JP2008281684A - 星空の表示方法ならびに該表示方法を用いたプラネタリウム装置および星空の表示装置 - Google Patents

星空の表示方法ならびに該表示方法を用いたプラネタリウム装置および星空の表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】観測地を設定するだけで、自動的にその土地の光害の程度を算出し、それに応じた星空の見え方をリアルに再現することができる星空の表示方法および該表示方法を用いたプラネタリウム装置を提供する。
【解決手段】任意の土地の位置情報が指定されると、複数の土地の人工照明による明るさを示す明度データで形成される明度マップから任意の土地対応の座標から明度が読み出される。これを観測地の夜空の明度にするか、または、読み出した明度を用いて補間演算を行って観測地における夜空の明度を算出する。この夜空の明度に対応する星の数および個々の星の明るさに制御して星空に再生したり、または背景となる空の明るさを夜空の明度に対応する明るさにして星空を表示する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、天体画像をシミュレーションする星空の表示方法ならびにこの星空の表示方法を用いた、プラネタリウム装置および星空の表示装置に関する。
夜空に輝く星空を人工的に忠実に再現することは、天体や星座の学習や鑑賞のために有用である。たとえばパソコン画面上で、実際の夜空での星の見え方を再現して表示できる天文シミュレーションソフトウエアは数多く市販されている。また、プラネタリウムでは、ドームスクリーンに星空をあたかも本物の夜空のように再現する。これらはいずれも、任意の日時と土地における星空の見え方を正確に表示する機能を有する。
近年では、精密加工により実際の恒星の配置を模して制作された恒星原板の像を拡大投影する光学式プラネタリウム装置に加え、コンピュータによって生成した星空の映像を液晶やDLPプロジェクターを使ってドームスクリーンに投影するディジタルプラネタリウムも開発されている。こうした天文シミュレーションソフトウエアやプラネタリウムでは、いつでも街明かりの影響を受けない山間部の状態で見えるような満天の星空を容易に再現することができるが、実際に星空を観察するときは、特に市街地などでは、街明かりの影響を受けて、暗い星は見えづらく、見える星も山間部などで見られるよりも少なくなってしまう。特に大都市では、見える星の数は肉眼で数えられるほどでしかない。こうした星の観察に対して街明かりが及ぼす影響は光害と呼ばれる。
天文シミュレーションソフトウエアやプラネタリウムでは、時にはこうした市街地の星空の見え方を再現することが求められる場合もある。それは、これらを使って星空を学習する際に、市街地に在住するユーザーや観客にとっては、これらプラネタリウムや天文シミュレーションソフトウエアが再現する理想的な星空と、実際の夜空で見上げる星空の差異が大きく、必ずしも学習用として最適とは言えないからである。すなわち、市街地に住む観客にとっては、街明かりの影響も含めた状態で星空を再現して説明したほうが、実際の星空を観察する際の参考になりえる。また、街明かりの影響により星が見えづらくなっていることを説明した上で、街明かりの影響を無くした星空を再現すれば、街明かりによる影響によって星が見えづらくなっていることを分かりやすく説明でき、環境問題を伝える効果も有する。
こうした目的から、天文シミュレーションソフトウエアでは表示する星の大きさや数を意図的に減らして、背景を青みがかった明るい色に表示することで、市街地での、光害の影響を受けた星空を再現出来る市販品も存在する。またプラネタリウムでは、意図的に恒星投影機の光量を落としたり、照明を僅かに点灯させることで同様の光害の影響を模擬的に再現することが通常良く行われている。
しかし上記の天文シミュレーションソフトウエアやプラネタリウムでは以下のような問題点があった。すなわち、光害の影響を再現することはできても、その光害がどの程度かは、その都度、オペレーターが設定しなければならない。つまり土地を東京に設定しても光害の数値をいちいち設定しなければ、本来東京で見ることができるはずのない満天の星空が再現されてしまう。逆に、場所を山間部に設定しても、光害の数値を都会同様に誤って設定すれば、あたかも光害の影響を受けたように再現されてしまう。したがって場所を変えて光害の影響の変化を再現できないし、いちいちオペレーターが光害の影響を設定しなければならない煩雑さがあった。また、どこに行けば星空がきれいに見えるかという情報を示すことはできなかった。また、市街地郊外などで、どの方向にどの程度の市街地による光害の影響があるかを推定することはできなかった。
星空のその時のその場所から指定した方向の空に見える惑星,および恒星を結んでできる主な星座の位置を視覚的に簡単に知る星座ナビゲーションシステムが提案されている(特許文献1)。
これによれば、従来の地図ナビゲーションシステムと連動して全地球測位システムのターミナルを用いた特定されたその場所の緯度,経度,移動方向などの情報に基づきコンピュータプログラムの記憶装置に記憶された暦表時,赤経,赤緯,背景の空の表示,主な天体の位置の図示等のサブプログラムで構成されたコンピュータ・プログラムを実行することにより星座の表示を行うものである。
この特許文献1は上記と同様に、地球上のある地点での人工光に対する明るさを考慮した星空の表示方法は採用していない。
特開2001−183976号公報
本件出願人は、上記背景から従来の天文シミュレーションソフトウエアやプラネタリウムについて、光害の影響も人為的に設定して表示しなければならないという結論に達した。
本発明の目的は、上記問題を解決するため、観測地を設定するだけで、自動的にその土地の光害の程度を算出し、それに応じた星空の見え方をリアルに再現することができる星空の表示方法を提供することにある。
本発明の他の目的は上記表示方法を用いたプラネタリウム装置および星空の表示装置を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、複数の土地の人工照明による明るさを示す明度データで形成される夜空の明度マップを備え、所望の観測地を指定し、指定した観測地対応の土地の明度データを前記夜空の明度マップから読み出すことにより所望の観測地における夜空の明度を求め、夜空の明度に対応した星空を再現することを特徴とする星空の表示方法。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において所望の観測地における夜空の明度の求め方は、前記明度マップの中から、観測地から一定距離内の複数の地点の明度データを読み出し、読み出した複数の明度データを用いて所定の演算をすることにより得られる明度を所望の観測地における夜空の明度とすることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記夜空の明度マップは、夜間の土地を撮影した画像であって各土地の輝度を表示する画像から作成するか、または土地を基盤目状に分割し、各基盤目の交点に輝度を有するマップであることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項1,2または3記載の発明において前記夜空の明度マップの任意の位置の明るさは、複数の人工照明の明るさから生成されることを特徴とする。
本発明の請求項5はある地域を細かく区切り、その交点を座標とし、各座標に夜空の明度分布データを保持してなる夜空の明度分布データマップを備え、所望の観測地を指定し、指定した観測地対応の前記夜空の明度分布データを前記夜空の明度分布データマップから読み出すことにより所望の観測地における夜空の明度分布データを求め、夜空の明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とする。
本発明の請求項6は請求項5記載の発明において所望の観測地における夜空の明度分布データの求め方は、前記夜空の明度分布データマップの中から、観測地から一定距離内の複数の地点の夜空の明度分布データを読み出し、読み出した複数の夜空の明度分布データ用いて所定の演算をすることにより得られる夜空の明度分布データを所望の観測地における夜空の明度分布データとすることを特徴とする。
本発明の請求項7は請求項5または6記載の発明において前記夜空の明度分布データマップの明度分布データは、複数の土地の明度データにより形成された夜空の明度マップをもとに作成されることを特徴とする。
本発明の請求項8は請求項5または6記載の発明において前記夜空の明度分布データマップの明度分布データは、夜空の方向別の明度データであり、該夜空の方向別の明度データは夜空の明度マップから所定の演算によって生成されることを特徴とする。
本発明の請求項9は請求項1乃至8記載の発明において夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップは、対象地域の範囲が異なる複数個のマップを有し、対象地域によって切り替えることにより、任意の土地の夜空の明度または明度分布データを得ることを特徴とする。
本発明の請求項10は請求項1乃至9記載の発明において前記星空の再現は、夜空の明度または夜空の明度分布に応じて星の数か、または個々の星の明るさを変化させることを特徴とする。
本発明の請求項11は請求項1乃至9記載の発明において前記星空の再現は、夜空の明度もしくは夜空の明度分布に応じて背景となる空の明るさか、または色を変化させることを特徴とする。
本発明の請求項12はドームに映像を投影することにより各土地の星空を表示するディジタルプラネタリウムで構成されたプラネタリウム装置において、複数の土地の人工照明による明るさを示すデータを形成する夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段と、所望の観測地の位置情報に対し前記夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該所望の観測地の夜空の明度または明度分布を加味した空の明るさおよび色の映像を作成するか、または投影される恒星の数および明るさを変えた映像を作成する映像作成手段と、前記映像作成回路から出力される映像を投影する投影手段とを備え、夜空の明度または明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とする。
本発明の請求項13はドームに投影原板からの光りを投影し多数の恒星を再現することにより各土地の星空を表示する光学式恒星投影機で構成されたプラネタリウム装置において、複数の土地の人工照明による明るさを示すデータを形成する夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段と、所望の観測地の位置情報に対し前記夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該夜空の明度または明度分布データにより前記投影原板から出力される光量を制御する調光信号を出力する制御手段と、前記制御手段の調光信号により、投影される恒星の数または明るさを変えて投影する光学式投影手段とを備え、夜空の明度または明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とする。
本発明の請求項14はドームに光学投影像または映像を投影することにより各土地の星空を表示するプラネタリウム装置において、その光量を制御することによりドーム内の明るさを調整する照明装置と、複数の土地の人工照明による明るさを示す明度データを形成する明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段とを設け、所望の観測値の位置情報に対し前記明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該夜空の明度または夜空の明度分布データで前記照明装置の光量を制御することにより、ドームに投影される星空の、背景となる空の明るさおよび色を変化させることを特徴とする。
本発明の請求項15は請求項14記載の発明において前記照明装置は、ドーム内の予め設定された範囲に指向性を持って配置された複数の照明装置であり、該複数の照明装置を個別に制御する調光装置を備え、前記所望の観測地の夜空の明度分布に基づき各照明装置による照明を個別に制御することを特徴とする。
本発明の請求項16は天文シミュレーションソフトを読み込み、コンピュータで実行することにより各土地の星空をシミュレーション表示する、端末装置で構成される星空の表示装置において、複数の土地の人工照明による明るさを示すデータを形成する夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段と、所望の観測地の位置情報に対し前記夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該所望の観測地の夜空の明度または明度分布を加味した空の明るさおよび色の映像を作成するか、または投影される恒星の数および明るさを変えた映像を作成する映像作成手段と、前記映像作成回路から出力される映像を表示する画像モニタとを備え、夜空の明度または明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とする。
上記構成によれば、星空の単なる再現だけでなく、実際に星を見るときに、どこに行けばどの程度星が見えるかを分かりやすく再現できる。
また、市街地郊外などで、その土地に照明がなくても、近隣の都市からの照明の影響も反映し、また方角によって照明の影響が異なるような場合でも、空のどの方向がどのくらい照明の影響を受けるか計算し、その様子を再現することができる。
以下、図面等を用いて本発明の実施の形態を詳しく説明する
まず、単一の明度で光害が発生する場合を説明する。光害の原因は夜空の明るさにある。そこで任意の場所における夜空の明度を求めることが必要である。任意の場所を観測点としたときに用いる明度マップの構成と、その明度マップにより夜空の明度の求め方の実施の形態について説明する。
図1に夜空全体の明るさのみを扱う明度マップの構成例を示す。
明度マップは矩形で、この中の碁盤目状に配置した地点の明度をデータとして保持する。明度マップに含まれる任意の地点の夜空の明度が得られる。
この実施の形態では、地球上の全地域を網羅するものとし、経度,緯度それぞれの方向での間隔つまりデータピッチを0.1 度とし、横(X)方向に3600分割、縦(Y)方向に1800分割のマトリックス状の2次元配列し、交点に明度データを保持した明度マップをメモリ回路に記憶させる。メモリ回路はハードウエアの単体メモリである。また、コンピュータのソフトウエア上で宇宙から撮影された夜間の照明分布を表す地球の画像データ(図2参照)を上記のようにデータピッチ,交点の数で対応付け、各交点の明度データ(輝度)を記した明度マップを作ることもできる。明度マップを作るに際しデータピッチは細かくするほど精度が上がるが、データ量が増えて扱いが困難になるため、適切なデータピッチを設定する必要がある。
夜間の照明分布を表す地球の画像データから照度マップを作る方法を以下に説明する。
2次元配列位置(x,y)を表示する値は、整数もしくは浮動小数点数である。
このメモリ回路の座標(アドレス)、実際の土地の座標に対応させることとなる。横方向に経度LON を、縦方向に緯度LAT をとると、以下の関係式ができる(ただし西経は、東経に換算してlon=360-西経とするものとする。)
LON = x / 10
LAT = 90 - y / 10

x = LON * 10 ・・・(1)
y = (90 - LAT) * 10 ・・・(2)
このようにして2次元メモリ回路のすべてのX,Y 座標でそれぞれの経度、緯度の値の関係が算出でき、その経度,緯度ごとの夜空の明度データ(画像から各交点の輝度は分かっている)を2次元メモリ回路の座標(X,Y) に格納する。
市街地であれば明度データは明るく、山間部や海であれば明度データは小さくなる。
2次元メモリ回路はICメモリ回路やハードディスクなどであり、その明度データは読み出し可能である。
このようにして作成したメモリ回路に格納された明度マップを用いて任意の土地の夜空の明度をつぎのような手順で求める。
1)所望する観測地の土地の位置情報として経度(LON) と緯度(LAT) を指定する。
2)指定した経度(LON) と緯度(LAT) から(1)(2)式を用いてx,y を求める。
3)そのx,y の座標から明度データを読み出し、これを観測地の明度とする。
上記の方法は簡便であるが、x,y 対応のピクセル(各ピクセルでは例えば256段階のいずれかの輝度が格納されている)の間を跨ぐ時に急に値が変化するときには弊害も生じる。そこで実際には画像中の座標の小数点項も考慮して補間演算を行う。
補間演算の具体例を以下に示す。
例えば、東経139.24度 北緯37.59 度の地点のピクセルの輝度を読み出す計算は以下のように行う。
X=139.24*10=1392.4
Y=(90-37.59)*10=524.1

ここで、夜景画像のX,Y 付近のピクセルの輝度の値が表1であったとする。表1は明度マップの具体例の一部として記載したものである。
表1においてX,Y 点を囲む座標は、X が1392と1393, Yは524 と525 であり、x方向の少数点項は0.4 ,y方向の少数点項は0.1 である。それぞれの座標X,Y の輝度は150,109,220,88である。
補間演算は、まずX 方向に
B1=(109-150) * 0.4 + 109 = 92.6
B2=(88-220)*0.4 + 220 = 167.2
の輝度を求める。続いてY方向に
B=(167.2-92.6)*0.1 + 92.6 = 100.6
の輝度を求める。
上記Bがこの土地における夜空の明度となる。
つづいて夜空の明度分布データマップを用いて、観測地の夜空の明度として明度分布を求める場合について説明する。
現実の夜空では、光害の影響による夜空の明度は、全面にわたって一様とは限らない。例えば都市郊外などでは、その土地では夜間照明が少なくても、星空の見え方は近隣の都市の照明の影響を受ける。こうした場合は、都市のある方角の夜空は明るく見えるし、そうでない方向は暗く見えることは経験上も明かである。したがって、星空を再現する上でも、こうした方向が異なる場合の明るさの違いを再現できることが望ましい。そのためには、夜空の明度を単一のスカラー値として扱うのでなく、夜空の方向別の複数の明度データを含む夜空の明度分布データとして扱う。
夜空の明度分布とは、任意の地点における、さまざまな高度と方位角の夜空の方向別の複数の明度データをまとめたものである。
図3に、X 方向を南, Y 方向を西, Z 方向を天頂にしたときの、方位角(AZM) と高度(ALT)の一例を示す。
ある土地で夜空を見上げ、ある方向(方位角と高度)の空の、単位角面積あたりの輝度を、夜空の方向別明度と呼ぶこととする。この値は、実際に現地で測定するか、または演算で求めるものである。
夜空の明度分布データの一例として、ドームマスター形式による夜空の明度分布データの構成を説明する。
ドームマスター形式とは、あかたも全天を魚眼レンズで撮影したような座標配置で扱う形式であり、図4にその例を示す。
数字は、それぞれの位置の方位角と高度を表す。中心が天頂であり、輪郭の四角形に内接する最外周の円が地平線に相当する。
例えば、180 度分割したドームマスター形式の夜空の明度分布の作成例を説明する。
まず縦と横それぞれ180 分割した座標位置(x, y)に対しそれぞれ明度データを保持する2次元メモリ回路を確保する。2次元メモリ回路はハードウエアの単体メモリである。また、コンピュータのソフトウエア上で上記のように縦と横それぞれ180 分割した座標位置(x, y)に対しそれぞれ明度データを記したもの(夜空の地球の画像データ)でも作ることができる。
このメモリ回路の座標位置(x, y)には、それぞれ所定の高度と方位角が対応付けられる。このメモリ回路の座標から、高度と方位角を求める式は以下のとおりである。

AZM = atan((Y - 90) / (X - 90)) ・・・(3)
ALT = 90 -√((X- 90)2 + (Y- 90)2) ・・・(4)
例えば、X が105 , Y が132 である場合、
AZM は、70.34 度
ALT は、45.4度
である。
このメモリ回路の、全てのX,Y 座標について、高度と方位角を算出し、それぞれの高度と方位角における夜空の方向別明度を、実測または数値計算で算出し、算出した夜空の方向別明度をメモリ回路の対応のX,Y 座標の明度分布データとして記憶する。
この土地で、任意の高度と方位角の夜空の方向別明度を求めるには、
X = (90 - ALT) * cos(AZM) + 90 ・・・(5)
Y = (90 - ALT) * sin(AZM) + 90 ・・・(6)
の式でX,Y の座標を求め、メモリ回路からX,Y 座標の明度分布データを読み出せば良い。実際には、X,Y 座標に近い複数の座標の明度分布データを用いて、先に明度マップを用いた補間演算と同様な補間演算を行えば、より精度の高い明度分布データを得ることができる。
メモリ回路はハードディスクなどであり、所望のファイル名で保存したり、読み出せるようになっている。
図5にドームマスター形式の夜空の明度分布データを画像化した一例を示す。
内接円の輪郭、つまり地平線付近が数カ所明るくなっているのは、近隣の照明の光によるものである。
夜空の明度分布データは、夜空の明度マップから演算で求める。または、複数の地域の夜空の明度データを保存しておき、この明度データをそのまま使用するか、もしくは演算して求める。
ここでは、あらかじめ演算によって作成した夜空の明度データを複数有し、これにより任意の土地の夜空の分布データが得ることのできる夜空の明度分布データマップの構成例と、これを使った実施の形態を説明する。
図6に夜空の明度分布データマップの一例を示す。
碁盤目に区切られた範囲内で、碁盤目状n ×m に配置した各交点に相当する地点の座標を決める。本図では地点(1,1),(1,2)...がその座標である。それぞれの地点における夜間の明度分布データは明度分布(1,1),(1,2)...である。
このように、碁盤目状の各交点の座標に対して夜空の明度分布データを保持したものが夜空の明度分布データマップである。
この夜空の明度分布データマップは例えば、n×mの2次元配列の各x,y 座標に対し夜空の明度分布データを記憶したメモリ回路で構成することができる。また、コンピュータ上のROM,RAM,ハードディスクなどに、それぞれの地点の番号に関連したファイル名で、各明度分布データを保存することにより夜空の明度分布データマップを構成することもできる。
上記夜空の明度分布データマップを用いて、所望の地域の明度分布を求めるには、所望の地域から最も近い地点の座標の明度分布を読み出し、それを所望の地域の明度分布とすることが最も簡単である。
例えば、図6に示されている観測地の座標から最も近い位置は地点(3,5)であり、その座標の明度分布データ(3,5) を読み出すこととなる。
さらに精度を上げた明度分布データを得るには、補間演算によって求めることができる。図6に示されている観測地の場合、この観測地を囲む4つの地点(3,5)、(3,6) 、(4,5) 、(4,6) からそれぞれ明度分布データを読み出し、上記明度マップを用いた補間演算と同じ手法で補間演算を行って観測地の明度分布データを得ることができる。
なお、補間演算は各位置の明度分布データを構成する複数の明度データごとに行うこととなる。
以上のように明度マップまたは明度分布データマップ(以降、「マップ」と略する)を使い、任意の地点の夜空の明度や明度分布を得ることができる。しかしこれらのマップを使う際、明度を得られるのは当然マップの範囲に含まれる範囲に限られる。したがって、最も理想なことは、全世界を含むマップにすることだが、マップのデータピッチを細かくするとデータの容量が膨大になり、メモリ回路(ROM,RAM,ハードディスクなど)の容量を大量に消費するなどの問題点も生じる。
一方、地球上で街明かりによる影響を受ける地域は陸上の人工密集地など限られており、全世界にわたり等間隔でデータを用意するのは無駄なことである。その無駄を解決する一つの方法は、海や砂漠地帯など、街明かりがない地域についてはデータを省略し、省略した地点については街明かりが皆無であると判定させることである。
一方、含むエリアとデータピッチの異なる複数のマップを用意し、例えば都市のみを含むデータピッチの高い(細かい)マップと、それ以外の地域を含むデータピッチの低いマップを併用することが有用である。
図7に、3種類のマップを使用するマップ例を示す。
エリアAは、最も大きいマップによってカバーされる領域である。エリアBは、エリアAに重なっていて、その領域は小さいがデータピッチの細かい領域である。エリアCは、他のエリアと重ならないがデータピッチの細かい領域である。
これらマップを用いてある地点の夜間の明度を算出する場合、以下のようにする。
この地点が複数のエリアに含まれる場合は、データピッチの細かいマップを用いる。いずれのマップにも含まれないときは、夜間明度をゼロとする。
例えば、地点1は、エリアAとエリアBに含まれるが、エリアBのデータピッチが細かいため、エリアBのマップにより、明度を求める。地点2は、エリアAにしか含まれないのでエリアAのマップによって明度を求める。地点3は、どこにも含まれないので、夜間明度はゼロとする。地点4は、エリアCに含まれるため、エリアCのマップによって明度を求める。
このようにして複数のマップを使い分けることにより、限られたデータ記憶領域を有効に活用することができる。
つぎに上記マップより得られた夜空の明度を用い、この夜空の明度を反映した星空を表示するディジタルプラネタリウムの実施の形態について説明する。
図8にディジタルプラネタリウムの構成例を示す。
最も単純な構成例であり、映像を生成させる映像生成コンピュータ1からの映像信号を垂直に立てられたプロジェクタ2に送り、これを魚眼レンズ3を用いて投影する構成となっている。映像生成コンピュータ1が生成する映像画面は図9のようなものであり、画面枠4の中で、これにほぼ内接する地平線5の内側部分が投影される範囲になる。この地平線の中に、背景を黒にして、星だけ所望の大きさの点で白く描画するドームマスター形式で描画すれば、これがドームスクリーンに投影されたときに星空のように見える。
この時、明るい星は大きく、またはより明るい色で、暗い星は小さく、または暗い色で描画することにより本物の夜空に近く星空が再現される。
星の位置と明るさは赤経赤緯,等級で与えられるため、実際には日時や場所の情報を参照して地平座標に変換し、これをドームマスター上の座標に変換する。この構成は公知であり、本発明の本質ではないのでその詳細は省略する。
通常、光害のない環境での星空を再現するには、背景を黒とし、星だけ明るい点で描画すれば良いが、光害の影響を表すには、背景の色を光害に相当するものに変える。夜空全体の明度が分かっている場合は、夜空全体の明度に応じて、背景の明度を設定する。
背景はニュートラルグレーもしくは青みがかった色が見た目で本物の夜空に近くみえる。
図10(a)に夜空の明度と、表示する背景の明度の関係を示す。
夜空の明度と表示する背景の明度とは基本的に比例させる関係にしてある。
また、都会などでは見える星の数が大幅に少なくなるが、この現象を効果的に表すには、表示する星の等級範囲を減少させる。例えば、光害のない土地では、概ね6等級まで肉眼で視認できるので、6等級までを投影することが通例である。
星空を再現するときは6等級まで投影するところを、光害のある土地では4等級乃至3等級までの星しか描画しない、すなわち最微等級を下げるようにする。ここで、最微等級とは再現される最も暗い星の等級のことをいう。
または、夜空の明度に応じて表示する星の明るさを下げれば良い。例えば、夜空の明度に応じて、投影する星の等級を意図的に下げることも有効である。
図10(b)に夜空の明度と最微等級の関係を示す。
例えば描画する全ての星のデータに1等級を加える、等級オフセット演算を施せば、1等星は本来の2等星の明るさに、5等星は6等星の明るさで描画される。等級オフセット演算後の等級値に対して最微等級を一定にしておけば、再現される最微等級がオフセット分だけずれることになる。夜空の明度に応じて背景の空が明るくなる効果と、恒星が暗く表示される効果を両方併用することにより、よりリアルに光害の影響を再現することができる。図10(c)に夜空の明度と等級オフセットの関係を示す。
また、夜空の明度が方向別に算出されている場合は、方向別に、上記の計算処理を行えば、よりリアルな夜空の再現ができる。
図11Aに夜空の明度に対応した星空を表示するディジタルプラネタリウムの映像生成コンピュータの各回路の実施の形態を示す。
図11Aにおいて、映像作成コンピュータ1は入力装置10およびプロジェクタに接続されている。入力装置10はキーボードなどにより構成され、観測地の位置(経度,緯度)を入力するものである。映像作成コンピュータ1はメモリ回路12,映像作成回路11および映像描画回路14より構成されている。メモリ回路12には各恒星の位置(赤道座標)と明るさを含む恒星データファイル12bが格納されている。また、夜空の明度分布データマップ12aが、さらに夜空の明度と背景の明度との関係を示す夜空の明度−背景の明度テーブル12c,夜空の明度と最微等級との関係を示す夜空の明度−最微等級テーブル12dおよび夜空の明度と等級オフセットとの関係を示す夜空の明度−等級オフセットテーブル12eが格納されている。
映像作成回路11は恒星データファイル12bを読み込み、各恒星の赤道座標から地平座標に変換する変換機能,夜空の明度分布データマップ12aの、入力される観測地の位置対応の座標の夜空の明度分布データを読み込み、補間演算などをして観測地の夜空の明度分布を演算する機能,さらに、夜空の明度−背景の明度テーブル12cから、上記で求めた観測地の夜空の明度分布に対応する背景の明度を読み込み、夜空の背景画面を作成する機能を有する。さらに、求めた観測地の夜空の明度分布から、描画する恒星の位置での夜空の明度を算出する機能,夜空の明度−最微等級テーブル12dから算出した恒星の位置での夜空の明度に対する最微等級を得て、最微等級以下の恒星を削除する処理機能,夜空の明度−等級オフセットテーブル12eから算出した恒星の位置での夜空の明度に対するオフセット値を得て、恒星の等級を減光する等級オフセットする処理機能をそれぞれ有する。
映像描画回路14は映像作成回路11からの夜空の背景画面および各恒星の画像を重畳して夜空の明度に対応した画像の描画処理をする。
図11Bに図11Aを用いて観測地の位置入力からドーム内に星空を再生するまでの処理の流れを示す。
キーボードなどの入力装置によって観測地の位置(経度,緯度)を入力する(ステップ(以下「S」という)001)。映像設作成回路11は夜空の明度分布データマップを参照して、観測地の位置に対応する座標から夜空の明度分布データを読み込む(S002)。そして補間演算などにより観測値の明度分布を求める(S003)。つぎに夜空の明度−背景の明度テーブル12cを参照して、画面に描画すべき背景の夜空の明度分布を算出し、その映像のデータを映像描画回路14に送る(S004,S005)。
さらに、S003で求めた観測値の明度分布より、各恒星の地平座標での夜空の明度を算出する(S006)。そして夜空の明度−最微等級テーブル12dから各恒星の位置での夜空の明度に対する最微等級を求める(S007)。さらに空の明度−等級オフセットテーブル12eから各恒星の位置での夜空の明度に対するオフセット値を得る(S008)。
一方では映像作成回路11は恒星データファイル12aから、恒星の位置(赤道座標)と明るさのデータを一個ずつ読み出し(S011)、観測地の位置と日時を参照して、各恒星の赤道座標を地平座標に変換する(S012)。
地平座標に変換された各恒星についてS007で求めた最微等級のデータに基づき最微等級以下の恒星は削除する(S013)。さらにS008で求めたオフセット値により各恒星の等級オフセット処理を行う(S014)。
これら処理を行った映像のデータは映像描画回路14に送られ、映像描画回路14ではS005からの夜空の背景の映像のデータとS014からの映像のデータを重畳し、夜空の背景の映像と等級オフセット処理された恒星の描画処理が行われ、その映像信号はプロジェクタに送出される(S009)。
この実施の形態では、ディジタルプラネタリウムとして、単一のプロジェクタに魚眼レンズを装着した例を示したが、実際には複数のプロジェクタを使い、夜空を分割して投影する方式で実施してもよい。また同様の方法は、ディジタルプラネタリウムのみならず、モニタなどのパソコン画面上に星空を表示する天文シミュレーションソフトを用いた星空の表示装置を構成することができる。かかる場合の映像作成回路の構成は天文シミュレーションソフトの実行により実現できる。
マップとして夜空の明度分布データマップを用いた例について説明したが、夜空の明度マップを用いた場合でも同様に実施することができる。
図12Aに、天文シミュレーションソフトウエアにおける本発明の実施によるオリオン座付近の市街地での見え方の表示例を示す。また図12Bに、光害をなくした場合の表示例を示す。また図25(a)にディジタルプラネタリウムでの市街地の星空の再現例を、図25(b)に光害の影響をなくした状態の再現例をそれぞれ示す。
図13に本発明による表示方法を用いた光学式プラネタリウムの構成例を示す図である。
光学式恒星投影機20は、恒星用調光装置25によって光源ランプ21に与える電圧を変えることにより、投影される光量を自在に変えられるようになっている。また、照明装置22による照明の明るさは、照明用調光装置24によって変えられるようになっている。恒星と照明の調光装置24,25の出力は、制御コンピュータ23から与えられる。
また、恒星投影機20で再現される恒星の位置を決める日周軸と緯度軸の角度も、制御コンピュータ23から制御される。
図14Aに夜空の明度に対応した星空を表示する光学式プラネタリウムの制御部分の各回路の実施の形態を示す。
図14Aにおいて、制御コンピュータ23は入力装置26,照明用調光装置24および恒星用調光装置25に接続されている。入力装置26はキーボードなどにより構成され、観測地の位置(経度,緯度)を入力するものである。制御コンピュータ23はメモリ回路28および制御回路27より構成されている。メモリ回路28には夜空の明度マップ28aが、さらに夜空の明度と恒星用調光装置出力の関係を示す夜空の明度−恒星調光出力テーブル28bおよび夜空の明度と照明調光装置の関係を示す夜空の明度−照明調光出力テーブル28cが格納されている。
夜空の明度−恒星調光テーブル28bは図14C(a)で示すような恒星の調光関数の特性のデータで構成されている。夜空の明度が上がると、恒星が暗くなるような関係となっている。これにより夜空が明るくなるほど擬似的に星が見えにくくなる効果を再現することができる。
夜空の明度−照明調光テーブル28cは図14C(b)で示すような照明の調光関数の特性のデータで構成されている。夜空の明度が明るくなると照明を明るくするような関係になっている。この両者の組み合わせにより、夜空の明度が高い状態、すなわち市街地で見るような夜空も再現することができる
制御回路27は夜空の明度マップ28aの、入力される観測地の位置対応の座標の夜空の明度データを読み込み、補間演算などをして観測地の夜空の明度を演算する機能,さらに、夜空の明度−恒星調光テーブル28bから、上記で求めた観測地の夜空の明度対応の明るさに恒星を調光する恒星調光信号を出力する機能を有する。また、夜空の明度−照明調光テーブル28cから、求めた観測地の夜空の明度に対応するように照明の明るさを制御する照明調光信号を出力する機能を有する。この他に、入力される観測地の位置から光学式恒星投影機の日周軸および緯度軸をサーボモータ制御を行う機能を有する。
図14Bに図14Aを用いて観測地の位置入力からドーム内に星空を再生するまでの処理の流れを示す。
キーボードなどの入力装置によって観測地の位置(経度,緯度)を入力する(S021)。制御回路27は入力された観測地の位置から日周軸および経度軸を制御する(S022)。これにより恒星が適切な位置で投影されるように制御される。さらに夜空の明度マップ28aを参照して、観測地の位置に対応する座標から夜空の明度データを読み込む(S023)。そして補間演算などにより観測値の明度を求める(S024)。
つぎに夜空の明度−恒星調光テーブル28bを参照して、恒星用調光装置25を調光すべき恒星調光信号を送出する(S025,S026)。
さらに、夜空の明度−照明調光テーブル28cを参照して、照明用調光装置24に調光すべき照明調光信号を送出する(S027,S028)。
以上により、観測地における恒星の明るさと夜空の明るさが調整されて観測地の夜空の明度に対応した星空を再現することができる。
以上の光学プラネタリウムの実施の形態として夜空の明度マップを用いた場合を説明したが、夜空の明度分布データマップを用いた場合でも同様に実施することができる。
(複数照明装置を備えた実施の形態)
図15に複数の照明装置をドーム内の、それぞれ所定の方向に指向性を持って配置し、それらを夜空の明度分布にもとづいて個別に光量を制御して、夜空の明度分布に近い、人工照明による効果を再現する実施の形態を示す。
ドームスクリーン31の内側の淵付近に、複数の照明装置30が等間隔に20台配置されている。これらは、ドーム周辺に配置されているため、照明装置に近い側を選択的に強く照明し、反対側にはあまり照明効果を及ぼさない。それぞれL1、L2...L20と番号が振られている。L1は真西で、18度刻みで南回りに一周している。そこからそれぞれが調光装置32−1〜32−20によって制御される。調光装置32−1〜32−20は、制御コンピュータ33によって個別に制御可能となっている。
つぎにこの実施の形態における個別の調光装置の制御方法を説明する。
図16は、ドームマスター型の夜の明度分布データの図解である。
方角毎の明度をサンプリングするサンプリング高度を決める。例えばサンプリング高度を5度とする。サンプリング点は、地平高度5度で、真西を1番とし、真西から真東まで方位角18刻みで等間隔に並んでいる。これが図中のサンプリング点1〜20である。
ドームマスター型明度分布データの縦横データ数が180ピクセルであるすると、サンプリング点nのドームマスター上の座標は
Xn = cos(n*18)*90 + 90 ・・・(7)
Yn = sin(n*18)*90 + 90 ・・・(8)
となる。ドームマスター型明度分布データからはこの座標Xn,Ynの明度分布データを読み出し、この値を調光装置に送り、各照明装置の明るさを制御すればよい。
すなわち手順としては、
1)明度分布データを算出する。
2)サンプリング点1〜20のドームマスター上の座標を得る。
3)サンプリング点1〜20の明度を、ドームマスター上の座標の明度分布データを読み込むことにより得る。
4)調光装置1〜20に、サンプリング点1〜20の明度か、それに比例した明るさの調光指令を送る。
この実施の形態ではサンプリング点から読み出すデータを単一の座標点としたが、実際には、サンプリング点を決定した上で、明度分布データより、その周囲一定の範囲の値を読み込んで平均化すればなおよい結果が得られる。
(複合プラネタリウムにおける実施の形態)
図17は、ディジタルプラネタリウムと光学式プラネタリウムを融合させた複合型プラネタリウムの実施の形態を示す図である。
ディジタルプラネタリウム40と光学式プラネタリウムである光学式恒星投影機41が並んで設置される。光学式恒星投影機41の光源の明るさは、制御コンピュータ43から恒星用調光装置42で制御される。また、光学式恒星投影機41内部に設置されているサーボモータも制御コンピュータ43を通じて制御される。制御コンピュータ43には図14Aで示した回路が内蔵されている。
さらにディジタルプラネタリウム40も制御コンピュータ43により制御される。
制御コンピュータ43には図11Aで示した回路も有しており、該回路により映像出力が得られるが、恒星調光信号は出力せず、ディジタルプラネタリウムでは恒星が表示されない構成となっている。なお、光学式恒星投影機では、照明装置が存在しない構成であってもよい。
このように構成することにより背景の空の明るさはディジタルプラネタリウムで制御され、恒星の明るさは光学式プラネタリウムで制御されて観測地における夜空の明度対応の星空が再現される。
以上の実施の形態における説明では観測地における光害のレベルは、常に夜空の明度マップや明度分布データマップを参照して設定される方法を説明したが、夜空の明度マップや明度分布データマップから求めた夜間明度に、所望の値を乗算または加算,減算する構成を追加することにより光害の影響を誇張したり、あるいは減らして星空を再現することもできる。光害の影響をゼロにすれば市街地でも本来非常にきれいな星が見える、またはもっと光害が酷くなると星が益々見えなくなる、といった効果を示すことができる。
続いて、本発明による方法の実施に必要な明度マップの作成方法を説明する。
街明かりによる光害が星を見えにくくする作用は、街灯などの照明の光が直接観測者の目に入り幻惑する直接的な効果と、街明かりが上空の大気を照らし、大気が街明かりを散乱することにより、夜空を明るくさせ、星の光が紛れてしまうことによる間接的な効果によって引き起こされる。このうち直接的な効果は、間近にある街灯を避けるなどの工夫で容易に回避できうるものであり、夜空の星を見えにくくする主要な要因はむしろ間接的な効果によるものが支配的と思われるため、本発明ではもっぱら後者に限って、まず光害の直接的な要因である夜空の明度を算出する方法を説明する。
光害を引き起こす夜空の明度が、その土地の人工照明の明るさによって概ね決まるのは明かである。この前提に立ってまず、任意の土地の夜空の明度を得る方法の一例を説明する。この実施の形態では、空全体の明度を一つの値として扱うものとする。
図2は、NASAが公開している、宇宙から撮影された夜景の様子を世界地図上に展開した画像である。なお、各部の明るさを明瞭にするため白黒の濃度を反転させている。以下、この画像を夜景画像とよぶ。
この画像は、土地ごとの夜の明るさを概ね表していると考えて良い。本画像は、縦横の経度,緯度の間隔が等間隔の正距接円筒図法で展開されている。その場合、幅がwピクセルであるとすると、高さは必ずw/2 ピクセルとなる。ここでpr=w/360をピクセル倍率と呼ぶ。
例えば夜景画像の幅が3600ピクセル、高さが1800ピクセルとすると、ピクセル倍率は3600/360=10 となる。ここで、経度がlon 度、緯度がlat 度すると、土地に相当する画素の位置は、以下の式で求められる。(ただし西経は、東経に換算してlon=360-西経とするものとする)
x = LON * 10
y = (90 - LAT) * 10
x,y の値を整数化した上で、夜景画像の(x, y)座標のピクセルの輝度を読み出せば、この土地の夜空の明度を得られることになる。
上記の方法は簡便であるが、ピクセルの間を跨ぐ時に急に値が変化などの弊害も生じることから実際には画像中の座標の少数点項も考慮して補間演算したのが、先に説明したとおりである。すなわち、東経139.24度, 北緯37.59 度の地点のピクセル輝度を読み出す補間演算を行ってB=(167.2-92.6)*0.1 9 + 92.6 = 100.6 を得ている。
しかし実際には画像中の輝度と実際の夜間照度の関係は、画像処理や撮影カメラの特性ほか様々な理由によりリニアでない事も考えられるので、適切な換算関数を用いて変換し、夜間の明るさに相当する値を導き出す必要がある。
方法はいくつか考えられるが、実測するのが最も確実で正確である。例えばある土地で、夜間の月明かりなどの影響を受けない状態で照度計を用いて夜間照度を測定する。これをB(lx) とする。一方、その土地に相当する夜景画像のピクセルの明度を求める。これをP とする。この作業を、夜間照度が極めて暗い山間部から逆に明るい市街地まで様々な状態の場所で行なうと、B-P の多数のサンプルができる(表)この値から補間関数を導き出すことにより、世界中の任意の土地における夜間照度を取得できる。
補間関数の例を図18に示す。
夜間照度は、夜空の明度とほぼ比例しているという前提のもと、これにより夜空の明度を算出することができる。ここでいう明度は絶対的な物理量でなくても、相対的な値で良い。星空の表示に反映させる際に、星空の表示が実際の夜空に近くなるよう、適切な係数を設定して乗算すればよい。
また、人工照明の位置と明るさにより任意の場所の夜空の明度を算出する実施例を示す。図19は、観測点と複数の人工照明の配置を示した一例である。
観測点の座標を(Xs,Ys) とする。本図では1番から4番までの4つの人工照明52があり、それぞれの座標を(X1,Y1) 〜(X4,Y4) とし、それぞれの光度をB1〜B4とする。
照明による影響を距離の2乗に反比例すると仮定して、すべての照明による明度(B(xs,ys))を求めるには
とする。(Xs,Ys) が人工照明のどれかに一致するか極度に接近した場合は、0 による除算になってしまう不都合も起きる。実際には、以下の式(10)のように、分母に一定のバイアス数Hを加えるなどの処理をしてもよい。この場合、Hが大きいほうが計算結果の誤差が大きくなるので、実用上問題ない数値を選ぶ。
実際の計算例を示す。
したがって、0.3594がこの地点での夜空の明度になる。これも相対値であるので実際の使用時には適切な係数を乗ずる必要がある。
これを、Xs,Ys を適切な間隔で変化させながら夜空の輝度を算出し、これをデータテーブル化すればよい。例えばX 方向の単位を経度, Y 方向の単位を緯度とするならば、X を0から360 まで0.1 度刻みで、Yを-90 から90まで0.1 度刻みで、すなわち3600×1800のマトリックス状のデータテーブルを用意し、この上に、X,Y それぞれの値に対する夜空の明度を書き込めば良いことになる。
また、現実の夜空では、前述のように光害の影響による夜空の明度は、全面にわたって一様とはいかないが、夜空の明度分布は、光害の原因となる照明の影響を受ける。
ここでは、近隣の地域の人工照明の影響を考慮して、夜空の明度分布を求める実施の形態を図20により以下に説明する。
まず、夜空に光害をもたらす人工照明(光源)が、観測地からX方向にX L , Y方向にY L だけ離れた地点に一つだけある場合について計算する例を示す。
光源の高度はZ L とし、通常は0と見なす。すなわち、光源の座標は(XL,Y L, Z L) である。この光源は、全方位に均等に光を放っているものとする。光源の光度はSとする。
観測地から見た、ある地平座標すなわち方位角AZM と高度ALT の方向の夜空の明度を求める。
まず、地平座標を視線ベクトルSX,SY,SZに変換する。これは視線の方向余弦である。
SX= cos(AZM) * cos(ALT) ・・・(11)
SY= sin(AZM) * cos(ALT) ・・・(12)
SZ= sin(ALT) ・・・(13)
となる。
観測点を中心とした視線ベクトルは(SX,SY,SZ)である。これを無限に延長したものが視線である。
夜空が明るくなるのは、人工照明からの光が大気中の粒子によって散乱されることで空が明るくなる現象によって起きる。夜空の明度は、観測点から見たある一定角面積内たとえば光度として扱うことができるが、これはすなわち、観測点48を頂点とし、視線47を中心として伸びる、仮想的に大気中に想定した錐状の部分、大気錐44内にある大気による散乱光と考えられる。
錐44を視線方向に細かく分断した要素として大気セル45を定義する。大気セル45は、観測点からdl間隔で等間隔にSp1,Sp2,Sp3 ...と並んでいる。dlが一定であれば、大気セルの容積は、視点からの距離の2 乗に比例する。
大気は高空に行くほど薄くなる。たとえば高度100km以上では事実上大気が存在しないものと見なせるので、この程度の数値を上限高度Cmax とする。大気セルを高度Cmaxまで並べると、大気錐の長さは図21に示すように、Cmax/sin(ALT) であるから、
大気セルの総数spnum は、これをdlで除算して
spnum = Cmax / dl / sin(ALT) ・・・(14)
として計算できる。
大気セルの間隔dlを小さくすればするほど計算精度は上がるが、計算時間もかかる。また、視線の高度が低いほど、同じ大気セル間隔dlに対してspnum が増えて好ましくないので、dlの値を、sin(ALT)の逆数に比例させるのが良い。
ここで、大気セルの一つ、Sp(n) によって散乱される光量を計算する。
大気セルSpn の空間座標(XSP(n), YSP(n), ZSP(n))
X SP(n) = SX * dl * n ・・・(15)
Y SP(n) = SY * dl * n ・・・(16)
Z SP(n) = SZ * dl * n ・・・(17)
である。
大気セルSpn と光源の距離Dn は、以下の(18)式で算出できる。
一般的に光源の見かけの明るさは光源からの距離の2乗に反比例する。また大気セルにおける散乱光量はその散乱セルでの大気密度に比例すると考えられる。
大気は地表が最も濃く、上空に行くと薄くなる。一般的には凡そ高度17kmで密度が1/10となり、高度とは指数関数として近似できる。地表の大気密度を1としたときの高度Z km の大気密度AD(z) は以下の式で近似できる。
AD(z) = 10 (z / 17) ・・・(19)
したがって、大気セルSpn における照度B SP(n) は、光源の光量Sを考慮して
となる。
大気セルが照明から受ける絶対光量は、大気セルの容積に比例するので、観測点からの距離の2乗に比例する。物体の光は距離の2乗に反比例して暗くなるので、結局、散乱セルの散乱光の観測点から見た見かけの明るさは、両者が相殺して、散乱セルにおける照度に比例することになる。したがって、この視線上の明度は全ての散乱セルからの光の総和を求めれば良いので、
となる。これが夜空の明度である。
この計算方法を応用して、ある土地における、さまざまな高度と方位角の夜空の明度をまとめた、夜空の明度分布データを作成することができる。
また、この説明では大気の散乱のみを考慮したが、同時に大気による屈折や吸収の影響も考慮して計算精度を上げても良い。また、dlは等間隔で計算したが、実際には大気密度の高い高空ではdlの値はより長くなっても問題ないため、高空になるほど間隔が延びる設定で計算数を減らしてもよい。ドームマスターの全画素についてこのような計算を行うのは、計算量が膨大になり処理時間の面から好ましくないが、大気による散乱光は概ねぼんやりしており、全ての画素について計算する必要はほとんどないため、画素をX,Y 両方向で一定の間隔で飛ばして計算し、補間をして計算数を減らすこともできる。
ドームマスター形式に格納したデータを、グラフィック描画した一例を図22に示す。
ただし、実際には人工照明は一つでないので、複数の光源をもとに上記の処理を行う必要がある。この場合は、複数の光源それぞれについて上記の計算をおこない、ドームマスター型の夜空の明度分布の各データでそれぞれ総和をとればよい。
つぎに夜の地球画像を用いて、任意の地点の夜空の明度を求める方法を説明する。
図23は、衛星から撮影された夜の地球画像の関東平野付近の拡大図である。これを夜空の明度マップとする。この中で観測地を置く。観測地の位置をXS,YS とする。
観測地に対して実際に光害を及ぼす範囲は限られている。実際には、概ね200km 以上離れた地点の照明は観測地に影響を及ぼさないと考えられる。
観測地を中心に影響半径を描いた影響半径円の外接四角形の左上隅の点と、右下隅の点座標はそれぞれ
X1 =XS−RS ・・・(22)
Y1 =YS−RS ・・・(23)
X2 =XS+RS ・・・(24)
Y2 =YS+RS ・・・(25)
として算出できる。
画像中の任意の画素X,Y に相当する場所の、観測地を基準とした実際の位置(km)は、
以下の式で計算できる。
GX=X−XS ・・・(26)
GY=Y−YS ・・・(27)
画面上座標(X,Y) の画素の輝度をP(X,Y) とする。
上記の方法より、GX, GYの位置にある明るさP(X,Y) の光源があると仮定して計算すれば、夜空の明度が算出できるので、実際のこの地点における夜空の明度は以下のように算出すればよい。
このようにして観測地からみた夜空の明度分布を求めることができる。
図24は、この方法によって得られた観測点における空の明るさ分布をドームマスターに描画した一例を示す図である。
地平線付近が人工照明の影響を請けて特に明るくなっており、特に右側の関東平野側が明るくなっている様子が描かれている。
これを夜空の明度分布データとしてメモリ回路(ハードディスクなど)に記憶して夜空の明度分布データマップとして利用すればよい。
また、最近の3Dグラフィックス機能を有する画像表示装置では、仮想的に3次元空間に物体や光源を配置して、視点からみた様子を再現する実施の形態を説明する。
例えばOpenGLやDirectX などの3Dグラフィックスライブラリーを用いて、コンピュータ内に仮想的な3次元空間を形成させる。
その中で、観測地付近の夜の地球画像から、影響半径円内の各画素を抜き出し、それぞれの座標と画素の明度に応じた光源として平面上に配置する。
その上方に、大気となるモデルを形成する。たとえばOpenGLでは、図26に示すようなフォグなどのモデルを使用すればよい。
図27に、複数の拡散性を持つレイヤーを多数重ねて大気モデルにした3Dモデル例を示す。視点となるカメラを観測点においてレンダリングすれば、光源の光が大気モデルに拡散して、実際の夜空に似た夜空の明度分布で夜空が描かれる。3Dグラフィックス機能を使用した例では、前述の数値計算ほど正確ではないが、夜景画像から高速で直接夜空の明度分布を画像として得られるので有用である。
以上のように本発明によれば、プラネタリウムや天文シミュレーションソフトウエアで、光害も含めて実際その場所で見上げるのと同様の星空を再現できる。これにより、光害の影響をより正確にプラネタリウム見学者に伝えることができる。また、実際に星を観測に出かける際に、どこでどの程度きれいな星空が見られるかという参考情報として活用することもできる。
地球上の任意の土地で光害が伴う星空の表示方法および、この表示方法を用いて構成したディジタルプラネタリウムや光学式恒星投影機などのプラネタリウム装置である。
夜空全体の明るさのみを扱う明度マップの構成例を説明するための図である。 宇宙から撮影された夜間の照明分布を表す地球の画像データの一例を示す図である。 X 方向を南、Y 方向を西、Z 方向を天頂にしたときの、方位角(AZM) と高度(ALT)の一例を示す図である。 全天を魚眼レンズで撮影したような座標配置で扱うドームマスター形式の一例を表示した図である。 ドームマスター形式の夜空の明度分布データを画像化した一例を示す図である。 夜空の明度分布データマップの一例を示す図である。 3種類のマップを使った一例を示す図である。 本発明による表示方法を用いたディジタルプラネタリウムの構成例を示す図である。 映像生成コンピュータが生成する映像画面の一例を示す図である。 夜空の明度と、表示する背景の明度,最微等級および等級オフセットの関係の一例を示す図である。 夜空の明度に対応した星空を表示するディジタルプラネタリウムの映像生成コンピュータの各回路の実施の形態を示すブロック図である。 夜空の明度に対応した星空を表示するディジタルプラネタリウムの映像生成コンピュータの処理の流れを説明するためのフローチャートである。 ディジタルプラネタリウムのコンピュータが生成する映像の一例を示す図で、光害がない場合の映像例である。 ディジタルプラネタリウムのコンピュータが生成する映像の一例を示す図で、ある。 本発明による表示方法を用いた光学式プラネタリウムの構成例を示す図である。 夜空の明度に対応した星空を表示する光学式プラネタリウムの制御部分の各回路の実施の形態を示す回路ブロック図である。 図14Aを用いて観測地の位置入力からドーム内に星空を再生するまでの処理の流れを示すフローチャートである。 夜空の明度と恒星用調光出力および照明用調光出力の関係を示す図である。 複数の照明装置をドーム内に配置して夜空の明度分布に近い、人工照明による効果を再現する実施の形態を示す図である。 ドームマスター型の夜の明度分布データを示す図である。 ディジタルプラネタリウムと光学式プラネタリウムを融合させた複合型プラネタリウムの実施の形態を示す図である。 複数の土地のピクセル明度と照度の実測値の関係を示す図である。 観測点と複数の人工照明の配置例を示す図である。 近隣の地域の人工照明の影響を考慮して夜空の明度分布を求める例を説明するための図である。 大気錐の長さを説明するための図である。 ドームマスター形式に格納したデータをグラフィック描画した映像例を示す図である。 衛星から撮影された夜の地球画像の関東平野付近の拡大図である。 地球画像を用い、所定の方法によって得られた観測点における空の明るさ分布をドームマスターに描画した一例を示す図である。 デジタルプラネタリウムでの市街地の星空の再現例と光害の影響をなくした状態の再現例を示す図である。 フォグモデルを大気モデルとした3Dモデル例を示す図である。 複数の拡散性を持つレイヤーを多数重ねて大気モデルにした3Dモデル例を示す図である。
符号の説明
1 映像生成コンピュータ
2 プロジェクタ
3 魚眼レンズ
4 画面枠
5 地平線
6 天頂
10 入力装置
11 映像作成回路
12 メモリ回路
13 バス
14 映像処理回路
20,41 光学式恒星投影機
21 光源ランプ
22 照明装置
23,43 制御コンピュータ
24 照明用調光装置
25,42 恒星用調光装置
30 照明装置
31 ドームスクリーン
32−1〜32−20 調光装置
40 ディジタルプラネタリウム
41 観測地
44 大気錐
45 大気セル
46 視線ベクトル
47 視線
52 人工照明

Claims (16)

  1. 複数の土地の人工照明による明るさを示す明度データで形成される夜空の明度マップを備え、
    所望の観測地を指定し、指定した観測地対応の土地の明度データを前記夜空の明度マップから読み出すことにより所望の観測地における夜空の明度を求め、
    夜空の明度に対応した星空を再現することを特徴とする星空の表示方法。
  2. 所望の観測地における夜空の明度の求め方は、前記明度マップの中から、観測地から一定距離内の複数の地点の明度データを読み出し、読み出した複数の明度データを用いて所定の演算をすることにより得られる明度を所望の観測地における夜空の明度とすることを特徴とする請求項1記載の星空の表示方法。
  3. 前記夜空の明度マップは、夜間の土地を撮影した画像であって各土地の輝度を表示する画像から作成するか、または土地を基盤目状に分割し、各基盤目の交点に輝度を有するマップであることを特徴とする請求項1または2記載の星空の表示方法。
  4. 前記夜空の明度マップの任意の位置の明るさは、複数の人工照明の明るさから生成されることを特徴とする請求項1,2または3記載の星空の表示方法。
  5. ある地域を細かく区切り、その交点を座標とし、各座標に夜空の明度分布データを保持してなる夜空の明度分布データマップを備え、
    所望の観測地を指定し、指定した観測地対応の前記夜空の明度分布データを前記夜空の明度分布データマップから読み出すことにより所望の観測地における夜空の明度分布データを求め、
    夜空の明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とする星空の表示方法。
  6. 所望の観測地における夜空の明度分布データの求め方は、前記夜空の明度分布データマップの中から、観測地から一定距離内の複数の地点の夜空の明度分布データを読み出し、読み出した複数の夜空の明度分布データを用いて所定の演算をすることにより得られる夜空の明度分布データを所望の観測地における夜空の明度分布データとすることを特徴とする請求項5記載の星空の表示方法。
  7. 前記夜空の明度分布データマップの明度分布データは、複数の土地の明度データにより形成された夜空の明度マップをもとに作成されることを特徴とする請求項5または6記載の星空の表示方法。
  8. 前記夜空の明度分布データマップの明度分布データは、夜空の方向別の明度データであり、該夜空の方向別の明度データは夜空の明度マップから所定の演算によって生成されることを特徴とする請求項5または6記載の星空の表示方法。
  9. 夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップは、対象地域の範囲が異なる複数個のマップを有し、
    対象地域によって切り替えることにより、任意の土地の夜空の明度または明度分布データを得ることを特徴とする請求項1乃至8記載の星空の表示方法。
  10. 前記星空の再現は、夜空の明度または夜空の明度分布に応じて星の数か、または個々の星の明るさを変化させることを特徴とする請求項1乃至9記載の星空の表示方法。
  11. 前記星空の再現は、夜空の明度もしくは夜空の明度分布に応じて背景となる空の明るさか、または色を変化させることを特徴とする請求項1乃至9記載の星空の表示方法。
  12. ドームに映像を投影することにより各土地の星空を表示するディジタルプラネタリウムで構成されたプラネタリウム装置において、
    複数の土地の人工照明による明るさを示すデータを形成する夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段と、
    所望の観測地の位置情報に対し前記夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該所望の観測地の夜空の明度または明度分布を加味した空の明るさおよび色の映像を作成するか、または投影される恒星の数および明るさを変えた映像を作成する映像作成手段と、
    前記映像作成回路から出力される映像を投影する投影手段とを備え、
    夜空の明度または明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とするプラネタリウム装置。
  13. ドームに投影原板からの光りを投影し多数の恒星を再現することにより各土地の星空を表示する光学式恒星投影機で構成されたプラネタリウム装置において、
    複数の土地の人工照明による明るさを示すデータを形成する夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段と、
    所望の観測地の位置情報に対し前記夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該夜空の明度または明度分布データにより前記投影原板から出力される光量を制御する調光信号を出力する制御手段と、
    前記制御手段の調光信号により、投影される恒星の数または明るさを変えて投影する光学式投影手段とを備え、
    夜空の明度または明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とするプラネタリウム装置。
  14. ドームに光学投影像または映像を投影することにより各土地の星空を表示するプラネタリウム装置において、
    その光量を制御することによりドーム内の明るさを調整する照明装置と、
    複数の土地の人工照明による明るさを示す明度データを形成する明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段とを設け、
    所望の観測値の位置情報に対し前記明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該夜空の明度または夜空の明度分布データで前記照明装置の光量を制御することにより、ドームに投影される星空の、背景となる空の明るさおよび色を変化させることを特徴とするプラネタリウム装置。
  15. 前記照明装置は、ドーム内の予め設定された範囲に指向性を持って配置された複数の照明装置であり、
    該複数の照明装置を個別に制御する調光装置を備え、
    前記所望の観測地の夜空の明度分布に基づき各照明装置による照明を個別に制御することを特徴とする請求項14記載のプラネタリウム装置。
  16. 天文シミュレーションソフトを読み込み、コンピュータで実行することにより各土地の星空をシミュレーション表示する、端末装置で構成される星空の表示装置において、
    複数の土地の人工照明による明るさを示すデータを形成する夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップを記憶した記憶手段と、
    所望の観測地の位置情報に対し前記夜空の明度マップまたは夜空の明度分布データマップから夜空の明度または明度分布データを読み出すことにより所望の観測地の夜空の明度または明度分布データを求め、該所望の観測地の夜空の明度または明度分布を加味した空の明るさおよび色の映像を作成するか、または投影される恒星の数および明るさを変えた映像を作成する映像作成手段と、
    前記映像作成回路から出力される映像を表示する画像モニタとを備え、
    夜空の明度または明度分布データに対応した星空を再現することを特徴とする星空の表示装置。
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