JP2008504015A - 改善された成長特性を有する植物とその作製方法 - Google Patents

改善された成長特性を有する植物とその作製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、S3aタンパク質をコードする核酸を植物に導入し、発現させることにより、植物の成長特性を改善する方法に関する。本発明はまた、S3aタンパク質をコードする核酸を導入したトランスジェニック植物に関し、この植物は、対応する野生型植物と比較して改善された成長特性を有する。本発明はさらに、本発明の方法に有用な構築物に関する。
【選択図】図3

Description

本発明は、概して分子生物学の分野に関し、植物の成長特性を改善する方法に関する。さらに具体的には、本発明は、小サブユニットリボソームタンパク質(S3a)をコードする核酸を植物に導入し、これを発現させることにより、植物の成長特性、特に収量を改善する方法に関する。本発明はまた、S3aコード核酸を導入した植物に関し、この植物は、対応する野生型植物と比較して、改善された成長特性を有する。
増え続ける世界の人口、および農業に利用可能な耕作に適した土地供給の減少によって、農業の効率を高めるための農業研究が盛んになっている。作物および園芸を改善するためのこれまでの手段では、所望の特性を有する植物を特定する選択的育種技術を用いている。しかし、このような選択的育種には、いくつかの欠点がある。すなわち、これらの方法は、一般に多大な労力を要し、しかも、得られる植物は、往々にして異種遺伝的成分を含むため、親植物から所望の形質が常に伝えられるとは限らない。分子生物学の進歩によって、人は動物および植物の生殖質を改変することができるようになった。植物の遺伝子工学的操作は、遺伝物質(一般に、DNAまたはRNAの形態の)の単離および操作、続いて、植物への遺伝物質の導入を含むものである。このような技術は、様々な改善された経済的、農業経済的もしくは園芸特性を備えた作物または植物を供給する能力を有する。具体的な経済的利益をもたらす特性として、収量が挙げられる。収量は、通常、一作物からの経済的価値の測定可能な農産物として定義される。これは、量および/または品質に関して定義することができる。収量は、複数の要因、例えば、器官、植物構造(例えば、枝の数)、種子生産などの数および大きさに直接左右される。根の発達、栄養摂取およびストレス耐性もまた、収量を決定するのに重要な要因である。前記の要因の1つを最適化すれば、作物の収量を高めることができると考えられる。
1970年代初めのショ糖密度勾配分析から、リボソーム集合経路の概略が明らかになった。これらの研究により、3つの主要なプレリボソーム粒子が特定された。その後、初期90S粒子(Sは沈降率)は66Sおよび43Sプレリボソームに、また前駆体は成熟60Sおよび40Sサブユニットにそれぞれプロセシングされる。60Sサブユニットは、プロセシング後、25S、5.8Sおよび5SリボソームRNAから構成される。多数のタンパク質が、成熟過程に従って相互作用していくことにより、最終構造に到達するはずである。40Sサブユニットは、18SリボソームRNAから構成され、ここでも多数のタンパク質が相互作用した後、成熟した複合体が得られることになる。これら2つのサブユニットは大きな複合体に集合するが、その際、小サブユニット40SはmRNAおよびtRNAに結合し、大サブユニットはペプチド結合形成を触媒する。リボソームの質量の約2/3はRNAからなり、1/3はタンパク質からなる。タンパク質は、それらが属するリボソームのサブユニットにちなんで名付けられている:小サブユニット(S1〜S31)および大サブユニット(L1〜L44)である。タンパク質の大部分は複数のRNAエレメント(多くの場合、異なるドメイン由来の)と相互作用して、rRNA三次構造を組織化および安定化する。解読およびペプチド転移の重要な活動は、RNAに基づく過程であり、タンパク質は、タンパク質合成の過程を簡素化するように進化した機能に積極的な役割を果たす。多くのリボソームタンパク質は、その典型的なリボソーム機能以外に、DNA修復のような非リボソーム機能も有する。
S3a(cyc07)は1991年に初めてクローニングされた。これは、40Sリボソームタンパク質(小サブユニット)をコードし、v-fos形質転換エフェクター(ヒトおよびラットではfte-1遺伝子によりコードされる)、マウスのTNF-α誘導TU-11遺伝子と相同であり、酵母PLC1およびPLC2と類似している。哺乳動物fte-1、植物cyc-07および酵母PLC2の発現はすべて、細胞周期毎に調節され、リボソームのレベルでタンパク質合成に関与していることが明らかにされている。
植物の様々な成長特性を改善する能力は、作物向上、植物育種、観賞植物の生産、樹木栽培(aboriculture)、園芸、森林、バイオリアクターで用いる藻類の生産(例えば、製剤、抗体もしくはワクチンのような物質のバイオテクノロジーによる生産、または有機廃棄物の微生物変換を目的とする)のような分野、あるいはその他の分野で多くの用途が考えられる。
小サブユニットリボソームタンパク質(S3a)をコードする核酸を植物に導入し、発現させると、対応する野生型植物と比較して改善された成長特性を有する植物が得られることがわかっている。従って、本発明の一実施形態によれば、植物の成長特性を改善する方法が提供され、この方法は、S3aをコードする核酸を植物に導入し、発現させることを含む。
有利なことには、本発明の方法の実施により、様々な改善された成長特性を有する、特に、収量、特に種子収量の増大をもたらす植物が得られる。
本明細書で定義する用語「収量の増大」とは、以下に挙げるいずれか1つ以上の、それぞれ対応する野生型植物と比較しての増大を意味する:(i)植物の1つ以上の部分、特に地上(収穫可能な)部分のバイオマス(重量)の増大、根バイオマスもしくはその他のいずれかの収穫可能な部分のバイオマスの増大;(ii)種子収量の増大、これは種子バイオマス(種子重量)の増大の結果得られることもあれば、植物当たりの種子重量の増大または個々の種子に基づく増大の場合もあり、この種子重量の増大は、種子の長さおよび/または種子の幅および/または種子の表面積など、種子寸法の改変による場合もある;(iii)(充実)種子数の増大;(iv)種子サイズの増大、これは種子の組成にも影響を与えうる;(v)種子体積の増大、これは種子の組成にも影響を与えうる;(vi)収穫指数の増大、これは、総バイオマスに対する収穫可能な部分(種子など)の収穫比率として表す;ならびに(vii)千粒重(TKW)の増大、これは計数した充実種子数とそれらの総重量から推定する。TKWの増大は、種子サイズおよび/または種子重量の増大の結果得られることもある。
本発明の好ましい実施形態によれば、収量の増大は、前記(ii)〜(vii)のうち1つ以上で定義されるように、種子レベルでの収量の増大も包含する。
トウモロコシを例に挙げると、収量増大は、以下に示すものの1つ以上として表される:中でも、1ヘクタールまたはエーカー当たりの植物数の増大、1植物当たりの雌穂数の増大、列(row)数、1列当たりの粒数、粒重量、千粒重、雌穂長さ/直径の増大。イネを例に取るならば、収量増大は、以下に示すものの1つ以上として表される:中でも、1ヘクタールまたはエーカー当たりの植物数、1植物当たりの稲穂(panicle)数、1稲穂当たりの小穂数、1稲穂当たりの花の数の増大、種子充実率の増大、千粒重の増大。収量増大が構造の改変をもたらすこともあれば、構造の改変の結果、収量増大が生じる場合もある。
本発明の好ましい特徴によれば、本発明の方法の実施により、以下に挙げるものの少なくとも1つによって表される収量増大を有する植物が得られる:各々対照植物と比較して、TKWの増大、(充実)種子数の増大、種子重量の増大および収穫指数の増大。従って、本発明により、植物収量を増大させる方法が提供され、この方法は、S3aポリペプチドをコードする核酸の植物への導入および発現を含む。
本発明のトランスジェニック植物では収量が増大するため、これらの植物は、対応する野生型植物の成長率と比較して、その生活環において対応する段階で、成長率の増大を示す(その生活環の少なくとも一部の間)と考えられる。成長率の増大は、植物の1つ以上の部分(種子など)に特異的であることもあれば、ほぼ全植物にわたることもある。成長率が増大した植物は、早期の開花を示すことさえある。成長率の増大は、植物の生活環における1以上の段階で、あるいは全生活環を通じて起こりうる。植物の生活環の早期段階での成長率の増大が、成長力の増強をもたらすこともある。成長率の増大によって、植物の収穫サイクルが改変されるため、改変されない場合より植物の播種を遅くしたり、および/または収穫を早めたりすることができる。成長率が十分に増大する場合には、同じ植物種をもう一度播種することもできる(例えば、通常の1栽培期間内に、イネを播種および収穫した後、さらにもう一度イネを播種および収穫する)。同様に、成長率が十分に増大する場合には、異なる植物種の種子をさらに播種することもできる(例えば、イネを播種および収穫した後、例えば、ダイズ、ジャガイモもしくはその他の好適な植物を播種し、場合によっては収穫する)。植物によっては、同じ根茎からさらに何度か収穫することも可能である。植物の収穫サイクルを改変することにより、1エーカー当たりの年間バイオマス生産量を増大させることができる(いずれか特定の植物を栽培および収穫することができる回数(例えば、一年での)の増加により)。また、成長率の増大により、野生型対応物より広い地理的面積でトランスジェニック植物の栽培が可能になる。というのは、作物を育てる地域的限界は、播種期(シーズン初期)または収穫期(シーズン後期)のいずれかにおける、環境上の悪条件により決定されることが多いからである。このような悪条件は、収穫サイクルが短縮されれば解消できると考えられる。成長率は、成長曲線を描く成長実験から各種パラメーターを導き出すことにより決定することができ、このようなパラメーターとして、中でも、T-Mid(植物がその最大サイズの50%に達するのにかかる時間)およびT-90(植物がその最大サイズの90%に達するのにかかる時間)がある。
本発明の方法の実施により、成長率が増大した植物が得られる。従って、本発明により、植物の成長率を増大させる方法が提供され、この方法は、S3aポリペプチドをコードする核酸の植物への導入および発現を含む。成長率の増大は、本明細書において、各々対照植物/対応する野生型植物と比較しての、TKWの増大、(充実)種子数の増大、種子重量の増大および収穫指数の増大によって例示される。
植物が非ストレス条件下にあるかどうか、または植物が対照植物と比べて様々なストレスにさらされているかどうかにかかわらず、収量および/または成長率の増大は起こる。植物は典型的に、より低速で成長することにより、ストレスへの曝露に応答する。重度のストレス条件下では、植物は、成長を全く停止することさえある。これに対し、中程度のストレスは、本明細書において、植物がさらされるストレスであって、植物の成長の完全な停止を引き起こさない程度のストレスと定義する。農業技術の進歩(灌漑、肥沃化、農薬処理など)により、栽培する作物植物が重度のストレスにさらされることは少なくなった。その結果、中程度のストレスによって損なわれる成長が、農業に望ましくない特徴をもたらすことが多くなる。中程度のストレスは植物がさらされる可能性のある典型的なストレスである。これらのストレスは、植物がさらされる日常的な生物的および/または非生物的(環境)ストレスであると考えられる。典型的な非生物的または環境ストレスとして、異常な高温または低温/凍結温度に起因する温度ストレス;塩害ストレス;水関連ストレス(干ばつまたは過剰な水)が挙げられる。非生物的ストレスは、化学薬品によって起こることもある。生物的ストレスは、一般に、病原体、例えば、細菌、ウイルス、真菌および昆虫などに起因するストレスである。
前述した成長特性は、どんな植物においても改変することができる。
本明細書中で用いる用語「植物」は、全植物、植物の先祖および子孫、ならびに植物の一部分、例えば、種子、幼植物、茎、葉、根(塊茎を含む)、ならびに組織および器官を包含し、その際、上に挙げたものは各々目的の遺伝子を含んでいる。「植物」という用語は、胚、分裂領域、配偶体、胞子体、花粉および花粉粒も包含し、やはり、各々が目的の遺伝子を含んでいる。
本発明の方法で特に有用な植物としては、緑色植物(Viridiplanae)スーパーファミリー、特に、飼料または飼い葉植物、観賞植物、食用作物、樹木もしくは低木を含む単子葉および双子葉植物があり、このような植物は、以下に挙げるものを含むリストから選択される:中でも、アカシア属spp.(Acacia spp.)、カエデ属spp.(Acer spp.)、マタタビ属spp.(Actinidia spp.)、セイヨウトチノキ属spp.(Aesculus spp.)、カウリマツ(Agathis australis)、アルビジア(Albizia amara)、Alsophila tricolor、ウシクサ属spp.(Andropogon spp.)、ナンキンマメ属spp(Arachis spp)、ビンロウ(Areca catechu)、Astelia fragrans、Astragalus cicer、ウムグシ(Baikiaea plurijuga)、カバノキ属spp.(Betula spp.)、アブラナ属spp.(Brassica spp.)、オヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza)、Burkea africana、ハナモツヤクノキ(Butea frondosa)、Cadaba farinosa、ベニゴウカン属spp.(Calliandra spp)、チャ(Camellia sinensis)、ダンドク(Canna indica)、トウガラシ属spp.(Capsicum spp.)、カワラケツメイ属spp.(Cassia spp.)、Centroema pubescens、ボケ属spp.(Chaenomeles spp.)、カシア(Cinnamomum cassia)、アラビアコーヒーノキ(Coffea arabica)、Colophospermum mopane、タマザキフジ(Coronillia varia)、Cotoneaster serotina、サンザシ属spp.(Crataegus spp.)、キュウリ属spp.(Cucumis spp.)、イトスギ属spp.(Cupressus spp.)、Cyathea dealbata、マルメロ(Cydonia oblonga)、スギ(Cryptomeria japonica)、オガルカヤ属spp.(Cymbopogon spp.)、Cynthea dealbata、マルメロ(Cydonia oblonga)、Dalbergia monetaria、Davallia divaricata、ヌスビトハギ属spp.(Desmodium spp.)、Dicksonia squarosa、Diheteropogon amplectens、Dioclea spp.、コウシュンクジマメ属spp.(Dolichos spp.)、Dorycnium rectum、Echinochloa pyramidalis、Ehrartia spp.、シュクビエ(Eleusine coracana)、Eragrestis spp.、デイコ属spp.(Erythrina spp.)、ユーカリ属spp.(Eucalyptus spp.)、Euclea schimperi、Eulalia villosa、ソバ属spp.(Fagopyrum spp.)、フェイジョア(Feijoa sellowiana)、イチゴ属spp.(Fragaria spp.)、エノキマメ属spp.(Flemingia spp)、Freycinetia banksii、ゲンノショウコ(Geranium thunbergii)、イチョウ(Ginkgo biloba)、Glycine javanica、Gliricidia spp.、リクチメン(Gossypium hirsutum)、ハゴロモノキ属spp.(Grevillea spp.)、Guibourtia coleosperma、イワオウギ属spp.(Hedysarum spp.)、Hemarthia altissima、Heteropogon contortus、オオムギ(Hordeum vulgare)、Hyparrhenia rufa、オトギリソウ(Hypericum erectum)、Hyperthelia dissoluta、Indigo incarnata、アヤメ属spp.(Iris spp.)、Leptarrhena pyrolifolia、ハギ属spp.(Lespediza spp.)、Lettuca spp.、ギンゴウカン(Leucaena leucocephala)、Loudetia simplex、Lotonus bainesii、ミヤコグサ属spp.(Lotusspp.)、Macrotyloma axillare、リンゴ属spp.(Malus spp.)、キャッサバ(Manihot esculenta)、ムラサキウマヤゴシ(Medicago sativa)、アケボノスギ(Metasequoia glyptostroboides)、Musa sapientum、タバコ属spp.(Nicotianum spp.)、イガマメ属spp.(Onobrychis spp.)、ツノウマヤゴシ属spp.(Ornithopus spp.)、イネ属spp.(Oryza spp.)、Peltophorum africanum、チカラシバ属spp.(Pennisetum spp.)、アボカド(Persea gratissima)、ツクバネアサガオ属spp.(Petunia spp.)、インゲン属spp.(Phaseolus spp.)、カナリーヤシ(Phoenix canariensis)、Phormium cookianum、カナメモチ属spp.(Photinia spp.)、Picea glauca、マツ属spp.(Pinus spp.)、エンドウ(Pisum sativum)、Podocarpus totara、Pogonarthria fleckii、Pogonarthria squarrosa、ヤマナラシ属spp.(Populus spp.)、Prosopis cineraria、アメリカトガサワラ(Pseudotsuga menziesii)、Pterolobium stellatum、セイヨウナシ(Pyrus communis)、コナラ属spp.(Quercus spp.)、シャリンバイ(Rhaphiolepsis umbellata)、ナガバナケヤシ(Rhopalostylis sapida)、Rhus natalensis、セイヨウスグリ(Ribes grossularia)、スグリ属spp.(Ribes spp.)、ニセアカシア(Robinia pseudoacacia)、バラ属spp.(Rosa spp.)、キイチゴ属spp.(Rubus spp.)、ヤナギ属spp.(Salix spp.)、Schyzachyrium sanguineum、コウヤマキ(Sciadopitys verticillata)、セコイヤ(Sequoia sempervirens)、セコイヤスギ(Sequoiadendron giganteum)、モロコシ(Sorghum bicolor)、ホウレンソウ属spp.(Spinacia spp.)、Sporobolus fimbriatus、Stiburus alopecuroides、Stylosanthos humilis、タデハギ属spp(Tadehagi spp)、ヌマスギ(Taxodium distichum)、メガルカヤ(Themeda triandra)、クローバー属spp.(Trifolium spp.)、コムギ属spp.(Triticum spp.)、アメリカツガ(Tsuga heterophylla)、スノキ属spp.(Vaccinium spp.)、ソラマメ属spp.(Vicia spp.)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)、Watsonia pyramidata、オランダカイウ(Zantedeschia aethiopica)、トウモロコシ、アマランス、チョウセンアザミ、アスパラガス、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリー、コラードグリーンズ、アマ、ケール、ヒラマメ、ナタネ、オクラ、タマネギ、ジャガイモ、イネ、ダイズ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ、ヒマワリ、トマト、カボチャ、チャ、および藻類。本発明の好ましい実施形態によれば、植物は、ダイズ、ヒマワリ、カノーラ、アルファルファ、ナタネ、ワタ、トマト、ジャガイモもしくはタバコのような作物植物である。さらに好ましくは、植物は、サトウキビのような単子葉植物である。さらにまた好ましくは、植物は、イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、アワ、ライムギ、モロコシもしくはオーツムギのような穀物である。
S3aという用語は、当業者には周知である。NaoraおよびNaora(Immunology and Cell Biology (1999) 77, 197-205)から入手した以下の表1にS3aの別名を記載する。
Figure 2008504015
S3aは、問合せ配列(query sequence)(好ましくはタンパク質配列)を既知のS3aタンパク質配列とアラインメントすることにより容易に同定することができる(例えば、図1および2に示すアラインメントを参照)。例えば、VNTI AlignX多重アラインメントプログラム(InforMax、メリーランド州ベテスダ)を用いて、ギャップオープニングペナルティー:10とギャップ延長:0.05のデフォルト設定値で、問合せ配列をアラインメントする(既知のS3a配列と)。S3a配列は高度に保存されているため、当業者は、問合せ配列のいずれかの保存領域を既知S3a配列のそれと比較することにより、容易に他のS3a配列を同定することができるであろう。このような高度保存領域は、図2の四角で囲んだ3つの領域により示す。従って、対応する保存領域を有する問合せ配列はS3aとして同定可能である。S3aはまた、真核生物開始因子elF-2およびelF-3に結合することもわかっている(Westermannら (FEBS Letters Vol.97, No.1 (1979年1月))。
本明細書で「S3a」という用語は、図1または2に示すもののようなアラインメントで用いるとき、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び(align)、かつ、図2のアラインメントで示す囲み領域に対応する保存領域を含むタンパク質を意味すると解釈される。また、S3aコード核酸は、図1または2に示すもののようなアラインメントで用いるとき、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び、かつ、図2のアラインメントで示す囲み領域に対応する保存領域を含むタンパク質をコードする核酸を意味する。このように定義したS3aおよびS3aコード核酸は、本発明の方法に有用である。
植物に導入しようとする核酸は、以上のように定義したいずれのS3aコード核酸でもよい。好ましくは、核酸は配列番号1で示すものである。植物に導入しようとする核酸は、好ましくは、植物における過剰発現のための構成性プロモーターに機能的に連結している。構成性プロモーターは、好ましくはGOS2プロモーター、さらに好ましくはイネ由来のGOS2プロモーターである。本発明の適用性は、配列番号1により示すS3aに限定されるわけでも、また、GOS2プロモーターにより駆動される場合の、S3a遺伝子/核酸の発現に限定されるわけでもない。
本発明の好ましい態様によれば、S3a核酸の増強または増大した発現が想定される。遺伝子もしくは遺伝子産物の増強または増大した発現を達成する方法は、当該技術分野の文献に詳しく記載されており、例えば、強力なプロモーターにより駆動した過剰発現、転写エンハンサーまたは翻訳エンハンサーの使用などが挙げられる。
S3aをコードする核酸は、どんな供給源に由来するものでもよい。S3aをコードする核酸/遺伝子は、細菌、酵母もしくは真菌のような微生物供給源、または植物、藻類もしくは動物(ヒトを含む)供給源から単離することができる。この核酸は、人為的な操作により、組成物および/またはゲノム環境中でのその天然形態から改変してもよい。核酸は、相同性核酸、すなわち、導入しようとする植物と同じ種か、異なる種かにかかわらず、植物から得た核酸であるのが好ましい。核酸は、双子葉植物種、好ましくはアブラナ科、さらに好ましくはシロイヌナズナから単離することができる。さらに好ましくは、シロイヌナズナから単離したS3aは配列番号1で示され、アミノ酸配列は配列番号2で示されものである。
配列番号1で示す配列は、シロイヌナズナ由来のS3aを表し、配列番号2は対応するアミノ酸配列である。有利なことに、本発明の適用性は、配列番号1で示すシロイヌナズナ由来のS3aの使用に限定されるわけではない。本発明の方法は、上記で定義したいずれのS3aまたはS3aコード配列を用いても実施することが可能である。
本発明の方法を実施するのに有用なS3aまたはS3aコード核酸は、以下に挙げるものでありうる:
(i) S3aコード核酸の一部分、好ましくは、配列番号1で示すS3aコード核酸の一部分;
(ii) S3aコード核酸とハイブリダイズすることができる配列、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸とハイブリダイズすることができる配列;
(iii) S3aコード核酸のオルタナティブスプライシング変異体、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸のオルタナティブスプライシング変異体;
(iv) S3aコード核酸の対立遺伝子変異体、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸の対立遺伝子変異体;
(v) S3aタンパク質/アミノ酸の相同体および誘導体、好ましくは配列番号2で示すS3aタンパク質の相同体および誘導体。
前記の一部分、ハイブリダイズ配列、スプライシング変異体および対立遺伝子変異体、相同体および誘導体は、上記で定義した、すなわち、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び、かつ図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含む配列であるタンパク質の場合、ならびに、既知S3aタンパク質配列と並列に並び、かつ図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含むタンパク質をコードする核酸の場合のS3aまたはS3aコード核酸の定義に含まれる。
当業者には、全長S3aDNA配列の使用が、本発明の方法を実施するのに不可欠というわけではないことは明らかであろう。本発明の方法は、S3aコードDNA/核酸の一部分(例えば、配列番号1で示すもの)を用いて実施するのが有利である。一部分とは、本来の(より大きな)DNA分子に由来する、またはそれから作製した1片のDNAを意味する。この一部分は、例えば、当該技術分野では周知の方法を用いて、配列番号1の核酸配列に1個または数個の欠失を加えることにより作製することができる。本発明の方法の実施に際し使用するのに適した一部分は、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び、かつ図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含むS3aタンパク質をコードするものである。
従って、本発明によれば、植物の成長特性を改善する方法であって、S3aコード核酸の一部分、好ましくは、配列番号1で示すS3aコード核酸の一部分を植物に導入し、発現させることを含む、上記方法が提供される。
また、S3aコード核酸とハイブリダイズすることができる核酸、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸配列とハイブリダイズすることができる核酸も、本発明の方法を実施する上で有用である。このようなハイブリダイズ配列は、既知S3aタンパク質配列と並列に並び、図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含むS3aタンパク質をコードするものである。
本明細書で定義する「ハイブリダイゼーション」という用語は、実質的に相同の相補的ヌクレオチド配列が互いにアニーリングする過程を意味する。ハイブリダイゼーション過程は、完全に溶解した状態で起こる。すなわち、相補性核酸は両方とも溶解している。このような過程に依存する分子生物学のツールとして以下のものが挙げられる:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;およびそれに基づくすべての方法)、差分ハイブリダイゼーション、ランダムプライマー伸張、ヌクレアーゼS1マッピング、プライマー伸張、逆転写、cDNA合成、RNAのディファレンシャルディスプレイ、ならびにDNA配列決定。ハイブリダイゼーション過程はまた、磁気ビーズ、セファロースビーズもしくはその他の樹脂のようなマトリックスに固定化した相補性核酸の1つと実施することもできる。このような過程に依存する分子生物学のツールに、ポリ(A+)mRNAの単離がある。さらに、ハイブリダイゼーション過程は、ニトロセルロースまたはナイロン膜のような固体支持体に固定化した、もしくは、例えば、写真平板により、例えば、ケイ素系ガラス支持体に固定化した相補性核酸の1つとも起こりうる(後者は、核酸アレイもしくはマイクロアレイまたは核酸チップとして知られる)。このような過程に依存する分子生物学のツールとして、RNAおよびDNAゲルブロット分析、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、およびマイクロアレイハイブリダイゼーションが挙げられる。ハイブリダイゼーションを起こすためには、核酸分子を一般に熱的または化学的に変性させることにより、二本鎖を2本の一本鎖に融解させ、および/または一本鎖核酸からヘアピンその他の二次構造を除去する。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、温度、塩濃度およびハイブリダイゼーションバッファー組成のような条件の影響を受ける。ハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件下で行うのが好ましい。ストリンジェントな条件とは、(1)洗浄に低イオン強度および高温(例えば、65℃または55℃のいずれかで、7%SDS中0.5Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)、1mM EDTA(pH8.0))を用いるか、または(2)ハイブリダイゼーション中ホルムアミドのような変性剤(例えば、42℃で、0.1%ウシ血清アルブミン、0.1%フィコール、0.1%ポリビニルポリピロリドン、ならびに、0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム含有の0.05Mリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)を含む50%(vol/vol)ホルムアミド)を用いる。具体例として、55℃で50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理サケ精子DNA(50nm/ml)、0.1%SDSおよび10%硫酸デキストランを用い、55℃で0.2×SSCおよび0.1%SDS中にて洗浄するものがある。当業者は、ストリンジェンシー条件を適切に決定および変動させて、明瞭かつ検出可能なハイブリダイゼーションシグナルを取得することが容易にできる。
従って、本発明によれば、植物の成長特性を改善する方法であって、好ましくはストリンジェントな条件下でS3aコード核酸、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸とハイブリダイズすることができる配列を植物に導入し、発現させることを含む、上記方法が提供される。
また、S3aコード核酸のオルタナティブスプライシング変異体、好ましくは配列番号1の配列で示すS3aコード核酸のオルタナティブスプライシング変異体も、本発明の方法を実施する上で有用である。本発明の方法を実施する上で使用するのに適したスプライシング変異体は、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び、かつ図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含むS3aタンパク質をコードするものである。本明細書で使用する用語「オルタナティブスプライシング変異体」は、選択したイントロンおよび/またはエクソンを切除、置換もしくは付加した核酸配列の変異体を包含する。このような変異体は、タンパク質の生物学的活性が変化しないままでいるものであり、これは、タンパク質の機能的セグメントを選択的に保持することにより達成することができる。このようなスプライシング変異体は、天然に存在するものでも、人為的に作製したものでもよい。このようなスプライシング変異体を作製する方法は当該技術分野では周知である。
従って、本発明は、植物の成長特性を改善する方法であって、S3aコード核酸のオルタナティブスプライシング変異体、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸のオルタナティブスプライシング変異体を植物に導入し、発現させることを含む、上記方法も提供する。
また、S3aコード核酸の対立遺伝子変異体、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸の対立遺伝子変異体も、本発明の方法を実施する上で有用である。本発明の方法を実施する際使用するのに適した対立遺伝子変異体は、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び、かつ図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含むS3aタンパク質をコードするものである。
対立遺伝子変異体は天然に存在し、このような天然対立遺伝子の使用も本発明の方法に含まれる。対立遺伝子変異体は、単一ヌクレオチド多型(SNP)、ならびに小挿入/欠失多型(INDEL)を包含する。INDELのサイズは通常100 bpより小さい。SNPとINDELは、大部分の生物の天然に存在する多型系統において、配列変異体の最も大きい集合を形成する。
従って、本発明は、植物の成長特性を改善する方法であって、S3aコード核酸の対立遺伝子変異体、好ましくは配列番号1で示すS3aコード核酸の対立遺伝子変異体を植物に導入し、発現させることを含む、上記方法も提供する。
さらに有利なことに、本発明の方法は、S3a、例えば、配列番号2で示すS3aの相同体、誘導体もしくは活性断片を用いて実施することもできる。S3aの相同体または誘導体をコードする核酸は、当業者には周知の常用の方法を用いて、容易に決定することができる。
タンパク質の「相同体」は、該当する非改変タンパク質と比較してアミノ酸置換、欠失および/または挿入を有し、かつ、それらが由来する非改変タンパク質に類似した生物学的および機能的活性を有するペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質ならびに酵素を含む。このような相同体を作製するためには、タンパク質のアミノ酸を、類似特性(例えば、類似した疎水性、親水性、抗原性、αらせん構造もしくはβシート構造を形成または破壊する傾向)を有する他のアミノ酸で置換すればよい。当該技術分野では保存的置換表が周知である(例えば、Creighton (1984) Proteins. W.H. Freeman and Company参照)。
本発明の方法に有用な相同体は、配列番号2で示すアミノ酸配列に対し少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の配列同一性を有し、同一性が高いほど好ましい。さらに、本発明の方法に有用な相同体は、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び、図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含むものである。
また、用語「相同体」には、相同体の2つの特殊な形態も含まれ、このようなものとして、オルトロガス配列およびパラロガス配列があり、これらは、遺伝子の先祖の関係を表すのに用いられる進化の概念を含む。用語「パラロガス」は、パラロガスな遺伝子をもたらす種のゲノム内での遺伝子複製に関する。用語「オルトロガス」は、先祖の関係による、異種生物における相同遺伝子に関する。
例えば、単子葉植物種におけるオルトログは、いわゆる相互ブラスト検索(reciprobal blast search)を実施することにより、容易に見出すことができる。これは、任意の配列データベース(例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.govに見出すことができる、公に利用可能なNCBIデータベースなど)に対して、該当配列(例えば配列番号1または配列番号2)をブラストすることを含む第1ブラストにより達成される。イネのオルトログを探すとしたら、該当配列を例えば、NCBIで入手可能なイネNipponbare由来の28,469全長cDNAクローンに対してブラストする。ヌクレオチドから出発する場合にはBLASTnを用い、また、タンパク質から出発する場合にはTBLASTXを使用することができ、その際、標準デフォルト値(期待値10、アラインメント50)を用いる。ブラスト結果をフィルタリングする。次に、フィルタリングした結果またはしていない結果の全長配列を該当配列(配列番号1または2)に対して再度ブラストする(第2ブラスト)。そして、第1および第2ブラストの結果を比較する。大きなファミリーの場合には、ClustalWを使用後、近縁結合系統樹(neifhbour joining tree)を用いて、クラスター形成を視覚化する。
相同体は、タンパク質の「置換変異体」の形態、すなわち、アミノ酸配列における少なくとも1個の残基を除去し、代わりに別の残基を挿入したものであってもよい。アミノ酸置換は典型的には単一残基からなるが、ポリペプチドに課した機能的制約によってはクラスター形成していてもよく;挿入は通常、約1〜10個のアミノ酸残基からなり、欠失は約1〜20個の残基である。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換を含むのが好ましい。
相同体は、タンパク質の「挿入変異体」の形態、すなわち、タンパク質の予め定めた部位に1個以上のアミノ酸残基を導入したものであってもよい。挿入は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端融合物、ならびに単一または複数のアミノ酸の配列内挿入を含む。一般に、アミノ酸配列内への挿入はアミノまたはカルボキシ末端融合物より小さく、約1〜10個の残基からなる。アミノまたはカルボキシ末端融合タンパク質またはペプチドの例として、以下が挙げられる:酵母ツーハイブリッドシステムに用いる転写アクチベーターの結合ドメインまたは活性化ドメイン、ファージ外被タンパク質、(ヒスチジン)6-タグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ-タグ、プロテインA、マルトース結合タンパク質、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、タグ-100エピトープ、c-mycエピトープ、FLAG(登録商標)-エピトープ、lacZ、CMP(カルモジュリン結合ペプチド)、HAエピトープ、プロテインCエピトープ、およびVSVエピトープ。
タンパク質の「欠失変異体」の形態をした相同体は、タンパク質から1個以上のアミノ酸を除去することを特徴とする。
タンパク質のアミノ酸変異体は、当該技術分野で周知のペプチド合成方法(例えば、固相ペプチド合成など)、または組換えDNA操作を用いて、容易に作製することができる。タンパク質の置換、挿入もしくは欠失変異体を作製する、DNA配列の操作方法は、当該技術分野で周知である。例えば、DNAの予め定めた部位で置換突然変異を作製する方法は、当業者には周知であり、以下のものが挙げられる:M13突然変異誘発、T7-Gen in vitro突然変異誘発(USB、オハイオ州クリーブランド)、QuickChange部位特異的突然変異誘発(Stratagene、カリフォルニア州サンディエゴ)、PCR媒介部位特異的突然変異誘発その他の部位指定突然変異誘発プロトコール。
「誘導体」は、例えば、配列番号2に示すようなS3aタンパク質の天然に存在する形態のアミノ酸配列と比較して、天然または非天然のアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加を含むペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質および酵素を包含する。タンパク質の「誘導体」は、該ポリペプチドの天然に存在する形態のアミノ酸配列と比較して、自然に起こった改変、グリコシル化、アシル化アミノ酸残基、または非天然のアミノ酸残基を含むペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質および酵素を包含する。誘導体は、それが誘導されたアミノ酸配列と比較して、1個以上の非アミノ酸置換基(例えば、アミノ酸配列に共有または非共有結合したリポーター分子またはその他のリガンド;例えば、リポーター分子は、その検出を容易にするために結合させる)、および天然に存在するタンパク質のアミノ酸配列と比較して、非天然のアミノ酸残基を含んでいてもよい。
S3a相同体の検索および同定方法は十分に当業者の技術的範囲内にある。比較のための配列のアラインメント方法は、当該技術分野で周知であり、このような方法として、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTAが挙げられる。GAPは、NeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48: 443-453, 1970)のアルゴリズムを用いて、マッチ数を最大限にし、ギャップの数を最小限にする2つの完全配列のアラインメントを見出す。BLASTアルゴリズムは、配列同一パーセントを算出し、2つの配列同士の類似性について統計的分析を行なう。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Centre for Biotechnology Information)を介して公に利用することができる。本発明の方法で用いるのに適した相同体、すなわち、配列番号2で示すアミノ酸配列に対し少なくとも55%の配列同一性を有するものは、全長タンパク質配列を選択し、VNTI AlignX多重アラインメントプログラム(InforMax、メリーランド州ベテスダ)を用いて、ギャップオープニングペナルティー:10およびギャップ延長:0.05のデフォルト設定値で、それらをアラインメントすることにより特定することができる。例えば、図1を参照されたい。
従って、本発明は、植物の成長特性を改善する方法であって、配列番号2で示すS3aの相同体または誘導体をコードする核酸を植物に導入し、発現させることを含む上記方法も提供し、その際、上記相同体、誘導体もしくは活性断片は、配列番号2で示すアミノ酸配列に対し少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の配列同一性を有し、同一性が高いほど好ましく、さらに、上記相同体または誘導体は、既知のS3aタンパク質配列と並列に並び、かつ図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含む。
本発明はまた、本発明の方法に有用なヌクレオチド配列の導入および/または発現を容易にするための遺伝子構築物およびベクターも提供する。
従って、以下のものを含む遺伝子構築物が提供される:
(i) 好ましくは配列番号1で示される、S3aコード核酸;
(ii) (i)の核酸配列の発現を駆動することができる1以上の制御配列;および場合によっては、
(iii) 転写終結配列。
本発明の方法に有用な構築物は、当業者には周知の組換えDNA技術を用いて構築することができる。遺伝子構築物は、植物への形質転換に好適な、および形質転換した細胞における目的の遺伝子の発現に適したベクター(市販されているものでもよい)に挿入することができる。
目的の配列(すなわち、上記で定義したようなS3aコード核酸)を含む遺伝子構築物で植物を形質転換する。目的の配列は、1以上の制御配列(少なくともプロモーター)に機能的に連結されている。「調節エレメント」、「制御配列」および「プロモーター」は、本明細書においてすべて交換可能に用いられ、広義には、それらが連結した配列の発現に影響を及ぼすことができる調節核酸配列を意味する。この用語には、古典的真核生物ゲノム遺伝子(例えば、正確な転写開始に必要なTATAボックス、その際、CCAATボックス配列を含んでも含まなくてもよい)、ならびに、発生および/または外部刺激に応答して、または組織特異的に遺伝子発現を改変する別の調節エレメント(すなわち、上流活性化配列、エンハンサーおよびサイレンサー)も含まれる。また、古典的原核生物遺伝子の転写調節配列もこの用語に含まれ、その場合、これは、−35ボックス配列および/または−10ボックス転写調節配列を含んでもよい。さらに「調節エレメント」という用語は、細胞、組織もしくは器官における核酸分子の発現を賦与、活性化もしくは増強する合成融合分子または誘導体も包含する。本明細書で用いる「機能的に連結した」とは、プロモーター配列が目的の遺伝子の転写を開始することができるような、該プロモーター配列と目的遺伝子の機能的連結を意味する。
有利なことには、あらゆるタイプのプロモーターを用いて、S3aコード核酸の発現を駆動することができる。
好ましくは、S3aをコードする核酸は、構成性プロモーターに機能的に連結させる。本明細書で定義する用語「構成性」とは、1より多くの組織または器官に優勢に、および植物の生活環における任意の段階で優勢に、発現するプロモーターを意味する。構成性プロモーターを植物全体に優勢に発現させるのが好ましい。好ましくは、構成性プロモーターは、イネ由来のGOS2プロモーターである。
本発明の方法で用いるのに適したその他の構成的プロモーターの例を以下の表Aに記載する。
Figure 2008504015
場合によっては、植物に導入した構築物に1以上のターミネーター配列を用いてもよい。「ターミネーター」という用語は、転写単位の末端に位置するDNA配列であり、かつ一次転写物の3’プロセシングおよびポリアデニル化ならびに転写終結の信号を与える制御配列を包含する。さらに別の調節エレメントは、転写エンハンサー、および翻訳エンハンサーを含んでもよい。当業者は、本発明を実施する上での使用に適したターミネーターおよびエンハンサー配列を認識するであろう。このような配列は、当業者には公知であり、容易に取得することができる。
本発明の遺伝子構築物は、特定の細胞型における維持および/または複製に必要な複製起点配列をさらに含んでもよい。一例として、遺伝子構築物を細菌細胞内にエピソーム遺伝子エレメント(例えば、プラスミドまたはコスミド分子)として維持しなければならない場合が挙げられる。好ましい複製起点として、限定するものではないが、f1-oriおよびcolE1が挙げられる。
遺伝子構築物は、場合によっては選択マーカー遺伝子を含んでもよい。本明細書で用いるように、「選択マーカー遺伝子」という用語は、発現する細胞に表現型を賦与することにより、本発明の核酸構築物でトランスフェクションまたは形質転換した細胞の特定および/または選択を容易にするいかなる遺伝子をも意味する。好適なマーカーは、抗生物質または除草剤耐性を賦与するマーカー、新しい代謝特性を導入するマーカー、もしくは視覚的選択を可能にするマーカーから選択することができる。選択マーカー遺伝子の例として、以下のものが挙げられる:抗生物質に対する耐性を賦与する遺伝子(例えば、ネオマイシンおよびカナマイシンをリン酸化するnptII、またはヒグロマイシンをリン酸化するhpt)、除草剤に対する耐性を賦与する遺伝子(例えば、Bastaに対する耐性を賦与するbar;グリホセートに対する耐性を賦与するaroAまたはgox)、または代謝特性を賦与する遺伝子(例えば、植物が唯一の炭素源としてマンノースを使用するようにするmanA)。視覚マーカー遺伝子により、色(例えば、βグルクロニダーゼ、GUS)、発光(例えば、ルシフェラーゼ)もしくは蛍光(緑色蛍光タンパク質(GFP)、およびその誘導体)が形成される。
本発明はまた、本発明の方法により得られる植物も包含する。従って、本発明は、本発明の方法により得られる植物を提供し、この植物には、既述したように、S3aタンパク質をコードする核酸が導入され、発現させてある。
本発明はまた、改善された成長特性を有するトランスジェニック植物の生産方法であって、好ましくは、配列番号1で示すS3aコード核酸を植物に導入し、発現させることを含む、上記方法を提供する。
さらに具体的には、本発明は、改善された成長特性を有する植物の生産方法であって、以下のステップを含む方法を提供する:
(i) 好ましくは、配列番号1で示すS3aコード核酸を植物または植物細胞に導入するステップ;
(ii) 再生および成熟植物の成長を促進する条件下で植物細胞を培養するステップ。
核酸は、植物細胞または植物自体に直接導入することができる(組織、器官もしくはその他の植物部分への導入を含む)。本発明の好ましい特徴によれば、形質転換により核酸を植物に導入するのが好ましい。
本明細書で用いる用語「形質転換」とは、移入に用いる方法とは関係なく、外性ポリヌクレオチドの宿主細胞への移入を意味する。後にクローン増殖が可能な植物組織は、器官形成または胚形成のいずれによるものでも、本発明の遺伝子構築物で形質転換することができ、そこから全植物を再生させることができる。選択した特定の組織は、形質転換しようとする特定の種に利用可能な、かつ最も適したクローン増殖系に応じて変わってくる。組織標的の例を以下に挙げる:葉片、花粉、胚、子葉、胚軸、大配偶体、カルス組織、存在する分裂組織(例えば、頂端分裂組織、腋芽、および根分裂組織)、ならびに誘導分裂組織(例えば、子葉分裂組織および胚軸分裂組織)。ポリヌクレオチドを宿主細胞に一時的または安定的に導入することができ、また例えばプラスミドとして、組み込まずに維持することができる。あるいは、これを宿主ゲノムに組み込んでもよい。得られた形質転換植物細胞を用いて、当業者には公知の方法で形質転換植物を再生させることができる。
植物種の形質転換は、現在、かなり常用されている技術である。有利なことに、いくつかの形質転換方法のいずれを用いて、目的の遺伝子を適切な母細胞に導入してもよい。形質転換方法として、リポソームの使用、エレクトロポレーション、遊離DNA取込みを高める化学薬品、植物へのDNAの直接注入、パーティクルガンボンバードメント、ウイルスまたは花粉を用いた形質転換、ならびにマイクロインジェクションが挙げられる。また、以下に挙げる方法から選択することもできる:プロトプラストに対するカルシウム/ポリエチレングリコール法(Krens, F.A.ら、1882, Nature 296, 72-74;Negrutiu I.ら、June 1987, Plant Mol. Biol. 8, 363-373);プロトプラストのエレクトロポレーション(Shillito R.D. ら、1985 Bio/Technol 3, 1099-1102);植物材料へのマイクロインジェクション(Crossway A. ら、1986, Mol. Gen Genet 202, 179-185);DNAまたはRNAコーティング粒子ボンバードメント(Klein T.M. ら、1987, Nature 327, 70);(非組込み)ウイルスへの感染など。S3aを発現するトランスジェニックイネ植物は、周知のイネ形質転換方法のいずれかを用いて、アグロバクテリウム媒介の形質転換により作製するのが好ましい。このような形質転換方法として、例えば、以下のいずれかの文献に記載されているものが挙げられる:欧州特許出願公開EP1198985 A1、AldemitaおよびHodges(Planta, 199, 612-617, 1996);Chan ら(Plant Mol. Biol. 22 (3) 491-506, 1993)、Hieiら(Plant J. 6 (2) 271-282, 1994)(尚、これらの開示内容は、完全に記載されているのと同様に、参照により本明細書に組み込むものとする)。トウモロコシ形質転換の場合には、好ましい方法は、Ishidaら(Nat. Biotechnol. 1996 Jun; 14(6): 745-50)またはFrameら(Plant Physiol. 2002 May; 129(1): 13-22)のいずれかに記載されている通りである(尚、これらの開示内容は、完全に記載されているのと同様に、参照により本明細書に組み込むものとする)。
一般に形質転換後、目的の遺伝子と一緒に共転移した、植物で発現可能な遺伝子によりコードされた1個以上のマーカーの存在について、植物細胞または細胞群を選択し、次に、形質転換物を全植物に再生させる。
DNAの転移および再生後、例えば、サザン分析を用い、目的の遺伝子、コピー数および/またはゲノム構成について、形質転換されたと推定される細胞を評価する。これに代わり、または加えて、ノーザンおよび/またはウェスタン分析を用いて、新しく導入したDNAの発現レベルをモニタリングすることもできる。いずれの方法も当業者には周知である。
作製した形質転換植物は、様々な手段、例えば、クローン増殖または古典的育種技術により増殖させることができる。例えば、第1世代(またはT1)形質転換植物を自家受粉させて、ホモ接合第2世代(またはT2)形質転換体を取得し、T2植物を古典的育種技術により増殖させる。
作製した形質転換生物は、多様な形態を取ることができる。例えば、これらは、形質転換細胞および非形質転換細胞のキメラ;クローン形質転換体(例えば、発現カセットを含むように形質転換したすべての細胞);形質転換および非形質転換組織の移植片(例えば、植物の場合、非形質転換の接ぎ穂(scion)に移植した形質転換根茎)である。
本発明の範囲が、本明細書に記載した方法のいずれかにより作製されたいずれの植物細胞または植物にも、さらにはそのすべての植物部分および伝播体にまで及ぶのは明らかである。本発明の範囲はさらに拡大され、子孫が、本発明の方法により親にもたらされたのと同じ遺伝子型および/または表現型形質を呈示することを唯一の必要条件として、前記方法のいずれかにより作製した一次形質転換またはトランスフェクション細胞、組織、器官もしくは全植物の子孫を包含する。また、本発明は、単離したS3aコード核酸を含む宿主細胞も包含する。本発明の好ましい宿主細胞は植物細胞である。本発明はまた、限定するものではないが、種子、葉、果実、花、茎培養、根茎、塊茎および球根のような植物の収穫可能な部分にも及ぶ。
本発明の方法は、S3aコード核酸を植物に導入することなく実施することもできる。これは、遺伝的改変(好ましくは、S3aコード核酸の遺伝子座での)を導入することにより達成できる。本明細書に定義する遺伝子の遺伝子座とは、目的の遺伝子を含み、コード領域の10KB上流または下流に位置するゲノム領域を意味する。
遺伝的改変は、例えば、以下に挙げる方法のいずれか1つ(または複数)により導入することができる:TDNA活性化、TILLING、部位指定突然変異誘発、相同組換え、定向進化法、もしくは前述のように、S3aコード核酸の植物(細胞)への導入および発現。
T-DNA活性化標識(Hayashiら、Science (1992) 1350-1353)は、プロモーターが標的遺伝子の発現を指令するような配置で、目的の遺伝子のゲノム領域、または遺伝子のコード領域の10KB上流もしくは下流に、通常、プロモーター(翻訳エンハンサーまたはイントロンでもよい)を含むT-DNAを挿入することを含む。一般に、その天然プロモーターによる目的遺伝子の発現の調節が破壊されて、遺伝子は、新しく導入したプロモーターの制御を受ける。このプロモーターは、典型的には、T-DNA中に担持されている。このT-DNAを、例えば、アグロバクテリウム感染により植物ゲノムにランダムに挿入することにより、挿入したT-DNA付近の遺伝子の過剰発現を引き起こす。こうして得られたトランスジェニック植物は、導入したプロモーター付近の遺伝子の過剰発現により優性表現型を示す。導入しようとするプロモーターは、所望の生物、この場合、植物において遺伝子の発現を指令することができるいずれのプロモーターでもよい。例えば、構成性、組織優先、細胞型優先、および誘導性プロモーターはすべて、T-DNA活性化での使用に適している。
また、TILLING(ゲノム中での標的化誘導性局所損傷)の技術を用いて、S3aコード核酸/遺伝子の遺伝子座に遺伝的改変を導入することもできる。これは、S3a生物学的活性を示すことができるS3aコード核酸の突然変異誘発変異体を作製および/または特定し、最終的に単離する上で有用な突然変異誘発法である。TILLINGはまた、このような突然変異体を有する植物の選択も可能にする。これらの突然変異体は、天然形態の遺伝子により示されたものより高いS3a活性を示すことさえある。TILLINGは、高密度突然変異誘発とハイスループットスクリーニング方法とを組み合わせたものである。TILLINGで典型的に行われるステップは以下の通りである:(a)EMS突然変異誘発(RedeiおよびKoncz, 1992;Feldmannら、1994;LightnerおよびCaspar, 1998);(b)個体のDNA調製およびプール;(c)目的とする領域のPCR増幅;(d)ヘテロ二重鎖を形成させるための変性およびアニーリング;(e)DHPLC(プール中のヘテロ二重鎖の存在をクロマトグラムの余剰ピークとして検出する);(f)突然変異体個体の特定;ならびに(g)突然変異体PCR産物の配列決定。TILLINGの方法は当該技術分野では周知である(McCallum Nat Biotechnol. 2000 Apr; 18(4):455-7, Stempleにより概説されている(TILLING-a high-throughput harvest for functional genomics. Nat Rev Genet. 2004 Feb; 5(2):145-50))。
部位指定突然変異誘発を用いて、S3aコード核酸の変異体またはその一部分を作製することができる。部位指定突然変異誘発を達成するのに、複数の方法が利用可能であり、最も一般的なのはPCRによる方法である(current protocols in molecular biology. Wiley編集、http://www.4ulr.com/products/currentprotocols/index.html)。
また、定向進化法を用いて、S3aコード核酸の変異体を作製することもできる。これは、DNAシャッフリングの反復の後、適切なスクリーニングおよび/または選択を実施して、S3aコード核酸の変異体を作製することからなる(Castleら、(2004) Science 304(5674): 1151-4;米国特許出願公開第5,811,238号および同第6,395,547号)。
T-DNA活性化、TILLING、部位指定突然変異誘発および定向進化法は、新規対立遺伝子およびSYT変異体の作製を可能にする方法の例である。
相同組換えにより、所定の選択された位置で、選択された核酸のゲノムへの導入が可能になる。相同組換えは、酵母またはヒメツリガネゴケ(physcomitrella)のような下等生物の生物科学に常用されている標準的技術である。植物において相同組換えを実施する方法は、モデル植物(Offringaら、Extrachromosomal homologous recombination and gene targeting in plant cells after Agrobacterium-mediated transformation. 1990 EMBO J. 1990 Oct; 9(10):3077-84)だけではなく、作物植物、例えば、イネについても記載されている(Terada R, Urawa H, Inagaki Y, Tsugane K, Iida S. Efficient gene targeting by homologous recombination in rice. Nat Biotechnol. 2002;IidaおよびTerada: A tale of two integrations, transgene and T-DNA: gene targeting by homologous recombination in rice. Curr Opin Biotechnol. 2004 Apr; 15(2):132-8)。ターゲティングしようとする核酸(上記で定義したS3aコード核酸でもよい)をS3aコード遺伝子の遺伝子座にターゲティングする必要はなく、例えば、高発現領域に導入することができる。ターゲティングしようとする核酸は、内在性遺伝子を置換するのに用いられる改善された対立遺伝子でもよいし、これを内在性遺伝子に加えて導入してもよい。
本発明はまた、S3aをコードする核酸の使用およびS3aポリペプチドの使用も包含する。
このような使用はもちろん、植物の成長特性の改善、特に収量、とりわけ種子収量の改善における、上記で定義したS3aの使用に関する。種子収量としては、以下のものの1つ以上が挙げられる:中でも、(充実)種子の数の増大、種子重量の増大、収穫指数の増大およびTKWの増大。S3aコード核酸は、配列番号1で示すものとすることができ、S3aタンパク質は配列番号2で示すアミノ酸とすることができる。
上記で定義したS3aコード核酸およびS3aポリペプチドは、育種プログラムでの使用も考えられる。S3aコード核酸は、配列番号1で示すものとすることができ;または、S3aを配列番号2で示すアミノ酸とすることができる。例えば、S3aコード核酸またはその一部分は、好ましくは、1以上の関連ファミリーメンバーと一緒に、染色体(またはその一部分)に存在する。このような育種プログラムでは、植物においてS3aタンパク質をコードする核酸の発現をモジュレートすることができる遺伝子と遺伝的に連鎖しうるDNAマーカーを同定する。その際、上記遺伝子は、S3aタンパク質をコードする遺伝子それ自体でもよいし、あるいはS3aタンパク質をコードする遺伝子の発現および/またはS3aタンパク質自体の活性に直接的もしくは間接的に影響を与えうるその他の遺伝子でもよい。このDNAマーカーを育種プログラムに用いることにより、改善された成長特性を有する植物を選択する。
S3aの対立遺伝子変異体は、通常の育種プログラム、例えば、マーカー活用育種でも用いることができる。このような育種プログラムは、時として、植物の突然変異誘発処理により、対立遺伝子変異の導入を必要とする。1つの好適な突然変異誘発方法にEMS突然変異誘発がある。次に、例えば、PCRにより対立遺伝子変異体の同定を実施する。続いて、該当配列の優れた対立遺伝子変異体であり、植物に改善された成長特性を賦与する変異体の選択ステップを実施する。典型的には、該当配列の様々な対立遺伝子変異体(例えば、配列番号1の様々な対立遺伝子変異体)を有する植物の成長性能をモニタリングすることにより、選択を実施する。成長性能のモニタリングは、温室または屋外で実施することができる。さらに、随意のステップとして、優れた対立遺伝子変異体を同定した植物を別の植物と交雑させることが挙げられる。これを用いて、例えば、関心のある表現型形質の組み合わせを作り出すことができる。
また、S3aコード核酸は、それらが含まれる遺伝子群を遺伝的および物理的にマッピングするためのプローブ、ならびに上記遺伝子に連鎖する形質のマーカーとして用いることもできる。このような情報は、所望の表現型を有する系統を作製するための植物育種に有用であると考えられる。S3aコード核酸のこのような使用は、少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列しか必要としない。S3aコード核酸は、制限断片長多型(RFLP)マーカーとして用いてもよい。制限消化植物ゲノムDNAのサザンブロット(Maniatis)をS3aコード核酸でプローブしてもよい。こうして得られたバンド形成パターンを、次にMapMaker(Lander ら (1987) Genomics 1:174-181)のようなコンピュータプログラムを用いた遺伝子分析に付すことにより、遺伝子地図を構築することができる。加えて、該核酸を用いて、所定の遺伝的交雑の親および子孫を代表する個体の集合の制限エンドヌクレアーゼ処理ゲノムDNAを含むサザンブロットをプローブすることもできる。DNA多型の分離を記録し、これを用いて、この集団を用いて既に取得した遺伝子地図におけるS3aコード核酸の位置を計算する(Botsteinら、(1980) Am. J. Hum. Genet. 32:314-331)。
遺伝子マッピングに用いるための植物遺伝子由来のプローブの作製および使用については、BematzkyおよびTanksley (1986) Plant Mol. Biol. Reporter 4:37-41に記載されている。多数の刊行物に、上記で概説した方法またはそれらの変法を用いた特定のcDNAクローンの遺伝子マッピングについて記載されている。例えば、F2相互交雑集団、戻し交雑集団、ランダム交配集団、準同質遺伝子系統その他の個体の集合をマッピングに用いることができる。このような方法は、当業者には周知である。
また、核酸プローブを物理的マッピング(すなわち、物理的地図への配列の配置;Hoheiselら: Non-mammalian Genomic Analysis: A Practical Guide, Academic press 1996, pp. 319-346、ならびにそこに引用されている参照文献を参照のこと)に用いてもよい。
別の実施形態では、核酸プローブを直接的蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)マッピング(Trask (1991) Trends Genet. 7:149-154)に用いる。FISHマッピングの現在の方法では大きなクローン(数〜数百KB;Laanら、(1995) Genome Res. 5:13-20参照)の使用が好ましいが、感受性の改善により、より短いプローブを用いたFISHマッピングの実施が可能になるであろう。
核酸増幅による遺伝的および物理的マッピングの様々な方法を、該核酸を用いて実施することができる。その例を以下に挙げる:対立遺伝子特異的増幅(Kazazian (1989) J. Lab. Clin. Med 11:95-96)、PCR増幅断片の多型(CAPS; Sheffieldら、(1993) Genomics 16:325-332)、対立遺伝子特異的ライゲーション(Landegrenら、(1988) Science 241:1077-1080)、ヌクレオチド伸張反応(Sokolov (1990) Nucleic Acid Res. 18:3671)、放射ハイブリッドマッピング(Walterら、(1997) Nat. Genet. 7:22-28)、およびHappyマッピング(DearおよびCook (1989) Nucleic Acid Res. 17:6795-6807)。これらの方法の場合、ある核酸の配列を用いて、増幅反応またはプライマー伸張反応に用いるためのプライマー対を設計および作製する。このようなプライマーの設計は、当業者には周知である。PCRによる遺伝子マッピングを使用する方法では、当該核酸配列に対応する領域におけるマッピング交雑の親同士のDNA配列の差異を確認しなければならない場合もある。しかし、これは一般にマッピング方法には必要がない。
S3aコード核酸およびS3aポリペプチドは成長調節剤としての使用も考えられる。S3aコード核酸を、配列番号1で示す核酸とすることができ、またはS3aタンパク質/ポリペプチドを配列番号2で示すアミノ酸とすることができる。これらS3aは、植物の成長特性を改善するのに有用であることから、S3aは、除草剤または成長刺激剤のように有用な成長調節剤でもあるであろう。従って、本発明は、成長調節剤として使用するための、好適な担体、希釈剤もしくは賦形剤と一緒に、S3aまたはS3aコード核酸を含んでなる組成物を提供する。
本発明の方法により、上述のように、改善された成長特性を有する植物が得られる。これらの改善された成長特性は、それ以外の経済的に有利な特性、例えば、さらに収量を増大させる特性、各種ストレスに対する耐性、様々な構造上の特徴および/または生化学的および/もしくは生理学的特徴を改変する形質と組み合わせることもできる。
図面の簡単な説明
以下に、添付の図面を参照にしながら本発明を説明する。
図1は、VNTI AlignX多重アラインメントプログラム(InforMax、メリーランド州ベテスダ)を用いて、ギャップオープニングペナルティー:10およびギャップ延長:0.05のデフォルト設定値で実施したS3aタンパク質配列のアラインメントを示す図である。VNTIオプションにより定義されるように、黒い背景に白字で表す残基は同一であり;灰色の背景に白字で示す残基は保存的ブロックまたは類似残基のブロックのいずれかである。
図2は、Lyamouriら、(Gene 294 (2002) 147-156)から入手したアラインメントを示す図であり、様々な種:ヒト(Hs)、ハツカネズミ(Mm)、トラフグ(Tr)、アフリカツメガエル(Xl)、ショウジョウバエ(Dm)、クロショウジョウバエ(Dv)、線虫(C. elegans)(Ce)、出芽酵母(Sc)、シロイヌナズナ(At)、イネ(Os)およびホロバクテリウム・ホロビウム(H. holobium)(Hh)由来のS3aタンパク質における高い保存度を明らかにしている。黒い背景は同一のアミノ酸を、また薄灰色は、保存されたアミノ酸置換をそれぞれ示す。ギャップは点線で示す。最も高い保存の領域は四角で囲んである。
図3は、イネGOS2プロモーター(本文中、PRO0129と称す)の制御下での、シロイヌナズナcyc07推定S期特異的40S S3aリボソームタンパク質遺伝子(本文中、CDS0730と称す)のイネにおける発現のためのバイナリーベクターを示す図である。
図4では、本発明の方法を実施するのに有用な配列の例を詳細に示す。
以下の実施例を参照しながら本発明を説明するが、これらの実施例は例として示すに過ぎない。
DNA操作:特に記載のない限り、組換えDNA法は、以下の文献に記載された標準的プロトコールに従って実施する:Sambrook (2001) Molecular Cloning: a laboratory manual, 第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, CSH, ニューヨーク、またはAusubelら、(1994), Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocolsの第1巻および第2巻。植物分子研究の標準的材料および方法は、R.D.D. CroyによるPlant Molecular Biology Labfase (1993)(BIOS Scientific Publications Ltd (英国)およびBlackwell Scientific Publications (英国)により出版)に記載されている。
実施例1:遺伝子クローニング
鋳型としてシロイヌナズナ幼植物cDNAライブラリー(Invitrogen, Paisley、英国)を用いて、PCRによりシロイヌナズナS3a(S期特異的40S cyc07)を増幅した。幼植物から抽出したRNAの逆転写後、cDNAをpCMV Sport 6.0にクローニングした。バンクのインサートの平均サイズは1.5kbであり、クローンの初期数は1.59×107 cfuであった。初期力価は9.6×105 cfu/mlと決定されたが、第1回増幅後には、6×1011 cfu/mlとなった。プラスミド抽出後、200 ngの鋳型を50μlのPCRミックスに用いた。プライマーprm02255(センス、開始コドンは太字、AttB1部位は下線で示す:5’ GGGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCTTCACAATGGCTGTCGGGAAGAA 3’)およびprm02256(リバース、相補的、終止コドンは太字、AttB2部位は下線で示す:5’ GGGGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGTCCTAAGCTCCGATGATTTCT 3’)(Gateway組換えのためのAttB部位を含む)をPCR増幅に用いた。標準的条件下でHifi Taq DNAポリメラーゼを用いて、PCRを実施した。やはり標準的方法を用いて789 bpのPCR断片を増幅および精製した。次にGateway手順の最初のステップであるBP反応を実施し、その間に、PCR断片はin vivoでpDONR201プラスミドと組み換えられ、Gateway用語でいう「エントリークローン」であるp2782を生じる。プラスミドpDONR201は、Gateway(登録商標)技術の一環としてInvitrogenから購入した。
実施例2:ベクター構築
続いて、エントリークローンp2782を、イネ形質転換に用いるデスティネーションベクターであるp0640とのLR反応に用いた。このベクターは、T-DNA境界内の機能的エレメントとして、植物選択マーカー;植物スクリーニングマーカー;ならびに、エントリークローンに既にクローニングされた目的の配列とのLR in vivo組換えのためのGatewayカセットを含有する。構成的発現のためのイネGOS2プロモーター(PRO0129)はGatewayカセットの上流に配置される。LR組換えステップ後、得られた発現ベクター(図3に示す)をアグロバクテリウムに、次にイネ植物体に形質転換した。形質転換したイネ植物体を栽培し、実施例3に記載するパラメーターについて試験した。
実施例3:評価および結果
約15〜20の独立したT0イネ形質転換体を作製した。一次形質転換体を組織培養室から温室に移して栽培し、T1種子を収穫した。6種のイベント(そのT1子孫は、トランスジーンの存在/非存在について3:1に分けられる)を維持した。これらイベントの各々について、視覚的マーカー発現のモニタリングにより、トランスジーンを有する約10のT1幼植物(ヘテロ接合体およびホモ接合体)と、トランスジーンのない約10のT1幼植物(ヌル接合体)を選択した。いくつかのT1イベントについては、T1世代と同じ評価手順に従い、T2世代でさらに評価した。
統計分析:F検定
二因子ANOVA(変量の分析)を植物表現型特徴の全体的評価のための統計モデルとして用いた。本発明の遺伝子で形質転換した全イベントの植物すべてについての測定された全パラメーターに対してF検定を実施した。F検定は、すべての形質転換イベントに対する該遺伝子の影響について調べ、また遺伝子の全体的効果(グローバル遺伝子効果としても知られる)を確認するために実施した。真のグローバル遺伝子効果の有意性についての閾値はF検定での5%確率レベルに設定した。有意なF検定値は遺伝子効果を表し、これは、表現型の相違を生み出しているのは該遺伝子の存在または位置だけではないことを意味している。
3.1 種子関連パラメーター測定
成熟した初代の稲穂を採集し、袋に入れてバーコードラベルを貼り、オーブンにおいて37℃で3日乾燥させた。次に、稲穂を脱穀し、種子をすべて回収して計数した。空気吹込み装置を用いて、充実殻粒を空の殻粒から分離した。空の殻粒を廃棄し、残ったものを再度計数した。充実殻粒を化学天秤で計量した。この手順により、以下に記載する種子関連パラメーターのセットを得た。
結果を示す下記表は、T1評価およびT2評価のためのF検定からのp値、ならびにT1およびT2評価のためのF検定からの組合せp値を示す。組合せ分析は、2つの実験を同じイベントについて実施した場合に考えられる。これは、2つの実験にわたる効果の一貫性について調べ、最終的に信頼性を高めるのに有用である。用いる方法は、データの多重レベル構造(すなわち、実験−イベント−分離集団)を考慮に入れる混合型モデルアプローチである。尤度比検定とカイ2乗分布とを比較することにより、p値を求める。表は各々、各世代のトランスジェニック植物と、対応するヌル接合体との間の%差を示す。
3.1.1 充実種子の数
分離ステップ後に残った充実殻粒の数を数えることにより充実種子の数を決定した。以下の表1に示すように、T1およびT2評価を組み合わせたF検定からのp値は有意であり(p値:0.0071)、これは、植物中の該構築物の存在がトランスジェニック植物の充実種子の数に顕著な効果をもたらすことを示している。
Figure 2008504015
3.1.2 植物毎の総種子収量
植物から回収したすべての充実殻粒を計量することにより、総種子収量を測定した。以下の表2に示すように、T1およびT2評価を組み合わせたF検定からのp値は有意であり(p値:0.0016)、これは、植物中の該構築物の存在がトランスジェニック植物の総種子重量に顕著な効果をもたらすことを示している。
Figure 2008504015
3.1.3 植物の収穫指数
本発明での収穫指数は、総種子収量と地上面積(mm2)との比に係数106をかけたものとして定義する。以下の表3に示すように、T1およびT2評価を組み合わせた(および個々の)F検定からのp値は有意であり(p値:0.0005)、これは、植物中の該構築物の存在がトランスジェニック植物の収穫指数に顕著な効果をもたらすことを示している。
Figure 2008504015
3.1.4 千粒重(TKW)
このパラメーターは、数えた充実種子の数、およびそれらの総重量から推定する。以下の表4に示すように、T1およびT2評価を組み合わせたF検定からのp値は有意であり(p値:0.0405)、これは、植物中の該構築物の存在がトランスジェニック植物のTKWに顕著な効果をもたらすことを示している。
Figure 2008504015
VNTI AlignX多重アラインメントプログラム(InforMax、メリーランド州ベテスダ)を用いて、ギャップオープニングペナルティー:10およびギャップ延長:0.05のデフォルト設定値で実施したS3aタンパク質配列のアラインメントを示す図である。 Lyamouriら、(Gene 294 (2002) 147-156)から入手したアラインメントを示す図である。 イネGOS2プロモーター(本文中、PRO0129と称す)の制御下での、シロイヌナズナcyc07推定S期特異的40S S3aリボソームタンパク質遺伝子(本文中、CDS0730と称す)のイネにおける発現のためのバイナリーベクターを示す図である。 本発明の方法を実施するのに有用な配列の例を詳細に示す。 本発明の方法を実施するのに有用な配列の例を詳細に示す。

Claims (24)

  1. 植物の成長特性を改善する方法であって、小サブユニットリボソームタンパク質S3aポリペプチドをコードする核酸を植物に導入し、これを発現させることを含む、上記方法。
  2. (i) S3aコード核酸の一部分;
    (ii) S3aコード核酸とハイブリダイズすることができる配列;
    (iii) S3aコード核酸のオルタナティブスプライシング変異体;
    (iv) S3aコード核酸の対立遺伝子変異体;および
    (v) S3aアミノ酸配列の相同体または誘導体をコードする核酸
    を植物に導入し、発現させることを含み、その際、(i)〜(v)によりコードされるタンパク質は、既知のS3aタンパク質配列と並列に並ぶものであり、かつ図2のアラインメントに示す囲み領域に対応する保存領域を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記改善された植物の成長特性が、対応する野生型植物と比較した収量の増大である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記収量の増大が、種子収量の増大である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記収量の増大が、以下に挙げるものから選択される、請求項3または4に記載の方法:(i)種子バイオマスの増大;(ii)(充実)種子数の増大;(iii)種子サイズの増大;(iv)種子体積の増大;(v)収穫指数の増大;および(vi)千粒重(TKW)の増大。
  6. 前記改善された植物の成長特性が、成長速度の増大である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記S3aをコードする核酸が、植物、好ましくは双子葉植物、さらに好ましくはアブラナ科由来のものであり、さらにまた好ましくは、前記核酸はシロイヌナズナに由来するものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記S3aをコードする核酸を植物に過剰発現させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記S3aコード核酸の発現が構成性プロモーター、特にGOS2プロモーターにより駆動される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 植物の成長特性、特に収量、さらに特には種子収量を改善する方法であって、S3aポリペプチドをコードする遺伝子またはその変異体の遺伝子座における遺伝的改変を植物に導入することを含む、上記方法。
  11. 前記遺伝的改変が、部位指定突然変異誘発、相同組換え、TILLING、定向進化法およびT-DNA活性化のうち1つにより実施される、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の方法により取得することができる植物。
  13. (i) S3aコード核酸;
    (ii) (i)の核酸配列の発現を駆動することができる1以上の制御配列;および場合によっては、
    (iii) 転写終結配列
    を含む構築物。
  14. 前記制御配列が、少なくとも1つの構成性プロモーター、好ましくはGOS2プロモーターを含む、請求項13に記載の構築物。
  15. 請求項13または14に記載の構築物で形質転換した植物。
  16. 改善された植物成長特性を有するトランスジェニック植物の作製方法であって、以下のステップを含む方法:
    (i) S3aコード核酸を植物または植物細胞に導入するステップ;
    (ii) 再生および成熟植物成長を促進する条件下で、上記植物細胞を栽培するステップ。
  17. 改善された植物成長特性を有するトランスジェニック植物であって、S3aタンパク質をコードする核酸配列を導入し、それをそこに発現させた、上記植物。
  18. 前記植物が、サトウキビのような単子葉植物、または、イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ダイズ、モロコシ、ヒマワリ、カノーラ、サトウキビ、アルファルファ、アワ、オオムギ、ナタネおよびワタから選択される穀物である、請求項12、15または17に記載のトランスジェニック植物。
  19. 請求項12、15、17または18のいずれか1項に記載の植物の収穫可能な部分。
  20. 前記収穫可能な部分が種子である、請求項19に記載の収穫可能な部分。
  21. 植物の成長特性、特に収量、とりわけ種子収量を改善する上での、S3aまたはS3aコード核酸の使用。
  22. 前記種子収量が、以下に挙げるものの1つ以上を含む、請求項21に記載の使用:(充実)種子数の増大、種子重量の増大、収穫指数の増大、およびTKWの増大。
  23. 前記S3aコード核酸が配列番号1で示す通りであり、前記S3aが配列番号2で示すアミノ酸である、請求項21または22に記載の使用。
  24. 分子マーカーとしてのS3aまたはS3aコード核酸の使用。
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