本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、基地局装置と、少なくともひとつの端末装置によって構成される通信システムに関する。通信システムにおいて、各フレームは、複数のタイムスロットが時間分割多重されることによって形成され、各タイムスロットは、複数のサブチャネルが周波数分割多重されることによって形成されている。また、各サブチャネルは、マルチキャリア信号によって形成されている。ここで、マルチキャリア信号としてOFDM信号が使用されており、周波数分割多重としてOFDMAが使用されている。基地局装置は、各タイムスロットに含まれた複数のサブチャネルのそれぞれを端末装置に割り当てることによって、複数の端末装置との通信を実行する。
一方、周波数の有効利用を考慮して、周辺の基地局装置でも同一の周波数バンドが使用される。そのため、同一のタイムスロットの中において、本基地局装置に接続された端末装置と、別の基地局装置に接続された端末装置とが混在する可能性もある。本基地局装置にとって、別の基地局装置に接続された端末装置は制御の対象とならないので、当該端末装置から送信された上り回線の信号の強度が大きすぎたり、周波数オフセットが存在する可能性もある。これは、一般的に、本基地局装置に接続された端末装置から送信された上り回線の信号に対して干渉の影響を与える。その結果、本基地局装置の受信特性が悪化する。
なお、通信システムは、複数のフレームによってスーパーフレームを形成しており、スーパーフレームを単位にして、制御信号にサブチャネルを割り当てる(以下、制御信号を「制御チャネル」ともいう)。制御信号は、通信を確立および維持するために使用される信号であり、重要性が高いといえる。このような制御信号に対しても、前述と同様に、干渉の影響を低減する必要がある。これに対応するために、本実施例に係る基地局装置は、以下の処理を実行する。
基地局装置は、制御チャネルの割当を実行する前、スーパーフレームに含まれた各タイムスロットでの受信電力を測定する。受信電力が多い場合、当該タイムスロットに含まれたサブチャネルの多くは、他の基地局装置によって使用されているといえる。そのため、基地局装置は、受信電力の低いタイムスロットを特定し、特定したタイムスロットに含まれた複数のサブチャネルのいずれかを制御信号に割り当てる。
また、基地局装置は、制御信号の送信後、端末装置から通信開始の要求、つまりサブチャネルの割当要求を受信する。その際、基地局装置は、当該端末装置に対して、制御信号に割り当てたサブチャネルが含まれたタイムスロットのサブチャネルを割り当てる。各基地局装置が、異なったタイムスロットに制御信号を割り当てれば、制御信号間の干渉は小さくなる。また、制御信号を割り当てたタイムスロットに含まれたサブチャネルは、他の基地局装置に使用されにくくなる。その結果、制御信号を割り当てたタイムスロットに含まれたサブチャネルを優先的に使用することによって、当該タイムスロットの中に、別の基地局装置に接続された端末装置が割り当てられにくくなる。
端末装置に割り当てたサブチャネルを含んだタイムスロット内に、別の基地局装置に接続された端末装置が割り当てられている場合、別の基地局装置に接続された端末装置が移動することによって、干渉の影響が大きくなる可能性もある。その際、本基地局装置は、別の基地局装置に対して、端末装置に割り当てたサブチャネルの解放を要求する。また、当該端末装置が、本基地局装置にハンドオーバすると、本基地局装置は、当該端末装置を制御できる。
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、基地局装置10、端末装置12と総称される第1端末装置12a、第2端末装置12b、第3端末装置12cを含む。
基地局装置10は、一端に無線ネットワークを介して端末装置12を接続し、他端に図示しない有線ネットワークを接続する。また、端末装置12は、無線ネットワークを介して基地局装置10に接続する。基地局装置10は、複数の端末装置12に対して通信チャネルを割り当てることによって、複数の端末装置12との通信を実行する。具体的には、基地局装置10から送信される制御信号を端末装置12が受信することによって、端末装置12は、基地局装置10の存在を確認する。また、端末装置12が基地局装置10に対してチャネル割当の要求信号を送信し、基地局装置10は、受信した要求信号に応答して、端末装置12に通信チャネルを割り当てる。
また、基地局装置10は、端末装置12に割り当てた通信チャネルに関する情報を送信し、端末装置12は、割り当てられた通信チャネルを使用しながら、基地局装置10との通信を実行する。その結果、端末装置12から送信されたデータは、基地局装置10を介して、有線ネットワークに出力され、最終的に有線ネットワークに接続された図示しない通信装置に受信される。また、通信装置から端末装置12への方向にもデータは伝送される。以上の説明において、通信チャネルは、前述のサブチャネルとタイムスロットの組合せによって特定される。また、基地局装置10は、複数のタイムスロットと、複数のサブチャネルを有しているので、複数のタイムスロットによってTDMAを実行しつつ、複数のサブチャネルによってOFDMAを実行する。
図2(a)−(c)は、通信システム100におけるフレーム構成を示す。図の横方向が時間軸に相当する。フレームは、8つのタイムスロットによって形成されている。また、8つのタイムスロットは、4つの上りタイムスロットと4つの下りタイムスロットから構成されている。ここでは、4つの上りタイムスロットを「第1上りタイムスロット」から「第4上りタイムスロット」として示し、4つの下りタイムスロットを「第1下りタイムスロット」から「第4下りタイムスロット」として示す。また、図示したフレームは、連続して繰り返される。なお、フレームの構成は、図2(a)に限定されず、例えば、4つのタイムスロットや16個のタイムスロットによって構成されてもよいが、ここでは、説明を明瞭にするために、フレームの構成を図2(a)として説明する。
また、説明を簡潔にするために、上りのタイムスロットと下りのタイムスロットの構成は、同一であるとする。そのため、上りタイムスロットと下りタイムスロットのいずれかについてのみ説明を行う場合もあるが、他方のタイムスロットも同様の説明が有効である。さらに、図2(a)に示されたフレームが複数連続することによって、スーパーフレームが形成される。ここでは、一例として、「20」個のフレームによって、スーパーフレームが形成されているものとする。
図2(b)は、図2(a)のうちのひとつのタイムスロットの構成を示す。図の縦方向が周波数軸に相当する。図示のごとく、ひとつのタイムスロットは、「第1サブチャネル」から「第16サブチャネル」までの「16」個のサブチャネルによって形成される。また、これらの複数のサブチャネルは、周波数分割多重されている。各タイムスロットが図2(b)のように構成されているので、タイムスロットとサブチャネルとの組合せによって、前述の通信チャネルが特定される。また、図2(b)のうちのひとつのサブチャネルに対応したフレーム構成が図2(a)であるとしてもよい。なお、ひとつのタイムスロットに配置されるサブチャネルの数は、「16」個でなくてもよい。ここで、上りタイムスロットにおけるサブチャネルの割当と、下りタイムスロットにおけるサブチャネルの割当とは、同一であるものとする。また、スーパーフレームを単位にして、少なくともひとつの制御信号が割り当てられるものとする。例えば、スーパーフレームに含まれた複数の下りタイムスロットのうち、ひとつのタイムスロットのひとつのサブチャネルに制御信号が割り当てられる。また、上り回線も同様である。
図2(c)は、図2(b)のうちのひとつのサブチャネルの構成を示す。図2(a)や図2(b)と同様に、図の横方向が時間軸に相当し、図の縦方向が周波数軸に相当する。また、周波数軸に対して、「1」から「29」の番号を付与しているが、これらは、サブキャリアの番号を示す。このように、サブチャネルは、マルチキャリア信号によって構成されており、特にOFDM信号によって構成されている。図中の「TS」は、トレーニングシンボルに相当し、既知の値によって構成される。また、「TS」中に制御信号が含まれてもよいものとする。「GS」は、ガードシンボルに相当し、ここに実質的な信号は配置されない。「PS」は、パイロットシンボルに相当し、既知の値によって構成される。「DS」は、データシンボルに相当し、送信すべきデータである。「GT」は、ガードタイムに相当し、ここに実質的な信号は配置されない。
図3は、通信システム100におけるサブチャネルの配置を示す。図3では、横軸に周波数軸が示されており、図2(b)に示したタイムスロットに対するスペクトルが示される。ひとつのタイムスロットには、前述のごとく、第1サブチャネルから第16サブチャネルの16個のサブチャネルが周波数分割多重されている。各サブチャネルは、マルチキャリア信号、ここでは、OFDM信号によって構成されている。
図4は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、RF部20と総称される第1RF部20a、第2RF部20b、第NRF部20n、ベースバンド処理部22、変復調部24、IF部26、無線制御部28、記憶部30を含む。また、無線制御部28は、調査部32、特定部34、制御チャネル割当部36、無線リソース割当部38、測定部40、指示部42を含む。また、基地局装置10は、ネットワーク50に接続されている。
RF部20は、受信処理として、図示しない端末装置12から受信した無線周波数のマルチキャリア信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのマルチキャリア信号を生成する。ここで、マルチキャリア信号は、図3のごとく形成されており、また、図2(a)の上りタイムスロットに相当する。さらに、RF部20は、ベースバンドのマルチキャリア信号をベースバンド処理部22に出力する。一般的に、ベースバンドのマルチキャリア信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線によって伝送されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。また、RF部20には、AGCやA/D変換部も含まれる。
RF部20は、送信処理として、ベースバンド処理部22から入力したベースバンドのマルチキャリア信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のマルチキャリア信号を生成する。さらに、RF部20は、無線周波数のマルチキャリア信号を送信する。なお、RF部20は、受信したマルチキャリア信号と同一の無線周波数帯を使用しながら、マルチキャリア信号を送信する。つまり、図2(a)のごとく、TDD(Time Division Duplex)が使用されているものとする。また、RF部20には、PA(Power Amplifier)、D/A変換部も含まれる。
ベースバンド処理部22は、受信動作として、複数のRF部20のそれぞれからベースバンドのマルチキャリア信号を入力する。ベースバンドのマルチキャリア信号は、時間領域の信号であるので、ベースバンド処理部22は、FFTによって、時間領域の信号を周波数領域に変換し、周波数領域の信号に対してアダプティブアレイ信号処理を実行する。また、ベースバンド処理部22は、タイミング同期、つまりFFTのウインドウの設定を実行し、ガードインターバルの削除も実行する。タイミング同期等には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは、説明を省略する。ベースバンド処理部22は、アダプティブアレイ信号処理の結果を変復調部24へ出力する。ベースバンド処理部22は、送信動作として、変復調部24から、周波数領域のマルチキャリア信号を入力し、ウエイトベクトルによる分散処理を実行する。
ベースバンド処理部22は、送信動作として、変復調部24から入力した周波数領域のマルチキャリア信号に対して、IFFTによって、周波数領域の信号を時間領域に変換し、変換した時間領域の信号をRF部20へ出力する。また、ベースバンド処理部22は、ガードインターバルの付加も実行するが、ここでは説明を省略する。ここで、周波数領域の信号は、図2(b)のごとく、複数のサブチャネルを含み、さらにサブチャネルのそれぞれは、図2(c)の縦方向のごとく、複数のサブキャリアを含む。図を明瞭にするために、周波数領域の信号は、サブキャリア番号の順に並べられて、シリアル信号を形成しているものとする。
変復調部24は、受信処理として、ベースバンド処理部22からの周波数領域のマルチキャリア信号に対して、復調を実行する。周波数領域に変換したマルチキャリア信号は、図2(b)や(c)のごとく、複数のサブキャリアのそれぞれに対応した成分を有する。また、復調は、サブキャリア単位でなされる。変復調部24は、復調した信号をIF部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、変調を実行する。変復調部24は、変調した信号を周波数領域のマルチキャリア信号としてベースバンド処理部22に出力する。
IF部26は、受信処理として、変復調部24から復調結果を受けつけ、復調結果を端末装置12単位に分離する。復調結果は、図3のごとく、複数のサブチャネルによって構成されている。そのため、ひとつのサブチャネルがひとつの端末装置12に割り当てられている場合、復調結果には、複数の端末装置12からの信号が含まれている。IF部26は、このような復調結果を端末装置12単位に分離する。IF部26は、分離した復調結果をネットワーク50に出力する。その際、IF部26は、宛先を識別するための情報、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスにしたがって送信を実行する。
また、IF部26は、送信処理として、ネットワーク50から複数の端末装置12に対するデータを入力する。IF部26は、データをサブチャネルに割り当て、複数のサブチャネルからマルチキャリア信号を形成する。つまり、IF部26は、図3のごとく、複数のサブチャネルによって構成されるマルチキャリア信号を形成する。なお、データが割り当てられるべきサブチャネルは、図2(c)のごとく予め決められており、それに関する指示は、無線制御部28から受けつけるものとする。IF部26は、マルチキャリア信号を変復調部24に出力する。
無線制御部28は、基地局装置10に含まれた各構成要素の処理を制御する。ここでは、説明を明瞭にするために、無線制御部28による制御の内容を3つに分けて説明する。3つとは、(1)制御信号の割当、(2)サブチャネルの割当、(3)ハンドオーバ処理である。
(1)制御信号の割当
調査部32は、スーパーフレーム、つまり「20」個のフレームを単位にして、各フレームを形成した複数のタイムスロットのそれぞれの使用状況を調査する。つまり、調査部32は、「20」個のスーパーフレームに含まれた「80」個の下りタイムスロットの使用状況を調査する。なお、調査部32は、「20」個のスーパーフレームに含まれた「160」個の上りタイムスロットおよび下りタイムスロットの使用状況を調査してもよい。ここで、調査部32は、タイムスロットの使用状況の調査として、RF部20において受信した信号の受信電力であって、かつ複数のタイムスロットのそれぞれでの受信電力を測定する。
なお、RF部20は、複数備えられているので、調査部32は、複数のRF部20のそれぞれにおいて受信した信号の受信電力を測定した後に、測定結果を平均することによって、各タイムスロットに対する受信電力を導出する。また、平均に限らず、ひとつの受信電力の選択やその他の統計処理が実行されてもよい。調査部32は、調査結果を記憶部30に記憶する。調査部32における調査の前提として、無線制御部28は、予め他の基地局装置10から送信される制御信号を受信することによって、他の基地局装置10によって形成されているフレームに同期したフレームを形成する。このような同期処理は、公知の技術によって実現されればよいので、ここでは、説明を省略する。
図5は、記憶部30に記憶された受信電力の測定結果のデータ構造を示す。図示のごとく、スーパーフレームである「20」個のフレームのそれぞれに含まれた「4」個の上りタイムスロットの受信電力が記憶されている。なお、調査部32は、スーパーフレームに含まれた複数のタイムスロットのそれぞれに対する受信電力を複数回数測定し、各タイムスロットに対応した測定結果を平均することによって、当該タイムスロットに対応した受信電力を導出してもよい。前述のごとく、記憶部30には、下りタイムスロットに対する受信電力が記憶されてもよい。図4に戻る。
特定部34は、調査部32において調査した使用状況をもとに、使用状況の少ないタイムスロットを特定する。これは、記憶部30に記憶された受信電力を参照しながら、受信電力の低いタイムスロットを特定することに相当する。図3のごとく、各タイムスロットは、複数のサブチャネルによって形成されているので、受信電力の低いタイムスロットとは、他の基地局装置10(図示せず)によって使用されているサブチャネルの数が少ないタイムスロット、あるいは距離の離れた端末装置12(図示せず)に割り当てられたサブチャネルの含まれたタイムスロットに相当する。また、他の基地局装置10によって使用される通信チャネルの数の少ないタイムスロットといえる。本実施例においては、他の基地局装置10によってサブチャネルの割当がなされていないタイムスロットを特定することが望ましい。特定部34は、特定したタイムスロットに関する情報を制御チャネル割当部36に出力する。
制御チャネル割当部36は、制御チャネル割当部36において特定したタイムスロットであって、かつ「20」個のフレームの間隔にて出現すべきフレームに含まれたタイムスロットを形成した複数のサブチャネルのうちのいずれかを制御信号に割り当てる。つまり、制御チャネル割当部36は、スーパーフレームあたりにひとつの制御信号を配置する。ここで、制御チャネル割当部36は、第1サブチャネルのごとく、予め定められた固定のサブチャネルを選択する。前述のごとく、上り回線におけるサブチャネルの割当と下り回線におけるサブチャネルの割当とは、対称であるとされるので、上りタイムスロットおよび下りタイムスロットに対して、制御信号が割り当てられる。RF部20から変復調部24は、割り当てられた制御信号を送信する。
図6は、制御チャネル割当部36による制御信号の割当の概要を示す。図の横軸が時間に相当し、複数のフレームが示されている。なお、「DL」は、下りタイムスロットを示し、「UL」は、上りタイムスロットを示す。また、最下段に示された「1」、「2」等の数字は、タイムスロットの番号に相当する。図の縦軸が周波数に相当し、図2(b)における「16」個のサブチャネルのうち、「4」個のサブチャネルが示されている。ここで、最初のフレームの第2下りタイムスロットのうち、ひとつのサブチャネルに「#1C」が示されている。「#1C」とは、図示しない第1基地局装置10aでの制御信号に相当する。当該フレームから「20」フレーム後のフレームにおいて、第2下りタイムスロットのうちのひとつのサブチャネルに、「#1C」が再び割り当てられる。ここで、上りタイムスロットにおける制御信号については、図示を省略する。一方、ふたつ目のフレームの第4下りタイムスロットのうち、ひとつのサブチャネルに「#2C」が示されている。「#2C」とは、図示しない第2基地局装置10bでの制御信号に相当する。図4に戻る。
(2)サブチャネルの割当
サブチャネルの割当とは、制御信号の割当がなされた後の処理に相当する。前述のごとく、制御チャネル割当部36は、スーパーフレームあたりにひとつのフレームを特定し、さらに特定したフレームを形成した複数のタイムスロットのうちのいずれかを特定する。さらに、制御チャネル割当部36は、特定したタイムスロットを形成した複数のサブチャネルのうちのいずれかを制御信号に割り当てる。つまり、制御チャネル割当部36は、「20」個のフレームの間隔にて出現すべきフレームにおいて、フレーム中の相対的なタイミングが互いに同一のタイムスロットを特定した後に、特定したタイムスロットを形成した複数のサブチャネルのうちのいずれかを制御信号に割り当てる。ここで、フレーム中の相対的なタイミングが互いに同一のタイムスロットとは、同一のタイムスロット番号によって識別されるタイムスロットに相当する。
図示しない端末装置12は、基地局装置10からの制御信号を受信し、基地局装置10の存在を認識する。また、端末装置12は、基地局装置10との接続を希望する場合、基地局装置10に対して割当要求を送信する。その際、例えば、上りタイムスロットにおける制御チャネルが使用される。無線リソース割当部38は、RF部20等を介して、割当要求を受けつける。無線リソース割当部38は、制御チャネル割当部36において特定したタイムスロット、つまり制御信号を割り当てたタイムスロットのうち、制御信号を割り当てたサブチャネル以外のサブチャネルを端末装置12に優先的に割り当てる。
すなわち、制御信号を割り当てたタイムスロットに、空きのサブチャネルが存在すれば、無線リソース割当部38は、当該サブチャネルを端末装置12に割り当てる。前述のごとく、制御信号が割り当てられたタイムスロットは、スーパーフレームあたりにひとつだけ存在する。そのため、割り当てたサブチャネルだけでは、端末装置12の希望する伝送レートを満足できない可能性がある。これに対応するため、無線リソース割当部38は、次の処理をさらに実行する。
無線リソース割当部38は、「20」個のフレームの間隔よりも短いフレームの間隔にて出現すべきフレームにおいて、フレーム中の相対的なタイミングが、制御信号を割り当てたタイムスロットと同一のタイムスロットを特定する。例えば、「2」個、「4」個等のフレーム間隔において出現すべきフレームが特定される。また、図6においては、第2タイムスロットに制御信号が割り当てられているので、無線リソース割当部38は、特定したフレームのうち、第2タイムスロットを特定する。以下の説明を明瞭にするために、ここでは、上記のごとく特定したタイムスロット、および制御信号を割り当てたタイムスロットとを「管理スロット」と呼ぶ。最終的に、無線リソース割当部38は、管理スロットを形成した複数のサブチャネルのそれぞれを端末装置12に優先的に割り当てる。
制御チャネルは、各基地局装置10によって必ず割り当てられており、それらは、一般的に、基地局装置10間において衝突が起こらないように割り当てられる。このような状況にもとづき、ここでは、制御チャネルを基準にして、管理スロットを定義し、管理スロット内のサブチャネルの資源管理を行う。また、要求される伝送レートに応じてサブチャネルを割り当てる場合、制御チャネルが含まれたフレームから、所定数の間隔のフレームに含まれたタイムスロットが割り当て対象にされる。ここで、所定数の間隔は、スーパーフレームの間隔よりも短くなるように規定される。このようなタイムスロットも管理チャネルとされる。つまり、要求される伝送レートに応じて、割り当てるべきタイムロットの数に対して、数段階の割当方が規定される。そのため、割り当て方を変更する際に、再割り当てしなければならないサブチャネルが少なくてすむ。
図7は、無線リソース割当部38による割当の概要を示す。図7の横軸、縦軸、および最下段の数字、「#1C」、「#2C」の表示は、図6と同様であるので、ここでは、説明を省略する。制御信号が割り当てられたサブチャネルを含んだフレームに、管理スロット200、管理スロット202、管理スロット212、管理スロット214が設けられる。また、一例として、制御信号が割り当てられたサブチャネルを含んだフレームから「2」個のフレーム間隔に、管理スロット208、管理スロット210が設けられる。なお、いずれかの管理スロットも第2タイムスロットを使用する。無線リソース割当部38は、これらの管理スロットに含まれたサブチャネルを端末装置12に割り当てる。一方、各基地局装置10は、管理スロットを設ける。図7では、他の基地局装置10によって設けられた管理スロットを他スロット204、他スロット206、他スロット216、他スロット218と示す。図4に戻る。
無線リソース割当部38は、管理スロットを形成した複数のサブチャネルのいずれかに対して、他の基地局装置10による割当がなされていれば、管理タイムスロットと同一のフレーム内の別のタイムスロットを再度特定する。ここでの管理スロットとは、制御信号が割り当てられていない管理スロットに相当する。例えば、管理スロットが既に他の基地局装置10の管理下にある場合には、同一のフレーム内で、どの基地局装置10の管理下にもなっていないタイムスロットが特定される。また、特定されたタイムスロットが、当該フレーム内での管理スロットとされる。なお、無線リソース割当部38は、スーパーフレームを単位にして、管理スロットの設定を行う。そのため、所定のフレームにおいて管理スロットの移動を行った場合、次回以降のスーパーフレームにおいて、移動した管理スロットが含まれたフレームと相対的に同一のタイミングのフレームにて、無線リソース割当部38は、管理スロットを移動させる。
ひとつのタイムスロット内のサブチャネルが、ひとつの基地局装置10によって管理されることによって、送信電力制御が効果的に働くようになる。なお、管理スロットを移動させた場合、無線リソース割当部38は、制御信号、既に割り当てたサブチャネルにおいて、移動を端末装置12に通知する。また、このような通知を確認するため、タイムスロットの割当を検出した後、無線リソース割当部38は、スーパーフレームの期間経過後に、管理スロットの移動を実行すればよい。
その際、無線リソース割当部38は、管理タイムスロットと同一のフレーム内の別のタイムスロットのそれぞれに対して、割当状況を調査し、調査結果に応じてタイムスロットを再度特定する。なお、割当状況、つまり他の基地局装置10の管理下にあるタイムスロットであるかは、次のように識別される。無線リソース割当部38は、すべての上りタイムスロット、あるいは上りタイムスロットに含まれたすべてのサブチャネルを観測する。ここで、観測は、受信電力の測定によって実現される。また、無線リソース割当部38は、受信電力がしきい値を超えなかった場合に、当該タイムスロットあるいはサブチャネルが空いていると決定する。これは、レンジングマップを作成するため必須の機能、つまりTCHモニタとして備えられており、当該機能の利用に相当する。また、無線リソース割当部38は、すべてのサブチャネルが空きであると決定したスロットを、空き管理スロットと結論づける。一方、少なくともひとつのサブチャネルが使用されているタイムスロットは、他の基地局装置10によって既に管理されていると結論づけられる。
なお、フレーム内のすべてのタイムスロットが別の基地局装置10によって割り当てられている場合あるいは管理されている場合に、無線リソース割当部38は、下りタイムスロットにおける制御信号の受信電力を測定し、受信電力が最小となるタイムスロットを副管理スロットとし、その中のサブチャネルを割り当ててもよい。このようなタイムスロットは、本基地局装置10から比較的離れた距離に設置された別の基地局装置10の管理下にあるタイムスロットであるといえる。そのため、無線リソース割当部38によってサブチャネルを割り当てられた基地局装置10の上り信号が別の基地局装置10に影響は低減される。
図8は、無線リソース割当部38による割当の別の概要を示す。図8の横軸、縦軸、および最下段の数字、「#1C」、「#2C」の表示は、図6と同様であるので、ここでは、説明を省略する。また、図8では、図7と同様に、管理スロット240、管理スロット242が設定される。しかしながら、これらの管理スロットが配置されたフレームよりふたつ後段のフレームにおいて、他スロット248は、他の基地局装置10に既に使用されている。さらに、他スロット248につづく他スロット250も既に使用されている。そこで、無線リソース割当部38は、第1下りタイムスロットを管理スロット246として設定する。その際、無線リソース割当部38は、これまで割り当てていたサブチャネル、例えば、第3サブチャネルと同一のサブチャネルを端末装置12に割り当てる。また、無線リソース割当部38は、本フレームの上り回線に対しても下り回線と対称になるように、管理スロット252を設定する。
さらに後段のフレームにおいて、他スロット254から他スロット284が他の基地局装置10に既に使用されている。その際、無線リソース割当部38は、端末装置12に割り当てるべきタイムスロットを第1下りタイムスロットに移動させる。また、第1下りタイムスロットにおける第3サブチャネルも既に使用されていた場合、無線リソース割当部38は、第4サブチャネルを端末装置12に割り当てる。上り回線についても同様である。図4に戻る。
無線リソース割当部38は、管理スロットを設定した後、設定したタイムスロットと同一のフレーム内に、割当がなされていないタイムスロットが発生すれば、当該フレームにおいて、割当がなされていないタイムスロットを再度特定する。また、無線リソース割当部38は、再度特定したタイムスロットを管理スロットに設定する。つまり、移動させた管理スロットと同一フレーム内において、管理されていない空きタイムスロットが発生した場合に、無線リソース割当部38は、当該タイムスロットを管理スロットとして確保する。
(3)ハンドオーバ処理
無線リソース割当部38は、前述のごとく、タイムスロットを形成した複数のサブチャネルであって、かつ周波数多重がなされた複数のサブチャネルのうち、少なくともひとつを端末装置12に割り当てる。
測定部40は、端末装置12に割り当てたサブチャネル以外のサブチャネルに割り当てられた別の端末装置12であって、かつ図示しない他の基地局装置10によってサブチャネルが割り当てられた別の端末装置12からの信号の受信電力を測定する。つまり、測定部40は、RF部20において受信した信号、およびベースバンド処理部22から出力されるサブチャネル単位の信号をもとに、通信していない端末装置12から受信した信号の電力を測定する。なお、測定部40において受信した別の端末装置12からの信号には、信号の宛先となる他の基地局装置10に関する情報が含まれている。測定部40は、当該情報を指示部42へ出力する。
指示部42は、測定部40において測定した受信電力がしきい値よりも大きくなれば、別の端末装置12に割り当てられたサブチャネルの解放を指示する。指示の処理について、ここでは、さらに詳しく説明する。IF部26は、ネットワーク50を介して、図示しない他の基地局装置10と接続する。指示部42は、測定部40において測定した受信電力がしきい値よりも大きくなったと判定した後、測定部40において受信した信号に含まれた情報を参照することによって、他の基地局装置10を特定する。指示部42は、IF部26、ネットワーク50を介して、特定した他の基地局装置10へ、別の端末装置12を解放する旨の要求を出力する。なお、別の端末装置12の特定は、別の端末装置12に割り当てられたタイムスロット、サブチャネルを特定することによってなされる。
ネットワーク50を介して要求を受けつけた他の基地局装置10は、指示に含まれたタイムスロットおよびサブチャネルの情報をもとに、別の端末装置12を特定する。また、他の基地局装置10は、特定した別の端末装置12に割り当てたサブチャネルを解放する。なお、解放の処理は、公知の技術にて実現されればよいので、ここでは、説明を省略する。サブチャネルが解放された端末装置12は、新たな接続先である基地局装置10を検知し、検知した基地局装置10へハンドオーバを実行する。
つまり、指示部42は、他の基地局装置10の管理下にある端末装置12からの受信電力が大きくなった場合に、当該端末装置12を本基地局装置10にハンドオーバを実行させる。その結果、ひとつの基地局装置10が、ひとつのタイムスロット内のサブチャネルを管理することによって、送信電力制御が効果的に働く。
図9(a)−(c)は、指示部42における処理の概要を示す。図9(a)は、ハンドオーバ処理を説明するための通信システム100の構成例を示す。基地局装置10として、第1基地局装置10aと第2基地局装置10bとが設置されており、第1基地局装置10aが第1エリア70を形成し、第2基地局装置10bが第2エリア72を形成する。また、第2端末装置12bと第5端末装置12eも図示されており、初期の状態において、第2端末装置12bは、第2基地局装置10bに接続され、第5端末装置12eは、第1基地局装置10aに接続されているものとする。さらに、第2端末装置12bは、矢印の方向に、つまり第2基地局装置10bから第1基地局装置10aの方向に移動している。
図9(b)は、初期の状態におけるタイムスロット、サブチャネルの割当を示す。ここでは、上りタイムスロットを説明の対象にする。第2上りタイムスロットが図9(a)の第1基地局装置10aの管理スロットであるとする。また、管理スロットの第3サブチャネルに示された「2」は、図9(a)に示された第2端末装置12bに相当し、「5」は、図9(a)に示された第5端末装置12eに相当する。また、他のタイムスロットにおける「1」、「3」、「4」は、図9(a)に示されていない第1端末装置12a、第3端末装置12c、第4端末装置12dに相当するが、ここでは、これらに関する説明を省略する。図9(b)の状態において、第1基地局装置10aは、第5端末装置12eの送信電力を制御できるが、第2端末装置12bの送信電力を制御できない。そのため、第2端末装置12bから受信した信号が干渉となるおそれがある。
図9(c)は、図9(b)につづく状態でのタイムスロット、サブチャネルの割当を示す。これは、図9(a)において、第2端末装置12bが、第2基地局装置10bから第1基地局装置10aにハンドオーバした状態に相当する。図示のごとく、第1基地局装置10aは、第2端末装置12bに対して第2サブチャネルを割り当てる。また、第1基地局装置10aは、第2端末装置12bの送信電力も制御できる。
図10は、通信システム100における受信電力の概要を示す。ここで、説明を明確にするために、ハンドオーバ前に送信電力制御はなされていないものとする。図10は、図9(a)のごとく、第2端末装置12bが移動する場合を想定しており、その際の第1基地局装置10aと第2基地局装置10bでの受信電力を示す。横軸には時間が示されており、縦軸には受信電力が示される。また、受信電力に対応した信号の送信方向は、図の左側に示されており、例えば、「第2端末装置→第2基地局装置」は、第2端末装置12bから第2基地局装置10bへ送信される信号に相当する。第2端末装置12bは、第2基地局装置10bから第1基地局装置10aの方向に移動しているので、第2基地局装置10bにおける受信電力は、時間の経過とともに小さくなっていき、第1基地局装置10aにおける受信電力は、時間の経過とともに大きくなっていく。
一方、第5端末装置12eは、移動していないので、ほぼ一定の受信電力となる。なお、第1基地局装置10aにおける第2端末装置12bからの受信電力が大きくなると、第1基地局装置10aは、第2端末装置12bからの受信電力の増加に合わせて、第5端末装置12eの送信電力を上げることによってバランスを保とうとしてもよい。また、第1基地局装置10aにおける第2端末装置12bからの受信電力が大きくなると、前述のごとく、第1基地局装置10aは、第2基地局装置10bに対して、第2端末装置12bをハンドオーバさせるように要求する。第2端末装置12bが第1基地局装置10aにハンドオーバすることによって、第1基地局装置10aは、第2端末装置12bの送信電力を制御できる。そのため、太線で示したように、第1基地局装置10aにおける第2基地局装置10bからの受信電力は、一定の値に近づく。
図11は、通信システム100における受信電力の別の概要を示す。図11は、図10に対して、ハンドオーバ前の送信電力制御を考慮した場合に相当する。図11の点線が、送信電力制御を実行していない場合であり、図10と同様である。また、図11の実線が、送信電力制御を実行する場合である。第1基地局装置10aは、第2基地局装置10bに対して、ハンドオーバの実行を要求するので、第2基地局装置10bは、図示のごとく、第2端末装置12bからの受信電力がハンドオーバしきい値に達していなくても、ハンドオーバを実行させる。なお、ハンドオーバ先のタイムスロットは、それまで通信に使用しているタイムスロットと同一のタイムスロットを原則使用する。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図12は、基地局装置10における制御信号の割当手順を示すフローチャートである。調査部32は、スーパーフレームにわたって、タイムスロットでの受信電力を測定する(S10)。測定が終了しなければ(S12のN)、ステップ10に戻る。測定が終了すれば(S12のY)、特定部34は、受信電力の低いタイムスロットを選択する(S14)。制御チャネル割当部36は、選択したタイムスロットに制御信号を割り当てる(S16)。
図13は、基地局装置10における割当手順を示すフローチャートである。制御チャネル割当部36による制御信号の割当が終了していなければ(S30のN)、無線リソース割当部38は、待機する。一方、制御チャネル割当部36による制御信号の割当が終了していれば(S30のY)、無線リソース割当部38は、管理スロットを設定する(S32)。管理スロット内に他の基地局装置10によって割り当てられたサブチャネルが存在する場合(S34のY)、同一フレーム中に割り当てられていないタイムスロットが存在すれば(S38のY)、無線リソース割当部38は、当該タイムスロットを使用する(S40)。一方、同一フレーム中に割り当てられていないタイムスロットが存在しなければ(S38のN)、無線リソース割当部38は、受信電力の低いタイムスロットを使用する(S42)。
管理スロット内に他の基地局装置10によって割り当てられたサブチャネルが存在しない場合(S34のN)、空きサブチャネルがあれば(S36のY)、無線リソース割当部38は、空きサブチャネルを使用する(S44)。一方、空きサブチャネルがない場合(S36のN)、同一フレーム中に割り当てられていないタイムスロットが存在すれば(S38のY)、無線リソース割当部38は、当該タイムスロットを使用する(S40)。一方、同一フレーム中に割り当てられていないタイムスロットが存在しなければ(S38のN)、無線リソース割当部38は、受信電力の低いタイムスロットを使用する(S42)。
図14は、基地局装置10におけるタイムスロットの移動手順を示すフローチャートである。タイムスロット内に他の基地局装置10によって割り当てられたサブチャネルが存在し(S60のY)、同一フレーム内に使用されていないタイムスロットが存在する場合(S62のY)、無線リソース割当部38は、当該タイムスロットへの管理スロットを移動させる(S64)。タイムスロット内に他の基地局装置10によって割り当てられたサブチャネルが存在しない場合(S60のN)、あるいは同一フレーム内に使用されていないタイムスロットが存在しない場合(S62のN)、処理は終了される。
図15は、通信システム100におけるハンドオーバ手順を示すシーケンス図である。第2端末装置12bと第2基地局装置10bとは、通信を実行する(S80)。また、第2端末装置12bから第2基地局装置10bへ送信された信号が第1基地局装置10aに到達することによって、第2端末装置12bは、第1基地局装置10aに干渉を及ぼす(S82)。第1基地局装置10aは、干渉電力が増大すると(S84)。第2端末装置12bの解放を指示する(S86)。指示は、第1基地局装置10aから第2基地局装置10bに伝えられる(S88)。第2基地局装置10bは、指示を受けつけると(S90)、第2端末装置12bを解放する(S92)。第2端末装置12bは、第1基地局装置10aに対してハンドオーバを要求する(S94)。第2端末装置12bと第1基地局装置10aとは、通信を実行する(S96)。
本発明の実施例によれば、他の基地局装置によって使用されていないタイムスロットを特定し、特定したタイムスロットに含まれたサブチャネルを制御信号に割り当てるので、制御していない端末装置からの信号による受信特性の悪化を抑制できる。また、受信電力の低いタイムスロットを特定するので、他の基地局装置によって使用されていないタイムスロットを特定できる。
制御信号に割り当てたサブチャネルが含まれたタイムスロットを管理スロットとし、管理スロットのサブチャネルを端末装置に優先的に割り当てるので、管理スロット内に、他の基地局装置と通信している端末装置を含まれにくくできる。また、他の基地局装置と通信している端末装置を含まれにくくするので、制御していない端末装置からの信号による受信特性の悪化を抑制できる。また、制御信号を割り当てていないタイムスロットも管理スロットとし、このような管理スロット内のサブチャネルを端末装置に割り当てるので、当該端末装置に対する伝送レートを向上できる。
また、管理スロットにおいて、他の基地局装置による割当がなされていれば、管理スロットと同一のフレーム内の別のタイムスロットを管理スロットに再度特定するので、制御していない端末装置からの信号による受信特性の悪化を抑制できる。また、受信電力に応じて管理スロットを再度特定するので、制御していない端末装置からの信号による受信特性の悪化を抑制できる。また、割当がなされていないタイムスロットが発生したときに、当該タイムスロットを管理スロットに再度特定するので、制御していない端末装置からの信号による受信特性の悪化を抑制できる。
また、端末装置を割り当てたタイムスロット内に、他の基地局装置によって割り当てられた別の端末装置が存在し、別の端末装置からの信号の受信電力が大きくなれば、別の端末装置に割り当てられたサブチャネルの解放を指示するので、制御していない端末装置からの信号による受信特性の悪化を抑制できる。また、ネットワークを介して他の基地局装置へ解放の要求を出力するので、サブチャネルの解放を確実に指示できる。また、別の端末装置を本基地局装置へハンドオーバさせることを要求するので、制御していない端末装置からの信号による受信特性の悪化を抑制できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例において、無線リソース割当部38は、割当状況、つまり他の基地局装置10の管理下にあるタイムスロットであるかを特定するために、上りタイムスロットの受信電力を測定する。しかしながらこれに限らず例えば、無線リソース割当部38は、IF部26を介して、他の基地局装置10との間で管理スロットの情報を定期的に交換してもよい。本変形例によれば、他の基地局装置10の管理下にあるタイムスロットであるかを確実に特定できる。
本実施例において、指示部42は、IF部26を介して、他の基地局装置10に対して、別の端末装置12を解放する旨の要求を出力する。しかしながらこれに限らず例えば、指示部42は、別の端末装置12を解放する旨の要求に加えて、別の端末装置12を本基地局装置10へハンドオーバさせる旨の要求も出力してもよい。他の基地局装置10は、要求に応じて、端末装置12にハンドオーバ先を指定しながら、別の端末装置12との接続を切断する。本変形例によれば、ハンドオーバを確実に実行できる。
本実施例において、調査部32は、受信した信号の受信電力を測定し、特定部34は、使用状況の少ないタイムスロットとして、受信電力の低いタイムスロットを特定している。しかしながらこれに限らず例えば、調査部32は、受信した信号に対する受信電力対干渉電力比を測定してもよい。また、調査部32は、受信電力対干渉電力比に限られず、受信した信号に含まれた有効な信号成分の量を測定してもよい。なお、これらの測定には、公知の技術が使用されればよい。さらに、特定部34は、使用状況の少ないタイムスロットとして、受信電力対干渉電力比の低いタイムスロットを特定する。本変形例によれば、受信電力がほぼ等しい場合であっても、受信電力対干渉電力比の低いタイムスロットを選択でき、他の基地局装置10の管理下にあるタイムスロットであるかを特定できる。
なお、本発明の実施例は、以下の項目によって特定されてもよい。
(項目1−1)
タイムスロットを形成した複数のサブチャネルであって、かつ周波数多重がなされた複数のサブチャネルのうち、少なくともひとつを端末装置に割り当てる割当部と、
前記割当部が端末装置に割り当てたサブチャネル以外のサブチャネルに割り当てられた別の端末装置であって、かつ他の基地局装置によってサブチャネルが割り当てられた別の端末装置からの信号の受信電力を測定する測定部と、
前記測定部において測定した受信電力が大きくなれば、別の端末装置に割り当てられたサブチャネルの解放を指示する指示部と、
を備えることを特徴とする基地局装置。
(項目1−2)
有線ネットワークを介して他の基地局装置と接続する接続部をさらに備え、
前記測定部において受信した別の端末装置からの信号には、信号の宛先となる他の基地局装置に関する情報が含まれており、
前記指示部は、前記測定部において受信した信号に含まれた情報をもとに、他の基地局装置を特定し、前記接続部を介して他の基地局装置へ、別の端末装置を解放する旨の要求を出力することを特徴とする(項目1−1)に記載の基地局装置。
(項目1−3)
前記指示部は、別の端末装置を解放する旨の要求に加えて、別の端末装置を本基地局装置へハンドオーバさせる旨の要求も出力することを特徴とする(項目1−2)に記載の基地局装置。
(項目1−4)
タイムスロットを形成した複数のサブチャネルであって、かつ周波数多重がなされた複数のサブチャネルのうち、少なくともひとつを端末装置に割り当てるステップと、
端末装置に割り当てられたサブチャネル以外のサブチャネルに割り当てられた別の端末装置であって、かつ他の基地局装置によってサブチャネルが割り当てられた別の端末装置からの信号の受信電力を測定するステップと、
測定した受信電力が大きくなれば、別の端末装置に割り当てられたサブチャネルの解放を指示するステップと、
を備えることを特徴とする割当方法。
(項目1−5)
タイムスロットを形成した複数のサブチャネルであって、かつ周波数多重がなされた複数のサブチャネルのうち、少なくともひとつを端末装置に割り当てるステップと、
端末装置に割り当てられたサブチャネル以外のサブチャネルに割り当てられた別の端末装置であって、かつ他の基地局装置によってサブチャネルが割り当てられた別の端末装置からの信号の受信電力を測定するステップと、
測定した受信電力が大きくなれば、別の端末装置に割り当てられたサブチャネルの解放を指示するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
(項目2−1)
複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットを形成しながら、複数のタイムスロットの時間多重によって形成されたフレームが規定されており、複数のフレームを単位にして、各フレームを形成した複数のタイムスロットのそれぞれの使用状況を調査する調査部と、
前記調査部において調査した使用状況をもとに、使用状況の少ないタイムスロットを特定する特定部と、
前記特定部において特定したタイムスロットであって、かつ複数のフレームの間隔にて出現すべきフレームに含まれたタイムスロットを形成した複数のサブチャネルのうちのいずれかを制御信号に割り当てる割当部と、
を備えることを特徴とする基地局装置。
(項目2−2)
前記調査部は、タイムスロットの使用状況の調査として、複数のタイムスロットのそれぞれでの受信電力を測定し、
前記特定部は、使用状況の少ないタイムスロットとして、前記調査部での測定結果をもとに、受信電力の低いタイムスロットを特定することを特徴とする(項目2−1)に記載の基地局装置。
(項目2−3)
複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットを形成しながら、複数のタイムスロットの時間多重によって形成されたフレームが規定されており、複数のフレームを単位にして、各フレームを形成した複数のタイムスロットのそれぞれの使用状況を調査するステップと、
調査した使用状況をもとに、使用状況の少ないタイムスロットを特定するステップと、
特定したタイムスロットであって、かつ複数のフレームの間隔にて出現すべきフレームに含まれたタイムスロットを形成した複数のサブチャネルのうちのいずれかを制御信号に割り当てるステップと、
を備えることを特徴とする割当方法。
(項目2−4)
複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットを形成しながら、複数のタイムスロットの時間多重によって形成されたフレームが規定されており、複数のフレームを単位にして、各フレームを形成した複数のタイムスロットのそれぞれの使用状況を調査するステップと、
調査した使用状況をもとに、使用状況の少ないタイムスロットを特定するステップと、
特定したタイムスロットであって、かつ複数のフレームの間隔にて出現すべきフレームに含まれたタイムスロットを形成した複数のサブチャネルのうちのいずれかを制御信号に割り当てるステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
10 基地局装置、 12 端末装置、 20 RF部、 22 ベースバンド処理部、 24 変復調部、 26 IF部、 28 無線制御部、 30 記憶部、 32 調査部、 34 特定部、 36 制御チャネル割当部、 38 無線リソース割当部、 40 測定部、 42 指示部、 50 ネットワーク、 100 通信システム。