[実施の形態1]
本発明のリフロー装置の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るリフロー装置1の全体的な構成を説明するための正面図であり、図2は、図1に示すリフロー装置1の要部を説明するための要部模式図である。さらに、図3は、図2における矢印Xの方向から環状搬送体7をみた図であり、図4および図5は突起部に設けられる耐熱性部材を説明するための図(図3におけるP部分を拡大した図)である。さらに、図6は、予備加熱部4aの要部を拡大した断面図である。
本発明のリフロー装置1は、プリント配線板である基板と電子部品とを半田付けするために使用され、図2に示すように、半田付けの対象である基板100を加熱する炉2と、この炉2内に基板100を搬送する搬送コンベア3(図2参照)と、を備えている。図2に示すように、搬送コンベア3は、複数のローラ6に巻き掛けられて周回移動する環状搬送体7を有する。環状搬送体7は、炉2に設けられた搬入口から搬出口にわたって基板100を水平状態で搬送するように、搬入口から搬出口にわたって水平状態になっている。
環状搬送体7は、図3に示すように、並行して走る2本のチェーン(図3におけるチェーン7aおよび7b)で構成されている。そして、2本のチェーン7aおよび7bの内側には、それぞれ突起部7a1および7b1が設けられており、その先端部分に耐熱性部材であるブッシュ16aおよび16bが設けられている。
また、図4に示すように、チェーン7aのリンク部分には、内側に向かって突起部7a1が設けられている。この突起部7a1はチェーン7aと同じ材質で構成されておりかつチェーン7aと一体的に構成されている。さらに、図5に示すように、当該突起部7a1の先端部には、ブッシュ16aが嵌まり込むように溝7a2が設けられている。そして、ブッシュ16aは、径の小さい先端部16a1と、径の大きいフランジ部16a2とを有する。
上記突起部7a1は、チェーン7aおよび7bと同じ材料で構成されているのが、チェーン7aと一体的に製造することができ好ましい。また、上記突起部7a1の形状および寸法などは、並行する2本のチェーン7aおよび7bの間隔に鑑みて、搬送される基板100が落ちないように適宜調整されている。図4における突起部7a1は棒状(軸状)であるが、例えば三角形や矩形の板状の突起部であってもよい。
また、ブッシュ16aは、軸状の突起部7a1の棒状部分を覆うように嵌め込まれる形状を有するが、上記突起部7a1のうちの少なくとも基板100と接する部分に設けられていればよい。すなわちブッシュ16aは、上記突起部7a1の形状に対応して種々の形状をとり得る。例えば上記突起部7a1を覆うように嵌め込まれる筒状であってもよい。また、例えば板状の突起部の場合には、膜状や板状であってもよい。
ブッシュ16aは、耐熱性を有する材料で構成されていればよく、突起部7a1を覆って基板100を乗せて搬送することができかつ基板100との摩擦抵抗が低い材料で構成されているのが好ましい。例えばポリテトラフルロエチレン等のフッ素樹脂(例えばテフロン(登録商標))等の材料で構成されているのが好ましい。また、耐熱性を向上させるために、フッ素樹脂と石英ガラスまたはカーボンなどのフィラーとを含むフッ素樹脂組成物などの材料で構成されていてもよい。
また、ブッシュ16aの全体が上記材料で構成されていても、ブッシュ16aのうちの少なくとも基板100と接する部分が上記材料で構成されていてもよい。したがって、ブッシュ16aは、基板100との摩擦抵抗が高い材料で構成されていてもよく、この場合には、少なくとも基板100と接する部分を上記のような材料でコーティングすればよい。
このような構成において、基板100は、突起部7a1および7b1の先端部分に設けられたブッシュ16aおよび16bのうちの、先端部16a1上に乗せられてかつフランジ部16a2で位置決めされた状態で搬送される。チェーン7b側についても同様である。したがって、基板100の幅Ws、2本のチェーン7aおよび7bの間隔Wc、突起部7a1および7b1の長さ、ブッシュ16aおよび16bの寸法および形状は、基板100を確実に乗せて搬送することができるように適宜選択すればよい。
チェーン7aおよび7bは、上述のように、例えば複数のローラ6に巻き掛けられて周回移動するものであり、炉2に設けられた搬入口から搬出口にわたって基板100を水平状態で搬送することができるように設置されている。複数のローラ6のうちの一つは、例えばサーボモータ11(図2参照)によって動力が伝達されるように接続されており、このサーボモータ11によって、そのローラ6が回転駆動される。これにより、チェーン7aおよび7bが、全てのローラ6の周囲を周回移動する。
サーボモータ11は、制御手段である制御装置15によって制御されるように構成されており、制御装置15によるサーボモータ11の制御によって、チェーン7aおよび7bによる基板100の搬送速度、チェーン7aおよび7bの搬送の停止および再開、ならびに搬送速度の増減などが制御される。また、チェーン7aおよび7bの搬送の制御のためにブレーキモータ(図示せず。)が設けられていてもよい。
炉2内には、搬送コンベア3の基板100搬送域の上方に加熱ユニット4が備えられている。加熱ユニット4には、基板100の搬送方向の上流側において、炉2内に搬送された基板100を、半田の融点に満たない所定の温度に予備加熱する7つの予備加熱部4aが設けられており、また、7つの予備加熱部4aに対して基板100の搬送方向の下流側には、基板100を半田の融点以上の温度まで加熱する2つの本加熱部4bが設けられている。各予備加熱部4aおよび各本加熱部4bは、それぞれ等しい間隔をあけて配置されている。
また、加熱ユニット4の本加熱部4bに対して、搬送コンベアの3搬送方向の下流側に隣接して、基板100を冷却する冷却部5が配置されている。冷却部5は、冷却ファン(図示せず。)によって発生する冷却風によって、基板100上の電子部品を冷却するように構成されている。
図1においては、加熱ユニット4には、7つの予備加熱部4aと、1つの本加熱部4bとが配置されており、加熱ユニット4に隣接して1つの冷却部5が配置されているが、炉2内に配置される予備加熱部4a、本加熱部4b、冷却部5の個数は、基板100のサイズ、基板100上に搭載される部品のサイズや数、半田の量や性状等に応じて、適宜選択することができる。なお、各予備加熱部4aおよび各本加熱部4bの温度等は、制御装置15によって制御されるようになっている。
ここで、これら予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5の内部構造について、図6に示す予備加熱部4aに代表させて説明する。図6の(a)に示すように、予備加熱部4aにおいては、矢印Yの方向に移動する環状搬送体7の上に基板100が乗せられて搬送されている。予備加熱部4aのうちの基板100の搬送領域の上方には、基板100の温度分布を均一化させるための温度均一化手段であるハニカム体12が設けられており、ハニカム体12の上方には、攪拌モーター13に接続されたファン14が設けられている。また、ハニカム体12とファン14との間にはヒータ18が設けられている。ハニカム体12と、ヒータ18と、ファン14と、攪拌モーター13と、によって熱風供給装置が構成されている。
このような構成により、搬送する基板100に対して熱風が供給されて、基板100を加熱するような構成を有している。ただし、冷却部5においては、ヒータが設けられておらず、ハニカム体と、ファンと、によって冷風供給装置が構成されており、これらにより、搬送する基板100に対して冷風が供給されて、基板100を冷却するような構成を有している。
上記熱風供給装置のうちのハニカム体12は、搬送される基板100の温度分布を均一化する温度均一化手段としての役割を果たす。より具体的には、ハニカム体12は、所定の厚みを有する板状体に複数の貫通した筒状中空(ノズル)部分12a1が整列して設けられた単一の部材で構成されており、熱風を整流して基板100に供給する役割を果たす。このような構成により、より確実に均一に基板100を加熱することができる。
また、予備加熱部4aには、搬送される基板100の位置を検出する予備加熱部用検出センサ15a3と、予備加熱部用検出センサ15a3の検出結果に基づいて基板100に当接し、周回するチェーン7aおよび7bに搭載されたブッシュ(図3における16aおよび16b)上で基板100を摺動させ、基板100の搬送を所定の位置で停止させる平板状の予備加熱部用ストッパ15a2が設けられている。
予備加熱部用ストッパ15a2は、予備加熱部用エアシリンダ15a1よって垂直状態で昇降するように構成されている。予備加熱部用検出センサ15a3は、赤外線などを使用した光学的方法によって、基板100が、予備加熱部4a(ならびに本加熱部4bおよび冷却部5)内のチェーン7aおよび7bの搬送領域における所定位置を通過することを検知する。そして、予備加熱部用検出センサ15a3が基板100の通過を検知すると、上昇・下降手段である予備加熱部用エアシリンダ15a1が作動して予備加熱部用ストッパ15a2が上昇する。なお、予備加熱部用エアシリンダ15a1は、予備加熱部用検出センサ15a3の検出結果に基づいて、制御装置15(図1参照)によって制御される構成となっている。
基板100を検出する検出手段としては、上記のような光学式の予備加熱部用検出センサ15a3に限らず、基板100を検知することができればどのような構成であってもよい。例えば、基板100が通過するときの荷重の変動を検知するなどの重力式の検知方法によるセンサを使用することもできる。
そして、図6の(b)に示すように、予備加熱部4aにおいて、予備加熱部用ストッパ15a2が上昇することによって、チェーン7aおよび7b上に乗せられて搬送されてきた基板100に当接し、基板100は一定の位置に滞留して加熱される。すなわち、予備加熱部用検出センサ15a3の検出結果に基づき、予備加熱部用エアシリンダ15a1により予備加熱部用ストッパ15a2が上昇し、チェーン7aおよび7b上に乗せられて搬送されてきた基板100に当接する。そうすると、基板100はブッシュ16aおよび16bと摺動しながら予備加熱部用ストッパ15a2の位置で実質的に停止する。すなわち、搬送しているチェーン7aにおいては基板100はブッシュ16aおよび16b上を滑らないが、予備加熱部用ストッパ15a2が当接するとブッシュ16aおよび16b上を滑って一定の位置に停止する。
このように、ブッシュ16aおよび16bによって基板100はある程度固定されて搬送され、また、予備加熱部用ストッパ15a2が基板100に当接した際には、摩擦抵抗の低いブッシュ16aおよび16bと基板100とが互いに効果的に摺動するため、基板100がチェーン7aおよび7bから脱落するのをより確実に防止することができる。
なお、図6では予備加熱部4aに代表させて説明をしているが、本加熱部4bおよび冷却部5における本加熱部用検出センサ、冷却部用検出センサ、本加熱部用エアシリンダ、冷却部用エアシリンダ、本加熱部用ストッパおよび冷却部用ストッパについても同様の機構で動作する。
次に、図1に示すように、炉2の搬入口と予備加熱部4aとの間には、基板100が予備加熱部への搬送を制御する平板状の炉外ストッパ8が設けられている。この炉外ストッパ8は、炉外エアシリンダ9によって垂直状態で昇降するようになっている。また、この炉外ストッパ8が設置された位置に対して、搬送コンベア3の搬送方向の上流側に隣接する位置には、搬送コンベア3上の基板100を検出する基板検出手段としての炉外検出センサ10が設けられる。
この炉外検出センサ10は、赤外線等を使用した光学的方法によって、基板100が搬送コンベア3の搬送域における所定位置を通過することを検知する。そして、この炉外検出センサ10が基板100の通過を検知すると、炉外エアシリンダ9が作動してストッパ8が下降される。なお、炉外エアシリンダ9は、炉外検出センサ10の検出結果に基づいて、制御装置15によって制御されるようになっている。
炉外ストッパ8が下降されると、搬送コンベア3が周回移動しているにもかかわらず、基板100が予備加熱部4aに搬送されることが停止される。そして、炉外ストッパ8が上昇すると、基板100は搬送コンベア3の環状搬送体7の移動に伴って、最初の予備加熱部4aに搬送される。
なお、基板100を検出する基板検出手段としては、上記のような光学式の炉外検出センサ10に限らず、基板100を検知することができればどのような構成であってもよい。例えば、基板100が通過するときの荷重の変動を検知する等の重力式の検知方法によるセンサ使用することができる。
図1に示すように、炉2の外部には、各予備加熱部4aおよび本加熱部4bにおける加熱温度、搬送コンベア3環状搬送体7の停止時間等の条件を制御装置15に設定する際に操作される操作部17が設けられている。この操作部17の下部には、サーボモータ11による搬送コンベア3の駆動を制御するスイッチ、本加熱部4b等の炉2内の各構成要素の駆動を制御するためのスイッチ等が配置された操作パネルが設けられている。また、この操作部17の上部には、操作画面19が備えられており、作業者は、この操作画面19を見ながら、下部の操作パネルのスイッチ等を操作することにより、リフロー装置1を容易に操作することができる。
ここで、上述のような本発明の実施の形態1に係るリフロー装置を用いた基板の加熱方法について、図7の基板の加熱方法を示す処理フローに基づいて説明する。
まず、ステップ1において、炉2の搬入口から電子部品が搭載された基板100が搬送コンベア3の環状搬送体7上に投入されて、サーボモータ11による環状搬送体7の移動によって、環状搬送体7上の基板100は炉2内に搬入される。そして、炉2の搬入口と予備加熱部4aとの間に設けられた炉外検出センサ10によって、基板100が確認されると(ステップ2)、エアシリンダ9によって、ストッパ8が下降する(ステップ3)。これにより、環状搬送体7によって搬送される基板100は、下降したストッパ8に当接して、環状搬送体7が移動しているにもかかわらず、基板100の搬送が停止される。
このように、炉外検出センサ10によって基板100が確認されて、炉外ストッパ8によって基板100の搬送が停止された後に、所定のタイミングで炉外エアシリンダ9によって炉外ストッパ8が上昇されることにより、基板100は、順次所定のタイミングで予備加熱部4aに搬送されていく。
その後、先頭の基板100が最初の予備加熱部4aに到達すると、予備加熱部4aに設けられた予備加熱部用検出センサ15a3(図6参照)によって基板100が確認され、エアシリンダ15a1によって予備加熱部用ストッパ15a2が上昇する。これにより、環状搬送体7によって搬送される基板100は、上昇した予備加熱部用ストッパ15a2に当接して、環状搬送体7が連続して移動しているにもかかわらず、基板100の搬送が停止される。
このとき、基板100は環状搬送体7に設けられたブッシュ16aおよび16b(図3参照)と摺動しながら一定の位置に滞留しており、ここで、基板100は予め設定された所定時間にわたって予備加熱される。そして、予備加熱部4aにおいて先頭の基板100が、予め設定された所定時間にわたって予備加熱されると(ステップ7)、予備加熱用ストッパ15a2が下降して、先頭の基板100は、環状搬送体7によって次の予備加熱部4aに搬送される(ステップ8)。
このように、先頭の基板100が予備加熱されている間に、次の基板100が環状搬送体7上に投入されて(ステップ1)、先頭の基板100の予備加熱が終了すると、環状搬送体7によって搬送されている基板100が炉外検出センサ11によって検出されて(ステップ2)、炉外ストッパ8によって基板100の移動が停止される(ステップ3)。そして、環状搬送体7によって先頭の基板100が搬送される所定のタイミングにて炉外ストッパ8が上昇し(ステップ4)、次の基板100が、先行する基板100とは所定の間隔、具体的には、隣接する予備加熱部4aまたは本加熱部4bの間隔に等しい間隔で、最初の予備加熱部4aに搬送される。
先頭の基板100と、次の基板100とが、それぞれ予備加熱部4aにおける所定の予備加熱部4aに到達すると、予備加熱用ストッパ15a2が上昇し、各予備加熱部4aにおける所定の加熱位置にそれぞれ停止する。そして、各予備加熱部4aにおいて、各基板100が同時に予備加熱される。
以後、同様の動作が繰り返されることによって、先頭の基板100は、全ての予備加熱部4aによって加熱される。そして、全ての予備加熱部4aによる予備加熱が終了すると、連続して移動している環状搬送体7によって本加熱部4bに搬送され(ステップ9)、先頭の基板100が本加熱部4bにおける所定位置に搬送されると、本加熱部用ストッパ(図示せず。)が上昇して、基板100は本加熱部4bにおける所定の加熱位置とされる(ステップ11)。その後、予め設定された所定時間にわたって基板100が本加熱される(ステップ12)。
先頭の基板100に続いて搬送される各基板100は、それぞれ予備加熱部4aに搬送されて、それぞれの予備加熱部4aにて設定された所定時間にわたる予備加熱が実施されることになる。所定時間にわたる基板100の本加熱および他の各基板100の予備加熱がそれぞれ終了すると、予備加熱用ストッパ15a2および本加熱部用ストッパ(図示せず。)が下降して、先頭の基板100は、冷却部5に搬送されて、冷却部5を通過する間に冷却された後に、炉2の搬出口から搬出される(ステップ13)。これにより、先頭の基板100に対する電子部品の半田付け処理が終了する。
このとき、予備加熱部4aにおける予備加熱部用ストッパ15a2と、本加熱部4bにおける本加熱部用ストッパ(図示せず。)と、冷却部5における冷却部用ストッパ(図示せず。)とは、互いに同じタイミングで(同期して)昇降するように制御される。これにより、予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5のうちの滞留時間が最も長い領域を決定することにより生産速度を決定することができる。
すなわち、例えば予備加熱部4aの通過時間(加熱時間)を、本加熱部4bおよび冷却部5の通過時間よりも長く設定することによって、生産速度(タクトタイム)を決定することができる。逆に言えば、予備加熱部4aの予備加熱温度および通過時間によって、本加熱部4bの本加熱時間および通過時間ならびに冷却部5の冷却温度および通過時間を決定することができる。
なお、予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5の搬送方向における長さは略同一であり、予備加熱部4aの通過時間を決定することにより、当該通過時間を基準となって本加熱部4bおよび冷却部5の通過時間を決定することができる。また、予備加熱部4aの予備加熱温度および通過時間を生産速度(タクトタイム)とすることができるため、複数個の予備加熱部4aを設けられていると生産速度を上げることができる。
このように、本発明のリフロー装置を用いた処理方法では、搬入口から炉内に投入された基板100は、搬送コンベア3の環状搬送体7による搬送を停止させることなく、各予備加熱部4aおよび本加熱部4bに、順次搬送されるとともに、各予備加熱部4aおよび本加熱部4bにおいてそれぞれ予め設定された加熱温度および加熱時間にて加熱される。各予備加熱部4aおよび本加熱部4bにおいてそれぞれ予め設定された温度および加熱時間は、処理される基板毎に導出されたリフロー温度プロファイルに基づいて設定される。
図8は、このような構成の本発明のリフロー装置1を用いた場合における基板100における各部分の温度変動を示すグラフである。ここでは、搬送される基板100の搬送方向の前方(搬送方向下流側部分)の左右および後方(搬送方向上流側部分)の左右、および中央部分の温度の変動を測定している。図8のグラフに示すように、本発明のリフロー装置1では、搬送中の基板100の各部において、均一な温度分布になっており、安定して加熱されていることが明らかである。
なお、上記リフロー装置1においては、炉2内に搬入された基板100上に搭載された各種部品に起因して生じる温度分布を均一化する温度均一化手段として、ハニカム体12を用いた場合について説明したが、他の温度均一化手段を用いてもよい。図9は、炉2内に搬入された基板100の温度分布を均一化する温度均一化手段である熱風温度可変板20を示す斜視図である。熱風温度可変板20は、例えば、各予備加熱部4aおよび本加熱部4bにそれぞれ設けられている。
各熱風温度可変板20には、基板100に搭載された各電子部品101の位置に対応して、各電子部品101のサイズに応じた開口部21が設けられている。このように、この熱風温度可変板20には、電子部品101の位置およびサイズに応じて設けられた開口部21が形成されていることにより、図9に矢印22で示すように、炉2内の各予備加熱部4aおよび本加熱部4bにおいて、基板100に与えられる熱風量が、基板100の部品設置位置に応じて調整されることになる。これにより、熱負荷が異なる電子部品101が搭載されていることによって、基板100に温度差が生じることを低減することができる。
なお、図9に示す熱風温度可変板20は、基板100上に搭載される電子部品101の数量、サイズ、種類が複数ある場合に対応して、開口部21の位置、サイズ等が異なる複数の熱風温度可変板20が準備され、基板100に搭載される電子部品101の種類等に対応した熱風温度可変板20に変更することも可能である。
また、基板100内の温度を均一化する均一化手段である熱風温度可変板20は、上記のように単独で用いる場合の他、炉2内の熱風の整流性を増すハニカム機構と組み合わせて使用するようにすれば、基板100の温度をより均一にすることが可能になる。例えば、図10は、予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5として用いられるユニットであり、熱風温度可変板20と、ハニカム機構である筒状ノズル44とを組み合わせた構成の加熱ユニットを示す概略図である。
この加熱ユニットは、上述の予備加熱部、本加熱部および冷却部のいずれにも用いることができるものであり、下面が開放された筐体41の上方に所定風量の風を生じさせるファン42が設けられている。ファン42から生じた風は、図中の矢印に示す方向に流れて、筐体41下面から下方に向けられる。筐体41の下面近傍には、ファン42から送られる空気を加熱して熱風にする板状のヒータ43が水平状態で設けられている。このヒータ43は、筐体41の下面のほぼ全体を覆う大きさとされる。
ヒータ43の下方の筐体41の開放された下面には、前述した熱風温度可変板20が設けられている。この熱風温度可変板20は、前述したように、所定の位置に開口部21が設けられており、開口部21から下方に熱風を吐出する構成を有している。筐体41に設けられた熱風温度可変板20の下方には、ノズル体44が設けられている。このノズル体44は、複数の均一な径を有する筒状体が筐体41の下面の全体にわたって垂直状態で整列されることによって構成されている。
ファン42によって発生した風は、筐体41の壁面によって下方に案内されて、ヒータ43を上方から下方に通過する。この通過の際に、ファン42によって上方から送られた空気が加熱されて、熱風として下方に供給される。ヒータ43を通過した熱風は、熱風温度可変板20において、熱風温度可変板20の開口部21から下方に向けて吐出される。熱風温度可変板20を通過した熱風は、ノズル体44の各筒状体を通過して、基板100上に搭載された電子部品101に供給される。
図11は、図10で示した熱風温度可変板20とノズル体44との組み合わせをさらに説明するための図であり、図11の(a)は、図10の熱風温度可変板20とノズル体44との組み合わせを上から見た平面図であり、図11の(b)は、図11の(a)を理解し易くするために、電子部品101が搭載された基板100の上から見た平面図である。
図11の(a)において、熱風温度可変板20の開口部21は、基板100上に搭載された電子部品101に対応して、電子部品101よりも一回り大きく構成されている。筐体41の下面には、ノズル体44が設けられており、熱風温度可変板20の開口部21に対応するノズル体44の筒状体は、図11の(a)において破線の円で示されている。図11の(a)に示すように、ノズル体44と熱風温度可変板20とを組み合わせることによって、より効率的に、基板100上の電子部品101に熱風を送ることができる。
なお、ノズル体44における各筒状体に開閉機構を設けて、基板100に搭載される電子部品101の位置、種類等をCCDカメラにて撮像して、その撮像画像に基づいて電子部品101の位置、種類等を認識し、認識された情報に基づいて、ノズル体44の開閉機構を調整することにより、電子部品101に供給される風量を調整するようにしてもよい。このような、電子部品101の認識、および、認識された情報に基づくノズル体44の各筒状体の開閉機構による風量調節により、基板サイズ、部品位置、部品数の変更等で搬送される基板100の構成が変更される場合にも、容易に対応することが可能になる。
次に、実際のリフロー処理時に使用されるリフロー温度プロファイルの導出方法の一例について、図12の処理フローを参照して説明する。新規にリフロー温度プロファイルを導出するために、まず、ステップ1において、導出しようとするリフロー温度プロファイルの条件を操作部の操作画面を操作することによって入力する。操作画面に入力される温度プロファイルの条件は、例えば予備加熱温度範囲(150〜180℃)、予備加熱時間(120±10秒)、本加熱温度範囲(220℃)、本加熱時間範囲(60±5秒)、本加熱部ピーク温度範囲(250±2℃)、本加熱部昇温速度範囲(1〜3℃/秒)、基板情報(基板サイズ、基板厚さ、基板種類等)とする。
温度プロファイルの条件の入力が完了すると、受信演算装置52は、入力された条件に基づいて、各予備加熱部4a、本加熱部4bでの基板100の停止時間、炉内の各部の温度および搬送コンベアの搬送速度の最適値が自動的に導出される。導出された最適値は、リフロー装置の制御装置15に設定される(ステップ2)。条件設定の完了後、炉2内に基板100を搬入するとともに、基板100の電子部品(例えば、半導体部品)101の表面温度(端子部温度)を測定するために、例えば図13に示す温度測定ユニット54のである熱電対54が基板100の電子部品101に接触された状態とされて、温度測定ユニット54が炉2内に搬入される。
基板100は、上述したように、各予備加熱部4aおよび各本加熱部4bに順次搬送され、温度測定ユニット54も基板100に追従して、各予備加熱部4aおよび各本加熱部4bに順次搬送される。そして、この搬送の間に、熱電対53によって、炉2内の各予備加熱部4aおよび各本加熱部4bでの基板100の温度が測定される。熱電対53によって測定された基板100の温度測定データは、温度測定ユニット54に設けられた温度測定記録装置によって記録される。基板100および温度測定ユニット54が冷却部5に到達して、基板100が予め設定された温度にまで冷却されると、測定温度データが温度測定ユニット54のワイヤレス発振部55によって受信演算装置(図示せず。)に送信される(ステップ5)。
温度測定ユニット54からの測定温度データを受信した受信演算装置は、予め設定されているリフロー温度プロファイル(設定条件は、上述の通り)の設定条件と測定結果とを比較する。比較の結果、測定結果が許容範囲を超えている場合には、炉内の各部の停止時間および各部の設定温度を目的の温度プロファイルの条件に合うように、過去の測定データ(同種基板、同一基板サイズのデータ等)に基づいて、自動的に演算する。そして、その演算結果に基づいて、設定されていた停止時間、炉内温度を自動で変更する。その間、温度測定ユニット54と熱電対53を介してつながっている基板100は、例えば搬送コンベア3の環状搬送体7を逆方向に搬送することにより炉の搬入口に戻される。
搬入口に戻された基板100および温度測定ユニット54は、冷却された後に、変更された新たな条件に基づいて、再度、炉2内の各予備加熱部4aおよび各本加熱部4bに順次搬送され、その際の測定温度データが受信演算装置にワイヤレス伝送される。この際の操作は、上記と同一であるので、その説明は省略する。そして、その測定温度データに基づいて、受信演算装置は、再度、目的とするリフロー温度プロファイルが導出されているかを確認する。
通常、上記導出作業を2回行えば、目的とする温度プロファイルは導出される。ただし、さらなる正確性が要求される場合には、2回以上の導出作業が行われる場合がある。その場合の繰り返し作業の回数は、操作部の操作画面にて設定される。導出されたリフロー装置の設定条件(停止時間、炉2内温度、搬送コンベア3の搬送速度等)は、受信演算装置に登録され、登録された設定条件は、次のリフロー温度プロファイルの設定の際の参考データとして利用される。
なお、この登録時には、各予備加熱部4aおよび各本加熱部4bでの停止時間、加熱温度、搬送コンベア3の搬送速度以外に、条件名、基板情報(基板厚さ、基板の種類、基板のサイズ)、導出日時、目的とするリフロー温度プロファイル条件(予備加熱温度範囲、予備加熱時間範囲、本加熱温度範囲、本加熱部時間範囲、本加熱部ピーク温度範囲、本加熱部昇温速度範囲)も登録できるようになっている。そして、登録された条件に基づいて、リフロー処理時およびリフロー条件の導出時には、目的とするリフロー温度プロファイルに基づいて装置設定条件を呼び出し、その設定条件の内容を確認し設定を変更する。これにより、早期にリフロー処理が行える。導出された設定条件はリフロー装置の操作画面を通じて操作部に登録できるため、設定条件をノート等に記入する必要がない。
以上のように、本実施の形態に係るリフロー装置1によれば、搬送コンベアの環状搬送体7(チェーン7aおよび7b)を停止させる必要がない。特に、(予備加熱部4aでの加熱時間)≧(本加熱部4bでの加熱時間)≧(冷却部5での冷却時間)の場合に有効である。また、(予備加熱部4aでの加熱時間)≧(本加熱部4bでの加熱時間)≧(冷却部5での冷却時間)以外の場合は、少なくとも各加熱時間および冷却時間のうちの最大時間だけ、炉外ストッパ8を下降させておき、次の基板100を待機させればよい。
上記のような本実施の形態によれば、基板を予備加熱部、本加熱部および冷却部に移動させて停止させてから加熱することになり、連続運転と同じ温度プロファイルを得ながら搬送方向に対する移動熱温度差を低減させることができるため、基板の温度分布を一定にして良好な半田付けを行うことができる。また、搬送手段(チェーン)を作動させたまま、摩擦抵抗の低い耐熱性部材(ブッシュ)と基板とを互いに摺動させながら当該基板の搬送の供給・停止をさせることができることから、搬送手段の作動のオン/オフによる電力損失を抑制することができ、かつ基板が搬送手段から落ちたり損傷したりすることを確実に防止することができる。
[実施の形態2]
本発明のリフロー装置の別の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1のものと同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。実施の形態2のリフロー装置は、図1に示した実施の形態1のリフロー装置1における炉の構成を異なる構成に代えたものであり、炉の構成以外の構成は実施の形態1のリフロー装置1と同様である。以下、実施の形態2に係るリフロー装置に備えられる炉(本発明の炉の実施の形態2)について説明する。図14は、本実施の形態に係るリフロー装置101の一部を断面にした正面図である。
本実施の形態のリフロー装置101は、図14に示すように、予備加熱部4aと、本加熱部4bと、冷却部5と、を含む炉2を有する。そして、炉2の内部には、基板100を搬送する環状搬送体である並行して走る2本のチェーンからなる環状搬送体7を含む搬送コンベアが備えられており、搬送される基板100の搬送方向の上流側から下流側(搬入口2dから搬出口2e)にかけて、順に予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5が配置されている。これら予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5の内部には、基板100の搬送領域の上方に、それぞれハニカム体12a、12bおよび12cが設けられている。
ハニカム体12a、12bおよび12cの上方には、それぞれ攪拌モーター13a、13bおよび13cに接続されたファン14a、14bおよび14cが設けられており、ハニカム体12aおよび12bとファン14aおよび14bとの間には、それぞれヒータ18aおよび18bが設けられている。それぞれハニカム体12aおよび12bと、ヒータ18aおよび18bと、ファン14aおよび14bと、攪拌モーター13aおよび13bと、によって熱風供給装置が構成されており、これらにより、搬送する基板100に対して熱風が供給されて、基板100を加熱する。また、ハニカム体12cと、ファン14cと、攪拌モーター13cと、によって冷風供給装置が構成されており、これらにより、搬送する基板100に対して冷風が供給されて、基板100を冷却する。
上記熱風供給装置のうちのハニカム体12a、12bおよび12cは、搬送される基板100の温度分布を均一化する温度均一化手段としての役割を果たす。より具体的には、ハニカム体12a、12bおよび12cは、所定の厚みを有する板状体に複数の貫通した筒状中空部分12a1、12b1および12c1が整列して設けられた構成を有しており、熱風を整流して基板100に供給する役割を果たす。
また、リフロー装置101の炉2の予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5には、それぞれ搬送される基板100の位置を検出する予備加熱部用検出センサ15a1、本加熱部用検出センサ15b1および冷却部用検出センサ15c1と、これら予備加熱部用検出センサ15a1、本加熱部用検出センサ15b1および冷却部用検出センサ15c1の検出結果に基づいて、基板100に当接し、周回する環状搬送体7のうちの耐熱性部材であるブッシュ(図3における16aおよび16b)上で基板100を摺動させ、基板100の搬送を所定の位置で停止させる平板状の炉内ストッパである予備加熱部用ストッパ15a2、本加熱部用ストッパ15b2および冷却部用ストッパ15c2と、が設けられている。
予備加熱部用ストッパ15a2、本加熱部用ストッパ15b2および冷却部用ストッパ15c2は、それぞれ予備加熱部用エアシリンダ15a3、本加熱部用エアシリンダ15b3および冷却部用エアシリンダ15c3によって垂直状態で昇降するように構成されている。予備加熱部用検出センサ15a1、本加熱部用検出センサ15b1および冷却部用検出センサ15c1は、赤外線などを使用した光学的方法によって、基板100が、予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5内の環状搬送体7の搬送領域における所定位置を通過することを検知する。
予備加熱部用検出センサ15a1、本加熱部用検出センサ15b1および冷却部用検出センサ15c1が基板100の通過を検知すると、上昇・下降手段である予備加熱部用エアシリンダ15a3、本加熱部用エアシリンダ15b3および冷却部用エアシリンダ15c3が作動して予備加熱部用ストッパ15a2、本加熱部用ストッパ15b2および冷却部用ストッパ15c2が上昇する。なお、上記エアシリンダ15a3、15b3および15c3は、上記検出センサ15a1、15b1および15c1の検出結果に基づいて、制御装置15(図2参照)によって制御される構成となっている。
基板100を検出する検出手段としては、上記のような光学式の検出センサに限らず、基板100を検知することができればどのような構成であってもよい。例えば、基板100が通過するときの荷重の変動を検知するなどの重力式の検知方法によるセンサを使用することもできる。
本実施の形態のリフロー装置101は、上記実施の形態1に係るリフロー装置1と同様の機構で作動するため、詳細は省略するが、炉2の搬入口2dと予備加熱部4aとの間に設けられた炉外検出センサ10によって、基板100が確認されると(ステップ2)、エアシリンダ9によって、炉外ストッパ8が下降する(ステップ3)。これにより、連続して作動している環状搬送体73によって搬送される基板100は、下降した炉外ストッパ8に当接して、環状搬送体7が移動しているにもかかわらずブッシュ16aおよび16b(図3参照)と摺動して、一定の位置で滞留して加熱される。
予備加熱部4aにおける炉内ストッパ15a2と、本加熱部4bにおける炉内ストッパ15b2と、冷却部5における炉内ストッパ15c2とは、互いに同じタイミングで(同期して)昇降するように制御すればよい。これにより、予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5のうちの滞留時間が最も長い領域を決定することにより生産速度を決定することができる。
すなわち、例えば予備加熱部4aの通過時間(加熱時間)を、本加熱部4bおよび冷却部5の通過時間よりも長く設定することによって、生産速度(タクトタイム)を決定することができる。逆に言えば、予備加熱部4aの予備加熱温度および通過時間によって、本加熱部4bの本加熱時間および通過時間ならびに冷却部5の冷却温度および通過時間を決定することができる。
なお、予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5の搬送方向における長さは略同一であり、予備加熱部4aの通過時間を決定することにより、当該通過時間を基準となって本加熱部4bおよび冷却部5の通過時間を決定することができる。また、予備加熱部4aの予備加熱温度および通過時間を生産速度(律速)とすることができるため、複数個の予備加熱部4aを設けられていると生産速度を上げることができる。
上記のような構成を有する本実施の形態のリフロー装置101を用いた基板搭載冶具100の加熱方法は、上記実施の形態1と同様である。まず、ステップ1において、炉2の搬入口2dから基板100が搬送コンベアの環状搬送体7上に投入されて、サーボモータが駆動されることによる環状搬送体7の移動によって、基板100が炉2内に搬入される。
このように、炉外検出センサ12によって基板100が確認されて、炉外ストッパ8によって基板100の搬送が停止された後に、所定のタイミングでエアシリンダ9によって炉外ストッパ8が上昇されることにより、基板100は、所定のタイミングで予備加熱部4aに搬送される。予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5の動作は実施の形態1と同じである。
予備加熱部4b、本加熱部4aおよび冷却部5において、例えば以下のような停止時間を設定することにより、予備加熱部4bおよび本加熱部4aでの予備加熱および本加熱を実施することができる。
予備加熱部 本加熱部 予備加熱部
90〜120秒 30秒 30秒
90〜120秒 40秒 40秒
このような本実施の形態のリフロー装置101では、搬送コンベア3のチェーン7aよび7bを停止させる必要がない。特に、(予備加熱部4aでの加熱時間)≧(本加熱部4bでの加熱時間)≧(冷却部5での冷却時間)の場合に有効である。また、(予備加熱部4aでの加熱時間)≧(本加熱部4bでの加熱時間)≧(冷却部5での冷却時間)以外の場合は、少なくとも各加熱時間および冷却時間のうちの最大時間だけ、炉外ストッパ8を下降させておき、次の基板100を待機させればよい。
上記のような本実施の形態によれば、基板100を予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5に移動させて停止させてから加熱することになり、連続運転と同じ温度プロファイルを得ながら搬送方向に対する移動熱温度差を低減させることができるため、基板100の温度分布を一定にして良好な半田付けを行うことができる。また、予備加熱部4a、本加熱部4bおよび冷却部5をそれぞれ少なくとも1つずつ設ければよいため、特に生産量が少ない場合や生産間隔が不規則な場合に充分に対応することができ、小型化および効率化、設備コスト低減ならびに省エネを実現することができる。
さらに、搬送手段(チェーン7aおよび7b)を作動させたまま、摩擦抵抗の低い耐熱性部材(ブッシュ)と基板とを互いに摺動させながら当該基板100の搬送の供給・停止をさせることができることから、搬送手段の作動のオン/オフによる電力損失を抑制することができ、かつ基板が搬送手段から落ちたり損傷したりすることを確実に防止することができる。
すなわち、停止加熱方式により「予備加熱(予熱)」、「本加熱(リフロー)」および「冷却」の3ゾーンのみで構成することができ、生産速度(タクトタイム)を早くしたい場合には、「予備加熱」を追加すればよく、実施の形態1のように従来の移動加熱方式のように多ゾーン化(9ゾーン〜10ゾーン等)にする必要がなく、コストの削減と設備の場所を少なくして効率化を図れる。また、熱源としての多量の電気とN2(窒素)ガスとを使用するリフロー装置の、電気およびN2ガスの消費量を削減することができ、ランニングコストを大幅に削減できる。また、リフロー装置を小型化することができ、微細化する搭載部品やパターンに対して酸化防止と微細ゴミの除去を目的にしたクリーンルームへの設置などに対して有利差が倍化する。
以上、本発明のリフロー装置の代表的な実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく種々の設計変更が可能である。例えば、上記実施の形態においては、それぞれ予備加熱部内および本加熱部内において搬送される基板の位置を検出する予備加熱部用検出センサおよび本加熱部用検出センサと、予備加熱部用検出センサおよび本加熱部用検出センサの検出結果に基づいて、予備加熱部内および本加熱部内において基板に当接し、周回する環状搬送体の耐熱性樹脂部材上で基板を摺動させ、基板を予備加熱部内および本加熱部内に滞留させる予備加熱部用ストッパおよび本加熱部用ストッパと、を有するリフロー装置について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれ予備加熱部内および本加熱部内において搬送される基板の位置を検出する予備加熱部用検出センサおよび本加熱部用検出センサを有し、制御手段が、予備加熱部用検出センサおよび本加熱部用検出センサの検出結果に基づいて、予め設定された予備加熱部および本加熱部それぞれの加熱時間に基づいて、基板が予備加熱部内および本加熱部内に滞留するように、搬送手段による基板の搬送速度を制御(増減または停止)するリフロー装置であってもよい。この場合、例えばブレーキモータを用いてもよい。
このような場合、炉内ストッパ等を炉内に設ける必要がなく炉の小型化に寄与することができる。基板を加熱ゾーンのセンターに止めるために採用したストッパ機構を除いて搬送コンベアの停止時にブレーキモータを使用することで基板のすべりによる位置ズレを防ぐことができる。
また、上記実施の形態においては、予備加熱部、本加熱部および冷却部が基板の搬送方向においてこの順に炉内に設けられており、搬入口、予備加熱部、本加熱部、冷却部および搬出口の順に基板が搬送されるいわゆるインライン型のリフロー装置について説明したが、本発明は例えば図15に示すようなセルライン型のリフロー装置にも適用することができる。
ここで、図15は、実施の形態2に係るインライン型のリフロー装置の変形例であるセルライン型のリフロー装置の一部を断面にした正面図である。この変形例に係るリフロー装置301は、炉2の開口部2dが搬入口および搬出口として機能し、開口部2d側から冷却部5、本加熱部4bおよび予備加熱部4aの順に配置されている。制御装置15(図2参照)によって、環状搬送体7が矢印Pの方向に移動し、これにより基板100が開口部2dからまず冷却部5に供給される。その後、本加熱部4bを経て予備加熱部4aに到達する。ここで、その後、環状搬送体7が逆方向、すなわち矢印Qで示される方向に移動し、予備加熱された基板100は、本加熱部4bに戻って本加熱され、ついで冷却部5で冷却されて開口部2dから搬出される。
このような変形例においては、搬送コンベア3のローラ6が炉2内に配置されており、環状搬送体7が往復できるような搬送コンベア3が用いられる。当該変形例においては、環状搬送体7の上部部分7cおよび下部部分7dのいずれもが炉2内に位置するようにローラ6を炉2内に設けたが、例えばローラ6を炉2外に設けて、下部部分7dが炉2外に位置しても構わない。
図15に示すリフロー装置301を用いて基板100を加熱する場合には、それぞれ冷却部5、予備加熱部4bおよび本加熱部4aにおいて搬送される基板100の位置を検出する冷却部用検出センサ、予備加熱部用検出センサおよび本加熱部用検出センサ(図示せず。)を設け、制御装置15(図2参照)によって、前記予備加熱部用検出センサおよび前記本加熱部用検出センサの検出結果に基づいて、予め設定された予備加熱部4bおよび本加熱部4aそれぞれの加熱時間に基づいて、基板100が予備加熱部4bおよび本加熱部4aに滞留するように、基板100の搬送方向および搬送速度ならびに停止および作動を制御すればよい。
冷却部5、予備加熱部4bおよび本加熱部4aにおいて、例えば以下のような停止時間を設定することにより、予備加熱部4bおよび本加熱部4aでの予備加熱および本加熱を実施することができる。
冷却部 本加熱部 予備加熱部
(1) 基板投入時 0秒 20秒 90秒
(2a)リフロー時 30秒 30秒 90秒
(2b)リフロー時 30秒 40秒 110秒
また、例えば特開2005−116575号公報に開示されている種々の装置構成を本発明のリフロー装置に適用することが可能である。例えば、上記実施の形態においては、突起部および耐熱性部材の一実施の形態について図示しながら説明したが、これらのみに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限りにおいて種々の設計変更が可能である。また、例えば薄板基板の加熱時に発生する基板の軟化による「基板の反り」を防止するために、基板を冶具に搭載したままリフローすることも可能である。
さらに、本発明によれば、温度分布可変機構の採用による加熱時の温度差の形成が可能であり、加熱部でのはんだ付け状態を観察し撮影機能による撮影や外観検査などが可能である。また、従来の移動加熱方式では不可能であった「予備加熱」、「本加熱」および「冷却」の比率を自由に変更することが可能である。したがって、幅広い範囲で温度プロファイルを設定することができ、種々の対応が可能である。