JP2008307037A - 捕虫器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 より確実に虫を捕獲できる簡便な捕虫器を提供する。
【解決手段】 水に対して産卵された卵を成虫として逃さない捕虫器1であって、開口部11を有し水を蓄えるための容器10と、容器10の水面Sに浮揚できると共に産卵が可能であるが成虫の通過を阻止する孔を有するフィルタ部20と、容器10とフィルタ部20とを結びがつ容器10の内壁とフィルタ部20との隙間Cからの成虫の通過を阻止する通過阻止部30と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は捕虫器に関する。
近年、地球温暖化に伴い、病原体を媒介する蚊などの飛翔虫の駆除が急務となっている。その駆除の一つの仕方として、ボウフラ等の幼生期を水中で過ごす虫の発生を抑える方法がある。一般にこの方法として、殺虫剤、ホルモン剤、油、界面活性剤などの薬剤をボウフラ等の発生地に散布する方法や、発生場所の水面にネットを張ったり、ネットが固定された浮きを容器の中を摺動させたりするなどの自滅トラップの捕虫器による方法が知られている(例えば非特許文献1、非特許文献2)。
しかし薬剤を散布する方法は、薬剤のコスト等の問題がある。一方、自滅トラップの捕虫器による方法は、虫の習性をうまく利用しているので、薬剤のように散布を繰り返してコスト上昇を招くといった問題がない。
池庄司敏明著、「蚊」、東京大学出版会、1993年 Mosquito ecology:field sampling methods/M.W.Service.2nded.Chapman & Hall,1995.(48ページ、53ページ)
しかしながら、ネットが固定された浮きを摺動させる自滅トラップの捕虫器は、水を蓄えた容器が傾いて水面が傾いた場合は、容器の内壁と浮きとの間に隙間ができ、そこから成虫が逃げ出したり、捕虫器が倒れた場合は、ネットがはずれ幼虫などが大量に逃げ出したりしてしまうという問題があった。そこで確実に虫を捕獲できるようにするため、野外等で捕虫器を設置する場合には、捕虫器を水平に保ちかつ倒れないように固定する必要があり、捕虫器を設置させる場所を容易に変えることができなかった。
また上記の捕虫器は、ネットが浮きに固定されているため水面の変化に対して追随できるが、容器の内壁と浮きとの境界部に、落ち葉や泥などのゴミ・埃がたまったり、容器の内壁にカビやコケ等による汚れが発生したりして、浮きの動きがスムーズでなくなったり、浮きが動かなくなったりする。そのため、水面の変化に対して追随できなくなり、捕獲効果がなくなってしまうという問題があった。例えば水が蒸発しネットが水面より高くなると産卵がされにくくなり、逆にネットが水面に沈んでいると羽化した成虫が逃げ出してしまう。
また作製上、虫が逃げ出さないようにするために容器の内壁と浮きとの隙間をなくし、かつ容器の内壁と浮きとがスムーズに摺動できるようにする必要があった。そのため、製作する上での手間やコストの問題があった。
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、より確実に虫を捕獲できる簡便な捕虫器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の捕虫器は、 水に対して産卵された卵を成虫として逃さない捕虫器であって、開口部を有し水を蓄えるための容器と、前記容器の水面に浮揚できると共に、産卵が可能であるが成虫の通過を阻止する孔を有するフィルタ部と、前記容器と前記フィルタ部とを結びかつ前記容器の内壁と前記フィルタ部との隙間からの成虫の通過を阻止する通過阻止部と、を備える。
また、本発明の捕虫器は、開口部を有する容器に取り付ける捕虫機構であって、前記開口部又は前記容器の内面に固定される仕切部であって、フィルタ部と通過阻止部を有し、前記内面と前記仕切部とにより前記容器内に閉空間が画成される仕切部を具備し、前記フィルタ部は、前記容器内の水面に浮揚できると共に産卵が可能であるが成虫の通過を阻止する孔を有し、前記通過阻止部は、前記フィルタ部の周端部と前記内面の間に延在すると共に成虫の通過を阻止する捕虫機構を有する。
また、本発明の捕虫器においては、前記通過阻止部が変形可能な部材により形成されるようにしもよい。
また、本発明の捕虫器においては、前記フィルタ部がネットと当該ネットを浮揚させる浮きとにより形成されるようにしてもよい。
また、本発明の捕虫器においては、前記通過阻止部が、前記フィルタ部から前記開口部に向かって延在した部材により支持されるようにしてもよい。
また、本発明の捕虫器においては、前記通過阻止部が、蛇腹形状を有するようにしてもよい。
また、本発明の捕虫器においては、前記通過阻止部が、水の透過性を有する部材により形成されるようにしてもよい。
本発明によれば、容器とフィルタ部とを結びかつ容器の内壁とフィルタ部との隙間からの成虫の通過を阻止する通過阻止部を備えることで、簡便な構成により、容器が傾いたり倒れたりしても成虫が外へ逃げ出すことができず、より確実に虫を捕獲できる。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係る捕虫器を示す斜視図及び縦断面図である。図1に示すように捕虫器1は、水を蓄えるための容器10と、容器10の水面に浮揚できるフィルタ部20と、容器10の内壁とフィルタ部20との隙間からの成虫の通過を阻止する通過阻止部30と、を備え、水に対して産卵された卵を成虫として逃さないようになっている。ここで、水に対して産卵された卵とは、幼虫が育つ水に向かって産卵しに来た成虫が産卵した卵であり、水に直接産卵された卵の他に、水の近傍の産卵場所に産卵された卵も含む。
容器10は、図中上方に開口した開口部11と側壁に排水口12とを有し、開口部11の方から雨水が入り、一定以上の雨水を排水口12から排水できるようになっている。排水口12にはネットが張られ、排水時に幼虫が逃げ出せないようになっている。なお開口部11は、容器10の端部の他に容器10の内と外とを分ける境界部を含む。
フィルタ部20は、容器10内の水面に浮揚できると共に産卵が可能であるが成虫の通過を阻止する孔を有している。つまりフィルタ部20は、ネット21とネット21の周りを取り囲むように形成された浮き22とを有し、図2に示すようにネット21が水面Sに位置して浮揚するようになって、容器10の水面の一部を覆うようになっている。
そしてネット21は、卵や卵から孵ったばかりの幼虫が通過できる程度のメッシュを有し、水からの成虫の通過を阻止するようになって、フィルタ部20において、産卵が可能であるが成虫の通過を阻止する孔を形成している。また浮き22の外側が容器10の内壁より小さく、容器10の内壁とフィルタ部20との隙間Cを形成できるようになっている。
通過阻止部30は、容器10の開口部11とフィルタ部20の周端部である浮き22の外側上部とを結び、隙間Cからの成虫の通過を阻止するようになっている。また通過阻止部30は、フィルタ部20の周端部と容器10の内面の間に延在すると共に成虫の通過を阻止するようになっている。すなわち、通過阻止部30によって規定される仮想面は、フィルタ部20の外周面と容器10の内面の間隙に接する水面Sを外方空間Aから遮断することができる。したがって、前記仮想面、フィルタ部20の外周面、容器10の内面、水面Sによって閉じた閉空間Bを画成することができる。その結果、フィルタ部20の内方面(水側)、通過阻止部30によって規定される仮想面、容器10の内面によって画成される閉じた領域(ほぼW+B)に成虫が閉じこめられるので、成虫は外方空間Aに抜け出すことはできない。
そして通過阻止部30は、蛇腹形状になっていて変形可能な部材により形成され、水面Sの変動に対して追随できるようになっている。
次に形状等について詳細に説明する。
容器10は、底を有し上方に開口した円筒形状で、プラスチック製である。容器10の径が14cmで、高さが16cmである。なお、横断面の形状は円に限らず、例えば楕円形や三角形や四角形でもよく、また底に対して垂直方向に形状や大きさが一定でなくてもよい。また材質は耐水性があればよいので、プラスチック製に限らず、ステンレスやアルミニウム等の金属でもよい。
ネット21は、円形状になっていて、ポリプロピレン製で1インチ当たり24メッシュの防虫ネットである。ネット21の径は9cmである。なお、ネット21の形状は円形状に限らず、容器10の水面を一定以上覆う面積があればよい。ネット21は飛翔虫が産卵でき又はネットの壁面等に産卵された卵から孵った幼虫が水面に入ることができる面積を少なくとも有すればよい。またネットの材質はナイロン製やポリエステル製や金属製等でもよく、水により強度が落ちたり錆びたりしなければよい。
浮き22は、円環状で、外径が容器10の内壁の径よりも小さくなっている。浮き22の外径は11cm、内径は9cm、厚さは4cmである。浮き22の材質は発泡スチロール製で、ネット21が浮き22の間に挟み込まれるように接着剤により固定されている。この浮き22の浮力で、ネット21がほぼ容器10の水面Sに位置決めされる。水面Sの高さが変わると、その変化に応じてネット21が追随できるようになっている。ここで図2に示すように、浮き22の上面は、ほぼ全面に亘り内径部分の角が面取りしてある。これは、雨水がネット21の方に流れ落ちることにより、浮き22の上面の一部に水がたまってネット21が傾くのを防止するためである。
なお浮き22の形状は、円環状に限られず、容器10の形状に合わせ、容器10の内壁との間に隙間Cが形成される形状であればよい。隙間Cは一定になるようにする必要なない。また隙間Cは浮き22の全周に亘って形成されている必要なく一部接してもよい。フィルタ部20が水面Sの上下動に従い支障なくフィルタ部20ができればよい。つまり砂や埃等に対して頑健性を有するように隙間Cが形成されていればよい。
また浮き22の材質は、発泡スチロールに限られず、塩化ビニールでも木製でもよい。また浮き22は浮き袋のような方式でもよく、ネット自体に浮力を持たせてもよい。
通過阻止部30は、径の大きさが容器10の開口部11から浮き22に向かって小さくなる円形の蛇腹形状をしているゴム製である。容器10の水面Sが低い場合は、図2(A)に示すように、通過阻止部30が伸びているが、水面Sが上昇するに従い(図2(B)、図2(C))、通過阻止部30の蛇腹が折りたたまれ、縮むようになっている。
また容器10が傾いて水面Sが傾いても、容器10に対して水面が上昇する側の通過阻止部30は縮み、容器10に対して水面が降下する側の通過阻止部30は伸びることで、ネット21の面が水面Sに位置決めされるようになっている。
通過阻止部30の形状は、蛇腹カメラのように四角でもよい。この場合は、容器10の形状を四角柱状にしてもよいし、円筒形状のままでもよい。つまり容器10の横断面形状、浮き22の横断面形状や通過阻止部30の横断面形状は、水面Sの上下変動に従い、浮き22がスムーズに追随できるようになっていればよい。
なお通過阻止部30の材質は、プラスチックでも防水性の紙や布でもよく、ゴムに限定されず、容器10の底面から開口部11に向かう軸方向に伸縮できればよい。
次に捕虫器1の使用方法等を説明する。
まず容器10に小麦粉と水とを入れる。小麦粉の代わりにパン屑や落ち葉やグルタミン酸等の養分を含む溶液でもかまわない。水に対して産卵しにくる蚊は、産卵する前にグルタミン酸が水に含まれる否かを確認しているといわれている。水に加える養分は虫の種類によって変えてもよい。なお小麦粉や液体の養分の場合、後からネット21を通して粉を追加しやすい。また小麦粉等を加えずに自然な雨水などの水だけでもよい。
次に、成虫が産卵するために集まりやすいところに捕虫器1を設置する。例えば庭の隅等の薄暗いところが好ましい。容器10から水Wが蒸発して水面Sが低下するので、できれば雨が当たるところがよい。水が少なくなれば、容器10の開口部11から追加してもよい。
小麦粉の場合は、2、3日経過して腐り始めると小麦粉のグルテンがグルタミン酸に変わり、蚊を引き寄せる臭いも発する。イエカの仲間は水面に卵を産卵し、卵が集まった舟形状の卵舟を形成する。ネット21の上に長さ1cmほどの黒色の卵舟がいくつも観察された。シマカの仲間の場合は、水面の近くの壁面等に卵を産卵する。
卵から幼虫が孵るとネット21を通して容器10の水中に幼虫が入っていく。容器10の中に、ネット21を通して呼吸をしているのを観察できた。ボウフラが成長して羽化する段階になると、ネット21付近で羽化した蚊は水中で溺れ、隙間Cで羽化した蚊は通過阻止部30があるため容器10から外、すなわち閉空間Bから外方空間Aに出られない。
雨が降ると、雨水がネット21を通して容器10の中に入り、水面Sが上昇する。水面Sの上昇に伴って浮き22の浮力でネット21も上昇する。降雨量が多い場合は、排水口12から水が溢れ出す。排水口12には目の細かいネットが張ってあるため、ボウフラが逃げ出せない。
容器10の水Wが蒸発すると、水面Sが降下するため、フィルタ部20の自重によりネット21も下降する。なおフィルタ部20に錘をつけてもよい。特にフィルタ部20の下側に錘をつけるとフィルタ部20の位置が安定する。
本実施形態の捕虫器1によれば、容器10とフィルタ部20の浮き22とを結びかつ容器10の内壁と浮き22との隙間Cからの成虫の通過を阻止する通過阻止部30を備えることで、容器10が傾いたり倒れたりしても成虫が外へ逃げ出すことができず、より確実に虫を捕獲できる。また、容器10の内壁とフィルタ部20との隙間Cがあることにより、ネット21と浮き22とにより形成されたフィルタ部20が水面Sの変化に追随しやすく、埃や容器10の内壁の汚れなどに対しても頑健になり、さらに容器10が傾いてもフィルタ部20が水面Sに対して水平を維持できる。すなわちネット21が常に水面S上にあるので、蚊などが産卵しやすく、より多くの蚊の発生を防止できる。
通過阻止部30が蛇腹形状で変形性を有しているので、フィルタ部20が水面Sの変化に追随しやすくなる。さらに通過阻止部30が蛇腹状であるので、通過阻止部30の一部が水面Sに沈んだり、通過阻止部30に雨水がたまったりして、そこで虫が繁殖することを防止することができる。
本実施形態の捕虫器1は、隙間Cを形成することにより埃等があったり容器10が傾いたりしてもフィルタ部20がスムーズに水面Sの変化に追随でき、通過阻止部30をさらに備えることにより幼虫が羽化して逃げ出すことを防止しているので、隙間Cの形成して通過阻止部30を付加することで、捕虫器1を容易に製造できる。つまり容器10の内壁やフィルタ部20に汚れ防止や摺動しやすいように表面を特殊加工しなくても、容器10やフィルタ部20の形状や寸法が厳密でなくてもよいので、捕虫器1は低コストで製造しやすい。
また汚れに強いので清掃の手間が省け、適度に雨が降れば水を加える必要もないため、一度セットすれば、ほぼメンテナンスが不要となる。そして捕虫器1の移動や設置も簡便であり使いやすい。さらに殺虫剤等の薬剤が不要なため、薬剤のように散布し続けることがなく、蚊等の伝染病を媒介する虫の数を減らすことができる。
なお図3に示すように蛇腹の径の大きさが一定の蛇腹31を有する捕虫器2でもよい。この場合は、容器10の開口部11から円環状の部材13を設ける。この部材13から浮き21まで蛇腹31を設ける。蛇腹31の径の大きさが一定のため、蛇腹31の製作が容易である。
なお、捕虫器をフィルタ部20と通過阻止部30とを有する捕虫機構により実現してもよい。つまり、開口部11を有する容器10に取り付ける捕虫機構は、開口部11又は容器10の内面に固定される仕切部40であって、フィルタ部20と通過阻止部30を有し、容器10の内面と仕切部40とにより容器10内に閉空間Bが画成される仕切部40を具備している。この捕虫機構を接着剤等により容器10に固定する。また、容器10に脱着しやすいように、通過阻止部30の周りに容器10との接合部を設けてもよい。例えば接合部を、柔軟なネットを利用して容器10の開口部11に被せるようにしてもよい。接合部と開口部との固定は、ゴム紐等の弾性力がある素材や紐等で行ってもよい。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について図面に基づいて説明する。図4(A)は、第2実施形態に係る捕虫器の斜視図であり、通過阻止部が蛇腹形状でない一例を示している。なお、以下に説明する本実施形態において上述の第1実施形態における捕虫器と同一又は類似する構成については、図1から図3と同一の参照符号を付して簡単に説明し、相違点について詳述する。
図4(A)に示すように捕虫器3は、容器10と、フィルタ部20と、通過阻止部35と、を備えている。そしてフィルタ部20と通過阻止部35とが、フィルタ部20の周端部から開口部11に向かって延在した部材である中筒50を介して結ばれている。つまり通過阻止部35が、フィルタ部20から開口部11に向かって延在した部材でである中筒50により支持されている。
通過阻止部35は、図4(A)や図5に示すようにシート状で変形性を有している。そして通過阻止部35は、容器10の開口部11とフィルタ部20の周端部である浮き22の外側上部とを中筒50を介して結び、隙間Cからの成虫の通過を阻止するようになっている。また通過阻止部35は、フィルタ部20の周端部と容器10の内面の間に延在すると共に成虫の通過を阻止するようになっている。
中筒50は、図4(B)に示すようにフィルタ部20の浮き21の周端部から開口部11の側に向かって延在しており、中筒50の中に浮き21がはめ込まれて浮き21を固定している。図4(A)や図5に示したように中筒50の上端部に通過阻止部35の一端が固定され、通過阻止部35の他端が開口部11に固定されている。
通過阻止部35と中筒50によって規定される仮想面は、フィルタ部20の外周面と容器10の内面の間隙に接する水面Sを外方空間Aから遮断することができる。したがって、前記仮想面、フィルタ部20の外周面、容器10の内面、水面Sによって閉じた閉空間Bを画成することができる。その結果第1実施形態と同様に成虫は外方空間Aに抜け出すことはできない。
次に形状、材質等を説明する。
通過阻止部35は、綿のガーゼで形成した。綿のガーゼは柔軟性に富み、変形性、可撓性が高く、水面Sの上下動や傾きに対して、フィルタ部20が追随しやすくなっている。また、綿のガーゼは水を透過できる素材であるため、雨が容器10の中に降り注いでも、通過阻止部35に水がたまらないようになっている。また図5(B)に示すように水位が中程度である状態で、通過阻止部35が少したわむような形状及び寸法にしてあり、容器10の水位が低い状態(図5(A))で通過阻止部35がたわみ水面Sに水没しないようになっている。なお通過阻止部35の素材は、綿のガーゼに限定されず、柔軟性が高く水を透過できる素材であるならばよい。
中筒50は、直径11cm、高さは12cmの円筒形状で、プラスチック製である。材質はプラスチックに限られず、軽い材質で耐水性があればよい。形状も円筒形に限らず、フィルタ部20や容器10の形状に合わせて、隙間Cが生じる形状ならばよい。中筒50の高さに関して、フィルタ部20の上下動の範囲で通過阻止部35がたわんで水面Sに接しないような高さを中筒50は有すればよい。また円筒形状の代わりに、ポールをフィルタ部20に立てて、通過阻止部35であるシートを持ち上げる構造でもよい。この場合、通過阻止部35が直接フィルタ部20に結んで、シート状の通過阻止部35を持ち上がるように支持してもよい。つまり水面Sから離れるように、中筒50が延在する方向に通過阻止部35を支持している。
次に図5に基づいて、本実施形態の捕虫器3の動作を説明する。なお捕虫器3の使用方法は、捕虫器1と同じであるので、詳細は省略する。
図5(A)は水位が低い状態、図5(B)は水位が中程度である状態、図5(C)は水位が高い状態をそれぞれ示す縦断面図である。図5(A)に示すように水位が低い状態では、通過阻止部35は、開口部11と中筒50の上端部を線で結ぶようにすり逆円錐形状に似た形状になっている。容器の10の水面Sが上昇するに従い、図5(B)に示すように通過阻止部35がたわんだ状態になる。この状態で雨が降ると、水がたまりやすい形になるが、通過阻止部35は水を透過できるので、ガーゼの網目を通して水が容器10の中に入っていく。さらに水面が上昇し図5(C)に示すような状態になると、中筒50は開口部11より競りあがり、通過阻止部35は、円錐台形状に似た形状になる。図示しない排水口があるのでこれ以上中筒50は持ち上がらない。
本実施形態の捕虫器3によれば、第1実施形態における蛇腹状の通過阻止部30、31の代わりに、通過阻止部35と中筒50とにより、第1実施形態と同様な効果を発揮することができる。
容器10の水位が低い状態(図5(A))から水位が高い状態(図5(C))に移るに従い中筒50が上に持ち上げられようとしても、通過阻止部35は変形可能な部材で形成されているため、フィルタ部20がスムーズに上昇でき、中筒50を有することで通過阻止部35の一部が水面に沈むことを防止できる。通過阻止部35がもし水が透過できない素材であると、水が通過阻止部35にたまった場合、水の重みによりフィルタ部20の浮力が弱くなる。通過阻止部35が水を透過できる素材であると、雨水等が通過阻止部の上にたまることを防止できる。
なお第1実施形態のように、捕虫器をフィルタ部20と通過阻止部35とを有する捕虫機構により実現してもよい。この場合、仕切部45が、フィルタ部20と通過阻止部35と中筒50とにより構成される。特に通過阻止部35がガーゼ等の柔軟性を有する素材の場合、別途接合部を設けなくても、開口部との固定はゴム紐等の弾性力がある素材や紐等で行うことができる。また排水口12を設けてもよい。
(各変形例)
次に、上述した各実施形態の各変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例において上述の第1及び第2実施形態における捕虫器と同一又は類似する構成については、図1から図5と同一の参照符号を付して簡単に説明し、相違点について詳述する。
図6(A)は、雨水が通過阻止部35に入らないようにした捕虫器を示す断面図である。特に第2実施形態についての変形例である。図6(A)に示すように捕虫器4は、第2実施形態の捕虫器3と同様に、容器10と、フィルタ部20と、通過阻止部35と、を備え、加えて容器10の開口部11にカバー15を有している。
カバー15は、中筒50が水位に従って上下動しても妨げないような構造で、開口部11に脱着可能になっている。カバー15の開いた中央部分から雨水や成虫が入ってくるようになっている。カバー15の形状は、開口部から上方に円筒形状に延在し、中筒50が最大に上がる高さより高いところから内側に円環形状になり、この円環の内径部分からやや逆円錐形に下方に向かった形状である。カバー15の材質はプラスチック製であるが、浮き22の浮力に直接影響しないので、軽量である必要はない。
このカバー15により、通過阻止部35に落ち葉等の異物が入らなくなり、メンテナンスがより容易になる。また雨水がかからないので、通過阻止部35がガーゼのようなメッシュ構造を有しなくてもよい。例えば、シート状のビニールでもよい。さらに水が蒸発しにくくなり、雨が少ないとき水の補給が少なくて済む。
次に他の変形例の図6(B)は落ち葉等のゴミが容器10に入らないようにした捕虫器を示す断面図である。図6(B)に示すように捕虫器5は、容器10と、フィルタ部20と、通過阻止部30とを備え、さらに容器10の開口部11を覆う部材16を有している。
部材16は開口部11に脱着可能になっている。部材16の上面部は断面形状が逆台形状で、底部16aがネットになっていて雨水が下に落ちるようなっている。この部材16の側面には、孔16bが開けられ、成虫が進入できるようになっている。蚊等は産卵場所の臭い等に引き寄せられるので、部材16の側面の孔16bから十分進入してくる。この部材16により、落ち葉等のゴミが容器10の中に入らないため、フィルタ部20の上に堆積せず長期にわたってメンテナンスなしで使用できる。以上の各変形例は、第1実施形態の捕虫器1、2にも適用できる。
なお、上述の各実施形態において浮き22の配置場所は、ネット21の中央部分に設置してもよく、本実施形態のように限定されない。また、ネット21の代わりに、板状の部材に孔を設けてもよい。孔の大きさは、ネット21の目の大きさとほぼ同じでよく、孵化したばかりの幼虫は入れるが、成虫が出られない大きさであればよい。この場合、水に浮かぶ部材を用いた場合、浮き22を省略してもよい。また、別のネットを水中の方にさらに設け、2重にしてもよい。これにより幼虫が水面から空気を吸うのを防止でき、幼虫の繁殖を妨げることができる。
また、容器10の形状は水を蓄えることができればよいので、上述の各実施形態で示された形状に限られず、バケツ型、つまり逆台形状でもよい。また容器10の形状は、壷型や台形状でもよい。この場合、水の体積に比べ水面の面積が小さくなるので、水の蒸発の割合が少なくなり、水面の上下動が少なくなる。
本発明の第1実施形態に係る捕虫器の斜視図である。 第1実施形態の捕虫器の縦断面図であって、(A)は水位が低い状態、(B)は水位が中程度である状態、(C)は水位が高い状態を示す縦断面図である。 第1実施形態における通過阻止部の変形例を示す縦断面図である。 (A)本発明の第2実施形態に係る捕虫器の斜視図、及び(B)フィルタ部とこれから延在した部材とを示す斜視図である。 第2実施形態の捕虫器の縦断面図であって、(A)は水位が低い状態、(B)は水位が中程度である状態、(C)は水位が高い状態を示す縦断面図である。 各変形例における捕虫器を示す縦断面図である。
符号の説明
1、3……捕虫器
10……容器
11……開口部
20……フィルタ部
21……ネット
22……浮き
30、35……通過阻止部
40、45……仕切部
50……中筒(延在した部材)
C……隙間
S……水面

Claims (7)

  1. 水に対して産卵された卵を成虫として逃さない捕虫器であって、
    開口部を有し氷を蓄えるための容器と、
    前記容器の水面に浮揚できると共に、産卵が可能であるが成虫の通過を阻止する孔を有するフィルタ部と、
    前記容器と前記フィルタ部とを結びかつ前記容器の内壁と前記フィルタ部との隙間からの成虫の通過を阻止する通過阻止部と、を備えた捕虫器。
  2. 開口部を有する容器に取り付ける捕虫機構であって、
    前記開口部又は前記容器の内面に固定される仕切部であって、フィルタ部と通過阻止部を有し、前記内面と前記仕切部とにより前記容器内に閉空間が画成される仕切部を具備し、
    前記フィルタ部は、前記容器内の水面に浮揚できると共に産卵が可能であるが成虫の通過を阻止する孔を有し、
    前記通過阻止部は、前記フィルタ部の周端部と前記内面の間に延在すると共に成虫の通過を阻止する捕虫機構を有する捕虫器。
  3. 前記通過阻止部が変形可能な部材により形成された請求項1又は請求項2に記載の捕虫器。
  4. 前記フィルタ部がネットと当該ネットを浮揚させる浮きとにより形成された請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の捕虫器。
  5. 前記通過阻止部が、前記フィルタ部から前記開口部に向かって延在した部材により支持された請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の捕虫器。
  6. 前記通過阻止部が、蛇腹形状を有する請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の捕虫器。
  7. 前記通過阻止部が、水の透過性を有する部材により形成された請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の捕虫器。
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