JP2008232674A - 毛髪中に蓄積された化学物質の抽出方法と分析方法 - Google Patents

毛髪中に蓄積された化学物質の抽出方法と分析方法 Download PDF

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一 宮口
Masaya Tsunoda
正也 角田
Hidekatsu Tazawa
英克 田澤
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Abstract

【課題】 毛髪等に蓄積された化学物質を迅速かつ定量的に抽出、分析することのできる新しい技術手段を提供する。
【解決手段】 密閉容器内に毛髪もしくはその同等物からなる固形試料と、溶媒または溶媒と溶出促進剤と共に固体振動子を収納した後に、密閉容器を振動させ、前記試料の粉砕と同時に試料からの化学物質の抽出を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪等に蓄積された化学物質の抽出方法と分析方法に関するものである。
従来から、覚せい剤などの法規制薬物、スポーツドーピング規制薬物、催眠薬などの医薬品およびアルコールなどの使用や、農薬や有害金属、環境汚染物質などへの暴露を証明するために、毛髪中に取り込まれた化学物質の分析が行われている。それらの化学物質は、血液循環によって毛根部に運ばれ、そこでメラニン顆粒やケラチンなどと相互作用して毛髪中に取り込まれる。いったん毛髪に取り込まれた化学物質は、体内の他の部分から消失した後も、洗髪等の影響を比較的受けずに毛髪中に残存する(非特許文献1および2)。
このような毛髪中に取り込まれた化学物質の抽出には、従来では、有機溶媒単独もしくは酸と有機溶媒を併用して溶出する方法と、アルカリや酵素によって毛髪を溶解してから抽出する方法が主に用いられている。前者の方法は、比較的夾雑成分の少ない抽出物が得られる反面、抽出処理には長時間、一般的には一晩を要し、また、有機溶媒単独では抽出効率が低いという問題がある。一方、後者の方法は、早ければ10分以内に毛髪の溶解が完了するが、溶液には夾雑物が多量に含まれるため、クロマトグラフィーや質量分析を行うためにはその後の煩雑な抽出操作が必須になるという問題がある。そして、いずれの方法でも、酸やアルカリを加える場合は、それらによって分解されてしまう化合物の抽出には使用できない(非特許文献2および3)。また、いずれの方法についても、ロータリーエバポレーターを用いた減圧留去や、窒素気流下での加温処理などによって溶媒の蒸発乾固を行う必要があるが、毛髪中の化合物濃度は、血液中や尿中の濃度と比較して小さいために、その際に外部からの汚染や、試料同士の相互汚染によって分析結果に誤りをもたらすことが懸念される。特に法科学分析においては、分析結果が逮捕、勾留などの基本的人権を制限する強制手段につながることがあるため、分析結果の誤りにつながりかねない外部からの汚染を防止することはきわめて重要である。このことは、ドーピング分析など他の応用分野においても同様である。
また、加熱による毛髪中の化学物質の分析法が提案されている(特許文献1)が、その回収率については明らかでなく、この方法は単に毛髪を加熱しているだけであるため、毛髪に蓄積された化学物質のほぼすべてが回収されるとは考えにくく、正確な定量には適さないと言える。
Kronstrand, R., Scott, K.: "Analytical and Practical Aspects of Drug Testing in Hair"; Kintz, P., Ed.; CRC Press, pp.1-23 (2006) Boumba, V. A., Ziavrou, K. S., Vougiouklakis, T.: Int J Toxicol, Vol.25, p.143-163 (2006) 中原雄二:ファルマシア、Vol.34、No.9(1998)、p.889-894 特開2006−250886号公報
本発明は、以上のような背景から、従来の問題点を解消して、毛髪等に蓄積された化学物質を、簡便に、しかも迅速かつ定量的に抽出、分析することのできる新しい技術手段を提供することを課題としている。
本発明者は上記の課題を解決すべき鋭意検討を進め、その過程において、密閉した容器内で毛髪、溶媒および固体振動子を高速に振動させると、微細化した毛髪が溶媒に懸濁した状態となり、従来よりも溶媒と毛髪の接触面積を大幅に増加させることが可能となり、しかも微細化した毛髪はろ過により簡単に除去が可能であるという知見を得ている。本発明は、この知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明は以下の方法であることを特徴としている。
第1:密閉容器内に毛髪もしくはその同等物からなる固形試料と、溶媒または溶媒と溶出促進剤と共に固体振動子を収納した後に密閉容器を振動させ、前記試料の粉砕と同時に試料からの化学物質の抽出を行うことで、毛髪等に蓄積された化学物質を抽出する。
第2:抽出する化学物質は、覚せい剤、麻薬、向精神薬、違法薬物、スポーツドーピング規制薬物、またはその他の法規制薬物である。
第3:抽出する化学物質は、農薬、動植物毒、環境汚染物質、有害元素、放射性物質、またはその他の有毒物質である。
第4:溶媒が水、アルコール、エーテル、ニトリル、アミド、炭化水素およびハロゲン化アルキルのうちの少くとも1種である。
第5:溶出促進剤は、酸、アルカリ、それらの塩および界面活性剤のうち少くとも1種である。
第6:密閉容器および固体振動子は、各々、樹脂、金属、セラミックス、またはそれらの2種以上の複合物よりなるものである。
第7:上記いずれかの方法により得られた抽出液に含有されている化学物質を分析する。
第8:液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、電気泳動、酵素測定法、免疫測定法、もしくは質量分析法で分析する。
本発明によれば、毛髪等に蓄積された化学物質を簡便、迅速に抽出し、スクリーニング分析、定性分析および定量分析に供することができる。抽出が極めて短時間に終了することから、酸やアルカリに弱いコカインやベンゾジアゼピンなどの化学物質にも適用可能である。本発明においては、いくつかの小型装置のみを用いて抽出処理を行うことが可能であるため、クリーンベンチなどの閉鎖的空間内でも前処理や分析を実施できる。従って、毛髪分析専用の実験室を持たない施設においても外部汚染の影響を受けずに分析が可能であり、犯罪鑑識、中毒学、公衆衛生学、薬物動態学、スポーツドーピング検査、職場内薬物検査、労働衛生などの分野に幅広く応用することができる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に使用する試料としてはヒトの頭髪が最も好ましいが、陰毛などの体毛や、馬毛などの動物毛、さらには、毛髪同様にケラチンタンパク質を主成分とする爪等も使用することができる。本発明における「毛髪の同等物」とはこれらを意味している。毛髪をはじめとするこれらの試料の使用量は、測定に用いる装置、測定対象とする化学物質の種類やそれらの所要の検出限界によって異なるが、たとえば、液体クロマトグラフィー質量分析や酵素免疫測定法(ELISA)でヒト頭髪中の覚せい剤を分析する場合には、1〜5mgが好ましい。頭髪1〜5mgは、20cmの頭髪の場合は1〜5本程度である。より感度の低い分析方法を用いる場合は、より多くの毛髪量が必要である。毛髪は、必要により予め表面を洗浄してもよい。
本発明の方法に使用する溶媒および溶出促進剤は特に限定されず、分析方法や化合物の種類に応じて選択することができる。一般的には、抽出のための溶媒としては、従来公知のものをはじめとして、水や、アルコール、エーテル、ニトリル、アミド等の有機溶媒が用いられる。より具体的には、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル、アセトアミド、DMF、DMSO、THF、ジメチルエーテル等の1種または2種以上である。
溶出促進剤については、従来公知のものをはじめとして、たとえば、有機酸、無機酸、アルカリもしくはそれらの塩、および界面活性剤の1種以上が好適に用いられる。
分析方法との関連から例示すると、たとえば、覚せい剤を液体クロマトグラフィーで分析する場合には、水とメタノールもしくはアセトニトリルの混合液にトリフルオロ酢酸を加えたものが最も好ましく、有機溶媒による疎水性相互作用切断効果と酸による静電的相互作用切断効果により、毛髪に蓄積したほぼ全ての覚せい剤を抽出することができる。また、覚せい剤を酵素免疫測定法(ELISA)で分析する場合には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が最も好ましく、この場合も高濃度の塩による静電的相互作用切断効果により、毛髪に蓄積したほぼ全ての覚せい剤を抽出することができる。ガスクロマトグラフィーで分析する場合には、溶媒として有機溶媒、あるいは水に混和しない有機溶媒と水を用い、必要に応じて酸やアルカリを併用して、有機溶媒に化学物質を抽出する。その抽出液をそのまま、あるいは必要に応じて誘導体化などの化学的処理を行ったものを分析に供する。
溶媒や溶出促進剤の使用量についても分析方法や必要とする最小検出限界等を考慮して定めることができる。
一般的には、溶媒中の試料濃度を1〜100(g/L)、溶媒中の溶出促進剤濃度を1〜100(g/L)とすることが考慮される。また、全体量については密閉容器の容量に応じて定めることができる。溶媒/密閉容器(容量比)としては、0.025〜0.25程度とすることが一般的に考慮される。たとえば、溶媒を全く加えなかったり、溶媒添加量があまりに少なかったりすると、毛髪が静電気等により壁面に付着したままとなり、うまく粉砕されないことから、2mLの密閉容器を使用する場合は約50μL以上の溶媒の添加が好ましい。
本発明の方法に使用するのに好適な固体振動子は、密閉容器と同様に、樹脂、金属、セラミックス、あるいはこれらの複合物からなるものでよい。固体振動子は、通常は、本発明における抽出方法での振動操作において変形、損耗しないものが望ましい。密閉容器においても同様である。
固体振動子については、望ましくは、その大きさは、全体が若干のすき間をあけて密閉容器に収まる程度の大きさであり、その形状については、固体振動子の底面側の湾曲面の曲率が密閉容器の底面のそれ以上であり、固体振動子の蓋側にはつまみがあってピンセット等で容易に引き出せるものが好ましい。上記のように、密閉容器および固体振動子の素材は特に限定されないが、密閉容器は室温で耐衝撃性や耐薬品性が強く、安価で使い捨てが可能なポリプロピレン製が好ましく、固体振動子は硬くてさびにくいステンレス鋼製が好ましい。このような密閉容器は、たとえば、エッペンドルフ株式会社から「セイフロックチューブ」という商品名で市販されているものが使用でき、固体振動子は、たとえば、有限会社トッケンから「オートミル用クラッシャー」という商品名で市販されているものが使用できる。
毛髪等の試料、溶媒、溶出促進剤そして固体振動子を封入した密閉容器を高速に振動させる装置としては、一般的な粉砕装置が利用可能であるが、たとえば、登録実用新案第3086539号に記載の、「オートミル」という商品名で有限会社トッケンから市販されている装置を使用することができる。この凍結粉砕装置は、液体窒素で凍結した状態で試料を粉砕するための装置であるが、液体窒素で凍結して高速振動させた場合には密閉容器の蓋が破損して液漏れを起こす場合があるため、本発明では凍結することなく使用するほうが好ましい。もちろん、設定条件によっては凍結しておいてもよい。
密閉容器と固体振動子の大きさについては、たとえば図1にその概要を例示したように、たとえば前記のようなポリプロピレン製のチューブ体(11)と蓋(12)とからなる密閉容器(1)内に、たとえばステンレス製の固体振動子(2)を収納するが、この際には、断面が円形の密閉容器(1)の内径(D)および内長(L)に対して、断面が円形の固体振動子の外径(d)と長さ(l)については、通常は、
d/D=0.5〜0.95
l/L=0.3〜0.9
の範囲とし、固体振動子(2)の底面側(b)の湾曲面の曲率は、前記のように、密閉容器(1)の底面(B)のそれ以上とすることが望ましい。
固体振動子(2)を収納した状態においては、毛髪等の試料を含む試料分散液(3)は、密閉容器(1)の内長(L)に対して、0.1〜0.9の割合で満たされるようにするのが望ましい。
この収納状態において、本発明の方法では、主として図1に示したY方向に固体振動子(2)に対して振動(ストローク)を加える。振動させる時間および速度は、毛髪等が均一に微細化するならば特に問わないが、1〜10分間、毎分1000〜1500振動(ストローク)が好ましい。
粉砕処理後には、短時間遠心分離してから固体振動子をピンセットなどで取り出すと、試料、たとえば、粉砕された毛髪の懸濁液が密閉容器の底に残る。この懸濁液中においては、微細化した毛髪から溶媒への化学物質の抽出が既に完了している。これを、液体クロマトグラフィー用試料の除粒子のために一般的に用いられる孔径0.2〜0.5μmのフィルターでろ過すると、色素を含む固形成分が除かれ、無色透明のろ液が得られる。なお、ろ過の前に1〜3分程度遠心分離し、得られた上清をろ過することで、ろ過速度を早めることもできる。また、ガスクロマトグラフィーに用いる場合には、ろ過を有機溶媒抽出に代えることができる。使用済みの固体振動子は、超音波洗浄器などを利用して、洗剤水や有機溶媒などで洗浄が可能である。
得られたろ液や抽出液は、液体クロマトグラフィーや酵素免疫測定法(ELISA)などの各種分析方法に直ちに適用可能であり、一般的な前処理で必要となる蒸発乾固の操作が必要ないことから、大幅な迅速化と省力化が可能となる。また、クリーンベンチ内に粉砕装置、小型遠心分離機、ピペットその他の汎用器具を設置すれば、毛髪試料の前処理の全ての操作を清浄な空間内で実行できることから、効果的に外部汚染の抑止を図ることが出来る。液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動で分析する場合は、質量分析装置を連結して質量スペクトルを測定したり、選択反応モニタリング(SRM)検出法を利用する等の方法を併用することにより、一層正確な定性・定量分析が可能となる。酵素免疫測定法(ELISA)のように大型分析装置を用いない方法で分析する場合には、分析までクリーンベンチ内で行うことができることから、汚染の恐れがほとんどない状態で前処理から分析まで一貫して行うことができる。
本発明により分析可能な化合物は、粉砕処理により破壊される可能性がない低分子の化学物質であれば特にその種類は制限されない。抽出対象とする化学物質としては、覚せい剤、麻薬、向精神薬、違法薬物、スポーツドーピング規制薬物、あるいはその他の法規制薬物が例示される。また、農薬、動植物毒物、環境汚染物質、有害元素、放射性物質、その他の有害物質や毒物も例示される。より具体的には、たとえば、覚せい剤であるメタンフェタミンおよびアンフェタミン、麻薬であるMDMA、MDA、コカインおよびヘロイン、大麻成分であるTHC、医薬品であるトリアゾラムおよびジアゼパム、スポーツドーピング禁止薬物であるテストステロン、メタノール摂取の指標となるエチルグルクロニド、農薬であるメソミル、MEPおよびパラコート、動植物毒であるテトロドトキシンおよびアコニチン、環境汚染物質であるダイオキシン、PCBおよびベンゼン、有害元素であるヒ素、水銀、鉛およびタリウム、化学兵器や放射性物質などのその他の有害物質、並びにこれらの代謝物等が挙げられる。
そこで以下実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
覚せい剤(メタンフェタミンおよびアンフェタミン)を人工的に浸漬させたヒトの頭髪(長さ約5mm、直径約0.1mm)約2mgを、図1に示したように、2mL容ポリプロピレン製チューブ(エッペンドルフ製セイフロックチューブ)に入れ、ステンレス製固体振動子(トッケン製オートミル用クラッシャー)1個を収納し、0.1mLの水溶液(10vol%アセトニトリル並びに0または100mMのトリフルオロ酢酸を含有)を入れた。
これをトッケン製オートミルを用いて毎分1500振動(ストローク)で粉砕、抽出した。
表1は、振動処理の時間による覚せい剤の相対回収率(%)の変化を示したものである。ここで、相対回収率は、従来法(酸性メタノール抽出法)での回収率(7回繰り返し分析の平均値)を100%としたときの相対値であって、5回繰り返し分析の平均値と標準偏差で表わしている。また、そのときの毛髪の光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)観察像を図2に示した。
覚せい剤のような塩基性薬物は、毛髪中においては主にメラニン顆粒というメラニン色素の粒(大きさ0.3〜1μm)に結合して存在することが分かっている。毛髪は表面がキューティクル層で保護されているが、メラニン顆粒はその内側(髄質および皮質)に散在する。
写真を見ると、1分間の粉砕処理によっても、毛髪を外部環境から保護する役割を持つキューティクル層が破壊され、皮質が表面に露出していることがわかる。その結果、抽出溶媒の毛髪内部へのアクセスが容易になり、抽出が迅速に進行すると考えられる。実際に表1に示した結果から、1分間の粉砕処理によっても多くの覚せい剤が抽出されており、特にトリフルオロ酢酸を添加した場合にはほとんどの覚せい剤が抽出されていることがわかる。3分間以上処理した場合の写真を見ると、毛髪の内部構造が太さ数μmの細胞(主に皮質線維)の大きさにまで、しかも比較的均一に粉砕されており、それによりさらに抽出が促進されると考えられる。実際に、トリフルオロ酢酸の有無にかかわらず、ほぼすべての覚せい剤が抽出されているのが表1に示した結果から分かる。
以上の結果と観察から、毛髪を均一に、好ましくは皮質線維の単位にまで微細化することによって、化学物質の抽出速度が飛躍的に向上することが明らかとなった。
なお、粉砕処理後に0.45μmのフィルターでろ過すると、粉砕時間に関わらず無色透明のろ液が得られることから、毛髪残渣は粉砕処理によってもある程度の大きさを保っていることがわかる。また、粉砕処理を行わない場合には本条件では覚せい剤はほとんど抽出されない。
<実施例2(液体クロマトグラフィー質量分析)>
覚せい剤乱用者の頭髪(予め数mmに細断したもの)約2mgを2mL容ポリプロピレン製チューブ(エッペンドルフ製セイフロックチューブ)に精秤し、ステンレス鋼製固体振動子(トッケン製オートミル用クラッシャー)1個、1mol/Lトリフルオロ酢酸10μL、アセトニトリル10μL、内部標準溶液(重水素化メタンフェタミン500ng/mLおよび重水素化アンフェタミン100ng/mL)20μL並びに水60μLを加え、トッケン製オートミルを用いて毎分1500振動で5分間粉砕・抽出した。軽く遠心分離したのち、固体振動子をピンセットで取り出し、再度2分間遠心分離した。上清を、孔径0.45μmのフィルター一体型チューブ(ミリポア製ウルトラフリーMC)で遠心ろ過し、ろ液を液体クロマトグラフ質量分析計(資生堂製ナノスペースSI−2およびサーモエレクトロン製TSQ Quantum Ultra)で分析した。
比較のために、2種類の従来法による前処理も行なった。すなわち、従来法A(酸性メタノール抽出法)として、同じ毛髪約2mgに、内部標準溶液(同上)20μL並びにメタノール:5mol/L塩酸(20:1)1mLを加え、30分間超音波処理したのち、14時間放置し、さらに30分間超音波処理した。上清を窒素気流下45℃で蒸発乾固したのち、残渣を水:アセトニトリル(9:1)100μLに溶かし、孔径0.45μmのフィルター一体型チューブ(同上)で遠心ろ過し、ろ液を液体クロマトグラフ質量分析計(同上)で分析した。また、従来法B(アルカリ溶解・液−液抽出法)として、同じ毛髪2mgに、内部標準溶液(同上)20μL並びに1mol/L水酸化ナトリウム水溶液0.5mLを加え、95℃で10分間加温して毛髪を溶解させた。冷却後に1−クロロブタン1mLによる抽出を2回行い、上記と同様に蒸発乾固、再溶解およびろ過した。
いずれについても、分析条件は以下の通りである。
◎カラム:資生堂製カプセルパックC18MG2 S3 1.0×100mm、60℃
◎移動相:10mM酢酸アンモニウム(A):アセトニトリル(B)、流速0.15ml/分
◎グラジエント条件:0〜1分:10%B、1〜5分:10〜90%B(リニアグラジエント)、5〜8分:90%B
◎注入量:10μL
◎イオン化法:エレクトロスプレー(ESI)、ポジティブ
◎検出方法:選択反応モニタリング(SRM)
なお、上記の内部標準(重水素化メタンフェタミンおよび重水素化アンフェタミン)は、質量分析において定量値の正確さや精密さ、妨害物質によるイオンサプレッションに対する堅牢性を向上させるために用いている。
上記のいずれの方法によっても、図3に示すようなマスクロマトグラムが得られ、メタンフェタミンおよびアンフェタミン並びにそれらの重水素化体のピークを検出した。それらピークの面積(ただしメタンフェタミンとアンフェタミンについては、図3に*で示したピークの面積)を利用して、メタンフェタミンで8濃度、アンフェタミンで6濃度(各濃度で2回測定)からなる1/x重み付け検量線を作成したところ、いずれの決定係数(rの2乗)も0.9994以上であり、良好な直線性が認められた。これらの検量線からメタンフェタミンおよびアンフェタミンの濃度を算出したところ、表2のとおりであった。なお、本実施例の定量範囲はメタンフェタミンで0.040〜125(ng/mg)、アンフェタミンで0.040〜25(ng/mg)であった。最小定量限界である0.040ng/mgは、毛髪分析に関する国際組織であるSociety of Hair Testingが推奨する最小定量限界値0.2ng/mgに十分適合している。
表2から、本発明の方法は液体クロマトグラフィー質量分析を用いた定量分析において、従来の前処理法と比較して同等の定量値を示すことが分かった。このことは、実際の薬物乱用者毛髪についても、従来の前処理法と同等の抽出率が得られることを示しており、本発明の方法の実用性が確認された。
<実施例3(ELISA)>
実施例2と同じ覚せい剤乱用者頭髪約1mgを2mL容ポリプロピレン製チューブ(同上)に精秤し、ステンレス鋼製固体振動子(同上)1個およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)50μLを加え、トッケン製オートミルを用いて毎分1500振動で5分間粉砕・抽出した。軽く遠心分離したのち、固体振動子をピンセットで取り出し、懸濁液を孔径0.45μmのフィルター一体型チューブ(同上)で遠心ろ過した。
キャリブレーションのために、毛髪中濃度として5、25および125(ng/mg)となるようにメタンフェタミンを添加したブランク毛髪についても同様の前処理を行った。
これらのろ液をいずれもPBSで100倍に希釈し、以下の条件で競合法による酵素免疫測定(ELISA)を行った。キャリブレーション試料の吸光度を用いて検量線を作成し、乱用者毛髪中のメタンフェタミンを定量したところ、表2に示す結果が得られた。
◎プレート:Coster製ポリスチレンプレート
◎酵素:Fitzgerald製抗メタンフェタミン抗体、10μg/mL
◎標識抗原:Fitzgerald製メタンフェタミン−HRP、1000倍希釈
◎ブロッキング剤:和光純薬製1%ウシ血清アルブミン
◎酵素固定化条件:室温、14時間
◎発色液:同仁化学製SATBlue
◎反応条件:室温、30分
◎検出装置:モレキュラーデバイス製SPECTRAMAX250
◎検出波長:665nm
表2から、本発明の方法は実施例1とほぼ同様の定量値を示し、酵素免疫測定法(ELISA)にも適用可能であることが分かる。
なお、実施例2並びに従来法AおよびBの結果はいずれも4回の分析の平均値と標準偏差、実施例3の結果は3回の分析の平均値である。
本発明は、科学捜査研究所や麻薬取締事務所などによる薬物使用事犯の検挙のための分析、雇用者の薬物不使用証明、法医解剖などにおける死因究明、病院等における医薬品使用履歴の解明、スポーツドーピング検査機関や競走馬ドーピング検査機関における競技者毛髪や競走馬毛髪中の禁止薬物の分析、労働衛生管理上の健康診断のための毛髪分析、有害物質への暴露の証明、有害物質の体外排泄の経過観察などに利用されうる。
密閉容器と固体振動子とを例示した概要断面図である。 実施例1における粉砕の状態を示した図である。 実施例2で得られた、覚せい剤乱用者毛髪抽出物のマスクロマトグラムである。
符号の説明
1 密閉容器
11 チューブ体
12 蓋
2 固体振動子
3 試料分散液

Claims (8)

  1. 密閉容器内に毛髪もしくはその同等物からなる固形試料と、溶媒または溶媒と溶出促進剤と共に固体振動子を収納した後に密閉容器を振動させ、前記試料の粉砕と同時に試料からの化学物質の抽出を行うことを特徴とする毛髪等に蓄積された化学物質の抽出方法。
  2. 抽出する化学物質が覚せい剤、麻薬、向精神薬、違法薬物、スポーツドーピング規制薬物、またはその他の法規制薬物であることを特徴とする、請求項1に記載の抽出方法。
  3. 抽出する化学物質が農薬、動植物毒、環境汚染物質、有害元素、放射性物質、またはその他の有毒物質であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
  4. 溶媒が水、アルコール、エーテル、ニトリル、アミド、炭化水素およびハロゲン化アルキルのうちの少くとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の抽出方法。
  5. 溶出促進剤が酸、アルカリおよびそれらの塩または界面活性剤のうち少くとも1種であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の抽出方法。
  6. 密閉容器および固体振動子は、各々、樹脂、金属、セラミックス、またはそれらの2種以上の複合物よりなるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の抽出方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法により得られた抽出液に含有されている化学物質を分析することを特徴とする毛髪等に蓄積された化学物質の分析方法。
  8. 液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、電気泳動、酵素測定法、免疫測定法、もしくは質量分析法で分析することを特徴とする請求項7に記載の分析方法。
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