JP2008270501A - トランジスタ素子 - Google Patents

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春雄 川上
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久人 加藤
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Abstract

【課題】 有機半導体材料を用いたトランジスタ素子において、on/off比の高いトランジスタ素子を提供する。
【解決手段】 本発明のトランジスタ素子は、第1電極と第2電極の間に有機半導体層を配し、該有機半導体層に絶縁膜を介して接するよう設けられた第3電極の電位によって前記第1電極と前記第2電極の間に流れる電流を制御するトランジスタ素子であって、前記第3電極の電子親和力が前記有機半導体の電子親和力よりも大きいことを特徴とする。また、前記第3電極のイオン化ポテンシャルが前記有機半導体のイオン化ポテンシャルよりも小さくしてもよい。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機半導体材料よりなるトランジスタ素子に関する。
無機半導体材料を用いた電界効果型トランジスタは、すでに工業製品として製造されており良く知られたものである。特に薄膜トランジスタにおいては、例えば図1に示すように、基板71に対し横方向に配置されている。ソース電極層75及びドレイン電極層76は、電気的に中性である無機半導体層(チャネル層領域)74により分離されて設けられている。ゲート電極72は、ゲート電気絶縁層73により半導体層74と電気的に分離されて、基板71の上に配置している。半導体層74を構成する無機半導体材料としては、無機アモルファス材料(水素化アモルファスSi)、無機多結晶材料等の無機材料が用いられている。
また、半導体層に有機材料を用いた薄膜電界効果型トランジスタもよく知られている(非特許文献1参照)。この従来の有機材料を用いた薄膜電界効果型トランジスタも、前記無機材料を用いた薄膜電界効果型トランジスタと基本的に同様の構成であり、基板71に対し、横方向に配置されたものが多く検討されている。
半導体層74を構成する有機半導体材料としては、π電子共役系の高分子化合物、芳香族化合物等の有機材料が用いられてきた。これらの薄膜電界効果型トランジスタは、ゲート絶縁層を介してゲート電極層より印加された電界が半導体層(チャネル部)に作用して、ソース電極層とドレイン電極層との間に流れる電流を制御することによりトランジスタ動作を実現している。
半導体層に有機材料を用いた薄膜電界効果型トランジスタは、半導体層にSiのような無機材料を用いた薄膜電界効果型トランジスタと比べて、真空を用いないで素子を作製できること、広い面積の均一な素子を作製できること、低温プロセスで素子が作製できるためプラスチック基板が使用出来ること等による製造方法の簡便さのために、製造コストを低減できる、という利点を有している。
しかしながら、半導体層に有機材料を用いた薄膜電界効果型トランジスタは、半導体層にSiのような無機材料を用いた薄膜電界効果型トランジスタと比べて、(イ)キャリア移動度(トランジスタ性能を示す)が低いこと、(ロ)大電流を流せないこと、(ハ)高速動作ができないこと、等の問題があった。
これらの課題の解決手段として、従来からソース電極とドレイン電極の間に有機半導体層を配した構造とし、電流方向を有機半導体層に垂直とすることが提案されてきた。例えば、非特許文献2では、網目状のポリアニリンをゲート電極として用いた素子が提案されている。また、非特許文献3では、ゲート電極を蒸着する際にLATEX球を蒸着マスクとして用いナノスケールの空隙を持つ電極を形成している素子が提案されている。
さらに、特許文献1では、ゲート電極を有機膜の側壁に配する方法が開示されている。また、特許文献2では、有機半導体層中に金属微粒子分散層を配し、これにトンネル電流により電荷を注入する事により、前記第1電極と第2電極の間に流れる電流を制御することを開示している。
一般に有機半導体層の厚さは100nm程度まで薄く出来るのに対し、基板に平行な方向でのバターニング精度は100μmのオーダーであるので、電流方向を有機半導体層に垂直とすることすれば、電流方向が有機半導体層に水平な場合に比して、電流経路の断面積が大きく(凡そ100nm×100μm⇒100μm×100μm)、かつ電流程路の長さが短く(凡そ100μm⇒100nm)なるため、電流密度は数桁大きくとることが可能となる。
A. Dodabalapur., Appl. Phys. Lett.,Vol.69, pp. 4227-29 Y. Yang、Nature, Vol.372, pp344(1994) 村石ら、信学技報Technical Report of IEICE,OME2002-15 (2002-05)13 特開2003−110110号公報 国際出願番号 PCT/US2005/031043号
しかしながら、これらの素子においては以下の問題点があった。即ち、一般に用いられるゲート電極に用いられる金属材料の仕事関数は−4.15(アルミニウム)〜−5.0(金)eVの範囲にある。仕事関数とは、ある材料の表面から電子を取り去るのに必要最小限のエネルギーを意味し、電極材料に固有の値である。
この仕事関数は大気中の光電子放出スペクトルにより測定することができる。なお、仕事関数、及び後述する電子親和力、イオン化ポテンシャルなどのエネルギー準位の数値は、真空準位との相対値でマイナス値として示す。以下、例えば"大きい"という表現はマイナス値であればゼロに近い事を表す。
仕事関数がこれより大きいMg、Ca、Liなどは大気中で容易に酸化されるため封止処理などにより保護する必要があり現実的には使用が制限される。一方で、有機半導体材料のエネルギー準位はその化学構造により様々であるが、例えば代表的なp型材料であるペンタセンの電子親和力(Ea)とイオン化ポテンシャル(Ip)は−3.0eVと−5.2eV、α−NPDでは−2.5eVと−5.5eV、代表的なn型材料であるC60では−3.57eVと−6.17eV、Alq3では−2.5eVと−6.0eVであり、前述の金属材料の仕事関数が有機材料のバンドギャップ内に位置する構成となる。
この場合、そのエネルギー準位差によって有機半導体層とゲート電極間に電位差が生じ、ゲート絶縁層の静電容量分の電荷がその両側に誘起される事となる。例えば図2は代表的な有機半導体であるC60に対してアルミニウムをゲート電極とした場合のエネルギー準位図であるが、アルミニウムの仕事関数−4.15eVに対してC60の電子親和力−3.57eVが大きいため、相対的にアルミニウムがプラスに、C60がマイナスになるような電位差が生じる。このためC60にはマイナス電荷が誘起される事となる。即ち、ゲート電極に電圧を印加しない状態においても有機半導体層に電荷が誘起きれるため、有限のドレイン電流が流れる事となる。これは所謂、トランジスタ素子のon/off比を低下させることとなり、改善手段が求められていた。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、有機半導体材料を用いたトランジスタ素子において、on/off比の高いトランジスタ素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のトランジスタ素子は、第1電極と第2電極の間に有機半導体層を配し、該有機半導体層に絶縁膜を介して接するよう設けられた第3電極の電位によって前記第1電極と前記第2電極の間に流れる電流を制御するトランジスタ素子であって、前記第3電極の電子親和力が前記有機半導体の電子親和力よりも大きいことを特徴とする。この構成によれば、第3電極に電圧を印加しない状態での有機半導体層内での電荷誘起を抑制することにより有限のドレイン電流が流れる事を抑制できるため、on/off比の高いトランジスタ素子を提供することができる。
また、本発明のトランジスタ素子は、第1電極と第2電極の間に有機半導体層を配し、該有機半導体層に絶縁膜を介して接するよう設けられた第3電極の電位によって前記第1電極と前記第2電極の間に流れる電流を制御するトランジスタ素子であって、前記第3電極のイオン化ポテンシャルが前記有機半導体のイオン化ポテンシャルよりも小さいことを特徴とする。この構成によれば、第3電極に電圧を印加しない状態での有機半導体層内での電荷誘起を抑制することにより有限のドレイン電流が流れる事を抑制できるため、on/off比の高いトランジスタ素子を提供することができる。
前記第3電極が、少なくとも前記有機半導体層内に形成された直径3nm以下の金属微粒子を構成要素として含むことを特徴とする。
本発明によれば、有機半導体材料を用いたトランジスタ素子において、on/off比の高いトランジスタ素子を提供することができる。
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図3(a)は、本発明の電界効果型トランジスタ素子の実施形態の一例を示す概略構成図、同図(b)は上図A−A’での断面図である。図3に示すように、このスイッチング素子は、基板10上に、第1電極層20、有機半導体層としての有機半導体材料層30、第3電極層としての金属微粒子分散層40、有機半導体材料層31、第2電極層21が薄膜として順次積層された構成となっている。また、このトランジスタ素子は、有機半導体材料層31が第1電極と第2電極の間に配されており、この有機半導体材料層31に絶縁膜を介して接するよう設けられた第3電極の電位によって第1電極と第2電極の間に流れる電流を制御している。ここで、第3電極の電子親和力が有機半導体の電子親和力よりも大きい。また、第3電極のイオン化ポテンシャルが有機半導体のイオン化ポテンシャルよりも小さい。
金属微粒子分散層40のうち金属微粒子濃度の低い部分47へは縞状に形成された金属微粒子濃度の高い部分46を介して電極45より電流がトンネル効果により注入される。この構成によれば、金属微粒子濃度の高い部分は電気抵抗が低くなるため、電極45からの距離が大きい場合においても、金属微粒子濃度の高い部分を通して電流を供給することが可能である。
また金属微粒子濃度の低い部分47は、第1電極と第2電極の間に流れる電流の経路として有効に作用する。この構成は例えば金属微粒子層を真空蒸着で形成する場合、マスク蒸着により多段階で形成することが可能であり、もしくはマスクと基板の距離を大きくしたり真空圧力を低くすることにより、蒸着物の回りこみを大きくして、金属微粒子層の形状がぼける事を利用しても得る事ができる。なお図3においては金属微粒子濃度の分布を簡単のため2段階で表しているが、連続的な分布であっても機能は同じである。
金属のエネルギー準位は一般には仕事関数で表されるが、微粒子状態ではイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)に分離される。その詳細は量子力学に基づく計算が必要であるが、最も古典的なモデルにおいては以下の式で表される(非特許文献5参照)。
Ip=WF−1.04/D(eV)
(1)
Ea=WF+1.80/D(eV)
(2)
ここで、WFは仕事関数(eV)、Dは金属微粒子の直径(nm)である。
・非特許文献5:「Clusters
of Atoms and Molecules」edited by Hellmut Haberland,
Spring-Verlag (1994), pp.295-299
図4は、式(1)、(2)を、アルミニウム(WF=−4.15eV)と金(WF=−5.00eV)の場合について算出した結果を示したものである。いずれの場合もクラスタサイズが小さくなるに従ってイオン化ポテンシャル(Ip)は大きく、電子親和力(Ea)は小さくなる事が明瞭であり、特に直径3nm以下でその効果が著しい。このため、第3電極は、少なくとも有機半導体材料層30、31内に形成された直径3nm以下の金属微粒子を構成要素として含むことが望ましい。
図5は、本発明の素子における、有機半導体C60に対してアルミニウムをゲート電極とした場合のエネルギー準位図である。図5では、有機半導体としてC60を用いた素子のゲート電極として用いた場合の例を示している。例えばゲート電極として直径2mmのアルミニウムクラスタを用いた場合の電子親和力(Ea)はおおよそ−3.25eVであり、C60の電子親和力(Ea)より大きくなる。従ってアルミニウムクラスタは相対的にマイナスに帯電するC60はn型材料であり自由キャリアが電子であるため、この状態ではゲート絶縁膜の両側に電荷は蓄積せずoff電流が抑制される事となる。本発明において、基板10としては特に限定されないが、従来公知のガラス基板やプラスチック基板が好ましく用いられる。
第1電極層20、第2電極層21としては、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄などの金属材料や、ITO(Indium tin oxide)、カーボン等の無機材料、共役系有機材料、液晶等の有機材料、シリコンなどの半導体材料などが適宜選択可能であり、特に限定されない。なかでも、有機半導体層30、31における有機半導体材料への電荷注入は、金属電極の仕事関数に大きく依存する事が知られている。仕事関数の絶対値が低い電極材料としてはアルミニウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、等が挙げられ、電子を有機材料へ注入するのに好適である。また、仕事関数の絶対値が高い材料としては金、クロム、白金、ITO等が挙げられ、正孔を有機材料に注入するのに好適である。
第1電極層20、第2電極層21の形成方法としては、真空蒸着法、あるいはスピンコート等の塗布法等の従来公知の薄膜形成方法が好ましく用いられ、特に限定されない。真空蒸着で薄膜を形成する場合、蒸着時の基板温度は、使用する電極材料によって適宜選択されるが0〜150℃が好ましい。また、各電極層の膜厚は50〜200nmが好ましい。
次に、有機半導体材料層30、31に用いる有機半導体材料としては、好ましくは、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン及びそれらの誘導体よりなる群から選択されるアセン分子材料、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物及びへリレン系化合物よりなる群から選ばれる顔料及びその誘導体、アミノイミダゾール系化合物、ジシアノ系化合物、ピリドン系化合物、スチリル系化合物、スチルベン系化合物、キノメタン系化合物、ブタジエン系化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、ジフェニルメタン化合物、アリールビニル化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルアミン化合物、フェニレン誘導体及びトリアリールアミン化合物よりなる群から選択される低分子化合物並びにそれらの誘導体、或いは、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン誘導体、チオフェンオリゴマー誘導体、ピレンホルムアルデヒド樹脂、ポリアセチレン誘導体、及び、エチルカルパゾールホルムアルデヒド樹脂よりなる群から選択される高分子化合物、フルオレノン系、ジフェノキノン系、ベンゾキノン系、アントラキノン系、インデノン系化合物が挙げられるがこれに限定されるものでは無い。
第3電極としては通常の連続薄膜である事も可能であるが、電界効果の有効距離や、前述のエネルギー準位の制御の観点から金属微粒子分散層とする事が好適である。金属微粒子としては各種の金属材料が用いられ、例えばアルミニウム、金、銀、銅、白金、もしくはロジウムなどが適宜選択可能であり、特に限定されないが、有機半導体層への電界効果を有効とするためには金属表面に酸化膜などの絶縁皮膜を形成することが必要であり、そのための酸化皮膜が形成されやすいアルミニウムを用いることが好ましい。
金属微粒子分散層40の形成方法としては、真空蒸着等によって金属微粒子と有機半導体材料とを共蒸着することが好ましい。これにより、金属は蒸気化されるので、1〜20nmの金属微粒子を得ることができる。また、共蒸着によって、金属微粒子と有機半導体材料との均一なハイブリッド薄膜を得ることができる。
共蒸着は、従来公知の蒸着装置により、上記の有機半導体材料層30、31と同様の条件で行うことができ、基板温度は、使用する有機材料によって適宜選択されるが0〜150℃が好ましい。また、真空度は10-5torr以下の真空度で行うことが好ましい。また、共蒸着法における金属微粒子と有機半導体材料の体積比は10:1〜1:20の範囲が好ましい。また、膜厚は3〜200nmが好ましい。
このように形成された金属微粒子層では、個々の微粒子は相互に接触していないが、電圧を印加することによりトンネル効果により電流が流れ、その電位を制御することが出来る。金属微粒子としてアルミニウムを用い、これを真空蒸着で形成する場合、真空中の残留ガスとして含まれる水分、酸素などの酸化性ガスによって、その表面に数nm程度の厚さの酸化膜を簡便に形成することが出来る。
また、金属微粒子分散層40は、上記の有機半導体材料層30、31と同様の条件で、スピンコ―ト等の塗布によっても形成してもよい。この場合、塗布溶剤としては、特に微粒子として白金、ロジウム等の金属を用いる場合は、当該材料の分散が容易なアルコール系のエチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、グリコール系のエチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコールジメチルエーテル、もしくは純水が好ましい。
この塗布溶剤中に、0.001〜30質量%の範囲で有機半導体材料を溶解させ、さらに、上記の金属微粒子を0.001〜30質量%の範囲で分散させる。また、必要に応じてバインダー樹脂を加えて塗布液とする。バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーポネート、ポリエステル、ポリビニールアルコール、ポリスチレン等が使用できる。これらは金属微粒子を被覆して、ゲート絶縁膜として有効に作用する。スピンコート条件は目標膜厚に応じて適宜設定可能であるが、回転数200〜3600rpmの範囲が好ましい。また、膜厚は3〜200mmが好ましい。このようなナノオーダーレベルの金属の微粒子は、例えば、田中貴金属株式会社等から一般の市販品として容易に入手することができる。
以下、実施例を用いて、本発明のスイッチング素子について更に詳細に説明する。
実施例1
以下の手順で、図3に示すような構成のトランジスタ素子を作成した。すなわち、基板10としてガラス基板を用い、第1電極層20、有機半導体層30、金属微粒子分散層40、有機半導体層31、第2電極層21を、真空蒸着法により、それぞれ100nm、40nm、20nm、40nm、100nmの厚さで順次薄膜形成し、実施例1のスイッチング素子を形成した。金属微粒子層40の蒸着には幅50μm、ピッチ300μmの蒸着マスクを基板から1nmの位置に配し、金属微粒子濃度の高い部分46と金属微粒子濃度の低い部分47を縞状に形成した。
各層の蒸着源は、第1電極層20、第2電極層21としてアルミニウムを用い、有機半導体層30、31として、化学式(1)で表されるペリレン系化合物(PTCDA、アルドリッチ社製)を用いた。また、金属微粒子分散層40は、アルミニウムとPTCDAとを、体積比率3:1で共蒸着することにより形成した。PTCDAの電子親和力(Ea)とイオン化ポテンシャル(Ip)はそれぞれ−4.6eVと−6.9eVである。
Figure 2008270501
蒸着は抵抗加熱方式により行ない、蒸着装置は拡散ポンプ排気で、3×10-6torrの真空度で行った。特に金属微粒子層を形成する際のアルミ蒸着源温度は約1100℃であり、残留ガスは、その70%が水分であった。この条件においてアルミ微粒子の約20μmであったが、その表面は酸化されており、断面観察の結果、内部のアルミニウム金属部分の直径は約10μmであった。この条件での第3電極の電子親和力は約−3,97eVと推定され有機半導体PTCDAの電子親和力より大きな値となっている。なお、本実施例の材料の組み合わせでは、アルミニウムの仕事関数−4.15eVが有機半導体PTCDAの電子親和力より大きな値となっており、第3電極が3nm以下の金属微粒子である必要性は無い。
実施例2
有機半導体としてC60(アルドリッチ社製)を用い、金属微粒子層を形成する際の蒸着源温度を約950℃とした以外は、実施例1と同一の条件で成膜して、実施例2のスイッチング素子を得た。この条件においてアルミ微粒子の約10μmであったが、その表面は酸化されており、断面観察の結果、内部のアルミニウム金属部分の直径は約3μmであった。この条件での第3電極の電子親和力は約−3.55eVと推定され有機半導体C60の電子親和力−3.57eVより大きな値となっている。
実施例3
有機半導体としてキノメタン系化合物(化学式(2))を用いた以外は、実施例1と同一の条件で成膜して、実施例3のスイッチング素子を得た。キノメタン化合物の合成は、例えばWO2004/073080に開示されている方法によった。キノメタン化合物の電子親和力(Ea)とイオン化ポテンシャル(Ip)はそれぞれ−4.08eVと−6.03eVであった。この条件での第3電極の電子親和力は約−3.55eVと推定され有機半導体キノメタン電子親和力−4.08eVより大きな値となっている。
Figure 2008270501
実施例4
第1電極層20、第2電極層21として金、有機半導体としてペンタセン(化学式(3)、アルドリッチ社製)を用い、金属微粒子層を形成する際の蒸着源温度を約900℃とした以外は、実施例1と同一の条件で成膜して、実施例4のスイッチング素子を得た。この条件においてアルミ微粒子の約4μmであったが、その表面は酸化されており、断面観察の結果、内部のアルミニウム金属部分の直径は約1μmであった。この条件での第3電極のイオン化ポテンシャルは約−5.23eVと推定され有機半導体ペンタセンのイオン化ポテンシャル−5.20eVより小さい値となっている。
Figure 2008270501
比較例1
金属微粒子層を形成する際の蒸着源温度を約1100℃とした以外は、実施例2と同一の条件で井膜して、比較例1のスイッチング素子を得た。この条件においてアルミ微粒子の約20μmであったが、その表面は酸化されており、断面観察の結果、内部のアルミニウム金属部分の直径は約10μmであった。この条件での第3電極の電子親和力は約−3.97eVと推定され有機半導体C60の電子親和力−3.57eVより小さな値となっている。
比較例2
金属微粒子を形成する際の蒸着源温度を約1100℃とした以外は、実施例4と同一の条件で成膜して、比較例2のスイッチング素子を得た。この条件においてアルミ微粒子の約20μmであったが、その表面は酸化されており、断面観察の結果、内部のアルミニウム金属部分の直径は約10μmであった。この条件での第3電極のイオン化ポテンシャルは約−4.26eVと推定され有機半導体ペンタセンのイオン化ポテンシャル−5.20eVより大きな値となっている。
試験例1
実施例1、2、3と比較例1は有機半導体がn型、実施例4と比較例2は有機半導体がp型の材料である。実施例1、2、3、4で得られた金属微粒子分散層単独の電気抵抗を基板に平行な方向で測定した。電流経路の断面35nm×20nm、電流経路長さ30nmの条件での電気抵抗は、実施例1、2、3、4のいずれの場合も約3―20kΩの範囲内であった。即ち、金属微粒子同志は相互に接触していないが電気的導通は確保されている事が確認された。
また、実施例1、2、3、4の金属微粒子分散層は、幅50μmのマスク幅に対して、金属微粒子濃度の高い部分46が約60μm幅で形成され、その間の約240μm幅には金属微粒子濃度の低い部分47が形成されていた。これらは、蒸着マスクと基板の距離を大きめにとる事により、金属微粒子の回り込みを大きくした効果と考えられる。上記の実施例1〜4、比較例1、2のトランジスタ素子について、第1電極と第2電極の間に3Vの電圧を印加し、第3電極45の電圧を0Vから2V(実施例4と比較例2では0Vから−2V)へ変えた時のソースドレイン電流の変化を表1に示す。測定は室温、真空中で行った。
Figure 2008270501
表1の結果より、実施例1,2,3,4においてはゲート電圧0Vでのソースドレイン電流が抑制されており、on/off比として大きな値が得られている。一方、比較例1、2ではゲート電圧0Vでのソースドレイン電流が大きくon/off比が小さくなって、ゲート電圧印加による変調効果が得られていない。これらにより、本発明の効果は明瞭である。
上記実施形態によれば、有権半導体材料を用いた電界効果型トランジスタ素子において、ゲート電圧を印加しない状態での有機半導体層内での電荷誘起を抑制し、on/off比の高いトランジスタ素子を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
従来の横型トランジスタ素子の一実施形態を示す概略構成図である。 従来の素子における、有権半導体C60に対してアルミニウムをゲート電極とした場合のエネルギー準位図である。 (a)は本発明のトランジスタ素子の一実施形態を示す概略構成図、(b)は上図A−A’での断面図である。 微粒子状態でのアルミニウムと金のイオン化ポテンシャル(Ip)と電子親和力(Ea)の計算結果を示した説明図である。 本発明の素子における、有機半導体C60に対してアルミニウムをゲート電極とした場合のエネルギー準位図である。
符号の説明
10 基板
20 第1電極層
30 有機半導体材料層
40 金属微粒子分散層(第3電極)
45 電極
46 金属微粒子分散濃度の高い部分
47 金属微粒子分散濃度の低い部分
48 金属ゲート電極
31 有機半導体材料層
21 第2電極層
71 基板
72 ゲート電極
73 ゲート電気絶縁層
74 半導体層
75 ソース電極層
76 ドレイン電極層

Claims (3)

  1. 第1電極と第2電極の間に有機半導体層を配し、該有機半導体層に絶縁膜を介して接するよう設けられた第3電極の電位によって前記第1電極と前記第2電極の間に流れる電流を制御するトランジスタ素子であって、
    前記第3電極の電子親和力が前記有機半導体の電子親和力よりも大きいことを特徴とするトランジスタ素子。
  2. 第1電極と第2電極の間に有機半導体層を配し、該有機半導体層に絶縁膜を介して接するよう設けられた第3電極の電位によって前記第1電極と前記第2電極の間に流れる電流を制御するトランジスタ素子であって、
    前記第3電極のイオン化ポテンシャルが前記有機半導体のイオン化ポテンシャルよりも小さいことを特徴とするトランジスタ素子。
  3. 前記第3電極が、少なくとも前記有機半導体層内に形成された直径3nm以下の金属微粒子を構成要素として含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトランジスタ素子。
JP2007111017A 2007-04-19 2007-04-19 トランジスタ素子 Withdrawn JP2008270501A (ja)

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JP2010070596A (ja) * 2008-09-16 2010-04-02 Ricoh Co Ltd 有機顔料分散液、有機半導体層の形成方法、有機トランジスタの製造方法および有機トランジスタ
JP7562176B2 (ja) 2022-06-28 2024-10-07 北京夏禾科技有限公司 有機エレクトロルミネッセンス素子

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