JP2008272653A - 触媒構造体,触媒組成物,および,触媒構造体の製造方法 - Google Patents

触媒構造体,触媒組成物,および,触媒構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 触媒の性能を高くする触媒構造体,その触媒構造体を構成する触媒組成物,および,触媒構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明で用いる触媒構造体1は、図1(a)に示すように、基材10と、基材10の表面に形成される触媒層20と、からなる。触媒層20は、少なくとも、触媒と、触媒を担持する担体と、バインダーと、を含んでおり、触媒の用途に応じて、導電剤,抗菌剤,スラリー安定剤などが含まれる。
本発明の触媒構造体では、触媒層に触媒を担持する担体が含まれるため、触媒が気体と接触する接触面積が大きくなる。よって、基材の比表面積が小さいものであっても触媒の性能を高くすることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、基材と触媒層とからなる触媒構造体と、触媒層を形成する触媒組成物と、触媒構造体の製造方法に関する。
空気中に存在する人体に悪影響のある物質や悪臭の原因となる物質を取り除くことで、空気を清浄化する機能を備える空気清浄機やエアコンなどの家電製品が広く普及している。このような家電製品では、一般に、空気の流路にフィルターが取り付けられており、そのフィルターで上述した物質を捕集することで空気の清浄化を実現する。
また、さらに高度な空気の清浄を行うために、例えば、紙を材質としたハニカムを基材として常温触媒をコーティングしたフィルターを空気清浄機に取り付けることで、オゾンのような汚染物質を分解して、空気清浄,防臭などを行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−181301号公報
近年では、建造物の高気密化により居住空間の自然換気能力が低下したことや、高電圧を要するためオゾンが発生してしまう電気機器などの使用が増加したことなどにより、空気の高度な清浄化を行うべき対象が増加している。そのため、従来触媒を備えていない部分に触媒を取り付けることが望まれている。
たとえば、複写機の帯電ユニットから発生するオゾンを、帯電ユニットの金属部分を腐食させる前に素早く分解するためには、帯電ユニット内部のオゾンが発生する位置付近に触媒を取り付ける必要がある。この場合には、帯電ユニット内壁などを基材とし、その表面に触媒をコーティングするとよい。
しかしながら、上述した帯電ユニット内壁など、触媒をコーティングすることを目的としていないものを基材に用いる場合には、それらの表面が平滑に形成されていることが多く、基材としての表面積は小さくなってしまう。よって、触媒をコーティングしても触媒と気体とが接触する接触面積が大きくならないので、触媒の能力が落ちるという問題が発生していた。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、触媒の性能を高くすることができる触媒構造体,その触媒構造体を構成する触媒組成物,および,触媒構造体の製造方法を提供する。
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、基材と、基材の表面に形成された触媒層と、からなる触媒構造体であって、前記触媒層は、触媒と、該触媒を担持する担体と、バインダーと、を含むことを特徴とする。
このように構成された触媒構造体において、触媒は大きな比表面積を有する担体に担持される。よって、触媒が気体と接触する接触面積が大きくなるため、基材の比表面積が小さいものであっても触媒の性能を高くすることができる。
また、基材を形成する材質は特に限定されないが、請求項2に記載したように、前記基材としては、単体金属,合金,樹脂,紙からなる群から選ばれる一種以上のものを用いてもよい。
このように構成された触媒構造体であれば、単体金属,合金,樹脂,紙などで構成される基材を用いて触媒構造体を形成することができる。
なお、単体金属であればCu,Al,Niなどが好適である。また、合金であれば、アルミ基合金,銅基合金,Ni基合金,各種ステンレスなどが好適である。また、樹脂であればオレフィン系樹脂,PMMA,PET,各種PAN,PC,エポキシ樹脂,ABS樹脂,PPS,PEEK樹脂などが好適である。基材の厚さは、20μm以上とするとよい。20μm未満は歩留まりが悪くコスト高となる。
また、上記基材の形状は特に限定されないが、請求項3に記載したように、前記基材としては、シート状,平板状,パンチングメタル状,網状,ハニカム状,ルーバー状,薄状シートの積層シート状,エンボス状のいずれかの形状のものを用いてもよい。
このように構成された触媒構造体であれば、シート状,平板状,パンチングメタル状,網状,ハニカム状,ルーバー状,薄状シートの積層シート状,エンボス状に触媒構造体を形成することができるため、それらの形状であることが必須とされる部位に触媒構造体を形成することができる。
また、前記バインダーは、無機系のバインダーでもよいが、請求項4に記載したように、オレフィン系,エラストマー系,アクリル樹脂のような有機系バインダーを用いてもよい。
このように構成された触媒構造体は、80℃以下などの低温で使用する触媒を担持するのに好適である。
なお、オレフィン系とは、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性オレフィンなどが該当し、エラストマー系とは、NBR,SBR,ブチルゴム,アクリル,フッ素ゴムなどが該当する。その他、ポリイミド系、エポキシ系の微粒子からなるバインダーを適用することもできる。
また、本発明で用いるバインダーは、20〜900nmの微粒子であることが望ましい。バインダーが20nm以上であれば、触媒および担体の表面層を被覆してしまうことなく、触媒の活性を維持できる。また、バインダーが900nm以下であれば、必要な添加量が減少するため、触媒性能の低下を防止すると共に、コストの低減を実現できる。
また、上記バインダーは、基材の種類に応じて有機系,無機系溶剤を使用したエマルジョン型またはディスパージョン型のものを用いることが考えられる。
ところで、前記触媒は、請求項5に記載されたように、少なくともゼオライト系触媒を含むこととしてもよい。
このように構成された触媒構造体は、家電,ビジネス機器のように、110℃以下の低い温度で使用するのに好適である。なお、合成ゼオライト系触媒を基本に各種酸化触媒,還元性触媒を適用することができる。いずれの触媒も環境と人体への安全性を配慮して、人間の骨格構成成分であるMn,Zn,Feの酸化物,複合酸化物からなる触媒を用いるとよい。
また、前記担体は、請求項6に記載したように、アルミ化合物,シャモット,活性炭,多孔質シリカからなる群から選ばれる一種以上であることとしてもよい。
このように構成された触媒構造体は、その担体の比表面積が大きいことから、触媒が気体と接触する接触面積が大きくなり、触媒の性能を高めることができる。それにより、金属表面や樹脂表面のように、凹凸が少なく比表面積が小さい基材の表面部分に触媒層を形成しても、触媒性能が低下することを防止できる。
また、前記触媒層は、請求項7に記載されているように、導電性を有する導電剤を含むこととしてもよい。
このように構成された触媒構造体であれば、触媒層に導電性を付与することができるため、複写機の帯電ユニットにおける高圧チャージワイヤなどのように、表面に導電性を有する必要がある箇所にも触媒層を形成することができる。担体に導電剤を担持させるためには、吸着,熱分解,浸漬含浸などの方法を用いるとよい。
なお、上記導電剤としては、請求項8に記載したように、コロイダルカーボン,ケッチンブラック,アセチレンブラック、イオン液体,ITO,ZnOx,SnOx,有機導電剤からなる群から選ばれる一種以上を用いてもよい。このような導電剤を適用することで、触媒層に導電性を付与することができる。ここでいう有機導電剤とは、ポリピロール,ポリアニリン,チオフェンなどが該当する。なお、これら導電剤を担体に担持させるためには、吸着,熱分解,浸漬含浸などの方法を用いるとよい。
また、前記触媒層は、請求項9に記載したように、抗菌剤を含むこととしてもよい。
このように構成された触媒構造体であれば、触媒層の細菌による汚染を防止できる。さらに、脱臭の効果も得ることができる。
なお、上記抗菌剤としては、銀塩やチオスルファト錯体銀のような無機系抗菌剤や有機系抗菌剤を使用することが考えられる。
また、前記触媒層は、請求項10に記載したように、その厚みが10〜500μmであることとしてもよい。触媒層の厚みが10μm以上であれば、触媒効果が小さくなることを防止できると共に、触媒層の劣化寿命を長く保つことができる。さらに好ましくは20μm以上がよい。また、触媒層の厚みが500μm以下であれば、触媒層の基材に対する密着性を高く保つことができると共に、触媒層の厚みが増加することによるコストの増加を防止できる。さらに好ましくは400μm以下がよい。
また、請求項11に記載の触媒組成物は、触媒と、該触媒を担持する担体と、バインダーと、を含むことを特徴とする。
このような触媒組成物は、請求項1〜10のいずれかに記載された触媒構造体を構成することができる。また、このような触媒組成物を用いて触媒構造体を構成する際には、基材の材質,形状,表面にコーティングするための手段,などに応じて触媒組成物の粘度を調整する場合があるが、上記触媒組成物では、バインダーの粘度を調整する方法だけでなく、担体の粒径および添加量を調整する方法を用いて粘度を変化させることもできる。
また、請求項12に記載の触媒構造体の製造方法は、請求項11に記載の触媒組成物を基材の表面にコーティングすることを特徴とする。
このような触媒構造体の製造方法を用いると、請求項1〜10のいずれかに記載された触媒構造体を製造することができる。また、上述した製造方法であれば、既に完成した基材の上から触媒組成物をコーティングして触媒層を形成すればよいので、基材自体の製造工程をなんら変更する必要がなく、容易に既存の設備に適用させることができる。
なお、このときの具体的なコーティング方法としては、スプレー法,塗布法,ディップ法,垂らし掛け法,グラビア印刷法などを用いることができる。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
(触媒組成物の製造)
以下に、本実施例の触媒構造体における触媒層を構成する触媒組成物であるコーティング用スラリーの具体的な材料を、主触媒の銅ゼオライト100重量部に対する各量で示す。
銅ゼオライト(触媒):100部
多孔質シリカ(担体):10部(抗菌剤として、チオスルファト錯体銀3wt%含有)
バインダー:5部(SBRエマルジョン;日本ゼオン製BM−400B)
スラリー安定剤:1部(CMC)
図1にコーティング用スラリーの製造工程図を示す。上述した材料を、まず、オムニミキサーを用いて乾式混合する。次に、水とゾル状のバインダーを添加し、混練ミキサーを用いて湿式混合する。次に、Z式ニーダーのような混練ミキサーで混練する。そして、ディスパージョンミルを用いて粉砕して、コーティング用スラリーを完成する。
(触媒構造体の製造)
続いて、基材に上記スラリーをコーティングして触媒構造体を形成する。触媒構造体の基材としては、エアコンの吸入部に取り付けるハニカム,排出用ルーバー,および,エアコン本体の内表面を選択した。本実施例では、(1)基材がABS樹脂であるエアコンと、(2)基材がPP樹脂であるエアコンと、の2種のエアコンに対し、それぞれ触媒構造体を形成した。
図2に、コーティング用スラリーを用いた触媒構造体の製造工程図を示す。まず、基材を洗浄する。ABS樹脂やPP樹脂のような樹脂基材は、オゾン洗浄やボンパードメント処理で洗浄する。
次に、上述したコーティング用スラリーを基材表面にコーティングして触媒層を形成する。ハニカム形状の触媒構造体はディップ法にて製造し、排出用ルーバーおよびエアコン内表面の触媒構造体はスプレー法で製造する。このとき、触媒層の厚みが30μmとなるように形成する。その後、遠赤外線乾燥などを用いて乾燥させ、触媒構造体を完成する。
このようにして製造した触媒構造体の断面図を図3(a)に示す。触媒構造体1は、基材10と、基材10の表面に形成される触媒層20と、からなる。触媒層20は、銅ゼオライト(触媒),多孔質シリカ(担体),SBR(バインダー),チオスルファト錯体銀(抗菌剤),CMC(スラリー安定剤)を含む。
本実施例においては、上記の触媒構造体を形成した家庭用エアコンを用いて、アセトアルデヒドの除去試験を行い、その効果を確認した。
(i)試験1
床部分が3m×4m,高さ2mの24m3の密閉した試験室に、アセトアルデヒドを濃度100ppmとなるように注入し、エアコン(単相200V,冷房能力3.6kW,暖房能力4.5kWの標準型)を稼働させた。そして、エアコン稼働開始から15分後,30分後,60分後それぞれの室内のアセトアルデヒド濃度を、HC計測器とガスクロマトグラフィーにより測定した。また、エアコン稼働時の騒音を測定した。
なお、本試験では、基材がABS樹脂である上記(1)と、基材がPP樹脂である上記(2)と、に加えて、比較例として、紙製のハニカム形状の触媒を吸入口にのみ備えるエアコン(3)の3種類を用意し、それぞれの場合におけるアセトアルデヒド濃度を測定した。この比較例(3)における紙製のハニカムは、ゼオライト触媒および金属酸化物触媒を、パルプ原料と混合して200〜500μmの厚みの紙となるように漉き、この紙をダンボール状にコールゲートしてハニカム状に加工したものを用いた。これら(1)〜(3)の条件一覧を表1に示す。また、上記測定結果を表2に示す。
Figure 2008272653
Figure 2008272653
(結果)
上記表1から分かるように、上記(1),(2)では、60分経過後のアセトアルデヒド濃度はそれぞれ28ppm,26ppmであり、除去率がそれぞれ72%,74%となった。このことから、従来は触媒の取り付けを行っていない箇所に触媒を取り付けると共に、さらに担体により触媒と空気との接触面積を大きくすることで、高い効率でアセトアルデヒドを除去できることが明らかとなった。
これに対して、比較例(3)における60分経過後のアセトアルデヒド濃度は72ppmであり、除去率は28%に留まった。このことから、従来のように限定的な位置にしか触媒を取り付けることができないエアコンでは、触媒によるアセトアルデヒドの分解作用を充分に得ることができないといえる。
(ii)試験2
また、触媒構造体を形成した後、500時間運転させたエアコンを用いて、上記と同様の試験を行った。その結果、エアコン稼働開始から60分経過後のアセトアルデヒド濃度は、(1)〜(3)がそれぞれ33ppm,31ppm,83ppmとなり、除去率がそれぞれ67%,69%,17%であった。このとき、アセトアルデヒドの除去効果の維持率((ii)の試験における除去率×100/上記(i)の試験における除去率)は、(1),(2)が約93%であるのに対し、(3)は約61%である。よって、本発明の触媒構造体は、触媒効果の劣化も比較例に比べて小さいことが明らかになった。
また、本実施例(1),(2)では、比較例(3)のように紙製の触媒を用いるものに比べて、エアコン運転時の静音化が達成できた。
(触媒組成物の製造)
以下に、本実施例の触媒構造体における触媒層を構成する触媒組成物であるコーティング用スラリーの具体的な材料を、主触媒の銅ゼオライト100重量部に対する各量で示す。
銅ゼオライト(触媒):100部
多孔質シリカ(担体):42部(酸化マンガン触媒10wt%,導電剤としてコロイダルカーボン10wt%含有)
バインダー:15部(変性オレフィンエマルジョン固形分相当量。キシレン溶媒使用)
スラリー安定剤:1部(有機系増粘剤)
本実施例においては、上述した実施例1と同様の方法を用いてコーティング用スラリーを製造する。
(触媒構造体の製造)
続いて、基材に上記スラリーをコーティングして触媒構造体を形成する。本実施例においては、複写機の帯電ユニット内部に触媒構造体を形成した。
本実施例の帯電ユニット30の断面図を図4に示す。帯電ユニット30は、一の面が開口に形成された箱状の帯電槽32と、帯電槽32の内部に配置される高圧ワイヤー34と、帯電槽32の開口を覆うように配置される薄状のメッシュ金網形状のメッシュカバー36と、などから構成される。
基材としては、高圧ワイヤー34および帯電槽32の内表面を選択した。上記高圧ワイヤー34はタングステン製である。また、上記メッシュカバー36はニッケル合金製である。
具体的な製造は、図2に示すように、まず、基材を洗浄する。本実施例の基材は金属製であるので、基材を脱脂洗浄し、次にプライマー塗布を行い、プライマーを乾燥することで基材を洗浄する。
次に、上述したコーティング用スラリーを基材表面にコーティングして触媒層を形成する。高圧ワイヤー34および帯電槽32の内面の触媒層は、スプレー法で製造した。
このようにして製造した触媒構造体の触媒層は、銅ゼオライトおよび酸化マンガン(触媒),多孔質シリカ(担体),変性オレフィン(バインダー),コロイダルカーボン(導電剤),有機系増粘剤(スラリー安定剤)を含む。
本実施例においては、上記の触媒構造体を形成した帯電ユニット30を用いて、発生するオゾンの残存量を測定し、その効果を確認した。
(試験方法)
床部分が3m×4m,高さ2.5mの30m3の密閉した試験室において、上記帯電ユニット30の高圧ワイヤー34に6kVの電圧を印加し、帯電ユニット30より1m離れた位置にて、大気中オゾン測定装置を用いてオゾン濃度を計測した。なお、高圧ワイヤー34,帯電槽32共に触媒層のコートを行わないものに同様の試験を行った(比較例2)。測定結果を以下の表3に示す。
Figure 2008272653
(結果)
上記表3から分かるように、本実施例では、1時間連続運転後のオゾン濃度は0.03ppm、100時間連続運転後のオゾン濃度は0.02ppmであり、いずれも米国の室内環境基準(0.05ppm)以下に抑えることができた。これに対し、比較例では、0.1ppm以上の高いオゾン濃度が測定された。
よって、従来は触媒の取り付けを行っていない箇所に触媒を取り付けると共に、さらに担体により触媒と空気との接触面積を大きくすることで、帯電ユニット30から発生したオゾンを効果的に分解できることが明らかになった。
また、比較例では、100時間経過した後に高圧ワイヤー部全面が酸化により腐食し、酸化物の粉塵が帯電槽内に落下していたが、本実施例では、高圧ワイヤーの腐食は見られなかった。
(触媒組成物の製造)
以下に、本実施例の触媒構造体における触媒層を構成する触媒組成物であるコーティング用スラリーの具体的な材料を、主触媒の銅ゼオライト100重量部に対する各量で示す。
銅ゼオライト(触媒):100部
多孔質シリカ(担体):15部(抗菌剤として、チオスルファト錯体銀3wt%含有)
バインダー:5部(変性オレフィンエマルジョン固形分相当量。キシレン溶媒使用)
スラリー安定剤:1部(有機系増粘剤)
本実施例においては、上述した実施例1と同様の方法を用いてコーティング用スラリーを製造する。
(触媒構造体の製造)
続いて、基材に上記スラリーをコーティングして触媒構造体を形成する。本実施例においては、紙オムツに触媒構造体を形成した。
本実施例の紙オムツの断面図を図5に示す。本実施例の紙オムツ50は、人体の臀部60に接触する表面材52と、尿などの水分を吸収する吸収剤54と、尿などが紙オムツ50の外部に漏れることを防止する防水材56と、などから構成される。
これらのうち、吸収剤54は、白色の多孔質シリカ(サイリシア、富士シリシア化学株式会社製)に抗菌剤を添加されたものである。
また、防水材56は、着色ポリエチレン製の30μmのシートからなる。
基材としては、上記防水材56を選択した。
具体的な製造は、図2に示すように、まず、基材を洗浄する。ここでは、オゾン洗浄やボンパードメント処理で洗浄する。
次に、上述したコーティング用スラリーを基材表面にコーティングして触媒層を形成する。本実施例において、触媒構造体はグラビア印刷法で製造した。
このようにして製造した触媒構造体の触媒層は、銅ゼオライト(触媒),多孔質シリカ(担体),変性オレフィン(バインダー),チオスルファト錯体銀(抗菌剤),有機系増粘剤(スラリー安定剤)を含む。
本実施例においては、上記の触媒構造体を形成した紙オムツ50を用いてメチルメルカプタンの減少量を測定した。
(試験方法)
広さ2m3の密閉した試験室において、メチルメルカプタンを2ppmとなるように注入し、上記紙オムツ50を試験室に封入して1時間静置し、北川式ガス検知管を用いてメチルメルカプタン濃度を測定した。また、防水材56に触媒構造体を形成しないものに同様の試験を行った(比較例3)。測定結果を以下の表4に示す。
Figure 2008272653
(結果)
上記表4から分かるように、本実施例では、排便時のメチルメルカプタン濃度が0.0001ppm以下となった。これは、わずかに臭気を感じる程度の濃度であり、比較例3の0.002ppm(悪臭を感じる濃度)と比べて、メチルメルカプタンが減少した。よって、従来は触媒の取り付けを行っていない箇所に触媒を取り付けると共に、さらに担体により触媒と空気との接触面積を大きくすることで、排便時のメチルメルカプタンを効果的に分解できることが明らかになった。
また、抗菌剤,吸収剤を併用したことで、皮膚のかぶれ,むれも防止できた。
[本発明の効果]
本発明の触媒構造体では、比表面積が大きい基材を用いなくとも、高い触媒の効果を得ることができる。
また、有機系のバインダーを用いると、触媒層を形成する際に焼成処理を行う必要がないため、セラミック等の耐熱性を有する材質以外であっても基材として用いることができる。それにより、樹脂や金属などを触媒構造体に適用することが可能になり、エアコンや複写機のような機器の内部,紙オムツの内部などにおいて触媒の効果を得ることが可能になる。
[変形例]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記各実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記各実施例の触媒構造体は、図3(a)に示すように、基材10の一方の面にのみ触媒層が形成されるものを例示したが、本発明の触媒構造体1は、図3(b)に示すように、基材10の両面に触媒層20を形成してもよい。
また、上記各実施例においては、触媒として、銅ゼオライトあるいは酸化マンガンを用いる構成を例示したが、それ以外の触媒を用いてもよい。例えば、合成ゼオライト系触媒を基本に各種酸化触媒,還元性触媒を適用することが考えられる。いずれの触媒も環境と人体への安全性を配慮して、人間の骨格構成成分であるMn,Zn,Feの酸化物,複合酸化物からなる触媒を用いるとよい。
また、上記各実施例においては、担体として多孔質シリカを用いる構成を例示したが、アルミ化合物,シャモット,活性炭などをもちいてもよい。
また、上記各実施例においては、バインダーとして、変性オレフィン,SBRを用いる構成を例示したが、ポリエチレン,ポリプロピレン,NBR,ブチルゴム,アクリル,フッ素ゴム,ポリイミド系,エポキシ系の微粒子からなるバインダーを適用してもよい。また、無機系のバインダーを用いてもよい。
また、上記各実施例においては、コーティング用スラリーのコーティング方法として、スプレー法,ディップ法,グラビア印刷法などを用いる構成を例示したが、塗布法,垂らし掛け法などを用いてコーティングを行ってもよい。
また、本発明の触媒構造体において、基材の形状は、シート状,平板状,パンチングメタル状,網状,ハニカム状,ルーバー状,薄状シートの積層シート状,エンボス状のいずれかの形状であってもよい。
また、本発明の触媒構造体は、ダンボールや包装紙などの紙の表面に適用してもよい。
また、上記実施例2においては、メッシュカバー36として、ニッケル合金製の薄状のメッシュ金網を用いる構成を例示したが、ニッケル合金に代えて耐食性ステンレス(304系,430系,316系)などを用いてもよく、メッシュ金網に代えてパンチングメタルを用いてもよい。
また、上記実施例2においては、複写機の帯電ユニット30から発生するオゾンを除去する目的で触媒構造体を設けたが、分煙装置や空気清浄機などに使用されるオゾン発生素子に触媒構造体を設けてもよい。その場合のオゾン発生素子の構造断面図を図6に示す。
オゾン発生素子40は、金属基材42と、金属基材42を覆う第一絶縁層44と、第一絶縁層44の一の面に配置され、内部に高圧電線46を有する第二絶縁層48と、からなる。このとき、第一絶縁層44,第二絶縁層48を基材とし、その表面に本発明の触媒層20を形成することで、オゾンの分解を促進できる。
本発明の触媒構造体を示す断面図 コーティング用スラリーの製造工程を示す図 触媒構造体の製造工程を示す図 実施例の帯電ユニットを示す断面図 実施例の紙オムツを示す断面図 変形例のオゾン発生素子を示す断面図
符号の説明
1…触媒構造体、10…基材、20…触媒層、30…帯電ユニット、32…帯電槽、34…高圧ワイヤー、36…メッシュカバー、40…オゾン発生素子、42…金属基材、44…第一絶縁層、46…高圧電線、48…第二絶縁層、50…紙オムツ、52…表面材、54…吸収剤、56…防水材、60…人体の臀部

Claims (12)

  1. 基材と、基材の表面に形成された触媒層と、からなる触媒構造体であって、
    前記触媒層は、触媒と、該触媒を担持する担体と、バインダーと、を含む
    ことを特徴とする触媒構造体。
  2. 前記基材は、単体金属,合金,樹脂,紙からなる群から選ばれる一種以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の触媒構造体。
  3. 前記基材は、シート状,平板状,パンチングメタル状,網状,ハニカム状,ルーバー状,薄状シートの積層シート状,エンボス状のいずれかの形状である
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の触媒構造体。
  4. 前記バインダーは、オレフィン系,エラストマー系,アクリル樹脂からなる群から選ばれる一種以上である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の触媒構造体。
  5. 前記触媒として、少なくともゼオライト系触媒を含む
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の触媒構造体。
  6. 前記担体は、アルミ化合物,シャモット,活性炭,多孔質シリカからなる群から選ばれる一種以上である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の触媒構造体。
  7. 前記触媒層は、導電性を有する導電剤を含む
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の触媒構造体。
  8. 前記導電剤は、コロイダルカーボン,ケッチンブラック,アセチレンブラック、イオン液体,ITO,ZnOx,SnOx,有機導電剤からなる群から選ばれる一種以上である
    ことを特徴とする請求項7に記載の触媒構造体。
  9. 前記触媒層は、抗菌剤を含む
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の触媒構造体。
  10. 前記触媒層の厚みが10〜500μmである
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の触媒構造体。
  11. 触媒と、該触媒を担持する担体と、バインダーと、を含む
    ことを特徴とする触媒組成物。
  12. 請求項11に記載の触媒組成物を基材の表面にコーティングする
    ことを特徴とする触媒構造体の製造方法。
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