JP2008527812A - データ・セッション時間を予測する方法、デバイス、およびシステム - Google Patents

データ・セッション時間を予測する方法、デバイス、およびシステム Download PDF

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Abstract

【課題】可変ネットワーク・ビット・レート切り替え機構、バッファ特性、データ損失、および/またはその他の要因を考慮して、通信ネットワークにおけるセッション時間を予測する比較的単純な方法およびデバイスを提供する。
【解決手段】通信ネットワーク(1)において、発信元と宛先との間のサービスのセッション時間を予測する方法は、発信元から宛先に、データ転送速度を大幅に上昇させて、一連のデータ・パケットを送出するステップと、少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延を測定するステップと、少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延に基づいて、サービスのセッション時間を予測するステップとを備えている。データ転送速度は、データ・パケット間の時間間隔を短縮することによって、上昇させることができる。本方法を実行するデバイス(10;S,R)は、可搬型であっても、または電気通信システム内に一体化されていても、いずれでもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、データ・セッション時間の予測に関する。更に特定すれば、本発明は、通信ネットワークにおいてデータ・セッション時間を予測する方法およびデバイスに関する。
近年の通信ネットワークは、種々のデータ・サービス、例えば、消費者端末間におけるファイル転送、インターネット・ダウンロード、ブラウズを提供する。それに伴う送信および/またはセッション時間は、サービスの種類、送信するデータ量、および、ネットワーク特性を含むその他の要因によって異なる場合がある。ネットワーク運営者は可能な限り最良のサービスを提供したいので、セッション時間を極力抑えるようにネットワーク特性を改変するのは最もである。セッション時間とは、ユーザが知覚するデータ・セッションの時間期間を意味することとする。
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークのような典型的な近年の(電気)通信ネットワークは、可変データ伝送速度を設けている。「ベアラ切り替え」と呼ばれる機構が、伝送速度を段階的に64kpbs(キロビット/秒)から128kbpsを介して384kbpsまで上昇させる。各速度上昇は通例数秒の遅延の後でないと行われないので、セッション全体の時間を予測するのは困難であり、既存の切り替え特性およびデータ・セッションの詳細(例えば、ブラウズまたはダウンロード)によって異なる場合がある。しかしながら、サービス・レベルを監視しようとする場合、典型的な伝送および/またはセッション時間の信頼性のある指示が必要となる。
本発明の目的は、従来技術のこれらおよびその他の問題を克服し、可変ネットワーク・ビット・レート切り替え機構、バッファ特性、データ損失、および/またはその他の要因を考慮して、通信ネットワークにおけるセッション時間を予測する比較的単純な方法およびデバイスを提供することである。
したがって、本発明は、通信ネットワークにおいて、発信元と宛先との間のサービスのセッション時間を予測する方法を提供する。この方法は、
・発信元から宛先に、データ転送速度を大幅に上昇させて、一連のデータ・パケットを送出するステップと、
・少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延を測定するステップと、
・少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延に基づいて、サービスのセッション時間を予測するステップと、
を備えている。
データ転送速度を大幅に上昇させてデータ・パケットを送出することにより、発信元のデータ転送速度(ビット数/秒)が事実上上昇し、こうして、UMTSにおける「ベアラ切り替え」のような伝送速度を高める何らかの機構をトリガする。次いで、選択したデータ・パケットの時間遅延を測定することにより、サービスのセッション時間全体の信頼性高い予測を、最少限の測定で得ることができる。更に具体的には、1回の測定で十分、種々のファイル・サイズをダウンロードするための伝送時間、および/または種々の形式のデータ・セッション(例えば、ブラウズ・セッション)のセッション時間を予測することができる。
選択したデータ・パケット、または数個の選択したデータ・パケットのみの時間遅延は、ネットワークを通じて提供されるサービスのセッション時間全体を信頼性高く予測するのに用いられることが判明している。
データ転送速度の上昇は、一連のデータ・パケット間の時間間隔を短縮することによって遂行することができる。データ・パケット間の時間間隔全てが異なる必要はない。一連のデータ・パケットの終端における時間間隔が、先頭における時間間隔よりも短ければ(即ち、期間が短い)、送出データ転送速度を上昇させるには十分である。最終送出データ転送速度、即ち、一連の最後における送出データ転送速度が十分高く、特定の種類のサービスにネットワークにおいて利用可能な最高の伝送速度をトリガできることが好ましい。
加えて、ある時間間隔を有するデータ・パケットの数が増大することが好ましい。即ち、特定の期間を有する時間間隔は、その期間が短くなるに連れて、多くなることが望ましい。これは、データ転送速度上昇にも寄与する。
更に、一連のデータ・パケットは、大幅に増大したサイズを有することが好ましい。これによって、送出データ転送速度が更に上昇することになり、ネットワークの特性の検査も増える。特に、データの総量が、関与するデータ・リンクの全てのバッファを満たすことができることが好ましい。
前述の一連のデータ・パケットを送信するために用いられるプロトコルは、通常のデータを送信するために用いられるプロトコルとは異なることが好ましい。更に具体的には、本発明の方法において用いられるプロトコルは、比較的簡素なプロトコルであり、データ損失を許容することが好ましく、例えば、UDP(「ユーザ・データグラム・プロトコル」)である。UDPまたはその同等物は、いずれのパケット損失も通例伝送率の限界に達したことを示すので、特に適していることが分かっている。
データのセッション時間を予測するために選択して用いられるパケットは、サービスの種類および/またはデータ・パケットの形式によって異なる場合がある。多くのサービス種では、選択するデータ・パケットは、最後に受信するデータ・パケットである。データ・パケットが失われた場合、選択したデータ・パケットの時間遅延は、外挿補間またはその他の適した技法によって推定することができる。
時間遅延は、最初に受信したデータ・パケットに対して測定することが好ましい。この相対的(即ち、特質的)遅延を測定することによって、送出側および受信側間のいずれの同期も省略することができる。何故なら、最初のデータ・パケットを送出する時点はもはや無関係となるからである。データ・サービスの中には、2番目のデータ・パケットに対する時間遅延が、予測に適する場合もあり、一方他のデータ・サービスでは、3番目のデータ・パケットを基準として用いる場合もある。
本発明の方法は、更に、往復遅延を決定するステップを備えることもできる。この遅延を測定するには、1つ以上のデータ・パケットを送出し、これらのパケットが受信側から返送されるのを待つ。このような往復遅延は、ネットワークに関する更に別の情報を提供し、先に示した方法で測定した相対的遅延と共に、トランスミッション・リンクを完全に特徴付け、例えば、TCPスタックやUMTSネットワークにおいて見られるようなネットワークおよび/またはサービス・パラメータのチューニングが可能となる。尚、往復遅延は、最初のデータ・パケットの(絶対)遅延および返送遅延双方を含み、したがって最初のデータ・パケットの(絶対)遅延よりも、ネットワークにおける遅延時間の特徴付けに勝っていることを注記しておく。
一連のデータ・パケットは、適したプロトコルであればいずれを用いても、例えば、TCP(伝送制御プロトコル)を用いても送信することができる。しかしながら、UDP(ユーザ・データグラム・プロトコル)のような、単純な「損失型」プロトコルを用いることが好ましい。「損失型」という用語は、データが到達し損なった場合に再送出する他の(「無損失」)プロトコルとは対照的に、プロトコルがデータ損失に対して何の保護も設けていないので、データが失われる可能性があるという事実に言及することを意図している。失われたデータ・パケットを再送出すると、いずれの場合でも、測定する時間遅延に影響を及ぼし、セッション時間の信頼性高い予測が一層複雑となる。したがって、一連のデータ・パケットは、損失型プロトコル、好ましくは、UDPプロトコルにしたがって送出することが好ましい。UDPプロトコルが特に適していることが分かっているが、他のプロトコルも用いることができる。一連のデータ・パケットには、シーケンス番号のような、適した識別子を設け、データ損失の検出を可能とするとよい。
いずれのデータ・パケットが失われても、以前のデータ・パケットに基づいて、それらの時間遅延を推定することによって容易に補償できることが分かっている。したがって、本発明の方法は、外挿補間によって、いずれの損失データ・パケットの時間遅延をも推定するステップを備えることができる。外挿補間した時間遅延は、送信および/またはセッション時間の信頼できる推定をもたらすことが判明している。
外挿補間は、後にデータ・パケットを全く受信しない、損失データ・パケットの時間遅延を推定するには特に適している。1つ以上のデータ・パケットが失われた後にデータ・パケットを受信した場合、特に、受信データ・パケットにおける「ギャップ」の後では、損失データ・パケットを補償するために他の技法を用いることもできる。内挿補間を用いてもよいが、損失データ・パケットの遅延時間を、次に受信するデータ・パケットの時間遅延と置換することが好ましい。
前出の請求項のいずれか1項記載の方法において、損失データ・パケットの遅延時間を、次に受信したデータ・パケット遅延時間と置換し、損失データ・パケット後に受信した全てのデータ・パケットの遅延時間を、好ましくは、後続のデータ・パケットの各々の遅延時間と置換する。即ち、「ギャップ」における損失データ・パケットの時間遅延を、次に受信したデータ・パケットの時間遅延と置換する。このように、少なくとも2つの同一時間遅延値を用いることができるが、後続の時間遅延値全てを「ずらして」、「ギャップ」を埋めることが更に好ましい。この「ずらす」ことは、前記喪失データ・パケットの後に受信した全てのデータ・パケットの遅延時間を、後続のデータ・パケットの各々の時間遅延と置換することによって行うことができる。
また、本発明は、先に規定したような方法を実行するコンピュータ・プログラム生産物も提供する。コンピュータ・プログラム生産物は、1組のコンピュータ実行可能方法ステップを備え、CD、DVD、または磁気ディスクのような適した担体上に格納することができる。コンピュータ実行可能な方法ステップは、遠隔地から、例えば、インターネットを用いて、検索することもできる。コンピュータ実行可能な方法ステップは、上位コンピュータ言語で提供することができ、および/又は、コンピュータ実行可能命令に変換することもできる。
加えて、本発明は、通信ネットワークにおいて、発信元と宛先との間のサービスのセッション時間を予測するデバイスも提供する。このデバイスは、
・発信元から宛先に、データ転送速度を大幅に上昇させて、一連のデータ・パケットを送出す手段と、
・少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延を測定する手段と、
・少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延に基づいて、サービスのセッション時間を予測する手段と、
を備えている。
このデバイスは、種々の場所および/または種々のネットワークにおいて用いることができるように、可搬型とするとよい。あるいは、デバイスは永続的にネットワーク内に設置してもよい。
加えて、本発明は、先に定義したようなデバイスを含む(電気)通信システムも提供する。本発明の電気通信システムは、交換機、伝送線、請求書発行装置、およびその他の装置を備えることができる。
以下に、添付図面に示す実施形態例を参照しながら、本発明について更に説明する。
図1に示す通信ネットワーク1は、単に非限定的な一例に過ぎないが、交換機2、伝送線3、送受信機4、アンテナ5、移動端末6、非移動端末7、および請求書発行装置8を備えている。また、通信ネットワークは、本発明によるセッション時間予測デバイス10も備えている。
ネットワークの一例1は、データ・パケット単位でデータを送信するように設計されている。実際のデータは、音声データ、ビデオ・データ、制御データ、およびその他のデータを含むことができる。ネットワーク1は、送受信機4およびアンテナ5のような、ワイヤレス通信用構成機器を含み、これによって、移動(セルラ)端末6は他の(移動または非移動)端末と通信が可能となる。本発明は、特にUMTSネットワークにおいて有利であるが、そのように限定されるのではなく、例えば、GSMネットワークおよびその他のネットワークにおいて用いることもできる。
図2のデバイス例10は、2つの部分、送出(S)部10aおよび受信(R)部10bを備えている。送出部10aは、一連のデータ・パケットを送出する送出ユニット11と、往復測定に用いるデータ・パケットを受信する補助ユニット15とを備えている。補助ユニット15は、往復遅延を測定するタイマを内蔵することができる。
デバイス10の受信部10bは、送出部10aが送出するデータ・パケットを選択して受信し、そのそれぞれの時間遅延を測定する測定ユニット12と、測定された時間遅延に基づいてセッション時間を予測する予測ユニット13と、受信部10が受信したいずれの往復測定データ・パケットにも応答する応答ユニット14とを備えている。
尚、送出部10aの送出ユニット11および補助ユニット15を単一の一体ユニットに組み合わせてもよく、一方一体ユニットをマイクロコンピュータまたは同様のデバイスで構成してもよいことは言うまでもない。更に、測定ユニット12、予測ユニット13、および応答ユニット14も単一の一体ユニットに組み合わせてもよく、一方、一体ユニットをマイクロコンピュータまたは同様のデバイスで構成してもよいことも言うまでもない。マイクロコンピュータまたはマイクロプロセッサを用いる場合、これらデバイスのユニットはソフトウェア・モジュールで構成すると有利である場合もある。
本発明のデバイス10は次のように動作する。送出部10aおよび受信部10bは、評価すべきサービスの終点(即ち、データ送出および受信デバイス)またはその付近というような、適した場所においてネットワーク1に接続されている。送出部10aの送出ユニット11は、一連のデータ・パケットを生成し、これらのデータ・パケットをネットワークを通じて受信部10bに送信し、受信部10bにおいて、測定ユニット12がこれらを受信する。測定ユニット12が受信した各データ・パケットについて、(ローカルまたはグローバル)クロックを用いることによって到達時刻を判定することができる。好適な実施形態では、全てのデータ・パケットの到達時刻を登録し、通例、一連につき1つのデータ・パケットを選択する。最後に選択したデータ・パケット(例えば、256番目のデータ・パケット)の到達時刻と、最初に選択したデータ・パケット(例えば、1番目のデータ・パケット)との間の差を判定することにより、時間遅延を測定する。この時間遅延を予測ユニット13に供給し、ネットワーク1におけるサービスのセッション時間の予測を行う。選択したデータ・パケットのいずれかが失われた場合、その時間遅延は外挿補間によって判定することができる。
1つ以上の選択したデータ・パケットの時間遅延を測定するデータ・パケット同士は、予測するサービスによって異ならせるとよい。殆どのデータ・サービスでは、時間遅延は、一連のデータ・パケットの内1番目のデータ・パケットに対して測定することができる。言い換えると、一連のデータ・パケットの内のデータ・パケットは、基準データ・パケットとして作用する。しかしながら、サービスによっては、2番目のデータ・パケットを基準として用いるとよい場合もあり、一方別の場合では、3番目のデータ・パケットが最良の結果を出すことが判明することもある。
時間遅延を測定するために選択すると有利と考えられるデータ・パケットは、最後のデータ・パケットである。しがたって、測定ユニット12が測定する(相対的)時間遅延は、通例、最後のデータ・パケットの到達時刻と、1番目のデータ・パケットの到達時刻との間の差となる。しかしながら、これは、前述のように、関与するサービスによって異なる場合もある。
例えば、128kbyteのFTP(ファイル転送プロトコル)ダウンロードでは、ダウンロード時間の最良の予測が得られるのは、最後のデータ・パケット(前述のように、1番目のデータ・パケットに対する)の時間遅延である。また、これは、4000kbyteFRPダウンロードの場合にも該当する。しかしながら、4kbyteFTPダウンロードでは、18番目のデータ・パケットの8番目のデータ・パケットに対する時間遅延が、本方法または装置、及び評価すべきサービスのある種の実施形態では、最良の予測が得られることが判明することもある。
Iモードのブラウズ・セッション(Iモードは、GSMおよびUMTSハンドセットのような、移動端末向けの独自のインターネット・アクセス・サービスである)、36番目のデータ・パケットの33番目のデータ・パケットに対する時間遅延が、サービスのある種の実施形態では最良の予測を与えることが判明することもあり、一方通常のインターネット・ブラウズ・セッションでは、以前と同様、最後のデータ・パケット(2番目に対する)が最良の予測をもたらす。
好適な実施形態では、一連のデータ・パケットは、周知のUDP(ユーザ・データグラム・プロトコル)のような、「損失的」プロトコル(lossy protocol)を用いて送信する。これが意味するのは、データ・パケットがその宛先に到達することが保証されないということである。UDPでは、パケットが到達した、または失われたかを確認する機構はない。その結果、送出速度(即ち、データ・パケットを送出部10aが送出する速度)がネットワークで利用可能な最高伝送速度を超過する場合、および全てのバッファが満たされている場合、データ・パケットは失われることになる。
しかしながら、本発明では、伝送速度制限によるデータ・パケットの損失が束縛とはならない。外挿補間に基づいて、失われたデータ・パケットの到達時刻および付随する時間遅延を推定することができる。即ち、受信したデータ・パケットの到達時刻および/または遅延時間を用いて、失われたデータ・パケットの到達時刻および/または時間遅延を推定することができる。ネットワークのセッション時間の予測は、推定値を用いてもなお、信頼できることが分かっている。
本発明では、逸失したデータ・パケットの到達時刻は、次のように推定することが好ましい。受信した全てのデータ・パケットを、その到達順にシーケンスに入れる(あるいは、これらは、その識別子、例えば、シーケンス番号によって示される順序で入れてもよい)。通常、こうすると、データ・パケットが逸失しているところには何らかの「ギャップ」が残るが、本発明の好適な実施形態では、これらの「ギャップ」を無視する。これにより、事実上、データ・パケットが「ずらされて」これらのギャップを埋めることになる。これについては、後に図4を参照しながら更に詳しく説明する。
この推定により、非常に良い結果が得られ、しかも実施が非常に簡素であることが分かっている。あるいは、従来の内挿補間技法を用いて、いずれの中間データ・パケットの到達時刻をも推定し、一連のデータ・パケットにおけるギャップを埋めることもできる。
最後に受信したデータ・パケットの後に残る「ギャップ」(たとえば、256番目のデータ・パケットが予測に必要であり、243個のデータ・パケットしか受信していない場合)は、いずれも、受信したデータ・パケットの到達時刻の外挿補間を用いて埋めることができる。この外挿補間は、周知の(線形)回帰のような従来の方法を用いれば実行することができる。好ましくは、例えば、受信した最後の10または20個のデータ・パケット、あるいはある時間間隔の間に受信したデータ・パケットというように、受信データ・パケットの限定集合だけを内挿補間に用いる。
データ・パケットの損失は、シーケンス番号のような、それらの識別子を追跡することによって、および/または受信したデータ・パケットの数を数えることによって検出することができる。
一連のデータ・パケットの一例を図3に模式的に示す。一連のデータ・パケット20は、時間間隔T1、T2、...によってそれぞれ分離されているデータ・パケット21、22、23、...から成る。各データ・パケットはあるサイズ(ビット数)を有し、識別番号(例えば、シーケンス番号)のような、一意の識別を含むことができる。また、各データ・パケットは、当該パケットが一部をなす特定の一連のデータ・パケットを識別する、別の一意の識別も含むことができる。一連のデータ・パケット20全体のサイズは、約50および500データ・パケットの間で変動する可能性があるが、一連のデータ・パケットがこれらよりも小さくてもまたは大きくても、用いることができる。200から300までの数が、データ・パケットには特に適していることが分かっている。
一定間隔または一定サイズを有する一連のデータ・パケットも用いることができ、この場合もデータ転送速度(秒毎のビット数)が上昇する。つまり、データ転送速度の上昇は、データ・パケット間の時間間隔を増大すること、またはパケット・サイズを増大することのいずれかによって達成することができる。しかしながら、本発明では、一連のデータ・パケットを送信するに連れて、パケット・サイズを増大し、データ・パケット間の時間間隔を短縮することによって、一連のデータ・パケット全体のデータ転送速度を上昇させることが好ましい。更に具体的には、比較的低いデータ転送速度で開始し、ネットワークで利用可能な最高伝送速度に達するように、データ転送速度を上昇させることが好ましい。UMTSネットワークでは、利用可能な最高伝送速度に達するのは、最高のベアラ速度がトリガされるときである。
好適な実施形態では、パケット・サイズを初期の60バイト(最初の、即ち、「先頭の」データ・パケット)から、500バイト(2番目のパケット)を経て、1500バイト(別の実施形態では、150バイトのような中間値を用いてもよい)まで増大させる。
パケット・サイズが増大するに連れて、データ・パケット間の時間間隔が短縮する。この好適な実施形態では、最初および2番目の時間間隔T1、T2はそれぞれ5および2s(秒)であるが、後続の時間間隔は、例えば、以下のパターンにしたがって、1秒から25msまで短縮する。1000、500、250、125、64、32、および16ms。本発明の好適な実施形態では、以下の表に示すように、ある時間間隔を有するデータ・パケットの数も増大する。
Figure 2008527812
本実施形態では、時間間隔の期間が短縮するにつれて、ある期間を有する時間間隔の数は増大する。
このように、2つの連続するデータ・パケットは同一のサイズまたは同一の時間間隔を有するが、データ転送速度全体は一連のデータ・パケットを通じて上昇することが分かる。データ転送速度が上昇する結果、ネットワークで利用可能な最高伝送速度に達することができ、その結果、前述のように、データ・パケットが失われる場合がある。このようなデータ・パケットの損失を検出すると、外挿補間を用いて、逸失したデータ・パケットの時間遅延を推定することができる。
適したマッピングを用いて、例えば、参照表を用いて、時間遅延をセッション時間に換算する。このような参照表は、データ・パケットの測定時間遅延と、ネットワーク・サービスの実際の測定セッション時間との間の関係を確立した検査に基づく。参照表の代わりに、例えば、(線形)回帰を用いて他のマッピングを実行することもできる。線形回帰は、次のフォーマットを有する式を生成することができる。
T=a.Δt+b
ここで、Tは、予測すべきセッション時間であり、aは回帰線の傾きであり、Δtは測定した差分時間遅延(differential time delay)であり、bは回帰線のずれである。このような式により、セッション時間Tは、一旦Δtを測定すれば、予測可能となる。
種々の参照表および/または回帰式を、各々、異なるネットワーク・サービスについて確立することができる。前述の回帰係数の例aおよびbは、通例、ネットワーク・サービスが異なれば、異なる値を有する。本発明では、1回の(相対的)時間遅延測定によって、複数のサービスについてのセッション時間Tを決定することができる。尚、サービスによっては、差分時間遅延Δtの同じ測定値を用いることができ(例えば、1番目のデータ・パケットに対する256番目のデータ・パケットの遅延)、一方サービスの中には別の差分時間遅延Δtを必要とする場合もある(例えば、33番目のデータ・パケットに対する36番目のデータの遅延)ことを注記しておく。
本発明の好適な実施形態において用いられる内挿補間および外挿補間を、図4に模式的に示す。図4aにおいて、遅延(Δt)測定値の集合を時間(t)の関数として示す。図4aの例では、t=1〜4およびt=7〜9において遅延を測定し(即ち、データ・パケットを受信した)、一方t=5およびt=6ではデータ・パケットは受信されなかった。本発明によれば、t=7〜9の測定遅延(Δt)値を、t=5〜6でのギャップを埋めるように、左に「シフト」する。これを図4bに示す。その結果、t=8およびt=9において、遅延値がなくなる。これらなくなった値は、後に外挿補間によって推定(または「再現」)する。本例では、t=2からt=7までの外挿補間間隔Iを選択する。言い換えると、外挿補間は、t=2〜7における遅延値に基づき、t=1における値は、ここでは用いられない。補間間隔Iの範囲選択は、評価する個々のサービス、測定した遅延(Δt)値、およびその他の要因によって異なる場合もある。
外挿補間は、外挿補間間隔I全域において線形回帰線Rを決定することによって実行することができる。周知のように、線形回帰線は、多数の点を通る最良の「当てはめ」であり、最小二乗判断基準のように、距離判断基準を最小にする。本例の線形回帰線Rは、図4cに模式的に示すように、t=8およびt=9において推定した遅延値Eを効果的に生成する。
(相対的)遅延時間の測定および/推定に加えて、選択したデータ・パケットの時間(好ましくは、相対的)遅延のほかに、ネットワークの往復遅延を測定することは、更に有利である。このために、デバイス10(図2に模式的に示した)には、応答ユニット14および補助ユニット15が設けられている。応答ユニット14は、受信部10b内にあり、往復プロービング・パケット(round trip probing packet)の受信に応答して、受信したパケットを再送出するか、または承認パケットを送出する。補助ユニット15は、このパケットを受信し、最初のパケット送出と返送されたパケットの受信との間の時間遅延を判定する。この往復遅延時間は、ネットワーク上の追加情報を提供する。
デバイス10、またはその構成要素は、可搬型であるとよい。これによって、異なるネットワークや、単一のネットワークの異なる部分においてデバイスを用いることができるという利点が得られる。加えて、または代わりに、デバイス10を遠隔制御してもよい。遠隔制御は、例えば、ネットワークを通じて、または赤外線遠隔制御装置を通じて行われ、操作者が手作業でデバイスを操作する必要性をなくす。
本発明の方法は、1つ以上の選択したデータ・パケットの時間遅延を測定することにより、ネットワークのセッション時間を予測するというようにまとめることができる。したがって、本発明の方法は、以下のステップで構成することができる。
・発信元から宛先に一連のデータ・パケットを送出する際、データ転送速度上昇を達成するように、時間間隔を大幅に短縮し、および/又はパケット・サイズを大幅に増大するステップと、
・少なくとも1つの選択したデータ・パケットの、特に、一連のデータ・パケットにおける第1または第2パケットのような、別の選択したデータ・パケットに対する時間遅延を測定するステップと、
・(任意に)あらゆる損失データ・パケットの時間遅延を推定するステップと、
・選択したデータ・パケット(複数のデータ・パケット)の時間遅延に基づいて、サービスのセッション時間を予測するステップ。
加えて、一連のデータ・パケットは、ネットワークにおいて通常のデータ送信に用いられるプロトコルとは異なるプロトコルを用いて送信することもできる。本発明は、1回の時間遅延測定を用いて、評価すべき1つ以上のネットワーク・サービスのセッション時間を推定することを可能にする。更に具体的には、本発明は、時間遅延の1回の測定値を、複数のネットワーク・サービスのセッション時間を予測するために用いることを可能にする。
以上、ダウンロードおよびダウンロード時間に言及した例について論じたが、本発明はそれに限定されるのではなく、アップロードやブラウズのセッションのセッション時間を予測するためにも用いることができる。
本発明は、選択したデータ・パケットの時間遅延をエンド・ツー・エンドで測定することにより、通信ネットワークにおけるセッション時間全体の単純であるが信頼性がある予測を行えるようにするという洞察に基づいている。本発明は、UDPのような損失型プロトコルはこの種の測定に非常に適しているという別の洞察を活用する。
尚、本文書において用いられるいずれの用語も、本発明の範囲を限定するように解釈してはならないことを注記しておく。即ち、「備える」および「備えている」という単語は、具体的に述べられていないいずれの要素も除外するという意味ではない。単一(回路)要素は、多数の(回路)要素またはそれらの同等物と置換することもできる。
本発明は、これまでに示した実施形態に限定されるのではなく、添付した特許請求の範囲に既定した発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正や追加が可能であることは、当業者には言外であろう。
図1は、本発明を利用することができる通信ネットワークを模式的に示す。 図2は、本発明によるセッション時間予測デバイスを模式的に示す。 図3は、本発明において用いられる一連のデータ・パケットを模式的に示す。 図4は、本発明において用いられる外挿補間技法を模式的に示す。

Claims (20)

  1. 通信ネットワーク(1)において、発信元と宛先との間のサービスのセッション時間を予測する方法であって、
    ・前記発信元から前記宛先に、データ転送速度を大幅に上昇させて、一連(20)のデータ・パケットを送出するステップと、
    ・少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延を測定するステップと、
    ・前記少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延に基づいて、前記サービスのセッション時間を予測するステップと、
    を備えている、方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記一連のデータ・パケットは、大幅に増大したサイズを有する、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記一連のデータ・パケットは、大幅に短縮した時間間隔(T1、T2、...)を有し、好ましくは、ある時間間隔を有するデータ・パケットの数が増大する、方法。
  4. 請求項1、2または3に記載の方法において、前記選択したデータ・パケットは、前記一連のデータ・パケットの内最後のデータ・パケットである、方法。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、前記時間遅延は、前記一連のデータ・パケットの内1番目のデータ・パケットに対して測定する、方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法であって、更に、往復遅延を決定するステップを備えている、方法。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、前記一連のデータ・パケットを、損失型プロトコル、好ましくは、UDPプロトコルにしたがって送出する、方法。
  8. 請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法であって、更に、外挿補間によって、いずれの損失データ・パケットの時間遅延をも推定するステップを備えている、方法。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法において、損失データ・パケットの遅延時間を、次に受信したデータ・パケットの遅延時間と置換し、前記損失データ・パケット後に受信した全てのデータ・パケットの遅延時間を、好ましくは、後続のデータ・パケットの各々の遅延時間と置換する、方法。
  10. 請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法を実行するコンピュータ・プログラム生産物。
  11. 通信ネットワーク(1)において、発信元と宛先との間のサービスのセッション時間を予測するデバイス(10)であって、
    ・前記発信元から前記宛先に、データ転送速度を大幅に上昇させて、一連(20)のデータ・パケットを送出する手段(11)と、
    ・少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延を測定する手段(12)と、
    ・前記少なくとも1つの選択したデータ・パケットの時間遅延に基づいて、前記サービスのセッション時間を予測する手段(13)と、
    を備えている、デバイス。
  12. 請求項11に記載のデバイスにおいて、前記一連のデータ・パケットを送出する手段(11)は、大幅に増大したサイズを有するデータ・パケットを送出するように構成されている、デバイス。
  13. 請求項11または12に記載のデバイスにおいて、前記一連のデータ・パケットを送出する手段(11)は、大幅に短縮した時間間隔(T1、T2、...)を有するデータ・パケットを送出するように構成されており、前記手段(11)は、好ましくは、更に、ある時間間隔を有するデータ・パケットの数を増大させるように構成されている、デバイス。
  14. 請求項11、12または13に記載のデバイスにおいて、前記時間遅延を測定する手段(12)は、前記一連のデータ・パケットの内最後のデータ・パケットを選択するように構成されている、デバイス。
  15. 請求項11から14までのいずれか1項に記載のデバイスにおいて、前記時間遅延を測定する手段(12)は、前記一連のデータ・パケットの内1番目のデータ・パケットに対して前記時間遅延を測定するように構成されている、デバイス。
  16. 請求項11から15までのいずれか1項に記載のデバイスであって、更に、往復遅延を決定する手段(14、15)を備えている、デバイス。
  17. 請求項11から16までのいずれか1項に記載のデバイスにおいて、前記一連のデータ・パケットを、損失型プロトコル、好ましくは、UDPプロトコルにしたがって送出する、デバイス。
  18. 請求項11から17までのいずれか1項に記載のデバイスであって、更に、外挿補間によって、いずれの損失データ・パケットの時間遅延をも推定する手段を備えている、デバイス。
  19. 請求項11から18までのいずれか1項に記載のデバイスであって、更に、損失データ・パケットの遅延時間を、次に受信したデータ・パケットの遅延時間と置換する手段を備えており、該手段は、好ましくは、前記損失データ・パケット後に受信した全てのデータ・パケットの遅延時間を、後続のデータ・パケットの各々の遅延時間と置換するように構成されている、デバイス。
  20. 請求項11から19までのいずれか1項に記載のデバイス(10)を備えている、電気通信システム。
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