JP2008267089A - 地中ガス検知装置及び地中ガスの検知方法 - Google Patents
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【課題】ガスの種類に関わらず簡単な構成で地中のガスを検知可能な地中ガス検知装置を提供する。
【解決手段】岩盤Gに削孔された孔7内の孔軸方向の地下水やガスの流れを遮断するためのパッカー2と、そのパッカー2,2間を孔壁に沿って接続するストレーナ管3と、そのストレーナ管内に配置されて孔軸方向の複数個所の圧力を測定する圧力センサ41,・・・と、パッカーを遠隔から拡張させるための送水管5とを備えている。
ここで、圧力センサ41は、連続する一本の光ファイバ4に孔軸方向に間隔を置いて複数個所に設ける構成とすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】岩盤Gに削孔された孔7内の孔軸方向の地下水やガスの流れを遮断するためのパッカー2と、そのパッカー2,2間を孔壁に沿って接続するストレーナ管3と、そのストレーナ管内に配置されて孔軸方向の複数個所の圧力を測定する圧力センサ41,・・・と、パッカーを遠隔から拡張させるための送水管5とを備えている。
ここで、圧力センサ41は、連続する一本の光ファイバ4に孔軸方向に間隔を置いて複数個所に設ける構成とすることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、岩盤などの地中における地下水などにガスが含まれている場合があり、そのようなガスの有無を検知する地中ガス検知装置及び地中ガスの検知方法に関するものである。
岩盤又は地盤で形成された地中を流れる地下水中には、メタンなどの天然ガスが存在していることがあり、地中を掘削する工事中に、この天然ガスが坑内に大量に湧出すると発火や中毒の原因となり、危険である。
また、従来、岩盤に空洞を掘削して、その地下空洞を液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)の備蓄に利用することが知られている(特許文献1など参照)。
この特許文献1には、パッカーによって隔離された孔内において、地下水の特性を、水圧センサ、pHセンサ、温度センサなどによって測定し、水質の変化をモニタリングする地下水モニタリングシステムが開示されている。
特開2007−16587号公報
しかしながら、特許文献1に開示された地下水モニタリングシステムでは、水圧センサは、地下水の経時的な変化を監視するモニタリングに使用されるものであり、パッカーによって区切られて閉鎖された区間毎に一つずつ配置されるだけである。
また、地下水位の水質を分析するためのセンサは、検知可能な物質を特定したうえで選択しなければならず、想定外の種類のガスが含まれていた場合は検知できない。
さらに、配置するセンサの種類が増えると、コストが増加するだけでなく、狭いボーリング孔内に同時に多くのセンサを配置する作業は難易度が高い。
そこで、本発明は、ガスの種類に関わらず簡単な構成で地中のガスを検知可能な地中ガス検知装置、及び地中ガスの検知方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の地中ガス検知装置は、地中に削孔された孔内の孔軸方向の流体の流れを遮断するためのパッカーと、そのパッカー間又はパッカーと孔底間を孔壁に沿って接続するストレーナ管と、そのストレーナ管内に配置されて前記孔軸方向の複数個所の圧力を測定する圧力センサと、前記パッカーを遠隔から拡張させる拡張手段とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記圧力センサは、連続する一本の光ファイバに前記孔軸方向に間隔を置いて複数個所に設ける構成とすることができる。
また、前記パッカーは、前記圧力センサに繋がる通信線を挿通させる中空部と、その外周を覆う外周部とを備え、遠隔からその外周部の内圧を上昇させると、その外周側の周面は孔壁方向に拡張し、内周側の周面は前記通信線方向に拡張する構成とすることができる。
さらに、本発明の地中ガスの検知方法は、地中に削孔された孔内の孔軸方向の流れを遮断するパッカーを配置する工程と、前記パッカーによって区切られた測定区間の孔軸方向の複数個所の圧力を測定する工程と、前記測定区間の前記孔軸方向の圧力分布を作成する工程とを備えたことを特徴とする。
このように構成された本発明の地中ガス検知装置は、パッカーで区切られた孔内の圧力を複数個所で測定する。そして、その測定値に基づいてパッカーで区切られた区間の圧力分布が作成でき、そこからガスの有無を判定することができる。
このため、ガスの種類を特定しなくても地中にガスが存在するか否かを知ることができる。
また、センサとしては圧力センサを配置するだけでよいので、簡単な構成とすることができるうえに、同時に地下水圧を測定することができる。
さらに、一本の光ファイバに間隔を置いて複数の圧力センサを設ける構成であれば、複数の圧力センサを設置するために孔内に挿入する通信線も一本の光ファイバで済むことになるので、狭い孔内で複数のケーブルが錯綜せず、より簡単な構成とすることができる。
また、パッカーの拡張する面を、孔壁方向と通信線方向の両方にすることで、孔壁とパッカー外周面との間を通過する地下水を遮断できるだけでなく、通信線周囲の隙間から漏れ出す水をも遮断することができる。
また、本発明の地中ガスの検知方法では、パッカーで区切られた測定区間の圧力分布を測定するだけで、地中にガスが存在するか否かを容易に知ることができる。
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一対のパッカー2,2で区切られた地中ガス検知装置1の構成を説明する説明図であって、図2は、複数の測定区間で地中ガスの検知をおこなう地中ガス検知システム10の全体構成を説明する断面図である。
まず、地中ガス検知装置1の構成について説明すると、図1に示すように、この地中ガス検知装置1は、地中である岩盤Gを切削して形成した孔7の孔軸方向に間隔を置いて配置したパッカー2,2と、そのパッカー2,2間を孔壁に沿って接続する筒状のストレーナ管3と、そのストレーナ管3の略中央に管軸に沿って配置される圧力センサ41,・・・を備えた光ファイバ4と、パッカー2を拡張させる拡張手段としての送水管5とから主に構成される。
パッカー2の詳細構造については後述するが、パッカー2は、孔軸方向に孔内を流れる地下水やガスなどの流体の流れを遮断するために配置するもので、パッカー2,2で区切られた測定区間は、上下の区間から隔離された領域になる。
また、ストレーナ管3は、地盤Gからの砂や異物などの侵入を遮り、地下水やガスだけを管内に導くために、周面が網材によって形成された管材である。
また、光ファイバ4には、軸方向に間隔を置いて複数の圧力センサ41(FBG(Fiber Bragg Grating)型センサ)を設けることができる。
この光ファイバ4は、円柱状のコア部とそれを覆う鞘状のクラッド部との二重構造になっており、コア部の屈折率をクラッド部より高めることで光を伝播させることができる。
そして、光ファイバ4の途中の特定部分のコア部に、グレーティングと呼ばれる屈折率が異なる部分を所定の間隔で格子状に並べてFBG部を設けると、光ファイバ4に入射された入射光のうちブラッグ波長と呼ばれる波長成分がこのFBG部で反射されることになる。このブラッグ波長のシフト量分は、圧力に依存して変化するので、このFBG部を圧力センサ41として利用することができる。
この圧力センサ41は、光ファイバ4の軸方向に例えば10cm程度の間隔で複数個所に設ける。
また、図2に示す地中ガス検知システム10は、複数の地中ガス検知装置1,1A,・・・と、光ファイバ4の上端を接続して圧力センサ41,・・・からの測定値を取り込むデータロガーなどの測定器42と、孔7内に溜まったメタンなどの天然ガスを採取するガス吸引管6とから主に構成される。
ここで、岩盤Gを削孔した孔7の上部には、坑口を保護するためのケーシング管71が挿し込まれ、その周囲にはセメントミルクなどが注入されて充填部73が形成されている。
また、ケーシング管71の上端にはフランジ部72が設けられ、そのフランジ部72に光ファイバ4やガス吸引管6の地表に突出した部分を固定する。
さらに、パッカー2は、孔底7aから例えば5 m間隔で配置され、このパッカー2,2で区切られた測定区間は、一本の孔7に例えば10箇所以上設けられる。
そして、これらの地中ガス検知装置1A,1,・・・には、連続した一本の光ファイバ4が配置され、その上端が測定器42に接続される。すなわち、光ファイバ4は、複数の圧力センサ41,・・を備えるとともに、その圧力センサ41,・・・からの測定値を測定器42に送る通信線としての機能も備えている。
また、ガス吸引管6は、開口した先端を上下させることで所定の測定区間に配置される。図2では、ガス吸引管6の先端は、孔底7aと最下段のパッカー2との間に設けた地中ガス検知装置1Aの測定区間に配置されている。
続いてパッカー2の詳細構成について、図3を参照しながら説明する。
このパッカー2は、光ファイバ4を挿通させる中空部2aと、その外周を覆う外周部2bとを備えている。
このパッカー2には、上下方向(孔7内では孔軸方向)に間隔を置いて円盤状の上蓋部23と下蓋部24とがそれぞれ配置され、上蓋部23の上方と下蓋部24の下方にはジョイント部23b,24bがそれぞれ取り付けられる。このパッカー2には、ジョイント部23b,24bを介してストレーナ管3,3がそれぞれ接続される。
また、上蓋部23と下蓋部24には、略中央に円筒状のガイド部23c,24cがそれぞれ突設され、その中央には上蓋部23と下蓋部24とをそれぞれ貫通する穴が設けられて光ファイバ4が挿入される。
さらに、このガイド部23c,24c間には、円筒状の内側ゴムチューブ22の上端と下端がそれぞれ嵌め込まれ、その外側に配置した固定リング22a,22aをかしめることによって、内側ゴムチューブ22は上蓋部23と下蓋部24に固定される。そして、この光ファイバ4が挿通されている部分が中空部2aとなる。
また、上蓋部23の外周面と下蓋部24の外周面との間は、円筒状の管材部25で接続される。この管材部25の周壁には、中空部2a側と孔壁側とを貫通させる連通孔25aが設けられている。
また、この管材部25の外周面は、円筒状の外側ゴムチューブ21で覆われる。この外側ゴムチューブ21の上端と下端には、固定リング21a,21aがそれぞれ配置され、それらをかしめることによって外側ゴムチューブ21は管材部25に固定される。
さらに、管材部25の上部はジョイント部23bの下部に覆われ、管材部25の下部はジョイント部24bの上部に覆われ、管材部25とジョイント部23b,24bとの間にはOリング25b,25bがそれぞれ配置されて止水処理が施されている。
そして、外周側の周面が外側ゴムチューブ21で形成され、内周側の周面が内側ゴムチューブ22で形成された外周部2bには、送水管5を通じて水が充填される空間が形成されている。
すなわち、上蓋部23及び下蓋部24には、上下方向に貫通する送水穴23a,24aがそれぞれ設けられていて、その送水穴23a,24aには送水管5,5がそれぞれ接続される。
そして、送水管5から水が外周部2bに送り込まれると、外周部2bの内圧が上昇して内側ゴムチューブ22が光ファイバ4に密着することになる。ここで、この内側ゴムチューブ22の変形は収縮であるが、内側ゴムチューブ22を外周部2bの内周側の周面と見るとこの変形は拡張である。
さらに、外周部2bに充填された水は、連通穴25aから漏れ出して管材部25と外側ゴムチューブ21との間に充填されて、外側ゴムチューブ21を孔壁方向に拡張させる。
このように光ファイバ4の外周に内側ゴムチューブ22を密着させ、孔壁に外側ゴムチューブ21を密着させることで、孔7内の孔軸方向の流体の流れが遮断される。
また、下蓋部24の送水穴24aに送水管5を接続しておくことで、下方のパッカー2にも水を送ることができる。
次に、本実施の形態の地中ガスの検知方法と、地中ガス検知装置1及び地中ガスの検知方法の作用について説明する。
まず、図2に示すように、岩盤Gを掘削して孔7を構築する。この孔7は、例えば直径が50 mm〜200 mm、長さが数m〜数1000 mになる。
また、この作業と並行して、孔7の長さより長い光ファイバ4に、拡張させる前の状態のパッカー2,・・・を取り付け、図1,3に示すように送水管5でパッカー2,2間を接続しておき、最上段のパッカー2には地表に突出する長さの送水管5を接続しておく。また、ガス吸引管6の先端は、図2に示すように最下段のパッカー2の下方に突出させておく。
さらに、パッカー2,2間は、測定区間においてはストレーナ管3で接続し、それ以外の個所は、図示していないが、ロッドやワイヤーなどで連結する。
そして、図2に示すようにパッカー2,・・・などが取り付けられた光ファイバ4を孔7内に挿入し、光ファイバ4の下端が孔底7aに接しない位置で孔7から地表に突出した部分をフランジ部72に固定し、上端を測定器42に接続する。
続いて、地表に突出した送水管5の上端から水を注入すると、パッカー2,・・・が下方から順次膨張し、孔壁に押し付けられて孔7内に固定される。
そして、図1に示すように、圧力センサ41,・・・が検出した測定値を測定器42に取り込み、その測定値に基づいて測定区間の孔軸方向の圧力分布図を作成する。
例えば、地中ガス検知装置1の測定区間の岩盤Gに亀裂G1が存在し、その亀裂G1から天然ガスなどのガスが測定区間に侵入すると、水よりも比重の軽いガスは上方に集まることになる。
すなわち、地下水中にガスが含まれている場合、測定区間の上部にガスが、下部に地下水が溜まることになる。そして、測定区間の複数個所で圧力センサ41,・・・によって圧力を測定し、圧力分布図を作成すると、ガスと水との境界(水面W)で圧力勾配が変化する変化点が現れ、測定区間にガスが存在すると判定できる。
なお、このガスは、毛管圧力との関係で、一度、測定区間に取り込まれると、再び亀裂G1に漏れ出すことは少ない。
また、測定区間の上部に溜まったガスは、ガス吸引管6によって地表から採取して、その成分を分析することができる。すなわち、ガス吸引管6を引き上げて、その先端を、ガスが存在すると判定された測定区間の上部に移動させることで、上部に溜まったガスを採取することができる。
このように構成された本実施の形態の地中ガス検知装置1は、パッカー2で区切られた孔7内の圧力を複数個所で測定する。そして、パッカー2で区切られた測定区間の圧力分布から、ガスの有無を判定することができる。
このため、ガスの種類を特定しなくても地中にガスが存在するか否かを知ることができる。また、同時に地下水の圧力を測定できるので、その地下水が被圧地下水か否かなどを知ることもできる。
また、センサとしては圧力センサ41を配置するだけでよいので、狭い孔7内に複数種類のセンサを配置しなければならない場合に比べて簡単な構成とすることができる。
さらに、一本の光ファイバ4に間隔を置いて複数の圧力センサ41,・・・を設ける構成であれば、複数の圧力センサ41,・・・を設置するために孔7内に挿入する通信線も一本の光ファイバ4で済むことになるので、狭い孔7内で複数のケーブルが錯綜せず、より簡単な構成とすることができる。
また、パッカー2の拡張する面を、孔壁方向と光ファイバ4方向の両方にすることで、孔壁とパッカー2外周面との間を通過する地下水やガスを遮断できるだけでなく、光ファイバ4周囲の隙間から漏れ出す水やガスをも遮断することができる。
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、地中に鉛直下方に孔7を削孔した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、水平方向を除けば、斜孔や上方に向けて削孔した孔でも本発明を適用することができる。
また、前記実施の形態では、パッカー2の拡張手段として送水管5を使用して水を注入したが、これに限定されるものではなく、ガスや空気などの気体やその他の流体を注入したり、遠隔操作で爆発する火薬によって拡張させたりしてもよい。
さらに、前記実施の形態では、一本の光ファイバ4によって複数の圧力センサ及び通信線を構成したが、これに限定されるものではなく、汎用の圧力センサや信号ケーブルを使用してもよい。
1 地中ガス検知装置
2 パッカー
2a 中空部
2b 外周部
21 外側ゴムチューブ(外周部の外周側の周面)
22 内側ゴムチューブ(外周部の内周側の周面)
4 光ファイバ(通信線、圧力センサ)
41 圧力センサ
42 測定器
7 孔
7a 孔底
G 岩盤(地中)
2 パッカー
2a 中空部
2b 外周部
21 外側ゴムチューブ(外周部の外周側の周面)
22 内側ゴムチューブ(外周部の内周側の周面)
4 光ファイバ(通信線、圧力センサ)
41 圧力センサ
42 測定器
7 孔
7a 孔底
G 岩盤(地中)
Claims (4)
- 地中に削孔された孔内の孔軸方向の流体の流れを遮断するためのパッカーと、そのパッカー間又はパッカーと孔底間を孔壁に沿って接続するストレーナ管と、そのストレーナ管内に配置されて前記孔軸方向の複数個所の圧力を測定する圧力センサと、前記パッカーを遠隔から拡張させる拡張手段とを備えたことを特徴とする地中ガス検知装置。
- 前記圧力センサは、連続する一本の光ファイバに前記孔軸方向に間隔を置いて複数個所に設けられることを特徴とする請求項1に記載の地中ガス検知装置。
- 前記パッカーは、前記圧力センサに繋がる通信線を挿通させる中空部と、その外周を覆う外周部とを備え、遠隔からその外周部の内圧を上昇させると、その外周側の周面は孔壁方向に拡張し、内周側の周面は前記通信線方向に拡張することを特徴とする請求項1又は2に記載の地中ガス検知装置。
- 地中に削孔された孔内の孔軸方向の流れを遮断するパッカーを配置する工程と、
前記パッカーによって区切られた測定区間の孔軸方向の複数個所の圧力を測定する工程と、
前記測定区間の前記孔軸方向の圧力分布を作成する工程とを備えたことを特徴とする地中ガスの検知方法。
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JP2007115043A JP2008267089A (ja) | 2007-04-25 | 2007-04-25 | 地中ガス検知装置及び地中ガスの検知方法 |
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