JP2008529968A - インスリン様成長因子−1(igf−1)を使用する慢性重症心不全を処置するための新規方法 - Google Patents

インスリン様成長因子−1(igf−1)を使用する慢性重症心不全を処置するための新規方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、インスリン様成長因子−1(IGF−1)を使用する慢性重症心不全を処置するための新規方法に関する。より詳細には、本発明は、心臓移植以外に治療手段のない慢性重症心不全患者に、IGF−1を一定期間投与することによって、該患者における心血管の機能および症状を改善する方法に関する。1つの局面において、本発明は、慢性重症心不全患者における心血管の機能および症状を改善する方法を提供し、該方法は、該患者に治療有効量のIGF−1を一定期間投与する工程を包含し、該患者における心血管の機能および症状の改善がIGF−1処置の休止後において持続する。

Description

本発明は、インスリン様成長因子−1(IGF−1)を使用する慢性重症心不全を処置するための新規方法に関する。より詳細には、本発明は、心臓移植以外に治療手段のない慢性重症心不全患者に、IGF−1を一定期間投与することによって、該患者における心血管の機能および症状を改善する方法に関する。
心不全を治療するための多くの医薬が実用化されており、患者の生存およびQOLの改善に貢献してきた。例えば、心不全に対する成長ホルモン(GH)の有利な効果が、以前の研究によって示されている(非特許文献1および2)。さらに、現在、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE−I)やβブロッカーの使用が、多くの心不全患者の処置に非常に効果的であることが示されている。
しかし、GHは、無作為化された二重盲検治験において、特発性拡張型心筋症(DCM)患者における心血管機能および心不全の症状の改善をすることができなかった(非特許文献3および4)。さらに、この研究の詳細な分析によって、臨床的有効性には、体重に比例する十分量のGHが必要であることが明らかにされている(非特許文献5)。また、ACE−Iやβブロッカーは、難治性の重症心不全には不応性である。
心不全における筋消耗は患者のQOLを悪化させ、さらに、慢性心不全における死亡リスクとなる(非特許文献6)。骨格筋の量や強さは、慢性心不全における、血清IGF−1レベルの減少(非特許文献7)および骨格筋でのIGF−1 mRNA発現の減少(非特許文献8)に伴って減少される。さらに、低レベルのIGF−1は、心不全、心筋梗塞や糖尿病の発生リスクの増加に関連する(非特許文献9〜11)。
しかし、重篤なGH抵抗性(非特許文献12〜13)やインスリン抵抗性(非特許文献14〜15)が慢性心不全に関連するので、外因性のGHやそのインスリン様活性メディエーターであるIGF−1は、重篤な慢性心不全において心機能や運動能に影響しないであろうと考えられている。さらに、最近、インスリン抵抗性が心不全の発生や進行に密接に関連すること(非特許文献16)、心不全状態がインスリン抵抗性を増大すること(非特許文献17)が報告されているが、インスリン抵抗性を改善する代表的な薬剤であるチアゾリジン誘導体が心不全の発生を誘導することも報告されている(非特許文献18)。
すなわち、上記のように、現在の医薬では症状を改善することができない、いくつかのタイプの慢性の重症心不全がなお存在する。現在までに、このようなタイプの重症心不全患者の生存性を改善するためには、心臓移植以外に選択肢はない。心臓移植の待機リストにある患者数は年々増加し、心臓移植の待機リストに登録されていない慢性重症心不全患者も存在する。心臓移植を必要とする重症心不全患者の予後は不良であり、このような患者の1年生存率は約50%に過ぎない。ドナー心臓の不足、待機期間の長期化によって、心臓移植に代わる新しい治療方法が確立されなければならない。
米国特許第5434134号 Colao A et al, Clin Endocrinol (Oxf). 2001; 54:137-54 Ren J et al, J Mol Cell Cardiol. 1999; 31:2049-61 Osterziel KJ et al, Lancet. 1998; 351:1233-7 Isgaard J et al, Eur Heart J. 1998; 19:1704-11 Osterziel KJ et al, J Clin Endocrinol Metab. 2000; 85:1533-9 Anker SD et al. Lancet. 1997;349:1050-3 Niebauer J et al. J Am Coll Cardiol. 1998;32:393-7 Hambrecht R et al. J Am Coll Cardiol. 2002;39:1175-81 Ann Intern Med 2003; 139: 642-8 J Cardiol 2004; 94:384-6 Diabetes 2001; 50: 637-42 Anker SD et al. J Am Coll Cardiol. 2001;38:443-52 Cicoira M et al. J Card Fail. 2003;9:219-26 Swan JW et al. J Am Coll Cardiol. 1997;30:527-32 Witteles RM et al. J Am Coll Cardiol. 2004;44:78-81 JAMA 2005; 294: 334-41 Am J Hypertens 2005; 18:731-7 Lancet 2005;366:1279-89 McMullen JR et al, J Biol Chem. 2004; 279:4782-4793 von Lewinski D, et al, Circ Res. 2003; 92:169-76 Welch S et al, Circ Res. 2002; 90:641-8 Anwar A et al, Circulation. 2002; 105:1220-5 Yamashita K et al, Circ Res. 2001; 88:609-14 Fujio Y et al, Circulation. 2000; 101:660-7 Wang L et al, Circ Res. 1998; 83:516-22 Cittadini A et al, Circ Res. 1998; 83:50-9 Li Q et al, J Clin Invest. 1997; 100:1991-9 Donath MY et al, J Clin Endocrinol Metab. 1996; 81:4089-94 Donath MY et al, J Clin Endocrinol Metab. 1998; 83:3177-83
上記の現状に鑑みて、本発明者らは、インスリン様成長因子−1(IGF−1)を使用することによる、心臓移植以外に治療手段のない慢性重症心不全を処置するための新規方法を確立した。
メカセルミン(ソマゾン(登録商標)、藤沢薬品工業株式会社、大阪、日本)は、遺伝子組換え型インスリン様成長因子−1(IGF−1)であり、成長ホルモン抵抗性GH不全症およびラロン型小人症の処置のために日本で開発されたオーファン薬剤である。その安全性および有効投薬量は、小人症の治療において確立されている。IGF−1は、その細胞増殖効果に加えて、培養細胞および動物の両方における、強心作用、血管拡張作用および抗アポトーシス作用を有することが実証されている(非特許文献2および19〜27)。健常人および心不全患者へのIGF−1の急性投与は、副作用を伴うことなく有意な強心効果を生じる(特許文献1および非特許文献28〜29)。しかし、今日まで、心不全に対するIGF−1の慢性投与の治療効果については報告されていない。本発明者らは、IGF−1の慢性投与が慢性重症心不全に対して有意な治療効果を有し、この治療効果がIGF−1処置の休止後も持続するという新たな知見に基づき本発明を完成した。
1つの局面において、本発明は、慢性重症心不全患者における心血管の機能および症状を改善する方法を提供し、該方法は、該患者に治療有効量のIGF−1を一定期間投与する工程を包含し、該患者における心血管の機能および症状の改善がIGF−1処置の休止後において持続する。1つの実施形態において、本発明の方法は、前記処置の一定期間において、a)前記患者における血糖レベルをモニターする工程、および、b)該患者に糖質を投与する工程をさらに包含する。
別の局面において、本発明は、治療有効量のIGF−1を含む、慢性重症心不全患者における心血管の機能および症状を改善するための薬学的組成物を提供する。
別の局面において、本発明は、慢性重症心不全患者における心血管の機能および症状を改善するための医薬の製造のためのIGF−1の使用を提供する。
本発明の方法は、症状の重症度、QOL、心血管機能、血管機能、運動耐容能等を改善し得る。本発明はまた、患者の左心補助人工心臓(LVAD)の除去および/または心臓移植の待機リストからの抹消を可能にする。
本発明を、以下に詳細に記載する。
本発明の方法によって処置され得る心不全としては、拡張型心筋症(DCM)、拡張相肥大型心筋症、虚血性心筋炎および虚血性心疾患のようないくつかのタイプの慢性重症心不全が挙げられるが、これらに限定されない。患者における心血管の機能および症状の改善は、従来の技術を使用して、心血管の機能および症状に関連する当該分野で公知の種々の指標を決定することによって確認され得る。
本発明の1つの実施形態において、患者中の循環CD34+内皮前駆細胞(EPC)数が増加される。CD34+EPCは、心筋細胞または血管細胞へ分化する能力を有する幹細胞の1種であり、この心筋細胞または血管細胞が患者の心血管機能を増強する。
1つの実施形態において、本発明の方法によって処置され得る慢性重症心不全は、インスリン抵抗性の状態を伴う。大半のタイプの慢性重症心不全がインスリン抵抗性の増加と関連され、本発明の方法は、一定期間IGF−1を投与することによって、心血管機能と共にインスリン抵抗性を改善し得る。
1つの実施形態において、本発明の方法によって処置されることが特に期待される患者は、心臓移植を必要とする慢性重症心不全患者である。処置に心臓移植が必要な慢性重症心不全としては、拡張型心筋症、拡張相肥大型心筋症、および心臓移植によって処置されるべきと決定された他の心不全が挙げられる。心不全患者が心臓移植を必要とするか否かは、心臓移植の定められた基準に基づいて医師の判断によって決定される。代表的には、本発明によって処置を受けることが期待される心臓移植を必要とする患者としては、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類クラスIII〜IVに分類される患者が挙げられる。1つの実施形態において、本発明の方法によってより効果的に処置され得る慢性重症心不全は、拡張型心筋症である。
本発明に有用なIGF−1としては、ヒトIGF−1およびそのアナログが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明に有用なIGF−1は、組換えIGF−1メカセルミン(ソマゾン(登録商標)、藤沢薬品工業株式会社、大阪、日本)である。
IGF−1の投与期間およびIGF−1の投与回数は、患者の症状、年齢および体重、投与経路などを考慮して、医師の指示に従って増加または減少し得る。本発明における投与についての一定期間は、その期間後に患者における心血管の機能および症状の改善が持続する、任意の期間である。1つの実施形態においては、この期間は、少なくとも約1ヶ月、好ましくは、少なくとも2ヶ月、より好ましくは、少なくとも3ヶ月である。例えば、この期間は、約1〜6ヶ月、好ましくは、約2〜4ヶ月、より好ましくは、約3ヶ月である。IGF−1の投与回数は、その期間において、例えば、1日2回〜1週間に1回、好ましくは、約1日1回である。
本発明の方法によって使用されるIGF−1の治療有効量とは、患者における心血管の機能および心不全の症状の改善に必要なIGF−1の量を意味し、そして好ましくは、0.01mg/kg〜0.5mg/kg、より好ましくは、0.05mg/kg〜0.3mg/kgである。しかし、患者の症状、年齢および体重、投与経路などを考慮して、医師の指示に従って、投与されるIGF−1の量は増加または減少し得る。好ましい実施形態において、IGF−1の血糖降下作用によって引き起こされ得る低血糖症を回避するために、患者に投与されるIGF−1量は、投与期間にわたり経時的(例えば、1日毎、1週間毎、または1ヶ月毎)に増量される。
本発明の方法において使用されるIGF−1の投与経路としては、皮下投与、筋内投与、静脈内投与、経鼻投与、経口投与、経皮投与またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、投与経路は皮下経路である。
患者に投与されるIGF−1を含む組成物は、当該分野で周知の任意の薬学的調製物の形態、例えば、皮下、筋内、静脈内、経鼻、経口、経皮、非経口または任意の他の薬学的適用に適切な、有機または無機のキャリアまたは賦形剤との混合形態で、IGF−1を活性成分として含む、液体形態、固体形態または半固体形態を有する。IGF−1は、例えば、液剤、溶液製剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、リポソーム封入剤、粉末剤、カプセル剤、丸剤、錠剤および任意の他の使用に適切な形態用の、従来の非毒性の、薬学的に受容可能なキャリアと処方され得る。使用されるキャリアとしては、水、生理食塩水、ワックス、糖、および、液体、固体または半固体形態の調製物製造における使用に適切な他のキャリアであり、さらなる添加剤(例えば、補助剤、安定化剤および等張剤)を含有しても、しなくてもよい。
本発明の方法において、IGF−1は、他の薬剤との組み合わせて、同じかまたは異なる投与経路で、同時に、別々にまたは連続的に患者に投与され得る。例えば、本発明の方法において、IGF−1は、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトースおよびオリゴ糖などの糖質と組み合わせて患者に投与し、IGF−1の血糖降下作用によるグルコースレベルの低下を補ってもよく、または、成長ホルモン、血管拡張剤、ACE阻害剤、β−ブロッカー、カルシウム拮抗剤、抗不整脈剤、強心剤および利尿剤などの心不全患者の症状を改善するための他の公知の薬剤と組み合わせて投与してもよい。1つの実施形態において、本発明の方法は、上記処置の一定期間において、a)患者における血糖レベルをモニターする工程およびb)該患者に糖質を投与する工程をさらに包含する。
以下の実施例は、IGF−1を使用する拡張型心筋症の処置を例示するが、それ自体が、添付の特許請求の範囲に記載の発明を限定するものとしてみなされるべきではない。
(方法)
(研究プロトコル)
本研究は、ヘルシンキ宣言に従って実施され、治験審査委員会によって承認されたものである。倫理委員会による承認後、8症例の患者を本研究に組み入れた。適格要件は、以下のとおりである:1)カテーテル法および心内膜心筋生検によって確認され、世界保健機関/国際心臓連合合同委員会(International Society and Federation of Cardiology Task Force)の定義(Richardson P et al. Circulation. 1996;93:841-2)に基づきDCMと診断された症例;2)ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類クラスIIIまたはIVに分類され、かつ、左心補助人工心臓(LVAD)を含む至適処置にもかかわらず左室(LV)駆出率(EF)が30%未満の症例;および3)日本臓器移植ネットワークに登録されている症例。除外基準は、以下のとおりである:1)急性期または不安定期の心不全の症例;2)原発性の虚血性または弁膜症性心疾患あるいは心筋炎に起因する心不全の症例;3)悪性腫瘍の症例;4)種々の障害(真性糖尿病を含む)に起因する低血糖傾向のある症例;5)腎不全および/または肝不全の症例;6)GHおよびIGF−1を含む内分泌系における障害を有する症例;および7)感染性または炎症性疾患の症例。患者のベースライン時の特性を、表1に報告する。表1に示されるように、全ての患者が、難治性心不全に対する最適かつ最大の従来投薬を受けていた。注意すべきは、日本人心不全患者に対するカルベジロールの最適用量は、MUCHA試験(Hori M et al. Am Heart J. 2004;147:324-30)で5〜20mgであり、これは、米国でのMOCHA試験(Bristow MR et al. Circulation. 1996;94:2807-16)における量の半分未満の量である。いずれの患者も、血清GHおよびIGF−1で異常値は示さなかった。書面によるインフォームドコンセントを得た後、組換えIGF−1を、8人の患者に、他のそれ以前の薬剤に加えて、3ヶ月間投与した。IGF−1以外の処置は、この3ヶ月投与期間中変更しなかった。IGF−1皮下注射は、1日1回朝食後9時に行い、低血糖症を回避するために、血中グルコースを綿密にモニターしながら、1週間毎に0.05mg/kgから0.3mg/kgの量まで上げていった。本発明者らは、日本でのインスリンレセプター異常症またはラロン型小人症に対する承認された用量に従って、0.05〜0.3mg/kgの範囲の用量を設定した。最終用量は、低血糖症を誘導しないように決定した。最終用量は、0.15〜0.30mg/kg(中央値0.25mg/kg)の範囲であった。
Figure 2008529968
(心機能、運動能および血中神経液性因子)
IGF−1処置の開始前、終了時および休止後3ヶ月後に、全ての患者について、身体活動指数評価によりNYHA心機能分類クラスおよび日常生活動作機能を測定した(Sasayama S et al. Evaluation of functional capacity of patients with congestive heart failure. In: Yasuda H, Kawaguchi H eds. New Aspects in Treatment of Failing Heart. Springer-Verlag;1992:113-7)。同じ時点で、心臓カテーテル検査、心エコー検査、核磁気共鳴画像診断(MRI)、心肺運動負荷試験、上腕動脈の高解像度超音波血流依存性血管拡張能(FMD)検査、および洞律動下の冠血流速度予備能(CFVR)計測(経胸腔心ドップラーエコー検査により評価される)を行った。LVADを有する患者については、MRIの代わりに、高機能電子ビームCTを行った(Naito H et al. Invest Radiol. 1992;27:436-42)。また、これらの時点で、二重エネルギーX線吸収測定法(Lunar DPX−L)による除脂肪体重の測定を5人の患者に行った。同様に、以下の物質の朝食前血中レベルを測定した:標準実験物質(standard laboratory chemistry)、総血球数、IGF−1(第一ラジオアイソトープ)、遊離IGF−1(Takada M et al. J Immunoassay. 1994;15:263-76.)(三菱化学ヤトロン)、GH(第一ラジオアイソトープ)、IGF結合タンパク質−3(IGFBP−3)(Diagnostic Systems Laboratories)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)(塩野義)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)(塩野義)、エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン活性、アルドステロン、アンジオテンシンII、サイクリックGMP(Cayman Chemical)、ニトリート/ニトレート(HPLC自動分析器、Eicom)、インターロイキン−6(R&D Systems)および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)(R&D Systems)。
IGF−1は、CD34+細胞のような推定内皮前駆細胞(EPC)の増殖を刺激するので(Frostad S et al. Stem Cells. 1998;16:334-42)、循環中のCD34+およびCD133+細胞を、標準的なフローサイトメトリー法(Taguchi A et al. Circulation. 2004;109:2972-5)で計数した。
(心筋生検の組織像)
心筋生検を、上記の3つの時点で、右室側中隔から得た。サンプル供給源と収集日について盲検化された観察者によって、ランダムな順序で、5マイクロメーター厚のパラフィン包理切片を染色し、顕微鏡用デジタルカメラで検査した。筋細胞の直径と繊維化の割合を、以前に記載の方法に従って、デジタルイメージアナライザーによって測定した(Komamura K et al. Hypertension. 2004;44:365-71)。免疫組織化学染色を、抗ヒトIGF−1モノクローナル抗体(Upstate Biotechnology)、抗ヒトIGF−1レセプター(IGF−1R)モノクローナル抗体(R&D Systems)、抗ヒトリン酸化Aktモノクローナル抗体(Cell Signaling)および抗ヒトTNF−αモノクローナル抗体(Santa Cruz)を使用して行った。心筋のIGF−1、IGF−1R、リン酸化AktキナーゼおよびTNF−αの量を、Matsuo法(Matsuo T et al Histochem J. 1995;27:989-96)に基づくTorre−Aminoeらの方法(Kucuker SA et al. J Heart Lung Transplant. 2004;23:28-35)に従って、Win−ROOF(三谷)を使用する染色領域の定量分析によって測定した。ターミナルdUTPニックエンドラベリング(TUNEL)染色を、ApopTagキット(Chemicon International)を用いて、メチルグリーンで対比染色を行い、実施した。患者あたり60の無作為強拡大(×400)中の心筋細胞をカウントした。
(心筋遺伝子発現)
全RNAを、RNeasy Fibrous Tissue Kit(QIAGEN)を用いて、生検サンプルから調製した。これらのサンプルから、mRNAをT7RNAポリメラーゼによって増幅した。相補的DNAを、QuantiTect RT−PCR Kit(QIAGEN)を使用するリアルタイム定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、および、Prism 7700 Sequence Detector(Applied Biosystems)によって生成した(Komamura K et al. Cardiovasc Drugs Ther. 2003; 17: 303-10)。cDNA合成の効率を補正するために、測定したmRNA量を、内部標準としてのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)mRNAの量で除算した。本発明者らは、以下のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを使用した(タカラバイオ株式会社、大津):IGF−1(116bp)について5’−GCTGAGCTGGTGGATGCTCTT−3’および5’−TCATCCACGATGCCTGTCTG−3’;;IGF−1R(108bp)について5’−ACCAGGGCTTGTCCAACGAG−3’および5’−AGCACATGCGCATCAGTTCA−3’;TNF−α(89bp)について5’−CACAGTGAAGTGCTGGCAAC−3’および5’−TTCCAGATGTCAGGGATCAAAG−3’;GAPDH(146bp)について5’−CCTGCACCACCAACTGCTTAG−3’および5’−GCCATCACGCCACAGTTTC−3’。増幅されたフラグメントの配列を、DNAシーケンシングによって確かめた。
(統計)
データは、特に示されない限り、平均±SDとして表す。ベースラインと処置後との間およびベースラインと3ヶ月経過観察後との間の変数の変化を、適切なように、paired t検定またはWilcoxon signed−rank検定のいずれかによって評価した。変数における変化の相関を、適切なように、PearsonまたはSpearman相関係数によって評価した。p<0.05の値を有意とみなした。
(結果)
(症状および心機能)
いずれの患者も処置中および経過観察期間中で死亡せず心臓移植を受けなかった。心機能がこの処置に応答した1人の患者については、処置の終了後、予期しない心不全が再発した。この患者の経過観察は不安定状態のために実施しなかった。ベースライン、処置後および3ヶ月経過観察後の患者の症状および病理学的パラメーターを、表2および図1に記載する。NYHA心機能分類クラスおよび日常生活動作機能は、処置後で有意に改善され、経過観察後も改善が維持されたままであった。血圧、心拍数、心室性不整脈数および心胸郭比は、全研究期間中、有意に変化しなかった。体重および除脂肪体重は、処置後に増加したが、経過観察後にベースラインレベルに戻った。
8人中5人の患者(患者1〜4および8)は、IGF−1の漸増投与期間中、昼食前に、症候性低血糖を経験した。最終投与量は低血糖を誘導しないよう決定した。意識の喪失や気を失うような症状は報告されなかった。患者2および6は、肝臓トランスアミナーゼが一過的増加に増加したが、IGF−1注入の中断なく2週間以内に正常化された。全ての患者において、IRI、CPR、ACTH、FSH、LH、T4、T3、CEA、AFP、CA19−9、BCA225およびPAの血中レベルは、IGF−1処置期間中変化しなかった。
カテーテル由来の心係数は増加し、左室拡張終期圧および体血管抵抗指数は、処置終了時に有意に減少した。処置終了時、心エコーによる左室内径短縮率および後壁厚は、有意に増加し、E/AおよびE波減速時間によって測定したところ、拡張機能のさらなる低下を伴わなかった(表2)。同様に、LVEFおよびLV重量係数(LVMI)(MRIで測定)は、有意に増加した。LVEFの変化率は、LVMIの変化率に相関した(p=0.043、r=0.72)。ピーク酸素消費量、無酸素性作業閾値、運動持続時間およびピーク運動負荷のような運動能の変数は、ベースラインと比較して有意に増加した。FMDおよびCFVRもまた有意に増加した。FMDの変化率は、ピーク酸素消費量の変化と有意に相関した(p=0.021、r=0.79)。3ヶ月経過観察後、心機能分類クラス、日常生活動作機能、壁厚およびFMDを除く、これらの生理学的パラメーターは、ベースラインレベルに戻った(表2および図1)。
Figure 2008529968
(血中神経液性因子)
処置後、血清IGF−1および遊離IGF−1は、それらのベースラインレベルから有意に増加し、経過観察後にベースラインレベルに戻った(表3)。遊離IGF−1レベルの変化率は、3ヶ月処置期間中のLVMIの変化率(p=0.028、r=0.83)およびLVEFの変化率(p=0.010、r=0.976)に相関した。GHレベルおよびIGFBP−3レベルは、ベースラインレベルから有意に減少し、経過観察後にベースラインレベルに戻った。同じ時点で、ノルエピネフリン、ANP、BNP、IL−6およびTNF−αのレベルは有意に減少した。レニン、アルドステロンおよびアンジオテンシンIIのレベルは変化しなかった。サイクリックGMPおよびニトリート/ニトレートのレベルは有意に増加した。血清サイクリックGMPレベルの変化率(p=0.044、r=0.76)、ニトリート/ニトレートレベルの変化率(p=0.032、r=0.81)、IL−6レベルの変化率(p=0.044、r=−0.76)およびTNF−αレベルの変化率(p=0.017、r=−0.91)は、FMDの変化率と相関した。インスリン抵抗性の指数HOMA−IRは処置後に改善し、これは、内皮機能に関連している可能性がある。推定内皮前駆細胞は増加し、これは、FMDの改善に関連している可能性がある。経過観察後、これらの神経液性パラメーターは、BNP、サイクリックGMPおよびニトリート/ニトレートを除き、ベースラインレベルに戻った。
Figure 2008529968
(心筋生検の定量化)
心筋の直径は、処置後に有意に増加していた(表4)。繊維化の領域は、研究期間全体にわたって変化しなかった。心筋直径の変化率は、処置後のLVMIの変化率と相関した(p=0.017、r=0.91)。繊維化領域の変化は、LVMIの変化と相関しなかったが、これは、LV肥厚が繊維化の肥厚ではなく心筋の肥厚に基づくことを示唆する。IGF−1とIGF−1Rの染色領域は、処置後により大きく拡大した。同じ時点で、リン酸化Aktキナーゼの染色領域の拡大およびTNF−αの染色領域の減少が観察された。同時に、IGF−1とIGF−1Rの遺伝子発現レベルが増加し、TNF−αの発現レベルが減少した(表4)。TUNEL陽性細胞の割合は、処置後に減少する傾向にあった。図2は、心筋組織の代表的な画像を示す。図3は、心室構造の核磁気共鳴画像および推定循環EPCの数の変化を示す。
Figure 2008529968
(移植待機リストからの抹消および心不全の再発)
患者1は、処置後の心機能の改善が除外に十分であったので(EF 18〜29%、BNP 53〜16pg/mL)、日本臓器移植ネットワークのリストから除外された。患者3からは、処置後、心機能の改善が除去に十分であったので(EF 8〜24%、BNP 188〜50pg/mL)、LVADが取り外された。経過観察後、この患者はこの機械的な強心補助具の中断後でも安定であったので(EF 24〜38%、BNP 50〜99pg/mL)、日本臓器移植ネットワークのリストから除外された。患者6を除く全ての患者が、処置後退院した。
患者8は、IGF−1休止後8日で、安定な状態で退院した。IGF−1の休止後72日目に、この患者は心不全の再発のために再入院した。IGF−1の休止後87日目に、この患者は、カテコールアミンを静脈投与したが、心原性ショックを発した。大動脈内バルーンパンピングは血行動態の支持に効果的でなかった。翌日、この患者はLVAD植込みを受けた。この患者の3ヶ月経過観察研究は、不安定な血行動態のために中止した。
(考察)
本研究の主な知見は、以下である:1)組換えIGF−1の3ヶ月投与が安全かつ実現可能なものであった;2)心不全の症状、日常生活動作機能、心室収縮力、心室重量、運動能および血管拡張能が改善された;3)一部の改善が3ヶ月経過観察後でさえ維持された;4)8人の患者のうち2人の患者が、心機能が改善したため、待機リストから除外された。
(左室の肥厚および機能改善)
本研究においては、外因性のIGF−1により、処置後のIGF−1レベルが基底レベルの3倍に増加した。同時に、内因性のGHおよびIGFBP−3レベルは抑制された。以前のGHの研究においては、外因性のGHにより誘導される血清IGF−1レベルが、LV重量(Isgaard J et al Eur Heart J. 1998;19:1704-11)およびLVEF(Osterziel KJ et al Clin Endocrinol (Oxf). 2000;53:61-8)と相関した。本研究では、IGF−1処置中のLVEFの変化とLVMIの変化との相関が示されたが、これは、心肥厚の誘導がIGF−1の強心作用を一部基礎付けていることを示唆する。心エコー拡張指数および心筋の繊維化は、研究期間中、悪化しなかった。さらに、処置後の心筋直径の変化は、LVMIの変化と相関し、これは、IGF−1によって誘導されたLV肥厚が、主に心筋起源であり、繊維化起源でないことを示唆する。このように、このIGF−1処置で観察されたLV肥厚は、以前の研究(Welch S et al Circ Res. 2002;90:641-8, Rommel C et al Nat Cell Biol. 2001;3:1009-13)とともに確証されるように、病理学的な肥厚でなく生理学的肥厚を構成している可能性がある。
IGF−1の心筋染色領域および遺伝子発現は、循環中のIGF−1の著しい上昇にも拘わらず、処置後に上方調節された。外因性のIGF−1は生理学的状況下ではIGF−1レセプターを下方調節するにも拘らず(Bostedt KT et al Exp Cell Res. 2001;271:368-77)、本発明者らは、処置後のIGF−1レセプターの心筋染色領域および遺伝子発現の上方調節を見出した。それを基礎づける分子メカニズムの解明が必要である。それでもなお、IGF−1レセプターの下流にあるリン酸化Aktキナーゼの心筋染色の付随は、IGF−1シグナル伝達が疾患心筋において処置により引き起こされたことを示唆し得る。さらに、Aktキナーゼは、生理学的な心筋肥大において役割を果たす(Welch S et al Circ Res. 2002;90:641-8, Rommel C et al Nat Cell Biol. 2001;3:1009-13)。最近の研究は、Aktキナーゼが、虚血/再潅流、酸化ストレスおよび心不全によって誘導される心筋アポトーシスの抑制において極めて重要な役割を果たしていることが示唆されている(Cittadini A et al. Circ Res. 1998;83:50-9, Boger RH. J Endocrinol Invest. 1999;22:75-81, Fujio Y et al Circulation. 2000;101: 660-7)。
本発明者らは、経過観察時でのIGF−1によって得られた改善の損失のメカニズムは分からない。これは、拡張型心筋症における筋細胞の分解に関連しているかもしれない。アポトーシス、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解、リソソームカテプシン加水分解、カルシウム依存性カルパイン消化およびオートファジーが、拡張型心筋症における筋細胞の分解に関与しているかもしれない。IGF−1は、心筋および骨格筋細胞を肥大させ、筋細胞のタンパク質分解を中断する(Komamura K et al Cardiovasc Drugs Ther. 2003;17:303-10)。心筋の肥大と萎縮との間のバランスは、左室重量、ひいては、駆出率を決定する。拡張型心筋症において、心筋分解のプロセスは、外因性のIGF−1で完全には中断されないかもしれない。
(炎症誘発性サイトカインおよびアポトーシス)
炎症性サイトカイン(TNF−αおよびIL−6等)の活性化は、心不全においてより重篤な症状および生存の短縮に関連している(Rauchhaus M et al Circulation. 2000;102:3060-7, Mann DL. Circ Res. 2002;91:988-98)。TNF−αは、心不全の主要モジュレーターの1つとして関係があるとされており、重要な治療標的である(Kubota T et al Circ Res. 1997;81:627-35、 Torre-Amione G et al Circulation. 1999;100:1189-93)。以前の実験では、TNF−αが成長ホルモンに対する転写応答を阻害し(Anwar A et al Circulation. 2002;105:1220-5)、IGF−1およびそのレセプターの発現を抑制する(Fernandez-Celemin L et al Am J Physiol Endocrinol Metab. 2002;283:E1279-90)ことが実証されている。一方、IGF−1は、炎症誘発性サイトカインを下方調節する抗炎症性因子として知られている(Spies M et al Gene Ther. 2001;8:1409-15、 Adamopoulos S et al Eur Heart J. 2003 Dec;24(24):2186-96)。つい最近の研究では、IGF−1がTNF−αと抗アポトーシス因子との間のシグナル伝達を遮断している可能性が報告されている(Dalla Libera L et al Am J Physiol Cell Physiol. 2004;286:C138-44)。本研究においては、血清IL−6およびTNF−αレベルは、TNF−αの心筋染色および遺伝子発現レベルに伴って、処置後に減少した。外因性IGF−1のこれらの抗炎症効果は、疾患心筋における内因性のIGF−1/IGF−1R系の上方調節に関連している可能性がある。
(運動耐容能および末梢血管)
内皮一酸化窒素(NO)合成の低下を含む、内皮機能不全が、心不全で見られ、慢性心不全の運動耐容不全および末梢器官機能不全に寄与してるようである(Ramsey MW et al Circulation 1995;92:3212-9、Landmesser U et al. Circulation. 2002;106: 3073-8.)。IGF−1は、内皮NOシンターゼ活性の増強を介して内皮機能を改善する(Donath MY et al J Clin Endocrinol Metab. 1996;81:4089-94、 Osterziel KJ et al Cardiovasc Res. 2000 Jan 14;45(2):447-53)。内皮機能に対するIGF−1のこれらの効果は、慢性心不全患者におけるその潜在的治療力を一部基礎付けている可能性がある。本研究では、血清サイクリックGMPおよびニトリート/ニトレートレベルの増加、ならびに、血清IL−6およびTNF−αレベルの減少が、FMDの改善に伴って生じた。FMDの改善は、ピーク酸素消費量の改善に影響しているかもしれない。最後に、除脂肪体重の増加は、骨格筋力(例えば、平均握力)の改善を示し、これが、観察された運動能の改善している可能性がある(表2)。
経過観察時のBNPは、ベースライン値よりもなお低かった。FMDは、経過観察時になお改善されていた。TNF−αやIL−6のような炎症誘導性サイトカインは、ベースライン値よりも低い傾向にあった(p=0.063)。これらの液性因子および血管因子の持続的改善が、ピークVO2が経過観察時にベースラインに戻った時でさえ、NYHA心機能分類クラスまたは自覚症状を、ベースラインにおけるそれらよりも軽度に維持している可能性がある。
(限界および結論)
本発明者らは、本研究の制限を認め、その第一が、サンプルサイズの小ささや無作為化およびプラセボコントロールの欠如である。待機リストにある末期患者に対するプラセボ投与は、倫理的に困難である。この小研究は、注意深く理解される必要がある。しかし、本研究からの結果は、一貫性がある。
本研究においては、BNPレベルは、進行性の心不全としてはむしろ低いものと思われる。BNP測定に使用したShionogiアッセイは、Triage BNPアッセイ(Biosite Diagnositics, USA)(Fischer Y et al. Clin Chem. 2001;47:591-4)からの数値より相当低い数値を与えた。
その心機能が処置に応答した1人の患者については、予期しなかった重篤な再発を生じ、LVADを必要とした。それでもなお、本発明者らは、本研究が、短期間の組換えIGF−1が末期DCM患者の心機能および日常生活動作機能を改善し得ることを実証するものであると、認識している。IGF−1と長期生存(Holzenberger M et al in mice. Nature. 2003;421:182-7)、癌(Renehan AG et al Lancet. 2004;363:1346-53)およびアテローム性硬化症(Delafontaine P et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2004;24:435-44)との間の関連性についての報告が、蓄積されている。長期でかつ過剰のIGF−1は、肥大型心筋症や心不全を誘導するかもしれない(Delaughter MC et al FASEB J. 1999;13:1923-9)。従って、IGF−1の治療使用は、適切な用量および投与期間で、心筋症の選択的サブグループについて注意深く実施されるべきである。
まとめると、本発明者らのデータは、3ヶ月のIGF−1治療が、末期DCMで心臓移植の待機リストにある患者において、安全でかつ有効であり、さらに、心機能および症状の改善に関連していることを示唆する。このように、IGF−1治療は、特発性DVMの末期心不全患者のための、移植までのブリッジまたは回復のための新しい方法として実施する価値のあるものと思われる。
図1は、個体のIGF−1に対する鍵パラメーターの応答を示す。 図2は、一患者のベースライン時、処置後および経過観察時での、以下の代表的な組織学的画像を示す:Masson−トリクローム、IGF−1抗体、IGF−1レセプター抗体、リン酸化Akt抗体、TNF−α抗体およびTUNELでの染色画像。 図3は、代表的な心臓の核磁気共鳴画像およびCD34+細胞のドットプロットを示す。

Claims (14)

  1. 慢性重症心不全患者における心血管の機能および症状を改善する方法であって、該方法は、該患者に治療有効量のIGF−1を一定期間投与する工程を包含し、該患者における心血管の機能および症状の改善がIGF−1処置の休止後において持続する、方法。
  2. 前記患者における循環CD34+内皮前駆細胞数が増加される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記慢性重症心不全がインスリン抵抗性状態を伴う、請求項1に記載の方法。
  4. 前記慢性重症心不全患者が心臓移植を必要とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者がNYHA心機能分類クラスIII〜IVに分類される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記慢性重症心不全が拡張型心筋症である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記期間が少なくとも3ヶ月である、請求項1に記載の方法。
  8. IGF−1が前記患者に1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記治療有効量が0.05mg/kg〜0.3mg/kgである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記患者に投与されるIGF−1の量が前記投与期間にわたり経時的に増量される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記投与が皮下投与である、請求項1に記載の方法。
  12. 請求項1に記載の方法であって、前記処置の一定期間において:
    a)前記患者における血糖レベルをモニターする工程;および
    b)該患者に糖質を投与する工程
    をさらに包含する、方法。
  13. 治療有効量のIGF−1を含む、慢性重症心不全患者における心血管の機能および症状を改善するための薬学的組成物。
  14. 慢性重症心不全患者における心血管の機能および症状を改善するための医薬の製造のためのIGF−1の使用。
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