JP2008271785A - 脱塩素化微生物の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、塩素化有機化合物の脱塩素化能を有する微生物を複数同時に検出することができ、汚染物質の被浄化能力を簡便かつ効率的に判断できる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る脱塩素化微生物の検出方法は、塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る工程;下記式(I)で表される核酸の混合物および下記式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペアとして、核酸試料につきPCRを行うことによって、塩素化有機化合物の脱塩素化に関連する核酸を増幅する工程;および、増幅された核酸を検出する工程;を含むことを特徴とする。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係る脱塩素化微生物の検出方法は、塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る工程;下記式(I)で表される核酸の混合物および下記式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペアとして、核酸試料につきPCRを行うことによって、塩素化有機化合物の脱塩素化に関連する核酸を増幅する工程;および、増幅された核酸を検出する工程;を含むことを特徴とする。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
【選択図】なし
Description
本発明は、塩素化有機化合物の脱塩素化能を有する微生物を検出する方法、並びに当該方法で用いる核酸、および塩素化有機化合物の汚染物質における脱塩素化微生物の有無を当該方法で測定した後に、当該汚染物質を浄化する方法に関するものである。
塩素化有機化合物であるテトラクロロエチレンは、その優れた溶解能や揮発性、不燃性といった特性によって、ドライクリーニングやフロンガスの製造原料、金属部品の脱脂洗浄用途、繊維の精錬加工等に使用されてきた。その一方で、テトラクロロエチレンには動物実験により発ガン性が確認されており、また、中枢神経や肝臓・腎臓に障害を与えることなども報告されている。
同じく塩素化有機化合物であるトリクロロエチレンも、その揮発性や優れた溶解能等から、主に半導体の製造で洗浄剤として使用されているが、同じく発ガン性等の毒性を示す。
この様に、使用量が多い一方で毒性の高い塩素化有機化合物には、化学的に安定であり環境中で分解され難いという欠点もある。そこで、これまでにも吸引吸着法など様々な処理方法が検討されてきたが、近年では、より穏和な条件で安価に実施でき、省エネルギーの観点からも優れている微生物による処理(バイオレメディエーション)が注目されており、開発が行なわれている。
このバイオレメディエーションでは、処理すべき汚染土壌等の微生物分布をできる限り乱さないという観点から、汚染土壌等に元来存在する脱塩素化微生物により塩素化有機化合物を処理させるという考え方がある。しかしながら、被処理土壌等における脱塩素化微生物の有無によって、その処理結果は当然に異なる。そこで、塩素化有機化合物の汚染土壌等における脱塩素化微生物の有無を検出する方法が、種々検討されている。
例えば、特許文献1には、テトラクロロエチレンを脱塩素化微生物により脱塩素化すると、より毒性の高いcis−1,2−ジクロロエチレンやビニルクロライドが生成する場合があることに鑑みて、テトラクロロエチレンをトリクロロエチレンまで脱塩素化するタンパク質をコードするDNAと、当該DNAの有無を判断することによる脱塩素化細菌の検出方法が開示されている。
また、特許文献2には、塩素化エチレン分解細菌の16SrRNAまたはrDNAにハイブリダイズする核酸と、当該核酸を使用する塩素化エチレン分解細菌の検出方法が記載されている。また、特許文献3には、有機塩素化合物の分解関連バクテリアの16SrRNAと5SrRNAとの間の領域に、DNAプローブをハイブリダイズさせる生物活性の測定方法が記載されている。
さらに特許文献4には、脱塩素化細菌の塩素化エチレン分解遺伝子へ優先的にハイブリダイズする核酸と、当該核酸を用いた脱塩素化細菌の検出方法が開示されている。
特開2006−42815号公報(特許請求の範囲、段落0001)
特開2002−355055号公報(特許請求の範囲)
特開2005−237251号公報(特許請求の範囲、段落0008、0041)
特開2002−345473号公報(特許請求の範囲)
上述したように、塩素化有機化合物に汚染された土壌や地下水などを処理するために、脱塩素化能を有する微生物に特有の核酸や、この核酸の情報を利用した脱塩素化微生物の検出方法が知られている。しかし上記従来方法は、実際に実施するに当たり、効率の面から必ずしも十分ではなかった。
例えばテトラクロロエチレンに汚染された土壌等を浄化するには、最終的にはエチレンや二酸化炭素までテトラクロロエチレンを分解することが好ましい。しかし特許文献1の技術は、テトラクロロエチレンをトリクロロエチレンまで脱塩素化する微生物を検出する方法としては優れているが、それ以降の処理は他の技術に委ねざるを得ない。
また、特許文献2の技術はrDNA中の核酸配列を利用して脱塩素化微生物を検出するものであるが、rDNAと脱塩素化能は相関しない場合があり、当該核酸配列を検出しても脱塩素化が起こらない場合や、逆に当該核酸配列が検出されなくても脱塩素化が起こる場合がある。特許文献3には、18種の脱塩素化微生物のそれぞれに特有の塩基配列からなるDNAプローブを用いれば、18種の脱塩素化微生物を検出できるとされているが、具体的に示されている塩基配列はrDNAのITS配列であり、やはり特許文献2の技術と同様の問題がある。
それに対して特許文献4の技術は、塩素化有機化合物の脱塩素化に寄与する遺伝子にハイブリダイズする核酸を利用するため、実験結果と汚染物質の被浄化能には相関性が見られると考えられる。しかし、特許文献2〜4の技術に共通することであるが、使用した核酸に対応する微生物しか検出することができない。従って、汚染物質に含まれる塩素化有機化合物がどの様な処理によりいかなる化合物まで分解されるか判断するためには、異なる核酸を複数用いて実験を繰り返さなければならない。
そこで、本発明が解決すべき課題は、塩素化有機化合物の脱塩素化能を有する微生物を複数同時に検出することができ、汚染物質の被浄化能力を簡便かつ効率的に判断できる方法を提供することにある。また、本発明は、当該方法で用いる核酸、および塩素化有機化合物の汚染物質における脱塩素化微生物の有無を当該方法で測定した後に、当該汚染物質を浄化する方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を進めた。その結果、先ず、いくつかの脱塩素化酵素をコードする遺伝子間には、塩基配列が非常に類似する部分があることを見出した。本発明者らは、かかる知見を基にしてプライマーをデザインし、当該プライマーを用いてPCRを行えば、脱塩素化に関与する複数の遺伝子を同時に検出でき、結果として、被検試料からの脱塩素化微生物の検出を極めて効率的に行えることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る脱塩素化微生物の検出方法は、
塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る工程;
下記式(I)で表される核酸の混合物および下記式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペアとして、核酸試料につきPCRを行うことによって、塩素化有機化合物の脱塩素化に関連する核酸を増幅する工程;および
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい]
増幅された核酸を検出する工程;
を含むことを特徴とする。
塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る工程;
下記式(I)で表される核酸の混合物および下記式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペアとして、核酸試料につきPCRを行うことによって、塩素化有機化合物の脱塩素化に関連する核酸を増幅する工程;および
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい]
増幅された核酸を検出する工程;
を含むことを特徴とする。
上記方法において増幅された核酸を検出するための方法としては、RFLP法、T−RFLP法、DGGE法、またはDNAマイクロアレイ法の何れかが好適である。本発明方法では、増幅された核酸を特定することにより脱塩素化微生物の有無を判断するが、これら核酸特定方法は、それぞれ簡便であったり感度が高いといった特徴を有する。特にT−RFLP法が好ましい。T−RFLP法は蛍光標識されたプライマーを使用するため検出感度が非常に高いことから、増幅量の少ない核酸でも良好に検出し得るからである。
本発明に係る、塩素化有機化合物による汚染物質の浄化方法は、上記検出方法の結果によって、脱塩素化微生物が検出された場合には、脱塩素化微生物が汚染物質を脱塩素化できる条件にすることを特徴とする。また、上記細菌が検出されなかった場合には、脱塩素化微生物を汚染物質に添加し、且つ脱塩素化微生物が脱塩素化できる条件にする。
本発明の核酸混合物は、上記検出方法で使用するものであり、下記式(I)および(II)で表される核酸を含むことを特徴とする。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい。]
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい。]
本発明に係る脱塩素化微生物の検出方法は、従来は特定の微生物の有無を逐一実験しなければならなかったのに対して、脱塩素化微生物を複数同時に検出することができ、汚染物質の被浄化能力を簡便かつ効率的に判断できる。また、未知の脱塩素化微生物や脱塩素化遺伝子を見出すための情報を得ることも可能となる。その結果、塩素化有機化合物による汚染物質の被浄化能力を効率的に評価することができ、効率的な制御の下に汚染物質の浄化を進めることができる。従って本発明は、近年問題となっている塩素化有機化合物による環境汚染への対策に利用できるものとして、産業上極めて有用である。
本発明に係る脱塩素化微生物の検出方法は、
塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る工程;
下記式(I)で表される核酸の混合物および下記式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペアとして、核酸試料につきPCRを行うことによって、塩素化有機化合物の脱塩素化に関連する核酸を増幅する工程;および
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい]
増幅された核酸を検出する工程;
を含むことを特徴とする。以下、実施の順番に基づいて、本発明方法を説明する。
塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る工程;
下記式(I)で表される核酸の混合物および下記式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペアとして、核酸試料につきPCRを行うことによって、塩素化有機化合物の脱塩素化に関連する核酸を増幅する工程;および
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい]
増幅された核酸を検出する工程;
を含むことを特徴とする。以下、実施の順番に基づいて、本発明方法を説明する。
(1)核酸試料の取得工程
先ず、塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る。ここで、「塩素化有機化合物」は、過去または現在において大量に使用された実績がある一方で、環境中では分解され難く、その処理が求められているものをいう。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ビニルクロライド(以下、「VC」という)、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン(以下、「cis−DCE」という)、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン(以下、「TCE」という)、テトラクロロエチレン(以下、「PCE」という)等や、ジクロロベンゼン、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン等を挙げることができる。
先ず、塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る。ここで、「塩素化有機化合物」は、過去または現在において大量に使用された実績がある一方で、環境中では分解され難く、その処理が求められているものをいう。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ビニルクロライド(以下、「VC」という)、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン(以下、「cis−DCE」という)、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン(以下、「TCE」という)、テトラクロロエチレン(以下、「PCE」という)等や、ジクロロベンゼン、ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン等を挙げることができる。
汚染物質の種類は特に制限されないが、例えば、塩素化有機化合物により汚染された土壌、河川の底土、地下水、貯水、海水、河川水などを例示することができる。
本発明では、これら汚染物質を含む環境試料から核酸試料を得る。核酸試料の調製方法は、汚染物質の種類などに応じて適宜選択すればよい。例えば汚染された環境試料が土壌である場合には土壌を蒸留水等に懸濁した後、また、地下水等であればそのまま、微生物を捕捉するためのフィルター等を使用して微生物を濃縮する。次に、微生物が濃縮された試料をホモジナイザー等により破砕し、タンパク質分解酵素で処理した後に、抽出や遠心分離、沈降などの処理により核酸試料を得ることができる。なお、対象となる「微生物」には、細菌や真菌、原生動物が含まれるものとする。
(2)PCR工程
次に、得られた核酸試料につきPCR(Polymerase Chain Reaction)を行う。この際、PCRのプライマーペアとしては、下記式(I)で表される核酸の混合物と、下記式(II)で表される核酸の混合物を用いる。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい。]なお、上記式中、aはアデニンを示し、tはチミンを示し、gはグアニンを示し、cはシトシンを示す。また、上記核酸の混合物は、塩基配列が明らかであるので、当業者であれば常法により製造することができる。
次に、得られた核酸試料につきPCR(Polymerase Chain Reaction)を行う。この際、PCRのプライマーペアとしては、下記式(I)で表される核酸の混合物と、下記式(II)で表される核酸の混合物を用いる。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい。]なお、上記式中、aはアデニンを示し、tはチミンを示し、gはグアニンを示し、cはシトシンを示す。また、上記核酸の混合物は、塩基配列が明らかであるので、当業者であれば常法により製造することができる。
上記核酸(I)と(II)は、本発明者らが、これまで見出されている脱塩素化に関連する遺伝子の塩基配列を解析し、それらに共通または類似する部分を考慮してデザインした混合物である。従って、それら既知の脱塩素化遺伝子のみでなく、本発明の核酸混合物に含まれる1つの核酸と共通または類似する部分を有するものであれば、未知の脱塩素化遺伝子を検出し得る。また、脱塩素化に関与する遺伝子間には共通部分が多いと考えられるので、本発明により未知の脱塩素化微生物や脱塩素化遺伝子を検出できる可能性は高い。
本発明方法で用いるプライマーペアは、式(I)で表される核酸の混合物と、式(II)で表される核酸の混合物である。即ち、式(I)および(II)で定義される全ての核酸をプライマーとして用いる。但し、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい。ここでの「ストリンジェントな条件」は、例えば、室温において、2×SSCおよび0.1%SDSに相当する塩濃度で洗浄を行なうものを挙げることができ、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズ」するとは、斯かる条件で洗浄してもなおハイブリダイズしていることを意味するものとする。
当該混合物に含まれる各核酸の含有量は、実質的に等量であることが好ましい。含有量に偏りがあると、PCRで増幅されるべきものが増幅されないおそれも考えられるからである。
本発明においては、脱塩素化に関与する既知の遺伝子のみでなく、その一塩基多型の増幅も目的とする。また、脱塩素化に関与する遺伝子は、たとえ未知の脱塩素化遺伝子であっても、特に本発明で見出された部分の塩基配列は類似性が高いと考えられる。本発明では、この様な脱塩素化に関与する未知の遺伝子の増幅も目的とする。従って、上記条件の下で置換される核酸と置換する核酸とで異なる塩基数は5以下であることが好ましく、より好ましくは3以下であり、さらに好ましくは1または2であり、さらに好ましくは1である。なお、上記条件の下で核酸混合物に含まれるべき核酸の1つと置換できる核酸が、他の核酸と同一物となる可能性がある。その場合には、置換された元の核酸は混合物中に含まれないこととなるが、かかる態様も本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明では、式(I)で表される核酸の混合物と、式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペア、即ちフォワードプライマーとリバースプライマーとして用いて、核酸試料の取得工程で得た核酸試料のPCRを行う。それによって、核酸(I)と(II)のデザインの元にした既知の脱塩素化遺伝子のみでなく、他の脱塩素化遺伝子やそれらの一塩基多型に加え、未知の脱塩素化遺伝子の一部を増幅することができる可能性がある。なお、PCRの実施条件は一般的なものを採用できる。また、当該工程で用いるプライマーは、後述する「増幅核酸の検出工程」で用いる方法に応じて、蛍光色素で標識するなどしてもよい。
(3)増幅核酸の検出工程
次に、上記PCR工程で増幅された核酸を検出する。ここで「検出する」とは、上記PCR工程で増幅された核酸の有無を判断し、ひいては汚染物質中に含まれる脱塩素化微生物の有無を判定することをいう。また、この概念には、増幅された核酸が、いかなる脱塩素化遺伝子の一部であるか特定し、汚染物質に含まれる脱塩素化微生物の種類やいかなる脱塩素化能を有するかを判定することも含まれる。さらに当該工程により、増幅された核酸が既知のものでない場合には、新規な脱塩素化遺伝子や脱塩素化微生物の探索に役立つ情報が得られる。
次に、上記PCR工程で増幅された核酸を検出する。ここで「検出する」とは、上記PCR工程で増幅された核酸の有無を判断し、ひいては汚染物質中に含まれる脱塩素化微生物の有無を判定することをいう。また、この概念には、増幅された核酸が、いかなる脱塩素化遺伝子の一部であるか特定し、汚染物質に含まれる脱塩素化微生物の種類やいかなる脱塩素化能を有するかを判定することも含まれる。さらに当該工程により、増幅された核酸が既知のものでない場合には、新規な脱塩素化遺伝子や脱塩素化微生物の探索に役立つ情報が得られる。
増幅された核酸の特定方法は特に制限はないが、例えばRFLP法、T−RFLP法、DGGE法、DNAマイクロアレイ法を用いることができる。
RFLP法は、被検対象である核酸を制限酵素で切断した上で電気泳動を行い、サイズマーカーと比較して各断片長のデータを得、当該データと既知核酸とのデータを比較する方法である。T−RFLP法はRFLP法の改良法であり、フォワードまたはリバース側に蛍光色素で標識されたプライマーを用いてPCRを行った後、増幅された核酸を制限酵素で切断した上で電気泳動を行い、蛍光イメージャーなどを用いて標識された蛍光色素を検出し、既知の脱塩素化遺伝子またはその一部の電気泳動パターンを比較することで、増幅された遺伝子を特定する方法である。
DGGE法は変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法ともいわれるものであり、塩基配列の部分的な違いを比較的容易に検出することができる。具体的には、ホルムアミドと尿素などの変性剤を含み、その濃度勾配を有するアクリルアミドゲルを作製し、当該ゲルを用いて増幅された核酸試料について低電流でゆっくり電気泳動を行う。次いで、得られた電気泳動パターンを、既知の脱塩素化遺伝子またはその一部の電気泳動パターンと比較することで、増幅された遺伝子を特定する。
DNAマイクロアレイ法は、既知の塩基配列を有する核酸が多数担持されたスライドガラスやシリコン板へ、蛍光発色基等で標識した被検核酸を作用させ、相補対を形成した核酸を特定することにより核酸を特定するものである。
上記方法の細かな条件は常法を用いればよい。例示した上記方法の中では、特にT−RFLP法が好ましい。検出される断片数が少ない上に、他の方法に比べて感度が高いので、複数種類の核酸を感度良く迅速に検出するのに好適だからである。
(4)汚染物質の浄化
本発明では、上記検出方法により汚染物質中に含まれる脱塩素化微生物の有無やその脱塩素化能を把握した上で、汚染物質を浄化する。具体的には、本発明の上記検出方法の結果によって、脱塩素化微生物が検出された場合に、塩素化有機化合物による汚染物質を当該脱塩素化微生物が脱塩素化できる条件にする。より具体的には、浄化処理すべき汚染物質へ検出された脱塩素化微生物の生育に必要な炭素源や窒素源、ビタミン等の栄養源を添加したり、その至適温度や至適pHに維持し、当該微生物が生育できる条件とすればよい。
本発明では、上記検出方法により汚染物質中に含まれる脱塩素化微生物の有無やその脱塩素化能を把握した上で、汚染物質を浄化する。具体的には、本発明の上記検出方法の結果によって、脱塩素化微生物が検出された場合に、塩素化有機化合物による汚染物質を当該脱塩素化微生物が脱塩素化できる条件にする。より具体的には、浄化処理すべき汚染物質へ検出された脱塩素化微生物の生育に必要な炭素源や窒素源、ビタミン等の栄養源を添加したり、その至適温度や至適pHに維持し、当該微生物が生育できる条件とすればよい。
また、脱塩素化微生物が検出された場合であっても、さらに脱塩素化微生物を添加する場合もある。理想的には、汚染原因となった塩素化有機化合物の種類に応じて、当該塩素化有機化合物やその脱塩素化化合物が検出限界となったり、エチレンや二酸化炭素等まで分解される様に、脱塩素化微生物の構成をデザインする。例えば、浄化対象物質がPCEにより汚染されており、本発明の検出方法により当該汚染物質に含まれる脱塩素化微生物がPCEをcis−DCEへ脱塩素化するもののみである場合には、cis−DCEを脱塩素化する微生物を添加し、さらなる脱塩素化を進行せしめることが好ましい。
一方、本発明の上記検出方法の結果によって、脱塩素化微生物が検出されなかった場合には、汚染物質へ脱塩素化微生物を添加し、且つ当該脱塩素化微生物が増殖できる条件にする。例えば、浄化対象物質がPCEにより汚染されている場合、PCEを速やかにエチレンや二酸化炭素などまで脱塩素化できる様に、添加する脱塩素化微生物の構成やそれぞれの添加量などを工夫することができる。
より具体的には、汚染の原因となった化合物の種類等に応じて、さらに汚染物質に元々存在する微生物の種類や数も考慮して、汚染物質における脱塩素化微生物の構成を調整する。以下に、脱塩素化微生物の代表例とその脱塩素化能を例示する。これら微生物の中から、浄化対象物質がエチレンや二酸化炭素などの無害化合物まで分解される様に、適切な微生物を選択して組合わせることができる。
PCEをTCEまで脱塩素化する微生物:Desulfitobacterium属細菌(KBC1株など)
PCEをcis−DCEまで脱塩素化する微生物:Desulfitobacterium hafniense細菌(TCE1株など)
TCEをVCまで脱塩素化する微生物:Dehalococcoides属細菌(FL2株など)
cis−DCEをエチレンまで脱塩素化する微生物:Dehalococcoides属細菌(VC株など)。
PCEをcis−DCEまで脱塩素化する微生物:Desulfitobacterium hafniense細菌(TCE1株など)
TCEをVCまで脱塩素化する微生物:Dehalococcoides属細菌(FL2株など)
cis−DCEをエチレンまで脱塩素化する微生物:Dehalococcoides属細菌(VC株など)。
但し、汚染物質の環境はできる限り元の状態で維持することが好ましいため、新たに脱塩素化微生物を添加した場合には、浄化処理後に微生物の分布等を測定し、環境への影響を評価することが好ましい。
以下に、実施例を示すことによって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1 プライマーのデザイン
PCEをTCEまで脱塩素化する酵素をコードする脱塩素化遺伝子であるprdA、PCEをcis−DCEまで脱塩素化する酵素をコードするpceA、TCEをVCまで脱塩素化する酵素をコードするtceA、cis−DCEをエチレンまで脱塩素化する酵素をコードするvcrAの塩基配列を比較することによって、図1に示す通り、1130〜1160bp付近と1340〜1370bp付近に、塩基配列が非常に類似する部分があることを見出した。
PCEをTCEまで脱塩素化する酵素をコードする脱塩素化遺伝子であるprdA、PCEをcis−DCEまで脱塩素化する酵素をコードするpceA、TCEをVCまで脱塩素化する酵素をコードするtceA、cis−DCEをエチレンまで脱塩素化する酵素をコードするvcrAの塩基配列を比較することによって、図1に示す通り、1130〜1160bp付近と1340〜1370bp付近に、塩基配列が非常に類似する部分があることを見出した。
かかる情報を基にして、特に類似する部分について、4つの遺伝子に共通する塩基はそのままとし、異なる部分は各塩基に対応する塩基である核酸の混合物である核酸(I)と(II)(配列番号:SEQ ID NO:1と2)をデザインした。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。]
なお、1340〜1370bpはリバース側になるので、図1に示す塩基配列に相補的なものとして核酸(II)をデザインした。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。]
なお、1340〜1370bpはリバース側になるので、図1に示す塩基配列に相補的なものとして核酸(II)をデザインした。
実施例2
上記実施例1でデザインした核酸混合物である核酸(I)と(II)をプライマーとして用いた場合、実際に脱塩素化遺伝子を増幅できるかを試験した。
上記実施例1でデザインした核酸混合物である核酸(I)と(II)をプライマーとして用いた場合、実際に脱塩素化遺伝子を増幅できるかを試験した。
先ず、実施例1に示した脱塩素化遺伝子に関係する核酸を、次の通り調製した。prdAについては、PCEをTCEまで脱塩素化するDesulfitobacterium sp.KBC1株から染色体DNAを得、prdA遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCRを行うことにより得た。pceAは、PCEをcis−DCEまで脱塩素化するDesulfitobacterium sp.KBC76株から染色体DNAを得、pceA遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCRを行うことにより得た。tceAは、クロロエチレン類で汚染された土壌からDNAを抽出し、tceAに特異的なプライマーを用いてPCRを行うことにより得た。vcrAは、クロロエチレン類で汚染された土壌からDNAを抽出し、vcrAに特異的なプライマーを用いてPCRを行うことにより得た。以上の操作において、各脱塩素化遺伝子に特異的なプライマーの配列は、表1の通りである。
使用した反応液は表2の通りであり、サイクルは表3の通りである。表2および以下の実施例では、PCR用酵素としては、タカラバイオ製のEx Taq(5U/μL)を用いた。また、反応装置としては、アプライドバイオシステムズ製のGeneAmp(登録商標)PCR system9600を使用した。
反応終了後は、カラム(GEヘルスケアアマシャムバイオサイエンス製、商品名:MicroSpin S-400 HR Columns)を用いて精製した。得られた増幅断片の配列の解析を北海道システムサイエンス社に依頼し、各増幅断片が各脱塩素化遺伝子に関係するものであることを確認した。
次に、得られた脱塩素化遺伝子に関係する核酸を鋳型DNAとし、核酸(I)と(II)をプライマーとして用いてPCRを行った。核酸(I)と(II)は、北海道システムサイエンス株式会社より入手した。なお、核酸(I)と(II)に含まれる各核酸の含有量は、互いにほぼ等量である。以下、核酸(I)をフォワードプライマー、核酸(II)をリバースプライマーにして、表4のPCR反応溶液を用い、PCRを行った。
上記PCR反応溶液につき、表5のサイクルでPCRを行った。また、使用したPCR装置は、アプライドバイオシステムズ製のGeneAmp(登録商標)PCR system9600である。反応終了後の反応溶液は、カラム(GEヘルスケアアマシャムバイオサイエンス製、商品名:MicroSpin S-400 HR Columns)を用いて精製した。
2%アガロースゲルへ、反応後の溶液を5μLずつアプライし、電気泳動を行った。電気泳動後のゲルを、エチジウムブロマイドにより染色した。結果を図2に示す。
図2の通り、本発明に係る核酸混合物をプライマーに用いることによって、主要な4つの脱塩素化遺伝子を何れも増幅することができた。また、各脱塩素化遺伝子のバンドの位置はほぼ横並びであり、増幅された核酸は同様の分子量を有することが分かった。しかしそれでは、汚染物質資料から脱塩素化遺伝子が含まれていても、それがいかなる脱塩素化遺伝子であるか分からない。そこで、以下の通り、検出された脱塩素化遺伝子の種類を特定するため、T−RFLP法の適用を検討した。
実施例3
本発明に係る核酸(II)の5’末端を、蛍光発色基であるフルオロセイン 5−イソチオネート(FITC)で標識し、表6のPCR反応溶液を調製した。表6中の各鋳型脱塩素化遺伝子DNAは、実施例2で調製したものであり、それぞれの遺伝子DNAを1つのみを配合するか、或いは4つの遺伝子DNA全てをそれぞれ終濃度0.05ng/μLで配合した。
本発明に係る核酸(II)の5’末端を、蛍光発色基であるフルオロセイン 5−イソチオネート(FITC)で標識し、表6のPCR反応溶液を調製した。表6中の各鋳型脱塩素化遺伝子DNAは、実施例2で調製したものであり、それぞれの遺伝子DNAを1つのみを配合するか、或いは4つの遺伝子DNA全てをそれぞれ終濃度0.05ng/μLで配合した。
反応後の溶液25μLを、MicroSpin S−400 HRカラム(GEヘルスケア・アマシャムバイオサイエンス製)と、700×gで室温、1分間の遠心分離により精製して、主に未反応のプライマーを除去した。精製後のPCR溶液3μLを、表8の組成で、制限酵素であるMspI(タカラバイオ製、10U/μL)により、37℃で1時間反応させた。制限酵素で処理した後の各脱塩素化遺伝子DNAの蛍光標識側断片は、prdA:106bp、pceA:49bp、tceA:30bp、vcrA:175bpであると予想される。
別途、10%アクリルアミドゲルを作成した。即ち、10×TBEバッファー3mL、30%アクリルアミド溶液10mL、および蒸留水17mLを混合し、ここへ10%過硫酸アンモニウム溶液400μLを添加し、攪拌した。当該溶液へ、さらにN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン30μLを添加した。当該溶液をゲル板へ流し込み、コウムを差してから固化させた。得られたゲルを電気泳動槽にセットし、1×TBEバッファーを加えた。制限酵素で処理したPCR反応溶液5μLへローディングダイ1μLを添加し、ゲルのウェルにアプライした。123Vの定電圧で、60〜70分間電気泳動した。電気泳動後のゲルを、蛍光イメージャー(富士写真フィルム製、FLA-5000)で撮影した。結果を図3に示す。各図において、(1)はprdAを含む試料、(2)はpceAを含む試料、(3)はtceAを含む試料、(4)はvcrAを含む試料、(5)は4種類の脱塩素化遺伝子を含む試料である。
図3の結果の通り、本発明に係る核酸をプライマーとして用いてPCR反応を行い、次いでPCR反応溶液を制限酵素で処理することによって、各脱塩素化遺伝子を検出できるのみならず、複数の脱塩素化遺伝子を含む試料でも個々の脱塩素化遺伝子を検出できることが実証された。
Claims (7)
- 塩素化有機化合物の脱塩素化能を有する微生物を検出する方法であって、
塩素化有機化合物による汚染物質から核酸試料を得る工程;
下記式(I)で表される核酸の混合物および下記式(II)で表される核酸の混合物をプライマーペアとして、核酸試料につきPCRを行うことによって、塩素化有機化合物の脱塩素化に関連する核酸を増幅する工程;および
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい]
増幅された核酸を検出する工程;
を含むことを特徴とする脱塩素化微生物の検出方法。 - 増幅された核酸の特定を、RFLP法、T−RFLP法、DGGE法、またはDNAマイクロアレイ法の何れかで行う請求項1に記載の脱塩素化微生物の検出方法。
- 増幅された核酸の特定を、T−RFLP法により行う請求項1に記載の脱塩素化微生物の検出方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載の方法の結果によって、脱塩素化微生物が検出された場合に、塩素化有機化合物による汚染物質を当該脱塩素化微生物が脱塩素化できる条件にすることを特徴とする塩素化有機化合物による汚染物質の浄化方法。
- 請求項1〜3の何れかに記載の方法の結果によって、脱塩素化微生物が検出されなかった場合に、塩素化有機化合物による汚染物質へ脱塩素化微生物を添加し、且つ当該脱塩素化微生物が脱塩素化できる条件にすることを特徴とする塩素化有機化合物による汚染物質の浄化方法。
- 下記式(I)で表される核酸を含むことを特徴とする核酸混合物。
核酸(I):5’−ttYMtKRVRDRBctWggYtatHaYKc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Mはアデニンまたはシトシンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Vはアデニン、シトシンまたはグアニンを示し、Dはアデニン、グアニンまたはチミンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Wはアデニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい。] - 下記式(II)で表される核酸を含むことを特徴とする核酸混合物。
核酸(II):5’−HHRcaBRKBYKRcaRaactc−3’
[式中、Yはシトシンまたはチミンを示し、Kはグアニンまたはチミンを示し、Rはアデニンまたはグアニンを示し、Bはシトシン、グアニンまたはチミンを示し、Hはアデニン、チミンまたはシトシンを示す。また、各核酸は、その相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つプライマーとして同様の作用を有するもので置換されていてもよい。]
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CN102408161A (zh) * | 2011-10-14 | 2012-04-11 | 南开大学 | 一种用于化工废水处理的生物活性预警标记方法 |
JP2012530243A (ja) * | 2009-06-15 | 2012-11-29 | ビージー リサーチ エルティーディー | 核酸検出方法 |
-
2006
- 2006-08-01 JP JP2006210042A patent/JP2008271785A/ja not_active Withdrawn
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