JP2008507553A - 粘性補給のための組成物および方法 - Google Patents

粘性補給のための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒアルロン酸、またはそのポリマー、およびトリボネクチンを含む粘性補給組成物を提供する。このような組成物は、哺乳動物の関節の潤滑および軟骨保護に有用である。

Description

本発明は、哺乳動物の関節の潤滑に関する。
発明の背景
骨関節症(OA)は、最もよく見られる型の関節疾患の1つである。OAの発症に寄与する因子は、OAの家族歴、傷害または外科手術による関節損傷歴、および関節の加齢、すなわち関節表面の「摩耗と亀裂」を含む。OAは高齢者層に極めて多く見られるが、小児にも発症する。
現在の治療法は、例えば鎮痛剤および抗炎症剤の投与による、OAによる痛みおよび他の症状の緩和に関する。他の治療法は、滑液の粘性を高めるための、関節組織へのヒアルロン酸(HA)およびその誘導体の投与による粘性補給(viscosupplementation)を含む。生体適合性、(生物)分解性、再吸収性、非免疫原性、極めて低くかつまれな発熱性などの有用な性質があるにもかかわらず、HAは高粘性の材料であるため潤滑性能は低い。粘性補給の優れた方法および組成物は今日でも求められている。
発明の概要
したがって、第1の局面では本発明は、1.0 mg/mL〜5 mg/mLの濃度のヒアルロン酸またはそのポリマー、および10μg/mL〜250μg/mLの濃度のトリボネクチン(tribonectin)を含む粘性補給組成物を特徴とする。米国特許第6,743,774号に記載されているように、トリボネクチンは、
Figure 2008507553
と少なくとも50%同一なアミノ酸配列のリピートを少なくとも1回含む人工的な境界潤滑剤である。トリボネクチンは、哺乳動物の関節への投与用に製剤化されている。好ましくはトリボネクチンは、組換え型の、または化学的に合成された潤滑ポリペプチドである。例えばトリボネクチンは、そのアミノ酸配列が少なくとも1個〜76個未満のサブユニットを含む、実質的に純粋なポリペプチドを含む。個々のサブユニットは、少なくとも7残基のアミノ酸(および典型的には10残基のアミノ酸またはそれ未満のアミノ酸)を含む。個々のサブユニットのアミノ酸配列はSEQ ID NO:3と少なくとも50%同一であり、および標準配列中の同一でないアミノ酸は保存的なアミノ酸置換である。例えば、スレオニン残基の一方または両方がセリン残基と置換されている。好ましくは、サブユニットのアミノ酸配列はSEQ ID NO:3と同一である。トリボネクチンは、アミノ酸配列
Figure 2008507553
の1つもしくは複数のリピートを含む場合もある。本明細書に記載されたポリペプチドまたは他の化合物は、重量(乾燥重量)の少なくとも60%が対象化合物である調製物に含まれる場合に、「実質的に純粋である」であると表現される。好ましくは、このような調製物は、対象化合物の重量に対して少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも99%である。純度は、任意の適切な標準的な方法で、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC解析で測定することができる。
特定のポリペプチドが、長さが正確に決まった標準ポリペプチドに対して特定の同一性%を有すると表現される場合、同一性%は標準ポリペプチドに対する値である。したがって、100アミノ酸の長さの標準ポリペプチドと50%が同一なペプチドは、標準ポリペプチドの長さが50アミノ酸の部分と完全に同一な50アミノ酸のポリペプチドであると言える。このようなペプチドは、全長に関して標準ポリペプチドと50%が同一な、長さが100アミノ酸のポリペプチドの場合もある。
任意の標準ポリペプチド分子または核酸分子と「実質的に同一な」ポリペプチドは、任意の標準ポリペプチド配列または核酸分子の配列に対して、同一性が少なくとも85%、好ましくは90%、およびより好ましくは95%、98%、99%またはこれより大きい配列を有するポリペプチドである。「同一性」という表現は、当技術分野で既知の意味を有し、および公表済みの周知の手法で計算される(例えば、Computational Molecular Biology, 1988、Lesk A. M.編、Oxford University Press, New York;Biocomputing:Informatics and Genome Projects, 1993, Smith, D. W.編、Academic Press, New York;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, 1994, Griffin, A. M. and Griffin, H. G.編、Humana Press, New Jersey;Sequence Analysis in Molecular Biology, 1987, Heinje, G., Academic Press, New York;およびSequence Analysis Primer, 1991, Gribskov, M.、およびDevereux, J.編、Stockton Press, New York)。トリボネクチンは、ベアリング面間の摩擦係数(μ)を減少させることを特徴とする。例えば摩擦の減少は、ラテックス:ガラスベアリングを使用する摩擦装置内における摩擦の減少を検出することでインビトロで測定される。摩擦の減少はインビボで、例えば、患者の痛みの緩和を測定することでも測定される。本発明のトリボネクチンは、潤滑性の物質または組成物の成分である。標準配列に対して少なくとも50%(ただし100%未満)のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドは、ベアリング面間のμの減少を測定することで潤滑機能が検討される。
トリボネクチンは、O-結合型オリゴ糖、例えばβ(1-3)Gal-GalNACの形状のN-アセチルガラクトサミンおよびガラクトースを含む場合がある。例えば、
Figure 2008507553
のリピートドメインはβ(1-3)Gal-GalNACによってグリコシル化されている(これは時に、β(1-3)Gal-GalNAC-NeuAcの形状において、NeuAcでキャップされている場合がある)。ポリペプチドに関して「グリコシル化された」という表現は、ポリペプチド分子の1か所もしくは複数の部位に糖鎖部分が存在することを意味する。例えば、トリボネクチンの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、および最も好ましくは少なくとも40%がグリコシル化されている。最大50%、またはこれ以上のトリボネクチンがグリコシル化されている場合がある。グリコシル化率(%)は重量によって決定される。
トリボネクチンは、巨核球刺激因子(MSF)の実質的に純粋な断片を含む場合がある。例えば、天然のトリボネクチンのアミノ酸配列を有する実質的に純粋なトリボネクチンの分子量は220〜280 kDaの範囲内にある。好ましくは、トリボネクチンの見かけの分子量は230 kDa未満であり、より好ましくは250 kDa未満であり、および最も好ましくは280 kDa未満である。タンパク質またはポリペプチドの断片は、由来する天然のタンパク質またはポリペプチド(例えばMSF)のアミノ酸配列の、全体に対してとは言わないまでも、その一部と同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドであると定義される。トリボネクチンは、そのアミノ酸配列が、SEQ ID NO:1(表1参照)の残基200〜1140(両端を含む)の配列と少なくとも50%が同一なポリペプチドを含む場合がある。例えば、SEQ ID NO:1の残基200〜1140(両端を含む)のアミノ酸配列を含む。別の例では、ポリペプチドは、SEQ ID NO:1の残基200〜1167(両端を含む)の配列と少なくとも50%が同一なアミノ酸配列を含み、例えばSEQ ID NO:1の残基200〜1167(両端を含む)と同一なアミノ酸配列を有するものを含む。ポリペプチドは、SEQ ID NO:1の残基200〜1212(両端を含む)の配列と少なくとも50%が同一なアミノ酸配列を含み、例えばSEQ ID NO:1の残基200〜1212(両端を含む)のアミノ酸配列を含むか、またはポリペプチドは、SEQ ID NO:1の残基200〜1263(両端を含む)の配列と少なくとも50%が同一なアミノ酸配列を含み、例えばSEQ ID NO:1の残基200〜1263(両端を含む)と同一なアミノ酸配列を含む。好ましくは、ポリペプチドの配列は、SEQ ID NO:1の残基1〜24(両端を含む)のアミノ酸配列、および/またはSEQ ID NO:1の残基67〜104(両端を含む)のアミノ酸配列を欠く。
1つの態様では、ヒアルロン酸は2.5 mg/mL〜5.0 mg/mLの濃度であるか、または3.0 mg/mL〜4.0 mg/mLの濃度である。別の態様では、本発明のHA/トリボネクチン組成物は、それぞれ2:1〜4:1のモル比のヒアルロン酸およびトリボネクチンを含む。
別の局面では、本発明は、関節に本発明の組成物を接触させることによる、哺乳動物の関節の潤滑法を特徴とする。対象となる哺乳動物は好ましくは、ヒト、ウマ、イヌ、雄ウシ、ロバ、マウス、ラット、モルモット、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、サル、またはネコであり、および対象となる関節は、膝、肘、肩、腰、または他の任意の重量荷担関節などの連接型関節である。本発明の組成物は関節内に投与可能である。
さらに別の局面では、本発明は、粘性補給剤(viscosupplement)にトリボネクチンを添加することで、哺乳動物の関節の潤滑および軟骨保護(chondroprotection)用の粘性補給剤の弾性を高める方法を特徴とする。1つの態様では、粘性補給剤はヒアルロン酸も含む。別の態様では、トリボネクチンは最終濃度が10μg/mL〜250μg/mLとなるように添加される。別の態様では、トリボネクチンに対するヒアルロン酸の比は、トリボネクチンの添加後にそれぞれ2:1〜4:1となる。対象となる哺乳動物は好ましくは、ヒト、ウマ、イヌ、雄ウシ、ロバ、マウス、ラット、モルモット、雌ウシ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、サル、またはネコであり、および対象となる関節は、膝、肘、肩、腰、または他の任意の重量荷担関節などの連接型関節である。粘性補給剤は関節内に投与可能である。または、最初に哺乳動物の関節に粘性補給剤を投与し、次にインビボで粘性補給剤に添加されるトリボネクチンを個別に投与することができる。
詳細な説明
滑液は、流体の分子構造の調節を含む場合がある、さまざまな生物学的役割を果す追加的な成分を含むヒアルロン酸(HA)の半希釈溶液である。ヒアルロン酸は、β1-4結合で連結された、N-アセチル-D-グルコサミンとD-グルクロン酸が交互に現われる単糖単位、および分子量が約50,000〜8x106の範囲であるβ1-3グリコシド結合で連結された二糖単位を含む天然の多糖である。滑膜のヒアルロン酸塩は、通常はナトリウム塩(ヒアルロン酸ナトリウム)として存在する、回転性の結合を有する長い直鎖状の負に帯電した多価電解質分子である。患者への高分子量HAの関節内(注射)投与は、外傷性の関節炎の関節の治療における有効な処置であると文献に記載されている(Kikuchi et al., Osteoarthritis and Cartilage 4:99, 1996)。健康なヒトの滑膜HAの平均分子量は、(1.6〜10.9)x106 Daの範囲内にあり;濃度は2〜4 mg/mLに相当する(Balazs et al., Arthritis Rheum. 10:357, 1967)。例えば細菌ストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooepidemicus)、またはストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equii)、雄鶏のトサカなどの、さまざまな(天然の)供給源から得られる市販のHA調製物の分子量は、数万Daから約1〜200万Daの範囲内にある。高分子量のHAは、それ自体の質量より、最大1000倍多い水と結合し、いわゆる剪断依存性の粘性および周波数依存性の弾性を示すソフトゲルとして挙動する、偽塑性の弾粘性(elastoviscous)溶液を生成する(Larsen and Balazs, Adv. Drug Delivery Rev. 7:279, 1991)。低規模の剪断力では、高分子量HAの溶液は高粘性かつ低弾性を示すが;剪断力の値が増すにつれて溶液の弾性は高まる(Simon, Osteoarthritis 25:345, 1999)。滑液のこのような非ニュートン的挙動は、(速い)動の間の関節の潤滑に不可欠である。軟骨表面は、関節構造体の(細かな)不均一性を滑らかにするSFの薄層で覆われている。この層がないと、関節の可動部分間における摩擦係数が大きくなり、強い痛みを生じることになる(Nishimura et al., Biochim. Biophys. Acta 1380:1, 1998)。雄鶏のトサカから得られる、ヒアルロン酸ナトリウム塩の弾粘性溶液の超純粋(注射投与用)調製物(HEALON(商標);Pharmacia, Uppsala, Sweden)には、特に眼科(粘性手術(viscosurgery))(Nimrod et al, J. Ocular Pharmacol. 8:161, 1992)における、ならびにリウマチ学(粘性補給)における広い応用がある(Peyron, J. Rheumatology 20 Suppl. 39:10, 1993;T. Kikuchi et al, Osteoarthritis and Cartilage 4:99, 1996)。
最近、OA患者への関節内投与用の他の調製物が、米国および他のいくつかの国々で承認された。HYLAN(商標)(Biomatrix Inc., Ridgefield, N.J., USA)という名称のこの製品は、雄鶏のトサカ起源の高分子量HAを含み、架橋されたHAを追加的に含む(L.S. Simon, Osteoarthritis 25:345, 1999)。ホルムアルデヒドによるHAの化学的架橋によって調製された超高分子量(平均は約6x106 Da)の水溶性のHYLANは、有意に長い生物学的半減期を示す(Simon, Osteoarthritis 25:345, 1999)。これについては、HYLAN(商標)溶液の注射を含む前臨床試験および臨床試験について要約した、Larsen and Balazs, Adv. Drug Delivery Rev. 7:279, 1991;Al-Assaf et al, Radiat. Phys. Chem. 46:207, 1995;およびWobig et al., Clin. Ther. 20:41, 19980を参照されたい。他のHAベースの粘性補給剤は、Hyalgan(商標)、Artzal(商標)、Suplazyn(商標)、BioHy(商標)、Orthovisc(商標)、およびSynvisc(商標)として公知である。本明細書で用いるヒアルロン酸(省略形はHA)という表現は、ヒアルロン酸、HAの架橋型、またはヒアルロン酸の塩、例えばヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、およびヒアルロン酸カルシウムなどを意味する。
ヒアルロン酸はかつて、滑液に粘弾的作用を加えて、関節の速い往復運動時における水力学的な潤滑を可能にすると考えられていた。このような環境では、歩行によって生じる負荷の一部は、関節表面間に流体が割り込むことで生じる。この作用は、病的な滑液の「衝撃吸収」特性を回復させる。ヒトの臍帯および雄鶏のトサカに由来する天然のヒアルロン酸が使用されている。hyalnへの転換は、高分子量のポリマーネットワークを作るヒドロキシル基の架橋によって実施されている(Pelletier and Martel-Pelletier, J Rheumatol (suppl 39) 20:19-24, 1993)。
メッシュ状ポリマーの意図されなかった結果は、小分子の移動を阻害する排除体積が生じたことである。例えば0.3 mg/mLの架橋ヒアルロン酸溶液は、完全な溶媒和のために1Lの水性溶媒を必要とする。この濃度は、正常な滑膜ヒアルロン酸濃度の10倍に満たず、結果的に滑液中では、個々のHAポリマーが互いに接触するようになる。言うまでもなく、閉じた膝関節への0.3 mgの粘性補給剤の注射は、あらゆる入手可能な溶媒を使用することで、患者の滑液のレオロジー特性に有意な作用をもたらし、かつ小分子の移動を停止すると考えられる。例えば、溶媒和の要件は、サイトカインおよび侵害性メディエーターが、粘弾性を回復しつつ疼痛を生じないようにする可能性がある。
軟骨保護は、滑液中の極めて多様な機構によって支えられている。滑液は、並置され、かつ加圧された軟骨表面に潤滑性を提供するように、およびこのような分化が高度に進んだ細胞には支持性の血液供給がないことから、軟骨細胞に栄養を補給するようにも存在する。滑液をヒアルロニダーゼで消化すると、潤滑状態が持続する非粘性流体が生じる(McCutchen, Wear 5:412-15, 1962)。トリプシンで消化された滑液は、潤滑機能を失った粘性流体となる(McCutchen, Fed Proc Fed Am Soc Exp Bio 25:1061-68, 1966、およびJay, Conn Tiss Re 28:71-88, 1992)。粘性の非存在下における潤滑現象は「境界潤滑」と呼ばれる。
粘性補給剤の関節内投与によるわずかな治療的価値は、NSAIDに耐容性のない患者に適切な場合がある(Lo et al., J. Am. Med. Assoc. 290:3115-21, 2003)。しかしながら、OAの有効な治療における、このような装置の常用は、その作用機構が不明なため十分確立されていない。複数回の注射が必要であり、治療的価値は典型的には3〜6か月後までは認められないが、関節内ステロイド投与よりは長く持続する場合がある(Caborn et al., J. Rheumatol. 31:333-43)。現在市販されているHAを基礎とする粘性補給剤は、関節潤滑剤ではなく、むしろ炎症促進因子の遅延剤として作用する可能性が高いと理解すべきである。この作用は、ヒアルロン酸塩の分子量が大きくなるにつれて、より顕著になる可能性がある。
粘性補給剤で治療される競走馬と極めて条件が似ているヒトの関節疾患群は、炎症性の関節状態を有する活動的な患者であり(Vad et al., Sports Medicine 32:729-39, 2002)、進行性OAの患者群ではない。滑膜炎患者に見られる潤滑力の不足は、矛盾するようではあるが、OAに罹患した患者の関節から吸引された滑液とは対照的である(Jay et al., J. Rheumatol 31:557-64, 2004)。前者の患者群には潤滑力は認められない。これとは対照的に、OA患者の潤滑力は正常である。このような興味深い観察は、潤滑性部分が、表層(superficial zone)タンパク質(SZP)とルブリシン(lubricin)をそれぞれ分泌する、表層の関節軟骨細胞(Flannery et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. 234:535-41, 1999)および滑膜線維芽細胞(Jay et al., J. Rheumatol. 27:594-600, 2000)によって作られるという事実によって、ある程度は説明される。いずれも、巨核球刺激因子の遺伝子発現による高相同性のタンパク質産物である。進行性OAの患者は、表層の軟骨細胞を明らかに欠く可能性があるが、それでも正常な滑液潤滑力を持続し、滑膜線維芽細胞の寄与が持続することが示唆される。滑液の潤滑力不足によって裏付けられる、外傷性の滑膜炎およびRAなどの病的状態では、いずれの細胞型ともに影響を受ける。外傷性滑膜炎の組織病理学的な所見はRAと類似しているが、強度および規模はそれほどではない(Brit. J. Rheum.;29:422-25, 1990)。表層の関節軟骨細胞の場合、炎症性の過程がIL-1αの発現を誘導する場合があり、SZP/ルブリシンの発現を抑制し、および最終的にタンパク質分解に至ることがある。この過程を停止させ、滑液のいくつかの機械的特性(粘弾性そのものも含む)を同時に回復させることには、ある程度の重要性があると言える。これは、非潤滑性の関節が、軟骨の損傷および早期摩耗を生じ、結果的に軟骨の線維化、および外見的なOAに至ることを示唆している。
ヒアルロン酸塩のレオロジーは、流体中に存在する凝集物およびタンパク質に依存する(Gribbon et al., Biochem. 350:329-35, 2000;Krause et al. Biomacromol. 2:65-9, 2001;およびPelletier et al., J. Biomed. Res. 54:102-8, 2001を参照されたい)。栄養素および諸因子の輸送は、流体の分子構造に大きく影響される。上述したように、遺伝子PRG4の2種類の産物である、滑膜線維芽細胞によって発現されるルブリシン(Jay et al., Conn. Tiss. Res. 28:245-55, 1992)と、表面軟骨細胞(surface chondrocyte)によって発現する表層タンパク質は、軟骨関節の境界潤滑に関与する(Jay et al., J. Rheum. 27:594-600, 2000)。ヒアルロン酸塩およびルブリシンは、負荷が大きい場合に摩擦を相乗的に減少させるが、ヒアルロン酸塩単独では潤滑力を有しない(Flannery et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. 234:535-41, 1999)。
プロテオグリカン4 (PRG4)に似たトリボネクチン、関節軟骨の表層タンパク質(SZP)、巨核球刺激因子前駆体、またはルブリシン(Ikegawa et al., Cytogenet. Cell. Genet. 90:291-297, 2000;Schumacher et al., Arch. Biochem. Biophys. 311 :144-152, 1994;Jay and Cha, J. Rheumatol., 26:2454-2457, 1999;およびJay, WIPO Int. Pub. No. WO 00/64930)は、滑液中に存在する粘液性の糖タンパク質である(Swarm et al., J. Biol. Chem. 256:5921-5925, 1981)。MSFのアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)を表1に示す。天然の完全長のMSFをコードする遺伝子(SEQ ID NO:2)は12個のエキソンを含み、および天然のMSF遺伝子産物は、ヘモペキシン様領域およびソマトメジン様領域を含む、ビトロネクチンに対して複数のポリペプチド配列の相同性を有する1404残基のアミノ酸を含む。中央部に位置する第6エキソンは940残基を含み、およびO-グリコシル化されたムチンドメインをコードする。SEQ ID NO:2のヌクレオチド631〜3453にコードされるポリペプチドは、関節軟骨の境界潤滑をもたらす。
トリボネクチンは、高接触圧力、およびゼロに近いすべり速度の条件で、一致する関節表面の境界潤滑をもたらす(Jay et al., J. Orthop. Res. 19:677-87, 2001)。このような潤滑特性はインビトロでも証明されている(Jay, Connect. Tissue Res. 28:71-88, 1992)。トリボネクチンの合成能力を有する細胞は、可動性関節内の滑膜組織中に、および関節軟骨の表層内に見つかっている(Jay et al., J. Rheumatol. 27:594-600, 2000)。
米国特許第6,743,774号、ならびに米国特許出願第09/897,188号および第10/038,694号には、トリボネクチンまたはその断片を使用して、2つの並置する生物学的表面間における潤滑を高める方法が記載されている。PCT出願第 WO 00/64930号には、トリボネクチン類似体、および哺乳動物の関節の潤滑法について記載されている。
(表1)MSFのアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)
Figure 2008507553
(表2)MSFのcDNA (SEQ ID NO:2)
Figure 2008507553
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(表3)MSFのエキソン境界
Figure 2008507553
炎症性または損傷性の関節の滑液は、潤滑性のタンパク質またはポリペプチドを分解するタンパク質分解酵素を含む。例えば、好中球などの浸潤性の免疫細胞は、トリプシンおよび/またはエラスターゼを分泌する。連接型関節の小さな外傷、または炎症状態であっても、外傷性の滑膜炎につながる細胞浸潤およびタンパク質分解酵素の分泌をもたらすことがある。数日間または数週間の滑膜炎は、関節の細胞保護層の喪失につながることがあり、軟骨の損失に至ることがある。非潤滑性の軟骨にかかる荷重には、骨関節症の端緒となり得る早期摩耗が生じる可能性がある。外傷性の滲出(例えば「膝に水が貯まる状態」)を臨床的に示す個体は、骨関節炎症を発症しやすく;タンパク質分解酵素の同化作用は、滑液中の天然の潤滑組成物を分解して枯渇させる。天然の潤滑組成物の枯渇は、慢性関節リウマチなどの他の炎症性関節疾患で見られる。このような損傷性関節への、本発明の潤滑組成物による滑液の補充または補給は、骨関節症の発症を長期間(例えば数年後まで、さらには数十年後まで)防ぎ、および直ちに関節に潤滑性を与えて短期の損傷を最小限に抑える。
インビボにおける分解に対する感受性の低い、トリボネクチンの類似体、相同体、または模倣体も本発明で使用することができる。トリボネクチンの類似体は、天然のペプチドとは、アミノ酸配列、もしくは配列に影響しない修飾、またはこの両方が異なる場合がある。修飾(一次配列を通常変化させない修飾)は、インビボまたはインビトロにおけるポリペプチドの化学的誘導体化、例えばアセチル化またはカルボキシル化を含む。例えばポリペプチドのグリコシル化パターンを、その合成およびプロセシング中に、または別のプロセシング過程で、例えばポリペプチドを、グリコシル化に影響する酵素、例えば哺乳動物のグリコシル化酵素または脱グリコシル化酵素に曝露させて修飾することで作られる、グリコシル化の修飾も含まれる。
被験体への注射による、本発明の組成物のペプチジル成分のタンパク質分解による分解が問題となる場合、特に感受性のあるペプチド結合と、切断されないペプチド模倣体結合を置換することで、結果として得られるペプチドがより安定化して、治療薬としての有用性が高まる。治療的ペプチジル成分の、トリプシンまたはエラスターゼなどのペプチダーゼによる切断に対する感受性を弱めるために、ペプチドのペプチド結合を、別のタイプの共有結合と置換してもよい(「ペプチド模倣体」)。トリプシン、エラスターゼ、および他の酵素は、関節の炎症中に浸潤性の免疫細胞によって合成されることがある。トリプシンは、リシンおよびアルギニンのカルボキシ側でポリペプチド結合を切断し;エラスターゼはアラニン、グリシンのカルボキシ側で切断する。出血性の関節中に存在するセリンプロテアーゼのトロンビンは、アルギニンのカルボキシ側でペプチド結合を切断する。コラゲナーゼは、滑膜代謝が変化した時(例えば損傷時)に、線維芽細胞および軟骨細胞によって産生されるファミリーの酵素である。これらの酵素は、グリシンおよびプロリンのカルボキシ側を切断する。1つもしくは複数のペプチダーゼ感受性ペプチド結合、例えば
Figure 2008507553
のリピート配列中に存在するペプチド結合を変化させて(例えば非ペプチド結合と交換して)、切断に対する感受性のより低い部位を作ることで、治療的製剤の臨床的な半減期を延長することができる。
このような模倣体、および模倣体をポリペプチド中に組入れる方法は当技術分野で周知である。同様に、L-アミノ酸残基とD-アミノ酸の置換は、本発明の組成物のペプチジル成分の対タンパク質分解感受性を低下させるのに有用である。t-ブチルオキシカルボニル、アセチル、ゼイル(theyl)、スクシニル、メトキシスクシニル、スベリル(suberyl)、アジピル(adipyl)、アゼライル(azelayl)、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベリル、および2,4-ジニトロフェニルなどの、アミノ末端のブロック基も有用である。
本発明の組成物の臨床的製剤は、N-メトキシスクシニル-Ala-Ala-Pro-Valクロロメチルケトン(エラスターゼの阻害剤)などのペプチダーゼ阻害剤も含む場合がある。ロイペプチン、アプロチニン、α-1-アンチトリプシン、α-2-マクログロブリン、α-1-プロテアーゼ阻害剤、アンチキモトリプシン(ACHY)、分泌白血球プロテアーゼ阻害因子(PSTI)などの臨床的に許容される他のプロテアーゼ阻害剤(例えば、Berling et al., Int. J. Pancreatology 24:9-17, 1998に記載されているような阻害剤)を本発明の組成物と同時に投与することで、タンパク質分解性の切断を低下し、かつ臨床的な半減期を延長することも可能である。2種類またはそれ以上のプロテアーゼ阻害剤のカクテルを同時に投与することもできる。
トリボネクチンポリペプチドを含む組成物を、当技術分野で既知の標準的な生理学的に適合する賦形剤、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で製剤化することが可能である。他の製剤、およびこのような製剤の作製方法は当技術分野で周知であり、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy (第20版)、A.R. Gennaro編、Lippincott Williams & Wilkins, 2000, Philadelphia、またはEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. SwarbrickおよびJ.C. Boylan編、2002, Marcel Dekker, New Yorkに記載されている。
本発明の組成物の投与
ペプチドの標準的な送達法を使用する。このような方法は当業者に周知である。関節内投与の場合、トリボネクチンは滑膜腔に20〜500μg/mlの範囲の濃度で、約0.1〜2 ml/注射の容量で送達される。例えば、250μg/mlの濃度の1 mlのトリボネクチンが、細い(例えば14〜22ゲージ、好ましくは18〜22ゲージ)針を使用して膝関節に注射される。本発明の組成物は、静脈内、皮下、筋肉内、および腹腔内などの非経口的投与にも有用である。
手術に伴う癒着の予防に関しては、本明細書に記載されたトリボネクチンが、ゲル状、泡状、繊維状、または布状で投与される。併置する表面間の癒着形成を防ぐために、このような手順で製剤化されたトリボネクチンが、損傷組織もしくは露出組織の間隙の上に、または間に配置される。有効に作用させるためには、ゲルまたはフィルムは、ゲルが最終的に分散して組織が接触するようになったときに癒着が生じにくくなるように、長期間にわたって該当場所に留まり、かつ組織の接触を防がなければならない。癒着形成の阻害もしくは予防の目的で(例えば膜状、繊維状、泡状、またはゲル状で)製剤化されたトリボネクチンは、ラットの盲腸摩耗(cecal abrasion)モデルを対象に、術後の癒着の予防に関して評価が行われている(Goldberg et al., In Gynecologic Surgery and Adhesion Prevention. Willey-Liss, pp.191-204, 1993)。組成物は、手術で摩耗したラットの盲腸の周囲に配置され、非処置対照(盲腸は摩耗しているが処置を受けなかった個体)と比較される。トリボネクチン製剤の非存在時の量と比較した時の、トリボネクチン製剤の存在下でのラットモデルにおける癒着形成量の減少は、対象製剤が、組織の癒着形成を減らすのに臨床的に有効であることを意味する。
トリボネクチンは、人工四肢および人工関節の、哺乳動物への移植に先立つコーティングにも使用されている。例えば、このような装置は、例えば米国特許第5,709, 020号または第5,702,456号に記載された手順でトリボネクチンの溶液に浸されるか、または漬けられる。
潤滑ポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸(少なくとも1回の
Figure 2008507553
リピートまたは
Figure 2008507553
リピートを含む)であり、通常は長さが約20隣接アミノ酸であり、好ましくは少なくとも40隣接アミノ酸であり、より好ましくは少なくとも50隣接アミノ酸であり、および最も好ましくは少なくとも約60〜80隣接アミノ酸である。例えばポリペプチドは、長さが約500アミノ酸であり、
Figure 2008507553
のリピートを76回含む。ポリペプチドは、長さが1404残基未満であり、例えば天然のMSFのアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)を有するが、天然のMSFのN末端における少なくとも5アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、または24アミノ酸を欠く。このようなペプチドは、組換え型MSFタンパク質のタンパク質分解による切断、デノボ合成、もしくは遺伝子工学的手法、例えばMSF遺伝子の少なくとも第6エキソン、第7エキソン、第8エキソン、および/または第9エキソンのクローニングおよび発現を含む、当業者に既知の方法で作られる。
トリボネクチンポリペプチドは生化学的に精製される場合もある。酵素キモトリプシンは、MSF遺伝子の第6エキソンによってコードされるアミノ酸で挟まれる部位を切断する。したがって、MSF遺伝子の第6エキソンにコードされるアミノ酸を含む(がMSFの他の任意のエキソンは含まない)ポリペプチドは、キモトリプシンによる酵素的消化によって、天然の、または組み換え的に作製されたMSF遺伝子産物から調製される。このようなポリペプチドを、次に標準的な生化学的精製法で処理することで、治療的投与、潤滑活性評価、または抗体産生に適した、実質的に純粋なポリペプチドが得られる。
治療的組成物は、薬学的に許容可能な担体(例えば生理食塩水)に含まれる状態で投与される。担体は、投与様式および投与経路、ならびに標準的な薬務を元に選択される。治療的組成物(例えば潤滑ポリペプチド)の治療的有効量とは、医学的に望ましい結果、例えば処置動物における哺乳動物関節に境界潤滑を生じ得る量である。医学的に望ましい結果の1つは、(例えばPeyron et al., 1993, J. Rheumatol. 20 (suppl. 39):10-15に記載されるように疼痛に関する視覚アナログ尺度を使用して測定される)痛みの低減か、または(例えばBelcher et al., 1997, J. Orthop. Trauma 11:106-109に記載された手順でペドメトリーを使用して測定される)関節の可動力の増大である。処置後の滑液の潤滑性を測定する別の方法は、患部関節から少量の滑液を再吸引し、本明細書に記載された手順で、摩擦装置を使用して潤滑特性をインビトロで検討することである。
医学領域で周知なように、任意の1匹の動物に対する用量は、個体の大きさ、体表面積、年齢、投与化合物、性別、投与時間および投与経路、全身性健康状態、ならびに併用される他の薬剤を含む数多くの因子に依存する。投与は一般に、損傷関節または炎症関節に局所的に行われる。またはポリペプチドは、損傷関節部位もしくは炎症関節部位で緩やかに放出させるために、関節の近傍に留置された時限放出型のインプラントを介して投与される。
獣医学的応用
イヌの骨関節症は、本明細書に記載された方法で治療される、よく見られる臨床疾患である。骨関節症は、成犬5頭中に1頭に見られると推定され;推定800万頭のイヌが、この変性性の潜在的に消耗性の疾患に罹患している。しかし多くの飼い主は、イヌの慢性の痛みの徴候に気づいていない。どのイヌも骨関節症を発症する可能性はあるが、最もリスクの大きいイヌは、大型の品種、老犬、極めて活動的なイヌ(作業犬や猟犬など)、および腰または肘の異形成などの遺伝性の関節異常を有する個体である。
ウマの骨関節症などの変性関節疾患は、ウマの歩行困難および作業能力低下の原因となる。ヒトおよび他の哺乳動物と同様に、ウマに見られる変性性関節疾患は、関節軟骨の変性および関節滲出液を特徴とする、滑膜関節の進行性疾患である。急性または慢性の外傷、過度の使用、発達障害、関節不安定性、ならびに高齢は、滑膜炎、軟骨細胞代謝の低下、および関節軟骨の亀裂形成に至る。トリプシン、エラスターゼ、ストロメライシン、およびヒアルロニダーゼなどの破壊的酵素は関節中に放出され、そこで滑液および軟骨成分を分解し、結果的に滑液の粘性低下、潤滑不良、軟骨代謝の低下、ならびに疼痛および軟骨びらんにつながる摩耗の促進に至る。現在の治療法は、疼痛緩和のための薬剤および抗炎症剤の使用を含む。本明細書に記載された組成物および方法は、患部関節の潤滑力を補充するのに有用である。
マイクロレオロジー試験
滑液の粘性に対するトリボネクチンの作用を、滑液中に導入された粒子のランダムウォーク挙動を調べる新しい多粒子トラッキング法で調べた。粘性は、アインシュタイン-ストークス関係を介する被追跡粒子の平均二乗変位(MSD)から計算される。この手法の利点は、必要な試料容量が極めて少量で済み;臨床的吸引液の試験に適していることである。
実験系
平均直径が200 nmの蛍光性微粒子(Duke Scientific Corp., Palo Alto, CA)を試験対象溶液に添加した(0.3%容積のフラクション)。1滴(約2〜5μL)の試料を、疎水性のマルチウェルスライド(Erie Scientific, Portsmouth, NH)上に滴下した。流体が安定な条件にあることを、トレーサーの相対運動を長時間(t>20秒)観察して確認した。スライドに覆いをして、倒立光学顕微鏡(Nikon TE 200)のステージに置き、ペルティエ素子(MELCOR, Trenton, NJ)による温度制御装置をスライドの上面に配して温度を安定させた(〜295 K)。試料の温度は、素子全体で流量が変動する熱電コントローラー(Oven Industries, Mechanicsburg, PA)を使用して設定した。100倍、1.4 NAの対物レンズ(Nikon)を拡大に使用した。蛍光ビーズの追跡は、ピクセル解像度が6.45μm x 6.45μmで、1x1のビニングを有するダイナミックレンジが12ビット、光学系のピクセル解像度当たりの有効面積が64.5 nm×64.5 nmである1500-EXの電荷結合素子(CCD)カメラ(IDT, Tallahassee, FL)で行った。
試験対象の溶液を以下に示す:
1)対照溶液として使用した、グリセロール99.5+% (Sigma-Aldrich, Milwaukee, WI)(ニュートン挙動、およびその1Pの粘性がBSFよりわずかに高いため);
2)ウシ滑液(BSF)、および4:1グリセロールで希釈したBSFを2回滅菌した水(DDW)で、1:1 (50% BSF)および3:1(75% BSF)の溶液となるように希釈したもの;
3)TPCK処理トリプシン(Worthington Biochemicals, Freehold, NJ)で消化したBSF;ならびに
4)屈指-関節症-内反股-心膜炎症候群(CACP)患者の滑液。
多粒子トラッキングのマイクロレオロジー
試料の中央面のさまざまな位置にある粒子を個別に追跡し、および約8μm×8μmの対象領域(ROI)を使用して、同じ粒子がフレーム毎に追跡されていることを確認した。個々の粒子の時間依存性のアンサンブル平均の平均二乗変位(MSD)を測定し、およびMATLABコードを使用して広域の周波数で解析した。コードは、各粒子中でフルオロフォアから放出された光の強度によって形成されたエアリーディスク(Airy disk)に対するガウス分布に適合する。この分布の中心を、粒子の中心として採用し、追跡して、時間依存性の平均二乗変位(MSD)を測定する。サブピクセルの内挿を行い、このようにして、〜5 nmの空間解像度で粒子を追跡する。粒子間の相互作用によるアーティファクトを避けるために、隣接するプローブから約10直径分、離れた粒子プローブのみを追跡した。実験では、各12秒間に16 Hzの速度で約80個の粒子を追跡した。時間依存性のMSDアンサンブル平均を使用して、流体調製物中におけるトレーサーの時間依存性の拡散性を調べ、このようにして、複雑な流体の巨視的挙動の記述を、顕微鏡による測定から得た。時間依存性のアンサンブル平均拡散係数は、式1を用いて2次元ランダムウォークモデルから得た(Berg, Random Walks in Biology, Expanded Edition, Princeton University Press, pp.5-12, Berg, 1993)。
Figure 2008507553
希釈液中におけるネットワークの構造的および機械的な不均一性は、試料全体を対象に、異なる位置における個々の粒子のMSDの時間依存性の分布を観察することで追跡されている(Apgar et al., Multiple-Particle Tracking Measurements of Heterogeneities in Solutions of Actin Filaments and Actin Bundles, Biophysical J. 79:1095-1106, 2000;Xu et al., Microheterogeneity and Microrheology of Wheat Gliadin Suspensions Studies by Multiple-Particle Tracking, Biomacromolecules 3:92-99, 2002)。試料の成分、弾性係数Gs(ω)および損失弾性率Gd(ω)を含む、時間依存性の複素弾性率(complex modulus)|G*(ω)|を、Gardelらが報告し、Masonら[5, 6]が開発した方法で、式2を用いて計算した。式中、kbはボルツマン定数、Tは温度(単位ケルビン)、aはプローブの半径、〈Δr2(τ)〉は対象周波数(ω)に対するMSD、Γはガンマ関数、およびd ln〈Δr2(τ)〉/d ln τ|τ=1/ωは、測定間のタイムラグ(τ)に対するMSDの傾き〈Δr2(τ)〉を示す。
Figure 2008507553
追跡対象の流体は等方性であり、球体の周囲で非圧縮性であり、このような低いRe数で許容されると仮定されている。また、複雑な流体中におけるネットワークの特徴的なメッシュサイズは、粒子の直径より小さい。
結果
系の検証を行うために、BSFを比較し、次に粘性が既知(1P)のニュートン流体であるグリセロールの混合物、およびDDIWで希釈した。ポリマー粘弾性流体中に埋め込まれたプローブの時間依存性のアンサンブル平均MSDは、べき(〈Δr2(τ)〉~τα)法則の挙動に従う(αは自然対数曲線の傾き)。追跡対象の時間スケールの範囲内における傾きは、流体の粘弾性挙動を示していた。DDIWに対する比が4:1のグリセロール溶液(GDDIW)を、低周波数におけるBSFの粘性挙動にマッチさせるために、この実験で使用した。このような周波数では、BSFの大半は、時間依存性のアンサンブル平均MSDの傾き
Figure 2008507553
によって明らかな、拡散挙動を示す。図1からわかるように、BSFと4:1 GDDIW溶液の曲線間のずれは、粘性にわずかに差(〜75 cP)があることを示す。低タイムラグ(<300 ms)では、BSFは、ヒアルロン酸(HA)ネットワークへの粒子の取り込みに起因する下位拡散的(subdiffusive)挙動(α<1)を示す。図2には、4:1 GDDIW溶液によるBSFのその後の希釈を示し、時間依存性のMSDの傾き(α)は、低タイムラグ(<300 ms)では、下位拡散的挙動(α<1)から、拡散的挙動
Figure 2008507553
挙動に進む。BSFが半希釈溶液から希釈溶液に進むにつれて、親水性のヒアルロン酸の濃度は、ネットワーク形成が妨げられて流体の挙動が漸進的にニュートン的となる点(体積比で〜25% BSF)まで低下する。BSF-グリセロール混合液の全てが、より高いタイムラグでは下位拡散挙動を示すが、より低いタイムラグの場合より程度は低い。濃度と粘弾性のこの関係は、前掲のXuらの論文では、コムギグリアジン懸濁液についても報告されている。
前掲のApgarらは、調節タンパク質が、複雑な流体のネットワーク形成および全体的な粘弾性に及ぼす作用の存在を証明した。同様に、精製滑膜潤滑因子(Purified Synovial Lubricating Factor; PSLF)が滑液の構造的および機械的な特性に及ぼす影響を、多粒子トラッキングマイクロレオロジー(MPTM)を用いて調べた。図3から、トリプシンによる酵素処理がBSFに及ぼす作用が、低タイムラグ(<300 ms)ではネットワークの粒子取り込み能力の低下を伴うことがわかる。ネットワークにおける弾性作用は、さらに低いタイムラグにシフトした可能性は高い。トリプシン処理されたBSFに見られるずれも粘性の低下を示す。粘性のこのような変化は、BSF中の大半のタンパク質の酵素による消化に起因する可能性がある。したがって、PSLFのみを含まない一方で、正常な滑液中に存在する他の巨大分子を有する滑液のマイクロレオロジーを調べることが重要であった。これを達成するために、ヒアルロン酸(HA)濃度が3.46 mg/mLである屈指-関節症-内反股-心膜炎症候群(CACP)の滑液を調べた。この濃度のHAは、滑液の他の溶液と同じであった。このように、ネットワーク形成分子は、制御された濃度に維持され、およびネットワーク形成における任意の変化は調節分子によるものであった。CACPの滑液量は、他の手法で、そのバルクのレオロジーを調べるには少量過ぎた。MPTMは、複雑な流体の微小環境の追跡に利用可能な唯一のツールとして有益なだけでなく、少量の流体の試験を可能にもする。というのは、必要な量が、ほぼ100μLだからである。図3では、低タイムラグ(<300 ms)におけるCACPの滑液が、傾きが1に近いニュートン流体の純粋な拡散的挙動を示すことがわかる。酵素で処理したBSFおよびCACP-HSFは、同じサイズ(220 nm)のビーズに関して、低タイムラグと高タイムラグの両方において拡散的挙動を示した。この挙動は、ニュートン流体である4:1グリセロール/水の場合と似ている。CACP-HSFの緩和時間は、BSF溶液とET-BSF溶液の両方より高い規模であり、臍帯ヒアルロン酸(UHA)の4 mg/mL溶液と同じ範囲であった。表4は、振動性のせん断流下における、さまざまな試料の緩和時間を示す。
(表4)振動性のせん断流下における滑液のさまざまな試料の緩和時間
Figure 2008507553
図4は、試料の時間依存性のアンサンブル平均拡散係数D(τ)を示す。グリセロールは、拡散係数がタイムラグの範囲で一定のニュートン流体としてふるまう。滑液試料は、時間依存性のアンサンブル平均拡散係数を有しており、高タイムラグではプラトーとなった。BSFの酵素消化後における、全体的な粘性の喪失は、周波数の全範囲において、より高い拡散係数になるほど明らかである。この流体の場合、プローブは、試料の残りにおけるプローブより極めて容易に移動可能であった。CACPにおける200 nmのプローブの低い拡散係数によって、その粘性が正常BSFより、かなり高いことは明らかである。
ネットワークの構造的な不均一性を、個々の粒子のMSDの時間依存性の分布に注目することで評価した(図5)。0.12sのタイムラグで〈Δr2(τ)〉の分布を測定し、対応するアンサンブル平均によって規格化する。予想された通り、グリセロール溶液の〈Δr2(τ)〉の分布は、平均に対して対称的であり、ニュートン流体の正規分布を示した。他の分布は、この正規分布から外れるように見られるが、試料全体について、より多くの位置における、より多くの粒子(〜250個)を、複雑な流体の不均一性の適切な統計的評価を行うために、かつさまざまな条件における変化の様式を知るために、さまざまなタイムラグで観察する必要がある。
図6に示す、検討した流体の複素弾性率は、時間依存性のアンサンブル平均MSDから得られた。低周波数(ω)では、全ての流体が、純粋に拡散的挙動を示す。ほぼ1の傾きは、コロイド状のもつれ(colloidal entanglements)の緩和と関連する低周波数の粘性に帰せられる[6]。より高い周波数(ω)では、BSFは、プローブのネットワークによるもつれのためにプラトー領域に近づくように見える低下傾向のある傾きを示す。BSFの酵素処理は、プラトー領域がBSFに関しては見られる周波数では生じないことから、より高い周波数では、その弾性を妨げるように見られる。CACPの滑液も、正常なBSFの弾性的挙動を欠く、より高い周波数では、ほぼ1の傾きを示す。この弾性的挙動が、より高い周波数にシフトする可能性があることを認識することが重要である。というのはHA濃度は、あらゆる滑液調製物で同じであり、および調節タンパク質が、滑液の粘弾性の促進に役割を果す可能性があるからである。
粘弾性的挙動を図7に示す。図7aからわかるように、グリセロール溶液は、ニュートン流体に関して予想される、低い周波数と高い周波数(ω)において傾きが1に近い、支配的な散逸率(dissipation modulus)を示す。かなり小さな貯蔵弾性率の存在は、CCD カメラ使用時の測定値の小さな誤差に起因する。滑液溶液(図7b、c、d)は、ポリマーネットワークに関して予想される挙動を示す。低い周波数(ω)では、散逸率が流体の挙動が優勢であり、最初は、ほぼ1の傾きで増加し、後にプラトーに達するが、より高い周波数(ω)では、貯蔵弾性率が支配的となり、より高い値に至る。この弾性率のクロスオーバーが生じる周波数には、依然として差が見られる。BSFの場合、このクロスオーバーは、酵素処理された滑液およびCACP滑液の場合より低い周波数で見られ、ネットワークの形成および組織化を介して調節タンパク質による粘弾性が促進されることを示している。
本明細書で引用された全ての出版物および特許は、個々の出版物または特許が具体的かつ個別に参照により組み入れられると示されているように、参照により本明細書に組み入れられる。前述の発明は、理解を容易にする目的で説明および実施例によって、ある程度、詳細に述べたが、当業者には、本発明の開示に鑑みて、添付の請求項の趣旨または範囲から逸脱することなく、ある程度の変更および修正が可能であることが容易に理解される。
時間依存性のアンサンブル平均二乗変位[D(τ)(m2/s)で表される]を時間に対してプロットする多粒子トラッキングマイクロレオロジー実験において、ウシ滑液(BSF)と4:1滅菌水/グリセリン溶液の間にずれが見られることを示すグラフを示す。 時間依存性のアンサンブル平均二乗変位[D(τ)(m2/s)で表される]を時間に対してプロットする多粒子トラッキングマイクロレオロジー実験における、4:1滅菌水/グリセリン溶液によるBSFの希釈試験の結果を示すグラフを示す。BSFは半希釈溶液〜希釈溶液に由来するため、親水性のヒアルロン酸の濃度は、ネットワーク形成が妨げられる点(体積比で〜25% BSF)に低下し、流体の挙動が次第にニュートン的に高まってゆく。 時間依存性のアンサンブル平均二乗変位[D(τ)(m2/s)で表される]を時間に対してプロットする多粒子トラッキングマイクロレオロジー実験における、トリプシンによる酵素処理がBSFに及ぼす作用を示すグラフを示す。低タイムラグ(<300 ms)では、ネットワークの有する粒子取り込み能力の喪失が認められる。トリプシン処理されたBSFに関するずれも粘性の低下を示す。 時間依存性のアンサンブル平均二乗変位[D(τ)(m2/s)で表される]を時間に対してプロットする多粒子トラッキングマイクロレオロジー実験における、ウシ滑液(BSF)、4:1グリセロール/滅菌水、トリプシン処理されたBSF、および屈指-関節症-内反股-心膜炎症候群(CACP)のヒト患者の滑液の時間依存性のアンサンブル平均拡散係数D(τ)を示すグラフを示す。 個々の粒子を対象とした、MSDの時間依存性分布の観察による、ウシ滑液(BSF)、4:1グリセロール/滅菌水、トリプシン処理されたBSF、および屈指-関節症-内反股-心膜炎症候群(CACP)のヒト患者の滑液の構造上の不均一性を示すチャートを示す。 時間依存性のアンサンブル平均MSDから得られた、ウシ滑液(BSF)、4:1グリセロール/滅菌水、トリプシン処理されたBSF、および屈指-関節症-内反股-心膜炎症候群(CACP)のヒト患者の滑液の複素弾性率を示すグラフを示す。x軸は1秒あたりの周波数(ω)である。 グリセロール、ウシ滑液(BSF)、トリプシン処理されたBSF、および屈指-関節症-内反股-心膜炎症候群のヒト患者の滑液のそれぞれの粘弾性挙動を示すグラフを示す。

Claims (18)

  1. ヒアルロン酸を1.0 mg/mL〜5.0 mg/mLの濃度で、およびトリボネクチン(tribonectin)を10μg/mL〜250μg/mLの濃度で含む、粘性補給(viscosupplementation)組成物。
  2. ヒアルロン酸が2.5 mg/mL〜5.0 mg/mLの濃度である、請求項1記載の組成物。
  3. ヒアルロン酸が3.0 mg/mL〜4.0 mg/mLの濃度である、請求項1記載の組成物。
  4. ヒアルロン酸とトリボネクチンのモル比が2:1〜4:1である、請求項1記載の組成物。
  5. 哺乳動物の関節の潤滑または軟骨保護(chondroprotection)用の薬剤の調製における、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物の使用。
  6. 関節がヒトの連接型関節(articulating joint)である、請求項5記載の使用。
  7. 関節がウマの連接型関節である、請求項5記載の使用。
  8. 関節がイヌの連接型関節である、請求項5記載の使用。
  9. 組成物が関節内に投与される、請求項5記載の使用。
  10. 薬剤の調製においてトリボネクチンが粘性補給剤(viscosupplement)に添加されることで粘性補給剤の弾性が高められる、哺乳動物の関節の潤滑および軟骨保護用の薬剤の調製におけるトリボネクチンの使用。
  11. トリボネクチンが10μg/mL〜250μg/mLの最終濃度となるように添加される、請求項10記載の使用。
  12. 粘性補給剤がヒアルロン酸を含む、請求項10記載の使用。
  13. ヒアルロン酸に対するトリボネクチンのモル比が、トリボネクチンの添加後に2:1〜4:1となる、請求項12記載の使用。
  14. 関節がヒトの連接型関節である、請求項10記載の使用。
  15. 関節がウマの連接型関節である、請求項10記載の使用。
  16. 関節がイヌの連接型関節である、請求項10記載の使用。
  17. トリボネクチンの添加後に、粘性補給剤が関節内に投与される、請求項10記載の使用。
  18. トリボネクチンの添加前に、粘性補給剤が関節内に添加される、請求項10記載の使用。
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