JP2008513585A - 1,4−ヒドロキノン官能性化ホスフィネート及びホスホネート - Google Patents

1,4−ヒドロキノン官能性化ホスフィネート及びホスホネート Download PDF

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Abstract

新規な1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスフィネート及びホスホネートを提供する。ここに提供される新規な組成物は、重合体硬化剤及び難燃材として有用である。
Figure 2008513585

(式中、R、R’は、夫々独立に同じか又は異なる1〜15個の炭素原子を含むアルキル、アラルキル、又はアリールである)。

Description

本発明は、2004年9月21日に出願された米国特許仮出願No.60/611,782について優先権を主張するものである。
本発明は、一般にエポキシ樹脂系の難燃性成分として有用な新規な1,4−ヒドロキノン及び1,4−ナフトキノン官能性化ホスホネート及びホスホネートの配合物及びその使用に関する。本発明のホスフィネート及びホスホネートは、難燃性が向上したエポキシ樹脂のための硬化剤として有用である。本発明のホスフィネート及びホスホネートは、単独でもエポキシ樹脂を硬化するのに有用であるが、共硬化剤(co-curing agent)としてポリヒドロキシ化合物と組合せると一層大きな有用性を見出すことができる。1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート/ノボラック及びホスホネート/ノボラック樹脂共硬化剤は、難燃性プリント配線板に適している。本発明は、ハロゲン難燃材を含まない電子部品を製造するのに有用なプリプレグ(prepreg)、積層体、特に銅被覆積層体のエポキシ樹脂系における共硬化剤としても有用である。
エポキシ樹脂に基づく複合材料は、長い間種々の用途で実質的な容認を受けて来ており、それらの融通姓の故にかなりの重要性を持ち続けている。そのような用途の具体的な例には、プリント回路板(プリント配線板、PWB)において用いられる電気用積層体が含まれるが、それらに限定されるものではない。そこで用いられているエポキシ樹脂は、それらの加工性が良いため特に好評を博してきた。これらのエポキシ樹脂はまた、良好な機械的及び化学的性質、例えば、靭性及び種々の有機溶媒に対する抵抗性のような性質を特徴とし、良好な化学的抵抗性及び耐湿性も示す。これらの性質により、エポキシ樹脂材料は、広範囲の用途目的に適合し、複合体において併用される材料を有利に使用できるようにする。
一般にエポキシ樹脂は、プリプレグ(B段階)の製造を経てPWB用途のための複合材料に容易に加工することができる。例えば、繊維、羊毛、及び織物又は布地材料の形態の無機又は有機補強材であるのが典型的な基体材料を樹脂で含浸する。これは、容易に気化する即ち揮発性の溶媒中の樹脂溶液で基体を被覆することにより達成することができる。被覆は、ロール掛け、浸漬、噴霧、及びそれらの組合せを含む周知の種々の技術により遂行することができる。次にプリプレグを炉室中で加熱し、溶媒を除去し、樹脂を部分的に硬化する。有利には、この処理後に得られたプリプレグは、それ自体で接着しないが、完全には硬化していてはならない。更に、プリプレグは貯蔵安定性を示すべきである。後で加工して複合材料とするにあたり、プリプレグは、適用された加熱及び圧力の条件下で融解して、補強材又は挿入部品のみならず、その複合体用に提供された材料に、出来るだけ緻密に永久的に結合されなければならない。即ち、架橋されたエポキシ樹脂マトリックスは、補強材のみならず、金属、セラミック、鉱物、及び有機材料のような、一緒に結合すべき材料と高度の界面接着性を生じなければならない。
難燃性は、重合体材料を含む或る用途にとっては重要な性質である。或る用途では、人間及び物質資産に与える危険のため、難燃性が最優先とされている。例えば、航空機及び自動車の製造及び公共輸送車両のための構造材料である。電子的用途では、部品が積層体に実質的な局部的高温を発生することがあるので、難燃性は必要である。積層体の発火は、その上に組立られた電子部品の損失を起こすことがある。更に、PWB部品を含む装置についての人間の火災に対する安全性のために、高レベルの火炎/火災に対する保護が保証される。
従って、エポキシ含有積層体の製造において、エポキシ樹脂組成物中に種々の添加剤及び/又は反応物を配合して、得られる積層体の難燃性を改良することが通例になっている。多くの種類の難燃材物質が用いられてきているが、今まで商業的に用いられてきた最も一般的なものは、テトラブロモビスフェノールAのようなハロゲン含有化合物である。この物質は、ビスフェノールAのグリシジルエーテルとの反応により、エポキシ樹脂中に配合されるのが典型的である。所望の難燃性レベル〔「アンダーライターズ・ラボラトリー(Underwriters Laboratory)」試験方法UL94という標準におけるV−0〕を達成するためには、製品の全重量%に基づき10重量%〜25重量%の臭素含有量になるほどのレベルの臭素含有難燃材物質が必要である。
一般に、テトラブロモビスフェノールAを含有するエポキシ樹脂のようなハロゲン含有難燃材エポキシ樹脂は、安全で効果的であると考えられている。しかし、ハロゲン化学に基づかない難燃性エポキシ系を用いること関心を持つ人々も増えつつある。それら新規な材料は、難燃性の要件を満たし、現在用いられているハロゲン化材料により提供されている機械的性質、靭性、溶媒及び湿分に対する抵抗性と同じか又はそれより大きな利点を示すことができることが望ましい。
多くの研究者により提案されているそのような方法の一つは、燐系の難燃材を用いることであった。例えば、EP 0384939;EP 0384940;EP 0408990;DE4308185;DE4308187;WO 96/07685;WO 96/07686;米国特許第5,648,171号;米国特許第5,587,243号;米国特許第5,576,357号;米国特許第5,458,978号;及び米国特許第5,376,453号明細書を参照すること。それら全ての文献は、参照によりその全体を本明細書の記載の一部とする。これらの文献の全てで、配合物は、燐化合物及びエポキシ樹脂から誘導された難燃剤の反応から形成され、それを次にジシアンジアミド、スルファニルアミドのようなアミノ架橋剤又は或る他の窒素元素含有架橋剤で硬化し、熱硬化性重合体網状組織を形成する。
市販されている燐系難燃材添加物の具体例には、ホスホン酸エステルであるアンチブレイズ(Antiblaze)(商標名)1045〔オールブライト・アンド・ウィルソン社(Albright and Wilson Ltd.)英国〕が含まれる。例えば、PX−200〔ジアハチ(Diahachi)、日本〕のような燐酸エステルも添加物として用いられている。エポキシ樹脂に適しているとして記載されている市販の反応性燐含有化合物には、サンコー(Sanko)HCA及びサンコーHCA−HQ〔サンコー・ケミカル社(Sanko Chemical Co., Ltd.)、日本〕が含まれる。
アルキル及びアリール置換ホスホン酸エステルも、難燃性エポキシ樹脂に用いられてきた。特にホスホン酸のC−Cアルキルエステルは、それらが含む燐の割合が大きく、従って、それらを配合した樹脂に難燃性を付与することができるために価値のあるものである。しかし、ホスホン酸エステルは、屡々望ましくない性質をもたらすために電気用積層体を製造するためのエポキシ樹脂中のハロゲン化難燃材の代替物としては広くは受け入れられてこなかった。例えば、これらのホスホン酸エステルは可塑剤として知られており、そのためそれから形成された積層体は、望ましくない低いガラス転移温度(Tg)を示す傾向がある。更に別の欠点は、それらのホスホン酸エステルを、必要な難燃性を与えるのに充分な量で用いると、得られる硬化エポキシ樹脂の湿分を吸収する傾向を増大することである。硬化積層体板の湿分吸収性は非常に重要である。なぜなら、湿分を高いレベルで含有する積層体は、プリント配線板を製造する時の典型的な工程である約260℃の温度で液体はんだ浴に入れると、ブリスター(blister)を発生し損傷する傾向があるからである。
難燃性を与える他の方法には、三水和アルミニウム(EP 0795570A1)又は水酸化マグネシウム(JP2001213980A2)のような無機充填剤と樹脂状材料との組合せを用いたハロゲンを含まない難燃性エポキシ樹脂組成物の製造が含まれる。これらの材料は、樹脂系に不溶性であるため、物理的性質によっては、エポキシ樹脂の加工を一層困難にすることがある。更に、かなり多量の導入が必要になることがあるが、これは種々の性質を損ねる可能性がある。種々の無機充填剤についての記載については、一般に米国特許第6,097,100号、WO 01/42359、及びそこに引用された文献を参照すること。
プリプレグ、積層体、銅被覆積層体、及びプリント配線板のために有利に用いられるエポキシ樹脂系を対象とするハロゲンを含まない難燃材を提供しようとする他の努力には、エポキシ樹脂のためのヒドロキシアリールホスフィン酸化物共硬化剤が含まれる。そのような難燃性共硬化剤は、米国特許第6,887,950号明細書に記載されている。
本発明の一つの目的は、エポキシ樹脂を硬化するための難燃材組成物として経済的で有用な1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネートを提供することである。本発明の1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネートを、PWB材料のために加水分解的及び熱的に安定な、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂系を製造するのに適用した場合に、特に有用性を見出すことができる。
本発明の更なる目的は、難燃性積層体用途においてテトラブロモビスフェノールAの代替物として有用な、ハロゲンを含まない1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネートエポキシ樹脂組成物を提供することである。
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、次の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明は、特にプリント配線板を含む、難燃性重合体材料のための構造(I)及び(II)のホスフィネート及びホスホネートの配合物に関する:
Figure 2008513585
R及びR'は、以下に定義する。
上記ヒドロキノン系構造I及びIIに加えて、本出願人はジオール置換ナフタレン化合物、即ち、構造III及びIVに従う1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及びホスホネートについての本発明を開示する。
Figure 2008513585
文脈上、別の意味が必要とされない限り、今後ヒドロキノンについて言及する場合、これらナフタレンジオール組成物についても記載されているものと理解されなければならない。
より具体的には本発明は、プリプレグ、積層体、特に電子部品をハロゲン含有化合物を用いずに製造するのに有用な銅被覆積層体を製造するのに用いられる難燃性エポキシ樹脂に関する。本発明は、熱硬化性樹脂を難燃性にする方法、及び難燃性プリント配線板、プリプレグ、及び積層体を製造する方法にも関する。
樹脂配合物、プリプレグ、及び積層体の製造で用いるのに適した硬化性難燃性エポキシ樹脂は、構造(I)及び(II)の化合物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂との発展的反応により製造することができる。構造I、II、III、及びIVのヒドロキシル部分は、標準エポキシ樹脂中のエポキシド基と容易に反応する。適当な反応化学量論を用いることにより共重合体生成物樹脂において広い範囲の分子量を得ることができる。適当なエポキシ樹脂は、エポキシノボラック及びビスフェノールAグリシジルエーテルであるが、それらに限定されるものではない。本発明のヒドロキノン及びナフトキノンは、エポキシ樹脂のための硬化剤としても用いることができる。これらの硬化剤は、そのまま又はフェノールノボラックのような他の適当な硬化剤と組合せて用いることができる。
構造I及びIIの化合物は、フェノール反応性部位の所で官能性化し、構造IA及びIIAのエポキシ中間体を生成することができる。例えば、構造I及びIIの化合物は、エピクロロヒドリンと反応させ、二官能性エポキシ化合物を得ることができる。次にそれらの化合物を、市販のエポキシ樹脂と同様なやり方で用いることができ、即ち、それらはエポキシ樹脂として用いてもよく、ビスフェノールAのような二官能性ヒドロキシ化合物と進展、即ち前へ進めるか、或は適当な硬化剤で硬化することができる。
Figure 2008513585
構造III及びIVは、エピクロロヒドリンとの反応に際して同様なエポキシ化合物を形成する。
本発明の組成物は、「非ハロゲン」含有として記載される。反応体としてエピクロロヒドリンを添加すると、痕跡量の塩素が添加されて、構造(IA)及び(IIA)のエポキシド化化合物が形成され得ることが理解されるであろう。同様に、痕跡量のハロゲンは、構造I、II、III、及びIVのホスフィネート及びホスホネートの中に存在し得る。そのようなハロゲンは、難燃性に実質的な影響を与えるほどではない。本願の発明組成物のための前駆物質の製造の副生成物として、痕跡量のハロゲンの存在は無視される。
R、R’は、夫々独立に同じか又は異なるC−C15を含むアルキル、アルケニル、アラルキル、又はアリールである。アリールには、フェニル、ビフェニル、ナフチル、及びそれらのメトキシ又はエトキシのような直鎖又は分岐鎖アルコキシ基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びノニル置換基のような直鎖又は分岐鎖アルキルからなる群より選択される置換類似体が含まれる。アルケニル基には、ビニル、プロパニル、及びブタニルが含まれるが、但しそのような置換基は、燐化合物の選択された重合体と反応する能力を阻害しないものとする。例えば、Rがフェニレンである場合、適当な置換Rは、一般にo−クレジル、m−クレジル、又はp−クレジルとして知られている。o−、m−、又はp−ヒドロキシ−メチル−フェニルである。アルキルは、直鎖、分岐鎖、又は環式飽和置換基で、典型的にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシル置換基を含む、1〜15個の炭素原子を有するものとすることができる。アラルキルは、芳香族核に一つ以上の炭素原子が結合されていることを特徴とすることができる。アラルキルの例には、フェニルプロピル、又はフェニルブチル置換基が含まれる。
好ましい態様は、化合物1B:2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル及び2B:2,5−ジヒドロキシフェニルホスフィン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステルを使用することである。2,6−ジメチルフェニル部分の存在は、改良された耐湿性、耐熱性、及び良好な化学的安定性を与える。
Figure 2008513585
上に記載した化合物及び配合物は、付加的添加剤及び充填剤を配合して、硬化速度に影響を与え、難燃性を向上し、物理的性質を増大することができる。これらの化合物及び配合物は、プリント配線板を製造するためのプリプレグ及びガラス補強積層体の製造のために用いられることが意図されている。
一般的に言うと、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート又はホスホネート、又は両方が、エポキシ樹脂のエポキシ硬化剤部分の約25〜約85モル%を構成する。ヒドロキノン又はナフトキノン部分は、得られる電気用積層体の構造的及び電気的性質に悪影響を与えることなく火災/火炎防御機能を与えるのが有利である。ヒドロキノン又はナフトキノン部分は、エポキシ樹脂の硬化剤部分の90モル%又は100モル%にさえなるほど多くてもよい。
ポリヒドロキシ混合物も、二つ以上のヒドロキシ官能基を有するフェノ−ル共架橋組成物を含み、フェノ−ル又はアルキル化フェノールとホルムアルデヒドとの反応により得られる樹脂、例えば、ノボラック樹脂、レゾ−ル樹脂、ジシクロペンタジエンフェノールノボラックのような適当なフェノール成分;又は他のヒドロキシ官能性重合体樹脂であって、例えばヒドロキシスチレンの残基を含むもの;を含むことができる。適当な多官能性フェノール単量体及び/又はオリゴマー化合物には、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン;トリス(ヒドロキシフェニル)エタン;1,3,5−トリヒドロキシベンゼン;テトラフェノールエタン;3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸としても知られている)又はその誘導体、又はピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゾールとしても知られている);又は1,2,4−トリヒドロキシベンゾール(ヒドロキシヒドロキノンとしても知られている);1,8,9−トリヒドロキシアントラセン(ジトラノール又は1,8,9−アントラセントリオールとしても知られている)、又は1,2,10−トリヒドロキシアントラセン(アントラロビンとしても知られている);2,4,5−トリヒドロキシピリミジン;及びそれら化合物の混合物及び反応生成物が含まれる。更に別のフェノール成分は、米国特許第6,645,631号明細書(この記載は参照により本明細書の記載の一部とする)に見出すことができる。単量体、オリゴマー、及び重合体フェノール成分は、所望により、混合してフェノール共架橋性組成物を生成させるようにすることができる。
好ましいポリヒドロキシ共架橋性材料は、フェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、及びそれらの混合物を含む種類のノボラック樹脂である。恐らく最も好ましいポリヒドロキシノボラック樹脂は、窒素ヘテロアリール化合物、フェノール及びアルデヒドの残基を含むものであり、それら樹脂は、ベンゾグアナミンフェノールホルムアルデヒド樹脂、アセトグアナミンフェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンフェノールホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンクレゾールホルムアルデヒド樹脂、アセトグアナミンクレゾールホルムアルデヒド樹脂、メラミンクレゾールホルムアルデヒド樹脂、及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。フェノール、窒素含有ヘテロアリール化合物、アルデヒド間の他の多くの反応生成物は、当業者により適当なヒドロキシ含有樹脂を形成するものとして認識されているであろう。
更に別の側面では、本発明は、
エポキシ樹脂;
1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両方を含む共架橋性ポリヒドロキシ混合物;
を含む硬化性エポキシ組成物を含み、そのポリヒドロキシ混合物は、更に、上記した二つ以上のヒドロキシ官能基を有するフェノール成分を含むフェノール共架橋性組成物を含む。
或る態様では、エポキシ樹脂はノボラックエポキシ樹脂であるが、別の態様では、エポキシ樹脂はエピクロロヒドリン及びビスフェノールAに基づくものとすることができ、或いは更に別の態様では、エポキシ樹脂はエピクロロヒドリン及びビスフェノールFに基づくものである。硬化性エポキシ組成物は、好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の燐含有量を有し、約1重量%〜約4重量%が幾らか典型的である。約2重量%〜約3重量%が特に好ましい。一般にポリヒドロキシ混合物は、存在するエポキシ樹脂を硬化するのに必要な化学量論量の約50モル%〜約150モル%の全ヒドロキシ含有量を有し、多くの場合、エポキシ樹脂を硬化するのに必要な化学量論量の約75モル%〜約125モル%のヒドロキシ含有量が一層好ましい。エポキシ樹脂を硬化するのに必要な化学量論量の約85モル%〜約110モル%のヒドロキシ含有量が更に一層好ましいであろう。
多くの態様で、硬化剤混合物中のヒドロキシ部分の1モル%〜約99モル%がノボラック樹脂ヒドロキシル基であるが、硬化剤混合物中のヒドロキシ部分の約15モル%〜約75モル%がノボラック樹脂ヒドロキシル基であるのが典型的である。又、硬化剤混合物中のヒドロキシ部分の約1モル%〜約99モル%のどこかが1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン部分であるが、硬化剤混合物中のヒドロキシ部分の約25モル%〜約85モル%が1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン部分であるのが典型的である。
本発明の更に別の側面では、補強用成分及び少なくとも部分的に硬化した、本明細書に記載した難燃性エポキシ組成物を含む、樹脂含浸複合体が提供される。複合体は、ガラス充填剤、ガラス繊維、又はガラス織物を含み、任意選択的には樹脂含浸複合体に接着した銅箔層を含む。そのような積層体は、一般に複数の樹脂含浸ガラス織物層を含み、一般にその構成層に分離することができない実質的に一体化した構造にプレス成形されている。ガラスは屡々選択される補強材であるが、炭素繊維、ポリアラミド繊維、及び石英を含む複合体も本発明の範囲内に入るものと考えられる。
本発明は、エポキシ樹脂配合物において、本明細書に記載する1,4−ヒドロキノン又はナフトキノン官能性化ホスフィネート及びホスホネートを、ポリヒドロキシ共硬化剤と混合して使用することに関する。典型的な硬化性配合物は、A)本発明の1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両者、B)ノボラック樹脂、C)エポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の組合せ、D)充填剤又は充填剤の組合せ、E)硬化促進剤、及びF)適当な溶媒又は溶媒の組合せから構成されるが、それらに限定されるものではない。この配合物は、当業者により選択された添加剤又は反応体を含有して、或る望ましい性質を発揮することもできる。
本発明の好ましい態様は、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両者を、ポリヒドロキシノボラック樹脂との混合物として使用することである。本明細書に記載する1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネートは、適当な溶媒を用いれば、極めて多種類のノボラック樹脂との混合物として容易に溶解する。これらの樹脂溶液は、優れた取扱い性及び使い易さを付与する樹脂硬化性溶液を提供する。これらの樹脂硬化性溶液は安定で、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は選択されたノボラックの結晶化を禁止する。或いは、選択された場合においては、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両者を、適当なノボラックと溶融混合することにより混合物を形成することができる。もしノボラック樹脂が固体であるならば、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両者/ノボラック樹脂混合物は固体混合物として加工し、固体状態で用いることができる。任意選択的な態様は、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両者と、ノボラック樹脂とを個々に硬化性樹脂配合物中に添加することである。
別に指示しないか、又は文脈から明らかである限り、フェノールノボラック樹脂等の用語は、一つ以上の置換又は非置換フェノール化合物と一つ以上のアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)との縮合生成物を含有するヒドロキシル官能性樹脂状組成物を意味し、包含する。そのような樹脂は、任意選択的には、後で言及するようなメラミン及びグアナミンのようなヘテロアリール成分を含んでいてもよい。
プリプレグ及び積層体の製造で用いるのに適した硬化性難燃性エポキシ樹脂組成物は、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスホネート、又は両者と、ノボラック樹脂及び市販のエポキシ樹脂との配合物から製造することができる。1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスホネート、又は両者の生成物分布により、硬化及び未硬化樹脂における或る種の物理的特性に容易に影響を与えることができる。それに含まれる性質は、例えば、分子量、粘度、ガラス転移温度、及びゲル化点であるが、それらに限定されるものではない。その原因は、硬化剤混合物中に存在する芳香族ヒドロキシル基の種類及び原料に関係している。
エポキシ樹脂は、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスホネート、又は両者で、フェノール共架橋性組成物と共に架橋することができる。フェノール共架橋性組成物は、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、及びそれらの混合物のようなノボラック樹脂を含む。フェノール、窒素ヘテロアリール化合物、及びアルデヒドの重合体も適している。それらの例には、ベンゾグアナミン・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アセトグアナミン・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン・クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、アセトグアナミン・クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、及びそれらの混合物が含まれる。
共硬化性組成物も、二つ以上のヒドロキシ官能基を有するフェノール材料を含む。典型的なフェノール化合物は、
a)フェノール又はアルキル化フェノールと、ホルムアルデヒドとの反応から得られた樹脂、例えば、ノボラック樹脂又はレゾール樹脂、
b)ポリヒドロキシ芳香族材料、例えば、上で言及したように、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン;トリス(ヒドロキシフェニル)エタン;1,3,5−トリヒドロキシベンゼン;テトラフェノールエタン;等、
である。
好ましいフェノール共硬化性成分は、フェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂及びそれらの混合物を含む種類のノボラック樹脂である。好ましいポリヒドロキシノボラック樹脂には、窒素ヘテロアリール化合物、フェノール及びアルデヒドの残基が含まれ、それらは、ベンゾグアナミンフェノールホルムアルデヒド、アセトグアナミンフェノールホルムアルデヒド、メラミンフェノールホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンクレゾールホルムアルデヒド、アセトグアナミンクレゾールホルムアルデヒド、メラミンクレゾールホルムアルデヒド、及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。フェノール、窒素含有ヘテロアリール化合物、及びアルデヒドの間の他の多くの反応生成物は、当業者により適当なヒドロキシ含有樹脂を形成するものとして認識されるであろう。
ホルムアルデヒドの残基、及びクレゾール又はビスフェノールAのような一つ以上のフェノール又は置換フェノール、或いは他の種々のヒドロキシ置換ベンゼンを含む共重合体のような、フェノール/アルデヒド共重合体を含むポリヒドロキシノボラック樹脂は、或る態様では特に好ましい。この成分は、本発明の上述の1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネートと共に共硬化剤として用いられる。フェノールノボラック樹脂は、容易に入手できる商業的材料であり、典型的には一般的化学構造Vを特徴とする:
Figure 2008513585
式中、Rは、水素、メチルのようなアルキル基などを表すことができる。
適当なノボラック樹脂には、例えば、ヘキシオン・スペシャルティー・ケミカルズ社(Hexion SpecialtyChemicals, Inc.)から入手できるデュライト(Durite)(登録商標名)SD−1708、SL−1710、SD−1502、SD−1702、SD−1731、SD−1734、SD−241A、SD−423A、RD−2414、SD−5132、SD−7280、SD−1502、SD−500C;ジョージア・パシフィック(Georgia Pacific)から入手できるGP−2074、5300、5833、834D54;シェネクタディー・インターナショナル(Schenectady International)から入手できるHRJ−11040、1166、1583、2210、2355、2901、CRJ−406、及びFRJ−425/200が含まれるが、それらに限定されるものではない。
窒素ヘテロアリール化合物、フェノール及びアルデヒドの反応生成物を含む共重合体を含有するポリヒドロキシノボラック樹脂は、或る場合には特に好ましい。前に述べたように、これらの樹脂は、ベンゾグアナミンフェノールホルムアルデヒド、アセトグアナミンフェノールホルムアルデヒド、メラミンフェノールホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンクレゾールホルムアルデヒド、アセトグアナミンクレゾールホルムアルデヒド、メラミンクレゾールホルムアルデヒド、及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。フェノール類、窒素含有ヘテロアリール化合物、及びアルデヒドの間の多くの他の反応生成物は、当業者により適当なヒドロキシ含有樹脂を形成するものとして認識されるであろう。もしそのように望むならば、他のアルデヒド及び/又は他のトリアジン化合物を用いてもよい。これらの樹脂は、エンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)、第2版、第11巻、p.50;又はカーク・オスマー(Kirk-Othmer)エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、第18巻、p.606に記載されているようにして製造される。
本発明で用いるのに適した代表的エポキシ樹脂は、クレイトン A.メイ(Clayton A. May)により編集された「エポキシ樹脂化学及び技術」(Epoxy Resins Chemistryand Technology)第2版〔マーセル・デッカー社(Marcel Dekker, Inc.)、ニューヨーク、1988〕、B.エリス(Ellis)により編集された「エポキシ樹脂の化学及び技術」(Chemistry and Technology of Epoxy Resins)〔ブラッキー・アカデミック・アンド・プロフェッショナル(Blackie Academic & Professional)、グラスゴ−、1993〕、H.E.リー(Lee)及びK.ネビル(Neville)による「エポキシ樹脂便覧」(Handbook of Resins)〔マグロー・ヒル(McGraw Hill)、ニューヨーク、1967〕、及びEP 1116774A2に与えられている。適当なエポキシ樹脂は、ビスフェノール及びポリフェノール、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラキスフェニロールエタン、レゾルシノール、4,4’−ビフェニル、ジヒドロキシナフチレンに基づくエポキシ樹脂、及びノボラック、例えば、フェノール・ホルムアルデヒドノボラック、クレゾール・ホルムアルデヒドノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビフェニル−、トルエン−、キシレン−、又はメシチレン−変性フェノール・ホルムアルデヒドノボラック、アミノトリアジンノボラック樹脂から誘導されたエポキシ樹脂、及びpーアミノフェノール及びシアヌル酸から誘導された複素環エポキシ樹脂であるが、それらに限定されるものではない。更に、例えば、1,4ーブタンジオール、グリセロール、及びジシクロペンタジエン骨格構造から誘導された脂肪族エポキシ樹脂が適している。多くの他の適当なエポキシ樹脂系を入手することができ、当業者により適当なものとしても認識されるであろう。
一般に、1分子当たり平均して1より多く、好ましくは少なくとも1.8、一層好ましくは少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いるのが有利である。最も好ましい場合として、エポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも2.5のエポキシ基を有するノボラックエポキシ樹脂である。本発明の最も大きな側面として、エポキシ樹脂は、1より多い1,2−エポキシ基を有する飽和又は不飽和脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環化合物とすることができる。複素環エポキシ化合物の例は、ジグリシジルヒダントイン又はトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)である。
エポキシ樹脂は、低級アルキル脂肪族置換基をもたないもの、例えば、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、又はビスフェノールFのグリシジルエーテルであるのが好ましい。好ましいエポキシ樹脂は、エポキシノボラック樹脂である(エポキシド化フェノールノボラック樹脂として言及される場合もあり、その用語はエポキシフェノールノボラック樹脂及びエポキシクレゾールノボラック樹脂の両方を包含することが意図されている)。
エポキシノボラック樹脂(エポキシクレゾールノボラック樹脂を含む)は、商業的に容易に入手でき、例えば、商標名、D.E.N.(商標名)、クワトレックス(Quatrex)(商標名)〔ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.の商標名)、及びエポン(Epon)(商標名)(ヘキシオン・スペシャルティー・ケミカルズ社の商標名)で入手することができる。
1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両者は、膨大に列挙された熱硬化性及び熱可塑性樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ビニルエステル、シアネートエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテンを含むポリオレフィン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエンの共重合体、ポリウレタン、及び他の多くのもののための難燃剤として用いるのに任意選択的に適用することができるが、より具体的には、一般的アプローチとしてエポキシ樹脂の難燃性のために適用することができる。
1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート、又は両者は、当業者により任意の数の官能基に転化することができ、以下に限定されるものではないが、例えば、エーテル、カーボネート、カルバメート、及びエステルに転化して、材料の性質を変え、所与の樹脂系の相容性を改良することができる。特に、それらの材料は、エポキシ樹脂配合物中への架橋剤として直接用いることができる。それらの材料は、難燃性プリント配線板用を意図するものである。更に、本発明で記載した樹脂は、付加的添加剤及び充填剤と配合して、硬化速度を変え、難燃性を向上し、物理的性質を向上させることができる。
更に、本発明の組成物は、他の難燃性材料を本発明の組成物との共添加剤として配合し、その性能を改良することができる。これらの共FR(co-FR)材料は、無機でも有機でもよく、反応性又は添加剤系化合物とすることができる。無機添加剤型材料の例には、三水和アルミナ(ATH)、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、及び二酸化珪素が含まれるが、それらに限定されるものではない。特に有用な共FR充填剤材料は、ATHである。本発明の共硬化剤の自己消火性は、適当な難燃性助剤を添加することにより、ULー94Vー0の要件に合うように更に向上させることができる。上に記載した他の充填剤材料は、当業者により難燃性に対して有益なものとして認められるであろう。有機系添加剤又は反応物の例には、燐酸トリフェニル、レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、ビスフェノールAビス(ジフェニル−ホスフェート)、メラミン、燐酸メラミン、硼酸メラミン、及び当業者によく知られた他の多くのものが含まれるが、それらに限定されるものではない。
本発明において充填剤を用い、物理的性質を変え、コストを低下させることができる。典型的には、充填剤及び補強剤には、雲母、タルク、カオリン、ベントナイト、ウォラストナイト(wollastonite)、ガラス繊維、ガラス織物、ガラスマット、粉砕ガラス繊維、ガラスビーズ(非中空又は中空)、シリカ、又は炭化珪素ウィスカー等が含まれる。これらの材料の多くは、エンサイクロペディア・オブ・マテリアルズ・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Encyclopedia of MaterialsScience and Engineering)、第3巻、pp.1745−1759〔MITプレス(MIT press)、ケンブリッジ 、マサチューセッツ州(1986)〕(この記載は参照により本明細書の記載の一部とする)に列挙されている。或る態様では充填剤の組合せが好ましいが、別の態様では、プリント配線板のための積層体及びプリプレグで用いられるガラス織物の場合のように、補強材が本発明の複合体の殆どを構成する。
配合物中で用いることができる適当な硬化促進剤又は触媒には、置換又は非置換イミダゾール、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が含まれるが、それらに限定されるものではない。他の触媒には、第三級アミン及びアミドが含まれる。トリフェニルホスフィンのようなホスフィン触媒も用いることができる。ルイス酸も単独で、又は当業者により一般に実施されている他の触媒と組合せて用いることもできる。ルイス酸の典型的な例には、亜鉛、錫、珪素、アルミニウム、硼素、及び鉄の酸化物及び水酸化物が含まれる。三フッ化硼素又は硼酸も用いることができる。
本発明の実施により、本明細書に記載したような少なくとも一種類の充填剤又は補強剤及び硬化性組成物を含む、少なくとも部分的に硬化した樹脂含浸複合体が提供される。例えば、本発明の、1,4−ヒドロキノン又は1,4−ナフトキノン官能性化ホスフィネート及び官能性化ホスホネート混合物、ポリヒドロキシ樹脂及びエポキシ樹脂が、プリント配線板を作るのに用いられるプリプレグ及び積層体の製造で有利に用いられる。本明細書に記載するように製造された樹脂を、一種類以上の硬化剤及び任意選択的に促進剤と混合し、ガラス布に適用する。次に、その樹脂含浸シート又はプリプレグを、典型的には150℃〜200℃の炉の中で数分間、例えば1〜5分間少なくとも部分的に硬化する。
プリント配線板に用いられる種類の積層体を製造するためには、複数のプリプレグを次々に重ねて積層するが、樹脂含浸層は見えている。積層体の各側に、銅箔層、例えば複数層を提供する。次に、布層及び箔層を含むその積層体を、プレス中で20〜50psi、好ましくは30〜35psiの圧力で170〜220℃の高温で1時間以上プレスし、固化した積層体を生成させる。かくして、積層体は樹脂含浸ガラス織物の複数の融着層を含む。もしそのように望むならば、所望の構造によっては、一層多くの又は一層少ないプリプレグ又は箔を用いることができる。
次の例では、次の省略記号が用いられている:
ATH 三水和アルミナ
DEN438 ダウ・ケミカル社から入手できるエポキシド化ノボラック樹脂
ダウアノール(Dowanol)PM 1−メトキシ−2−プロパノール
DSC 示差走査熱量測定
FR 難燃材
2MI 2−メチルイミダゾール
31P NMR 燐の核磁気共鳴分光分析
PWB プリント配線板
phr 樹脂100部当たりの部
Tg ガラス転移温度
SD−1708 ヘキシオン・スペシャルティー・ケミカルズ社から入手できる
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂(ノボラック樹脂)。
TGA 熱重量分析
例1. 2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル(化合物IB)の製造
390g(3.2モル)の2,6−ジメチルフェノールを、反応容器中に入れ、60℃に加熱し、溶融物を生成させる。次に572g(3.2モル)のフェニルジクロロホスフィンを、撹拌しながら添加する。2時間後、温度を95℃、次に135℃で2時間、そして185℃で2時間と上昇させ、HClガスを除去する。混合物を周囲温度へ冷却し、2.1リットルのトルエンを添加する。0.5時間以内に化学量論量の水を添加する。周囲温度から反応混合物を4時間に亙り撹拌しながら最高45℃まで上昇させ、周囲温度へ戻す。1.8g(0.03モル)の酢酸を触媒として添加する。混合物を80〜85℃へ加熱し、3.4モルの1,4−ベンゾキノン(4.7リットルのトルエン中に入れた溶液)を6時間かけて連続的に添加する。添加が完了した後、混合物を95℃で20時間撹拌する。粗生成物を結晶化により精製する。その物質は、172℃の融点をもち、アセトンに可溶である。生成物を31P NMR分光分析及び元素分析により同定した。
例2. 2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル(化合物IIB)の製造
100.0gの2,6−ジメチルフェノールを、反応容器中に入れ、60℃に加熱し、溶融物を生成させることができる。次に56.2gの三塩化燐を撹拌しながら滴下により添加することができる。2時間後、温度を順次95℃で2時間;135℃で2時間;そして185℃で2時間と上昇させ、HClを除去することができる。混合物を周囲温度へ冷却し、200gのトルエンを添加することができる。0.5時間以内に、7.38gの水を添加し、加熱することなく4時間撹拌することができる。400gのトルエンを添加することができる。0.22gの酢酸を触媒として添加することができる。混合物を80〜90℃に加熱し、44.2gの1,4−ベンゾキノンを6時間かけて添加することができる。その反応混合物を110℃に更に10〜20時間加熱することができる。粗生成物を結晶化又はカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。生成物を31P NMR分光分析及び元素分析により同定することができる。
例3. 共硬化剤として化合物Iを用いた積層体の製造
例1で製造した2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル64.5phr及び17.7phrのSD−1708を、127phrのダウアノールPM中に入れた溶液を調製する。その溶液に100phrのDEN438エポキシ樹脂及び0.0013phrの2−メチルイミダゾールを添加する。得られたワニスを8枚の12×12’’ガラス織物に含浸し、次に炉中で170℃で約2分間B段階にし、プリプレグを形成する。8枚の11×11’’プリプレグを2枚の12×12’’の1オンス銅箔外側シートと積層し、185℃、33psiで160分間プレスし、積層板を得る。
例4. 2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステルを共硬化剤として用い、ATHを共FR材料として用いた積層体の製造
例1で製造した2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル64.6phr及び17.7phrのSD−1708を、127phrのダウアノールPM中に入れた溶液を調製する。その溶液に100phrのDEN438、78.2phrのATH、及び0.0010phrの2−メチルイミダゾールを添加してスラリーを形成する。得られたワニスを用いて8枚の12×12’’の7628ガラス織物を含浸し、170℃でB段階とする。8枚の11×11’’プリプレグを2枚の12×12’’の1オンス銅箔外側シートと積層し、185℃、33psiで160分間プレスし、積層板を得る。
例5. 2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステルを共硬化剤として用いた積層体の製造
例2による2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル72.5phr及び17.7phrのSD−1708を、127phrのダウアノールPMと撹拌することができる。次に、100phrのDEN438及び0.0013phrの2−メチルイミダゾールを添加することができる。得られたワニスを8枚の12×12’’の7628ガラス織物に含浸し、170℃でB段階とすることができる。8枚の11×11’’プリプレグを2枚の12×12’’の1オンス銅箔外側シートと積層し、185℃、33psiで160分間プレスし、積層板を得ることができる。
例6. ノボラック硬化剤により製造した積層体
エポキシ樹脂のための唯一の硬化剤として構造Vに従うノボラック樹脂を用いて、例3の手順に従い積層体を製造する。
例により製造した材料の性能特性を表1に与える。
Figure 2008513585
脚注:
1.TGA実験:試料を熱重量分析器で分析する。分析器内の温度を室温から最高700℃まで10℃/分の速度で窒素雰囲気中で上昇させる。報告した温度は、5%の重量損失が起きた時の温度である。
2.T−260は、熱機械分析器(TMA)を用いて260℃で剥離する時間を求めるためのIPC〔アソシエーション・コネクィング・エレクトロニクス・インダストリーズ(Association Connecting Electronics Industries)〕により定義された試験方法をいう。試験方法No.2.4.24.1を用いる。同様に、T−288を行い、剥離するまでの時間を求めるが、温度は288℃である。
3.5つの試験試料の全燃焼時間、各試料は2回炎が適用された。
表1のデータは、2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステルを含む配合物が、固有の難燃性を示すことを示している。これらの配合物はVー0 FRの性能に対して最適化されていなかったが、固有のFR性は、非常に弱い火炎面及び自己消火挙動から明らかである。それに対し、非FR対照試料は、遥かに強い火炎面を有し、積層体試料の全焼失という結果になった。
前記材料を用いたこれらの基礎配合物は、非難燃性対照試料に近い比較的大きなTGA5%重量損失値、並びに、鉛を含まない半田用途で要求されるものを遥かに超えるT−260及びT−288の結果によって表されているように、非常に良好な熱安定性を示す。

Claims (20)

  1. 次の構造I、II、III、IV:
    Figure 2008513585

    (式中、R、R’は、夫々独立に同じか又は異なる1〜15個の炭素原子を含むアルキル、アラルキル、又はアリールであり、但し、構造Iについては、Rは、メチル又はエチルでなくてもよく、構造IIについては、R及びR’は両方共がメチル、エチル、又はイソプロピルでなくてもよい。)
    に従う、1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスフィネート、1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスホネート、1,4−ナフトキノン誘導体化ホスフィネート、1,4−ナフトキノン誘導体化ホスホネート、又はそれらの組合せを含む組成物。
  2. 構造Iが、2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステルである、請求項1に記載の組成物。
  3. 構造IIが、2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステルである、請求項1に記載の組成物。
  4. 請求項1に記載の構造を一つ以上含む重合体組成物。
  5. 重合体が熱硬化性樹脂である、請求項4に記載の重合体組成物。
  6. 重合体が熱可塑性樹脂である、請求項4に記載の重合体組成物。
  7. 重合体がエポキシ樹脂である、請求項5に記載の組成物。
  8. エポキシ樹脂がノボラックとも反応させてある、請求項7に記載の組成物。
  9. 補強材をも含む、請求項8に記載の組成物。
  10. 補強材が、ガラス、炭素、ポリアラミド、又は石英の繊維である、請求項9に記載の組成物。
  11. 樹脂及び補強材が部分的に硬化され、プリプレグを形成している、請求項9に記載の組成物。
  12. 請求項11に記載の、複数のプリプレグから形成された固化積層体。
  13. 銅箔をも含む、請求項12に記載の積層体。
  14. 構造が、2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル、2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル、2,5−ジヒドロキシナフチル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル、2,5−ジヒドロキシナフチル−ホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル、又はそれらの組合せから選択されている、請求項7に記載の組成物。
  15. 1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスホネートが、2,5−ジヒドロキシフェニル−フェニルホスホン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル、又は2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル、2,5−ジヒドロキシナフチル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステル、2,5−ジヒドロキシナフチル−ホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステル、又はそれらの組合せから選択されている、請求項13に記載の樹脂。
  16. 次の構造I、II、III、IV:
    Figure 2008513585

    (式中、R、R’は、夫々独立に同じか又は異なる1〜15個の炭素原子を含むアルキル、アラルキル、又はアリールである。)
    に従う、1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスフィネート、1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスホネート、1,4−ナフトキノン誘導体化ホスフィネート、1,4−ナフトキノン誘導体化ホスホネート、又はそれらの組合せと、
    エピクロロヒドリンと、
    の反応生成物を含むエポキシ樹脂。
  17. 1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスフィネート、1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスホネート、2,5−ナフタレンジオール誘導体化ホスフィネート、2,5−ナフタレンジオール誘導体化ホスホネート、又はそれらの組合せと、エピクロロヒドリンとの反応生成物を含むエポキシ樹脂。
  18. 構造IIIが、2,5−ジヒドロキシナフチル−フェニルホスフィン酸2,6−ジメチル−フェニルエステルである、請求項1に記載の組成物。
  19. 構造IVが、2,5−ジヒドロキシナフチル−ホスホン酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)エステルである、請求項1に記載の組成物。
  20. 次の構造I、II、III、IV:
    Figure 2008513585

    (式中、R、R’は、夫々独立に同じか又は異なる1〜15個の炭素原子を含むアルキル、アラルキル、又はアリールである。)
    に従う、1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスフィネート、1,4−ヒドロキノン誘導体化ホスホネート、1,4−ナフトキノン誘導体化ホスフィネート、1,4−ナフトキノン誘導体化ホスホネート、又はそれらの組合せと、
    重合体と、
    を含む組成物。
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