JP2008266836A - 手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】指又部分における破損を防ぐことができる手袋を提供する。
【解決手段】手袋10Aは、第1および第2生地12,13が熱可塑性合成樹脂繊維で作られたニットであり、第3及び第4生地14,15が伸縮性を有する熱溶着性フィルムであり、第1及び第3生地12,14の周縁16,18が溶着線20で接合され、第2及び第4生地13,15の周縁17,19が溶着線21で接合されており、第3及び第4生地14,15の周縁18,19が溶着線22で接合されている。手挿入口11では、第1および第3生地12,14の端縁23,25が溶着線27で接合され、第2及び第4生地13,15の端縁24,26が溶着線27で接合されている。手袋10Aは、それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19と端縁23,24,25,26とを除く残余の部位28が非接合である。
【選択図】図1

Description

本発明は、着用者の前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の甲と手の平と五指とを包被する手袋に関する。
着用者の手を覆う手被覆部と、手被覆部と一体成形されて着用者の腕を覆う筒状の腕被覆部とから形成され、腕被覆部が着用者の手首と肘との間の中間に位置するクリーンルーム用手袋がある(特許文献1参照)。この手袋は、天然ゴム製の伸縮性フィルムから作られている。手袋では、腕被覆部の端縁の直径が腕の直径と同一または腕の直径よりも小さく、腕被覆部の端縁にリング状のゴムが取り付けられている。この手袋は、腕被覆部の端縁が伸縮可能であり、腕被覆部の端縁が着用者の腕に密着するから、腕を動かしたときの手袋のずれ動きを防ぐことができる。
特開2000−170015号公報
前記特許文献1に開示の手袋は、その使用中に指又部分(指と指との間の付け根部分)が伸縮を繰り返すと、指又部分に作用する引張力やずれ応力で手袋が指又部分において不用意に破損し、塵埃が指又部分の破損箇所から外気に漏れてしまう場合がある。
本発明の目的は、指又部分における破損を防ぐことができる手袋を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、着用者の前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の甲と手の平と五指とを包被する手袋である。
前記前提における本発明の特徴としては、手袋が、前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の甲および該手の甲から続く五指の上部を覆う第1生地と、前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の平および該手の平から続く五指の下部を覆う第2生地と、第1生地の外側に重なって前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の甲および該手の甲から続く五指の上部を覆う第3生地と、第2生地の外側に重なって前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の平および該手の平から続く五指の下部を覆う第4生地とから形成され、手挿入口を除いた第1〜第4生地の周縁が接合され、それら生地の周縁を除く残余の部位が非接合であることにある。
本発明の一例としては、第1生地と第2生地とが熱可塑性合成樹脂繊維から作られて前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の形に成形されたニットであり、第3生地と第4生地とが伸縮性を有して前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の形に成形された熱溶着性フィルムであり、この手袋では、第1生地の周縁と第3生地の周縁とが溶着され、第2生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着されており、第3生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着され、手挿入口では、第1生地と第3生地とが溶着され、第2生地と第4生地とが溶着されている。
本発明の他の一例としては、第1〜第4生地が伸縮性を有して前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の形に成形された熱溶着性フィルムであり、第1および第2生地の定加重時伸び率が第3および第4生地の定加重時伸び率よりも大きく、この手袋では、第1生地の周縁と第3生地の周縁とが溶着され、第2生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着されており、第3生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着され、手挿入口では、第1生地と第3生地とが溶着され、第2生地と第4生地とが溶着されている。
本発明の他の一例としては、熱溶着性フィルムがガス透過性を有し、熱溶着性フィルムの透湿度が1000〜6000g/m・24hrの範囲にある。
本発明の他の一例としては、熱溶着性フィルムの厚み寸法が15〜100μmの範囲にあり、熱溶着性フィルムの定加重時伸び率が20〜300%の範囲にある。
本発明の他の一例としては、第1〜第4生地の周縁が手袋の内側へ向かって延出している。
本発明の他の一例としては、手袋がクリーンルームで使用されるクリーンルーム用防塵手袋である。
本発明にかかる手袋によれば、手袋の着用中に指又部分において第1〜第4生地のうちのいずれかの生地の接合が解除されたとしても、他の生地どうしの接合が維持されており、指又部分が破損し難く、指又部分からの塵埃の漏れを防ぐことができる。この手袋は、第1〜第4生地の周縁を除く残余の部位が非接合であり、周縁を除く残余の部位において第1生地と第3生地とが自由に動くことができ、第1生地に作用する引張力やずれ応力が第3生地に作用し難く、手袋の着用中に第1生地の残余の部位が破損したとしても、それによって第3生地が破損することはない。また、周縁を除く残余の部位において第2生地と第4生地とが自由に動くことができるから、第2生地に作用する引張力やずれ応力が第4生地に作用し難く、手袋の着用中に第2生地の残余の部位が破損したとしても、それによって第4生地が破損することはない。
第1生地と第2生地とが熱可塑性合成樹脂繊維から作られたニットであり、第3生地と第4生地とが伸縮性を有する熱溶着性フィルムであり、第1生地の周縁と第3生地の周縁とが溶着され、第2生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着されており、第3生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着された手袋は、その着用中に指又部分における第1生地に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分において第1生地と第3生地との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第1生地から第3生地や第4生地に伝わることはないから、第3生地と第4生地との接合が維持され、指又部分における手袋の破損を確実に防ぐことができ、指又部分からの塵埃の漏れを確実に防ぐことができる。また、手袋の着用中に指又部分における第2生地に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分において第2生地と第4生地との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第2生地から第4生地や第3生地に伝わることはないから、第3生地と第4生地との接合が維持され、指又部分における手袋の破損を確実に防ぐことができ、指又部分からの塵埃の漏れを確実に防ぐことができる。この手袋は、周縁を除く残余の部位において第3生地の伸縮性が第1生地に拘束されることはなく、第1生地の残余の部位が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、それにともなって第3生地が破損することはなく、手袋の一気の破損を防ぐことができる。また、周縁を除く残余の部位において第4生地の伸縮性が第2生地に拘束されることはなく、第2生地の残余の部位が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、それにともなって第4生地が破損することはなく、手袋の一気の破損を防ぐことができる。
第1〜第4生地が伸縮性を有する熱溶着性フィルムであり、第1および第2生地の定加重時伸び率が第3および第4生地の定加重時伸び率よりも大きく、第1生地の周縁と第3生地の周縁とが溶着され、第2生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着されており、第3生地の周縁と第4生地の周縁とが溶着された手袋は、その着用中に指又部分における第1生地に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分において第1生地と第3生地との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第1生地から第3生地や第4生地に伝わることはないから、第3生地と第4生地との接合が維持され、指又部分における手袋の破損を確実に防ぐことができ、指又部分からの塵埃の漏れを確実に防ぐことができる。また、手袋の着用中に指又部分における第2生地に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分において第2生地と第4生地との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第2生地から第4生地や第3生地に伝わることはないから、第3生地と第4生地との接合が維持され、指又部分における手袋の破損を確実に防ぐことができ、指又部分からの塵埃の漏れを確実に防ぐことができる。この手袋は、第1および第2生地の定加重時伸び率が第3および第4生地の定加重時伸び率よりも大きいから、第1および第2生地が着用者の手の動きに追従し、着用者が手を激しく動かしたとしても、それら生地が破損することはない。さらに、第1および第2生地が着用者の手の動きに追従することで、第1および第2生地と第3および第4生地との接合が維持され、指又部分における手袋の破損を確実に防ぐことができる。
熱溶着性フィルムがガス透過性を有し、熱溶着性フィルムの透湿度が1000〜6000g/m・24hrの範囲にある手袋は、手袋の内部からの塵埃の漏れを防ぎつつ、手袋内部の湿気を外気に逃がすことができ、手袋の着用中における蒸れを防ぐことができる。この手袋は、着用者の手の蒸れを防ぐことができるから、長時間の使用において着用者に不快感を与えることがない。
熱溶着性フィルムの厚み寸法が15〜100μmの範囲にあり、熱溶着性フィルムの定加重時伸び率が20〜300%の範囲にある手袋は、第3および第4生地が熱溶着性フィルムである手袋の場合、第3および第4生地が優れた伸縮性を有するから、第1生地が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、第3生地がそれにともなって破損することはなく、第2生地が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、第4生地がそれにともなって破損することはなく、手袋の一気の破損を確実に防ぐことができる。また、第1〜第4生地が熱溶着性フィルムである手袋の場合、第1〜第4生地が優れた伸縮性を有するから、第1〜第4生地が着用者の手の動きに追従し、着用者が手を激しく動かしたとしても、それら生地が破損することはない。さらに、第1および第2生地が着用者の手の動きに追従することで、第1および第2生地と第3および第4生地との接合が維持され、指又部分における手袋の破損を確実に防ぐことができる。
第1〜第4生地の周縁が手袋の内側へ向かって延出している手袋は、第1〜第4生地の周縁が手袋の外側に露出することがないから、第1〜第4生地の周縁が手袋の外側に露出する場合と比較し、第1〜第4生地の周縁が外物に接触することはなく、外物に接触することから生じるそれら生地どうしの接合の解除を防ぐことができる。
添付の図面を参照し、本発明に係る手袋の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示す手袋10Aの斜視図であり、図2は、図1の手袋10Aの分解斜視図である。図3は、図1のA−A線端面図であり、図4は、図1のB−B線端面図である。図5は、図1のC−C線端面図である。図2では、長さ方向を矢印X1、幅方向を矢印X2で示し、厚み方向を矢印X3で示す。
この手袋10Aは、着用者の前腕から五指へ向かう部位のうち、手首と手と五指とを包被するクリーンルーム用防塵手袋である。手袋10Aを着用するには、手挿入口11から手を挿入する。なお、手袋10Aの長さや幅、大きさについて特に限定はなく、着用者の前腕から五指へ向かう部位のすべてを包被するものであってもよく、着用者の手と五指とを包被するものであってもよい。手袋10Aは、手首と手の甲と手の甲から続く五指の上部を覆う第1生地12と、手首と手の平と手の平から続く五指の下部を覆う第2生地13と、手首と手の甲と手の甲から続く五指の上部を覆う第3生地14と、手首と手の平と手の平から続く五指の下部を覆う第4生地15とから形成されている。
第1生地12と第2生地13とは、熱可塑性合成樹脂繊維から作られたニット(編み物)である。熱可塑性合成樹脂繊維には、ナイロン繊維が使用されている。熱可塑性合成樹脂繊維には、ナイロン繊維の他に、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ビニルデン繊維、ポリウレタン繊維のうちのいずれかの繊維を使用することもできる。また、熱可塑性合成樹脂繊維には、異形断面繊維、中空繊維、異形中空繊維、芯−鞘型繊維を使用することもできる。第1および第2生地12,13は、同形同大であり、その平面形状が着用者の手首および手の形に成形されている。第1および第2生地12,13は、手首の上部および手の上部(手の甲と手の甲から続く五指の上部)を包被可能な大きさを有する。
第3生地14と第4生地15とは、長さ方向と幅方向とへ伸縮性を有する熱溶着性フィルムである。熱溶着性フィルムには、キャスティング法やエキストルージョン法、カレンダー法等の既存の方法によって製造されるポリウレタンフィルムが使用されている。なお、第3および第4生地には、ポリウレタンフィルムの他に、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルムポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニルデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、塩酸ゴムフィルム、ポリイミドフィルムのうちのいずれかのフィルムを使用することもできる。第3および第4生地14,15は、同形同大であり、その平面形状が着用者の手首および手の形に成形されている。第3および第4生地14,15は、手首の下部および手の下部(手の平と手の平から続く五指の下部)を包被可能な大きさを有する。
第3および第4生地14,15(熱溶着性フィルム)は、ガス透過性を有し、その透湿度が1000〜6000g/m・24hrの範囲、好ましくは、2000〜4000g/m・24hrの範囲にある。第3および第4生地14,15の透湿度が1000g/m・24hr未満では、手袋10Aの通気性が第3および第4生地14,15によって低下し、手袋10A内部の湿気を外気に逃がすことができず、手袋10A内部が蒸れ易く、長時間の使用において着用者に不快感を与える。ただし、第3および第4生地14,15(熱溶着性フィルム)には、ガス透過性がないものを使用することもできる。なお、第3および第4生地14,15の透湿度は、JIS L 1099A−I法に準拠して測定した。以下、透湿度の測定法を説明する。
(1)第3および第4生地14,15を裁断し、直径7cmの円形の透湿度測定用試料を用意した。JIS L 1099A−I法に規定の恒温・恒湿装置、風速計、化学はかり、円形板、透湿カップ、吸湿剤を用意した。(2)約40℃に温めた透湿カップに吸湿剤を約33g入れ、カップに振動を与えて均一にした後、薬さじで表面を平らにならし、円形板を用いて吸湿剤と試料の下面との間の離間寸法を3mmになるように調整した。次に、試料の表面を吸湿剤側に向け、試料が透湿カップに対して同心円になるように、試料を透湿カップの開口部に乗せた。さらに、パッキンおよびリングを装着し、ちょうナットによって試料を透湿カップに固定した後、粘着テープによって試料の外周縁部と透湿カップの周縁部とを固着して試験体を作成した。(3)試験体を、温度40±2℃、湿度(90±5)%RH()の恒温・恒湿装置内(試料の約1cm上部の風速が0.8m/sを超えない位置)に置いた。24時間経過後に試験体を恒温・恒湿装置内から取り出し、直ちに試験体の第1質量を1mgの単位まで測定した。第1質量を測定した後、試験体を再び恒温・恒湿装置内の同位置に置き、さらに24時間経過後に試験体を恒温・恒湿装置内から取り出し、直ちに試験体の第2質量を1mgの単位まで測定した。(4)試験体の第1および第2質量を測定した後、次式によって透湿度を求めた。透湿度(g/m・24hr)={10×(α1−α2)}/S、ここで、α1は第1質量であり、α2は第2質量である。α1−α2は試験体の24時間当たりの質量の変化量(mg/hr)であり、Sは透湿面積(cm)である。求めた試料の透湿度を第3および第4生地14,15の透湿度とした。
第3生地と第4生地14,15とは、その厚み寸法が15〜100μmの範囲、好ましくは、30〜60μmの範囲にあり、その定加重時伸び率が20〜300%の範囲にある。定加重時伸び率が20%未満では、第3および第4生地14,15の伸び限界が低く、手袋10Aの着用中に第3および第4生地14,15が伸長されたときに、それら生地14,15が不用意に破損してしまう場合がある。第3および第4生地14,15の定加重時伸び率は、JIS L 1018(クラブ法)に準拠して測定した。以下、定加重時伸び率の測定法を説明する。
(1)第3および第4生地14,15を裁断し、幅10cm、長さ15cmの定加重時伸び率測定用試料を5枚用意した。定加重時伸び率の測定には、引張試験機を使用した。(2)試料の長さ方向一端部を引張試験機の上部クランプに固定し、試料に長さ7.6cm間隔の印を付けた。試料の長さ方向他端部に初荷重(51mN(500gf)、引っ張り速度5±1、10±1または30±2cm/min)を加え、静かに一定加重を加えたまま1分間放置した。1分間放置した後の印間の長さを測り、次式によって定加重時伸び率を求めた。定加重時伸び率(%)={(L1−L)/L}×100、ここで、Lは元の印間の長さ(cm)であり、L1は一定加重を加えて1分間放置した後の印間の長さ(cm)である。なお、定加重時伸び率は、それらすべての試料について求めた定加重時伸び率の平均値である。求めた試料の定加重時伸び率の平均値を第3および第4生地14,15の定加重時伸び率とした。
手袋10Aでは、図2に示すように、それら生地12,13,14,15が手袋10Aの厚み方向に重なり合っている。第1生地12と第2生地13とは、互いに重なり合って内手袋を形成している。第3生地14は、第1生地12の外側に位置し、生地12に重なっている。第4生地15は、第2生地13の外側に位置し、生地13に重なっている。第3生地14と第4生地15とは、外手袋を形成している。手袋10Aでは、図3〜図5に示すように、それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19が手袋10Aの内側へ向かって延出している。
手袋10Aでは、手挿入口11を除き、第1生地12の周縁16と第3生地14の周縁18とがそれら生地12,14の周縁16,18に沿って延びる熱溶着線20によって接合され、第2生地13の周縁17と第4生地15の周縁19とがそれら生地13,15の周縁17,19に沿って延びる熱溶着線21によって接合されており、第3生地14の周縁18と第4生地15の周縁19とがそれら生地14,15の周縁18,19に沿って延びる熱溶着線22によって接合されている。手挿入口11では、第1生地12と第3生地14とがそれら生地12,14の端縁23,25に沿って延びる熱溶着線27によって接合され、第2生地13と第4生地15とがそれら生地13,15の端縁24,26に沿って延びる熱溶着線27によって接合されている(図5参照)。
それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19と手挿入口11の端縁23,24,25,26とを除いた残余の部位28では、それら生地12,13,14,15が接合されておらず、一方の生地の動きが他方の生地によって阻止されることはなく、それら生地12,13,14,15が自由に動くことができる。熱溶着線20,21,22は、手袋10Aの外側に露出することなく、手袋10Aの内側に位置している。
この手袋10Aの製造手順の一例を説明すると、以下のとおりである。この手袋10Aの製造には、高周波溶着および高周波切断を利用している。同形同大の矩形の第1〜第4生地12,13,14,15の原反を用意する。ここで、第1および第2生地12,13は、ナイロン繊維から作られたニットであり、第3および第4生地14,15は、ポリウレタンフィルムである。第1生地原反の面と第3生地原反の面とを互いに当接させるとともに、それら生地原反の縁を一致させた状態で、それら生地原反を重ね合わせる。さらに、第2生地原反の面と第4生地原反の面とを互いに当接させるとともに、それら生地原反の縁を一致させた状態で、それら生地原反を重ね合わせる。
重ね合わせた第1および第3生地原反をフラットな受け台の上に乗せ、直線状の第1金型を受け台に圧接し、第1金型と受け台とで第1および第3生地原反の一側縁を挟んだ後、第1金型に取り付けられた高周波誘導加熱コイルに高周波電流を流す。コイルに高周波電流を流すと、第1金型に発生する渦電流によって金型が瞬時に加熱して高温となり、第1および第3生地原反の一側縁が溶着によって接合される。同様に、重ね合わせた第2および第4生地原反をフラットな受け台の上に乗せ、直線状の第1金型を受け台に圧接し、第1金型と受け台とで第2および第4生地原反の一側縁を挟んだ後、高周波誘導加熱コイルに高周波電流を流す。コイルに高周波電流を流すと、第1金型が瞬時に発熱して高温となり、第2および第4生地原反の一側縁が溶着によって接合される。
次に、第3生地原反の面と第4生地原反の面とを互いに当接させるとともに、第1〜第4生地原反の溶着した一側縁を一致させた状態で、第1〜第4生地原反を重ね合わせる。それら生地原反を重ね合わせると、第3および第4生地原反が互いに対向するとともに、第3生地原反の外側に第1生地原反が位置し、第4生地原反の外側に第2生地原反が位置する。重ね合わせた第1〜第4生地原反を受け台の上に乗せ、手首を含む手の形に作られた第2金型を受け台に圧接し、第2金型と受け台とで第1〜第4生地原反を挟んだ後、第2金型に取り付けられた高周波誘導加熱コイルに高周波電流を流す。コイルに高周波電流を流すと、第2金型に発生する渦電流によって金型が瞬時に発熱して高温となり、第1生地原反と第3生地原反とが溶着によって接合され、第2生地原反と第4生地原反とが溶着によって接合されるとともに、第3生地原反と第4生地原反とが溶着によって接合される。それら生地原反が溶着接合された後、溶着部位においてそれら生地原反が溶断し、原反から手首および手の形の手袋10Aが切り離される。次に、第1および第2生地12,13が内側になるとともに、第3および第4生地14,15が外側になるように、切り離された手袋10Aを裏返し、図1の手袋10Aが作られる。
この手袋10Aは、その着用中に指又部分29(指と指との間の付け根部分)における第1生地12に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分29において第1生地12と第3生地14との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第1生地12から第3生地14や第4生地15に伝わることはないから、第3生地14と第4生地15との接合が維持され、指又部分29における手袋10Aの破損を確実に防ぐことができる。また、手袋10Aの着用中に指又部分29における第2生地13に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分29において第2生地13と第4生地15との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第2生地13から第4生地15や第3生地14に伝わることはないから、第3生地14と第4生地15との接合が維持され、指又部分29における手袋10Aの破損を確実に防ぐことができる。手袋10Aは、第1〜第4生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19が手袋10Aの内側へ向かって延出し、それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19(熱溶着線20,21,22)が手袋10Aの外側に露出することがないから、それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19(熱溶着線20,21,22)が手袋10Aの外側に露出する場合と比較し、第1〜第4生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19が外物に接触することはなく、周縁16,17,18,19が外物に接触することから生じるそれら生地12,13,14,15どうしの接合の解除を防ぐことができる。
手袋10Aは、周縁16,17,18,19を除く残余の部位28において第3生地14の伸縮性が第1生地12に拘束されることはなく、第1生地12の残余の部位28が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、それにともなって第3生地14が破損することはなく、手袋10Aの一気の破損を防ぐことができる。また、周縁16,17,18,19を除く残余の部位28において第4生地15の伸縮性が第2生地13に拘束されることはなく、第2生地13の残余の部位28が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、それにともなって第4生地15が破損することはなく、手袋10Aの一気の破損を防ぐことができる。
手袋10Aは、第3および第4生地14,15の透湿度が1000〜6000g/m・24hrの範囲にあるから、手袋10Aの内部からの塵埃の漏れを防ぎつつ、手袋10A内部の湿気を外気に逃がすことができ、手袋10Aの着用中における蒸れを防ぐことができる。この手袋10Aは、着用者の手の蒸れを防ぐことができるから、長時間の使用において着用者に不快感を与えることがない。手袋10Aは、第3および第4生地14,15の定加重時伸び率が20〜300%の範囲にあるから、第1生地12が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、それにともなって第3生地14が破損することはなく、第2生地13が伸び限界以上に伸長されて破損したとしても、それにともなって第4生地15が破損することはなく、手袋10Aの一気の破損を確実に防ぐことができる。また、手袋10Aの着用中に第3および第4生地14,15が伸長されたとしても、それら生地14,15が不用意に破損することはない。
図6は、他の一例として示す手袋10Bの分解斜視図であり、図7は、図6の手袋10Bにおける図3と同様の端面図である。図6では、長さ方向を矢印X1、幅方向を矢印X2で示し、厚み方向を矢印X3で示す。この手袋10Bが図1のそれと異なるところは、第1生地12と第2生地13とが長さ方向と幅方向とへ伸縮性を有する熱溶着性フィルムである点にあり、この手袋10Bのその他の構成は図1の手袋10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すことで、この手袋10Bのその他の構成の説明は省略する。
第1および第2生地12,13には、ポリウレタンフィルムが使用されているが、上述した他の熱溶着性フィルムを使用することもできる。第1および第2生地12,13は、第3および第4生地14,15(熱溶着性フィルム)と同様に、ガス透過性を有し、その透湿度が1000〜6000g/m・24hrの範囲、好ましくは、2000〜4000g/m・24hrの範囲にある。第1および第2生地12,13の透湿度が1000g/m・24hr未満では、手袋10Bの通気性が第1および第2生地12,13によって低下し、手袋10B内部の湿気を外気に逃がすことができず、手袋10B内部が蒸れ易く、長時間の使用において着用者に不快感を与える。ただし、第1および第2生地12,13(熱溶着性フィルム)や第3および第4生地14,15(熱溶着性フィルム)には、ガス透過性がないものを使用することもできる。なお、第1および第2生地12,13の透湿度の測定法は、図1の手袋10Aの第3および第4生地14,15の透湿度のそれと同様に、JIS L 1099A−I法に準拠して測定した。
第1および第2生地12,13は、その厚み寸法が15〜100μmの範囲、好ましくは、30〜60μmの範囲にあり、その定加重時伸び率が50〜300%の範囲にある。なお、この手袋10Bでは、第3および第4生地14,15の定加重時伸び率が20〜100%の範囲にあり、第1および第2生地12,13の定加重時伸び率が第3および第4生地14,15のそれよりも大きい。第1および第2生地12,13の定加重時伸び率の測定法は、図1の手袋10Aの第3および第4生地14,15のそれと同様に、JIS L 1018(クラブ法)に準拠して測定した。
手袋10Bでは、図6に示すように、それら生地12,13,14,15が手袋10Bの厚み方向に重なり合っている。第1生地12と第2生地13とは、互いに重なり合って内手袋を形成している。第3生地14は、第1生地12の外側に位置し、生地12に重なっている。第4生地15は、第2生地13の外側に位置し、生地13に重なっている。第3生地14と第4生地15とは、外手袋を形成している。手袋10Bでは、図7に示すように、それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19が手袋10Bの内側へ向かって延出している。
手袋10Bでは、手挿入口11を除き、第1生地12の周縁16と第3生地14の周縁18とがそれら生地12,14の周縁16,18に沿って延びる熱溶着線20によって接合され、第2生地13の周縁17と第4生地15の周縁19とがそれら生地13,15の周縁17,19に沿って延びる熱溶着線21によって接合されており、第3生地14の周縁18と第4生地15の周縁19とがそれら生地14,15の周縁18,19に沿って延びる熱溶着線22によって接合されている。手挿入口11では、第1生地12と第3生地14とがそれら生地12,14の端縁23,25に沿って延びる熱溶着線27によって接合され、第2生地13と第4生地15とがそれら生地13,15の端縁24,26に沿って延びる熱溶着線27によって接合されている(図5参照)。
それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19と手挿入口11の端縁23,24,25,26とを除いた残余の部位28では、それら生地12,13,14,15が接合されておらず、一方の生地の動きが他方の生地によって阻止されることはなく、それら生地12,13,14,15が自由に動くことができる。熱溶着線20,21,22は、手袋10Bの外側に露出することなく、手袋10Bの内側に位置している。この手袋10Bの製造手順は、第1および第2生地12,13にポリウレタンフィルム(熱溶着性フィルム)を使用することを除き、図1の手袋10Aのそれと同一であるから、その説明は省略する。
この手袋10Bは、その着用中に指又部分29(図1参照)における第1生地12に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分29において第1生地12と第3生地14との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第1生地12から第3生地14や第4生地15に伝わることはないから、第3生地14と第4生地15との接合が維持され、指又部分29における手袋10Bの破損を確実に防ぐことができ、指又部分29からの塵埃の漏れを確実に防ぐことができる。また、手袋10Bの着用中に指又部分29における第2生地13に引張力や剥離力、ずれ応力が作用し、指又部分29において第2生地13と第4生地15との接合が解除されたとしても、引張力や剥離力、ずれ応力が第2生地13から第4生地15や第3生地14に伝わることはないから、第3生地14と第4生地15との接合が維持され、指又部分29における手袋10Bの破損を確実に防ぐことができ、指又部分29からの塵埃の漏れを確実に防ぐことができる。
この手袋10Bは、第1および第2生地12,13の定加重時伸び率が第3および第4生地14,15の定加重時伸び率よりも大きいから、第1および第2生地12,13が着用者の手の動きに追従し、着用者が手を激しく動かしたとしても、それら生地12,13が破損することはない。さらに、第1および第2生地12,13が着用者の手の動きに追従することで、第1および第2生地12,13と第3および第4生地14,15との接合が維持され、指又部分29における手袋10Bの破損を確実に防ぐことができる。手袋10Bは、第1〜第4生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19が手袋10Bの内側へ向かって延出し、それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19(熱溶着線20,21,22)が手袋10Bの外側に露出することがないから、それら生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19(熱溶着線20,21,22)が手袋10Bの外側に露出する場合と比較し、第1〜第4生地12,13,14,15の周縁16,17,18,19が外物に接触することはなく、周縁16,17,18,19が外物に接触することから生じるそれら生地12,13,14,15どうしの接合の解除を防ぐことができる。手袋10Bは、第1〜第4生地12,13,14,15の透湿度が1000〜6000g/m・24hrの範囲にあるから、手袋10Bの内部からの塵埃の漏れを防ぎつつ、手袋10B内部の湿気を外気に逃がすことができ、手袋10Bの着用中における蒸れを防ぐことができる。この手袋10Bは、着用者の手の蒸れを防ぐことができるから、長時間の使用において着用者に不快感を与えることがない。
なお、各生地原反の溶着や切断に高周波溶着および高周波切断を利用しているが、それの他に、ヒーター溶着および溶断の技術、超音波溶着および溶断の技術を利用して手袋10A,10Bを作ることもできる。
一例として示す手袋の斜視図。 図1の手袋の分解斜視図。 図1のA−A線端面図。 図1のB−B線端面図。 図1のC−C線端面図。 他の一例として示す手袋の分解斜視図。 図6の手袋における図3と同様の端面図。
符号の説明
10A 手袋
10B 手袋
11 手挿入口
12 第1生地
13 第2生地
14 第3生地
15 第4生地
16 周縁
17 周縁
18 周縁
19 周縁
20 溶着線
21 溶着線
22 溶着線
28 部位
29 指又部分

Claims (7)

  1. 着用者の前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の甲と手の平と五指とを包被する手袋において、
    前記手袋が、前記前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の甲および該手の甲から続く五指の上部を覆う第1生地と、前記前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の平および該手の平から続く五指の下部を覆う第2生地と、前記第1生地の外側に重なって前記前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも前記手の甲および該手の甲から続く五指の上部を覆う第3生地と、前記第2生地の外側に重なって前記前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも前記手の平および該手の平から続く五指の下部を覆う第4生地とから形成され、手挿入口を除いた前記第1〜第4生地の周縁が接合され、それら生地の周縁を除く残余の部位が非接合であることを特徴とする手袋。
  2. 前記第1生地と前記第2生地とが、熱可塑性合成樹脂繊維から作られて前記前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の形に成形されたニットであり、前記第3生地と前記第4生地とが、伸縮性を有して前記前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の形に成形された熱溶着性フィルムであり、前記手袋では、前記第1生地の周縁と前記第3生地の周縁とが溶着され、前記第2生地の周縁と前記第4生地の周縁とが溶着されており、前記第3生地の周縁と前記第4生地の周縁とが溶着され、前記手挿入口では、前記第1生地と前記第3生地とが溶着され、前記第2生地と前記第4生地とが溶着されている請求項1記載の手袋。
  3. 前記第1〜第4生地が、伸縮性を有して前記前腕から五指へ向かう部位のうちの少なくとも手の形に成形された熱溶着性フィルムであり、前記第1および第2生地の定加重時伸び率が、前記第3および第4生地の定加重時伸び率よりも大きく、前記手袋では、前記第1生地の周縁と前記第3生地の周縁とが溶着され、前記第2生地の周縁と前記第4生地の周縁とが溶着されており、前記第3生地の周縁と前記第4生地の周縁とが溶着され、前記手挿入口では、前記第1生地と前記第3生地とが溶着され、前記第2生地と前記第4生地とが溶着されている請求項1記載の手袋。
  4. 前記熱溶着性フィルムが、ガス透過性を有し、前記熱溶着性フィルムの透湿度が、1000〜6000g/m・24hrの範囲にある請求項2または請求項3に記載の手袋。
  5. 前記熱溶着性フィルムの厚み寸法が、15〜100μmの範囲にあり、前記熱溶着性フィルムの定加重時伸び率が、20〜300%の範囲にある請求項2ないし請求項4いずれかに記載の手袋。
  6. 前記第1〜第4生地の周縁が、前記手袋の内側へ向かって延出している請求項1ないし請求項5いずれかに記載の手袋。
  7. 前記手袋が、クリーンルームで使用されるクリーンルーム用防塵手袋である請求項1ないし請求項6いずれかに記載の手袋。
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