JP2008503227A - トランスジェニック植物の病原体抵抗性をペルオキシダーゼ発現により増大させる方法 - Google Patents

トランスジェニック植物の病原体抵抗性をペルオキシダーゼ発現により増大させる方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を植物に挿入し、その中で発現させることを特徴とする、増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物及び/又は植物細胞の作製方法に関する。本発明はまた、増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物又は植物細胞を作製するための、ペルオキシダーゼをコードする核酸の使用に関する。さらに、本発明はオオムギ由来のペルオキシダーゼをコードする核酸配列に関する。

Description

本発明は、増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物及び/又はトランスジェニック植物細胞の作製方法に関し、この方法はペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を植物に挿入し、その中で発現させることを特徴とする。本発明はまた、増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物及び/又は植物細胞の作製のための、ペルオキシダーゼをコードする核酸の使用に関する。さらに、本発明はオオムギのペルオキシダーゼをコードする核酸配列に関する。
多様な病原体、例えばウイルス、細菌及び菌類により引き起こされる植物病害は、一方では経済的な影響を伴って、栽培植物の育成において作物の実質的な減収をもたらし、他方では人類の食糧の安全性に脅威をもたらすものでもある。菌類による病気を防除するため、前世紀から化学殺菌剤が使用されている。これらの薬剤の使用は植物病害の範囲の縮小をもたらすが、これまでのところ、これらの化合物が人間、動物及び環境に悪影響を及ぼす可能性を排除することはできない。従って、従来の殺菌剤の使用を最小限に減らすためには、様々な病原体に対する各種植物の天然の病原体防御を調べ、病原体抵抗性植物を作製するために、例えば外部の抵抗性遺伝子を導入することにより、又は植物中の内在性遺伝子発現を操作することによって、遺伝子工学を体系的に利用することが重要である。
「抵抗性」は、有害な病原体による侵襲及び定着を阻止する、又は少なくとも減少させる植物の能力を意味する。
自然界で生じる抵抗性の中には様々な機構が認められ、この機構によって植物は植物病原性生物による定着を回避する。病原体と宿主との間のこれら特異的相互作用が、感染経路を決定する(Schopfer及びBrennicke (1999) Pflanzenphysiologie, Springer Verlag, Berlin-Heidelberg, ドイツ)。
宿主抵抗性とも呼ばれる品種特異的抵抗性に関して、適合性相互作用と不適合性相互作用とは区別される。適合性相互作用では、相互作用は毒性病原体と感受性植物との間で生じる。病原体は生き残って生殖構造体を確立することができるが、宿主は死滅する。他方、不適合性相互作用は、病原体が植物に感染するものの、その増殖は症状の弱い発現の前後で阻止されるときに生じる。後者の場合、植物は各病原体に対して抵抗性である(Schopfer及びBrennicke (1999) Pflanzenphysiologie, Springer Verlag, Heidelberg, ドイツ)。適合性相互作用と不適合性相互作用のいずれにおいても、病原体に対する宿主の防御反応が生じる。
適合性宿主/病原体相互作用又は不適合性宿主/病原体相互作用各々についての遺伝的な根拠は、遺伝子対遺伝子説(gene-for-gene hypothesis)(Flor (1971) Annu. Rev. Phytopathology 9: 275-296)に記載されている。品種特異的病原体認識のための前提条件は、該植物の優性又は不完全優性の抵抗性遺伝子(R遺伝子)の産物と、植物病原体の相補的な優性の非病原性遺伝子(Avr遺伝子)に由来する産物との、直接的又は間接的な相互作用である(Keen (1992) Annu. Rev. Genet. 24: 447-463; Staskawiczら (1995) Science 268: 661-667)。しかし、病原体が相補的な非病原性遺伝子を欠いている場合、病気が発症し得る。遺伝子対遺伝子モデルは、多数のさび病菌、黒穂病菌、うどんこ病菌並びにべと病菌感染について真実であることが証明されているが、このモデルを全ての宿主/寄生生物相互作用に当てはめることはできない。
しかし自然界では、この品種特異的抵抗性は、病原体の急速な進化的発達により打ち砕かれることが多い(Neuら (2003) American Cytopathol. Society, MPMI 16 No. 7: 626-633)。これに対して、非宿主抵抗性は、強力で、広範で、しかも恒久的な、植物病原体からの防御を提供する。非宿主抵抗性とは、ある病原体が、ある病気を特定の植物種には誘発できるのに、遺伝的に類似した別の植物種には誘発できない現象を意味する(Heath (2002) Can. J. Plant Pathol. 24: 259-264)。
この興味深い特徴にも関わらず、非宿主抵抗性についての遺伝的及び分子生物学的根拠は、これまでのところあまり解明されていない。非宿主抵抗性は不特定の薬剤により誘発されること、また遺伝子対遺伝子相互作用型の個々の病原体タンパク質が非宿主抵抗性反応を誘発すること、が示されている(Heath (1981) Phytopathology 71: 1121-1123; Heath (2001) Physiol. Mol. Plant Pathol. 58: 53-54; Kamounら (1998) Plant Cell 10: 1413-1425; Laugeら (2000) Plant J. 23: 735-745; Whalenら (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 6743-6747)。
植物病原体による植物への定着が稀にしか起こらないことの別の理由は、感染の進行に必要とされる作用物質と構造体の欠如のために病原体が感染構造体を発達させることができないことにある。さらに、非特異的に誘導された又は予め形成された抵抗バリアが病原体の感染前に既に存在し、感染構造体の形成を妨げる。この抵抗性は、基本的抵抗性又は品種非特異的抵抗性と呼ばれ、受動的及び能動的防御機構により維持される。
植物種又はその栽培品種の、特定の植物病原体に対する抵抗性又は感受性に関与する様々な抵抗性機構について、数種の異なる穀類に発生するうどんこ病菌、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)を例として説明する。うどんこ病菌は、子嚢菌(Ascomycetes)属の一部であり、コムギとオオムギのほかに、ライムギ、カラスムギ、多数のイネ科植物にも発生する。その結果生じるオオムギ及びコムギ作物の減量は、場合によっては最大25%に達することがある。しかし通常は、減量は5〜15%である。また、うどんこ病菌は他の病原体(灰色雪腐病(Gray snow mold)、ふ枯病(Glume blotch)、赤かび病(Fusarium head blight)等)にも道を開く。うどんこ病菌感染の最もよく見られる症状は、主に葉の先端部と葉鞘に生じる白い「うどんこ病菌膿疱」である。うどんこ病菌であるブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)は、潔癖なほどに生体栄養性である。すなわち、生きている物のみを餌とすることができ、培地上で培養することはできない。その代わりに、この菌は、それ自身の増殖が刺激されるような方法で宿主の代謝に影響を与える(Ferrariら(2003) The Plant Journal 35: 193-205)。うどんこ病菌は、もっぱらオオムギの葉の表皮細胞層に発生する。この菌は、分生子、すなわち無性的に産生される胞子である貫入菌糸(penetration peg)により、機械的且つ酵素的に細胞壁を通って植物細胞に侵入する。オオムギの葉への侵襲は、菌の供給器官である吸器が形成されたときに、成功裏に達成される。吸器は植物細胞から栄養分を取り去り、未感染の隣接細胞にこの細胞の栄養分の損失を補わせ、これによってその細胞を生かしておく。損傷した細胞への栄養分の流れを通じて、うどんこ病菌は、一定期間にわたり生存の基盤をそれ自身のために確保する。
1つの菌種としてのうどんこ病菌は、各うどんこ病菌が例えばコムギ又はオオムギを攻撃するか否かに応じて、幾つかの分化型を含む。オオムギへの侵襲の場合、うどんこ病菌はブルメリア・グラミニス・f. sp.・ホルデイ(Blumeria graminis f. sp. hordei)と呼ばれ、一方コムギへの侵襲の場合は、この菌はブルメリア・グラミニス・f. sp.・トリチキ(Blumeria graminis f. sp. tritici)と呼ばれる。さらに、多様な分化型の中から様々な系統又は病原型を同定することが可能であり、これらに対して宿主植物種の異なる栽培品種は異なる抵抗性を示す。各分化型は特定の植物種のみを攻撃し、他の近縁種の植物を攻撃しない。従ってこの現象は、特定の分化型によって攻撃されない植物の非宿主抵抗性と呼ばれる。
オオムギにうどんこ病菌に対する抵抗性を与える、幾つかの異なる遺伝的メカニズムを区別することができる。品種特異的抵抗性は、オオムギうどんこ病菌に対する抵抗性遺伝子(R遺伝子)に基づくが、このR遺伝子は、オオムギうどんこ病菌ブルメリア・グラミニス・f. sp.・ホルデイ(blumeria graminis f. sp. hordei)の個々の分離株に対してのみ有効である。なぜなら上記の個々のR遺伝子は各々、相補的な非病原性遺伝子を持つ分離株のみを認識するからである(Collinsら(2002) The Powdery Mildew Accomprehensive Treatise, American Phytopathological Society, Minnesota; Peterhanselら(1997) Plant Cell 9: 1397-1409)。対照的に、複数のうどんこ病菌分離株に対する広範な品種非特異的抵抗性は、mlo遺伝子と呼ばれている単一の劣性遺伝子により制御される(Schulze-Lefert及びVogel (2000) Trends in Plant Science 5: 343-348)。mlo遺伝子の作用に関する現在の仮説は、mlo野生型タンパク質が防御反応の負の調節因子であり、従ってこのタンパク質の欠如がより迅速且つ強力な防御反応を達成し、有効な病原体防御をもたらすというものである(Collinsら(2002),上記参照)。mloが介在する抵抗性は、パピラ(papilla)と呼ばれる細胞壁の細胞内付着の形成をもたらし、このパピラはうどんこ病菌の貫入菌糸、いわゆる付着器の直下に形成される。パピラ形成段階におけるうどんこ病菌侵入の試みは、このようにして阻害される。すなわち、うどんこ病菌への栄養分の供給及びそれによる効率的な侵襲の確立に必要な吸器が形成されない。
品種非特異的抵抗性とは対照的に、非病原型のブルメリア・グラミニス・f. sp.・ホルデイ(blumeria graminis f. sp. hordei (Bgh))を用いたオオムギへの接種と同様の防御機構は、コムギを攻撃するがオオムギは攻撃しないうどんこ病菌ブルメリア・グラミニス・f. sp.・トリチキ(blumeria graminis f. sp. tritici (Bgt))に対するオオムギの非宿主抵抗性において誘導される。非宿主抵抗性は強力で、広範で、しかも持続的であるため、非宿主抵抗性に関与する遺伝子を同定することは特に興味深いことである。オオムギの非宿主抵抗性は、これにより他の宿主/病原体系に農学的に適用することもできるだろう。従って、非宿主抵抗性を媒介する遺伝子を発現し、これによってうどんこ病菌のような病原菌に対する増大した抵抗性を示す植物、又は植物細胞に対する需要がある。
本発明の目的は、病原体に対して増大した抵抗性を有するトランスジェニック植物、又は植物細胞の提供である。本発明のさらなる目的は、うどんこ病菌のような種々の病原体に対する非宿主抵抗性を有する植物、又は植物細胞の提供である。さらに、本発明の目的の1つは、うどんこ病菌のような植物病原体に対して増大した(非宿主)抵抗性を有する上記のトランスジェニック植物、又は植物細胞の作製を容易にする方法の提供である。
さらに、本発明の目的はDNA配列の提供であり、これらの配列を用いて、病原体に対する非宿主抵抗性を有する植物を同定することができる。
独立請求項の構成は、この目的及び明細書中に示される他の目的を解決するのに役立つ。
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の構成により規定される。
オオムギとブルメリア・グラミニス・f. sp.・トリチキ(blumeria graminis f. sp. tritici)との相互作用はペルオキシダーゼの特異的誘導をもたらし、ペルオキシダーゼがこの分化型のうどんこ病菌に対する非宿主抵抗性の媒介に関与していることが、本発明の範囲内において見出された。
従って、前記の本発明の目的は、増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物の作製方法の提供により本質的に解決され、この方法は、ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を該植物に挿入し、そこで発現させることを特徴とする。
本発明においては、オリゴヌクレオチドフィンガープリント法を用いて、オオムギとbghとの相互作用と比べて、オオムギとbgtとの相互作用を介して転写的に活性化された遺伝子を、防除目的で同定した。続いて様々な分子生物学的方法によってこの遺伝子発現パターンを確認し、最も強く誘導された遺伝子の完全長配列を決定した。この遺伝子をその後ペルオキシダーゼとして同定し、HvBgt1と呼んだ。HvBgt1の発現は、わずか24時間後にはオオムギとbgtとの非宿主反応において強く増加し、一方宿主反応(オオムギとbgh)の全過程においては、わずかな発現の増加のみが認められる(表5と図1とを比較されたい)。
ペルオキシダーゼは、有機化合物分子のアクセプターとしての過酸化水素を水へと還元する酵素である。細胞壁の合成及び生体異物の解毒においては重要な機能がペルオキシダーゼに認められる。病原体感染では活性酸素種が生成されるが、これは植物に悪影響を与え得る。ペルオキシダーゼはこれらの活性酸素種を酵素的に変換し、これにより活性酸素種を無害にすると考えられる。
従って、本発明の目的は、単離された核酸分子であって、以下:
i) 配列番号1又はこの配列の断片によりコードされるヌクレオチド配列を含むDNA配列、
ii) 配列番号2又はその断片に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
iii) 配列番号1に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するDNA配列、及び/又は
iv) i)〜iii)のヌクレオチド配列の相補鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
からなる群から選択され、ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードする核酸配列を含む、前記単離された核酸分子に関する。
前記核酸配列は、好ましくはオオムギ(Hordeum vulgare)に由来する。
本発明の他の目的は、前記核酸分子によりコードされるタンパク質またはタンパク質断片に関する。
また、本発明の目的は、増大した病原体抵抗性を有する植物又は植物細胞の作製方法であって、
i) 配列番号1若しくは配列番号3又はこれらの配列の断片によりコードされるヌクレオチド配列を含むDNA配列、
ii) 配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列又はこれらの断片を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
iii) 配列番号1又は配列番号3に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するDNA配列、及び/又は
iv) i)〜iii)のヌクレオチド配列の相補鎖と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
からなる群から選択される、ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を、植物又は植物細胞に挿入し、その中で発現させることを特徴とする、前記作製方法にも関する。
本発明の他の目的は、組換え核酸分子であって、
- 植物細胞において活性なプロモーターの制御配列、
- それに機能的に連結された上記の核酸配列、
- 場合により、それに機能的に連結された、植物細胞内で転写、終結及び/又はポリアデニル化シグナルとして機能し得る制御配列、
を5'-3'方向に含む、前記組換え核酸分子に関する。
また、本発明の主題は、本発明による方法の1つに従って作製され、野生型と比較して増大した病原体抵抗性及びより高いペルオキシダーゼ含有量を有する、トランスジェニック植物又はトランスジェニック植物細胞にも関する。
また、本発明の主題は、増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物及びトランスジェニック植物細胞の作製のための、本発明に記載の核酸配列の使用でもある。
本発明の他の主題は、病原体に対する非宿主抵抗性を示す植物の同定のための、本発明に記載の核酸配列の1つの使用に関する。
「病原体抵抗性」は、病原体が攻撃した後の植物の病原性症状の軽減又は減弱を意味する。この症状には様々な種類があり得るが、好ましくは、植物の品質、収穫高の規模、家畜の飼料又はヒトの食物として使用するための好適性を直接的若しくは間接的に損なう症状、又は農作物の播種、栽培、収穫若しくは加工を妨げる症状が含まれる。
本発明によれば、「増大した病原体抵抗性」という用語は、本発明によるトランスジェニック植物又はトランスジェニック植物細胞が、形質転換以外の点では同様に扱った(例えば、気候及び栽培条件、病原体の種類等)、形質転換されていない野生型の植物又は植物細胞よりも、病原体によってそれほど活発に及び/又は頻繁には攻撃されないことを意味すると理解される。病原体による侵襲は、好ましくは少なくとも2分の1に、より好ましくは少なくとも3分の1に、特に好ましくは少なくとも5分の1に、そして最も好ましくは少なくとも10分の1に低減し、これは病原性症状の発生の減少として現われる。侵入率は、病原体侵襲を定量化するための1つの可能性を提供する(実施例9を参照)。「増大した病原体抵抗性」という用語はまた、一時的な病原体抵抗性として知られているものを含む。すなわち、本発明によるトランスジェニック植物又は植物細胞は、限られた時間の間だけ、それぞれの野生型と比較して増大した病原体抵抗性を有する。
「病原体」は、通常は野生型の植物を攻撃する任意の病原体、言い換えれば菌類、細菌、ウイルス及び動物病原体であってよい。好ましくは、これら病原体は、うどんこ病菌のような菌類病原体である。しかし、本発明により用いられる配列の過剰発現は、他の病原体に対する抵抗性をも創出し得ると予想される。
菌類病原体、又は菌類様病原体(例えば、クロミスタ)は、好ましくはネコブカビ門(plasmodiophoramycota)、卵菌門(oomycota)、子嚢菌門(ascomycota)、ツボカビ綱(chytridiomycetes)、接合菌綱(zygomycetes)、担子菌類(basidiomycota)、及び不完全菌類(deuteromycetes)(fungi imperfecti)を含む群に由来する。表1に示す菌類病原体及びこれらに関連する病気を例として記載するが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008503227
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特に好ましくは、ペルオキシダーゼは以下の病原体に対する抵抗性を与える:
ネコブカビ門(Plasmodiophoromycota)、例えば、プラスモディオフォラ・ブラシカエ(Plasmodiophora brassicae)(アブラナ科植物の根こぶ病)、スポンゴスポラ・サブテラネア(Spongospora subterranea)(ジャガイモ塊茎の粉状そうか病)、ポリミキサ・グラミニス(Polymyxa graminis)(穀草類及びイネ科植物の根病);
卵菌門(Oomycota)、例えばブレミア・ラクツケ(Bremia lactucae)(レタスのべと病)、ペロノスポラ(Peronospora)(べと病)、例えばキンギョソウ(ペロノスポラ・アンテリニ(P. antirrhini))、タマネギ(ペロノスポラ・デストラクター(P. destructor))、ホウレンソウ(ペロノスポラ・エフサ(P. effusa))、ダイズ(ペロノスポラ・マンチュリカ(P. manchurica))、タバコ(「青かび病」;ペロノスポラ・タバキナ(P. tabacina))アルファルファ及びクローバー(ペロノスポラ・トリフォリウム(P. trifolium))、シュードペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)(ホップのべと病)、プラズモパラ属(Plasmopara)(ブドウ類のべと病)(プラズモパラ・ビチコラ(P. viticola))、並びにヒマワリ(プラズモパラ・ハルステディ(P. halstedii))、スクレロフトラ・マクロスポラ(Sclerophtohra macrospora)(穀類及びイネ科植物のべと病)、ピチウム属(Pythium)(種腐病、苗立ち枯れ病、及び根腐病並びにピチウム・デバリアヌム(P. debaryanum)による全ての種類の植物の黒根病、例えばアオゲイトウの黒根病)、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)(ジャガイモ及びトマト等の疫病)、アルブゴ(Albugo)種(アブラナ科植物の白さび病);
子嚢菌門(Ascomycota)、例えばミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale)(ライムギ及びコムギの雪腐病)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)(穂腐病、特にコムギ)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)(トマトのフザリウム立枯病)、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(オオムギ(f.sp.・ホルデイ(f.sp. hordei))及びコムギ(f.sp.・トリチキ(f.sp. tritici))のうどんこ病菌、エリシフェ・ピシ(Erysiphe pisi)(エンドウマメのうどんこ病菌)、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)(果樹のがん腫病)、ウンキヌラ・ネカトル(Unicnula necator)(ブドウのうどんこ病菌)、シュードペジザ・トラケイフィラ(Pseudopeziza tracheiphila)(ブドウの「Rotbrenner」)、クラビセプス・パープレア(Claviceps purpurea)(例えば、ライムギ及びイネ科植物の麦角)、ゲウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)(コムギ、ライムギ及び他のイネ科植物の立ち枯れ病)、(Magnaporthe grisea)(イネの胴枯れ病)、ピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)( オオムギの葉枯病)、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)(オオムギの網斑病)、ピレノホラ・トリチキ-レペンチス(Pyrenophora tritici-repentis)(コムギの黄褐色斑(黄斑))、ベンチュリア・イナクアリス(Venturia inaequalis)(リンゴの赤かび病)、スクレロチニア・スクレロチウム(Sclerotinia sclerotium)(白かび病)、シュードペジザ・メディカギニス(Pseudopeziza medicaginis)(アルファルファ、シロツメクサ及びアカツメクサのいぼ斑点病);
担子菌類(Basidiomycetes)、例えばチフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)(オオムギ、ライムギ、コムギのチフラ胴枯れ病(灰色雪腐病))、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)(トウモロコシ黒穂病)、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)(オオムギの裸黒穂病)、ウスチラゴ・トリチキ(Ustilago tritici)(コムギ、スペルトコムギの裸黒穂病)、ウスチラゴ・アベナエ(Ustilago avenae)(カラスムギの裸黒穂病)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)(イモ類の根腐病(black scurf))、スファケロテカ属(Sphacelotheca spp.)(ソルガムの糸黒穂病)、メラムプソラ・リニ(Melampsora lini)(亜麻のさび病)、プクキニア・グラミニス(Puccinia graminis)(コムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギの黒さび病)、プクキニア・レコンディタ(Puccinia recondita)(コムギの葉さび病)、プクキニア・ディスペルサ(Puccinia dispersa)(ライムギの葉さび病)、プクキニア・ホルデイ(Puccinia hordei)(オオムギの葉さび病)、プクキニア・コロナタ(Puccinia coronata)(カラスムギの冠さび病)、プクキニア・ストリホルミス(Puccinia striiformis)(コムギ、オオムギ、ライムギ、並びに多数のイネ科植物の黄さび病)、ウロミケス・アペンディクラツス(Uromyces appendiculatus)(インゲンマメさび病)、スクレロチウム・ロルフシ(Sclerotium rolfsii)(多くの植物の根腐病及び茎腐病);
不完全菌類(Deuteromycetes)(fungi imperfecti)、例えばコムギ(セプトリア・トリチキ(septoria tritici))のセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)(ふ枯病)、シュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)(コムギ、オオムギ、ライムギの眼紋病)、リンコスポリウム・セカリス(Rynchosporium secalis)(ライムギ及びオオムギの葉枯病)、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)(ジャガイモ、トマトの夏疫病)、ホーマ・ベタエ(Phoma betae)(ルートビートの黒根病)、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)(ルートビートの葉斑病)、アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)(アブラナ、キャベツ、及び他のアブラナ科植物のアブラナ黒斑病)、ヴェルチキリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)(アブラナの立ち枯れ病及び茎腐病)、コレトトリクム・リンデムシアヌム(Colletotrichum lindemuthianum)(マメの炭疽病)、ホーマ・リンガム(Phoma lingam)-黒脚病(キャベツの黒脚病;アブラナの枝枯れ病)、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(ブドウ、イチゴ、トマト、ホップ等の灰色かび病)。
最も好ましい、本発明の方法により作製される植物は、以下の病原体に対して抵抗性である:フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)(トマト等の黒斑病、疫病)、ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale)(以前はフザリウム・ニバレ(Fusarium nivale)として公知;ライムギ及びコムギの雪腐病)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)(コムギの冠腐病)、フザリウム・オクシスポルム(Fusarium oxysporum)(トマトのフザリウム立ち枯れ病)、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(オオムギ(f. sp. hordei))及びコムギ(f. sp. tritici)のうどんこ病菌)、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)(イネ胴枯れ病)、スクレロチニア・スクレロチウム(Sclerotinia sclerotium)(白かび病、アブラナの癌腫病)、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)及びセプトリア・トリチキ(Septoria tritici)(コムギのふ枯病)、アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)(アブラナ、キャベツ、及び他のアブラナ科植物のアブラナ黒斑病)、ホーマ・リンガム(Phoma lingam)(キャベツの黒脚病;アブラナの根首病、枝枯れ病)。
表2に記載の病原体及びこれらに関連する病害は、細菌性病原体の例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008503227
特に好ましい、本発明により作製されるトランスジェニック植物は、以下の病原性細菌に対して抵抗性である:
コリネバクテリウム・セペドニクム(Corynebacterium sepedonicum)(ジャガイモの細菌性輪腐病)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotovora)(ジャガイモの黒脚病)、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)(西洋ナシ、リンゴ、マルメロの火傷病)、ストレプトミセス・スカビエス(Streptomyces scabies)(ジャガイモ赤かび病)、シュードモナス・シリンゲ・pv.・タバキ(Pseudomonas syringae pv. tabaci)(タバコの野火病)、シュードモナス・シリンゲ・pv.・ファセオリコラ(Pseudomonas syringae pv. phaseolicola)(ツルナインゲンマメのかさ枯病)、シュードモナス・シリンゲ・pv.・トマト(Pseudomonas syringae pv.tomato)(トマトの「細菌性斑点病」)、キサントモナス・カンペストリス・pv.マルバケアルム(Xanthomonas campestris pv. malvacearum)(ワタの細菌性胴枯れ病)、及びキサントモナス・カンペストリス・pv.・オリザエ(Xanthomonas campestris pv. oryzae)(イネ及び他のイネ科植物の細菌性葉枯病)。
「ウイルス病原体」という用語は、タバコモザイクウイルス又はキュウリモザイクウイルス、リングスポットウイルス、ネクロシスウイルス、トウモロコシ萎縮モザイクウイルス等の全ての植物ウイルスを含む。
表3に記載の病原体及びこれらに関連する病害は、ウイルス病原体の例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008503227
Figure 2008503227
Figure 2008503227
本発明によるペルオキシダーゼはまた、昆虫や線虫のような有害動物に対する抵抗性を与えることができる。例として甲虫、毛虫、シラミ又はダニのような昆虫を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明によるペルオキシダーゼは、好ましくは以下の属に属する昆虫に対する抵抗性を与える:コレオプテラ(Coleoptera)(鞘翅目)、ディプテラ(Diptera)(双翅目)、ヒメノプテラ(Hymenoptera)(膜翅目)、レピドプテラ(Lepidoptera)(鱗翅目)、マロファガ(Mallophaga)(食毛目)、ホモプテラ(Homoptera)(同翅目)、ヘミプテラ(Hemiptera)(半翅目)、オルトプテラ(Orthoptera)(直翅目)、シザノプテラ(Thysanoptera)(総翅目)、デルマプテラ(Dermaptera)(革翅目)、イソプテラ(Isoptera)(等翅目)、アノプルラ(Anoplura)(シラミ亜目)、シフォナプテラ(Siphonaptera)(陰翅目)、トリコプテラ(Trichoptera)(毛翅目)等。特に好ましいのは、コレオプテラ(Coleoptera)属及びレピドプテラ(Lepidoptera)属の虫であり、例えばヨーロピアンコーンボーラー(European corn borer)(ECB)、ジアブロティカ・バルベリ(Diabrotica barberi)(ノーザンコーンルートワーム)、ジュウイチホシウリハムシ(ジアブロティカ・ウンデキムプンクタタ)(Diabrotica undecimpunctata)(サザンコーンルートワーム)、ジアブロティカ・ヴァーギフェラ(Diabrotica virgifera)(ウェスタンコーンルートワーム)、タマナヤガ(アグロティス・イプシロン)(Agrotis ipsilon)(ブラックカットワーム)、クリモデス・デヴァステイター(Crymodes devastator)(グラッシーカットワーム)、フェルチア・デュケンス(Feltia ducens)(ディンギーカットワーム)、アグロティス・グラディアリア(Agrotis gladiaria)(クレイバックカットワーム)、メラノツス属(Melanotus spp.)、アエオルス・メリルス(Aeolus mellillus)(ワイヤーワーム)、アエオルス・マンクス(Aeolus mancus)(コムギワイヤーワーム)、ホリストノーツ・アレリ(Horistonotus uhlerii)(サンドワイヤーワーム)、スフェノフォルス・マイディス(Sphenophorus maidis)(トウモロコシゾウムシ)、スフェノフォルス・ゼアエ(Sphenophorus zeae)(オオアワガエリゾウムシ)、スフェノフォルス・パルウルス(Sphenophorus parvulus)(ブルーグラスゾウムシ)、スフェノフォルス・カロスス(Sphenophorus callosus)(サザンコーンゾウムシ)、フィログファーガ属(Phyllogphaga spp.)(アオドウガネ)、アヌラフィス・マイジラジキス(Anuraphis maidiradicis)(トウモロコシ根アブラムシ)、デリア・プラチュラ(Delia platura)(シードコーンマゴット)、コラスピス・ブルンネア(Colaspis brunnea)(ブドウコラスピス)、ステノロフス・レコンテイ(Stenolophus lecontei)(シードコーンビートル)及びクリヴィニア・インプレシフロンス(Clivinia impressifrons)(レンダーシードコーンビートル)である。
他の害虫は、穀類のハムシ(オウレマ・メラノプス(Oulema melanopus))、ミバエ(オスキネラ・フリツ(Oscinella frit))、ワイヤーワーム(アグロチス・リネアトゥス(Agrotis lineatus))及びアブラムシ(例えば、カラスムギ属のアブラムシであるムギクビレアブラムシ(ロパロシフム・パディ)(Rhopalosiphum padi)、穀類のアブラムシであるムギヒゲナガアブラムシ(シトビオン・アベナエ)(Sitobion avenae))である。
表4に記載の病原体及びこれらに関連する病原体は、線虫類の害虫の例として名前を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
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本発明によるトランスジェニック植物は、特に好ましくは以下の虫に対して抵抗性である:グロボデラ・ロストキエンシス(Globodera rostochiensis)及びグロボデラ・パリダ(G. pallida)(ジャガイモ、トマト、及び他のナス科草本のシストセンチュウ)、ヘテロデラ・シャクチ(Heterodera schachtii)(テンサイ及び飼料用ビート、アブラナ、キャベツ等のテンサイシストセンチュウ)、ヘテロデラ・アベナエ(Heterodera avenae)(カラスムギ及び他の穀類の、穀類シストセンチュウ)、ディチレンクス・ジプサシ(Ditylenchus dipsaci)(ライムギ、カラスムギ、トウモロコシ、クローバー、タバコ、ビートのナミクキセンチュウ、テンサイツブセンチュウ)、アングイナ・トリチキ(Anguina tritici)(コムギタネコブセンチュウ、コムギ(スペルトコムギ、ライムギ)の種コブ及び葉コブ)、メロイドギネ・ハプラ(Meloidogyne hapla)(ニンジン、キュウリ、レタス、トマト、ジャガイモ、テンサイ、アルファルファのキタネコブセンチュウ)。
農業において特に重要な特定の植物種については、本発明により用いられるペルオキシダーゼは、好ましくは下記の病原体に対して有効である:
オオムギについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:プクキニア・グラミニス・f.sp.・ホルデイ(Puccinia graminis f.sp. hordei)(オオムギ茎さび病)、ブルメリア(エリシフェ)・グラミニス・f.sp.・ホルデイ(Blumeria (Erysiphe) graminis f.sp. hordei)(オオムギうどんこ病)、オオムギ黄萎ウイルス(BYDV)、並びに以下の病原性の昆虫/線虫:オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ヨーロピアンコーンボーラー);タマヤナガ(Agrotis ipsilon)(ブラックカットワーム);ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)(グリーンバグ);アメリカコバネナガカメムシ(Blissus leucopterus)(トコジラミ);アクロステルヌム・ヒラレ(Acrosternum hilare)(アオカメムシ);エウスキスツス・セアヴス(Euschistus servus)(チャイロカメムシ);タネバエ(Deliaplatura)(シードコーンマゴット);マイエチオラ・デストラクター(Mayetiola destructor)(ヘシアンバエ);ペトロビア・ラテンス(Petrobia latens)(チャイロコムギダニ)に対して有効である。
ダイズについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:フィトフトラ・メガスペリス・f.sp.・グリシネア(Phytophthora megasperma f.sp. glycinea)、マクロフォミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、フザリウム・オクシスポルム(Fusarium oxysporum)、ジアポルテ・ファゼオロルム・var.・ソジャエ(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、ホモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae))、ジアポルテ・ファゼオロルム・var.・カウリボラ(Diaporthe phaseolorum var. caulivora)、スクレロチウム・ロルフシ(Sclerotium rolfsii)、セルコスポラ・キクチ(Cercospora kikuchii)、セルコスポラ・ソジナ(Cercospora sojina)、ペロノスポラ・マンシュリカ(Peronospora manshurica)、コレトトリクム・デマチウム(Colletotrichum dematium)(コレトトリクム・トルンカツム(Colletotrichum truncatum))、コリネスポラ・カシコラ(Corynespora cassiicola)、セプトリア・グリシネス(Septoria glycines)、フィロスティクタ・ソジコラ(Phyllosticta sojicola)、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)、シュードモナス・シリンゲ・p.v.・グリシネア(Pseudomonas syringae p.v. glycinea)、キサントモナス・カンペストリス・p.v.・ファゼオリ(Xanthomonas campestris p.v. phaseoli)、ミクロスファエラ・ジフサ(Microsphaera diffussa)、フザリウム・セミテクツム(Fusarium semitectum)、フィアロフォラ・グレガータ(Phialophora gregata)、ダイズモザイクウイルス、グロメレラ・グリシネス(Glomerella glycines)、タバコリングスポットウイルス、タバコ条斑ウイルス、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsorapachyrhizi)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、ピチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、ピチウム・デバリアヌム(Pythium debaryanum)、トマト黄化壊疽ウイルス、ヘテロデラ・グリシネス(Heterodera glycines)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、並びに以下の病原性の昆虫/線虫:シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ダイズシャクトリムシ);アンチカルシア・ゲマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ハッショウマメケムシ);プラチペナ・スカブラ(Plathypena scabra)(グリーンクローバーワーム);オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ヨーロピアンコーンボーラー); タマヤナガ(Agrotis ipsilon)(ブラックカットワーム);シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)(ビートアーミーワーム);ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)(コットンバッドワーム);アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)(コットンボールワーム);インゲンテントウ(Epilachna varivestis)(メキシカンビーンビートル(Mexican bean beetle));ミズス・ペルシカエ(Myzus persicae)(モモアカアブラムシ);ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae)(ジャガイモリーフホッパー);アオカメムシ(Acrosternum hilare);メラノプルス・フェムルブルム(Melanoplus femurrubrum)(アカアシバッタ);メラノプルス・ジフェレンチアリス(Melanoplus differentialis)(ディファレンシャルグラスホッパー);タネバエ(Hylemya platura)(シードコムマゴット);セリコトリプス・ヴァリアビリス(Sericothrips variabilis)(ダイズアザミウマ);トリプス・タバキ(Thrips tabaci)(タマネギアザミウマ);テトラニクス・ルツケスタニ(Tetranychus turkestani)(イチゴハダニ);テトラニクス・ウルティカエ(Tetranychus urticae)(ナミハダニ)に対して有効である。
カノーラについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:アルブゴ・カンディダ(Albugo candida)、アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)、レプトスフェリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、マイコスファエレラ・ブラシコラ(Mycosphaerella brassiccola)、ピチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、ペロノスポラ・パラジチカ(Peronospora parasitica)、フザリウム・ロセウム(Fusarium roseum)、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)に対して有効である。
アルファルファについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:クラビバクテル・ミシガネンシス・subsp.・インシディオスム(Clavibater michiganese subsp. insidiosum)、ピチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、ピチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)、ピチウム・スプレンデンス(Pythium splendens)、ピチウム・デバリアヌム(Pythium debaryanum)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、フィトフトラ・メガスペリス(Phytophthora megasperma)、ペロノスポラ・トリホリオルム(Peronospora trifoliorum)、ホーマ・メディカギニス・var.メディカギニス(Phoma medicaginis var. medicaginis)、セルコスポラ・メディカギニス(Cercospora medicaginis)、シュードペジザ・メディカギニス(Pseudopeziza medicaginis)、レプトトロキラ・メディカギニス(Leptotrochila medicaginis)、フザリウム(Fusarium)、キサントモナス・カンペストリス・p.v.アルファルファ(Xanthomonas campestris p.v. alfalfa)、アファノミケス・エウテイケス(Aphanomyces euteiches)、ステンフィリウム・ヘルバルム(Stemphylium herbarum)、ステンフィリウム・アルファルファ(Stemphylium alfalfa)に対して有効である。
コムギについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:シュードモナス・シリンゲ・p.v.・アトロファキエンス(Pseudomonas syringae p.v. atrofaciens)、ウロチスティス・アグロピリ(Urocystis agropyri)、キサントモナス・カンペストリス・p.v.・トランスルケンス(Xanthomonas campestris p.v. translucens)、シュードモナス・シリンゲ・p.v.・シリンゲ(Pseudomonas syringae p.v. syringae)、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・アベナケウム(Fusarium avenaceum)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、ウスチラゴ・トリチキ(Ustilago tritici)、アスコキータ・トリチキ(Ascochyta tritici)、セファロスポリウム・グラミネウム(Cephalosporium gramineum)、コレトトリクム・グラミニコラ(Collotetrichum graminicola)、エリシフェ・グラミニス・f.sp.・トリチキ(Erysiphe graminis f.sp. tritici)、プクキニア・グラニミス・f.sp.・トリチキ(Puccinia graminis f.sp. tritici)、プクキニア・レコンディタ・f.sp.・トリチキ(Puccinia recondita f.sp. tritici)、プクキニア・ストリホルミス(Puccinia striiformis)、ピレノホラ・トリチキ-レペンチス(Pyrenophora tritici-repentis)、セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)、セプトリア・トリチキ(Septoria tritici)、セプトリア・アベナエ(Septoria avenae)、シュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、リゾクトニア・ケレアリス(Rhizoctonia cerealis)、ゲウマノミセス・グラミニス・var.・トリチキ(Gaeumannomyces graminis var. tritici)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、ピチウム・アレノマネス(Pythium arrhenomanes)、ピチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、バイポラリス・ソロキニアナ(Bipolaris sorokiniana)、オオムギ黄萎ウイルス、ブロムモザイクウイルス、ムギ類萎縮ウイルス、ムギ類条斑モザイクウイルス、ムギ類スピンドル条斑ウイルス、アメリカコムギ線条ウイルス、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)、チレチア・トリチキ(Tilletia tritici)、チレチア・ラエヴィス(Tilletia laevis)、ウスチラゴ・トリチキ(Ustilago tritici)、チレチア・インディカ(Tilletia indica)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ピチウム・アレノマネス(Pythium arrhenomannes)、ピチウム・グラミコラ(Pythium gramicola)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、ハイプレインウイルス、ヨーロッパコムギ線条ウイルス、プクキニア・グラニミス・f.sp.・トリチキ(Puccinia graminis f.sp. tritici)(コムギ茎さび病)、ブルメリア(エリシフェ)グラニミス・f.sp.トリチキ(Blumeria (Erysiphe) graminis f.sp. tritici)(コムギうどんこ病)、並びに以下の病原性の昆虫/線虫:プセウダレチア・ウニプンクタ(Pseudaletia unipunctata)(アーミーワーム);スポドプテラ(Spodoptera)、ツマジロクサヨトウ(フルギペルダ)(frugiperda)(フォールアーミーワーム);モロコシマダラメイガ(エラスモパルプス・リグノセルス)(Elasmopalpus lignosellus)(レサーコーンストークボーラー(lesser cornstalk borer));アグロチス・オルトゴニア(Agrotis orthogonia)(ウェスタンカットワーム);エラスモパルプス・ジグノセルス(Elasmopalpus Zignosellus)(レサーコーンストークボーラー(lesser cornstalk borer));オウレマ・メラノプス(Oulema melanopus)(穀ハムシ);ヒペラ・プンクタタ(Hypera punctata)(クローバーゾウムシ);ジュウイチホシウリハムシ (Diabrotica undecimpunctata howardi)(サザンコーンルートワーム);ロシアコムギアブラムシ;ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)(グリーンバグ);ムギヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum avenae)(イギリス穀類アブラムシ);メラノプルス・フェムルブルム(Melanoplus femurrubrum)(アカアシバッタ); メラノプルス・ジフェレンチアリス(Melanoplus differentialis)(ディファレンシャルグラスホッパー);メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes)(移動性バッタ);マイエチオラ・デストラクター(Mayetiola destructor)(ヘシアンバエ);シトディプロシス・モセラナ(Sitodiplosis mosellana)(ムギアカタマバエ);メロミザ・アメリカーナ(Meromyza americana)(ムギキモグリバエ);ヒレミア・コアルクタタ(Hylemya coarctata)(コムギハナアブ);フランクリニエラ・フスカ(Frankliniella fusca)(タバコアザミウマ);ケフス・シンクトゥス(Cephus cinctus)(ムギクキハバチ);チューリップサビダニ(Aceria tulipae)(ムギカールマイト(wheat curl mite)) に対して有効である。
ヒマワリについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:プラズモフォラ・ハルステディ(Plasmophora halstedii)、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、アスター萎黄病、セプトリア・ヘリアンティ(Septoria helianthi)、フォモプシス・ヘリアンティ(Phomopsis helianthi)、アルテルナリア・ヘリアンティ(Alternaria helianthi)、アルテルナリア・ジニアエ(Alternaria zinniae)、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、ホーマ・マクドナルジ(Phoma macdonaldii)、マクロホミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina)、エリシフェ・チコラセアルム(Erysiphe cichoracearum)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、リゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・ストロニフェラ(Rhizopus stolonifer)、プクキニア・ヘリアンティ(Puccinia helianthi)、ウェルチキリウム・ダリアエ(Verticillium dahliae)、エルウィニア・カロトボルム・p.v.カロトボラ(Erwinia carotovorum p.v. Carotovora)、セファロスポリウム・アクレモニウム(Cephalosporium acremonium)、フィトフトラ・クリプトゲア(Phytophthora cryptogea)、アルブゴ・トラゴポゴニス(Albugo tragopogonis)、並びに以下の病原性の昆虫/線虫:スレイマ・ヘリアンサナ(Suleima helianthana)(サンフラワーバッドモス(sunflower bud moth);ホメオソマ・エレクテルム(Homoeosoma electellum)(サンフラワーモス);ジゴグラーマ・エクスクラマチオニス(zygogramma exclamationis)(サンフラワービートル);ボチルス・ギボスス(Bothyrus gibbosus)(キャロットビートル);ネオラシオプテラ・マートフェルドティアナ(Neolasioptera murtfeldtiana)(サンフラワーシードミッジ(sunflower seed midge)) に対して有効である。
トウモロコシについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:フザリウム・モニリホルメ・var.スブグリチナンス(Fusarium moniliforme var. subglutinans)、エルウィニア・ステワルティ(Erwinia stewartii)、フザリウム・モニリホルメ(Fusarium moniliforme)、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)(フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum))、ステノカルペラ・マイディ(Stenocarpella maydi)(ジプロジア・マイディス(Diplodia maydis))、ピチウム・イレグラレ(Pythium irregulare)、ピチウム・デバリアヌム(Pythium debaryanum)、ピチウム・グラミニコラ(Pythium graminicola)、ピチウム・スプレンデンス(Pythium splendens)、ピチウム・ウルチムム(Pythium ultimum)、ピチウム・アファニデルマツム(Pythium aphanidermatum)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、バイポラリス・マイディス0、T(Bipolaris maydis 0、T)(コクリオボルス・ヘテロストロフス(Cochliobolus heterostrophus))、ヘルミントスポリウム・カルボヌムI、II及びIII(Helminthosporium carbonum I、 II & III)(コクリオボルス・カルボヌム(Cochliobolus carbonum))、エクセロヒルム・ツルキクムI、II及びIII(Exserohilum turcicum I、 II & III)、ヘルミントスポリウム・ペディセラツム(Helminthosporium pedicellatum)、フィソデルマ・マイディス(Physoderma maydis)、フィロスティクタ・マイディス(Phyllosticta maydis)、カバティエラ・マイディス(Kabatiella maydis)、セルコスポラ・ソルギ(Cercospora sorghi)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、プクキニア・ソルギ(Puccinia sorghi)、プクキニア・ポリソラ(Puccinia polysora)、マクロフォミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina)、ペニシリウム・オキサリクム(Penicillium oxalicum)、ニグロスポラ・オリザエ(Nigrospora oryzae)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、クルブラリア・ルナタ(Curvularia lunata)、クルブラリア・イナエクアリス(Curvularia inaequalis)、クルブラリア・パレスケンス(Curvularia pallescens)、クラビバクター・ミシガニース・subsp.・ネブラスケンス(Clavibacter michiganese subsp. nebraskense)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トウモロコシ萎縮モザイクウイルスA及びB、コムギ条斑モザイクウイルス、トウモロコシクロロティック萎縮ウイルス、クラビセプス・ソルギ(Claviceps sorghi)、シュードモナス・アベナエ(Pseudonomas avenae)、エルウィニア・クリサンテミ・p.v.ゼア(Erwinia chrysanthemi p.v. Zea)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia corotovora)、(トウモロコシわい化病スピロプラズマ)、ジプロジア・マクロスポラ(Diplodia macrospora)、スクレロフトラ・マクロスポラ(Sclerophthora macrospora)、ペロノスクレロスポラ・ソルギ(Peronosclerospora sorghi)、ペロノスクレロスポラ・フィリピネシス(Peronosclerospora philippinesis)、ペロノスクレロスポラ・マイディス(Peronosclerospora maydis)、ペロノスクレロスポラ・サッカリ(Peronosclerospora sacchari)、スファケロテカ・レイリアナ(Spacelotheca reiliana)、ヒソペラ・ゼアエ(Physopella zeae)、セファロスポリウム・マイディス(Cephalosporium maydis)、セファロスポリウム・アクレモニウム(Caphalosporium acremonium)、トウモロコシクロロティックモットルウイルス、ハイプレインウイルス(High Plains virus)、トウモロコシモザイクウイルス、トウモロコシラヤド・フィノウイルス(Rayado Fino virus)、トウモロコシ条斑ウイルス(MSV)、トウモロコシ縞葉枯ウイルス、トウモロコシラフ型萎縮ウイルス、並びに以下の病原性の昆虫/線虫:オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ヨーロピアンコーンボーラー);アグロティス・イプシロン(Agrotis ipsilon)(タマヤナガ(ブラックカットワーム));ヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zea)(アメリカガバコガ(コーンイヤーワーム));スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(フォールアーミーワーム);ジアトラエア・グラジオセラ(Diatraea grandiosella)(サウスウェスタンコーンボーラー);モロコシマダラメイガ(Elasmopalpus lignosellus)(レサーコーンストークボーラー);ジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)(シュガーケーンボーラー);ジアブロティカ・フィルギフェラ(Diabrotica virgifera)(ウェスタンコーンルートワーム);ジアブロティカ・ロンギコルニス・バルベリ(Diabrotica longicornis barberi)(ノーザンコーンルートワーム); ジアブロティカ・ウンデキムプンクタタ・ホワルディ(Diabrotica undecimpunctata howardi)(サザンコーンルートワーム);メラノツス属(Melanotus spp.)(ワイヤーワーム);キクロケファラ・ボレアリス(Cyclocephala borealis)(ノーザンマスクドシェイファー(Northern masked chafer);アオドウガネ);キクロケファラ・イマクラタ(Cyclocephala immaculata)(サザンマスクドシェイファー(Southern masked chafer);アオドウガネ);ポピリア・ジャポニカ(Popillia japonica)(マメコガネ);カエトクネマ・プリカリア(Chaetocnema pulicaria)(トウモロコシノミハムシ);スフェノフォルス・マイディス(Sphenophorus maidis)(トウモロコシゾウムシ);ロパロシフム・マイディス(Rhopalosiphum maidis)(トウモロコシアブラムシ);アヌラフィス・マイディラディキス(Anuraphis maidiradicis)(トウモロコシ根アブラムシ);ブリッスス・ロイコプテルス(Blissus leucopterus)(アメリカコバネナガカメムシ(chinch bug));メラノプルス・フェムルブルム(Melanoplus femurrubrum)(アカアシバッタ);メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes)(移動性バッタ);ヒレミア・プラチュラ(Hylemva platura)(シードコムマゴット(seedcom maggot));アグロミザ・パルヴィコルニス(Agromyza parvicornis)(コーンブロットリーフマイナー(corn blot leafminer));アナフォトリプス・オブスクルス(Anaphothrips obscrurus)(イネアザミウマ);ソレノプシス・ミレスタ(Solenopsis milesta)(盗賊アリ);テトラニクス・ウルティカエ(Tetranychus urticae)(ナミハダニ) に対して有効である。
ソルガムについては、以下の菌類、細菌及びウイルス病原体:エクセロヒルム・ツルキクム(Exserohilum turcicum)、コレトトリクム・グラミニコラ(Colletotrichum graminicola)(グロメレラ・グラミニコラ(Glomerella graminicola))、セルコスポラ・ソルギ(Cercospora sorghi)、グロエオセルコスポラ・ソルギ(Gloeocercospora sorghi)、アスコキタ・ソルギナ(Ascochyta sorghina)、シュードモナス・シリンゲ・p.v.・シリンゲ(Pseudomonas syringae p.v. syringae)、キサントモナス・カンペストリス・p.v.ホルキコラ(Xanthomonas campestris p.v. holcicola)、シュードモナス・アンドロポゴニス(Pseudomonas andropogonis)、プクキニア・プルプレア(Puccinia purpurea)、マクロフォミナ・ファゼオリナ(Macrophomina phaseolina)、ペルコニア・シルシナタ(Perconia circinata)、フザリウム・モニリホルメ(Fusarium monilifonne)、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternate)、バイポラリス・ソルギコラ(Bipolaris sorghicola)、ヘルミントスポリウム・ソルギコラ(Helminthosporium sorghicola)、クルブラリア・ルナタ(Curvularia lunata)、ホーマ・インシジオサ(Phoma insidiosa)、シュードモナス・アベナエ(Pseudomonas avenae)(シュードモナス・アルドプレシピタンス(Pseudomonas alboprecipitans))、ラムリスポラ・ソルギ(Ramulispora sorghi)、ラムリスポラ・ソルギコラ(Ramulispora sorghicola)、フィラカラ・サッカリ(Phyllachara sacchari)、ソロスポリウム・レイリアヌム(Sporisorium reilianum)(スファケロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana))、スファケロテカ・クルエンタ(Sphacelotheca cruenta)、ソロスポリウム・ソルギ(Sporisorium sorghi)、サトウキビモザイクH、トウモロコシ萎縮モザイクウイルスA及びB、クラビセプス・ソルギ(Claviceps sorghi)、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、アクレモニウム・ストリクツム(Acremonium strictum)、スクレロフトラ・マクロスポラ(Sclerophthona macrospora)、ペロノスクレロスポラ・ソルギ(Peronosclerospora sorghi)、ペロノスクレロスポラ・フィリピネンシス(Peronosclerospora philippinensis)、スクレロスポラ・グラミニコラ(Sclerospora graminicola)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ピチウム・アルヘノマネス(Pythium arrhenomanes)、ピチウム・グラミニコラ(Pythium graminicola)、並びに以下の病原性の昆虫/線虫:キロ・パルテルス(Chilo partellus)(ソルガムボーラー);スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(フォールアーミーワーム);ヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zea)(コーンイヤーワーム);エラスモパルプス・リグノセルス(Elasmopalpus lignosellus)(レサーコーンストークボーラー(lesser cornstalk borer));フェルチア・サブテラネア(Feltia subterranea)(グラニュレートカットワーム(granulate cutworm));フィロファガ・クリニタ(Phyllophaga crinita)(アオドウガネ);エレオデス(Eleodes)属、コノデルス(Conoderus)属及びアエオルス(Aeolus)属(ワイヤーワーム);オウレマ・メラノプス(Oulema melanopus)(穀類のハムシ);カエトクネマ・プリカリア(Chaetocnema pulicaria)(トウモロコシのノミハムシ);スフェノフォルス・マイディス(Sphenophorus maidis)(トウモロコシゾウムシ);ロパロシフム・マイディス(Rhopalosiphum maidis)(トウモロコシアブラムシ);サイファフラヴァ(Siphaflava)(キイロサトウキビアブラムシ(yellow sugarcane aphid)); アメリカコバネナガカメムシ (Blissus leucopterus)(トコジラミ);ソルガムタマバエ(Contarinia sorghicola)(ソルガムのコムシ(sorghum midge));テトラニクス・キナバリヌス(Tetranychus cinnabarinus)(ニセナミハダニ);テトラニクス・ウルチカエ(Tetranychus urticae)(ナミハダニ) に対して有効である。
ワタについては、以下の病原性の昆虫/線虫:ヘリオチス・ヴィレスケンス(Heliothis virescens)(コットンバッドワーム);アメリカタバコガ(Helicoverpa zea)(コットンボールワーム);シロイチモジヨトウ (Spodoptera exigua)(ビートアーミーワーム);ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella)(ピンクボールワーム);アントノムス・グランディス(Anthonomus grandis)(ワタミゾウムシ);エイフィス・ゴシピ(Aphis gossypii)(ワタアブラムシ);シューダトモスケリス・セリアツス(Pseudatomoscelis seriatus)(ワタノミハムシ);トリアレウロデス・アブチロネア(Trialeurodes abutilonea)(バンデッドウィングド・ホワイトフライ(bandedwinged whitefly));リグス・リネオラリス(Lygus lineolaris)(ミドリメクラカメムシ);メラノプルス・フェムルブルム(Melanoplus femurrubrum)(アカアシバッタ);メラノプルス・ジフェレンチアリス(Melanoplus differentialis)(ディファレンシャルグラスホッパー);トリプス・タバキ(Thrips tabaci)(タマネギアザミウマ);フランクリンキエラ・フスカ(Franklinkiella fusca)(タバコアザミウマ);テトラニクス・キナバリヌス(Tetranychus cinnabarinus)(ニセナミハダニ);テトラニクス・ウルティカエ(Tetranychus urticae)(ナミハダニ) に対して有効である。
イネについては、以下の病原性の昆虫/線虫:ジアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)(シュガーケーンボーラー);スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(フォールアーミーワーム);ヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zea)(コーンイヤーワーム);コラスピス・ブルネア(Colaspis brunnea)(ブドウコラスピス);リゾホプトルス・オリゾフィルス(Lissorhoptrus oryzophilus)(イネミズゾウムシ);シトフィルス・オリザエ(Sitophilus oryzae)(イネゾウムシ);クロスジツマグロヨコバイ(ネフォテティクス・ニグロピクツス)(Nephotettix nigropictus)(イネヨコバイ);ブリッスス・ロイコプテルス(Blissus leucopterus)(トコジラミ);アクロステルヌム・ヒラレ(Acrosternum hilare)(アオカメムシ) に対して有効である。
アブラナについては、以下の病原性の昆虫/線虫:ブレヴィコリネ・ブラシカエ(Brevicoryne brassicae)(ダイコンアブラムシ(cabbage aphid));フィロトレタ・クルシフェラエ(Phyilotreta cruciferae)(ノミハムシ);マメストラ・コンフィグラタ(Mamestra conjgurata)(ベルタアーミーワーム(Bertha armyworm));コナガ(Plutella xylostella)(ダイアモンドバックモス);デリア属(Delia ssp.)(ネクイムシ) に対して有効である。
本発明によれば、「野生型」という用語は、遺伝的に改変されていないそれぞれの親生物として理解される。
本発明による方法は、トランスジェニック植物及び/又は植物細胞におけるペルオキシダーゼ含有量の増大をもたらす。この含有量の増大は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも20%、また好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも100%であり、また特に好ましくは少なくとも5倍、特に好ましくは少なくとも10倍、また特に好ましくは少なくとも50倍、そして最も好ましくは100倍の増加である。
本明細書において用いられる「DNA断片」という用語は、ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAセグメントとして理解され、ここで該DNAセグメントによりコードされるタンパク質は、本質的に、完全なDNA配列によりコードされるタンパク質と同様のペルオキシダーゼ活性を有し、これらのDNA断片を用いて、本発明による、トランスジェニック植物における病原体抵抗性の増大を達成することができる。
本明細書において用いられる「タンパク質断片」という用語は、ペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質セグメントを示し、ここで該タンパク質セグメントは、完全長タンパク質と同じペルオキシダーゼ活性を本質的に有し、これらのタンパク質断片を用いて、本発明による、トランスジェニック植物における病原体抵抗性の増大を達成することができる。
本発明の方法に用いられるペルオキシダーゼと本質的に同じ酵素活性は、配列番号1又は配列番号3、及びこれらの誘導体を有する配列によりコードされる酵素と比べた酵素活性が、依然として少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%、そして最も好ましくは少なくとも90%であることを意味する。こうして、本質的に同じ酵素活性を有するペルオキシダーゼ作用(Peroxidasis)もまた、トランスジェニック植物において増大した病原体抵抗性をもたらすことができる。
ペルオキシダーゼ活性は、広く利用されているグアヤコールペルオキシダーゼ活性アッセイ(Chance及びMaehley (1955) Method Enzymol. 11: 764-775)、又はシリンガルダジン活性アッセイ(Pandolfiniら (1992) Plant Cell Environ. 15: 719-725)のような、当業者に公知の簡単な方法により測定することができる。
本明細書で用いる「核酸(分子)」という用語は、好ましい実施形態では、コード遺伝子領域の3'末端及び5'末端に位置する非翻訳配列、すなわち、コード遺伝子領域の5'末端上流の少なくとも500、好ましくは200、特に好ましくは100ヌクレオチドの配列、及びコード遺伝子領域の3'末端下流の少なくとも100、好ましくは50、特に好ましくは20ヌクレオチドの配列をさらに含む。「単離された」核酸分子は、核酸の天然の貯蔵所に存在する他の核酸分子から分離されている。「単離された」核酸は、好ましくは、核酸源である生物のゲノムDNA中でその核酸に天然で隣接する配列(例えば、該核酸の5'末端及び3'末端に位置する配列)を含まない。様々な実施形態において、単離されたペルオキシダーゼ分子は、例えば、核酸源である細胞のゲノムDNA中で該核酸分子に天然で隣接する、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、又は0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。本明細書で述べる全ての核酸分子は、例えば、RNA、DNA、又はcDNAであってよい。
この方法に用いる核酸分子、例えば、配列番号1若しくは配列番号3又はこれらの一部のヌクレオチド配列を有する核酸分子は、標準的な分子生物学的技術及び本明細書で提供する配列情報を用いて単離することが可能である。例えばNCBIのホームページhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov上に見出し得る、比較アルゴリズムを用いて、相同配列、例えば相同的な保存配列の領域をDNAレベル若しくはアミノ酸レベルで同定することもできる。この配列の必須部分、又はこの相同配列全体は、cDNA及び/又はゲノムライブラリのスクリーニングによって本方法に有用な、他の生物に由来するさらなる核酸配列を単離するために、標準的なハイブリダイゼーション技術(Sambrookら、前掲に記載)を用いてハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。さらに、配列番号1若しくは配列番号3の完全な配列又はその一部を含む核酸分子は、本明細書に記載の配列又はそれらの一部に基づくオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応により単離することができる(例えば、完全な配列又はその一部を含む核酸分子は、この同じ配列に基づいて作製されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応により単離することができる)。例えば、mRNAは細胞から単離することが可能であり(例えば、Chirgwinら (1979) Biochemistry 18: 5294-5299に記載のグアニジンチオシアネート抽出法を使用)、このmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを作製することができる(例えば、Gibco/BRL (Bethesda, MD)から入手可能なMoloney-MLV逆転写酵素、又はSeikagaku Amerika, Inc. (St. Petersburg, FL)から入手可能なAMV逆転写酵素)。ポリメラーゼ連鎖反応による増幅のための合成オリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1若しくは配列番号3に示される配列の1つに基づいて、又は配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列を用いて作製することができる。本発明による核酸は、鋳型としてcDNAを用いて、あるいはまたゲノムDNAを用いて、同時に好適なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標準的なPCR増幅技術により増幅することができる。
このような方法で増幅した核酸は、好適なベクター中にクローニングして、DNA配列解析により特徴付けることができる。ペルオキシダーゼヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、自動DNA合成装置のような標準的な合成法によって作製することができる。その後、これらの核酸配列によりコードされるタンパク質のペルオキシダーゼ活性を上記の酵素アッセイにより測定することができる。本明細書に記載の方法を用いて、本発明により同定されるペルオキシダーゼの存在を検出することによって非宿主抵抗性を示す植物を同定することもできる。
本発明に関して、「ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション」という用語は、特異的ハイブリダイゼーションを確実にするのに十分なストリンジェント条件下で、in vitroにてハイブリダイゼーションを行うことを意味する。ストリンジェントなin vitroハイブリダイゼーション条件は当業者に公知であり、文献中に見出し得る(例えば、Sambrook及びRussell (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, Cold Spring Harbour Laboratory Press, Cold Spring Harbour, NY)。「特異的ハイブリダイゼーション」という用語は、標的配列が、例えばDNA分子又はRNA分子の複雑な混合物の一部である場合、ある分子がストリンジェントな条件下で特定の核酸配列、つまり標的配列に好んで結合するが、他の配列には結合しないか、又はかなり低い程度にしか結合しないことを指す。
ストリンジェントな条件は、状況に応じて変わる。より長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度及び規定のpH値において、ハイブリダイゼーション温度が特定の配列の融解温度(Tm)より5℃ほど低くなるように選択される。Tmは、標的配列に相補的な分子の50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(規定のpH値、規定のイオン強度及び規定の核酸濃度での)温度である。典型的には、ストリンジェントな条件は、短分子(すなわち、例えば10〜50ヌクレオチド)については、pH7.0〜8.3で塩濃度が少なくとも約0.01〜1.0 Mのナトリウムイオン濃度(又は別の塩の濃度)であり、且つ温度が少なくとも30℃である。さらに、ストリンジェントな条件は、ハイブリッドを不安定化するホルムアミドのような薬剤の添加を含み得る。本明細書で用いるストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションにおいては、互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列同士は、通常互いにハイブリダイズしたままである。好ましくは、ストリンジェントな条件は、互いに少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約70%、特に好ましくは少なくとも約75%又はそれ以上相同な配列が、通常互いにハイブリダイズしたままとなるように選択される。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定的な例は、6 x 塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中約45℃でハイブリダイゼーションを行い、その後0.2 x SSC、0.1% SDS中50〜65℃で1回以上の洗浄ステップを行うことである。温度は、例えば標準的なハイブリダイゼーション条件下では核酸の種類に応じて、0.1〜5 x SSC (pH 7.2)の濃度の水性緩衝液中で42℃〜58℃の範囲である。
有機溶媒、例えば50%ホルムアミド、が上記の緩衝液中に存在する場合、標準条件下での温度は約42℃である。好ましくは、DNA:DNAハイブリッドのためのハイブリダイゼーション条件は、例えば、0.1 x SSCで20℃〜45℃、好ましくは30℃〜45℃である。好ましくは、DNA:RNAハイブリッドのためのハイブリダイゼーション条件は、例えば、0.1 x SSCで30℃〜55℃、好ましくは45℃〜55℃である。上記のハイブリダイゼーション温度は、例えば、ホルムアミドの非存在下で約100塩基対の長さとG/C含量50%を有する核酸について決定されたものである。当業者であれば、上記の、又は下記の教科書:Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989); Hames及びHiggins (発行元) 1985, Nucleic Acids Hybridization: A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press, Oxford; Brown (発行元) 1991, Essential Molecular Biology: A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press, Oxfordを用いて、必要とされるハイブリダイゼーション条件がどのようにして決まるのかを理解している。
本発明に関して、「配列同一性」という用語は、配列番号1又は配列番号3に示される核酸配列の全体にわたる、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の同一性(すなわち、同じ5'-3'配列中の同一のヌクレオチド)を意味する。
配列同一性は、様々なアルゴリズムに基づく多くのプログラムを用いて決定される。Needleman and Wunsch、又はSmith and Watermanのアルゴリズムは、特に信頼できる結果を提供する。配列比較のため、PileUpプログラム(Feng及びDoolittle (1987) J. Mol. Evolution 25: 351-360; Higginsら(1989) CABIOS 5: 151-153)、又はGap and Best Fitプログラム(Needleman及びWunsch (1970) J. Mol. Biol. 48: 443-453、並びにSmith及びWaterman (1981) Adv. Appl. Math. 2: 482-489)を使用したが、これらのプログラムは、GCGソフトウェアパッケージ(Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA)に含まれている。
上にパーセントで示した配列同一性の値は、GAPプログラムを使用して、全配列領域にわたって次の設定:gap weight: 50、length weight: 3、average match: 10,000、及びaverage mismatch: 0.000により決定した。
特に断らない限り、これらの設定を配列比較の標準設定として用いた。
配列番号1及び配列番号3に示される核酸配列から逸脱している核酸配列は、例えば、配列番号1及び配列番号3のヌクレオチド配列中の1つ又は複数のヌクレオチドの置換、付加又は欠失の導入により作り出すことが可能であり、これにより配列番号2又は配列番号4に示される配列と比べて1つ又は複数のアミノ酸の置換、付加又は欠失が導入されたタンパク質が作り出される。部位特異的変異導入法及びPCR-利用変異導入法のような標準的な技術を用いて、配列番号1及び配列番号3の配列の1つに変異を導入することができる。好ましくは、推定上の1つ又は複数の非必須アミノ酸残基(すなわち、ペルオキシダーゼの酵素活性に影響を与えないアミノ酸残基)に保存的アミノ酸置換を生じさせる。「保存的アミノ酸置換」においては、あるアミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置換される。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーはこの技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)を有するアミノ酸を含む。従って、本発明により用いられるペルオキシダーゼ中の推定上の非必須アミノ酸残基は、好ましくは同じ側鎖のファミリーの別のアミノ酸残基で置換することができよう。或いはまた、別の実施形態において、ペルオキシダーゼをコードする配列の全配列にわたって、又はその一部に、例えば飽和突然変異誘発法を用いて、変異をランダムに導入することが可能であり、結果として生じた変異体は、ペルオキシダーゼ活性を保持している変異体を同定するために、コードされているタンパク質を組換え的に発現させることによってペルオキシダーゼ活性についてスクリーニングすることができる。このタンパク質のペルオキシダーゼ活性は、例えば、本明細書に記載のアッセイを用いて測定することができる。
本発明において、「トランスジェニック」又は「組換え」とは、例えば、本発明による核酸配列を含む核酸配列、発現カセット(=遺伝子構築物)、若しくはベクター、又は前記の核酸配列、発現カセット、若しくはベクターにより形質転換された生物に関して、これらの構築物全てが遺伝子操作を用いて作製されており、これらの構築物において、
a) 本発明による核酸配列、又は
b) 本発明による核酸配列に機能的に連結された遺伝子制御配列(例えばプロモーター)、又は
c) a)及びb)
のいずれかが、その天然の遺伝的環境にはないか、又は遺伝子操作により改変されており、この改変が、例えば、1つ又は複数のヌクレオチド残基の置換、付加、欠失、逆位又は挿入である、ことを意味する。天然の遺伝的環境とは、親生物における天然のゲノム遺伝子座若しくは染色体座、又はゲノムライブラリにおける存在を意味する。ゲノムライブラリの場合、核酸配列の天然の遺伝的環境は、少なくとも部分的に保存されていることが好ましい。この環境は、その核酸配列の少なくとも一方の側にあり、少なくとも50bp、好ましくは少なくとも500bp、特に好ましくは少なくとも1000bp、特に好ましくは少なくとも5000bpの配列長を有する。天然に存在する発現カセット(例えば、ペルオキシダーゼの天然のプロモーターとそのペルオキシダーゼ遺伝子との天然に存在する組み合わせ)は、変異誘発法のような非天然の、合成的な(「人工的な」)方法を用いてこれが改変される場合、トランスジェニック発現カセットとなる。対応する方法は、例えば、US 5,565,350又はWO 00/15815に記載されている。
本発明に関して、トランスジェニック植物、又はトランスジェニック植物細胞という用語は、上記のとおり、本発明の方法に用いる核酸が、植物又は植物細胞のゲノム中のその天然の部位には存在せず、このため該核酸が同種的又は異種的に発現されることを意味する。しかし、「トランスジェニック」はまた、本発明による核酸が生物のゲノム中のその天然の部位に位置しているが、この配列が天然の配列と比べて変化しており、且つ/又は該天然の配列の制御配列が改変されている、ことも意味する。好ましくは、「トランスジェニック」は、ゲノム中の非天然の部位での本発明の核酸の発現として理解される。すなわち、該核酸は同種的に、又は好ましくは異種的に発現される。
当業者にとっては、トランスジェニック植物又は植物細胞の作製に用いられる、ペルオキシダーゼをコードする核酸配列は、生物に特異的なコドン使用頻度に合わせて調整しなければならないことが明らかである。このコドン使用頻度は、選択した生物の他の既知遺伝子のコンピュータ解析を用いて決定することができる。
増大した病原体抵抗性を有する本発明のトランスジェニック植物又は植物細胞を作製するための好ましい方法においては、本発明によるペルオキシダーゼをコードする核酸配列が、それぞれ植物又は植物細胞に導入される。この導入は、野生型植物又は野生型植物細胞と比べてペルオキシダーゼの発現又は活性の増大をもたらし、これに対応してトランスジェニック植物又はトランスジェニック植物細胞における病原体抵抗性の増大をもたらす。
本発明によれば、このような方法は、典型的には以下のステップ:
a) 下記の核酸配列:
- 植物細胞において活性なプロモーターの制御配列、
- それに機能的に連結された、本発明によるペルオキシダーゼ又はペルオキシダーゼの一部をコードするDNA配列、
- それに機能的に連結された、植物細胞内で転写、終結、及び/又はポリアデニル化シグナルとして機能し得る制御配列、
を5'-3'方向に含むベクターを作製するステップ、
b) ステップa)からのベクターを植物細胞に導入し、場合により植物ゲノムに組み込むステップ、及び
c) 場合により、形質転換された植物細胞から完全な植物体を再生させるステップ、
を含む。
植物細胞へのベクターの導入後、この方法に用いた核酸は、別個のプラスミド上に位置するか、又は有利には宿主細胞のゲノム中に組み込まれるか、のいずれかであり得る。核酸がゲノム中に組み込まれる場合、その組み込みは、ランダムに起こってもよいし、又は天然の遺伝子が挿入したコピーにより置換されるような組換え(これは細胞内ペルオキシダーゼ発現のモジュレーションを引き起こす)によって起こってもよいし、又は遺伝子が機能的発現ユニット(遺伝子の発現を確実にする少なくとも1つの配列と、機能的に転写された遺伝子のポリアデニル化を確実にする少なくとも1つの配列を含む)に機能的に連結されるように遺伝子をトランスで用いることによって起こってもよい。
本発明によれば、ペルオキシダーゼをコードする核酸の遺伝子発現の増大は、植物の内在性ペルオキシダーゼの発現の操作も意味する。この操作は、例えば、ペルオキシダーゼをコードする遺伝子のプロモーターDNA配列を改変することによって達成することができる。このような改変は、内在性ペルオキシダーゼ遺伝子の改変された(好ましくは増大した)発現率をもたらすものであるが、DNA配列の欠失又は挿入により行うことができる。内在性ペルオキシダーゼ遺伝子のプロモーター配列の改変は通常、ペルオキシダーゼ遺伝子の発現量の改変をもたらし、ひいては細胞内又は植物内で検出可能なペルオキシダーゼ活性を改変させることにもなる。
内在性ペルオキシダーゼの活性及び含有量を増大させるための別の可能性は、内在性ペルオキシダーゼ遺伝子の転写に関与する転写因子を、例えば過剰発現により、アップレギュレートすることである。転写因子を過剰発現させる方法は当業者に公知であり、また本発明においてもペルオキシダーゼに関して開示される。
さらに、内在性ペルオキシダーゼ遺伝子の発現の増大は、非形質転換生物中には存在しない制御タンパク質がこれらの遺伝子のプロモーターと相互作用することで達成され得る。このような制御因子は、例えばWO 96/06166中に記載されている、DNA結合ドメインと転写活性化ドメインからなるキメラタンパク質であってよい。
ペルオキシダーゼ発現用に使用する組換え核酸分子は、導入されるペルオキシダーゼの核酸配列に加えて、さらなる制御エレメントを含む。これらのベクターがどの制御エレメントを含む必要があるかは、これらのベクターが用いられる方法に応じて、事例ごとに決められる。当業者は、タンパク質発現が増大しているトランスジェニック植物を作製するための上記の様々な方法に精通しており、これらのベクターがどのような制御エレメント及び他のエレメントを含む必要があるかを理解している。
典型的には、ベクターの一部である制御エレメントは、植物細胞において転写を可能にし、所望により翻訳を可能にするようなエレメントである。選択した植物に応じて、これは、例えば、遺伝子が誘導後にのみ発現及び/又は過剰発現されること、或いは遺伝子が直ちに発現及び/又は過剰発現されることを意味する。例えば、これらの制御配列は、誘導物質又はリプレッサーが結合することよって核酸の発現を調節する配列である。これらの新たな制御配列に加えて、又はこれらの配列の代わりに、実際の構造遺伝子の上流にある配列の天然の制御が、依然として存在してもよく、また可能であれば、天然の制御を働かなくして遺伝子の発現を増大させるように遺伝子的に改変されていてもよい。しかし、組換え核酸分子をより簡単な方法で構築することもでき、すなわち、付加的な制御シグナルが核酸配列の上流にまったく挿入されず、またその制御を伴う天然のプロモーターが除去されていない。代わりに、天然の制御配列が、もはや制御が起こらず且つ/又は遺伝子発現が増大するような方法で、変異されている。活性を増大させるために、これらの改変したプロモーターを単独で、部分配列の形で、天然の遺伝子の上流に挿入することもできる。さらに、遺伝子構築物はまた、プロモーターに機能的に連結された1つ又は複数のいわゆるエンハンサー配列(核酸配列の増大した発現を可能とする)を有利に含むこともできる。さらなる有用な配列(例えば、付加的な制御エレメント又はターミネーター)をDNA配列の3'末端に挿入することもできる。
原則として、本発明による方法のために、その制御配列を伴う天然のプロモーターはどれも使用することが可能である。しかし、合成プロモーターのみを使用すること、又はこれを付加的に使用することも可能であり、且つ有利である。
プロモーターは、構成的プロモーター、誘導プロモーター、組織特異的プロモーター又は発生特異的プロモーターのいずれであってもよい。プロモーターの選択のみならず他の制御配列の選択が、領域的及び時間的な発現パターンを決定し、従ってトランスジェニック植物におけるペルオキシダーゼの発現をも決定する。
構成的プロモーターとしては、例えば、以下のものが挙げられる:Rsyn7プロモーターのコアプロモーター並びに他の構成的プロモーター(WO 99/43838及び米国特許第6,072,050号に記載);CaMV 35Sプロモーター(Odellら(1985) Nature 313: 810-812);アクチンプロモーター(McElroyら(1990) Plant Cell 2:163-171);ユビキチンプロモーター(Christensenら(1989) Plant Mol. Biol. 12: 619-632、及びChristensenら(1992) Plant Mol. Biol. 18: 675-689);pEMUプロモーター(Lastら(1991) Theor. Appl. Genet. 81: 581-588);MASプロモーター(Veltenら(1984) EMBO J. 3: 2723-2730);ALSプロモーター(米国特許出願番号第08/409,297号)、及び同様のプロモーター。構成的プロモーターを用いる場合、細胞特異的発現又は組織特異的発現は、例えば遺伝子産物に結合してその活性を妨げる抗体を生成させることにより、又はこれらの細胞中で作用する好適なインヒビターにより、発現が望まれない細胞又は組織での遺伝子発現を阻害することによっても達成することができる。
好ましくは、ペルオキシダーゼ遺伝子は誘導プロモーターにより発現され、特に好ましくは病原体誘導性プロモーターによって発現される。このようなプロモーターとしては、病原体の感染後に誘導される病原体関連タンパク質(PRタンパク質)のプロモーター、例えばPRタンパク質、SARタンパク質、β-1,3グルカナーゼ、キチナーゼ等のプロモーターが挙げられる(例えば、Redolfiら(1983) Neth. J. Plant Pathol. 89: 245-254; Uknesら(1992) Plant Cell 4: 645-656;及びVan Loon (1985) Plant Mol. Virol. 4: 111-116を参照)。
また、特に興味深いプロモーターは、病原体の感染部位で又はその近くで局所的に発現されるプロモーターであり、例えば、Marineauら (1987) Plant Mol. Biol. 9: 335-342; Mattonら (1989) Molecular Plant-Microbe Interactions 2: 325-331; Somsischら (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 2427-2430; Somsischら (1988) Mol. Gen. Genet. 2: 93-98; Yang (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 14972-14977; Chenら (1996) Plant J. 10: 955-966; Zhang ら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 2507 - 2511; Warner ら (1993) Plant J. 3: 191-201; Siebertzら (1989) Plant Cell 1: 961-968に記載されているものである。
さらに、創傷誘導性プロモーターも、病原体が創傷部から侵入することが多いため、本発明の方法で使用するのに好適である。このような創傷誘導性プロモーターとしては、以下のものが挙げられる:ジャガイモのプロテイナーゼ阻害剤(pin II)のプロモーター(Ryan (1990) Ann. Rev. Phytopathol. 28: 425-449; Duanら (1996) Nature Biotechnology 14: 494-498); wun1及びwun2(米国特許第5,428,148号); win1及びwin2(Stanfordら(1989) Mol. Gen. Genet. 215: 200-208); システミン(McGurlら(1992) Science 225: 1570-1573); WIP1(Rohmeierら(1993) Plant Mol. Biol. 22: 783-792; Eckelkampら(1993) FEBS Letters 323: 73-76); MPI遺伝子のプロモーター(Corderokら(1994) Plant J. 6 (2): 141-150); FGAM-シンターゼ(Vaghchhipawalaら(2004) Genome 47 (2): 404-413); prxC2(Kaothienら(2002) Plant Mol. Biol. 49 (6): 591-599); poxA(Itoら(2000) Plant Science 155 (1): 85-100); FAD7(Nishiuchiら(1999) Plant Physiol. 121 (4): 1239-1246); TR2'(WO 03/093483)。
化学的に制御されるプロモーターは、外因性の化学的レギュレーターを用いて植物中の遺伝子の発現を調節するために用いることができる(Gatz (1997) Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol., 48: 89-108の概説を参照)。化学誘導プロモーターは、遺伝子発現が時期特異的に起こることが望まれる場合に、特に適している。このプロモーターの例として、ベンゼンスルホンアミドにより活性化されるトウモロコシのIn2-2プロモーター、疎水性求電子化合物により誘導されるトウモロコシのGSTプロモーター、及びサリチル酸により活性化されるタバコのPR-1aプロモーターが挙げられる。他の化学的に制御されるプロモーターとしては、ステロイド応答性プロモーター(例えば、Schenaら(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10421-10425及びMcNellisら(1998) Plant J. 14 (2): 247-257に記載のグルココルチコイド誘導性プロモーターを参照)、エタノール誘導性及びテトラサイクリン誘導性プロモーター(例えば、Gatzら(1991) Mol. Gen. Genet. 227: 229-237;米国特許第5,814,618号及び第5,789,156号を参照)が挙げられる。
当業者は、誘導性プロモーターを使用すると、本発明による配列を一時的にのみ発現する植物又は植物細胞の作出が可能となる、ことを理解している。このような一時的発現は、一過性の病原体抵抗性を示すだけの植物の作出を可能とする。かかる一過性の抵抗性は、例えば、病原体汚染の危険性が迫っており、このため植物を一定の期間のみ病原体に対して抵抗性にする必要がある場合に望ましい。一過性の抵抗性が望まれるさらなる状況は、当業者に公知である。さらに当業者は、植物細胞中で非安定的に複製するベクター(ペルオキシダーゼ発現用の各配列を担う)を使用することにより、一時的な発現と、それによる一過性の抵抗性とを達成することができることも理解している。
組織特異的プロモーターを使用して、特定の植物組織内での増大したペルオキシダーゼ発現を達成することもできる。好適な組織特異的プロモーターは、例えば、葉特異的発現を可能とするプロモーターである。これらの組織特異的プロモーターには下記の文献に記載されるものが含まれる:Yamamotoら (1997) Plant J. 1 (2): 255-265; Kwonら (1994) Plant Physiol 105: 357-367; Yamamotoら (1994) Plant Cell Physiol. 35 (5): 773-778; Gotorら (1993) Plant J. 3: 509-518; Orozcoら (1993) Plant Mol. Biol. 23 (6): 1129-1138; Matsuokaら (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (20): 9586-9590; Stockhausら (1987) Proc. Natl. Acad. G. USA 84: 7943-7947; Stockhausら (1989) EMBO J. 8: 2445-2451。
表皮特異的プロモーターの使用も特に好ましい。なぜなら、高等植物の地上器官の外部組織としての表皮の役割は何よりも、病原体が植物中に侵入するのを防ぐことだからである。好適な表皮特異的プロモーターとしては、特に、シロイヌナズナ(Arabidopsis)CER6(CUT1)遺伝子のプロモーター(Hookerら (2002) Plant Physiol. 129 (4): 1568-1580、及びKunstら (2000) Biochem. Soc. Trans. 28 (6): 651-654)が挙げられる。
他の好ましいプロモーターは、特に果実中で活性なプロモーターである。これらのプロモーターとしては、例えば、ポリガラクツロナーゼ遺伝子のプロモーター、例えば、トマトの当該プロモーター(Nicholass ら (1995) Plant Mol. Biol. 28:423-435)、ACCオキシダーゼのプロモーター、例えばリンゴの当該プロモーター(Atkinsonら (1998) Plant Mol. Biol. 38:449-460)、又はトマトの2A11プロモーター(van Haarenら (1991) Plant Mol. Biol. 17:615-630)が挙げられる。
また、葉肉特異的プロモーターも好ましく、例えばイネ又はトマトのrbcsプロモーター(Kyozukaら (1993) Plant Physiol. 102 (3): 991-1000)、トウモロコシのPPCZm1プロモーター(Kauschら (2001) Plant Mol Biol. 45 (1): 1-15)、シロイヌナズナのCAB2プロモーター(Thainら (2002) Plant Physiol. 130: 102-110)、又はイネのAldPプロモーター(Kagayaら (1995) Mol Gen Genet. 248 (6): 668-674)である。
さらに、当業者であれば、慣用方法を用いてさらなる好適なプロモーターを単離することができる。このようにして、ハイブリダイゼーション実験、又はDNA-タンパク質結合試験のような現在の分子生物学的方法を用いて、当業者は、例えば、さらなる表皮特異的制御核酸エレメントを同定することができる。ここでは、例えば、第1ステップにおいて、制御配列を単離すべき所望の生物から所望の組織を単離し、該組織から全ポリ(A)+RNAを単離し、cDNAライブラリを作製する。第2ステップでは、別の組織に由来するポリ(A)+RNA分子に基づくcDNAクローンを使用して、対応するポリ(A)+RNA分子が所望の組織中に単に蓄積しているクローンを、第1のバンクからハイブリダイゼーションを用いて同定する。その後、このように同定したcDNAを用いて、組織特異的制御エレメントを有するプロモーターを単離する。当業者は、好適な組織特異的プロモーターを単離するための、PCRに基づくさらなる方法を利用することもできる。
本発明によるベクターは、制御エレメントとして、例えば、エンハンサーエレメントをさらに含み得る。これらのベクターはまた、耐性遺伝子、複製シグナル、及び大腸菌(E. coli)のような細菌中でのベクターの増殖を可能とする付加的なDNA領域を含むこともできる。この制御エレメントは、宿主細胞中のベクターの安定化に影響を及ぼす配列も含む。このような制御エレメントは特に、植物の宿主ゲノム中への該ベクターの安定な組込み、又は該ベクターの植物細胞中での自律複製を促進する配列を含む。このような制御エレメントは当業者に公知である。
いわゆる終結配列は、転写又は翻訳の適正な終結を確実にする配列である。導入した核酸が翻訳される場合、終結配列は、典型的には終止コドンとそれぞれの制御配列である。導入した核酸が転写されるだけである場合、終結配列は通常、ポリ(A)配列である。
本明細書で用いる「ベクター」という用語は、それに結合されている別の核酸を細胞中に運ぶことができる核酸分子に関する。ベクターの1つのタイプは環状二本鎖DNAループに相当する「プラスミド」であり、これに付加的なDNAセグメントを連結することができる。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントをウイルスゲノム中に連結することができる。特定のベクターは、それらが挿入された宿主細胞中で自律的に複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター)。他のベクターは、宿主細胞に挿入された場合に宿主細胞のゲノム中に有利に組込まれ、これによって宿主ゲノムと共に複製される。また、特定のベクターはそれに機能的に連結された遺伝子の発現を制御することができる。これらのベクターを、本明細書中では「発現ベクター」と呼ぶ。通常、DNA組換え技術に適した発現ベクターはプラスミド型である。プラスミドは最も頻繁に使用されるタイプのベクターであるため、本明細書中において「プラスミド」と「ベクター」とは互換的に用いることができる。しかし、本発明は、同様の機能を果たすウイルスベクターのような他のタイプの発現ベクターをも含むものである。さらに、「ベクター」という用語はまた、ファージ、ウイルス(例えばSV40、CMV、TMV)、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、ファージミド、コスミド、線状DNA又は環状DNAのような、当業者に公知の他のベクターを含むものとする。
組換え発現ベクターにおいて、「それに機能的に連結された」という用語は、目的のヌクレオチド配列が、該ヌクレオチド配列の発現を可能とするような状態で制御配列に連結されており、且つ両配列が該ヌクレオチド配列に帰する予測された機能を果たすような状態で互いに連結されている、ことを意味する。
「制御配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)を含むものである。これらの制御配列は、例えば、Goeddel: Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)、又はGruber及びCrosby: Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, CRC Press, Boca Raton, Florida, 発行元: Glick及びThompson, Chapter 7, 89-108に記載されている。制御配列は、多種類の宿主細胞中でのヌクレオチド配列の構成的発現を制御する配列、及び特定の条件下にある特定の宿主細胞中のみでのヌクレオチド配列の直接発現を制御する配列を含む。当業者は、発現ベクターの設計が、形質転換しようとする宿主細胞の選択、希望するタンパク質発現の程度といった要因に左右されることを理解している。
ペルオキシダーゼ発現のために用いられる組換え発現ベクターは、原核細胞及び真核細胞の両方において活性であり得る。この事実は、ベクター構築の中間段階が簡素化の目的で微生物中で行われることが多いため、好都合である。これらのクローニングベクターは、各微生物用の複製シグナル、及び成功裏に形質転換された細菌細胞の選択のためのマーカー遺伝子を含む。原核生物での発現に好適なベクターは当業者に公知であり、例えば、大腸菌(E. coli)pLG338、pACYC184、pBR322のようなpBRシリーズ、pUC18又はpUC19のようなpUCシリーズ、M113mpシリーズ、pKC30、pRep4、pHS1、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11、又はpBdCl、ストレプトマイセス(Streptomyces)pIJ101、pIJ364、pIJ702、又はpIJ361、バチルス(Bacillus)pUB110、pC194、又はpBD214、コリネバクテリウム(Corynebacterium)pSA77、又はpAJ667が挙げられる。
別の実施形態において、発現ベクターは、酵母発現ベクター又はバキュロウイルス発現ベクターを表す。
上記で名を挙げたベクターは、可能性のある好適なベクターのほんのわずかな概要を提供するにすぎない。当業者にはさらなるプラスミドが知られており、例えば、Cloning Vectors (発行元Pouwels, P.H.ら Elsevier, Amsterdam, New York-Oxford, 1985)に記載されている。原核細胞及び真核細胞用のさらなる好適な発現系については、Sambrook及びRussell(前掲)の第15章及び第16章を参照されたい。
本方法の別の実施形態において、ペルオキシダーゼは単細胞植物の細胞(例えば藻類)(Falciatoreら, 1999, Marine Biotechnology 1 (3):239-251及びそこに引用されている文献を参照)、及び高等植物(例えば作物のような種子植物)の植物細胞中で発現させることができる。植物発現ベクターの例として、Becker, D., Kemper, E., Schell, J.及びMasterson, R. (1992), Plant Mol. Biol. 20:1195-1197; 並びにBevan, M.W. (1984), Nucl. Acids Res. 12:8711-8721; Transgenic Plants, Bd. 1, Engineering and Utilization, 発行元: Kung及びR. Wu, Academic Press, 1993, S. 15-38のVectors for Gene Transfer in Higher Plantsに広く記載されているベクターが含まれる。
植物遺伝子の発現は多くの場合転写レベルに制限されないため、植物発現カセットは、好ましくは、上記のエレメントに加えて、翻訳エンハンサーのような他の機能的に連結された配列、例えばタンパク質/RNA比を増大させるタバコモザイクウイルスの5’非翻訳リーダー配列を含有するオーバードライブ配列、を含む(Gallieら (1987) Nucl. Acids Research 15:8693-8711)。
発現させる遺伝子は、上記のとおり、遺伝子発現を時期特異的、細胞特異的又は組織特異的に制御する好適なプロモーターに機能的に連結されていなければならない。好適なプロモーターは、既に上述されている。
遺伝子発現カセット中で機能的に連結させて使用するのに好適な他の配列はターゲティング配列であり、この配列はそれぞれの細胞コンパートメント、例えば、液胞、核、全ての種類の色素体(例:アミロプラスト、葉緑体、有色体)、細胞外空間、ミトコンドリア、小胞体、エライオソーム、ペルオキシソーム、及び植物細胞の他のコンパートメント中に遺伝子産物をターゲティングするのに必要とされる(Kermode (1996) Crit. Rev. Plant Sci. 15 (4): 285-423中の概説及びそこに引用されている文献を参照)。
ペルオキシダーゼ配列を発現ベクター中に挿入するため、この配列を公知の方法で増幅及びライゲーションに供することが有利である。好ましくは、それはPfu DNAポリメラーゼ又はPfu/Taq DNAポリメラーゼ混合物のプロトコルに従って進める。プライマーは増幅すべき配列に従って選択される。有利には、プライマーは、増幅産物が開始コドンから終止コドンまでの全発現配列を含むように選択すべきである。有利には、増幅後に増幅産物を解析する。例えば、ゲル電気泳動分離後に質及び量について解析することができる。その後、増幅産物を標準的なプロトコル(例えばQiagen)に従って精製することができる。精製した増幅産物の分割量を後続のクローニングにその後利用することができる。
好適なクローニングベクターは通常、当業者に公知である。これらのベクターには、微生物系内で複製可能なベクター、すなわち、特に細菌、酵母又は菌類内での効率的なクローニングを可能にし、且つ植物の安定な形質転換を可能にするベクターが含まれる。特に言及する価値があるのは、T-DNA媒介形質転換に好適な、各種のバイナリーベクター系及び共組込み型ベクター系である。このようなベクター系は通常、アグロバクテリウム媒介形質転換に必要とされるvir遺伝子、並びにT-DNA制限配列(T-DNAボーダー)を少なくとも含むことを特徴とする。好ましくは、これらのベクター系は、プロモーター及びターミネーター、及び/又はそれぞれの形質転換生物の同定に用いられる選択マーカーのようなシス制御領域もさらに含む。共組込み型ベクター系においてはvir遺伝子とT-DNA配列とが同一のベクター上に配置されるが、バイナリー系は少なくとも2つのベクターに基づき、そのうちの1つはvir遺伝子を含むがT-DNAは含まず、他方はT-DNAを含むがvir遺伝子は含まない。従ってバイナリー系のベクターは比較的小さく、操作が容易であり、また大腸菌(E. coli)とアグロバクテリウムの両方で複製可能である。これらのバイナリーベクターとしては、pBIB-HYG、pPZP、pBecks、pGreenシリーズのベクターが挙げられる。本発明によれば、Bin19、pBI101、pBinAR、pGPTV及びpCAMBIAが好ましい。バイナリーベクター及びこれらの使用の概説は、Hellensら (2000) Trends in Plant Science 5, 446-451に記載されている。
ベクターを作製する場合は、制限エンドヌクレアーゼを用いて最初にベクターを線状化し、その後任意の好適な方法で酵素的に改変する。その後ベクターを精製し、分割量をクローニングに用いる。クローニングの間に、酵素的に切断し、必要に応じて精製した増幅産物を、同様に調製したベクター断片にリガーゼを用いて連結する。特定の核酸構築物、又はベクター構築物、又はプラスミド構築物は、発現遺伝子領域を1つ又は複数でも含むことができる。好ましくは、これらの構築物中の発現遺伝子領域は、制御配列に機能的に連結される。制御配列は特に、上記のプロモーター及びターミネーターのような植物配列を含む。構築物は、好適な培地中の微生物、特に大腸菌(E. coli)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)中で有利に培養し、選択条件下で安定的に増やすことができる。その後細胞を回収して溶解させ、そこからプラスミドを抽出する。これは異種DNAの植物又は微生物中への導入を可能にする。
クローニングベクターを有利に使用することで、本発明の方法に用いる核酸、本発明による核酸及び核酸構築物を生物(例えば微生物、又は好ましくは植物)に挿入し、以下の文献に発表され引用されるように植物の形質転換に使用することが可能である:Plant Molecular Biology and Biotechnology (CRC Press, Boca Raton, Florida), Chapters 6/7, p.71-119 (1993); Transgenic Plants, Bd. 1, Engineering and Utilization, 発行元: Kung及びR. Wu, Academic Press, 1993, 15-38中のF.F. White, Vectors for Gene Transfer in Higher Plants; Transgenic Plants, Bd. 1, Engineering and Utilization, 発行元: Kung及びR. Wu, Academic Press (1993), 128-143中のB. Jenesら, Techniques for Gene Transfer; Potrykus (1991) Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Molec. Biol. 42: 205-225。従って、本方法に用いる核酸、本発明による核酸及び核酸構築物、及び/又はベクターは、広範囲の生物(好ましくは植物)の遺伝子改変に用いることができる。
植物宿主細胞中にDNAを挿入するための、複数の利用可能な公知技術があり、当業者が各場合に最も適した方法を見出すのに何の困難もないだろう。これらの技術は、形質転換剤としてアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)又はアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を用いるT-DNAによる植物細胞の形質転換、プロトプラスト融合、単離されたDNAのプロトプラスト中への直接遺伝子導入、DNAのエレクトロポレーション、遺伝子銃法を用いたDNAの挿入、並びに他の可能性を含む。このような方法で、安定した形質転換体と一過性の形質転換体の両方を作製することができる。
植物細胞中へのDNAの導入及びエレクトロポレーションに関しては、使用するプラスミド自体について特別な要求はない。同様のことが直接遺伝子導入にも当てはまる。pUC誘導体のような単純なプラスミドを使用することができる。しかし、全植物体をこのような形質転換細胞から再生させようとする場合、選択マーカー遺伝子の存在が必要となる。当業者は最も一般的に用いられる選択マーカーを理解しており、好適なマーカーを選択することが当業者に問題を提起することはない。一般的に用いられる選択マーカーは、形質転換植物細胞を殺生物剤又は抗生物質(例えばカナマイシン、G418、ブレオマイシン、ハイグロマイシン、メトトレキセート、グリフォセート、ストレプトマイシン、スルホニル尿素、ゲンタマイシン、又はフォスフィノスリシン等)に対して耐性にさせる選択マーカーである。個々に選択されたマーカーは、挿入DNAを欠く細胞に対して、形質転換細胞の選択を可能にすべきである。この目的のため、栄養マーカー又はスクリーニングマーカー(例えばGFP、緑色蛍光タンパク質)のような別のマーカーも適している。当然、選択マーカーを全く使用しないことも可能であるが、これはスクリーニングの必要性を大きく増大させる。マーカーフリーのトランスジェニック植物体を望む場合には、当業者はマーカー遺伝子のその後の除去を可能とする方法、例えば同時形質転換、又は配列特異的リコンビナーゼを利用することもできる。ひとたび挿入DNAが植物細胞のゲノムに組み込まれてしまうと、通常このDNAはそこで安定し、最初に形質転換した細胞の子孫にも引き継がれるであろう。
アグロバクテリウムを形質転換に用いる場合、挿入すべきDNAは、中間ベクター又はバイナリーベクターのいずれかとして、上で説明した特別のプラスミド中にクローニングしなければならない。中間ベクターは、T-DNA中の配列に相同な配列のため、アグロバクテリウムのTi又はRiプラスミドの中に相同的組換えを用いて組み込むことができる。このプラスミドは、T-DNAの移行に必要なvir領域も含む。中間ベクターはアグロバクテリウム中で複製する能力がない。中間ベクターは、ヘルパープラスミド(接合)を用いてアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入することができる。バイナリーベクターは、アグロバクテリウムだけでなく大腸菌(E. coli)の中でも複製可能である。バイナリーベクターは、右側及び左側のT-DNA境界領域によって挟まれた、選択マーカー遺伝子とリンカー又はポリリンカーを含む。バイナリーベクターはアグロバクテリウムに直接形質転換することができる(Holstersら (1978), Molecular and General Genetics 163, 181-187)。宿主細胞としての役割を果たすアグロバクテリウムは、vir領域を担うプラスミドを含むべきである。このvir領域はT-DNAを植物細胞中に移行させるのに必要である。T-DNAが存在してもよい。このような方法で形質転換されたアグロバクテリウムは植物細胞の形質転換に用いられる。
植物細胞の形質転換にT-DNAを使用することは広く解析されており、EP120 515中に十分に記載されている。
DNAを植物細胞中へ導入する場合は、植物外植片をアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)又はアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)と共に有利に培養することができる。その後、形質転換細胞選択用の抗生物質又は殺生物剤を含み得る好適な培地中で、感染した植物材料(例えば、葉の切片、茎の断片、根、またプロトプラスト又は懸濁培養した植物細胞)から全植物体を再生させることができる。植物体の再生は、公知の培地を用いる従来の再生法に従って行われる。このような方法で得られた植物又は植物細胞は、その後サザンブロット又はPCRのような確立された方法を用いて挿入DNAの存在について解析することができる。
遺伝子銃法を用いて、又はプロトプラスト形質転換により、外来性DNAを挿入するための他の可能性は、当業者に公知である(L. Willmitzer (1993) Transgenic Plants in: Biotechnology, A Multi-Volume Comprehensive Treatise (発行元: H.J. Rehmら), Volume 2, 627-659, VCH Weinheim, ドイツを参照)。
さしあたり、双子葉植物又はこれらの細胞の、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いたTiプラスミドベクター系による形質転換は十分に確立されてきており、単子葉植物又はこれらの細胞の上記形質転換もまたそうである(特にChanら (1993), Plant Mol. Biol. 22, 491-506を参照)。
単子葉植物又はこれらの細胞の形質転換のための別の系としては、遺伝子銃法を用いた形質転換(Wan及びLemaux (1994) Plant Physiol. 104, 37-48; Vasilら (1993) Bio/Technology 11, 1553-1558; Ritalaら (1994) Plant Mol. Biol. 24, 317-325; Spencerら (1990), Theor. Appl. Genet. 79, 625-631)、プロトプラスト形質転換、一部透過性の細胞のエレクトロポレーション、並びにグラスファイバーを用いたDNAの挿入が挙げられる。
形質転換された細胞は、通常の方法でプラント内で生育させる(McCormickら (1986), Plant Cell Reports 5, 81-84も参照)。結果として生じた植物体は普通に栽培し、また同じ形質転換遺伝子コード又は異なる遺伝子コードを有する植物と交配させることができる。得られたハイブリッド個体は対応する表現型特性を有する。
表現型特性が安定して保持及び伝達されることを確実にするため、2世代以上栽培すべきである。また、それぞれの表現型又は他の特性が保持されていることを確実にするため、種子を回収すべきである。
同様に、トランスジェニック系統について、どの系統が新たな核酸分子に対してホモ接合性であるかを従来の方法により確認することができ、存在する又は存在しない病原体応答性に関するそれらの表現型挙動を分析して、半接合体の系統の挙動と比較することができる。
当然、本発明による核酸分子を含む植物細胞を、細胞培養物(プロトプラスト、カルス、懸濁培養物等を含む)の形でさらに培養することもできる。
本発明による方法は、病原体抵抗性(例えば、昆虫、菌類、細菌、線虫等に対する抵抗性)、ストレス抵抗性、又は植物特性の別の改良を賦与する別の方法と有利に組み合わせることができる。例は、特にDunwell JM (2000) J Exp Bot. 51: 487-496に記載されている。
本発明によれば、トランスジェニック植物という用語は、本発明による植物ペルオキシダーゼタンパク質の発現が増大している植物体そのものだけでなく、該植物の全ての部分を含む。これは植物体及び植物器官の全ての部分を含み、例えば、トランスジェニック植物に由来し且つ/又はトランスジェニック植物を作製するために用いることができる葉、茎、種子、根、塊茎、葯、繊維、根毛、柄、胚芽、カルス、子葉、葉柄、作物、植物組織、生殖組織、細胞培養物を含む。
使用するベクター系に応じて、移行される核酸が独立して複製する系として植物細胞又は植物体に含まれているトランスジェニック植物を本発明に従って作製することも可能である。このため、植物への導入に用いられるベクターは、細胞内への移行に用いられるプラスミドの複製を容易にする対応DNA配列を保有しなければならない。
本発明による、植物又は植物細胞中でのペルオキシダーゼタンパク質の特異的発現は、一般的な分子生物学的方法及び生化学的方法を用いて検証し追跡することができる。当業者はこれらの技術を理解しており、好適な検出方法(例えば、ペルオキシダーゼ特異的RNAを検出するための若しくはペルオキシダーゼ特異的RNAの蓄積量を測定するためのノーザンブロット解析、又はペルオキシダーゼをコードするDNA配列を検出するためのサザンブロット若しくはPCR解析)を容易に選択することができる。この目的に用いられるプローブ又はプライマーの配列は、配列番号1若しくは3に示される配列と同一であってもよいし、又はこれらの配列とわずかな差異を示すものであってもよい。
当然、上記の技術を用いて、本発明において同定されたペルオキシダーゼの存在に起因する非宿主抵抗性を有する、さらなる植物を同定することもできる。
本発明の方法に用いられる植物は、原則として、病原体の侵襲に対して抵抗性にしようとするどのような植物であってもよい。好ましくはこの植物は、農業上の単子葉植物若しくは双子葉植物、食用植物又は飼料植物である。
単子葉植物の例は、アベナ属(Avena)(カラスムギ)、コムギ属(Triticum)(コムギ)、ライムギ属(Secale)(ライムギ)、オオムギ属(Hordeum)(オオムギ)、イネ属(Oryza)(イネ)、キビ属(Panicum)、チカラシバ属(Pennisetum)、エノコログサ属(Setaria)、モロコシ属(Sorghum)(アワ)、トウモロコシ属(Zea)(トウモロコシ)等に属する植物である。
農業上の双子葉植物は、特に、ワタ、豆類のようなマメ科植物、及び特にアルファルファ、ダイズ、アブラナ、カノーラ、トマト、テンサイ、ジャガイモ、ヒマワリ、観賞植物並びに樹木を含む。さらなる農業上の植物は、果実(特にリンゴ、西洋ナシ、サクランボ、ブドウ、柑橘類、パイナップル、及びバナナ)、アブラヤシ、チャ、ココア及びコーヒーの木、タバコ、サイザル麻、並びに薬草のラウオルフィア(蛇木)(Rauwolfia)及びジギタリス(Digitalis)を含み得る。特に好ましいのは、穀類であるコムギ、ライムギ、カラスムギ、オオムギ、イネ、トウモロコシ及びアワ、並びに双子葉植物であるテンサイ、アブラナ、ダイズ、トマト、ジャガイモ及びタバコである。さらなる農業上の植物は、米国特許第6,137,030号に記載されている。
好ましい植物は、マリーゴールド、ヒマワリ、シロイヌナズナ、タバコ、赤トウガラシ、ダイズ、トマト、ナス、コショウ、ニンジン、ジャガイモ、トウモロコシ、レタス及びキャベツ類、穀類、アルファルファ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、コムギ、ライコムギ、アワ、イネ、アルファルファ、亜麻、ワタ、麻、アブラナ又はカノーラのようなアブラナ科植物(Brassicaceae)、テンサイ、サトウキビ、ナッツ及びワインの植物種、又はアスペン若しくはイチイのような樹木である。
本発明のさらなる目的は、食料及び飼料、医薬品又はファインケミカル製造のための、本発明によるトランスジェニック植物並びにこの植物に由来する細胞、細胞培養物、部分及びトランスジェニック再生材料の使用に関する。
ブルメリア・グラミニス・f. sp.・トリティカム(Blumeria graminis f. sp. triticum)分離株に対するオオムギの非宿主抵抗性を媒介する遺伝子としてのオオムギ由来ペルオキシダーゼの同定、並びにトランスジェニック植物又は植物細胞各々における病原体抵抗性を媒介するためのその使用について、以下で説明することにする。下記の実施例は限定的に解釈されてはならない。本特許出願に引用されている文献、特許出願、特許、及び公開された特許出願全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
実施例1
一般的なクローニング方法
クローニング方法、例えば制限酵素消化、アガロースゲル電気泳動、DNA断片の精製、核酸のニトロセルロース膜及びナイロン膜への移行、DNA断片の連結、大腸菌(E. coli)細胞の形質転換、細菌の培養、及び組換えDNAの配列解析は、上記Sambrookら(2001)に記載のとおりに行った。
実施例2
組換えDNAの配列解析:
組換えDNA分子のシークエンシングは、ABIのレーザー蛍光DNAシーケンサーを用いて、サンガー法(Sangerら(1977) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74, 5463-5467)により行った。
実施例3
オリゴヌクレオチドフィンガープリント法によるオオムギHvBgt1の同定
オオムギのペルオキシダーゼ遺伝子であるHvBgt1は、オリゴヌクレオチドフィンガープリント法(Radelofら (1998) Nucleic Acids Res. 26(23):5358-64)を用いて、Bgt誘導性遺伝子として同定した。この方法を用いると、極めて低発現の遺伝子の発現パターンでさえも同定することができる。
HvBgt1は、コムギうどんこ病菌(Bgt;葉組織の収穫時期:感染後(h.p.i)6時間、24時間、48時間及び72時間)に感染しているオオムギ植物のmRNAから作製したライブラリ中で同定した。BASF Corporationが開発したソフトウェアHyStacを用いて、このライブラリ中の個々のクラスターの存在量を、参照として用いる2つのさらなるオオムギライブラリ(オオムギうどんこ病菌(Bgh)を接種したオオムギ並びに接種していないオオムギ)の存在量と比較した。HvBgt1については、この解析はオオムギ+Bgtライブラリにおいて約10倍増大した存在量を示した。
実施例4
オオムギ系統の栽培及びうどんこ病菌の感染
オオムギ野生型系統のIngrid MLOBcを実験に用いた。この種子はPatrick Schweizer博士(IPK Gatersleben)より提供された。
この種子を土の上に置いた後、層積処理(stratification)のために24時間、4℃に維持した。その後植物を制御された成長条件の温室(Agrarzentrum Limburgerhof, BASF AG)の中に入れた。平均温度は23℃;湿度は40〜70%であった。明暗周期は各々、10時間及び14時間とした。播種の7日後、この植物にBgh又はBgtを接種した。実験に用いた病原体ブルメリア・グラミニス・f. sp.・ホルデイ(Blumeria graminis f. sp. hordei)の分離株FA6hは、HeckenholzにあるETH Zurichの研究所より提供された。病原体ブルメリア・グラミニス・f. sp.・トリチキ(Blumeria graminis f. sp. tritici)は、BASF AGのAgrarzentrumにおいて、コムギ品種Kanzler上で培養されたフィールド分離株である。感染させるために、Bghを重度に感染させたオオムギ植物又はBgtを重度に感染させたコムギ植物各々を、感染対象のオオムギ植物又はシロイヌナズナ植物の上に保持し、これらの植物にうどんこ病菌の胞子(分生子)を移すためにこの菌を振り落とした。
実施例5
感染したオオムギ植物の全RNAの単離
4日間にわたって、感染したオオムギ材料と感染していない対照とを24時間の間隔で採取し、アルミホイルに包んでドライアイス中で急速冷凍した。この葉材料を-80℃で保存した。葉材料を小片に粉砕した後、RNeasy Plant Maxi Kit(登録商標)(Qiagen, Hilden, ドイツ)を用いて使用説明書に従って全RNAを単離した。精製したRNAの溶出は2 x 0.6 mlのRNaseフリーの水を用いて行った。このRNAの濃度をEPPENDORF BioPhotometer 6131を用いて測定し、その後該RNAを、2容量部の98%エタノールと1/10容量部の酢酸ナトリウム(3M、pH5.2)を用いて沈殿させ、約2μg/μlの濃度に調整した。
実施例6
定量PCR解析を用いたペルオキシダーゼ発現の測定
葉材料から単離したRNAサンプルを定量PCRに用いた。最初に、該RNAサンプル中に依然として残っている全てのDNAを消化した。この消化産物は、AMBION(Huntingdon, USA)からのDNA-freeTMを用いて次のように調製した:
RNA 50μl
10x DNase Iバッファー 6μl
DNase I (2 U/μl) 2μl
H2O ad 60μl 2μl
上記の混合物を37℃で30分間インキュベートした。その後9μlのDNase不活性化試薬を添加し、該溶液を十分に混合した。室温で2分間さらにインキュベーションを行った後、DNase不活性化試薬をペレット化するため該溶液を10,000 gで1分間遠心分離した。RNAを新たな容器に移して-20℃で保存した。
DNase消化の後、RNAをcDNAに逆転写させた。このアッセイは、APPLIED BIOSYSTEMS (Applera Deutschland GmbH, Darmstadt, ドイツ)が提供しているTaq Man Reverse Transcription Reagentsを用いて行った:
RNA 6μl
25 mM MgCl2 4.4μl
dNTP-Mix (10 mM) 4μl
50μMランダムヘキサマー 1μl
10x RTバッファー 2μl
RNase阻害剤 0.4μl
Multiscribe RT (50 U/μl) 1.5μl
H2Oヌクレアーゼフリー 0.7μl
この混合物を25℃で10分間インキュベートし、その後37℃で60分間インキュベートした。最終的にこの混合物を95℃で5分間加熱して不活性化した。
転写されたDNAを20μlのH2Oで希釈し、そのうち2.5μlを定量PCRに用いた。18S rRNAを内部標準として測定した。全てのサンプルについて3重測定を実施した。この混合物を96穴プレートに分注した。最初にcDNAを個別に分注し、その後SYBR Green(登録商標) Master Mixを、プライマー及び対応する量の水と共に別個に添加し、溶液を混合した。
Figure 2008503227
感染前のそれぞれの対照値は参照サンプル(0時間)として使用した。転写産物量の測定は、Bgh感染の24時間後、48時間後、及び72時間後に採取したサンプルを用いて行った。
Figure 2008503227
このプレートを室温、2,500 rpmで1分間遠心分離し、サンプルをAPPLIED BIOSYSTEMS (Applera Deutschland GmbH, Darmstadt, ドイツ)が提供しているABI PRISM 7000装置中で直接計測した。評価はAPPLIED BIOSYSTEMS社のABI PRISM 7000 SDSプログラムを用いて行った。
定量PCRを用いて測定した発現データを表5及び図1に示す。この計測は2回実施し、個々の計測値の3重測定を行った。各平均値並びに関連する標準偏差を示す。
Figure 2008503227
表5:非宿主相互作用(オオムギとBgt)及び宿主相互作用(オオムギとBgh)におけるHvBgt1発現の経時的変化を示す。
0時間の計測値は、各相互作用についての比較値又は基準値として用いた。
結果は、対照、非宿主相互作用、及び宿主相互作用の3つの系の間で、HvBgt1発現に有意差があることを示す。対照においては、48時間までに約28倍の転写量の著しい増加が記録され、その後計測開始後72時間までほぼ一定のままである。一方、非宿主相互作用(オオムギとBgt)においては、24時間後にほぼ110倍の増加が認められ、その後徐々に下がり72時間後には10倍量となる。対照的に、宿主相互作用(オオムギとBgh)においては全期間にわたって最大3倍の転写量の増加が認められるにすぎない。
実施例7
オオムギHvBgt1の完全長配列のRACE-PCRによる単離
感染した葉材料から単離したRNAをRACE-PCRに用いた。RACE cDNAライブラリは、Invitrogen (Karlsruhe, ドイツ)が提供しているGeneRacerTM-Kitを用いて、メーカーの使用説明書に従って作製した。遺伝子特異的プライマー(GSP)として、プライマーM207を5'RACEプライマーとして使用し、プライマーM208をネステッドプライマーとして使用した。
Figure 2008503227
Figure 2008503227
遺伝子HvBgt1の完全長配列は、複数の部分的なステップで増幅し、続いて配列決定し、その後in silicoで組み立てた。3'RACEによりポリA延長部を有する配列の一部を増幅し、5'RACEにより該配列の別の部分を増幅した後、これらの新しい配列はContig(コンティグ)によって元の配列とコンジュゲートさせることができた。全配列は約1,000 bpであった。この配列中の考えられるORF全てをコンピュータプログラムContigExpress(INFORMAX, Maryland, USA)を用いて表示させた。945 bpの長さにわたって伸びる1つのORFを見出した。この遺伝子が完全であるか否かを確認するために、開始点の上流にさらなる終止コドンを探し求めた。5'方向で3トリプレット後方に終止コドンが見出された。
この遺伝子を完全長クローンとして得るために、遺伝子全体の増幅を可能とするプライマーを選択した(end-to-end PCR)。その後PCR断片をアガロースゲルから精製し、pCR4-TOPO(登録商標)ベクター中にクローニングした。HvBgt1の完全長ヌクレオチド配列を配列番号1に、そのアミノ酸配列を配列番号2に示す。
実施例8
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)でのHvBgt1と相同な遺伝子の同定及びクローニング
オオムギペルオキシダーゼ(HvBgt1)の完全長配列を得た後、この配列を用いてシロイヌナズナゲノムのBLAST検索を行った。2つの相同遺伝子、AtBgt1-1及びAtBgt1-2を同定した。これら2つの遺伝子を、PCRでシロイヌナズナcDNA由来の好適なプライマーを用いて増幅し、シロイヌナズナにおける過剰発現を促進するため、構成的プロモーターを含む植物発現ベクターpCambia中にクローニングした。
最初に、非感染シロイヌナズナ植物と、アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)及びアルテルナリア・ブラシコラ(Alternaria brassicola)に感染しているシロイヌナズナ植物との混合物から、Superscript First Strand Synthesis System for RT-PCR(登録商標)(INVITROGEN, Karlsruhe, ドイツ)を用いて、全RNAをcDNAに転写させた。
この遺伝子の完全長配列を、プラチナPfxポリメラーゼ(INVITROGEN, Karlsruhe, ドイツ)を用いたPCRによってcDNAから増幅するために、プライマーを、AtBgt1-1配列又はAtBgt1-2配列に基づいて設計した。AtBgt1-2として増幅される断片のサイズは、1015 bpでなければならない。AtBgt1-2配列の増幅は、2つのプライマーFra335及びFra336を用いて、下記のプロトコルに従い行った:
Figure 2008503227
PCR断片をゲルから精製した後、この配列をpCRBlunt-II-TOPO(登録商標)ベクター (INVITROGEN, Karlsruhe, ドイツ)中にサブクローニングし、TOP10(登録商標)大腸菌(E. coli)細胞中に形質転換した。構築物を含むコロニーを、青白選択を用いて選択した。これらのコロニーから、プラスミドDNAを単離するためミニカルチャーに植え付けた。各断片について3つのクローンを配列決定した(DNA Laboratory, BASF AG, Ludwigshafen, ドイツ)。これらのクローンは100%一致する配列を示し、EcoRIを用いてTOPO(登録商標)ベクターからこれらの配列を切り出し、ゲル電気泳動によって分離した。断片をゲルから精製して、EcoRIで切断しておいたベクターpCambiaに連結させた。
実施例9
オオムギ細胞の一過性形質転換、過剰発現、及び病原菌発生の評価
オオムギ品種Pallasの葉切片を、GFP発現ベクターと共にHvBgt1-DNAで形質転換した。その後葉にBghを接種し、その結果を光学及び蛍光顕微鏡法を用いて48時間後に分析した。GFP発現細胞の侵入度を、生細胞中の吸器の検出及びこれら同じ細胞における菌発生の検査によって評価した。6つの実験全てにおいて、HvBgt1によるオオムギ品種Pallasへの攻撃は、対照の外来DNA(ヒト甲状腺ホルモン受容体、TR)で攻撃した細胞と比較して、Bghが成功裏に侵入した細胞の総数を低減させた。
オオムギ細胞の一過性形質転換のために、オオムギ葉の表皮細胞への遺伝子銃DNA挿入について既に記載されている方法を用いた(Schweizer Pら(1999) Mol Plant Microbe Interact 12:647-54)。直径1.1μmのタングステン粒子(粒子密度25 mg/ml)を、形質転換マーカーとしてのベクターpGFP(GFPがpUBIプロモーターの制御下にある)のプラスミドDNAと共にHvBgt1-DNAでコーティングした。コーティングのために1撃あたり次の量のDNA又はレポータープラスミドを用いた:1μgのpGFP及び2μgのDNA。
マイクロキャリア作製のため、55 mgのタングステン粒子(M17、直径1.1μm; Bio-Rad, Munich, ドイツ)を、1 mlの加圧滅菌蒸留水で2回、1 mlの無水エタノールで1回洗浄し、乾燥させて1 mlの50%グリセロール(約50 mg/mlの原液)中に再懸濁した。この溶液を50%グリセロールで25 mg/mlに希釈し、使用前に十分に混合し、超音波浴中で懸濁した。マイクロキャリアのコーティングのため、1撃につき1μgのプラスミド、2μgのHvBgt1 DNA (1μL)、12.5μlのタングステン粒子懸濁液 (25 mg/ml)、12.5μlの 1 M Ca(NO3)2溶液(pH 10)を、連続的に攪拌しながら一緒に滴下し、室温で10分間静置させ、短時間遠心分離して、その上清から20μlを取り除いた。タングステン粒子を含む残部を、超音波浴中で再懸濁して実験に用いた。
形質転換用に、オオムギの主葉の切片(長さ約4 cm)を使用した。この組織をペトリ皿(直径6.5)中の20μg/mlベンズイミダゾールを含む0.5% phytagar(GibcoBRLTM Life TechnologiesTM, Karlsruhe, ドイツ)上に置き、寸法2.2 cm x 2.3 cmの矩形の切抜きを有するステンシルを用いて粒子ボンバードメントの直前に縁部をカバーした。真空チャンバーの底面にこれらのペトリ皿を1つずつ置いた(Schweizer Pら (1999) Mol Plant Microbe Interact 12:647-54)が、その底面にわたって、有孔プレート(底の5cm上方、マクロキャリアの11cm下方、下記参照)上にディフューザとしてのナイロンメッシュ(メッシュ幅0.2 mm, Millipore, Eschborn)を、全ての粒子塊を分散させて粒子の流れを減速させるために挿入しておいた。上部に取り付けたマクロキャリア(プラスチック製無菌フィルターを装着、13 mm、Gelman Sciences, Swinney, UK)に、1撃につき5.8μLのDNAコーティングタングステン粒子(マイクロキャリア、以下参照)を装填した。チャンバー内の圧力を、メンブレン真空ポンプ(Vacuubrand, Wertheim, ドイツ)を用いて0.9バールまで低下させ、9バールのヘリウムガス圧でタングステン粒子を植物組織の表面上に発射した。その直後にチャンバーを通気した。形質転換した細胞を標識化するため、プラスミドpGFP(pUC18ベースのベクター、挿入GFP遺伝子を有するCaMV 35Sプロモーター/ターミネーターカセット; Schweizer Pら (1999) Mol Plant Microbe Interact 12:647-54; P. Schweizer博士(Institute for Plant Genetics (IPK), Gatersleben, ドイツ)により提供)を葉に発射した。別のプラスミドの各発射の前に、マクロキャリアを水で徹底的に洗浄した。わずかに開いたペトリ皿にボンバードメントした後に室温、昼光で4時間インキュベーションしてから、葉に100分生胞子/mm2のうどんこ病菌(Blumeria graminis f.sp. hordei、系統A6)を接種し、同じ条件下でさらに36〜48時間インキュベートした後で、感染の徴候について分析を行った。
結果(例えば、成熟した吸器と二次的に伸長している菌糸を示す、攻撃された細胞のパーセントとして定義される侵入率)は、蛍光及び光学顕微鏡法を用いて測定した。100分生胞子/mm2の接種は、形質転換細胞の約50%の侵入頻度をもたらす。1回の実験ごとに、最少で100の相互作用領域を評価した。青色光で刺激している間に形質転換(GFP発現)細胞を同定した。3つの異なるカテゴリーの形質転換細胞を同定した:
1. 辛うじて認識可能な吸器を含む、侵入された細胞。2つ以上の吸器を有する細胞を1個の細胞として評価した。
2. 菌付着器による攻撃を受けていたが、吸器を含んでいなかった細胞。Bghにより繰り返し攻撃されていたが吸器を含んでいなかった細胞を、1個の細胞として評価した。
3. Bghによる攻撃を受けなかった細胞。
気孔細胞及び気孔二次細胞はこの評価から除外した。Bghの表面構造は、光学顕微鏡法、又は0.1%蛍光色素(calcofluor)(水中w/v)による30秒間の菌の蛍光染色を用いて分析した。菌の発生は、蛍光色素で染色した後、蛍光顕微鏡法を用いて簡単に評価することができる。菌は、HvBGt1-DNA形質転換細胞中で一次発芽管及び付着器発芽管を発生するが、吸器は発生しない。吸器の発生は、二次的な菌糸形成の前提条件である。
相対侵入率(RPE)は、HvBgt1で形質転換された細胞の侵入率と、対照DNAで形質転換された細胞の侵入率の比として算出される。RPEパーセント(RPE%)は、RPEから1を引き、100を乗じたものとして算出される。
Figure 2008503227
このRPE%値(対照の平均侵入率からの偏差)は、HvBgt1 DNAでトランスフェクトされた細胞の感受性を確認するために役立つ。
5つの独立した実験では、Bghの侵入率に関して対照DNA及び水によるトランスフェクション間に差異は見られなかった。
HvBgt1 DNAが形質転換率又は感染した細胞の生存率に影響を及ぼす可能性を排除するため、対照実験とHvBgt1 DNA実験との間でGFP発現細胞の数を比較した。興味深いことに、HvBgt1の過剰発現は総数、又は感染したGFP発現細胞の数に影響を及ぼさない。
実施例10
HvBgt1を用いたシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の形質転換、及び菌抵抗性の分析
野生型シロイヌナズナ植物(Columbia)を、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(agrobacterium tumefaciens)株(EHA105)を用いて、Bechtoldらによる減圧浸潤法(Bechtold Nら (1993) CR Acad Sci Paris, Life Sciences 316:1194-1199)の変法(Steve Clough及びAndrew Bent (1998) Plant J 16(6):735-743)に基づき形質転換した。pCambiaのような、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(A. tumefaciens)形質転換に好適なバイナリー発現ベクターを用いた。
アグロバクテリウムによって形質転換された一次形質転換体の種子を、カナマイシン耐性に基づき選別した。抗生物質耐性苗を土に植え、生化学分析用の十分に成長した植物として用いた。
トランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis)植物の病原菌に対する抵抗性を分析するため、生体栄養性菌であるべと病菌(Peronospora parasitica)とうどんこ病菌(Erysiphe cichoracearum)を用いて接種を行った。
a) べと病菌(Peronospora parasitica)
5〜8週齢の植物に、分生胞子懸濁液(約106胞子/ml)を吹き付けた。接種された植物をプラスチックバッグで覆い、約16℃の冷蔵室の中で一晩、暗く湿った状態に保持した。1日後、プラスチックバッグをわずかに開き、あとで完全に取り除いた。接種の6日後、この植物を再びプラスチックバッグで一晩覆い、胞子形成を誘導した。翌日、分生子柄の出現について葉を調べた。その翌日から、菌の細胞間増殖が葉の弱い退緑(黄化)から強い壊死までを引き起こした。これらの症状を定量化し、有意性について検証した。
b) うどんこ病菌(Erysiphe cichoracearum)
生体栄養性のうどんこ病菌をシロイヌナズナの植物体上で培養した。4週齢のトランスジェニックHvBgt1発現シロイヌナズナ植物の感染のため、分生胞子保持菌を細かいブラシを用いて葉の表面から取り除き、前記トランスジェニック植物の葉の上にブラシで塗った。この植物を20℃で7日間栽培した。接種の7日後、葉の上に分生胞子保持菌が見えるようになり、その後数日以内に退緑(黄化)と壊死が現われた。これらの症状を定量化し、有意性について検証した。
c) 結果
HvBgtのセンス配列を発現するトランスジェニックシロイヌナズナ植物は、ほとんどの場合、非トランスジェニック野生型植物とは対照的に、べと病菌(Peronospora parasitica)及びうどんこ病菌(Erysiphe cichoracearum)の両方に対して著しく増大した抵抗性を示す。
AtBgt1、又はHvBgt1のアンチセンス配列を発現するトランスジェニックシロイヌナズナ植物は、非トランスジェニック野生型植物とは対照的に、べと病菌(Peronospora parasitica)とうどんこ病菌(Erysiphe cichoracearum)の両方に対して著しく増大した感受性を示す。
非宿主相互作用(オオムギ(Ingrid)とBgt)、及び宿主相互作用(オオムギ(Ingrid)とBgh)におけるHvBgt1発現の経時的変化を示す。表5に示される比較発現データは、関連の標準偏差と共に示される。これらの結果は、分析期間中の、非宿主相互作用における転写産物の増加を示す。

Claims (22)

  1. 増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物または植物細胞の作製方法であって、以下のDNA配列:
    i) 配列番号1若しくは配列番号3又はこれらの配列の断片によりコードされるヌクレオチド配列を含むDNA配列、
    ii) 配列番号2若しくは配列番号4に示されるアミノ酸配列又はこれらの断片を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
    iii) 配列番号1又は配列番号3に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するDNA配列、及び/又は
    iv) i)〜iii)のヌクレオチド配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
    からなる群から選択され、且つペルオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA配列を、植物又は植物細胞に挿入し、その中で発現させることを特徴とする、前記作製方法。
  2. 単離された核酸分子であって、以下のDNA配列:
    i) 配列番号1又はこの配列の断片によりコードされるヌクレオチド配列を含むDNA配列、
    ii) 配列番号2に示されるアミノ酸配列又はその断片を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
    iii) 配列番号1に示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むDNA配列、及び/又は
    iv) i)〜iii)のヌクレオチド配列の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNA配列、
    からなる群から選択される核酸配列を含む、前記核酸分子。
  3. 前記核酸配列がオオムギ(Hordeum vulgare)に由来する、請求項2に記載の核酸分子。
  4. 請求項1に記載の核酸配列によりコードされる組換えペルオキシダーゼタンパク質。
  5. 組換え核酸分子であって、以下のエレメント:
    - 植物細胞において活性なプロモーターの制御配列、
    - それに機能的に連結された請求項1に記載のDNA配列、
    - 場合により、それに機能的に連結された、植物細胞内で転写、終結及び/又はポリアデニル化シグナルとして機能し得る制御配列、
    を5'-3'方向に含む、前記組換え核酸分子。
  6. 前記DNA配列が構成的プロモーター、好ましくは35S CaMVプロモーター又はユビキチンプロモーター、の制御下で発現されることを特徴とする、請求項5に記載の組換え核酸分子。
  7. 前記DNA配列が組織特異的プロモーターの制御下で発現されることを特徴とする、請求項5に記載の組換え核酸分子。
  8. 組織特異的プロモーターが、表皮特異的プロモーター、葉肉特異的プロモーター又は葉特異的プロモーターであることを特徴とする、請求項7に記載の組換え核酸分子。
  9. 前記DNA配列が誘導性プロモーターの制御下で発現されることを特徴とする、請求項5に記載の組換え核酸分子。
  10. 誘導性プロモーターが病原体誘導性プロモーター又は創傷誘導性プロモーターであることを特徴とする、請求項9に記載の組換え核酸分子。
  11. 請求項1に記載の、増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物の作製方法であって、以下のステップ:
    a) 請求項5〜10のいずれか1項に記載の組換え核酸分子を作製するステップ、
    b) ステップa)からの組換え核酸分子を植物細胞の中に導入し、場合により植物ゲノムに組み込むステップ、及び
    c) 形質転換された植物細胞から植物体を再生させるステップ、
    を含むことを特徴とする、前記作製方法。
  12. 請求項1に記載の核酸配列若しくは請求項5〜10のいずれか1項に記載の組換え核酸分子を含有する、又は請求項1若しくは11に記載の方法により得られる、トランスジェニック植物細胞。
  13. 野生型細胞と比べて増大した量の請求項4に記載のタンパク質を含有する、請求項12に記載のトランスジェニック植物細胞。
  14. 野生型細胞と比べて増大した病原体抵抗性を有する、請求項12又は13に記載のトランスジェニック植物細胞。
  15. うどんこ病菌、錆病菌及び/又はセプトリア(septoria)菌に対する抵抗性が増大している、請求項14に記載のトランスジェニック植物細胞。
  16. うどんこ病菌の分化型に対する抵抗性が増大している、請求項15に記載のトランスジェニック植物細胞。
  17. 請求項12〜16のいずれか1項に記載の植物細胞を含む、又は請求項11により作製されるトランスジェニック植物、並びに、この植物の一部分、この植物のトランスジェニック収穫物、及びプロトプラスト、植物細胞、カルス、種子、塊茎、切断物のようなトランスジェニック再生材料、並びにこの植物のトランスジェニック子孫。
  18. 前記トランスジェニック植物が、単子葉植物、好ましくはカラスムギ属(Avena)(カラスムギ)、コムギ属(Triticum)(コムギ)、ライムギ属(Secale)(ライムギ)、オオムギ属(Hordeum)(オオムギ)、イネ属(Oryza)(イネ)、キビ属(Panicum)、チカラシバ属(Pennisetum)、エノコログサ属(Setaria)、モロコシ属(Sorghum)(アワ)、トウモロコシ属(Zea)(トウモロコシ)等に属する植物であることを特徴とする、請求項17に記載のトランスジェニック植物。
  19. 前記トランスジェニック植物が、双子葉植物、好ましくはワタ、豆類などのマメ科植物、及び特にアルファルファ、ダイズ、アブラナ、カノーラ、トマト、テンサイ、ジャガイモ、観賞植物、ヒマワリ、タバコ並びに樹木であることを特徴とする、請求項17に記載のトランスジェニック植物。
  20. 増大した病原体抵抗性を有するトランスジェニック植物又は植物細胞の作製のための、請求項1に記載のDNA配列の使用。
  21. 病原体に対する非宿主抵抗性を示す植物の同定のための、請求項1に記載のDNA配列の使用。
  22. 穀類における非宿主抵抗性のマーカーとしての、請求項1に記載のDNA配列の使用。
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