JP2008251468A - 集光素子と採光装置 - Google Patents

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【課題】採光効率のよい集光素子と、採光効率のよい小型で安価な採光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の屈折率を有する基板に一体的に設けられ、第1の屈折率より高い第2の屈折率を有する埋設部を含んでなる集光素子であって、前記埋設部は、一端面が前記基板の一主面と同一平面にあって入射面となり、該入射面に平行な横断面形状が全長にわたって一定である導光部と、一端が前記導光部の他端に繋がっており、前記導光部から離れるにしたがって細くなっている集光部と、を有してなり、前記集光部の他端部にある外周面の一部に反射面が設けられたことを特徴とする。
【選択図】図1B

Description

本発明は、集光素子とその集光素子を用いて構成した採光装置に関する。
近年、都市部では、ビルデイングが立ち並んだり、集合住宅が増加していることなどにより、自然光の採光環境が悪化してきている。このような状況のもと、日当たりの良い場所で自然光を採光して、光ファイバによって光を必要とする場所に伝送して利用することが考えられている。
これらの採光装置として、ミラー方式、プリズム・ミラー方式、レンズ・ファイバー方式のものがあるが、いずれも、得られる光量の割には高額で、その普及は進んでいない。また、特許文献1には、低屈折率領域の中に、円錐形状の高屈折率領域を複数形成してなる集光部で集めた光を光ファイバにより伝送させる採光装置が開示されている。この特許文献1の採光装置は、比較的小型で製造コストを低減できるとされている。
特開平8−7626号公報
しかしながら、採光装置を一般家庭に普及させるためには、より採光効率のよい小型で安価な採光装置が求められる。
そこで、本発明は、採光効率のよい集光素子と、採光効率のよい小型で安価な採光装置を提供することを目的とする。
以上目的を達成するために、本発明に係る集光素子は、第1の屈折率を有する基板に一体的に設けられ、第1の屈折率より高い第2の屈折率を有する埋設部を含んでなる集光素子であって、前記埋設部は、一端面が前記基板の一主面と同一平面にあって入射面となり、該入射面に平行な横断面形状が全長にわたって一定である導光部と、一端が前記導光部の他端に繋がっており、前記導光部から離れるにしたがって細くなっている集光部と、を有してなり、前記集光部の他端部にある外周面の一部に反射面が設けられたことを特徴とする。
また、本発明に係る採光装置は、本発明に係る複数の集光素子と、前記基板の内部に設けられた前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有するコア部からなり、前記各集光素子の前記外周面の他端部の一部にそれぞれ連結され、前記反射面で反射された光がそれぞれ入射される複数の結合導波路と、前記基板の内部または他主面に設けられた前記第1の屈折率より高い第4の屈折率を有するコア部からなり、前記複数の結合導波路が接続された集積導波路と、を有して成る。
以上のように構成された本発明に係る集光素子は、前記入射面に平行な横断面形状が全長にわたって一定である導光部を有しているので、採光効率を良好にできる。
また、本発明に係る採光装置によれば、本発明に係る採光効率の高い集光素子を複数備えて構成されているので、採光効率のよい小型で安価な採光装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態の採光装置について説明する。
本実施形態の採光装置は、図1A〜図1Cに示すように、マトリクス状に配置された複数の集光素子1と、各集光素子1に接続された結合導波路2と、結合導波路2が接続された第1集光導波体3と、第1集積導波体3が接続された第2集積導波体4とを有してなり、全ての集光素子1に入射された光が最終的に第2集積導波体4に集められて出力端子P1から出力される。また、本実施の形態の採光装置において、集光素子1、結合導波路2、第1集光導波体3及び第2集積導波体4はそれぞれ、低屈折率領域5に高い屈折率領域を所定の形状に形成することにより一体化された基板100として構成されており、低屈折率領域との屈折率差によって高い屈折率領域に光を閉じ込めて伝送させている。
尚、入射面11aの表面(基板100の表面)には、反射防止膜(ARコート)7が施され、反射によるロスを軽減している。
以下、本発明に係る実施形態の採光装置の構成について詳細に説明する。
<集光素子1>
実施形態において、集光素子1はそれぞれ入射面11aを有し、その入射面11aが基板100の表面(一主面)と同一面上に位置するように基板100に埋め込まれて形成された埋設部を有しており(図1B)、低屈折率領域5より高い屈折率を有している。本実施形態では、集光素子1の入射面11aは矩形形状であり、マトリクス状に配置されている(図1A)。なお、低屈折率領域5(第1の屈折率)の屈折率は、1.29〜1.36、また埋設部を構成する高低屈折率領域(第2の屈折率)の屈折率は、1.45〜1.62である。
また、集光素子1はそれぞれ、入射面11aを含み該入射面11aに平行な横断面形状が入射面11aと同一形状である柱形状の導光部11と、一端が入射面11aと同一形状であって、その一端で導光部11に連続して繋がっており、導光部11から離れるにしたがって細くなっている集光部12とからなっている。さらに、集光部12の下端部の外周面の一部に反射面13が設けられている。そして、集光部12の下端部の外周面の一部(反射面13が設けられた一部の反対側の一部)に結合導波路2が接続されている。
このように、反射面13は、斜めに形成されて、入射した光を結合導波路2に向けて角度変換するためのもので、本実施形態では、反射率を上げるために反射体13が形成されている。しかしながら、集光素子の屈折率によっては、十分、全反射させることが可能になるため、この反射体13を設けることなく構成してもよい。
以上のように構成された集光素子1において、入射面11aを介して入射された光は、導光部11を介して集光部12に入射され、集光部12で集光されて反射面13で反射され、結合導波路2に入射される。
ここで特に、本実施形態の集光素子1において、導光部11は低屈折領域5との境界面で入射した光を反射させて、集光部12に入射する。このとき、本実施形態では、集光部12は、入射面11aを一端面とする柱形状を有しているので、入射された光のうちより多くの光を導光部11と低屈折率領域5との界面(柱形状の側面)で反射して効率よく集光部12に伝達できる。
すなわち、斜めから入射した光は、特許文献1のように、低屈折率領域5との界面が最初から傾斜していると入射角が小さくなって全反射する光の割合が小さくなるが、本発明のように低屈折率領域5との界面が入射面11aに対して垂直になっていると入射角が大きくなって全反射する光の割合が大きくなる。したがって、導光部11を有する本発明では、低屈折率領域5の内に漏れる光を少なくでき、入射面11aから入射される光を効率よく集光できる。このように、本実施形態では、垂直に入射した光だけでなく、斜めに入射した光をも集光導波路に効果的に導くことができる。
また、本実施形態の採光装置では、導光部11を設けているので、導光部11を設けていない場合に比較して、開口数を大きくすることができる。すなわち、本実施形態の採光装置では、導光部11が入射面に垂直に設けられているため、導光部11と低屈折領域5の間の臨界角を入射面11aに対して大きくできるためである。
また、以上の集光素子1では、導光部11の長さは、開口数を大きくとるために、光入射面の径又は一辺の2.5〜4.0倍の範囲に設定することが好ましい。
本実施形態において、集光素子を構成する高屈折率材料として、例えば、メタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート等を用いることができ、その中でも、ポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。ポリカーボネート樹脂を用いて集光素子を構成すると、開口数が大きく取れ、散乱光の集光にも大いに貢献することが出来る。また、集光素子を水素原子の一部が重水素原子で置換されたポリメタクリル酸メチル樹脂で構成すれば、集光素子の光の吸収波長のピークを長波長側にシフトさせることができるため、可視光領域における光の吸収を低減させて、採光量を増大させることができる。
<結合導波路2>
結合導波路2はそれぞれ、一端が集光部12の下端部の外周面の一部に接続され、他端が第1集積導波路3に接続される。この結合導波路2は、低屈折率領域5の内部に高い屈折率のコア部を形成することにより構成される。また、結合導波路2は、集光部12の下端部の外周面の一部に反射面13に対向するように設けられて、反射面13で反射された光が入射され、入射された光を第1集積導波路3に入射させる。
<第1集積導波路3>
第1集積導波路3はそれぞれ、配列された集光素子1の2つの行の間に設けられ、その2つの行に配列された各集光素子12に接続された結合導波路2が全て接続され、その端部が第2集積導波路4に接続される。これにより、2つの行に配列された各集光素子12なよって集光された光が全て集積された後、第2集積導波路4に入力される。この第1集積導波路3も結合導波路2と同様、低屈折率領域5の中に高い屈折率のコア部を形成することにより構成される。なお、本実施形態において、第1集積導波路3は、低屈折率領域5の内部に形成されているが、低屈折率領域5を有する基板100の入射面11aの裏面に対応する他主面に形成させてもよい。
<第2集積導波路4>
第2集積導波路4には、複数の第1集積導波路3の端部が接続されて、その端部は出力端子P1に接続され、その複数の第1集積導波路3に集積された光をさらに集積して伝送する。この第2集積導波路4も、結合導波路2及び第1集積導波路3と同様、低屈折率領域5の中に高い屈折率のコア部を形成することにより構成される。なお、本実施形態において、第2集積導波路4は、低屈折率領域5の内部に形成されているが、低屈折率領域5を有する基板100の入射面11aの裏面に対応する他主面に形成させてもよい。
以上のように構成された実施形態の採光装置において、各集光素子1に入射した光がそれぞれ結合導波路2によって第1集積導波体3に集められて伝送され、第1集積導波体3に集められた光はさらに第2集積導波体4に集められて伝送され、第2集積導波体4に集められた光は出力端子P1から出力される。このようにして、実施形態の光採光装置では、全ての集光素子1に入射された光が全て集められて出力端子P1から出力されて、出力端子P1に接続された光ファイバ6によって目的とする場所に伝送される。
以上のように構成された本発明に係る実施形態の採光装置では、集光素子1がそれぞれ柱形状の導光部11と導光部11から離れるにしたがって細くなっている集光部12からなっているので、入射した光の効率良く集光することができる。
実施形態では、結合導波路2、第1集積導波路3及び第2集積導波路4のコア部を構成する材料は同一であることが好ましく、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂を用いることができるが、特に、結合導波路2、第1集積導波路3及び第2集積導波路4のコア部を水素原子の一部が重水素原子で置換されたポリメタクリル酸メチル樹脂で構成すれば、集光素子の光の吸収波長のピークを長波長側にシフトさせることができるため、可視光領域における光の吸収を低減させて、採光量を増大させることができる。
次に、本発明に係る採光装置の製造方法を説明する。図3にその製造フローを示す。
本方法では、まず、基板100と同じ外形の凹部の底面に集光素子1に対応する形状の素子凹部が、集光素子1に対応する個数だけ形成された第1型枠50を準備する。
次に、第1型枠50の素子凹部にそれぞれ、集光素子1を構成するための第1高屈折率樹脂を充填して硬化する。
そして、素子凹部に充填された第1高屈折率樹脂部51を覆うように、第1型枠50の凹部の底面に反射防止膜となる樹脂52を塗布して硬化する(図3(a))。
次に、基板100と同じ外形でかつ底面が平坦な凹部を有する第2型枠を準備し、その凹部に第1型枠から取り出した樹脂52の上に第1高屈折率樹脂部51が配列された樹脂成形体を、樹脂52を下にして収容する。そして、第1高屈折率樹脂部51の間に、低屈折率樹脂53を充填して硬化する。ここで、低屈折率樹脂53は、第1高屈折率樹脂部51の反射部となる部分が丁度露出するような高さまで充填する。
そして、低屈折率樹脂53の表面と第1高屈折率樹脂部51の反射部となる部分とに、反射膜13となる金属反射膜54を形成する(図3(c))。
その後、金属反射膜54を覆うように、結合導波路2と第1集積導波路3のコアを形成するための高屈折差率樹脂を集光素子1の先端まで充填し、て硬化する。
次に、結合導波路2、第1集積導波路3及び第2集積導波路4のコアとなる部分にレジストを形成してパターンニングすることにより、結合導波路2、第1集積導波路3及び第2集積導波路4のコア部を形成する。
最後に、結合導波路2、第1集積導波路3及び第2集積導波路4のコア部を覆うように、低屈折率樹脂を充填して硬化した後、型から取り出す。
以上のようにして、本発明に係る採光装置は作製される。
尚、以上の製造方法では、結合導波路2と第1集積導波路3のコアを形成した後に、
反射部13を形成する部分のみを露出させて、その後、反射膜用の金属膜を形成するようにしてもよい。このようにすると、実施形態で説明した図1Bに示す構造の採光装置が作製できる。
本発明の採光装置は、以上のような製造方法を用いて製造することが可能であり、安価に製造することができる。
以上の実施形態では、集光素子1の軸方向が光入射面11aに直交する例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、太陽光を最も効率よく取り入れることができる方向に集光素子1の軸を向ければよく、集光素子1の軸が光入射面11aに対して傾いていてもよい。
本発明において、集光素子1を構成する材料は、導波路を構成する材料と同一材料により構成してもよいが、本発明では、集光素子1を構成する材料は、導波路を構成する材料より吸水率が低い材料により形成されていることが好ましい。採光装置において表面近くの集光素子1を、吸水率が低い材料により構成すると、採光装置の耐湿特性を向上させることができる。
また、本発明に係る採光装置では、反射防止膜に代えて、又は反射防止膜の上に紫外光を吸収する光吸収層を設けることもできる。このようにすると、自然光から紫外線をカットして室内に取り入れることができる。このような光吸収層としては、例えば、カーボンを含有した黒色系のエポキシ樹脂等を用いることができる。
本発明を実施するに当たって、一辺が0.3mのサンプルを準備した。
尚、光導波路の集合体部分の厚さは、65μmとした。
集光素子の長さは1 mm、入射面は一辺が200μmの正方形とし、反射面の一辺は、65μmとした。集光素子の個数は1440000個である。
また、結合導波路、集積導波路の断面は、一辺が65μmの正方形とした。これはコア径200μmのファイバと容易に接続が可能となるようにするためである。
完成した光集光装置の有効面積は、576cmである。
この装置を10000ルクスの環境におき、光ファイバで室内に伝送して、光ファイバから出射した光をレンズで拡散して、1.5mの円の元での光量を評価したところ、180ルクスが得られた。その結果から、結合効率として63%がえられたこととなる。
この結果から、約.1.5m.角の有効面積を有する光採光装置を作成すると、8畳間サイズに対して、十分な光量が確保できることが確認された。
本発明に係る実施形態の光採光装置の平面図である。 図1AのIB−IB線についての断面図である。 実施形態の光採光装置を裏側から見たときの一部(図1AにおいてICで示す部分)の透視図である。 実施形態の光採光装置において、集光素子により集光された光の伝送方向を模式的に示す断面図である。 本発明に係る採光装置の製造工程の流れを示す断面図である。
符号の説明
1 集光素子、2 結合導波路、3 第1集光導波体、4 第2集積導波体、100 採光装置

Claims (9)

  1. 第1の屈折率を有する基板に一体的に設けられ、第1の屈折率より高い第2の屈折率を有する埋設部を含んでなる集光素子であって、
    前記埋設部は、
    一端面が前記基板の一主面と同一平面にあって入射面となり、該入射面に平行な横断面形状が全長にわたって一定である導光部と、
    一端が前記導光部の他端に繋がっており、前記導光部から離れるにしたがって細くなっている集光部と、を有してなり、
    前記集光部の他端部にある外周面の一部に反射面が設けられたことを特徴とする集光素子。
  2. 前記入射面は、円形又は矩形である請求項1記載の集光素子。
  3. 請求項1又は2に記載された集光素子からなる複数の集光素子と、
    前記基板の内部に設けられた前記第1の屈折率より高い第3の屈折率を有するコア部からなり、前記各集光素子の前記外周面の他端部の一部にそれぞれ連結され、前記反射面で反射された光がそれぞれ入射される複数の結合導波路と、
    前記基板の内部または他主面に設けられた前記第1の屈折率より高い第4の屈折率を有するコア部からなり、前記複数の結合導波路が接続された集積導波路と、を有して成る採光装置。
  4. 前記集積導波路を複数有し、
    前記基板の内部または他主面に設けられた前記第1の屈折率より高い第5の屈折率を有するコア部からなり、該複数の集積導波路が接続された第2の集積導波路をさらに有する請求項3記載の採光装置。
  5. 前記結合導波路のコア部と前記集積導波路のコア部と前記第2の集積導波路のコア部は、同一の材料からなる請求項4記載の採光装置。
  6. 前記集光素子はポリカーボネート樹脂により形成され、
    前記結合導波路のコア部と前記集積導波路のコア部と前記第2の集積導波路のコア部は、前記光導波部は水素原子の一部が重水素原子で置換されたポリメタクリル酸メチル樹脂により形成されていることを特徴とする請求項3〜5のうちのいずれか1つに記載の採光装置。
  7. 前記導光部の軸は、前記入射面に直交する請求項3〜6のうちのいずれか1つに記載の採光装置。
  8. 前記集光素子は、前記結合導波路より吸水率が低い材料により形成されていることを特徴とする請求項3〜7のうちのいずれか1つに記載の採光装置。
  9. 少なくとも前記入射面の上に、紫外光を吸収する光吸収層を設けたことを特徴とする請求項3〜8のうちのいずれか1つに記載の採光装置。
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