JP2008513169A - 椎体を架橋するプロテーゼ - Google Patents

Abstract

本発明は、上部椎体（１）に接続される上部コンタクトプレート（５）と、下部椎体（２）に接続される下部コンタクトプレート（６）と、上記上部コンタクトプレートと下部コンタクトプレート（５、６）を互いに接続する架橋部（７）であって、上部椎体と下部椎体（１、２）との間に位置し部分的に置換される少なくとも一つの椎体（３）を架橋するために設計された架橋部（７）と、を備える、椎体を部分的に置換するためのプロテーゼである。架橋部（７）は、上記の椎体（３）における凹部に収容される。上記凹部に固定するため、架橋部（７）は、横方向固定用突起部（９）を備え、横方向固定用突起部（９）は、架橋部（７）の両サイドに配置される骨物質に入り込む。架橋部（７）の断面は、好ましくは台形状であって、後方に向かって狭くなる。（図２）

Description

本発明は、請求項１の前提部分に係るプロテーゼに関する。これは、上部椎体に接続するための上部コンタクトプレートと、下部椎体に接続するための下部コンタクトプレートと、上記上部コンタクトプレートと上記下部コンタクトプレートとを接続する架橋部（bridging part）であって、上記上部椎体と上記下部椎体との間に位置し当該プロテーゼにより置換される少なくとも一つの椎体を架橋するために設計された架橋部と、を有する既知のプロテーゼ（ＤＥ−Ａ−４１０９９４１、図２）に基づいている。椎間板の置換であるため、架橋部と２つのコンタクトプレートとの間にそれぞれ可動部（hinge）が設けられている。当該架橋部の断面の大きさは、椎体の大きさよりかなり小さい。もし、当該椎体が、略完全に残っている場合、当該架橋部は、完全に当該椎体の中に埋め込まれるように当該椎体にフィットされるはずである。これが外科的にどのようにしてなされるかは明確としていない。もし、椎体が、脊椎アーチ状側部にのみ、おおよそ完全に残っている場合、その前面に凹部が形成され、上記架橋部が上記凹部に挿入される。椎体に強固に接続するために、当該架橋部は、横方向に突出したウェブ（webs）であって、固定用スクリューを受けるための楕円ホールを備えるウェブを有する。プロテーゼを椎体に固定することにより、椎間関節を決定すると同時に、隣接する椎体に対する当該椎体のポジションを決定する。固定用ウェブが設置される椎体の表面が加工され、それにより、ウェブへの接続後も、関節により規定される生来のポジションを椎体が維持することができる場合だけ、不快な思いを引き起こさないようプロテーゼをフィットさせることができる。そのような正確な加工を行うことは困難である。また、スクリューにより固定することが充分信頼性があるものでないことが分かっている。

他の既知の脊柱プロテーゼ（ＵＳ−Ａ−５４２３８１６）において、架橋部は、以下のコイルスプリングにより形成されている。当該コイルスプリングは、その弾性（compliance）により、上部椎体と下部椎体のそれぞれに対する相対的な移動、上記架橋された椎体に対する相対的な移動を可能とすることを目的としている。当該コイルスプリングは、架橋される椎体の中の空洞に与えられる。架橋される椎体の中の空洞は、また、骨粉で満たされている。当該骨粉は、当該空洞の中において骨組織を新たに成長させることを可能とする。しかしながら、それらの相対的な動きのため、コイルスプリングのねじれ部（turns）と骨組織とを強固に接続することは不可能である。そのため、コイルスプリングのねじれ部は、上記架橋された椎体に対する固定手段とならない。一方、架橋された椎体に対してコンスタントに動くコイルスプリングのねじれ部は、持続的な刺激の原因となる。

置換される椎体の下面及び上面において枝状のもの（branch）とかみ合うように、架橋部が側面においてＵ字状の構成を有する脊柱プロテーゼも知られている（ＥＰ−Ａ−１４１７９４０）。ウェブが椎体の前面に存在し、架橋部に螺着されている。このためには、上面、下面、前面において椎体を適切に加工することが必要であるが、適切な加工は、椎体がダメージを受けた場合特に困難となりうる。また、架橋部が椎体と完全に置き換わった脊柱プロテーゼも知られている（ＥＰ−Ａ−５６７４２４、ＷＯ０１０３６１４、ＤＥ−Ｕ−２０１１５２８１、ＵＳ−Ａ−５８９５４２８）。これは、椎骨の残った部分と架橋部との間で、支持接続が現実的に不可能であるという欠点を有する。

脊柱用プロテーゼの他の既知のグループ（ＵＳ−Ａ−７８９２５４５、ＵＳ−Ａ−４６３６２１７）では、架橋部が、上部椎体と下部椎体とを互いに強固に接続するように、上部椎体と下部椎体とに強固に接続される。このように、架橋される椎体は、力が掛からない状態で維持され、そのために、プロテーゼの架橋部との支持接続は全く必要でない。

したがって、本発明の目的は、置換される椎体が、完全若しくは大幅に残っている場合にも使用しうる、冒頭部分で述べた脊柱用プロテーゼを提供することにある。さらに別の目的は、比較的簡単なオペレーティング技術により、インプラントと、置換される椎体との間の、良好な支持接続を可能とすることにある。

これは、クレーム１の特徴部分により達成される。架橋部の形状に適合し実質的に全体として架橋部を受け止める凹部を前面から椎体に形成することは比較的容易である。このためには、架橋部は、椎体より狭く設計される。架橋部と凹部との間の積極的な相互係合（mutual positive engagement）により、架橋部と椎体は互いに支持される。架橋部は、また凹部から逃げることができない。これは、横方向突起部が、凹部において架橋部を強固にホールドするからである。

また、隣接する椎体を強固に接続するためのダボが知られている（ＵＳ−Ａ−２００２／０１２８６５２）。当該ダボは、矩形の断面を有する。また、当該ダボは、目的の椎体において、対応して成形された腹側凹部にフィットされ、凹部から逃げないように抑制する手段を備える。しかしながら、これらの手段がどのようにして設計されるかに関しては分からない。

凹部が架橋部の形状に、より正確に適合されれば、架橋部の横方向突起部によりなされる相互支持作用及び固定はなお一層効果的となる。これは、もし凹部の断面形状が矩形若しくは台形である場合に最も容易に達成される。また、このことにより、架橋部のサイド表面が大きくなり、それにより複数の固定用突起部を収容することが容易となるという利点を有する。これは、例えば無数の微小な、先端の尖った形態のものが架橋部に強固に配置される場合は特にそうである。架橋部が凹部に押し込められる際、骨組織の弾力的な弾性又は可塑性な弾性により、それらが固定ポジションまでの軌道を見つけるように、これらの突起部は適切に設計されている。この接続において、背面方向に断面が狭くなっている架橋形状では、同じように背面方向に断面が狭くなる椎体凹部に架橋部が押し込まれるので、突起部が骨組織に入り込むという、さらに別の利点を有する。それらは、またセルフカッティングデザインを有していてもよい。他の可能な実施形態では、突起部が、非常に小さく形成されて、表面が起伏に富んだ形状とされる。これは、インプラントと骨との接続の初期段階での強度を得るのに充分なものであり、そして、短い時間の経過後、表面起伏部分に成長する骨組織により永久的な接続を可能とするのに一般的に充分なものである。この突起部を、釣り針の形状に形成してもよい。これにより、インプラントが骨の凹部へと動くことに対しては小さい抵抗を与えるが、しかし凹部からそれが離れることに対してはより大きな抵抗を与える。

少なくともサイド表面には、架橋部が骨組織を受け止めるための開口部若しくは孔を有していてもよい。これらは、挿入前において、骨粉で満たされていてもよい。時間が経過して、生きた骨組織は成長し、インプラントと骨との間の強固な結合を可能とする。

本発明は、頸椎に適用されたときに特別の利点を有する。

好ましい例示された実施の形態を図示する図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。

図２は、上部椎体１と下部椎体２と、それらの間にあって、置換される椎体３とを図示している。脊柱プロテーゼは、上部椎体と下部椎体との間に挿入される。このプロテーゼは、上部椎体１に接続された上部コンタクトプレート５と、下部椎体２に接続された下部コンタクトプレート６と、当該プレート５と６とを接続する架橋部７と、を備える。可動(hinge)表面８を有する可動部（例えばＥＰ−Ａ−５６０１４０による）が、コンタクトプレート５及び６と架橋部７との間にそれぞれ配置されている。この可動表面は、上部可動部においては、コンタクトプレート５の底面により形成され、他方、不図示の方法で架橋部７に接続された可動部４により形成されている。また、この可動表面は、下部可動部においては、架橋部７の底面により形成され、他方、不図示の方法で下部コンタクトプレート６に接続された可動部４により形成される。球状の可動表面を備える可動部の代わりに、他の可動部タイプのもの、例えば柔軟性クッションを有するもの（ＤＥ−Ｕ−２０１１５２８１）若しくは螺旋状スプリングを有するもの（ＤＥ−Ａ−４１０９９４１）を使用してもよい。もし、上部椎体１と下部椎体２とが強固に接続される場合、可動部は全く割愛することができる。最後に、上部コンタクトプレート５と架橋部７との間、若しくは下部コンタクトプレート６と架橋部７との間で、唯一つの可動部を使用することも可能である。

コンタクトプレート５及び６は、慣習的なサイズ、すなわち２つのコンタクトプレートと、対応する椎体との間の押圧力を小さくするという観点から決定されたサイズを有する。一方、架橋部７は、対応する椎体３より小さい幅長を有する。すなわち、架橋部は、確実に、前方から、関連する椎体３に対して加工された凹部まで挿入されるようにするため充分小さい。そして、これに沿って残る骨物質は、凹部に架橋部をしっかりと固定するに充分である。

凹部の少なくとも一部は、できるだけ正確に架橋部７と一致する形状を有する。これにより、インプラントの表面が、実質的に遊びが無い様式で関節的に作製された骨表面上に載置されることが可能である。このことは、一方で、良好な相互サポートを提供し、他方で、骨とインプラントとの間の安定な接続をもたらす骨成長の可能性を提供する。最後に、上記のことは、インプラントに設けられた固定用突起部９が、実質的にその全長に亘って骨組織とかみ合い、それにより固定力を伝達することができることを保証する。

骨に作製された凹部と架橋部との間の形状を一致させることは、図３に示すように、架橋部の断面を台形形状とすることにより最も容易になされる。他の断面形状を使用することが可能であるが、架橋部が凹部に挿入されたときに、サイド表面が、遊びが無い様式で切削された骨表面上に載置されるように、前面から後面に向かって狭くなる形状を使用することが好ましい。

架橋部が後ろに向かって狭くなるような形状、特に台形状であるという特徴は、もし適切な場合、クレーム１の特徴的な特性と無関係に保護する価値があるはずである。

固定用突起部は、架橋部７のサイド表面１０上に強固に配置されている。図３によれば、それらは、無数の、小さな、先の尖った突起部１１の形態であり、これらの突起部は、インプラントが椎骨における凹部に挿入されると、それ自身骨表面に力を加える。不図示の別の実施の形態では、これらの突起部はより大きく、そしてブレードの形態である。このブレードの面は、突起部が骨物質に切り込むように挿入方向に延びる。他の実施の形態では、サイド表面１０の全部若しくはその実質的に一部をカバーする表面ザラザラ状のミクロ突起部を使用する。それぞれのケースにおいて、固定用突起部に加えて、開口部１２若しくは孔を設けることも可能である。この開口部１２若しくは孔には骨物質が成長し固定される。このプロセスを加速させるため、最初から開口部は骨粉で満たされていてもよい。インプラントを骨伝導性（osteoconductive）若しくは骨誘導性（osteoinductive）物質でコートすることも可能である。

正中面における、例示的実施形態の長手方向の断面を示している。 同上のインプラントの正面図を示している。 架橋部の斜視図を示している。

Claims (5)

1. 椎体を部分的に置換するためのプロテーゼであって、
   上部椎体（１）に接続される上部コンタクトプレート（５）と、
   下部椎体（２）に接続される下部コンタクトプレート（６）と、
   上記上部コンタクトプレートと下部コンタクトプレート（５、６）を互いに接続し、少なくとも一つの可動部（８）を具備する架橋部（７）であって、上部椎体と下部椎体（１、２）との間に位置し部分的に置換される少なくとも一つの椎体（３）を架橋するために設計された架橋部（７）と、を備え、
   上記架橋部（７）が、これを上記椎体（３）に固定するための手段を備えるプロテーゼにおいて、
   上記の架橋部（７）を椎体（３）に固定するための手段が、上記架橋部（７）から横方向に突出する強固固定用突起部（９、１１、１５、３２）により形成されることを特徴とするプロテーゼ。
2. 上記の架橋部（７）の断面形状が、矩形であるか、若しくは背面方向に向かって狭くなることを特徴とする請求項１記載の脊柱用プロテーゼ。
3. 上記固定用突起部によって、表面が起伏に富んだ形状になることを特徴とする請求項１記載の脊柱用プロテーゼ。
4. 上記架橋部（７）が、骨組織を受け止めるための開口部（１２）若しくは孔を有することを特徴とする請求項１記載の脊柱用プロテーゼ。
5. 骨物質若しくは骨置換物質の充填物を具備してなることを特徴とする請求項４記載の脊柱用プロテーゼ。

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