JP2008231537A - 電解シミュレーション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解槽の温度の過渡変化を煩雑な計算を行うことなく正確にシミュレーションする。
【解決手段】電解シミュレーション装置は、各電解槽の温度及び抵抗値モデルデータから各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、各電解槽の抵抗値及び各電解槽の電流値とから電流値を算出する電流値算出手段と、各電解槽の電流値及び発熱量モデルデータから発熱量を算出する発熱量算出手段と、各電解槽の電流値及び電気分解生成物発生量モデルデータから電気分解生成物の発生量を算出する電気分解生成物発生量算出手段と、電気分解生成物発生量と電解質溶液の供給量とに基づいて熱散逸量を算出する散逸熱量算出手段と、原料供給熱量と散逸熱量と発熱量に基づいて各電解槽の温度を算出する温度算出手段と、熱交換器の熱交換量に基づいて温度を補正する温度補正手段とを備える。
【選択図】図3
【解決手段】電解シミュレーション装置は、各電解槽の温度及び抵抗値モデルデータから各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、各電解槽の抵抗値及び各電解槽の電流値とから電流値を算出する電流値算出手段と、各電解槽の電流値及び発熱量モデルデータから発熱量を算出する発熱量算出手段と、各電解槽の電流値及び電気分解生成物発生量モデルデータから電気分解生成物の発生量を算出する電気分解生成物発生量算出手段と、電気分解生成物発生量と電解質溶液の供給量とに基づいて熱散逸量を算出する散逸熱量算出手段と、原料供給熱量と散逸熱量と発熱量に基づいて各電解槽の温度を算出する温度算出手段と、熱交換器の熱交換量に基づいて温度を補正する温度補正手段とを備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、電気分解生成物の製造において使用する電解槽をシミュレートする電解シミュレーション装置及び電解シミュレーション方法並びにプログラムに関し、詳しくは、複数の電解槽で電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する際に全電流値等を変化させた場合において、電解槽の温度の過渡変化を煩雑な計算を行うことなく正確にシミュレートする電解シミュレーション装置及び電解シミュレーション方法並びにプログラムに関する。
イオン交換膜法塩化アルカリ電解においては、一般的に電解槽としてイオン交換膜法電解槽が用いられており、この電解槽は、有機材料からなるイオン交換膜を挟んで陽極側は塩素及び強い強酸性雰囲気が存在し、陰極側は強アルカリ溶液が存在する構造となっている。例えば塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を充填した電解槽では、陽極側に塩素(Cl2)が発生し、陰極側に水素(H2)及び苛性ソーダ(NaOH)が発生する。
電解槽において得られる電気分解生成物の生産量には電流効率が関係しており、この電流効率は、電解反応に使用する電解電気量が有効利用されているか、すなわち流れた電子の何%がその反応を進めたかを判断する指標として用いられている。例えば、この電流効率は、上述した塩化アルカリ電解においては、水素ガス基準、塩素ガス基準、及び苛性ソーダ基準とに分けられているが、苛性ソーダを製造する電解工場では、一般的に苛性ソーダを電流効率の基準としており、(1)式に示すように苛性ソーダの理論生産量に対する実生産量の比によって電流効率は計算される。
電流効率(%)=苛性ソーダ実生産量÷苛性ソーダ理論生産量×100 (1)
また、電流効率には原料濃度等の運転条件や電解膜特性が影響する。特に、この電解膜特性は膜の使用時間と共に変化し、例えば電解槽における電解膜の抵抗値は、電解質溶液の温度の関数となっている。したがって、電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する際、電解質溶液の温度は重要なパラメータの1つとなる。
電流効率(%)=苛性ソーダ実生産量÷苛性ソーダ理論生産量×100 (1)
また、電流効率には原料濃度等の運転条件や電解膜特性が影響する。特に、この電解膜特性は膜の使用時間と共に変化し、例えば電解槽における電解膜の抵抗値は、電解質溶液の温度の関数となっている。したがって、電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する際、電解質溶液の温度は重要なパラメータの1つとなる。
特許文献1には、電解槽の温度を調整するための方法として、各電解槽を流れる電解槽電流の電流値の平均値に対しての電流上限値及び下限値、並びに電解槽温度上限値を設け、抵抗値が最大を示す電解槽の電解槽については温度上限値に設定し、最大抵抗電解槽以外の電解槽は電流上限値以下かつ電流下限値以上の範囲で最大温度となるように通電する温度制御方法が提案されている。この方法では、各電解槽の温度が電解槽の温度上限値を超えない範囲で可能な限り高い温度に調整することが好ましく、電解槽の温度は、各電解槽に備えられた熱交換器等の温度調整装置によって電解槽を冷却又は過熱することで調整される。
しかしながら、苛性ソーダを製造する電解工場で上述したような電解生成物の生産量を求める際には電流効率や電解膜特性を考慮する必要があり、実際の操業において電解生成物の生産量を増減する際に変化する電解槽の温度変化を予想して電流値等のパラメータを設定するためには、電流効率や電解膜特性を考慮に入れた煩雑な計算をする必要があった。また、温度変化の程度によってその後の電流値や抵抗値の変化の度合いが異なり、この電流値や抵抗値の変化によってさらに温度変化が生じるため、この温度変化の詳細について予見することは容易ではなく、長年の経験に依存する部分が大きかった。
本発明は、上記事情に着目してなされたものであり、複数の電解槽で電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する際に全電流値等を変化させた場合において、電解槽の温度の過渡変化を煩雑な計算を行うことなく正確にシミュレートする電解シミュレーション装置及び電解シミュレーション方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明に係るシミュレーション装置は、出力電流が一定となるように出力電圧を変化させながら直流電流を出力する直流電源と、該直流電源に対して電気的に並列に接続された2基以上の電解槽と、各電解槽の温度を一定に保つための熱交換器と、上記各電解槽に電解質溶液を所定の温度で供給する供給手段とを備え、上記直流電源から上記各電解槽に直流電流を通電して、上記各電解槽に供給された電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する電解装置の電解槽の温度をシミュレートする電解シミュレーション装置において、上記各電解槽における温度偏差に対する抵抗値を示す抵抗値モデルデータと、電流値に対する発熱量を示す発熱量モデルデータと、電流値に対する各電気分解生成物発生量を示す電気分解生成物発生量モデルデータを記憶する記憶手段と、上記各電解槽の温度及び上記抵抗値モデルデータから上記各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、上記各電解槽の抵抗値及び上記直流電源から出力される直流電流の電流値とから上記各電解槽の電流値を算出する電流値算出手段と、上記各電解槽の電流値及び上記発熱量モデルデータから上記各電解槽の発熱量を算出する発熱量算出手段と、上記各電解槽の電流値及び上記電気分解生成物発生量モデルデータから上記電気分解生成物発生量をそれぞれ算出する電気分解生成物発生量算出手段と、上記電気分解生成物発生量及び上記電解質溶液の供給量に基づいて上記各電解槽の熱散逸量を算出する散逸熱量算出手段と、上記供給手段により供給された電解質溶液の供給熱量、上記散逸熱量、及び上記発熱量に基づいて上記各電解槽の温度を算出する温度算出手段と、上記熱交換器の熱交換量に基づいて、上記各電解槽の温度を補正する温度補正手段とを備えるものである。
また、上述した課題を解決するために、本発明に係るシミュレーション方法は、出力電流が一定となるように出力電圧を変化させながら直流電流を出力する直流電源と、該直流電源に対して電気的に並列に接続された2基以上の電解槽と、各電解槽の温度を一定に保つための熱交換器と、上記各電解槽に電解質溶液を所定の温度で供給する供給手段とを備え、上記直流電源から上記各電解槽に直流電流を通電して、上記各電解槽に供給された電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する電解装置の電解槽の温度変化をシミュレートする電解シミュレーション方法において、上記各電解槽における温度偏差に対する抵抗値を示す抵抗値モデルデータと、電流値に対する発熱量を示す発熱量モデルデータと、電流値に対する各電気分解生成物の発生量を示す電気分解生成物発生量モデルデータを記憶する記憶ステップと、上記各電解槽の温度及び上記抵抗値モデルデータから上記各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出ステップと、上記各電解槽の抵抗値及び上記直流電源から出力される直流電源の電流値とから上記各電解槽の電流値を算出する電流値算出ステップと、上記各電解槽の電流値及び上記発熱量モデルデータから上記各電解槽の発熱量を算出する発熱量算出ステップと、上記各電解槽の電流値及び上記電気分解生成物発生量モデルデータから上記電気分解生成物の発生量をそれぞれ算出する電気分解生成物発生量算出ステップと、上記電気分解生成物発生量及び上記電解質溶液の供給量に基づいて上記各電解槽の散逸熱量を算出する散逸熱量算出ステップと、上記供給手段により供給された電解質溶液の供給熱量、上記散逸熱量、及び上記発熱量に基づいて上記各電解槽の温度を算出する温度算出ステップと、上記熱交換器の熱交換量に基づいて、上記各電解槽の温度を補正する温度補正ステップとを有するものである。
また、上述した課題を解決するために、本発明に係るシミュレーションプログラムは、出力電流が一定となるように出力電圧を変化させながら直流電流を出力する直流電源と、該直流電源に対して電気的に並列に接続された2基以上の電解槽と、各電解槽の温度を一定に保つための熱交換器と、上記各電解槽に電解質溶液を所定の温度で供給する供給手段とを備え、上記直流電源から上記各電解槽に直流電流を通電して、上記各電解槽に供給された電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する電解装置の電解槽の温度変化をシミュレートする電解シミュレーション処理をコンピュータシステムに実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、上記各電解槽における温度偏差に対する抵抗値を示す抵抗値モデルデータと、電流値に対する発熱量を示す発熱量モデルデータと、電流値に対する各電気分解生成物の発生量を示す電気分解生成物発生量モデルデータを記憶する記憶ステップと、上記各電解槽の温度及び上記抵抗値モデルデータから上記各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出ステップと、上記各電解槽の抵抗値及び上記直流電源から出力される直流電源の電流値とから上記各電解槽の電流値を算出する電流値算出ステップと、上記各電解槽の電流値及び上記発熱量モデルデータから上記各電解槽の発熱量を算出する発熱量算出ステップと、上記各電解槽の電流値及び上記電気分解生成物発生量モデルデータから上記電気分解生成物の発生量をそれぞれ算出する電気分解生成物発生量算出ステップと、上記電気分解生成物発生量及び上記電解質溶液の供給量に基づいて上記各電解槽の散逸熱量を算出する散逸熱量算出ステップと、上記供給手段により供給された電解質溶液の供給熱量、上記散逸熱量、及び上記発熱量に基づいて上記各電解槽の温度を算出する温度算出ステップと、上記熱交換器の熱交換量に基づいて、上記各電解槽の温度を補正する温度補正ステップとを有するものである。
本発明によれば、モデルデータを使用したシミュレーションを通じて、電解槽において電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する際の動的挙動、特に温度の経時変化を正確にシミュレートすることができる。したがって、電解槽の新たな運転状況を予見するための訓練に役立てることもできる。
以下、図面を参照しながら、本発明を適用した具体的な実施の形態について説明する。先ず、本実施の形態における電解装置の一例を図1を参照しながら説明する。
図1は、電気分解装置の一例を示す模式図である。この電気分解装置1は、直流電流を出力するする電源装置2、電解質溶液を電気分解する電解槽3(電解槽3a〜電解槽3d)、電解槽温度設定値を出力する温度設定値出力装置4、電解槽の温度が設定値になるように調整する温度調整装置5(温度調整装置5a〜温度調整装置5d)、図示しない熱交換器、電気分解生成物取り出し口、及び原料供給部から構成される。また、この電気分解装置1は、電解槽3で電気分解生成物を生成する。例えば電気分解装置1で塩化ナトリウム水溶液を電気分解する場合においては、電気分解生成物として水素、塩素、苛性ソーダ、淡塩水等が発生する。なお、電気分解生成物はこの例に限定されるものではない。また、電気分解装置1は、例えばコンピュータで構成された温度設定値出力装置4も備え、電解槽温度設定値は、この温度設定値出力装置4から出力されて温度調整装置5に送られる。
電源装置2は、一定の出力電流で直流電流を出力する定電流装置を備える。この定電流装置は、電解槽3に通電される全電流値をある一定値に保つものであり、定電流電解の場合、全電流値Iは式(2)により算出される。
I=S×ΣI (2)
ここで、ΣIはイオン毎の電流密度の合計、Sは電極面積であり、電極面積Sを一定とみなした場合には、イオン毎の電流密度の合計は一定値となる。
I=S×ΣI (2)
ここで、ΣIはイオン毎の電流密度の合計、Sは電極面積であり、電極面積Sを一定とみなした場合には、イオン毎の電流密度の合計は一定値となる。
また、電源装置2から出力される直流電流の出力電流は、抵抗値の変化に応じて出力電圧を変化させることで一定に制御されている。また、出力電流は、目的とする電気分解生成物の生成速度に応じて適宜選択される。
電解槽3a〜電解槽3dは、電気分解生成物を生成する。この電解槽3a〜電解槽3dはそれぞれ陽極、陰極、陽極と陰極との間を隔離するイオン交換膜、温度調整装置5a〜温度調整装置5dを備えている。電解槽3で使用される電解質溶液、例えば塩化ナトリウム水溶液は、電解槽3に充填される。電解槽3には、通常同じ構造で同じ規格で製作されたものが用いられる。電解槽3の電解槽の様式としては、電極およびイオン交換膜を備えたイオン交換膜法電解槽が挙げられる。なお、電解槽3の電解槽の数は、2以上であれば特に限定されないが、本発明では、電解槽の数が3以上、さらには5以上である場合に好ましく適用され、通常は10以下程度である。また、電解槽3は、同じ温度で測定されたときの抵抗値が平均値に対して±10%の範囲にあることが好ましい。ここで平均値とは、同じ温度で測定した電解槽3の抵抗の和を電解槽の数で除したものである。また、電解槽3は、電源装置2に対して互いに電気的に並列に接続される。
電解槽3で電解質溶液を電気分解するには、電解槽3により定められる実用電解電圧、電解槽3の抵抗値、及び電解槽3に通電される電流値の積で求められる負荷電圧との和に等しい電圧を印加する必要がある。ここで実用電解電圧は、電解槽3の方式、電解槽3に用いる電極板、イオン交換膜、使用する電解質溶液の種類やその濃度等によって異なる。また、電解槽3の抵抗値は、電解槽3の方式、電極面積、使用する電解質溶液の種類やその濃度等によって異なる。また、電解槽3は、互いに電気的に並列に接続されているので、電解槽3に印加される電圧は、電源装置2からの出力電圧に等しくなり、式(3)が成立する。
V=V0+Vi (3)
ここで、V0は実用電解電圧、Viは負荷電圧、Vは出力電圧である。
V=V0+Vi (3)
ここで、V0は実用電解電圧、Viは負荷電圧、Vは出力電圧である。
電解槽3に直流電流を通電することで、電解槽3に充填された電解質溶液が電気分解されて、目的の電気分解生成物が得られる。例えば、電解槽3で塩化ナトリウム水溶液を電気分解する場合においては、陽極側では酸化反応により塩素が発生し、陰極側では還元反応により水素及び苛性ソーダが発生する。なお、電解槽3に充填される電解質溶液の液量は、そのオーバーフロー型の構造により一定に保たれるため、電気分解装置1で電流設定値をステップ的に変更しても、電解槽3の温度は、ある特定の応答時間を有する一次遅れ型の応答を示す。すなわち、電気分解装置1で電流設定値をステップ的に変化させた場合、電解槽3の温度は、急激に上昇又は減少しないが、シミュレーションすることによりこの温度の経時的変化を正確に把握することができる。
温度設定値出力装置4は、温度調整装置5に電解槽温度設定値を出力する装置であり、例えばコンピュータで構成される。
温度調整装置5(温度調調整置5a〜温度調整装置5d)は、例えば外部から電解槽温度設定値を受信して電解槽3の電解槽温度がこの温度設定値になるように調整する装置である。この温度調整装置5は、通常、電解熱が生じる電解槽3を熱交換器により冷却することで電解槽の温度を設定値となるように調整する。この熱交換器は、高温流体から伝熱壁を隔てて低温流体へ熱を伝える装置であり、その構造としては、二重管、多管式、カスケード式、コイル式などから任意のものを選択することができるものであり、熱交換の方式としては、向流式、並流式、十字流式などから任意の方式を選択することができる。また、温度調整装置5は、電気分解装置1の運転開始直後や電解熱の発生が少ない場合などには熱交換器により電解槽3を加熱することで電解槽の温度を設定値となるように調整する。
電気分解生成物取り出し口は、電解槽3で発生する電気分解生成物を電解槽3から取り出すために設けられる部分であり、通常は電解槽3の上部付近及び底面付近に各電気分解生成物ごとに設けられる。例えば、電解槽3で塩化ナトリウム水溶液を電気分解する場合に発生する電気分解生成物においては、水素ガスは陰極側気相部の取り出し口から、塩素ガスは陽極側の気相部の取り出し口から、苛性ソーダは、陰極側液相部に設けた取り出し口から、淡塩水は陽極側液相部に設けた取り出し口からそれぞれ外部に接続された貯蔵タンク等へ取り出すことができる。なお、この電気分解生成物取り出し口の形状としては円状、多角形状等の形状から任意に選択することができる。
原料供給部は、電解槽3に充填するための電解質溶液を供給する装置であり、原料の流量や温度を制御することができる。
次に、電解シミュレーション装置の構成について説明し、次いでこの構成それぞれの動作方法について詳細に説明する。ここでは、例えば電解槽3で塩化ナトリウム水溶液を電気分解して電気分解生成物を発生させる場合の電解シミュレーションを想定する。
図2は、本実施の形態に係る電解シミュレーション装置の機能ブロックを示す図である。
電解シミュレーション装置6は、バス17を介して接続されたシミュレーションを実行させるための入力を行う入力部7と、シミュレーション演算を実行する処理部8と、シミュレートに必要な各種モデルデータやプログラム等を格納するメモリ9と、シミュレーション結果を出力する出力部16などから構成される。
入力部7は、設定温度、初期状態における電解液の温度、設定電位、設定電流、計算回数、原料供給量、熱交換器における熱交換量等の電解装置をシミュレートするための制御条件に関わるデータが入力され、この入力部7は入力されたデータをバス17を介してメモリ9と処理部8とに供給する。
処理部8は、図示しない算出部及び判断部から構成されており、算出部では、入力部7に入力されたデータからメモリ9に格納された後述する各種モデルデータを読み取り、選択されたモデルデータを用いて、メモリ9に格納された各種計算式を含むシミュレーションプログラム15に基づいてシミュレートを実行する。判断部では、メモリ9に格納された各種モデルデータを解析して実績値との比較を行い、この比較した結果に応じて演算の処理判断を行う。
メモリ9は、シミュレートを実行するために必要なモデルデータ等を格納する。このメモリ9は、例えば、電解槽3の温度偏差に基づいて電解槽3の抵抗値を示す抵抗値モデルデータ10、電解槽3に通電される電流量に応じて電解槽3で発生する発熱量を示す発熱量モデルデータ11、電解槽3に通電される電流量に応じて電解槽3で発生する水素発生量を解析する水素発生量モデルデータ12、電解槽3に通電される電流量に応じて電解槽3で発生する塩素発生量を解析する塩素発生量モデルデータ13、電解槽3に通電される電流量に応じて電解槽3で発生する苛性ソーダ発生量を解析する苛性ソーダ発生量モデルデータ14、及び演算部で演算を行う際に使用する各種計算式や温度調整を行うプログラムを含むシミュレーションプログラム15等を格納する。また、このメモリ9に格納されている各種モデルデータは、シミュレート実行直前一ヶ月程度の操業データを入力部7を介して随時更新することで、電解槽3における電解膜特性に起因する計算誤差を少なくすることができ、例えば、電解膜の劣化に伴う電解槽の抵抗値の変化に起因する計算誤差を最小限に収めることができる。なお、この各種モデルデータの更新方法は、入力部7を介さずに他の方法で行っても構わない。
出力部16は、処理部8で演算されたメモリ9に格納される各種モデルデータに基づくシミュレート結果を出力する。
次に、処理部8の詳細について図3を参照しながら説明する。図3は、処理部8の機能ブロック構成を示す図である。
抵抗値算出部18は、電解槽3の温度及びメモリ9に格納された抵抗値モデルデータ10に基づいて電解槽3の抵抗値を算出する。
図4は、抵抗値モデルデータ10における温度偏差と抵抗値との相関関係の一例を示す図である。この抵抗値モデルデータ10は、x軸を電解槽における温度偏差(℃)、y軸を定格抵抗値(%)としたときに、y=−0.016x+0.913(R2=0.9560)の直線近似式で示され、負の一次相関を有する。したがって、抵抗値算出部18では、抵抗値モデルデータ10に基づいて電解槽3の温度に対応する抵抗値を正確に算出することができる。なお、本実施の形態で示すモデルデータは上述したように一例であり、これらのモデルデータに限定されるものではなく、例えばデータ分布が二次以上の相関を有するものであってもよい。また、温度偏差とは、モデルデータ収集期間中の各電解槽温度の算術平均値を基準とした温度をいい、定格%とは、定電流源の長時間定格値、すなわち、定電流源を連続して使用した場合においても装置の寿命が保証される供給電流量の最大値を100%とし、供給電流量ゼロを0%とした電流量をいう。
電流値算出部19は、抵抗値算出部18で算出された電解槽3の抵抗値に基づいて電解槽3の電流値を算出する。なお、この電流値算出部19は、電解槽3に流れる全電流量を分配することで電解槽3の各電流値を算出することができ、例えばメモリ9に格納されたシミュレーションプログラム15からオームの法則を利用して電解槽3の電流値を算出する。
発熱量算出部20は、電流値算出部19で算出された電解槽3の電流値から、メモリ9に格納された発熱量モデルデータ11に基づいて、電解槽3で発生する発熱量を算出する。
図5は発熱量モデルデータ11における電解電流値と発熱量との相関関係の一例を示す図である。この発熱量モデルデータ11は、x軸を定格電流値(%)、y軸を定格発熱量(%)としたときに、y=0.9903x(R2=0.9920)の近似式で示され、正の一次相関を有する。したがって、発熱量算出部20では、発熱量モデルデータ11に基づいて電解槽3で発生する発熱量を正確に算出することができる。
散逸熱量算出部21は、電流値算出部19で算出された電解槽3の電流量から電解槽3で発生する電気分解生成物発生量及び供給される原料の質量を算出し、電解槽3からの散逸熱量を算出する。
散逸熱量算出部21は、電気分解生成物の発生量、すなわち、水素の発生量を算出する水素発生量算出部22、塩素の発生量を算出する塩素発生量算出部23、苛性ソーダの発生量を算出する苛性ソーダ発生量算出部24、及び淡塩水の発生量を算出する淡塩水発生量算出部25とから構成されており、電解槽3から発生する電気分解生成物による散逸熱量を算出する。この散逸熱量算出部21におけるシミュレートの手順については、図6のフローチャートを参照しながら詳細を説明する。
ステップS1において、水素発生量算出部22、塩素発生量算出部23、及び苛性ソーダ発生量算出部24は、電流値算出部19で算出された電解槽3の電流値から、メモリ9に格納された水素発生量モデルデータ12、塩素発生量モデルデータ13、及び苛性ソーダ発生量モデルデータ14に基づいて、電解槽3で発生する水素ガス、塩素ガス、及び苛性ソーダの発生量を算出する。
図7は水素発生量モデルデータ12における電解電流値と水素発生量との相関関係の一例を示す図である。この水素発生量モデルデータ12は、x軸を定格電流値(%)、y軸を定格水素発生量(%)としたときに、y=0.9797x(R2=0.8983)の近似式で示され、正の一次相関を有する。したがって、水素発生量算出部22は、水素発生量モデルデータ12に基づいて電解槽3における水素発生量を正確に算出することができる。
図8は塩素発生量モデルデータ13における電解電流値と塩素発生量との相関関係の一例を示す図である。この塩素発生量モデルデータ13は、x軸を定格電流値(%)、y軸を定格塩素発生量(%)としたときに、y=0.9929x(R2=0.9979)の近似式で示され、正の一次相関を有する。したがって、塩素発生量算出部23では、塩素発生量モデルデータ13に基づいて電解槽3における塩素発生量を正確に算出することができる。
図9は苛性ソーダ発生量モデルデータ14における電解電流値と苛性ソーダ発生量との相関関係の一例を示す図である。この苛性ソーダ発生量モデルデータ14は、x軸を定格電流値(%)、y軸を定格苛性発生量(%)としたときに、y=0.9702x(R2=0.9795)の近似式で示され、正の一次相関を有する。したがって、苛性ソーダ発生量算出部24では、塩素発生量モデルデータ13に基づいて電解槽3における苛性ソーダ発生量を正確に算出することができる。
ステップS2において、淡塩水発生量算出部25は、上述した水素ガス、塩素ガス、及び苛性ソーダの発生量と、図示しない原料供給部からの原料供給量とに基づいて、式(4)により淡塩水発成量を算出する。
淡塩水発生量=原料供給量−発生ガス(水素ガス、塩素ガス)合計量−苛性ソーダ発生量 (4)
ステップS3において、散逸熱量算出部21は、ステップS1及びステップS2において算出した水素ガス、塩素ガス、苛性ソーダ、及び淡塩水の発生量をメモリ9に格納されたシミュレーションプログラム15に基づいて式(5)により各生成物質の比熱から電解槽3からの散逸熱量を算出する。
C=mc (5)
ここで、Cは各生成物質の熱容量、mは各生成物質の質量、cは各生成物質の比熱を示す。以上説明したステップS1〜ステップS3の処理により、散逸熱量算出部21は散逸熱量を算出する。
ステップS3において、散逸熱量算出部21は、ステップS1及びステップS2において算出した水素ガス、塩素ガス、苛性ソーダ、及び淡塩水の発生量をメモリ9に格納されたシミュレーションプログラム15に基づいて式(5)により各生成物質の比熱から電解槽3からの散逸熱量を算出する。
C=mc (5)
ここで、Cは各生成物質の熱容量、mは各生成物質の質量、cは各生成物質の比熱を示す。以上説明したステップS1〜ステップS3の処理により、散逸熱量算出部21は散逸熱量を算出する。
電解槽温度算出部26は、発熱量算出部20で算出された発熱量と、散逸熱量算出部21で算出された電解槽3における発生熱量と、原料持ち込み熱量算出部27で算出された図示しない原料供給部から供給される電解質溶液由来の負の熱量とのバランス計算を行い、電解槽3の温度変化に寄与する熱量を考慮した電解槽温度を算出する。
伝熱量算出部28は、電解槽温度を一定温度に保つために熱交換器で熱交換される伝熱量を算出する。例えば向流式の熱交換器での電解槽側と熱冷媒側との熱交換量を、式(6)、(7)により算出する。
Q=UAΔT (6)
ΔT=(ΔT1−ΔT2)/ln(ΔT1/ΔT2) (7)
ここで、Qは伝熱量、Uは総括伝熱係数、Aは有効伝熱面積、ΔTは熱交換器出入口でのプロセス流体と熱冷媒との対数平均温度差である。また、ΔT1はプロセス流体入口部におけるプロセス流体及び熱冷媒の温度差、ΔT2はプロセス流体出口部における、プロセス流体及び熱冷媒の温度差を示しており、両流体の温度差が大きいほど伝熱量は大きくなる。この熱交換により、電解槽温度が上昇した場合は冷却させ、電解槽温度が下降した場合には熱冷媒の流量を調節して上昇させることができる。なお、向流式の熱交換器においては、上述したプロセス流体入口側が熱冷媒出口側となる。また、上述した式(7)において、ΔT1とΔT2との比が2より小さい場合には、ΔTは両温度の算術平均値で近似することができる。
Q=UAΔT (6)
ΔT=(ΔT1−ΔT2)/ln(ΔT1/ΔT2) (7)
ここで、Qは伝熱量、Uは総括伝熱係数、Aは有効伝熱面積、ΔTは熱交換器出入口でのプロセス流体と熱冷媒との対数平均温度差である。また、ΔT1はプロセス流体入口部におけるプロセス流体及び熱冷媒の温度差、ΔT2はプロセス流体出口部における、プロセス流体及び熱冷媒の温度差を示しており、両流体の温度差が大きいほど伝熱量は大きくなる。この熱交換により、電解槽温度が上昇した場合は冷却させ、電解槽温度が下降した場合には熱冷媒の流量を調節して上昇させることができる。なお、向流式の熱交換器においては、上述したプロセス流体入口側が熱冷媒出口側となる。また、上述した式(7)において、ΔT1とΔT2との比が2より小さい場合には、ΔTは両温度の算術平均値で近似することができる。
また、伝熱量算出部28は、プロセス流体と熱冷媒の入口温度を固定し、それぞれの流体の熱交換出口部の温度を振って、伝熱に起因する両流体のエンタルピー変化を算出し、両流体のエンタルピー変化量が等しくなるように両流体の熱交換出口部の温度を収束計算する。この収束計算では、イタレーションすることにより、両流体の流量や供給温度が変化した場合の新たな伝熱量、すなわち各流体の熱交換出口部の温度を算出することができる。
除熱後電解槽温度算出部29は、伝熱量算出部28で算出された電解槽側と熱冷媒側とで熱交換される伝熱量から新たな電解槽の温度を算出する。すなわち、電解槽3の電解槽温度から伝熱量算出部28が伝熱計算した熱交換量の差分をとることで新たな電解槽の温度を算出する。
次に、上述した電解槽3における電解質溶液の電気分解をシミュレートする方法について説明する。以下では、電解槽3における温度変化のシミュレートを実行する際の場面を想定する。
図10は、処理部8の各機能ブロックの処理動作を説明するためのフローチャートである。なお、この処理動作に用いるシミュレーションプログラム15はメモリ9に格納されており、処理部8によって解釈及び/又は実行されるものとするが、この例に限定されるものではないことは勿論である。
ステップS10において、入力部7は、電解槽3の初期温度を入力する。なお、この初期温度の入力は、入力部7から入力される方法に限られるものではない。
ステップS11において、抵抗値算出部18は、ステップS10で入力された電解槽3の温度を、メモリ9に格納された抵抗値モデルデータ10に基づいて電解槽3の抵抗値を算出する。
ステップS12において、電流値算出部19は、ステップS11で算出した電解槽3の抵抗値と全電流値から電解槽3の電流値を算出する。
ステップS13において、発熱量算出部20は、ステップS12で算出した電解槽3の電流値をメモリ9に格納された発熱量モデルデータ11に基づいて電解槽3で発生する発熱量を算出する。
ステップS14において、電解槽温度算出部26は、ステップS13で算出した電解槽3で発生する発熱量、原料持ち込み熱量算出部27で算出された原料が持ち込む熱量、及び散逸熱量算出部21で算出された散逸熱量から電解槽3の温度を算出する。
ステップS15において、伝熱量算出部28は、ステップ14で算出した電解槽3の温度を一定に保つために熱交換される伝熱量を算出する。
ステップS16において、伝熱量算出部28は、伝熱量に基づいて算出した温度が所定の閾値以下に収束しているかどうかを判断する。この温度が所定の閾値以下に収束している場合はステップS17に進み、温度が所定の閾値以下に収束していない場合はステップS15に戻って熱交換される伝熱量算出のシミュレートを続ける。
ステップS17において、除熱後電解槽温度算出部29は、ステップS16で伝熱量算出部28が収束していると判断した温度結果に基づいて、除熱された後の電解槽3の温度を算出する。
以上により、電解槽3のある時点における温度をシミュレートする際の一連の処理を終了する。処理部8は、このステップS10〜ステップS17における一連のシミュレーション処理を実施することにより、実機の電解槽における温度変化を再現することが可能となり、電解槽温度が近い将来どのような温度となるかを予想することができる。また、処理部8は、ステップS10〜ステップS17における一連のシミュレーション処理を周期的に繰り返し実行することにより、電解槽温度の経時変化をシミュレートすることが可能となる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。なお本分野の研究常識に照らし、本発明が以下に示す実施例で用いる実験条件の末節に限定されないのは明らかである。
〔実施例〕
図1に示すような電気分解装置1において、互いに同一の規格で生産され、実用電解電圧が所定値であるイオン交換膜法電解槽を所定数準備し、これらを互いに電気的に並列に定電流直流電源装置に接続した。電解槽3に電解質溶液として塩化ナトリウム水溶液を充填し、定電流直流電源装置から出力電流が一定値となるように直流電流を通電した。
図1に示すような電気分解装置1において、互いに同一の規格で生産され、実用電解電圧が所定値であるイオン交換膜法電解槽を所定数準備し、これらを互いに電気的に並列に定電流直流電源装置に接続した。電解槽3に電解質溶液として塩化ナトリウム水溶液を充填し、定電流直流電源装置から出力電流が一定値となるように直流電流を通電した。
図11(A)は、電解槽3に通電される全定格電流値を100%から90%へ10%減少させた場合における全定格電流値の経時変化を実績値とシミュレーション演算結果とで比較したものである。また、図11(B)〜(D)は、図11(A)のように全定格電流値を10%減少させた場合において、電解槽3の温度変化を経時的に示したものであり、代表例として3槽の結果について示した。
図11B〜Dに示されるように、図11Aのような電流減少を行った場合に、実績値とシミュレーション結果との温度の経時変化の挙動はほぼ一致する結果となった。
以上説明したように、本実施の形態における電解シミュレーション装置6によれば、電解槽で電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する際に関与する動的挙動、特に温度変化について操業データを使用して表現するため、電解槽の運転状況を変化させた際の温度の過渡変化を正確にシミュレートすることができる。
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上述した実施の形態では、温度の経時変化をシミュレーションの対象としたが、生産量のように他のパラメータをシミュレーションの対象としても構わない。また、原料供給量や熱交換量についても初期温度と同様に入力部7で入力することにしても構わない。
1 電気分解装置、2 電源装置、3 電解槽、4 温度設定値出力装置、5 温度調整装置、6 電解シミュレーション装置、7 入力部、8 処理部、9 メモリ、10 抵抗値モデルデータ、11 発熱量モデルデータ、12 水素発生量モデルデータ、13 塩素発生量モデルデータ、14 苛性ソーダ発生量モデルデータ、15 シミュレーションプログラム、16 出力部、17 バス、18 抵抗値算出部、19 電流値算出部、20 発熱量算出部、21 散逸熱量算出部、22 水素発生量算出部、23 塩素発生量算出部、24 苛性ソーダ発生量算出部、25 淡塩水発生量算出部、26 電解槽温度算出部、27 原料持ち込み熱量算出部、28 伝熱量算出部、29 除熱後電解槽温度算出部
Claims (7)
- 出力電流が一定となるように出力電圧を変化させながら直流電流を出力する直流電源と、該直流電源に対して電気的に並列に接続された2基以上の電解槽と、各電解槽の温度を一定に保つための熱交換器と、上記各電解槽に電解質溶液を所定の温度で供給する供給手段とを備え、上記直流電源から上記各電解槽に直流電流を通電して、上記各電解槽に供給された電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する電解装置の電解槽の温度をシミュレートする電解シミュレーション装置において、
上記各電解槽における温度偏差に対する抵抗値を示す抵抗値モデルデータと、電流値に対する発熱量を示す発熱量モデルデータと、電流値に対する各電気分解生成物発生量を示す電気分解生成物発生量モデルデータを記憶する記憶手段と、
上記各電解槽の温度及び上記抵抗値モデルデータから上記各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出手段と、
上記各電解槽の抵抗値及び上記直流電源から出力される直流電流の電流値とから上記各電解槽の電流値を算出する電流値算出手段と、
上記各電解槽の電流値及び上記発熱量モデルデータから上記各電解槽の発熱量を算出する発熱量算出手段と、
上記各電解槽の電流値及び上記電気分解生成物発生量モデルデータから上記電気分解生成物発生量をそれぞれ算出する電気分解生成物発生量算出手段と、
上記電気分解生成物発生量及び上記電解質溶液の供給量に基づいて上記各電解槽の熱散逸量を算出する散逸熱量算出手段と、
上記供給手段により供給された電解質溶液の供給熱量、上記散逸熱量、及び上記発熱量に基づいて上記各電解槽の温度を算出する温度算出手段と、
上記熱交換器の熱交換量に基づいて、上記各電解槽の温度を補正する温度補正手段と
を備えることを特徴とする電解シミュレーション装置。 - 上記温度補正手段は、上記熱交換量の伝熱計算をして上記各電解槽温度から該伝熱計算の結果の差分をとることを特徴とする請求項1記載の電解シミュレーション装置。
- 上記各電解槽の初期温度、上記直流電源から出力される直流電源の電流値、上記供給手段から供給される電解質溶液の供給量、及び上記熱交換器の熱交換量のうち少なくとも1つのパラメータを入力する入力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の電解シミュレーション装置。
- 上記電解質溶液は塩化ナトリウムを含有し、上記電気分解生成物として水素、塩素、苛性ソーダ、及び淡塩水が発生することを特徴とする請求項1記載の電解シミュレーション装置。
- 上記各モデルデータは、一次相関式で表されることを特徴とする請求項1記載の電解シミュレーション装置。
- 出力電流が一定となるように出力電圧を変化させながら直流電流を出力する直流電源と、該直流電源に対して電気的に並列に接続された2基以上の電解槽と、各電解槽の温度を一定に保つための熱交換器と、上記各電解槽に電解質溶液を所定の温度で供給する供給手段とを備え、上記直流電源から上記各電解槽に直流電流を通電して、上記各電解槽に供給された電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する電解装置の電解槽の温度変化をシミュレートする電解シミュレーション方法において、
上記各電解槽における温度偏差に対する抵抗値を示す抵抗値モデルデータと、電流値に対する発熱量を示す発熱量モデルデータと、電流値に対する各電気分解生成物の発生量を示す電気分解生成物発生量モデルデータを記憶する記憶ステップと、
上記各電解槽の温度及び上記抵抗値モデルデータから上記各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出ステップと、
上記各電解槽の抵抗値及び上記直流電源から出力される直流電源の電流値とから上記各電解槽の電流値を算出する電流値算出ステップと、
上記各電解槽の電流値及び上記発熱量モデルデータから上記各電解槽の発熱量を算出する発熱量算出ステップと、
上記各電解槽の電流値及び上記電気分解生成物発生量モデルデータから上記電気分解生成物の発生量をそれぞれ算出する電気分解生成物発生量算出ステップと、
上記電気分解生成物発生量及び上記電解質溶液の供給量に基づいて上記各電解槽の散逸熱量を算出する散逸熱量算出ステップと、
上記供給手段により供給された電解質溶液の供給熱量、上記散逸熱量、及び上記発熱量に基づいて上記各電解槽の温度を算出する温度算出ステップと、
上記熱交換器の熱交換量に基づいて、上記各電解槽の温度を補正する温度補正ステップと
を有することを特徴とする電解シミュレーション方法。 - 出力電流が一定となるように出力電圧を変化させながら直流電流を出力する直流電源と、該直流電源に対して電気的に並列に接続された2基以上の電解槽と、各電解槽の温度を一定に保つための熱交換器と、上記各電解槽に電解質溶液を所定の温度で供給する供給手段とを備え、上記直流電源から上記各電解槽に直流電流を通電して、上記各電解槽に供給された電解質溶液を電気分解して電気分解生成物を製造する電解装置の電解槽の温度変化をシミュレートする電解シミュレーション処理をコンピュータシステムに実行させるプログラムにおいて、
上記各電解槽における温度偏差に対する抵抗値を示す抵抗値モデルデータと、電流値に対する発熱量を示す発熱量モデルデータと、電流値に対する各電気分解生成物の発生量を示す電気分解生成物発生量モデルデータを記憶する記憶ステップと、
上記各電解槽の温度及び上記抵抗値モデルデータから上記各電解槽の抵抗値を算出する抵抗値算出ステップと、
上記各電解槽の抵抗値及び上記直流電源から出力される直流電源の電流値とから上記各電解槽の電流値を算出する電流値算出ステップと、
上記各電解槽の電流値及び上記発熱量モデルデータから上記各電解槽の発熱量を算出する発熱量算出ステップと、
上記各電解槽の電流値及び上記電気分解生成物発生量モデルデータから上記電気分解生成物の発生量をそれぞれ算出する電気分解生成物発生量算出ステップと、
上記電気分解生成物発生量及び上記電解質溶液の供給量に基づいて上記各電解槽の散逸熱量を算出する散逸熱量算出ステップと、
上記供給手段により供給された電解質溶液の供給熱量、上記散逸熱量、及び上記発熱量に基づいて上記各電解槽の温度を算出する温度算出ステップと、
上記熱交換器の熱交換量に基づいて、上記各電解槽の温度を補正する温度補正ステップと
を有することを特徴とするプログラム。
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