JP2008269593A - ホップフィールドネットワーク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ニューロンの出力を求める場合に使用するニューロンの出力の算出式に磁場パラメータが含まれ、当該磁場パラメータは、磁場パラメータが初期値を負とし、時刻の経過により0、正、0となるように磁場パラメータ付与手段により求められるので、後説する実施形態の実験結果に示すようにより確実に最適解を求めることができる。また、ニューロン間の結合荷重係数を変化させることでネットワークのエネルギー状態を変化させて確実に最適解を求めることができる。
【選択図】図19
Description
このような経緯から、最適解を求める方法がいろいろと提案され、現在も様々な方面で研究され続けている。
清水保希:"ホップフィールドネットワークを利用した組み合わせ最適化問題の解探索法に関する研究",平成14年度佐賀大学理工学部電気電子工学科卒業研究論文,2003
さて、これまで磁場パラメータは初期値を負の値に設定し、最終的に0になるように与えられていた(非特許文献1)。
そこで、本発明では、磁場パラメータを一度正方向に増加させた後、0にするという操作を行った場合のシミュレーションを通して、その有効性を説明する。
前記ニューロンの算出式の一般式は次の通りである。
ここまでのホップフィールドネットワークについては、具体的には後記する第1の実施形態に詳説している。
また、この場合ネットワークのエネルギー関数及びニューロンの出力の算出式は以下のようになる。
これら前記の発明の概要は、本発明に必須となる特徴を列挙したものではなく、これら複数の特徴のサブコンビネーションも発明となり得る。
[1.要素技術]
本章では、まずホップフィールドネットワークの基本的な概念であるニューラルネットワークについて紹介した後、ホップフィールドネットワークの構造や動作、スピングラス理論との類似性について説明する。そして、仮想磁場漸弱法の考え方について述べる。
ニューラルネットワークとは、脳の情報処理方式を模擬しようというものである。そこでまず、脳の構造と情報処理方式について簡単に説明する。脳を構成している細胞は、140億個程度のニューロン(神経細胞)とその5〜10倍はあるというグリア細胞である(萩原将文,"ニューロ・ファジイ・遺伝的アルゴリズム",産業図書,1994)。
ホップフィールドネットワークとは、1982年に物理学者John Hopfieldが提案した相互結合型ニューラルネットワークの一つである。相互結合型ニューラルネットワークとは、すべてのニューロンが自分自身を除く他のすべてのニューロンと結合しており、図3に示すような構造をしている。ここで○(マル)はニューロンを、→(矢印)はニューロン間の結合を表している。いま、時刻tにおけるニューロンiの出力をVi(t)とおくと、次の時刻t+1における各ニューロンの出力は式(2.1)を参考にして
ホップフィールドネットワークでは、ニューロン間の結合荷重に関して次の特徴を仮定する。
さて、ここでスピングラス理論とホップフィールドネットワークとの対応関係を示す。
ここではホップフィールドネットワークにエネルギー関数を導入する起源となったスピングラス理論について述べる。スピングラスとは、強磁性体と反強磁性体がランダムに並んでいる磁性体のことである(高山一,“スピングラス”,丸善,1991)。磁性体を構成する磁性原子は最小の単位磁石として振る舞い、これがスピンと呼ばれるものにあたる。以下では、スピンを模式的に上向きと下向きの矢印として扱い、その2つの状態しか存在しないものと仮定する。
前述のように、ホップフィールドネットワークには一度エネルギーの谷に陥るとそこから抜け出せず、局所解(近似解)が求まるという問題点があった。この対策として、ボルツマンマシンやヒルクライミングタームが提案されていることは先に述べたが、近年、これに加えて新しく仮想磁場漸弱法が提案された。
本章では、前章で紹介した仮想磁場漸弱法の有効性について検討するため、クロスバ・スイッチ問題と呼ばれる組合せ最適化問題の中では特に制約条件の少ないものを取り上げて、計算機シミュレーションを行う。
クロスバ・スイッチ問題とは、組合せ最適化問題の中でも特に条件の少ないと言われている問題で、「n×nのマスの中にn個の要素を縦あるいは横方向へ重ならないように配置する」というものである。もともとは、n人の発信者とn人の受信者の間を結ぶ、有線通信路における交換機を設定するものであった。この問題は組合せ最適化問題を解く上で基礎となる問題であり、スケジューリングなどに応用できる応用性のある問題でもある。
・条件1:それぞれの行(横の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて“0”とする。
・条件2:それぞれの列(縦の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて“0”とする。
まず、条件1であるが、これに関わるエネルギー関数をE1(t)とおくと、横方向のニューロンの出力の総和が1であればよいので、
前述したように、仮想磁場漸弱法はスピングラス理論の磁場と等価である閾値を操作するものであるので、仮想磁場漸弱法を導入した場合のエネルギー関数は、磁場パラメータをθeとすると、
本実施形態に係る仮想磁場漸弱法を用いたホップフィールドネットワークは、ホップフィールドネットワークを構成するニューロンの中から一のニューロンを選択するニューロン選択手段1と、このニューロン選択手段1で選択されたニューロン以外の他のニューロンから選択されたニューロンへの入力を取得する入力取得手段2と、時刻tに応じて磁場パラメータを求める磁場パラメータ付与手段3と、前記入力取得手段2により取得した他のニューロンから選択されたニューロンへの入力及び磁場パラメータ付与手段3で求めた磁場パラメータに基づいてニューロンの出力を求める出力ニューロン算出手段4と、ニューロンの状態を記録するニューロン状態記憶手段5とを備える。
ニューロン状態記憶手段5は、出力ニューロン算出手段4により求まったニューロンの出力を一時的に記憶し、全てのニューロンについてニューロンの出力が求まった時点で次の時刻のニューロンの出力に更新する機能を有する。
次章以降においても、この図11ないし図13を用いた説明は同様であるため省略する。
前節で求めた状態遷移式とエネルギー関数を用いて計算機シミュレーションを行う。まず、定数A=B=1000とおき、繰り返し回数が10000[回]となるまで、式(3.17)に従ってニューロンの出力を更新する。なお、文献(Hiroshi Wakuya:"A new search method for combinatorial optimization problem inspired from the spin glass system"Abstracts of the 2nd International Conference on Brain-inspired Information Technology(BrainIT2005))において、磁場パラメータの与え方以外については開示されている。そこで、磁場パラメータの与え方について説示する。
また、繰り返し回数t=10000となるまで、以下の式に従ってニューロンの出力を更新する。
ここでは、t=5000の時に磁場パラメータが0となるように固定したまま、t=0における初期値θe(0)を変化させて、その影響について調べてみた。具体的には、式(3.21)に従って磁場パラメータを制御したときの正答率について上と同様に1000通りの異なる初期状態を用意して検討した。
ここでは、各ニューロンの出力がどのように変化して正解に辿り着いているのかについて、上述のθe(0)=−500の場合を取り上げて調べてみた。図17にn=5のときのニューロンの状態遷移の一例を示すが、これによると、t=1でニューロンの出力が変化した以降は、仮想磁場が消失する直前のt=4999まで変化がない。そして、t=5000以降にいくつかのニューロンの出力が変化して、正解に辿り着いていることがわかる。このように、仮想磁場が0になった時点よりも後にニューロンの出力変化が認められる原因を追究するため、このときのθeの詳細な値について調べた。その結果、表3に示すように微小な値ではあるが、t=5000以降に磁場パラメータの値が正値となって残っていることが判明した。これは、式(3.20)の計算を10進数で行うと、ちょうど割り切れてt=5000の時に磁場パラメータθeが0となるが、コンピュータが2進数に基づいた演算を行っていることを考慮すると、実際には割り切れず、計算過程でわずかな誤差が累積されていき、最終的に磁場パラメータが正値になってしまった。そこで、このような状況にはならないようにt=5000の時に強制的にθe=0として、厳密な意味で式(3.20)を満足するようにして再び計算機シミュレーションを行ったところ、正答率は従来法と同様になり、仮想磁場漸弱法の効果が消失してしまうことが明らかになった。
[3.1 エネルギー関数の導出]
前章では、クロスバ・スイッチ問題という制約条件の少ない組合せ最適化問題を取り上げ、これに仮想磁場漸弱法を導入した結果、磁場パラメータの初期値設定に関する自由度は大きく、負値から始めて最終的には符号が反転して正値になればよいことを確認した。そこで、同様のことが制約条件の増えた場合でも成立するかについて、nクィーン問題やナンバー・プレイス問題などの組合せ最適化問題を取り上げ、計算機シミュレーションを通して詳細に検討する。
まずここでは、[2.2 計算機シミュレーション]と同じように、上述の問題のエネルギー関数を求めてみることにする。そして、それぞれの問題を解くためのホップフィールドネットワークの構造を決定する。
nクィーン問題とは、n×nの升目上に、チェスのコマであるクィーンn個を互いに効きが当たらないように配置する問題である。チェスのクィーンのコマは縦・横・斜め方向に何マスでも進めることができるので、nクィーン問題をホップフィールドネットワークに適した表現にすると、n×nの行列状にニューロンを配置し、クィーンを置く場所を“1”、それ以外を“0”とすればよい。このとき最適解を求めるための制約条件は以下の4つである。
・条件1:行列のそれぞれの行(横の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて0とする。
・条件2:行列のそれぞれの列(縦の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて0とする。
・条件3:行列のそれぞれの左上・右下の斜め方向には、“1”が1つだけで残りは“0”、あるいはすべて“0”とする。
・条件4:行列のそれぞれの左下・右上の斜め方向には、“1”が1つだけで残りは“0”、あるいはすべて“0”とする。
ナンバー・プレイス問題とは、別名「数独」と呼ばれる「9×9の升目上に、縦・横各列と3×3の9個の正方形エリアに1から9の数字を重複しないように1つずつあてはめる」という問題のことである。広義には、「n×nの升目上に1からnまでの数字を縦・横重複しないように配置する」という場合にも用いられる。以下では、後者の意味として、この問題を扱うものとする。
・条件1:それぞれの行(横の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて“0”とする。
・条件2:それぞれの列(縦の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて“0”とする。
・条件3:それぞれの高さ方向には、“1”が1つだけで残りはすべて“0”とする。
[3.2.1 実験方法]
前章で行ったクロスバ・スイッチ問題における計算機シミュレーションより、繰り返し回数は10000回より少なくても同様の結果を得られることが確認できた。そこで、ここでは計算時間を短縮するという目的から繰り返し回数tを30回としてニューロンの出力を更新する。このとき、乱数で決定した1000通りの初期値を用意して、領域数nを増加させたときの正答率を調べる。また、磁場パラメータの与え方による正答率の変化について検討するため、初期値θe(0)<0を変化させ、以下の3通りとしたときの結果を比較する。
ここでは、nクィーン問題を取り上げるに当たり、斜め方向に関する制約条件を縦・横方向に関する制約条件よりも重視するため、定数A=B=1000、C=D=2000とおき、また上述の実験方法で磁場パラメータの初期値をθe(0)=−1として、計算機シミュレーションを行った。そのときの結果を図20に示す。この結果から、領域数n≦6の範囲では、(b)のような磁場パラメータの与え方が最も有効であるといえる。領域数nが大きくなった場合は、(c)のような磁場の与え方をした場合の方が全体的にみて正答率がよく、さらに(c)の場合は領域数nが大きくなっても最適解が求められている。また、(a)の磁場の与え方の正答率は、従来のホップフィールドネットワークと同様の結果となるため、仮想磁場漸弱法の有効性が消失してしまった。したがって、磁場パラメータは負値から始めて正方向に変化させることが重要であるといえる。
ここでは、ナンバー・プレイス問題を取り上げるに当たり、3つの制約条件を同等に扱うため、定数A=B=C=1000とおき、また上述の磁場パラメータの初期値をθe(0)=−1として、計算機シミュレーションを行った。このときの正答率は、従来のホップフィールドネットワークのときと同じで、変化が認められなかった。これは、磁場パラメータの初期値が小さく、ネットワークに及ぼす影響が小さかったためと考えられる。そこで、磁場パラメータの初期値を正答率に変化がみられるまで増加させていったところ、例えば、図21と図22に示すような結果が得られた。これらは、磁場パラメータの初期値をθe(0)=−10000、−15000とした場合で、両者とも(c)のような磁場パラメータの与え方をした場合に成績がよい。これは、領域数n=8においても最適解が求められていること、また正答率が全体的に(a)、(b)よりもよくなっているという2つの事実から明らかである。したがって、ナンバー・プレイス問題においても、やはり(c)のような磁場パラメータの与え方が効果的であるといえるだろう。
本実施形態では、計算機シミュレーションを通して検討した結果、仮想磁場漸弱法で用いる磁場パラメータは、負値から正値に変化させて与えることにより、その有効性が発揮できることを説示した。
また、今回は3通りの磁場パラメータの与え方を取り上げて検討を行った。
本実施形態では、仮想磁場漸弱法において負の方向から0に向かって磁場パラメータを与えるという従来の発想を発展させ、負の方向から正の方向へ反転させて与えることで、著しい性能改善が達成できることを示した。また、3つの組合せ最適化問題を取り上げて、実際に組合せ最適解の探索を行うことにより、その有効性を説示した。
以下に、上記結論を導いた理由付けとして、仮想磁場漸弱法で用いる磁場パラメータによる動作の影響に着目し、解析的な手法を用いた検討を行った結果を示す。また、磁場パラメータを操作した際のエネルギー関数への影響についても、幾何学的な観点から検討した結果を示す。
ここでは、いくつかの組み合わせ最適化問題に対して、仮想磁場漸弱法を導入したホップフィールドネットワークを用いて、計算機シミュレーションによる解探索を行う。ニューロン出力の繰り返し計算回数は100回で、仮想磁場パラメータθは、図24に示すように、負値から正値に変化させ、その後、零に戻るような設定とする。この時のθe(t)を以下の式で定義する。
[5.2.1 クロスバ・スイッチ問題]
ここでは、磁場パラメータによる動作の影響について解析的な手法を用いて検討する。簡単のため、領域数nは3とし、(x,y)=(1,2)にのみ着目しているが、基本的に他の場合でも同様である。A=B=100、n=3、x=1、y=2なので、式(6.3)、(6,4)より、
発火ニューロンがない場合、式(6.13)より
発火ニューロンが1個の場合、式(6.13)より
発火ニューロンが2個の場合、式(6.13)より
クロスバ・スイッチ問題と同様にして、nクイーン問題について検討する。簡単のため、領域数nは4とし、(x,y)=(1,2)にのみ着目しているが、基本的に他の場合でも同様である。ここで、A=B=100、C=D=200、n=4、x=1、y=2なので、式(6.6)、(6.7)より、
1.第1項(1−δ1a)δ2b=0よりa=1∨b≠2
2.第2項(1−δ2b)δ1a=0よりa≠1∨b=2
3.第3項δ1-a,2-b=0より1−a≠2−b ∴a≠b−1
4.第4項δ1+2,a+b=0より1+2≠a+b ∴a+b≠3
である。一般に自己結合もないので、
発火ニューロンがない場合、式(6.22)より、
発火ニューロンが縦または横方向に1個の場合、式(6.22)より、
発火ニューロンが斜め方向に1個の場合、式(6.22)より、
発火ニューロンが縦または横方向に2個の場合、式(6.22)より、
発火ニューロンが縦または横方向に1個、さらに斜め方向に1個の場合、式(6.22)より、
以下に、磁場パラメータを変えることで、どのようにして局所解から抜け出したのかをエネルギー関数という観点から検討する。
一例として、ここではクロスバ・スイッチ問題について検討する。なお当然のことながら、nクイーン問題においても同様の議論が成り立つ。まず図29の状態遷移をニューロンの発火を「1」、静止を「0」として描き直したものが図33であり、状態が変化したニューロンを丸印で囲んでいる。また、それぞれの状態で、仮想磁場パラメータθeが50、0、−50のときのエネルギー関数
本章(5.動作メカニズム)において、クロスバ・スイッチ問題及びnクイーン問題の解探索を通して、その動作メカニズムについての検討を行った。仮想磁場漸弱法とは、他のニューロンからの信号の荷重和と閾値の関係によって当該ニューロンの出力を決定する際に、仮想磁場パラメータに対応する閾値を操作することでニューロンの出力制限を変えるというものである。その仮想磁場パラメータには、表4、表5で示したように、ニューロン出力が変わる臨界値が存在する。
また、仮想磁場パラメータを正へ振らせることで正答率が上がったのは、臨界値を超えてニューロンの発火のしやすさが変わったためである。
メカニズムについて詳細な検討を行った結果、仮想磁場パラメータにはニューロン出力が変わる臨界値が存在することが明らかとなり、仮想磁場パラメータの極性を反転することで正答率が改善されたのは、臨界値を超えることでニューロンの発火のしやすさが変わったためであることが解明された。また、エネルギー関数という観点から仮想磁場漸弱法の動作メカニズムを検討した結果、仮想磁場パラメータを操作することでエネルギー関数の形状が変化し、その結果として局所解から抜け出し、最適解に到達していることが明らかとなった。
[ニューロンの出力の反転]
前説したようにクロスバ・スイッチ問題においての制約条件は次の通りであった。
・条件1:それぞれの行(横の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて“0”とする。
・条件2:それぞれの列(縦の並び)には、“1”が1つだけ存在し、残りはすべて“0”とする。
・条件1:それぞれの行(横の並び)には、“0”が1つだけ存在し、残りはすべて“1”とする。
・条件2:それぞれの列(縦の並び)には、“0”が1つだけ存在し、残りはすべて“1”とする。
・乱数で決定した1000[通り]の初期状態を用意
・領域数nを増やしたときの正答率を調べる
このシミュレーション条件におけるナンバー・プレイス問題の結果は図36の通りである。仮想磁場漸弱法を用いたホップフィールドネットワークにおいてニューロンの出力を反転させた場合も、ニューロンの出力を反転させない場合に劣ることない正答率を維持しているだけでなく、若干上回っている。
[1 結合荷重の算出]
第1の実施形態で示したように、ネットワークの状態とエネルギーの関係を検討することで本発明の仮想磁場漸弱法を用いたホップフィールドネットワークは、エネルギー関数の形状を変化させるような動きをしていたことがわかる。第1の実施形態及び第2の実施形態においては、閾値θの値に着目して操作を行ったが、本実施形態では結合荷重wを変化させる。すなわち、式(1.2)及び式(1.3)において、結合荷重係数kにより結合荷重を変化させる。
また、結合荷重係数算出手段6は、ニューロン間の結合係数が予め登録された結合荷重係数データ(図示しない)に基づいて結合荷重を算出してもよい。
さらにまた、磁場パラメータ出力手段3を備える構成とした場合には、磁場パラメータの出力値をθ=0に固定しておいてもよい。
さらにまた、磁場パラメータを求める処理を含める場合には、磁場パラメータの出力値をθ=0として求めるようにしてもよい。
[2−1 クロスバ・スイッチ問題の場合]
図40は、クロスバ・スイッチ問題における正答率の変化を示すグラフである。図40(a)は、時間tにおける結合荷重係数kの値を示したグラフであり、k=1.0を中心にk=0.1からk=1.1までの値に変化させている。なお、ここでは、段階的にkの値を変化させたが、連続的に変化させても同様の結果が得られるはずである。図40(b)は、従来法と結合荷重係数kを変化させた場合との正答率の変化を示す。従来法はk=1と固定したままで、通常のホップフィールネットワークと同じである。
図41は、nクイーン問題における正答率の変化を示すグラフである。図41(a)は、図40(a)と同様に、時間tにおける結合荷重係数kの値を示したグラフであり、k=1.0を中心にk=0.1からk=1.1までの値に変化させている。なお、ここでは、段階的にkの値を変化させたが、連続的に変化させても同様の結果が得られるはずである。図41(b)は、従来法と結合荷重係数kを変化させた場合との正答率の変化を示す。従来法はk=1と固定したままで、通常のホップフィールネットワークと同じである。
磁場パラメータを含む閾値θ以外に、結合荷重wを操作した場合にもθを操作した場合と同様の結果を得ることができることが説示された。
仮想磁場漸弱法を用いたホップフィールドネットワークは、エネルギー関数の形状を変化させるような動きをしていることから、結合荷重wを操作した場合も著しい性能改善が達成できることを示した。また、クロスバ・スイッチ問題については領域数が増えても正答率100%を維持するという顕著な効果が示され、nクイーン問題についても一定の効果があることが示された。
2 入力取得手段
3 磁場パラメータ付与手段
4 出力ニューロン算出手段
5 ニューロン状態記憶手段
10 コンピュータ
101 CPU
102 メインメモリ
103 MBチップセット
104 ビデオカード
111 HDD
112 ブリッジ回路
113 ネットワークインタフェース
121 光学ドライブ
122 キーボード
123 マウス
Claims (13)
- すべてのニューロンが自己を除く他のすべてのニューロンと結合したホップフィールドネットワークであって、
任意のニューロンを選択するニューロン選択手段と、
当該ニューロン選択手段で選択されたニューロン以外の他のニューロンから選択されたニューロンへの入力を取得する入力取得手段と、
時刻に応じた磁場パラメータを求める磁場パラメータ付与手段と、
前記入力取得手段により取得した他のニューロンから選択されたニューロンへの入力及び磁場パラメータ付与手段で求めた磁場パラメータに基づいてニューロンの出力を求める出力ニューロン算出手段とを含み、
前記ニューロン選択手段、入力取得手段、磁場パラメータ付与手段及び出力ニューロン算出手段を順次繰り返し実行し、
前記磁場パラメータ付与手段は、磁場パラメータの初期値が負であり、時刻の経過に伴って漸次大きくなって磁場パラメータが0となり、少なくとも1回は磁場パラメータが正の値となって再び0となるように磁場パラメータを求めるホップフィールドネットワーク。 - 前記磁場パラメータ付与手段は、磁場パラメータが0となり、正の値となって再び0となる時刻を繰り返し実行の終了時点とする
前記請求項1に記載のホップフィールドネットワーク。 - 前記磁場パラメータ付与手段は、時刻の経過に伴って磁場パラメータの絶対値を小さくしながら負と正を順次繰り返すように磁場パラメータを求める
前記請求項1に記載のホップフィールドネットワーク。 - すべてのニューロンが自己を除く他のすべてのニューロンと結合したホップフィールドネットワークであって、
任意のニューロンを選択するニューロン選択手段と、
当該ニューロン選択手段で選択されたニューロン以外の他のニューロンから選択されたニューロンへの入力を取得する入力取得手段と、
時刻に応じた磁場パラメータを求める磁場パラメータ付与手段と、
前記入力取得手段により取得した他のニューロンから選択されたニューロンへの入力及び磁場パラメータ付与手段で求めた磁場パラメータに基づいてニューロンの出力を求める出力ニューロン算出手段とを含み、
前記ニューロン選択手段、入力取得手段、磁場パラメータ付与手段及び出力ニューロン算出手段を順次繰り返し実行し、
前記磁場パラメータ付与手段は、磁場パラメータの初期値が正であり、時刻の経過に伴って漸次小さくなって磁場パラメータが0となるように磁場パラメータを求めるホップフィールドネットワーク。 - 前記磁場パラメータ付与手段は、磁場パラメータが0となる時刻を繰り返し実行の終了時点またはその近傍とする
前記請求項4に記載のホップフィールドネットワーク。 - 前記磁場パラメータ付与手段は、磁場パラメータが0となった後に、少なくとも1回は磁場パラメータが負の値となって再び0となる
前記請求項4に記載のホップフィールドネットワーク。 - 前記磁場パラメータ付与手段は、磁場パラメータが0となり、負の値となって再び0となる時刻を繰り返し実行の終了時点またはその近傍とする
前記請求項6に記載のホップフィールドネットワーク。 - 前記磁場パラメータ付与手段は、時刻の経過に伴って磁場パラメータの絶対値を小さくしながら正と負を順次繰り返すように磁場パラメータを求める
前記請求項4に記載のホップフィールドネットワーク。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載のホップフィールドネットワークにおいて、
前記ニューロン選択手段で選択されたニューロン及び前記入力取得手段で取得した他のニューロンとの結合荷重を算出する結合荷重算出手段を備え、
前記ニューロン選択手段、入力取得手段、結合荷重算出手段、磁場パラメータ付与手段及び出力ニューロン算出手段を順次繰り返し実行し、
前記結合荷重算出手段が、前記結合荷重に関する任意の結合荷重係数に基づいて、前記結合荷重を変化させて算出することを特徴とするホップフィールドネットワーク。 - 請求項9に記載のホップフィールドネットワークにおいて、
前記結合荷重算出手段が、前記ニューロン選択手段で選択されたニューロンと当該選択されたニューロン以外のニューロンとの結合状態に基づいて、各ニューロンごとに重み付けをして結合荷重係数を求めることを特徴とするホップフィールドネットワーク。 - すべてのニューロンが自己を除く他のすべてのニューロンと結合したホップフィールドネットワークであって、
任意のニューロンを選択するニューロン選択手段と、
前記ニューロン選択手段で選択されたニューロン以外の他のニューロンから選択されたニューロンへの入力を取得する入力取得手段と、
前記ニューロン選択手段で選択されたニューロン及び前記入力取得手段で取得した他のニューロンとの結合荷重を算出する結合荷重算出手段と、
前記入力取得手段により取得した他のニューロンから選択されたニューロンへの入力及び前記結合荷重算出手段により算出した結合荷重に基づいてニューロンの出力を求める出力ニューロン算出手段とを含み、
前記ニューロン選択手段、入力取得手段、結合荷重算出手段及び出力ニューロン算出手段を順次繰り返し実行し、
前記結合荷重算出手段が、前記結合荷重に関する任意の結合荷重係数に基づいて、前記結合荷重を変化させて算出することを特徴とするホップフィールドネットワーク。 - 請求項11に記載のホップフィールドネットワークにおいて、
時刻に応じた磁場パラメータを求める磁場パラメータ付与手段を備え、
前記入力取得手段により取得した他のニューロンから選択されたニューロンへの入力、前記結合荷重算出手段により算出した結合荷重及び磁場パラメータ付与手段で求めた磁場パラメータに基づいてニューロンの出力を求める出力ニューロン算出手段とを含み、
前記ニューロン選択手段、入力取得手段、結合荷重算出手段、磁場パラメータ付与手段及び出力ニューロン算出手段を順次繰り返し実行することを特徴とするホップフィールドネットワーク。 - 請求項12に記載のホップフィールドネットワークにおいて、
前記結合荷重算出手段が、前記ニューロン選択手段で選択されたニューロンと当該選択されたニューロン以外のニューロンとの結合状態に基づいて、各ニューロンごとに重み付けをして結合荷重係数を求めることを特徴とするホップフィールドネットワーク。
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0476659A (ja) * | 1990-07-13 | 1992-03-11 | Toshiba Corp | ニューラルネット |
JPH07152715A (ja) * | 1993-12-01 | 1995-06-16 | Fujitsu Ltd | ホップフィールド型ニューラルネットワークを用いたパターン学習装置,及び、パターン想起装置 |
JPH0877132A (ja) * | 1994-08-31 | 1996-03-22 | Victor Co Of Japan Ltd | 相互結合型ニューラルネットワークの学習方法 |
JP2001075938A (ja) * | 1999-08-19 | 2001-03-23 | Masa Tou | 情報処理方式及び装置 |
-
2008
- 2008-03-28 JP JP2008087189A patent/JP5207289B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0476659A (ja) * | 1990-07-13 | 1992-03-11 | Toshiba Corp | ニューラルネット |
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Title |
---|
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JPN6012039251; Hiroshi Wakuya: 'A new search method for combinatorial optimization problem inspired by the spin glass system' International Congress Series vol.1291, 20060609, p.201-204 * |
JPN6012056843; 唐 政, 他4名: 'ホップフィールドネットワークにおける山登り学習法' 電子情報通信学会論文誌 第J83-A巻, 第3号, 20000325, p.319-331, 社団法人電子情報通信学会 * |
JPN7012003030; 宮崎 真梨, 他1名: '仮想磁場漸弱法における磁場パラメータ制御法-組み合わせ最適化問題の効率的な解探索を目指して-' 第3回人工頭脳工学シンポジウム講演論文集 , 20070304, p.12-13, 佐大Brain2006プロジェクト事務局 * |
JPN7012003031; 宮崎 真梨: '仮想磁場漸弱法を用いた組み合わせ最適解探索時の磁場パラメータ制御法' 平成18年度 学士論文発表会アブストラクト , 20070219, 国立大学法人佐賀大学 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP5207289B2 (ja) | 2013-06-12 |
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