JP2008308176A - 貯蔵タンクの浮屋根断熱材並びに保護シート及びその製造方法 - Google Patents

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森  薫
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Abstract

【課題】低湿度環境下でも安定した帯電防止性能を発揮し、高湿度環境でも接触する取付金属部品との腐触性がなく脱落を生じにくい貯蔵タンクの浮屋根断熱材及び保護シートを提供する。
【解決手段】保護シート2は、不燃性繊維からなる織布(ガラスクロス3)又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂5と無機化合物の充填材(セラミックビーズ6)とからなる複合被覆層4を形成してなる。貯蔵タンクの浮屋根断熱材1は、この保護シート2と、いずれか一面の複合被覆層4が外側となるようにして保護シート2と積層接着された樹脂発泡体7とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、原油やガソリンのように揮発性の高い石油類を貯蔵するタンク、具体的には、油の増減により屋根が壁に沿って上下する浮屋根式貯蔵タンクの浮屋根の断熱に用いる断熱材と、該断熱材に用いる保護シート及びその製造方法に関するものである。
従来、この分野に使われる断熱材の技術としては、次のものがある。特許文献1には、不燃性繊維からなる織布又は不織布と難燃化ポリオレフィンフォームとを積層接着してなるタンク天蓋の耐火性保温・防水材が記載されている。
特許文献2には、不燃性繊維質シートの少なくとも一面に導電性物質を分散含有したシリコーン樹脂塗料の硬化層を形成した耐熱難燃シートを上記硬化層が外側に位置するように合成樹脂発泡体の表面に積層してなる天蓋用断熱材が記載されている。導電性物質としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等の導電性カーボン粉末、導電性カーボン繊維、金属粉末、金属繊維、導電性金属酸化物等が挙げられている。
特公平5−28660号公報 特許第3470810号公報
特許文献1に記載された断熱材では、地震や強風などにより浮屋根が激しく上下に浮動することで静電気が帯電したり、場合によっては取付金属部品の衝突により、スパークが発生することもあり得る。同文献には、耐火性保温・耐水性については記載されているが、帯電防止については記載されていない。過去、貯蔵タンクの地震による火災原因として、スロッシング現象(液面揺動)により、浮屋根が油中に沈没し、可燃性蒸気が滞留したり、浮屋根上に油が漏洩し、摩擦衝撃火花や静電気、消火剤の泡消滅に伴う沈降帯電による放電等が着火源となる可能性が高いことが報告されている。
特許文献2に記載された導電性物質を分散含有したシリコーン樹脂の硬化層では、下記の問題がある。
(1)導電性物質の分散が不均一と成り易く、帯電防止性能のばらつきが大きい。
(2)屋外で使用されるため、冬期の乾燥条件等の低湿度環境において、帯電防止性能が著しく低下する傾向がある。
(3)雨水が溜まる等の高湿度環境において、浮屋根を保持するポンツーン(浮き)等とのタンク周辺部位の金属と導電性物質を分散含有した保護シートが接する箇所で、電位差により異種金属接触腐触が生じる恐れがある。
(4)導電性物質の脱落や溶出により油を汚染することになり、これらの油を燃料に使用した場合、不完全燃焼による大気汚染や燃焼機器故障の原因となり得る。
本発明は、低湿度環境でも安定した帯電防止性能を維持することで静電気帯電に起因する火災の恐れをなくし、保護シートを不燃性とすることで地震等による浮屋根浮動に伴う摩擦衝撃や静電気による火花が発生しても着火することがなく、また、高湿度環境でも接触する取付金属部品との腐触性がなく脱落を生じにくく、耐久性に優れる浮屋根断熱材及び保護シートを提供しようとするものである。
(1)第1の発明に係る貯蔵タンクの浮屋根断熱材に用いる保護シートは、不燃性繊維からなる織布又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂と無機化合物の充填材からなる複合被覆層を形成してなることを特徴とする。
不燃性繊維としては、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、鉱物繊維、バサルト繊維、セラミック繊維の他、カーボン繊維、金属繊維も例示できる。これらのフィラメント、紡績糸、あるいは少量の可燃物を含む混合繊維でもよい。
織布としては、平織、綾織、朱子織、2重織、ニット織等が例示できる。不織布としては、チョップスドランドマット、ニードルマット等が例示できる。本発明に用いられる織布又は不織布は、目付100g/m〜1kg/mが好ましく、さらに目付300g/m〜700g/mが好ましい。厚さは、0.2mm〜5mmが好ましく、さらに0.4mm〜4mmが好ましい。
導電性高分子材料としては、高分子主鎖の基本骨格が二重結合と単結合が交互に結合したπ共役系構造が挙げられる。具体的には、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン、スルホン化ポリアニリン、自己ドープ型ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリチエニレンピニレン、フルオレンービチオフェン共重合体などが例示できる。なかでも、ポリピロール、ポリピノールーベンゼンスルホン酸系は、水系溶媒、低コスト、高導電性の面から特に好ましい。これらの導電性高分子からなる樹脂は、電子伝導であるため、イオン性化合物を混合分散した場合と異なり、湿度の影響を受けない保護シートを形成できる。
導電性高分子材料を相溶化する樹脂は、耐候性に強く、耐油性、柔軟性、防水性に優れることが要求されるが、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、またこれらの混合樹脂が例示できる。フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂等でもよい。クロロプレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ゴムアスファルト系等のゴムでもよい。特に、水溶性のアクリル樹脂がコスト面から好ましい。アクリル樹脂にフッ素樹脂やシリコンオイルからなる撥水剤やマイカ粉末、無機系撥水剤を混合してもよく、あるいは上塗りによりトップコートしてもよい。
導電性高分子材料の樹脂への添加量は、表面抵抗率が帯電防止性能を示す範囲で適宜設定することができるが、樹脂総質量比率で5%〜40%が好ましく、特に10%〜30%が好ましい。また、樹脂に撥水剤を混合してもよい。
無機化合物の充填材としては、水酸化アルミニウム、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、塩化カルシウム、ベントナイト、酸化チタン、セラミックビーズ、ガラスビーズ等の粉状無機物や、マイカ、タルク、カオリン等の板状無機物、ロックウール、ガラス繊維、バサルト繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維等の繊維状無機物を例示できる。無機化合物の充填は、樹脂の耐熱性を向上し、樹脂の劣化を防止する働きがある。特に、中空セラミックビーズは、粉体嵩比重が小さく、日光の赤外線熱エネルギー等放射熱を複合被覆層で反射し、内部の空気とともに高い遮熱・断熱機能を発揮するため好ましい。また、光触媒作用のある二酸化チタンの混入は、防汚機能に寄与する。また、銀イオン等を担持した無機抗菌剤を混合すれば、カビや緑膿菌、鳥ウイルス等の殺菌にも寄与するため、適宜使用することが好ましい。例えば、無機抗菌剤としては、株式会社シナネンゼオミック製の商品名「ゼオミック」が例示できる。これらの無機化合物の充填材は、1種類でもよく、複数を混合してもよい。
無機化合物の充填材の配合比は、複合被覆層の質量比率で50%〜80%が好ましく、特に55%〜70%が好ましい。無機化合物が多いと複合被覆層の柔軟性がなくなり、屈曲時の亀裂が発生しやすく、無機化合物が少ないと不燃性がなくなりやすくなる。
(2)第2の発明に係る貯蔵タンクの浮屋根断熱材は、不燃性繊維からなる織布又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂と無機化合物の充填材からなる複合被覆層を形成してなる保護シートと、いずれか一面の前記複合被覆層が外側となるようにして前記保護シートと積層接着された樹脂発泡体とを含むことを特徴とする。
貯蔵タンク内の油は、通常、流動性を維持するために50〜60℃に保温されている。浮屋根断熱材は、油面からの放熱を防止するため、樹脂発泡体で遮熱している。樹脂発泡体としては、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等が例示できる。また、難燃性を持たせるため、これらに無機化合物の充填材や有機系の無機難燃剤を混合したものでもよい。
ポリウレタンフォームの場合、TCEP(トリ2−クロロエチル・ホスフェイト)を難燃剤として添加されたものは、高温で水分を吸収し、加水分解を起こして塩素イオンを溶出し、しかも塩酸も生成するため、金属腐触を及ぼしやすい。そのため、APP(ポリリン酸アンモニウム)の難燃剤を使用したり、可溶性のけい酸ナトリウム等の腐触抑制剤を添加することが好ましい。ポリオレフィン系フォームとしては、東レペフ加工品株式会社製の商品名「トーレペフ」のPE難燃グレードを好ましいものとして例示できる。
また、樹脂発泡体の油面側には、耐油性の合成ゴムや耐熱性の無機コーティング材により、被覆層を設けてもよい。
樹脂発泡体の厚みは、特に限定されないが、3〜200mmが適当であり、好ましくは10〜100mmであり、単層品でも積層品としてもよい。発泡倍率は、特に限定されないが、5〜80倍が適当であり、好ましくは10〜40倍である。発泡倍率が高いと、断熱性能が向上するが機械的強度が低下し、発泡倍率が低いと、断熱保温効果が低下する。好ましくは、発泡サイズを極力抑え、発泡数を増加させたものである。
保護シートと樹脂発泡体との積層接着又は樹脂発泡体同士の積層接着に用いる接着剤は、特に限定されないが、シリコーン系接着剤が柔軟性と耐熱性から好ましく、アクリル系接着剤やクロロプレン系ゴム接着剤でもよい。あるいは、樹脂発泡体同士の接着剤は、熱融着で一体接着してもよい。
樹脂発泡体の表面(特に油に接触する面)に空気室を形成するための凹部を形成することにより、より一層、断熱性能と浮力の向上を図ることができる。例えば、樹脂発泡体を、一部に空気層を形成できるよう凹凸面を有する加熱圧縮装置、例えば加熱炉にて軟化させた後、凹凸面を有する冷間加圧成形にて所定の形状に圧縮加工しておくと、凹部を備えた凹凸面を効率的に付けることができる。
(3)第3の発明に係る浮屋根断熱材に用いる保護シートの製造方法は、不燃性繊維からなる織布又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂と無機化合物の充填材とからなる複合処理液を塗布した後、熱処理によって複合処理液から複合被覆層を形成させることを特徴とする。
複合処理液には、防炎剤、撥水剤、吸水剤、抗菌剤、防カビ剤、消臭剤、発泡剤、芳香剤等の有機系、遮熱材、光触媒チタニア、低熱伝導性物質、無機抗菌剤、マイナスイオン発生物質等の無機物を混入させ、機能性加工することが容易にできる。樹脂は水溶性エマルジョンを用いるのが、環境上好ましい。
塗布方法は、含浸、ドットコーティング、ナイフコーティング、スクリーンコーティング、ロールコーティングがあるが特に限定しないが、基布が薄い場合、フローティングナイフコーティングが基布に機械的な負荷が少なく破損しにくいため、好ましい。
熱処理による複合被覆層の形成原理は、複合処理液に用いる樹脂及び溶媒(又は分散媒)により様々であり、例えば水に分散する前記水溶性エマルジョンを用いる場合には、熱乾燥による複合被覆層の形成であり、例えば反応硬化性の樹脂を用いる場合には、反応硬化による複合被覆層の形成である。
本発明の貯蔵タンクの浮屋根断熱材及び保護シートは下記の効果を有する。
(1)低湿度環境下でも安定した帯電防止性能を発揮し、その効果が半永久的に持続し、静電気帯電による火災の発生がより安全に防止できる。
(2)保護シートを不燃材料とすることで、地震等による激しい浮動で金属衝突部からスパークが発生しても、着火しない。
(3)高湿度環境でも接触する取付金属部品との異種金属締結部廻りの電位差腐食が生じない。また、複合被覆層の塗膜膨れが生じないため、タンクとしての寿命を長く保つことができる。
(4)ブラックカーボン、カーボン繊維、金属粉体の脱落が生じなく、油汚染による燃焼効率を阻害することが少ない。
保護シート(2)は、不燃性繊維からなる織布(3)又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂(5)と無機化合物の充填材(6)とからなる複合被覆層(4)を形成してなる。貯蔵タンクの浮屋根断熱材(1)は、この保護シート(2)と、いずれか一面の複合被覆層(4)が外側となるようにして保護シート(2)と積層接着された樹脂発泡体(7)とを含む。樹脂発泡体(7)の表面に空気室(10)を形成するための凹部(9)を形成することができる。
以下、本発明を具体化した実施例について、下記の表1及び図面に基づいて説明する。図1は実施例に係る貯蔵タンクの浮屋根断熱材を示し、(a)は実施例1〜4の保護シートを用いた実施例aの断面図、(a)は同じく実施例bの断面図、(c)は(a)のc部の拡大断面図である。以下では、まず、実施例1〜4の保護シートについて説明した後、該保護シートを用いた浮屋根断熱材について説明する。なお、実施例で記す材料、構成、数値は例示であって、適宜変更できる。
実施例1〜4では、導電性高分子材料の一例としてのポリピノール(丸菱油化工業株式会社製 商品名PPY−12)を相溶化した樹脂の一例としての水溶性アクリル系樹脂に、無機化合物の充填材の一例としての、粒径が10〜50μmで比重が0.10〜0.13の中空ビース構造のアルミノ珪酸ソーダガラスからなるセラミックビーズ(PQコーポレーション製の商品名「XOL−200」)と、同じく無機化合物の充填材としての、マイカ、チタニアの各粉末とを入れ、必要に応じ水で希釈し、十分に攪拌混合することで複合処理液を得た。
そして、実施例1〜4では、複合被覆層の固形分が表1の質量配合となるように前記複合処理液を調合し、不燃性繊維からなる織布又は不織布の一例としてのEガラス繊維からなるガラスクロス(目付重量330g/m、厚み0.4mm綾織)にロールコーターにて片面フローティングナイフ方式で塗布した後、温度150℃の加熱炉にて3分間乾燥硬化させて塗膜すなわち複合被覆層を形成し、図1(a)〜(c)に示す浮屋根断熱材1のうちの保護シート2の部分を作成した。同図において、3はガラスクロス、3aはガラスクロスの緯糸、3bはガラスクロスの経糸である。また、4は複合被覆層であり、5は導電性高分子材料を相溶化した樹脂、6は樹脂5に分散しその表面部にも現れたセラミックビーズを示している。
一方、比較例では、(導電性高分子材料を相溶化しない)水溶性アクリル系樹脂に、無機化合物としてのマイカ、チタニアの各粉末と、導電性無機材料(カーボンブラックの一種)である平均粒径42μmのアセチレンブラックとを入れ、実施例と同様に、必要に応じ水で希釈し、十分に攪拌混合することで処理液を得た。そして、複合被覆層の固形分が表1の質量配合となるように前記複合処理液を調合し、実施例と同様に、ガラスクロスに塗布した後、乾燥硬化させ保護シートを作成した。
実施例1〜4は、本発明の保護シートの構成を示すものであり、比較例と性能を比較した。その結果を表1に示す。
Figure 2008308176
各試験の方法と条件については、下記の通りである。
(1)表面抵抗率は、JIS K7194により、各温度湿度環境下で24時間放置した直後、実施し、10の8乗(Ω/□)以下を帯電防止に寄与する評価基準とした。
(2)半減期測定法による帯電性は、JIS L1094に準拠し、温度20℃、湿度30%、洗濯回数未処理で、10kVの電圧を印加した後、耐電圧が半減するまでの時間を測定し、5秒以下を帯電防止に寄与する評価基準とした。
(3)総発熱量、最高発熱速度は、輻射強度50kW/m、20分測定でコーンカロリーメーターによる発熱性試験により実施し、総発熱量8(MJ/m)以下、最高発熱速度200(kW/m)を超えないことを不燃材料の評価基準とした。
(4)引張強度は、JIS L1096より、引張試験機にて常温で実施した。
(5)無抵抗電流による鋼材と試料の複合被覆層を接触させた状態でのガルバニック電流を測定し、腐食電流測定値(μA/cm)より、侵食速度(mm/year)を求めた。試験液にはPH5.9の雨水を使用した。侵食速度0.006(mm/year)未満を著しい腐食なしと判定した。
(6)鋼材にクロロプレンゴムを被覆し、人工的にキズを付け、試料の被覆層を接触させた状態でPP容器内でPH5.9の雨水を浸し、30日間、温度60℃に保持した後、塗膜膨れ発生有無を観察した。
表1の試験結果に明らかなとおり、比較例の保護シートは、表面抵抗率が高湿度時よりも低湿度時に明らかに高くなり、帯電防止性が高湿度時にはよいが低湿度時に低下する。これに対し、実施例1〜4の保護シートは、表面抵抗率が低湿度時でも高湿度時とほとんど変わらず低く保たれ、帯電防止性が維持される。また、特にポリピノールの含有量を5%以上に増やした実施例3、4では、表面抵抗率が一段と低くなり、帯電防止性が極めて高い。
また、比較例は不燃材料の評価基準をぎりぎり満たしたのに対し、実施例1〜4は同評価基準を余裕を持って満たした。
また、比較例の引張強度に対し、実施例1〜4の引張強度は有意差をもって高いといえる。
また、比較例は腐食性の評価基準を満たさなかったが、実施例1〜4は同評価基準を余裕を持って満たした。
また、比較例には塗膜膨れが発生したが、実施例1〜4には塗膜膨れが発生しなかった。
次に、実施例1〜4の保護シート2を用い、図1に示すように、複合被覆層4が外側(使用時には上側)となるようにして保護シート2のガラスクロス3側に樹脂発泡体7を接着剤8で積層接着して浮屋根断熱材1を作成した。図1(a)の実施例aに係る浮屋根断熱材1は、樹脂発泡体7の素材として東レペフ加工品株式会社製の樹脂発泡シート7a(商品名「トーレペフ」のPE難燃グレード)を用い、その2層を接着剤8で積層接着して樹脂発泡体7を形成したものである。接着剤8には、シリコーン系接着剤を用いた。また、図1(b)の実施例bに係る浮屋根断熱材1は、樹脂発泡シート7aとして、その下面(油に接触する側の面)に凹部9を形成することにより該下面を凹凸面としたものを用いた点においてのみ、実施例aと相違するものである。この実施例bによれば、凹部9に空気室10が形成されるため、より一層、断熱性能と浮力の向上を図ることができる。
こうして作成した浮屋根断熱材1は、図2に示すように、貯蔵タンク20に用いられる。すなわち、浮屋根断熱材1はポンツーン(浮き)22により保持される。図2に鎖線で示すように、浮屋根21は地震や強風などにより激しく上下に浮動し、タンク周辺部位と摺動することがあるが、本実施例の浮屋根断熱材1を用いたことにより、静電気の帯電が防止され、スパークの発生が抑制される。また、高湿度環境でも、浮屋根断熱材1と取付金属部品との間で異種金属締結による電位差腐食が生じない。また、複合被覆層の塗膜膨れが生じないため、貯蔵タンク20としての寿命を長く保つことができる。また、浮屋根断熱材1にブラックカーボン、カーボン繊維、金属粉体を使用していないので、それらの脱落も当然に無く、油汚染による燃焼効率を阻害することが少ない。
本発明に係る実施例の貯蔵タンクの浮屋根断熱材を示し、(a)は実施例aの断面図、(a)は同じく実施例bの断面図、(c)は(a)のc部の拡大断面図である。 同浮屋根断熱材の貯蔵タンクへの適用例を示す断面図である。
符号の説明
1 浮屋根断熱材
2 保護シート
3 ガラスクロス
4 複合被覆層
5 導電性高分子材料を相溶化した樹脂樹脂
6 無機化合物の充填材
7 樹脂発泡体
7a 樹脂発泡シート
8 接着剤
9 凹部
10 空気室
20 貯蔵タンク

Claims (5)

  1. 不燃性繊維からなる織布又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂と無機化合物の充填材とからなる複合被覆層を形成してなる、貯蔵タンクの浮屋根断熱材に用いる保護シート。
  2. 前記導電性高分子材料を相溶化した樹脂がアクリル樹脂である請求項1記載の貯蔵タンクの浮屋根断熱材に用いる保護シート。
  3. 不燃性繊維からなる織布又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂と無機化合物の充填材とからなる複合被覆層を形成してなる保護シートと、いずれか一面の前記複合被覆層が外側となるようにして前記保護シートと積層接着された樹脂発泡体とを含む貯蔵タンクの浮屋根断熱材。
  4. 前記樹脂発泡体の表面に空気室を形成するための凹部を形成した請求項3記載の貯蔵タンクの浮屋根断熱材。
  5. 不燃性繊維からなる織布又は不織布の少なくとも一面に、導電性高分子材料を相溶化した樹脂と無機化合物の充填材とからなる複合処理液を塗布した後、熱処理によって複合処理液から複合被覆層を形成させる、貯蔵タンクの浮屋根断熱材に用いる保護シートの製造方法。
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