JP2008254017A - 連続鋳造設備における鋳型熱電対の診断方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続鋳造設備の鋳型に取り付けられる温度センサーの設置状態の正常・異常を診断する鋳型熱電対の診断方法であって、温度センサーとして接地式シース熱電対5を、機械的に鋳型側に押し付けた状態で、かつ、接地式シース熱電対5の先端以外を電気的に絶縁した状態で取り付け、接地式シース熱電対5のプラス端子および/またはマイナス端子と前記鋳型本体間の電気抵抗を測定し、その測定値が予め定めた基準範囲を外れたときに当該熱電対を異常と判定する。
【選択図】 図1
Description
また、測定箇所に熱電対を溶接や接着材を使って固定すると振動による断線や剥離が発生し易いため、シース熱電対をばね等で機械的に測定点に押し付ける取り付け構造を採用していることが多い。
そこで、熱電対の正常・異常を診断する必要があるが、熱電対の異常状態のうち、断線についてはバーンアウト機能等で簡易に判別できる。
ところが、センサー個体のバラツキや取り付け時のバラツキによる測定誤差や、測定の応答性の鈍化や、測定精度の劣化といった、断線のように全く測温データが得られないのではなく、何らかの測温データが得られる状態の熱電対の異常を検知することは容易ではなく、種々の研究がなされている。
(1)複数個の熱電対を鋳型の取り付け部位毎にグループ分けし、鋳型に取り付けられた状態において熱電対を蒸気等で加熱し、各熱電対の起電力を測定して温度に変換し、予め決められた基準値と比較することにより熱電対の正常異常を判定する方法(特許文献1参照)。
しかしながら、操業状態での使用中という劣悪な環境において測定特性が徐々に劣化していくことをオンラインで検知することは難しい。
また、熱電対取り付け施工時に鋳型を蒸気等で高温に加熱するといった危険で手間のかかる作業を実施しなければならないといった問題点もある。
しかしながら、実操業における測定データ-に基づいて判定を行っているため、異常とみられるような測温特性の変化があったとしても、それが鋳型内の溶鋼流動や鋳型と溶鋼間に存在するパウダーフィルムの流動状況といった操業状況に起因して発生しているものなのか、熱電対や熱電対の設置状態の劣化に起因して発生しているものなのかを明確に判別することは困難であり、熱電対の正常・異常を正確に判定するのが難しいという問題点かある。
そのため、異常と判定されてもその後の対策、すなわち熱電対自体を交換すべきなのか、熱電対の設置状態を改善すべきなのかを知ることができないという問題があった。
前述したように、最近の鋳型熱電対は鋳型に対してばね等によって機械的に押し付けて取り付けられているものが多い。
そのため、熱電対の取付当初から取付状態にばらつきがある場合や、ばね等の押し付け手段の不具合によって押し付け不良になる場合や、あるいは熱電対の先端と鋳型との間に蒸気などによる酸化皮膜が形成され、これによって鋳型熱電対の鋳型への接触状態が不良になる場合が考えられる。
ところが、従来においては、鋳型熱電対による測温信号に基づいて鋳型熱電対の正常、異常を判定していたため、前述したように、鋳型熱電対事態の異常なのか接触状態の異常なのかを特定できず、その後の対策を円滑に採ることができないという問題があった。
そこで、発明者は、鋳型熱電対と鋳型との接触状態の正常・異常を確実に診断することができれば、鋳型熱電対による温度測定の異常原因を的確に判定することができるとの着想を得た。
具体的には、以下の構成を備えている。
また、異常を発見した際の異常熱電対に対して、鋳型の接触部や熱電対先端の清掃(酸化皮膜等の除去)や、押し付けばねの補修、熱電対の交換といった具体的な対処が可能になる。
また、操業中であっても短時間の間、診断対象となる熱電対の測定を中断すれば、本発明の方法によって当該熱電対を診断することができ、この意味では操業中の診断も可能である。
さらに、測定される接触抵抗値を管理することにより、操業起因による温度変化と環境起因による温度変化の判別をより明確に行うことが可能となり、異常熱電対の判別精度を向上させることもできる。
図1は本発明の一実施の形態に係る鋳型熱電対の正常・異常診断方法の説明図である。
図1は、鋳型の一部の断面を模式的に示したものであり、鋳型銅板1の外面側に設けられたバックアッププレート3を貫通して接地式シース熱電対5を設置した状態を示している。
本実施の形態に係る鋳型熱電対の正常・異常診断方法は、鋳型温度を測定する温度センサーとして接地式シース熱電対5を用いることを前提としている。
なお、本実施の形態において、接地式シース熱電対5を表現するときに、単に「熱電対」という場合がある。
そして、接地式シース熱電対5のプラス端子およびマイナス端子と鋳型銅板1との抵抗値を、例えばテスター11によって測定する。
測定された抵抗値が予め定めた基準値の範囲を外れたときに当該熱電対を異常、より正確には熱電対の接触状態が異常であると判定する。
例えば、接地式シース熱電対5を鋳型に押し付けるばね7の付勢力が経年あるいは何らかの要因により低下したような場合、あるいは熱電対の先端と鋳型との間に蒸気などによる酸化皮膜が形成された場合等には、鋳型熱電対の鋳型への接触状態が悪化し、抵抗値が大きくなる。
接触状態不良と判定されれば、対象となった熱電対を取り出し、ばね7の交換や、シース先端部15の研磨など接触不良に対する具体的な対応策を適切に講じることができる。
このように、本実施の形態によれば、熱電対の不具合の中でも頻繁に生ずる接触不良を特定できるので、その後の対策を適切にとることができる。
しかしながら、鋳造はしていなくても操業時の状態では、直接鋳型銅板1との抵抗値を測定するのは困難である。その場合には、鋳型銅板1と同電位にある接地ベースとの抵抗値を測定すればよい。この場合であっても、抵抗値の絶対値が必要なのではなく、正常状態における抵抗値と相対値をもって正常・異常を判定するのであるから、問題はない。
図3は本発明の実施の形態2の説明図である。
本実施の形態に係る鋳型熱電対の診断装置は、接地式シース熱電対5の測温信号を入力して温度に変換する熱電対温度変換器21を備えた鋳型温度管理装置20に設けられて鋳型熱電対の正常・異常をオンラインで診断できるようにしたものである。
そのため、本実施の形態に係る鋳型熱電対の診断装置は、接地式シース熱電対5のプラス端子および/またはマイナス端子と鋳型1との接触抵抗を測定する抵抗測定装置17と、抵抗測定装置によって測定された抵抗値を入力して入力された抵抗値が予め定めた基準値の範囲内にあるかどうかを判定する熱電対抵抗管理端末19と、接地式シース熱電対5のプラス端子および/またはマイナス端子と抵抗測定装置17の接続と、接地式シース熱電対のプラス端子および/またはマイナス端子と熱電対温度変換器21の接続とを、相互に切り替える熱電対信号切替盤23を備えている。
そして、測温データに基づいて鋳型内の溶鋼の流動状態やBO発生の予知監視を行なっている。
熱電対抵抗管理端末19では、入力された各熱電対の抵抗値を予め設定した基準となる抵抗値と比較して、その基準値の範囲にある場合には、正常と判定し、範囲を超えている場合いは異常と判定する。
図4から分かるように、1面側に設置したNo8とNo10の熱電対が他のものに比較して高い抵抗値を示している。
5 接地式シース熱電対
7 ばね
9 絶縁部材
17 抵抗測定装置
19 熱電対抵抗管理端末
21 熱電対温度変換器
23 熱電対信号切替盤
Claims (3)
- 連続鋳造設備の鋳型に取り付けられる温度センサーの設置状態の正常・異常を診断する鋳型熱電対の診断方法であって、
前記温度センサーとして接地式シース熱電対を、機械的に鋳型側に押し付けた状態で、かつ、該接地式シース熱電対の先端以外を電気的に絶縁した状態で取り付け、前記接地式シース熱電対のプラス端子および/またはマイナス端子と前記鋳型本体間の電気抵抗を測定し、その測定値が予め定めた基準範囲を外れたときに当該熱電対を異常と判定することを特徴とする鋳型熱電対の診断方法。 - 連続鋳造設備の鋳型に取り付けられる温度センサーの設置状態の正常・異常を診断する鋳型熱電対の診断装置であって、
前記鋳型に機械的に押し付けた状態で取り付けられた接地式シース熱電対と、前記接地式シース熱電対をその先端以外を電気的に絶縁した状態で取付ける取付手段と、前記接地式シース熱電対のプラス端子および/またはマイナス端子と鋳型本体との電気抵抗を測定する抵抗測定装置と、該抵抗測定装置で測定された抵抗値が予め設定した範囲を超えたときに当該熱電対を異常と判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする鋳型熱電対の診断装置。 - 接地式シース熱電対の測温信号を入力して温度に変換する熱電対温度変換器を備えた鋳型温度管理装置に設けられて鋳型熱電対の正常・異常を診断する鋳型熱電対の診断装置であって、
前記接地式シース熱電対のプラス端子および/またはマイナス端子と抵抗測定装置の接続と、前記接地式シース熱電対のプラス端子および/またはマイナス端子と前記熱電対温度変換器の接続とを、相互に切り替える熱電対信号切替手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の鋳型熱電対の診断装置。
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