JP2008502340A - 味覚受容体をコードするヒト肥満感受性遺伝子及びその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、肥満および関連した障害の診断、予防および処置のためならびに治療的に活性な薬物のスクリーニングのために使用することができるヒト肥満感受性遺伝子の同定を開示する。本発明は、更に具体的には、染色体1上のTAS1R1遺伝子およびそのある対立遺伝子が、肥満に対する感受性に関係しておりそして治療介入のための新規な標的を表すことを開示する。本発明は、TAS1R1遺伝子および発現産物における特定の突然変異、ならびにこれらの突然変異に基づく診断ツールおよびキットに関する。本発明は、低アルファリポタンパク血症、家族性混合性高脂血症、インスリン抵抗性症候群Xまたは多重代謝障害、冠動脈疾患、糖尿病および異常脂血症を含む、冠動脈性心疾患及び代謝障害の素因の診断、検出、予防および/または処置において使用することができる。
Description
本発明は、一般に遺伝学及び医学の分野に関する。本発明は、さらに詳しくは、肥満および関連した障害の診断、予防および処置のためならびに治療的に有効な薬物のスクリーニングのために使用することができるヒト肥満感受性遺伝子の同定を開示する。本発明は、さらに具体的には、肥満に対する感受性に関連しそして治療介入のための新規な標的を表す染色体1における味覚受容体1型、メンバー1(TAS1R1)遺伝子のある対立遺伝子を開示する。本発明は、TAS1R1遺伝子および発現産物における特定の突然変異ならびにこれらの突然変異に基づく診断ツールおよびキットに関する。本発明は、低アルファリポタンパク血症、家族性混合性高脂血症(familial combined hyperlipidemia)、インスリン抵抗性症候群X又は多重代謝障害、冠動脈疾患、糖尿病および異常脂血症(dyslipidemia)を含む、冠動脈性心疾患及び代謝障害の素因の診断、検出、予防および/または処置において使用することができる。
発明の背景
現代の工業化された国の全健康コストの約3〜8%は、現在肥満の直接コストによるものである(Wolf, 1996)。ドイツでは、肥満及共存症(comorbid disorders)に関係した(直接及び間接の両方)全コストは、1995年には210億ドイツマルク(29.4USドル)と評価された(Schneider, 1996)。2030年までに、これらのコストは肥満の普及が更に増加しないとしても、50%上昇するであろう。
現代の工業化された国の全健康コストの約3〜8%は、現在肥満の直接コストによるものである(Wolf, 1996)。ドイツでは、肥満及共存症(comorbid disorders)に関係した(直接及び間接の両方)全コストは、1995年には210億ドイツマルク(29.4USドル)と評価された(Schneider, 1996)。2030年までに、これらのコストは肥満の普及が更に増加しないとしても、50%上昇するであろう。
肥満は、健康が損なわれうる程度に脂肪組織における異常な又は過剰な脂肪蓄積の状態としてしばしば簡単に定義される。基礎をなす疾患は望ましくない正のエネルギーバランス及び重量増加のプロセスである。腹部脂肪分布は、女性的脂肪分布よりも高い健康的リスクと関連している。
ボデイ.マス.インデックス(BMI;kg/m2)は、粗いとはいえ、最も有用な集団レベルの肥満の目安を与える。それは、集団内の肥満の普及及びそれに関連した危険を評価するのに使用することができる。しかしながら、BMIは、身体の組成又は体脂肪分布を考慮していない(WHO, 1998)。
肥満は、肥満及び重度の肥満の定義のためのカットオフとして85th及び95thBMIパーセンタイル(85th and 95th BMI-percentiles)を使用しても定義された。BMIパーセンタイルは、いくつかの母集団内で計算されている;German National Nutrition Surveyに基づいてドイツ人口に対するパーセンタイルは1994年以来入手可能であった(Hebebrand et al., 1994, 1996)。異なる体重クラスのWHO分類は成人のみに適用することができるので、子供及び青年期の個体の肥満の定義についてはBMIパーセンタイルを参照することが通例である。
肥満の普及(prevalence)の最近の上昇は、いくつかの国の健康システムにとって大きな関心のある問題である。Center of Disease Control and Prevention(CDC)の報告に従えば、合衆国では過去20年間に肥満が劇的に増加した。1985年には、少数の州のみがCDCs Behavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)に参加していて、肥満データを提供していた。1991年に、4つの州が15〜19%の肥満普及率を報告しておりそして20%又は20%より高い率を報告する州はなかった。2002年には、20の州が15〜19%の肥満普及率を有しており;29の州が20〜24%の率を有し、そして1つの州は25%を越える率を報告する。同様な傾向がヨーロッパ及び南アメリカの他の国々でも観察された。
子供及び青年期の個体は、この傾向から免がれなかった。それどころか、USAでの増加は、実質的であった。従って、1960年代と1990年との間に体重超過及び肥満は6〜17歳において劇的に増加した。この増分は、カットオフとして85thBMIセンタイル(1960年代に計算された)を使用して40%の相対的増加になりそして95thセンタイルの使用により100%の相対的増加になる。1985年と1995年の間に極端な肥満のため入院患者として処置されたドイツの子供及び青年の横断研究では、この10年間の期間にわたり殆ど2kg/m2の平均BMIの有意な増加が報告された。この極端なグループ内では、増分は最高のBMI範囲において最も顕著であった。
肥満の普及におけるこの増加の基礎となる機構は知られていない。環境的因子が基礎をなす原因として普通に引き合いに出された。基本的には、増加したカロリー摂取及び減少したレベルの身体活動の両方が検討された。英国では、肥満率の増加は、後者の機構に帰された。したがって、この国では、平均カロリー摂取はここ20年間に幾分減少すらしたが、これに対してテレビジョンを観て過ごす時間の増加及び家庭当りの車の平均数から生じる間接の証拠は、関係のある原因因子として減少したレベルの身体活動を指摘している。
遺伝的因子は寄与する原因として以前は考えられなかった。全く反対に、肥満率の増加がここ20年間以内に観察されたという事実は、遺伝的因子が原因となることはできないという証拠とみなされてきた。しかしながら、同類婚率の増加は、観察された現象への遺伝的寄与を非常によく形成することができるのではないかと提唱された。この仮説は、肥満個体の烙印はむしろ最近の社会現象を表し、従って相も変わらず同類婚率の増加をもたらすということを示唆する証拠に基づいている。結果として、子孫は、肥満の基礎をなす相加的及び非相加的遺伝因子のより高い荷重を有している。実際に、極端に肥満した子供及び青年期の個体の両親の間の(推定された)同類婚率は極端に高いことが観察された。
肥満と関連した潜在的に生命を脅かす慢性の健康問題は下記の4つの主な分野に入る:1)高血圧、慢性心臓疾患及び発作を含む心臓血管問題、2)インスリン抵抗性と関連した状態、即ち、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、3)あるタイプの癌、主としてホルモンが関係した癌及び大腸癌、ならびに4)胆嚢疾患。肥満と関連した他の問題には、呼吸困難、慢性筋骨格問題、皮膚問題および無生殖性がある(WHO, 1998)。
これらの障害を処置するための最近利用可能な主なストラテジーは、食事制限、身体活動の増加、薬理学的アプローチ及び外科的アプローチを含む。成人では、伝統的介入を使用する長期間の体重損失は格別である。現在の薬理学的介入は、典型的には、5〜15キログラムの体重損失を誘導し;もし投薬が中断されるならば、再び始まる重量増加が続いて起こる。外科処置は比較的成功しており、そして極端な肥満および/または重い医学的合併症を有する患者のために残される。
最近、レプチン欠乏突然変異が検出された10歳の甚だしく肥満した少女が組換えレプチンで処置されて成功した。これは、彼女の病的な肥満の基礎をなす突然変異の検出を治療的に生かした最初の個体である。
いくつかの双子の研究が行われてBMIの遺伝率が評価され、そのいくらかは、1000組以上の双子を包含していた。結果は、非常に首尾一貫していた:一卵性双子間のペア内相関は、年齢及び性とは無関係に、典型的には0.6〜0.8であった。1つの研究では、一卵性双子及び二卵性双子についての相関は、双子が離れて育てられたか又は一緒に育てられたかとは無関係に、基本的に同じであった。BMIの遺伝率は、0.7と評価され;非共有環境因子は分散(variance)の残りの30%を説明した。驚くべきことに、共有された環境因子は、分散の実質的な割合を説明しなかった。過度のカロリー及び不足カロリーの栄養の両方共、一卵性双子ペアの両者間で同様な程度の体重増加または損失をもたらしたが、これは、体重に対するエネルギー利用性の環境的に誘導された変動の効果を遺伝的因子が調節することを示す。過食及び過小食した際の代謝反応および体脂肪分布の変化も遺伝的制御下にある(Hebebrand et al., 1998に概説されている)。
多数の養子関係の研究は、養子のBMIはその生物学的両親のBMIと相関しており、そして養子両親のBMIと相関していないことを示した。家族の研究に依存して、血縁(sibs)のBMI間の相関は0.2〜0.4であった。親子相関は、典型的には僅かに低かった。分離比分析は、主要な劣性遺伝子効果を繰り返して示唆した。これらの分析に基づいて、サンプルサイズの計算は、一致及び不一致アプローチの両方に基づいて行われた。予想とは対照的に、一致血縁ペアアプローチ(concordant sib-pair approach)が優れており;同じパワーを達成するのにより少ない数の家族が必要であった。
極端に肥満した若いインデックス患者に基づいた家族研究では、母または父のいずれかまたは両親が、大多数の家族においてBMI>90thデシル(BMI>90th decile)を有する。BMI>95thセンタイル(BMI>95th centile)を有するインデックス患者に基づいて、それぞれの家族の約20%は、BMI>90thセンタイルを有する血縁を有する。
結論として、環境因子は、個体を多少肥満の発生に感受性にする特定の遺伝子型と相互作用することは明らかである。更に、主要な遺伝子が検出されたという事実にもかかわらず、スペクトルがこのような主要な遺伝子からほんの僅かな影響を有する遺伝子に及ぶことを考慮することが必要である。
1994年の終わりにおけるレプチン遺伝子の発見(Zhang et al., 1994)に続いて、食欲及び体重調節の基礎をなす調節システムを明かすための科学的努力が実質的に爆発した。それは最近最も早く成長している生物医学的分野である。この著しい発展は、明らかな臨床的興味により、ヒト、げっ歯類及び他の哺乳動物の肥満に基本的にすべて関係している大規模な分子遺伝学の活動ももたらした(Hebebrand et al., 1998)。
この点で、突然変異が現在知られている一遺伝子形の肥満をもたらした多くの遺伝子がげっ歯類においてクローニングされた。これらの突然変異の全身性結果は、最近分析されている。これらのモデルは、体重調節に関与する複雑な調節システムへの洞察を与え、その最もよく知られているのはレプチン及びその受容体を含む。
マウスでは、しかしブタでも、体重調節に最も関係がありそうな15以上の量的形質遺伝子座(quantitative trait loci)(QTL)が同定された(Chagnon et al., 2003)。
ヒトでは、4つの非常にまれな常染色体劣性形態の肥満が1997年に記載された。レプチン、レプチン受容体、プロホルモンコンベルターゼ1及びプロ−オピオメラノコルチン(POMC)をコードする遺伝子の突然変異が、過食症と関連した早期開始型のはなはだしい肥満を引き起こすことが示された。異なる追加の臨床的(例えば、赤毛、原発性無月経)および/または内分泌学的異常(例えば、顕著に変わった血清レプチンレベル、ACTH分泌の欠如)は、それぞれの候補遺伝子の位置を正確に示す(pinpoint)。一遺伝子動物モデル及びヒト一遺伝子形態の両方とも、体重調節の基礎をなす複雑なシステムへの新規な洞察をもたらした。
極めて最近では、ヒトにおける最初の常染色体優性形態の肥満が記載された。メラノコルチン−4−受容体遺伝子(MC4R)内の2つの異なる突然変異は、これらの変異体に対するヘテロ接合性発端者において極端な肥満をもたらすことが観察された。上記した発見とは対照的に、これらの突然変異は、極端な肥満以外の容易に明らかな表現型異常を包含しない(Vaisse et al., 1998; Yeo et al., 1998)。興味深いことに、両グループとも相対的に小さな研究グループ(n=63およびn=43)における系統的スクリーンにより突然変異を検出した。
Hinney et al., (1999)は、総計492人の肥満した子供および青年期の個体においてMC4Rをスクリーニングした。ハプロ不全(haplo-insufficiency)をもたらす2つの異なる突然変異を有する全部で4つの個体が検出された。1つはYeo et al., (1998)により以前に観察された突然変異と同じであった。3つの個体で検出された他の突然変異は、受容体の細胞外ドメインにおける停止突然変異(stop mutation)を誘導した。約1%の極端に肥満した個体は、MC4Rにおけるハプロ不全突然変異を有する。2つの形態のハプロ不全に加えて、Hinneyら(1999)は、保存性及び非保存性のアミノ酸交換の両方をもたらす追加の突然変異も検出した。興味深いことに、これらの突然変異は、主として肥満研究グループにおいて観察された。これらの突然変異の機能的関与は現在未知である。
MC4R突然変異を有する個体の同定は、可能な薬理学的介入の点から観て興味深い。従って、すべてのメラノコルチンのコア配列を表す副腎皮質刺激ホルモン4〜10(ACTH4〜10)の鼻内適用は、健常な対照において、減少した体重、体脂肪質量および血漿レプチン濃度をもたらした。突然変異キャリアーが、それらの減少した受容体密度を理論的に釣り合わせることができるこの処置に対していかに反応するかに関して疑問が生じる。
体重調節における特定の遺伝子の関与は、トランスジェニックマウスから得られたデータにより更に立証される。例えば、MC4R欠失マウスは早期開始肥満を発生する(Huszar et al., 1997)。
異なるグループは、肥満又は依存性表現型(BMI、レプチンレベル、脂肪質量等)に関係したゲノムスキャンを行っている。このアプローチは、非常に有望と思われる。何故ならば、それは系統的でありそしてモデルフリーであるからである。更に、それは格別に成功していることが既に示された。従って、比較的小さな研究グループを分析することによってすら、ポジティブな連鎖結果が得られた。更に重要なことに、いくらかの発見は、既に追試されている。下記の領域の各々は、少なくとも2つの独立したグループにより同定された:染色体1p32、染色体2p21、染色体6p21、染色体10および染色体20q13(Chagnon et al., 2003)。
発明の要約
本発明は、肥満および関連した障害の診断、予防および処置のためならびに治療的に活性な薬物のスクリーニングのために使用することができるヒト肥満感受性遺伝子の同定をいまや開示する。
本発明は、肥満および関連した障害の診断、予防および処置のためならびに治療的に活性な薬物のスクリーニングのために使用することができるヒト肥満感受性遺伝子の同定をいまや開示する。
本発明は、低アルファリポタンパク血症、家族性混合性高脂血症、インスリン抵抗性症候群X又は多重代謝障害、冠動脈疾患、糖尿病および異常脂血症を含む、肥満、冠動脈性心疾患及び代謝障害の素因の診断又は該肥満、冠動脈性心疾患及び代謝障害に対する防御、該肥満、冠動脈性心疾患及び代謝障害の検出、予防および/または処置において使用することができ、この方法は、被験体からのサンプルにおいてTAS1R1遺伝子またはポリペプチドにおける変化(alteration)の存在を検出することを含み、該変化の存在が、肥満または関連した障害の存在もしくは素因を示す。該変化の存在は、肥満に対する防御を示すこともできる。
本発明の特定の目的は、被検体における肥満または関連した障害の存在もしくは素因を検出する方法であって、被検体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含み、該変化の存在が、肥満または関連した障害の存在もしくは素因を示す、方法にある。
本発明の追加の特定の目的は、被検体における肥満または関連した障害からの防御を検出する方法であって、被験体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含み、該変化の存在が肥満又は関連した障害からの防御を示す、方法にある。
本発明の他の特定の目的は、肥満または関連した障害の処置に対する被検体の応答を評価する方法であって、被検体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含み、該変化の存在が該処置に対する特定の応答を示す、方法にある。
本発明のさらなる特定の目的は、肥満または関連した障害の処置に対する被験体における不利な効果を評価する方法であって、被検体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含み、該変化の存在が該処置に対する不利な効果を示す、方法にある。
本発明は、被検体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出し、該変化の存在が肥満または関連した障害への素因を示し、そして肥満又は関連した障害に対する予防処置を行うことを含む、被検体における肥満又は関連した障害を予防するための方法にも関する。
好ましい態様では、前記変化は、肥満と関連した1つ又は複数のSNP(s)又は肥満と関連したSNPsのハプロタイプである。更に好ましくは、肥満と関連した該ハプロタイプは、SNP38、SNP47、SNP49、SNP56およびSNP69からなる群より選ばれるいくつかのSNPsを含むかまたはいくつかの該SNPsからなる。なおさらに好ましくは、該ハプロタイプは、表5に開示されたハプロタイプから選ばれる。さらに好ましくは、肥満と関連した該SNPはSNP49であることができる。
好ましくは、TAS1R1遺伝子座における変化は、ハイブリダイゼーションアッセイ、配列決定アッセイ、マイクロシーケンシングアッセイまたは対立遺伝子特異的増幅アッセイを行うことにより決定される。
本発明の特定の局面は、TAS1R1遺伝子又はその組み合わせを含むゲノム領域における肥満と関連した少なくとも1つのSNP又はハプロタイプを特異的に検出するようにデザインされる、プライマー、プローブおよび/またはオリゴヌクレオチドを含む物質の組成物にある。好ましい態様では、該変化は、肥満と関連した1つまたは複数のSNP(s)またはSNPsのハプロタイプである。さらに好ましくは、肥満と関連した該ハプロタイプは、SNP38、SNP47、SNP49、SNP56およびSNP69からなる群より選ばれるいくつかのSNPsを含むかまたは該いくつかのSNPsからなる。なおさらに好ましくは、該ハプロタイプは、表5に開示されたハプロタイプから選ばれる。さらに好ましくは、肥満と関連した該SNPはSNP49であることができる。
本発明は、TAS1R1発現または活性のモジュレーションにより被験体における肥満及び/又は関連した疾患を処置する方法にもある。このような処置は、例えば、TAS1R1ポリペプチド、TAS1R1DNA配列(TAS1R1遺伝子座に向けられたアンチセンス配列およびRNAiを含む)、抗TAS1R1抗体またはTAS1R1発現もしくは活性をモジュレーションする薬物を使用する。
本発明は、遺伝子治療、タンパク質置換治療によるかまたはTAS1R1タンパク質模倣物および/または阻害剤の投与によるなどの、症候を示す前の処置または組合せた治療を含む、TAS1R1遺伝子の有害な対立遺伝子を有する個体を処置する方法にも関する。
本発明の更なる局面は、肥満または関連した障害と関連したTAS1R1遺伝子の対立遺伝子またはその遺伝子産物のモジュレーション、あるいは肥満または関連した障害と関連したTAS1R1遺伝子の対立遺伝子またはその遺伝子産物への結合に基づく、肥満または関連した障害の治療のための薬物をスクリーニングすることにある。
本発明の更なる局面は、TAS1R1ポリペプチド断片の特異的抗体およびこのような抗体の誘導体、このような抗体を分泌するハイブリドーマおよびこれらの抗体を含む診断キットを含む。さらに好ましくは、該抗体はTAS1R1の活性を修飾する変化を含むTAS1R1ポリペプチドまたはその断片に特異的である。
本発明は、TAS1R1の活性を修飾する変化を含むTAS1R1遺伝子またはその断片にも関する。本発明は、さらにTAS1R1の活性を修飾する変化を含むTAS1R1ポリペプチドまたはその断片に関する。
発明の詳細な説明
本発明は、ヒト肥満感受性遺伝子としてTAS1R1の同定を開示する。肥満を有する164家族からの種々の核酸サンプルを、特定のGenomeHIP法に供した。この方法は、肥満した被検体において変化している該集団における特定の同祖性(identical-by-descent)断片の同定をもたらした。IBD断片のスクリーニングにより、本発明者は、肥満および関連した表現型のための候補として、染色体1p36.3遺伝子上の味覚受容体1型、メンバー1(TAS1R1)を同定した。この遺伝子は、臨界的間隔(critical interval)で実際に存在し、そして肥満の遺伝的調節と合致する機能的表現型を発現する。TAS1R1遺伝子のSNPも、ヒト被検体における肥満に相関しているものとして同定された。TAS1R1遺伝子のSNPsも、ヒト被検体における肥満に相間しているものとして同定された。TAS1R1遺伝子に位置したSNP49は、肥満と関連していることが見出された。更に、SNP38、SNP47、SNP49、SNP56およびSNP69からなる群より選ばれるいくつかのSNPsを含む、表5に開示されたハプロタイプも肥満と関連しているものとして同定された。
本発明は、ヒト肥満感受性遺伝子としてTAS1R1の同定を開示する。肥満を有する164家族からの種々の核酸サンプルを、特定のGenomeHIP法に供した。この方法は、肥満した被検体において変化している該集団における特定の同祖性(identical-by-descent)断片の同定をもたらした。IBD断片のスクリーニングにより、本発明者は、肥満および関連した表現型のための候補として、染色体1p36.3遺伝子上の味覚受容体1型、メンバー1(TAS1R1)を同定した。この遺伝子は、臨界的間隔(critical interval)で実際に存在し、そして肥満の遺伝的調節と合致する機能的表現型を発現する。TAS1R1遺伝子のSNPも、ヒト被検体における肥満に相関しているものとして同定された。TAS1R1遺伝子のSNPsも、ヒト被検体における肥満に相間しているものとして同定された。TAS1R1遺伝子に位置したSNP49は、肥満と関連していることが見出された。更に、SNP38、SNP47、SNP49、SNP56およびSNP69からなる群より選ばれるいくつかのSNPsを含む、表5に開示されたハプロタイプも肥満と関連しているものとして同定された。
従って、本発明は、肥満および関連した障害の診断、予防および処置のためならびに治療的に活性な薬物のスクリーニングのためにTAS1R1遺伝子および対応する発現産物を使用することを目的とする。
定義
肥満および代謝障害:肥満は、健康が損なわれうる程度に、脂肪組織における異常なまたは過剰な脂肪蓄積の任意の状態と解釈されるべきである。関連した障害、疾患または病理は、更に具体的には、低アルファリポタンパク血症、家族性混合性高脂血症、インスリン抵抗性症候群X又は多重代謝障害、冠動脈疾患、糖尿病および異常脂血症を含むいかなる代謝障害も含む。本発明は、成人、子供および出生前の段階を含む種々の被検体、特にヒトにおいて使用することができる。
肥満および代謝障害:肥満は、健康が損なわれうる程度に、脂肪組織における異常なまたは過剰な脂肪蓄積の任意の状態と解釈されるべきである。関連した障害、疾患または病理は、更に具体的には、低アルファリポタンパク血症、家族性混合性高脂血症、インスリン抵抗性症候群X又は多重代謝障害、冠動脈疾患、糖尿病および異常脂血症を含むいかなる代謝障害も含む。本発明は、成人、子供および出生前の段階を含む種々の被検体、特にヒトにおいて使用することができる。
本発明の状況内では、TAS1R1遺伝子座は、TAS1R1コード配列、TAS1R1非コード配列(例えばイントロン)、転写および/または翻訳を制御するTAS1R1調節配列(例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等)、ならびにすべての対応する発現産物、例えばTAS1R1 RNAs(例えばmRNAs)ならびにTAS1R1ポリペプチド(例えば前駆タンパク質および成熟タンパク質)を含む、細胞または生物におけるすべてのTAS1R1配列または産物を意味する。TAS1R1遺伝子座は、TAS1R1遺伝子内に位置したSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsを含むTAS1R1遺伝子の周囲の配列(surrounding sequences)も含む。例えば、TAS1R1遺伝子座は、SNP38、SNP47、SNP56およびSNP69を含む周囲の配列を含む。
本願で使用された、用語「TAS1R1遺伝子」は、ヒト染色体1p36.3上の味覚受容体、1型、メンバー1、ならびにその変異体、アナログおよび断片を意味し、これらは、肥満および代謝障害に対する感受性に関係するそれらの対立遺伝子(例えば生殖系列突然変異(germline mutations))を含む。TAS1R1遺伝子は、GPR70、T1R1、TR1およびgm148を指すこともできる。
用語「遺伝子」は、ゲノムDNA(gDNA)、相補性DNA(cDNA)、合成または半合成DNA、ならびに任意の形態の対応するRNAを含む任意の型のコード核酸を含むとみなされるべきである。用語、遺伝子は、特に、TAS1R1をコードする組換え核酸、即ち、例えば、配列をアセンブリング、カッティング、ライゲーションまたは増幅することにより人工的に創りだされたいかなる天然に存在しない核酸分子も含む。TAS1R1遺伝子は、典型的には二本鎖であるが、一本鎖などの他の形態も意図することができる。TAS1R1遺伝子は、種々のソースから当該技術分野で知られた種々の技術に従って、例えば、DNAライブリーをスクリーニングすることまたは種々の天然のソースから増幅することにより得ることができる。組換え核酸は、化学合成、遺伝子工学、酵素技術またはその組み合わせを含む慣用の技術により調製することができる。適当なTAS1R1遺伝子配列は、遺伝子バンク、例えば、TAS1R1のためのUnigene Cluster(Hs.124574)およびUnigene Representative Sequences NM_138697、NM_177539、NM_177540およびNM_177541に見出されうる。TAS1R1遺伝子の特定の例は、配列番号:1,3,5および7を含む。
用語「TAS1R1遺伝子」は、上記した配列番号1,3,5および7または上記した任意のコード配列の任意の変異体、断片またはアナログも含む。このように変異体は、例えば個体間の対立遺伝子変異(例えば多形)、肥満に関連した突然変異した対立遺伝子、選択的スプライシング形態などによる天然に存在する変異体を含む。用語変異体は、他のソースまたは生物からのTAS1R1遺伝子配列も含む。変異体は、配列番号1,3,5および7に対して好ましくは実質的に相同性である、即ち、配列番号1との少なくとも約65%、典型的には少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約85%、さらに好ましくは少なくとも約95%のヌクレオチド配列同一性を示す。TAS1R1遺伝子の変異体およびアナログはストリンジェントハイブリダイゼーション条件下に上記した配列(またはその相補性鎖)にハイブリダイゼーションする核酸配列も含む。
典型的なストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、30℃以上、好ましくは35℃以上、さらに好ましくは42℃以上の温度および/または約500mM未満、好ましくは200mM未満の塩度を含む。ハイブリダイゼーション条件は、温度、塩度および/またはSDS、SSCなどの他の試薬の濃度を改変することにより当業者により調節されうる。
TAS1R1遺伝子の断片は、上記した配列の少なくとも約8の連続したヌクレオチド、好ましくは少なくとも約15、更に好ましくは少なくとも約20のヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも30の連続したヌクレオチドの任意の部分を意味する。断片は、8〜100ヌクレオチド、好ましくは15〜100、更に好ましくは20〜100ヌクレオチドのすべての可能なヌクレオチド長さを含む。
TAS1R1ポリペプチドは、上記に開示されたTAS1R1遺伝子によりコードされたいかなるタンパク質またはポリペプチドも意味する。用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のストレッチを含むいかなる分子も指す。この用語は、種々の長さの分子、例えばペプチドおよびタンパク質を含む。ポリペプチドは、例えば、グリコシル化および/またはアセチル化および/または化学反応もしくはカップリングにより修飾することができ、そして1つ又は複数の非天然または合成アミノ酸を含有することができる。TAS1R1ポリペプチドの特定の例は、配列番号2、4、6および8またはその変異体のすべてまたは一部を含む。
用語「処置に対する応答」は、治療化合物を代謝する能力、プロドラッグを活性な薬物に転換する能力および個体における薬物の薬物動態学(吸収、分布、排泄)および薬力学(受容体関連の)を含むがそれらに限定されるわけではない処置の有効性を指す。
用語「処置に対する不利な効果」は、薬物の主要な薬理学的作用の延長から生じる治療の不利な効果、または独特な宿主因子と薬物の相互作用から生じる特異体質の不利な反応を指す。「処置に対する副作用」は、外皮毒性、血液学的毒性または肝臓学的毒性などの不利な反応を含むがそれらに限定はされず、そしてさらに胃腸潰瘍、血小板機能の障害、腎損傷、全身化蕁麻疹(generalized urticaria)、気管支収縮、低血圧およびショックを含む。
診断
本発明は、被検体におけるTAS1R1遺伝子座の監視に基づく診断方法を今や提供する。本発明の状況内では、用語「診断」は、成人、子供および生まれる前における早期段階、前兆段階および後期段階を含む種々の段階での検出、監視、投薬、比較等を含む。診断は、典型的には、予後、発生の素因もしくは危険の評価、最も適切な処置を規定するための被検体の特徴付け(薬理遺伝学)等を含む。
本発明は、被検体におけるTAS1R1遺伝子座の監視に基づく診断方法を今や提供する。本発明の状況内では、用語「診断」は、成人、子供および生まれる前における早期段階、前兆段階および後期段階を含む種々の段階での検出、監視、投薬、比較等を含む。診断は、典型的には、予後、発生の素因もしくは危険の評価、最も適切な処置を規定するための被検体の特徴付け(薬理遺伝学)等を含む。
本発明は、個体が肥満または関連した障害を発生する危険にあるかどうかまたはTAS1R1遺伝子座における突然変異または多形から生じる肥満または関連した障害に罹患しているかどうかを決定するための診断方法を与える。本発明は、個体が治療剤にポジティブに応答する可能性があるかどうかまたは個体が治療剤に対する不利な副作用を発生する危険があるかどうかを決定するための方法も提供する。
本発明の特定の目的は、被検体における肥満または関連した障害の存在または素因を検出する方法であって、被検体からのサンプルにおいて該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法にある。該変化の存在は、肥満または関連した障害の存在または素因を示す。場合により、該方法は、被験体からのサンプルを提供する前の段階を含む。好ましくは、該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在は、サンプルのジェノタイピングにより検出される。
本発明の他の特定の目的は、被検体における肥満または関連した障害からの防御を検出する方法であって、被検体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含み、該変化の存在は、肥満または関連した障害からの防御を示す、方法にある。
好ましい態様では、該変化は肥満と関連した1つ又は複数のSNP(s)またはSNPsのハプロタイプである。さらに好ましくは、肥満と関連した該ハプロタイプは、SNP38、SNP47、SNP49、SNP56およびSNP69からなる群より選ばれるいくつかのSNPsを含むかまたは該いくつかのSNPsからなる。なおさらに好ましくは、該ハプロタイプは表5に開示されたハプロタイプから選ばれる。さらに好ましくは、肥満と関連した該SNPは、SNP49であることができる。
本発明の他の特定の目的は、肥満または関連した障害の処置に対する被検体の応答を評価する方法であって、(i)被検体からのサンプルを提供し、そして(ii)該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法にある。
本発明の他の特定の目的は、肥満または関連した障害の処置に対する被検体の応答を評価する方法であって、被検体からのサンプルにおいて、該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む、方法にある。該変化の存在は、該処置に対する特定の応答を示す。好ましくは、該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在はサンプルのジェノタイピングにより検出される。
本発明のさらなる特定の目的は、肥満または関連した障害の処置に対する被験体の不利な効果を評価する方法であって、被験体からのサンプルにおいて該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法にある。該変化の存在は、該処置に対する不利な効果を示す。好ましくは、該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在は、サンプルのジェノタイピングにより検出される。
好ましい態様では、該変化は肥満と関連した1つ又は複数のSNP(s)またはSNPsのハプロタイプである。さらに好ましくは、肥満と関連した該ハプロタイプは、SNP38、SNP47、SNP49、SNP56および、SNP69からなる群より選ばれるいくつかのSNPsを含むかまたは該いくつかのSNPsからなる。なおさらに好ましくは、該ハプロタイプは、表5に開示されたハプロタイプから選ばれる。さらに好ましくは、肥満と関連した該SNPはSNP49であることができる。
追加の態様では、本発明は、被検体における肥満または関連した障害を予防するための方法であって、被検体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含み、該変化の存在は、肥満または関連した障害の素因を示し、そして肥満または関連した障害に対する予防処置を行うことを含む方法に関する。該予防処置は、薬物および/または食餌の投与であることができる。
処置もしくは薬物に対する応答、または処置もしくは薬物に対する副作用を分析しそして予測する診断は、個体が特定の処置薬物で処置されるべきかどうかを決定するために使用することができる。例えば、個体が特定の薬物による処置に対してポジティブに応答する可能性をもしも診断が示すならば、その薬物を個体に投与することができる。反対に、もしも個体が特定の薬物による処置に対してネガティブに応答する可能性があることを診断が示すならば、別のコースの処置を規定することができる。ネガティブな応答は、有効な応答の不存在または毒性副作用の存在のいずれかとして定義することができる。
臨床薬物試験は、TAS1R1 SNPsの他の適用を示す。薬物に対する応答または薬物に対する副作用に対する応答を示す1つまたは複数のTAS1R1 SNPsは、上記した方法を使用して同定することができる。しかる後、このような作用物質の臨床試験における潜在力のある参加者を、スクリーニングして、薬物に有利に応答する可能性が最も高いこれらの個体を同定しそして副作用を起こす可能性があるこれらの個体を排除することができる。そのようにして、研究においてポジティブに応答しそうもない個体を含むことの結果として測定値を低下させることなくそして望ましくない安全問題を危うくすることなく、薬物にポジティブに応答する個体において薬物処置の有効性を測定することができる。
変化は、TAS1R1 gDNA、RNAまたはポリペプチドのレベルで決定することができる。場合により、検出は、TAS1R1遺伝子のすべてまたは一部を配列決定することによりまたはTAS1R1遺伝子のすべてまたは一部の選択的ハイブリダイゼーションまたは増幅により行なわれる。さらに好ましくは、TAS1R1遺伝子特異的増幅は、変化の同定段階の前に行なわれる。
TAS1R1遺伝子座における変化は、単独のまたは種々の組合せの(1つまたは複数)、該座のコード領域および/または非コード領域における突然変異(1つ又は複数)、欠失(1つ又は複数)、再編成(1つ又は複数)および/または挿入のいかなる形態であってもよい。突然変異はさらに具体的には、点突然変異を含む。欠失は、遺伝子座のコード部分または非コード部分における2個または2個より多くの残基、例えば2個の残基から全体の遺伝子または遺伝子座までのいかなる領域も包含することができる。典型的な欠失は、より小さな領域、例えば約50未満の連続した塩基対のドメイン(イントロン)または繰り返し配列または断片に影響を与えるが、より大きな欠失も起こりうる。挿入は、遺伝子座のコード部分または非コード部分における1個または複数の残基の付加を包含することができる。挿入は、典型的には遺伝子座における1〜50塩基対の付加を含むことができる。再編成は、配列の逆位を含む。TAS1R1遺伝子座変化は、停止コドンの創生、フレームシフト突然変異、アミノ酸置換、特定のRNAスプライシングもしくはプロセシング、産物不安定性、トランケートされたポリペプチド産生等をもたらすことがある。この変化は、変化した機能、安定性、ターゲティングまたは構造を有するTAS1R1ポリペプチドの産生をもたらすことができる。変化はタンパク質発現の減少又は替わりに該産生の増加を引き起こすこともある。
本発明に従う方法の特定の態様では、TAS1R1遺伝子座における変化は、TAS1R1遺伝子または対応する発現産物における点突然変異、欠失および挿入から選ばれ、さらに好ましくは点突然変異および欠失から選ばれる。変化は、TAS1R1 gDNA、RNAまたはポリペプチドのレベルで決定されうる。
この点について、本発明は、肥満と関連しているTAS1R1遺伝子におけるSNPおよびこのSNPにより特徴付けられるハプロタイプを今や開示する。点突然変異(または単一ヌクレオチド変化)は下記の表2に報告される。
この点突然変異は、肥満を有する被検体において検出された。この突然変異を肥満との関連について試験しそしてこの試験の得られた結果は、突然変異が肥満と相関していることを示した(表4および5)。
第1の変形においては、本発明の方法は、変化したTAS1R1遺伝子配列の存在を検出することを含む。これは、例えば、TAS1R1遺伝子、ポリペプチド又はRNAのすべてまたは一部を配列決定すること、選択的ハイブリダイゼーション又は選択的増幅により行うことができる。
より特定の態様は、被験体のTAS1R1遺伝子配列における表2に開示されたSNP、特にSNP49の存在を検出することを含む。
他の変形では、本方法は、変化したTAS1R1 RNA発現の存在を検出することを含む。変化したRNA発現は、変化したRNA配列の存在、変化したRNAスプライシングもしくはプロセシングの存在、変化した量のRNAの存在等を含む。これらは、例えば、TAS1R1 RNAのすべてもしくは一部を配列決定することまたは該RNAのすべてもしくは一部の選択的ハイブリダイゼーション又は選択的増幅によること含む、当該技術分野で知られた種々の技術により検出することができる。
更なる変形では、本方法は、変化したTAS1R1ポリペプチド発現の存在を検出することを含む。変化したTAS1R1ポリペプチド発現は、変化したポリペプチド配列の存在、変化した量のTAS1R1ポリペプチドの存在、変化した組織分布の存在等を含む。これらは、例えば、配列決定することおよび/または特異的リガンド(例えば抗体)に結合することによることを含む、当技術分野で知られた種々の技術により検出することができる。
上記したとおり、配列決定、ハイブリダイゼーション、増幅および/または特異的リガンド(例えば抗体)への結合を含む当技術分野で知られた種々の技術を使用して、変化したTAS1R1遺伝子又はRNA発現もしくは配列を検出または定量することができる。他の適当な方法は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)、対立遺伝子特異的増幅、サザンブロット(DNAsについて)、ノーザンブロット(RNAsについて)、一本鎖コンフォーメーション分析(SSCA)、PFGE、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、ゲル泳動、クランプした変性ゲル電気泳動、ヘテロ二本鎖分析、RNアーゼ防御、化学ミスマッチ開裂、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)および免疫酵素アッセイ(IEMA)を含む。
これらのアプローチのいくらか(例えば、SSCAおよびCGGE)は、変化した配列の存在の結果として、核酸の電気泳動移動度が変化することに基づいている。これらの技術に従えば、変化した配列は、ゲルでの移動度のシフトにより可視化される。次いで断片を配列決定して変化を確認することができる。
いくらかの他の方法は、被検体からの核酸と、野生型または変化したTAS1R1遺伝子またはRNAに特異的なプローブとの特異的ハイブリダイゼーションに基づいている。プローブは懸濁しているかまたは基材上に固定化されることができる。プローブは、典型的には標識されてハイブリッドの検出を容易にする。
これらのアプローチのいくらか、例えばノーザンブロット、ELISAおよびRIAは、ポリペプチド配列または発現レベルを評価するのに特に適している。これらの後者はポリペプチドに特異的なリガンド、更に好ましくは特異的抗体の使用を必要とする。
特定の好ましい態様では、本方法は、被検体からのサンプルにおける変化したTAS1R1遺伝子発現プロフィルの存在を検出することを含む。上記に示されたとおり、これは、さらに好ましくは、該サンプル中に存在する核酸の配列決定、選択的ハイブリダイゼーションおよび/または選択的増幅により達成することができる。
配列決定
配列決定は、自動シーケンサーを使用して当技術分野で周知された技術を使用して行うことができる。配列決定は、完全なTAS1R1遺伝子、又はさらに好ましくは、その特定のドメイン、典型的には有害な突然変異または他の変化を有することが知られているかあるいは有害な突然変異または他の変化を有する疑いのあるその特定のドメインに関して行うことができる。
配列決定は、自動シーケンサーを使用して当技術分野で周知された技術を使用して行うことができる。配列決定は、完全なTAS1R1遺伝子、又はさらに好ましくは、その特定のドメイン、典型的には有害な突然変異または他の変化を有することが知られているかあるいは有害な突然変異または他の変化を有する疑いのあるその特定のドメインに関して行うことができる。
増幅
増幅は、核酸再生を開始するのに役立つ相補性核酸配列間の特定のハイブリッドの形成に基づいている。
増幅は、核酸再生を開始するのに役立つ相補性核酸配列間の特定のハイブリッドの形成に基づいている。
増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)および核酸配列をベースとする増幅(NASBA)などの当該技術分野で知られた種々の技術に従って行うことができる。これらの技術は、市販の試薬およびプロトコールを使用して行うことができる。好ましい技術は、対立遺伝子特異的PCRまたはPCR−SSCPを使用する。増幅は、反応を開始するために、通常特異的核酸プライマーの使用を必要とする。
TAS1R1遺伝子または遺伝子座からの配列を増幅するために有用な核酸プライマーは、TAS1R1遺伝子座の標的領域をフランキングするTAS1R1遺伝子座の一部と特異的にハイブリダイゼーションすることができ、該標的領域は、肥満または関連した障害を有するある被験体において変化する。このような標的領域の例は表2に与えられる。
表2に同定された他のSNPsを含むTAS1R1標的領域を増幅するのに使用することができるプライマーは、配列番号1、3、5もしくは7の配列、またはTAS1R1のゲノム配列に基づいてデザインされうる。
本発明の他の特定の目的は、周囲の領域を含むTAS1R1遺伝子または遺伝子座からの配列を増幅するために有用な核酸プライマーにある。このようなプライマーは、好ましくは、TAS1R1遺伝子座における核酸配列に対して好ましくは相補性でありそして特異的にハイブリダイゼーションする。特定のプライマーは、TAS1R1遺伝子座の標的領域にフランキングするTAS1R1遺伝子座の一部と特異的にハイブリダイゼーションすることができ、該標的領域は肥満または関連した障害を有するある被検体において変化する。
本発明は、肥満または関連した障害を有するある被験体において変化したTAS1R1コード配列(例えば遺伝子またはRNA)の一部に対して相補性でありそして特異的にハイブリダイゼーションする核酸プライマーにも関する。この点で、本発明の特定のプライマーは、TAS1R1遺伝子またはRNAにおける変化した配列に対して特異的である。このようなプライマーを使用することにより、増幅産生物の検出は、TAS1R1遺伝子座における変化の存在を示す。対照的に、増幅産生物の不存在は、特異的変化がサンプルにおいて存在しないことを示す。
本発明の典型的なプライマーは、長さが約5〜60ヌクレオチド、さらに好ましくは長さが約8〜約25ヌクレオチドの一本鎖核酸分子である。配列は、TAS1R1遺伝子座の配列から直接誘導されうる。高い特異性を確実にするために完全な相補性が好ましい。しかしながら、あるミスマッチは許容できる。
本発明は、被験体における肥満または関連した障害の存在または素因を検出する方法、または肥満または関連した障害の処置に対する被験体の応答を評価する方法における、上記した核酸プライマーまたは核酸プライマーの対の使用にも関する。
選択的ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーション検出法は、核酸配列変化(1つ又は複数)を検出するのに役立つ相補性核酸配列間の特異的ハブリッドの形成に基づいている。
ハイブリダイゼーション検出法は、核酸配列変化(1つ又は複数)を検出するのに役立つ相補性核酸配列間の特異的ハブリッドの形成に基づいている。
特定の検出技術は、野生型または変化したTAS1R1遺伝子またはRNAに特異的な核酸プローブの使用、次いでハイブリッドの存在の検出を含む。プローブは、懸濁していてもよく又は基材もしくは支持体に固定化されていてもよい(核酸アレー又はチップ技術におけるように)。プローブは典型的には標識されてハイブリッドの検出を容易にする。
この点で、本発明の特定の態様は、被検体からのサンプルを、変化したTAS1R1遺伝子座に特異的な核酸プローブと接触させること、およびハイブリッドの形成を評価することを含む。特定の好ましい態様では、本方法は、前記サンプルを、それぞれ、野生型TAS1R1遺伝子座およびその種々の変化した形態に対して特異的なプローブのセットと同時に接触させることを含む。この態様では、サンプル中のTAS1R1遺伝子座における種々の形態の変化の存在を直接検出することが可能である。また、種々の被検体からの種々のサンプルを平行して処理することができる。
本発明の状況内では、プローブは、TAS1R1遺伝子またはRNA(の標的部分)に対して相補性でありそしてTAS1R1遺伝子またはRNA(の標的部分)と特異的にハイブリダイゼーションすることができ、そして肥満または代謝障害の素因を与えるか、肥満又は代謝障害と関連しているTAS1R1対立遺伝子と関連したポリヌクレオチド多形を検出するのに適当なポリヌクレオチド配列を指す。プローブは、好ましくは、TAS1R1遺伝子、RNAまたはその標的部分に対して完全に相補性である。プローブは、典型的には、長さが8〜1000ヌクレオチド、例えば10〜800、更に好ましくは15〜700、典型的には、20〜500ヌクレオチドの一本鎖核酸を含む。より長いプローブも使用することができることは理解されるべきである。本発明の好ましいプローブは、変化を有するTAS1R1遺伝子またはRNAの領域に特異的にハイブリダイゼーションすることができる、長さが8〜500ヌクレオチドの一本鎖核酸分子である。
本発明の特定の態様は、変化した(例えば突然変異した)TAS1R1遺伝子またはRNAに対して特異的な核酸プローブ、即ち、該変化したTAS1R1遺伝子またはRNAに対して特異的にハイブリダイゼーションしそして該変化を欠いているTAS1R1遺伝子またはRNAに対して本質的にハイブリダイゼーションしない核酸プローブである。特異性は、標的配列へのハイブリダイゼーションが、非特異的ハイブリダイゼーションによって発生するシグナルとは区別されうる特異的シグナルを発生することを示す。完全に相補性の配列は、本発明に従うプローブをデザインするのに好ましい。しかしながら、特異的シグナルが非特異的ハイブリダイゼーションから識別されうる限りは、ある種のミスマッチは許容されうることは理解されるべきである。
このようなプローブの特定の例は、上記表2にリストされた点突然変異を有するTAS1R1遺伝子またはRNAを含むゲノム領域の標的部分に対して相補性の核酸配列である。さらに具体的には、プローブは、配列番号9〜13からなる群より選ばれる配列又はSNPを含むその断片又はその相補性配列を含むことができる。
プローブの配列は、本願で提供されたTAS1R1遺伝子およびRNAの配列に由来することができる。ヌクレオチド置換を行うことができ、そしてプローブの化学修飾も行うことができる。このような化学修飾は、ハイブリッドの安定性を増加させるため(例えばインターカレーション基)又はプローブを標識するために達成することができる。標識の典型的な例は、放射能、蛍光、ルミネッセンス、酵素標識等を含むがそれらに限定されるわけではない。
本発明は、被験体における肥満または関連した障害の存在または素因を検出する方法または肥満または関連した障害の処置に対する被験体の応答を評価する方法における上記した核酸プローブの使用にも関する。
特異的リガンド結合
上記したとおり、TAS1R1遺伝子座における変化は、TAS1R1ポリペプチド配列または発現レベルの変化(1つ又は複数)についてスクリーニングすることにより検出することもできる。この点で、本発明の特定の態様は、前記サンプルをTAS1R1ポリペプチドに対して特異的なリガンドと接触させそして複合体の形成を決定することを含む。
上記したとおり、TAS1R1遺伝子座における変化は、TAS1R1ポリペプチド配列または発現レベルの変化(1つ又は複数)についてスクリーニングすることにより検出することもできる。この点で、本発明の特定の態様は、前記サンプルをTAS1R1ポリペプチドに対して特異的なリガンドと接触させそして複合体の形成を決定することを含む。
特異的抗体などの異なるタイプのリガンドを使用することができる。特定の態様では、サンプルを、TAS1R1ポリペプチドに対して特異的な抗体と接触させ、そして免疫複合体の形成を決定する。免疫複合体を検出するための種々の方法、例えば、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)および免疫酵素アッセイ(IEMA)を使用することができる。
本発明の状況内では、抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および実質的に同じ抗原特異性を有するその断片又は誘導体を意味する。断片は、Fab、Fab’2、CDR領域等を含む。誘導体は、一本鎖抗体、ヒト化抗体、多官能性抗体等を含む。
TAS1R1ポリペプチドに対して特異的な抗体は、TAS1R1ポリペプチドに対して選択的に結合する抗体、即ち、TAS1R1ポリペプチドあるいはそのエピトープ含有断片に対して生じた抗体を意味する。他の抗原に対する非特異的な結合が起こりうるけれども、標的TAS1R1ポリペプチドへの結合は、より高いアフイニティーで起こり、そして非特異的結合から信頼可能に識別することができる。
特定の態様では、本方法は、被検体からのサンプルを、変化した形態のTAS1R1ポリペプチドに対して特異的な抗体(でコーティングされた支持体)と接触させ、そして免疫複合体の存在を決定することを含む。特定の態様では、サンプルを、異なる形態のTAS1R1ポリペプチド、例えば野生型およびその種々の変化した形態、に対して特異的な種々の抗体(でコーティングされた支持体)と同時に、平行して又は順次に接触させることができる。
本発明は、被験体における肥満または関連した障害の存在または素因を検出する方法あるいは肥満または関連した障害の処置に対する被験体の応答を評価する方法における上記したリガンド、好ましくは抗体、その断片または誘導体の使用にも関する。
本発明は、TAS1R1遺伝子もしくはポリペプチドにおける変化、TAS1R1遺伝子もしくはポリペプチド発現における変化および/またはTAS1R1活性における変化の存在を被験体からのサンプルにおいて検出するための産物および試薬を含む診断キットにも関する。本発明に従う該診断キットは、本発明に記載された、いかなるプライマー、いかなるプライマーの対、いかなる核酸プローブおよび/またはいかなるリガンドも含み、好ましくは抗体を含む。本発明に従う該診断キットは、ハイブリダイゼーション、増幅または抗原−抗体免疫反応を行うための試薬および/またはプロトコールをさらに含むことができる。
診断方法は、インビトロ、エクスビボ又はインビボ、好ましくはインビトロまたはエクスビボで行うことができる。診断方法では被検体からのサンプルを使用して、TAS1R1遺伝子座の状態を評価する。サンプルは、核酸又はポリペプチドを含有する、被検体に由来するいかなる生物学的サンプルであってもよい。このようなサンプルの例は、体液、組織、細胞サンプル、器官、生検等を含む。最も好ましいサンプルは、血液、血漿、唾液、尿、精液等である。例えば、胎児細胞または胎盤細胞を試験することにより、出生前診断を行うこともできる。サンプルは、慣用の技術により集めることができ、そして診断するために直接使用するか又は保存することができる。サンプルは、試験のための核酸またはポリペプチドの効用(availability)を与えるか又は改善するために、本方法を行う前に処理することができる。処理は、例えば、溶解(例えば、機械的、物理的、化学的等)、遠心等を含む。また、核酸および/またはポリペプチドは、慣用の技術により予備精製するか又は濃縮することができおよび/または複雑性を減少させることができる。核酸およびポリペプチドは、酵素又は他の化学的処理または物理的処理により処理してその断片を生成させることもできる。請求された方法の高い感度を考えると、非常に少ない量のサンプルがアッセイを行うのに十分である。
示されたとおり、変化したTAS1R1遺伝子座の存在を評価するために、サンプルを、好ましくはプローブ、プライマーまたはリガンドなどの試薬と接触させる。接触は、プレート、管、ウエル、ガラス等などの任意の適当な装置において行うことができる。特定の態様では、接触は、核酸アレー又は特異的リガンドアレーなどの試薬でコーティングされた基材上で行われる。基材は、ガラス、プラスチック、ナイロン、紙、金属、ポリマー等を含む任意の支持体などの固体または半固体基材であることができる。基材は、種々の形態およびサイズ、例えば、スライド、膜、ビーズ、カラム、ゲル等であることができる。接触は、試薬とサンプルの核酸またはポリペプチド間で複合体が形成されるのに適当な条件下に行うことができる。
サンプルにおける変化したTAS1R1ポリペプチド、RNAまたはDNAの発見は、被検体における変化したTAS1R1遺伝子座の存在を示し、これは肥満または代謝障害の存在、素因又は進行の段階と相関することができる。例えば、生殖細胞系列TAS1R1突然変異を有する個体は、肥満または代謝障害の発生の増加した危険を有する。被検体における変化したTAS1R1遺伝子座の存在の決定は、より効果的でそして特注される適切な治療介入のデザインも可能とする。また前兆レベルでのこの決定は、予防治療方式を適用することを可能とする。
連鎖不平衡
一旦第1SNPが関心のあるゲノム領域、さらに詳しくは、TAS1R1遺伝子座において同定されると、当業者は、この第1SNPと連鎖不平衡にある追加のSNPsを容易に同定することができる。実際、肥満または関連した代謝障害と関連した第1SNPと連鎖不平衡にあるいかなるSNPもこの形質と関連するであろう。従って、所与のSNPと肥満または関連した代謝障害との間で関連が一旦証明されると、この形質と関連した追加のSNPsの発見は、この特定の領域におけるSNPsの密度を増加させるために大いに興味を引くことができる。
一旦第1SNPが関心のあるゲノム領域、さらに詳しくは、TAS1R1遺伝子座において同定されると、当業者は、この第1SNPと連鎖不平衡にある追加のSNPsを容易に同定することができる。実際、肥満または関連した代謝障害と関連した第1SNPと連鎖不平衡にあるいかなるSNPもこの形質と関連するであろう。従って、所与のSNPと肥満または関連した代謝障害との間で関連が一旦証明されると、この形質と関連した追加のSNPsの発見は、この特定の領域におけるSNPsの密度を増加させるために大いに興味を引くことができる。
所与のSNPと連鎖不平衡にある追加のSNPsの同定は、(a)複数の個体からの第1SNPを含むまたは取り囲むゲノム領域からの断片を増幅し;(b)該第1SNPを有する又は取り囲むゲノム領域における第2SNPsを同定し;(c)該第1SNPと第2SNPsとの連鎖不平衡分析を行い;そして(d)該第1マーカーと連鎖不平衡にあるものとして該第2SNPsを選ぶことを含む。段階(b)および(c)を含む副の組み合わせも意図する。
SNPsを同定しそして連鎖不平衡分析を行うための方法は、周知の方法を使用することにより過度の実験をすることなく当業者により行われうる。
連鎖不平衡にあるこれらのSNPsは、本発明に従う方法、更に詳しくは本発明に従う診断方法において使用することもできる。
例えば、クローン病の連鎖座(linkage locus)は、染色体5q31上の18cMにわたる大きな領域にマッピングされた(Rioux et al., 2000 and 2001)。全体の領域にわたるマイクロサテライトマーカーおよびSNPsの密なマップを使用して、連鎖不平衡(LD)の強い証拠が見出された。LDの証拠を見出したので、著者は、超高密度SNPマップを開発し、そしてこのマップから選ばれるマーカーのより密なコレクションを調べた。多重座分析は、TDTを使用して各々独立に関連している多重SNPsにより特徴付けられた一つの共通リスクハプロタイプ(single common risk haplotype)を規定した。これらのSNPsは、リスクハプロタイプに独特であり、そして互いに殆ど完全な連鎖不平衡にあることによりそれらの情報内容において本質的に同一であった。これらのSNPsの同等な性質は、遺伝的証拠のみに基づいてこの領域内の原因突然変異を同定することを不可能とする。
原因突然変異
肥満又は関連した代謝障害を示す患者および対照個体からのTAS1R1遺伝子の配列を比較することにより、肥満又は関連した代謝障害の原因となりうるTAS1R1遺伝子における突然変異を同定することができる。TAS1R1のSNPsおよび肥満または関連した代謝障害の同定された関連に基づいて、同定された座を突然変異についてスキャンすることができる。好ましい態様では、TAS1R1遺伝子のエキソンおよびスプライス部位、プロモーターおよび他の調節領域などの機能的領域を突然変異についてスキャンする。好ましくは、肥満または関連した代謝障害を示す患者は、肥満又は関連した代謝障害と関連していることが示された突然変異を有し、そして対照個体は肥満又は関連した代謝障害と関連した突然変異又は対立遺伝子を有していない。肥満または関連した代謝障害を示す患者は、対照個体よりも高い頻度で肥満または関連した代謝障害と関連していることが示される突然変異を有することも可能でありうる。
肥満又は関連した代謝障害を示す患者および対照個体からのTAS1R1遺伝子の配列を比較することにより、肥満又は関連した代謝障害の原因となりうるTAS1R1遺伝子における突然変異を同定することができる。TAS1R1のSNPsおよび肥満または関連した代謝障害の同定された関連に基づいて、同定された座を突然変異についてスキャンすることができる。好ましい態様では、TAS1R1遺伝子のエキソンおよびスプライス部位、プロモーターおよび他の調節領域などの機能的領域を突然変異についてスキャンする。好ましくは、肥満または関連した代謝障害を示す患者は、肥満又は関連した代謝障害と関連していることが示された突然変異を有し、そして対照個体は肥満又は関連した代謝障害と関連した突然変異又は対立遺伝子を有していない。肥満または関連した代謝障害を示す患者は、対照個体よりも高い頻度で肥満または関連した代謝障害と関連していることが示される突然変異を有することも可能でありうる。
このような突然変異を検出するのに使用される方法は、一般に下記の段階を含む:肥満又は関連した代謝障害を示す患者および対照個体からのTAS1R1遺伝子のDNAサンプルから、肥満または関連した代謝障害と関連したSNP又はSNPsの群を含むTAS1R1遺伝子の領域を増幅する段階;増幅された領域の配列決定をする段階;肥満又は関連した代謝障害を示す患者および対照個体からのTAS1R1遺伝子のDNA配列を比較する段階;肥満または関連した代謝障害を示す患者に特異的な突然変異を決定する段階。
従って、TAS1R1遺伝子における原因突然変異の同定は、周知の方法を使用することにより過度の実験をすることなく当業者により行われうる。
例えば、原因突然変異は、ルーチンな方法を使用することにより下記の実施例で同定された。
Hugot et al. (2001)は、クローン病に対する感受性に連鎖していることが以前に見出された染色体16の領域においてクローン病に対する感受性を有する遺伝子変異体を同定するためにポジショナルクローニングストラテジーを適用した。潜在的感受性座の位置を精密化するために、26のマイクロサテライトマーカーをジェノタイピングしそして伝達不平衡テストを使用してクローン病に対する関連について試験した。ボーダーラインの有意な関連がマイクロサテライトマーカーD16S136の1つの対立遺伝子の間で見出された。11の追加のSNPsが取り囲んでいる領域(surrounding regions)から選ばれ、そしていくつかのSNPsは、有意な関連を示した。この領域からのSNP5〜8は、NOD2/CARD15遺伝子の単一のエキソンに存在することが見出されそして非同義変異体(non-synonymous variants)であることが示された。これは、著者に50人のCD患者におけるこの遺伝子の完全なコード配列の配列決定をすることを促した。2つの追加の非同義突然変異(SNP12およびSNP13)が見出された。SNP13は、家系伝達不平衡テスト(pedigree transmission disequilibrium test)を使用して最も有意に関連していた(p=6×10−6)。他の独立した研究では、同じ変異体が4人の対照と比較して12人の罹患個体(affected individuals)からのこの遺伝子のコード領域を配列決定することによっても見出された(Ogura et al, 2001)。SNP13の低頻度対立遺伝子(rare allele)はNOD2/CARD15タンパク質をトランケートすることが予測された1bp挿入に対応していた。この対立遺伝子は、対照に比べて有意により低い頻度ではあるが、健常な個体にも存在していた。
同様に、Lesage et al.(2002)は、166人の散発性症例(sporadic cases)および287の家族性症例(familial cases)を含むCDを有する453人の患者、潰瘍性大腸炎(UC)を有する159人の患者および103人の健康な対照被検体におけるCARD15の突然変異分析を、コード領域の系統的配列決定により行った。同定された67の配列変異のうち、9つはCDを有する患者において>5%の対立遺伝子頻度を有していた。それらのうち6つは多形であると考えられ、そして3つ(SNP12−R702W、SNP8−G908RおよびSNP13−1007fs)はCDに対する感受性と独立に関連していることが確認された。27の低頻度の追加の突然変異も潜在的疾患原因突然変異(DCMs)であると考えられた。上記3つの主な変異体(R702W、G908Rおよび1007fs)は、それぞれ、全CD突然変異の32%、18%および31%を示し、これに対して、27の低頻度突然変異の総計はDCMsの19%を示した。要するに、突然変異の93%は遺伝子の遠位3分の1(distal third)に位置していた。UCと関連している突然変異は見出されなかった。対照的に、二重突然変異を有する17%を含めて、CDを有する患者の50%は、少なくとも1つのDCMを有していた。
薬物スクリーニング
本発明は、薬物候補またはリードのスクリーニングのための新規な標的および方法も提供する。この方法は、結合アッセイおよび/または機能的アッセイを含み、そしてインビトロで、細胞システムで、動物等において行うことができる。
本発明は、薬物候補またはリードのスクリーニングのための新規な標的および方法も提供する。この方法は、結合アッセイおよび/または機能的アッセイを含み、そしてインビトロで、細胞システムで、動物等において行うことができる。
本発明の特定の目的は、生物学的に活性な化合物を選ぶ方法であって、試験化合物を本発明に従うTAS1R1遺伝子またはポリペプチドとインビトロで接触させ、そして該試験化合物の該TAS1R1遺伝子またはポリペプチドに結合する能力を決定することを含む方法にある。該遺伝子またはポリペプチドへの結合は、該化合物の該標的の活性をモジュレーションする能力、従って被験体における肥満または代謝障害をもたらす経路に影響を与える能力に関する指示を与える。好ましい態様では、この方法は、試験化合物を本発明に従うTAS1R1ポリペプチドまたはその断片とインビトロで接触させ、そして該試験化合物が該TAS1R1ポリペプチドまたは断片に結合する能力を決定することを含む。断片は、好ましくはTAS1R1ポリペプチドの結合部位を含む。好ましくは、該TAS1R1遺伝子もしくはポリペプチドまたはその断片は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1遺伝子もしくはポリペプチド、または変化もしくは突然変異を含むその断片である。
本発明の特定の目的は、肥満または関連した障害に対して活性な化合物を選ぶ方法であって、試験化合物を本発明に従うTAS1R1ポリペプチドまたは結合部位を含有するその断片とインビトロで接触させ、そして該試験化合物の該TAS1R1ポリペプチドまたはその断片に結合する能力を決定することを含む方法にある。好ましくは、該TAS1R1ポリペプチドまたはその断片は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1ポリペプチド、または変化もしくは突然変異を含むその断片である。
更なる特定の態様では、本方法は、本発明に従うTAS1R1ポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を試験化合物と接触させ、そして該試験化合物の該TAS1R1に結合しそしてTAS1R1ポリペプチドの活性をモジュレーションする能力を決定することを含む。好ましくは、該TAS1R1ポリペプチドまたはその断片は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1ポリペプチド、または変化もしくは突然変異を含むその断片である。
結合の決定は、試験化合物の標識、標識された参照リガンドとの競合によるなどの種々の技術により行うことができる。
本発明の更なる目的は、生物学的に活性な化合物を選ぶ方法であって、試験化合物を本発明に従うTAS1R1ポリペプチドとインビトロで接触させ、そして該試験化合物の該TAS1R1ポリペプチドの活性をモジュレーションする能力を決定することを含む方法にある。好ましくは、該TAS1R1ポリペプチドまたはその断片は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1ポリペプチド、または変化もしくは突然変異を含むその断片である。
本発明の更なる目的は、生物学的に活性な化合物を選ぶ方法であって、試験化合物を本発明に従うTAS1R1遺伝子とインビトロで接触させ、そして該試験化合物の該TAS1R1遺伝子の発現をモジュレーションする能力を決定することを含む方法にある。好ましくは、該TAS1R1遺伝子またはその断片は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1遺伝子、または変化もしくは突然変異を含むその断片である。
他の態様では、本発明は、活性化合物、特に肥満または関連した代謝障害に対して活性な化合物をスクリーニング、選択または同定する方法であって、試験化合物を、TAS1R1遺伝子プロモーターの制御下にあるレポーター遺伝子を含むレポーター構築物を含む組換え宿主細胞と接触させ、そしてレポーター遺伝子の発現をモジュレーションする(例えば刺激するかまたは減少させる)試験化合物を選択することを含む方法にある。好ましくは、該TAS1R1遺伝子プロモーターまたはその断片は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1遺伝子プロモーター、または変化もしくは突然変異を含むその断片である。
スクリーニングの方法の特定の態様では、モジュレーションは阻害である。スクリーニングの方法の他の特定の態様では、モジュレーションは活性化である。
上記スクリーニングアッセイは、プレート、管、ディッシュ、フラスコなどの任意の適当な装置で行うことができる。典型的には、アッセイは多重ウエルプレートで行われる。いくつかの試験化合物を平行してアッセイすることができる。さらに、試験化合物は、種々の起源、性質および組成のものであることができる。それは、単離されているかまたは他の物質と混合されている、脂質、ペプチド、ポリペプチド、核酸、小分子などのいかなる有機または無機物質であってもよい。
医薬組成物、治療
本発明更なる目的は、(i)TAS1R1ポリペプチドもしくはその断片、TAS1R1ポリペプチドもしくはその断片をコードする核酸、上記したベクターまたは組換え宿主細胞および(ii)薬学的に許容されうる担体またはビヒクルを含む医薬組成物である。
本発明更なる目的は、(i)TAS1R1ポリペプチドもしくはその断片、TAS1R1ポリペプチドもしくはその断片をコードする核酸、上記したベクターまたは組換え宿主細胞および(ii)薬学的に許容されうる担体またはビヒクルを含む医薬組成物である。
本発明は、被験体における肥満または関連した障害を処置または予防する方法であって、機能的(例えば野生型)TAS1R1ポリペプチドまたは該TAS1R1ポリペプチドをコードする核酸を該被験体に投与することを含む方法にも関する。
本発明の他の態様は、被験体における肥満または関連した障害を処置または予防する方法であって、本発明に従うTAS1R1遺伝子もしくはタンパク質の発現もしくは活性をモジュレーションする、好ましくは活性化するかまたは模倣する化合物を該被験体に投与することを含む方法にある。該化合物は、TAS1R1のアゴニストまたはアンタゴニスト、TAS1R1のアンチセンスまたはRNAi、本発明に従うTAS1R1ポリペプチドに対して特異的な抗体またはその断片もしくは誘導体であることができる。本方法の特定の態様では、モジュレーションは阻害である。本方法の他の特定の態様では、モジュレーションは活性化である。
本発明は、一般に、被験体における肥満または関連した代謝障害を処置または予防するための医薬組成物の製造における、機能的TAS1R1ポリペプチド、機能的TAS1R1ポリペプチドをコードする核酸、または本発明に従うTAS1R1遺伝子もしくはタンパク質の発現もしくは活性をモジュレーションする化合物の使用にも関する。該化合物は、TAS1R1のアゴニストまたはアンタゴニスト、TAS1R1のアンチセンスまたはRNAi、本発明に従うTAS1R1ポリペプチドに対して特異的な抗体またはその断片もしくは誘導体であることができる。本方法の特定の態様では、モジュレーションは阻害である。本方法の他の特定の態様では、モジュレーションは活性化である。
本発明は、肥満(および関連した障害)とTAS1R1遺伝子座との相関を証明する。従って、本発明は、治療介入の新規な標的を提供する。種々のアプローチは、被験体、特に変化したTAS1R1遺伝子座を有する被験体におけるTAS1R1活性または機能を回復またはモジュレーションすることを意図することができる。このような被験体に野生型機能を与えることは、病理学的細胞または生物における肥満および関連した障害の表現型発現を抑制することが予測される。このような機能の供給は、遺伝子またはタンパク質治療により、またはTAS1R1ポリペプチド活性をモジュレーションするかまたは模倣する化合物(例えば、上記スクリーニングアッセイにおいて同定されたアゴニスト)を投与することにより達成されうる。
野生型TAS1R1遺伝子またはその機能的部分は、それを必要としている被験体の細胞に上記したベクターを使用して導入することができる。ベクターは、ウイルスベクターまたはプラスミドであることができる。遺伝子は、裸のDNAとして導入することもできる。遺伝子は、レシピエント宿主の細胞のゲノムに組み込むようにまたは染色体外に留まるように与えられることができる。組み込みは、例えば、相同組換えなどにより、無作為にまたは正確に規定された部位で起こりうる。特に、TAS1R1遺伝子の機能的コピーは、相同組換えにより、細胞における変化したバージョンの代わりに挿入することができる。さらなる技術は、遺伝子ガン、リポソーム媒介トランスフェクション、カチオン脂質媒介トランスフェクション等を含む。遺伝子治療は、直接遺伝子注入によりまたは機能的TAS1R1ポリペプチドを発現するエクスビボで調製された遺伝子的に修飾された細胞を投与することにより達成されうる。
TAS1R1活性を有する他の分子(例えば、ペプチド、薬物、TAS1R1アゴニストまたは有機化合物)も、被験体における機能的TAS1R1活性を回復するためまたは細胞における有害な表現型を抑制するために使用することができる。
細胞における機能的TAS1R1遺伝子機能の回復は、肥満または代謝障害の発生を予防するためまたは該疾患の進行を減少させるために使用することができる。このような処置は、細胞、特に有害な対立遺伝子を有するこれらの細胞の肥満表現型を抑制することができる。
本発明の更なる局面および利点は、下記の実験部門に開示されるが、これらは本願を説明するものとみなすべきであり、本願の範囲を限定するものとみなすべきではない。
遺伝子、ベクター、組換え細胞およびポリペプチド
本発明の更なる局面は、診断、治療またはスクリーニングで使用するための新規な産物にある。これらの産物は、TAS1R1ポリペプチドもしくはその断片をコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、組換え宿主細胞および発現されたポリペプチドを含む。
本発明の更なる局面は、診断、治療またはスクリーニングで使用するための新規な産物にある。これらの産物は、TAS1R1ポリペプチドもしくはその断片をコードする核酸分子、該核酸分子を含むベクター、組換え宿主細胞および発現されたポリペプチドを含む。
さらに詳しくは、本発明は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1遺伝子または該変化もしくは突然変異を含むその断片に関する。本発明は、変化したもしくは突然変異したTAS1R1ポリペプチドまたは該変化もしくは突然変異を含むその断片をコードする核酸分子にも関する。該変化または突然変異はTAS1R1活性を修飾する。修飾された活性は、増加または減少させることができる。本発明は、さらに、変化したもしくは突然変異したTAS1R1遺伝子または該変化もしくは突然変異を含むその断片を含むベクター、あるいは変化したもしくは突然変異したTAS1R1ポリペプチドまたは該変化もしくは突然変異を含むその断片をコードする核酸分子、組換え宿主細胞および発現されたポリペプチドに関する。
本発明の更なる目的は、本発明に従うTAS1R1ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターである。ベクターは、クローニングベクター、またはさらに好ましくは発現ベクター、即ちコンピテント宿主細胞中で該ベクターからTAS1R1ポリペプチドの発現を引き起こす調節配列を含むベクターである。
これらのベクターは、インビトロ、エクスビボまたはインビボでTAS1R1ポリペプチドを発現するため、トランスジェニックまたは「ノックアウト」非ヒト動物を創り出すため、核酸を増幅するため、アンチセンスRNAsを発現するなどのために使用することができる。
本発明のベクターは、典型的には、調節配列、例えばプロモーター、ポリAなどに動作可能に連結された本発明に従うTAS1R1コード配列を含む。用語「動作可能に連結された」は、調節配列がコード配列の発現(例えば転写)を引き起こすようにコード配列と調節配列が機能的に関連していることを示す。ベクターは、さらに1つまたは複数の起源の複製および/または選択可能なマーカーを含むことができる。プロモーター領域は、コード配列に対して相同であるかまたは異種であることができ、そして、インビボでの使用を含めて、任意の適当な宿主細胞において遍在性、構成的、調節されたおよび/または特異的発現を与えることができる。プロモーターの例は、バクテリアプロモーター(T7、pTAC、Trpプロモーター等)、ウイルスプロモーター(LTR、TK、CMF−IE等)、哺乳動物遺伝子プロモーター(アルブミン、PGK等)などを含む。
ベクターは、プラスミド、ウイルス、コスミド、ファージ、BAC、YAC等であることができる。プラスミドベクターは、pBluescript、pUC、pBR等などの市販のベクターから調製することができる。ウイルスベクターは、当技術分野で知られている組換えDNA技術に従って、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAVs等から調製することができる。
この点で、本発明の特定の目的は、上記したTAS1R1ポリペプチドをコードする組換えウイルスにある。組換えウイルスは、好ましくは複製欠陥があり(replication-defective)、なおさらに好ましくはE1欠失および/またはE4欠失アデノウイルス、Gag欠失、Pol欠失、および/またはenv欠失レトロウイルス、ならびにRep欠失および/またはCap欠失AAVsから選ばれる。このような組換えウイルスは、パッケージング細胞をトランスフェクションすることまたはヘルパープラスミドもしくはウイルスによる一過性トランスフェクションによるなどの当技術分野で知られている技術により産生することができる。ウイルスパッケージング細胞の典型的な例は、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞等を含む。このような複製欠陥組換えウイルスを産生するための詳細なプロトコールは、例えばWO95/14785、WO96/22378、US5,882,877、US6,013,516、US4,861,719、US5,278,056、およびWO94/19478に見出されうる。
本発明の更なる目的は、組換えTAS1R1遺伝子または上記したベクターを含む組換え宿主細胞にある。適当な宿主細胞は、原核細胞(バクテリアなどの)および真核細胞(酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞など)を含むが、それらに限定されるわけではない。特定の例は、E.coli、KluyveromycesまたはSaccharomyces酵母、哺乳動物細胞系(例えば、Vero細胞、CHO細胞、3T3細胞、COS細胞など)ならびに初代または樹立された哺乳動物細胞培養物(例えば繊維芽細胞、胚細胞、上皮細胞、神経細胞、脂肪細胞などから産生された)を含む。
本発明は、本発明に従うTAS1R1ポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を産生する方法であって、(i)上記した組換え核酸またはベクターをインビトロまたはエクスビボでコンピテント宿主細胞に導入し、(ii)得られる組換え宿主細胞をインビトロまたはエクスビボで培養しそして(iii)場合によりTAS1R1ポリペプチドを発現する細胞を選択することを含む方法にも関する。
このような組換え宿主細胞は、下記するとおり、TAS1R1ポリペプチドの産生および活性分子のスクリーニングのために使用することができる。このような細胞は、肥満および代謝障害を研究するためのモデルシステムとして使用することもできる。これらの細胞は、任意の適切の培養装置(プレート、フラスコ、ディッシュ、チューブ、ポーチなど)においてDMEM、RPMI、HAMなどの適当な培養培地中に維持することができる。
実施例
1.ヒト染色体1上の肥満感受性座の同定
A.染色体1感受性遺伝子を同定するためのGenomeHIPプラットフォーム
肥満感受性遺伝子の迅速な同定を可能とするためにGenomeHIPプラットフォームを適用した。
1.ヒト染色体1上の肥満感受性座の同定
A.染色体1感受性遺伝子を同定するためのGenomeHIPプラットフォーム
肥満感受性遺伝子の迅速な同定を可能とするためにGenomeHIPプラットフォームを適用した。
簡単に言えば、この技術は、関連した個体のDNAからペアーを形成することからなる。各DNAを、その同定を可能とする特異的標識で標識する。次いで2つのDNAs間でハイブリッドを形成する。次いで多段階手順で2つのDNAsからすべての同祖(IBD)断片を選ぶ特定の方法(WO00/53802)を適用する。次いで残りのIBDに富んだDNAを染色体上のIBDフラクションのポジショニングを可能とするBACクローン由来のDNAマイクロアレーに対してスコア化する。
多くの異なる家族に対してこの方法を適用すると、各家族からの各ペアーについてIBDフラクションのマトリックスが得られる。次いで統計的解析により、試験されるすべての家族間で共有される最小IBD領域を計算する。有意な結果(p値)は、関心のある形質(ここでは肥満)とのボジティブ領域の連鎖の証拠である。連鎖した間隔(linked interval)は、有意なp値を示す2つの最も遠く離れたクローンにより限界を定められうる。
この研究では、甚だしい肥満(>90thパーセンタイルのボディ.マス.インデックスにより定義された)に合致したドイツ起源の(178の独立した血縁ペアー)164家族を、GenomeHIPプロセスに供した。次いで、得られるIBDに富んだDNAフラクションを、Cy5蛍光染料で標識し、そして1.2メガ塩基対の平均間隔で全ヒトゲノムを包含する2263BACクローンからなるDNAアレーに対してハイブリダイズさせた。Cy3で標識された選ばれなかったDNA(non-selected DNA)を使用してシグナル値を正規化しそして各クローンについて割合を計算した。次いで割合の結果のクラスタリングを行って、各クローンおよびペアーについてIBD状態を決定した。
この手順を適用することにより、染色体1上の領域の約3メガ塩基領域(塩基4126987〜7007690)に及んでいる、肥満に対する連鎖の有意な(p値<2.5×10−5)証拠を示す、いくつかのBACクローン(BACA13ZH10、BACA17ZF07およびBACA15ZD05)を同定した。
表3:TAS1R1遺伝子座における染色体1についての連鎖結果:連鎖の証拠を有する3つのBACクローンに相当する領域が示される。クローンの開始および停止位置は各々染色体の開始に対するNCBI Build34配列に基づくそれらのゲノム位置に対応する(p−ter)。
B.染色体1上の肥満感受性遺伝子の同定
連鎖した染色体領域における上記した3メガ塩基をスクリーニングすることにより、我々は、肥満および関連した表現型のための候補として、味覚受容体1型メンバー1(TAS1R1)遺伝子を同定した。この遺伝子は、上記に概説されたクローンにより限界を定められた連鎖の証拠を伴って、実際に臨界的な間隔(critical interval)で存在する。
連鎖した染色体領域における上記した3メガ塩基をスクリーニングすることにより、我々は、肥満および関連した表現型のための候補として、味覚受容体1型メンバー1(TAS1R1)遺伝子を同定した。この遺伝子は、上記に概説されたクローンにより限界を定められた連鎖の証拠を伴って、実際に臨界的な間隔(critical interval)で存在する。
TAS1R1遺伝子は、NP_619642(mRNA NM_138697 2.7kb)について予測される841アミノ酸ポリペプチドをコードしておりそして8.84kbのゲノム配列にわたって広がっている。遺伝子によりコードされたタンパク質は、Gタンパク質共役型受容体でありそしてヘテロ二量体アミノ酸味覚受容体T1R1+3の成分である。T1R1+3受容体は、L−アミノ酸に応答するがD−エナンチオマーまたは他の化合物には応答しない。甘味として認められる大部分のアミノ酸はT1R1+3を活性化し、そしてこの活性化は、無傷の(intact)T1R1+3ヘテロ二量体に厳密に依存する。いくつかの異なるアイソフォームをコードする多重転写物変異体がこの遺伝子について見出された。
Nelson et al.(2002)は、ヒトTAS1R1を発現する細胞が他のアミノ酸よりもグルタメート(旨味)に対してオーダーより大きい高い感受性を示した。グルタメートは、甘味の他にヒトにおける主な魅力的味覚様式(main attractive taste modality)である。特徴的なグルタメート味覚増強効果は、IMPおよびGMPなどのプリン5−リボヌクレオチドの存在から生じる。
KuriharaおよびKashiwayanagi(2000)は、ヒトにおける脳グルタメート受容体に対するアゴニストの味覚を比較した。0.5ミリモル/LのGMPおよび1.5ミリモル/Lの種々のアゴニストの混合物により誘導される旨味味覚の強さの順序は、グルタメート>イボテネート>L(+)−2−アミノ−4−ホスホノ酪酸(L−AP4)=(+/−)1−アミノシクロペンタン−トランス−1,3−ジカルボン酸(ACPD)であった。カイネート、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)および(RS)−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)(これらはイオンチャンネル共役型受容体に対するアゴニストである)は旨味味覚を持たなかった。
Ozeck et al.(2004)は、味覚受容体はGalpha(i/o)タンパク質に機能的にカップリングして細胞内シグナルを伝達することができることを示した。甘味料およびグルタミン酸一ナトリウムは、それぞれ、ERK1/2のリン酸化を誘導しそしてヒト甘味T1R(2)/T1R(3)受容体およびヒト旨味T1R(1)/T1R(3)受容体を発現するHEK293細胞におけるcAMP蓄積を阻害する。これらの味覚様式の効果は百日咳毒素による処理によっても防止される。
染色体1上の肥満に連鎖した遺伝子変化の臨界的間隔でヒトTAS1R1遺伝子を同定する本願で与えられた連鎖結果を、味覚旨味および他のアミノ酸の認知におけるその関与と一緒に合わせて、我々は、TAS1R1遺伝子またはその調節配列における変化(例えば、突然変異および/または多形)は、ヒト肥満の発生に寄与することができそして診断または治療介入のための新規な標的を表すことができると結論する。
2.関連(association)の研究
連鎖の研究のために使用された同じ家族を、伝達不平衡試験(TDT)を使用する、問題の特異的表現型(ここでは肥満)と遺伝子マーカー対立遺伝子間の関連について試験するためにも使用した。TDTは、強力な関連試験である。なぜならば、それは試験されたサンプルにおける集団層別問題(population stratification problem)に対して非感受性であるからである。簡単に言えば、ヘテロ接合性親からそれらの影響を受けた子孫への対立遺伝子の分離を試験する。非伝達対立遺伝子と比較して影響を受けた子孫に伝達された対立遺伝子の部分を、無作為な分布下に予測される比と比較する。予測された値を超える有意に過剰の対立遺伝子伝達は、研究された肥満表現型とのそれぞれの対立遺伝子の関連の証拠である。
連鎖の研究のために使用された同じ家族を、伝達不平衡試験(TDT)を使用する、問題の特異的表現型(ここでは肥満)と遺伝子マーカー対立遺伝子間の関連について試験するためにも使用した。TDTは、強力な関連試験である。なぜならば、それは試験されたサンプルにおける集団層別問題(population stratification problem)に対して非感受性であるからである。簡単に言えば、ヘテロ接合性親からそれらの影響を受けた子孫への対立遺伝子の分離を試験する。非伝達対立遺伝子と比較して影響を受けた子孫に伝達された対立遺伝子の部分を、無作為な分布下に予測される比と比較する。予測された値を超える有意に過剰の対立遺伝子伝達は、研究された肥満表現型とのそれぞれの対立遺伝子の関連の証拠である。
この分析の結果は、TAS1R1遺伝子のある対立遺伝子は肥満とポジティブに関連しており、従って疾患に対する感受性を増加することができることを示す。試験された集団では、対立遺伝子GはTDTにより決定されたように肥満と相関している(χ2=4.74、p=0.029456)。他方、対立遺伝子Aは、肥満個体に有意に低く伝達されており、これは、この対立遺伝子が疾患から防御されるのを助けることができることを示す。
肥満個体への対立遺伝子の伝達の例を表4に示す。
さらに、すべてのSNPsについてフェーズを同定するためにSNP34、SNP47、SNP49、SNP56およびSNP69についてハプロタイプが構築された。
この分析の結果は、SNP49における対立遺伝子Gの存在によりすべて特徴付けられたあるハプロタイプは、肥満と強く関連していることを示す。試験された集団では、SNP49における対立遺伝子Gを有するハプロタイプは、肥満に強く相関しており(それぞれ、TDTにより決定して、SNP34−SNP47−SNP49のG−A−Aについてp=0.003045、SNP34−SNP42−SNP51のA−A−Cについてp=0.00588、SNP34−SNP47−SNP49のA−G−Gについてp=0.003045およびSNP34−SNP53−SNP69のG−C−Cについてp=0.005235)、これに対して対立遺伝子Gを欠いたあるハプロタイプは肥満した被験体に優先的に伝達されない(SNP34−SNP47−SNP49のG−A−Aについてp=0.02026およびSNP49−SNP56−SNP69のA−G−Cについてp=0.001073)。SNP49の対立遺伝子Gの代わりに対立遺伝子Aを有するハプロタイプは、肥満した被験体において低く表現されるための有意な証拠を示す。
肥満個体へのSNP49の優先的な伝達および非伝達を有するハプロタイプの例を表5に示す。
Claims (17)
- 被検体における肥満または関連した代謝障害の存在もしくは素因を検出する方法であって、(i)被検体からのサンプルを提供し、そして(ii)該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法。
- 被検体における肥満または関連した障害からの防御を検出する方法であって、(i)被検体からのサンプルを提供し、そして(ii)該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法。
- 肥満または関連した代謝障害の処置に対する被験体の応答を評価する方法であって、(i)被検体からのサンプルを提供し、そして(ii)該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法。
- 肥満または関連した障害の処置に対する被験体における不利な効果を評価する方法であって、(i)被検体からのサンプルを提供し、そして(ii)該サンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出することを含む方法。
- 被検体における肥満又は関連した障害を予防するための方法であって、被検体からのサンプル中のTAS1R1遺伝子座における変化の存在を検出し、該変化の存在が肥満または関連した障害の素因を示し、そして肥満又は関連した障害に対する予防処置を行うことを含む方法。
- TAS1R1遺伝子座における変化の存在が、配列決定、選択的ハイブリダイゼーションおよび/または選択的増幅により検出される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 該変化が、肥満と関連した1つ又は複数のSNP(s)または肥満と関連したSNPsのハプロタイプである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 肥満と関連した該ハプロタイプが、SNP38、SNP47、SNP49、SNP56およびSNP69からなる群より選ばれるいくつかのSNPsを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 肥満と関連した該SNPがSNP49である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 肥満および関連した障害に対する生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、試験化合物をTAS1R1ポリペプチドもしくは遺伝子またはその断片と接触させ、そして該試験化合物のTAS1R1ポリペプチドもしくは遺伝子またはその断片に結合する能力を決定することを含む方法。
- 肥満および関連した障害に対する生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、TAS1R1ポリペプチドを発現する組換え宿主細胞を試験化合物と接触させ、そして該試験化合物の該TAS1R1ポリペプチドに結合しそしてTAS1R1ポリペプチドの活性をモジュレーションする能力を決定することを含む方法。
- 肥満および関連した障害に対する生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、試験化合物をTAS1R1遺伝子と接触させ、そして該試験化合物の該TAS1R1遺伝子の発現をモジュレーションする能力を決定することを含む方法。
- 肥満および関連した障害に対する生物学的に活性な化合物を選択する方法であって、試験化合物をレポーター構築物を含む組換え宿主細胞と接触させ、該レポーター構築物はTAS1R1遺伝子プロモーターの制御下のレポーター遺伝子を含み、そしてレポーター遺伝子の発現をモジュレーションする(例えば刺激するかまたは減少させる)試験化合物を選択することを含む方法。
- 該TAS1R1遺伝子もしくはポリペプチドまたはその断片が、変化したもしくは突然変異したTAS1R1遺伝子もしくはポリペプチド、または変化もしくは突然変異を含むその断片である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 該モジュレーションが活性化である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 該モジュレーションが阻害である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 被験体における肥満または関連した障害を処置または予防するための医薬組成物の製造における、TAS1R1のアゴニストまたはアンタゴニスト、TAS1R1のアンチセンスまたはRNAi、TAS1R1ポリペプチドに対して特異的な抗体またはその断片または誘導体からなる群より選択される化合物の使用。
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