷等のような硬化性および線維症性疾患に有用である。
加えて、本発明の化合物はFK−506拮抗特性を有する。そこでこれら化合物は、免疫抑制または免疫抑制に関わる疾患の治療において使用可能である。免疫抑制が関与する疾患の例には、AIDS、癌、真菌感染、老年性認知症、外傷(創傷治癒、手術およびショックを含む)、慢性細菌感染、およびある種の中枢神経系疾患などがある。治療すべき免疫抑制は、免疫抑制性大環状化合物、例えばFK−506またはラパマイシンなどの12−(2−シクロヘキシル−1−メチルビニル)−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−アザトリシクロ[22.3.1.0]オクタコス−18−エンの誘導体の過量によって引き起こされうる。患者によるそのような薬剤の過量投与は、処方された時間に自分の薬剤を服用するのを忘れたことに気づいたときが非常に一般的であり、深刻な副作用に至る可能性がある。
増殖性疾患を治療する本発明の化合物の能力は、既報の方法(Bunchman and Brookshire, 1991; Shichiri et al., 1991; Yamagishi et al., 1993)に従って示すことができる。増殖性疾患は、平滑筋増殖、全身性硬化症、肝硬変、成人呼吸促進症候群、特発性心筋症、紅斑性狼蒼、糖尿病性網膜症または他の網膜症、乾癬、強皮症、前立腺過形成、心臓肥厚、動脈損傷後の再狭窄または血管の他の病的狭窄を含む。さらに、これらの化合物はいくつかの成長因子に対する細胞応答に拮抗し、それ故抗血管新生特性を有しており、そのためにそれらは、ある種の腫瘍の増殖、ならびに肺、肝臓および腎臓の線維症性疾患を制御または逆転させる有用な薬剤となる。
水系液体組成物は、自己免疫疾患(例えば円錐角膜、角膜炎、角膜上皮性ジストロフィー、角膜白斑、モーレン潰瘍、強膜炎およびグレーブス眼症を含む)および角膜移植後の拒絶反応などの眼の様々な疾患の治療および予防に特に有用である。
上記または他の治療において使用するとき、例えばゾタロリムスの治療上有効な量を、純粋な形態で、またはそのような形態が存在する場合は、製薬上許容される塩、エステルまたはプロドラッグ形態で使用しうる。また、その化合物は、対象化合物を1以上の製薬上許容される賦形剤と組み合わせて含有する医薬組成物として投与しうる。本発明の化合物の「治療上有効量」という表現は、医学的治療に適用される妥当な利益/危険度比で疾患を治療するために十分な化合物の量を意味する。しかし、化合物または組成物の総一日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることは明らかであろう。特定の患者についての具体的な治療上有効な用量レベルは、治療する疾患および疾患の重度;使用する具体的な化合物の活性;使用する具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;投与時間、投与経路および使用する具体的な化合物の排泄速度;治療期間;使用する具体的な化合物と併用または同時使用される薬剤;および医学分野で公知の同様の要素によって決まる。例えば、化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要であるよりも低いレベルから出発し、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増加させることは当業界の技術範囲内である。
ヒトまたは下等動物に投与される本発明で使用される化合物の総1日量は、約0.01mg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲とすることができる。経口投与に関しては、用量は約0.001mg/kg/日〜約3mg/kg/日の範囲とすることができる。ステントからの局所送達に関しては、患者が摂取する1日量はステントの長さによって決まる。例えば、15mmの冠動脈ステントは約1μg〜約1000μgの量の薬剤を含むことができ、数時間から数週間の期間にわたってその薬剤を送ることができる。所望に応じて、投与に関して有効1日量を複数用量に分割することができる。結果的に、一つの投与組成物は、そのような量または1日量を構成するためのそれの部分量を含有しうる。局所投与では、適用部位に応じて0.001〜3mg/kg/日の範囲の用量を用いることができる。
アッセイ
ステント移植後の新生内膜過形成、炎症および内皮化についての試験
この試験を用いて、安全性および効力を調べることができる。本試験は、当業界で認められているブタ冠動脈過伸展モデル(Schwartz, 1992)を利用するものであり、通常は約3〜365日間で行われる。あるいは、ウサギや別の当業界で認められているモデルを用いることが可能である。代表的には、実験計画には、少なくとも治療化合物またはポリマーなどの一つの可変要素の変更以外はあらゆる点で実験ステントと類似しているステント対照を含める。
1例において、2つの主冠動脈をそれぞれ1個の試験ステントで移植し、第3の主冠動脈は各ブタで対照ステントで移植する。別の対照は、各主冠動脈に1個で3つの対照ステントを移植したブタとすることができる。ステントは、可能な限り同じ寸法またはできるだけ近いものとすべきである。
ステントは、標準的な技術を用いて移植する。試験終了後には、動物を屠殺し、心臓を摘出し、洗浄し、標準的な組織保存技術(ホルマリン、ホルムアルデヒドなど)を用いて固定する。ステント挿入血管を、切除し、メタクリル酸メチル(MMA)、パラフィンまたは冷凍媒体などの好適な切除用の媒体中で浸漬および包埋する。ステント挿入血管を含む全てのブロックを細切して、データ取得用切片を得る。例えば、3個のステント内切片および2個の対照切片を得る。通常は、3個の連続する薄切片(約5μm)を各レベルで取得し、染色して、細胞および組織(例:ヘマトキシリンおよびエオシン(HE)ならびにマッソンのベルホエフエラスチン(Masson′s Verhoeff Elastin;MVE))を肉眼観察する。画像解析システムその他の形態データ収集および数量化の当業界で認められている方法を用いて、切片を評価および評点する。新生内膜面積、新生内膜厚さおよび狭窄面積パーセントについてデータを評点する。
炎症は、組織切片から、0(なし);1(散在性炎症細胞);2(動脈周囲の少なくとも25%〜50%での支柱の50%を囲む炎症細胞);3(動脈周囲の少なくとも25%〜50%での支柱を囲む炎症細胞(詳細については、カーターの報告(Carter et al., 2004)を参照する。)として等級分けすることもできる。
ステントからの薬剤の溶出
イン・ビトロでの薬剤溶出を評価するため、医療機器を、ゾタロリムスの場合には37℃まで加熱した1%ソルトール(Solutol)HS15を含む10mM酢酸緩衝液(pH=4.0)を含有する、医療機器上の薬剤を溶解する適切な溶液に入れることができる。薬剤の水溶解度が非常に低い場合には、可溶化剤が必要となる場合がある。溶解媒体を緩衝させて、6を超えるpHで起こる薬剤の分解を低減することができる。オリムス薬剤の場合には、pH4での緩衝によってこの問題は解決される。これらのpH範囲で溶出薬剤の解離が非常に少ない場合、pHは溶出速度にほとんど影響しないはずである。例えばテフロン(登録商標)、ステンレスまたはガラス表面のみを取り付けたシリンジサンプラーを用い、所定の時間間隔で溶解槽からサンプルを引き出す。時間経過試験が望まれる場合は、15分後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後および24時間後など、定期的に小分けサンプルを採取することができる。それらのサンプルについて、HPLCによってゾタロリムス濃度のアッセイを行う。データは、溶出薬剤(μg単位)および平均溶出パーセントとして表す。
HPLC法では、場合により、分析カラムのソルトール汚染を最小限とするためにカラム交換を用い、保護カラムの洗浄ができるようにする必要がある。そうでなければ、システムがソルトールでコーティングされた状態となり、クロマトグラフィー保持が大幅に変化する。サンプルは最初に保護カラムに注入される。分析物ピークが保護カラムから溶出し、分析カラムを通過すると、その保護カラムを分析経路から外して交換する。次に、その保護カラムを洗浄してソルトールを除去してから、次の注入に用いる。
薬剤浸透アッセイ
このアッセイを用いて、機器が移植部位に隣接する組織に治療化合物を有効に送る能力を示すことができる。理想的には、より良好なシステムは、負荷された治療化合物をそれに隣接する組織に送り、血液(すなわち、全身に)には送らない。
予め設定した時間点(開始時点の1例が図10にある)で、「ステント移植後の新生内膜過形成、炎症および内皮化に関する試験」で示された移植済みステントを取り出す。動脈組織をステントから除去し、ステントに隣接する動脈壁に浸透している薬剤の量を、標的治療化合物の有無および濃度について分析する。代表的には、次にデータの平均を求め、x軸が時間を表し、y軸が組織中の薬剤量を表すグラフにプロットする。治療化合物の濃度を示す当業界で認められているモデルであればいかなるものも使用可能であり、それにはHPLCその他のクロマトグラフィー、イムノアッセイ、活性アッセイその他の同定方法などがある。
血中濃度アッセイ
このアッセイを用いて、血流に進入しない本発明のシステムから送られる治療化合物の相対的効力を示すことができ、そのアッセイは理想的には薬剤浸透アッセイと併用する。理想的には、より良好なシステムは、負荷された治療化合物をそれに隣接する組織に送り、血液(すなわち、全身に)には送らない。
予め設定した時間点(開始時点の1例が図11にある)で、「ステント移植後の新生内膜過形成、炎症および内皮化に関する試験」で示された移植済みステントを有する対象から、静脈穿刺などの当業界で認められている方法によって採血を行う。負荷治療化合物の血中濃度を、イムノアッセイ、クロマトグラフィー(液/液抽出HPLCタンデム質量分析法(LC−MS/MS)(Ji et al., 2004)など)および活性アッセイのような当業界で認められている検出方法を用いて求める。
キット
本発明のシステムには、投与および使用の説明書を添付したキット、容器、パックまたはディスペンサーなどがあり得る。キットとして提供される場合、組成物の異なる成分が個別の容器に包装されたものであることができる。キットは、個別の容器に入った試薬を含むこともできる。
容器または収納具
キットに入った試薬は、異なる成分の寿命が保存され、容器の材料によって吸着および変性されないような種類の容器または包装に入れて提供することができる。例えば、封止ガラムアンプルに、窒素などの中性非反応性ガス下で充填された凍結乾燥緩衝液を入れることができる。アンプルは、ガラス、有機ポリマー(ポリカーボネート、ポリスチレンなど)、セラミック、金属または代表的には試薬を保持するための他の材料などの好適な材料からなるものであることができる。好適な容器の他の例には、アンプルと同様の物質から作られていても良い瓶ならびにアルミニウムもしくは合金などの箔で内部が裏張りされた封筒などがある。容器の例には、試験管、バイアル、フラスコ、瓶および注射器などがある。容器は無菌アクセス口を有することができ、例えば皮下注射針によって貫通できるストッパーを有する瓶などがある。他の容器は、容易に除去可能な膜によって分離された2つの区画を有し、その膜を除去すると成分を混合させることができるものであることができる。除去可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムなどであることができる。
説明資料
キットは、説明資料を添付して提供することもできる。説明は、紙その他の物質に印刷することができるか、ないしはフロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープ、ミニディスク、カセットテープなどの電子的に読み取り可能な媒体として提供することができるか、指示された電話番号に電話をかけることで提供することができる。詳細な説明がキットに物理的に添付されていない場合がある。それに代わって、キットの製造者もしくは販売業者が指定したインターネットウェブサイトにを見るようユーザーに指示することができるか、ユーザーに電子メールとして提供することができる。
以下の実施例は、本発明の説明を補助することを目的として提供されるものであり、本発明を限定するものではない。表の「実施例」は、このセクションに内容をまとめたものである。
Figure 2008534074
(実施例1)
42−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(極性が低い方の異性体)の合成
実施例1A
窒素雰囲気下に−78℃としたラパマイシン(100mg、0.11mmol)の塩化メチレン(0.6mL)溶液を、2,6−ルチジン(53μL、0.46mmol、4.3当量)および無水トリフルオロメタンスルホン酸(37μL、0.22mmol)の順で処理し、その後15分間攪拌し、昇温させて室温とし、ジエチルエーテルを用いてシリカゲル層(6mL)で溶離した。トリフレートを含む分画を集め、濃縮して、標記の化合物を琥珀色泡状物として得た。
実施例1B
42−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(極性が低い方の異性体)
実施例1Aの酢酸イソプロピル(0.3mL)溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(87mL、0.5mmol)および1H−テトラゾール(35mg、0.5mmol)の順で処理し、その後18時間攪拌した。この混合物を水(10mL)とエーテル(10mL)との間で分配した。有機層をブライン(10mL)で洗浄し、脱水した(NaSO)。有機層を濃縮することで粘稠黄色固体を得て、それをヘキサン(10mL)、ヘキサン:エーテル(4:1(10mL)、3:1(10mL)、2:1(10mL)、1:1(10mL))、エーテル(30mL)、ヘキサン:アセトン(1:1(30mL))で溶離を行うシリカゲル(3.5g、70〜230メッシュ)でのクロマトグラフィーによって精製した。異性体のうちの一つをエーテル分画中に回収した。
MS(ESI)m/e966(M)
(実施例2)
42−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(極性が高い方の異性体)
実施例2A
42−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(極性が高い方の異性体)
実施例1Bでのヘキサン:アセトン(1:1)移動相を用いるクロマトグラフィーからの相対的に遅く移動する帯域を回収したものから、ゾタロリムスである標記化合物を得た。
MS(ESI)m/e966(M)
生理活性のイン・ビトロアッセイ
ゾタロリムスの免疫抑制剤活性を、ラパマイシンおよび2種類のラパマイシン類縁体:40−エピ−N−[2′−ピリドン]−ラパマイシンおよび40−エピ−N−[4′−ピリドン]−ラパマイシンと比較した。活性は、キノらの報告(Kino et al., 1987)に記載のヒト混合リンパ球反応(MLR)アッセイを用いて求めた。アッセイの結果は、表1に示したように、本発明の化合物がナノモル濃度で有効な免疫調節剤であることを示している。
Figure 2008534074
実施例1および実施例2の薬物動態挙動を、カニクイザル(群当たりn=3)での単回の2.5mg/kg静脈用量後に特性決定した。各化合物は、20%エタノール:30%プロピレングリコール:2%クレモホールEL:48%デキストロース5%/水媒体中の2.5mg/mL溶液として調製した。1mL/kg静脈用量を、サルの伏在静脈に低速(slow)ボラス(約1〜2分)として投与した。投与前ならびに投与から0.1(IVのみ)、0.25、0.5、1、1.5、2、4、6、9、12、24および30時間後に、各動物の大腿動脈または静脈から採血を行った。EDTA保存サンプルを十分に混合し、抽出して、その後の分析に供した。
血液の小分けサンプル(1.0mL)を、内部標準を含む20%メタノール/水(0.5mL)で溶血させた。得られた溶血サンプルを酢酸エチルおよびヘキサンの混合物(1:1(体積比)、6.0mL)で抽出した。有機層を溶媒留去して、室温で窒素気流で乾固させた。サンプルをメタノール:水(1:1、150μL)で再生した。標題化合物(50μL注入)を、UV検出を行う逆相HPLCを用いて不純物から分離した。操作中、サンプルは低温に維持した(4℃)。各試験のサンプルはいずれも、HPLCでの単一バッチとして分析した。
実施例1、実施例2および内部標準の曲線下面積(AUC)測定値を、サイエクス・マックアン(SciexMacQuan(商標名))ソフトウェアを用いて求めた。較正曲線は、理論濃度に対する比率の最小二乗線形回帰を用いて、加えた血液標準のピーク面積比(親薬剤/内部標準)から誘導した。それらの方法は、推定数量化限界0.1ng/mLで標準曲線の範囲にわたって両方の化合物について直線的であった(相関>0.99)。最大血中濃度(Cmax)および最大血中濃度に達するまでの時間(Tmax)を、観察血中濃度−時間データから直接読み取った。得られた血中濃度データについて、CSTRIPを用いて多次指数関数曲線適合を行って、薬物動態パラメータの推定値を得た。さらに、推定パラメータを、NONLIN84を用いて定義した。投与後0〜t時間(最終測定可能血中濃度時間点)の血中濃度−時間曲線下の面積(AUC0−t)を、血液−時間プロファイルについての線形台形法則を用いて計算した。無限大に外挿した残留面積を、最終測定血中濃度(C)を最終排出速度定数(β)で割った値として求め、AUC0−tに加えて、曲線下総面積を得た(AUC0−t)。
図1Bおよび表2に示したように、実施例1および実施例2の両方が、ラパマイシンと比較した場合に、驚くほど短い最終排出半減期(t1/2)を有していた。従って、本発明の化合物のみが、十分な効力(表1)と相対的に短い最終半減期(表2)の両方を提供する。
Figure 2008534074
(実施例3)
新生内膜形成に対するゾタロリムスの効果
本実施例の目的は、ステントを設置したブタ冠動脈での新生内膜形成に対するラパマイシン類縁体の効果を確認することにあった。本実施例は、バイオコンパティブルズ(Biocompatibles)・バイオディビジオPC冠動脈ステントから調合および送達された場合に、ラパマイシン類縁体であるゾタロリムスがブタ冠動脈における新生内膜過形成および内腔の大きさに好ましい影響を与えることを示すものである。この所見は、ゾタロリムスを含む薬剤溶出ステントからの組み合わせが、新生内膜過形成を制限することでヒトで適切に使用された場合に、かなりの臨床的効果のものとなり得ることを示唆している。
飼育ブタがヒト対象での新生内膜過形成のアッセイを行う他の研究と同等の結果を与えることから、この試験では、ブタ冠動脈ステントモデルを利用した。
この実施例では、農場仔ブタに設置した冠動脈ステントから溶出したゾタロリムスを調べ、対照ステントからのこれらの結果と比較した。対照ステントは、支柱にポリマーのみを有していた。ポリマー自体は新生内膜過形成をほとんど刺激しないものでなければならないことから、この点は重要である。溶出薬剤が消失するに連れて、ポリマーに対する炎症応答は恐らくは遅い「追い付き現象」を生じるものと考えられ、その際には再狭窄プロセスは停止せずに遅くなる。この現象は、ヒト対象では後日において再狭窄を生じるものと考えられる。
各ブタにおいて2つの血管にステントを移植した。このモデルで用いたブタは、2〜4月齢であり、体重は30〜40kgであった。そうして、通常のステント:動脈比1.1〜1.2を肉眼で評価することで、各ブタにおいて2つの冠動脈ステントを移植した。
手術当日に開始して、ブタにはアスピリンを経口投与し(1日325mg)、その過程の残りの期間にわたって続けた。全身麻酔は、ケタミン(30mg/kg)およびキシラジン(3mg/kg)の筋肉注射とそれに続く静脈注射によって行った。誘導時点での別の医薬には、筋肉注射のアトロピン(1mg)およびフロシリン(fiocillin)(1g)などがあった。ステント植込み術の際、ヘパリン10000単位の動脈内ボラスを投与した。
動脈へのアクセスは、右外頸動脈での切開および8Fシースの設定によって確保した。術後、動物はコレステロールその他の特殊な栄養補助を行わない通常の飼料に維持した。
公称血管標的サイズ3.0mmを有するバイオディビジオステントを用いた。図2を参照する。ブタ1頭当たり2つの冠動脈を、ステント配置に対してランダムに割り付けた。ステントは、薬剤溶出ステント(ポリマー+薬剤ステント)またはポリマーのみでコーティングしたステントコーティング(ポリマーのみステント)のいずれかであった。ステントを、標準ガイドカテーテルおよびワイヤーによって送った。ステントバルーンを、30秒未満の間に適切な大きさまで膨らませた。
各ブタは、別個の冠動脈に設置された1個のポリマーのみステントおよび1個のポリマー+薬剤ステントを有していることで、各ブタが薬剤ステント1個および対照ステント1個を有することになると考えられる。
ブタ20頭のサンプルサイズを選択して、検出力0.95およびβ0.02で、標準偏差0.15mmでの新生内膜厚さ0.2mmにおける投影差を検出した。
動物は28日目に屠殺して、組織病理検査および数量化に供した。潅流ポンプシステムから心臓を取り出した後、左心耳を除去して近位冠動脈へのアクセスを確保した。損傷を有する冠動脈部分を、心外膜なしで解剖した。病変のある部分を摘出することで、十分な組織がいずれかの端部で関与していない血管を含むことができるようにした。それぞれ大体長さ2.5cmの部分を、標準的なプラスチック包埋技術によって包埋し、処理した。次に、それらの組織を、ヘマトキシリン−エオシンおよびエラスチカ・ワンギーソン法で処理染色した。
低および高パワー光学顕微鏡検査を用いて、較正解析ソフトウェアを用いるコンピュータに接続された較正レチクルおよびデジタル顕微鏡検査システムにより、顕微鏡視野の面での長さ測定を行った。
血管損傷の重度および新生内膜応答を、較正デジタル顕微鏡検査によって測定した。内弾性板の完全性が重要であることは、当業者には公知である。ステント挿入した血管での組織病理損傷スコアは、新生内膜厚さに非常に関連が強いものとバリデーションされている。このスコアは、損傷の深さに関係しており、表3に示した通りである。
Figure 2008534074
この損傷の量的測定を、各ステント切片の全てのステントワイヤについて評価した。さらには、較正デジタル画像を用いて、各ステントワイヤ部位で新生内膜厚さを測定した。内腔面積、内弾性板に含まれる面積および外弾性板内の面積も測定した。
所定の切片における各ステントワイヤー部位で、新生内膜厚さの平均を求めて、各切片について平均損傷スコアを得た。新生内膜厚さの測定は、新生内膜が全ての場合でこの厚さを含むことから、ステントワイヤーの外側面に対して行った。
中間ステント部分を用いて、測定、解析および比較を行った。近位部分および遠位部分についても、データを記録した(そして、本報告のデータセクションにも含めた)。
軽度ないし中等度の損傷が治療差を検出する上で十分感受性であることから、本試験についてのデータ解析方法では、治療/対照群にわたる変数である動脈損傷を考慮する必要がなかった。対応のあるt検定を行って、ポリマーのみステント(対照群)およびポリマー+薬剤ステント(治療群)にわたって変数を比較した。予定の時間点以前に、本試験で死亡した動物はなかった。
表4には、近位、中間および遠位部分を含む、各ステントについての平均損傷および新生内膜厚さに関する全てのデータをまとめた結果を示してある。表4にはさらに、内腔サイズ、狭窄パーセントおよび内弾性板(IEL)および外弾性板(EEL)によって測定される動脈サイズを示す。
Figure 2008534074
試験群(ポリマー+薬剤ステント)または対照群(ポリマーのみステント)内で近位、中間または遠位部分に渡る新生内膜面積または厚さに統計的有意差はなかった。この所見は、以前の試験と全く一致することから、中間部分のみを用いて試験機器(ポリマー+薬剤ステント)と対照機器(ポリマーのみステント)の統計的比較を行うことが可能である。
表5は、試験群および対照群とにわたる統計的t検定比較を示す。新生内膜厚さ、新生内膜面積、内腔の大きさおよび内腔狭窄パーセントに統計的有意差があり、薬剤溶出ステントが明らかに好ましい。逆に、平均損傷スコア、外弾性板面積および内弾性板面積には、試験群(ポリマー+薬剤ステント)と対照群(ポリマーのみステント)の間に統計的有意差はなかった。
Figure 2008534074
ステント挿入された部分に対して近位および遠位の基準動脈を観察および数量化した。これらの血管は、全ての場合で正常に見え、対照群(ポリマーのみステント)および試験群(ポリマー+薬剤ステント)の両方で損傷がなかった。図3Aおよび3Bを参照する。下記の表5のデータは、対照群でのステントと試験群でのステントとの間に大きさに統計的有意差がなかったことを示している。
Figure 2008534074
データは、統計的有意差が存在し、これらの差はゾタロリムスを溶出するステントを支持するものであることを示唆している。本発明のステントにより、新生内膜面積が小さくなり、新生内膜厚さが小さくなり、内腔面積が大きくなる。新生内膜パラメータおよび損傷パラメータに試験群(ポリマー+薬剤ステント)と対照群(ポリマーのみステント)内で有意差はなかった。試験群と比較して対照群において動脈の大きさ(ステントを含む)に有意差はなかった。これらの後者の所見は、薬剤を含むポリマーコーティングの動脈再構築に有意差がないことを示唆している。
せいぜい、ポリマー+薬剤ステントとポリマーのみステントの両方で軽度の炎症が認められた。この所見は、薬剤負荷がない場合であっても、そのポリマーが満足できる生体適合性を示すことを示唆している。他の試験では、薬剤がポリマーから完全に無くなった時には、新生内膜を発生させるだけの炎症をポリマー自体が生じさせることが示されている。この現象が原因となって、臨床的遅発再狭窄の遅発の追いつき現象が起こる可能性がある。本実施例におけるポリマーは冠動脈において炎症を引き起こさないことから、薬剤が消費された後にポリマーに関連する後発の問題が起こりにくい。
結論として、ポリマーとともにゾタロリムスを含むステントは、冠動脈に設置した場合にブタモデルでの新生内膜過形成の低減を示した。
(実施例4)
ホスホリルコリン側鎖基を有する生体適合性ポリマーでコーティングされた316L電解研磨スチールクーポンからのゾタロリムス薬剤の放出速度
本実施例の目的は、ホスホリルコリン側鎖基を有する生体適合性ポリマーでコーティングされた316L電解研磨ステンレスクーポンからのゾタロリムス薬剤の放出速度を求めることにあった。
HPLCバイアルからの蓋からのゴム製セプタムをバイアルから外し、ガラス製バイアル中に、「テフロン(登録商標)」側を上に向けて置いた。これらのセプタムは、試験サンプルのための支持体となった。試験サンプルは、すでにホスホリルコリン側鎖基を有する生体適合性ポリマー(PCポリマー)でコーティングされている316Lステンレスクーポンであった。冠動脈ステントは一般的には316Lステンレス製であり、PCポリマーでコーティングして、薬剤負荷のためのデポー部位を提供することができる。ステントを刺激する役割を持つコーティングされたクーポンを、セプタム上に乗せた。ガラス製のハミルトン注射器を用いることで、ゾタロリムスおよびエタノール(10μL)の溶液を各クーポンの表面に塗布した。ゾタロリムス(30.6mg)を100%エタノール(3.0mL)に溶かした。注射器は、各使用の間にエタノールで清拭した。ガラスバイアルに対するキャップをバイアルに緩く置くことで、適切な換気を確保した。クーポンは最低1.5時間乾燥させた。このようにして12個のクーポンを負荷し、6個は機器上に負荷された平均薬剤量を求めるのに用い、6個は機器からの薬剤の放出に必要な時間を測定するのに用いた。
クーポン上に負荷されたゾタロリムスの総量を求めるため、クーポンをバイアルから取り出し、50/50アセトニトリル/0.01Mリン酸緩衝液(pH6.0、5.0mL)に入れた。クーポンを5210ブランソン(Branson)超音波装置に1時間乗せた。クーポンを溶液から取り出し、その溶液のアッセイをHPLCによって行った。
5、15、30および60分という各時間間隔でpH6.0の0.01Mリン酸緩衝液の新鮮な小分けサンプル(10.0mL)に個々のクーポンを浸漬し、取り出すことで、時間放出試験を行った。120、180、240、300、360分の残りの時間点では、容量5.0mLの緩衝液を用いた。薬剤放出相の際の混和を容易にするため、サンプルを、低速に設定されたエバーバッハ(Eberbach)振盪器上に乗せた。最後のサンプルの試験が完了した後に、AU溶液小分けサンプルについてHPLCによってアッセイを行った。
HPLC分析は、下記の設定を有するヒューレット・パッカードシリーズ1100装置を用いて行った。
注入容量=100μL
捕捉時間=40分間
流量=1.0mL/分
カラム温度=40℃
波長=278nm
移動相=65%アセトニトリル/35%H
カラム=YMCODS−AS5μm、4.6×250mm部品番号A12052546WT。
上記実験からの結果から、下記の放出データが示された(表6)。
Figure 2008534074
(実施例5)
ゾタロリムスの15mmバイオディビジオ薬剤送達ステントへの負荷およびそれからの放出
本実施例は、ゾタロリムスの15mmバイオディビジオ薬剤送達ステントへの負荷およびそれからの放出を示す。
薬剤をステントに負荷するため、濃度50mg/mLのゾタロリムスのエタノール溶液を調製し、12個のバイアルに分け入れた。12個の個々のポリマーコーティングステントを、ステントを垂直位置に保持するよう設計された固定具に乗せ、そのステントを薬剤溶液に垂直方向で5分間浸漬した。ステントおよび固定具をバイアルから出し、ステントを吸収材料と接触させることで、過剰の薬剤溶液を拭き取った。次に、ステントを上下逆転させて、30分間風乾させた。
ステントを固定具から取り出し、各ステントを50/50アセトニトリル/リン酸緩衝液(pH5.1、2.0mL)に入れ、1時間超音波処理した。ステントを溶液から取り出し、その溶液について薬剤濃度のアッセイを行うことで、ステント上に最初にあった薬剤量の計算ができるようにした。この方法は、ステントコーティングから薬剤の少なくとも95%を除去することが独立に示された。平均で、ステントは60μg±20μgの薬剤を含んでいた。
薬剤負荷ステントを固定具に乗せ、個々のバイアル中で0.01Mリン酸緩衝液(pH=6.0、1.9mL)に入れた。これらのサンプルを低速に設定したエバーバッハ振盪器上に乗せて、前後攪拌を行った。緩衝液中で薬剤飽和に知覚なるのを回避するため、ステントを、15、30、45、60、120、135、150、165、180、240、390分の時間点で定期的に新鮮な緩衝液バイアルに移した。調べる薬剤放出期間終了後に、溶解緩衝液バイアルの薬剤濃度についてHPLCでのアッセイを行った。時間の関数としての薬剤の累積放出%として表したデータを、下記に表形式で示す(表7)。
Figure 2008534074
(実施例6)
イン・ビボのゾタロリムス用量実験
本実施例の目的は、ブタ過伸展モデルでの異なる薬剤用量の安全性を評価することにあった。薬剤は、ゾタロリムスでコーティングされたバイオディビジオOCステント(15mm)から送達した。ステント内新生内膜形成を、成体ミニチュアブタの冠動脈で4つの時間間隔、すなわち3日、1ヶ月および3ヶ月で測定した。各時間間隔で、動物40頭を調べた(用量当たり動物10頭)。各動物には、1個の薬剤コーティングステントおよび1個の対照ステントを用いた。対照ステントは薬剤を含まないものとした。表8に、ブタ効力試験についての投与計画を示している。
Figure 2008534074
ステントを挿入した領域、隣接する冠動脈部分、血管周囲組織および補助(subserved)心筋層における組織病理的変化を調べることで、全ての時間間隔で、可能な局所組織毒性を評価した。死亡率、血管造影インプラントおよび再試験データ、組織形態計測データおよびステント部位組織病理を調べた。
3日群
走査型電子顕微鏡検査と組織病理検査を組み合わせることで、移植ステントに対する短期応答に関する情報を得た。その応答は対照群および全ての投与群において同様であり、応答には、顕著な壊死を伴わない中膜の圧縮、ほとんどステント支柱に局在する血栓および炎症細の蓄積ならびに内皮回復および薄い壁血栓の平滑筋細胞侵襲の早期の証拠が関与していた。広範囲の血栓や顕著な壁内出血はなかった。一部のサンプルでの外膜が限局性または広汎性の炎症浸潤物を示し、栄養血管の閉塞または鬱血がある場合があった。サンプル中に中膜壊死の証拠はなかった。
全ての投与群での冠動脈ステントの移植から3日後には、走査型電子顕微鏡検査は、同様の内腔表面を示した。ステントの形状は、組織の薄層に明瞭に包埋されていた。内皮は、支柱間で、そして支柱を越えても無傷であり、内皮様細胞の集密層もしくはほぼ集密層が管腔表面を覆っていた。ステントの上および支柱間スペースの無傷の残存内皮上に、散在性の粘着血小板、血小板微小血栓および白血球があった。より重度のステント誘発血管損傷がある動脈では、より多量の壁血栓があったが、ステント支柱上の内皮回復程度は、ゾタロリムスの用量とは無関係に、遅延していないように見えた。
1ヶ月群
1ヶ月シリーズにおける組織形態計測データは、ブタのステント挿入した冠動脈での新生内膜形成に対する局所溶出ゾタロリムスの有意な阻害薬効果を示した。損傷スコアに対して正規化した内膜面積は、対照と比較して用量群3および4(10および27μg/mm)において有意に低下した。対照と比較して、投与群3および4のいずれにおいても絶対内膜面積および内膜厚さに低下の傾向もあり、対照と比較して用量群3において狭窄の組織学的%低下の傾向もあった。
対照ステントは、1ヶ月目に、ユカタンミニチュアブタの冠動脈に移植したステントに代表的な形態を示した。中膜は、ステント支柱の輪郭の下に壊死を伴わずに圧縮または薄化した。炎症浸潤物がごく時々あった。そして、新生内膜の大きさは、比較的薄いものから中等度に薄いものまでの範囲であり、豊富な細胞外基質中の紡錘形状および星形の細胞からなり、ステント支柱の輪郭周囲にごく希にフィブリノイド材料の小さい巣があった。薬剤コーティングステントは、壊死いずれの用量でもほとんど壊死なく中膜に同様の圧縮を示し、対照機器と同様に炎症はほとんどなかった。新生内膜は用量群3および4で顕著に薄く、場合によってはごく少数層の細胞からなるものであった。いずれの用量群でも、中等度の大きさのフィブリノイド沈着物および濃縮血栓が深在新生内膜で認められるかなりの数のサンプルがあった。これらは通常、ステント支柱に関連するものであったが、場合によっては支柱輪郭間に延在していた。しかしながら、沈着物は線維細胞組織内に封入され、内腔周囲内皮様細胞の扁平層で覆われていたことから、内腔表面上での血栓の露出はいずれの場合もなかった。
走査型電子顕微鏡検査で、内皮または内皮様細胞の集密層がステント挿入表面全面を覆い、血液要素の付着に関して薬剤コーティングステントと対照ステントの間に差がないことが確認され、白血球は全ての群でほぼ同数存在した。これらの所見は、ゾタロリムスが新生内膜形成および持続的壁血栓の低減に関連していたが、ステント損傷に対する応答における十分な血管壁治癒がステントを移植してから1ヶ月以内に起こっていたことを示している。この血管壁治癒によって、内腔表面は、血小板付着および血栓形成に関して非反応性となり、白血球付着についての反応性が小さくなっていた。さらに、中膜壊死やステント位置不良がなかったことから、最大用量(27μg/mm)であっても血管壁毒性を示す証拠はなかった。
3ヶ月群
試験の3ヶ月以内では、ステント挿入冠動脈寸法の組織形態計測パラメータに用量群間で有意差はなかった。しかしながら、内腔の断面積および狭窄面積%という新生内膜形成を説明する2つの主要な変数に弱い低下傾向があった。
移植から3ヶ月目におけるブタ冠動脈サンプルでの対照ステントの組織病理的外観は、1ヶ月群からの対照のものと同様に見え、3ヶ月期間における全ての群のものと同様に見えた。全てのサンプルが線維細胞性新生内膜形成を示し、ほとんど紡錘形の平滑筋様細胞が新生内膜および集密な扁平内腔周囲細胞層にあった。新生内膜での壁内出血や持続的フィブリノイド沈着物はなかったが、一部のサンプル、特には比較的厚い新生内膜を有するものは、以前からの血栓蓄積および新生内膜での新血管形成の形態でのその後の器質化を示す証拠を示した。場合によってはサンプルは、中膜構造の破壊に関連するステント支柱に局在する中等度ないし重度の炎症反応の証拠を示した。それは非常に多くの場合、相対的に厚い新生内膜にも関連していた。しかしながら、それらは数が少なく、対照群と薬剤コーティングステント群で認められた。これらは移植ステントに対する動物固有の全身反応、ステントの汚染の証拠、またはこれらの要素の何らかの組み合わせを代表するものであったと推定され、ブタ冠動脈におけるステントインプラントの試験で約10〜15%の発生率で一般に認められる。いずれのサンプルにおいても、中膜の壊死やステントからの媒体の分離を示す証拠はなかった。ほとんどの3ヶ月インプラントの外膜が、1ヶ月インプラントであったより若干大きい新血管形成を有するように見えたが、それは対照群や試験ステント群に関連するようには見えなかった。走査型電子顕微鏡検査では、集密な内皮が示され、対照群および全ての用量群で付着血液細胞は希であった。
結論
ゾタロリムスでコーティングしたステントは、ブタ冠動脈でのステント内新生内膜形成を低減し、1ヶ月目で生物薬効果(新生内膜の未吸収血栓/フィブリン沈着物)の明瞭な証拠を提供した。ゾタロリムスでコーティングしたステントには、3ヶ月という比較的長い期間で持続的阻害薬効果を示す弱い傾向があった。調べたいずれの時間間隔でも、約27μg/mmステント長さの最高用量を含めて、用量群に関連した中膜壊死またはステント位置不良の形態での局所冠動脈壁毒性はなかった。全てのステントが組織に良好に組み込まれ、1ヶ月期間および3ヶ月期間での線維細胞性新生内膜組み込みおよび内皮被覆の形態での安定な治癒応答を示す証拠があった。この動物にステントを移植してから3ヶ月目での持続的阻害薬効果の傾向は驚くべきものであり、移植ステントから生じる臨床的再狭窄を予防する上での持続的効果の可能性を示す証拠を提供するものである。
(実施例7)
有用な薬剤の溶出実験
本試験で用いた薬剤溶出ステントは、拡散によるゾタロリムスの溶出を遅延させるよう設計された10μg/mmゾタロリムスおよびホスホリルコリン系ポリマー(PC)上塗り層を含むという点で、ZoMaxx(商標名)薬剤溶出ステントシステム(Abbott Vascular; Redwood City, CA)と類似していた。本試験でのステントはステンレス製であり、4つの異なる群は上塗り層の量が重量基準で変わる(0、2、5または10μg/mm)点のみの差で構築されたものである。
イン・ビトロでの薬剤溶出
イン・ビトロ薬剤溶出を評価するため、ステント(各群でn=12)を膨張させ、加熱して37℃とした1%ソルトールHS15を含む10mM酢酸緩衝液(pH=4.0)の溶液に入れた。15分後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後および24時間後に少量サンプルを採取し、HPLCによってゾタロリムス濃度についてのアッセイを行った。データは、平均溶出パーセントとして表す。
ステントから周囲媒体へのゾタロリムス溶解の動態を図4に示してあり、その図において菱形は上塗り層なしを示し、四角形は2μg/mm上塗り層を示し、三角形は5μg/mm上塗り層を示し、「X」は10μg/mm上塗り層を示し、平均の標準誤差も示してある。得られた結果は、薬剤溶出がPC上塗り層(0μg/mm)のないステントからが最も早く、上塗り層の厚さが大きくなると徐々に遅くなる可能性があることを示していた。
(実施例8)
ステント移植後のイン・ビボでの新生内膜形成
ブタ冠動脈過伸展モデル試験(Schwartz, 1992)を行って、ステント移植から28日間にわたる新生内膜形成を調べた。この試験は、薬剤を含まずにポリマーコーティングのみを含む対照ステント(TriMaxx(商標名))と比較して多くの無作為化した薬剤溶出ステントを評価した。
実験の計画および方法
各ブタにおいて、3つの主要冠動脈にそれぞれ1個の試験ステントを移植した。さらに、比較のため、3頭のブタにそれぞれ3個の非薬剤含有TriMaxx(商標名)ステント(Abbott Laboratories; Abbott Park, IL)を移植した(合計9個のステント)。比較したステントは、ZoMaxx(商標名)ステント(3.0×15mm)、市販のラパマイシン(8.5μg/mmまたは1.40μg/mm)−ポリマーコーティングCypher(登録商標)ステント(3.0×13mm;Cordis Corp.; Miami, FL)およびパクリタキセル−(6.8μg/mmまたは1.0μg/mm)ポリマーコーティングTaxus(登録商標)ステント(3.0×16mm;Boston Scientific; Natick, MA)ステントを含むものであった。
ステントは、定量的冠動脈血管造影によって測定してバルーン/動脈比1:1.30で移植した。試験において、冠動脈関連およびステント関連の死亡はなかった。28日後、動物を屠殺し、心臓を摘出し、血液がなくなるまで乳酸を加えたリンゲル液で、次に10%中性緩衝ホルマリンで約100mmHgで潅流固定した。ステント挿入した血管を切除し、切開し、メタクリル酸ジメチル(MMA)中で浸漬および包埋した。ステント挿入血管を含む全てのブロックを細切して、3個のステント内切片および2個の対照切片(ステントに対して近位および遠位)を取った。各レベルで2個の連続薄切片(約5μm)を取り、ヘマトキシンおよびエオシン(HE)ならびにマッソンのベルホエフエラスチン(MVE)で染色した。BIOQUANT TCW98画像解析システム(Bioquant; Nashville, TN)を用いて切片の評価および評点を行った。
結果
新生内膜面積、新生内膜厚さおよび狭窄面積パーセントについての3つの薬剤溶出群内での全てのステントにおける平均値を、それぞれ図5〜7に示してある(平均±平均の標準誤差で表した。TriMaxxに対してβ値を計算した。箱内の数字は群当たりのステント数を示す。)。ZoMaxx(商標名)、Cypher(登録商標)およびTaxus(登録商標)ステントは、TriMaxx(商標名)ステントとの比較で形態計測的測定値によって表した新生内膜の形成において統計的に等価な低減を有していた。
最新の単一の薬剤ステントであるZoMaxx(商標名)、Cypher(登録商標)およびTaxus(登録商標)はそれぞれ、TriMaxx(商標名)対照と比較して新生内膜形成において大幅な低減を示した。例えば、ZoMaxx(商標名)ステントにおける新生内膜の平均低減率は、図9に示したように対照に対して34.5%であった。図8A〜8Cに画像表示を示してあり、そこには各群についての平均新生内膜面積を表す顕微鏡写真を示してある。
Figure 2008534074
(実施例9)
ウサギ腸骨動脈に移植されたゾタロリムス−ポリマーコーティングステント(ZoMaxx(商標名))およびラパマイシン−コーティングステント(Cypher(登録商標))の溶出プロファイル、組織濃度および血中濃度の比較
これらの試験の目的は、Cypher(登録商標)ステントから溶出したラパマイシンの分布であって、ZoMaxx(商標名)ステントから溶出したゾタロリムスと比較したものを評価することにあった。各ステント−薬剤の組み合わせについての所望のプロファイルは、支持体からの効率的な溶出、ステントに隣接している組織への局所送達および全身副作用を軽減するための低い血中濃度である。
約10μg/mmのゾタロリムスまたはラパマイシン(それぞれ、ZoMaxx(商標名)およびCypher(登録商標)ステント)でコーティングされたステントをウサギの腸骨動脈に移植し、ステントからの溶出パーセント(図9)、薬剤による組織浸透の量(図10および11(図10は、ブタにおいて実施された同様の試験とこれらの結果を比較している))および薬剤の全血中濃度(図11)を求めるアッセイを行った。図10について誘導されたデータは、表10に報告してある。
Figure 2008534074
薬剤溶出試験
図9に示した時間点で、ステント(n=4)を取り出し、ステント上に残っている薬剤の量を実施例7と同様に分析した。そのデータの平均を求め、図9に示したグラフにプロットしたが、図中において黒丸はZoMaxx(商標名)についてのデータ点を表し、黒四角はCypher(登録商標)についてのデータ点を表す。誤差バーは、平均の標準誤差を表す。x軸は日数での時間を表し、y軸は溶出薬剤のパーセントを表す。
図9に示したように、早期の時間点では、約7日までは、ゾタロリムスと比較してステントから溶出するラパマイシンのパーセントの方が大きく、7日の時点ではゾタロリムスの放出がラパマイシンと比較して加速された。ラパマイシンはゾタロリムスと比較して速く、そして早期に溶出したが、両方の薬剤についての全体的な傾向は同様であった。
薬剤浸透試験
図10で示した時間点で、ステント(n=4)を外し、ステントに隣接する動脈壁に浸透していた薬剤の量を、その薬剤の存在に関して分析した。次に、データの平均を求め、図10に示したグラフにプロットしたが、その図において黒丸はZoMaxx(商標名)についてのデータ点を表し、黒四角はCypher(登録商標)についてのデータ点を表す。誤差バーは、平均の標準誤差を表す。x軸は日数での時間を表し、y軸はμg/g組織として表した組織中の薬剤量を表す。
図10に劇的に示されているように、全ての時間で、ZoMaxx(商標名)ステントから溶出したゾタロリムスの組織濃度は、Cypher(登録商標)ステントから溶出したラパマイシンの組織濃度より有意に高かった。全ての時間点で、ラパマイシンの量は10μg/g組織を越えたことは全くなかったが、ゾタロリムスの量は移植後5日目での120μg/g組織より若干少ない量から移植後28日目の10μg/g組織より若干多い量までの範囲で変動した。
ブタで繰り返した場合に同様の結果が得られ(図11;ここでは、x軸は時間単位で示してあり、y軸は対数平均濃度(ng/g)として示してある);黒四角はZoMaxx(商標名)/ブタであり;黒三角はCypher(登録商標)/ブタであり;黒逆三角はZoMaxx(商標名)/ウサギであり;横向き黒三角はCypher(登録商標)/ウサギである。やはり、全ての時間点で、モデルシステムとは無関係に、Cypher(登録商標)ステントから溶出したラパマイシンの濃度は、ZoMaxx(商標名)ステントから溶出したゾタロリムスの濃度より低かった。
血中濃度試験
図12で示した時間点で、エデト酸(EDTA)が入った真空排気された採血管への静脈穿刺によって採血を行った(n=4)。ゾタロリムスおよびラパマイシンの血中濃度を、バリデーションされた液/液抽出HPLCタンデム質量分析法(LC−MS/MS)(Ji et al., 2004)を用いて測定した。ゾタロリムスの定量下限は、0.3mL血液検体を用いて0.20ng/mLであった。次に、データの平均を求め、図12に示したグラフにプロットしたが、図中において黒丸はZoMaxx(商標名)についてのデータ点を表し、黒四角はCypher(登録商標)についてのデータ点を表す。誤差バーは平均の標準誤差を表す。時間はx軸にプロットしてあり、薬剤の血中濃度はng/mL単位でy軸で表してある。
図12に示したように、血液中でのZoMaxx(商標名)ステントから溶出したゾタロリムスの濃度は、第28日まではCypher(登録商標)ステントから溶出したラパマイシンより低く、第28日には、その濃度はほぼ同様であった。最も早い時間点では、ラパマイシンの血中濃度は、ゾタロリムスと比較して大幅に上昇した(例えば、3つの最も速い時間点で約8、6および4ng/mL)。時間が経過するに連れて、ゾタロリムスの血中濃度は4ng/mL(最初の時間点)の高値から約0.5〜1ng/mL(移植から5日目以降)という低値まで低下を続ける。
結論
溶出プロファイル傾向はZoMaxx(商標名)ステントから溶出するゾタロリムスとCypher(登録商標)ステントから溶出するラパマイシンで同様であったが(図9)、移植後の標的組織には、より高濃度のゾタロリムスがあり、14日にわたって高いままであり(図10)、この現象はZoMaxx(商標名)ステントがブタに移植されたかウサギに移植されたかとは無関係に認められた(図11)。この現象と一致していたのがゾタロリムスの血中濃度であり、少なくとも14日まで、ラパマイシンの濃度より常に低かった(図12)。全体においてこれらの結果は、ZoMaxx(商標名)ステントから送達されたゾタロリムスは移植部位近位に残るが、Cypher(登録商標)ステントから送達されたラパマイシンは、より全身的な分布を有しており、ステントに隣接する標的組織では相対的に低濃度であった。
(実施例10)
イン・ビボでのゾタロリムス−コーティングおよびラパマイシン−コーティングされたステントの延長試験
ステントの目的は、体内腔を張り出した状態にしておくことにあるが、移植in血管での移植によって新生内膜形成を生じる場合が多く、それは内腔を閉塞し、炎症応答を誘発するものである。本試験は、延長された期間にわたってCypher(登録商標)ステントと比較したZoMaxx(商標名)ステントの新生内膜および炎症プロファイルを確認するものである。
新生内膜試験
カーターら(Carter et al., 2004)の方法に従って行い、本明細書にまとめてある。
屠殺の直後に、心臓を摘出し、冠動脈を100mmHgで10%緩衝ホルマリンによって潅流固定した。ステント挿入した冠動脈部分を、ステントの近位端から遠位端を通って6個の切片のプラスチック包埋、染色および形態計測分析のために処理した。検体をメタクリル酸ジメチルに包埋し、切片を得た。切片を磨き、スライドガラス上に乗せ、異染性染色によって染色した。治療群について知らされていない一人の独立の検査担当者が全ての組織病理分析を行った。血管形態計測および炎症および平滑筋の内容の形態学的分析は、発表の方法を用いて行った(Kornowski et al., 1998; Schwartz, 1992; Suzuki et al., 2001)。
炎症は、0(なし);1(散在性炎症細胞);2(動脈の外周の少なくとも25%〜50%における支柱の50%を取り囲む炎症細胞);3(動脈の外周の少なくとも25%〜50%における支柱を囲む炎症細胞)と等級分けした。
統計解析
4個のステント切片のそれぞれからの形態計測測定値を合計し、4で割って、ステント内の各パラメータについての平均値を得た。形態計測パラメータなどの連続変数の場合、治療群間の平均差をANOVAで検定した。形態パラメータの場合、ステント挿入部分内の4つの切片のそれぞれにスコアを割り当て、中位値をそのステントのスコアとして用いた。データは各コホート内で順位付けし(3、30、90または180日)、階層化した。これらの順位についてANOVAを行った。カテゴリーデータを、カイ二乗解析で比較した。別段の断りがない限り、データは平均FS.Dとして表している。
図13は、新生内膜面積試験の結果を示す図であり、図中においてx軸は時間(日)を表し、y軸はmmで表した平均新生内膜面積を表す。ラパマイシンコーティングCypher(登録商標)ステントを用いて得られたデータは小さい黒四角によって示してあり、カーターらの報告(Carter et al., 2004)から引用したものであり;ゾタロリムスコーティングZoMaxx(商標名)ステントから得られたデータは大きい黒四角によって示してある。
移植から0〜30日では、両方のステントにおける新生内膜面積は同様であった(移植後3日ではラパマイシンで約0.45mmおよびゾタロリムスで0.50mmであり、移植後30日ではラパマイシンで約1.45mmであり、ゾタロリムスでは1.60mmである)。しかしながら、第90日では、2つのステント間の差は驚くべきものであった。ゾタロリムス−コーティングステントを用いた患者における新生内膜面積は実際に約1.50mmまで低下したが、ラパマイシン−コーティングステントを用いた患者の場合は大幅に上昇して約3.0mmとなった。この傾向は、移植から180日後に繰り返され、ラパマイシン新生内膜面積は3.25mm近くになり、ゾタロリムス面積は約0.85mmまで低下した。
図14には炎症試験の結果が示してあり、図中においてx軸は時間(日)を表し、y軸は平均炎症スコアを表す。ラパマイシンコーティングCypher(登録商標)ステントを用いて得られたデータを黒菱形によって示してあって、カーターらの報告(Carter et al., 2004)から引用したものであり;ゾタロリムスコーティングZoMaxx(商標名)ステントから得られたデータは大きい黒三角によって示してある。そのデータは表11にも示してある。
Figure 2008534074
ZoMaxx(商標名)ステントを移植したブタでは経時的に炎症に顕著な減少が生じ、経時的に炎症に一定のほとんど直線的な減少があり、移植3日後での0.97±0.315という高値から移植180日後での0.180±0.190という低値となった。全く対照的に、Cypher(登録商標)ステントを用いたブタはあまり運が良くなかった。炎症は移植30日後に急速に低下し(0.200±0.420)、ZoMaxx(商標名)ステントを用いたブタ(0.490±0.510)より低かったが、炎症スコアは急上昇して、最初の移植後、特には180日目に認められたものを超え(1.600±1.260)、ZoMaxx(商標名)についてのスコアをほぼ10倍超えた(0.180と1.6)。
結論
ZoMaxx(商標名)ステントから送達されたゾタロリムスを投与されたブタは、Cypher(登録商標)ステントから送達されたラパマイシンを投与されたブタと比較して、有意に少ない新生内膜形成と炎症低減を示している。
(実施例11)
28日重複薬剤溶出ステント試験
本実施例は、実施例10で認められた移植ステントの長期効力をより十分に利用することを試みるものである。本実施例は、追加のステントを比較のために加え(この場合、パクリタキセルを溶出)、試験をウサギ腸骨動脈で行ったという点で実施例10と異なる。新生内膜形成のモニタリングに加えて、形態計測分析、フィブリン堆積、肉芽腫および巨細胞反応、炎症スコアなどの他のパラメータを測定した。実験の構成を表12に示してあり、図15Dで、ステントの配置を図解してある。
Figure 2008534074
移植から28日後の結果を図15A〜Cに示してある。移植したステントの内皮化を測定した際に、ZoMaxx(商標名)ステントでは内皮細胞がほぼ集密状態となっており、Cypher(登録商標)およびTaxus(登録商標)ステントのいずれと比較しても有意に(p<0.05)そのようであった(図15A)。同様に、損傷の尺度である赤血球パーセントはZoMaxx(商標名)で15%未満であったが、Cypher(登録商標)移植ステント面積は32%に近くなり、Taxus(登録商標)では40%を超え、ZoMaxx(商標名)と比較して有意差(p<0.01)があった(図15B)。最後に、損傷の別のアッセイであるフィブリン堆積は、Cypher(登録商標)(40%;p<0.05)およびTaxus(登録商標)(約65%;p<0.001)のいずれと比較しても、ZoMaxx(商標名)移植ステントの方が有意に少なかった(<25%)(図15C)。
(実施例12)
臨床例
ZoMaxxIVUS、臨床的な血管造影および血管内超音波(IVUS)試験を、平均年齢59歳(±9)の患者40名で行った。患者の80パーセントが高脂血症であり、40パーセントが糖尿病であり、40パーセントに心臓発作歴があった。ステント挿入した平均病変長さは14.4mm(±3.3)であった。ZoMaxxステントによる処置前には、直径狭窄パーセント(DS)、すなわち疾患によって遮断された血管のパーセントは70%(±10)であった。ZoMaxxによる処置直後では、直径狭窄パーセントはステント内部(ステント内)で5.1パーセント(±5.3)および部分内で19パーセント(±7)まで改善した。遅発の内腔損失、すなわちステント留置直後の時点と4ヶ月目の間の血管直径における変化の尺度は、ステント内で0.20mm(±0.35)および部分内で0.17mm(±0.35)であった。ステント内の正味体積閉塞、すなわち最初の手術から4ヶ月以内にステント内で再形成された閉塞の量は、6.5パーセント(±6.2)であった。ZoMaxxステントは100パーセントの成功率で挿入され、手術中も追跡調査の4ヶ月間も主要有害心臓事象(MACE)は生じなかった。
(実施例13)
(予報的)臨床的応用
単一の抗増殖剤を送達するステントの導入とその後の広範囲に及び使用によって、一般的臨床群において再狭窄率が10%未満まで低下してきた。しかしながら、ステントからの適切な薬剤組み合わせを送達することで、一般的臨床群と各種心血管疾患下位集合からの両方の患者を治療して、再狭窄率および有害臨床事象をさらに低下させるには、明瞭な根拠が存在する。例えば、糖尿病疾患がない患者と比較した場合にステント挿入した糖尿病患者で再狭窄率が有意に上昇すること、ならびにステント移植術に対する炎症応答が糖尿病患者および非糖尿病患者の両方で存在することは認められている(Aggarwal et al., 2003)。さらに、炎症は、不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞などの広範囲の急性心筋虚血状態、ならびに持続的ST上昇に関連する梗塞を定義する用語である急性冠動脈症候群(ACS)患者における一つの特徴である。その患者は多くの場合、ステント留置の最も重要な候補者であり、経皮介入(PCI)を受ける一般的患者群と比較して、再発性虚血、再梗塞およびその後の再PCI術の必要性の率が有意に高い。最後に、肥満が炎症誘発性状態および内皮機能不全に関連している場合が多い。両方の状態が冠動脈ステント留置後の早期再狭窄の独立の予測因子であることが知られている。実際、肥満、脂肪細胞によるインターロイキン−6(IL−6)産生および冠動脈疾患の間の関連性に関しての事例があり、それはこの炎症サイトカインの上昇とこの患者小集合でのCADの発症との間の関連性を示唆するものである(Yudkin et al., 2000)。
糖尿病患者は、非糖尿病患者と比較して炎症マーカーであるc−反応性タンパク質(CRP)のレベルが高い(Aggarwal et al., 2003; Dandona and Aljada, 2002)。このタンパク質は、冠動脈疾患患者における主要な炎症メディエータであると明瞭に確認されており、重度不安定狭心症患者における有害事象の予測因子である(Biondi-Zoccai et al., 2003)。CRPは、ヒト内皮細胞による単球化学誘引物質タンパク質(MCP−1)の産生を刺激する。このメディエータの放出には単球の流入が付随して起こって、これらの細胞が活性化され、内皮下スペースに移動し、そこでそれは酸化した低密度リポタンパク質(LDL)を含む泡沫細胞を形成することから顕著な炎症を生じる。血漿IL−6および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は、肥満患者およびII型糖尿病患者においても上昇する炎症サイトカインである。実際、高感度CRP、IL−6または血清血管細胞付着分子−1(VCAM−1)の上昇が、冠動脈疾患患者における死亡率上昇と関連している(Roffi and Topol, 2004)。再狭窄プロセスの特徴である新生内膜形成が炎症によって強化されることから、ゾタロリムスおよびパクリタキセルなどの抗炎症活性および抗増殖活性を有する薬剤の組み合わせを局所血管環境に送達するステントの使用は、糖尿病患者で非常に有用であると期待されよう。
粥状プラークの崩壊が急性冠動脈症候群発症の中心である(Gtech and Ramsdale, 2003)。プラークの破裂は、泡沫細胞が分泌するマトリクス・メタロプロテイナーゼの濃度上昇によって誘発され得るものであり、プラークの不安定性および発達する病変の上にかかった薄い線維性のキャップの最終的な破裂を生じる。さらに、泡沫細胞表面上で発現される組織因子が、凝固因子VIIを活性化して、それが血栓の形成に至る。このタンパク質の発生によって、血小板の活性化および凝集、ならびにフィブリノゲンのフィブリンへの変換および血栓の明瞭な形成に至る。ステント配置および技術における向上によって、ステント挿入した患者で再発性虚血、再梗塞および再血管形成術の必要性が低下することが示された(Grech and Ramsdale, 2003)ことから、この状況でのステント配置に関する最初の懸念は根拠のないものであるように思われる。炎症と冠動脈病変進行との間の密接な関係によって、ゾタロリムスおよびパクリタキセルなどの抗炎症活性および抗増殖活性を有する薬剤の組み合わせを局所血管環境に送達するステントの使用は、そのような患者を治療する上での興味深いアプローチとなる。
本明細書に記載のステントは、冠動脈での狭窄病変のために虚血性心疾患と診断された患者、ならびに再発性冠動脈疾患および他の有害臨床事象のリスクが相対的に高い臨床群の下位集合で配置される。他の介入標的には、浅大腿動脈、腎動脈、腸骨動脈および膝下の血管での狭窄などの末梢血管疾患などがある。介入手術の標的血管には、大腿動脈または橈骨動脈のいずれかを介した経皮血管アクセスを用いて到達し、ガイドカテーテルをその血管に挿入することになる。標的病変をガイドワイヤで横切り、バルーンカテーテルを、そのワイヤで、または急速交換システムを用いて挿入する。オンライン定量的冠動脈血管造影(QCA)または目視の推定によって、移植されるステントの適切な大きさを、医師が決定する。ステントのコンプライアンスによって示される適切な圧力を用いてステントを配置し、そして手術後血管造影図を得ることができる。手術が完了したら、患者を狭心症の状況および有害事象の有無について、定期的にモニタリングする。再手術の必要性も評価する。
上記の詳細な説明および添付の実施例は、説明のみを目的としたものであり、専ら添付の特許請求の範囲およびそれの均等物によって定義される本発明の範囲に対して限定を加えるものと考えるべきではないことは明らかである。開示の実施形態に対する各種の変更および修正は、当業者には明らかであろう。本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤および/または使用方法に関するもの(それらに限定されるものではない)などのそのような変更および修正は、本発明の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて行うことが可能である。
Figure 2008534074
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図1Aは、ステントの1例の側面図である。 図1Bは、サルに投与したテトラゾール含有ラパマイシン類縁体の血中濃度±SEM(n=3)を示す図である。 図2は、ステントの1例を示す正面図である。 図3Aは、ポリマーのみでコーティングされたステントを入れた血管部分の断面図である。 図3Bは、ポリマー+薬剤でコーティングされたステントを入れた血管部分の断面図である。 図4は、ゾタロリムス10μg/mmを含み、0、2、5および10μg/mm(n=12ステント/時間点;平均±SEM)のPC上塗り層で覆われたステンレス製ステントのイン・ビトロ溶出プロファイルを示す図である。留意すべき点として、上塗り層の厚さが増すに連れて溶出速度が遅くなる。 図5は、薬剤溶出および非薬剤溶出ステントのブタ血管での移植の28日後の新生内膜面積(30%過伸展)を示す図である。箱形の数字は、群当たりのステント数を示す。 図6は、薬剤溶出および非薬剤溶出ステントのブタ血管における移植から28日後の新生内膜厚さ(30%過伸展)を示す図である。箱形の数字は、群当たりのステント数を示す。 図7は、薬剤溶出および非薬剤溶出ステントのブタ血管における移植から28日後の狭窄面積パーセント(30%過伸展)を示す図である。箱形の数字は、群当たりのステント数を示す。 A〜Dは、各群についての平均新生内膜面積を表すブタ試験からの代表的血管の断面の顕微鏡写真である。図19A、TriMaxx(商標名)ステント;19B、ZoMaxx(商標名)ステント;19C、Cypher(登録商標)ステント;19D、Taxus(登録商標)ステント。 図9は、ウサギ腸骨動脈でのポリマーコーティングステント(ZoMaxx(商標名);黒丸)からのゾタロリムスの組織分布であって、ラパマイシンでコーティングされたステント(Cypher(登録商標);黒四角)と比較したものを評価する28日溶出試験の結果のグラフである。これらのデータは、指定の時間点で移植ステントから溶出した薬剤量を表す。 図10は、ウサギ腸骨動脈でのポリマーコーティングステント(ZoMaxx(商標名);黒丸)からのゾタロリムスの組織分布であって、ラパマイシンでコーティングされたステント(Cypher(登録商標);黒四角)と比較したものを評価する28日溶出試験の結果のグラフである。これらのデータは、指定の時間点で移植ステントに隣接する組織に存在する薬剤量を表す。 図11は、ウサギおよびブタでのZoMaxx(商標名)またはCypher(登録商標)ステント植込み術後におけるゾタロリムスおよびラパマイシンの動脈濃度のグラフである。黒四角、ZoMaxxTM/ブタ;黒三角、Cypher(登録商標)/ブタ;黒逆三角、ZoMaxxTM/ウサギ;横向き黒三角、Cypher(登録商標)/ウサギ。 図12は、ウサギ腸骨動脈でのポリマーコーティングステント(ZoMaxx(商標名);黒丸)からのゾタロリムスの組織分布であって、ラパマイシンでコーティングされたステント(Cypher(登録商標);黒四角)と比較したものを評価する28日溶出試験の結果のグラフである。これらのデータは、指定の時間点での各薬剤の血中濃度を表す。 図13は、ブタモデルでのZoMaxx(商標名)(大黒四角)またはCypher(登録商標)(小黒四角)ステントの長期移植の結果のグラフである。統計的に有意な差(p<0.05)は、「」によって示してある。カーターらの報告(Carter et al., 2004)からのCypher(登録商標)のデータ。 図14は、ラパマイシンでコーティングしたステント(Cypher(登録商標);黒菱形)と比較したゾタロリムスポリマーコーティングステント(ZoMaxx(商標名);黒三角)についてのブタ過伸展モデルでの長期炎症スコアの結果のグラフである。カーターらの報告(Carter et al., 2004)からのCypher(登録商標)のデータ。 A〜Dは、28日目におけるウサギ重複モデルでのステント移植試験の結果を示す図である。炎症および効力を示す3つのアッセイを示してある。15Aは、内皮細胞でコーティングされた移植ステントのパーセントを示す図であり;15Bは、ステント領域における赤血球のパーセントを示す図であり;15Cはステント領域でのフィブリンのパーセントを示す図である。各場合で、統計的有意差は、ブラケットと有意性についてのp値閾値によって示されている。各グラフで、実線棒線はZoMaxx(商標名)を表し、白色棒線はCypher(登録商標)を表し、斜線棒線はパクリタキセルでコーティングされたTaxusステントを表す。15Dは、腸骨動脈でのステント移植の部位を示す図である。

Claims (88)

  1. 製薬上許容される担体もしくは賦形剤を有する支持構造;ならびに
    ゾタロリムスまたはそのプロドラッグ、誘導体、エステル、塩を含む第1の治療組成物
    を有する薬剤送達システムであって、
    前記システムを対象の体内腔に移植した時に、システムに隣接する腔壁へのゾタロリムスの送達が第1の治療組成物と同様の用量を含む対照薬剤送達システムからの対照治療組成物の送達と比較した場合のものより大きいシステム。
  2. 対照治療組成物がオリムス薬剤を含む請求項1のシステム。
  3. オリムス薬剤が、エベロリムス、ラパマイシン、タクロリムス(FK506)、バイオリムスA9、CCI−779、RAD001、AP23573およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つを含む請求項2のシステム。
  4. 対照治療組成物が抗炎症薬を含む請求項1のシステム。
  5. 抗炎症薬がデキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブ、スリンダクおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つを含む請求項4のシステム。
  6. 腔壁へのゾタロリムス送達が、対照と比較した場合に少なくとも移植後28日間にわたって増加する請求項1のシステム。
  7. 請求項1のシステムであり、移植28日後に、前記システムから溶出したゾタロリムスの累積パーセントが、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムから溶出したラパマイシンの累積パーセントより有意に大きいシステム。
  8. システムの移植から14日以内で、腔壁へのゾタロリムスの送達によって、対照治療薬より少なくとも5倍大きい組織濃度となる請求項1のシステム。
  9. 腔壁へのゾタロリムスの送達によって、対照治療薬より少なくとも10倍大きい組織濃度となる請求項8のシステム。
  10. 請求項1のシステムであり、体内腔が血管腔であり、および移植から3ヶ月後以上の時点で、ゾタロリムスを含む前記システムの移植が、第2の治療組成物を含む対照薬剤送達システムと比較した場合の新生内膜過形成低減と相関しているシステム。
  11. 移植から180日後に、対照薬剤送達システムと比較した場合に、新生内膜過形成が≧60%低減している請求項10のシステム。
  12. 移植から90日後に、対照薬剤送達システムと比較した場合に、新生内膜過形成が≧30%低減している請求項10のシステム。
  13. 少なくとも移植から56日まで、第2の治療薬を含む対照薬剤送達システムと比較した場合に、炎症が有意に低減している請求項1のシステム。
  14. 少なくとも移植から182日まで、炎症が有意に低減している請求項13のシステム。
  15. 移植28日後に、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムと比較した場合に、ステント重複試験において内皮化が有意に推進されている請求項1のシステム。
  16. ステント重複試験での移植から28日後に、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムと比較した場合に、フィブリン産生が有意に低減している請求項1のシステム。
  17. 請求項1のシステムであり、前記薬剤送達システムがステントを有し、対照薬剤送達システムがステントを有するシステム。
  18. ゾタロリムスの濃度が10μg/mmステントであり、および対照治療組成物の濃度が10μg/mmステントである請求項17のシステム。
  19. 対照治療組成物がラパマイシンを含む請求項18のシステム。
  20. 第2の治療組成物をさらに含む請求項1のシステム。
  21. 第2の治療組成物が抗増殖剤、抗血小板薬、抗炎症薬、抗血栓溶解薬および抗血栓薬からなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項20のシステム。
  22. 抗炎症薬が、デキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブおよびスリンダクからなる群から選択される一つである請求項21のシステム。
  23. 第2の治療物質が抗体を含む請求項21のシステム。
  24. 対象がブタまたはウサギである請求項1のシステム。
  25. 対象がヒトである請求項1のシステム。
  26. 製薬上許容される担体もしくは賦形剤を有する支持構造;ならびに
    ゾタロリムスまたはそのプロドラッグ、誘導体、エステル、塩を含む第1の治療組成物
    を有する薬剤送達システムであって、
    前記システムを対象の体内腔に移植した時に、移植から90日以上後に、第1の治療組成物と同様の用量を含む対照薬剤送達システムからの対照治療組成物の送達と比較した場合に、新生内膜過形成が有意に低減されているシステム。
  27. 対照治療組成物がオリムス薬剤を含む請求項26のシステム。
  28. オリムス薬剤が、エベロリムス、ラパマイシン、タクロリムス(FK506)、バイオリムスA9、CCI−779、RAD001、AP23573およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つを含む請求項27のシステム。
  29. 対照治療組成物が抗炎症薬を含む請求項26のシステム。
  30. 抗炎症薬がデキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブ、スリンダクおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つを含む請求項29のシステム。
  31. 腔壁へのゾタロリムス送達が、対照と比較した場合に少なくとも移植後28日間にわたって増加する請求項26のシステム。
  32. 請求項26のシステムであり、移植28日後に、前記システムから溶出したゾタロリムスの累積パーセントが、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムから溶出したラパマイシンの累積パーセントより有意に大きいシステム。
  33. 請求項26のシステムであり、前記システムに隣接する腔壁へのゾタロリムスの送達が、第1の治療組成物と同様の用量を含む対照薬剤送達システムからの対照治療組成物の送達と比較した場合より大きいシステム。
  34. システムの移植から14日以内で、腔壁へのゾタロリムスの送達によって、対照治療薬より少なくとも5倍大きい組織濃度となる請求項26のシステム。
  35. 腔壁へのゾタロリムスの送達によって、対照治療薬より少なくとも10倍大きい組織濃度となる請求項34のシステム。
  36. 移植から180日後に、対照薬剤送達システムと比較した場合に、新生内膜過形成が≧60%低減している請求項26のシステム。
  37. 移植から90日後に、対照薬剤送達システムと比較した場合に、新生内膜過形成が≧30%低減している請求項26のシステム。
  38. 少なくとも移植から56日まで、第2の治療薬を含む対照薬剤送達システムと比較した場合に、炎症が有意に低減している請求項26のシステム。
  39. 少なくとも移植から182日まで、炎症が有意に低減している請求項38のシステム。
  40. 請求項26のシステムであり、前記薬剤送達システムがステントを有し、対照薬剤送達システムがステントを有するシステム。
  41. ゾタロリムスの濃度が10μg/mmステントであり、および対照治療組成物の濃度が10μg/mmステントである請求項40のシステム。
  42. 対照治療組成物がラパマイシンを含む請求項41のシステム。
  43. 第2の治療組成物をさらに含む請求項26のシステム。
  44. 第2の治療組成物が抗増殖剤、抗血小板薬、抗炎症薬、抗血栓溶解薬および抗血栓薬からなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項43のシステム。
  45. 抗炎症薬が、デキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブおよびスリンダクからなる群から選択される一つである請求項44のシステム。
  46. 第2の治療物質が抗体を含む請求項43のシステム。
  47. 対象がブタまたはウサギである請求項26のシステム。
  48. 対象がヒトである請求項26のシステム。
  49. 製薬上許容される担体もしくは賦形剤を有する支持構造;ならびに
    ゾタロリムスまたはそのプロドラッグ、誘導体、エステル、塩を含む第1の治療組成物
    を有する薬剤送達システムであって、
    前記システムを対象の体内腔に移植した時に、移植から90日後に、第1の治療組成物と同様の用量を含む対照薬剤送達システムからの対照治療組成物の送達と比較した場合に、炎症が有意に低減されているシステム。
  50. 対象がブタまたはウサギである請求項49のシステム。
  51. 対象がヒトである請求項49のシステム。
  52. 対照治療組成物がオリムス薬剤を含む請求項49のシステム。
  53. オリムス薬剤が、エベロリムス、ラパマイシン、タクロリムス(FK506)、バイオリムスA9、FK506、CCI−779、RAD001、AP23573およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つを含む請求項52のシステム。
  54. 対照治療組成物が抗炎症薬を含む請求項49のシステム。
  55. 抗炎症薬がデキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブ、スリンダクおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される一つを含む請求項54のシステム。
  56. 腔壁へのゾタロリムス送達が、少なくとも移植後28日間にわたって増加する請求項49のシステム。
  57. 請求項49のシステムであり、移植28日後に、前記システムから溶出したゾタロリムスの累積パーセントが、対照薬剤送達システムから溶出した対照治療組成物の累積パーセントより有意に大きいシステム。
  58. システムの移植から14日以内で、腔壁へのゾタロリムスの送達によって、対照治療薬より少なくとも5倍大きい組織濃度となる請求項49のシステム。
  59. 腔壁へのゾタロリムスの送達によって、対照治療薬より少なくとも10倍大きい組織濃度となる請求項58のシステム。
  60. 請求項49のシステムであり、移植から3ヶ月後以上の時点で、体内腔が血管腔であり、ゾタロリムスを含む前記システムの移植が、第2の治療組成物を含む対照薬剤送達システムと比較した場合の新生内膜過形成低減と相関しているシステム。
  61. 移植から180日後に、対照薬剤送達システムと比較した場合に、新生内膜過形成が≧60%低減している請求項60のシステム。
  62. 移植から90日後に、対照薬剤送達システムと比較した場合に、新生内膜過形成が≧30%低減している請求項60のシステム。
  63. 少なくとも移植から56日まで、炎症が有意に低減している請求項49のシステム。
  64. 少なくとも移植から182日まで、炎症が有意に低減している請求項63のシステム。
  65. ステント重複試験での移植から28日後に、ラパマイシンを含む対照薬剤送達システムと比較した場合に、フィブリン産生が有意に低減している請求項49のシステム。
  66. 請求項49にシステムであり、薬剤送達システムがステントを有し、対照薬剤送達システムがステントを有するシステム。
  67. ゾタロリムスの濃度が10μg/mmステントであり、対照治療組成物の濃度が10μg/mmステントである請求項66のシステム。
  68. 対照治療組成物がラパマイシンを含む請求項67のシステム。
  69. 第2の治療組成物をさらに含む請求項49のシステム。
  70. 第2の治療組成物が抗増殖剤、抗血小板薬、抗炎症薬、抗血栓溶解薬および抗血栓薬からなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項69のシステム。
  71. 抗炎症薬が、デキサメタゾンヒドロコルチゾン、エストラジオール、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルチカゾン、クロベタゾール、アダリムマブおよびスリンダクからなる群から選択される一つである請求項69のシステム。
  72. 第2の治療物質が抗体を含む請求項69のシステム。
  73. 体内腔に請求項1、26または49のシステムを入れる段階を有する対象の治療方法。
  74. 体内腔が血管腔である請求項73に記載の方法。
  75. 対象がブタ、ウサギまたはヒトからなる群から選択される一つである請求項49に記載の方法。
  76. 請求項1、26または49のシステムを含むキット。
  77. 製薬上許容される担体または賦形剤を有することができる支持構造;および
    ゾタロリムスまたはプロドラッグ、それの誘導体、エステルまたは塩を含む治療組成物
    を有する薬剤送達システムであって、
    対象の血管内腔に移植してから30日後に支持構造からゾタロリムスが有意に溶出するシステム。
  78. 溶出したゾタロリムスが、機器を移植してから15〜30日後に機器上に負荷されたゾタロリムスの85%から100%を含む請求項77のシステム。
  79. ラパマイシンを含有する対照薬剤送達システムと比較した場合に、溶出したゾタロリムスが、送達システムに隣接する血管の壁で5〜15倍に濃縮されている請求項77のシステム。
  80. 対照治療組成物がラパマイシンであり、および組織中のゾタロリムスの量が同じ時点でラパマイシンより大きい請求項77のシステム。
  81. 対照治療組成物がラパマイシンであり、および血液中のゾタロリムスの濃度が同じ時点でラパマイシンの濃度より低い請求項77のシステム。
  82. 送達システムに隣接する血管壁の単位当たりの溶出ゾタロリムスの濃度cが、移植からt時間後に
    0≦t<120の時、6μg/g≦c≦113μg/g;
    120≦t<168の時、5μg/g≦c≦40μg/g;および
    168≦t<720の時、2.5μg/g≦c≦50μg/g
    である請求項77のシステム。
  83. 血液1mL当たりのゾタロリムスの全血濃度cが、ウサギでの移植からd日後に、
    0≦d≦2の時、1.5≦c≦4;
    2<d≦3の時、1.4≦c≦1.5;
    3<d≦4の時、1.3≦c≦1.4;
    4<d≦28の時、0≦c≦1.3
    である請求項77のシステム。
  84. 請求項77のシステムであり、前記システムで移植された血管腔の新生内膜面積が、90日以降において、対照システムで移植した血管腔の新生内膜面積より有意に少ないシステム。
  85. システムが移植された血管腔の新生内膜面積が、過伸展試験で移植から30日以上後に、1.5mm以下である請求項84のシステム。
  86. 対照システムと比較した場合に、システムの移植から90日以上、炎症が有意に低減している請求項77のシステム。
  87. システムの表面を覆う内皮細胞が、オーバーラップウサギモデルでのシステムの移植から28日後に有意に集密である請求項77のシステム。
  88. 有意に集密であることが、75%を超える内皮化を含む請求項87のシステム。
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