JP2008503577A - 眼圧を降下するためのアブノーマル・カンナビジオール化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、有効な眼圧降下剤としてのアブノーマル・カンナビジオール化合物の使用に関し、緑内障の処置に特に適当である。前記化合物は特に、式I:
Figure 2008503577

または式II:
Figure 2008503577

または式III:
Figure 2008503577

で示される。これらの化合物は、眼に神経保護を提供するのに有用であることもわかった。

Description

本発明は、哺乳動物の眼圧を降下し、従って緑内障の処置に有用なアブノーマル・カンナビジオール化合物(Abnormal Cannabidiols)の使用に関する。該化合物は、眼の神経保護剤としても有用である。
眼圧降下剤は、多様な高眼圧症状、例えば術後およびレーザートラベクレクトミー後の高眼圧や、緑内障の処置において、並びに術前の補助薬として有用である。
緑内障は、眼圧の上昇により特徴付けられる眼疾患である。緑内障は、その病因により、原発性または続発性として分類されている。例えば、成人の原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角緑内障であるか、または急性もしくは慢性の閉塞隅角緑内障であり得る。続発性緑内障は、ブドウ膜炎、眼内腫瘍または拡大した白内障のような既存の眼疾患から生じる。
原発性緑内障の原因は、未だ解明されていない。その眼圧上昇は、房水流出遮断による。慢性開放隅角緑内障においては、前房およびその解剖学的構造は正常に見えるが、房水の排出は妨げられる。急性または慢性の閉塞隅角緑内障においては、前房が浅く、透過角が狭く、虹彩がシュレンム管の入口の小柱網を閉塞し得る。瞳孔の拡張により、虹彩根部が隅角に対して前方に押され、および瞳孔ブロックを起こして、病状を急進し得る。前房隅角の狭い眼は、種々の重篤度の急性閉塞隅角緑内障に患る素因を有する。
続発性緑内障は、後房から前房、次いでシュレンム管への房水の流れのいかなる妨害によっても起こる。前房の炎症性疾患は、膨隆虹彩における完全な虹彩後癒着を起こすことにより房水排出を妨げ得、排液路を滲出物で閉塞し得る。他の通常の原因は、眼内腫瘍、拡大した白内障、網膜中心静脈閉塞、眼の外傷、手術操作および眼内出血である。
すべての種類を考慮すると、緑内障は、40歳を超えるすべての人の約2%に起こり、視力が急速に損われるまで何年間も無症候性であり得る。手術が指示されない場合、局所用α−アドレナリン受容体拮抗剤が、従来、緑内障処置薬物として選択されている。
緑内障の続発症の一つが視神経乳頭に対する損傷であることは古くから知られている。「陥凹」と呼ばれるこの損傷は、視神経乳頭の神経繊維の領域に陥凹をもたらす。この陥凹による視力の喪失は進行性であり、有効な処置がなされない場合は、失明に至ることもある。
残念ながら、薬物の投与又は房水流出を促進するための手術による眼圧の低下は、緑内障状態における神経の損傷を未然に防ぐ上で常に有効なわけではない。この見かけ上の矛盾は、Cioffi と Van Buskirk が「前視神経の微小血管系(Microvasculature of Anterior Optic Nerve)」と題する報文[Surv. of Opthalmol. 38, Suppl., S107-16頁, 考察S116-17頁, 1994年5月]の中で取扱っている。その要約では次のように述べられている:
「眼圧(IOP)が上昇する疾患という緑内障の伝統的定義は、臨床状態を単純化しすぎている。正常値よりも高いIOPを持たない緑内障患者もいるし、IOPの最大限の低下にも関わらず視神経損傷が進行し続ける場合もある。緑内障の病因に関して考えうるもう1つの因子は、前視神経の局所的微小血管系の調節である。微小血管因子が重要だと考える1つの理由は、多くの微小血管疾患が緑内障性視神経障害に関係しているということである。」
Cioffiらに続いて、Matusiは「全身性血管炎の眼科学的側面(Ophthalmologic aspects of Systemic Vasculitis)」[Nippon Rinsho, 52(8)2158〜63頁(1994年8月)]と題する報文を発表し、多くの微小血管疾患が緑内障性視神経障害に関係しているという主張をさらに裏付けた。その要約では次のように述べられている:
「結節性多発動脈炎、巨大細胞血管炎及び大動脈炎症候群などの全身性血管炎の眼に関する所見を再検討した。全身性紅斑性狼瘡は全身性血管炎には類別されないが、眼に関するその所見は微小血管症性である。そこでこの報文には、眼に関するその所見の再検討を含めた。これらの疾患において最も一般的な眼底所見は、虚血性視神経障害又は網膜血管閉塞である。そこで、視神経障害と網膜及び脈絡膜血管閉塞の診断又は病因に関するいくつかのポイントを議論する。脈絡膜虚血は、フルオレセイン血管造影法がこの病変に適用されて以来、臨床的に診断できるようになった。脈絡膜動脈が閉塞すると、上層の網膜色素上皮が損傷を受ける。これは当該上皮のバリア機能の破壊を引き起こし、体液が脈絡膜血管系から準知覚網膜域(subsensory retinal spaces)に進入することを可能にする。これが網膜の漿液性剥離の病因である。網膜動脈閉塞は網膜血管床閉塞を形成した。このような低酸素網膜は網膜と虹彩の新血管新生を促進する血管形成因子を放出し、虹彩新血管新生は血管新生緑内障を引き起こしうる。」
B. Schwartzは、「高眼圧症と高眼圧開放隅角緑内障における視神経乳頭と網膜の循環性欠陥(Circulatory Defects of the Optic Disk and Retina in Ocular Hypertension and High Pressure Open-Angle Glaucoma)」[Surv. Ophtalmol., 38, Suppl., S23〜24頁, 1994年5月]において、緑内障の進行に関係する視神経と網膜の進行性欠陥の測定について議論している。この著者は次のように述べている:
「フルオレセイン欠如は視野喪失及び網膜神経繊維層喪失と有意に相関する。第2の循環性欠陥は網膜血管(特に網膜静脈)内のフルオレセイン流量の減少であり、年齢、心拡張期血圧、眼圧及び視野喪失が増大するほど、その流量が減少する。視神経乳頭と網膜の循環性欠陥は共に、処置されていない高眼圧眼に起こる。これらの観察結果は、視神経乳頭と網膜における循環性欠陥が高眼圧症及び開放隅角緑内障で起こり、この疾患の進行と共に増大することを示している。」
ある種のアブノーマル・カンナビジオール化合物が、Howlettら, "International Union of Pharmacology. XXVII. Classification of Cannabinoid Receptors", Pharmacological Reviews 54: 161-202, 2002に開示されている。
<発明の概要>
本発明者らは、アブノーマル・カンナビジオール化合物が効果的な眼圧降下剤であることを見出した。本発明者らはさらに、アブノーマル・カンナビジオール化合物並びにその同族体および誘導体が、緑内障の処置に特に有用であり、かつ、驚くべきことに、眼表面充血を起こさないか、または、眼圧降下に有用な他の化合物(例えばPGF2αおよびその低級アルキルエステル)と比較して顕著に軽度にしか眼表面充血を起こさないことを見出した。
本発明者らは、アブノーマル・カンナビジオール化合物が効果的な神経保護剤であることをも見出した。本発明者らはさらに、アブノーマル・カンナビジオール化合物並びにその同族体および誘導体が、哺乳動物(例えばヒト)の眼に神経保護効果をもたらすのに特に有用であることを見出した。
本発明は、眼、例えば哺乳動物(例えばヒト)の眼において、高眼圧を処置し、神経保護を提供する方法であって、式I:
Figure 2008503577
[式中、Rは(CH)から成る群から選択し、xは0または1〜7の整数である。]
で示される化合物を有効量で投与することを含んで成る方法に関する。
他の態様として、本発明は、式(I)で示される化合物の処置有効量を、薬学的に許容しうる無毒性液体賦形剤と共に含んで成る医薬組成物にも関する。
<発明の詳細な説明>
本発明は、眼圧降下剤としてのアブノーマル・カンナビジオール化合物の使用に関する。該処置剤は、上記のように定義される式I:
Figure 2008503577
で示される化合物である。
本発明に従って使用する好ましい化合物は、式II:
Figure 2008503577
または式III:
Figure 2008503577
で示される。
上記式のいずれにおいても、また下記の式においても、直線は結合を表す。結合と結合の間に原子を表す記号が無い場合は、適切な炭素含有基を意図する。例えば式IIにおいて、フェニル環から延びる基は、末端にメチル基を有するポリメチレン(CH)基、すなわちブチレニルメチル基である。
医薬組成物は、少なくとも1種の本発明化合物の処置有効量を活性成分として、眼科学的に許容し得る通常の薬剤賦形剤と組み合わせることによって、および眼への局所適用に適当な単位用量形態を形成することによって調製し得る。処置有効量は通例、液体製剤中約0.0001〜5%(w/v)、好ましくは約0.001〜1.0%(w/v)である。
眼科的な適用のためには、主な賦形剤として生理食塩液を用いて溶液を調製することが好ましい。そのような眼用溶液のpHは、適当な緩衝系によって4.5〜8.0に保つことが好ましい。中性pHが好ましいが、本質的ではない。このような製剤は、薬学的に許容し得る通常の保存剤、安定剤および界面活性剤をも含有し得る。
本発明の医薬組成物中に使用し得る好ましい保存剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀を包含するが、これらに限定されるものではない。好ましい界面活性剤は、例えば、Tween 80である。同様に、本発明の眼用製剤中に種々の好ましい賦形剤を使用し得る。このような賦形剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水を包含するが、これらに限定されるものではない。
必要に応じて、または好都合に、浸透圧調整剤を添加し得る。浸透圧調整剤は、塩、とりわけ塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリンを包含するが、これらに限定されるものではなく、眼科学的に許容し得る他の適当な浸透圧調整剤も使用し得る。
眼科学的に許容し得る製剤が得られるのであれば、pH調整のためにどのような緩衝剤および手段を用いてもよい。緩衝剤は、酢酸、クエン酸、リン酸およびホウ酸の緩衝剤を包含する。製剤のpHを調整するために、必要に応じて酸または塩基を使用し得る。
同様に、本発明において使用するための眼科学的に許容し得る抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンを包含するが、それらに限定されるものではない。
本発明の眼用製剤が含有し得る他の佐剤成分はキレート化剤である。好ましいキレート化剤はエデト酸二ナトリウムであるが、その代わりに、またはそれと組み合わせて他のキレート化剤も使用し得る。
上記成分は通例、次のような量で使用する:
Figure 2008503577
本発明の活性化合物の実際の用量は、化合物によって、および処置する症状によって異なる。当業者はその知識の範囲内で、適当な用量を選択することができる。
本発明の眼用製剤は、眼への適用を容易にするよう、計量適用に適した形態(例えばドロッパー付き容器)に充填することが好都合である。滴下適用に適した容器は通例、不活性で無毒性の適当なプラスチック材料製であり、溶液を約0.5〜15ml収容する。容器1個が、1単位用量またはそれ以上を含有し得る。
約10単位用量まで、好ましくは約5単位用量までを含有する再密閉不可能な容器内に入った、特に保存剤不含有の溶液をしばしば調製する。単位用量は通例、1〜約8滴、好ましくは1〜約3滴である。1滴の体積は通例、約20〜35μlである。
本発明の方法、すなわち緑内障または上昇した眼圧の処置において使用するために本明細書中に開示する化合物は、緑内障または上昇した眼圧の処置に有用な他の薬物と組み合わせて使用してもよい。
緑内障または上昇した眼圧の処置のために、下記群の薬物との併用療法が意図される:
β遮断剤(またはβ−アドレナリンアンタゴニスト):カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール、チモロール・ヘミ水和物、マレイン酸チモロール、β1選択的アンタゴニスト、例えばベタキソロールなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグを包含する;
アドレナリンアゴニスト:下記のものを包含する:
非選択的アドレナリンアゴニスト:例えばホウ酸エピネフリン、塩酸エピネフリン、およびジピベフリンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;および
α選択的アドレナリンアゴニスト:例えばアプラクロニジン、ブリモニジンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
炭酸脱水酵素阻害剤:アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミドなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグを包含する;
コリンアゴニスト:下記のものを包含する:
直接作用型コリンアゴニスト:例えばカルバコール、塩酸ピロカルピン、硝酸ピロカルピン、ピロカルピンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
コリンエステラーゼ阻害剤:例えばデメカリウム、エコチオフェート、フィゾスチグミンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
グルタメートアンタゴニスト:例えばメマンチン、アマンタジン、リマンタジン、ニトログリセリン、デキストロファン、デキストロメトルファン、CGS-19755、ジヒドロピリジン類、ベラパミル、エモパミル、ベンゾチアゼピン類、ベプリジル、ジフェニルブチルピペリジン類、ジフェニルピペラジン類、HOE 166および関連薬物、フルスピリレン、エリプロディル、イフェンプロジル、CP-101,606、チバロシン、2309BT、および840S、フルナリジン、ニカルジピン、ニフェジンピン、ニモジピン、バルニジピン、リドフラジン、乳酸フェニラミン、アミロリドなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
プロスタミド:例えばビマトプロスト、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;並びに
プロスタグランジン:トラボプロスト、UFO-21、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14-ジヒドロ-クロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロストなどを包含する。
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、実施例は本発明を制限するものではない。
アブノーマル・カルナビジオールは、Abn−CBD(4−[(1R,6R)−3−メチル−6−(1−メチルエテニル)−2−シクロヘキセン−1−イル]−5−ペンチル−1,3−ベンゼンジオールとも称され(分子量314.47)、米国ミズーリ州エリスヴィルのTocris Cookson Inc. から入手しうる。
上記化合物はよく知られており、市販されているか、または当分野で知られた方法で合成することができる。
眼圧
圧平眼圧測定法によって、意識のある動物の眼圧を測定した。マスク方式で、一方の眼には試験化合物を、他方の眼には賦形剤を局所投与した。正常眼圧ビーグル犬(雌雄)に、5日間にわたり1日1回投与を行った。一方の眼をレーザーで高眼圧としてカニクイザル(雌)には、4日間にわたり1日1回投与を行った。統計学的比較のために、対応のあるスチューデントのt検定を用いた。p値が0.05未満である場合に、統計学的に有意な差があると見なした。
結果を図1、2および3に示す。
図1は、イヌ眼圧に対する0.1%アブノーマル・カンナビジオールの効果を経時的に示す。
図2は、サル眼圧に対する0.1%アブノーマル・カンナビジオールの効果を経時的に示す。
図3は、0.1%アブノーマル・カンナビジオールを投与したサルにおけるベースラインIOPからの変化を経時的に示す。
アブノーマル・カンナビジオール活性の測定
アブノーマル・カンナビジオール受容体活性を、Wagner JAら, Hypertention 33[part II], 429(1999); Jarai Zら, PNAS 96, 14136(1999)(引用によりその全体を本明細書の一部とする)に記載された方法に従って測定しうる。
神経保護効果の評価方法
ラット海馬ニューロン細胞培養物の分離および解離を行う。すなわち、妊娠15〜19日目のラット胎児から大脳新皮質全体を採り、カルシウム、マグネシウム不含有のハンクス液中に保持する。解剖顕微鏡下に海馬を採り、脳膜を剥離する。海馬を全部採って、その組織を0.05%トリプシン溶液中で37℃で30分間インキュベートする。340分経過後、トリプシン溶液を、プレーティング培地(2%Hycloneウマ血清、1%ウシ胎児血清、25mMグルコース、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補足しN2を供給した最少必須培地)に取り替える。次いで、組織をパスツールピペットで10回トリチュレートし、その後、通常直径の約半分まで火仕上げしたピペットでトリチュレートする。次いで、解離したニューロン細胞を、ポリD−リジン被覆15mm24ウェルプレートのプレーティング培地にプレーティングする(2×105細胞/ウェル)。
この細胞培養物を、37℃の加湿5%CO2含有雰囲気中に保つ。1〜2日後、プレーティング培地中のウマ血清レベルを8%に上昇する。4〜7日後、10-6Mシトシンアラビノシド(ARA−C)に24時間曝すことにより非ニューロン細胞の分裂を停止させ、その後、細胞を、4%ウマ血清、1%ウシ胎児血清、25mMグルコース、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有しN2を供給した増殖培地に入れる。ニューロン細胞が成熟するまで(15〜20日間)、隔日に培地を交換する。成熟細胞培養物のみを試験のために選択する。
最少必須培地(MEM)中で刺激性アミノ酸曝露を行う。ニューロンは妨害に対する感受性が高いので、刺激性アミノ酸を加える前に培養物から増殖培地を洗い流すのに充分な注意を払う。成熟細胞培養物を、グルタメート、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)、N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)またはカイニン酸のいずれかに曝す。
光学顕微鏡により、トリパンブルーを用いて、細胞毒性または細胞損傷を調べる。殆んどの実験において、薬物曝露から24時間後に、損傷細胞によって培地中に放出された乳酸脱水素酵素(LDH)量により、全体的なニューロン細胞損傷が定量される。
LDH測定は、Promega非放射性細胞毒性アッセイキットを用いて、室温で行う。反応混合物の吸光度を490nmで測定する。
NMDA誘発神経毒性に対する実施例1のアブノーマル・カンナビジオールの効果から、実施例1の化合物が神経保護効果を有することがわかる。
神経保護効果の評価方法
実施例4の実験を、他のアブノーマル・カンナビジオール化合物を用いて行う。結果は実質的に、実施例1の化合物の結果と同様である。
アブノーマル・カンナビジオールで処置した哺乳動物のブドウ膜強膜流出の測定
アブノーマル・カンナビジオール0.1%を5日間にわたり1日1回局所投与した場合の、流出(μl/分/mmHg)に対する作用(平均±sem)を、賦形剤と比較して表2に示す。
Figure 2008503577
これら実験結果が示すように、正常眼圧の非ヒト霊長類(カニクイザル)の眼に5日間にわたり1日1回局所投与したアブノーマル・カンナビジオール0.1%は、ベースラインおよび/または賦形剤投与した対側対照眼と比較して、総流出およびブドウ膜強膜流出に有意な作用を示さなかった。このことは、アブノーマル・カンナビジオールのIOP降下作用のメカニズムが、房水流出の増加に殆どまたは全く関係しないことを示唆する。したがって、ヒトまたはそれ以外の霊長類におけるアブノーマル・カンナビジオールの眼圧降下作用は、主として房水生成の減少に関係すると考えられる。
したがって、アブノーマル・カンナビジオール化合物成分と、小柱およびブドウ膜強膜流出経路のいずれかまたは両方からの房水流出を促進する眼圧降下剤成分との組み合わせが、各活性成分の異なる作用機序および相補的な薬理作用に基づいて眼圧を効果的に降下するために意図される。
下記群の薬物との併用療法が意図される:
コリンアゴニスト:下記のものを包含する:
直接作用型コリンアゴニスト:例えばカルバコール、塩酸ピロカルピン、硝酸ピロカルピン、ピロカルピンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
コリンエステラーゼ阻害剤:例えばデメカリウム、エコチオフェート、フィゾスチグミンなど、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
プロスタミド:例えばビマトプロスト、またはそれらの薬学的に許容しうる塩もしくはプロドラッグ;
プロスタグランジン:トラボプロスト、UFO-21、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14-ジヒドロ-クロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト、プロスタグランジンEP類似体、例えばブタプロスト、AH-13205などを包含する。
以上、本発明を実施するために用いることができ、考えられる最良の様式である特定の方法および組成物について、詳述した。しかし、異なる医薬組成物を調製し、使用して、実質的に同様の結果が得られうることは、当業者に明らかである。すなわち、他のアブノーマル・カンナビジオール化合物も、動物の眼圧降下および神経保護の提供に有効であり得、本発明の広い範囲に包含される。
イヌ眼圧に対する0.1%アブノーマル・カンナビジオールの効果を経時的に示す。 サル眼圧に対する0.1%アブノーマル・カンナビジオールの効果を経時的に示す。 0.1%アブノーマル・カンナビジオールを投与したサルにおけるベースラインIOPからの変化を経時的に示す。

Claims (21)

  1. 眼において高眼圧を処置し、眼に神経保護を提供する方法であって、式I:
    Figure 2008503577
    [式中、Rは(CH)から成る群から選択し、xは0または1〜7の整数である。]
    で示される化合物を高眼圧処置に充分な量で眼に適用することを含んで成る方法。
  2. 化合物が、式II:
    Figure 2008503577
    または式III:
    Figure 2008503577
    で示される化合物である請求項1に記載の方法。
  3. 式I:
    Figure 2008503577
    で示される化合物を処置有効量で含有する医薬組成物。
  4. 式I:
    Figure 2008503577
    で示される化合物を処置有効量で含有する眼用液剤。
  5. 眼科学的に許容しうる保存剤、緩衝系、抗酸化剤およびキレート剤から成る群から選択する少なくとも1種の成分を含有する請求項4に記載の眼用液剤。
  6. 化合物が、式II:
    Figure 2008503577
    または式III:
    Figure 2008503577
    で示される化合物である請求項5に記載の眼用液剤。
  7. 内容物を計量形態でディスペンスするのに適当な容器;および
    その中の請求項4に記載の眼用液剤
    を含んで成る医薬生成物。
  8. 眼圧を処置する方法であって、アブノーマル・カンナビジオール活性を有する化合物を高眼圧処置に充分な量で眼に適用することを含んで成る方法。
  9. 緑内障を処置する方法であって、アブノーマル・カンナビジオール活性を有する化合物を緑内障処置に充分な量で眼に適用することを含んで成る方法。
  10. 化合物が、式II:
    Figure 2008503577
    または式III:
    Figure 2008503577
    で示される化合物である請求項9に記載の方法。
  11. 哺乳動物の眼に神経保護作用を提供する方法であって、アブノーマル・カンナビジオール活性を有する化合物を眼神経保護の提供に充分な量で眼に適用することを含んで成る方法。
  12. 網膜または視神経細胞に有害作用を受けているかまたは受ける危険性のある哺乳動物において網膜または視神経細胞を保護する方法であって、式I:
    Figure 2008503577
    [式中、Rは(CH)から成る群から選択し、xは0または1〜7の整数である。]
    で示される化合物を、神経細胞の損傷または死を抑制または防止するのに有効な量で前記哺乳動物の眼に投与することを含んで成る方法。
  13. 有害作用が緑内障の高眼圧である請求項12に記載の方法。
  14. 有害作用が緑内障に関連する虚血である請求項12に記載の方法。
  15. 有害作用が糖尿病性網膜症である請求項12に記載の方法。
  16. 有害作用が非緑内障性虚血である請求項12に記載の方法。
  17. 有害作用が微小血管症性であり、結節性多発動脈炎、巨細胞血管炎、大動脈炎症候群、および全身性紅斑性狼瘡から成る群から選択される疾患の症状である請求項12に記載の方法。
  18. 経口投与によって化合物を哺乳動物に全身的に投与する請求項12に記載の方法。
  19. 眼球内注射によって化合物を哺乳動物に投与する請求項12に記載の方法。
  20. 非経口投与によって化合物を哺乳動物に全身的に投与する請求項12に記載の方法。
  21. 筋肉内注射によって化合物を哺乳動物に全身的に投与する請求項12に記載の方法。
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