JP2008262261A - 走行体が適用される建物、建物用の走行体及び建物用の走行体システム - Google Patents

走行体が適用される建物、建物用の走行体及び建物用の走行体システム Download PDF

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Abstract

【課題】高さ位置が相互に異なる床が存在する建物において、単一又は少数の走行体での対応を可能とする建物、その建物用の走行体及び建物用の走行体システムを提供する。
【解決手段】住宅10は、二階床部14によって上下に仕切られた一階スペース11と二階スペース12とを備えており、さらにこれら一階スペース11及び二階スペース12に隣接させて吹き抜けスペース16が設けられている。当該住宅10には、移動ロボット30が適用されており、移動ロボット30は各スペース11,12,16の床部13,14上を走行して特定の作業を行う。当該構成において、吹き抜けスペース16には昇降用軌道としてポール21が設けられており、移動ロボット30は当該ポール21を介して昇降することで各スペース11,12,16間を移動する。
【選択図】図1

Description

本発明は、屋内を走行して特定の作業を行う自走式ロボットなどの走行体が適用される建物、その建物用の走行体及び建物用の走行体システムに関するものである。
近年、住宅などの建物では、自走式ロボットの適用が検討され、一部実用化されている。例えば、特許文献1には、建物内の警備などといった特定の作業を行う自走式ロボットが開示されている。当該自走式ロボットは、屋内空間を仕切る壁の内壁面又はそれよりも内側の仮想面に沿って周回することで、特定の作業を行う。
特開2005−339408号公報
ここで、建物には、高さ位置が相互に異なる床が存在することが一般的である。つまり、一戸建て住宅などは複数階建てであることが一般的であり、また同一階であってもリビングに繋がる畳スペースなどのように高さ位置が相互に異なる床が存在しているものもある。このような建物事情において上記ロボットを設けたことによる効果を好適に得るためには、高さ位置が異なる床ごとに上記ロボットを配置する対応策が考えられる。
しかしながら、上記のように高さ位置が異なる床ごとにロボットを配置すると、一の建物に設置するロボットの固体数は自ずと多くなってしまう。そうすると、イニシャルコスト及びランニングコストの両面においてコスト高となってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、高さ位置が相互に異なる床が存在する建物において、単一又は少数の走行体での対応を可能とする建物、その建物用の走行体及び建物用の走行体システムを提供することを目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
本発明は、高さ位置が相互に異なる床(一階床部13a,13b、二階床部14等)を備えており、それら各床上を走行し特定の作業を行う走行体(移動ロボット30)が適用される建物であって、前記走行体の自らの走行による前記床間の移動をガイドする昇降用軌道(ポール21等)を備えていることを特徴とする。
本構成によれば、走行体は、昇降用軌道にガイドされることで、高さ位置が相互に異なる床間を自らの走行により移動する。これにより、高さ位置が相互に異なる床が存在する建物において、単一又は少数の走行体での対応が可能となる。
前記昇降用軌道を、上下方向に延びる棒状体とし、当該棒状体を、その周面にて前記走行体の一部と当接して当該走行体の上昇又は下降に際しての負荷を受けることにより、当該走行体の自らの走行による前記床間の移動をガイドする構成とすることが好ましい。
本構成によれば、棒状体という簡素な構成により、走行体の自らの走行による昇降をガイドする機能が果たされる。よって、エレベータ装置などを設ける構成に比して、簡素な構成により上記優れた効果を得ることができる。また、棒状体は、エレベータ装置などよりも小規模であるため、エレベータ装置を設ける構成に比して設置スペースの縮小化が図られる。
前記昇降用軌道を中心として回転することで昇降時位置から移動先の床への着地時位置へ横方向に姿勢を変化させ、この姿勢の変化により移動先の床への着地を行う走行体が適用される構成においては、前記昇降用軌道の前記移動先の床に対する相対位置を、前記走行体が着地時位置へ姿勢を変化させた際に移動先の床への着地が可能となるように設定することが好ましい。本構成によれば、移動先の床への着地動作も走行体が自ら行うこととなり、建物側にて着地用装置を設ける必要がなくなる。よって、建物側の構成の簡素化が図られる。
また、上記のように走行体が昇降用軌道を中心として回転する構成においては、当該昇降用軌道の外周形状を円柱状とすることが好ましい。これにより、走行体の回転動作が円滑に行われる。
前記昇降用軌道を前記走行体の階間の移動をガイドする構成とし、さらに当該昇降用軌道を、少なくとも下階の床の高さから上階の床の高さを越える位置まで上下に開放された上下開放空間(吹き抜けスペース16)に設けることが好ましい。これにより、昇降用軌道を介した走行体の昇降が円滑に行われる。また、昇降用軌道の途中位置に上下空間を仕切るための仕切部が設けられた構成を想定すると、その仕切部により仕切られた位置を走行体が通過する際に仕切部の除去作業を行う必要が生じ、当該除去作業を行う機能を建物側に設ける必要が生じる。この場合、建物の構成の複雑化を招いてしまう。これに対して、本構成によれば、上記のとおり昇降用軌道が上下開放空間に設けられているため、建物の構成の複雑化を招くことなく、昇降用軌道を介した走行体の昇降が円滑に行われる。
前記上下開放空間を、各階の空間に隣接した位置にて、複数階の各高さ位置に亘って設けられた吹き抜け空間(吹き抜けスペース16)とすることが好ましい。本構成によれば、吹き抜け空間が上下開放空間として兼用されるため、建物の空間の有効利用が図られる。
上階の空間と前記上下開放空間とを仕切る仕切り壁部(仕切り壁17)と、当該仕切り壁部に設けられ前記走行体が前記両空間を移動するための出入口部(出入口部81)と、当該出入口部を開閉する扉体(扉体83)と、を備えた構成とすることが好ましい。本構成によれば、上階の空間から上下開放空間へ建物の住人等が転落してしまうことが仕切り壁部により防止されるとともに、当該仕切り壁部に出入口部が設けられていることにより、走行体が上階の空間と上下開放空間とを相互に移動することが可能となる。また、出入口部に扉体が設けられていることにより、上階の空間から上下開放空間への落下物の発生を抑制することが可能となる。
前記扉体の閉鎖位置から開放位置への移動を阻止する阻止手段(ロック部材92)と、前記走行体が前記扉体に近付いたことを検知する検知手段(タグ読取部93)と、当該検知手段の検知結果に基づいて前記阻止手段の阻止状態を解除する解除手段(ロック制御部94)と、をさらに備えた構成とすることが好ましい。本構成によれば、阻止手段が設けられていることにより、扉体が不用意に開放位置へ移動してしまうことが防止され、落下物の発生を好適に抑制することが可能となる。また、走行体が扉体に近付いた際にはそれが検知手段にて検知され、さらにその検知結果に基づいて阻止手段の阻止状態が解除される。これにより、阻止手段を設けた構成において、当該阻止手段によって走行体の両空間の円滑な移動が阻害されてしまうことが防止される。
前記扉体を、前記走行体の一部と当接することで押されて閉鎖位置から開放位置へと移動するように前記出入口部に片持ち支持させるとよい。これにより、建物側に扉体を閉鎖位置から開放位置へと移動させるためのアクチュエータなどを設ける必要がなくなり、建物側の構成の簡素化を図りつつ、上記優れた効果を得ることができる。
前記扉体を、前記走行体の一部と当接することで押されて閉鎖位置から開放位置へと移動するように前記出入口部に片持ち支持させ、閉鎖位置から前記上下開放空間側への前記扉体の移動を阻止する阻止手段(ロック部材92)と、前記走行体が前記上階の空間において前記扉体に近付いたことを検知する検知手段(タグ読取部93)と、当該検知手段の検知結果に基づいて前記阻止手段の阻止状態を解除する解除手段(ロック制御部94)と、をさらに備えた構成とすることが好ましい。本構成によれば、阻止手段が設けられていることにより、扉体が不用意に上下開放空間側へ移動してしまうことが防止され、落下物の発生を好適に抑制することができる。また、走行体が上階の空間において扉体に近付いた際にはそれが検知手段にて検知され、さらにその検知結果に基づいて阻止手段の阻止状態が解除される。これにより、阻止手段を設けた構成において、当該阻止手段によって走行体の両空間の円滑な移動が阻害されてしまうことが防止される。
なお、上記のように出入口部に扉体を片持ち支持させた構成においては、当該扉体の上部を前記出入口部に片持ち支持させるとよい。本構成によれば、扉体が開放位置に移動した後に走行体との当接が解除されることにより、扉体は自重により閉鎖位置に復帰することが可能となる。よって、建物側に扉体を開放位置から閉鎖位置へと移動させるためのアクチュエータなどを設ける必要がなくなり、建物側の構成の簡素化を図りつつ、上記優れた効果を得ることができる。
前記昇降用軌道には、前記走行体の落下を防止する落下防止構造(落下防止用溝22)を設けることが好ましい。これにより、昇降途中に走行体が落下してしまうことが防止される。
なお、落下防止構造の具体的な構成としては、昇降用軌道に、前記走行体の一部を下方から支えるための落下防止部を設ける構成が考えられる。
前記昇降用軌道に連結することで前記床間の移動を行う走行体が適用される構成においては、前記昇降用軌道に前記各床ごとに前記走行体の連結位置を設定するとともに、それら各連結位置へ前記走行体を誘導するための誘導手段(赤外線発光装置82a〜82c)を設けることが好ましい。これにより、昇降用軌道の連結位置へ走行体を確実に導くことが可能となる。
以上説明した建物に適用される走行体において、前記昇降用軌道上を走行することで前記床間の移動を行い、さらにそれら各床上を走行することで特定の作業を行うようにすることで、高さ位置が相互に異なる床が存在する建物において、単一又は少数の走行体での対応が可能となる。
また、上記走行体において、上下方向に延びる棒状の昇降用軌道が貫通される貫通部(貫通孔部41)と、当該貫通部を貫通している前記昇降用軌道に当接し、その当接により昇降を可能とする昇降装置(昇降用車輪51、昇降用モータ部52)と、をさらに備えた構成とすることが好ましい。本構成によれば、昇降用軌道を利用した自らの走行による床間の移動が可能となる。
前記昇降装置を、前記昇降用軌道の周面にそれぞれ異なる方向から当接し当該昇降用軌道を挟持する複数の車輪を備えた構成とし、それら複数の車輪が前記昇降用軌道を挟持した状態で回転することで前記昇降用軌道に沿って走行する構成とすることが好ましい。本構成によれば、昇降装置は、走行体を昇降用軌道に沿って昇降させるための機能を有するだけでなく、上昇する際に走行体の自重により下降してしまうことを防止する機能及び下降する際に走行体の自重により下降速度が予定よりも速くなってしまうことを防止する機能をも有する。これにより、後者の機能を別装置として設ける構成に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
前記貫通部を貫通している前記昇降用軌道を中心として、前記昇降装置を用いて回転する又は当該昇降装置とは別の回転用装置(回転用車輪53、回転用モータ部54)により回転する構成とすることが好ましい。本構成によれば、走行体は昇降用軌道を介して昇降するだけでなく、昇降用軌道を中心として回転することも可能となる。これにより、昇降用軌道を介した昇降時の各種状況に応じて昇降用軌道を中心として回転することが可能となり、その各種状況に対処することが可能となる。
また、上記のように昇降用軌道を中心として回転する構成においては、その回転により、昇降時位置から移動先の床への着地時位置へ横方向に姿勢を変化させ、この姿勢の変化により移動先の床への着地を行う構成とするとよい。これにより、走行体の自らの動作により移動先の床への着地を行うことが可能となる。
前記昇降用軌道を介して昇降している際に進行方向に障害物があるか否かを検知する障害物検知手段(障害物検知センサ65)と、当該障害物検知手段により障害物が検知された場合に昇降を停止させる又は障害物を回避するように前記昇降用軌道を中心として回転させる退避処理を実行する退避処理手段(ロボット制御部35)と、を備えた構成とすることが好ましい。これにより、昇降用軌道を介して昇降している際に進行方向に障害物がある場合に、当該障害物と接触してしまうことを防止することができる。
前記昇降用軌道を昇降する際の昇降時姿勢を基準姿勢に調整するための姿勢調整手段(姿勢調整装置61)をさらに備えた構成とすることが好ましい。上記のように貫通部を貫通した昇降用軌道を介して昇降する構成においては、走行体が自重により昇降用軌道を中心として傾いてしまうおそれがある。そうすると、走行体の昇降が良好に行われなくなってしまうおそれがある。これに対して、姿勢調整手段が設けられていることにより走行体の姿勢が基準姿勢に調整されるため、走行体の昇降が良好に行われる。
前記昇降用軌道の一部と当接し当該昇降用軌道からの落下を防止する落下防止手段(安全装置71)を備えた構成とすることが好ましい。これにより、昇降途中に走行体が落下してしまうことが防止される。
前記各床上において前記昇降用軌道の位置を検知する位置検知手段(赤外線受光部75)を備えた構成とすることが好ましい。これにより、走行体は位置検知手段の検知結果に基づいて走行することにより、昇降用軌道へ確実に到達することができる。
走行体システムにおいて、以上説明した建物と、以上説明した走行体とを具備する構成とすることで、上記各効果を奏する走行体システムを提供することが可能となる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、走行体としての自走式の移動ロボットを住宅において周回させ室内清掃を行わせるようにした住宅内清掃システムについて説明する。図1は住宅10における住宅内清掃システムの概要を示す略図である。
図1に示すように、住宅10は一階スペース11と二階スペース12とを備えた二階建て住宅である。一階スペース11は一階床部13とニ階床部14との間のスペースであり、二階スペース12は二階床部14と天井部15との間のスペースである。また、住宅10は、一階床部13と天井部15との間に、その途中位置にて空間を上下方向に仕切る部位が存在しない吹き抜けスペース16を備えている。
吹き抜けスペース16は、一階スペース11及び二階スペース12の両方に隣接しており、吹き抜けスペース16と二階スペース12との間には仕切り壁17が設けられている。一方、吹き抜けスペース16と一階スペース11との間には仕切り壁が設けられておらず、住人等は両スペース11,16間を自由に行き来できるようになっている。
吹き抜けスペース16と一階スペース11との下縁には共に一階床部13が位置しているが、当該一階床部13はその水平方向の途中位置にて段差状となっており、一階スペース11の一階床部13aに対して吹き抜けスペース16の一階床部13bは下方にある。
吹き抜けスペース16には、一階床部13bから天井部15付近に亘って上下方向に延びる円柱状のポール21が設けられている。なお、ポール21を円筒状としてもよく、またポール21が天井部15にも支持された構成としてもよい。ポール21は、吹き抜けスペース16における一階スペース11及び二階スペース12に近い側に設けられている。
上記各スペース11,12,16を対象に移動ロボット30による清掃が行われる。また、ポール21を用いて、各スペース11,12,16間の移動が行われる。
移動ロボット30について詳細に説明する。図2(a)は移動ロボット30の構成を説明するための斜視図、図2(b)は移動ロボット30の構成を説明するための側面図、図2(c)は移動ロボット30の構成を説明するための平面図である。
図2に示すように、移動ロボット30は、箱状の本体ボディ31と、当該本体ボディ31の下部に設けられた複数(例えば6個)の走行用車輪32とを有している。また、本体ボディ31には、走行時の駆動源となる走行用モータ部33と、床部13,14上のゴミや埃等を吸引するゴミ吸引装置34と、これら走行用モータ部33やゴミ吸引装置34等を制御するためのロボット制御部35と、繰り返しの充電が可能な二次電池からなるバッテリ(電源装置)36と、を備えている。ロボット制御部35によって走行用モータ部33が駆動制御されることにより、走行用車輪32が回転し床部13,14上を走行する。また、ロボット制御部35により、ゴミ吸引装置34が駆動制御されることにより床部13,14上のゴミや埃等が吸引され当該床部13,14上の清掃が行われる。
移動ロボット30には、上記の走行機能以外にも、ポール21を介した各スペース11,12,16間の昇降機能、ポール21を中心とした回転機能、昇降時における姿勢調整機能、昇降時において障害物との接触を回避するための接触回避機能及び昇降時において落下を防止するための落下防止機能を備えている。そこで、以下に、これら各機能について個別に説明する。
先ず、昇降機能及び回転機能について図2及び図3を用いて説明する。図3(a)は昇降及び回転の様子を説明するための略図、図3(b)は昇降機能を説明するための移動ロボット30の一部を拡大して示す平面図、図3(c)は回転機能を説明するための移動ロボット30の一部を拡大して示す平面図である。
移動ロボット30の本体ボディ31には、図2に示すように、上下方向に貫通した貫通孔部41が移動ロボット30の前面42に偏倚させた位置に設けられている。なお、貫通孔部41を、後面43や側面44,45に偏倚させた位置に設けても良い。
貫通孔部41は、横断面における周縁部が円弧状をなしており、その円弧から想定される孔径はポール21の外周径よりも大きくなっている。また、貫通孔部41は、上下方向に貫通しているだけでなく、前面42側にてその全体が開放されている。この開放部46は、ポール21が貫通孔部41内に入り込めるようにその開放幅が設定されている。
本体ボディ31における貫通孔部41の周囲には、ポール21を介した各スペース11,12,16間の昇降に際して動作する昇降用車輪51と、昇降時の駆動源となる昇降用モータ部52と、ポール21を中心とした回転に際して動作する回転用車輪53と、回転時の駆動源となる回転用モータ部54とが内蔵されている。
昇降用車輪51は、図3(b)に示すように、複数(具体的には、3個)設けられており、それら各昇降用車輪51は貫通孔部41に沿って等間隔で並ぶように配置されている。各昇降用車輪51はその回転軸が水平方向となるように設けられており、さらには貫通孔部41内に一部が突出した動作時位置と貫通孔部41外に没入した収容時位置とに切り替え配置可能に設けられている。これら各昇降用車輪51の回転動作及び切り替え配置動作は、ロボット制御部35によって昇降用モータ部52が駆動制御されることにより行われる。
各昇降用車輪51は、移動ロボット30が床部13,14上を走行している状況及びポール21を中心として回転している状況では収容時位置にあり、貫通孔部41にポール21が入り込み当該ポール21を介して昇降する際に動作時位置に切り替え配置される。動作時位置に切り替え配置された状況では各昇降用車輪51の外周面がポール21の外周面に当接し、各昇降用車輪51によりポール21を挟持した状態となる。そして、この挟持した状態において、各昇降用車輪51がそれぞれ同一方向に回転することにより、図3(a)に示すように、移動ロボット30がポール21に沿って上昇又は下降する。なお、昇降の途中にて移動ロボット30が停止している状況においても各昇降用車輪51によりポール21を挟持した状態は維持されるため、移動ロボット30が落下してしまうことが防止される。
回転用車輪53は、図3(c)に示すように、複数(具体的には、3個)設けられており、それら各回転用車輪53は貫通孔部41に沿って等間隔で並ぶように配置されている。各回転用車輪53は、その回転軸が鉛直方向となるように設けられており、さらには昇降用車輪51と同様に、貫通孔部41内に一部が突出した動作時位置と貫通孔部41外に没入した収容時位置とに切り替え配置可能に設けられている。これら各回転用車輪53の回転動作及び切り替え配置動作は、ロボット制御部35によって回転用モータ部54が駆動制御されることにより行われる。
ちなみに、図2(b)に示すように、各回転用車輪53は各昇降用車輪51の上方に設置されている。したがって、各昇降用車輪51及び各回転用車輪53の回転動作や切り替え配置動作に際して、両車輪51,53が相互に干渉することが防止されている。
各回転用車輪53は、移動ロボット30が床部13,14上を走行している状況及びポール21を介して昇降している状況では収容時位置にあり、貫通孔部41にポール21が入り込み当該ポール21を中心として回転する際に動作時位置に切り替え配置される。動作時位置に切り替え配置された状況では各回転用車輪53の外周面がポール21の外周面に当接し、各回転用車輪53によりポール21を挟持した状態となる。そして、この挟持した状態において、各回転用車輪53がそれぞれ同一方向に回転することにより、図3(a)に示すように、移動ロボット30がポール21を中心として回転する。なお、回転の途中にて移動ロボット30が停止している状況においても各回転用車輪53によりポール21を挟持した状態は維持されるため、移動ロボット30が落下してしまうことが防止される。
ちなみに、ポール21に沿った昇降動作とポール21を中心とした回転動作とが相互に切り替えられる場合には、先の動作に係る車輪51,53によりポール21を挟持した状態を維持しながら次の動作に係る車輪51,53によるポール21の挟持を開始させる。例えば、昇降動作から回転動作に切り替える場合には、各昇降用車輪51によりポール21を挟持した状態を維持しながら、各回転用車輪53を動作時位置に切り替え配置し当該各回転用車輪53によりポール21を挟持した状態とする。かかる構成とすることにより、昇降動作と回転動作との切り替えに際して、移動ロボット30が落下してしまうことが防止される。
次に、姿勢調整機能について図2及び図4を用いて説明する。図4は姿勢調整機能を説明するための略図である。
移動ロボット30の本体ボディ31には、図2(c)及び図4に示すように、姿勢調整装置61が設けられている。姿勢調整装置61は、各側面44,45側にそれぞれ1つずつ設けられている。各姿勢調整装置61は、貫通孔部41が形成された側の縁部からその反対側の縁部に向けて延びる空洞部62と、当該空洞部62内において往復動可能に収容された重り63と、空洞部62内において重り63を移動させる駆動装置64と、を備えている。
駆動装置64は、本体ボディ31の一階床部13に対する平行度を検出する平行度検出センサを備えており、当該平行度検出センサの検出結果に基づいて重り63を移動させることで、移動ロボット30の姿勢を一階床部13に対して平行となった基準姿勢に調整する。この場合に、各空洞部62における貫通孔部41側の一端は、当該貫通孔部41よりも本体ボディ31の縁部側まで延長させて形成されている。上記のように貫通孔部41が本体ボディ31の所定の縁部に偏倚させて形成された構成においては、ポール21を介した昇降時において貫通孔部41が形成された側とは反対側の重量が大きくなり、その重量が大きくなった側に移動ロボット30が傾いてしまうものと考えられる。これに対して、上記のように各空洞部62が形成されていることにより、貫通孔部41よりも本体ボディ31の縁部側にまで重り63が移動可能となり、姿勢の調整を良好に行うことが可能となる。上記のように姿勢調整装置61が設けられていることにより、移動ロボット30のポール21を介した昇降が円滑に行われる。
次に、接触回避機能について図5を用いて説明する。図5は接触回避機能を説明するための略図である。
移動ロボット30の本体ボディ31には、図5に示すように、その下部に障害物検知センサ65が設けられている。障害物検知センサ65は例えばフォトセンサからなり、複数設けられている。これら障害物検知センサ65は、本体ボディ31の底部の隅角側において下方に向けて光を照射するようにして設けられている。障害物検知センサ65による障害物の検知距離は、障害物を検知した際に移動ロボット30の停止動作が障害物に接触する前までに完了させることが可能な距離となっている。なお、障害物検知センサ65を、本体ボディ31の底部の周縁に多数並設してもよい。この場合、障害物の検知をより確実に行うことができる。
図5(a)に示すように、障害物検知センサ65にて障害物が検知されることにより、昇降用モータ部52がロボット制御部35により停止制御され、移動ロボット30の下降が停止される。そして、停止後に回転用モータ部54がロボット制御部35により駆動制御され、図5(b)に示すように、移動ロボット30は障害物検知センサ65により障害物が検知されない位置に向けて回転する。その後、ロボット制御部35による昇降用モータ部52の駆動制御が再開され、移動ロボット30が下降を再開する。
なお、障害物検知センサ65を、本体ボディ31の上部にも設けてもよい。この場合、移動ロボット30が上昇する際の進行方向に障害物が存在したとしても、その障害物と移動ロボット30とが接触してしまうことが防止される。また、下部や上部に設けられた障害物検知センサ65を、床部13,14上を走行する際において障害物を検知するためのセンサとして兼用してもよい。
次に、落下防止機能について図6を用いて説明する。図6は落下防止機能を説明するための略図である。
移動ロボット30の本体ボディ31には、図6に示すように、その上部に安全装置71が設けられている。安全装置71は複数設けられており、各安全装置71は貫通孔部41に沿って配置されている。
安全装置71は、アーム72と、当該アーム72を収容する収容穴73とを備えている。アーム72は、収容穴73内にてその一端が軸支されており、収容穴73に収容された収容位置と収容穴73から突出した動作時位置とに切り替え配置可能に設けられている。この切り替え配置は、安全装置71に設けられたアーム用モータ部74がロボット制御部35により駆動制御されることにより行われる。アーム72が動作時位置にある場合、アーム72の先端部は貫通孔部41側に突出する。この先端部がポール21に設けられた落下防止用溝22にて受けられることにより、移動ロボット30の落下が防止される。
ここで、ポール21の落下防止用溝22について詳細に説明すると、ポール21は外周径が縮径された環状凹部23を複数備えており、これら環状凹部23は上下方向に等間隔で設けられている。この環状凹部23の上下方向の寸法は、昇降用車輪51の直径よりも小さくなっており、さらに回転用車輪53の幅寸法よりも小さくなっている。これら各環状凹部23とポール21の外周面との段差部分であって下側の段差部分に、上方に開放された一連の落下防止用溝22が形成されている。つまり、落下防止用溝22は環状をなしている。なお、図6以外においては、落下防止用溝22及び環状凹部23を省略して示す。
安全装置71のアーム72の先端部はフック状をなしており、アーム72が動作時位置に配置された場合、先端部が落下防止用溝22内に入り込む。これにより、アーム72が落下防止用溝22にて上方から受けられ、移動ロボット30の落下が防止される。ちなみに、上記のとおり落下防止用溝22が環状に形成されていることにより、落下防止用溝22にアーム72が受けられた状態においてポール21を中心とした移動ロボット30の回転が可能となっている。また、各環状凹部23の高さ寸法は切り替え配置時におけるアーム72の回動範囲を許容する大きさに設定されている。
アーム72は基本的に収容位置にあり、ポール21を介して昇降している途中でバッテリ36の電力が切れてしまう可能性が生じた場合などに動作時位置に切り替え配置される。バッテリ36の電池が切れてしまうと、昇降用モータ部52や回転用モータ部54による車輪51,53の駆動が停止されてしまい、移動ロボット30が落下してしまうおそれがあるからである。
なお、ロボット制御部35において昇降用モータ部52や回転用モータ部54などの故障の有無を判定し、これらモータ部52,54がポール21を介して昇降している途中で故障した場合にもアーム72を動作時位置に切り替え配置するようにしてもよい。また、アーム72の代わりに、貫通孔部41に対して出没するピン部材を設けるとともに、ポール21には環状凹部23のみを形成し落下防止用溝22を形成しないようにしてもよい。本構成においては、貫通孔部41内に突出したピン部材が環状凹部23の下側の段差面にて下方から受けられるようにすることで、移動ロボット30の落下を防止することができる。
次に、上記移動ロボット30の各スペース11,12,16間の移動について説明する。
移動ロボット30の各スペース11,12,16間の移動の態様としては、吹き抜けスペース16及び一階スペース11間の相互の移動と、一階スペース11及び二階スペース12間の相互の移動と、二階スペース12及び吹き抜けスペース16間の相互の移動と、が考えられる。これら各移動は、吹き抜けスペース16に設けられたポール21を介して行われる。ここで、上記のとおりポール21は吹き抜けスペース16に設置されており、さらには吹き抜けスペース16と二階スペース12との間には仕切り壁17が設けられている。当該構成において、仕切り壁17には移動ロボット30用の出入口部81が形成されており、当該出入口部81を通じて二階スペース12への移動又は二階スペース12からの移動が行われる。
上記各移動に際しては、先ず貫通孔部41内にポール21が入り込む位置まで移動ロボット30が走行する。ここで、移動ロボット30には走行用車輪32が一対ずつ3箇所に設けられており、各一対の走行用車輪32は、貫通孔部41寄りの位置と、当該貫通孔部41側とは反対側の端部寄りの位置と、それら両位置の間の位置とにそれぞれ配置されている。当該構成において、一階スペース11及び二階スペース12に対するポール21の位置は、各スペース11,12の各床部13,14側から貫通孔部41内にポール21が入り込む位置に移動ロボット30が到達した際に、上記貫通孔部41寄り以外の各走行用車輪32が床部13,14上に載った状態が維持されるように設定されている(図3(a)参照)。これにより、一階スペース11及び二階スペース12からのポール21への移動が安定した状態で行われる。
また、ポール21及び仕切り壁17には、図1に示すように、移動ロボット30のポール21への誘導手段として赤外線発光装置82a,82b,82cが設けられている。この赤外線発光装置82a〜82cは、指向性の強い赤外線レーザを照射するものであり、180°から360°まで照射範囲の設定が可能となっている。移動ロボット30には、図2(b)に示すように、赤外線発光装置82a〜82cに対応させて赤外線受光部75が設けられており、当該赤外線受光部75にて赤外線発光装置82a〜82cからの赤外線レーザを受光することにより、ポール21の位置を正確に把握し、ポール21に向けた走行が確実に行われる。
貫通孔部41内にポール21が入り込む位置まで走行した後は、移動ロボット30の全体が吹き抜けスペース16内に位置し、且つ移動ロボット30の前面が一階スペース11及び二階スペース12側を向くように、移動元のスペースからの離脱動作を行う。但し、移動元のスペースが吹き抜けスペース16である場合には、最初から移動ロボット30の全体が吹き抜けスペース16内に位置している。また、上記ポール21に向けた走行に際して、貫通孔部41内にポール21が入り込むタイミングで移動ロボット30の前面が一階スペース11及び二階スペース12側を向くように走行経路が設定される。したがって、移動元のスペースが吹き抜けスペース16である場合には、離脱動作を行わない。離脱動作では、回転用車輪53が回転することにより、移動ロボット30の全体が吹き抜けスペース16内に位置し、且つ移動ロボット30の前面が一階スペース11及び二階スペース12側を向く状態となるまで移動ロボット30がポール21を中心として回転する。
その後、昇降用車輪51によりポール21に沿って昇降を行い、移動先の床部13,14に対応した着地用位置まで移動する。着地用位置に到達した後は、移動先の床部13,14への着地動作を行う。但し、移動先のスペースが吹き抜けスペース16である場合には、ポール21に沿って下降し走行用車輪32が吹き抜けスペース16の一階床部13b上に載った位置が着地用位置に相当しこの時点で着地が完了しているため、着地動作を行わない。着地動作では、回転用車輪53が回転することにより、貫通孔部41寄り以外の各走行用車輪32が移動先の床部13a,14上に載った状態となるまで移動ロボット30がポール21を中心として回転する。
その後、貫通孔部41内からポール21が外れる方向へ移動ロボット30が走行し、全ての走行用車輪32が移動先の床部13,14上に載ることで他のスペースへの移動が完了する。
次に、二階スペース12の出入口部81及びそれに関連する構成について図7及び図8を用いて説明する。
出入口部81は矩形状をなしており、仕切り壁17における二階床部14との境界部分が出入口部81の一辺をなすように形成されている。つまり、出入口部81の下縁は、二階床部14により構成されている。出入口部81の高さ寸法及び幅寸法は、移動ロボット30が通過するのに十分な大きさを有している。すなわち、二階スペース12からの移動及び二階スペース12への移動に際して移動ロボット30がポール21を中心として回転する際に、移動ロボット30が出入口部81の周縁部と干渉しないように出入口部81が形成されている。
出入口部81には、当該出入口部81を開閉する扉体83が設けられている。扉体83は出入口部81の周縁部に対して回動可能に片持ち支持されている。具体的には、扉体83の上縁が出入口部81の上部に軸支されており、当該上縁を中心として二階スペース12の内外両側に回動可能となっている。扉体83は、自重により自然状態では出入口部81を閉鎖する位置にあり、移動ロボット30により内側から又は外側から押し開けられることにより、出入口部81を開放する位置に回動する。
扉体83の回動先端部と出入口部81の下縁とには、それぞれ永久磁石84a,84bが設けられている。これら一対の永久磁石84a,84bの相互に引き合う磁力により、扉体83に対して上記磁力を超える力が作用しない限り、当該扉体83が開放位置に回動しないようになっている。また、図7(a)に示すように、扉体83には、下縁から鉛直上方に延びるスリット85が形成されている。このスリット85により扉体83が外側に開いた際に、当該扉体83とポール21とが干渉してしまうことが防止されている。
ここで、図8(a)に示すように、二階スペース12の出入口部81及びその周辺には、ロック装置91が設けられており、当該ロック装置91が設けられていることで、例えばペットなどといった移動ロボット30以外のものにより二階スペース12内側からの扉体83の開放が行われないようになっている。
ロック装置91について詳細に説明すると、当該ロック装置91は、扉体83の外側の面と当接することにより外側への回動を阻止するロック部材92と、移動ロボット30に設けられたICタグ76からID情報を読み取るタグ読取部93と、タグ読取部93から入力した読取結果に基づいてロック部材92をロック位置又は非ロック位置に移動させるロック制御部94と、を備えている。
ロック部材92は、出入口部81の下縁であって、閉鎖位置にある場合の扉体83の外側位置に設けられており、さらに出入口部81に対して出没可能に設けられている。なお、ロック部材92は複数(具体的には、2個)設けられているが、これに限定されることはなく、1個のみ設けられた構成としてもよい。また、ロック部材92を、出入口部81の側縁に設けてもよい。
ロック部材92が出入口部81に突出した状態では、扉体83が外側に回動しようとした際に当該扉体83の外側の面と当接し、開放位置への回動を阻止する。なお、突出した状態において、ロック部材92が自然状態にある扉体83の外側の面に当接する構成としてもよく、自然状態にある扉体83の外側の面に当接しないが、当該外側の面に対して若干離間された位置にあるため、開放位置への回動に際して当接する構成としてもよい。一方、ロック部材92が出入口部81から没入した状態では扉体83がロック部材92に当接することはなく、外側の開放位置への回動が可能となる。
タグ読取部93は、二階床部14における出入口部81から所定の距離だけ内側に入り込んだ位置に埋設されている。タグ読取部93は、アンテナ部と送受信回路とを備えており、アンテナ部からは上記ICタグ76に対応した周波数の電波が常に発信されている。ICタグ76はタグ読取部93から電波を受信することにより、自己のID情報が含まれた電波を発信する。タグ読取部93ではその電波を受信することによりICタグ76のID情報を読み取る。なお、タグ読取部93の構成は上記のものに限定されることはなく、移動ロボット30が起動している状況においてはICタグ76から常にID情報を含んだ電波を発信する構成とし、タグ読取部93はその電波を受信する機能のみを有する構成としてもよい。
ロック制御部94は二階床部14に埋設されており、当該ロック制御部94にはタグ読取部93における読取結果が入力される。ロック制御部94はタグ読取部93を通じてICタグ76のID情報を入力した場合に、ロック部材92が出入口部81から没入した位置に移動するよう当該ロック部材92用のアクチュエータを動作させる。このロック部材92が没入した状態は、移動ロボット30の二階スペース12からの離脱動作が完了するまで維持される。具体的には、ロック制御部94のメモリには、移動ロボット30が離脱動作を完了させ且つ扉体83が自重により自然状態に復帰する上で十分な時間が予め記憶されており、ロック部材92を没入させた後はその予め記憶された時間が経過するまで没入させた状態を維持させる。そして、移動ロボット30の離脱動作が完了し扉体83が自重により自然状態に復帰した後に上記時間が経過することで、ロック部材92を出入口部81に突出した状態に復帰させる。
ここで、図8(c)に示すように、二階スペース12から他のスペースに向けて移動している移動ロボット30が扉体83の内側の面に当接する前のタイミングで、ロック部材92の没入位置への移動が完了するように、タグ読取部93の位置が設定されている。したがって、ロック部材92が突出した状態であるにも関わらず、移動ロボット30が二階スペース12の内側から扉体83に当接してしまうことが防止されている。
以上の構成において、移動ロボット30が二階スペース12へ入る場合には、図7(b)や図8(b)に示すように、移動ロボット30がポール21を中心として回転することにより当該移動ロボット30における貫通孔部41側とは反対側の端部が扉体83を押し出す。これにより、一対の永久磁石84a,84bの磁力に抗して扉体83が内側に回動するとともに、移動ロボット30が二階床部14に着地する。
この場合、ロック部材92は出入口部81に突出した状態が維持されているが、移動ロボット30における本体ボディ31の底面は突出した状態のロック部材92よりも上方に位置しているため、本体ボディ31とロック部材92とが干渉してしまうことが防止されている。さらには、移動ロボット30の走行用車輪32の通過位置に含まれないようにロック部材92の設置位置が設定されていることにより、走行用車輪32によってロック部材92が踏まれることもない。
その後、移動ロボット30が二階スペース12内に完全に入り、当該移動ロボット30と扉体83とが当接しなくなることにより、扉体83は自然状態に復帰し、出入口部81が閉鎖された状態となる。
一方、移動ロボット30が二階スペース12から出る場合には、図8(c)において二点鎖線で示すように、タグ読取部93にてICタグ76のID情報を読取可能となる位置に移動ロボット30が到達することにより、ロック部材92が出入口部81から没入した状態となる。その後、図8(c)において実線で示すように、移動ロボット30がポール21に向けて走行することにより当該移動ロボット30における貫通孔部41側の端部が扉体83を押し出す。これにより、一対の永久磁石84a,84bの磁力に抗して扉体83が外側に回動するとともに、移動ロボット30の貫通孔部41にポール21が入り込んだ状態となる。
その後、移動ロボット30がポール21を中心として回転して吹き抜けスペース16内に完全に入りさらにポール21に沿って下降することで、当該移動ロボット30と扉体83とが当接しなくなる。そして、移動ロボット30と扉体83とが当接しなくなることにより、扉体83は自然状態に復帰し出入口部81が閉鎖された状態となる。
次に、本住宅内清掃システムにおける電気的な構成を説明する。図9は本住宅内清掃システムにおける電気的な構成を示すブロック図である。
図9において、ロボット制御部35は周知のマイクロコンピュータを備えて構成されており、制御プログラムや地図情報が格納された不揮発性のメモリ101を有している。ロボット制御部35には、走行用モータ部33、ゴミ吸引装置34、バッテリ36、昇降用モータ部52、回転用モータ部54、姿勢調整装置61、安全装置71、障害物検知センサ65及び赤外線受光部75が電気的に接続されている。また、移動ロボット30にはスピーカ102が設けられており、スピーカ102もロボット制御部35に電気的に接続されている。移動ロボット30において異常が生じた場合には、スピーカ102から異常報知音が出力される。さらにまた、移動ロボット30には受信部103が設けられており、受信部103もロボット制御部35に電気的に接続されている。
ロボット制御部35は受信部103を介して、住宅10に設けられた管理コンピュータ111から作業指令情報を受信する。なお、この作業指令情報の通信は、無線LANによる無線通信を用いて行われているが、赤外線,Bluetooth(登録商標)などによる他の無線通信を用いてもよく、さらには電灯線通信などといった有線通信を用いてもよい。
ロボット制御部35は、管理コンピュータ111から作業指令情報を受信することにより、その作業指令情報の内容と地図情報とを参照して移動経路及び作業内容を選択する。この場合、地図情報には、ポール21の位置情報が含まれており、さらには各スペース11,12,16の立体的な情報も含まれている。したがって、スペース11,12,16間の移動に際しては、ポール21の位置情報及び各スペース11,12,16の立体的な情報に基づいて移動経路が選択される。そして、その選択した移動経路に従って走行用モータ部33、昇降用モータ部52及び回転用モータ部54を駆動制御することにより、スペース11,12,16間の移動が行われる。
上記スペース11,12,16間の移動に際しては、ポール21及び仕切り壁17に赤外線発光装置82a〜82cが設けられているとともに移動ロボット30に赤外線受光部75が設けられているため、ポール21に向けた自立走行が確実にガイドされる。さらに、二階スペース12からの移動に際しては、ICタグ76のID情報がロック装置91のタグ読取部93にて読み取られることに基づいてロック部材92による扉体83のロック状態が解除され、二階スペース12からの離脱が可能となる。
次に、ロボット移動制御処理を図10のフローチャートに基づき説明する。図10の処理はロボット制御部35により実行される。
ロボット移動制御処理は、管理コンピュータ111から作業指令情報を受信することにより開始される。そして、ステップS101において作業指令情報の内容及び地図情報を参照することにより、移動経路及び作業内容を選択する。この選択した移動経路及び作業内容は、ロボット制御部35のレジスタ又は上記メモリ101とは異なる揮発性のメモリに記憶される。
続くステップS102では、スペース11,12,16間の移動があるか否かを判定する。スペース11,12,16間の移動がない場合には、ステップS102にて否定判定をし、特定作業処理へ移行することで本ロボット移動制御処理を終了する。この特定作業処理については後に説明する。一方、スペース11,12,16間の移動がある場合には、ステップS103〜ステップS113のスペース間移動処理を実行する。
スペース間移動処理では、先ずステップS103にて、走行開始処理を実行する。ここで、ロボット制御部35は、本ロボット移動制御処理とは別に、所定の周期(例えば、100msec)で当該ロボット移動制御処理に割り込んで処理を実行する割込み処理を備えている。この割込み処理として、床部13,14上を走行する際に実行される走行用割込み処理と、ポール21を介して昇降する際に実行される昇降用割込み処理と、安全装置71を起動させるための安全用割込み処理と、が予め設定されている。なお、これら各割込み処理の実行タイミングは、各割込み処理が同時に実行されないように設定されており、さらにはロボット移動制御処理の開始時においては全ての割込み処理の割込みが禁止されている。
ステップS103にて走行開始処理が実行されることにより、走行用割込み処理の割込みが許可される。走行用割込み処理では、ステップS101にて選択された移動経路に従って走行用モータ部33を駆動制御することにより、移動ロボット30をポール21に向けて走行させる。
続くステップS104では、赤外線発光装置82a〜82cからの赤外線を赤外線受光部75にて受光したか否かを判定する。赤外線を受光していない場合にはステップS104にて否定判定をし、再度ステップS104の処理を実行する。つまり、赤外線を受光するまでステップS104にて待機する。なお、この待機している状況であっても上記走行用割込み処理が所定の周期で実行されるため、移動ロボット30は走行を続ける。
その後、赤外線受光部75にて赤外線を受光することにより、ステップS104にて肯定判定をし、ステップS105に進む。ステップS105では、移動経路の修正処理を実行する。当該修正処理では、赤外線受光部75にて赤外線を受光したタイミング及びその位置に基づいて、移動経路が住宅10内における実際の位置と一致しているか否かを判定し、一致している場合には移動経路の修正を行わず、一致していない場合には移動経路の修正を行う。移動経路の修正が行われた場合、走行用割込み処理では、その修正後の移動経路に従って走行用モータ部33を駆動制御することで移動ロボット30を走行させる。
続くステップS106では、ポール21に到達したか否かを判定する。具体的には、移動ロボット30の貫通孔部41内にポール21が入り込んでいるか否かを判定する。この判定は、例えば貫通孔部41内に磁場を形成しておき、その磁場が大きく変化したか否かを検知する構成とすることで可能となる。ポール21に到達していない場合にはステップS106にて否定判定をし、再度ステップS106の処理を実行する。つまり、ポール21に到達するまでステップS106にて待機する。なお、この待機している状況であっても上記走行用割込み処理が所定の周期で実行されるため、移動ロボット30は走行を続ける。
その後、ポール21に到達することにより、ステップS106にて肯定判定をし、ステップS107に進む。ステップS107では、方向転換処理を実行する。具体的には、回転用モータ部54を駆動制御することにより、移動ロボット30の全体が吹き抜けスペース16内に位置し且つ移動ロボット30の前面が一階スペース11及び二階スペース12側を向くように、ポール21を中心として当該移動ロボット30を回転させる。なお、移動元のスペースが吹き抜けスペース16においては、既に説明したように移動ロボット30を回転させる必要がないため、当該方向転換処理を実行しない。
方向転換が完了した後は、ステップS108にて昇降開始処理を実行する。昇降開始処理が実行されることにより、走行用割込み処理の割込みが禁止されるとともに、昇降用割込み処理及び安全用割込み処理の割込みが許可される。昇降用割込み処理では、ステップS101にて選択された移動経路に従って昇降用モータ部52を駆動制御することにより、移動ロボット30をポール21に沿って上昇又は下降させる。安全用割込み処理では、バッテリ36の電力量が停電判定用電力量となったか否かを判定する。停電判定用電力量となっている場合には安全装置71を駆動制御し、安全装置71のアーム72を動作時位置に切り替え配置させる。
続くステップS109では、姿勢調整処理を実行する。姿勢調整処理では、姿勢調整装置61を駆動制御することにより、移動ロボット30の姿勢が基準姿勢となるように調整する。
続くステップS110では、障害物検知センサ65の検知結果に基づいて、移動ロボット30の進行方向に障害物が存在しているか否かを判定する。障害物検知センサ65にて障害物を検知している場合には、ステップS110にて肯定判定をし、ステップS111にて障害物回避処理を実行する。障害物回避処理では、昇降用割込み処理の割込みを禁止するとともに、移動ロボット30の下降を禁止する。また、安全用割込み処理における安全装置71の駆動制御を許可し、次回の安全用割込み処理にて安全装置71のアーム72を動作時位置に切り替え配置させる。さらにまた、回転用モータ部54を駆動制御することにより、ポール21を中心として移動ロボット30を時計回り又は反時計回りのうち、予め定められた方向に90度回転させる。
その後、ステップS110に戻り、障害物検知センサ65にて障害物を検知しているか否かを再度判定し、障害物を検知していない場合には、ステップS112に進む。この際、安全装置71のアーム72を収容位置に切り替え配置させる。一方、依然として障害物を検知している場合には、ステップS111に進み、スピーカ102からエラー音を出力させ障害物を取り除くことを住人等に促す。その後、障害物が取り除かれ、障害物検知センサ65にて障害物を検知しなくなるまで、ステップS110〜ステップS111の処理を繰り返す。
障害物検知センサ65にて障害物を検知していない場合には、ステップS110にて否定判定をし、ステップS112に進む。なお、昇降用割込み処理の割込みを禁止している状況でステップS110にて否定判定をした場合には、当該昇降用割込み処理の割込みを許可する。
ステップS112では、移動先のスペースに対応した着地用位置に到達したか否かを判定する。着地用位置に到達していない場合には、ステップS110〜ステップS112の処理を繰り返す。着地用位置に到達している場合には、ステップS113に進み、着地処理を実行する。
この着地処理では、先ず昇降用割込み処理及び安全用割込み処理の割込みを禁止する。その後、回転用モータ部54を駆動制御することにより、ポール21を中心として移動ロボット30を上記予め定められた方向に180度回転させる。但し、ステップS111の障害物回避処理にて既に90度回転している場合には、90度のみ回転させる。これにより、移動先のスペースの床部に走行用車輪32が着地する。なお、移動先のスペースが吹き抜けスペース16である場合には、昇降用割込み処理及び安全用割込み処理の割込みを禁止するだけで、上記の回転処理は実行しない。その後、姿勢調整装置61を駆動制御することにより、重り63を空洞部62における貫通孔部41側とは反対側の端部に移動させる。これにより、移動先のスペースが一階スペース11又は二階スペース12である場合には、その移動先のスペース側の重量がより大きくなり、着地の安定化が図られる。
その後、特定作業処理へ移行することで、本ロボット移動制御処理を終了する。特定作業処理では、ロボット移動制御処理のステップS101にて選択された移動経路及び作業内容に従って、走行用モータ部33を駆動制御することにより、掃除対象の部屋まで走行する。そして、掃除対象の部屋に到着した後は、ゴミ吸引装置34を駆動制御しながら走行用モータ部33を駆動制御することにより、その部屋の掃除を実行する。掃除を完了した後は、各スペース11,12,16に設定された待機用の場所にて待機する。なお、この待機用の場所に、バッテリ36の充電装置を設けもよい。また、所定のスペースにのみ待機用の場所を設けてもよく、この場合、掃除を完了した後はその待機用の場所が設けられた所定のスペースへの移動が行われる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
住宅10には昇降用軌道としてポール21を設け、当該ポール21を介することで、床部13a,13b,14の高さ位置が相互に異なる各スペース11,12,16へ移動ロボット30が自走により移動するようにした。これにより、高さ位置が相互に異なる床部13a,13b,14が存在する住宅10において、単一の移動ロボット30での対応が可能となる。
また、本構成においては、ポール21という簡素な構成により、移動ロボット30の自走による昇降をサポートする機能が果たされる。よって、エレベータ装置などを設ける構成に比して、簡素な構成により上記優れた効果を得ることができる。また、ポール21は、エレベータ装置などよりも小規模であるため、エレベータ装置を設ける構成に比して設置スペースの縮小化が図られる。また、ポール21は、住宅10の住人等にとっては昇降するための手段とはならない。したがって、床部13a,13b,14の高さ位置が異なるスペース11,12,16間の移動に関して、住人等と移動ロボット30との動線が重なることが防止され、移動ロボット30を住宅10に適用する上で、住人等の生活環境に与える影響が低減される。また、昇降用軌道をポール21として設けることにより、住宅10内の美観を損ねることはない。
ポール21を吹き抜けスペース16に設けたことにより、ポール21の途中位置に上下空間を仕切るための仕切部が不具備となる。ポール21の途中位置に上下空間を仕切るための仕切部が設けられた構成を想定すると、その仕切部により仕切られた位置を移動ロボット30が通過する際に仕切部の除去作業を行う必要が生じ、当該除去作業を行う機能を住宅10側に設ける必要が生じる。この場合、住宅10の構成の複雑化を招いてしまう。これに対して、本構成によれば、上記のとおり仕切部が設けられていないため、住宅10の構成の複雑化を招くことなく、ポール21を介した移動ロボット30の昇降が円滑に行われる。また、吹き抜けスペース16にポール21を設けたことにより、ポール21によって住宅10内の美観が損なわれることはない。
二階スペース12と吹き抜けスペース16との仕切り壁17に形成された移動ロボット30用の出入口部81に、扉体83を設けた。これにより、二階スペース12から吹き抜けスペース16への落下物の発生を抑制することが可能となる。
また、扉体83を、出入口部81の上部に回動可能に片持ち支持させて設けた。これにより、二階スペース12及び吹き抜けスペース16のうち一方から他方へ移動ロボット30が進入する際に、扉体83は当該移動ロボット30と当接することで押されて閉塞位置から開放位置へと回動する。これにより、住宅10側に扉体83を閉鎖位置から開放位置へと回動させるためのアクチュエータなどを設ける必要がなくなり、住宅10側の構成の簡素化を図りつつ、上記優れた効果を得ることができる。また、上記のように扉体83を出入口部81の上部に片持ち支持させた構成においては、扉体83が開放位置に回動した後に移動ロボット30との当接が解除されることにより、扉体83は自重により閉鎖位置に復帰する。よって、住宅10側に扉体83を開放位置から閉鎖位置へと回動させるためのアクチュエータなどを設ける必要がなくなり、住宅10側の構成の簡素化を図りつつ、上記優れた効果を得ることができる。
また、ロック装置91を設け、ペットなどといった移動ロボット30以外のものによって押されたとしても扉体83が吹き抜けスペース16側へ回動してしまうことを防止するようにした。これにより、扉体83が不用意に吹き抜けスペース16側へ回動してしまうことが防止され、落下物の発生を好適に抑制することができる。一方、移動ロボット30が二階スペース12において扉体83に近付いた際にはそれがタグ読取部93にて検知され、さらにその検知結果に基づいて扉体83のロックが解除される。よって、ロック装置91を設けた構成において、当該ロック装置91によって、移動ロボット30による二階スペース12及び吹き抜けスペース16間の円滑な移動が阻害されてしまうことが防止される。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
(1)昇降用軌道の変形例を、図11及び図12に示す。
(1−1)図11に示す変形例では、昇降用軌道が適用される住宅120は、吹き抜けスペース16を備えていない。吹き抜けスペース16を備えていないことに伴って、昇降用軌道としてのポール121は、二階スペース122の二階床部123を貫通させて設けられている。但し、本構成においては、ポール121の途中位置に二階床部123が位置し、このままでは当該二階床部123と移動ロボット30とが干渉してしまい、移動ロボット30の昇降が阻害されてしまう。これに対して、二階床部123におけるポール121が貫通した部位は、ポール121に沿って上方に移動可能に設けられている。
具体的には、二階床部123は、ベース床部124と、ポール121が貫通した可動床部125とを備えている。ベース床部124には移動ロボット30が通過可能な開口部126が形成されており、当該開口部を塞ぐようにして可動床部125が設けられている。また、可動床部125をベース床部124から上方に移動させるとともにその上方に移動させた可動床部125を下方に移動させて元の位置に復帰させる駆動装置がポール121の内部に設けられているとともに、移動ロボット30が可動床部125に近付いていることを検知する手段と、その検知結果に基づいて駆動装置を駆動制御して可動床部125を上方に移動させるとともに移動ロボット30が上記開口部126を通過し終えた後に再度駆動装置を駆動制御して可動床部125を元の位置に復帰させる制御装置とが設けられている。これにより、移動ロボット30の昇降が二階床部123により阻害されることはない。
上記構成によれば、可動床部125を動作させる構成が必要となる点で上記実施形態よりも住宅120の構成が複雑化するものの、移動ロボット30の自走による階間の移動は可能である。したがって、高さ位置が相互に異なる床部が存在する住宅120において、単一の移動ロボット30での対応が可能となる。
(1−2)図12に示す変形例では、上記実施形態と同様に、吹き抜けスペース131に昇降用軌道としてのポール132が設けられており、当該ポール132を介して、二階スペース133への移動及び二階スペース133からの移動が可能となっている。但し、本構成においては、吹き抜けスペース131と一階スペース134とで床部135,136の高さ位置に差異はなく、代わりに、一階スペース134において床部136に段差137が形成されている。これに対応させて、一階スペース134には段差137に隣接させて上記ポール132とは別のポール138が設けられている。移動ロボット30が一階スペース134を走行する場合、この一階スペース134に設けられたポール138を介して段差137よりも上側のスペース134aと段差137よりも下側のスペース134bとの間を移動する。
(2)上記実施形態では、吹き抜けスペース16を移動ロボット30の昇降用の上下開放空間として兼用したが、これに代えて、一階スペース11及び二階スペース12に亘って設けられた換気用などのダクトを上下開放空間として兼用してもよい。この場合、ダクト内にポール21などの昇降用軌道を設け、移動ロボット30は一階スペース11及び二階スペース12間を移動する際には、ダクト内を通ることとなる。また、移動ロボット30専用のダクトを設けても良い。
(3)上記実施形態では、扉体83の上縁が出入口部81の上部に片持ち支持された構成としたが、これに代えて、扉体83の側縁が出入口部81の側部に片持ち支持された構成としてもよい。但し、当該構成においては、開放位置に移動した扉体83が自重により閉鎖位置に復帰することはない。したがって、閉鎖位置に復帰させるための手段を別途設ける必要が生じる。
また、片開き式の扉体83に代えて、シャッタ式又はスライド式の扉体を設けてもよい。但し、このように扉体をシャッタ式又はスライド式とした構成においては、移動ロボット30が扉体を押し開くことはできないため、扉体を開閉するための駆動装置を設ける必要が生じる。
(4)上記実施形態では、扉体83の吹き抜けスペース16側への移動を阻止するようにロック部材92を設けたが、これに代えて、二階スペース12及び吹き抜けスペース16の両側への移動を阻止するようにロック部材を設けてもよい。但し、本構成においては、吹き抜けスペース16側から移動ロボット30が扉体83に近付いていることを検知するための手段を別途設ける必要が生じる。
(5)上記実施形態では、扉体83のロック部材92を、ロック制御部94により制御されることでロック状態とロック解除状態との間で動作する構成としたが、これに代えて、ロック部材92の上記動作を移動ロボット30にて行わせる構成としてもよい。具体的には、ロック部材92をロック状態に向けて付勢するバネなどの付勢手段を設ける。そして、ロック部材92をロック解除状態とする際には、移動ロボット30が出入口部81と扉体83との隙間から解除用アームなどを差し込み、ロック部材92を付勢手段の付勢力に抗して押し込みロック解除状態とする。本構成によれば、移動ロボット30のスペース11,12,16間を移動する上で、建物側にて電気的な制御を行う必要がなくなり、建物の構成の簡素化が図られる。
(6)上記実施形態では、移動ロボット30には、昇降用車輪51と回転用車輪53とをそれぞれ設ける構成としたが、これに代えて、昇降及び回転用車輪を設ける構成としてもよい。この場合、昇降及び回転用車輪を、その回転軸方向が水平方向と鉛直方向とで切り替え可能な構成とする。そして、ポール21を介して昇降する際には回転軸方向を水平方向とし、ポール21を中心として回転する際には回転軸方向を鉛直方向とする。また、上記実施形態における昇降用車輪51のみを設ける構成としてもよい。この場合、複数ある昇降用車輪51のうちの一部のみを回転させることで、ポール21を中心として移動ロボット30を回転させることが可能となる。
(7)移動ロボット30に、昇降用車輪51を設ける代わりに歯車を設けるとともに、昇降用軌道としてポール21の代わりに、上記歯車と噛み合わされるラックを備えたレールを設ける構成としてもよい。本構成によれば、ポール21の代わりにレールを設ける点で上記実施形態よりも昇降用軌道の構成が複雑化してしまうものの、移動ロボット30の昇降が確実にサポートされる。
(8)一階スペース11や二階スペース12の着地用位置を移動ロボット30に知らされるための手段を、ポール21などに設けてもよい。具体的には、ポール21における各着地用位置にICタグを付与しておき、移動ロボット30にはそのICタグからのID情報を読み取るためのタグ読取部を設ける。この場合、移動ロボット30は、タグ読取部にてICタグからID情報を読み取ることで着地用位置を正確に把握することができ、一階スペース11への着地及び二階スペース12への着地が正確に行われる。
(9)上記実施形態では、単一の移動ロボット30のみが適用される構成を示したが、複数の移動ロボット30を適用してもよい。但し、住宅10には昇降用軌道が設けられているため、高さ位置が相互に異なる床の数よりも少数の移動ロボット30を適用することで、当該移動ロボット30を適用した効果は十分に発揮される。但し、このように複数の移動ロボット30を適用する場合、複数の移動ロボット30が昇降用軌道上にて衝突しないようにする必要がある。この場合、昇降用軌道に移動ロボット30を検知するためのセンサを設け、当該センサの検知結果を管理コンピュータ111にて受け取るようにする。そして、当該管理コンピュータ111では、一の移動ロボット30が昇降用軌道を昇降している際は、他の移動ロボット30に対して昇降禁止指令情報を発信するようにする。これにより、複数の移動ロボット30が昇降用軌道上にて衝突してしまうことが防止される。
(10)ロボット制御部35に、移動ロボット30の位置を認識する位置認識機能を持たせ、移動ロボット30の位置情報と地図情報とを照合させながら移動ロボット30を走行させるようにしても良い。位置認識手段の構成として、例えばGPS受信機等の無線受信機を移動ロボット30に搭載し、その無線受信機の受信データにより移動ロボット30の位置認識を行う構成を採用すると良い。
また、住宅10にCCDカメラ等の撮像装置を設置し、その撮像装置の撮像画像により移動ロボット30の位置認識を行ったり、住宅10の床面に検出素子(マーカ)を多数点在させて設置しておき、その検出素子の検出結果により移動ロボット30の位置認識を行ったりすることも可能である。この場合、管理コンピュータ111に位置認識機能を持たせ、撮像画像や検出素子の検出結果に基づく位置認識情報を、管理コンピュータ111から移動ロボット30に逐次送信すると良い。
(11)上記実施形態では、移動ロボット30に搭載されたロボット制御部35の走行制御によって移動ロボット30の自立走行が可能になっていたが、これを変更し、管理コンピュータ111の遠隔操作(無線操作)によって移動ロボット30を走行させるようにしても良い。この場合、管理コンピュータ111において、同コンピュータ111内のメモリに地図情報を記憶しておく。そして、管理コンピュータ111の走行制御により、地図情報と都度設定される走行経路とを併せ参照しつつ移動ロボット30を走行させる。
(12)上記実施形態では、走行体を掃除用の移動ロボット30として具体化したが、他の用途のロボットとして具体化することも可能である。例えば、警戒用ロボットは、住宅10内を周回し不法侵入の有無を監視する。また、お手伝い用ロボットは、住宅10内を周回して、住人等が要求する物品を運搬したりする。
住宅内清掃システムの概要を示す略図。 (a)は移動ロボットの構成を示す斜視図、(b)は移動ロボットの構成を示す側面図、(c)は移動ロボットの構成を示す平面図。 (a)は昇降及び回転の様子を説明するための略図、(b)は昇降機能を説明するための移動ロボットの一部を拡大して示す平面図、(c)は回転機能を説明するための移動ロボットの一部を拡大して示す平面図。 姿勢調整機能を説明するための略図。 接触回避機能を説明するための略図。 落下防止機能を説明するための略図。 二階スペースの出入口部及び扉体を説明するための略図。 二階スペースの出入口部及び扉体を説明するための略図。 住宅内清掃システムの概略ブロック図。 ロボット走行制御処理を示すフローチャート。 別の昇降用軌道を説明するための略図。 別の昇降用軌道を説明するための略図。
符号の説明
10…住宅、13a,13b…一階床部、14…二階床部、16…吹き抜けスペース、17…仕切り壁、21…昇降用軌道としてのポール、22…落下防止用溝、30…移動ロボット、35…ロボット制御部、41…貫通孔部、51…昇降装置を構成する昇降用車輪、52…昇降装置を構成する昇降用モータ部、53…回転用装置を構成する回転用車輪、54…回転用装置を構成する回転用モータ部、61…姿勢調整装置、65…障害物検知センサ、71…安全装置、75…赤外線受光部、81…出入口部、82a〜82c…誘導手段としての赤外線発光装置、83…扉体、91…ロック装置、92…ロック部材、93…タグ読取部、94…ロック制御部。

Claims (22)

  1. 高さ位置が相互に異なる床を備えており、それら各床上を走行し特定の作業を行う走行体が適用される建物であって、
    前記走行体の自らの走行による前記床間の移動をガイドする昇降用軌道を備えていることを特徴とする建物。
  2. 前記昇降用軌道は、上下方向に延びる棒状体であり、当該棒状体は、その周面にて前記走行体の一部と当接して当該走行体の上昇又は下降に際しての負荷を受けることにより、当該走行体の自らの走行による前記床間の移動をガイドするものであることを特徴とする請求項1に記載の建物。
  3. 前記昇降用軌道を中心として回転することで昇降時位置から移動先の床への着地時位置へ横方向に姿勢を変化させ、この姿勢の変化により移動先の床への着地を行う走行体が適用されるものであり、
    前記昇降用軌道は、前記走行体が着地時位置へ姿勢を変化させた際に移動先の床への着地が可能となるように当該移動先の床に対する相対位置が設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の建物。
  4. 前記昇降用軌道は、外周形状が円柱状をなしていることを特徴とする請求項3に記載の建物。
  5. 前記昇降用軌道は、前記走行体の階間の移動をガイドするものであり、
    当該昇降用軌道は、少なくとも下階の床の高さから上階の床の高さを越える位置まで上下に開放された上下開放空間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の建物。
  6. 前記上下開放空間は、各階の空間に隣接した位置にて、複数階の各高さ位置に亘って設けられた吹き抜け空間であることを特徴とする請求項5に記載の建物。
  7. 上階の空間と前記上下開放空間とを仕切る仕切り壁部と、当該仕切り壁部に設けられ前記走行体が前記両空間を移動するための出入口部と、当該出入口部を開閉する扉体と、を備えていることを特徴とする請求項5又は6に記載の建物。
  8. 前記扉体の閉鎖位置から開放位置への移動を阻止する阻止手段と、前記走行体が前記扉体に近付いたことを検知する検知手段と、当該検知手段の検知結果に基づいて前記阻止手段の阻止状態を解除する解除手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の建物。
  9. 前記扉体は、前記走行体の一部と当接することで押されて閉鎖位置から開放位置へと移動するように前記出入口部に片持ち支持されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の建物。
  10. 前記扉体は、前記走行体の一部と当接することで押されて閉鎖位置から開放位置へと移動するように前記出入口部に片持ち支持されており、
    閉鎖位置から前記上下開放空間側への前記扉体の移動を阻止する阻止手段と、前記走行体が前記上階の空間において前記扉体に近付いたことを検知する検知手段と、当該検知手段の検知結果に基づいて前記阻止手段の阻止状態を解除する解除手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の建物。
  11. 前記昇降用軌道には、前記走行体の落下を防止する落下防止構造が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の建物。
  12. 前記昇降用軌道に連結することで前記床間の移動を行う走行体が適用されるものであり、
    前記昇降用軌道には、前記各床ごとに前記走行体の連結位置が設定されており、それら各連結位置へ前記走行体を誘導するための誘導手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の建物。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の建物における前記昇降用軌道上を走行することで前記床間の移動を行い、さらにそれら各床上を走行することで特定の作業を行うことを特徴とする走行体。
  14. 上下方向に延びる棒状の昇降用軌道が貫通される貫通部と、当該貫通部を貫通している前記昇降用軌道に当接し、その当接により昇降を可能とする昇降装置と、をさらに備えていることを特徴とする請求項13に記載の走行体。
  15. 前記昇降装置は、前記昇降用軌道の周面にそれぞれ異なる方向から当接し当該昇降用軌道を挟持する複数の車輪を備えており、それら複数の車輪が前記昇降用軌道を挟持した状態で回転することで前記昇降用軌道に沿って走行することを特徴とする請求項14に記載の走行体。
  16. 前記貫通部を貫通している前記昇降用軌道を中心として、前記昇降装置を用いて回転する又は当該昇降装置とは別の回転用装置により回転することを特徴とする請求項14又は15に記載の走行体。
  17. 前記昇降装置又は前記回転用装置により回転することで、昇降時位置から移動先の床への着地時位置へ横方向に姿勢を変化させ、この姿勢の変化により移動先の床への着地を行うものであることを特徴とする請求項16に記載の走行体。
  18. 前記昇降用軌道を介して昇降している際に進行方向に障害物があるか否かを検知する障害物検知手段と、当該障害物検知手段により障害物が検知された場合に昇降を停止させる又は障害物を回避するように前記昇降用軌道を中心として回転させる退避処理を実行する退避処理手段と、を備えていることを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の走行体。
  19. 前記昇降用軌道を昇降する際の昇降時姿勢を基準姿勢に調整するための姿勢調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載の走行体。
  20. 前記昇降用軌道の一部と当接し当該昇降用軌道からの落下を防止する落下防止手段を備えていることを特徴とする請求項13乃至19のいずれかに記載の走行体。
  21. 前記各床上において前記昇降用軌道の位置を検知する位置検知手段を備えていることを特徴とする請求項13乃至20のいずれかに記載の走行体。
  22. 請求項1乃至12のいずれかに記載の建物と、当該建物に設けられた昇降用軌道上を走行することで前記床間の移動を行う走行体と、を備えていることを特徴とする走行体システム。
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