JP2008289646A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
画像の各領域に対応して不必要な輝度強調を低減された輝度が均一な画像を取得することを目的とする。
【解決手段】
1RF受信コイルを有してなる受信部と、所定の撮像シーケンスに基づいて前記RF受信コイル用いて被検体から取得された受信信号から該被検体の画像を取得する信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、RF受信コイルの感度分布データを用いて、前記画像の輝度不均一を補正するための補正係数データを求め、該補正係数データを用いて前記画像の輝度不均一を補正する磁気共鳴イメージング装置において、前記信号処理部は、前記画像のデータと、前記補正係数データと、を参照して該補正係数データを修正し、該修正された補正係数データを用いて前記画像の輝度不均一補正を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を画像化する磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置に関し、特に受信に使用するRF受信コイルの感度分布データの不均一に起因する画像の輝度不均一を補正する技術に関する。
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を二次元的に或いは三次元的に画像化する装置である。撮像においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、二次元又は三次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
近年では複数のRF受信コイルを有してなるマルチプルコイルを用いて、RF受信コイル毎に得られた複数の画像を合成して合成画像を取得することにより、所望の画像を得ることが行われている。この手法は、高いS/N比を有する合成画像を取得できる利点があるものの、各RF受信コイルの感度分布データの不均一性が合成画像に反映されてしまい、輝度の不均一な合成画像が取得されてしまうことがある。
RF受信コイル毎の画像又はその合成画像における輝度不均一を補正する技術として、RF受信コイルの感度分布データを算出し、その感度分布データを用いて補正係数データを算出し、この補正係数データを用いて画像の輝度不均一を補正する技術がある。
RF受信コイルの感度分布データを算出する方法の一例としては、RF受信コイルで取得したk空間データの低周波成分を近似的にRF受信コイルの感度分布データとみなして求めた感度分布データを所定の関数に代入し、感度分布データを補正するための補正係数データを作成する手法(特許文献1)などがある。
特開平7-31606号公報
しかし、(特許文献1)に記載の感度分布データを補正するための補正係数データを作成する手法によれば、感度の低い背景領域の過度の補正によるノイズ強調は抑制されるものの、依然として感度の低い背景領域の感度も補正されて強調されるので、画像の見え方として不自然さが残る可能性が未解決のまま残されている。また、画像の被検体領域での感度分布データの不均一に基づく画像輝度の不均一を過度に補正することへの対策については、開示も考慮もされていない。
そこで、本発明は、画像の各領域に対応して、不必要な輝度強調が低減された輝度が均一な画像を取得することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のように構成される。即ち、RF受信コイルを有してなる受信部と、所定の撮影シーケンスに基づいて前記RF受信コイル用いて被検体から取得された受信信号から該被検体の画像を取得する信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、RF受信コイルの感度分布データを用いて、前記画像の輝度不均一を補正するための補正係数データを求め、該補正係数データを用いて前記画像の輝度不均一を補正するMRI装置において、前記信号処理部は、前記画像のデータと、前記補正係数データと、に対応して該補正係数データを修正し、該修正された補正係数データを用いて前記画像の輝度不均一補正を行うことを特徴とする。
好ましくは、前記信号処理手段は、前記画像の被検体領域に対応する補正係数データのみを修正することを特徴とする。
また、好ましくは、前記信号処理手段は、前記画像の背景領域に対応する補正係数データを所定の一定値とすることを特徴とする。
本発明のMRI装置によれば、画像データを参照して、該画像の輝度不均一を補正するための補正係数データを修正するので、画像の各領域に対応して、不必要な輝度強調が低減された輝度が均一な画像を取得することができる。特に、画像の被検体領域と背景領域とに対応して、領域毎に適切な輝度不均一補正を行うことが可能になる。
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、図1に示すように、MRI装置は静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、送信系5と、受信系6と、信号処理系7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成される。
静磁場発生系2は、垂直磁場方式であれば、被検体1の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
傾斜磁場発生系3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイル9を駆動する傾斜磁場電源10とから成り、後述のシ−ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
シーケンサ4は、高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)と傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンにNMR現象を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとから成る。高周波発振器11から出力された高周波パルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンのNMR現象により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(RFコイル) 14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とから成る。送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のNMR信号が被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でデジタルデータに変換されて、信号処理系7に送られる。
信号処理系7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、各種演算を行うCPU8と、ROM21やRAM22のメモリーと, 光ディスク19や磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20と、を有し、受信系6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理系7で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス23、及び、キーボード24から成る。この操作部25はディスプレイ20に近接して配置され、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
なお、図1において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を二次元もしくは三次元的に撮像する。
(第1の実施形態)
次に、本発明のMRI装置の第1の実施形態について説明する。本実施形態は、RF受信コイル毎の感度の輝度不均一を補正するための補正係数データを、画像の被検体領域と背景領域とに対応して修正することにより、RF受信コイル毎の画像データの過度の輝度不均一補正を抑制する形態である。以下、本実施形態を詳細に説明する。
最初に、第1の実施形態のMRI装置における、画像の輝度不均一補正と、輝度不均一補正された各画像の画像合成を行う処理に関連する信号処理系7内の各ブロックの詳細を図2に示す。
受信系6にて、RF受信コイル毎に受信されたNMR信号がそれぞれA/D変換器17でデジタルデータに変換され、信号処理系7のCPU8に入力される。CPU8は、入力されたデジタルデータを用いてRF受信コイル毎の画像を再構成し、RF受信コイル毎の感度分布データに基づいて各画像の輝度不均一補正を行い、輝度不均一補正された受信RFコイル毎の画像を合成して合成画像を作成し、この合成画像を例えばディスプレイ20に出力する。
画像再構成処理においては、最初に、画像再構成処理部8-1が入力されたデジタルデータを用いてRF受信コイル毎の画像再構成を行う。次に、感度分布データ作成部8-2がRF受信コイル毎の画像を用いてRF受信コイル毎の感度分布データを作成する。作成されたRF受信コイル毎の感度分布データはRAM22に一時記憶される。次に、補正係数処理部8-3が、画像の輝度不均一を補正するための補正係数データを、該感度分布データを用いて作成するとともに、必要に応じて作成された補正係数データを更に修正する。次に、画像再構成処理部8-1で再構成された各画像と係数補正処理部8-3で作成された補正係数データとを用いて、画像補正処理部8-4が各画像の輝度不均一補正を行う。最後に画像合成部8-5が輝度不均一補正された各画像を用いて合成画像を作成し、ディスプレイ20に合成画像を出力する。
次に、上記信号処理系7における処理フローについて図3を用いて説明する。図3(a)に処理フローの全体概要を、図3(b)には、図3(a)の示す処理ステップの内で更に詳細な説明が必要な処理ステップの詳細フローを示す。この処理フローは、プログラムとして予め磁気ディスク18に記憶されており、RAM22に読み出されて、CPU8にて実行されることにより実施されるものである。以下、各処理ステップの詳細を説明する。
ステップS301で、主にシーケンサ4の制御にて、RF受信コイル毎の感度分布データを算出するために、RF受信コイル毎の画像データが計測される。RF受信コイル毎の感度分布データを算出するために、例えば、(特許文献3)に記載の手法を用いることができる。
つまり、比較的均一な感度分布を有する全身コイルを用いて取得された画像データに対するRF受信コイル毎の画像データの比から、各RF受信コイルの感度分布データが作成される。
そのために、全身コイルとRF受信コイル毎のNMR信号が計測され、計測されたコイル毎のNMR信号から画像再構成処理部8-1で各コイルの画像データが取得される。一例として、全身コイルの画像を図4に、一つのRF受信コイルの画像を図5に示す。これらは、円柱状ファントムのAxial断面を撮像して取得された画像である。なお、RF受信コイルの感度分布データ算出については、(特許文献3)に記載の方法に限らず、均一なファントムをあらかじめ撮像し、その断層画像データを感度分布データとみなす手法(特許文献4)を用いても良いし、(非特許文献1)に記載の磁場解析手法により数値演算にてRF受信コイルの感度分布データを算出する手法を用いても良いし、(特許文献5)に記載のRF受信コイルで取得したk空間データの低周波成分から再構成される画像データを近似的にRF受信コイルの感度分布データとみなす手法を用いても良い。
特開昭63-132645号公報 特開平7-59750号公報 ISMRM 1405, 1999 DF Kacher, et al. 特開2002-272705号公報
ステップS302で、感度分布データ作成部8-2にて、RF受信コイル毎の感度分布データが作成される。ここでは、一例として、(特許文献3)に記載の方法を用いる。
つまり、全身コイルを用いて取得された画像データに対するRF受信コイルを用いて取得された画像データの比から、そのRF受信コイルの感度分布データが作成される。このRF受信コイルの画像データの取得と感度分布データの作成が、RF受信コイル毎に繰り返されて、全てのRF受信コイルの感度分布データが作成される。作成された感度分布データの一例を図6に示す。輝度の低い箇所が感度の低い箇所であり、輝度の高い箇所が感度の高い箇所である。
感度分布データの作成においては、その感度分布データが所定の範囲(例えば0〜1の範囲)となるように規格化される。具体的には、画像輝度補正の対象となるRF受信コイルの画像データの最大値を示す位置が、感度分布データ上における同位置において基準値(ここでは1)となるように感度分布データが規格化される。
また、画像の背景部位など被検体領域以外の領域に対してはマスク処理が行われ、そのマスクされた領域に基準値(ここでは1)が代入される。これにより、感度の低い背景領域の感度分布データの補正が行われなくなるのでノイズ強調が抑制されると共に、被検体領域に対する感度分布データに関しては何の影響もなく補正が行われることになる。最終的に作成された感度分布データの一例を図7に示す。輝度と感度の関係は図6と同じである。
ステップS303で、補正係数処理部8-3にて、ステップS302で作成されたRF受信コイル毎の感度分布データを用いて、感度分布データを補正するための補正係数データが作成される。ここでは、感度分布データの逆数が補正係数データの基礎データとされる。即ち、感度分布データをα(x,y,z)、補正係数データをC(x,y,z)とすると、

C(x, y, z) = 1/α(x, y, z) (1)

とする。図8に作成された補正係数データの基礎データの一例を示す。感度の低い箇所の補正係数データが大きくなり、感度の高い箇所の補正係数データが小さくなっている。
ステップS304で、主にシーケンサ4の制御にて、本計測が行われ、RF受信コイル毎に画像データが計測される。撮像シーケンスはいずれのものを用いてもよい。また、計測されたRF受信コイル毎のNMR信号から画像再構成処理部8-1によりRF受信コイル毎の画像データが再構成される。
ステップS305で、位置合わせ処理部8-4にて、本計測画像データと補正係数データの位置合わせ処理が行われる。例えば、本計測画像データのDICOM位置情報を用いて、補正係数データに対し公知のアフィン変換処理が適用されて、本計測画像データと補正係数データの位置合わせが行われる。
ステップS306で、補正係数処理部8-3にて、補正係数データの修正が行われる。その詳細な処理フローを図3(b)に示す。修正前後の補正係数データをそれぞれ、C(x,y,z)及びC'(x,y,z)とすると、以下に示す式を用いて補正係数データの修正が行われる。ただし、f(C)は、補正係数データの変換関数である。この変換関数fは、修正前の補正係数データC(x,y,z)の変化をなだらかにして値の落差を縮小させる関数である。変換関数の詳細は後述する。

C'(x, y, z) = f( C(x, y, z) ) (2)
ステップS307で、画像補正処理部8-5にて、ステップS306で修正された補正係数データを用いて、RF受信コイル毎の画像の輝度不均一補正が行われる。以下に示す式を用いて画像輝度の不均一補正を行う。

F(x, y, z) : 本計測画像データ
F'(x, y, z) : 補正画像データ
F'(x, y, z) = F(x, y, z) × C'(x, y, z) (3)

補正前後の画像を図12に示す。これらは、図4に示す画像データのA-A'線に沿ったプロファイルを示すものである。補正後の画像データは、補正前の画像データと比較して輝度分布が均一になっていると共に、輝度の過度の補正による不必要な輝度増強や減弱が、背景領域と被検体領域のいずれにも無いことが理解される。これにより、補正前の補正係数データC(x, y, z)を用いて画像データを輝度補正する場合と比較して、画像データの過度の輝度補正(増強又は減弱)を抑制できるので、結果として得られる画像の輝度分布は均一となる。
ステップS308で、輝度補正された各RF受信コイルの画像を合成して合成画像を作成する。例えば、各画像の絶対値を、単純加算して合成画像を取得することができる。
ステップS309で、最後に合成画像がディスプレイ20に表示される。
以上の各処理ステップが、RF受信コイル毎の画像データに対して輝度不均一を補正した後に、合成画像を取得する処理フローの概要である。なお、上記処理フローは、複数のRF受信コイルを有するマルチプルコイルの場合を説明したが、一つのRF受信コイルに対しても、同様に輝度不均一補正を行うことができる。
次に、前述のステップS306における補正係数データの修正処理の詳細を図3(b)を用いて説明する。
ステップS306-1で、本計測画像データと補正係数データのそれぞれについて、被検体領域上における最大値及び最小値が抽出されて、その比率が算出される。図9に本計測画像データを、図10に補正係数データを示す。これらは、それぞれ図4に示す画像データのA-A'線、及び、図8に示す補正係数データのB-B'線におけるプロファイルである。
ステップS306-2で、補正係数データ修正用の変換関数の重み係数を算出して変換関数を作成する。この重み係数及び変換関数を以下の様に定める。
A1:本計測データより算出した比率 (最大値/最小値)
A2:補正係数データより算出した比率 (最大値/最小値)
重み係数:B = A1 × A2 (正の実数)
変換関数:f(C) ≡ B × ( C − 1 ) + 1 (4)
重み係数Bは、1より小さい正の実数となるので、結果として、変換関数は修正前の補正係数データC(x,y,z)の変化をなだらかにして値の落差を縮小させることができる。ここで、変換関数における(C-1)の1の意味は、前述のステップS302で説明したように、背景領域の感度分布データに代入された基準値(ここでは1)を、補正係数データCから引くことによって、重み係数が被検領域の補正係数データのみに作用するようにするものである。最後の定数項(+1)は、 差し引いた基準値(ここでは1)を基に戻すことを意味している。このような変換関数により、実質的に被検体領域の補正係数データのみが変換されることになる。
ステップS306-3で、ステップS306-2で算出された重み係数を用いて、補正係数データの修正処理が行われる。上記の変換関数を用いて、以下のように補正係数データの修正が行われる。

C(x, y, z) :補正係数データ(修正前)
C'(x, y, z) :補正係数データ(修正後)
C'(x, y, z) = f( C(x, y, z) ) (5)

本変換関数による補正係数データの修正処理の一例を図11に示す。修正後の補正係数データC'(x,y,z)は、修正前の補正係数データC(x,y,z)と比較して、その変化がなだらかになり、かつ、値の落差が縮小していることが理解される。
以上迄がステップS306における補正係数データの修正処理の詳細である。
以上説明したように本実施形態によれば、マスクを用いて、画像の背景領域のようなノイズ領域に対しては、感度分布データから求まる補正係数データの修正を行わないようにすることにより、画像におけるノイズ強調を抑制できる。また、画像の被検体領域に対しては、感度分布データから求まる補正係数データの大きな変化が抑制されるので、画像データの過度の輝度不均一補正が抑えられるようになる。その結果、画像の各領域に対応して、輝度が均一なRF受信コイル毎の画像又はそれらの合成画像を取得することができるようになる。
(第2の実施形態)
次に、本発明のMRI装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、撮像部位や撮像シークエンス等の撮像条件毎に、補正係数データを修正するための重み係数を事前に求めておき、画像の輝度不均一補正処理時に用いる形態である。第1の実施形態と異なる点は、撮像部位や撮像シークエンス等毎の重み係数保持機能である。以下、主に第1の実施形態と異なる点のみ説明し、共通する部分の説明は省略する。
最初に、第2の実施形態のMRI装置における、画像の輝度不均一補正と、輝度不均一補正された各画像の画像合成を行う処理に関連する信号処理系7内の各ブロックの詳細を図13に示す。図2に示す第1の実施形態と異なる点は、磁気ディスク18に重み係数データを保持するブロックである。
撮像部位や撮像シークエンス毎に、補正係数データを修正するための重み係数を、事前に実験で求めて磁気ディスク18に保持しておく。そして、RF受信コイル毎の画像の輝度不均一補正処理時に、必要に応じて、その画像データが取得された撮像部位や撮像シークエンスに対応する重み係数を選択して磁気ディスクより読み出して用いる。
次に、第2の実施形態の処理フローについて図14を用いて説明する。第1の実施形態と異なる点は、ステップS306における補正係数データの修正処理の詳細であり、特に重み係数の実験的取得ステップS311の追加である。以下、ステップS306の詳細フローの説明を中心に、第1の実施形態の動作と異なる箇所のみ詳細に説明し、共通する部分の説明は省略する。
ステップS311で、事前に実験により、補正係数データの変換関数の重み係数が撮像部位や撮像シークエンス等の撮像条件毎に取得されて、例えば磁気ディスク18等に記憶される。例えば、ファントムやボランティアを被検体として、撮像部位や撮像シークエンス等を変えて、前述の第1の実施形態を実施することにより、撮像条件毎の重み係数が取得されて、これらの重み係数が撮像条件と対応付けられて磁気ディスク18等に記憶される。
ステップS312で、予め実験的に取得されて記憶された重み係数の内から、撮像部位や撮像シークエンス等の撮像条件に対応する重み係数が選択されて読み出される。この読み出された重み係数が、以降の関数作成処理ステップS306-2で変換関数の作成に使用され、修正処理ステップS306-3で補正係数データの変換が行われる。
以上迄が、本実施形態の特徴的処理ステップであり、他は前述の第1の実施形態と同様である。
以上説明したように本実施形態によれば、撮像部位や撮像シークエンス等の撮像条件毎に対応する補正係数データを修正するための重み係数が事前に取得されるので、撮像条件毎に対応して最適な重み係数を選択することができる。その結果、撮像条件毎によらずに、輝度が均一な画像又は合成画像を取得することができる。また、重み係数が事前に取得されるので、重み係数を演算するための演算量を低減できるので、輝度不均一補正の処理時間を短縮することができる。

(第3の実施形態)
次に、本発明のMRI装置の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、補正係数データの変換関数を一般化して、感度分布データ及び本計測画像データの形状に柔軟に対応して、画像の輝度不均一をより適切に補正できるようにするものである。前述の第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点は、補正係数データを変換する変換関数である。以下、主に第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点のみ説明し、共通する部分の説明は省略する。
最初に、第3の実施形態にける補正係数データの変換関数として、以下の関数式を定義する。
変換関数:f(C) ≡ B × ( C − a )n + a (6)
n : 0〜1の実数
a : 定数

ここで、乗数nは、本変換関数が奇関数となるように設定される。また、aは定数であり、C(x,y,z)における最大値と最小値の中間値となるように設定される。なお、重み計数Bは、前述の第1の実施形態と同様である。
この変換関数は、第1の実施形態の変換関数を一般化したものであり、感度分布データ及び本計測画像データの形状に柔軟に対応して、nとaを設定することにより、画像の輝度不均一をより適切に補正できるようになる。
具体的には、aを基準値として補正係数データが変換される。即ち、補正係数データの値とaとの差が小さい場合は、その補正係数データの値とaとの差の圧縮率が小さくされる。他方、補正係数データの値とaとの差が大きい場合は、その補正係数データの値とaとの差の圧縮率が大きくされる。
このように補正係数データが変換されるためには、nとaの値は次に様に設定される。nの値の設定については、補正係数データの値の変化が小さい、つまり、最大値と最小値の落差が小さい場合には、nは0〜1の間の実数の内で大きい値に設定される。例えば、1/2,3/4が好適である。一方、補正係数データの値の変化が大きい、つまり、最大値と最小値の落差が大きい場合には、nは0〜1の間の実数の内で小さい値に設定される。例えば、1/3,1/4が好適である。
次に、aの値の設定については、C(x,y,z)における最大値と最小値の中間値であれば良く、例えば、例えば、C(x,y,z)における最大値(Cmax)と最小値(Cmin)の中間値となる定数として a=(Cmax + Cmin ) / 2とすることができる。或いは、被検体領域に対する補正係数データの平均値でも良い。
上記本実施形態の変換関数は、図15に示すように、補正係数データの変化の落差(A4)が本計測データの変化の落差(A3)に比べて大きい場合に、好適である。
第3の実施形態のMRI装置における、画像の輝度不均一補正と、輝度不均一補正された各画像の画像合成を行う処理に関連する信号処理系7内の各ブロックは、前述の第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
次に、第3の実施形態の処理フローについて説明する。この処理フローは、前述の第1の実施形態の処理フローを表す図3と同一であるが、ステップS306-2の具体的処理内容が異なる。具体的には以下の通り。
ステップS306-2で、上記nとaを設定して上記変換関数(6)が作成される。図16に本変換関数による補正係数データの修正処理を示す。補正係数C(x, y, z)の修正前後で、修正後の補正係数C'(x, y, z)の変化がなだらかになっていることが理解される。これにより、補正係数データの変化が大きい場合でも、画像の過度の輝度不均一補正が抑制される。
以上説明したように本実施形態によれば、感度分布データ及び本計測画像データの形状に対応して補正係数データの変化が圧縮されるように修正されるので、過度の画像の輝度不均一補正が抑制される。その結果、画像データの輝度均一度を向上させることができる。特に、本実施形態は、補正係数データの変化の落差(A4)が本計測データの変化の落差(A3)に比べて大きい場合に好適である。
以上迄が、本発明のMRI装置における画像の輝度不均一補正に関する各実施形態の説明である。しかし、本発明のMRI装置は、上記実施形態の説明で開示された内容にとどまらず、本発明の趣旨を踏まえた上で他の形態を取り得る。
例えば、補正係数データの変換関数として、(4)式及びその一般化である(6)式を説明したが、変換関数はこれらの関数形に限定されるものではない。補正係数の値に関する多項式の関数形であって、各項の重み係数を感度分布データや本計測データ等に基づいて決定しても良い。
本発明に係るMRI装置の一実施例における全体基本構成の斜視図。 画像輝度補正を行う部位の構成を示すブロック図 画像輝度補正の流れを示すフローチャート図 全身コイル画像データ例。中心の円は被検体領域、周りは画像背景領域 RF受信コイル画像データ例。中心の円は被検体領域、周りは画像背景領域 感度分布データ画像例。中心は被検体領域、周りは画像背景領域 感度分布データ画像例。中心は被検体領域、周りは1を代入した画像背景領域 補正係数データ画像例。図8の逆数データ。 本計測画像データプロファイル例 補正係数データプロファイル例 補正係数データ修正処理における演算過程 補正前画像および補正後画像 画像輝度補正を行う部位の構成を示すブロック図 補正係数データ処理の流れを示すフローチャート図 本計測画像データプロファイル例および補正係数データプロファイル例 補正係数データ修正処理における演算過程
符号の説明
1 被検体、2 静磁場発生系、3 傾斜磁場発生系、4 シーケンサ、5 送信系、6 受信系、7 信号処理系、8 中央処理装置(CPU)、9 傾斜磁場コイル、10 傾斜磁場電源、11 高周波発信器、12 変調器、13 高周波増幅器、14a 高周波コイル(送信コイル)、14b 高周波コイル(RF受信コイル)、15 信号増幅器、16 直交位相検波器、17 A/D変換器、18 磁気ディスク、19 光ディスク、20 ディスプレイ、21 ROM、22 RAM、23 トラックボール又はマウス、24 キーボード、51 ガントリ、52 テーブル、53 筐体、54 処理装置

Claims (6)

  1. RF受信コイルを有してなる受信部と、所定の撮像シーケンスに基づいて前記RF受信コイル用いて被検体から取得された受信信号から該被検体の画像を取得する信号処理部と、を備え、
    前記信号処理部は、RF受信コイルの感度分布データを用いて、前記画像の輝度不均一を補正するための補正係数データを求め、該補正係数データを用いて前記画像の輝度不均一を補正する磁気共鳴イメージング装置において、
    前記信号処理部は、前記画像のデータと、前記補正係数データと、を参照して該補正係数データを修正し、該修正された補正係数データを用いて前記画像の輝度不均一補正を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    事前に取得された撮像条件毎の補正係数データを記憶しておく記憶部を備え、
    前記信号処理部は、前記記憶部から撮像条件に対応する補正係数データを読み出して 前記画像の輝度不均一補正を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項1又は2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記信号処理手段は、前記補正係数データの変化がなだらかとなるように修正することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記信号処理手段は、前記画像の被検体領域に対応する補正係数データのみを修正することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記信号処理手段は、前記画像の背景領域に対応する補正係数データを所定の一定値とすることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記受信部は、複数のRF受信コイルからなるマルチプルコイルを有して成り、
    前記信号処理部は、前記RF受信コイル毎の画像に対して前記輝度不均一補正を行い、該輝度不均一補正された画像の各々を合成して合成画像を取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010264047A (ja) * 2009-05-14 2010-11-25 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴イメージング装置
JP2016013484A (ja) * 2010-08-06 2016-01-28 株式会社東芝 磁気共鳴イメージングシステム

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