JP2008511632A - 癌治療法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、4−キナゾリンアミンならびに追加の少なくとも一種のEGFR阻害薬および/またはerbB−2阻害薬の投与による哺乳動物の癌の治療法に関する。特に、その方法は、N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンならびにその塩および溶媒和物に、追加の少なくとも一種のEGFR阻害薬および/またはerbB−2阻害薬を併用して投与することによる癌治療法に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、EGFRとerbB−2の二重阻害薬である4−キナゾリンアミンに、少なくとも一種の他のerbBファミリー阻害薬を併用して投与することによる哺乳動物の癌の治療法に関する。特に、その方法は、チロシンキナーゼEGFRおよび/またはerbB2が介在する癌をN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンならびにその塩および溶媒和物に、EGFR阻害薬ゲフィチニブおよび/またはエルロチニブを加えて投与することによって治療する方法に関する。
癌治療に有効な化学療法は、腫瘍学分野では途切れなく続いている目標である。一般的に、癌は、細胞分裂、分化、およびアポトーシス細胞死を制御する正常な過程が調節異常に陥ることから生じる。アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、胚発生、ならびに神経変性疾患、心血管疾患、および癌などの様々な疾患の病因で重要な役割を果たす。最も広く研究されている経路の一つは、細胞表面の増殖因子受容体から核への細胞シグナル伝達(CrewsおよびErikson、1993)であり、特に、erbBファミリー増殖因子受容体からの細胞シグナル伝達である。
これらの受容体が媒介する細胞作用を調節するerbBファミリー間には顕著な相互作用がある。EGFRに結合する異なる6種のリガンドには、EGF、トランスフォーミング増殖因子、アンフィレグリン、ヘパリン結合EGF、ベータセルリン、およびエピレグリンが含まれる(Alroy & Yarden, FEBS Letters, 410:83-86, 1997; Burden & Yarden, Neuron, 18: 847-855, 1997; Klapperら, ProcNatlAcadSci, 4994-5000, 1999)。別のリガンドクラスであるヘレグリンは、HER3および/またはHER4に直接結合する(Holmesら, Science, 256:1205, 1992; Klapperら, 1997, Oncogene, 14:2099-2109; Pelesら, Cell, 69:205, 1992)。特異的リガンドの結合は、erbBファミリーメンバー内の受容体のホモまたはヘテロ二量体化を誘発する(Carraway & Cantley, Cell, 78:5-8, 1994; Lemmon & Schlessinger, TrendsBiochemSci, 19:459-463, 1994)。他のerbB受容体メンバーとは対照的に、HER2にはまだ可溶性リガンドが同定されていないが、このHER2はヘテロ二量体化後にトランス活性化すると思われる。ホモ二量体化よりもEGFR(erbB−1)、HER3(erbB−3)、およびHER4(erbB−4)によるerbB−2受容体のヘテロ二量体化が好ましい(Klapperら, 1999; Klapperら, 1997)。受容体が二量体化すると、ATPが受容体触媒部位へ結合し、受容体のチロシンキナーゼが活性化し、C末端チロシン残基が自己リン酸化する。次いで、リン酸化したチロシン残基は、Grb2、Shc、およびホスホリパーゼCなどの蛋白質の連結部位として機能し、順次、Ras/MEK/Erk経路およびPI3K/Akt経路を含む下流シグナル経路を活性化するが、これらの経路は増殖、細胞運動、血管新生、細胞の生存、および分化など、生物学的応答に関与する転写因子および他の蛋白質を調節する(Alroy & Yarden, 1997; Burgering & Coffer, Nature, 376:599-602, 1995; Chanら, AnnRevBiochem, 68:965-1014,1999; Lewisら, AdvCanRes, 74:49-139,1998; Liuら, Genes and Dev, 13:786-791, 1999; Muthuswamyら, Mol&CellBio, 19,10:6845-6857,1999; Riese & Stern, Bioessays, 20:41-48, 1998)。
erbBファミリー受容体を標的とし、癌細胞中でそれらが活性化するのを阻止するために、モノクローナル抗体(Mab)、免疫複合体、抗EGFワクチン、およびチロシンキナーゼ阻害薬を含む、いくつかの戦略が開発されている((Sridharら, Lancet, 4,7:397-406,2003)に概説)。erbB2含有ヘテロ二量体は、最も安定した好ましいシグナル伝達開始事象なので、erbB2とEGFRを同時に妨害することは魅力的な治療戦略である。癌の前臨床モデルに有効な一連の6−フラニルキナゾリン二重erbB−2/EGFRチロシンキナーゼ阻害薬が合成されている(Cockerillら, BiorgMedChemLett, 11:1401-1405,2001 ; Rusnakら, CanRes, 61:7196-7203, 2001a; Rusnakら, MolCanTher, 1:85-94, 2001b)。GW572016は、EGFRおよびerbB2キナーゼの経口活性型可逆的二重キナーゼ阻害薬である6−フラニルキナゾリンである(Rusnakら, 2001b)。ヒト異種移植研究では、GW572016は、用量依存的キナーゼ阻害を示しており、腫瘍細胞がEGFRまたはerbB2を過剰に発現するのを選択的に阻害する(Rusnakら, 2001b; Xiaら, Oncogene, 21:6255-6263, 2002)。
併用療法は、癌治療において例外ではなく、むしろ急速に標準になりつつある。腫瘍学者は、併用して使用した場合、癌作用に苦しむ個人に、より有効でかつ/または強化された治療を提供する抗新生物化合物を継続して探し求めている。典型的には、好首尾な併用療法によって、単独療法を上回る、改善された、さらに相乗的な作用が提供される。
今回、本発明者らは、N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン(GW572016)ならびにその塩および/または溶媒和物に、追加のEGFR阻害薬および/またはerbB−2阻害薬を併用して投与するステップを含む新規な癌治療法を同定した。
本発明の第1態様では、哺乳動物の乳癌治療法であって、該哺乳動物に治療有効量の
(i) 式(I’’)
Figure 2008511632
の化合物と、
(ii) ゲフィチニブまたはその塩もしくは溶媒和物と
を投与するステップを含む治療法を提供する。
本発明の第2の態様では、治療有効量の
(i) 式(I’’)
Figure 2008511632
の化合物と、
(ii) ゲフィチニブまたはその塩もしくは溶媒和物と
を含む癌治療組合せ(cancer treatment combination)を提供する。
本発明の第3の態様では、哺乳動物の乳癌治療法であって、該哺乳動物に治療有効量の
(i) 式(I’’)
Figure 2008511632
の化合物と、
(ii) エルロチニブまたはその塩もしくは溶媒和物と
を投与するステップを含む治療法を提供する。
本発明の第4の態様では、治療有効量の
(i) 式(I’’)
Figure 2008511632
の化合物と、
(ii) エルロチニブまたはその塩もしくは溶媒和物と
を含む癌治療組合せを提供する。
本発明の第5の態様では、哺乳動物の乳癌治療法であって、哺乳動物に治療有効量の
(i) 式(I’’)
Figure 2008511632
の化合物と、
(ii) ゲフィチニブおよび/またはエルロチニブあるいはその塩もしくは溶媒和物と
を投与するステップを含む治療法を提供する。
本発明の第6の態様では、治療有効量の
(i) 式(I’’)
Figure 2008511632
の化合物と、
(ii) ゲフィチニブおよび/またはエルロチニブあるいはその塩もしくは溶媒和物と
を含む癌治療組合せを提供する。
本明細書で使用する「新生物」という語は、細胞または組織の異常増殖をさし、良性すなわち非癌増殖、および悪性すなわち癌増殖を含むと理解される。「新生物性」という語は、新生物を意味し、または新生物に関する。
本明細書で使用する「有効量」という語は、例えば、研究者または臨床医が探索している、組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学応答を引き出す薬物または医薬品の量を意味する。さらに、「治療有効量」という語は、そのような量を与えられていない対応する対象と比較して、疾病、疾患、または副作用の治療、治癒、予防、または寛解を改善し、あるいは疾病または疾患の進行速度を低減する量を意味する。この用語には、本発明の範囲内で、正常な生理機能を亢進するのに有効な量も含まれる。
当技術分野で周知なように、癌または腫瘍は、癌腫瘍増殖の第一の(原発)位置が一つまたは複数の解剖学的に別の部位に広がるという点で転移性であることが多い。本明細書で使用する、対象の「腫瘍」という語は、原発腫瘍だけでなく、転移性腫瘍増殖も含む。同様に、癌または癌治療という語は、原発性転移癌、あるいは原発癌および転移癌部位の治療を含む。
「erbB−1」としても知られている「EGFR」、および「erbB−2」は、erbBファミリーの蛋白質チロシンキナーゼ膜貫通型増殖因子受容体である。蛋白質チロシンキナーゼは、細胞増殖および分化の調節に関与する様々な蛋白質の特定のチロシル残基のリン酸化を触媒する(A.F. Wilks, Progress in Growth Factor Research, 1990, 2, 97-111; S.A. Courtneidge, Dev. Supp.l, 1993, 57-64; J.A. Cooper, Semin. Cell Biol., 1994, 5(6), 377-387; R.F. Paulson, Semin. Immunol., 1995, 7(4), 267-277; A.C. Chan, Curr. Opin. Immunol., 1996, 8(3), 394-401)。I型受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーには、ErbB1(上皮細胞増殖因子受容体としても知られる(EGFRまたはHER1))、erbB2(Her2としても知られる)、erbB3、およびerbB4が含まれる。これらの受容体チロシンキナーゼは、上皮組織、間葉系組織、およびニューロン組織で広く発現し、そこではこのキナーゼは細胞増殖、生存、および分化を調節する役割を担う(Sibilia and Wagner, Science, 269: 234 (1995); Threadgillら, Science, 269: 230 (1995))。野生型erbB2もしくはEGFRの発現、または構成的に活性化した受容体突然変異体の発現が増加すると、インビトロで細胞は形質転換する(Di Fioreら, 1987; DiMarco et al, Oncogene, 4: 831 (1989); Hudziakら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 84:7159 (1987); Qianら, Oncogene, 10:211 (1995))。いくつかの乳癌や様々な他の悪性腫瘍において、erbB2またはEGFRの発現の増加は不首尾な臨床結果と相関した(Slamonら, Science, 235: 177 (1987); Slamonら, Science, 244:707 (1989); Bacus et al, Am. J. Clin. Path, 102:S13 (1994))。
本明細書で使用する「溶媒和物」という語は、溶質(本発明では、式(1)の化合物もしくはその塩)および溶媒によって形成された可変的な化学量論である複合体をさす。本発明の目的のためのそのような溶媒は、溶質の生物活性を妨げないものである。適当な溶媒の例には、それだけには限らないが、水、メタノール、エタノール、酢酸が含まれる。使用する溶媒は、薬学的に許容される溶媒が好ましい。薬学的に許容される適当な溶媒の例には、それだけには限らないが、水、エタノール、酢酸が含まれる。使用する溶媒は水が最も好ましい。
本発明の一実施形態では、哺乳動物の感受性癌の治療法であって、該哺乳動物に治療有効量の
(i) 式(I’’)
Figure 2008511632
の化合物、
(ii) ゲフィチニブまたはその塩もしくは溶媒和物、ならびに/あるいは
(iii) エルロチニブまたはその塩もしくは溶媒和物
を投与するステップを含む治療法を提供する。
上記のように、本発明は、癌治療法を対象とし、この治療法はN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン(GW572016)、ならびにその塩および/または溶媒和物に、別のEGFR阻害薬および/またはerbB−2阻害薬を併用して投与するステップを含む。
本明細書に開示した癌治療法は、式(I)
Figure 2008511632
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を投与するステップを含む。
別の実施形態では、この化合物は、式(I)の化合物のジトシル酸塩、またはその無水形もしくは水和物形である式(I’)の化合物である。式(I)の化合物のジトシル酸塩の化学名はN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン(GW572016)ジトシル酸塩であり、ラパチニブとしても知られている。
Figure 2008511632
一実施形態では、この化合物は式(I’)の化合物の無水ジトシル酸塩である。別の実施形態では、この化合物は、式(I’)の化合物の一水和物ジトシル酸塩である式(I’’)の化合物である。
Figure 2008511632
式(I)の化合物の遊離塩基、HCl塩、およびジトシル酸塩は、前記の1999年1月8日に出願され、1999年7月15日にWO99/35146として公開された国際特許出願第PCT/EP99/00048号、および2001年6月28日に出願され、2002年1月10日にWO02/02552として公開された国際特許出願第PCT/US01/20706号の手順、ならびに以下に挙げた適当な実施例に従って調製しうる。式(I’’)の化合物のジトシル酸塩を調製するためのそのような一手順を以下スキーム1に示す。
スキーム1
Figure 2008511632
スキーム1では、式(III)の化合物のジトシル酸塩の調製は、次の4段階:第1段階:表示の二環式化合物とアミンを反応させて表示のヨードキナゾリン誘導体を生成、第2段階:対応するアルデヒド塩の調製、第3段階:そのキナゾリンジトシル酸塩の調製、および第4段階:一水和物ジトシル酸塩調製で進む。
典型的には、本発明の塩は薬学的に許容される塩である。「薬学的に許容される塩」という語に包含される塩は、本発明の化合物の無毒塩をさす。本発明の化合物の塩は、本発明の化合物の置換基の窒素に由来する酸付加塩を含みうる。代表的な塩には以下の塩:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩(edisylate)、エストール酸塩(estolate)、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩(gluceptate)、グルコン酸、グルタミン酸、グリコリルアルサニル酸塩(glycollylarsanilate)、ヘキシルレソルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イセチオン酸塩、ラクト酸塩、ラクトビオン酸塩(lactobionate)、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、モノカリウムマレイン酸塩、ムカート(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩(embonate))、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル化物、トリエトヨウ化物(triethiodide)、トリメチルアンモニウム、および吉草酸塩が含まれる。薬学的に許容されない他の塩も、本発明の化合物の調製に有用である可能性があり、それらは本発明の別の態様を形成する。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブと共に投与する乳癌治療法である。
ゲフィチニブ、すなわち、4−キナゾリンアミン,N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−[3−4−モルホリン)プロポキシ]は、IRESSA(登録商標)錠として市販されている。ゲフィチニブは、式(II)の構造によって表される。
Figure 2008511632
ゲフィチニブは、白金ベース化学療法およびドセタキセル化学療法が失敗した後の、局所的に進行した、または転移した非小細胞肺癌患者を治療するための単独療法として示されるEGFR阻害薬である。
式(II)の化合物の遊離塩基、HCl塩、およびdiHCl塩は、1996年4月23日に出願され、1996年10月31日にWO96/33980として公開された国際特許出願第PCT/GB96/00961号の手順に従って調製しうる。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブと共に投与する非小細胞肺癌の治療法である。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブと共に投与する結腸直腸癌の治療法である。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブと共に投与する頭頚部癌の治療法である。
別の実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をエルロチニブと共に投与する乳癌治療法である。
エルロチニブ、すなわち、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミンは、TARCEVA(登録商標)錠として市販されている。エルロチニブは、式(III)の構造によって表される。
Figure 2008511632
一実施形態では、エルロチニブは塩形、つまりエルロチニブ塩酸塩である。
エルロチニブは、少なくとも一種の先行化学療法レジメンが失敗した後の、局所的に進行した、または転移した非小細胞肺癌患者を治療するために示されるEGFR阻害薬である。
式(III)の化合物の遊離塩基およびHCl塩は、1998年5月5日発行米国特許第5,747,498号の実施例20の手順に従って調製しうる。
別の実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をエルロチニブと共に投与する非小細胞肺癌の治療法である。
別の実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をエルロチニブと共に投与する結腸直腸癌の治療法である。
別の実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をエルロチニブと共に投与する頭頚部癌の治療法である。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブおよびエルロチニブと共に投与する乳癌治療法である。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブおよびエルロチニブと共に投与する非小細胞肺癌の治療法である。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブおよびエルロチニブと共に投与する結腸直腸癌の治療法である。
一実施形態では、その癌治療法は式(I’’)の化合物をゲフィチニブおよびエルロチニブと共に投与する頭頚部癌の治療法である。
従って、本発明による併用療法は、式(I’’)の化合物の投与、ならびに少なくとも一種の他のEGFR阻害薬および/またはerbB−2阻害薬、好ましくはゲフィチニブの使用を含む。薬剤のそのような組合せは、一緒に、または別々に投与することができ、別々に投与する場合、同時に、または任意の順序で逐次に、近時におよび時間をずらしてこれを行いうる。式(I’’)の化合物およびその他の薬学的活性剤の量、ならびに投与の相対的タイミングは、所望の併用治療効果が得られるように選択する。
従って、本発明の別の態様は、式(I’’)の化合物およびゲフィチニブを含む医薬組合せ(pharmaceutical combination)であり、好ましくは癌治療組合せである。本発明の別の態様は、式(I’’)の化合物およびエルロチニブを含む医薬組合せであり、好ましくは癌治療組合せである。あるいは、本発明の別の態様は、式(I’’)の化合物、ゲフィチニブ、およびエルロチニブを含む医薬組合せであり、好ましくは癌治療組合せである。治療組合せは、単位医薬組成物であってよく、その場合、式(I’’)の化合物、ゲフィチニブ、およびエルロチニブ(またはそれらの組合せ)はそれぞれ、同じ組成物中に存在するか、あるいは別々の組成物中に各活性成分が独立した組成物として存在する。
本発明の癌治療法で使用するために、治療有効量の式(I’’)の化合物、ならびにゲフィチニブおよび/またはエルロチニブ、ならびにその塩または溶媒和物は、その原料化合物のまま投与することができるが、医薬組成物として活性成分を提供こともできる。従って、本発明は、さらに、本発明の癌治療法で投与しうる医薬組成物を提供する。その医薬組成物には、治療有効量の式(I’’)の化合物、および/またはゲフィチニブ、および/またはエルロチニブ、およびその塩もしくは溶媒和物、ならびに一種または複数の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤が含まれる。それらの担体、希釈剤、または賦形剤は、他の製剤成分と適合するという意味で許容可能でなければならず、レシピエントにとって有害なものであってはならない。
医薬製剤は、各単位用量(unit dose)あたり所定量の活性成分を含む単位剤形(unit dose form)で提供しうる。そのような単位は、治療される状態、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、および状態に応じて、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、より好ましくは5mg〜100mgの式(I)の化合物を含むことが可能であり、あるいは医薬製剤は各単位用量あたり所定量の活性成分を含む単位剤形で提供しうる。好ましい単位用量製剤は、本明細書で先に述べた通り日用量またはサブドース(sub-dose)の活性成分、あるいはその適当な画分を含むものである。さらに、そのような医薬製剤は、当薬学技術分野で周知の方法のいずれかによって調製しうる。
式(I’’)の化合物またはゲフィチニブもしくはエルロチニブは、任意の適当な経路によって投与しうる。適当な経路には、経口、経直腸、経鼻、局所(頬腔および舌下を含む)、経膣、および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内、および硬膜外を含む)が含まれる。好ましい経路は、例えば、その組合せのレシピエントの状態によって異なりうることは理解されよう。
経口投与に適応した医薬製剤は、別個の単位、例えば、カプセル剤または錠剤、散剤または顆粒剤、水性または非水性液体の液剤または懸濁剤、食用の泡沫剤(foam)またはホイップ剤、あるいは水中油型乳剤または油中水型乳剤として提供しうる。
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与には、活性薬物成分は、エタノール、グリセロール、水など、経口無毒の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。散剤は、この化合物を適当な微細サイズにまで粉末化し、同様に粉末化した食用炭水化物などの医薬用担体、例えば、澱粉またはマンニトールなどと混合することによって調製する。矯味剤、防腐剤、分散剤、および着色料を入れることもできる。
カプセルは、上記の混合粉を調製し、形成したゼラチン鞘に充填し作製する。流動促進剤および滑沢剤、例えば、コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固形ポリエチレングリコールを混合粉に加えた後、充填操作を行うことができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウムを添加して、カプセルを摂取したときの薬物の利用能を改善することもできる。
さらに、所望しまたは必要な場合は、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に組み込むこともできる。適当な結合剤には、澱粉末、ゼラチン;グルコースまたはβ−ラクトースなどの天然糖;コーン甘味料;アカシア、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ガム;カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。これらの剤形で使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、それだけには限らないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば、混合粉を調製し、造粒またはスラッギングし、滑沢剤および崩壊剤を加え、打錠することによって製剤化する。混合粉は、適切に粉砕した化合物を上記希釈剤または基剤、そして任意で、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、またはポリビニルピロリドン;パラフィンなどの溶解遅延剤、四級塩などの再吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウムなどの吸収剤と共に混合することによって調製される。その混合粉をシロップ剤、澱粉ペースト、アカディア粘液(acadia mucilage)などの結合剤、またはセルロースもしくはポリマー物質溶液で湿潤にし、強制的にスクリーンを通すことによって造粒することができる。造粒の代わりに、混合粉を打錠機に通すことができ、得られた物は不完全形成スラグであり壊れて顆粒になる。その顆粒をステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加することによって潤滑にし、錠剤形成用ダイに固着するのを防止することができる。次いで、潤滑にした混合物を錠剤に圧縮する。本発明の化合物を自由流動性不活性担体と混合し、顆粒化またはスラッギングステップを通さずに錠剤に直接圧縮することもできる。セラックのシーリングコートからなる透明もしくは不透明保護コーティング、糖もしくはポリマー物質コーティング、およびワックスのポリッシュコーティングを施すことができる。これらのコーティングに色素を加えて、異なる単位剤形を区別することもできる。
液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤などの経口液は、単位剤形で調製して、所定量には所定量の化合物が含まれるようにすることができる。シロップ剤は、適切に香味付けした水溶液に化合物を溶解することによって調製でき、他方、エリキシル剤は無毒のアルコールビヒクルを用いて調製する。懸濁剤は、無毒ビヒクルに化合物を分散させることによって製剤化できる。エトキシル化させたイソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの溶解剤および乳化剤、防腐剤、矯味添加物、例えば、ペパーミント油、天然甘味料、サッカリン、または他の人工甘味料などを加えることもできる。
適切であれば、経口投与用の単位用量製剤をマイクロカプセル化することができる。その製剤は、例えば、微粒子物質をポリマー、ワックスなどでコーティングまたは包埋することによって、放出を延長しまたは持続するように調製することもできる。
本発明に従って使用するための薬剤は、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、および多重膜ベシクルなど、リポソーム送達系の形で投与することもできる。リポソームは、様々なリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンから形成することができる。
本発明に従って使用するための薬剤は、モノクローナル抗体を化合物分子が結合する個々の担体として使用することによっても送達しうる。その化合物を標的となり得る薬物担体としての溶解性ポリマーと結合させることも可能である。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミデフェノール、またはパルミトイル残基で置換したポリエチレンオキシデポリルイシンを含めることができる。さらに、その化合物は、薬物の制御放出の実現に有用な生分解性ポリマークラス、例えば、ポリ乳酸、ポレプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルに架橋した、または両親媒性ブロックコポリマーに結合させうる。
経皮投与に適応した医薬製剤は、長時間レシピエントの表皮と密着させておくための分離したパッチとして提供することができる。例えば、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に概括的に記載されているイオン注入によって、活性成分をパッチから送達しうる。
局所投与に適応した医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール、または油として製剤化することができる。
眼または他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療には、その製剤を局所用軟膏またはクリームとして施用するのが好ましい。軟膏に製剤化した場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性軟膏基剤と共に使用しうる。あるいは、その活性成分を水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリーム中に製剤化することもできる。
眼への局所投与に適応した医薬製剤には、その活性成分が適当な担体、特に水性溶媒に溶解し、または懸濁している点眼剤が含まれる。
口中への局所投与に適応した医薬製剤には、トローチ剤、香錠、および洗口剤が含まれる。
経直腸投与に適応した医薬製剤は、座薬または浣腸液として提供することができる。
担体が固体である経鼻投与に適応した医薬製剤には、粒径が、例えば、20〜500μの範囲の粗粉末が含まれ、この粉末を鼻で吸い取るように、すなわち、鼻に当てた粉末容器から鼻腔を通して速やかに吸入することによって投与する。鼻内スプレーまたは点鼻剤として投与するための、担体が液体である適当な製剤には、その活性成分の水性液剤または油性液剤が含まれる。
吸入による投与に適応した医薬製剤には、様々な種類の定量加圧エアゾール、噴霧器、または吸入器によって生じうる微粒子ダストまたはミストが含まれる。
膣投与に適応した医薬製剤は、腟坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供することができる。
非経口投与に適応した医薬製剤には、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、および製剤をレシピエント予定者の血液と等張にする溶質を含みうる水性および非水性滅菌注射剤、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含みうる水性および非水性滅菌懸濁剤が含まれる。その製剤を1回用量または多数回用量容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで提供し、そして使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水を加えるだけでよい冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で貯蔵することもできる。即席注射剤および懸濁剤は、滅菌散剤、顆粒、および錠剤から調製しうる。
特に上記の成分に加えて、その製剤は、当該製剤型に関して当技術分野で慣用の他の作用物質を含むことも可能であり、例えば、経口投与に適当なものは矯味剤を含みうることは理解されよう。
記載したように、治療有効量の特定の式(I)の化合物またはゲフィチニブもしくはエルロチニブは哺乳動物に投与する。典型的には、投与する本発明の薬剤の一種類の治療有効量は、例えば、哺乳動物の年齢や体重、治療を要する正確な状態、状態の重症度、製剤の性質、および投与経路を含むいくつかの要因によって決まる。最終的には、治療有効量は受け持つ内科医または獣医の裁量に任させられる。
典型的には、式(I)の化合物は、レシピエント(哺乳動物)の体重に対し1日当たり0.1〜100mg/kgの範囲で投与され、より一般的には、1日当たり1〜10mg/kg体重の範囲で投与される。
以下の実施例は、例証のみを目的とし、決して本発明の範囲を制限するものではない。
(実施例)
本明細書で使用される限り、これらの過程、スキーム、および実施例で使用する符号および慣例は、現代の科学的文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryで使用されているものに一致する。標準的な1文字または3文字の略語は、別段の記載が無い限り、L立体配置を有すると推定されるアミノ酸残基を表すために一般的に使用されている。別段の記載が無い限り、出発物質は全て、民間製造業者から入手し、さらに精製することなく使用した。具体的には、以下の略語が実施例および明細書全体にわたって使用されうる。
g(グラム) mg(ミリグラム)
L(リットル) mL(ミリリットル)
μL(マイクロリットル)psi(ポンド/平方インチ)
M(モル) mM(ミリモル)
N(規定) Kg(キログラム)
i.v.(静脈内) Hz(ヘルツ)
MHz(メガヘルツ) mol(モル)
mmol(ミリモル) RT(室温)
min(分) h(時間)
mp(融点) TLC(薄層クロマトグラフィー)
Tr(保持時間) RP(逆相)
DCM(ジクロロメタン) DCE(ジクロロエタン)
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド) HOAc(酢酸)
TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル) TMS(トリメチルシリル)
TIPS(トリイソプロピルシリル) TBS(t−ブチルジメチルシリル)
HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)
THF(テトラヒドロフラン) DMSO(ジメチルスルホキシド)
EtOAc(酢酸エチル) DME(1,2−ジメトキシエタン)
EDTA エチレンジアミンテトラ酢酸
FBS ウシ胎仔血清
IMDM イスコフ改変ダルベッコ培地
PBS リン酸緩衝食塩水
RPMI Roswell Park Memorial Institute
RIPA緩衝液*
RT 室温
*150mM NaCl、50mM Tris−HCl、pH7.5、0.25%(w/v)−デオキシコール酸、1%NP−40、5mMオルトバナジン酸ナトリウム、2mMフッ化ナトリウム、およびプロテアーゼ阻害薬カクテル。
別段の指示が無い限り、温度は全て、℃(摂氏温度)で表す。別段の記載が無い限り、反応は全て、室温、不活性雰囲気下で実施された。
GW572016Fは、ラパチニブであり、その化学名はN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシラート一水和物である。
ゲフィチニブはIressa(著作権)であり、その化学名は4−キナゾリンアミン,N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−[3−4−モルホリン)プロポキシ]である。
エルロチニブは、Tarceva(登録商標)であり、その化学名はN−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミンであり、TARCEVA(登録商標)錠として市販されている。
GW572016Fの調製
第1段階
Figure 2008511632
攪拌した3H−6−ヨードキナゾリン−4−オン(化合物A)のトルエン(5容量)懸濁液を20〜25℃のトリ−n−ブチルアミン(1.2当量)で処理し、次いで90℃に加熱した。オキシ塩化リン(1.1当量)を加え、次いで反応混合物を加熱還流した。反応混合物を50℃に冷却し、トルエン(5容量)を加えた。化合物C(1.03当量)を固体のまま加え、そのスラリーを90℃まで再加熱し1時間攪拌した。スラリーを第2の容器に移し、第1の容器をトルエン(2容量)で漱ぎ、反応混合物と混合した。反応混合物を70℃に冷却し、内容物温度を68〜72℃に維持しながら、攪拌したスラリーに1.0M水酸化ナトリウム水溶液(16容量)を1時間かけて滴下した。混合物を65〜70℃で1時間攪拌し、次いで1時間かけて20℃に冷却した。その懸濁液を20℃で2時間攪拌し、ろ過によって生成物を回収し、順次、水(3×5容量)およびエタノール(IMS、2×5容量)で洗浄し、次いで50〜60℃で真空乾燥した。
容量は、使用した化合物Aの量に関して述べられている。
観察された%収量範囲:白色または黄色結晶として90〜95%。
第2段階
Figure 2008511632
N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−ヨード−4−キナゾリンアミン−化合物D(1重量)、ボロン酸−化合物E(0.37重量、1.35当量)、および10%パラジウム炭素(0.028重量、50%水で湿潤)の混合物をIMS(15容量)でスラリー化した。得られた懸濁液を5分間攪拌し、ジイソプロピルエチルアミン(0.39容量、1.15当量)で処理し、次いで反応が完了(HPLC分析によって決定)するまで約70℃で約3時間加熱した。混合物をテトラヒドロフラン(THF、15容量)で希釈し、次いで高温でろ過して触媒を除去した。その容器をIMS(2容量)で漱いだ。
p−トルエンスルホン酸一水和物(1.5重量、4当量)の水(1.5容量)溶液を65℃に維持したろ液に5〜10分間かけて加えた。結晶化後、その懸濁液を60℃〜65℃で1時間攪拌し、1時間かけて約25℃に冷却し、この温度でさらに2時間攪拌した。固形分をろ過によって回収し、IMS(3容量)で洗浄し、次いで約50℃で真空乾燥すると、化合物Fが黄色から橙色の結晶固体として得られた(約5%w/wEtOH含有エタノール溶媒和物として単離)。
第3段階
Figure 2008511632
化合物F(1重量)および2−(メチルスルホニル)エチルアミン塩酸塩(0.4重量、1.62当量)をTHF(10容量)に懸濁させた。逐次、酢酸(0.354容量、4当量)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、1.08容量、4.01当量)を加えた。得られた溶液を30℃〜35℃で約1時間攪拌し、次いで約22℃に冷却した。次いで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.66重量、2.01当量)を約15分かけて連続装入して加えた(この時点で多少の発泡が見られる)。得られた混合物を約22℃で約2時間攪拌し、次いでHPLC分析を行うために採取した。水酸化ナトリウム水溶液(25%w/w、3容量)、続いて水(2容量)を加えることによって反応を停止させ、約30分攪拌した(腐食性添加の開始時に多少発泡が見られた)。
次いで、その水相を分離し、THF(2容量)で抽出した後、混合されているTHF抽出物を25%w/v水性塩化アンモニウム溶液(2×5容量)2で2度洗浄した。p−トルエンスルホン酸一水和物(p−TSA、0.74重量、2.5当量)の水(1容量)1溶液を調製し、約60℃に加熱し、GW572016F(化合物G)(0.002重量)の種を加えた。
バッチ温度を60±3℃に維持しながら、そのp−TSA溶液にGW572016の遊離塩基のTHF溶液を少なくとも30分間かけて加えた。得られた懸濁液を約60℃で1〜2時間攪拌し、1時間かけて20〜25℃に冷却し、この温度で約1時間放置した。固形分をろ過によって回収し、THF:水=95:5(3×2容量)で洗浄し、約35℃で真空乾燥すると、明るい黄色結晶固体としてGW572016F−化合物Gが得られた。推定収量80%理論、117%w/w。
1 最小反応容量約1容量
2 最大反応容量約17容量
# アッセイ用に修正
第4段階
Figure 2008511632
N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンのジトシル酸塩一水和物塩−化合物G(1重量)を含むテトラヒドロフラン(THF、14容量)および水(6容量)の懸濁液を約55〜60℃で30分間加熱すると溶液が得られ、この溶液をろ過によって透明にし、その水流(line)をTHF/水(7:3割合、2容量)で洗浄して結晶化容器中に入れた。得られた溶液を加熱還流し、テトラヒドロフラン(9容量、95%w/w水と共沸)を常圧で留去させた。
その溶液にN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物(0.002重量)の種を入れた。一旦、結晶化が確立した後は、55℃を超える反応温度を維持しながら水(6容量)を加えた。混合物を約2時間かけて5〜15℃に冷却した。固形分をろ過によって回収し、テトラヒドロフラン/水(3:7割合、2容量)、次いでテトラヒドロフラン/水(19:1割合、2容量)で洗浄し、45℃で真空乾燥すると、明黄色結晶固体としてN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物−化合物Gが得られた。
ゲフィチニブの調製
1996年4月23日に出願され、1996年10月31日にWO96/33980として公開された国際特許出願第PCT/GB96/00961号のp.13〜15および実施例1の手順に従ってゲフィチニブを調製した。
ラパチニブおよびゲフィチニブの投薬
細胞系をAmerican Type Culture Collectionから入手した。RPMI1640(Invitrogen # 22400-089)に10%ウシ胎仔血清(FBS、HyClone # SH30071.03)を加えた組織培養フラスコ中でその細胞を維持し、IC50を決定するために播種するまで、5%CO雰囲気下、37℃でインキュベートした。IC50の決定には、96ウェルの組織培養皿に一ウェル当たり5,000個の細胞割合で細胞を適当な培地に播種し、インキュベータに戻して夜を越した。最初の播種から約24時間後、GW572016のジトシル酸塩形、GW572016F単独、ゲフィチニブ単独、またはGW572016Fとゲフィチニブの組合せに細胞を曝露した。5%FBS、50μg/mlゲンタマイシン、および0.6%DMSOを含む、50%RPMIおよび50%低グルコースDMEM培地に細胞を投与した。投与濃度範囲は、図1〜4のグラフに反映させた通りであった。投与は全て同時に実施し、GW572016Fに対する各薬剤の投与割合は、各細胞系に各薬剤の相対的効力が概ね反映されるように調整した。ほとんどの場合、薬剤は一つの固定した割合で投与された。
化合物曝露から3日後、増殖培地を吸引除去した。細胞バイオマスは、0.1ml/ウェルのメチレンブルー(Sigma #M9140、エタノール:水=50:50に0.5%)で細胞を染色することによって推定し、続いて室温で少なくとも30分間インキュベーションした。染色部を吸引し、プレートを脱イオン水に液浸することによって洗った後風乾した。0.1mlの可溶化溶液を添加することによって細胞から染色部を放出させた(1.0%N−ラウリルサルコシン、ナトリウム塩、Sigma #L5121を含むPBS)。プレートを室温で40分間インキュベートした。吸光度は、Tecanスペクトルマイクロ−プレートリーダーにより620nMで読み取った。細胞増殖の阻害割合を未処理対照ウェルと比べて算出した。IC50値は、LevenbergおよびMarquardtの方法(Mager, 1972)、ならびに方程式:y=Vmax [1−(x/(K+x))](式中「K」=IC50)を使用し補間した。
IC50値は、各薬剤それぞれ、および組合せて求めた。IC50値をChouおよびTalalayの組合せインデックス(combination index, CI)方程式に当てはめた。
a,comb/D+Db,comb/D、その際、DaおよびDbは各薬剤単独のIC50である。Da,combは、その効果が50%阻害である組合せ中の薬剤aの量である。Db,combは、その効果が50%阻害である組合せ中の薬剤bの量である。薬剤を互いに1:1割合で投与した場合、Da,comb=Db,combである。1を超える値は拮抗を示唆する。1未満の値は相乗作用を示唆する。拮抗または相乗作用の程度は、1.0からの値の差によって反映されると仮定することができ、すなわち、0.5は0.8よりも相乗的であり、2.0は1.5よりも拮抗的である。値1.0は相加が予想されることに留意することが重要である。組合せが薬剤単独よりも高い阻害作用を示すようにもできるが、それでも拮抗的であると考えられる。併用した効果が数学的モデルで予想された効果ほど強く無い場合にこれは生じる。別の分析テンプレートが、組合せと最良の単一薬剤を比較するために開発されている。ChouおよびTalalayモデルは、その個々の薬剤が独立に作用し、または独立した経路にあり、そして相互に排他的である(mutually exclusive)とも仮定している。その薬剤がGW572016Fと同じ機序によって作用すると仮定するモデル(相互に非排他的)を使用することは、CI値のいくつかを上昇させるが、このデータセット中の薬剤のランキングを変えることはない。下表には、相互に排他的(mutually exclusive)CI測定および相互に非排他的(mutually non-exclusive)CI測定に対する組合せインデックス値が含まれる。
結果を表1および図1〜5に記載する。
Figure 2008511632
NCI−H358細胞を泳動させたが、得られたデータは4本のパラメータ用量応答曲線に当てはめるには適さなかった。
エルロチニブの調製
エルロチニブは、米国特許第5,747,498号、第22欄、第30〜50行および実施例20に開示されたものと類似の手順に従って調製しうる。
ラパチニブおよびエルロチニブと共に投与
細胞系をAmerican Type Culture Collectionから入手した。RPMI1640(Invitrogen # 22400-089)に10%ウシ胎仔血清(FBS、HyClone # SH30071.03)を加えた組織培養フラスコ中でその細胞を維持し、IC50を決定するために播種するまで、5%CO2雰囲気下、37℃でインキュベートした。IC50の決定には、96ウェルの組織培養皿に一ウェル当たり5,000個の細胞割合で細胞を適当な培地に播種し、インキュベータに戻して夜を越した。最初の播種から約24時間後、GW572016のジトシル酸塩形、GW572016F単独、エルロチニブ 単独、またはGW572016Fとエルロチニブの組合せに細胞を曝露した。5%FBS、50μg/mlゲンタマイシン、および0.6%DMSOを含む、50%RPMIおよび50%低グルコースDMEM培地に細胞を投入した。投与濃度範囲は、図6〜10のグラフに反映させた通りであった。投与は全て同時に実施し、GW572016Fに対する各薬剤の投与割合は、各細胞系に各薬剤の相対的効力が概ね反映されるように調整した。ほとんどの場合、薬剤は一つの固定した割合で投与された。
化合物曝露から3日後、増殖培地を吸引除去した。細胞バイオマスは、0.1ml/ウェルのメチレンブルー(Sigma #M9140、エタノール:水=50:50に0.5%)で細胞を染色することによって推定し、続いて室温で少なくとも30分間インキュベーションした。染色部を吸引し、プレートを脱イオン水に液浸することによって洗った後風乾した。0.1mlの可溶化溶液を添加することによって細胞から染色部を放出させた(1.0%N−ラウリルサルコシン、ナトリウム塩、Sigma #L5121を含むPBS)。プレートを室温で40分間インキュベートした。吸光度は、Tecanスペクトルマイクロ−プレートリーダーにより620nMで読み取った。細胞増殖の阻害割合を未処理対照ウェルと比べて算出した。IC50値は、LevenbergおよびMarquardtの方法(Mager, 1972)、ならびに方程式:y=Vmax [1−(x/(K+x))](式中「K」=IC50)を使用し補間した。
IC50値は、各薬剤それぞれ、および組合せて求めた。上記のように、IC50値をChouおよびTalalayの組合せインデックス(CI)方程式に当てはめた。
結果を表2および図6〜10に記載する。
Figure 2008511632
NCI−H358細胞を泳動させたが、得られたデータは4本のパラメータ用量応答曲線に当てはめるには適さなかった。
様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、ゲフィチニブ、または両方を投与した場合のA459肺癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、ゲフィチニブ、または両方を投与した場合のBT474乳房癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、ゲフィチニブ、または両方を投与した場合のColo205大腸癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、ゲフィチニブ、または両方を投与した場合のHN5頭部および頚部癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、ゲフィチニブ、または両方を投与した場合のMDA468乳房癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、エルロチニブ、または両方を投与した場合のA459肺癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、エルロチニブ、または両方を投与した場合のMDA468乳房癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 2回目の実験で様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、エルロチニブ、または両方を投与した場合のMDA468乳房癌細胞の相対的増殖を示す追加のグラフである。 様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、エルロチニブ、または両方を投与した場合のH1975肺癌細胞の相対的増殖を示すグラフである。 2回目の実験で様々な濃度のGW572016F(ラパチニブ)、エルロチニブ、または両方を投与した場合のH1975肺癌細胞の相対的増殖を示す追加のグラフである。

Claims (2)

  1. 哺乳動物の乳癌治療法であって、該哺乳動物に治療有効量の
    (i) 式(I’’)
    Figure 2008511632
    の化合物と、
    (ii) ゲフィチニブまたはその塩もしくは溶媒和物と
    を投与するステップを含む治療法。
  2. 治療有効量の
    (i) 式(I’’)
    Figure 2008511632
    の化合物と、
    (ii) ゲフィチニブまたはその塩もしくは溶媒和物と
    を含む、癌治療組合せ。
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