JP2008271967A - エルシニア・ペスティス及びシュードモナス・エルギノーサのdna複製をブロックする薬剤の開発のためのシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】シュードモナス・エルギノーサとエルシニア・ペスティスの中心的なDNA複製装置を阻害する新規な治療剤の提供。
【解決手段】DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調させる化合物をスクリーニングする方法であって、a)レプリカーゼ活性に関して許容する条件下で少なくとも一つの試験化合物に単離されたレプリカーゼを接触させ;b)試験化合物の存在下でレプリカーゼの活性を評価し;そしてc)試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物の不在下でのレプリカーゼの活性と比較するが、その際、試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性における変化が、レプリカーゼの活性を変調させる化合物の指標である。レプリカーゼは単離されたシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質である。
【選択図】図1
【解決手段】DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調させる化合物をスクリーニングする方法であって、a)レプリカーゼ活性に関して許容する条件下で少なくとも一つの試験化合物に単離されたレプリカーゼを接触させ;b)試験化合物の存在下でレプリカーゼの活性を評価し;そしてc)試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物の不在下でのレプリカーゼの活性と比較するが、その際、試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性における変化が、レプリカーゼの活性を変調させる化合物の指標である。レプリカーゼは単離されたシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質である。
【選択図】図1
Description
連邦が後援する研究及び開発に関する陳述
MPEP 310の基での陳述。米国政府は、この発明における支払済のライセンスを有し、そして妥当な期間、他者に対して特許所有者がライセンスすることを必要とする限定された環境における権利を有し、ナショナルインスティチュートオブヘルス(NIH)により授与されたSBIR助成金1R43 GM64854−01、並びにディフェンスアドバンスドリサーチプロジェクトエージェンシー(DARPA)助成金N65236−01−1−7402の合意により提供されるとおりである。
MPEP 310の基での陳述。米国政府は、この発明における支払済のライセンスを有し、そして妥当な期間、他者に対して特許所有者がライセンスすることを必要とする限定された環境における権利を有し、ナショナルインスティチュートオブヘルス(NIH)により授与されたSBIR助成金1R43 GM64854−01、並びにディフェンスアドバンスドリサーチプロジェクトエージェンシー(DARPA)助成金N65236−01−1−7402の合意により提供されるとおりである。
この発明の開発の間に実施された研究の一部は米国政府基金を利用した。米国政府はこの発明において一定の権利を有する。
発明の分野
本発明は、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)及びシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット及び構造遺伝子をコードする遺伝子及びアミノ酸配列、並びに各々の生物のための完全な染色体のDNA複製伸長システムの集合体に関する。本発明は、DNAポリメラーゼIII分子を同定するのに有用な抗体及び他の試薬(reagents)も提供する。
本発明は、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)及びシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット及び構造遺伝子をコードする遺伝子及びアミノ酸配列、並びに各々の生物のための完全な染色体のDNA複製伸長システムの集合体に関する。本発明は、DNAポリメラーゼIII分子を同定するのに有用な抗体及び他の試薬(reagents)も提供する。
発明の背景
DNA複製。マクロ分子合成の他の多くの複雑な機構と同様に、DNA複製の根本的な機構は生物を通じて保存されてきた。合成の化学及び方向、RNAプライマーの必要性、ラギング鎖上のオカザキフラグメントによる半保存的複製の機構及びよく規定された起点に関する要求が共通である(Kornberg,A.andBaker,T.A.(1992)DNA Replication,2版、WHFreeman and Company,NewYork)。この文献、及び引用された他の文献は引用によりそれらの全体を編入する。複製装置の基本的な特徴も共通である。全ての複製システムは、主に、複製装置の残部との特異的蛋白質−蛋白質相互作用に関与することができるその能力により、その他とは識別される複製ポリメラーゼからなる。全ての細胞、原核生物及び真核生物の両者は、複数のDNAポリメラーゼを含む。しかし、これらポリメラーゼの1セットのみで複製触媒サブユニットとして機能できる。真核生物においては、δポリメラーゼが主要なポリメラーゼである可能性が強い(Nethanel,T.and Kaufmann,G.(1990)J Virol 64,5912−5918)が、大腸菌においては、DNAポリメラーゼIIIのαサブユニットが重合ユニットとして働く。ポリメラーゼIIIサブユニットは、遺伝子産物として及び個々のギリシャ文字により:α(DnaE),ポリメラーゼ触媒ユニット;β(DnaN),スライディングクランププロセッシビティー因子;DnaX(τ(そして大腸菌及びサーマス・サーモフィルス(T.thermophilus)においてはγ));DnaX複合体のATPaseサブユニット;δ(HolA)及びδ’(HolB)、DnaX複合体の必須の補助サブユニット。これら2つのポリメラーゼは、異なるクラスであり、そして蛋白質配列レベルでは検出可能な相同性を提供しない。別の鍵となる複製システム成分は、いわゆるスライディングクランプであり、複製システム上での高いプロセッシビティーを付与する(プロセッシビティーは鋳型解離−触媒−解離事象あたりに挿入されるヌクレオチドの数として定義される)。それは、DNAの回りを絞めるブレスレット形態の分子からなり、迅速にDNAをスライドダウンすることを可能にさせるが、解離はしない。クランプは、蛋白質−蛋白質相互作用によりポリメラーゼに接近して、鋳型からそれが落ちるのを防ぐことにより、高いプロセッシビティーを保証する。原核生物及び真核生物のスライディングクランプは、それぞれ、βとPCNAである。酵母のPCNAと大腸菌のβの結晶構造はほとんど重ね合わせることができる(Kong,X.P.,Onrust,R.,O’Donnell,M.,and Kuriyan,J.(1992)Cell 69,425−43717;Krishna,T.S.,Kong,X.P.,Gary,S.,Burgers,P.M.,and Kuriyan,J.(1994)Cell 79,1233−124318);しかし、上記2つの間の関係は構造レベル及び機能レベルにおいてのみである。蛋白質配列レベルにおいては、PCNAとβの間に相同性はない。細菌及び真核生物の両方において、ATP依存性反応にてプライマー末端上へスライディングクランプを移動させることに、5−蛋白質複合体が必須である(Lee,S.H.,Kwong,A.D.,Pan,Z.Q.,andHurwitz,J.(1991)J Biol Chem266,594−602;Bunz,F.,Kobayashi,R.,and Stillman,B.(1993)ProcNatl Acad SciUSA 90,11014−11018)。いくつかのサブユニットは真核生物と細菌の間で認識可能な配列相同性を呈するが、主に、保存されたATP結合N−末端ドメインにおいてである。そこでさえ、リード化合物を細菌特性に最適化させることを可能にさせるべき、十分な相違が存在する(Carter,J.R.,Franden,M.A.,Aebersold,R.,andMcHenry,C.S.(1993)J Bacteriol 175,3812−3822;O’Donnell,M.,Onrust,R.,Dean,F.B.,Chen,M.,andHurwizt,J.(1993)Nucleic Acids Res 21,1−3;Bruck,I.and O’Donnell,M.(2999)JBiol Chem 275,28971−28983)。
DNA複製。マクロ分子合成の他の多くの複雑な機構と同様に、DNA複製の根本的な機構は生物を通じて保存されてきた。合成の化学及び方向、RNAプライマーの必要性、ラギング鎖上のオカザキフラグメントによる半保存的複製の機構及びよく規定された起点に関する要求が共通である(Kornberg,A.andBaker,T.A.(1992)DNA Replication,2版、WHFreeman and Company,NewYork)。この文献、及び引用された他の文献は引用によりそれらの全体を編入する。複製装置の基本的な特徴も共通である。全ての複製システムは、主に、複製装置の残部との特異的蛋白質−蛋白質相互作用に関与することができるその能力により、その他とは識別される複製ポリメラーゼからなる。全ての細胞、原核生物及び真核生物の両者は、複数のDNAポリメラーゼを含む。しかし、これらポリメラーゼの1セットのみで複製触媒サブユニットとして機能できる。真核生物においては、δポリメラーゼが主要なポリメラーゼである可能性が強い(Nethanel,T.and Kaufmann,G.(1990)J Virol 64,5912−5918)が、大腸菌においては、DNAポリメラーゼIIIのαサブユニットが重合ユニットとして働く。ポリメラーゼIIIサブユニットは、遺伝子産物として及び個々のギリシャ文字により:α(DnaE),ポリメラーゼ触媒ユニット;β(DnaN),スライディングクランププロセッシビティー因子;DnaX(τ(そして大腸菌及びサーマス・サーモフィルス(T.thermophilus)においてはγ));DnaX複合体のATPaseサブユニット;δ(HolA)及びδ’(HolB)、DnaX複合体の必須の補助サブユニット。これら2つのポリメラーゼは、異なるクラスであり、そして蛋白質配列レベルでは検出可能な相同性を提供しない。別の鍵となる複製システム成分は、いわゆるスライディングクランプであり、複製システム上での高いプロセッシビティーを付与する(プロセッシビティーは鋳型解離−触媒−解離事象あたりに挿入されるヌクレオチドの数として定義される)。それは、DNAの回りを絞めるブレスレット形態の分子からなり、迅速にDNAをスライドダウンすることを可能にさせるが、解離はしない。クランプは、蛋白質−蛋白質相互作用によりポリメラーゼに接近して、鋳型からそれが落ちるのを防ぐことにより、高いプロセッシビティーを保証する。原核生物及び真核生物のスライディングクランプは、それぞれ、βとPCNAである。酵母のPCNAと大腸菌のβの結晶構造はほとんど重ね合わせることができる(Kong,X.P.,Onrust,R.,O’Donnell,M.,and Kuriyan,J.(1992)Cell 69,425−43717;Krishna,T.S.,Kong,X.P.,Gary,S.,Burgers,P.M.,and Kuriyan,J.(1994)Cell 79,1233−124318);しかし、上記2つの間の関係は構造レベル及び機能レベルにおいてのみである。蛋白質配列レベルにおいては、PCNAとβの間に相同性はない。細菌及び真核生物の両方において、ATP依存性反応にてプライマー末端上へスライディングクランプを移動させることに、5−蛋白質複合体が必須である(Lee,S.H.,Kwong,A.D.,Pan,Z.Q.,andHurwitz,J.(1991)J Biol Chem266,594−602;Bunz,F.,Kobayashi,R.,and Stillman,B.(1993)ProcNatl Acad SciUSA 90,11014−11018)。いくつかのサブユニットは真核生物と細菌の間で認識可能な配列相同性を呈するが、主に、保存されたATP結合N−末端ドメインにおいてである。そこでさえ、リード化合物を細菌特性に最適化させることを可能にさせるべき、十分な相違が存在する(Carter,J.R.,Franden,M.A.,Aebersold,R.,andMcHenry,C.S.(1993)J Bacteriol 175,3812−3822;O’Donnell,M.,Onrust,R.,Dean,F.B.,Chen,M.,andHurwizt,J.(1993)Nucleic Acids Res 21,1−3;Bruck,I.and O’Donnell,M.(2999)JBiol Chem 275,28971−28983)。
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素は大腸菌の複製ポリメラーゼであり、染色体の大部分の合成に必須である(総説として、Kelman,Z.andO’Donnell,M.(1995)AnnuRev Biochem 64,171−200)。上記酵素の複製における役割は、生化学の基準及び遺伝学の基準の両方により確立されてきた。ホロ酵素は、天然染色体アッセイを使用して生化学上定義されて精製された。DNAポリメラーゼIIIのホロ酵素形態のみが他の公知の複製蛋白質の存在下でインビトロにおいて一本鎖バクテリオファージを効率よく複製する(Wickner,W.andKornberg,A.(1973)Proc Natl Acad Sci USA70,367−3683;Hurwitz,J.and Wickner,S.(1974)ProcNatl Acad SciUSA 71,6−10;McHenry,C.S.and Kornberg,A.(1977)J Biol Chem252,6478−6484)。バクテリオファージλプラスミド、バクテリオファージMu及び大腸菌複製起点oriCを含む分子の複製において、上記ホロ酵素のみが機能する(Wold,M.S.,Mallory,J.B.,Roberts,J.D.,Lebowitz,J.H.,andMcMacken,R.(1982)Proc Natl Acad Sci USA79,6176−6180;Kaguni,J.M.,Fuller,R.S.,and Kornberg,A.(1982)Nature 296,623−627;Katayama,T.,Kubota,T.,Kurokawa,K.,Crooke,E.,andSekimizu,K.(1998)Cell 94,61−71;Jones,J.M.anNakai,H.(1997)EMBO J 16,6886−6895)。ホロ酵素は10のサブユニット:それぞれ129,900、71,000、474,400、406,00、38700、36,900、26,900、16,600、15,000及び8,800ドルトンの、α、τ、γ、β、δ、δ’、ε、Ψ、χ及びθを含む。
遺伝学の研究も、pol IIIホロ酵素に対する主要な複製の役割の割り当てを支持し、そしてさらに、抗細菌作用のための標的としてのそれを確認する。α触媒サブユニットの構造遺伝子であるdnaE内の温度感受性変異は条件致死性である(Gefter,M.L.,Hirota,Kornberg,T.,Wechsler,J.A.,andBarnoux,C.(971)Proc Natl Acad Sci USA68,3150−3153)。同様に温度感受性の条件致死性変異が、それぞれ、βプロセッシビティー因子、DnaX蛋白質及びεプルーフリーディングエキソヌクレアーゼをコードするdnaN,dnaX及びdnaQに関して単離された(Sakakibara,Y.andMizukami,T.(1980)Mol Gen Genet 178,541−553;Chu,H.,Malone,M.M.,Haldenwang,W.G.,andWalker,J.R.(1977)J Bacteriol 132,151−158;Henson,J.M.,Chu,H.,Irwin,C.A.,andWalker,J.R.(1979)Genetics 92,1041−1059;Horiuchi,T.,Maki,H.,Sekiguchi,M.(1978)MolGen Genet 163,277−283)。最後の5つのホロ酵素サブユニットの構造遺伝子は、リバースジェネティックスのアプローチにより同定された(Carteret al.,同じ箇所;Carter,J.R.,Franden,M.A.,Aebersold,R.,andMcHenry,C.S.(1992) Bacteriol 174,7013−7025;Carter,J.R.,Franden,M.A.,Aebersold,R.,Kim,D.R.,andMcHenry,C.S.(1993)Nucleic Acids Res 21,3281−3286;Carter,J.R.,Franden,M.A.,Aebersold,R.,andMcHenry,C.S.(1993)J Bacteriol 175,5604−5610;Dong,Z.,Onrust,R.,Skangalis,M.and O’Donnell,M.(1993)JBiol Chem 268,11773−11778)。これらは、それぞれ、δ、δ’、χ、Ψ及びθ遺伝子に関するこれらholA−Eと命名された。最近、holA及びBのノックアウト変異体は、δとδ’が細胞の生存に必須であることを示した(Song,M.−S.,Pham,P.T.,Olson,M.,Carter,J.R.,Franden,M.A.,Schaaper,R.M.,andMcHenry,C.S.(2001)J Biol Chem,276,35165−35175)ことから、抗細菌剤の開発のための標的としてそれらと、dnaE,dnaX,dnaQ及びdnaNを確認する。
大腸菌において同定された5つのDNAポリメラーゼのうち、pol IIIホロ酵素のみが主要な複製の役割を担うらしい。複製においてその唯一の役割を授与するpol IIIホロ酵素の特定の特徴とは何であろうか?これまでの研究は、迅速な伸長、高いプロセッシビティー、一本鎖DNA結合蛋白質をコートされた長い一本鎖鋳型を利用する能力、生理学上のレベルの塩に対する耐性及び複製装置の他の蛋白質に相互作用する能力がその独特の機能に全て必須であることを示唆する。対照的に、他の非複製ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼIは、インビトロ又はインビボのどちらでも複製ポリメラーゼに有効に代ることができない(Kornberg& Baker,前と同じ箇所)。これは、それらの低いプロセッシビティー、それらの一致する遅い反応速度、及び複製フォークにおいて調整された反応の触媒を可能にさせるために他の複製蛋白質に相互作用することができないためである。
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素は、M13Gori一本鎖DNAの二本鎖複製形態への変換により便利にアッセイされる(図1)。このアッセイは、細菌複製フォークにおける、ラギング鎖上のオカザキフラグメントの合成及びリーディング鎖上の伸長に必要な相互作用の全てを再現する。複製に先んじてDNAの2つの鎖を離すのに必要なDnaBヘリカーゼのみが無いのは、G4起点の機能のためにはそれが必要ないからである。このアッセイは、二重鎖DNA産物へのインターカレート蛍光体の添加に際して生じる蛍光の増加を監視することにより、高処理量フォーマットに適合した(Seville,M.,West,A.B.,Cull,M.G.,andMcHenry,C.S.(1996)Biotechniques 21,664−672)。
複数のDNAポリメラーゼIII形態。DNAポリメラーゼIIIホロ酵素は一連の連続する単純な形態で生化学上溶解することができる。DNAポリメラーゼIIIコアは、ε(3’から5’のエキソヌクレアーゼ活性を有するプルーフリーディングサブユニット)とθに強固に複合したα触媒サブユニットを含む。DNAポリメラーゼIII’はコア+τを含む。DNAポリメラーゼIIIはpolIII’+DnaXγ複合体(γ,δδ’,χΨ)を含む。ホロ酵素はpol III*+βからなる。
プロセッシビティー。複数ポリメラーゼIII形態のプロセッシビティーの研究はサブユニットの個々の寄与を明らかにした(Fay,P.J.,Johanson,K.O.,McHenry,C.S.,andBambara,R.A.(1981)J Biol Chem 256,976−983;Fay,P.J.,Johanson,K.O.,McHenry,C.S.,andBambara,R.A.(1982)J Biol Chem 257,5692−5699)。DNAポリメラーゼIIIの複数形態は、著しく異なるプロセッシビティーを呈する。コアのpolIIIは、より生理学的な条件下で完全に別個になること(プロセッシビティー=1)を減少させる低いイオン強度において低いプロセッシビティー(計算上10塩基)を有する。上記ホロ酵素は、その半集合体の何れよりも桁違いに高いプロセッシビティーを呈する。一本鎖ファージによる注意深く制御された実験においては、全鋳型(約8000ヌクレオチド)が30℃において15秒間で1回の進行事象にて合成される(Johanson,K.O.andMcHenry,C.S.(1982)J Biol Chem 257,12310−12315)。ホロ酵素がプライモソームの成分と反応する共役された複製フォークシステムに関して、150−550kbのプロセッシビティーが直接観察された(Wu,C.A.,Zechner,E.L.,HughesJr,A.J.,Franden,M.A.,McHenry,C.S.,and Marians,K.J.(1992)JBiol Chem 267,4064−4073)。これらの産物は、500−700nt/sの速度で合成される。即ち、相当する酵素形態の構造上の複雑性に匹敵するプロセッシビティーの進行が観察される。比較のため、細菌のDNAポリメラーゼIクラスの「修復種」のポリメラーゼのプロセッシビティーは典型的には15−50塩基である(Bambara,R.A.,Uyemura,D.,andChoi,T.(1978)J Biol Chem253,413)。
βスライディングクランプの構造。Kuriya,O’Donnell及び共同研究者により解析されたβのX線結晶学構造(Kong et al.,同じ箇所)は、その機能のための単純で上品な説明を提供する。βダイマーはブレスレット様構造を形成し、おそらくは中心の穴にDNAを通し、DNAを素早くスライドダウンされることを可能にするが、容易に解離することを防ぐ。βと複製複合体の他の成分の間の蛋白質−蛋白質の接触は、ポリメラーゼをDNAにつなぎ止め、そのプロセッシビティーを増加させる。強固に握られたブレスレットはDNAを容易に解離しないと予測される。これは、エネルギー依存性クランプセッティング複合体、DnaX複合体がプライマー末端を認識して、DNAの回りのβブレスレットを開いて閉じることの必要性を説明する。
開始複合体形成。高いプロセッシビティーを達成するため、ホロ酵素は、安定な開始複合体を形成するために、ATP(又はdATP)及びプライムされたDNAを要求する(Fay,etal.1981,同じ箇所)。開始複合体はゲル濾過により単離することができ、dNTPsの添加に際して、完全なRFII(複製形態II、複製が完了した部位において1カ所のニックを含む二重鎖環状)を10−15秒間で解離することなしに形成する(Wickner& Kornber,同じ箇所;Hurwitz & Wickner,同じ箇所;Johanson,K.O.and McHenry,C.S.(1980)J Biol Chem 255,10984−10990)。開始複合体の形成は、複製活性の抗β IgG耐性への変換として実験上監視することができる(Carter,etal.,1992,同じ箇所;Johanson & McHenry,同じ箇所、1980)。βは伸長に関与する;抗体は上記複合体中のβの侵入により抗体耐性が生じ、立体的に抗体の結合を排除する。
DnaX複合体:プライムされたDNA上にβスライディングクランプをセットする装置。DnaX蛋白質は、そのアミノ末端近傍においてコンセンサスATP結合部位を含み(Yin,K.C.,Blinkowa,A.,andWalker,J.R.(1986)Nucleic Acids Res )、δ−δ’−χ−Ψと共にATPに結合して加水分解するために使用され、プライマー末端上にβのプロセッシビティークランプを設置する。DnaXは、計算上2μMの解離定数にてATPを結合し(Tsuchihashi,Z.and Kornberg,A.(1989)JBiol Chem 264,17790−177)、そしてDNA−依存性ATPseである(同じ箇所;Lee,S.H.andWalker,J.R.(1987)Proc Natl Acad Sci USA84,2713−2717)。プライマーの末端は、ATPaseのもっとも活性なエフェクターであるらしい(Onrust,R.,Stukenberg,P.T.,andO’Donnell,M.(1991)JBiol Chem 266,21681−21686)。dnaX遺伝子は、2つの関連する蛋白質、γとτを発現するが、γはτのアミノ末端の5/7を表す(Flower,A.M.and McHenry,C.S.(1990)Proc Natl Acad Sci USA87,3713−3717)。DnaX(τ)は、αサブユニットDNAポリメラーゼIIIコアを結合して、二量体の足場を形成して、二量体化を引き起こし、他の補助蛋白質が集合して二量体複製複合体を形成する。インビトロにおいては、τ DnaXサブユニットが、プライムされたDNA上にβを負荷するように機能する「τ−複合体」(τ−Ψ−χ−δ−δ’)を容易に形成することができる(Dallmann,H.G.and McHenry,C.S.(1995)J Biol Chem 270,29563−29569;Onrust,R.,Finkelstein,J.,Naktinis,V.,Turner,J.,Fang,L.,andO’Donnell,M.(1995)JBiol Chem 270,13348−13357;Dallmann,H.G.,Thimmig,R.L.,andMcHenry,C.S.(1995)J Biol Chem 270,29555−29562)。DnaX複合体の化学量論を測定したところ、それがDnaX蛋白質3コピーと補助的なサブユニットの各1つを有することがわかった(DnaX3δ1δ’1χ1Ψ1)(Pritchard,A.,Dallmann,G.,Glover,B.,andMcHenry,C.(2000)EMBO J 19,6536−6545)。天然のホロ酵素中に含まれるDnaX複合体の形成は、τ2γδ1δ’1χ1Ψ1である。
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素の構造。図2は、ホロ酵素サブユニット−サブユニット相互作用の現在の認識を示す。αとεが混合に際して単離可能な複合体を形成する(Maki,H.and Kornberg,A.(1987)ProcNatl Acad SciUSA 84,4389−4392)。εの構造遺伝子中の変異がdnaE(α)サブユニットを抑圧することもわかった(Maurer,R.,Osmond,B.C.,and Botstein,D.(1984)Genetics 108,25−38)。抑圧変異は抑圧された変異遺伝子産物に直接相互作用するサブユニットの修飾を通してもっとも生じやすい。polIIIコア(αεθ)は単離可能である(McHenry,C.S.andCrow,W.(1979)J Biol Chem254,1748−1753)。DnaX(τ)はpol IIIコアとの複合体中で単離することができる(McHenry,C.S.(1982)JBiol Chem 257,2657−2663)。δとδ’の存在下で、DnaXはβをプライムされたDNAに運ぶことにより、前開始(preinitiation)複合体を形成する(Bryan,S.,Hagenessee,M.,andMoses,R.E.(1990)DNA Polymerase III is Required for Mutagenesis.In Moses,R.and Summers,W.,編纂.DNA Replication and Mutagenesis,AmericanSociety for Microbiology,Washington,DC)。抑圧遺伝子のデータは、βとαの間の相互作用(Kuwabara,N.and Uchida,H.(1981)ProcNatl Acad SciUSA 78,5764−5767)、コアのpol IIIに相互作用してそのプロセッシビティーを増加させるβの能力により支持される概念(Laduca,R.J.,Crute,J.J.,McHenry,C.S.,and Bambara,R.A.(1986)J Biol Chem 261,7550−7557)及びβとα触媒サブユニットのカルボキシル末端ドメインの間の相互作用の観察(Kim,D.R.,andMcHenry,C.S.(1996)J Biol Chem 271,20699−20704)を示唆する。α−αの相互作用及びpol IIIホロ酵素の二量体の性質に関する遺伝学上の証拠が、dnaE1026とdnaE486又はdnaE511の間の対立遺伝子間の(interallelic)相補性を通して得られた(Byran,et al.,同じ箇所)−もしもこの相互作用が起きたら、それは、弱くて、他のサブユニットの存在を必要とするに違いないが、それはα−α相互作用がインビトロにて観察されないからである。χとΨがDnaXとの複合体中で単離された(Olson,M.W.,Dallmann,H.G.,andMcHenry,C.S.(1995)J Biol Chem 270,29570−29577;O’Donnell,M.and Studwell,P.S.(1990)JBiol Chem 265,1179−1187)。δとδ’とはそれら自身で弱く溶液中で相互作用することができ、一緒になってDnaXと相互作用することができる(Dallmann,& McHenry,同じ箇所;Olson,et al.,同じ箇所;Onrust,R.andO’Donnell,M.(1993)JBiol Chem 268、11766−11772)。Ψとδ’は、見かけ上、DnaXに直接相互作用するサブユニットである(Onrust,et al.,1995,同じ箇所)。直接のδ−βの相互作用が検出された(Naktinis,V.,Onrust,R.,Fang,L.,and O’Donnell,M.(1995)JBiol Chem 270,13358−13365)。ホロ酵素中には3コピーのDnaX蛋白質が存在する(Pritchard,etal.,同じ箇所)。
種間のサブユニットの相同性。表1に示すとおり、細胞の複製システムの基本的な機構の特徴のいくつかは、原核生物でも真核生物でも用いられる。
にもかかわらず、顕著な配列上及び機能上の相違も存在する。一本鎖DNA上の合成に必要なコア成分をコードする11の遺伝子のうち、dnaX(γとτをコードする)とholB(δ’をコードする)のみが、真核生物の遺伝子と顕著な相同性を共有する(Carter,etal.,同じ箇所、(1993);J Bacteriol 175,3812−3822;O’Donnell,1993,同じ箇所)。それでさえ、相同性はコアのATP結合部位に限られる。真核生物の制御装置に結合して制御する天然の阻害蛋白質(Waga,S.,Hannon,G.J.,Beach,D.,andStillman.(1994)Nature 369,574−578;Gulbis,J.M.,Kelman,Z.,Hurwitz,J.,O’Donnell,M.,and Kuriyan,J.(1996)Cell87,297−306)は、対応する原核生物の蛋白質に影響を及ぼさない。
即ち、それらのみで固有の活性を呈するそれらの少ししかない蛋白質に対して単純にスクリーニングすることにより可能であるはずのものよりも、新規な抗微生物剤の同定を可能にすることにおいては、より複雑な複数酵素システムのアプローチがより有効になると予測される。ホロ酵素−触媒性反応の間に蛋白質−蛋白質相互作用を変化させることを防いでそれらの検出を可能にさせる阻害剤を、単純な機能的リードアウトにより検出する複数酵素アッセイに関する要求がいまだ存在する。
細菌及び抗細菌薬剤。細菌の感染は主要な世界中の健康上の危険を代表し続けている(抗微生物剤の耐性を克服する(2000)。世界保険機関、感染性疾患の報告(WHO/CDS/2000.2))。感染は、相対的に無害な、例えば皮膚の発疹及び幼児に共通の耳の感染から、極めて重大且つ潜在的に致死性の、免疫上危険のある患者における感染までにわたる。我々は、薬剤耐性の院内で獲得された群集性の感染に直面することが増えた。スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、エンテロコッカス・エーカリス(Enterococcus aecalis)、ミコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)、及びシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)を含む、莫大で、臨床上重要な、薬剤耐性の細菌の最近の危険性により、緊急性が明白になりつつある。
抗微生物剤と耐性の機構。抗微生物剤は、生存に必須の細胞機能の主要なプロセスを干渉することにより細菌を殺す。β−ラクタム(ペニシリン及びセファロスポリン)及びグリコペプチド(バンコマイシン及びテイコプラニン)は、細胞壁の合成を阻害する。マクロライド類(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、及びアジスロマイシン)、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、アミノグリコシド類(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、及びアミカシン)及びテトラサイクリン類は蛋白質合成を阻害する。また、蛋白質合成を阻害するのは、合成アキサゾリジノン類であることが認められらた抗細菌剤の新規なクラス(ラインゾリド(linezolid))である。リファンピシンはRNA合成を阻害し、フルオロキノロン類(例えば、シプロフロキサシン)は、DNAのトポロジー状態を保持する酵素を阻害することにより間接にDNA合成を阻害する。トリメトプリンとスルフォナミド類は、必要とされるヌクレオチドの一つのプールを枯渇させることにより、葉酸生合成を直接、そしてDNA合成を間接に阻害する(Chambers,H.F.andSande,M.A.(1996)Antimicrobial Agents.Goodma& Gilman’s The PharmaceuticalBasis of Therapeutics,McGraw−Hill,NewYork)。
抗細菌剤耐性は薬剤の標的が変異した場合におこり得ることであり、機能はするが、薬剤によりもはやブロックされないか、又はそれらの特性を新規な薬剤に広げるような流出ポンプ(efflux pumps)の変異又は酵素の修飾によりもはやブロックされない。成長における利点のため、これは、抗細菌剤の存在下で耐性細胞及びその子孫を提供し、耐性生物は細菌集団を素早く支配する。一つの細胞において発生した耐性は集団中の他の細菌に伝達され得るが、それは、細菌が遺伝物質を直接交換する機構を有するからである。最近の議会の報告において、会計検査院(GAO)は薬剤耐性細菌からもたらされる現在と未来の公共の健康上の負担を要約した(抗微生物耐性(1999).会計検査院(GAO/RCED−99−132))。この報告によれば、薬剤耐性細菌による感染のためにセッティングされた病院において治療された患者の数は、1994年から1996年に2倍になり、そして1996年から1997年に再び2倍になった。耐性株は、かなり多数の免疫上抑圧された患者を有する病院又は第三の介護施設のような環境において容易に広がり得る。同じGAO報告は、以前に影響されやすい細菌が、ますます耐性になって、全世界に広がるという明確な証拠も提供する。さらに、細菌集団内の耐性細菌の集団が増大する。特に驚くべき発生は、全て立証済みの抗細菌剤に耐性の細菌株の出現である。薬剤耐性細菌の劇的な増加を認識すると、食品医薬品局は最近、外科医に対して、より思慮分別をもって臨床上必要なときのみ抗細菌剤を使用することを促す勧告を発した(FDAアドバイザリー(2000)。FederalRegister 65(182),56511−56518)。
最近まで、薬剤の開発者は、単純に存在する抗細菌剤を修飾することにより、新生の薬剤耐性細菌株に応答する傾向にあった。事実、後期に開発されたほとんどの抗細菌剤は臨床で既に使用された薬剤のアナログである。この戦略は有効性が低くなっており、それは、抗細菌剤クラスに対する耐性の基本的な機構が既に自然界に広がっているからである。同じクラスの新規な抗細菌剤に耐性を付与するための耐性標的のさらなる変異が、標的の遺伝子内での1塩基違いによりしばしばおこり得る。即ち、開発パイプライン中にある抗細菌剤の利用性は限られており、ヘルスケアの工業は、存在する薬剤とは機構上異なる新規な抗細菌剤の重要な要求を現在有する。
シュードモナス・エルギノーサ。シュードモナス・エルギノーサ感染を治療するためのより有効な薬剤に関する要求は緊急を要する。このグラム陰性細菌は、主に、植物及び動物からの組織、岩、土並びに合成物質、例えばコンタクトレンズ、外科手術用装置及びカテーテルを含む多くの異なる表面上で生育するその傾向のために、環境下に偏在する(Costerton,J.W.,Stewart,P.S.,andGreenberg,E.P.(1999)Science 284,1318−1322)。シュードモナス・エルギノーサは、尿管の感染、火傷の犠牲及び呼吸器の患者における菌血症を含む様々な感染を引き起こす。病院において、シュードモナス・エルギノーサは全ての感染の約1/7の原因であり、複数薬剤耐性株が増加するのが普通である(Maschmeyer,G.andBravency,I.(2000)Eur J Clin Microbiol InfectDis 19,915−925;Giamarellou,H.and Antoniadou,A.(2001)Med Clin Morth Am 85,19−42)。しかしながら、シュードモナス・エルギノーサにより引き起こされるほとんどの重大な医学上の問題は、嚢胞性繊維症(CF)に付随した肺感染である。CFにおいては、膜貫通制御因子(CFTR)塩素チャネルをコードする遺伝子が変異して、肺の上皮細胞の先端の膜からの不十分な塩の除去を導く。気管の表面の塩の蓄積は、内在性の抗細菌ペプチド及び蛋白質の塩−媒介性阻害を含む、肺の様々な機能不全を導く。即ち、今度は、持続性のシュードモナス・エルギノーサ感染を導き、細菌の薄膜により引き起こされる肺の感染の物理的な障害並びに細菌により生産される抗原決定基により誘発される、免疫−媒介性の炎症性の肺組織への損傷をもたらす。CF患者の中間的な寿命の予測は約30歳である。若いCF患者の抗生物質による予防的な処置による初期の肺感染コロニー化は、肺の損傷を制御する実行可能な臨床上の戦略として現在試験されつつある(Johanse,H.K.,Kovesi,T.A.,Koch,C.,Corey,M.,Hoiby,N.,andLevison,H.(1980)Pediatr Pulmonol 26,89−96)。
シュードモナス・エルギノーサは、広い範囲の抗生物質に対して本来耐性であるが、それは一部には、その外膜が小分子(いくつかの抗生物質を含む)をペリプラズム空間へ移動させるのに作用する高透過性のポリン蛋白質を欠くためである(Nikaido,H.(1994)Science264,382−388)。さらに、シュードモナス・エルギノーサは、細胞内部での抗生物質の濃度を制限するのに共同で作用するいくつかの複数薬剤流出システムを有する(Hancock,R.E.(1998)ClinInfect Dis 27 補遺1,S93−S99;Westbrock−Wadman,S.,Sherman,D.R.,Hickey,M.J.,Coultr,S.N.,Zhu,Y.Q.,Warrener,P.,Kguyen,L.Y.,Shawar,R.M.,Folger,K.R.,andStover,C.K.(1999)Antimicrob.Agents Chemother.43,2975−2983)。別の流出システムは、最近完了したシュードモナス・エルギノーサのゲノムのBLAST分析において明らかである(Stover,C.K.,Pham,X.Q.,Erwin,A.L.,Mizoguchi,S.D.,Warrener,P.,Hickey,M.J.,Brinkman,F.S.L.,Hufnagle,W.O.,Kowalik,D.J.,Lagrou,M.,Garber,R.L.,Goltry,L.,Tolentino,E.,Westbrock−Wadman,S.,Yuan,Y.,Brody,L.L.,Coulter,S.N.,Folger,K.R.,Kas,A.,Larbig,K.,Lim,R.,Smith,K.,Spencer,D.,Wong,K.−S.,Wu,Z.,Paulsen,I.T.,Reizer,J.,Saier,M.H.,Hancock,R.E.,W.,Lory,S.,andOlson,M.V.(2000)Natur 406,959−964)。抗生物質の不十分な取り込みと十分な流出の問題と戦う一つの方法は、希薄なために有効な阻害のために相対的にほとんど薬剤を必要としない標的を選択することである。細菌細胞中には5−10未満のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素分子しか存在しない(Wu,Y.H.,Franden,M.A.,Hawker,Jr,J.R.,andMcHenry,C.S.(1984)J Biol Chem 259,12117−12122)。さらに、ホロ酵素の基質であるゲノミックDNAも希薄である。複製フォークの過剰か又は延期された失速(stalling)はヌクレアーゼ及び細胞死による鋳型の破壊を導く(Nakayama,K.,Kusano,K.,Irino,N.,andNakayama,H.(1994)J Mol Biol.243,611−620)。即ち、極めてわずかな分子のみが細菌細胞のDNA複製能力を破壊するために不活性化される必要があり、そして複製システムを標的とする抗細菌細胞がシュードモナス・エルギノーサの感染の治療のために特別うまく適合させられるかもしれない。
エルシニア・ペスティス。エルシニア・ペスティスは、14世紀に約1700から2800万のヨーロッパ人(計算上、全人口の3分の1)を殺した歴史に残る「ペスト」の病原菌である(Tuchman,B.W.(1978)ADistant Mirror:The Calamitous 14th Century,RandomHouse,New York,5章;Raoult,D.,Aboudharam,G.,Crubezy,E.,Larrouy,G.,Ludes,B.,andDrancourt,M,(2000)Proc Natl Acad Sci USA97,12800−12803)。ペストは動物源性感染である;当該疾患は齧歯類集団の主なひとつであり、保有宿主を保持するためにヒトに依存しない(Keeling,M.J.andGilligan,C.A.(2000)Nature 407,903−906;McGovern,T.andFriedlander,A.(1997)Textbook of Military Medicine:Medical Aspects of Chemical and Biological Warefare.Borden Institute,Walter Reed Army MedicalCenter,Washington,D.C.,23章)。感染した動物からのブラッドミールを摂取する際に、ノミがエルシニア・ペスティスの成長をサポートし、繊維性の塊によりノミの前腸を結果的にブロックする。感染したノミが再び給餌しようとすると、凝固した血液と細菌を罹病者の血流に吐き出して、感染症を次の動物に移す。
ヒトはエルシニア・ペスティス感染の非本質的な(accidental)宿主である。エルシニア・ペスティスの特定の病原性の株が動物間で流行するようになると、問題は悪化して、天然の齧歯類集団を殺して、ノミにあまり好ましくない宿主をつきまとわさせる。ヒトの感染に際し、インキュベーション相の間に、エルシニア・ペスティスの桿菌(bacilli)がリンパ節に広がり、リンパ節炎と腺ペスト(bubonic plaque)の特徴的な膨張したリンパ節を生じさせる。未治療の感染物は敗血症に進行して、膵臓、肝臓、肺、皮膚及び粘膜を含む、他の器官に広がる。主な肺ペストは噴霧器の直接の吸入によりもたらされ得る。これは、当該疾患のもっとも重度の形態をもたらしてもっとも早く致命的になるが、それは、吸入した飛沫が、哺乳類宿主において37℃にて生育する間に発生する桿菌の病原菌耐性形態を含むからである。主な敗血性ペストは桿菌の血流への直接の接種からおこり得て、リンパ節における初期増殖を迂回する。
エルシニア・ペスティスは、桿菌形態の、非運動性の、非胞子形成性の、グラム陰性の、プロテオバクテリア(Proteobacteria)のガンマ門のオプションの嫌気菌である。それは、必須の病原性遺伝子をコードするために、染色体外プラスミドに依存する。当該細菌は、ほぼ凍結する温度において数カ月から数年生存したままであり得る。それは、乾燥した唾液、ノミの糞及び埋葬された体の中でも生存可能であるが、太陽光に数時間暴露されると死滅する。野生型の細菌は標準的な抗微生物剤、特にストレプトマイシン及びテトラサイクリン誘導体に感受性である(McGovern& Friedlander,同じ箇所)。オフロキサシンとセフトリアゾンは動物モデルにおいて有効であることが示された(同じ箇所)。エルシニア・ペスティスの天然に生じる株が単離され、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン及びスルフォナミド類に耐性である。移動可能なプラスミドにマップされた耐性要素(Galimand,M.,Guiyoule,A.,Gerbaud,G.,Rasoamanana,B.,Chanteau,S.,Carniel,E.,andCourvalin,P.(1997)N Engl J Med 337,677−680)。有毒な桿菌の死滅懸濁液から製剤されたワクチンは利用可能である(McGovern& Friedlander,同じ箇所)。通常のワクチンの用量のスケジュールは6カ月の免疫コースに従う。14日間を要する加速されたプロトコルが開発されたが、有効性に関する重要なサポートデータは利用可能でない(同じ箇所)。
エルシニア・ペスティスは顕著な脅威を示す。天然の固有の脅威として、世界保健機関はそれを再出現した感染性疾患として分類した。毎年の世界における薬剤耐性株の検出及び突然の出現によれば、重大な自然の脅威を象徴する(Boisier,P.,Rasolomaharo,M.,Ranaivoson,G.,Rasoamanana,B.,Rakoto,L.,Andrianirina,Z.,Andriamahefazafy,B.,andChanteau,S.(1997)Trop Med Int Health 2,422−427;Barreto,A.,Aragon,M.,andEpsten,P.R.(1995)Lancet 345,983−984)。生物兵器として使用されて配達されて噴霧器として吸引されるため、エルシニア・ペスティスは、当該細菌が自然界で生じる風土病の肺の症候群の特徴を生じる。14世紀の悪名高いペストの突然の出現は、生物兵器としてのエルシニア・ペスティスの使用の結果として始まった。1346年に、カッファのジェノバの北部黒海の港の攻城期間の間、その市の壁を越えて致死性の疾患に圧倒されていた死んだ兵士をモンゴル人が捕らえることにより、その耐性を遮断した。当該疾患が市の内部に素早く拡散するにつれて、居住者は商船によりヨーロッパへ逃れた(Tuchman,同じ箇所)。食作用に耐性の形態にて構成的に操作されたエルシニア・ペスティスの薬剤耐性形態は、免疫の監視に一部打ち勝つために修飾されたカプセルと共に、驚くべき可能性を表す。薬剤耐性の機構は全ての臨床上利用可能な抗細菌剤に関して今判明して(以下のセクションを参照)、細菌を操作することも可能であり、それによりそれらがこれらの薬剤に耐性になる。報告が大衆的な出版物に現れ、以前のソビエト連邦の亡命者を起源として、ソビエト連邦が生物戦争の目的でエルシニア・ペスティスの薬剤耐性株を開発するための5年間のプログラムを有した(McGovrn& Friedlander,同じ箇所;Barry,J.(1993)Newsweek(2月1日),40−41)。この脅威を避けるための一つの可能な方法は、耐性機構がまだ判明していない新規な標的機能する抗細菌剤の新規なクラスを開発することである。
したがって、シュードモナス・エルギノーサとエルシニア・ペスティスの中心的なDNA複製装置を阻害する新規な治療剤を発見するための染色体複製システムに関する要求が残されている。
発明の概要
本発明は、細菌のDNAレプリカーゼの活性を変調させる化合物をスクリーニングするための方法を提供する。一つの態様において、上記の方法は、レプリカーゼ活性に関して許容する条件下で少なくとも一つの試験化合物を単離されたレプリカーゼと接触させ;当該試験化合物の存在下で上記レプリカーゼの活性を評価し;そして、試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物の不在下でのレプリカーゼの活性と比較することを含み、その際の試験化合物存在下でのレプリカーゼの活性の変化がレプリカーゼの活性を変調する化合物の指標であり、但し、上記レプリカーゼは単離されたエルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む。
本発明は、細菌のDNAレプリカーゼの活性を変調させる化合物をスクリーニングするための方法を提供する。一つの態様において、上記の方法は、レプリカーゼ活性に関して許容する条件下で少なくとも一つの試験化合物を単離されたレプリカーゼと接触させ;当該試験化合物の存在下で上記レプリカーゼの活性を評価し;そして、試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物の不在下でのレプリカーゼの活性と比較することを含み、その際の試験化合物存在下でのレプリカーゼの活性の変化がレプリカーゼの活性を変調する化合物の指標であり、但し、上記レプリカーゼは単離されたエルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む。
別の態様において、本発明は、DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調する化合物を同定する方法を提供し、上記方法は、DNA鋳型分子、DnaGプライマーゼ、DNAポリメラーゼαサブユニット、候補化合物、NTPs及びdNTPsの混合物、及び任意に、βサブユニット、τ複合体、及びβサブユニットとτサブユニットの両方の複合体からなる群から選択されるメンバーを含む反応混合物を形成することによりレプリカーゼを形成させ、候補化合物の不在下で核酸の重合を達成するのに有効な条件に上記反応混合物を供し、試験化合物存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物不在下でのレプリカーゼの活性を比較するが、その際、試験化合物存在下でのレプリカーゼの活性の変化がレプリカーゼの活性を変調する化合物の指標であり、但し、上記レプリカーゼは単離されたエルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む。
本発明は、これらの方法により同定された細菌のDNAレプリカーゼの活性を変調する化合物も含む。
本発明の別の態様は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質サブユニットの機能活性を検出するための方法である。好ましい方法は、a)DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質を含む疑いのある試験サンプルを用意し;そして、b)サンプル中の試験ホロ酵素サブユニットの活性を、対照の中の定量されたDNAポリメラーゼIIIホロ酵素のサブユニットと比較することにより、サンプル中の試験DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの相対活性を測定することを含む、活性の検出である。一つの態様において、上記の活性は、DNAポリメラーゼIIIαサブユニットの検出のためのポリメラーゼギャップフィリング活性である。別の態様において、上記の活性は、βサブユニットの検出のためのDNAポリメラーゼのプロセッシビティーの刺激である。別の態様において、上記の活性は、DnaAの検出のためのdnaAボックスへの結合である。他の態様において、DnaXサブユニットは、再構成アッセイにおいてDNAポリメラーゼのプロセッシビティーを刺激することができる。別の態様において、δ’サブユニットは、再構成アッセイにおいてDNAポリメラーゼのプロセッシビティーを刺激することができる。別の態様において、δサブユニットは、再構成アッセイにおいてDNAポリメラーゼのプロセッシビティーを刺激することができる。そのような方法の例は実施例のセクションに見いだされる。
本発明は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素のレプリカーゼ活性を阻害する抗細菌性薬剤の候補をスクリーニングする方法も提供する。この方法は、a)DNAポリメラーゼIIIホロ酵素複製を阻害すると予測される試験阻害剤を用意し、b)試験するDNAポリメラーゼIII複製反応と対照の反応を検出し、そしてc)試験と対照を比較することを含むが、その際、複製の量が試験阻害剤の阻害効果と相関する。
本発明は、シュードモナス・エルギノーサ、シュードモナス・エルギノーサ遺伝子及び核酸分子由来のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子及びアミノ酸の配列に関し、そのような蛋白質をコードするものを含み、そしてそのような蛋白質に対して生じさせた抗体にも関する。本発明は、エルシニア・ペスティス、エルシニア・ペスティス遺伝子及び核酸分子由来のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子及びアミノ酸の配列に関し、そのような蛋白質をコードするものを含み、そしてそのような蛋白質に対して生じさせた抗体にも関する。本発明は、そのような蛋白質、核酸分子及び抗体を得るための方法も含む。
本発明の一つの態様は、DnaE,DnaN,DnaX,HolA,及びHolBを含む、単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質を含む。好ましいシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質は、機能アッセイにおいてそのサブユニットの機能を実行可能である。一つの態様において、DnaEは、プライムされたDNAをギャップフィリングポリメラーゼアッセイにおいて伸長できる。別の態様において、DnaNは、プロセッシビティー刺激アッセイにおいてDNAポリメラーゼのプロセッシビティーを刺激することができる。別の態様において、DnaXは、DNA依存様式においてATPを加水分解できる。別の態様において、HolAとHolBはDnaX存在下で、プライムされたDNA鋳型上にDnaNを負荷する(load)ことができる。別の態様において、DnaE,DnaN,DnaX,HolA及びHolBは、RNA−又はDNA−プライムされた長い一本鎖DNA鋳型上で迅速かつプロセッシブなDNA合成を実施することができる機能性DNAレプリカーゼを集合させることができる。本発明は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質の融合蛋白質及びその類似体(mimetopes)並びにシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質又はその類似体(mimetopes)に選択的に結合する単離された抗体にも関する。また、組換え方法を含む、本発明の蛋白質、類似体及び抗体を生産するための方法も含まれる。
本発明の別の態様は、ストリンジェントな条件下で、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDnaE遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDnaN遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDnaQ遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのHolE遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDnaX遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのholA遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのholB遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのholC遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのholD遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのssb遺伝子、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDnaG遺伝子とハイブリダイズする単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスの核酸分子である。
エルシニア・ペスティスのdnaE遺伝子は、核酸配列、配列番号:1を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのdnaN遺伝子は、核酸配列、配列番号:18を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのdnaQ遺伝子は、核酸配列、配列番号:8を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのholE遺伝子は、核酸配列、配列番号:13を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのdnaX遺伝子は、核酸配列、配列番号:23を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのholA遺伝子は、核酸配列、配列番号:33を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのholB遺伝子は、核酸配列、配列番号:38を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのholC遺伝子は、核酸配列、配列番号:43を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのholD遺伝子は、核酸配列、配列番号:48を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのssb遺伝子は、核酸配列、配列番号:53を含むことが好ましい;エルシニア・ペスティスのdnaG遺伝子は、核酸配列、配列番号:58を含むことが好ましい。
シュードモナス・エルギノーサのdnaE遺伝子は、核酸配列、配列番号:65を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのdnaN遺伝子は、核酸配列、配列番号:112を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのdnaQ遺伝子は、核酸配列、配列番号:75を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのdnaX遺伝子は、核酸配列、配列番号:80を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのholA遺伝子は、核酸配列、配列番号:85を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのholB遺伝子は、核酸配列、配列番号:90を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのholC遺伝子は、核酸配列、配列番号:95を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのssb遺伝子は、核酸配列、配列番号:107を含むことが好ましい;シュードモナス・エルギノーサのdnaG遺伝子は、核酸配列、配列番号:102を含むことが好ましい。
本発明のDNAポリメラーゼIII核酸分子は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII遺伝子の制御領域を含むことができ、及び/又はシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質をコードすることができる。
本発明は、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII核酸分子の少なくとも一部を含む組換え分子及び組換え細胞にも関する。また、そのような核酸分子、組換え分子及び組換え細胞を生産するための方法も含まれる。
本発明は、本発明のアミノ酸配列によりコードされる蛋白質上の少なくとも一つの抗原決定基に特異的に結合することができる抗体も提供する。本発明の抗体は、様々な免疫源を用いて製造してよい。一つの態様において、免疫源がDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニットペプチドであることにより、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニットを認識する抗体が生成される。そのような抗体は、限定ではないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fab断片及びFab発現ライブラリーを含む。当業界で知られている様々な手法を、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニットに対するポリクローナル又はモノクローナル抗体の生産に使用してよい。
本発明は、DNAポリメラーゼIIIを含むと推測されるサンプル及びDNAポリメラーゼIIIの少なくとも一部に対して特異的に結合することができる抗体を何れかの順序で用意し;抗体がDNAポリメラーゼIIIに結合できる条件下でサンプルと抗体を混合し;そして結合を検出することを含む。上記方法の好ましい態様において、サンプルは、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスである。
本発明は、抗−DNAポリメラーゼIIIホロ酵素及び抗−DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット抗体を生産する方法も提供し、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの少なくとも一つの抗原性部分を含む免疫源に、免疫コンピテント細胞を有する動物を暴露する。一つの態様において、上記方法は、抗体を回収する工程をさらに含む。別の態様において、上記方法は、ハイブリドーマが生産される条件下で免疫コンピテント細胞を不死の細胞系と融合させる工程を含む。
本発明は、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの少なくとも一部をコードする核酸分子を生物学上のサンプル中で検出する方法も提供し、a)本発明の核酸分子の少なくとも一部を生物学上のサンプルの核酸物質にハイブリダイズさせ、それにより、ハイブリダイゼーション複合体を形成させ、そして、b)ハイブリダイゼーション複合体を検出するが、その際、複合体の存在が生物学上のサンプルの中のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチドの存在と相関する、工程を含む。上記方法の別の好ましい態様において、生物学上のサンプルの核酸物質は、ポリメラーゼ鎖反応により増幅される。
本発明は、異常か又は変異したDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット又は遺伝子配列を含む、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットを検出する方法も提供し、a)適宜、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットを含むと推測される試験サンプルを用意し;そして、b)試験DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットを、対照中の定量されたDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットと比較することにより、サンプル中の試験DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの相対濃度を測定する工程を含む。さらに、上記方法は、試験サンプル又は対照サンプル中のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの相対濃度を測定するためのあらゆる適切な手段を用いて実施してよい。
この発明は、全シュードモナス・エルギノーサ染色体のDNA複製伸長システムの集合のための方法を提供する。この発明は、シュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素の予測される5つの中心的に重要な成分の発現と精製のための方法も提供する。この発明は、シュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素の9つの成分の発現と精製のための方法も提供する。この発明は、さらに、シュードモナス・エルギノーサの最小のプロセッシブなレプリカーゼを提供する。この発明は、シュードモナスのDNA複製の阻害剤として活性な化合物を同定するための高処理量のスクリーニングフォーマット内の完全に再構成されたシュードモナス・エルギノーサの複製システムの使用のための方法も提供する。
この発明は、全エルシニア・ペスティス染色体のDNA複製伸長システムの集合のための方法を提供する。この発明は、エルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素の予測される5つの中心的に重要な成分の発現と精製のための方法も提供する。この発明は、エルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素の9つの成分の発現と精製のための方法も提供する。この発明は、さらに、エルシニア・ペスティスの最小のプロセッシブなレプリカーゼを提供する。この発明は、YersiniaのDNA複製の変調剤として活性な化合物を同定するための高処理量のスクリーニングフォーマット内の完全に再構成されたエルシニア・ペスティスの複製システムの使用のための方法も提供する。
発明は、複製ポリメラーゼをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサ及びエルシニア・ペスティスのdnaEの分子クローニング、大腸菌内でのDnaEの発現、その精製、及びその内在のギャップフィリング活性の特性決定のための方法も提供する。
発明は、細菌レプリカーゼのスライディングクランププロセッシビティー因子をコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサ及びエルシニア・ペスティスのdnaNの分子クローニング、大腸菌内でのDnaNの発現、その精製、及びDnaEに相当するプロセッシビティーへの貢献のその特性決定のための方法も提供する。
発明は、DNA−依存性ATPaseクランプローダーをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサ及びエルシニア・ペスティスのdnaX,DnaX複合体の必須アクセサリーサブユニットをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサ及びエルシニア・ペスティスのholA及びholBの分子クローニング、大腸菌内でのholA及びholBの発現及びそれらの精製のための方法も提供する。
発明は、エルシニア・ペスティスのholC及びholD,ssb,及びdnaG遺伝子の分子クローニング及び大腸菌内でのHolC,HolD,SSB,及びDnaG蛋白質の発現及びそれらの精製のための方法も提供する。
発明は、プライムされた一本鎖鋳型上で迅速かつプロセッシブなDNA合成が可能なシュードモナス・エルギノーサ及びエルシニア・ペスティス由来の最小DNAポリメラーゼIIIホロ酵素を再構成するため、及び複製乗法標的スクリーニング(Multiplicative Target Screening(商標))アッセイに対して再構成された酵素を適合させるための上記蛋白質の使用方法も提供する。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、シュードモナス・エルギノーサとエルシニア・ペスティス由良のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子及びアミノ酸の配列及び構造遺伝子に関する。本明細書において使用される用語「遺伝子」は、核酸(例えば、DNA)配列を意味し、ポリペプチド又は前駆体の生産に必要なコーディング配列を含む(例えば、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニット)。上記ポリペプチドは、完全長又は断片の所望の活性又は機能特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達等)が残っている限り、完全長のコーディング配列又はコーディング配列の如何なる部分によってもコードされ得る。上記用語は、構造遺伝子のコーディング領域と、遺伝子が完全長のmRNAの長さに相当するように何れかの末端上で約1kbの距離で5’及び3’の両末端上でコーディング領域に隣接するように位置する配列も含む。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNA形態及びゲノミック形態の両方を包含する。遺伝子のゲノミック形態は、「介在(intervening)領域」又は「介在配列」と呼ばれる非コーディング配列により遮断されたコーディング領域を含む。mRNAは、翻訳の間、発生するポリペプチドの配列又は順番を特定するために機能する。本明細書にて、用語「DNAポリメラーゼIIIホロ酵素」は、完全なDNAポリメラーゼIIIの実在物(即ち、ポリメラーゼサブユニット、並びにプロセッシブな染色体又はゲノムの複製に必要な他の付随するアクセサリー蛋白質の全て)を意味するが、「DNAポリメラーゼIII」はポリメラーゼのコアのみである大腸菌においてはα、ε、θサブユニット]。本明細書にて使用される「DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット」は、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素を含むサブユニット実在物の何れかに関して使用される。即ち、用語「DNAポリメラーゼIIIホロ酵素」は、「DNAポリメラーゼIII」及び「DNAポリメラーゼIIIサブユニット」を包含する。サブユニットは、限定ではないが、DnaE,DnaN(ベータ(β)プロセッシビティー因子),DnaX,HolA,HolB,SSB,DnaG及びDnaB蛋白質を含む。本明細書にて使用される「アミノ酸配列」が天然に生じる蛋白質分子のアミノ酸配列を意味する場合、「アミノ酸配列」及び類似の用語、例えば「ポリペプチド」又は「蛋白質」は、アミノ酸配列を、記載された蛋白質に関連する完全な天然のアミノ酸配列に限定することを意味しない。
本発明は、シュードモナス・エルギノーサとエルシニア・ペスティス由良のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子及びアミノ酸の配列及び構造遺伝子に関する。本明細書において使用される用語「遺伝子」は、核酸(例えば、DNA)配列を意味し、ポリペプチド又は前駆体の生産に必要なコーディング配列を含む(例えば、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニット)。上記ポリペプチドは、完全長又は断片の所望の活性又は機能特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達等)が残っている限り、完全長のコーディング配列又はコーディング配列の如何なる部分によってもコードされ得る。上記用語は、構造遺伝子のコーディング領域と、遺伝子が完全長のmRNAの長さに相当するように何れかの末端上で約1kbの距離で5’及び3’の両末端上でコーディング領域に隣接するように位置する配列も含む。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNA形態及びゲノミック形態の両方を包含する。遺伝子のゲノミック形態は、「介在(intervening)領域」又は「介在配列」と呼ばれる非コーディング配列により遮断されたコーディング領域を含む。mRNAは、翻訳の間、発生するポリペプチドの配列又は順番を特定するために機能する。本明細書にて、用語「DNAポリメラーゼIIIホロ酵素」は、完全なDNAポリメラーゼIIIの実在物(即ち、ポリメラーゼサブユニット、並びにプロセッシブな染色体又はゲノムの複製に必要な他の付随するアクセサリー蛋白質の全て)を意味するが、「DNAポリメラーゼIII」はポリメラーゼのコアのみである大腸菌においてはα、ε、θサブユニット]。本明細書にて使用される「DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット」は、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素を含むサブユニット実在物の何れかに関して使用される。即ち、用語「DNAポリメラーゼIIIホロ酵素」は、「DNAポリメラーゼIII」及び「DNAポリメラーゼIIIサブユニット」を包含する。サブユニットは、限定ではないが、DnaE,DnaN(ベータ(β)プロセッシビティー因子),DnaX,HolA,HolB,SSB,DnaG及びDnaB蛋白質を含む。本明細書にて使用される「アミノ酸配列」が天然に生じる蛋白質分子のアミノ酸配列を意味する場合、「アミノ酸配列」及び類似の用語、例えば「ポリペプチド」又は「蛋白質」は、アミノ酸配列を、記載された蛋白質に関連する完全な天然のアミノ酸配列に限定することを意味しない。
アミノ酸配列及び蛋白質
本発明の一つの態様は、単離されたDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質である。本発明によれば、単離されたか、又は生物学上純粋な蛋白質は、その天然の環境から取り出された蛋白質である。そうゆうものとして、「単離された」と「生物学上純粋な」は、蛋白質が精製された程度を必ずしも反映しない。本発明の単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットは、天然源から得ることができるか、組換えDNA技術を用いて生産することができるか、又は化学合成により生産することができる。本明細書にて使用される単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質は、そのような蛋白質の完全長蛋白質又はあらゆる相同物であり得る。本発明の好ましいDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットであり、DNAポリメラーゼサブユニットDnaE蛋白質、DnaQ蛋白質、DnaN蛋白質、DnaX蛋白質、HolA蛋白質、HolB蛋白質、HolC蛋白質、HolD蛋白質、SSB蛋白質、DnaG蛋白質、又はこれらのサブユニットの何れかの相同物(限定ではないが、コードされた蛋白質、完全長の蛋白質、加工された蛋白質、融合蛋白質及びそれらの多価の蛋白質)並びに上記蛋白質の少なくとも一部を含む、蛋白質の末端削除された蛋白質を含む。本発明の別の態様は、単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含み、DNAポリメラーゼDnaE蛋白質、DnaN蛋白質、DnaX蛋白質、HolA蛋白質、及びHolB蛋白質を含む。一つの態様において、好ましいDNAポリメラーゼIIIDnaEサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDS PAGEによる測定で約110−135kDaの分子量を有する。別の態様において、DNAポリメラーゼIIIDnaNサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDS PAGEによる測定で約40−41kDaの分子量を有する。別の態様において、DnaXサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約71−73kDa(完全長の遺伝子産物に関して)の分子量を有する。別の態様において、HolAサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約37−40kDaの分子量を有する。別の態様において、HolBサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約35−38kDaの分子量を有する。別の態様において、HolCサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約15−17kDaの分子量を有する。特に好ましいエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質は、配列番号:3により表されるDnaE(τ)、配列番号:10により表されるDnaQ(ε)、配列番号:15により表されるHolE(θ)、配列番号:20により表されるDnaN(β)、配列番号:25により表されるDnaE(γ/τ)、配列番号:35により表されるHolA(δ)、配列番号:40により表されるHolB(δ’)、配列番号:45により表されるHolC(χ)、配列番号:50により表されるHolD(Ψ)、配列番号:55により表されるssb、及び/又は配列番号:60により表されるDnaG(プライマーゼ)を含む。特に好ましいシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIII蛋白質は、配列番号:67により表されるDnaE(α)、配列番号:72により表されるDnaE(α)、配列番号:77により表されるDnaQ(ε)、配列番号:82により表されるDnaE(γ/τ)、配列番号:87により表されるHolA(δ)、配列番号:92により表されるHolB(δ’)、配列番号:97により表されるHolC(χ)、配列番号:104により表されるSSB、配列番号:109により表されるDnaG(プライマーゼ)、及び/又は配列番号:114により表されるDnaN(β)並びにそれらの配列番号の何れかを有する蛋白質をコードする核酸分子の対立遺伝子バリアントである核酸分子によりコードされた蛋白質を含む。そのような蛋白質を生産する方法の実施例は、本明細書に開示される。
本発明の一つの態様は、単離されたDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質である。本発明によれば、単離されたか、又は生物学上純粋な蛋白質は、その天然の環境から取り出された蛋白質である。そうゆうものとして、「単離された」と「生物学上純粋な」は、蛋白質が精製された程度を必ずしも反映しない。本発明の単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットは、天然源から得ることができるか、組換えDNA技術を用いて生産することができるか、又は化学合成により生産することができる。本明細書にて使用される単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質は、そのような蛋白質の完全長蛋白質又はあらゆる相同物であり得る。本発明の好ましいDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットであり、DNAポリメラーゼサブユニットDnaE蛋白質、DnaQ蛋白質、DnaN蛋白質、DnaX蛋白質、HolA蛋白質、HolB蛋白質、HolC蛋白質、HolD蛋白質、SSB蛋白質、DnaG蛋白質、又はこれらのサブユニットの何れかの相同物(限定ではないが、コードされた蛋白質、完全長の蛋白質、加工された蛋白質、融合蛋白質及びそれらの多価の蛋白質)並びに上記蛋白質の少なくとも一部を含む、蛋白質の末端削除された蛋白質を含む。本発明の別の態様は、単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含み、DNAポリメラーゼDnaE蛋白質、DnaN蛋白質、DnaX蛋白質、HolA蛋白質、及びHolB蛋白質を含む。一つの態様において、好ましいDNAポリメラーゼIIIDnaEサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDS PAGEによる測定で約110−135kDaの分子量を有する。別の態様において、DNAポリメラーゼIIIDnaNサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDS PAGEによる測定で約40−41kDaの分子量を有する。別の態様において、DnaXサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約71−73kDa(完全長の遺伝子産物に関して)の分子量を有する。別の態様において、HolAサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約37−40kDaの分子量を有する。別の態様において、HolBサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約35−38kDaの分子量を有する。別の態様において、HolCサブユニット蛋白質は、Tris−グリシンSDSPAGEによる測定で約15−17kDaの分子量を有する。特に好ましいエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質は、配列番号:3により表されるDnaE(τ)、配列番号:10により表されるDnaQ(ε)、配列番号:15により表されるHolE(θ)、配列番号:20により表されるDnaN(β)、配列番号:25により表されるDnaE(γ/τ)、配列番号:35により表されるHolA(δ)、配列番号:40により表されるHolB(δ’)、配列番号:45により表されるHolC(χ)、配列番号:50により表されるHolD(Ψ)、配列番号:55により表されるssb、及び/又は配列番号:60により表されるDnaG(プライマーゼ)を含む。特に好ましいシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIII蛋白質は、配列番号:67により表されるDnaE(α)、配列番号:72により表されるDnaE(α)、配列番号:77により表されるDnaQ(ε)、配列番号:82により表されるDnaE(γ/τ)、配列番号:87により表されるHolA(δ)、配列番号:92により表されるHolB(δ’)、配列番号:97により表されるHolC(χ)、配列番号:104により表されるSSB、配列番号:109により表されるDnaG(プライマーゼ)、及び/又は配列番号:114により表されるDnaN(β)並びにそれらの配列番号の何れかを有する蛋白質をコードする核酸分子の対立遺伝子バリアントである核酸分子によりコードされた蛋白質を含む。そのような蛋白質を生産する方法の実施例は、本明細書に開示される。
好ましいシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質サブユニットは、機能アッセイにおいてそのサブユニットの機能を果たすことができる。一つの態様において、DnaEは、ギャップフィリングポリメラーゼアッセイにおいて、プライムされたDNAを伸長することができる。別の態様において、DnaNは、プロセッシビティー刺激アッセイにおいて、DnaNの存在下でDNAポリメラーゼIIIのプロセッシビティーの刺激が可能である。別の態様において、DnaXは、DNA−依存様式にてATPを加水分解することができる。別の態様において、DnaX存在下でのHolA及びHolBは、プライムされたDNA鋳型上にDnaNを負荷することができる。別の態様において、DnaE,DnaN,DnaX,HolA及びHolBは、RNA−又はDNA−プライムされた長い一本鎖DNA鋳型上で迅速且つプロセッシブなDNA合成を実行することができる機能性DNAレプリカーゼに集合することができる。そのようなアッセイの例は、実施例のセクションにおいて詳細に記載される。そのような蛋白質サブユニットが活性検出アッセイにおいて機能する能力は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのレプリカーゼを阻害する抗細菌薬剤候補に関してスクリーニングすることにおける、アッセイにおいてのそのような蛋白質及び模倣体(mimetopes)の利用性を示唆する。本明細書にて使用される「レプリカーゼ」は、DNAポリヌクレオチド配列を複製する酵素を意味する。
「機能アッセイにおいてそのサブユニットの機能を果たすことができる」なる句は、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約10%を蛋白質が有することを意味する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約20%を有する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約30%を有する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約40%を有する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約50%を有する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約60%を有する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約70%を有する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約80%を有する。別の好ましい態様においては、機能アッセイにおいて天然蛋白質サブユニットの活性の少なくとも約90%を有する。
本明細書にて使用される本発明の単離された蛋白質は、完全長の蛋白質又はそのような蛋白質のあらゆる相同物、例えば、アミノ酸配列が欠失されたか、挿入されたか、倒置されたか、置換されたか、及び/又は誘導された(例えば、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、イリストイル化、プレニル化、パルミトイル化、アミド化及び/又はグリセロホスファチジルイノシトールの添加による)蛋白質であり得て、上記相同物は、相同物をコードする核酸配列が、対応する天然のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼのアミノ酸配列をコードする核酸配列の相補体に対してストリンジェント条件下でハイブリダイズできるように、天然のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼ蛋白質に十分類似しているアミノ酸配列を有する蛋白質を含むようなものである。本明細書にて使用されるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、オリゴヌクレオチドを含む核酸分子を使用して類似の核酸分子を同定する標準ハイブリダイゼーション条件を意味する。そのような標準条件は、例えば、Sambrooket al.,Molecular Cloning:ALaboratory Mannual,Cold Spring Harbor LabsPress,1989に開示されている;Sambrook et al.,同じ箇所、は、その全体を引用により本明細書に編入する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には、ハイブリダイゼーション反応において釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約70%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。ヌクレオチドの30%又はそれ未満のミスマッチを許容するハイブリダイゼーションを達成するための適切なハイブリダイゼーション及び洗浄条件を計算する式は、例えば、Meinkothet al.,1984,Anal.Biochem.138,267−284に開示される;Meinkothet al,同じ箇所、は、その全体を引用により本明細書に編入する。好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約90%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約95%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。
本発明の蛋白質相同物の最小サイズは、対応する天然蛋白質をコードする核酸分子の相補配列と安定なハイブリッドを形成することができる核酸分子によりコードされるのに十分なサイズである。そういうものとして、そのような蛋白質相同物をコードする核酸分子のサイズは、核酸分子と相補配列の間の核酸組成及びパーセント相同性並びにハイブリダイゼーション条件それ自体(例えば、温度、塩濃度、及びホルムアルデヒド濃度)に依存する。そのような核酸分子の最小サイズは、もしも核酸分子がGC−リッチならば少なくとも約12から約15ヌクレオチドの長さであり、そして核酸分子がAT−リッチならば少なくとも約15から約17塩基の長さである。そういうものとして、本発明のプロテアーゼ蛋白質相同物をコードするように使用される核酸分子の最小サイズは、約12から約18ヌクレオチドの長さである。核酸分子が遺伝子の一部、遺伝子全体、又は複数の遺伝子またはそれらの一部を含み得ることにおいて、そのような核酸分子の最大サイズに制限はない。同様に、本発明のポリメラーゼ蛋白質相同物の最小サイズは約4から約6アミノ酸の長さであり、好ましいサイズはそのような蛋白質の完全長、多価性(即ち、機能を有する各一つのドメインより多くを有する融合多機能)又は機能部分が望まれるか否かに依存する。本発明のポリメラーゼ蛋白質相同物は天然サブユニットに相当する活性を有することが好ましい。
本発明の蛋白質相同物は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする天然遺伝子の対立遺伝子バリアントの結果であり得る。天然遺伝子とは、天然にもっとも多い頻度で見いだされる遺伝子の形態を意味する。DNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニット相同物は、限定ではないが、例えばランダムか又は標的化された変異導入を起こすための古典的技術か又はDNA組換え技術を用いて蛋白質をコードする遺伝子を直接修飾することを含む、当業界公知の技術を用いて生産することができる。相同物を含む、本発明の単離されたDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質は、サブユニットの特定の機能を果たす蛋白質の能力により直接の様式にて同定することができる。そのような技術の例は実施例のセクションにおいて詳細に説明される。
本発明は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIのサブユニット蛋白質の模倣物も含む。本発明によれば、模倣物は、本発明の単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIのサブユニット蛋白質を模倣することにより機能アッセイにおいてサブユニットの機能を果たすことができるあらゆる化合物を意味する。模倣物は、分解に対するその感受性を低下させるが機能上の能力は保持するように修飾されたペプチドであり得る。模倣物の他の例は、限定ではないが、本発明の単離された蛋白質の一つ又は複数のエピトープを模倣する少なくとも一つの結合部位;単離された蛋白質の非蛋白質性免疫原部分(例えば糖質構造);及び本発明の単離された蛋白質の少なくとも一つのエピトープに類似な構造を有する、核酸を含む合成又は天然有機分子を含む、抗イディオタイプ抗体又はそれらの断片を含む。そのような模倣物は、本発明の蛋白質のコンピューターにより生じさせた構造を用いてデザインすることができる。模倣物は、分子のランダムサンプル、例えばオリゴヌクレオチド、ペプチド又は他の有機分子を生じさせ、そして相当する結合パートナーを用いて親和性クロマトグラフィー技術によりそのようなサンプルをスクリーニングすることにより、得ることもできる。
本発明の一つの態様は、融合セグメントに結合させた、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニット蛋白質含有ドメインを含む融合蛋白質である。本明細書にて使用される用語「融合蛋白質」は、興味のある蛋白質(即ち、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニット及びそれらの断片)を外来蛋白質断片(非DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニット蛋白質からなる融合パートナー)に連結させて含むキメラ蛋白質を意味する。融合パートナーは、宿主細胞中で発現されたDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニット蛋白質の可溶性を増強してよく、宿主細胞又は培養上清又はその両方からの組換え融合蛋白質の精製を可能にさせる親和性タグを提供してよい。所望ならば、当業界公知の様々な酵素手段又は化学手段により、興味のある蛋白質(即ち、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、ホロ酵素サブユニット蛋白質又はそれらの断片)から融合蛋白質を取り出してよい。本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニットの一部としての融合セグメントの包含は、生産、保存及び/又は使用の間の蛋白質の安定性を増強することができる。セグメントの特性に依存して、融合セグメントは、そのような融合セグメントを含むシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニット蛋白質により免疫された動物により上昇した免疫応答を増強するための免疫強化剤(immunopotentiator)としても作用し得る。さらに、融合セグメントは、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニット蛋白質の精製を単純化させるための道具として、例えば親和性クロマトグラフィーを用いて結果生じる融合蛋白質の精製を可能にさせる道具として機能することができる。適切な融合セグメントは、所望の機能を有するあらゆるサイズのドメインであり得る(例えば、蛋白質に増加した安定性を授与するか、増加した免疫原性を授与するか、及び/又は蛋白質の精製を単純化する)。一つ又は複数の融合セグメントを使用することは本発明の範囲内である。融合セグメントは、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニットを含む蛋白質のドメインのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端に連結することができる。融合セグメントと融合蛋白質のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニットを含むドメインの間の連結は、そのような蛋白質のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニット含有ドメインの直接の回収を可能にさせるため、分割に対して感受性であることができる。融合蛋白質は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニット含有ドメインのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の何れかに連結した融合セグメントを含む蛋白質をコードする融合核酸分子により形質転換された組換え細胞を培養することにより生産されるのが好ましい。
本発明の使用のための好ましい融合セグメントは、グルタチオン結合ドメイン、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)又はグルタチオンに結合できるその一部;金属結合ドメイン、例えば二価金属イオンに結合できるポリ−ヒスチジンセグメント;イムノグロブリン結合ドメイン、例えば、プロテインA,プロテインG,T細胞、B細胞、Fc受容体又は相補蛋白質抗体−結合ドメイン;糖結合ドメイン、例えばマルトース結合蛋白質由来のマルトース結合ドメイン;及び/又は「タグ」ドメイン(例えば、β−ガラクトシダーゼ、strepタグペプチド、モノクローナル抗体のようなドメインに結合する化合物を用いて精製され得る他のドメインの少なくとも一部)を含む。より好ましい融合セグメントは、金属結合ドメイン、例えば、ヒスチジンセグメント;マルトース結合ドメイン;及びヘキサヒスチジン/ビオチン結合ドメインを含む。
核酸分子
本発明の別の態様は、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニットの少なくとも一方にストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子である。好ましいシュードモナス・エルギノーサの遺伝子はdnaEであり、そして核酸配列の配列番号:65及び配列番号:70を含み、配列番号:67及び配列番号:72を含むdnaEサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaQであり、そして核酸配列の配列番号:75を含み、配列番号:77を含むdnaQサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaNであり、そして核酸配列の配列番号:112を含み、配列番号:114を含むDNAポリメラーゼIII βサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaXであり、そして核酸配列の配列番号:80を含み、配列番号:82を含むdnaXサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はholAであり、そして核酸配列の配列番号:85を含み、配列番号:87を含むδサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はholBであり、そして核酸配列の配列番号:90を含み、配列番号:92を含むδ’サブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はholCであり、そして核酸配列の配列番号:95を含み、配列番号:97を含むχサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaGであり、そして核酸配列の配列番号:102を含み、配列番号:104を含むdnaGサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はssbであり、そして核酸配列の配列番号:107を含み、配列番号:109を含むssbサブユニット蛋白質をコードする。
本発明の別の態様は、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素IIIサブユニットの少なくとも一方にストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子である。好ましいシュードモナス・エルギノーサの遺伝子はdnaEであり、そして核酸配列の配列番号:65及び配列番号:70を含み、配列番号:67及び配列番号:72を含むdnaEサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaQであり、そして核酸配列の配列番号:75を含み、配列番号:77を含むdnaQサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaNであり、そして核酸配列の配列番号:112を含み、配列番号:114を含むDNAポリメラーゼIII βサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaXであり、そして核酸配列の配列番号:80を含み、配列番号:82を含むdnaXサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はholAであり、そして核酸配列の配列番号:85を含み、配列番号:87を含むδサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はholBであり、そして核酸配列の配列番号:90を含み、配列番号:92を含むδ’サブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はholCであり、そして核酸配列の配列番号:95を含み、配列番号:97を含むχサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はdnaGであり、そして核酸配列の配列番号:102を含み、配列番号:104を含むdnaGサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいシュードモナス・エルギノーサ遺伝子はssbであり、そして核酸配列の配列番号:107を含み、配列番号:109を含むssbサブユニット蛋白質をコードする。
好ましいエルシニア・ペスティスの遺伝子はdnaEであり、そして核酸配列の配列番号:1を含み、配列番号:3を含むdnaEサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はdnaQであり、そして核酸配列の配列番号:8を含み、配列番号:10を含むDNAポリメラーゼIII ε−サブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はholEであり、そして核酸配列の配列番号:13を含み、配列番号:15を含むDNAポリメラーゼIII θ−サブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はdnaNであり、そして核酸配列の配列番号:18を含み、配列番号:20を含むDNAポリメラーゼIII β−サブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はdnaXであり、そして核酸配列の配列番号:23を含み、配列番号:25を含むdnaXサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はholAであり、そして核酸配列の配列番号:33を含み、配列番号:35を含むδサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はholBであり、そして核酸配列の配列番号:38を含み、配列番号:40を含むδ’サブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はholCであり、そして核酸配列の配列番号:43を含み、配列番号:45を含むχサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はholDであり、そして核酸配列の配列番号:48を含み、配列番号:50を含むΨサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はssbであり、そして核酸配列の配列番号:53を含み、配列番号:55を含むssbサブユニット蛋白質をコードする。別の好ましいエルシニア・ペスティス遺伝子はdnaGであり、そして核酸配列の配列番号:58を含み、配列番号:60を含むdnaGサブユニット蛋白質をコードする。
核酸配列決定技術は完全に間違いを除き切れないから、本明細書に提示された配列は最高でも本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素サブユニット蛋白質をコードする核酸分子の真実らしい(apparent)核酸配列を表す。本発明の核酸分子は、単離された天然遺伝子又はその相同物を含むことができ、そのうちの後者は以下においてより詳細に説明される。本発明の核酸分子は、一つ又は複数の制御領域、完全長又は部分的なコーディング領域、又はそれの混合物を含み得る。本発明の核酸分子の最小サイズは、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で前記の遺伝子の一つと安定にハイブリッドを形成できる最小サイズである。
一つの態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約90%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約95%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。
本発明によれば、単離された核酸分子は、その天然源において普通は結合している少なくとも一つの混在する核酸から同定されて分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、即ち、自然界で見いだされるのとは異なった形態又は環境(setting)で存在する。対照的に、核酸、例えばDNA及びRNAとしての非単離核酸はそれらが自然界で存在する状態で見いだされる。単離された核酸分子は、一本鎖又は二本鎖の形態で存在してよい。単離された核酸分子を蛋白質を発現させるために使用する場合、核酸分子はセンス又はコーディング鎖(即ち、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは一本鎖であってよい)を最小限含むことになるが、センス鎖とアンチセンス鎖の両方を含んでよい(即ち、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは二本鎖であってよい)。「単離された」は、核酸分子が精製される程度を反映しない。単離された核酸分子は、DNA、RNA、又はDNA又はRNAの何れかの誘導体を含み得る。
本発明の単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット核酸分子は、遺伝子全体(即ち、完全遺伝子)又はその遺伝子と安定にハイブリダイズを形成することができるその一部の何れかとしてその天然源から得ることができる。単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット核酸分子は、組換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅、クローニング)又は化学合成を用いて生産することができる。単離されたシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット核酸分子は、天然核酸分子及びその相同物を含み、限定ではないが、ヌクレオチドが挿入されるか、欠失されるか、置換されるか、及び/又は倒置された天然対立遺伝子バリアント及び修飾された核酸分子を含み、本発明の蛋白質をコードするか又は天然遺伝子単離物とストリンジェント条件下で安定なハイブリッドを形成する上記核酸分子の能力をそのような修飾が実質上干渉しない様式における。
シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット核酸分子相同物は、当業者に知られている多数の方法を用いて生産することができる(例えば、Sambrooket al.,同じ箇所、を参照)。例えば、核酸分子は、様々な技術を用いて修飾することができ、限定ではないが、古典的な変異導入技術及び組換えDNA技術、例えば、部位特異的変異導入、核酸分子の化学処理による変異誘発、核酸断片の制限酵素分割、核酸断片の連結、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅及び/又は核酸配列の選択された領域の変異導入、オリゴヌクレオチド混合物の合成及び混合物グループの連結による核酸分子の混合物及びそれらの組み合わせの「構築(build)」を含む。核酸分子相同物は、核酸によりコードされる蛋白質の機能に関してスクリーニングすること(例えば、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質の少なくとも一つのエピトープに対する免疫応答性を導き出す能力、免疫血清に結合する能力)及び/又はシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット遺伝子とのハイブリダイゼーションにより、修飾された核酸の混合物から選択することができる。
本発明は、生物学上のサンプル中のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素、又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの少なくとも一部をコードする核酸分子の検出のための方法も提供し、a)本発明の核酸分子の少なくとも一部を、生物学上のサンプルの核酸物質にハイブリダイズさせることにより、ハイブリダイゼーション複合体を形成させ、そしてb)ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程を含み、その際、複合体の存在が生物学上のサンプル中のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチドの存在に相関する。好ましい態様において、ハイブリダイゼーションの条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約90%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーション条件は、釣り上げるために使用される核酸分子と少なくとも約95%の核酸配列同一性を有する核酸分子の単離を可能にさせる。上記方法の別の好ましい態様において、生物学上のサンプルは、ポリメラーゼ鎖反応により増幅される。
組換え分子、組換え細胞、及び組換え分子と組換え分子の用途
本発明は組換えベクターも含み、宿主細胞中に核酸分子を送達することができるあらゆるベクターに挿入された、少なくとも一つの、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII核酸分子を含む。そのようなベクターは、異種核酸配列を含み、それは、本発明の核酸分子に近接して天然では見いだされない核酸配列及び核酸分子が由来する種以外の種に好ましくは由来する核酸配列である。上記ベクターは、RNA又はDNAの何れか、原核生物又は真核生物の何れか、そして典型的にはウイルス又はプラスミドである。組換えベクターは、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII核酸分子のクローン化、配列決定及び/又は他の操作において使用することができる。他の種類の組換えベクターは、本明細書では組換え分子と呼ばれて以下において詳細に説明されるが、本発明の核酸分子の発現においいて使用することができる。好ましい組換えベクターは、形質転換細胞において複製できる。
本発明は組換えベクターも含み、宿主細胞中に核酸分子を送達することができるあらゆるベクターに挿入された、少なくとも一つの、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII核酸分子を含む。そのようなベクターは、異種核酸配列を含み、それは、本発明の核酸分子に近接して天然では見いだされない核酸配列及び核酸分子が由来する種以外の種に好ましくは由来する核酸配列である。上記ベクターは、RNA又はDNAの何れか、原核生物又は真核生物の何れか、そして典型的にはウイルス又はプラスミドである。組換えベクターは、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII核酸分子のクローン化、配列決定及び/又は他の操作において使用することができる。他の種類の組換えベクターは、本明細書では組換え分子と呼ばれて以下において詳細に説明されるが、本発明の核酸分子の発現においいて使用することができる。好ましい組換えベクターは、形質転換細胞において複製できる。
単離された本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼ蛋白質は、様々な方法により生産することができ、天然蛋白質の生産と回収、組換え蛋白質の生産と回収、及び当該蛋白質の化学合成を含む。一つの態様において、本発明の単離された蛋白質は、当該蛋白質を生産するのに十分な条件下で蛋白質を発現させることができる細胞を培養し、そして蛋白質を回収することにより生産する。培養される好ましい細胞は、蛋白質を発現することができる組換え細胞であり、当該組換え細胞は、本発明の一つ又は複数の核酸分子により宿主細胞を形質転換することにより製造される。核酸分子による細胞の形質転換は、核酸が細胞中に挿入され得るあらゆる方法により達成することができる。形質転換技術は、限定ではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクチン、吸着、及びプロトプラスト融合を含む。組換え細胞は単細胞のままでよく、あるいは、組織、器官、又は多細胞生物に成長させてよい。本発明の形質転換された核酸分子は、染色体外のままであることができ、あるいは、それらが発現される能力を保持する様式にて、形質転換された(即ち、組換え)細胞の染色体内の一つ又は複数の部位に組込まれる得る。細胞を形質転換するための適切で且つ好ましい核酸分子は、適切で且つ好ましいシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII核酸分子それ自体に関して本明細書において開示されたとおりである。本発明の組換え細胞中に含まれる特に好ましい核酸分子は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのdnaN,dnaE,dnaX,dnaX,dnaQ,holA,holB,holC,holD,holE,ssb,及びdnaGを含む。
形質転換する適切な宿主細胞は、本発明の核酸分子で形質転換され得るあらゆる細胞を含む。宿主細胞は、形質転換されていない細胞か又は少なくとも一つの核酸分子により既に形質転換された細胞の何れかであり得る。本発明の宿主細胞は、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質を内生的に(即ち、天然で)生産することができる細胞、又は本発明の少なくとも一つの核酸分子で形質転換された後にそのような蛋白質を生産することができる細胞の何れかであり得る。本発明の宿主細胞は、本発明の少なくとも一つの蛋白質を生産することができるあらゆる細胞であり得て、細菌、真菌(酵母を含む)、昆虫、他の動物及び植物細胞を含む。好ましい宿主細胞は、細菌、ミコバクテリウム、酵母、昆虫及び哺乳類細胞を含む。もっとも好ましい宿主細胞は、エシェリヒア(Escherichia)を含む。特に好ましい宿主細胞は、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)(大腸菌)であり、DH5α、MGC1030及びAP1.L1株を含む。別の好ましい宿主細胞は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスであり、病原性を低下させた弱毒化株を含む。
組換え細胞は、宿主細胞を、一つ又は複数の組換え分子で形質転換することにより生産することが好ましく、各々が一つ又は複数の転写調節配列を含む発現ベクターに作動可能なように連結された本発明の核酸分子を一つ又は複数含む。作動可能なように連結されたなる句は、宿主細胞を形質転換する際に分子が発現され得る様式での発現ベクターへの核酸分子の挿入を意味する。本明細書にて使用される、発現ベクターは、宿主細胞を形質転換することができて且つ特定された核酸分子の発現を作用させ得る、DNA又はRNAベクターである。用語「媒体(vehicle)」が、時々、「ベクター」と交換可能に使用される。好ましくは、発現ベクターは、宿主細胞内で複製もできる。本発明の発現ベクターは、本発明の組換え細胞内で機能する(即ち、遺伝子発現を指示する)あらゆるベクターを含み、細菌中、真菌中、寄生虫中、昆虫中、他の動物中、及び植物細胞中を含む。本発明の好ましい発現ベクターは、細菌、酵母、昆虫及び哺乳類細胞の中、そしてより好ましくは今まで開示された細胞種の中で遺伝子発現を指示することができる。
本発明の組換え分子は、(a)分泌シグナル(即ち、シグナルセグメント核酸配列)を含むことにより、発現された本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスの蛋白質を、当該蛋白質を発現した細胞の外に分泌し,及び/又は、(b)本発明の核酸分子の発現を導く融合配列を融合蛋白質として含んでもよい。真核組換え分子は、介在配列及び/又は非翻訳配列を、本発明の核酸分子の核酸配列の周囲又は中に含んでよい。
適切なシグナルセグメントは、本発明の蛋白質の分泌を指示することが可能な、天然シグナルセグメント又はあらゆる異種シグナルセグメントを含む。好ましいシグナルセグメントは、限定ではないが、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)、インターフェロン、インターロイキン、成長ホルモン、組織適合性及びウイルスエンベロープ糖蛋白質シグナルセグメントを含む。
本発明の核酸分子は、制御配列、例えば、転写調節配列、翻訳調節配列、複製の起点、及び組換え細胞と共存可能であって且つ本発明の核酸分子の発現を調節する他の制御配列を含む発現ベクターに作動可能なように連結され得る。特に、本発明の組換え分子は、転写調節配列を含む。転写調節配列は、転写の開始、伸長、及び停止を調節する配列である。特に重要な転写調節配列は、転写開始を調節するもの、例えばプロモーター、エンハンサー、オペレーター及びリプレッサー配列である。適切な転写調節配列は、本発明の組換え細胞少なくとも一つの中で機能し得るあらゆる転写調節配列を含む。様々なそのような転写調節配列が当業者には知られている。好ましい転写調節配列は、細菌、酵母、昆虫及び哺乳類細胞の中で機能し得るものを含み、限定ではないが、例えば、pA1,tac,lac,trp,trc,oxy−pro,omp/lpp,rrnB,バクテリオファージラムダ(λ)、バクテリオファージT7、T7lac,バクテリオファージT3、バクテリオファージSP6、バクテリオファージSP01、メタロチオネイン、α−メーティング因子、ピキアアルコールオキシダーゼ、アルファウイルスサブゲノミックプロモーター(例えば、シンドビス(Sindbis)ウイルスサブゲノミックプロモーター)、抗生物質耐性遺伝子、バキュロウイルス、ヘリオディス・ゼア(Heliothis zea)昆虫ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス(例えば、中間(intermediate)初期プロモーター)、シミアンウイルス40、レトロウイルス、レトロウイルスロングターミナルリピート、ラウス肉腫ウイルス、ヒートショック、リン酸及び硝酸転写制御配列並びに原核生物又は真核生物において遺伝子発現を調節することができる他の配列である。追加の適切な転写調節配列は、組織特異的プロモーター並びにリンホカイン誘導性プロモーター(例えば、インターフェロン又はインターロイキンにより誘導可能なプロモーター)を含む。本発明の転写調節配列は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスに自然界で関係のある天然に生じる転写調節配列も含み得る。
本発明の組換え分子は、形質転換される細胞内で核酸分子の発現を有効に制御できるあらゆる転写調節配列の少なくとも一つに作動可能なように連結された、前記のあらゆる核酸分子の少なくとも一つを含み得る。本発明の組換え細胞は、本発明のあらゆる核酸分子少なくとも一つで形質転換されたあらゆる細胞を含む。本発明の組換え細胞は、本発明の一つまたは複数の蛋白質をコードするシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII核酸分子を含む一つ又は複数の組換え分子により同時形質転換することもでき、その例を本明細書に開示する。特に好ましい組換え分子は、pA1−YP−dnaE5’,pA1−YP−dnaE,pA1−YP−dnaQ,pA1−YP−holE,pA1−YP−QE,pA1−YP−コア、pA1−YP−dnaN,pA1−YP−dnaX,pA1−YP−holA,pA1−YP−holB,pA1−YP−holC,pA1−YP−holD,pA1−YP−holCD,pA1−YP−holBA,pA1−YP−holBAX,pA1−YP−CL複合体(complex)、pA1−YP−ssb,pA1−YP−dnaG,pA1−PA−dnaE#15’,pA1−PA−dnaE#1,pA1−PA−dnaE#2−5’,pA1−PA−dnaE#2,pA1−PA−dnaQ,pA1−PA−コア#1,pA1−PA−コア#2,pA1−PA−dnaX,pA1−PA−holA,pA1−AP−holB,pA1−NB−PAholC,pUCP19−NB−PAholC,pA1−CB−PAholC,pUCP19−CB−PAholC,pA1−PA−holBA,pA1−PA−BAX,pA1−PA−dnaG,及びpA1−PA−ssbを含む。そのような組換え分子の生産に関する詳細は、本明細書に記載される。
本発明の組換え細胞は、本発明のあらゆる核酸分子の少なくとも一つにより形質転換されたあらゆる細胞を含む。細胞に運ばれる、適切で好ましい核酸分子並びに適切で好ましい組換え分子は、本明細書に開示される。好ましい組換え細胞は、上で列挙された好ましい組換え分子により形質転換された、DH5α、MGC1030及びAP1.L1株を含むエシェリヒア/コリ、シュードモナス・エルギノーサ株及びエルシニア・ペスティス株を含む。特に好ましい組換え細胞は、以下のセクションの実施例において記載される形質転換された細胞を含む。これらの組換え細胞の生産に関する詳細は、本明細書に開示される。
本発明の組換え細胞は、本発明の一つ又は複数の蛋白質をコードするPsuDNAポリメラーゼIII核酸分子を含む一つ又は複数の組換え分子により同時形質転換されることもできる。
組換えDNA技術の使用は、例えば、宿主細胞内で核酸分子のコピー数、それらの核酸分子が転写される効率、結果の転写物が翻訳される効率、及び翻訳後修飾の効率を操作することにより、形質転換された核酸分子の発現を改善することができる。本発明の核酸分子の発現を増加させるために有用な組換え技術は、限定ではないが、核酸分子の高コピー数プラスミドへの作動可能な連結、核酸分子の一つ又は複数の宿主染色体への組込み、ベクター安定性配列のプラスミドへの付加、転写調節シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換又は修飾、転写置換配列(例えば、リボソーム結合部位、シャイン−ダルガノ配列)の置換又は修飾、宿主細胞のコドン使用度に対応させるための本発明の核酸分子の修飾、転写物を脱安定化させる配列の削除、及び培養の間に組換え酵素生成物から組換え細胞の生育を特定の時期に分離させる調節シグナルの使用を含む。本発明の発現された組換え蛋白質の活性は、そのような蛋白質をコードする核酸分子を断片化、修飾又は誘導することにより、改善してよい。
本発明の組換え細胞は、本発明の一つ又は複数の蛋白質を生産するために使用することができ、そのような蛋白質を生産するのに有効な条件下でそのような細胞を培養し、そして蛋白質を回収することによる。蛋白質を生産する有効な条件は、限定ではないが、蛋白質の生産を許容する、適切な培地、バイオリアクター、温度、pH及び酸素条件を含む。適切又は有効な培地は、培養した場合に、本発明の細胞が本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIII蛋白質を生産できるあらゆる培地を意味する。そのような培地は、典型的には、同化できる炭素、窒素及びリン酸源、並びに適切な塩、ミネラル、金属及び他の栄養、例えばビタミンを含む水性培地である。当該培地は、複合栄養物を含んでよいか又は規定された最小培地であってよい。本発明の細胞は、限定ではないが、バッチ、給餌バッチ(fed-batch)、細胞リサイクル及び連続発酵機を含む慣用の発酵バイオリアクター中で培養することができる。培養は、振盪フラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュ、又はペトリ皿中で実施することもできる。培養は、組換え細胞に適した、温度、pH及び酸素含有量にて実施することができる。そのような培養条件は、当業者の専門技術の範囲内である。
生産のために使用されるベクター及び宿主に依存して、本発明の結果として生じる蛋白質は、組換え細胞内に残ったままであるか;培養培地中に分泌されるか;2つの細胞膜の間の空間、例えば大腸菌のペリプラズム空間の間に分泌されるか;又は細胞の膜又はウイルスの膜の外部表面上に残される。
「蛋白質を回収する」なる句は、蛋白質を含む全培養培地を回収することを単に意味し、分離又は精製の追加工程を意味しない。本発明の蛋白質は、限定ではないが、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、濾過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング及び差動性(differential)可溶化のような様々な標準蛋白質精製技術を用いて精製することができる。本発明の蛋白質は、「実質上純粋な」形態にて回収するのが好ましい。本明細書にて使用される「実質上純粋な」は、上記蛋白質の治療組成物又は診断としての有効な使用を可能にさせる精製度を意味する。
抗体
本発明は、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質又はその模倣物に選択的に結合できる単離された抗体も含む。そのような抗体は、本明細書において、抗シュードモナス・エルギノーサ又は抗エルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット抗体とも呼ばれる。この態様の特に好ましい態様は、抗−DnaE抗体、抗−DnaN抗体、抗−DnaX抗体、抗−HolA抗体及び抗−HolB抗体を含む。
本発明は、本発明のシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質又はその模倣物に選択的に結合できる単離された抗体も含む。そのような抗体は、本明細書において、抗シュードモナス・エルギノーサ又は抗エルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット抗体とも呼ばれる。この態様の特に好ましい態様は、抗−DnaE抗体、抗−DnaN抗体、抗−DnaX抗体、抗−HolA抗体及び抗−HolB抗体を含む。
単離された抗体は、それらの天然環境から取り出された抗体である。用語「単離された」は、そのような抗体の精製の度合いを意味しない。そういうものとして、単離された抗体は、そのような抗体を含む抗血清、又は程度を変えて精製された抗体を含み得る。
本明細書において使用される用語「選択的に結合する」は、本発明の抗体が本発明の特定された蛋白質及びそれらの模倣物に優先的に結合する能力を意味する。結合は、免疫ブロットアッセイ、免疫沈殿アッセイ、放射免疫アッセイ、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、免疫蛍光抗体アッセイ及び免疫電子顕微鏡を含む当業者には公知の様々な方法を用いて測定できる;例えば、Sambrooket al,同じ箇所を参照。
本発明の抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル抗体の何れかであり得る。本発明の抗体は、機能性均等物、例えば抗体断片及び遺伝子操作された抗体を含み、抗体を得るために使用された蛋白質又は模倣物のエピトープの少なくとも一つに選択的に結合することができる単鎖抗体を含む。本発明の抗体は、一つより多くのエピトープに結合できる核酸分子により、少なくとも一部、コードされた蛋白質又はその模倣物に応答して生じる。抗体を生成及び検出する方法は当業界公知である。例えば、Harlowand Lane,Antibodies;A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor LaboratoryPress,Cold Spring Harbor,NY,その全体を引用により本明細書に取り込む。
本発明の抗体を生産するための好ましい方法は、(a)本発明の蛋白質又はその模倣物を有効量、動物に投与することにより抗体を産生させ、そして(b)抗体を回収することを含む。別の方法において、本発明の抗体は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質を生産するために本明細書にてこれまで開示された技術を用いて組換えにより生産される。規定された蛋白質又は模倣物に対する抗体は有利であり得るが、そのような抗体が、治療組成物中で使用されたならば診断アッセイにおける干渉又は副作用を別に引き起こすかもしれない他の物質に対する抗体で実質上汚染されていないからである。
本発明の抗体は、本発明の範囲内での様々な可能性の用途を有する。例えば、そのような抗体は、そのような抗体による治療に感受性の細菌、例えば(a)シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスから動物を防御するために動物を受動的に免疫するための治療用化合物として、(b)そのような細菌による感染を検出するためのアッセイにおける試薬として、及び/又は(c)発現ライブラリーをスクリーンするか、及び/又は蛋白質と他の汚染物との混合物から本発明の所望の蛋白質を回収するための道具として、使用することができる。さらに、本発明の抗体は、直接そのような細菌を殺傷するために本発明の細菌に対して毒性薬剤を標的化するために使用することができる。標的化は、当業者に知られている技術を用いて毒性薬剤にそのような抗体をコンジュゲートする(即ち、安定に連結する)ことにより、達成することができる。適切な毒性薬剤は、当業者に知られている。適切な毒性薬剤は、限定ではないが、抗細菌薬剤の全てのクラスを含む。
本発明のアミノ酸分子及び核酸分子の検出
本発明は、DNAポリメラーゼIIIを検出するための方法も提供し、何れかの順番で、DNAポリメラーゼIIIを含むと推測されるサンプル、及びDNAポリメラーゼIIIの少なくとも一部に特異的に結合することができる抗体を用意し;サンプルと抗体を、抗体がDNAポリメラーゼIIIに結合できる条件下で混合し;そして、結合を検出することを含む。別の好ましい態様において、生物はシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスである。抗体を用いて蛋白質を検出する方法は、当業者に知られており、例えば、HarlowとLane,同じ箇所を参照されたく、そして免疫ブロットアッセイ、免疫沈殿アッセイ、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、放射性免疫アッセイ、免疫蛍光抗体アッセイ及び免疫電子顕微鏡を含む。
本発明は、DNAポリメラーゼIIIを検出するための方法も提供し、何れかの順番で、DNAポリメラーゼIIIを含むと推測されるサンプル、及びDNAポリメラーゼIIIの少なくとも一部に特異的に結合することができる抗体を用意し;サンプルと抗体を、抗体がDNAポリメラーゼIIIに結合できる条件下で混合し;そして、結合を検出することを含む。別の好ましい態様において、生物はシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスである。抗体を用いて蛋白質を検出する方法は、当業者に知られており、例えば、HarlowとLane,同じ箇所を参照されたく、そして免疫ブロットアッセイ、免疫沈殿アッセイ、酵素免疫アッセイ(例えば、ELISA)、放射性免疫アッセイ、免疫蛍光抗体アッセイ及び免疫電子顕微鏡を含む。
本発明は、生物学上のサンプル中のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素、又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの少なくとも一部をコードする核酸分子を検出するための方法も提供し、a)本発明の核酸分子の少なくとも一部を生物学上のサンプルの核酸物質にハイブリダイズさせ、それにより、ハイブリダイゼーション複合体を形成させ、そして、b)ハイブリダイゼーション複合体を検出するが、その際、複合体の存在が生物学上のサンプルの中のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチドの存在と相関する、工程を含む。別の好ましい態様において、生物学上のサンプルの核酸物質は、ポリメラーゼ鎖反応により増幅される。
本発明は、異常か又は変異したDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニット蛋白質又は遺伝子配列を含む、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニット発現を検出する方法も提供し、a)適宜、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質を含むと推測される試験サンプルを用意し;そして、b)試験DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニットを、対照中の定量されたDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニットと比較することにより、サンプル中の試験DNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニットの相対濃度を測定する工程を含む。さらに、上記方法は、試験サンプル及び対照サンプル中のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素又はホロ酵素サブユニットの相対濃度を測定するためのあらゆる適切な手段を用いて実施してよい。そのような方法の例は実施例のセクションにおいて見い出される。
本発明の別の態様は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質サブユニットの機能活性を検出する方法である。好ましい方法は、a)DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニット蛋白質を含むと推測される試験サンプルを用意し;そしてb)サンプル中の試験ホロ酵素サブユニットの活性を、対照中の定量されたDNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットと比較することにより、サンプル中の試験DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの相対活性を測定することを含む。一つの態様において、上記活性は、DNAポリメラーゼIIIタイプDnaEサブユニットの検出に関するポリメラーゼギャップフィリング活性である。別の態様において、上記活性は、DnaNサブユニットの検出に関するDNAポリメラーゼのプロセッシビティーの刺激である。別の態様において、上記活性は、DnaXサブユニットのDNA依存性ATPase活性である。別の態様において、上記活性は、DnaE,DnaN,DnaX,HolA及びHolBの存在下におけるRNA−又はDNA−プライムされた長い一本鎖DNA鋳型上の迅速且つプロセッシブなDNA合成である。
レプリカーゼの機能の修飾
細菌のレプリカーゼの必須サブユニットの最小の集合体は、長いストレッチのDNAの迅速且つプロセッシブな合成を許容するべきである。これまでに研究された全ての細菌のレプリカーゼにおいて、最小の機能性ホロ酵素は3つの成分からなる:1)ポリメラーゼコア、2)β−プロセッシビティー因子−負荷(又はクランプ−ローディング)複合体、及び3)スライディングクランププロセッシビティー因子、β。大腸菌においては、最小ホロ酵素は、αサブユニット、DnaX−δδ’クランプローディング複合体及びβサブユニットからなる。同じ成分がグラム陽性のストレプトコッカス・ピオゲネス及びサーマス・サーモフィルス由来の機能性DNApol IIIホロ酵素に最小限必要である。類縁上近い関係の生物間にこの要求の一般性を仮定すれば、α、β、DnaX,δ、及びδ’が、エルシニア・ペスティス及びシュードモナス・エルギノーサを含むほとんどの生物のためのレプリカーゼの集合体に十分となる。本明細書にて使用されるDnaX複合体は、DnaX,デルタ及びデルタ’の集合体を記載するのに使用される用語である。
細菌のレプリカーゼの必須サブユニットの最小の集合体は、長いストレッチのDNAの迅速且つプロセッシブな合成を許容するべきである。これまでに研究された全ての細菌のレプリカーゼにおいて、最小の機能性ホロ酵素は3つの成分からなる:1)ポリメラーゼコア、2)β−プロセッシビティー因子−負荷(又はクランプ−ローディング)複合体、及び3)スライディングクランププロセッシビティー因子、β。大腸菌においては、最小ホロ酵素は、αサブユニット、DnaX−δδ’クランプローディング複合体及びβサブユニットからなる。同じ成分がグラム陽性のストレプトコッカス・ピオゲネス及びサーマス・サーモフィルス由来の機能性DNApol IIIホロ酵素に最小限必要である。類縁上近い関係の生物間にこの要求の一般性を仮定すれば、α、β、DnaX,δ、及びδ’が、エルシニア・ペスティス及びシュードモナス・エルギノーサを含むほとんどの生物のためのレプリカーゼの集合体に十分となる。本明細書にて使用されるDnaX複合体は、DnaX,デルタ及びデルタ’の集合体を記載するのに使用される用語である。
本発明は、動物、植物、ヒト及び周囲の環境の細菌感染を減じるための、DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの複製活性を変調する細菌DNA複製の変調剤又は推測された変調剤の使用を含む。本明細書にて使用される細菌DNA複製の変調剤は、レプリカーゼと相互作用することにより、DNAを複製するレプリカーゼの能力を変更させる化合物である。好ましい変調剤は、複製を阻害する。
標的の指示(target indications)は、動物研究において細菌感染からの回収をもたらす細胞成長を阻止するか又は細胞死を引き起こすことを含んでよい。活性に関する様々な範囲のアッセイ及び結合剤が提供されており、DNA、蛋白質−蛋白質結合アッセイ、免疫アッセイ、細胞に基づくアッセイ等を含む。薬剤を同定するために使用される複製蛋白質組成物は、単離されて、部分精製されたか又は純粋な形態であり必然ではないが典型的には組換え生産される。複製蛋白質は、別のペプチド又はポリペプチド(例えば、アッセイ条件下で蛋白質−蛋白質結合、安定性を提供又は増強できるポリペプチド(例えば、検出又はアンカーリングのためのタグ)、等)との融合生成物の一部であってよい。アッセイ混合物は、天然の細胞内複製蛋白質−結合標的、例えば、DNA、別の例えば、NTP,又はdNTPを含む。結合アッセイに関しては、天然の結合標的を使用してよいが、アッセイにおいて便利に測定可能な主題の複製蛋白質に対して結合親和性及び親和力を提供するかぎり、その一部(例えば、ペプチド、核酸断片)を使用することがしばしば好まれる。上記アッセイ混合物は候補の薬剤も含む。一般に、多数のアッセイ混合物を平行に異なる試薬濃度にて流す(run)ことにより、様々な濃度に対して異なる応答を得る。典型的には、これらの濃度のうちの一つが陰性対照として機能する(即ち、ゼロ濃度又はアッセイ検出限界より下)。陽性対照、用量応答曲線、公知阻害剤の使用、対照の異種蛋白質の使用等のような追加の対照がしばしば存在する。候補の薬剤は多数の化学物質のクラスを包含するが、典型的にはそれらは有機化合物である;好ましくは、それらは小さな有機化合物であり、合成又は天然の化合物のライブラリーを含む様々な源から得られる。様々な他の試薬も混合物に含んでよい。これらは、塩、バッファー、中性蛋白質(例えば、アルブミン、界面活性剤、等)のような試薬を含み、最適な結合を促進させるため及び/又は非特異的相互作用又はバックグラウンドの相互作用等を減じるために使用してよい。また、他にアッセイの効率を改善する試薬(例えば、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤、等)を使用してよい。
発明は、複製蛋白質特異的アッセイ及び他の複製蛋白質等のような細胞内結合標的を含む結合試薬及びそのような試薬を同定及び作成する方法、及び様々な診断上の応用及び治療上の応用、特に疾患が過剰な細胞の成長に関連する場合におけるそれらの使用を提供する。新規な複製蛋白質−特異的な蛋白質及び1ハイブリッドスクリーン及び2ハイブリッドスクリーンのようなアッセイにより同定された他の天然細胞内結合試薬、化学物質ライブラリーによるスクリーニングにより同定された非天然細胞内結合試薬等である。
一般に、上記結合試薬の複製蛋白質−特異性は、平衡定数又は平衡定数に近似させた値、例えば反応を50%阻害する濃度(IC50)により示される。そのような試薬は、複製蛋白質を特異的に結合することができる(即ち、少なくとも約107M−1,好ましくは少なくとも約108M−1,より好ましくは少なくとも約109M−1の平衡結合定数を伴う)。様々な細胞に基づくアッセイ及び細胞を含まないアッセイを使用することにより、複製蛋白質−特異活性、結合、ゲルシフトアッセイ、免疫アッセイ等を示してよい。
結果の混合物は、候補の薬剤の存在を別にすれば、複製蛋白質が細胞結合標的、一部又は類似体に結合する条件下でインキュベートする。成分の混合物は、必要な結合を提供するあらゆる順序で添加することができる。
インキュベーションは、最適な結合を促進させるあらゆる温度、典型的には、4℃と40℃の間、より一般的には15℃と37℃の間にて実施してよい。インキュベーション時間は、同様に最適な結合のために選択されるが、迅速且つ高処理量のスクリーニングを促進させるのに最小化もされて、典型的には0.01時間から10時間の間、好ましくは5時間未満、より好ましくは1時間未満である。
インキュベーションの後に、活性又は複製蛋白質と一つ又は複数の結合標的の間の特異的結合の存在又は不在をあらゆる便利な方法により検出する。細胞を含まないアッセイ及び結合種アッセイに関しては、分離工程を使用することにより、未結合の成分から活性産物又は結合成分を分離してよい。
分離は、沈殿(例えば、免疫沈殿又は核酸生成物の酸沈殿)、固定化(例えば、固相基材、例えばマイクロタイタープレート)等、続く洗浄により行ってよい。分離を必要としない多くの分離アッセイも可能であり、例えば、近接アッセイにおけるユーロピウムのコンジュゲートの使用、二本鎖DNA内へのインターカレートに際して蛍光を増加させる染料の存在下での二本鎖DNA合成に際しての蛍光増加、シンチレーション近接アッセイ、又は反応産物又は基質の損失に依存する検出系である。
検出は、あらゆる便利な方法により行ってよい。細胞を含まない活性及び結合アッセイに関しては、成分の一つが、通常は、標識を含むか又は標識にカップリングされる。
様々な標識を用いてよく−本質的には、DNA生成物の検出、DNA基質の損失、ヌクレオチド基質の変換又は結合蛋白質に備えるあらゆる標識が有用である。標識は、直接検出、例えば放射活性、蛍光、発光、目視(optical)、又は電子密度等、又は間接検出、例えばエピトープタグ、酵素等に備えてよい。標識は、蛋白質に付加するか(例えば、リンの放射性同位体を含むリン酸基)、DNA基質又は蛋白質構造中に取り込んでよい(例えば、イオウの放射性同位体を含むメチオニン残基)。様々な方法を用いることにより、標識及び他のアッセイ成分の性質に依存して標識を検出してよい。例えば、標識は固相基材から分離して良く、あるいは、標識を含む結合複合体の一部を固相基材から分離してよく、その後、標識を検出する。標識は、目視の密度又は電子密度、放射性の放射、非放射性エネルギーの移動、蛍光放射等により直接検出して良く、あるいは抗体コンジュゲート等により間接に検出してよい。例えば、放射性標識の場合、放射は直接(例えば、素粒子カウンターを用いて)又は間接(例えば、シンチレーションカクテル及びカウンターを用いて)に検出してよい。
本発明は、細菌、好ましくは、エルシニア・ペスティス及びシュードモナス・エルギノーサからの複製蛋白質を用いて新規な薬剤を発見する方法を提供する。複製蛋白質の機能を別の化学試験化合物の存在下で定量する。当該機能を阻害する化学化合物が候補抗生物質である。
いくつかの態様においては、単一の生物に由来する複製蛋白質を使用することが好ましい。別の態様においては、様々なサブユニットを一つ又は複数の生物に由来してよい。グラム陽性細菌由来の複製蛋白質とグラム陰性細菌由来の複製蛋白質は、特定の態様において互いに交換可能であり得る。したがって、それらは、混合物として機能し得る。適切な大腸菌の複製蛋白質はそのPolIIIホロ酵素のサブユニットであり、O’Donnellに対する米国特許第5,583,026号及び第5,668,004号であり、その全体を引用により本明細書に編入する。
本発明において有用ないくつかの他の複製サブユニットは、共に係属中の米国特許出願連続番号09/906,176、特に表3−18及び21、2001年7月16日出願、発明の名称「NovelDNA Polymerase III Holoenzyme Delta Subunit NucleicAcid Molecules AndProteins」、引用により本明細書に編入する、に詳細に説明されている。
本発明は、一つの態様において、DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調させる化合物又は化学物質をスクリーニングする方法を提供し、a)レプリカーゼ活性に関して許容する条件下で少なくとも一つの試験化合物に単離されたレプリカーゼを接触させ、b)試験化合物の存在下でレプリカーゼの活性を評価し、そしてc)試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物の不在下でのレプリカーゼの活性と比較するが、その際、試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性における変化が、レプリカーゼの活性を変調させる化合物の指標である。好ましい態様において、レプリカーゼは、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのレプリカーゼサブユニット蛋白質を含む。
本発明は、DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調させる化合物を同定する方法を記載する。この方法は、鋳型DNA分子、DnaGプライマーゼ、SSB,DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼ、候補化合物、4つのNTPs及びdNTPsの混合物、及び任意に、βサブユニット、DnaX複合体の何れか、又はβサブユニット及びDnaX複合体の両方を含む反応混合物を形成させ;候補化合物の不在下で核酸重合を達成させるために有効な条件に反応混合物を供し;核酸重合伸長産物の存在又は不在に関して反応混合物を分析し、そして試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物の不在下でのレプリカーゼの活性と比較する。別の態様においては、DnaGとSSBを除外して、鋳型DnaG分子をオキシダーゼヌクレオチドプライマーによりプライムさせることができる。試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性における変化が、レプリカーゼの活性を変調させる化合物の指標である。好ましい態様において、DnaX複合体は、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDnaXサブユニット蛋白質を含む。
本発明は、DNAポリメラーゼを刺激することにおいてDnaX複合体とβサブユニットの活性を変調させる候補薬剤を同定する方法を記載する。上記方法は、プライムされたDNA(SSBでコートされていてよい)を、DNAポリメラーゼ、βサブユニット、及びDnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)と、候補薬剤、及びdNTPs(又は修飾されたdNTPs)の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させる。上記反応混合物は、候補薬剤の不在下で、核酸重合を行わせるはずの条件に供され、そして反応混合物中の伸長産物の存在又は不在を分析する。試験化合物存在下での核酸の重合を、試験化合物不在下での核酸の重合と比較する。試験化合物の存在下での核酸の重合における変化が、DnaX複合体とβサブユニットの活性を変調させる化合物の指標である。好ましい態様において、DnaX複合体は、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDnaXサブユニット蛋白質を含み、及び/又はβサブユニットはエルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのβサブユニットである。
本発明は、βサブユニットとDnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)が相互作用する能力を変調させる化学物質を同定する方法を記載する。この方法は、βサブユニットをDnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)とATP(又は適当なATP類似体、例えばATPγS、加水分解不可能なATPの類似体)の存在下で接触させることを含み、βとDnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)の相互作用を可能にさせて、候補薬剤と反応混合物を形成させる。反応混合物を、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)とβが候補薬剤不在下で相互作用するはずの条件に供する。次に、反応混合物をβサブユニットとDnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)の間の相互作用に関して分析する。試験化合物存在下での相互作用の程度を、試験化合物不在下での相互作用の程度と比較する。βサブユニットとDnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)の間の相互作用の変化が、相互作用を変調させる化合物の指標である。好ましい態様においては、DnaX複合体は、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体サブユニット蛋白質を含み、そしてβサブユニットがエルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのβサブユニットである。
本発明は、δサブユニットとδ’及び/又はDnaXサブユニットが相互作用する能力を変調させる化学物質を同定する方法を記載する。この方法は、δサブユニットをδ’及び/又はδ’プラスDnaXサブユニットと候補薬剤の存在下で接触させることにより反応混合物を形成させることを含む。反応混合物を、δサブユニットとδ’及び/又はδ’プラスDnaXサブユニットが候補薬剤不在下で相互作用するはずの条件に供する。次に、反応混合物をδサブユニットとδ’及び/又はδ’プラスDnaXサブユニットの間の相互作用に関して分析する。試験化合物存在下での相互作用の程度を、試験化合物不在下での相互作用の程度と比較する。δサブユニットとδ’及び/又はδ’プラスDnaXサブユニットの間の相互作用の変化が、相互作用を変調させる化合物の指標である。好ましい態様においては、δ、δ’及びDnaXサブユニットが、エルシニア・ペスティス及び/又はシュードモナス・エルギノーサのサブユニット蛋白質である。
本発明は、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)がDNA分子上でβサブユニットと集合する能力を変調させる化学物質を同定する方法を記載する。この方法は、環状のプライムされたDNA分子(SSBでコートされていてよい)を、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)とβサブユニットと、候補薬剤、ATP又はdATPの存在下で接触させることにより反応混合物を形成させることを含む。反応混合物を、DnaX複合体(又は亜集合体)がβとDNA分子上で候補薬剤の不在下で集合する条件に供する。反応混合物中のDNA分子上のβサブユニットの存在又は不在を分析する。試験化合物存在下での集合の程度を、試験化合物不在下での集合の程度と比較する。DNA分子上のβサブユニットの量の変化が、DnaX複合体(又はDnaX複合体の亜集合体)がDNA分子上でβサブユニットと集合する能力を変調させる化合物の指標である。好ましい態様においては、DnaX複合体又はその亜集合体は、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体サブユニット蛋白質を含み、そしてβサブユニットがエルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのβサブユニットである。
本発明は、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット)がDNA分子上でβサブユニットを解離させる(disassemble)能力を変調させる化学物質を同定する方法を記載する。この方法は、DNA分子を、βサブユニットが集合体形成していたところに候補薬剤の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させることを含む。反応混合物を、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)がβサブユニットを候補薬剤の不在下でDNA分子から解離させる条件に供する。反応混合物中のDNA分子上のβサブユニットの存在又は不在を分析する。試験化合物存在下での集合の程度を、試験化合物不在下での集合の程度と比較する。DNA分子上のβサブユニットの量の変化が、DnaX複合体(又はDnaX複合体の亜集合体)がDNA分子上でβサブユニットと集合する能力を変調させる化合物の指標である。好ましい態様においては、DnaX複合体又はその亜集合体は、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体サブユニット蛋白質を含み、そしてβサブユニットがエルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのβサブユニットである。
本発明は、DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニット(例えば、DNAサブユニット)のdATP/ATP結合活性を変調させる化学物質を同定する方法を記載する。この方法は、DnaX複合体(又はDnaX複合体サブユニット)を、dATP/ATPとDNA分子の存在又は不在下で及び/又はβサブユニットと候補薬剤の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させることを含む。反応混合物を、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット)がdATP/ATPと、候補薬剤の存在下で相互作用する条件に供する。dATP/ATPがDnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット)と候補薬剤の存在下で結合するか否かを決定するために上記反応混合物を分析する。試験化合物存在下での結合の程度を、試験化合物不在下での結合の程度と比較する。dATP/ATP結合の変化が、DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニット(例えば、DnaXサブユニット)のdATP/ATP結合活性を変調させる化合物の指標である。好ましい態様においては、DnaX複合体又は亜集合体は、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体サブユニット蛋白質を含む。
本発明は、DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニット(例えば、DNAサブユニット)のdATP/ATPase活性を変調させる化学物質を同定する方法を記載する。この方法は、DnaX複合体(又はDnaX複合体サブユニット)を、dATP/ATPと、DNA分子の存在又は不在下で及び/又はβサブユニットと、候補薬剤の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させることを含む。反応混合物を、DnaXサブユニット(又は複合体)がdATP/ATPと、候補薬剤の存在下で相互作用する条件に供する。dATP/ATPが加水分解されるか否かを決定するために上記反応混合物を分析する。試験化合物存在下での加水分解の程度を、試験化合物不在下での加水分解の程度と比較する。加水分解されたdATP/ATPの量の変化が、DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニット(例えば、DnaXサブユニット)のdATP/ATPase活性を変調させる化合物の指標である。DnaX複合体は、DnaX複合体サブユニット(例えば、DnaXサブユニット)を含み、DnaX複合体又は亜集合体は、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体サブユニット蛋白質を含む。
発明は、DNAポリメラーゼの活性を変調させる化学物質を同定する方法を記載し、環状のプライムされたDNA分子(SSBでコートされていてよい)を、DnaX複合体、βサブユニット及びαサブユニット及びdNTPs(又は修飾されたdNTPs)と、候補薬剤存在下で接触させることにより反応混合物を形成させることを含む。反応混合物は、候補薬剤の不在下で、核酸重合に影響する条件に供し、そして反応混合物中の伸長産物の存在又は不在を分析する。試験化合物存在下でのレプリカーゼの活性を、試験化合物不在下でのレプリカーゼの活性と比較する。試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性の変化が、レプリカーゼの活性を変調させる化合物の指標である。好ましい態様において、レプリカーゼは、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサのレプリカーゼサブユニット蛋白質を含む。
本発明は、DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼ活性を変調させることができる化合物を同定するための試験キットも含む。そのようなキットは、エルシニア・ペスティス又はシュードモナス・エルギノーサ由来の単離されたレプリカーゼサブユニット蛋白質及び仮想阻害化合物の存在下で(即ち、に影響される)DNA複製活性の変調の程度を測定する手段を含む。
本発明は、そのような方法、及び/又はキットにより単離された変調剤及び阻害剤、及びそのような阻害剤に感受性の本発明のあらゆるレプリカーゼを阻害するためのそれらの使用も含む。細菌のDNA複製の変調剤は、そのような化合物が処理される種にとって有害でない限り、細菌感染を有する疑いの有る動物、植物、及びヒトに対して直接使用することもできる。同様に、限定ではないが抗体及び小分子を含む、本発明のあらゆるレプリカーゼに結合する分子を、感染部位に対する細胞障害性、治療性又はイメージングの実在物を標的化するのに使用することもできる。
再構成のアプローチにより精製された必須DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの利用可能性により、発明の複製方法は、提供された新規な標的に対して高処理量スクリーンに敏感である。これは、小分子ライブラリーの中で活性化合物との相互作用に際して変調が観察されるように、ほとんど限界でなくなるまで、各化合物を滴定することにより達成され得る。バッファーの条件を酵素混合物の安定性を保証するように最適化し、そして複数プレートスクリーニングプロセスの間に別の冷蔵されたコンテナー内で保存される。アッセイの時間と温度も、安定な直線応答を保証するように最適化される。同様に、アッセイの全ての関連する化合物の全てを、最良の化合物による心配に対してアッセイの高感度を保証するように最適化される。
本発明は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼホロ酵素をスクリーニングする方法も提供する。この方法は、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素複製を変調すると推測される試験阻害剤を用意し、b)試験反応及び対照反応においてDNAポリメラーゼIII複製反応を検出し、そしてc)試験を対照と比較するが、その際、複製の量が試験阻害剤の変調の影響と相関する、工程を含む。本発明は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのプライモソームの活性を変調又は阻害する抗細菌性薬剤候補をスクリーニングする対応の方法も提供する。そのような方法の例は実施例のセクションに見いだされる。
この発明は、完全なシュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスの染色体のDNA複製伸長システムの集合体に関する方法を提供する。この発明は、シュードモナス・エルギノーサ又はエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素の予測される5つの中心的に重要な成分の発現及び精製のための方法も提供する。この発明は、さらに、シュードモナス・エルギノーサ及びエルシニア・ペスティスの最小のプロセッシブなレプリカーゼを提供する。この発明は、シュードモナス及びエルシニアのDNA複製の阻害剤として活性な化合物を同定するための高処理量スクリーニングフォーマット内での完全に再構成されたシュードモナス・エルギノーサ及びエルシニア・ペスティスの複製システムの使用のための方法も提供する。そのような方法の例は、実施例のセクションにおいて見いだされる。
実施例
以下の実施例は、当業者に知られている多数の組換えDNA技術及び蛋白質化学の技術を含む;例えば、Sambrooket al.同じ箇所を参照されたい。
以下の実施例は、当業者に知られている多数の組換えDNA技術及び蛋白質化学の技術を含む;例えば、Sambrooket al.同じ箇所を参照されたい。
一般的手法(開始のクローニングベクターを含む)
実施例1.pA1−CB−NcoIベクターの構築
プラスミドpA1−CB−NdeIを構築するため、pA1−CB−NcoIをNdeIで消化した。突出末端をクレノウ断片で平滑化することにより、ポリリンカー領域の外側のNdeI部位を破壊した。直鎖状プラスミドを再び閉じて、pA1−CB−NcoI(NdeI−)を作成した。このプラスミドによりDH5αを形質転換して、プラスミドを一つの結果として生じたアンピシリン耐性コロニーから単離した。プラスミドをNdeI部位の損失に関してスクリーニングした。クレノウ断片によりフィルインされた領域を配列決定することにより、NdeI部位の損失を確認した(ATGSEQ 661,プライマーP65−S2529)。pA1−CB−NcoI(NdeI−)をPacIとSpeI制限酵素により消化した。これは、PacINcoI−スペーサー−KpnI−スペーサー−FseI−SpeI制限部位を含むポリリンカーを除去した。PacI及びSpeIの粘着末端を含む、アニールさせたDNA二重鎖又はアダプター/リンカー(下に示す)(ATGリンカー/アダプターP65−S1及びP65−A1)を、消化したpA1−CB−NcoI(NdeI−)プラスミドに挿入した。
実施例1.pA1−CB−NcoIベクターの構築
プラスミドpA1−CB−NdeIを構築するため、pA1−CB−NcoIをNdeIで消化した。突出末端をクレノウ断片で平滑化することにより、ポリリンカー領域の外側のNdeI部位を破壊した。直鎖状プラスミドを再び閉じて、pA1−CB−NcoI(NdeI−)を作成した。このプラスミドによりDH5αを形質転換して、プラスミドを一つの結果として生じたアンピシリン耐性コロニーから単離した。プラスミドをNdeI部位の損失に関してスクリーニングした。クレノウ断片によりフィルインされた領域を配列決定することにより、NdeI部位の損失を確認した(ATGSEQ 661,プライマーP65−S2529)。pA1−CB−NcoI(NdeI−)をPacIとSpeI制限酵素により消化した。これは、PacINcoI−スペーサー−KpnI−スペーサー−FseI−SpeI制限部位を含むポリリンカーを除去した。PacI及びSpeIの粘着末端を含む、アニールさせたDNA二重鎖又はアダプター/リンカー(下に示す)(ATGリンカー/アダプターP65−S1及びP65−A1)を、消化したpA1−CB−NcoI(NdeI−)プラスミドに挿入した。
このアダプター/リンカーのpA1−CB−NcoI(NdeI−)内への導入は、制限部位PacI−NdeI−スペーサー−NheI−KpnI−FseI−SpeIを含むポリリンカーを新たに形成させた。このプラスミドによりDH5αを形質転換して、プラスミドを一つの結果として生じたアンピシリン耐性コロニーから単離した。これらのプラスミドをNdeI部位の導入に関してスクリーニングした。挿入された配列を含む領域をDNA配列決定に供することにより、正確な配列の挿入を確認した(ATGSEQ#718,プライマーP38−S5576)。このプラスミドをpA1−CB−NdeIと命名し、陽性単離物を生育させて、グリセロールストック培養物として保存した。
実施例2.pA1−CB−NdeIの構築
pA1−CB−NdeIを構築するため、pA1−CB−NcoIをNdeIで消化した。突出末端をクレノウ断片で平滑化することにより、ポリリンカー領域の外側のNdeI部位を破壊した。直鎖状プラスミドを再び閉じて、pA1−CB−NcoI(NdeI−)を作成した。このプラスミドによりDH5αを形質転換して、プラスミドを一つの結果として生じたアンピシリン耐性コロニーから単離した。プラスミドをNdeI部位の損失に関してスクリーニングした。クレノウ断片によりフィルインされた領域を配列決定することにより、NdeI部位の損失を確認した(ATGSEQ 661,プライマーP65−S2529)。pA1−CB−NcoI(NdeI−)をPacIとSpeI制限酵素により消化した。これは、PacINcoI−スペーサー−KpnI−スペーサー−FseI−SpeI制限部位を含むポリリンカーを除去した。PacI及びSpeIの粘着末端を含む、アニールさせたDNA二重鎖又はアダプター/リンカー(配列番号:134及び配列番号:135に示す)(ATGリンカー/アダプターP65−S1及びP65−A1)を、消化したpA1−CB−NcoI(NdeI−)プラスミドに挿入した。
pA1−CB−NdeIを構築するため、pA1−CB−NcoIをNdeIで消化した。突出末端をクレノウ断片で平滑化することにより、ポリリンカー領域の外側のNdeI部位を破壊した。直鎖状プラスミドを再び閉じて、pA1−CB−NcoI(NdeI−)を作成した。このプラスミドによりDH5αを形質転換して、プラスミドを一つの結果として生じたアンピシリン耐性コロニーから単離した。プラスミドをNdeI部位の損失に関してスクリーニングした。クレノウ断片によりフィルインされた領域を配列決定することにより、NdeI部位の損失を確認した(ATGSEQ 661,プライマーP65−S2529)。pA1−CB−NcoI(NdeI−)をPacIとSpeI制限酵素により消化した。これは、PacINcoI−スペーサー−KpnI−スペーサー−FseI−SpeI制限部位を含むポリリンカーを除去した。PacI及びSpeIの粘着末端を含む、アニールさせたDNA二重鎖又はアダプター/リンカー(配列番号:134及び配列番号:135に示す)(ATGリンカー/アダプターP65−S1及びP65−A1)を、消化したpA1−CB−NcoI(NdeI−)プラスミドに挿入した。
このアダプター/リンカーのpA1−CB−NcoI(NdeI−)内への導入は、制限部位PacI−NdeI−スペーサー−NheI−KpnI−FseI−SpeIを含むポリリンカーを新たに形成させた。このプラスミドによりDH5αを形質転換して、プラスミドを一つの結果として生じたアンピシリン耐性コロニーから単離した。これらのプラスミドをNdeI部位の導入に関してスクリーニングした。挿入された配列を含む領域をDNA配列決定に供することにより、正確な配列の挿入を確認した(ATGSEQ#718,プライマーP38−S5576)。このプラスミドをpA1−CB−NdeIと命名し、陽性単離物を生育させて、グリセロールストック培養物として保存した。
実施例3.サブユニットの同定
シュードモナス・エルギノーサのサブユニットα#1、β、δ、δ’、及びDnaXを、共に係属中の2001年7月16日出願の米国特許出願連続番号09/906,179に記載されたとおりに、Ψ−BLAST又はtblastn BLASTサーチを用いて同定した。
シュードモナス・エルギノーサのサブユニットα#1、β、δ、δ’、及びDnaXを、共に係属中の2001年7月16日出願の米国特許出願連続番号09/906,179に記載されたとおりに、Ψ−BLAST又はtblastn BLASTサーチを用いて同定した。
シュードモナス・エルギノーサ由来のα#2、ε、χ、DnaG及びSSBサブユニットをコードする遺伝子を同定するため、ゲノミックリサーチ研究所のTIGRにて進行中の配列決定計画からデータベースを検索した。当該検索は、それぞれ、大腸菌由来のα、ε、χ、DnaG及びSSBにより開始した。当該検索は、tblastnBLASTサーチを用いて実行した。これらのtblastn BLASTを用いた設定(Gish,W.andStates,D.J.,Nature Genet.3:266−272(1993))。このプログラムは、6つの全リーディングフレーム内で翻訳されたヌクレオチドデータベースに対する蛋白質クエリー配列を比較する。
エルシニア・ペスティスのサブユニット、α、β、δ、δ’、及びDnaXを、その全体を引用により本明細書に編入する、共に係属中の2001年7月16日出願の米国特許出願連続番号09/906,179に記載されたとおりに、Ψ−BLAST又はtblastn BLASTサーチを用いて同定した。エルシニア・ペスティス由来のε、θ、χ、Ψ、DnaG及びSSBサブユニットは、サンガーセンターにおいて進行中のtblastnBLASTを用いて実行した。当該検索は、tblastn BLASTサーチを用いて実行した。当該検索は、大腸菌由来のε、θ、χ、Ψ、DnaG及びSSBにより開始した。上記サブユニットをコードする遺伝子が同定されれば、遺伝子配列は蛋白質配列に翻訳された。
実施例4.蛋白質を発現及び分析するための一般的手法
4.1.細胞の形質転換及び蛋白質の発現
全ての中間プラスミドによりDH5α細菌を形質転換する。ampRコロニーを選択して、プラスミドを適当な制限酵素部位の獲得又は損失に関してスクリーニングする。挿入されたDNAの配列は、DNA配列決定により確認する。連結は、T4DNAリガーゼ及びATPの存在下で実施する。突出末端は、Mg++及びdNTPsの存在下でDNAポリメラーゼのクレノウ断片による処理により平滑化する。
4.1.細胞の形質転換及び蛋白質の発現
全ての中間プラスミドによりDH5α細菌を形質転換する。ampRコロニーを選択して、プラスミドを適当な制限酵素部位の獲得又は損失に関してスクリーニングする。挿入されたDNAの配列は、DNA配列決定により確認する。連結は、T4DNAリガーゼ及びATPの存在下で実施する。突出末端は、Mg++及びdNTPsの存在下でDNAポリメラーゼのクレノウ断片による処理により平滑化する。
プラスミドによりMGC1030大腸菌細菌(mcrA,mcrB,lamBDA(−),RRND−RRNE1,lexA3)及びAP1.L1大腸菌を形質転換する。AP1.L1細菌株に対する親株はNovagenBLR細菌株[F−,ompT hsdSB(rB−mB−)gal dcm(srl−recA)306::Tn10]である。このBLR株のT1ファージ−耐性バージョンをAP1.L1と命名した。アンピシリン耐性に関して選択された形質転換細胞の単一コロニー(各形質転換から少なくとも3コロニー)を、100μg/mlのアンピシリンを含む2mlの2xYT培養培地へ接種して、振盪インキュベーター中で37℃において一晩生育させる。朝に、一晩生育からの濁った培養物0.5mlを1.5mlの新鮮な2xYT培養培地に接種する。培養物を1時間37℃において振盪しながら生育させて、発現を最終濃度1mMのイソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)の添加により誘導する。細胞を誘導3時間後の遠心分離により回収する。細胞沈殿物をすぐに1/10培養容量の2xレムリサンプルバッファー(2x溶液:125mMTris−HCl(pH6.8),20%グリセロール、4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),5%β−メルカプトエタノール、及び0.005%ブロムフェノールブルーw/v)に懸濁して、細胞が完全に溶解するまで音波処理して、DNAを専断する。サンプルを10分間90−100℃にて加熱し、そして遠心分離することにより、不溶性の残渣を除去する。全細胞蛋白質を含む各上清の小アリコート(3μl)を4−20%の勾配SDS−ポリアクリルアミドミニゲル(Novex,EC60255;1mm厚、15ウエル/ゲル)上で、25mMのTris塩基、192mMグリシン、及び0.1%SDS中で電気泳動する。ミニゲルはクマジーブルーで染色する。誘導された培養物からの蛋白質を、非誘導培養物からのサンプルと比較することにより、誘導培養物のみに観察される標的蛋白質の存在を確認する。
4.2.タグを付加した蛋白質の発現
蛋白質をタグを付加した蛋白質として発現するなら、d−ビオチン(10μM)を生育培地に含ませる。各溶解物中の全蛋白質を上記のとおりにポリアクリルアミドゲル上で電気泳動する。各溶解物中の全蛋白質を次にポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース膜へNovex転写装置を用いて30V低圧にて12mMTris塩基、96mMグリシン、0.01%SDS(w/v)、及び20%メタノール(v/v)中で60分間室温にて移動させる。膜を、5%の非脂肪ドライミルク(w/v)を含む0.2%ツイーン20(v/v)−TBS(TBST)(tris−緩衝塩溶液;8g/LNaCl,0.2g/L KCl,3g/L Tris−HCl(pH7.4))中で1時間室温にてブロックする。ブロットされたニトロセルロースを次にTBSTにより洗浄して、次に、TBST中の2μg/mlのアルカリホスファターゼコンジュゲートストレプトアビジン(Pierce Chemical Co.#21324)中で1時間室温にてインキュベートする。TBSTによる大規模な洗浄に続いて、ブロットをBCIP/NBT(KPL#50−81−07;1成分系)により発色させる。内因性大腸菌ビオチン−カルボキシルキャリアー蛋白質(ビオチン−CCP)約20kDaは、誘導サンプル及び非誘導サンプルの両方において検出可能である。標的蛋白質は誘導培養物中では明確なバンドとして観察されるが、非誘導培養物中では観察されない。
蛋白質をタグを付加した蛋白質として発現するなら、d−ビオチン(10μM)を生育培地に含ませる。各溶解物中の全蛋白質を上記のとおりにポリアクリルアミドゲル上で電気泳動する。各溶解物中の全蛋白質を次にポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース膜へNovex転写装置を用いて30V低圧にて12mMTris塩基、96mMグリシン、0.01%SDS(w/v)、及び20%メタノール(v/v)中で60分間室温にて移動させる。膜を、5%の非脂肪ドライミルク(w/v)を含む0.2%ツイーン20(v/v)−TBS(TBST)(tris−緩衝塩溶液;8g/LNaCl,0.2g/L KCl,3g/L Tris−HCl(pH7.4))中で1時間室温にてブロックする。ブロットされたニトロセルロースを次にTBSTにより洗浄して、次に、TBST中の2μg/mlのアルカリホスファターゼコンジュゲートストレプトアビジン(Pierce Chemical Co.#21324)中で1時間室温にてインキュベートする。TBSTによる大規模な洗浄に続いて、ブロットをBCIP/NBT(KPL#50−81−07;1成分系)により発色させる。内因性大腸菌ビオチン−カルボキシルキャリアー蛋白質(ビオチン−CCP)約20kDaは、誘導サンプル及び非誘導サンプルの両方において検出可能である。標的蛋白質は誘導培養物中では明確なバンドとして観察されるが、非誘導培養物中では観察されない。
4.3.蛋白質発現の確認
プラスミドにより大腸菌AP1.L1を形質転換する。AP1.L1細菌株に対する親株はNovagenBLR細菌株[F−,ompT hsdSB(rB−mB−)gal dcm(srl−recA)306::Tn10]である。このBLR株のT1ファージ−耐性バージョンをAP1.L1と命名した。アンピシリン耐性に関して選択された形質転換細胞の単一コロニー(各形質転換から少なくとも3コロニー)を、100μg/mlのアンピシリンを含む2mlの2xYT培養培地へ接種して、振盪インキュベーター中で37℃において一晩生育させる。朝に、一晩生育からの濁った培養物0.5mlを1.5mlの新鮮な2xYT培養培地に接種する。培養物を1時間37℃において振盪しながら生育させて、発現を最終濃度1mMのイソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)の添加により誘導する。細胞を誘導3時間後の遠心分離により回収する。細胞沈殿物をすぐに1/10培養容量の2xレムリサンプルバッファー(2x溶液:125mMTris−HCl(pH6.8),20%グリセロール、4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),5%β−メルカプトエタノール、及び0.005%ブロムフェノールブルーw/v)に懸濁して、細胞が完全に溶解するまで音波処理して、DNAを専断する。サンプルを10分間90−100℃にて加熱し、そして遠心分離することにより、不溶性の残渣を除去する。全細胞蛋白質を含む各上清の小アリコート(3μl)を4−20%の勾配SDS−ポリアクリルアミドミニゲル(Novex,EC60255;1mm厚、15ウエル/ゲル)上で、25mMのTris塩基、192mMグリシン、及び0.1%SDS中で電気泳動する。ミニゲルはクマジーブルーで染色する。標的サブユニットに相当する分子量により蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質のバンドが明確なバンドとして検出されるべきであるが、非誘導対照中では観察されないべきである。
プラスミドにより大腸菌AP1.L1を形質転換する。AP1.L1細菌株に対する親株はNovagenBLR細菌株[F−,ompT hsdSB(rB−mB−)gal dcm(srl−recA)306::Tn10]である。このBLR株のT1ファージ−耐性バージョンをAP1.L1と命名した。アンピシリン耐性に関して選択された形質転換細胞の単一コロニー(各形質転換から少なくとも3コロニー)を、100μg/mlのアンピシリンを含む2mlの2xYT培養培地へ接種して、振盪インキュベーター中で37℃において一晩生育させる。朝に、一晩生育からの濁った培養物0.5mlを1.5mlの新鮮な2xYT培養培地に接種する。培養物を1時間37℃において振盪しながら生育させて、発現を最終濃度1mMのイソプロピル−β−チオガラクトシド(IPTG)の添加により誘導する。細胞を誘導3時間後の遠心分離により回収する。細胞沈殿物をすぐに1/10培養容量の2xレムリサンプルバッファー(2x溶液:125mMTris−HCl(pH6.8),20%グリセロール、4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS),5%β−メルカプトエタノール、及び0.005%ブロムフェノールブルーw/v)に懸濁して、細胞が完全に溶解するまで音波処理して、DNAを専断する。サンプルを10分間90−100℃にて加熱し、そして遠心分離することにより、不溶性の残渣を除去する。全細胞蛋白質を含む各上清の小アリコート(3μl)を4−20%の勾配SDS−ポリアクリルアミドミニゲル(Novex,EC60255;1mm厚、15ウエル/ゲル)上で、25mMのTris塩基、192mMグリシン、及び0.1%SDS中で電気泳動する。ミニゲルはクマジーブルーで染色する。標的サブユニットに相当する分子量により蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質のバンドが明確なバンドとして検出されるべきであるが、非誘導対照中では観察されないべきである。
4.4.細菌の大規模な生育
細菌を250リットルの発酵機中で生育させることにより、エルシニア・ペスティスの蛋白質の精製のために細胞を製造した。F−培地を滅菌して、グルコースを1%から40%滅菌溶液に加え、そしてアンピシリン(100mg/l)を加えた。大規模な接種物(28l)を1mlグリセロールストック培養物から開始して(即ち、15%グリセロール中で−80℃にてストックした培養物)、40l/分の通気にて37℃にて一晩生育させた。接種物(約4.2l)を、1%グルコース、及び100mg/mlのアンピシリンを含む180lのF−培地を含む250リットルの発酵機に移した(0.06のOD600から開始)。発酵機に加えるための一晩培養物の量を計算するため、この発酵においては、発酵機に存在する培地をOD600=0.06にするのに加えられるべき十分な180lのF−初期培地が存在した。これは、細胞密度を誘導前に3−4倍に倍加させるのに十分な時間を与える。培養物を37℃にて、40l/分の通気にてインキュベートして、20rpmにて撹拌した。エルシニア・ペスティスの蛋白質の発現は、培養物が0.79のOD600に到達したときに、IPTGを1mMまで添加することにより誘導した。追加のアンピシリン(100mg/l)を誘導と同時に加えた。温度は生育を通して約37℃に維持した。pHは、NH4OHの添加により生育を通して7.2に維持した。細胞の回収は、OD600=約6にて誘導後に様々な時間(通常は3−4時間後)開始し、そして細胞は回収の間10℃に冷却した。回収容量は通常150から200Lの間であり、そして最終回収重量は通常1.5から2.0kgの細胞ペーストであった。等量(w/w)の50mMTris(pH7.5)及び10%蔗糖溶液を細胞ペーストに加えた。細胞懸濁液を液体窒素に注ぐことにより細胞を凍結させ、そして加工まで−20℃に保存した。陽性コロニーはコロニーを選択性抗生物質を含むLBプレートに移したときにも生育するLBプレート上でストリークされたサンプルから生育させたコロニーである。
細菌を250リットルの発酵機中で生育させることにより、エルシニア・ペスティスの蛋白質の精製のために細胞を製造した。F−培地を滅菌して、グルコースを1%から40%滅菌溶液に加え、そしてアンピシリン(100mg/l)を加えた。大規模な接種物(28l)を1mlグリセロールストック培養物から開始して(即ち、15%グリセロール中で−80℃にてストックした培養物)、40l/分の通気にて37℃にて一晩生育させた。接種物(約4.2l)を、1%グルコース、及び100mg/mlのアンピシリンを含む180lのF−培地を含む250リットルの発酵機に移した(0.06のOD600から開始)。発酵機に加えるための一晩培養物の量を計算するため、この発酵においては、発酵機に存在する培地をOD600=0.06にするのに加えられるべき十分な180lのF−初期培地が存在した。これは、細胞密度を誘導前に3−4倍に倍加させるのに十分な時間を与える。培養物を37℃にて、40l/分の通気にてインキュベートして、20rpmにて撹拌した。エルシニア・ペスティスの蛋白質の発現は、培養物が0.79のOD600に到達したときに、IPTGを1mMまで添加することにより誘導した。追加のアンピシリン(100mg/l)を誘導と同時に加えた。温度は生育を通して約37℃に維持した。pHは、NH4OHの添加により生育を通して7.2に維持した。細胞の回収は、OD600=約6にて誘導後に様々な時間(通常は3−4時間後)開始し、そして細胞は回収の間10℃に冷却した。回収容量は通常150から200Lの間であり、そして最終回収重量は通常1.5から2.0kgの細胞ペーストであった。等量(w/w)の50mMTris(pH7.5)及び10%蔗糖溶液を細胞ペーストに加えた。細胞懸濁液を液体窒素に注ぐことにより細胞を凍結させ、そして加工まで−20℃に保存した。陽性コロニーはコロニーを選択性抗生物質を含むLBプレートに移したときにも生育するLBプレート上でストリークされたサンプルから生育させたコロニーである。
4.5.FrI(細胞溶解)の調製
細胞の溶解は、発現されたエルシニア・ペスティスの蛋白質を有する細胞のスフェロプラストの創製により達成する。−20℃において保存されていた、様々な量のTris−蔗糖中の凍結細胞の1:1懸濁液を、予め55℃に温めてあったTris−蔗糖バッファーに加える(2.75ml/細胞のg)。撹拌された混合物に、0.5Mの1,4−ジチオスレイトール(DTT)(0.05mg/細胞のg)及び溶解バッファー(pH7.5に調節されたTris−蔗糖中の2MNaCl,0.3Mスペルミジン)(0.25ml/細胞のg)を加える。溶解バッファー中のスペルミジン(18mM)を加えることにより、部分的に破壊された細胞中の濃縮された核様体を保持して、DNA結合蛋白質をはずす。スラリーのpHは2MのTris塩基の添加によりpH7.5に維持し、そしてリゾチーム(ワシントンバイオケミカルコーポレーション、カタログ番号38H2088)を5mlのTris−蔗糖バッファーに懸濁して加える(4mgリゾチーム/細胞のg)。スラリーを撹拌後に250mlの遠心分離ボトルに入れて、4℃において1時間インキュベートする。250mlの遠心分離ボトルを次に37℃の渦巻き水浴の中に入れて、4分間に30秒ずつゆっくりと倒置する。不溶性の細胞成分を遠心分離により取り除く(23,000xg,60分間、4℃)。回収された上清(典型的には100ml)をフラクションI(Fr I)とする。
細胞の溶解は、発現されたエルシニア・ペスティスの蛋白質を有する細胞のスフェロプラストの創製により達成する。−20℃において保存されていた、様々な量のTris−蔗糖中の凍結細胞の1:1懸濁液を、予め55℃に温めてあったTris−蔗糖バッファーに加える(2.75ml/細胞のg)。撹拌された混合物に、0.5Mの1,4−ジチオスレイトール(DTT)(0.05mg/細胞のg)及び溶解バッファー(pH7.5に調節されたTris−蔗糖中の2MNaCl,0.3Mスペルミジン)(0.25ml/細胞のg)を加える。溶解バッファー中のスペルミジン(18mM)を加えることにより、部分的に破壊された細胞中の濃縮された核様体を保持して、DNA結合蛋白質をはずす。スラリーのpHは2MのTris塩基の添加によりpH7.5に維持し、そしてリゾチーム(ワシントンバイオケミカルコーポレーション、カタログ番号38H2088)を5mlのTris−蔗糖バッファーに懸濁して加える(4mgリゾチーム/細胞のg)。スラリーを撹拌後に250mlの遠心分離ボトルに入れて、4℃において1時間インキュベートする。250mlの遠心分離ボトルを次に37℃の渦巻き水浴の中に入れて、4分間に30秒ずつゆっくりと倒置する。不溶性の細胞成分を遠心分離により取り除く(23,000xg,60分間、4℃)。回収された上清(典型的には100ml)をフラクションI(Fr I)とする。
4.6.再構成アッセイ
再構成アッセイ中の鋳型は、RNAプライムされたM13Gori一本鎖環状DNAである。RNAプライムされたM13Gori一本鎖環状DNAは、0.5mlのMgOAc(250mM),1.125mlのM13Gori(240μM,nt),0.2mlの精製された大腸菌SSB蛋白質(4.3mg/ml),1.5mlのdNTPミックス(400μMのdATP,dCTP,dGTP及び150μMの[3H]−dTTP;計算上は100cpm/ポリメラーゼにより取り込まれる全ヌクレオチドのpmol(比活性dTTP/4)),0.5mlのrNTPミックス(5mMの各ATP,CTP,GTP及びUTP),0.025mlの精製された大腸菌プライマーゼ(0.665mg/ml)及び5.65mlのEDB(50mMHEPES(pH7.5),20%グリセロール、0.02%のNP40,0.2mg/mlのBSA)を加えることにより調製した。放射活性dNTPミックスは、プライミング反応において使用しなかったが、実際の再構成反応において使用するときは複製ポリメラーゼにより使用された。プライミングミックスは、30℃において5分間インキュベートして、次に氷の上に置いた。混合物を400μlのアリコートに分割して、使用するまで−80℃に保存した。この混合物を全ての再構成アッセイにおいて使用して、プライムされた鋳型ミックスと命名する。RNAプライムされた鋳型混合物を全てのM13Goriアッセイにおいて使用して、プライムされた鋳型ミックスと命名する。エルシニア・ペスティス(又は大腸菌)の成分(コア、クランプ−負荷複合体、及びβ)を60μlの全容量にてEDBバッファー中で所望の濃度に希釈し、そして19μlのプライムされた鋳型ミックスと混合して25μlの反応物を生じさせる。混合後に、反応物の含有物を5分間30℃においてインキュベートした。反応は、反応チューブを氷の上に置いて、2滴の0.2Mピロリン酸ナトリウム及び0.5mlの10%のTCAを添加することにより停止させる。当該溶液を真空下でワットマンGF/Cガラスマイクロファイバーフィルターを通して濾過する。フィルターは次に3アッセイチューブ容量(3x5ml)の1MHCl/0.2Mピロリン酸ナトリウム及び1アッセイチューブ容量(5ml)の95%エタノールで洗浄して、加熱ランプを用いて乾燥させる。取り込まれた放射活性ヌクレオチドの量はシンチレーション計数により定量する。1ユニットの活性は60℃において1分あたりに取り込まれる1pmolの全デオキシリボヌクレオチドである。
再構成アッセイ中の鋳型は、RNAプライムされたM13Gori一本鎖環状DNAである。RNAプライムされたM13Gori一本鎖環状DNAは、0.5mlのMgOAc(250mM),1.125mlのM13Gori(240μM,nt),0.2mlの精製された大腸菌SSB蛋白質(4.3mg/ml),1.5mlのdNTPミックス(400μMのdATP,dCTP,dGTP及び150μMの[3H]−dTTP;計算上は100cpm/ポリメラーゼにより取り込まれる全ヌクレオチドのpmol(比活性dTTP/4)),0.5mlのrNTPミックス(5mMの各ATP,CTP,GTP及びUTP),0.025mlの精製された大腸菌プライマーゼ(0.665mg/ml)及び5.65mlのEDB(50mMHEPES(pH7.5),20%グリセロール、0.02%のNP40,0.2mg/mlのBSA)を加えることにより調製した。放射活性dNTPミックスは、プライミング反応において使用しなかったが、実際の再構成反応において使用するときは複製ポリメラーゼにより使用された。プライミングミックスは、30℃において5分間インキュベートして、次に氷の上に置いた。混合物を400μlのアリコートに分割して、使用するまで−80℃に保存した。この混合物を全ての再構成アッセイにおいて使用して、プライムされた鋳型ミックスと命名する。RNAプライムされた鋳型混合物を全てのM13Goriアッセイにおいて使用して、プライムされた鋳型ミックスと命名する。エルシニア・ペスティス(又は大腸菌)の成分(コア、クランプ−負荷複合体、及びβ)を60μlの全容量にてEDBバッファー中で所望の濃度に希釈し、そして19μlのプライムされた鋳型ミックスと混合して25μlの反応物を生じさせる。混合後に、反応物の含有物を5分間30℃においてインキュベートした。反応は、反応チューブを氷の上に置いて、2滴の0.2Mピロリン酸ナトリウム及び0.5mlの10%のTCAを添加することにより停止させる。当該溶液を真空下でワットマンGF/Cガラスマイクロファイバーフィルターを通して濾過する。フィルターは次に3アッセイチューブ容量(3x5ml)の1MHCl/0.2Mピロリン酸ナトリウム及び1アッセイチューブ容量(5ml)の95%エタノールで洗浄して、加熱ランプを用いて乾燥させる。取り込まれた放射活性ヌクレオチドの量はシンチレーション計数により定量する。1ユニットの活性は60℃において1分あたりに取り込まれる1pmolの全デオキシリボヌクレオチドである。
エルシニア・ペスティスの核酸及び蛋白質に関する実施例
Pol IIIコア
到達点は、pol IIIサブユニットを含む3遺伝子(ε、θ及びα)のオペロンを作成することであった。段階的な手法を利用し、ベクター中に個別にクローン化された各遺伝子を用いて開始することにより、単独で発現させることができ、遺伝子の3遺伝子オペロンへの段階的組み合わせへと続く。
Pol IIIコア
到達点は、pol IIIサブユニットを含む3遺伝子(ε、θ及びα)のオペロンを作成することであった。段階的な手法を利用し、ベクター中に個別にクローン化された各遺伝子を用いて開始することにより、単独で発現させることができ、遺伝子の3遺伝子オペロンへの段階的組み合わせへと続く。
実施例5.複製ポリメラーゼdnaE(アルファ)をコードする遺伝子、エルシニア・ペスティスのdnaEの分子クローニング
最近完了したエルシニア・ペスティスのゲノミックデータベース(サンガーデータベース(2001))を、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子に関して検索した。dnaE(α)サブユニットに関する遺伝子が、他の公知のDnaE(α)サブユニットに対するその相同性から同定された。エルシニア・ペスティスからのDnaE蛋白質に関するアミノ酸配列とこの出願を通して比較のために一律に使用された細菌の選択されたサブセットの比較は、蛋白質配列の全部の長さにわたりそれらが相同であって整列化(align)されることを示す。
最近完了したエルシニア・ペスティスのゲノミックデータベース(サンガーデータベース(2001))を、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子に関して検索した。dnaE(α)サブユニットに関する遺伝子が、他の公知のDnaE(α)サブユニットに対するその相同性から同定された。エルシニア・ペスティスからのDnaE蛋白質に関するアミノ酸配列とこの出願を通して比較のために一律に使用された細菌の選択されたサブセットの比較は、蛋白質配列の全部の長さにわたりそれらが相同であって整列化(align)されることを示す。
この実施例においては、ゲノミックDNAからのdnaE遺伝子(αサブユニット)のPCR増幅を実施する。PCR産物をベクターpA1−CB−NdeIに挿入した。このベクターのポリクローナル領域を図10に示す。αサブユニットは、dnaE遺伝子の3483ヌクレオチドによりコードされる1161アミノ酸からなる。dnaEのヌクレオチド配列は、配列番号:1により表される。コドン2と4(下線を付された文字の中のヌクレオチド配列中に示される)Ala及びProをコードするが大腸菌において低使用頻度であり、PCR反応において高使用頻度コドンに変更した。変更は、ATGGCCGAACCT(配列番号:4)からATGGCTGAACCG(配列番号:5)である。アルファのアミノ酸配列は、配列番号:3により表される。
これは大きな遺伝子であるから、2つの別の反応においてPCRにより増幅した。第1のPCR反応においては、5’の1445ヌクレオチドを増幅する。唯一のNheI制限部位がdnaE遺伝子のヌクレオチド位置1440−1445に位置して存在する。dnaE遺伝子のこの領域を図9に示す。第1PCR反応のためのフォワード/センスプライマーは:
である。5’クランプ領域(GATC)はpA1−CB−NdeIへの挿入のためのPacI制限部位へと続き(下線イタリック文字)、コアオペロンの続く構築において使用されるAvrII制限部位(イタリック文字)へと続く。次に、12nts(最初の4コドン、コドン2と4に変異を有する)が存在し、大文字のイタリックにより示す。最後に、コドン5から始まるdnaEの5’末端に相補な18ヌクレオチドが存在する(下線大文字)。
リバース/アンチセンスプライマーゼは、唯一のNheI制限部位の下流の領域に相補である。このプライマーは:
である。使用可能な唯一のNheIのちょうど下流に唯一のKpnI部位も存在し、約800塩基下流にPstI部位も存在する。NheI制限部位は太字で示し、唯一のNheIの上流(フォワード第2PCR反応)及び下流(リバース第1PCR反応)を太字の下線文字で示す。
PCR産物とプラスミドpA1−CB−NdeIの両方をPacI/NheI制限酵素で消化した。dnaE遺伝子の5’部分を含むPCR断片をPacI/NheI消化したpA1−CB−NdeIに挿入した。これはプラスミドpA1−YP−dnaE5’をもたらし、pA1−CB−NdeI内のリボソーム結合部位(RBS)のスペースを入れた14ヌクレオチド下流のdnaE遺伝子の5’部分を含み、最適なスペース距離より少し上回る。しかしながら、コアオペロン内に配置する場合、上記の距離は最適である。pA1−YP−dnaE5’の模式的な描写を図11に示す。第2PCR反応においては、dnaE遺伝子の3’の2038ヌクレオチドを増幅した。唯一のNheI制限部位の上流に位置するフォワード/センスプライマーは:
である。両方/センスプライマーは、
である。5’クランプ領域(GATC)に、pA1−YP−5’への挿入のためのSpeI制限部位(イタリック文字)(この部位はコアオペロンの構築にも使用される)及び追加の停止コドン(二重下線文字)が続く。最後に、dnaE遺伝子の3’末端に相補な19ヌクレオチドが存在する(天然の停止コドンを含む)。
PCR産物とプラスミドpA1−YP−dnaE5’の両方をNheI/SpeI制限酵素で消化した。dnaE遺伝子の5’部分を含むPCR断片をNheI/SpeI消化したpA1−YP−dnaE5’に挿入した。これはプラスミドpA1−YP−dnaE5’をもたらし、pA1−CB−NdeI内のリボソーム結合部位(RBS)のスペースを入れた14ヌクレオチド下流のdnaE遺伝子の5’部分を含み、最適なスペース距離よりいくらか長い。しかしながら、コアオペロン内に配置する場合、上記の距離は最適である。dnaE挿入物の配列決定により概説された上記ベクター内の天然(未変異)dnaE遺伝子の存在を確認した。pA1−YP−dnaEベクターの模式的な描写を図12に示す。
実施例6.大腸菌内でのアルファの発現
自身により発現されるエルシニア・ペスティスのDnaEの精製を以前の仕事に関して達成する。酵素の回収及び位置は付属因子を必要としない当業界公知の単純なアッセイを用いて監視することができる−ヌクレアーゼ活性化DNAにおける非プロセッシブなギャップフィリング(Kim,D.R.andMcHenry,C.S.(1996)J Biol Chem 271,20681−2068979)。一般に、DNAポリメラーゼIIIアルファサブユニットは硫酸アンモニウムに相対的に不溶性である。エルシニア・ペスティスのDnaEを少なくとも90%を沈殿させる最も低い濃度の硫酸アンモニウムを用いた。大腸菌蛋白質の大部分は上清中に残る。カチオン交換クロマトグラフィーはポリメラーゼの良好な精製をもたらす。それらは、ほとんどの大腸菌蛋白質がフロースルーする条件下で樹脂を結合し、ポリメラーゼは塩勾配において高い精製度で溶出される。この段階において純粋な蛋白質を得ることは期待されるが、もしも達成されないならば、活性の保存を伴って最大の精製度を達成する追加の当業界公知のクロマトグラフィー工程が開発される。全蛋白質レベルはこの出願に記載されるこの精製及び他の精製においてブラッドフォード法(Bradford,同じ箇所)により測定される。
自身により発現されるエルシニア・ペスティスのDnaEの精製を以前の仕事に関して達成する。酵素の回収及び位置は付属因子を必要としない当業界公知の単純なアッセイを用いて監視することができる−ヌクレアーゼ活性化DNAにおける非プロセッシブなギャップフィリング(Kim,D.R.andMcHenry,C.S.(1996)J Biol Chem 271,20681−2068979)。一般に、DNAポリメラーゼIIIアルファサブユニットは硫酸アンモニウムに相対的に不溶性である。エルシニア・ペスティスのDnaEを少なくとも90%を沈殿させる最も低い濃度の硫酸アンモニウムを用いた。大腸菌蛋白質の大部分は上清中に残る。カチオン交換クロマトグラフィーはポリメラーゼの良好な精製をもたらす。それらは、ほとんどの大腸菌蛋白質がフロースルーする条件下で樹脂を結合し、ポリメラーゼは塩勾配において高い精製度で溶出される。この段階において純粋な蛋白質を得ることは期待されるが、もしも達成されないならば、活性の保存を伴って最大の精製度を達成する追加の当業界公知のクロマトグラフィー工程が開発される。全蛋白質レベルはこの出願に記載されるこの精製及び他の精製においてブラッドフォード法(Bradford,同じ箇所)により測定される。
実施例7.イプシロンサブユニットをコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのdnaQの分子クローニング
dnaQ遺伝子(εサブユニット)をゲノミックDNAからPCRにより増幅して、ベクターpA1−CB−NdeIに挿入した(このベクターのポリクローナル領域を図10に示す)。εサブユニットはdnaQ遺伝子の765ヌクレオチドによりコードされた255アミノ酸からなる。dnaQのヌクレオチド配列は、配列番号:8により表される。εサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号:10により表される。
dnaQ遺伝子(εサブユニット)をゲノミックDNAからPCRにより増幅して、ベクターpA1−CB−NdeIに挿入した(このベクターのポリクローナル領域を図10に示す)。εサブユニットはdnaQ遺伝子の765ヌクレオチドによりコードされた255アミノ酸からなる。dnaQのヌクレオチド配列は、配列番号:8により表される。εサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号:10により表される。
フォワード/センスプライマーは:
である。5’クランプ領域(GATC)に、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのNdeI部位(イタリック文字)が続く。NdeI制限部位はdnaQ上ではATG開始コドンとオーバーラップする。dnaQの5’末端に対応する17のヌクレオチドを下線の大文字で示す。
リバース/アンチセンスプライマーは:
である。
5’クランプ領域(GATC)に、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのKpnI制限部位(イタリック文字)が続き、そしてPstI部位(イタリック文字)とは分離され、3塩基のスペーサー(太字、tgt)によりコアオペロンの構築に使用される。この3塩基のスペーサーはコアオペロンの構築のためののちの工程においてKpnI及びPstIの両方による有効な制限消化を可能にするのに必要である。制限部位に続き、別の3塩基スペーサー(太字下線文字)があることにより、下に記載のコアオペロンの構築においてRBSと下流の遺伝子の間に距離設定を最適化する。このスペーサーに続き、下流の遺伝子のためのRBS(太文字)が存在し、コアオペロンと追加の停止コドンの構築においてのちに加えられる(二重下線文字)。最後に、dnaQ遺伝子の3’末端に相補な18ヌクレオチドが存在し、天然停止コドンを含む(下線大文字)。
5’クランプ領域(GATC)に、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのKpnI制限部位(イタリック文字)が続き、そしてPstI部位(イタリック文字)とは分離され、3塩基のスペーサー(太字、tgt)によりコアオペロンの構築に使用される。この3塩基のスペーサーはコアオペロンの構築のためののちの工程においてKpnI及びPstIの両方による有効な制限消化を可能にするのに必要である。制限部位に続き、別の3塩基スペーサー(太字下線文字)があることにより、下に記載のコアオペロンの構築においてRBSと下流の遺伝子の間に距離設定を最適化する。このスペーサーに続き、下流の遺伝子のためのRBS(太文字)が存在し、コアオペロンと追加の停止コドンの構築においてのちに加えられる(二重下線文字)。最後に、dnaQ遺伝子の3’末端に相補な18ヌクレオチドが存在し、天然停止コドンを含む(下線大文字)。
dnaQのPCR産物とpA1−CB−NdeIの両方をNdeI/KpnI制限酵素で消化した。dnaQ遺伝子を含むPCR産物の断片を、NdeI/KpnI消化したpA1−CB−MdeIに挿入した。これは、上流のRBSから最適にdnaQ遺伝子を離し、そしてプラスミドpA1−YP−dnaQをもたらし、図13に模式的に示される。
実施例8.シータサブユニットをコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのholEの分子クローニング
この実施例は、ゲノミックDNAからのholE遺伝子(θ)のPCR増幅及びpA1−CB−NdeIへのその挿入を記載する。θサブユニットはholE遺伝子の231ヌクレオチドによりコードされる77アミノ酸からなる。holEのヌクレオチド配列は、配列番号:13により表される。Gly,Tyr,及びAsnをコードするコドン2、3、及び4は、大腸菌において低い使用頻度で有り、PCR反応において高い使用頻度のコドンに変更した。当該変更は、GGATATAATからGGCTACAACである。θのアミノ酸配列は配列番号:15により表される。
この実施例は、ゲノミックDNAからのholE遺伝子(θ)のPCR増幅及びpA1−CB−NdeIへのその挿入を記載する。θサブユニットはholE遺伝子の231ヌクレオチドによりコードされる77アミノ酸からなる。holEのヌクレオチド配列は、配列番号:13により表される。Gly,Tyr,及びAsnをコードするコドン2、3、及び4は、大腸菌において低い使用頻度で有り、PCR反応において高い使用頻度のコドンに変更した。当該変更は、GGATATAATからGGCTACAACである。θのアミノ酸配列は配列番号:15により表される。
フォワード/センスプラスミドは:
である。5’クランプ領域に、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのPacI制限部位(下線イタリック文字)が続き、コアオペロン構築のためののちの使用のためのPstI制限部位(イタリック文字)が続く。これは、開始ATG及び変異したコドン2、3、及び4(大文字イタリック文字)を含む12ヌクレオチド(4つのコドン)に続く。最後に、holEのコドン5から始まる5’ヌクレオチドに相当する19ヌクレオチドである(大文字及び下線)。
リバース/アンチセンスプライマーは:
である。
5’クランプ領域(GATC)に、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのKpnI部位(イタリック文字)に続き、コアオペロンののちの構築のためのAvrII制限部位(下線イタリック文字)に続く。下流の遺伝子の最適な距離設定のための3塩基スペーサー(太字att)(コアオペロンののちの構築における)が上記制限部位に続く。これは、RBS(太字下線文字)及び追加の停止コドン(二重下線文字)へと続く。最後に、holE遺伝子の3’末端に相補な18ヌクレオチドを下線の大文字で示す。PCR産物とプラスミドpA1−CB−NdeIの両方をPacI/KpnI制限酵素で消化した。holE遺伝子を含むPCR断片をPacI/KpnIで消化したpA1−CB−NdeIに挿入した。これはプラスミドpA1−YP−holEをもたらし、pA1−CB−NdeIの間隔を空けた14ヌクレオチド下流のholE遺伝子を含み、スペースをとる距離を最適化するにはいくらか短い。しかしながら、コアオペロンに置かれる場合には、上記の距離設定が最適である。pA1−YP−holEの模式的描写を図14に示す。
5’クランプ領域(GATC)に、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのKpnI部位(イタリック文字)に続き、コアオペロンののちの構築のためのAvrII制限部位(下線イタリック文字)に続く。下流の遺伝子の最適な距離設定のための3塩基スペーサー(太字att)(コアオペロンののちの構築における)が上記制限部位に続く。これは、RBS(太字下線文字)及び追加の停止コドン(二重下線文字)へと続く。最後に、holE遺伝子の3’末端に相補な18ヌクレオチドを下線の大文字で示す。PCR産物とプラスミドpA1−CB−NdeIの両方をPacI/KpnI制限酵素で消化した。holE遺伝子を含むPCR断片をPacI/KpnIで消化したpA1−CB−NdeIに挿入した。これはプラスミドpA1−YP−holEをもたらし、pA1−CB−NdeIの間隔を空けた14ヌクレオチド下流のholE遺伝子を含み、スペースをとる距離を最適化するにはいくらか短い。しかしながら、コアオペロンに置かれる場合には、上記の距離設定が最適である。pA1−YP−holEの模式的描写を図14に示す。
実施例9.オペロン構築
9.1.HolQEオペロンの構築
この実施例においては、dnaQ遺伝子とholE遺伝子を含む2遺伝子オペロンを構築した。これは、pA1−YP−dnaQ及びpA1−YP−holEの両方のPstI/KpnIによる消化により達成された。PstI/KpnI部位の間にholE遺伝子を含むpA1−YP−holEからの小断片を消化されたpA1−YP−dnaQプラスミドに挿入した。これは、dnaQの下流にholEを配置して、pA1−YP−dnaQ内で創製されたRBSから最適に離れた下流でもある。このプラスミドはpA1−YP−QEと命名されて、図15において模式的に示す。
9.1.HolQEオペロンの構築
この実施例においては、dnaQ遺伝子とholE遺伝子を含む2遺伝子オペロンを構築した。これは、pA1−YP−dnaQ及びpA1−YP−holEの両方のPstI/KpnIによる消化により達成された。PstI/KpnI部位の間にholE遺伝子を含むpA1−YP−holEからの小断片を消化されたpA1−YP−dnaQプラスミドに挿入した。これは、dnaQの下流にholEを配置して、pA1−YP−dnaQ内で創製されたRBSから最適に離れた下流でもある。このプラスミドはpA1−YP−QEと命名されて、図15において模式的に示す。
9.2.コアオペロンの構築
この実施例は、dnaQ、holE及びdnaEを含む3遺伝子(コア)を記載する。これは、pA1−YP−QE及びpA1−YP−dnaQの両方のAvrII/SpeIによる消化により達成した。dnaE遺伝子(αサブユニット)をAvrII/SpeI部位の間に含むpA1−YP−dnaEからの小断片を、消化したpA1−YP−dnaQプラスミドに挿入した。これは、dnaQ−holEの下流にdnaEを配置したが、pA1−YP−コア内で創製されたRBSから最適に離れた下流でもあった。このプラスミドはpA1−YP−コアと命名されて、図16において模式的に示す。
この実施例は、dnaQ、holE及びdnaEを含む3遺伝子(コア)を記載する。これは、pA1−YP−QE及びpA1−YP−dnaQの両方のAvrII/SpeIによる消化により達成した。dnaE遺伝子(αサブユニット)をAvrII/SpeI部位の間に含むpA1−YP−dnaEからの小断片を、消化したpA1−YP−dnaQプラスミドに挿入した。これは、dnaQ−holEの下流にdnaEを配置したが、pA1−YP−コア内で創製されたRBSから最適に離れた下流でもあった。このプラスミドはpA1−YP−コアと命名されて、図16において模式的に示す。
9.3.コアオペロンの発現
pA1−YP−コアにより大腸菌のAP1.L1株を形質転換して、実施例4.1に記載されるとおりに発現させた。発現された蛋白質を実施例4.1に記載されたとおりにしてSDS−PAGEにより分析した。ミニゲルをクマジーブルーで染色した。α(130kDa),ε(28.9kDa)及びθ(9kDa)に対応する分子量の蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質バンドが別々の蛋白質バンドとして検出できたが、非誘導対照においては観察されなかった。
pA1−YP−コアにより大腸菌のAP1.L1株を形質転換して、実施例4.1に記載されるとおりに発現させた。発現された蛋白質を実施例4.1に記載されたとおりにしてSDS−PAGEにより分析した。ミニゲルをクマジーブルーで染色した。α(130kDa),ε(28.9kDa)及びθ(9kDa)に対応する分子量の蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質バンドが別々の蛋白質バンドとして検出できたが、非誘導対照においては観察されなかった。
実施例10.大腸菌内でのY.pAのコア蛋白質の発現の最適化
発現された組換えエルシニア・ペスティスのコア蛋白質の収量を最適化するための試みにおいて、誘導時間をpA1−YP−コアに関して分析した。F−培地(バクトイーストエキストラクト、14g/l;バクトトリプトン、8g/l;リン酸水素二カリウム、12g/l;リン酸二水素カリウム,1.2g/l;pH7.2,1%グルコース)を生育培地として用いた。アンピシリンを含む少量のF−培地(10−20ml)に標的細菌を接種して37℃において撹拌しながら生育させた。この一晩培養物を用いて、予め37℃に温められたアンピシリンを含む新鮮なF−培地を接種した。新鮮な培地を20:1の比にて培養生育を用いて一晩接種した。これは、誘導前に3−4倍に細胞密度を倍加させるために十分な時間を与えた。新鮮に接種された培養物をOD600=0.6−0.8の間で生育させて、IPTGの1mMの添加により誘導した。
発現された組換えエルシニア・ペスティスのコア蛋白質の収量を最適化するための試みにおいて、誘導時間をpA1−YP−コアに関して分析した。F−培地(バクトイーストエキストラクト、14g/l;バクトトリプトン、8g/l;リン酸水素二カリウム、12g/l;リン酸二水素カリウム,1.2g/l;pH7.2,1%グルコース)を生育培地として用いた。アンピシリンを含む少量のF−培地(10−20ml)に標的細菌を接種して37℃において撹拌しながら生育させた。この一晩培養物を用いて、予め37℃に温められたアンピシリンを含む新鮮なF−培地を接種した。新鮮な培地を20:1の比にて培養生育を用いて一晩接種した。これは、誘導前に3−4倍に細胞密度を倍加させるために十分な時間を与えた。新鮮に接種された培養物をOD600=0.6−0.8の間で生育させて、IPTGの1mMの添加により誘導した。
培養物の等サンプル容量(5ml)を誘導の時及び1時間ごとに5時間まで分析のために回収することにより、最適生育時間を決定した。各サンプルのOD600を測定した。回収されたサンプルをフィッシャーセントリフィックモデル228(1380xg)内で10分間遠心分離した。上清を捨てて、細胞沈殿物を分析の為に残した。各サンプル中の全蛋白質の等濃度を保持するため、50μlのレムリ溶解バッファー(125mM Tris−HCl,(pH6.8),20%グリセロール、5%SDS)を、サンプル容量(5ml)を掛けた各サンプルのOD600ユニットあたり加えた。細胞沈殿物を懸濁して90−100℃において10分間加熱した。サンプルを最大rpm(16,000xg)にて10分間テーブルトップマイクロ遠心分離機上で遠心分離して、上清を残した。各上清の全細胞蛋白質を含む小アリコート(5μl)を、25mM Tris塩基中、192mMグリシン、及び0.1%SDS中の10%又は5−20%の勾配SDS−ポリアクリルアミドゲル(16x18x0.75cm)上に負荷した。ゲルは、2時間250ボルトにて泳動して、蛋白質をクマジーブルー染色で可視化した。
pA1−YP−コアに関してSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された生育最適化の結果を図17に示す。このゲルにおいて、エルシニア・ペスティスのαは高いレベルに発現され、全細胞蛋白質の約10%に達した。分子質量マーカーはゲルの右側に示す。
実施例11.コアオペロンの大規模な生育
pA1−YP−コアプラスミドを含む大腸菌の大規模な生育は実施例4.4に記載されたとおりであったが、しかしながら、当該細菌は、1.44kgの回収重量を与える誘導の後3.5時間生育を続けることを可能にされた。量的な対照の結果は、接種物中アンピシリン含有培地上で10の陽性コロニーのうち10を示し、そして回収時にアンピシリンを含む培地上で10の陽性コロニーのうち10を示した。
pA1−YP−コアプラスミドを含む大腸菌の大規模な生育は実施例4.4に記載されたとおりであったが、しかしながら、当該細菌は、1.44kgの回収重量を与える誘導の後3.5時間生育を続けることを可能にされた。量的な対照の結果は、接種物中アンピシリン含有培地上で10の陽性コロニーのうち10を示し、そして回収時にアンピシリンを含む培地上で10の陽性コロニーのうち10を示した。
実施例12.エルシニア・ペスティスのコアの精製
最初の精製工程として、多くの内因性大腸菌蛋白質を、硫酸アンモニウム(AS)を興味のある蛋白質(及びいくつかの内因性蛋白質)が溶液から析出するが他の蛋白質が溶液中に残ることを引き起こす濃度まで添加することにより除去することができる。沈殿した蛋白質は、次に、遠心分離により溶液中にまだ残る蛋白質が蛋白質から分離することができる。各蛋白質は、異なる濃度の硫酸アンモニウムにて溶液から析出する(アミノ酸組成、極性/非極性表面の露出したアミノ酸の分散、分子形態及び水和のレベルに依存して)。よって、各標的蛋白質が溶液から沈殿する硫酸アンモニウムの濃度を測定しなければならない(パーセント飽和として表現する)。
最初の精製工程として、多くの内因性大腸菌蛋白質を、硫酸アンモニウム(AS)を興味のある蛋白質(及びいくつかの内因性蛋白質)が溶液から析出するが他の蛋白質が溶液中に残ることを引き起こす濃度まで添加することにより除去することができる。沈殿した蛋白質は、次に、遠心分離により溶液中にまだ残る蛋白質が蛋白質から分離することができる。各蛋白質は、異なる濃度の硫酸アンモニウムにて溶液から析出する(アミノ酸組成、極性/非極性表面の露出したアミノ酸の分散、分子形態及び水和のレベルに依存して)。よって、各標的蛋白質が溶液から沈殿する硫酸アンモニウムの濃度を測定しなければならない(パーセント飽和として表現する)。
−20℃に保存されていたTris−蔗糖中の凍結した細胞(35g細胞)の1:1懸濁液70gを溶解することにより、最大活性を含むが混在する蛋白質を最少量しかもたない大量のコア複合体を沈殿させる硫酸アンモニウムの最適濃度を決定した。
Fr Iを各15mlの7サンプルに分割して、25%、30%、35%、40%、45%、50%及び60%と標記した。各サンプル中の蛋白質を、量を変えた硫酸アンモニウムを添加することにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの濃度はそれぞれ4℃において25%、30%、35%、40%、45%、50%及び60%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。上清を各サンプルから除去して、結果生じる沈殿物をバッファー(25mM Hepes(pH7.5),5mM EDTA,10%グリセロール、5mM DTT,100mM NaCl)に懸濁し、各(7)硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルに関してFrIIを生じた。上清及びFr IIの両方からのサンプルの濃度を図18に示す。これは、懸濁した蛋白質沈殿物のSDS−ポリアクリルアミドゲル分析により確認した(データは示さず)。
エルシニア・ペスティスのコアを精製するために、エルシニア・ペスティスのコアを含む細胞400gを溶解して、FrIを上記のとおりに形成させ、そして1270mlのFr I溶解物をもたらした。サンプル中の蛋白質を勾配硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの最終濃度は4℃において45%であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。蛋白質沈殿物をTG.51バッファー中に懸濁して、TG.51/25mM NaClバッファー中で平衡化されたDEAEクロマトグラフィーカラム(300ml,5cm x 15cm)の伝導性まで希釈した(2100ml,Fr II)。サンプルをDEAEカラム上に負荷し、3カラム容量のTG.51/25mM NaClバッファーで洗浄して、25−400mMのNaCl勾配を含む10カラム容量のTG.51バッファーにより溶出した。フラクション(50)が回収され、各25mlを含んだ。蛋白質はフラクション40−140の間の一つの広いピークに溶出した。活性はフラクション96−111の広いピーク内に包含される単一ピークに含まれた(400ml)。活性の100%がこのピーク内に回収された。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析は、上記活性ピークがエルシニア・ペスティスのコアを含むが、コア複合体のみで全蛋白質の約20%しか構成しなかったことを示した。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において70%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で凍結させ、そして−80℃に保存した。
エルシニア・ペスティスのコアを含む蛋白質沈殿物を200mlのイミダゾールバッファー(50mMイミダゾール、(pH6.8),10%グリセロール、50mMNaCl,5.0mM DTT)中に溶解して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrIIとした。サンプルを、NaClを含まないイミダゾールバッファーを用いて、イミダゾールバッファー内で平衡化したヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー(200ml,5cmx 10cm)の伝導性まで希釈した(430ml)。サンプルをヒドロキシルアパタイトカラムに負荷して、3カラム容量のイミダゾールバッファー/プラス10mMKPO4で洗浄して、10カラム容量の10−150のKPO4勾配を含むイミダゾールバッファーで溶出した。フラクション(80)を各々25mlを含むように回収した。蛋白質はフラクション15−50の間の一つのピークに溶出した。活性は広いピーク内に包含される単一ピークに含まれた。フラクション25−37をプールして(325ml)、カラムに負荷された全活性の100%を含んだ。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析は、エルシニア・ペスティスのコア複合体の蛋白質が全蛋白質の約50%しか構成しなかったことを示した。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において50%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で凍結させ、そして−80℃に保存した。
ヒドロキシルアパタイトカラムからのエルシニア・ペスティスのコアを含む蛋白質沈殿物を100mlのイミダゾールバッファープラスEDTA中に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrIVとした。サンプルを、NaClを含まないイミダゾールバッファーを用いて、イミダゾールバッファープラス1mM EDTA内で平衡化したP−11ホスホセルロース(ワットマン)クロマトグラフィー(200ml,5cm x 10cm)の伝導性まで希釈した(2800ml)。サンプルをP−11ホスホセルロースカラムに負荷して、4カラム容量のイミダゾールバッファープラス1mMEDTAで洗浄して、10カラム容量の25−300のNaCl勾配を含むイミダゾールバッファーで溶出した。フラクション(80)を各々25mlを含むように回収した。蛋白質はフラクション10−30の間の一つのピークに溶出した。活性は広いピーク内に包含される単一ピークに含まれた。フラクション11−22をプールしたところ(300ml)、カラムに負荷された全活性の75%を含んだ。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析は、エルシニア・ペスティスのコアが90%を越る均質性であったことを示した。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において50%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で素早く凍結させ、そして−80℃に保存した。
エルシニア・ペスティスのコアを含む蛋白質沈殿物を6mlのHG.05バッファー(25mMHEPES,(pH7.5),50mM KCl,10%グリセロール、5mM DTT及び1mM EDTA)中に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrVとした。サンプルを、HG.05バッファー平衡化したセファクリル(登録商標)S−200(アマシャムファルマシアバイオテック)クロマトグラフィーカラム(200ml,1:20直径:高さ比)に負荷した。上記手法は、樹脂の上から樹脂ベッドの下までバッファーを走らせることを含み、サンプルを樹脂ベッド上までゆっくりとピペッティングし、サンプルを樹脂の上に吸い上げ、2mlのバッファーをゆっくりと樹脂の上部に加え、樹脂の中に吸い上げた。ランニングバッファーを次に樹脂の上部に加え、そして溶出を続けた。蛋白質は0.22ml/分の流速にて溶出し、3mlフラクションを回収した。フラクション35−58(12ml)が負荷した活性の全てを含んだので、プールした(FrVI)。Fr VIを等分にして、−80℃に保存し、そしてエルシニア・ペスティスのコアのストックサプライを表す。精製プロセスの各工程において、エルシニア・ペスティスコアの精製度をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。各精製工程に関してのプールされた蛋白質のサマリーゲルを図21に示す。FrVI中の蛋白質バンドの濃度計スキャンは、α、ε及びθの比がそれぞれ1:1:1であることを示す。蛋白質の濃度及び活性も各精製工程に関して特性決定した(表II)。
実施例13.エルシニア・ペスティスコアのギャップフィリング活性の特性決定及びエルシニア・ペスティスコアの精製のための最適な硫酸アンモニウム濃度の決定
エルシニア・ペスティスのコアの活性を、最初に、ギャップフィリングアッセイを用いてアッセイした。各FrIIの滴定を含む一連の反応を実施した(図19)。反応(25μl)は、様々な希釈のFr IIの、dNTPs(100cpm[3H]/pmoldNTPs),10mM MgCl2及び5μgの活性化子ウシ胸腺DNAを含む溶液への添加により開始した。当該DNAは前記のとおりに調製した(McHenry,C.S.andCrow,W.(1979)J Biol Chem254,1748−1753)。反応物は5分間30℃においてインキュベートした。1ユニットは、30℃において1分あたり1pmolのdNTPsを取り込むのに必要な酵素の量として定義される。
エルシニア・ペスティスのコアの活性を、最初に、ギャップフィリングアッセイを用いてアッセイした。各FrIIの滴定を含む一連の反応を実施した(図19)。反応(25μl)は、様々な希釈のFr IIの、dNTPs(100cpm[3H]/pmoldNTPs),10mM MgCl2及び5μgの活性化子ウシ胸腺DNAを含む溶液への添加により開始した。当該DNAは前記のとおりに調製した(McHenry,C.S.andCrow,W.(1979)J Biol Chem254,1748−1753)。反応物は5分間30℃においてインキュベートした。1ユニットは、30℃において1分あたり1pmolのdNTPsを取り込むのに必要な酵素の量として定義される。
実施例14.大腸菌ベータ及びタウ複合体とのコアの再構成
実施例4.6において前に記載されたエルシニア・ペスティスコアが再構成アッセイにおいて機能できるか否かを測定するため、45%硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルからのFrIIの1:8希釈を1μlか又は大腸菌コア1μl(3x106ユニット/mg,4mg/ml)を、1μlの大腸菌(1.7x106ユニット/mg,1mg/ml)4μlのτ複合体(2.8x106ユニット/mg,2mg/ml)及び19μlのRNAプライムされたM13Gori鋳型を含む再構成アッセイにおいてアッセイした。図20に示す結果は、エルシニア・ペスティスのコアが大腸菌のβ及び大腸菌のτの複合体と共に機能することを示す。
実施例4.6において前に記載されたエルシニア・ペスティスコアが再構成アッセイにおいて機能できるか否かを測定するため、45%硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルからのFrIIの1:8希釈を1μlか又は大腸菌コア1μl(3x106ユニット/mg,4mg/ml)を、1μlの大腸菌(1.7x106ユニット/mg,1mg/ml)4μlのτ複合体(2.8x106ユニット/mg,2mg/ml)及び19μlのRNAプライムされたM13Gori鋳型を含む再構成アッセイにおいてアッセイした。図20に示す結果は、エルシニア・ペスティスのコアが大腸菌のβ及び大腸菌のτの複合体と共に機能することを示す。
ベータクランプ
実施例15.エルシニア・ペスティスのDnaN(βサブユニット)のプロセッシビティー因子の分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のβサブユニットをコードするエルシニア・ペスティスのdnaN遺伝子の遺伝子を、他の公知のDnaN(β)サブユニットに対するその相同性によりエルシニア・ペスティスデータベース(サンガーデータベース(2001))から同定した。エルシニア・ペスティス由来のDnaN蛋白質のアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが高度に相同性であり蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図4)。
実施例15.エルシニア・ペスティスのDnaN(βサブユニット)のプロセッシビティー因子の分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のβサブユニットをコードするエルシニア・ペスティスのdnaN遺伝子の遺伝子を、他の公知のDnaN(β)サブユニットに対するその相同性によりエルシニア・ペスティスデータベース(サンガーデータベース(2001))から同定した。エルシニア・ペスティス由来のDnaN蛋白質のアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが高度に相同性であり蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図4)。
この実施例は、ゲノミックDNAからのdnaN(βサブユニット)のPCR増幅及びそのベクターpA1−CB−NdeIへの挿入を記載する。ポリクローナル領域を包含するpA1−CB−NdeIの領域を図10に示す。ベータサブユニットはdnaN遺伝子の1101ヌクレオチドによりコードされる367アミノ酸からなる。dnaNのヌクレオチド配列は、配列番号:18により表される。βサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号:20により表される。フォワード/センスプライマーは:
である。5’クランプ(GATC)に、イタリック文字で示されるNdeI制限部位が続く。NdeIはATG開始コドンとオーバーラップし、pA1−CB−NdeIへの挿入のために使用される。dnaNの5’末端に相当する21ヌクレオチドは下線の大文字で示す。
リバース/アンチセンスプライマーは:
である。5’クランプ領域に、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのSpeI制限部位(イタリック文字)及び追加の停止コドン(二重下線文字)が続き、天然の停止コドンが直列に続く。最後に、dnaN遺伝子の3’末端に相補な19ヌクレオチドを下線の大文字にて示す。
dnaNのPCR産物及びプラスミドpA1−CB−NdeIの両方をNdeI/SpeI制限酵素により消化した。dnaN遺伝子を含むPCR産物の断片をNdeI−SpeIpA1−CB−NdeIに挿入した。これは、上流のRBSから最適に距離を離してdnaN遺伝子を配置して、プラスミドpA1−YP−dnaNをもたらし、図22に模式的に描写する。dnaN挿入物の配列決定は上記ベクター中の天然(非変異)dnaNの存在を証明した。
実施例16.大腸菌内でのdnaNの発現
pA1−YP−dnaN内のdnaN遺伝子の正確な配列をDNA配列決定により確認した。実施例4.1.に記載されたのと同じ様式により、pA1−YP−dnaNプラスミドにより大腸菌のAP1.L1株を形質転換した。SDS−ポリアクリルアミド電気泳動は、図23においてβに関して予測された部位に移動する蛋白質のバンドを示す(40.9kDa)。
pA1−YP−dnaN内のdnaN遺伝子の正確な配列をDNA配列決定により確認した。実施例4.1.に記載されたのと同じ様式により、pA1−YP−dnaNプラスミドにより大腸菌のAP1.L1株を形質転換した。SDS−ポリアクリルアミド電気泳動は、図23においてβに関して予測された部位に移動する蛋白質のバンドを示す(40.9kDa)。
実施例17.大腸菌内でのエルシニア・ペスティスの発現の最適化
発現された組換えエルシニア・ペスティスのβの収量を最適化するための試みにおいて、誘導時間を実施例10に記載したとおりにpA1−YP−dnaNに関して分析した。pA1−YP−dnaNに関してSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された生育の最適化の結果を図23に示す。このゲルにおいて、大腸菌のβは分子質量がエルシニア・ペスティスのβとほとんど同じであるため対照として使用した。ゲル中に見いだされ得るように、βは極めて高いレベルまで発現され、全細胞蛋白質の50%にも達する!分子質量マーカーを上記ゲルの右側に示す。
発現された組換えエルシニア・ペスティスのβの収量を最適化するための試みにおいて、誘導時間を実施例10に記載したとおりにpA1−YP−dnaNに関して分析した。pA1−YP−dnaNに関してSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された生育の最適化の結果を図23に示す。このゲルにおいて、大腸菌のβは分子質量がエルシニア・ペスティスのβとほとんど同じであるため対照として使用した。ゲル中に見いだされ得るように、βは極めて高いレベルまで発現され、全細胞蛋白質の50%にも達する!分子質量マーカーを上記ゲルの右側に示す。
実施例18.βの大規模生育
大規模生育の条件は実施例4.4においてコアオペロンに関して記載されたとおりであって、βを発現する細菌の誘導後の生育時間の長さは3時間であった。
大規模生育の条件は実施例4.4においてコアオペロンに関して記載されたとおりであって、βを発現する細菌の誘導後の生育時間の長さは3時間であった。
実施例19.βの精製
Tris−蔗糖中の凍結細胞(35g細胞の)1:1懸濁液70gからのFr Iの精製は実施例4.5に記載されたとおりであった。回収された上清(110ml)をフラクションI(Fr I)とした(30mg/ml)。
Tris−蔗糖中の凍結細胞(35g細胞の)1:1懸濁液70gからのFr Iの精製は実施例4.5に記載されたとおりであった。回収された上清(110ml)をフラクションI(Fr I)とした(30mg/ml)。
Fr Iを各15mlの7サンプルに分割して、25%、30%、35%、40%、45%、50%及び60%と標記した。各サンプル中の蛋白質を、量を変えた硫酸アンモニウムを添加することにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの濃度はそれぞれ4℃において25%、30%、35%、40%、45%、50%及び60%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。上清を各サンプルから除去して、結果生じる沈殿物をバッファー(25mM Hepes(pH7.5),5mM EDTA,10%グリセロール、5mM DTT,100mM NaCl)に懸濁した。結果の混合物をFr IIとした。懸濁させた沈殿物及び上清からの各サンプルの蛋白質濃度をクマジープロテインアッセイ試薬(ピアス)及びウシ血清アルブミン(BSA)を標準として用いて図24に示すとおりに測定した。懸濁した沈殿物の蛋白質もSDS−ポリアクリルアミドゲル分析及び蛋白質アッセイと共に分析したところ(データは示さず)、エルシニア・ペスティスのβは高い濃度の硫酸アンモニウム(70%)中でのみ沈殿したことを示した。
硫酸アンモニウムの沈殿条件を最適化した後、フラクションI(Fr I)(75ml)を形成させるためのエルシニア・ペスティスのβを含む細胞35gの溶解を上記のとおりに実施した。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウム沈殿させたところ、4℃において硫酸アンモニウムの最終濃度は70%であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。上清を各サンプルから除去し、そして結果の沈殿物を200mlのTG.51/50mm NaCl バッファー(50mM Tris−HCl(pH7.0),0.5mM EDTA,10%グリシン、5mMDTTプラス50mM NaCl)に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrIIとした(10.8mg/ml)。懸濁した沈殿物からの各サンプルの蛋白質の濃度をクマジープロテインアッセイ試薬(ピアス)及びウシ血清アルブミン(BSA)を標準として用いて測定した。サンプルを、NaClを含まないTG.51バッファーにより1000mlまで希釈して、TG.51/50mMNaClバッファー中で平衡化されたDEAEクロマトグラフィーカラム(200ml,5cm x 10cm)の伝導性に調節した。サンプルをDEAEカラム上に負荷し、2.5カラム容量のTG.51/50mMNaClバッファーで洗浄して、50−600mMのNaCl勾配を含む10カラム容量のTG.51バッファーにより溶出した。フラクション(40)が回収され、各25mlを含んだ。蛋白質はフラクション15−30の間の一つの広いピークに溶出し、100%の活性が,90%を超える均質性のエルシニア・ペスティスのβを含むフラクション20−26に回収された(175ml)。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において70%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で凍結させ、そして−80℃に保存した。
エルシニア・ペスティスのβを含む蛋白質沈殿物をイミダゾールバッファー(50mMイミダゾール、(pH6.8),10%グリセロール、50mM NaCl,5.0mM DTT)中に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrIIIとした。サンプルを、NaClを含まないイミダゾールバッファーを用いて、イミダゾールバッファー内で平衡化したヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー(200ml,5cmx 10cm)の伝導性まで希釈した(460ml)。サンプルをヒドロキシルアパタイトカラムに負荷して、3カラム容量のイミダゾールバッファー/プラス10mMKPO4で洗浄して、10カラム容量の20−130KPO4勾配を含むイミダゾールバッファーで溶出した。フラクション(80)を各々25mlを含むように回収した。蛋白質と活性が一つのピークに溶出した。フラクション25−35をプールして(275ml)、カラムに負荷された全活性の95%を含んだ。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において70%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で凍結させ、そして−80℃に保存した。
エルシニア・ペスティスのβを含む蛋白質沈殿物をHG.05バッファー(25mM HEPES,(pH7.5),50mMKCl,10%グリセロール、5mM DTT及び1mM EDTA)中に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrIVとした。サンプルを、HG.05バッファー平衡化したセファクリル(登録商標)S−200(アマシャムファルマシアバイオテック)クロマトグラフィーカラム(200ml,1:20直径:高さ比)に負荷した。上記手法は、樹脂の上から樹脂ベッドの下までバッファーを走らせることを含み、サンプルを樹脂ベッド上までゆっくりとピペッティングし、サンプルを樹脂の上に吸い上げ、2mlのバッファーをゆっくりと樹脂の上部に加え、樹脂の中に吸い上げた。ランニングバッファーを次に樹脂の上部に加え、そして溶出を続けた。蛋白質は0.22ml/分の流速にて溶出し、2mlフラクションを回収した。フラクション45−55(22ml)が負荷した活性の全てを含んだので、プールした(FrV)。Fr Vを等分にして、−80℃に保存し、そしてエルシニア・ペスティスのβのストックサプライを表す。精製プロセスの各工程において、エルシニア・ペスティス βの精製度をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。各精製工程に関してのプールされた蛋白質のサマリーゲルを図25に示す。
蛋白質の濃度及び活性も各精製工程に関して特性決定した(表III)。
実施例20.大腸菌のコア及びタウの複合体による再構成を通したプロセッシビティー活性の特性決定
エルシニア・ペスティスのβが大腸菌のコアとτの複合体を刺激できるか否かを決定するため、35%AS沈殿させた蛋白質からのエルシニア・ペスティスのβが大腸菌再構成アッセイに滴定されたアッセイを、実施例4.6に記載されたとおりに実施した。再構成アッセイ(26μl)は、大腸菌コア1μl(3x106ユニット/mg,4mg/ml)、4μlのτ複合体(2.8x106ユニット/mg,2mg/ml)及び19μlのRNAプライムされたM13Gori鋳型を含んだ。これに対してエルシニア・ペスティスのβを含む様々な希釈のFr II(35%AS沈殿)2μlを加えた。これらのアッセイの結果を図26に示す。
エルシニア・ペスティスのβが大腸菌のコアとτの複合体を刺激できるか否かを決定するため、35%AS沈殿させた蛋白質からのエルシニア・ペスティスのβが大腸菌再構成アッセイに滴定されたアッセイを、実施例4.6に記載されたとおりに実施した。再構成アッセイ(26μl)は、大腸菌コア1μl(3x106ユニット/mg,4mg/ml)、4μlのτ複合体(2.8x106ユニット/mg,2mg/ml)及び19μlのRNAプライムされたM13Gori鋳型を含んだ。これに対してエルシニア・ペスティスのβを含む様々な希釈のFr II(35%AS沈殿)2μlを加えた。これらのアッセイの結果を図26に示す。
これらの結果は、FrII中のエルシニア・ペスティスのβが、大腸菌のpol III及びτの複合体の存在下で迅速かつプロセッシブなDNA合成を完全に刺激できるため、活性であることを示す。これらと同じ希釈のFrII(35%AS沈殿)を大腸菌のpol III不在下でアッセイしたところ、きわけて低いレベルのバックグラウンド活性しか含まないことがわかった。
これらの同じアッセイを最初に使用することにより、実施例19に記載された硫酸アンモニウム沈殿最適化を確認した。これらのアッセイを実施例19に記載された蛋白質の硫酸アンモニウムの異なる濃度の沈殿によりもたらされた全7つのFrIIサンプルに関して実施した。結果は、多くの内因性混在蛋白質も沈殿していたとしても、エルシニア・ペスティスのβが高い濃度の硫酸アンモニウム濃度にて溶液からもっとも効率よく沈殿したことを示す(図27)。
クランプ負荷複合体
実施例21.ガンマ及びタウ複合体をコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのdnaXの分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のエルシニア・ペスティスのdnaX遺伝子の遺伝子を、エルシニア・ペスティスのデータベース(サンガーデータベース(2001))からの他の公知のDnaXサブユニットに対するその相同性により同定した。エルシニア・ペスティス由来のDnaX蛋白質のアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが高度に相同性であり蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図5)。
実施例21.ガンマ及びタウ複合体をコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのdnaXの分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のエルシニア・ペスティスのdnaX遺伝子の遺伝子を、エルシニア・ペスティスのデータベース(サンガーデータベース(2001))からの他の公知のDnaXサブユニットに対するその相同性により同定した。エルシニア・ペスティス由来のDnaX蛋白質のアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが高度に相同性であり蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図5)。
この実施例は、ゲノミックDNAからのdnaX遺伝子(τ)のPCR増幅及びそのベクターpA1−CB−NcoIへの挿入を記載する。τサブユニットは1977ヌクレオチドによりコードされる659アミノ酸の配列番号:25からなる。dnaXの大腸菌内での発現は2つの天然産物をもたらす:τ、完全長の産物及びγ、末端削除された産物。γは、−1翻訳のフレームシフトの結果として形成されたτの様々なC末端欠損バリアントである。−1フレームシフトは6つのAの配列において生じる。同じフレームシフト配列がエルシニア・ペスティスのdnaX遺伝子のヌクレオチド配列中に存在する。完全長の蛋白質産物(τ)のみの発現を強いるために、dnaX遺伝子中の3つのヌクレオチドを変異させた。変異は1329A>G,1332G>A及び1335T>Cである。1329A>Gは−1のフレームシフトを排除して、1332G>Aは低い使用頻度のコドンを高い使用頻度のコドンに置き換え、そして1335T>C変異は−1フレームシフトの場合の停止コドンを除去する。これらの変異は、フレームシフトを排除しながら蛋白質の正確な配列を保持し、以下に示すとおりである。
τのアミノ酸配列は配列番号:25により表される。dnaXのクローニングは2つの別々の工程によりもたらされ、その間に上記の変異が導入される。
第1の工程において、2つのPCR、PCR#1とPCR#2がある。PCR#1において、dnaX遺伝子の5’末端のフォワード/センスプライマーは:
第1の工程において、2つのPCR、PCR#1とPCR#2がある。PCR#1において、dnaX遺伝子の5’末端のフォワード/センスプライマーは:
であった。GATCクランプに、PacI制限部位(イタリック文字)及びSacI制限部位(下線イタリック文字)が続く。PacI部位はpA1−CB−NcoIへの挿入に必要であり、そしてSacI部位は5つの遺伝子のオペロンを構築するのに後で使用される(以下参照)。3塩基のスペーサー(太字ccc)は、5遺伝子オペロン中の上流のRBSとdnaX開始コドンの間の最適な距離をおくために必要である。3’の19ヌクレオチドはdnaX遺伝子の5’末端に相補である。変異を含むリバース/アンチセンスプライマーは:
であった。このPCR断片はdnaXからの5’1359ヌクレオチドを含んだ。
PCR#2においては、フォワード/センスプライマーは変異を含んだ。フォワード/センスプライマーは、
PCR#2においては、フォワード/センスプライマーは変異を含んだ。フォワード/センスプライマーは、
であった。リバース/アンチセンスプライマーは、
である。リバース/アンチセンスプライマーはGATCクランプを含み、SpeI制限部位及び追加の停止コドン(二重下線文字)へと続く。これに、dnaX遺伝子の3’末端に相補な17ヌクレオチドが続く。
工程2において、工程1からの2つのPCR断片を混合して、鋳型として作用させて、PCR#1反応からのフォワード/センスプライマー及びPCR#2反応からのリバース/アンチセンスプライマーをPCR#2反応において用いた。この反応は、適切な部位において変異した完全長のdnaX遺伝子を含むPCR産物をもたらした。
PCR#3産物及びプラスミドpA1−CB−NcoIの両方をPacI/SpeI制限酵素で消化した。dnaX遺伝子を含む消化されたPCR産物の断片を、消化されたpA1−CB−NcoIに挿入することにより(pA1−CB−NcoIのクローニング領域を図31に示す)、プラスミドpA1−YP−dnaXを生成したが(図28)、3つの変異ヌクレオチドを含むdnaX遺伝子を含む。dnaX挿入物の配列決定により、上記ベクター中の正確に変異されたdnaX遺伝子の存在を確認することを完了した。
実施例22.タウ(tau)サブユニットの精製と特性決定
エルシニア・ペスティスのDnaX蛋白質を、精製を監視するために再構成アッセイを用いて精製した。複雑であるが、これらの手法は、より日常的になってきており、大腸菌、サーマス・サーモフィルス(共に係属中の米国特許出願連続番号09/818,780、2001年3月28日出願に記載されるとおり)及びストレプトコッカス・ピオゲネス(共に係属中の国際出願連続番号PCT/US01/48396、2001年10月29日出願に記載されるとおり)のDNA複製の研究において使用されている。日常的には、蛋白質がSDS−PAGEを用いて観察できるように、等しいレベルの発現を得ることができる。この研究において実現されないならば、大腸菌のサブユニットに対するモノクローナル抗体により発現を確認してよい。顕著な交差反応性が、より進化上離れた生物のホロ酵素サブユニットに対する選択された抗体により(McHenry,C.S.Serville,M.,andCull,M.G.(1997)J Mol Biol272,178−189)過去に観察された。DnaXの過剰生産物を所有したなら、細胞を溶解し、そして硫酸アンモニウム沈殿物を最適濃度の飽和硫酸アンモニウムを用いて生じさせることにより、最初に求めるサブユニットの沈殿を保証することになる。繰り返し溶解し、透析した沈殿をエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素を再構成させるために使用して、ここのサブユニットの精製を指示するための定量機能アッセイの基礎を提供する。
エルシニア・ペスティスのDnaX蛋白質を、精製を監視するために再構成アッセイを用いて精製した。複雑であるが、これらの手法は、より日常的になってきており、大腸菌、サーマス・サーモフィルス(共に係属中の米国特許出願連続番号09/818,780、2001年3月28日出願に記載されるとおり)及びストレプトコッカス・ピオゲネス(共に係属中の国際出願連続番号PCT/US01/48396、2001年10月29日出願に記載されるとおり)のDNA複製の研究において使用されている。日常的には、蛋白質がSDS−PAGEを用いて観察できるように、等しいレベルの発現を得ることができる。この研究において実現されないならば、大腸菌のサブユニットに対するモノクローナル抗体により発現を確認してよい。顕著な交差反応性が、より進化上離れた生物のホロ酵素サブユニットに対する選択された抗体により(McHenry,C.S.Serville,M.,andCull,M.G.(1997)J Mol Biol272,178−189)過去に観察された。DnaXの過剰生産物を所有したなら、細胞を溶解し、そして硫酸アンモニウム沈殿物を最適濃度の飽和硫酸アンモニウムを用いて生じさせることにより、最初に求めるサブユニットの沈殿を保証することになる。繰り返し溶解し、透析した沈殿をエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素を再構成させるために使用して、ここのサブユニットの精製を指示するための定量機能アッセイの基礎を提供する。
実施例23.デルタサブユニット蛋白質をコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのholAの分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のエルシニア・ペスティスのholA遺伝子は、他の公知のHolA(δ)サブユニットに対するその相同性によりエルシニア・ペスティスのデータベース(100)から同定した。エルシニア・ペスティス由来のδサブユニットのアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが蛋白質配列の全長にわたり低い相同性を有することを示す(図6)。
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のエルシニア・ペスティスのholA遺伝子は、他の公知のHolA(δ)サブユニットに対するその相同性によりエルシニア・ペスティスのデータベース(100)から同定した。エルシニア・ペスティス由来のδサブユニットのアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが蛋白質配列の全長にわたり低い相同性を有することを示す(図6)。
この実施例は、ゲノミックDNAからのholA遺伝子(δサブユニット)のPCR増幅及びそのpA1−CB−NcoIへの挿入を記載する。δサブユニットは1035ヌクレオチドによりコードされる345アミノ酸からなる。holAのヌクレオチド配列は、配列番号:33により表される。コドン3は大腸菌において低使用頻度コドン(CGG)であり、高い使用頻度のコドン(CGT)に変更される。デルタのアミノ酸配列は、配列番号:35により表される。フォワード/センスプライマーは:
である。
GATCクランプに、PacI制限部位(イタリック文字)が続き、HindIII制限部位(下線イタリック文字)とオーバーラップする。次に、オペロン形成の間のRBSとholA開始コドンの間の距離設定の最適化のための3塩基のスペーサー(ccc,太字)がある。RBSとholA開始コドンの間のこの構築物中の距離設定は、15ヌクレオチドになる。3塩基スペーサーに続いて、上記のようにコドン3の高い使用頻度のコドンへの修飾のために相補にならないholAの最初の3つのコドンがある(大文字イタリック文字)。最後の19ヌクレオチド(下線大文字)は、コドン4から始まるholA遺伝子の5’末端に相当する。リバース/アンチセンスプライマーは、
GATCクランプに、PacI制限部位(イタリック文字)が続き、HindIII制限部位(下線イタリック文字)とオーバーラップする。次に、オペロン形成の間のRBSとholA開始コドンの間の距離設定の最適化のための3塩基のスペーサー(ccc,太字)がある。RBSとholA開始コドンの間のこの構築物中の距離設定は、15ヌクレオチドになる。3塩基スペーサーに続いて、上記のようにコドン3の高い使用頻度のコドンへの修飾のために相補にならないholAの最初の3つのコドンがある(大文字イタリック文字)。最後の19ヌクレオチド(下線大文字)は、コドン4から始まるholA遺伝子の5’末端に相当する。リバース/アンチセンスプライマーは、
である。GATCクランプに、SpeI制限部位(イタリック文字)が続き、SpeIとSacIの両者の有効な消化のための3塩基スペーサー(太字、ccc)によりSacI制限部位(下線イタリック文字)が離れて続く。RBS配列が続く。SacIとSpeI部位及びRBSは5遺伝子オペロンの構築に必要である。次に、第2停止コドン(二重下線文字)が天然停止コドンと直列にある。最後に、最後の22ヌクレオチド(下線大文字)は、天然停止コドンを含むholAの3’末端に相補である。
PCR産物及びプラスミドpA1−CB−NcoIの両方をPacI/SpeI制限酵素で消化した。holA遺伝子を含む消化されたPCR産物の断片を、消化されたpA1−CB−NcoIに挿入した(pA1−CB−NcoIのクローニング領域を図31に示す)。これはプラスミドpA1−YP−holAの形成をもたらし、5遺伝子オペロンの形成において下流に位置する遺伝子のためのRBSへと続くholA遺伝子を含む。holA挿入物の配列決定により、上記ベクター中の正確に天然の(非変異)holA遺伝子の存在を確認することを完了した。HindIII及びSacI/SpeIを5遺伝子オペロンの形成において使用する。このプラスミドを、pA1−YP−holAと命名して、図29に模式的に描写する。
実施例24.HolA(デルタ)サブユニットの精製と特性決定
精製されたDnaE,DnaN,DnaX及びHolBを用いて、HolAに関するアッセイを提供する。HolAは、高度に精製されるまで、他の蛋白質に関して記載された論理を用いて精製される。
精製されたDnaE,DnaN,DnaX及びHolBを用いて、HolAに関するアッセイを提供する。HolAは、高度に精製されるまで、他の蛋白質に関して記載された論理を用いて精製される。
実施例25.HolB(デルタプライム)サブユニットをコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのholBの分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のエルシニア・ペスティスのholBの遺伝子は、他の公知のHolB(δ’)サブユニットに対するその相同性によりエルシニア・ペスティスのデータベース(100)から同定した。エルシニア・ペスティス由来のδ’サブユニットのアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが蛋白質配列の全長にわたり相同性であり整列化されることを示す(図6)。
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のエルシニア・ペスティスのholBの遺伝子は、他の公知のHolB(δ’)サブユニットに対するその相同性によりエルシニア・ペスティスのデータベース(100)から同定した。エルシニア・ペスティス由来のδ’サブユニットのアミノ酸配列と選択されたサブセットの細菌の比較は、それらが蛋白質配列の全長にわたり相同性であり整列化されることを示す(図6)。
この実施例は、ゲノミックDNAからのholB遺伝子(δ’サブユニット)のPCR増幅及びそのpA1−CB−NcoIへの挿入を記載する。δ’サブユニットは1023ヌクレオチドによりコードされる341アミノ酸からなる。holBのヌクレオチド配列は、配列番号:38により表される。コドン2はAsnをコードする。これは、大腸菌において低使用頻度コドンであり、よって、高い使用頻度のコドンに修飾される。当該コドンはAATであり、PCR反応においてAACに変更される。δ’のアミノ酸配列は、配列番号:40により表される。PCR反応を実施するための、フォワード/センスプライマーは:
である。GATCクランプに、PacI制限部位(イタリック文字)及びAvrII制限部位(下線イタリック文字)が続く。続く3塩基のスペーサー(ccc,太字)は、5遺伝子オペロンにおいて上流のRBSとholB開始コドンの間の最適な距離設定を可能にする本明細書における個々の発現のためのRBSとholB開始コドンの間の距離設定は、17ヌクレオチドになり、最適な物よりはいくらか長いが、機能することが予測される。最初の2つのコドンは相補でなく、上記の修飾されたコドン2を含み、大文字のイタリック文字により示される。残りの20ヌクレオチドはコドン3から始まるholBの5’末端に相補であり、下線の大文字で示される。リバース/アンチセンスプライマーは、
である。GATCクランプに、KpnI制限部位(イタリック)及びHindIII(下線イタリック文字)が続く。RBS配列(大文字)及び第2停止コドン(二重下線文字)が続く。追加の停止コドンに、holB遺伝子の3’末端に相補な天然停止コドンを含む20ヌクレオチドが続く。KpnI部位はholDをpA1−CB−NcoIに挿入するために使用され、そしてHindIII部位は、5遺伝子オペロンの形成に使用される。
PCR産物及びプラスミドpA1−CB−NcoIの両方をPacI/KpnI制限酵素で消化した。holB遺伝子を含む消化されたPCR産物の断片を、消化されたpA1−CB−NcoIプラスミドに挿入した。これはプラスミドpA1−YP−holBの形成をもたらし(図30)、5遺伝子オペロンの形成において下流に位置する遺伝子のためのRBSへと続くholB遺伝子を含む(下に示す)。holB入物の配列決定により、上記ベクター中の正確に天然の(非変異)holB遺伝子の存在を確認することを完了した。AvrII及びHindIIIを5遺伝子オペロンの形成において使用する。このプラスミドを、pA1−YP−holBと命名して、図30に模式的に描写する。
実施例26.HolB(デルタプライム)サブユニットの精製と特性決定
大腸菌のHolB(δ’)及びサーマス・サーモフィルスのHolBに関しての精製をモデルとして使用することにより、HolBを精製する。
大腸菌のHolB(δ’)及びサーマス・サーモフィルスのHolBに関しての精製をモデルとして使用することにより、HolBを精製する。
実施例27.HolC(カイ)サブユニット蛋白質をコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのholCの分子クローニング
この実施例は、ゲノミックDNAからのholC遺伝子(χサブユニット)のPCR増幅及びそのpA1−CB−NcoIベクターへの挿入を記載する。χサブユニットは相対的に小さい(停止コドンを含んで450ヌクレオチドによりコードされる149アミノ酸)。PCR増幅において使用された全てのプライマーは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びHPLCのいずれかにより精製された。holCのヌクレオチド配列は、配列番号:43により表される。開始コドンと停止コドンを、ここ並びに本明細書を通して太字で示す。χサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号:45により表される。holC遺伝子をPCRするための、フォワード/センスプライマーは:
この実施例は、ゲノミックDNAからのholC遺伝子(χサブユニット)のPCR増幅及びそのpA1−CB−NcoIベクターへの挿入を記載する。χサブユニットは相対的に小さい(停止コドンを含んで450ヌクレオチドによりコードされる149アミノ酸)。PCR増幅において使用された全てのプライマーは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びHPLCのいずれかにより精製された。holCのヌクレオチド配列は、配列番号:43により表される。開始コドンと停止コドンを、ここ並びに本明細書を通して太字で示す。χサブユニットのアミノ酸配列は、配列番号:45により表される。holC遺伝子をPCRするための、フォワード/センスプライマーは:
である。プライマーの5’末端上にGATCクランプが存在することにより、制限酵素による有効な消化を可能にさせる。次に、PacI制限部位があり、イタリック文字で示される。「c」(太字及び二重下線)が、PacIと開始コドンの上流に位置するリボソーム結合部位(RBS)、AGGAGGの間の正確な距離設定のためのPacI部位とATG開始コドンの間に存在する。holC遺伝子の5’末端に相補な領域は21ヌクレオチドからなり、太字で示されて、下線を引かれる。リバース/アンチセンスプライマーは、
である。制限酵素による有効な消化のために5’末端上にGATCクランプがある。次に、KpnI制限部位があり、イタリックで示される。次に、下流の遺伝子のオペロンに使用されるRBSが作られる。第2の非相補停止コドンが次にあり、二重下線で示される。当該プライマーの相補領域は天然開始コドンから始まり、そしてゲノミックDNA上の17ヌクレオチドに相補である。これが大文字で下線を引かれた文字にて示される。ポリクローナル部位を含むpA1−CB−NcoIベクターの領域を図31に示す。
PCR産物及びプラスミドpA1−CB−NcoIの両方をPacI/KpnI制限酵素で消化した。holC遺伝子を含む消化されたPCR産物の断片を、消化されたpA1−CB−NcoIプラスミドに挿入した。これはプラスミドpA1−YP−holCを創製し、holC遺伝子のすぐ下流にRBS配列を含み、オペロンが構築されるように次の下流の遺伝子により利用され得る。pA1−YP−holCベクターの模式的描写を図32に示す。
実施例28.HolD(プサイ)サブユニット蛋白質をコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスのholDの分子クローニング
この実施例は、ゲノミックDNAからのholD遺伝子(Ψサブユニット)のPCR増幅及びそのpA1−CB−NcoIベクターへの挿入を記載する。Ψサブユニットは相対的に小さい(438ヌクレオチドによりコードされる146アミノ酸)。holD遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号:48により表される。コドン3、4及び5(下線文字中のヌクレオチド配列に示される)はSerArg Argをコードするが、大腸菌において低い使用頻度であり、PCR反応において高い使用頻度のコドンに変更される。変更は、TCAAGACGAからTCCCGCCGTである。Ψのアミノ酸配列は、配列番号:50により表される。holD遺伝子をPCRするための、フォワード/センスプライマーは:
この実施例は、ゲノミックDNAからのholD遺伝子(Ψサブユニット)のPCR増幅及びそのpA1−CB−NcoIベクターへの挿入を記載する。Ψサブユニットは相対的に小さい(438ヌクレオチドによりコードされる146アミノ酸)。holD遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号:48により表される。コドン3、4及び5(下線文字中のヌクレオチド配列に示される)はSerArg Argをコードするが、大腸菌において低い使用頻度であり、PCR反応において高い使用頻度のコドンに変更される。変更は、TCAAGACGAからTCCCGCCGTである。Ψのアミノ酸配列は、配列番号:50により表される。holD遺伝子をPCRするための、フォワード/センスプライマーは:
であった。GATCクランプに、イタリック文字で示したPacI部位が続く。PacI部位に隣接するのはKpnI部位であり、下線イタリック文字で示されて、太字で示された「tcc」に続く。このスペーサーは、pA1−CB−NcoI中のRBSとholDの開始コドンの間の領域を17ヌクレオチドに長くし、最低な距離設定よりはかなり長いが、Ψサブユニットは大腸菌の先例に基づくと、χサブユニット不在下で可溶性になるとは予測されず、単独では発現されない。上記スペーサーは、しかしながら、holCDオペロンが作られるときに、pA1−YP−holCの下流のRBSからのholDの開始を最適に配置する。続く15ヌクレオチドはコドン1−5を包含し、上記の変更のためにholD遺伝子の5’末端には正確に対応せず、大文字イタリックにより示される。最後に、コドン6−12に相当する18ヌクレオチドを下線大文字で示す。リバース/アンチセンスプライマーは、
である。当該プライマーの5’末端における有効な制限消化のためにGATCクランプがある。次に、SpeI及びAvrII制限部位があり(下線のイタリックで示される)、3塩基スペーサーにより離される(太字、「ccc」)。この3塩基スペーサーは、のちのオペロンの構築の間にSpeIとAvrIIの両方により消化を可能にさせる。上記制限部位に、太字のRBS及び追加の(第2の)停止コドン(二重下線文字)が続き、天然停止コドンに隣接する。最後に、天然停止コドンを含むholD遺伝子の3’末端に相補な18ヌクレオチドを下線大文字により示す。SpeI部位はpA1−CB−NcoIにholDを挿入するために使用され、そしてAvrII部位はのちの5遺伝子オペロンの形成において使用される。
PCR産物及びプラスミドpA1−CB−NcoIの両方をPacI/SpeI制限酵素で消化した。holD遺伝子を含む消化されたPCR産物の断片を、消化されたpA1−CB−NcoIプラスミドに挿入し、プラスミドpA1−YP−holDの形成をもたらすが、holD遺伝子を含み、次に5遺伝子オペロンの形成において下流に配置された遺伝子のためのRBSが続く。holD挿入物の配列決定により、上記ベクター中の天然(非変異)holD遺伝子の存在の確認を完了した。pA1−YP−holDベクターの模式的描写を図33に示す。
オペロンクローニング
実施例29.holC及びholDの両方を含む2遺伝子オペロンの構築
この実施例は、同じ発現ベクター中にholC及びholDの両方を含む2遺伝子オペロンの形成を記載する。これは、pA1−YP−holCとpA1−YP−holDの両方をKpnIとSpeIにより消化することにより達成される。KpnIとSpeI部位の間にholD遺伝子を含むpA1−YP−holDからの小断片を、消化したpA1−YP−holCプラスミドに挿入した。これは、holC構築物中に創製されたRBSからの最適な距離設定を伴い、holCの下流にholDを配置した。このプラスミドをpA1−YP−holCDと命名し、図34に示す。
実施例29.holC及びholDの両方を含む2遺伝子オペロンの構築
この実施例は、同じ発現ベクター中にholC及びholDの両方を含む2遺伝子オペロンの形成を記載する。これは、pA1−YP−holCとpA1−YP−holDの両方をKpnIとSpeIにより消化することにより達成される。KpnIとSpeI部位の間にholD遺伝子を含むpA1−YP−holDからの小断片を、消化したpA1−YP−holCプラスミドに挿入した。これは、holC構築物中に創製されたRBSからの最適な距離設定を伴い、holCの下流にholDを配置した。このプラスミドをpA1−YP−holCDと命名し、図34に示す。
実施例30.holBとholAの両方を含む2遺伝子オペロンの構築
この実施例は、holBとholAの両方を含む2遺伝子オペロンの形成を記載する。これは、pA1−YP−holBとpA1−YP−holAの両方をHindIIIとSpeIにより消化することにより達成される。HindIIIとSpeI部位の間にholA遺伝子を含むpA1−YP−holAからの小断片を、消化したpA1−YP−holBプラスミドに挿入した。これは、holBの下流にholAを含み、そしてholAベクター構築物中に創製されたRBSからの最適な距離設定を伴う下流も含む。このプラスミドをpA1−YP−holBAと命名し、図35に示す。
この実施例は、holBとholAの両方を含む2遺伝子オペロンの形成を記載する。これは、pA1−YP−holBとpA1−YP−holAの両方をHindIIIとSpeIにより消化することにより達成される。HindIIIとSpeI部位の間にholA遺伝子を含むpA1−YP−holAからの小断片を、消化したpA1−YP−holBプラスミドに挿入した。これは、holBの下流にholAを含み、そしてholAベクター構築物中に創製されたRBSからの最適な距離設定を伴う下流も含む。このプラスミドをpA1−YP−holBAと命名し、図35に示す。
実施例31.holB、holA及びdnaXの両方を含む3遺伝子オペロンの構築
この実施例は、holB、holA及びdnaXを含む3遺伝子オペロンの形成を記載する。これは、pA1−YP−holBAとpA1−YP−dnaXの両方をSacIとSpeIにより消化することにより達成される。SacIとSpeI部位の間にdnaX遺伝子を含むpA1−YP−dnaXの小断片を、消化したpA1−YP−holBAプラスミドに挿入した。これは、holA遺伝子の下流にdnaX遺伝子を含み、そしてholAベクター構築物中に創製されたRBSからの最適な距離設定を伴う下流も含む。このプラスミドをpA1−YP−holBAXと命名し、図36に示す。
この実施例は、holB、holA及びdnaXを含む3遺伝子オペロンの形成を記載する。これは、pA1−YP−holBAとpA1−YP−dnaXの両方をSacIとSpeIにより消化することにより達成される。SacIとSpeI部位の間にdnaX遺伝子を含むpA1−YP−dnaXの小断片を、消化したpA1−YP−holBAプラスミドに挿入した。これは、holA遺伝子の下流にdnaX遺伝子を含み、そしてholAベクター構築物中に創製されたRBSからの最適な距離設定を伴う下流も含む。このプラスミドをpA1−YP−holBAXと命名し、図36に示す。
実施例32.holC,holD,holB,holA,及びdnaXの5遺伝子オペロンの構築
この実施例は、holCとholD遺伝子(χとΨ、pA1−YP−holCDベクター)を含む2遺伝子オペロンと、holB,holA及びdnaX遺伝子(δ’、δ及びτ、pA1−CB−holBAXベクター)を含む3遺伝子オペロンの組み合わせによりクランプ負荷複合体を形成するのに必要な全てのサブユニットからなる5遺伝子オペロンの生成を記載する。このプラスミドをpA1−YP−CL複合体と命名する。pA1−YP−holCDとpA1−YP−holBAXの両方をAvrII/SpeIで消化した。3遺伝子オペロンを含む消化されたpA1−YP−holBAXからのAvrII/SpeI断片を、AvrII/SpeI消化したpA1−YP−holCDに挿入した。これは、2遺伝子オペロンの下流に3遺伝子オペロンを配置させた。holD遺伝子の下流に配置したRBSは、holB遺伝子の上流RBSとして機能する。これは5遺伝子オペロンを生じさせるが、各遺伝子がそれ自身の唯一のRBSからの最適な距離設定である(pA1−YP−CL複合体)。これを模式的に図37に描写する。
この実施例は、holCとholD遺伝子(χとΨ、pA1−YP−holCDベクター)を含む2遺伝子オペロンと、holB,holA及びdnaX遺伝子(δ’、δ及びτ、pA1−CB−holBAXベクター)を含む3遺伝子オペロンの組み合わせによりクランプ負荷複合体を形成するのに必要な全てのサブユニットからなる5遺伝子オペロンの生成を記載する。このプラスミドをpA1−YP−CL複合体と命名する。pA1−YP−holCDとpA1−YP−holBAXの両方をAvrII/SpeIで消化した。3遺伝子オペロンを含む消化されたpA1−YP−holBAXからのAvrII/SpeI断片を、AvrII/SpeI消化したpA1−YP−holCDに挿入した。これは、2遺伝子オペロンの下流に3遺伝子オペロンを配置させた。holD遺伝子の下流に配置したRBSは、holB遺伝子の上流RBSとして機能する。これは5遺伝子オペロンを生じさせるが、各遺伝子がそれ自身の唯一のRBSからの最適な距離設定である(pA1−YP−CL複合体)。これを模式的に図37に描写する。
実施例33.エルシニア・ペスティスのクランプ負荷複合体の発現
pA1−YP−CL複合体の構築の完了と共に、全ての遺伝子の正確な配列をDNA配列決定により確認した(示さず)。
pA1−YP−CL複合体の構築の完了と共に、全ての遺伝子の正確な配列をDNA配列決定により確認した(示さず)。
上記プラスミドにより、大腸菌のAP1.L1株を形質転換して、実施例9.3においてコアオペロンに関して記載されたとおりに発現させた。図38においてクマジーブルーにより染色された蛋白質ゲルは、δ(39.6kDa)、δ’(38.2kDa)、χ(17kDa)、Ψ(16.2kDa)及びτ(72.3kDa)サブユニットに相当する分子量の蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質バンドを示し、別々の蛋白質バンドとして検出できたが、未誘導の対照においては観察されなかった。δ及びδ’サブユニットχ及びΨサブユニットは互いに分離できなかったが、これらのサブユニットの間の分子量の類似性のためである。
実施例34.クランプ負荷複合体の大規模生育
pA1−YP−CLプラスミドを含む大腸菌の大規模な生育を実施例4.4に記載された通りに実施したが、エルシニア・ペスティスのτ複合体を生成するこの大規模生育においては、細菌を誘導後3.5時間生育させ続けることが例外であり、1.6kgの回収重量を与えた。質の制御の結果は、接種時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち10を示し、回収時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち0を示した。−20℃において保存されていたTris−蔗糖中の凍結した細胞(35g)の1:1懸濁液70gを、溶解することにより、最大活性を含むが最少量の混在蛋白質を残すコア複合体の最大量を沈殿させるのに最適な硫酸アンモニウムの最大量を決定した。この溶解は実施例4.5に記載されたとおりであった。FrIを各15mlの7サンプルに分割して、20%、30%、40%、50%、60%及び70%と標記した。各サンプル中の蛋白質を、量を変えた硫酸アンモニウムを添加することにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの濃度はそれぞれ4℃において20%、30%、40%、50%、60%及び70%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。上清を各サンプルから除去して、結果生じる沈殿物をバッファー(25mM Hepes(pH7.5),5mM EDTA,10%グリセロール、5mM DTT,100mM NaCl)に懸濁し、各(6)硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルに関してFrIIを生じた。上清及び別々のFr IIの両方からのサンプルの濃度を図39に示す。
pA1−YP−CLプラスミドを含む大腸菌の大規模な生育を実施例4.4に記載された通りに実施したが、エルシニア・ペスティスのτ複合体を生成するこの大規模生育においては、細菌を誘導後3.5時間生育させ続けることが例外であり、1.6kgの回収重量を与えた。質の制御の結果は、接種時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち10を示し、回収時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち0を示した。−20℃において保存されていたTris−蔗糖中の凍結した細胞(35g)の1:1懸濁液70gを、溶解することにより、最大活性を含むが最少量の混在蛋白質を残すコア複合体の最大量を沈殿させるのに最適な硫酸アンモニウムの最大量を決定した。この溶解は実施例4.5に記載されたとおりであった。FrIを各15mlの7サンプルに分割して、20%、30%、40%、50%、60%及び70%と標記した。各サンプル中の蛋白質を、量を変えた硫酸アンモニウムを添加することにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの濃度はそれぞれ4℃において20%、30%、40%、50%、60%及び70%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。上清を各サンプルから除去して、結果生じる沈殿物をバッファー(25mM Hepes(pH7.5),5mM EDTA,10%グリセロール、5mM DTT,100mM NaCl)に懸濁し、各(6)硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルに関してFrIIを生じた。上清及び別々のFr IIの両方からのサンプルの濃度を図39に示す。
実施例35.クランプ負荷複合体の精製
エルシニア・ペスティスのτ複合体が大腸菌のコア及びβを刺激することができるか否かを決定するため、実施例4.6に記載されたとおりに、硫酸アンモニウム沈殿させた蛋白質FrIIの各々からのエルシニア・ペスティスのτ複合体を大腸菌再構成アッセイにて滴定するアッセイを実施した。再構成アッセイ(25μl)は、1μlの大腸菌コア(3x106ユニット/mg,4mg/ml)、1μlの大腸菌β(1.7x106ユニット/mg,1mg/ml)及び19μlのRNAプライムされたM13Gori鋳型を含んだ。これに対してエルシニア・ペスティスのτ複合体を含む様々な希釈のFr II(AS沈殿蛋白質)2μlを加えた。硫酸アンモニウムカットの各々に関する活性の全量を図40に示す。30%硫酸アンモニウム沈殿からのFr IIが混在蛋白質を最も低い濃度で含みながら最大の活性量を与えたので、τ複合体の精製に使用した。
エルシニア・ペスティスのτ複合体が大腸菌のコア及びβを刺激することができるか否かを決定するため、実施例4.6に記載されたとおりに、硫酸アンモニウム沈殿させた蛋白質FrIIの各々からのエルシニア・ペスティスのτ複合体を大腸菌再構成アッセイにて滴定するアッセイを実施した。再構成アッセイ(25μl)は、1μlの大腸菌コア(3x106ユニット/mg,4mg/ml)、1μlの大腸菌β(1.7x106ユニット/mg,1mg/ml)及び19μlのRNAプライムされたM13Gori鋳型を含んだ。これに対してエルシニア・ペスティスのτ複合体を含む様々な希釈のFr II(AS沈殿蛋白質)2μlを加えた。硫酸アンモニウムカットの各々に関する活性の全量を図40に示す。30%硫酸アンモニウム沈殿からのFr IIが混在蛋白質を最も低い濃度で含みながら最大の活性量を与えたので、τ複合体の精製に使用した。
エルシニア・ペスティスのτ複合体を精製するため、400gの細胞を溶解してFr Iを実施例4.5の通りに形成させ、そして1650mlのFrI溶解物をもたらした。サンプル中の蛋白質を勾配硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの最終濃度は4℃において30%であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。蛋白質沈殿物をTG.51バッファー中に懸濁して、TG.51/50mM NaClバッファー中で平衡化されたDEAEクロマトグラフィーカラム(300ml,5cm x 15cm)の伝導性まで希釈した(4800ml,Fr II)。サンプルをDEAEカラム上に負荷し(4.0ml/分)、5カラム容量のTG.51/50mM NaClバッファーで洗浄して、50−400mMのNaCl勾配を含む10カラム容量のTG.51バッファーにより溶出した。フラクション(120)が回収され、各25mlを含んだ。蛋白質はフラクション6−20と30−50の間の二つの主要なピークに溶出した。活性はフラクション12−17の第1ピーク内に包含される単一ピークに含まれた(140ml)。これらのフラクションをプールして、SDS−ポリアクリルアミドゲル分析したところ、上記活性ピークはエルシニア・ペスティスのτ複合体を含み、全蛋白質の約70%をなしたことが示された。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において60%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で凍結させ、そして−80℃に保存した。
エルシニア・ペスティスのτを含む蛋白質沈殿物をイミダゾールバッファー中に溶解して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、NaClを含まないイミダゾールバッファーを用いて、イミダゾールバッファープラス50mMNaCl内で平衡化したヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー(150ml,5cm x 9cm)の伝導性まで希釈した(365ml)。このサンプルをFr IIとした。サンプルをヒドロキシルアパタイトカラムに負荷して(2.5ml/分)、2.5カラム容量のイミダゾールバッファー/プラス10mMKPO4で洗浄して、10カラム容量の10−150のKPO4勾配を含むイミダゾールバッファーで溶出した。フラクション(60)を各々25mlを含むように回収した。蛋白質はフラクション15と50の間の一つのピークに溶出した。活性は広いピーク内に包含される単一ピークに含まれた。フラクション36−45をプールして(190ml)、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動したところ、エルシニア・ペスティスのτ複合体の蛋白質がプール中の全蛋白質の約90%を構成したことを示した。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において50%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で凍結させ、そして−80℃に保存した。
エルシニア・ペスティスのτ複合体を含む蛋白質沈殿物を6mlのHG.05バッファー(25mM HEPES,(pH7.5),50mMKCl,10%グリセロール、5mM DTT及び1mM EDTA)中に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrIVとした(7.0ml)。サンプルを、HG.05バッファー平衡化したセファクリル(登録商標)S−200(アマシャムファルマシアバイオテック)クロマトグラフィーカラム(250ml,1:20比)に負荷した。上記手法は、樹脂の上から樹脂ベッドの下までバッファーを走らせることを含み、サンプルを樹脂ベッド上までゆっくりとピペッティングし、サンプルを樹脂の上に吸い上げ、2mlのバッファーをゆっくりと樹脂の上部に加え、樹脂の中に吸い上げた。ランニングバッファーを次に樹脂の上部に加え、そして溶出を続けた。蛋白質は0.24ml/分の流速にて溶出し、2.5mlフラクションを回収した。フラクション22−34(32ml)が負荷した活性の全てを含んだので、プールした(FrV)。Fr Vを等分にして、−80℃に保存し、そしてエルシニア・ペスティスのτ複合体のストックサプライを表す。精製プロセスの各工程において、エルシニア・ペスティスのτ複合体の精製度をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。各精製工程に関してのプールされた蛋白質のサマリーゲルを図41に示す。
Fr V中の蛋白質バンドの濃度計スキャンは、コア中のτ,δ/δ’及びχ/Ψの比がそれぞれ3:1:1であることを示す。これは、3つのτサブユニットと一つの各δ、δ’、χ及びΨのサブユニットを示す。蛋白質の濃度及び活性も各精製工程に関して特性決定した(表IV)。
実施例36.再構成アッセイにおけるエルシニア・ペスティスのホロ酵素成分の最適化
化学化合物のライブラリーをスクリーニングするための再構成アッセイにおいて使用されるエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素の3つの成分の最適濃度を決定するために、各成分を、他の2つの成分を一定濃度に保ちながらアッセイにおいて個別に滴定した。再構成アッセイの一般手法は実施例4.5に記載されている。第1セットの実験において、一定濃度に保たれた成分は、個々の成分の精製の間に実施されたアッセイから測定された飽和濃度に近似した濃度であった。飽和量のβ2、コア(α、ε及びθ)及びτ複合体(τ3,δ,δ’,χ及びΨ)は、反応あたり2.5,0.5及び0.7pmolであると予測した。最初の反応は、β2、コア及びτ複合体がそれぞれ0.03,0.1及び0.07pmolにおいて最適活性に達した。
化学化合物のライブラリーをスクリーニングするための再構成アッセイにおいて使用されるエルシニア・ペスティスのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素の3つの成分の最適濃度を決定するために、各成分を、他の2つの成分を一定濃度に保ちながらアッセイにおいて個別に滴定した。再構成アッセイの一般手法は実施例4.5に記載されている。第1セットの実験において、一定濃度に保たれた成分は、個々の成分の精製の間に実施されたアッセイから測定された飽和濃度に近似した濃度であった。飽和量のβ2、コア(α、ε及びθ)及びτ複合体(τ3,δ,δ’,χ及びΨ)は、反応あたり2.5,0.5及び0.7pmolであると予測した。最初の反応は、β2、コア及びτ複合体がそれぞれ0.03,0.1及び0.07pmolにおいて最適活性に達した。
第2セットの実験においては、一定濃度にした2つの成分を第1セットの実験において最大活性を有すると決定された濃度にして、第3成分の濃度を変えた。このセットの実験においては、β2、コア及びτ複合体に関して最大活性を与える最少濃度が、それぞれ0.03,0.1及び0.12pmolであった。再構成アッセイにおける上記3つの成分のこれらの濃度は、直線応答範囲のちょうど上である(図42A−C)。よって、スクリーンされた化学化合物の影響のために3つのエルシニア・ペスティスのpolIIIホロ酵素成分の活性の如何なる阻害も即座に検出することができる。
アクセサリー蛋白質
実施例37.SSBサブユニット蛋白質をコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスの分子クローニング
最初の計画は、エルシニア・ペスティスのゲノミックDNAからのssb遺伝子(SSB)にPCRを行って、それをpA1−CB−NcoIに挿入することを内含した。SSBサブユニットは、183アミノ酸からなる。SSBをコードする遺伝子はssbであり、549ntからなる。ssbのヌクレオチド配列は配列番号:53により表される。Argをコードするコドン#4は大腸菌において使用頻度が低いコドンである。これはPCR反応において高い使用頻度のコドンに変更した。最初の4つのコドンの配列は、ATGGCCAGCAGA(配列番号:119)からATGGCCAGCCGC(配列番号:120)に変更した。SSBのアミノ酸配列は、配列番号:55により表される。エルシニア・ペスティスのゲノミックDNAからssb遺伝子をPCRするため、フォワード/センスプライマーは:
実施例37.SSBサブユニット蛋白質をコードする遺伝子であるエルシニア・ペスティスの分子クローニング
最初の計画は、エルシニア・ペスティスのゲノミックDNAからのssb遺伝子(SSB)にPCRを行って、それをpA1−CB−NcoIに挿入することを内含した。SSBサブユニットは、183アミノ酸からなる。SSBをコードする遺伝子はssbであり、549ntからなる。ssbのヌクレオチド配列は配列番号:53により表される。Argをコードするコドン#4は大腸菌において使用頻度が低いコドンである。これはPCR反応において高い使用頻度のコドンに変更した。最初の4つのコドンの配列は、ATGGCCAGCAGA(配列番号:119)からATGGCCAGCCGC(配列番号:120)に変更した。SSBのアミノ酸配列は、配列番号:55により表される。エルシニア・ペスティスのゲノミックDNAからssb遺伝子をPCRするため、フォワード/センスプライマーは:
であった。5’末端は制限酵素による有効な消化を可能にするためのクランプ領域である(大文字)。次に、小文字のイタリック文字により示されるNcoI制限部位である。NcoI制限部位はssb遺伝子の5’末端の最初の4ntとオーバーラップする(太字)。コドン#4には、極めて使用頻度の低いコドンがあり、ここでは変更した。最初の4つのコドン(12nts)を太字で示すが、コドン#4の修飾がssb遺伝子に対応しないからである。次に22ntsはコドン#5から開始するssb遺伝子の5’末端の(に対応する)センス鎖をなし、下線大文字で示される。コドン#4の変更は14位から始まる配列を創製し、即ちGCCGCGGCであり、二次構造を形成することができるが、プライマーの基質に対するアニーリングには影響しなかった。リバース/アンチセンスプライマーは:
であった。プライマーの5’末端には、制限酵素により有効な消化を可能にさせるクランプ領域(GATC)がある。次に、小文字のイタリック文字により示されるSpeI制限部位である。これに、追加の(第2の)非相補性停止コドン(小文字太字)が続く。第2の停止コドンは、天然の停止コドンに隣接する。ssb遺伝子の3’末端と相補な18nts(停止コドンを含む)を大文字の下線文字で示す。ssb遺伝子をpA1−CB−NcoIに挿入した。pA1−CB−NcoIのポリクローナル領域を図31に示す。
PCR産物とプラスミドpA1−CB−NcoIの両方をNcoI/SpeI制限酵素により消化した。ssb遺伝子を含むPCR産物の断片を、消化したpA1−CB−NcoIプラスミドに挿入した。これは、RBSの下流に最適に距離設定してssb遺伝子を配置した。このプラスミドをpA1−YP−ssbと命名して、図43において描写により示す。
37.1.ssbの発現
図43に示したプラスミド、pA1−YP−ssbの構築を完了した。全ての遺伝子の完全な配列は、DNA配列決定により確認した。当該プラスミドにより大腸菌のAP1.L1株を形質転換して、実施例4.1に記載されるとおりに発現させた。ミニゲルを、実施例4.1に記載されたとおりに、発現された蛋白質を分析して、クマジーブルーで染色した。SSB(19.3kDa)に対応する分子量の蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質バンドが別々の蛋白質バンドとして検出できたが、非誘導対照においては観察されなかった。
図43に示したプラスミド、pA1−YP−ssbの構築を完了した。全ての遺伝子の完全な配列は、DNA配列決定により確認した。当該プラスミドにより大腸菌のAP1.L1株を形質転換して、実施例4.1に記載されるとおりに発現させた。ミニゲルを、実施例4.1に記載されたとおりに、発現された蛋白質を分析して、クマジーブルーで染色した。SSB(19.3kDa)に対応する分子量の蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質バンドが別々の蛋白質バンドとして検出できたが、非誘導対照においては観察されなかった。
37.2.エルシニア・ペスティスのSSBの大規模な生育と精製
実施例10に記載されたとおりに、エルシニア・ペスティスのSSBの最適化発現のための時間生育の分析を実施した。pA1−YP−ssbを含む大腸菌に関してのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された生育最適化の結果を図44に示す。これら3つの時間生育実験において、エルシニア・ペスティスのSSBは低レベルで発現された。
実施例10に記載されたとおりに、エルシニア・ペスティスのSSBの最適化発現のための時間生育の分析を実施した。pA1−YP−ssbを含む大腸菌に関してのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された生育最適化の結果を図44に示す。これら3つの時間生育実験において、エルシニア・ペスティスのSSBは低レベルで発現された。
pA1−YP−ssbを含む大腸菌の大規模な生育は、実施例4.4に記載されたとおりであった。例外は、エルシニア・ペスティスのτ複合体を生成するためのこの大規模な生育においては、細菌を誘導後3時間生育させ続けて2.0kgの回収重量を得たことである。質の制御の結果は、接種時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち10を示し、誘導時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち10を示し、そして回収時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち10を示した。−20℃において保存されていたTris−蔗糖中の凍結した細胞(35g)の1:1懸濁液70gを、溶解することにより、最大活性を含むが最少量の混在蛋白質を残すコア複合体の最大量を沈殿させるのに最適な硫酸アンモニウムの最大量を決定した。この溶解は実施例4.5に記載されたとおりであった。FrIを各15mlの7サンプルに分割して、30%、35%、40%、45%、50%及び55%と標記した。各サンプル中の蛋白質を、量を変えた硫酸アンモニウムを添加することにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの濃度はそれぞれ4℃において30%、35%、40%、45%、50%及び55%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。上清を各サンプルから除去して、結果生じる沈殿物をバッファー(25mM Hepes(pH7.5),5mM EDTA,10%グリセロール、5mM DTT,100mM NaCl)に懸濁し、各(6)硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルに関してFrIIを生じた。上清及び別々のFr IIの両方からのサンプルの濃度を図45に示す。
懸濁した蛋白質沈殿物を含むサンプル(Fr II)をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によっても分析して、結果を図45に示す。
エルシニア・ペスティスのSSBを精製するため、エルシニア・ペスティスのSSBを含む600gの細胞を溶解してFrIを実施例4.5の通りに形成させ、そして2380mlのFr I溶解物をもたらした。サンプル中の蛋白質を勾配硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの最終濃度は4℃において30%であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。蛋白質沈殿物をTG.52バッファー(50mM Tris−HCl,(pH7.5),20%グリセロール、1mMEDTA,5mM DTT)中に懸濁して、TG.52/100mM NaClバッファー中で平衡化されたDEAEクロマトグラフィーカラム(800ml,5cm x 38cm)の伝導性まで希釈した(100ml,Fr II)。サンプルをDEAEカラム上に負荷し(1ml/分)、濃度を増加させてNaClを含むTG.52バッファーで洗浄することにより、段階様式にて溶出した。カラムを、最初に1カラム容量のTG.52/0.1MNaClバッファーにより洗浄した(5ml/分)。2番目に、カラムを、3カラム容量のTG.52/0.5M NaClバッファーにより洗浄した(5ml/分)。3番目に、カラムを、2カラム容量のTG.52/1M NaClバッファーにより洗浄した(1.5ml/分)。この点において、25mlのフラクション(全部で130)を最終溶出工程を通して回収した。カラムを、1カラム容量のTG.52/2MNaClバッファーにより洗浄した(5ml/分)。最後に、カラムを、3カラム容量のTG.52/4M NaClバッファーにより溶出した。蛋白質は、全ての全域において大きなピークにて溶出した。エルシニア・ペスティスのSSBは、フラクション85−130に包含される単一ピークに溶出した。SDS−ポリアクリルアミドゲル分析したところ、上記活性ピークはエルシニア・ペスティスのSSBは95%を超えて均質であったことが示された。
エルシニア・ペスティスのSSBを、イミダゾールバッファー(50mMイミダゾール、(pH6.8),10%グリセロール、50mMNaCl,5.0mM DTT)により平衡化されたヒドロキシルアパタイトカラム(40ml,2.5x 8cm)上に直接負荷して(1.5ml/分)、2カラム容量のイミダゾールバッファーを用いて洗浄し、そして、5カラム容量の70mMのKPO4を含むイミダゾールバッファーで溶出した。蛋白質はフラクション11−22の間の単一ピークに溶出した(FrIV,36ml)。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において50%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で素早く凍結させ、そして−80℃に保存した。
蛋白質沈殿物を、3mlのTG.52バッファー中に懸濁して、HG.05バッファー平衡化したセファクリル(登録商標)S−200(アマシャムファルマシアバイオテック)クロマトグラフィーカラム(250ml,1:25比)に負荷した。上記手法は、樹脂の上から樹脂ベッドの下までバッファーを走らせることを含み、サンプルを樹脂ベッド上までゆっくりとピペッティングし、サンプルを樹脂の上に吸い上げ、2mlのバッファーをゆっくりと樹脂の上部に加え、樹脂の中に吸い上げた。ランニングバッファーを次に樹脂の上部に加え、そして溶出を続けた。蛋白質は0.2ml/分の流速にて溶出し、1mlフラクションを回収した。フラクション47−57(11ml)が負荷した活性の全てを含んだので、プールした(FrV)。Fr Vを等分にして、−80℃に保存し、そしてエルシニア・ペスティスのSSBのストックサプライを表す。精製プロセスの各工程において、エルシニア・ペスティスのSSBの精製度をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。各精製工程に関してのプールされた蛋白質のサマリーゲルを図47に示す。
蛋白質の濃度も各精製工程において特性決定した(表V)。
実施例38.DnaGをコードする遺伝子であるdnaGの分子クローニング
第2の計画は、エルシニア・ペスティスのゲノミックDNAからdnaG遺伝子(DnaGプライマーゼ)にPCRを行って、それをpA1−CB−NcoIに挿入することを内含した。DnaGサブユニットは、583アミノ酸からなる。dnaG遺伝子1749ntからなる。dnaGのnt配列は配列番号:58により表される。コドン#3と4は大腸菌において使用頻度が低いコドンであり、PCR反応において高い使用頻度のコドンに変更した。最初の4つのコドンの天然の配列は、ATGGCTGGACGA(配列番号:61)であり、これを、PCR反応においてATGGCTGGTCGT(配列番号:62)に変更した。修飾されたコドンに下線を引く。DnaGのアミノ酸配列は、配列番号:60により表される。フォワード/センスプライマーは:
第2の計画は、エルシニア・ペスティスのゲノミックDNAからdnaG遺伝子(DnaGプライマーゼ)にPCRを行って、それをpA1−CB−NcoIに挿入することを内含した。DnaGサブユニットは、583アミノ酸からなる。dnaG遺伝子1749ntからなる。dnaGのnt配列は配列番号:58により表される。コドン#3と4は大腸菌において使用頻度が低いコドンであり、PCR反応において高い使用頻度のコドンに変更した。最初の4つのコドンの天然の配列は、ATGGCTGGACGA(配列番号:61)であり、これを、PCR反応においてATGGCTGGTCGT(配列番号:62)に変更した。修飾されたコドンに下線を引く。DnaGのアミノ酸配列は、配列番号:60により表される。フォワード/センスプライマーは:
であった。5’末端は制限酵素による有効な消化を可能にするためのクランプ領域である(大文字)。次に、小文字のイタリック文字により示されるNcoI制限部位である。ATG開始コドンから始まるdnaG遺伝子の5’末端の最初の4ntsは、NcoI制限部位とオーバーラップする。修飾されたコドン#3と4を含むdnaG遺伝子の5’末端の最初の4つのコドン大文字のイタリック文字により示す。コドン#5から開始するdnaG遺伝子の5’末端に対応する22ntsを下線の大文字により示す。リバース/アンチセンスプライマーは:
であった。プライマーの5’末端には、制限酵素により有効な消化を可能にさせるクランプ領域(GATC)がある。これに続くのはSpeI制限部位であり、小文字のイタリック文字により示される。次に、追加の停止コドン(小文字、太字)があり、天然の停止コドンに隣接する。最後に、天然停止コドンを含むdnaGの3’末端に相補であり、下線の大文字として示す。PCR産物とプラスミドpA1−CB−NcoIの両方を、NcoI/SpeI制限酵素により消化した。dnaG遺伝子を含むPCR産物の断片を、消化したpA1−CB−NcoIプラスミドに挿入した。これは、RBSの下流に最適に距離を取ってdnaG遺伝子を配置した。このプラスミドをpA1−YP−ssbと命名して、図50において描写により示す。
38.1.DnaGの発現
図50に示すプラスミド、pA1−YP−dnaGの構築を全ての遺伝子の完全な配列は、DNA配列決定により確認した。
図50に示すプラスミド、pA1−YP−dnaGの構築を全ての遺伝子の完全な配列は、DNA配列決定により確認した。
当該プラスミドにより大腸菌のAP1.L1株を形質転換して、実施例4.1に記載されるとおりに発現させた。細胞蛋白質を分析して、DnaG(65.6kDa)に対応する分子量の蛋白質に関して予測された部位に移動する蛋白質バンドが別々の蛋白質バンドとして検出できたが、非誘導対照においては観察されなかった。
38.2.エルシニア・ペスティスのDnaGの大規模な生育と精製
実施例10に記載されたとおりに、エルシニア・ペスティスのDnaGの最適化発現のための時間生育の分析を実施した。pA1−YP−dnaGを含む大腸菌に関してのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された生育最適化の結果を図48に示す。このゲル中で、エルシニア・ペスティスのDnaGは全細胞蛋白質の約5%発現された。
実施例10に記載されたとおりに、エルシニア・ペスティスのDnaGの最適化発現のための時間生育の分析を実施した。pA1−YP−dnaGを含む大腸菌に関してのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析された生育最適化の結果を図48に示す。このゲル中で、エルシニア・ペスティスのDnaGは全細胞蛋白質の約5%発現された。
pA1−YP−dnaGを含む大腸菌の大規模な生育は、実施例4.4に記載されたとおりであったが、エルシニア・ペスティスのDnaGを生成するためのこの大規模な生育において細菌を誘導後3時間生育させ続けて2.0kgの回収重量を得たことが例外である。質の制御の結果は、接種時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち10を示し、誘導時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち10を示し、そして回収時にアンピシリン含有培地上の10の陽性コロニーのうち9を示した。−20℃において保存されていたTris−蔗糖中の凍結した細胞(30g細胞)の1:1懸濁液60gを、溶解することにより、最大活性を含むが最少量の混在蛋白質を残すコア複合体の最大量を沈殿させるのに最適な硫酸アンモニウムの最大量を決定した。この溶解は実施例4.5に記載されたとおりであった。FrIを各20mlの6サンプルに分割して、30%、35%、40%、45%、50%及び60%と標記した。各サンプル中の蛋白質を、量を変えた硫酸アンモニウムを添加することにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの濃度はそれぞれ4℃において30%、35%、40%、45%、50%及び60%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。上清を各サンプルから除去して、結果生じる沈殿物をTG.52バッファー(50mM Tris−HCl(pH7.5),1mM EDTA,20%グリセロール、5mMDTT)に懸濁し、全部の(5)硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルに関してFr IIを生じた。上清及び別々のFrIIの両方からのサンプルの濃度を図49に示す。
(実施例4.6において記載された)エルシニア・ペスティスのDnaGが大腸菌のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素再構成アッセイからなる再構成アッセイにおいて機能できるか否かを測定するため、及びエルシニア・ペスティスのDnaGの精製において使用するための最適な硫酸アンモニウムの濃度を決定するため、別々に硫酸アンモニウム沈殿させたサンプルからのFrIIの様々な希釈を2μl、再構成アッセイにおいて試験した。再構成アッセイ(25μl)は、1:50に希釈した1μlの大腸菌コア(3x106ユニット/mg,4mg/ml)、1:50に希釈した1μlの大腸菌β(1.7x106ユニット/mg,1mg/ml)、1:100に希釈した大腸菌τ複合体(2.8x106ユニット/mg,2mg/ml)及び19μlのRNAプライムされたM13Gori鋳型を含んだ。図51に示す結果は、エルシニア・ペスティスのDnaGが事実大腸菌ホロ酵素からの他の成分と共に機能することが可能なことを示す。これらのアッセイは、最少量の混在蛋白質を含むエルシニア・ペスティスのDnaGの最大量が、45%硫酸アンモニウムにて沈殿することを示す。
45%硫酸アンモニウム沈殿させたエルシニア・ペスティスのDnaGからのサンプル及び45%硫酸アンモニウム沈殿させたエルシニア・ペスティスのssbからのサンプルを再構成アッセイにおいて滴定する平行実験を我々は実施した。これらの実験は、内因性の大腸菌DnaGが図52に示した45%硫酸アンモニウム沈殿させたエルシニア・ペスティスのDnaGの活性に寄与しないことを示す。
エルシニア・ペスティスのDnaGを精製するため、エルシニア・ペスティスのDnaGを含む400gの細胞を溶解してFrIを実施例4.5の通りに形成させ、そして1400mlのFr I溶解物をもたらした。サンプル中の蛋白質を勾配硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、硫酸アンモニウムの最終濃度は4℃において45%であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収した(23,000xg,45分、0℃)。蛋白質沈殿物をTG.51バッファー中に懸濁して、TG.51/50mM NaClバッファー中で平衡化されたP−11ホスホセルロース(ワットマン)クロマトグラフィーカラム(500ml,6cm x 26cm)の伝導性まで希釈した。サンプルをP−11ホスホセルロースDEAEカラム上に負荷し(4ml/分)、1カラム容量のTG.51/50mMNaClバッファーで洗浄して、50−450mMのNaCl勾配を含む10カラム容量のTG.51バッファーにより溶出した。フラクション(150)が回収され、各25mlを含んだ。蛋白質は、勾配の第2の2/3全域で溶出した。活性はフラクション50−80のピーク内に溶出した。フラクション60−79をプールしたところ(500ml)、カラム上に負荷された全活性の約20%を含んだ。上記フラクションのSDS−ポリアクリルアミドゲル分析は、エルシニア・ペスティスのDnaGが全蛋白質の約90%をなしたことを示す。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において50%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で素早く凍結させ、そして−80℃に保存した。この全プロセスは、次に、Fr Iから蛋白質を沈殿させる硫酸アンモニウムから第2の半分の蛋白質により繰り返した。
エルシニア・ペスティスのDnaGを含む蛋白質沈殿物を、イミダゾールバッファー(50mMイミダゾール、(pH6.8),10%グリセロール、50mMNaCl,5.0mM DTT)に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、NaClを含まないイミダゾールバッファーを用いて、イミダゾールバッファー内で平衡化したヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー(500ml,5cmx 25cm)の伝導性まで希釈した(FrIII,920ml)。サンプルをヒドロキシルアパタイトカラムに負荷して(2.5ml/分)、3カラム容量のイミダゾールバッファー/プラス10mMKPO4で洗浄して、10カラム容量の10−225のKPO4勾配を含むイミダゾールバッファーで溶出した。フラクション(200)を各々25mlを含むように回収した。蛋白質と活性は、フラクション60−110の間の一つのピークに溶出した。フラクション68−88をプールし(540ml)、カラム上に負荷された全活性の30%を含んだ。サンプル中の蛋白質を硫酸アンモニウムにより沈殿させたところ、4℃において55%飽和であった。混合物をさらに30分間4℃において撹拌して、沈殿物を遠心分離により回収し(23,000xg,45分、0℃)、液体窒素中で素早く凍結させ、そして−80℃に保存した。
エルシニア・ペスティスのDnaGを含む蛋白質沈殿物をHG.05バッファー(25mMHEPES,(pH7.5),50mM KCl,10%グリセロール、5mM DTT及び1mM EDTA)中に懸濁して、ダウンスホモジェナイザーを用いてホモジェナイズした。サンプルを遠心分離(16,000xg)により透明にして、結果のサンプルをFrIVとした(7ml,39mg/ml)。サンプルを、HG.05バッファー平衡化したセファクリル(登録商標)S−200(アマシャムファルマシアバイオテック)クロマトグラフィーカラム(250ml,1:20比)に負荷した。上記手法は、樹脂の上から樹脂ベッドの下までバッファーを走らせることを含み、サンプルを樹脂ベッド上までゆっくりとピペッティングし、サンプルを樹脂の上に吸い上げ、2mlのバッファーをゆっくりと樹脂の上部に加え、樹脂の中に吸い上げた。ランニングバッファーを次に樹脂の上部に加え、そして溶出を続けた。蛋白質は0.2ml/分の流速にて溶出し、2mlフラクションを回収した。フラクション38−46(20ml)が負荷した活性の全てを含んだので、プールした(FrV,14mg/ml)。Fr Vを等分にして、−80℃に保存し、そしてエルシニア・ペスティスのDnaGのストックサプライを表す。精製プロセスの各工程において、エルシニア・ペスティスのDnaGの精製度をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。各精製工程に関してのプールされた蛋白質のサマリーゲルを図53に示す。
蛋白質の濃度及び活性も各精製工程に関して特性決定した(表VI)。
再構成
実施例39.SSB及びDnaGを含むエルシニア・ペスティスのホロ酵素の再構成
DnaGの活性を、修飾された再構成アッセイを用いて測定した。このアッセイにおいて、0.06pmolのM13GoriDNA(計算上、500pmol全ヌクレオチド)、1.6μgのSSB、10mMの硫酸マグネシウム、200μMのATP,GTP,CTP及びUTP、48μMのdATP,dGTP,dCTP及び18μM[3H]dTTP(100cpm.pmol)を含む19μlを、1000ユニットのエルシニア・ペスティスのDnaE、14000ユニットのエルシニア・ペスティスのクランプ負荷複合体及び12000ユニットのβを含む4μlと混合した。反応は、様々な希釈のエルシニア・ペスティスのDnaGの2μlの添加により開始した。この結果を図78に示す。
実施例39.SSB及びDnaGを含むエルシニア・ペスティスのホロ酵素の再構成
DnaGの活性を、修飾された再構成アッセイを用いて測定した。このアッセイにおいて、0.06pmolのM13GoriDNA(計算上、500pmol全ヌクレオチド)、1.6μgのSSB、10mMの硫酸マグネシウム、200μMのATP,GTP,CTP及びUTP、48μMのdATP,dGTP,dCTP及び18μM[3H]dTTP(100cpm.pmol)を含む19μlを、1000ユニットのエルシニア・ペスティスのDnaE、14000ユニットのエルシニア・ペスティスのクランプ負荷複合体及び12000ユニットのβを含む4μlと混合した。反応は、様々な希釈のエルシニア・ペスティスのDnaGの2μlの添加により開始した。この結果を図78に示す。
実施例40.エルシニア・ペスティスの完全な複製ポリメラーゼ
所有するエルシニア・ペスティスの機能複製ポリメラーゼを用いて、小分子のライブラリー(コンビナトリアルケミストリーライブラリーのいくつかの供給者から得た)を高処理量フォーマットにおいてスクリーニングすることにより、エルシニア・ペスティスの複製ポリメラーゼの阻害剤を同定した。薬剤スクリーニングの最初の標的は、上記のとおり集合した成分を最小限含むことになる(polIIIコア、クランプ負荷複合体、ベータ、SSB及びDnaG)。エルシニア・ペスティスの複製ポリメラーゼの追加の成分(例えば、DnaBヘリカーゼ)は、利用可能になれば、上記スクリーニングに添加されることになる。複数の病原体からの複製システムを所有するなら、狭い範囲及び広い範囲の抗細菌薬剤を同定する方法は、複数の生物から複数の複製システムに対する平行のスクリーニングを設定することを含むことになる。重要なことに、上記複製システムが抗細菌薬剤の新規な標的を表すため、耐性機構はまだ存在しないであろう。
所有するエルシニア・ペスティスの機能複製ポリメラーゼを用いて、小分子のライブラリー(コンビナトリアルケミストリーライブラリーのいくつかの供給者から得た)を高処理量フォーマットにおいてスクリーニングすることにより、エルシニア・ペスティスの複製ポリメラーゼの阻害剤を同定した。薬剤スクリーニングの最初の標的は、上記のとおり集合した成分を最小限含むことになる(polIIIコア、クランプ負荷複合体、ベータ、SSB及びDnaG)。エルシニア・ペスティスの複製ポリメラーゼの追加の成分(例えば、DnaBヘリカーゼ)は、利用可能になれば、上記スクリーニングに添加されることになる。複数の病原体からの複製システムを所有するなら、狭い範囲及び広い範囲の抗細菌薬剤を同定する方法は、複数の生物から複数の複製システムに対する平行のスクリーニングを設定することを含むことになる。重要なことに、上記複製システムが抗細菌薬剤の新規な標的を表すため、耐性機構はまだ存在しないであろう。
実施例41.新規抗細菌薬剤のスクリーニングにおける使用のためのDNA複製乗法標的スクリーニング(商標)
DNA複製のプロセスは全ての細菌の増殖に対して中心である。これまで、市販の抗細菌剤のいずれもが、細菌中の中心的な複製を構成する酵素のいすれも標的としなかった。DNA複製が細胞プロセスはの中で最も必須であることを考えると、これは驚くべきことである。感染性生物のDNA複製装置は、よって、薬剤開発の努力に関して未探索の標的として位置しており、重要な機会を表す。複製システムは大部分においてこれまでに標的とされてこなかったが、その複雑性が薬剤スクリーニングアッセイを設定する侮りがたい技術上のバリヤーを提示するためである。さらに、個々のサブユニットの多くの活性が複製装置の他の成分との正確な対合に依存するため、単一のサブユニットを用いる標的に基づくアッセイでは通常実行できない。
DNA複製のプロセスは全ての細菌の増殖に対して中心である。これまで、市販の抗細菌剤のいずれもが、細菌中の中心的な複製を構成する酵素のいすれも標的としなかった。DNA複製が細胞プロセスはの中で最も必須であることを考えると、これは驚くべきことである。感染性生物のDNA複製装置は、よって、薬剤開発の努力に関して未探索の標的として位置しており、重要な機会を表す。複製システムは大部分においてこれまでに標的とされてこなかったが、その複雑性が薬剤スクリーニングアッセイを設定する侮りがたい技術上のバリヤーを提示するためである。さらに、個々のサブユニットの多くの活性が複製装置の他の成分との正確な対合に依存するため、単一のサブユニットを用いる標的に基づくアッセイでは通常実行できない。
細菌のDNAポリメラーゼIIIホロ酵素は、それらが触媒する複雑な反応の工程の各々の間に蛋白質−蛋白質の対合における顕著な変化を経る約10のサブユニットを含む。これらの蛋白質の全ては一緒になって機能しなければならないから、多数の別々の相互作用及び触媒事象の全てが、抗細菌作用の標的を提供して、即ち、標的として存在する多数の蛋白質を供給することになる。高処理量のスクリーニングフォーマットの蛍光に基づくアッセイが、本明細書において複製乗法(multiplicative)標的スクリーニング(商標)(MTSTM)と命名したものの基礎を提供する。この技術は、デコンボルーションのための有効な高処理量のアプローチ及び特定の標的の有効な同定も含んだ。MTS技術を利用するアッセイは、単一の標的酵素を用いたいっそう伝統的なスクリーニングアッセイに比較して十分にいっそう有効であるが、ホロ酵素を含む蛋白質の各々の活性が同時に標的にされるからである。
平行標的スクリーニングは、広い範囲及び狭い範囲の特異性により、ヒットの同定のために使用することができる。大腸菌のMTSTMが開発されて、他のグラム陰性及びグラム陽性のMTSTMシステムを再構成するためのプロセスにおいて使用されることになる。これらのアッセイは、再構成されたヒトのレプリカーゼと共に、広い範囲及び狭い範囲の能力により「ヒット」を同定し、そしてヒト(DNAポリメラーゼδ、PCNA,RFC,RPA)複製システムを阻害する障害性能力により化合物を排除するために使用されることになる。例えば、ヒトのレプリカーゼを阻害することなくグラム陰性及びグラム陽性レプリカーゼを阻害する化合物は、広い範囲の抗細菌剤に開発され得る有力な候補を提供する。この戦略は、理想的な抗細菌薬剤が適切に特異的であって正常な非病原性の植物相(flora)の排除を導かない、特定の慢性の感染の治療に有用な抗細菌剤を得るために逆戻りされ得る(即ち、グラム陰性レプリカーゼを、別のグラム陰性レプリカーゼを阻害することなく阻害する化合物を同定する)。シュードモナス・エルギノーサの複製装置を特異的に阻害する化合物は、有益な嚢胞性繊維症及び免疫−障害性(compromised)患者に対して全身投与される薬剤として有用であるべきである。
シュードモナス・エルギノーサの核酸及び蛋白質に関する実施例
pol IIIコア
実施例42.dnaE(アルファ)サブユニットをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのdnaEの分子クローニング
最近完了したシュードモナス・エルギノーサのゲノミックデータベース(Stover,etal.同じ箇所)を、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子に関して検索した。dnaE(α)サブユニットに関する遺伝子が同定されて注釈を付けられた。シュードモナス・エルギノーサと大腸菌からのDnaE蛋白質のアミノ酸配列の比較は、それらが58%同一であって、蛋白質配列の全部の長さにわたりそれらが相同であって整列化(align)されることを示す(図3)。2つのdnaE候補が同定されて、両者がクローン化されてコア蛋白質に挿入される。最初のdnaE遺伝子(dnaE#1)を最初に記載する。
pol IIIコア
実施例42.dnaE(アルファ)サブユニットをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのdnaEの分子クローニング
最近完了したシュードモナス・エルギノーサのゲノミックデータベース(Stover,etal.同じ箇所)を、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットをコードする遺伝子に関して検索した。dnaE(α)サブユニットに関する遺伝子が同定されて注釈を付けられた。シュードモナス・エルギノーサと大腸菌からのDnaE蛋白質のアミノ酸配列の比較は、それらが58%同一であって、蛋白質配列の全部の長さにわたりそれらが相同であって整列化(align)されることを示す(図3)。2つのdnaE候補が同定されて、両者がクローン化されてコア蛋白質に挿入される。最初のdnaE遺伝子(dnaE#1)を最初に記載する。
42.1.候補#1の分子クローニング
dnaE#1遺伝子は、α#1サブユニットをコードし、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAから増幅される。dnaE#1遺伝子は、次に、pA1−CB−NcoIプラスミド(pA1−CB−NcoIのポリクローナル領域は図9に示す)に挿入する。dnaE#1遺伝子は、大腸菌において使用頻度の低いコドンを何も有さない。この手法は2段階プロセスである。dnaE#1の5’半分を最初にPCR増幅して、pA1−CB−NcoIに挿入することにより、pA1−PA−dnaE#1−5’を作成する。dnaE#1の3’半分をPCR増幅して、pA1−PA−dnaE1−5’に挿入して、pA1−PA−コア#1を創製する。α#1サブユニットは、1173アミノ酸からなる。α#1をコードする遺伝子はdnaE#1であり、そして停止コドンを含んで3522ヌクレオチドからなる。dnaE#1のヌクレオチド配列は、配列番号:65により表される。α#1のアミノ酸配列は、配列番号:67により表される。dnaE#1の5’半分をPCR増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
dnaE#1遺伝子は、α#1サブユニットをコードし、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAから増幅される。dnaE#1遺伝子は、次に、pA1−CB−NcoIプラスミド(pA1−CB−NcoIのポリクローナル領域は図9に示す)に挿入する。dnaE#1遺伝子は、大腸菌において使用頻度の低いコドンを何も有さない。この手法は2段階プロセスである。dnaE#1の5’半分を最初にPCR増幅して、pA1−CB−NcoIに挿入することにより、pA1−PA−dnaE#1−5’を作成する。dnaE#1の3’半分をPCR増幅して、pA1−PA−dnaE1−5’に挿入して、pA1−PA−コア#1を創製する。α#1サブユニットは、1173アミノ酸からなる。α#1をコードする遺伝子はdnaE#1であり、そして停止コドンを含んで3522ヌクレオチドからなる。dnaE#1のヌクレオチド配列は、配列番号:65により表される。α#1のアミノ酸配列は、配列番号:67により表される。dnaE#1の5’半分をPCR増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ領域(小文字gact)があり、制限酵素による有効な消化を可能にさせる。クランプ領域に、pA1−CB−NcoIへの挿入のためのPacI制限部位が続く(大文字、イタリック文字)。PacI部位は、オペロンの構築に使用されるHindIII部位(続く大文字、イタリック文字)とオーバーラップする。これは、RBSから12ヌクレオチドの距離で下流に開始コドンを置き、9−11ヌクレオチドの最適化距離設定範囲をちょうど超える。dnaE#1遺伝子は、コアオペロンの一部になるようにデザインされるが、ちょうど上記のように最適にRBSからの距離を取って上記プラスミド中で単独で発現され得る。最後に、dnaE#1遺伝子の5’末端の最初の20ヌクレオチドに相当する20ヌクレオチドを大文字の下線により示す。
dnaE#1開始コドンの約1527ヌクレオチド下流に位置する唯一のKpnI制限部位が存在する。リバース/アンチセンスプライマーは、このKpnI制限部位のちょうど下流に選択される。1.5kbのPCR産物は、dnaE#1遺伝子の5’半分を含む。当該PCR産物をPacI/KpnI制限酵素により消化する。当該PCR断片(約1.5kb)は、次に、同じ2つの制限酵素により消化されたpA1−CB−NcoIに挿入される。この前駆体プラスミドをpA1−PA−dnaE#1−5’と命名して、図54に模式的に示す。
dnaE#1遺伝子の3’の半分をPCR増幅するため、フォワード/センスプライマーを上記の唯一のKpnL制限部位のちょうど上流の配列から選択する。これは、PCR産物のKpnIによる消化及びpA1−PA−dnaE#1−5’のKpnI部位におけるその挿入を可能にさせ、それにより、完全なdnaE#1遺伝子を再度作成する。リバース/センスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ(小文字agct)は制限酵素により有効な消化を可能にさせる。SpeI部位(大文字、イタリック文字)がクランプに続く。SpeI制限部位は、第2の非相補停止コドン(太字)の「t」とオーバーラップする。第2の非相補停止コドンは、天然の停止に隣接しており、天然停止コドンと直列にある。dnaE#1遺伝子の3’の20ヌクレオチドに相補な20ヌクレオチドを大文字のイタリックとして示す。1.5kbのPCR産物は、#1遺伝子の3’半分を含む。
PCR産物をKpnI/SpeIにより消化して、同じ2つの制限酵素により消化してあったpA1−PA−dnaE#1−5’に挿入する。これは、完全なdnaE#1遺伝子を上記プラスミド中で正確な読み枠にてあらゆるものを配置させる。このプラスミドをpA1−PA−dnaE#1と命名して、図55に模式的に示す。
42.2.候補#2の分子クローニング
ここでは、α#2サブユニットをコードするdnaE#2遺伝子を、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAから増幅する。dnaE#2遺伝子は、次に、pA1−CB−NcoIプラスミド(pA1−CB−NcoIのポリクローナル領域は上に示す)に挿入する。dnaE#2遺伝子は、大腸菌において使用頻度の低いコドン、第1コドン、をたった一つ有する。シュードモナス・エルギノーサのdnaE#2における開始コドンはGTGである。これをフォワード/センスプライマーによりATGに変更する。この手法は2段階プロセスである。dnaE#2の5’の1/3を最初にPCR増幅して、pA1−CB−NcoIに挿入することにより、pA1−PA−dnaE#2−5’を作成する。2番目に、dnaE#2の2/3を続いてPCR増幅して、pA1−PA−dnaE2−5’に挿入して、完全長のdnaE#2遺伝子を含むプラスミドを創製する。α#2サブユニットは、1031アミノ酸からなる。α#2をコードする遺伝子はdnaE#2であり、そして停止コドンを含んで3096ヌクレオチドからなる。dnaE#1のヌクレオチド配列は、配列番号:70により表される。Metをコードする第1コドンはGTGである。これは、フォワード/センスプライマーによりATGに変更される。α#2のアミノ酸配列は、配列番号:72により表される。dnaE#2の5’の1/3をPCR増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
ここでは、α#2サブユニットをコードするdnaE#2遺伝子を、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAから増幅する。dnaE#2遺伝子は、次に、pA1−CB−NcoIプラスミド(pA1−CB−NcoIのポリクローナル領域は上に示す)に挿入する。dnaE#2遺伝子は、大腸菌において使用頻度の低いコドン、第1コドン、をたった一つ有する。シュードモナス・エルギノーサのdnaE#2における開始コドンはGTGである。これをフォワード/センスプライマーによりATGに変更する。この手法は2段階プロセスである。dnaE#2の5’の1/3を最初にPCR増幅して、pA1−CB−NcoIに挿入することにより、pA1−PA−dnaE#2−5’を作成する。2番目に、dnaE#2の2/3を続いてPCR増幅して、pA1−PA−dnaE2−5’に挿入して、完全長のdnaE#2遺伝子を含むプラスミドを創製する。α#2サブユニットは、1031アミノ酸からなる。α#2をコードする遺伝子はdnaE#2であり、そして停止コドンを含んで3096ヌクレオチドからなる。dnaE#1のヌクレオチド配列は、配列番号:70により表される。Metをコードする第1コドンはGTGである。これは、フォワード/センスプライマーによりATGに変更される。α#2のアミノ酸配列は、配列番号:72により表される。dnaE#2の5’の1/3をPCR増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ領域(小文字gcta)があり、pA1−CB−NcoIへの挿入のためのPacI制限部位が続く(大文字、イタリック文字)。PacI部位は、HindIII部位(これも大文字、イタリック文字)の最初の2ヌクレオチドとオーバーラップする。HindIII制限部位は、オペロンの構築に使用される。当該制限部位に、大文字の太字で示された修飾開始コドン(GTGからATGへ)が続く。dnaE#2遺伝子の5’末端の4−23位に相当する20ヌクレオチドを大文字の下線により示す。
dnaE#2開始コドンの約800ヌクレオチド下流に位置する唯一のKpnI部位が存在する。リバース/アンチセンスプライマーとして作用するように、このKpnI制限部位のちょうど下流にプライマーを選択する。0.8kbのPCR産物は、dnaE#2遺伝子の5’の1/3を含む。
このPCR産物を、PacI/KpnI制限酵素により消化する。当該PCR断片(約0.8kb)は、次に、同じ2つの制限酵素により消化されたpA1−CB−NcoIに挿入される。この前駆体プラスミドをpA1−PA−dnaE#2−5’と命名して、図56に模式的に示す。dnaE#2遺伝子の3’の2/3をPCR増幅するため;フォワード/センスプライマーを上記の唯一のKpnL制限部位のちょうど上流の配列から選択する。これは、PCR産物のKpnIによる消化及びpA1−PA−dnaE#2−5’のKpnI部位におけるその挿入を可能にさせ、それにより、完全なdnaE#2遺伝子を再度作成する。リバース/センスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ(小文字agtc)は、制限酵素により有効な消化を可能にさせる。SpeI部位(大文字、イタリック文字)がクランプに続く。SpeI制限部位は、第2の非相補停止コドン(太字)の「t」とオーバーラップする。第2の非相補停止コドンは、天然の停止に隣接しており、天然停止コドンと直列にある。dnaE#2遺伝子の3’の23ヌクレオチドに相補な20ヌクレオチドを大文字のイタリックとして示す。2.2kbのPCR産物は、#2遺伝子の3’の2/3を含む。
PCR産物をKpnI/SpeIにより消化して、同じ2つの制限酵素により消化してあったpA1−PA−dnaE#2−5’に挿入する。これは、完全なdnaE#2遺伝子を上記プラスミド中で正確な読み枠にてあらゆるものを配置させる。このプラスミドをpA1−PA−dnaE#2と命名して、図57に模式的に示す。
42.3.大腸菌内でのdnaEの発現
シュードモナス・エルギノーサのDnaE蛋白質(αサブユニット)を、大腸菌のDnaE(Kim,D.R.and McHenry,C.S.(1996)JBiol Chem 271,20681−20689)、TthのDnaE(Bullart,etal.,同じ箇所)及びストレプトコッカス・ピオゲネスのDnaEを過剰発現させるために使用されたのと類似のベクターに挿入することにより大腸菌内で発現させる。全細胞蛋白質の1−10%の過剰発現が、これら3つのαサブユニットに関して達成された。
シュードモナス・エルギノーサのDnaE蛋白質(αサブユニット)を、大腸菌のDnaE(Kim,D.R.and McHenry,C.S.(1996)JBiol Chem 271,20681−20689)、TthのDnaE(Bullart,etal.,同じ箇所)及びストレプトコッカス・ピオゲネスのDnaEを過剰発現させるために使用されたのと類似のベクターに挿入することにより大腸菌内で発現させる。全細胞蛋白質の1−10%の過剰発現が、これら3つのαサブユニットに関して達成された。
発現ベクターは、T7のRNAポリメラーゼにより転写されるlacリプレッサー又はpET−スタイルベクターにより高度に誘導可能及び抑制可能な合成プロモーターを含むことになる(Kim,D.R.andMcHenry,C.S.(1996)J Biol Chem 271,20681−20689;Kim,D.R.and McHenry,C.S.(1996)J Biol Chem 271,20681−20689;Marians,K.J.(1995)Methodsin Enzymol 262,507−521)。シュードモナス・エルギノーサのdnaE遺伝子の一部分は、開始ATGに関して適切な位置に制限部位を置くために、PCRにより得られる。PCRにより得られた全てのDNA断片はDNA配列決定により確認されることにより、増幅法により変異が創製されなかったことを確認する。誘導後の障害性は問題にならないであろう−100mgの量の過剰発現された蛋白質は、誘導前に高密度に生育させた死細胞から日常的に精製される。しかしながら、プラスミドの損失又は変異を伴う誘導前の障害性が問題であれば別のアプローチを使用してよく、例えば、T7リゾチーム同じ発現又は如何なるT7RNAポリメラーゼもなしに細胞を生育させて、誘導前にT7 RNAポリメラーゼを発現する組換えM13ファージによる感染により上記酵素を誘導する。類似の手法が発酵機中で180lのスケールまで実施された。この蛋白質を発現させることにおいて特別な困難はないと予測されるが、高度に類似の大腸菌、サーマス・サーモフィルス及びストレプトコッカス・ピオゲネスの蛋白質が大腸菌内で発現されて精製されたからである(Kim,D.R.andMcHenry,C.S.(1996)J Biol Chem 271,20681−20689)。実施例4にて論じられた標準プロトコルのとおりに、細胞を標準の発酵機中で生育させ、誘導し、溶解し、そしてシュードモナス・エルギノーサのDnaE蛋白質を精製する(同じ箇所)。ポリメラーゼは相同な大腸菌の蛋白質と類似の特性を呈すると予測される。結果の精製された酵素は、再構成されたシュードモナス・エルギノーサの複製システムに必須の第1に発現される伸長蛋白質として作用する。DNA合成触媒活性を提供するサブユニットとして、DnaEは再構成アッセイにおいて必須の成分であるが、追加の付属蛋白質の活性を測定するために、その活性の変調が用いられるからである。
自身により発現されるシュードモナス・エルギノーサのDnaEの精製を以前の仕事に関して達成する。酵素の回収及び位置は付属因子を必要としない当業界公知の単純なアッセイを用いて監視することができる−ヌクレアーゼ活性化DNAにおける非プロセッシブなギャップフィリング(同じ箇所)。一般に、DNAポリメラーゼIIIのαサブユニットは硫酸アンモニウムに相対的に不溶性である。シュードモナス・エルギノーサのDnaEを少なくとも90%を沈殿させる最も低い濃度の硫酸アンモニウムを用いる。大腸菌蛋白質の大部分は上清中に残る。カチオン交換クロマトグラフィーはポリメラーゼの良好な精製をもたらす。それらは、ほとんどの大腸菌蛋白質がフロースルーする条件下で樹脂を結合し、ポリメラーゼは塩勾配において高い精製度で溶出される。この段階において純粋な蛋白質を得ることは期待されるが、もしも達成されないならば、活性の保存を伴って最大の精製度を達成する特別の当業界公知の追加のクロマトグラフィー工程が開発される。全蛋白質レベルは、この出願に記載されるこの精製及び他の精製においてブラッドフォード法(Bradford,M.M.(1976)AnalBiochem 72,248−254)により測定される。
実施例43.イプシロンサブユニットをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのdnaQの分子クローニング
この実施例は、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからイプシロン(ε)サブユニットをコードするdnaQ遺伝子のPCR増幅を記載する。dnaQ遺伝子は、次に、ベクターpA1−CB−NdeIに挿入される(このベクターのポリクローナル領域を図10に示す)。dnaQ遺伝子は、大腸菌における発現のために5’の使用頻度の低いコドンを有さない。εサブユニットは246のアミノ酸からなる。εをコードする遺伝子はdnaQであり、停止コドンを含んで741ヌクレオチドからなる。dnaQのヌクレオチド配列は、配列番号:75により表される。シュードモナス・エルギノーサのεのアミノ酸配列は、配列番号:77により表される。フォワード/センスプライマーは:
この実施例は、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからイプシロン(ε)サブユニットをコードするdnaQ遺伝子のPCR増幅を記載する。dnaQ遺伝子は、次に、ベクターpA1−CB−NdeIに挿入される(このベクターのポリクローナル領域を図10に示す)。dnaQ遺伝子は、大腸菌における発現のために5’の使用頻度の低いコドンを有さない。εサブユニットは246のアミノ酸からなる。εをコードする遺伝子はdnaQであり、停止コドンを含んで741ヌクレオチドからなる。dnaQのヌクレオチド配列は、配列番号:75により表される。シュードモナス・エルギノーサのεのアミノ酸配列は、配列番号:77により表される。フォワード/センスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ領域(小文字agtc)は制限酵素による有効な消化を可能にさせる。NdeI制限部位(大文字、イタリック文字、)がクランプ領域に続く。NdeI部位は、dnaQ遺伝子のATG開始コドンとオーバーラップする。続く19ヌクレオチドは、dnaQ遺伝子の5’末端の4−22のヌクレオチドに相当し、大文字で示される。dnaQ遺伝子の5’末端に相当する全てのヌクレオチドに下線を引く。リバース/アンチセンスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ領域(小文字agtc)は制限酵素により有効な消化を可能にさせる。クランプに、pA1−CB−NdeIへの挿入を可能にさせるNheI制限部位(大文字、イタリック文字)が続く。NheI制限部位に、HindIII制限部位(これも大文字、イタリック文字)が続き、コアオペロンの構築に使用される。次に、3塩基のスペーサー(小文字、太字)は、オペロンの構築のためにdnaQの下流に追加された遺伝子のための最適な距離を提供する。これは、RBSに続く(大文字、太字)。RBSに続き、天然の停止コドンに隣接して第2の非相補停止コドン(小文字、太字)が続き、2つの停止コドンを直列に提供する。最後の23ヌクレオチド(大文字、下線)は、dnaQ遺伝子の3’末端に相補である。
シュードモナス・エルギノーサのdnaQ遺伝子を、2つのプライマーを用いてPCR増幅して、NdeI/NheI制限酵素により消化する。
消化されたPCR断片を、同じ2つの制限酵素で消化してあったpA1−CB−NdeIに挿入した。これはpA1−YP−dnaQを形成する。開始コドンは、RBSの下流11ヌクレオチドであり、最適な距離設定である。pA1−PA−dnaQを図58に模式的に示す。
消化されたPCR断片を、同じ2つの制限酵素で消化してあったpA1−CB−NdeIに挿入した。これはpA1−YP−dnaQを形成する。開始コドンは、RBSの下流11ヌクレオチドであり、最適な距離設定である。pA1−PA−dnaQを図58に模式的に示す。
実施例44.オペロンクローニング
44.1.dnaX#1及びdnaQの両方を含む2遺伝子オペロンの構築
この実施例は、pA1−PA−dnaE#1からのdnaE#1遺伝子の抽出及びpA1−PA−dnaQ内のdnaQ遺伝子の下流へのその挿入を記載する。pA1−PA−dnaQの構築において、RBSとHindIII部位をdnaQ遺伝子の下流に配置することにより、オペロンの構築を可能にした。これらの成分が、このオペロンの構築において利用される。
44.1.dnaX#1及びdnaQの両方を含む2遺伝子オペロンの構築
この実施例は、pA1−PA−dnaE#1からのdnaE#1遺伝子の抽出及びpA1−PA−dnaQ内のdnaQ遺伝子の下流へのその挿入を記載する。pA1−PA−dnaQの構築において、RBSとHindIII部位をdnaQ遺伝子の下流に配置することにより、オペロンの構築を可能にした。これらの成分が、このオペロンの構築において利用される。
pA1−PA−dnaE#1からdnaE#1遺伝子を抽出するため、当該プラスミドをHindIII/SpeIにより消化する。dnaE#1遺伝子を含む断片(約3.5kb)を、次に、同じ2つの制限酵素により消化されていたpA1−PA−dnaQに挿入する。これは、dnaE#1遺伝子を、下流のRBSからの最適な距離設定で配置する。このプラスミドをpA1−PA−コア#1と命名し、図59に示す。
44.2.dnaE#1とdnaQの両方を含む2遺伝子オペロンの構築
この実施例は、pA1−PA−dnaE#2からのdnaE#2遺伝子の抽出及びpA1−PA−dnaQ内のdnaQ遺伝子の下流へのその挿入を記載する。pA1−PA−dnaQの構築において、RBSとHindIII部位をdnaQ遺伝子の下流に配置することにより、オペロンの構築を可能にした。これらの成分をここで利用する。ここでの工程は、dnaQ#2をdnaQ#1の代りに用いた以外は、pA1−PA−コア#1の構築と全く同じである。
この実施例は、pA1−PA−dnaE#2からのdnaE#2遺伝子の抽出及びpA1−PA−dnaQ内のdnaQ遺伝子の下流へのその挿入を記載する。pA1−PA−dnaQの構築において、RBSとHindIII部位をdnaQ遺伝子の下流に配置することにより、オペロンの構築を可能にした。これらの成分をここで利用する。ここでの工程は、dnaQ#2をdnaQ#1の代りに用いた以外は、pA1−PA−コア#1の構築と全く同じである。
pA1−PA−dnaE#2からdnaE#2遺伝子を抽出するため、当該プラスミドをHindIII/SpeIにより消化する。dnaE#1遺伝子を含む断片(約3kb)を、次に、同じ2つの制限酵素により消化されていたpA1−PA−dnaQに挿入する。これは、dnaE#1遺伝子を、下流のRBSからの最適な距離設定で配置する。このプラスミドをpA1−PA−コア#1と命名し、図60に示す。
ベータクランプ
実施例45.シュードモナス・エルギノーサのDnaN(ベータサブユニット)プロセッシビティー因子をコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのdnaNの分子クローニング、及びその大腸菌における発現、その精製、及びDnaEのプロセッシビティーへのその寄与の特徴
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のβサブユニットをコードするシュードモナス・エルギノーサのdnaN遺伝子の遺伝子は同定されて、注釈が付された。シュードモナス・エルギノーサ及び大腸菌由来のDnaN蛋白質のアミノ酸配列の比較は、それらが56%相同であり、蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図4)。
実施例45.シュードモナス・エルギノーサのDnaN(ベータサブユニット)プロセッシビティー因子をコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのdnaNの分子クローニング、及びその大腸菌における発現、その精製、及びDnaEのプロセッシビティーへのその寄与の特徴
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のβサブユニットをコードするシュードモナス・エルギノーサのdnaN遺伝子の遺伝子は同定されて、注釈が付された。シュードモナス・エルギノーサ及び大腸菌由来のDnaN蛋白質のアミノ酸配列の比較は、それらが56%相同であり、蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図4)。
この実施例は、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからのdnaN遺伝子(β)のPCRを用いた増幅及びそのベクターpA1−CB−NdeIへの挿入を記載する。ポリクローナル領域を包含するpA1−CB−NdeIの領域を図10に示す。βサブユニットは367アミノ酸からなる。ベータをコードする遺伝子はdnaNであり、停止コドンを含めて1104ヌクレオチド(nts)からなる。全ての計画のためのプライマーの全部が全く長くて、61ヌクレオチドまであり、ゲル精製又はHPLC精製を必要とする。dnaNのヌクレオチド配列は、配列番号:112により表される。フォワード/センスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ(小文字agct)は制限酵素の有効な消化を可能にさせる、これに、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのPacI制限部位(大文字、太字)及びリボソーム結合部位(RBS)及び開始コドンの間の最適な距離のための、二重下線を付された一つのヌクレオチド「c」が続く。次の6つのヌクレオチド(大文字イタリック)はNsiI部位を形成し、使用されない。次に6つのヌクレオチドは、dnaN遺伝子配列の最初の6ヌクレオチドでもあり、dnaN遺伝子の5’末端のヌクレオチド7−24に相当する18のヌクレオチド(大文字)が続く。dnaN遺伝子の5’末端に相当する全てのヌクレオチドに一本の下線を引く。dnaN遺伝子には大腸菌で使用頻度の低いコドンは存在しない;よって、上記プライマーは当該遺伝子の末端の5’エンドに相補である。リバース/アンチセンスプライマーは:
である。4ヌクレオチドの5’クランプ領域(小文字agct)は制限酵素の有効な消化を可能にさせる、これに、pA1−CB−NdeIへの挿入のためのSpeI制限部位(大文字、イタリック太字)が続く。次に、第2の非相補停止コドン(小文字、太字、二重下線文字)が天然停止コドンと直列にある。これに、dnaN遺伝子の3’末端に相補な23ヌクレオチドが続く。
シュードモナス・エルギノーサのdnaNのPCR産物及びプラスミドpA1−CB−NdeIの両方をPacI/SpeI制限酵素により消化する。dnaN遺伝子を含むPCR産物の断片(1.1kb)を、NdeI−SpeI消化したpA1−CB−NdeIに挿入する。これは、上流のRBSから最適に距離を離してdnaN遺伝子を配置して、図61に模式的に描写する。
精製は、大腸菌(Johanson,K.O.,Haynes,T.E.,and McHenry,C.S.(1986)J Biol Chem 261,11460−11465)、サーマス・サーモフィルスのベータ(Bullard,etal.,同じ箇所)に関して開発された成功した手法の後に設計され(modeled)、そして必要に応じてシュードモナス・エルギノーサのベータの唯一の特性のために適合される。精製手法は、シュードモナス・エルギノーサのベータを配置した定量するために直鎖状の鋳型上で機能プロセッシビティーアッセイを用いて、経験的に開発されることになる。精製されたβは、αと共に、シュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体の必須成分の精製のためのアッセイを開発するための基礎を提供する。
クランプ負荷複合体
実施例46.シュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体のシュードモナス・エルギノーサのDnaX,HolA及びHolB成分の分子クローニング及びそれらの大腸菌における発現、及びそれらの精製
DNA pol IIIホロ酵素のシュードモナス・エルギノーサのdnaX遺伝子の遺伝子がデータベース中に同定されて注釈を付けられた(Stover,etal.同じ箇所)。シュードモナス・エルギノーサ及び大腸菌からのDnaX蛋白質のアミノ酸配列の比較は、それらが45%同一であって、蛋白質配列の全部の長さにわたりそれらが整列化(align)され、蛋白質のアミノ末端領域に高い配列同一性があることを示す(図5)。
実施例46.シュードモナス・エルギノーサのDnaX複合体のシュードモナス・エルギノーサのDnaX,HolA及びHolB成分の分子クローニング及びそれらの大腸菌における発現、及びそれらの精製
DNA pol IIIホロ酵素のシュードモナス・エルギノーサのdnaX遺伝子の遺伝子がデータベース中に同定されて注釈を付けられた(Stover,etal.同じ箇所)。シュードモナス・エルギノーサ及び大腸菌からのDnaX蛋白質のアミノ酸配列の比較は、それらが45%同一であって、蛋白質配列の全部の長さにわたりそれらが整列化(align)され、蛋白質のアミノ末端領域に高い配列同一性があることを示す(図5)。
この実施例は、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからの、τサブユニットをコードするdnaX遺伝のPCR増幅を記載する。dnaX遺伝子は、次に、pA1−CB−NcoIプラスミドに挿入される(pA1−CB−NcoIのポリクローナル領域は図31に示される)。dnaX遺伝子は、大腸菌及びエルシニア・ペスティスからのdnaXのように、翻訳フレームシフト部位を有さず、よって、フレームシフト部位を含むかもしれない如何なるコーディング領域も変化させる内部変異は作動しなかった。τサブユニットは681アミノ酸からなる。DnaX(τ)をコードする遺伝子はdnaXであり、停止コドンを含めて2046ヌクレオチドからなる。dnaXのヌクレオチド配列は、配列番号:80により表される。Serコードするkdon#2は大腸菌において使用頻度の低いコドンであり、よって、フォワード/センスプライマーにより高い使用頻度のコドンに変更する。#2コドンはAGT>AGCに変化させる。DnaX(τ)のアミノ酸配列は、配列番号:82により表される。フォワード/センスプライマーは:
である。4ヌクレオチドのクランプ(小文字agta)は制限酵素による有効な消化を可能にさせる。クランプにPacI制限部位(大文字、イタリック文字)が続き、HindIII制限部位(これも大文字、イタリックにより示す)の最初の2ヌクレオチドとオーバーラップする。次に、開始コドン及び高い使用頻度のコドンに修飾されるコドン#2であり(AGT>AGC)、共に、大文字の太字の字体で示す。最後の22ヌクレオチドは、dnaX遺伝子の7−28位に相当し、大文字で下線を引いて示される。リバース/アンチセンスプライマーは:
である。4ヌクレオチドのクランプ(小文字のagtc)は制限酵素による有効な消化を可能にさせる。クランプにSpeI制限部位(大文字、イタリック文字)が続く。次に、天然停止コドンに隣接して第2の非相補停止コドン(小文字、太字)があり、直列の停止コドンを創製する。次の19ヌクレオチド(大文字、下線)は、dnaX遺伝子の最後の19ヌクレオチドに相当する。
シュードモナス・エルギノーサのdnaX遺伝子を、2つのプライマーを用いてPCR増幅して、PacI/SpeI制限酵素により消化する。消化されたPCR断片を、同じ2つの制限酵素で消化してあったpA1−CB−NcoIに挿入する。これはpA1−PA−dnaXを形成する。開始コドンは、RBSの下流12ヌクレオチドであり、最適な距離設定をたった1ヌクレオチドしか超えず、それ自身の右をうまく発現する。しかしながら、holB(δ)及びholA(δ’)の下流にてオペロンに挿入されたなら、距離設定は最適になる。pA1−PA−dnaXを図62に模式的に示す。
実施例47.HolA(デルタ)サブユニットをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのholAの分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のシュードモナス・エルギノーサのholA遺伝子は、データベースから同定されて注釈を付された(Stover,etal.,同じ箇所)。シュードモナス・エルギノーサと大腸菌由来のδサブユニットのアミノ酸配列の細菌の比較は、それらが34%同一であること及び蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図6)。シュードモナス・エルギノーサのδを、DnaEに関して記載されたのと類似の方法を用いて、PCRによりクローン化して、発現させて、そして精製する。
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のシュードモナス・エルギノーサのholA遺伝子は、データベースから同定されて注釈を付された(Stover,etal.,同じ箇所)。シュードモナス・エルギノーサと大腸菌由来のδサブユニットのアミノ酸配列の細菌の比較は、それらが34%同一であること及び蛋白質配列の全長にわたり整列化されることを示す(図6)。シュードモナス・エルギノーサのδを、DnaEに関して記載されたのと類似の方法を用いて、PCRによりクローン化して、発現させて、そして精製する。
この実施例は、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからのholA遺伝子(δサブユニット)のPCRを用いた増幅を記載する。holA遺伝子は、次にpA1−CB−NcoIプラスミドへ挿入される(pA1−CB−NcoIのポリクローナル領域は図P2に示す)。リバース/アンチセンスプライマーを用いたPCR増幅においては、RBS部位に相当する停止コドンの下流に配列を挿入するが、オペロン形成においてholA遺伝子の下流に他の遺伝子を添加するために使用することができる制限部位でもある。δサブユニットは345アミノ酸からなる。δをコードする遺伝子はholAであり、1038ヌクレオチドからなる。holAのヌクレオチド配列は、配列番号:85により表される。コドン#2,4及び5(それぞれ、Lys,Thr及びProをコードする)を二重下線により示し、それらは大腸菌において低使用頻度コドンであり、フォワード/センスプライマーにより高い使用頻度のコドンに変更される。当該変化は、コドン#2AAA>AAA,コドン#4ACT>ACC,そしてコドン#5CCC>CCGである。δのアミノ酸配列は、配列番号:87により表される。フォワード/センスプライマーは:
である。4塩基の5’クランプ(小文字agta)が存在することにより、制限酵素による有効な消化が可能になる。PacI制限部位(大文字のイタリック文字)がクランプに続き、pA1−CB−NcoIへの挿入のために使用される。これに、NheIの制限部位(大文字、太字、イタリック文字)が続く。この制限部位は、オペロンの構築に使用される。コドン#2、4及び5は、大腸菌において使用頻度の低いコドンであり、フォワード/センスプライマーにより高い使用頻度のコドンに変更される。これらのコドンは、holA遺伝子には全体として対応しておらず、それらは小文字の太字により示される。最後に、最後の20ヌクレオチド(大文字、下線)は、holA遺伝子のヌクレオチド16−35に相当する。リバース/アンチセンスプライマーは、
である。4塩基の5’クランプ(小文字agta)が存在することにより、制限酵素による有効な消化が可能になる。SpeI制限部位(大文字のイタリック文字)がクランプに続き、pA1−CB−NcoIへの挿入を可能にする。SpeI制限部位に3つのヌクレオチドのスペーサー(小文字、イタリック文字)が続き、オペロンの構築の間にSpeIとHindIIIの両方の制限酵素消化のためのクランプ領域として機能する。HindIII制限部位(大文字、太字)が続く。HindIII制限部位に、3つのヌクレオチドスペーサーが続き(小文字、太字)、オペロン構築の間のRBS(大文字、太字)と下流の遺伝子の間の最適な距離設定を提供する。RBSに、第2の停止コドンが続き、天然の停止コドンに隣接して、直列に2つの停止コドンが並ぶ。最後の20ヌクレオチドはholA遺伝子の3’末端に相補であり、大文字で下線を引かれる。
シュードモナス・エルギノーサのholA遺伝子は、上記2つのプライマーを用いて増幅されて、PacI/SpeI制限酵素により消化される。消化されたPCR断片は、同じ制限酵素により消化されていたpA1−CB−NcoIに挿入される。これは、pA1−PA−holAを形成する。開始コドンはRBSの14ヌクレオチド下流であり、最適の距離設定を上回る。しかしながら、オペロンに挿入されたら、距離設定は最適になる。また、リバース/アンチセンスプライマーは、オペロン構築において使用される下流のRBS及び制限部位を加える。新たに構築されたpA1−PA−holAプラスミドを図63に模式的に示す。
実施例48.HolB(デルタプライム)サブユニットをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのholBの分子クローニング
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のシュードモナス・エルギノーサのholBの遺伝子は、データベースから同定されて注釈を付けられた(Stover,同じ箇所)。シュードモナス・エルギノーサ及び大腸菌由来のδ’サブユニットのアミノ酸配列の比較は、それらが31%同一であって、蛋白質配列の全長にわたり相同性であり整列化されることを示す(図6)。
DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のシュードモナス・エルギノーサのholBの遺伝子は、データベースから同定されて注釈を付けられた(Stover,同じ箇所)。シュードモナス・エルギノーサ及び大腸菌由来のδ’サブユニットのアミノ酸配列の比較は、それらが31%同一であって、蛋白質配列の全長にわたり相同性であり整列化されることを示す(図6)。
シュードモナス・エルギノーサのδ’サブユニットを、dnaEに関して記載されたのと類似の方法を用いて、PCRにより増幅して、発現させ、そして精製する。
この計画において、δ’サブユニットをコードするholB遺伝子を、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAから増幅する。holB遺伝子をpA1−CB−NcoIへ挿入する。PCR産物中には、RBS部位に相当する停止コドンの下流へリバース/アンチセンスプラスミドにより配列が挿入されるが、オペロン形成においてholB遺伝子の下流に他の遺伝子を添加するために使用することができる制限部位でもある。ポリクローナル領域を包含するpA1−CB−NcoIの領域を図2に示す。δ’サブユニットは328アミノ酸からなる。δ’をコードする遺伝子はholBであり、停止コドンを含めて987ヌクレオチドからなる。holBのヌクレオチド配列は、配列番号:90により表される。δ’のアミノ酸配列は、配列番号:92により表される。フォワード/センスプライマーは:
この計画において、δ’サブユニットをコードするholB遺伝子を、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAから増幅する。holB遺伝子をpA1−CB−NcoIへ挿入する。PCR産物中には、RBS部位に相当する停止コドンの下流へリバース/アンチセンスプラスミドにより配列が挿入されるが、オペロン形成においてholB遺伝子の下流に他の遺伝子を添加するために使用することができる制限部位でもある。ポリクローナル領域を包含するpA1−CB−NcoIの領域を図2に示す。δ’サブユニットは328アミノ酸からなる。δ’をコードする遺伝子はholBであり、停止コドンを含めて987ヌクレオチドからなる。holBのヌクレオチド配列は、配列番号:90により表される。δ’のアミノ酸配列は、配列番号:92により表される。フォワード/センスプライマーは:
である。4塩基の5’クランプ(小文字agtc)が存在することにより、制限酵素による有効な消化が可能になる。NcoIの制限部位(大文字のイタリック文字)がクランプに続く。NcoI制限部位はholB遺伝子の5’末端の最初の4(4)ヌクレオチドとオーバーラップする。これは、開始コドンのRBSからの最適な距離設定を提供する。holB遺伝子の5’末端に相当するヌクレオチドに下線を引く。大腸菌において使用頻度の低いコドンはholBの5’末端には無い;よって、当該遺伝子の5’末端に相補なプライマーを使用した。リバース/アンチセンスプライマーは、
である。4塩基の5’クランプ(小文字agtt)が存在し、pA1−CB−NcoIへの挿入のためのSpeI制限部位(大文字のイタリック文字)が続く。次に、オペロン構築において制限酵素による有効な消化のための3つのヌクレオチドのスペーサー(二重下線文字)が続く。当該スペーサーの次に、オペロンの構築において次のRBS(大文字、太字)と下流遺伝子の開始コドンの間の最適な距離設定を提供するための別の3ヌクレオチドのスペーサー(小文字、二重下線文字)が続く。RBSに、非相補な第2の停止コドン(小文字)が続き、天然の停止コドンに直列になる。これに、holB遺伝子の3’末端に相補な22ヌクレオチドが続くholB遺伝子の3’末端に相補なプライマーの領域に一本の下線を引く。
シュードモナス・エルギノーサのholB遺伝子産物とプライマーpA1−CB−NcoIの両方を、NcoI/SpeI制限酵素により消化する。holB遺伝子を含むPCR産物の断片を、NcoI/SpeIで消化したpA1−CB−NcoIに挿入する。これは、上流のRBSから最適に距離をおいてholB遺伝子を配置する。また、オペロン構築において遺伝子を挿入させることを可能にさせるRBSと配列を、リバース/アンチセンスプライマーによりholB遺伝子の下流に配置した。このプライマーをpA1−PA−hoBと命名して、図64に模式的に示す。
実施例49.HolC(カイ)サブユニットをコードするシュードモナス・エルギノーサのholCの分子クローニング
holC(χ)をタグを付加した蛋白質として発現させる。χはN末端及びC末端の両方のタグを伴って発現させる。また、χをコードする遺伝子holCを2つの異なるベクターに挿入する。最初に、holCを、N末端又はC末端タグを含む正常な発現ベクターに入れて操作することにより、これらのベクターから抽出されて広いホストレンジのベクター内に入れることができるようになる。
holC(χ)をタグを付加した蛋白質として発現させる。χはN末端及びC末端の両方のタグを伴って発現させる。また、χをコードする遺伝子holCを2つの異なるベクターに挿入する。最初に、holCを、N末端又はC末端タグを含む正常な発現ベクターに入れて操作することにより、これらのベクターから抽出されて広いホストレンジのベクター内に入れることができるようになる。
49.1.N末端タグを含むベクターの構築
この最初の方法においては、χがN末端タグを付加した蛋白質として発現されるようにデザインした。ここでは、χサブユニットをコードするシュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNA由来のholC遺伝子を増幅するPCRを記載する。holC遺伝子を、次に、pA1−NB−KpnIプラスミドに挿入した(pA1−NB−KpnIのポリクローナル領域は図65に示す)。χサブユニットは142のアミノ酸からなる。χをコードする遺伝子はholCであり、そして停止コドンを含めて429ヌクレオチドからなる。holCのヌクレオチド配列は配列番号:95により表される。コドン#1及び3(それぞれ、MetとArgをコードする)を二重下線で示し、そしてそれらは大腸菌において使用頻度の低いコドンであり、フォワード/センスプライマーにより高い使用頻度のコドンに変更される。当該変異は、コドン#1GTG>ATG,コドン#2CGG>CGCである。第1のベクターにおいては、holCをコドン#2から始まるN末端タグを付加した蛋白質としてクローン化して、開始コドンを削除する。会のアミノ酸配列は配列番号:97である。フォワード/センスプライマーは:
この最初の方法においては、χがN末端タグを付加した蛋白質として発現されるようにデザインした。ここでは、χサブユニットをコードするシュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNA由来のholC遺伝子を増幅するPCRを記載する。holC遺伝子を、次に、pA1−NB−KpnIプラスミドに挿入した(pA1−NB−KpnIのポリクローナル領域は図65に示す)。χサブユニットは142のアミノ酸からなる。χをコードする遺伝子はholCであり、そして停止コドンを含めて429ヌクレオチドからなる。holCのヌクレオチド配列は配列番号:95により表される。コドン#1及び3(それぞれ、MetとArgをコードする)を二重下線で示し、そしてそれらは大腸菌において使用頻度の低いコドンであり、フォワード/センスプライマーにより高い使用頻度のコドンに変更される。当該変異は、コドン#1GTG>ATG,コドン#2CGG>CGCである。第1のベクターにおいては、holCをコドン#2から始まるN末端タグを付加した蛋白質としてクローン化して、開始コドンを削除する。会のアミノ酸配列は配列番号:97である。フォワード/センスプライマーは:
である。4塩基の5’クランプ(小文字gatc)が存在し、制限酵素による有効な消化を可能にさせる。クランプにNsiI制限部位が続く(大文字、イタリック文字)。このNsiI制限部位は上記遺伝子をpA1−NB−KpnIへ挿入するために使用される。次に、コドン#2及び#3があるが、holCのコドン#2及び#3には対応しておらず、コドン#3がCGGからCGCに修飾されるからである。最後の22ヌクレオチドはholCの10−31位に対応し、下線の大文字で示される。リバース/センスプライマーは:
である。4塩基の5’クランプ(小文字gcat)が存在し、制限酵素による有効な消化を可能にさせる。クランプに、pA1−NB−KpnIへの挿入のためのSpeI制限部位が続く(大文字、イタリック文字)。SpeI部位に隣接して、SacI制限部位(これも大文字のイタリック文字)があり、N−末端タグを付したholCを広いホストレンジのベクターに挿入するための切断及び糊付けの反応(消化及び連結)において使用される。次は、天然の停止コドンに隣接するように第2の非相補停止コドンである(小文字、太字)。最後の20ヌクレオチド(大文字、下線文字)は、シュードモナス・エルギノーサのholC遺伝子の3’末端に相補であり、上記2つのプライマーを用いてPCR増幅された。
PCR産物はNsiI/SpeIにより消化して、holC遺伝子を含む断片(約0.5kb)をpA1−NB−KpnIに挿入した。pA1−NB−KpnIのポリクローナル領域の中にはNsiI部位が存在するが、この部位はholCの挿入のために使用された。代りに、pA1−NB−KpnIをPstI/SpeIで消化した。上記プラスミドの消化されたPstI制限部位及びPCR産物のNsiI部位を共にアニールさせて、両部位が上記反応により破壊されたにも拘わらず連結した。これは、コドン#2をN−末端タグと同じフレームに配置させ、そしてN−末端タグを付した蛋白質としてholCが発現されることを可能にした。PCR反応においてPstI部位を使用しなかった理由は、holC遺伝子中に内部のPstIが存在するからである。この連結した蛋白質を図66に示す。
PstIとNsiIが共に絡み合う領域を太字の下線で示す。PstIA制限部位の配列のCTGCATの最初の5ヌクレオチドとNsiI制限部位のATGCATの最後の5ヌクレオチドが絡み合うことにより、CTGCATを形成する。これは、PstIとNsiI制限部位の両方を破壊した。また、内部のPstI制限部位を配列の最後のラインに示す。このプラスミドをpA1−NB−PAholCと命名して、模式的な表示を図67に示す。
上記プラスミドによりDH5α細菌を形質転換して、アンピシリン耐性の陽性単離物からのプラスミドを、0.6及び5.4kbの断片を生じるNdeI及びSacI制限酵素による消化によりスクリーニングした。挿入物の両鎖の配列をDNA配列決定により確認した。配列分析は、正確な配列が、挿入された領域中に含まれたことを確証した。
RBS、N−末端タグ及びholC遺伝子を含む全領域をpA1−NB−PAholCから抽出した。これは、pA1−NB−PAholCをBamHI/SacIにより消化することにより達成した。図65に示した連結領域から、BamHI部位がN−末端領域の上流に観察でき、そしてPCR反応において、SacIがholCのちょうど下流に加えられた。RBS、N−末端タグ及びholC遺伝子を含む断片(約0.6kb)を、BamHI/SacIにり消化した広いホストレンジのベクターpUCP19に挿入した。
pUCP19に関するポリクローナル領域は、pUC19プラスミドからのポリクローナル領域と同じであり、pUCP19において反応LacZ遺伝子内にある。このプラスミドは、pBR322の複製起点とシュードモナス・エルギノーサ由来の複製起点を両方含む;これは、大腸菌及びシュードモナス・エルギノーサの両方における複製を可能にさせる。最初のプラスミドはpUC19であり、そしてシュードモナス・エルギノーサ由来の複製起点を囲む領域からの1.9kb断片(2つのシュードモナス・エルギノーサ遺伝子の一部を含んだ)をpUC19に挿入することにより、pUCP19を作成した(West,S.E.H.,etal.,(1994),Gene,128,81−86)。ポリクローナル領域を図69に示す。pUCP19プラスミドを、pA1−NB−PAholCを消化するために使用されたのと同じ制限酵素により消化した(BamHIとSacI)。pA1−NB−PAholCからのBamHI/SacI断片(0.6kb)を、消化されたpUCP19に挿入した。これは、RBS、N−末端タグ及びholC遺伝子をLacZ遺伝子内にLacZプロモーター制御下で配置させた。このプラスミド中のholC遺伝子は極めて低いレベルで発現される必要があるが、天然のholD遺伝子(Ψ)がシュードモナス・エルギノーサ細胞中では極めて低いレベルで発現されるからである。発現があまりに大きいと、アミノ酸配列決定を行うために発現されたχから十分なΨを分離することが難しくなる。pUCP−NB−PAholCと命名されたこの新規なプラスミドの模式的な表示を図70に示す。
上記プラスミドによりDH5α細菌を形質転換して、アンピシリン耐性の陽性単離物からのプラスミドを、0.6及び4.5kbの断片を生じるBamHI及びSacI制限酵素による消化によりスクリーニングした。挿入物の両鎖の配列をDNA配列決定により確認した。配列分析は、正確な配列が、挿入された領域中に含まれたことを確証した。
49.2.C末端タグを含むベクターの構築
この実施例は、シュードモナス・エルギノーサのχがC−末端タグを付した蛋白質として発現できることを示すような、ベクターのデザインを記載する。χサブユニットをコードするholC遺伝子を、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからPCR増幅する。次に、holC遺伝子をpA1−CB−NsiIプラスミドに挿入する(pA1−NB−NsiIのポリクローナル領域を図71に示す)。pA1−CB−NsiIへの挿入のためにholC遺伝子をPCR増幅するため、フォワード/アンチセンスプラスミドは:
この実施例は、シュードモナス・エルギノーサのχがC−末端タグを付した蛋白質として発現できることを示すような、ベクターのデザインを記載する。χサブユニットをコードするholC遺伝子を、シュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからPCR増幅する。次に、holC遺伝子をpA1−CB−NsiIプラスミドに挿入する(pA1−NB−NsiIのポリクローナル領域を図71に示す)。pA1−CB−NsiIへの挿入のためにholC遺伝子をPCR増幅するため、フォワード/アンチセンスプラスミドは:
である。4塩基の5’クランプ(小文字gtca)が存在し、制限酵素による有効な消化を可能にさせる。クランプにXbaI制限部位が続き(大文字、イタリック文字)、pA1−CB−NsiIへの挿入のために使用される。XbaI制限部位に続くと共に最後のヌクレオチドとオーバーラップするのは、HindIII制限部位(これも大文字、イタリック文字)であって、C末端にタグを付したholCをコードする遺伝子をpUCP19プラスミドに挿入するために使用される。次に、RBS(大文字、太字)があり、holCのpA1−CB−NsiIへの挿入により除去されたものを置き換える。3つのヌクレオチドのスペーサー、次にNheI制限部位がRBSに続く。当該スペーサーとNheI制限部位の両者は、RBSとholCの開始コドンの間に最適な距離を提供するスペーサーとして作用する。次に、holC遺伝子の5’末端の最初の3つのコドンがある(大文字、太字)。それらは下線を付されないが、コドン#1と#3が大腸菌における使用頻度のために修飾されたからである(コドン#1はGTGからATGに変更し、そしてコドン#3はCGGからCGCに変更し、それぞれMetとArgをコードする)。最後の22ヌクレオチドはholCの10−31位に対応し、下線の大文字で示される。リバース/センスプライマーは:
である。4塩基の5’クランプ(小文字gact)が存在し、制限酵素による有効な消化を可能にさせる。停止コドンは除去されて、終わりから2番目のコドンがSpeI制限部位に隣接するようになり、holC遺伝子からのオープンリーディングフレームをC末端タグ配列内に維持することになる。これは、χタンパク質がC末端にタグを付された蛋白質として発現されるのを可能にする。最後の20ヌクレオチドは、holC遺伝子の3’末端に相補であるが、停止コドンまでであって停止コドンを含まない。PCR産物はXbaI/SpeIにより消化して(約0.5kb)、同じ制限酵素により消化されていたpA1−CB−NsiIに挿入した。pA1−CB−NsiIをXbaI/SpeIにより消化するときは、RBSとポリクローナル領域を含むXbaI制限部位とSpeIの制限部位の間の領域を除去する。フォワード/アンチセンスプライマーは、前で除去されたRBSを、holC開始コドンから正確に距離をおいた新規なRBSで置き換える。C−末端にタグを付した配列は、SpeIとSalI制限部位の間に位置する。SpeI制限部位と同じリーディングフレームに挿入された遺伝子はC末端タグと同じリーディングフレームになる。消化したPCR産物のpA1−CB−NsiIへの挿入はpA1−CB−PAholCの形成をもたらし、図72に模式的に示される。記載されたとおりの正確な配列がDNA配列決定により確認された。
次の工程において、RBS,holC遺伝子及びC−末端タグ配列を含む全領域をpA1−CB−PAholCから抽出する。これは、pA1−NB−PAholCをHindIII/SalIにより消化することにより達成した。図69に示したpUCP19のポリクローナル領域から、HindIII部位がSalI制限部位の上流に観察できる。RBS,holC(約0.6kb)及びC−末端タグ配列を含む断片を、HindIII/SalIにり消化した広いホストレンジのベクターpUCP19に挿入した。このプライマーにおいて、シュードモナス・エルギノーサのholC遺伝子はLacZ遺伝子内にあるが、異なるリーディングフレーム中である。これはpUCP−CB−PAholCをもたらし、図73において模式的に示される。holC遺伝子はそれ自身のRBSを有することになるから、特定のパーセンテージのこの蛋白質が発現され、そしてLacZ遺伝子がholC遺伝子の開始をリードスルーするなら、数コドン下流で停止することになる。これは、pUCP19−CB−PAholCとpUCP19−NB−PAholCの両者に関して真実である。holD(Ψ)の同一性が知られたなら、holC/holDオペロンが製造されて、次に、pA1−PA−BAXと連結されることにより、クランプ負荷オペロンが作成される。
オペロンクローニング
実施例50.holBとholAの両者を含む2遺伝子オペロンの構築
δ’(holB)とδ(holA)の両方を含む仮のオペロンを、pA1−PA−holA中のholA遺伝子を、pA1−PA−holBの中のholB遺伝子の後ろに(下流に)挿入することにより、構築する。これは、pA1−PA−holBとpA1−PA−holAの両方をNheI/SpeIにより消化することにより達成される。holAを含むpA1−PA−holAからの断片(約1kb)を、次に、消化されたpA1−PA−holBに挿入する。これは、holBの下流にholA遺伝子を配置し、そしてholBの下流に以前に置かれたRBSの下流に最適に配置された。これは、リバース/アンチセンスプライマーにより創製されたRBSを、holA遺伝子の下流のpA1−PA−holAの構築において、及びオペロン構築において別の下流の遺伝子の付加のための位置に配置させる。この2遺伝子オペロンをpA1−PA−holBAと命名して、図74に示す。
実施例50.holBとholAの両者を含む2遺伝子オペロンの構築
δ’(holB)とδ(holA)の両方を含む仮のオペロンを、pA1−PA−holA中のholA遺伝子を、pA1−PA−holBの中のholB遺伝子の後ろに(下流に)挿入することにより、構築する。これは、pA1−PA−holBとpA1−PA−holAの両方をNheI/SpeIにより消化することにより達成される。holAを含むpA1−PA−holAからの断片(約1kb)を、次に、消化されたpA1−PA−holBに挿入する。これは、holBの下流にholA遺伝子を配置し、そしてholBの下流に以前に置かれたRBSの下流に最適に配置された。これは、リバース/アンチセンスプライマーにより創製されたRBSを、holA遺伝子の下流のpA1−PA−holAの構築において、及びオペロン構築において別の下流の遺伝子の付加のための位置に配置させる。この2遺伝子オペロンをpA1−PA−holBAと命名して、図74に示す。
実施例51.holB、holA及びdnaXを含む3遺伝子オペロンの構築
δ’、δ及びDnaX(τ)をコードする遺伝子を含むオペロンを構築するため、pA1−PA−dnaX及びpA1−PA−holBAの両方をHindIII/SpeI制限酵素により消化する。dnaX遺伝子を含むpA1−PA−dnaXの断片(約2kb)を、消化下pA1−PA−holBAプライマーに挿入することにより、図77に示すpA1−PA−BAXを生成する。これは、holA遺伝子の下流にシュードモナス・エルギノーサのdnaX遺伝子を配置し、そしてpA1−PA−holAの構築においてholA遺伝子の下流に配置されたRBSの下流に最適に距離をおく。これは、δ’、δ及びDnaX(τ)が全て3遺伝子オペロンとして発現されることを可能にさせる。この3遺伝子オペロンはholC/holDオペロンの下流に結果として位置する。しかしながら、このオペロン中の3つの遺伝子全てはそれら各々のRBSから全てが最適に距離をおくように発現する。
δ’、δ及びDnaX(τ)をコードする遺伝子を含むオペロンを構築するため、pA1−PA−dnaX及びpA1−PA−holBAの両方をHindIII/SpeI制限酵素により消化する。dnaX遺伝子を含むpA1−PA−dnaXの断片(約2kb)を、消化下pA1−PA−holBAプライマーに挿入することにより、図77に示すpA1−PA−BAXを生成する。これは、holA遺伝子の下流にシュードモナス・エルギノーサのdnaX遺伝子を配置し、そしてpA1−PA−holAの構築においてholA遺伝子の下流に配置されたRBSの下流に最適に距離をおく。これは、δ’、δ及びDnaX(τ)が全て3遺伝子オペロンとして発現されることを可能にさせる。この3遺伝子オペロンはholC/holDオペロンの下流に結果として位置する。しかしながら、このオペロン中の3つの遺伝子全てはそれら各々のRBSから全てが最適に距離をおくように発現する。
実施例52.シュードモナス・エルギノーサのDnaX(τ),HolA(δ)及びHolB(δ’)蛋白質の精製
シュードモナス・エルギノーサのDnaX(τ),HolA(δ)及びHolB(δ’)蛋白質を、それらの精製を監視するための再構成アッセイを用いて精製する。複雑であるが、これらの手法は平凡であり、大腸菌、サーマス・サーモフィルス及びストレプトコッカス・ピオゲネスのDNA複製の研究において使用される。日常的には、余分のクマジー染色バンドがSDS−PAGEに際して観察できるように、十分なレベルの発現を得ることができる。これがこれらの研究において実現されないなら、発現は、大腸菌サブユニットに対するモノクローナル抗体を用いて証明されるかもしれない。過去においては、より進化上離れた生物のホロ酵素に対する選択された抗体を用いて、顕著な交差反応性が観察されてきた。DnaX、δ、δ’サブユニットの過剰生産者(overproducers)が手元にあるなら、細胞を溶解し、硫酸アンモニウム沈殿物を最適量の硫酸アンモニウムを用いて生成することにより、調べるサブユニットの沈殿を保証する。再溶解して、透析し、沈殿物を用いてシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素を再構成させることにより、個々のサブユニットの精製を指示する定量性の機能アッセイの基礎を提供する。
シュードモナス・エルギノーサのDnaX(τ),HolA(δ)及びHolB(δ’)蛋白質を、それらの精製を監視するための再構成アッセイを用いて精製する。複雑であるが、これらの手法は平凡であり、大腸菌、サーマス・サーモフィルス及びストレプトコッカス・ピオゲネスのDNA複製の研究において使用される。日常的には、余分のクマジー染色バンドがSDS−PAGEに際して観察できるように、十分なレベルの発現を得ることができる。これがこれらの研究において実現されないなら、発現は、大腸菌サブユニットに対するモノクローナル抗体を用いて証明されるかもしれない。過去においては、より進化上離れた生物のホロ酵素に対する選択された抗体を用いて、顕著な交差反応性が観察されてきた。DnaX、δ、δ’サブユニットの過剰生産者(overproducers)が手元にあるなら、細胞を溶解し、硫酸アンモニウム沈殿物を最適量の硫酸アンモニウムを用いて生成することにより、調べるサブユニットの沈殿を保証する。再溶解して、透析し、沈殿物を用いてシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素を再構成させることにより、個々のサブユニットの精製を指示する定量性の機能アッセイの基礎を提供する。
アッセイに関しては、短いDNAプライマーを一本鎖M13鋳型にアニールさせ、そしてdNTPs,ATP,Mg++,シュードモナス・エルギノーサのα(DnaE)及びシュードモナス・エルギノーサのDnaX,HolA及びHolBを過剰生産する細胞由来のレベルを変更した硫酸アンモニウムカットを加える。このアッセイは本質的には図1に記載されたのと同じであるが、但し、DNAプライマーが提供され、最初のDnaGプライマーゼ触媒プライミング工程に関する要求を回避する。再構成が達成されたなら、飽和レベルの各蛋白質又は抽出物が測定される。これが達成されたなら、シュードモナス・エルギノーサのHolA,HolB及びDnaXに関してアッセイを所有することになる。
各活性を沈殿させる最少の硫酸アンモニウム濃度を次に個別に測定する。上記アッセイにおいて粗精製HolA及びHolBを用いて、DnaXの精製を次に行う。これまで試験された全てのDnaX蛋白質によれば、カチオン交換クロマトグラフィーが高い精製度の蛋白質を生じさせる。高い精製度のDnaXを生じさせる特定の条件を測定する。もし必要であれば、ほぼ均質な蛋白質を生じさせるために、追加のクロマトグラフィー工程が開発される。高い精製度のDnaXが手元にあれば、それを、精製されたDnaE及びDnaN及び粗精製HolAと共に添加することにより、HolBの精製を指示するアッセイが提供される。
HolBは、大腸菌のHolB(δ’)及びサーマス・サーモフィルスのHolB(Bullard,et al.同じ箇所)に関しての精製法をモデルにして精製される。このサイクルが完了したら、精製されたDnaE,DnaN,DnaX及びHolBを用いて、HolAのためのアッセイが提供される。HolAは、高い精製度になるまで他の蛋白質に関して記載された論理を用いて精製される。
追加の因子が必要な場合のバックアップアプローチ。このアプローチは、多様な細菌(大腸菌、サーマス・サーモフィルス及びストレプトコッカス・ピオゲネス)並びにバクテリオファージT4及びヒト及び酵母に関して適用されて成功した。即ち、上記アプローチが成功する可能性は高い。しかしながら、3つの発現された蛋白質の結合(combination)が不成功ならば、抽出物をシュードモナス・エルギノーサ(好ましくは非病原性株)から調製することができ、変更された硫酸アンモニウムカットをアッセイに添加することにより、活性及びその結果の刺激された刺激活性を得ることができる。最初の細菌の複製システムが確立されなかった場合、このアプローチは、何れの蛋白質成分の過剰発現の前にも、細菌の複製因子の全てを分離して(resolving)、溶解及び再構成のアプローチによりそれら各々を精製することにおいて機能した(Schekman,R.,Weiner,A.andKornberg,A.(1974)Science 186,987−993)。それらの固有の活性を用いてそれらを監視するために開発されたそれらの精製法により何らかの新規な因子が得られたなら、質量分光測定法によるり容易に同定されるか又は配列決定されたシュードモナス・エルギノーサによりコードされた蛋白質との比較により容易に配列決定され得る。同定された遺伝子が発現されて、シュードモナス・エルギノーサの抽出物から開発されたアプローチを用いて対応する蛋白質が精製される。何らかの理由により、大腸菌において発現されたように最初は不活性であったなら、このアプローチは求める蛋白質の一つを生じさせることができた。他のアプローチ、例えば、安定化させる結合パートナーとも同時発現又はシュードモナス・エルギノーサ内での発現が有用かもしれない。
別のアプローチ:DnaX、HolA及びHolBの同時発現。3つの蛋白質(DnaX、HolA及びHolB)全てを別々に発現することを含む初期のアプローチが存在したが、それがもっとも信頼できると考えられるからであるが、当該初期のアプローチと併行して「ショートカット」も意図される。大腸菌においては、DnaX、HolA及びHolBは相乗的に相互作用して、単離可能な複合体を形成する。大腸菌のDnaXの遺伝子複合体は同時発現することができ、そして全ての蛋白質の複合体を単一精製にて単離することができる。シュードモナス・エルギノーサのDnaX、HolA及びHolBは人工のオペロン中で結合されて、一つの完全なものとして精製できる単離可能な複合体が形成されるか否かが決定される。精製は、ちょうど大腸菌システムにおけるように、DnaE及びDnaNによる再構成アッセイにより監視される(Pritchard,A.,Dallmann,G.,Glover,B.,andMcHenry,C.(2000)EMBO J 19,6536−6545;Pritchard,A.E.,Dallmann,H.G.,and McHenry,C.S.(1996)J Biol Ch10291−10298)。もし成功するなら、このアプローチは、精製されたシュードモナス・エルギノーサのレプリカーゼの再構成を、精製された蛋白質を用いて、進行及び促進させることを大きくはかどらせるはずである。
アクセサリー蛋白質
実施例53.DnaG(プライマーゼ)をコードするシュードモナス・エルギノーサのdnaGの分子クローニング
この実施例は、DnaGプライマーゼをコードするdnaG遺伝子をシュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからPCR増幅することを記載する。dnaG遺伝子は、次に、pA1−CB−NdeIプラスミド(pA1−CB−NdeIのポリクローナル領域を図31に示す)に挿入される。dnaG遺伝子は大腸菌における発現に関して低い使用頻度のコドンを5’に何も有さない。DnaGプライマーゼは664アミノ酸からなる。DnaGプライマーゼをコードする遺伝子はdnaGであり、停止コドンを含めて1995ヌクレオチドからなる。dnaGのヌクレオチド配列は(配列番号:102)により表される。DnaGのアミノ酸配列は、配列番号:104により表される。dnaG遺伝子を増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
実施例53.DnaG(プライマーゼ)をコードするシュードモナス・エルギノーサのdnaGの分子クローニング
この実施例は、DnaGプライマーゼをコードするdnaG遺伝子をシュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからPCR増幅することを記載する。dnaG遺伝子は、次に、pA1−CB−NdeIプラスミド(pA1−CB−NdeIのポリクローナル領域を図31に示す)に挿入される。dnaG遺伝子は大腸菌における発現に関して低い使用頻度のコドンを5’に何も有さない。DnaGプライマーゼは664アミノ酸からなる。DnaGプライマーゼをコードする遺伝子はdnaGであり、停止コドンを含めて1995ヌクレオチドからなる。dnaGのヌクレオチド配列は(配列番号:102)により表される。DnaGのアミノ酸配列は、配列番号:104により表される。dnaG遺伝子を増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
である。制限酵素による有効な消化を可能にさせる4ヌクレオチドの5’クランプ(小文字gact)が存在する。クランプに、NdeI制限部位(大文字、イタリック文字)が続き、RBSからの最適な距離をおいてpA1−CB−NdeIへの挿入を可能にさせる。NdeI制限部位はdnaG遺伝子の「atg」開始コドンとオーバーラップする。次の19ヌクレオチドはdnaG遺伝子の5’末端の4−22位に相当し、大文字に下線で示される。リバース/アンチセンスプライマーは:
である。制限酵素による有効な消化を可能にさせる4ヌクレオチドの5’クランプ(小文字gact)が存在する。クランプに、SpeI制限部位(大文字、イタリック文字)が続き、pA1−CB−NdeIへの挿入を可能にさせる。次に、第2の非相補の停止コドンがあり、天然の停止コドンに隣接する。最後の22ヌクレオチドはdnaG遺伝子の3’末端に相補であり、大文字に下線で示される。PCR産物をNdeI/SpeI制限酵素により消化する。dnaG遺伝子(2.0kb)を含む断片を同じ2つの制限酵素により消化してあったpA1−CB−NdeIに挿入する。これはpA1−PA−dnaGをもたらし、完全長のシュードモナス・エルギノーサのdnaGを含み、そして天然蛋白質として発現される。pA1−PA−dnaGを図75において模式的に示す。
実施例54.SSBをコードする遺伝子であるシュードモナス・エルギノーサのssbの分子クローニング
この実施例は、SSBプライマーゼをコードするssb遺伝子をシュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからPCR増幅することを記載する。dnaG遺伝子は、次に、pA1−CB−NdeIプラスミド(pA1−CB−NdeIのポリクローナル領域を図31に示す)に挿入される。ssb遺伝子は大腸菌における発現に関して低い使用頻度のコドンを5’に何も有さない。SSB蛋白質は165アミノ酸からなる。SSB蛋白質をコードする遺伝子はssbであり、停止コドンを含めて498ヌクレオチドからなる。ssbのヌクレオチド配列は配列番号:107により表される。SSBのアミノ酸配列は、配列番号:109により表される。ssb遺伝子を増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
この実施例は、SSBプライマーゼをコードするssb遺伝子をシュードモナス・エルギノーサのゲノミックDNAからPCR増幅することを記載する。dnaG遺伝子は、次に、pA1−CB−NdeIプラスミド(pA1−CB−NdeIのポリクローナル領域を図31に示す)に挿入される。ssb遺伝子は大腸菌における発現に関して低い使用頻度のコドンを5’に何も有さない。SSB蛋白質は165アミノ酸からなる。SSB蛋白質をコードする遺伝子はssbであり、停止コドンを含めて498ヌクレオチドからなる。ssbのヌクレオチド配列は配列番号:107により表される。SSBのアミノ酸配列は、配列番号:109により表される。ssb遺伝子を増幅するため、フォワード/センスプライマーは:
である。制限酵素による有効な消化を可能にさせる4ヌクレオチドの5’クランプ(小文字gatc)が存在する。クランプに、NcoI制限部位(大文字、イタリック文字)が続き、RBSからの最適な距離をおいてpA1−CB−NcoIへの挿入を可能にさせる。NcoI制限部位はssb遺伝子の5’末端の最初の4ヌクレオチドとオーバーラップする。次の17ヌクレオチドはssb遺伝子の5’末端の5−21位に相当する。ssb遺伝子の5’末端に相当する全ヌクレオチドを大文字の下線で示す。リバース/アンチセンスプライマーは:
である。制限酵素による有効な消化を可能にさせる4ヌクレオチドの5’クランプ(小文字gact)が存在する。クランプに、SpeI制限部位(大文字、イタリック文字)が続き、pA1−CB−NdeIへの挿入を可能にさせる。次に、第2の非相補の停止コドンがあり、天然の停止コドンに隣接する(小文字、太字)。最後の24ヌクレオチドはssb遺伝子の3’末端に相補である。PCR産物をNcoI/SpeI制限酵素により消化する。ssb遺伝子(0.5kb)を含む断片を同じ2つの制限酵素により消化してあったpA1−CB−NcoIに挿入する。これはpA1−PA−ssbをもたらし、完全長のシュードモナス・エルギノーサのssbを含み、そして天然蛋白質として発現される。pA1−PA−ssbを図76において模式的に示す。
再構成
実施例55.α、β、DnaX、δ及びδ’サブユニットからなるシュードモナス・エルギノーサ由来の最少DNA Pol IIIホロ酵素の再構成及びアッセイの複製乗法標的スクリーニング(商標)への適合
シュードモナス・エルギノーサのレプリカーゼの必須のサブユニットの最少集合体は、DNAの迅速かつプロセッシブな合成を許容する。これまで研究された全ての細菌のレプリカーゼにおいて、最少の機能性ホロ酵素は3つの成分:1)ポリメラーゼコア、2)クランプ付加集合体、及び3)スライディングクランププロセッシビティー因子からなる。大腸菌において、最少ホロ酵素は、αサブユニット、DnaX−δδ’クランプ付加複合体及びβサブユニットからなる。同じ成分が、グラム陽性のストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)(Bruck& Donnell、同じ箇所)及びサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Bullard,et al.,同じ箇所)の機能性DnaXPol IIIホロ酵素に最小限必要である。距離的に関連する生物間のこの要求の一般性を仮定すれば、シュードモナス・エルギノーサのα、β、DnaX、δ及びδ’が最小限必要な蛋白質のみであろうことが予測される。DnaX複合体に関して存在するバックアップアプローチは、それらが最小限必要とされるありそうもない事象において、追加の蛋白質を提供するのに利用され得る。
実施例55.α、β、DnaX、δ及びδ’サブユニットからなるシュードモナス・エルギノーサ由来の最少DNA Pol IIIホロ酵素の再構成及びアッセイの複製乗法標的スクリーニング(商標)への適合
シュードモナス・エルギノーサのレプリカーゼの必須のサブユニットの最少集合体は、DNAの迅速かつプロセッシブな合成を許容する。これまで研究された全ての細菌のレプリカーゼにおいて、最少の機能性ホロ酵素は3つの成分:1)ポリメラーゼコア、2)クランプ付加集合体、及び3)スライディングクランププロセッシビティー因子からなる。大腸菌において、最少ホロ酵素は、αサブユニット、DnaX−δδ’クランプ付加複合体及びβサブユニットからなる。同じ成分が、グラム陽性のストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)(Bruck& Donnell、同じ箇所)及びサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Bullard,et al.,同じ箇所)の機能性DnaXPol IIIホロ酵素に最小限必要である。距離的に関連する生物間のこの要求の一般性を仮定すれば、シュードモナス・エルギノーサのα、β、DnaX、δ及びδ’が最小限必要な蛋白質のみであろうことが予測される。DnaX複合体に関して存在するバックアップアプローチは、それらが最小限必要とされるありそうもない事象において、追加の蛋白質を提供するのに利用され得る。
再構成アプローチにより精製された必須のシュードモナス・エルギノーサのDnaXポリメラーゼIIIホロ酵素サブユニットの利用可能性により、蛍光に基づいた複製乗法標的スクリーニング(商標)アッセイが、提供された新規な標的に対する高処理量スクリーニングを可能にさせるように適合される。これは、標的による「ヒット」との相互作用に際して阻害が観察されるようにかろうじて制限するまで、各成分を滴定することにより行われる。バッファーの条件は、マルチプレートスクリーニングプロセスの間に、別の冷蔵コンテナーに保存された酵素混合物の安定性を保証するように最適化もされる。アッセイの時間と温度は安定な直線応答を保証するように再度最適化される。最初のアッセイに関しては、DNAプライマーをM13サークルにアニールさせ、最初の酵素触媒によるプライミング工程に関する要求を回避する(図1)。この達成は、より完全なシュードモナス・エルギノーサ複製システムを集合させること可能性を確立し、そしてシュードモナス・エルギノーサの複製ポリメラーゼの阻害剤を同定するための高処理量のフォーマットにおいて小分子のライブラリー(コンビナトリアルケミストリーライブラリーのいくつかの供給者から得た)をスクリーニングする基礎を提供する。
実施例56.シュードモナス・エルギノーサの完全複製システム
(i)DnaQ(DnaEと結合していると予測される3’→5’プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ)、(ii)HolC(Ψサブユニット)、HolD(χサブユニット)及びSSB(ホロ酵素のDNAに対する追加の物理的及び機能的リンクを提供し、複製を、特に生理学上のイオン強度において促進させ)(図7、8)、(iii)M13GoriのG4起点を直接認識してプライマーを合成するかもしれないDnaGプライマーゼ(図8)及び(iv)DnaBレプリカーゼ(大腸菌に対する類似性によれば、DnaGがG4起点を直接認識できないならば、DnaBが、一本鎖DNAを認識し、DnaGプライマーゼと相互作用し、そして「バックアップ」アプローチを提供するプライマー合成を可能にするべきである)(図8)をさらに発現させて精製することにより、シュードモナス・エルギノーサ由来の、より完全な複製システムを提供することが可能になる。
(i)DnaQ(DnaEと結合していると予測される3’→5’プルーフリーディングエキソヌクレアーゼ)、(ii)HolC(Ψサブユニット)、HolD(χサブユニット)及びSSB(ホロ酵素のDNAに対する追加の物理的及び機能的リンクを提供し、複製を、特に生理学上のイオン強度において促進させ)(図7、8)、(iii)M13GoriのG4起点を直接認識してプライマーを合成するかもしれないDnaGプライマーゼ(図8)及び(iv)DnaBレプリカーゼ(大腸菌に対する類似性によれば、DnaGがG4起点を直接認識できないならば、DnaBが、一本鎖DNAを認識し、DnaGプライマーゼと相互作用し、そして「バックアップ」アプローチを提供するプライマー合成を可能にするべきである)(図8)をさらに発現させて精製することにより、シュードモナス・エルギノーサ由来の、より完全な複製システムを提供することが可能になる。
この点において、小分子のライブラリーコンビナトリアルケミストリーライブラリーのいくつかの供給者から得た)が、シュードモナス・エルギノーサの複製ポリメラーゼの阻害剤を同定するための高処理量フォーマットにおいてスクリーニングされる。手元にある複数の病原体由来の複製システムにより、狭い範囲及び広い範囲両方の抗細菌剤を同定する方法は、複数の生物からの複製システムに対して平行なスクリーニングを設定することを含むことになる。重要なのは、複製システムが抗細菌薬剤のための新規な標的を表すため、耐性の機構がまだ存在しない。
Claims (12)
- DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調させる化合物をスクリーニングする方法であって、
a)レプリカーゼ活性に関して許容する条件下で少なくとも一つの試験化合物に単離されたレプリカーゼを接触させ;
b)試験化合物の存在下でレプリカーゼの活性を評価し;そして
c)試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物の不在下でのレプリカーゼの活性と比較するが、その際、試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性における変化が、レプリカーゼの活性を変調させる化合物の指標であり、
レプリカーゼが単離されたシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質である、方法。 - DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調する化合物を同定する方法であって、
a)DNA分子、DNAポリメラーゼαサブユニット、候補化合物、dNTPsの混合物、及び任意に、βサブユニット、τ複合体、及びβサブユニットとτサブユニットの両方の複合体からなる群から選択されるメンバーを含む反応混合物を形成することによりレプリカーゼを形成させ;
b)候補化合物の不在下で核酸の重合を達成するのに有効な条件に反応混合物を供し;
c)試験化合物存在下でのレプリカーゼの活性を試験化合物不在下でのレプリカーゼの活性を比較するが、その際、試験化合物存在下でのレプリカーゼの活性の変化がレプリカーゼの活性を変調する化合物の指標であり、
但し、上記レプリカーゼは単離されたシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む、方法。 - DNAポリメラーゼレプリカーゼを刺激することにおいてDnaX複合体とβサブユニットの活性を変調させる化合物を同定する方法であって、
a)プライムされたDNA(SSBでコートされていてよい)を、DNAポリメラーゼレプリカーゼ、βサブユニット、及びDnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)と、候補薬剤、及びdNTPs(又は修飾されたdNTPs)の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させ;
b)上記反応混合物を、候補薬剤の不在下で、核酸重合を達成するのに有効な条件に供し;そして
c)試験化合物の存在下での核酸の重合を試験化合物の不在下での核酸の重合と比較し、その際、試験化合物存在下での核酸重合の変化がDnaX複合体とβサブユニットの活性を変調する化合物の指標であり、但し、DnaX複合体とβサブユニットはシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む、方法。 - βサブユニットとDnaX複合体が相互作用能力を変調させる化合物を同定する方法であって、
a)βサブユニットを、及びDnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)と上記化合物の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させ;
b)DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)とβサブユニットがと上記化合物の不在下で相互作用する条件に、上記反応混合物を供し;そして
c)試験化合物の存在下での相互作用の程度と試験化合物の不在下での相互作用の程度を比較し、その際、βサブユニットとDnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)の間の相互作用の変化が相互作用を変調する化合物の指標であり、
但し、DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む、方法。 - DNA分子上でDnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)がβサブユニットと集合する能力を変調させる化合物を同定する方法であって、
a)環状のプライムされたDNA(SSBでコートされていてよい)を、DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)及びβサブユニットと、上記化合物、及びATP及又はdATPの存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させ;
b)上記反応混合物を、DnaX複合体(又は亜集合体)が上記化合物の不在下でDnaX分子上でべサブユニットと集合する条件に供し;そして
c)試験化合物の存在下での集合の程度を試験化合物の不在下での集合の程度と比較し、その際、DnaX分子上のβサブユニットの量の変化が、DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)がβサブユニットとDNA分子上で集合する能力を変調する化合物の指標であり、
但し、DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む、方法。 - DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)がβサブユニットをDNA分子から解離する能力を変調させる化合物を同定する方法であって、
a)βサブユニットが集合していたDNA分子を、上記化合物の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させ;
b)上記反応混合物を、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)が上記化合物の不在下でDNA分子からβサブユニットを解離する条件に供し;そして
c)試験化合物の存在下での集合の程度を試験化合物の不在下での集合の程度と比較し、その際、DnaX分子上のβサブユニットの量の変化が、DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)がβサブユニットをDNA分子から解離する能力を変調する化合物の指標であり、
但し、DnaX複合体(DnaX複合体の亜集合体)はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む、方法。 - DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニット(例えば、τサブユニット)のdATP/ATP結合活性を変調させる化合物を同定する方法であって、
a)DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット)を、dATP/ATPと、DnaX分子の存在又は不在下及び/又は上記化合物の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させ;
b)上記反応混合物を、DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット又は亜集合体)がdATP/ATPと上記化合物の不在下で相互作用する条件に供し;そして
c)試験化合物の存在下での結合の程度を試験化合物の不在下での結合の程度と比較し、その際、dATP/ATP結合の変化が、DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニット(例えば、τサブユニット)のdATP/ATP結合活性を変調する化合物の指標であり、
但し、DnaX複合体(DnaX複合体のサブユニット)はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む、方法。 - DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニットのdATP/ATPase活性を変調させる化合物を同定する方法であって、
a)DnaX複合体(又はDnaX複合体のサブユニット)を、dATP/ATPと、DnaX分子の存在又は不在下及び/又は上記化合物の存在下で接触させることにより、反応混合物を形成させ;
b)上記反応混合物を、DnaXサブユニット(又は複合体)がdATP/ATPを上記化合物の不在下で加水分解する条件に供し;そして
c)試験化合物の存在下での加水分解の程度を試験化合物の不在下での加水分解の程度と比較し、その際、加水分解されたdATP/ATP結合の量の変化が、DnaX複合体又はDnaX複合体サブユニット(例えば、τサブユニット)のdATP/ATPase活性を変調する化合物の指標であり、
但し、DnaX複合体(又はサブユニット)はシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質を含む、方法。 - DNAポリメラーゼIIIレプリカーゼの活性を変調させる化合物を 同定する方法であって、
a)任意にSSBでコートされている環状のプライムされたDNA分子を、DnaX複合体、βサブユニット及びαサブユニットと、上記化合物及びdNTPs(又は修飾されたdNTPs)の存在下で接触させることにより反応混合物を形成させ;
b)反応混合物を、上記化合物の不在下で、核酸重合に影響する条件に供し;そして c)試験化合物存在下での核酸重合を、試験化合物不在下での核酸重合と比較するが、その際、試験化合物の存在下でのレプリカーゼの活性の変化が、レプリカーゼの活性を変調させる化合物の指標であり、
DnaX複合体がシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質である、方法。 - δサブユニットとδ’及び/又はDnaXサブユニットが相互作用する能力を変調させる化合物を同定する方法であって、
a)δサブユニットをδ’及び/又はδ’プラスDnaXサブユニットと上記化合物の存在下で接触させることにより反応混合物を形成させ;
b)反応混合物を、δサブユニットとδ’及び/又はδ’プラスDnaXサブユニットが上記化合物の不在下で相互作用するはずの条件に供し;そして
c)試験化合物存在下での相互作用の程度を、試験化合物不在下での相互作用の程度と比較し、その際、δサブユニットとδ’及び/又はδ’プラスDnaXサブユニットの間の相互作用の変化が、相互作用を変調させる化合物の指標であり、
但し、DnaXサブユニットがシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIのサブユニット蛋白質である、方法。 - 単離されたシュードモナス・エルギノーサのDNAポリメラーゼIIIサブユニット蛋白質が、
a)配列番号:65、配列番号:70、配列番号:75、配列番号:80、配列番号:85、配列番号:90、配列番号:95、配列番号:102、配列番号:107、及び配列番号:112;及び
b)a)の蛋白質の相同体を含む蛋白質であって、但し、当該相同体は一つ又は複数のアミノ酸の欠失、置換又は挿入を含む蛋白質をコードし、そして上記蛋白質は細菌複製アッセイにおいて天然サブユニット蛋白質の機能を果たす;及び
c)a)に記載された何れの核酸分子にも完全に相補な単離された細菌核酸分子からなる群から選択される核酸分子によりコードされる、請求項1、2、又は9記載の方法 - DNAポリメラーゼIIIのδサブユニット蛋白質が、
a)配列番号:80、配列番号:85、及び配列番号:90;及び
b)a)の蛋白質の相同体を含む蛋白質であって、但し、当該相同体は一つ又は複数のアミノ酸の欠失、置換又は挿入を含む蛋白質をコードし、そして上記蛋白質は細菌複製アッセイにおいて天然サブユニット蛋白質の機能を果たす;及び
c)a)に記載された何れの核酸分子にも完全に相補な単離された細菌核酸分子
からなる群から選択される核酸分子によりコードされる、請求項3、4、5、6、7、8、又は10記載の方法。
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