JP2008304202A - 距離画像生成方法、距離画像生成装置及びプログラム - Google Patents

距離画像生成方法、距離画像生成装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ステレオカメラによる視差算出における処理速度と距離分解能という相反する精度の両立を実現可能な距離画像生成方法、距離画像生成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】この距離画像生成方法は、ステレオ画像を取得して視差算出を行うものであって、遠距離領域に対して距離分解能が高い第1演算処理法を用い、中距離領域に対して第1演算処理法よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い第2演算処理法を用い、近距離領域に対して第2演算処理法よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い第3演算処理法を用いる。
【選択図】図6

Description

本発明は、ステレオ画像を取得して視差算出を行う距離画像生成方法、距離画像生成装置及びプログラムに関する。
ステレオ画像から視差を算出し、視差値と距離値は反比例の関係であり、視差値から距離値を得るようにした距離計測が公知である。特許文献1は、ステレオ画像を処理して得られる画素(ピクセル)を単位とする視差に起因する遠距離での測距分解能の低下を解消し、近距離から遠距離までの測距分解能を向上させるために、ピクセルレベルの対応点と前後のシティブロック距離から直線近似でサブピクセル視差を算出し、画素単位の視差をサブピクセルの分解能で補間するようにしたステレオ画像による測距装置を開示する。
特許文献2は、解析対象の部分画像が予想される距離レンジに応じた照合手段に入力され、照合手段で入力画像の領域サイズ・解像度を変化させ、それぞれの距離レンジで必要十分な空間分解能で距離の照合を行う距離分布検知装置を開示する。すなわち、近距離のとき領域サイズを大とし解像度を小とし、遠距離のとき領域サイズを小とし解像度を大とする。
特開2000−283753号公報 特開2001−126065号公報
ステレオカメラによる視差算出において、距離分解能は距離の二乗に反比例して低下するため、遠距離ほど距離分解能が悪化する。通常、距離分解能を向上させるために、サブピクセルレベルで対応点探索を行う。このサブピクセルレベルの対応点探索は、単純な手法(SAD法の結果を使った直線近似)であると、距離分解能が高度化し難く、逆に高度な手法(POC法と非線形フィッティング)であると、処理速度が低下する(演算コストが増す)という問題があった。
特許文献1の装置においても距離が遠くなるほど距離分解能が悪化することは避けられない。また、特許文献2の装置ではピクセルレベルの精度にしか得られず、距離分解能が低い。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、ステレオカメラによる視差算出における処理速度と距離分解能という相反する精度の両立を実現可能な距離画像生成方法、距離画像生成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による距離画像生成方法は、ステレオ画像を取得して視差算出を行う距離画像生成方法であって、遠距離領域に対して距離分解能が高い第1演算処理法を用い、中距離領域に対して前記第1演算処理法よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い第2演算処理法を用い、近距離領域に対して前記第2演算処理法よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い第3演算処理法を用いることを特徴とする。
この距離画像生成方法によれば、遠距離領域に対して距離分解能が高く、中距離領域に対して遠距離領域の場合よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速く、近距離領域に対して中距離領域よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速いように処理内容を変えることで、遠距離領域では距離分解能を高くでき、近距離領域では高速処理でき、中距離領域ではそれらの中間の距離分解能及び処理速度で処理できる。距離分解能は距離の二乗に反比例して低下し、遠距離に対しては処理速度よりも距離分解能を重視することで距離精度の低下を抑えることができる一方、近距離、中距離に対しては距離分解能が遠距離の場合よりも低下しないため高速処理が可能となる。このように、距離に応じて演算処理の内容を変えることで、処理速度と距離分解能という相反する精度の両立を実現できる。
上記距離画像生成方法において前記第3演算処理法により得た視差に基づいて前記第1演算処理法、前記第2演算処理法または前記第3演算処理法を選択することが好ましい。第3演算処理法により概略的な視差(例えば、ピクセルレベル)を高速で得てから、各演算処理法を選択するので迅速な距離画像生成が可能になる。
また、前記第1及び第2演算処理法はサブピクセルレベルの処理を行い、前記第3演算処理法はピクセルレベルの処理を行うことが好ましい。第1及び第2演算処理法でサブピクセルレベルの処理を行うことで高距離精度を実現でき、また、第3演算処理法でピクセルレベルの処理を行うことで高速処理を実現できる。
また、前記第1演算処理法は、位相情報を用いる視差算出(例えばPOC法)と非線形フィッティングを使ったサブピクセルレベル処理を行うことができる。このような高度な手法を用いることで、距離分解能を高度化できない遠距離領域において、距離精度を高くできる。
また、前記第2演算処理法はブロックマッチングの相関法のサブピクセルレベル処理を行うことができる。例えば、SAD法の結果を使った直線近似のような比較的単純な手法を用いることができる。
また、前記第3演算処理法はピクセルレベルの相関法による視差算出を行うことができる。例えば、単純な手法でも距離分解能を高度化できる近距離領域では、SAD法のような単純な手法を用いることができ、サブピクセルレベルの結果は演算しない。
本発明による距離画像生成装置は、ステレオ画像を取得して視差算出を行う距離画像生成装置であって、距離分解能が高い前記視差算出のための第1演算処理手段と、前記第1演算処理手段よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い前記視差算出のための第2演算処理手段と、前記第2演算処理手段よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い前記視差算出のための第3演算処理手段と、を備え、遠距離領域に対して前記第1演算処理手段で処理し、中距離領域に対して前記第2演算処理手段で処理し、近距離領域に対して前記第3演算処理手段で処理するように制御することを特徴とする。
この距離画像生成装置によれば、遠距離領域に対して距離分解能が高く、中距離領域に対して遠距離領域の場合よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速く、近距離領域に対して中距離領域よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速いように処理内容を変えるように制御することで、遠距離領域では距離分解能を高くでき、近距離領域では高速処理でき、中距離領域ではそれらの中間の距離分解能及び処理速度で処理できる。距離分解能は距離の二乗に反比例して低下し、遠距離に対しては処理速度よりも距離分解能を重視することで距離精度の低下を抑えることができる一方、近距離、中距離に対しては距離分解能が遠距離の場合よりも低下しないため高速処理が可能となる。このように、距離に応じて演算処理の内容を変えることで、処理速度と距離分解能という相反する精度の両立を実現できる。
上記距離画像生成装置において、前記第3演算処理手段により得た視差に基づいて前記第1演算処理手段、前記第2演算処理手段または前記第3演算処理手段を選択するように制御することすることが好ましい。第3演算処理手段により概略的な視差(例えば、ピクセルレベル)を高速で得てから、各演算処理手段を選択するので迅速な距離画像生成が可能になる。
また、前記第1及び第2演算処理手段はサブピクセルレベルの処理を行い、前記第3演算処理手段はピクセルレベルの処理を行うことが好ましい。第1及び第2演算処理手段でサブピクセルレベルの処理を行うことで高距離精度を実現でき、また、第3演算処理手段でピクセルレベルの処理を行うことで高速処理を実現できる。
本発明によるプログラムは、上述の距離画像生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。これにより、上述の距離画像生成方法を行うことができ、距離に応じて演算処理の内容を変えることで、処理速度と距離分解能という相反する精度の両立を実現できる。
本発明の距離画像生成方法、距離画像生成装置及びプログラムによれば、ステレオカメラによる視差算出における処理速度と距離分解能という相反する精度の両立を実現することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による距離画像生成装置を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、車載用の距離画像生成装置10は、左カメラ11aと右カメラ11bとを備えステレオ画像を取得するステレオカメラ11と、カメラ11a,11bからのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部13a,13bと、距離画像を生成する画像処理部14と、画像処理部14で生成した距離画像データを出力する出力部20と、を備え、車に搭載される。
左カメラ11a及び右カメラ11bは、それぞれ、レンズ11c,11dの光学系と、CCDやCMOSイメージセンサなどの撮像素子12a,12bと、から構成される。
左カメラ11aで例えば基準画像を取得し、右カメラ11bで比較画像(参照画像)を取得し、左カメラ11a,右カメラ11bの撮像素子12a,12bから、それぞれ撮影した基準画像、比較画像の各画像データが出力し、A/D変換部13a,13bでデジタル信号に変換されてから画像処理部14に入力する。
画像処理部14は、カメラ11a,11bのレンズ11c,11dの周辺におけるひずみを補正するレンズひずみ補正部15と、カメラ11a,11bの取り付けによる位置ずれ等を補正する画像並行化処理部16と、視差画像生成のための探索領域(ウインドウ)を設定する探索領域設定部17と、視差画像生成のために対応点探索を行う対応点探索部18と、対応点探索の結果に基づいて距離画像を生成する距離画像生成部19と、各部15〜19の制御を行う制御部14aと、を備える。
対応点探索部18は、カメラ11a、11bで異なる視点から撮影した基準画像と比較画像との間で対応点を探索し、対応点のずれ(視差)を用いて三角測量の原理で3次元位置を演算し推定するが、かかる演算をSAD(Sum of Absolute Differences/差分絶対値和)法で行うSAD演算部18aと、POC(Phase Only Correlation/位相限定相関)法で行うPOC演算部18bと、サブピクセルレベルで処理するサブピクセル演算部18cと、を備える。
SAD演算部18a、POC演算部18b及びサブピクセル演算部18cは、SAD法やPOC法やサブピクセルレベル処理の各演算を集積素子等によりハード的に処理できるが、CPU(中央演算処理装置)によりソフト的に処理するようにしてもよい。この場合、CPUは所定のプログラムに従って所定の演算を実行する。
図1の距離画像生成装置10の画像処理部14では、制御部14aが近距離、中距離、遠距離の各距離に応じて演算処理を三段階に変えるように制御する。かかる制御について図2,図3を参照して説明する。
図2は、図1の距離画像生成装置10の画像処理部14で複数の方法で演算処理したときの距離値と距離分解能との関係を概略的に示すグラフである。図3は、図1の画像処理部14による制御を説明するために距離画像生成装置からの出力画面を模式的に示す図である。
図1の画像処理部14の対応点探索部18は、SAD演算部18aとPOC演算部18bとサブピクセル演算部18cとにより、次の3つの演算処理(1)〜(3)を行う。
(1)POC法と非線形フィッティングによるサブピクセル処理による演算処理で高度な手法であり、この場合の距離値と距離分解能の関係は図2のカーブaのようになる。
(2)SAD法の結果を使った直線近似によるサブピクセル処理による演算処理で比較的単純な手法であり、この場合の距離値と距離分解能の関係は図2のカーブbのようになる。
(3)SAD法によるピクセルレベル処理の演算処理でサブピクセルレベルの結果は演算せず、より単純な手法であり、この場合の距離値と距離分解能の関係は図2のカーブcのようになる。
距離分解能は、距離の二乗に反比例して低下し、図2から分かるように演算処理(1)→(2)→(3)の順に低いが、処理速度は逆に演算処理(1)→(2)→(3)の順に速くなる(演算コストが増す)。
図1の距離画像生成装置10では、制御部14aが演算処理(3)で高速に得たピクセルレベルの距離画像(距離値)により領域を遠距離、中距離、近距離に分割して判定し、遠距離領域に対しては上述の演算処理(1)を用い、中距離領域に対しては演算処理(2)を用い、近距離領域に対しては演算処理(3)を用いることで距離に応じて距離分解能・処理速度を変えるように制御する。すなわち、図2のように、遠距離ではカーブaの太線部分の範囲で演算処理(1)を行い、中距離ではカーブbの太線部分の範囲で演算処理(2)を行い、短距離ではカーブcの太線部分の範囲で演算処理(3)を行うようにする。
例えば、図3のような出力画面1において、近距離領域dの比較的近くの人間の画像は、演算処理(3)で処理し、距離分解能は低いが比較的高速で処理が可能である。中距離領域e,fのように中程の車や人間の画像は、演算処理(2)で処理し、距離分解能は近距離領域dよりも高いが処理速度は低下する。また、遠距離領域g1の比較的遠くの車の画像は、演算処理(1)で処理し、処理速度が中距離領域e,fの場合よりも低下するが、距離分解能は高く距離精度が高くなる。
図1の制御部14aは、CPU(中央演算処理装置)と、上述のような制御のためのプログラムが保存されたROM等の記憶媒体とを有し、記憶媒体から読み出されたプログラムに従ってCPUが後述の図4〜図7,図9のフローチャートのような各制御を実行する。
図1の距離画像生成装置10における視差算出の基本ステップS01〜S03について図4のフローチャート参照して説明する。
まず、図1のステレオカメラ11によりステレオ画像を取得し(S01)、そのステレオ画像を用いてSAD演算部18aにおいてSAD法でピクセルレベルの視差算出を行う(S02)。この視差算出はSAD法によるピクセルレベルでの演算処理(3)であるので、高速に視差算出を行うことができる。次に、サブピクセルレベルでの視差算出を行う(S03)。
次に、図5のサブピクセルレベルの視差算出(S03)のステップS11〜S17について図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、図1の探索領域設定部17で探索対象の測距点を設定し(S11)、その測距点が近距離でないとき(S12)、更に中距離であるか否かを判断し(S13)、中距離であれば、SAD法でサブピクセルレベルの視差算出(演算処理(2))を行い(S14)、中距離でなく遠距離であれば(S13)、POC法と非線形フィッテングを用いたサブピクセルレベルの視差算出(演算処置(1))を行う(S15)。
なお、ステップS14における視差算出ではSAD法の結果による直線近似を行い、ステップS15における視差算出ではSAD法によって得られた視差に基づいてPOC法のフーリエ変換のウィンドウ位置を設定する。この場合、SAD法によって概略の視差を求めているので、この視差値をPOC法のサブピクセルの視差算出において初期値として使用できる。
次に、全測距点について上記視差算出が終了していなければ(S16)、未処理の測距点に移動し(S17)、ステップS11に戻り、全測距点について中距離または遠距離の場合にサブピクセルレベルの視差算出を行う。
次に、図1の距離画像生成装置10において視差値に基づいて距離毎に視差算出(演算処理)の方法を変更するステップS21〜S24について図6のフローチャートを参照して説明すると、視差値が近距離、中距離、遠距離のいずれであるかを判断し(S21)、近距離であればSAD法による視差算出(S22)、中距離であれば図5のSAD法でサブピクセルレベルの視差算出(S23)、遠距離であれば図5のPOC法と非線形フィッテングを用いたサブピクセルレベルの視差算出(S24)を行う。
なお、SAD法により算出した視差値をステップS21の距離判断の基準値にできるが、この場合、ステップS21で近距離と判断されれば、ステップS22の視差算出は省略される。
次に、上述のSAD法による視差算出のステップS31〜S40について図7のフローチャート及び図8を参照して説明する。図8は図1の左カメラで得た基準画像(a)、右カメラで得た比較画像(b)、及び、視差とSAD法の相関値との概略的な関係、をそれぞれ示すグラフ(c)である。
図1のステレオカメラ11によりステレオ画像を取得する(S31)。例えば、図1の左カメラ11aで図8(a)のような基準画像Gaを取得し、右カメラ11bで図8(b)のような比較画像Gbを取得する。
次に、図8(a)のように基準画像Ga内に測距点Waoを設定し(S32)、測距点Waoを中心とした、所定サイズ例えば9×9のウインドウWaを設定する(S33)。また、図8(b)のように比較画像Gb内に同じサイズのウインドウWbを設定する(S34)
次に、ウインドウWa〜Wb間の相関度をSAD法で算出する(S35)。ここで、SAD法とはウインドウ内の各画素毎の「差の絶対値の和」である。例えば、ウインドウサイズが9×9の場合は81画素における「差の絶対値の和」となり、その値が小さいほど相関度が高い。相関値CORpは、差の絶対値の和SADpから図8の式(1)により算出する。
次に、上記SAD法による算出がすべての探索領域で終了していなければ(S36)、比較画像Gb内のウインドウを1画素ずらしてから(S37)、ステップS35に戻り、すべての探索領域で(図8(b)のQ0からQmaxまで)相関度をSAD法で算出する。なお、探索領域は、図1の探索領域設定部17で設定でき、例えば50cm〜3mなどの測距範囲により決まる。
なお、上述のステップS37のように、1画素ずらしであるので、ピクセルレベルの視差算出が可能である。
次に、上述の探索領域の中で最も相関度の高い画素から視差を算出する(S38)。例えば、図8(b)の矢印hの探索範囲に対応して図8(c)のように視差pが0〜pmaxの範囲で相関値が変化した場合、視差psで相関値が最も大きいので、視差psを視差値として得る。なお、最大の相関値は、例えば、閾値βを設定しておき、閾値βを超えた相関値の中から最も大きいピーク相関値を探すことで求めることができる。
次に、全測距点について上記視差算出が終了していなければ(S39)、基準画像Ga内の測距点を未測距点へ移動し(S40)、ステップS33に戻り、全測距点についてSAD法による視差算出を行う。
なお、ステップS40の測距点の移動に関し、通常、画面の左上から右下に向かって移動していく。また、全画面の測距を行う場合には、全画素が全測距点となる。
次に、上述のPOC法による視差算出のステップS41〜S48について図9のフローチャートを参照して説明する。
図1のステレオカメラ11によりステレオ画像を取得する(S41)。例えば、図1の左カメラ11aで基準画像を取得し、右カメラ11bで比較画像を取得する。次に、基準画像内に測距点を設定し(S42)、測距点を中心とした、所定サイズ例えば16×16のウインドウを設定する(S43)。また、比較画像内に同じサイズのウインドウを設定する(S44)。ここまでは、図7のステップS31〜S34と同様である。
次に、ウインドウ間の相関度をPOC法で算出し(S45)、POC値から視差を算出する(S46)。
次に、全測距点について上記視差算出が終了していなければ(S47)、基準画像内の測距点を未測距点へ移動し(S48)、ステップS43に戻り、全測距点についてPOC法による視差算出を行う。
なお、ステップS48の測距点の移動に関し、通常、画面の左上から右下に向かって移動していく。また、全画面の測距を行う場合には、全画素が全測距点となる。
次に、上述の図9のステップS45におけるPOC値の算出のステップS51〜S59について図10のフローチャートを参照して説明する。
基準画像上のウインドウ内の画像f(n1,n2)を得て(S51)、2次元フーリエ変換によりフーリエ画像F(k1,k2)を得る(S52)。そして、このフーリエ画像F(k1,k2)を規格化し、規格化フーリエ画像F’(k1,k2)を得る(S53)。
F’(k1,k2)は、次式から得られ、振幅成分を除去して位相成分のみにする。
F’(k1,k2)=F(k1,k2)/|F(k1,k2)|
また、比較画像上のウインドウ内の画像g(n1,n2)を得て(S54)、2次元フーリエ変換によりフーリエ画像G(k1,k2)を得る(S55)。そして、このフーリエ画像G(k1,k2)を規格化し、規格化フーリエ画像G’(k1,k2)を得る(S56)。
G’(k1,k2)は、次式から得られ、振幅成分を除去して位相成分のみにする。
G’(k1,k2)=G(k1,k2)/|G(k1,k2)|
次に、上記両規格化フーリエ画像を合成し、下記数1の式(2)のように合成画像R(k1,k2)を得る(S57)。
Figure 2008304202
次に、合成画像R(k1,k2)について2次元逆フーリエ変換を行う(S58)。これにより、位相限定相関(POC)値を得る(S59)。
図11は図10で得たPOC値の分布を3次元的に示す概略図である。ウインドウ内で相関の高い箇所のPOC値は高くなる。POC法によれば、図11のピーク値Jcのようにシャープな相関値が得られ、ピーク位置をより正確に求めることができる。
図11のPOCのピーク値Jcに対応する比較画像上のウインドウ内の位置が、基準画像上のウインドウの中央点(指定点)に対応した比較画像上の対応点に相当する。
次に、上述の非線形フィッティングによるサブピクセル処理について図12を参照して説明する。図12は、図10で得たPOC値の分布を表した図(a)及び非線形フィッティングに用いるピークモデルの例を示す図(b)である。
本実施の形態では、例えば図12(a)のようなPOC値の分布において、最大強度点ppを中心として5×5の値を使って非線形のピークモデルによりフィッテングさせる。すなわち、例えば、図12(b)のようなピークモデルを当てはめ、Levenberg-Merquardt法によりずれ量を近似計算し、サブピクセル値を得る。
以上のように、本実施の形態によれば、SADによる相関法で得られたピクセルレベルの距離データのうち、遠距離の画素のみ位相情報を用いた視差算出方法(POC法)と非線形フィッティングを用いたサブピクセルレベル処理を行い、近距離の画素にはピクセルレベルの相関法(SAD法)による視差算出を行い、中距離の画素にはブロックマッチングの相関法(SAD法)のサブピクセルレベル処理を行うように距離に応じて各演算処理を三段階に変える。
すなわち、単純な手法でも距離分解能を高度化できる中距離領域については単純な手法(SAD法の結果を使った直線近似によるサブピクセル処理)を用い、高度な手法(POC法と非線形フィッティングによるサブピクセル処理)を用いなければ距離分解能を高度化できない遠距離領域については高度な手法を用いる。このように、遠距離については高度な手法(POC法と非線形フィッティングによるサブピクセル処理)を用い、中距離については単純な手法(SAD法の結果を使った直線近似)を用い、近距離においてはサブピクセルレベルの結果を演算しない。このように距離に応じて演算処理の内容を変えることで、距離分解能と処理速度という精度の両立を実現できる。
距離分解能は距離の二乗に反比例して低下するが、上述のように、遠距離に対しては処理速度よりも距離分解能を重視することで距離精度の低下を抑えることができ、また、近距離、中距離に対しては距離分解能がさほど低下しないため高速処理が可能となる。
また、遠距離領域に対して用いられるPOC法は位相成分のみを使用するため、精度の高いマッチングが可能であり、サブピクセルレベルのマッチングにおいても高い精度が可能であり、高距離精度を得ることができる。また、SAD法のピクセルレベルのマッチングを用いることで、高速な概略視差を得ることができ、高速な処理が可能である。また、車載用のステレオカメラなどのように遠距離の距離精度が重要視される用途に特に適する。
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、SAD法の代わりに、SSD(Sum of Squared Difference)法やNCC(Normalized Cross Correlation)法を用いてもよく、また、POC法の代わりに、フーリエ変換や離散コサイン変換(DCT:Discrete cosine Transform)やウェーブレット変換を用いてもよい。
また、本実施の形態では、近距離、中距離、遠距離の範囲を設定することができ、例えば、中距離を25〜50mの範囲と設定し、25m以下を近距離と設定し、50m以上を遠距離に設定できるが、適宜変更が可能である。
本実施の形態による距離画像生成装置を概略的に示すブロック図である。 図1の距離画像生成装置10の画像処理部14で複数の方法で演算処理したときの距離値と距離分解能との関係を概略的に示すグラフである。 図1の画像処理部14による制御を説明するために距離画像生成装置からの出力画面を模式的に示す図である。 図1の距離画像生成装置10における視差算出の基本ステップS01〜S03を説明するためのフローチャートである。 図5のサブピクセルレベルの視差算出のステップS11〜S17を説明するためのフローチャートである。 図1の距離画像生成装置10において視差値に基づいて距離毎に視差算出(演算処理)の方法を変更するステップS21〜S24を説明するためのフローチャートである。 図4,図6のSAD法による視差算出のステップS31〜S40を説明するためのフローチャートである。 図1の左カメラで得た基準画像(a)、右カメラで得た比較画像(b)、及び、視差とSAD法の相関値との概略的な関係、をそれぞれ示すグラフ(c)である。 図5,図6のPOC法による視差算出のステップS41〜S48を説明するためのフローチャートである。 図9のステップS45におけるPOC値の算出のステップS51〜S59を説明するためのフローチャートである。 図10で得たPOC値の分布を3次元的に示す概略図である。 図10で得たPOC値の分布を表した図(a)及び非線形フィッティングに用いるピークモデルの例を示す図(b)である。
符号の説明
10 距離画像生成装置
11 ステレオカメラ
11a 左カメラ
11b 右カメラ
11c,11d レンズ
12a,12b 撮像素子
14 画像処理部
14a 制御部
17 探索領域設定部
18 対応点探索部
18a SAD演算部
18b POC演算部
18c サブピクセル演算部
19 距離画像生成部
d 近距離領域
e,f 中距離領域
g1 遠距離領域

Claims (10)

  1. ステレオ画像を取得して視差算出を行う距離画像生成方法であって、
    遠距離領域に対して距離分解能が高い第1演算処理法を用い、
    中距離領域に対して前記第1演算処理法よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い第2演算処理法を用い、
    近距離領域に対して前記第2演算処理法よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い第3演算処理法を用いることを特徴とする距離画像生成方法。
  2. 前記第3演算処理法により得た視差に基づいて前記第1演算処理法、前記第2演算処理法または前記第3演算処理法を選択する請求項1項に記載の距離画像生成方法。
  3. 前記第1及び第2演算処理法はサブピクセルレベルの処理を行い、前記第3演算処理法はピクセルレベルの処理を行う請求項1または2に記載の距離画像生成方法。
  4. 前記第1演算処理法は位相情報を用いる視差算出と非線形フィッティングを使ったサブピクセルレベル処理を行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の距離画像生成方法。
  5. 前記第2演算処理法はブロックマッチングの相関法のサブピクセルレベル処理を行う請求項1乃至4のいずれか1項に記載の距離画像生成方法。
  6. 前記第3演算処理法はピクセルレベルの相関法による視差算出を行う請求項1乃至5のいずれか1項に記載の距離画像生成方法。
  7. ステレオ画像を取得して視差算出を行う距離画像生成装置であって、
    距離分解能が高い前記視差算出のための第1演算処理手段と、
    前記第1演算処理手段よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い前記視差算出のための第2演算処理手段と、
    前記第2演算処理手段よりも距離分解能が低くかつ処理速度が速い前記視差算出のための第3演算処理手段と、を備え、
    遠距離領域に対して前記第1演算処理手段で処理し、中距離領域に対して前記第2演算処理手段で処理し、近距離領域に対して前記第3演算処理手段で処理するように制御することを特徴とする距離画像生成装置。
  8. 前記第3演算処理手段により得た視差に基づいて前記第1演算処理手段、前記第2演算処理手段または前記第3演算処理手段を選択するように制御する請求項7に記載の距離画像生成装置。
  9. 前記第1及び第2演算処理手段はサブピクセルレベルの処理を行い、前記第3演算処理手段はピクセルレベルの処理を行う請求項7または8に記載の距離画像生成装置。
  10. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の距離画像生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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