JP2008226467A - 燃料電池締結構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、燃料電池を構成する部材の寸法変化を吸収し燃料電池全体に対し適切な締め付け力を長期間付与する燃料電池締結構造を提供する。
【解決手段】燃料電池セルが積層されたセルスタックの積層方向の両端面でセルスタックを挟み込む一組のエンドプレート(10a,10b)と、セルスタックを両側から締め付けるよう
に一組のエンドプレートを締結するテンションプレートと、を備え、上記テンションプレートは、一方のエンドプレート(10a)に固定された第一テンションプレート(20a,20c)と他方のエンドプレート(10b)に固定された第二テンションプレート(20b,20d)とを有し、上記第一テンションプレートと第二テンションプレートとが荷重吸収部材(30a,30b)を通じて
締結されている燃料電池締結構造。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の締付構造に関する。
燃料電池には、固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)のように、電解質膜を燃料ガス電極(アノード)と酸化剤ガス電極(カソード)とで挟み更にそれら電極の両側をガス供給路の設けられたセパレータで挟むように形成されるセルが所定数積層され、そのセル積層方向両端にインシュレータを配置して構成されるセルスタック、及びそのセルスタックを両側のエンドプレートで挟み固定することにより構成されるものがある。このような燃料電池では、各セル内の接触抵抗を減らすためにセルスタック全体を各セルの電極面に均一に圧力が掛かるように外側から締め付ける必要がある。これには、例えば、セルスタックの両端に配置されたエンドプレートの外側からセル積層方向に延びるテンションプレートをナット等にて締め付ける構造が用いられる。
燃料電池の各セルでは、アノードに接合されるセパレータのガス供給路に燃料ガスが供給され、カソードに接合されるセパレータのガス供給路に酸化剤ガスが供給される。燃料電池は、このように供給される燃料ガスと酸化剤ガスとを固体高分子電解質膜を介して反応させることにより発電を行う。また、この発電には発熱も伴うため、燃料電池スタック内部には冷却媒体を循環させる流路等が設けられる。
更に、各セルのカソードの触媒層では化学反応により水が生成される。PEFCでは、固体高分子電解質膜が乾燥すると電解質膜自体の劣化や出力電力の低下を引き起こすため、上記生成水を利用したり外部加湿モジュールを設けたりすることにより燃料電池スタック内部を湿潤に保つように制御される。
このような燃料電池の運転に伴う事象により、各セルを構成する部材が変形しセルスタック全体の寸法が変化するという問題がある。この要因としては、発電時の発熱による温度上昇で各セルの構成部材が熱膨張すること、温度低下で各セルの構成部材が熱収縮すること、電解質膜に含まれる水分量が増え膨張すること、電解質膜に含まれる水分量が減り収縮すること等が考えられる。更に、これら燃料電池の運転状態による要因の他、上述のような締め付け構造を持つことから各セルを構成する部材としての電解質膜、拡散層がクリープすることも変形の要因として考えられる。
このような問題点を解決する手法として、以下のような手法が実現若しくは提案されている。
第一の従来手法としては、燃料電池スタックのエンドプレートの内側にエンドプレート間の締結力を調整する弾性体を設ける燃料電池がある。この従来手法によれば、上記いずれの要因に伴う寸法変化にでも対応することができる。
第二の従来手法として、各セルを構成する部材を柔らかい素材で形成した燃料電池がある。この従来手法では、部材の熱膨張及び熱収縮による寸法変化、及び500時間程度のクリープ量に対応できるような素材選定等が行われている。
第三の従来手法として、図5に示すような構造(スルーボルト方式)を持つ燃料電池がある。図5は、スルーボルト方式の燃料電池の構造を示す側面断面図である。この燃料電池スタック100では、単セル110が複数積層された積層体の積層方向(図5の横方向
)にインシュレータ105a及び105b、エンドプレート107a及び107bがそれぞれ配置され、エンドプレート107a及び107bが、締め付けボルト101a、ナット110a及び110bの組と締め付けボルト101b、ナット101c及び101dの組とにより積層体の積層方向に締め付けられている。
この燃料電池スタック100では、各ナットとエンドプレートとの間に樹脂120a,120b、120c及び120dがそれぞれ設けられ、この樹脂の弾性により部材の熱膨張及び熱収縮、電解質膜に含まれる水分量に応じた膨張及び収縮に伴う燃料電池スタック内の部材の寸法変化には対応することができる。
この第三の従来手法と類似する手法として、燃料電池スタック外部に設けたボルト(締付圧力付与部材)によりスタック全体を締め付ける構造を持つ燃料電池が開示されている(下記特許文献1及び2参照)。更に、締め付けボルトの軸力を検出し、それに基づいて締め付けボルトの締め付け力を調整することにより締結荷重を均一に制御する燃料電池が開示されている(下記特許文献3参照)。
特開平5−234613号公報 特開2001−135344号公報 特開2001−325985号公報
しかしながら、上述の各従来手法ではそれぞれ以下のような問題点がある。
第一の従来手法では、上記各要因に伴う寸法変化には対応できるものの、弾性体を設けることにより燃料電池の装置自体が大きくなり、コストが高くなるという問題点がある。
第二の従来手法では、素材のみでは対応可能な変化量に限度があり、クリープによる寸法変化に対しては500時間程度のクリープ量を想定するに過ぎない。しかしながら、燃料電池の利用形態においては少なくとも10年程度のクリープ量に対応する必要があるものもあり、より多くのクリープ量に対応する必要がある。
第三の従来手法では、図5に示すように樹脂120a、120b、120c及び120dにクリープが生じた場合にはエンドプレート間が拡がり、締付荷重が抜けてしまう。すなわち、第三の従来手法では、セルスタック内部の寸法変化には対応できるものの、そのために講じた手段(樹脂)の変形には対応できない。従って、樹脂のクリープが生じる度に締め付けボルトを締め直す必要がある。
また、上記特許文献3に開示される燃料電池では、少なくとも締め付けボルトの軸力の検出手段及び締め付けボルトの締め付け力の調整手段が必要となる等、装置自体が大掛かりなものになってしまい、コストも高くなるという問題点がある。
本発明の目的は、簡易な構成で、燃料電池を構成する部材の寸法変化を吸収し燃料電池全体に対し適切な締め付け力を長期間付与する燃料電池締結構造を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために以下の手段を採用する。即ち、本発明は、燃料電池セルが積層されたセルスタックの積層方向の両端面で当該セルスタックを挟み込む一組のエンドプレートと、上記セルスタックを両側から締め付けるように一組のエンドプレートを締結するテンションプレートと、を備え、上記テンションプレートは、一方のエンドプレートに固定された第一テンションプレートと他方のエンドプレートに固定された
第二テンションプレートとを有し、上記第一テンションプレートと第二テンションプレートとが荷重吸収部材を通じて締結されている燃料電池締結構造についてのものである。
本発明によれば、第一テンションプレートと第二テンションプレートとが荷重吸収部材を通じて締結されることにより、この締付荷重が一組のエンドプレートの内側のセルスタックに付与される。
これにより、セルスタックを構成する各セルの電極面に均一に圧力が掛かることにより接触抵抗が減らされ、燃料電池の発電効率の低下を防ぐことができる。
更に、本発明によれば、セルスタック構成部材のクリープに応じて荷重吸収部材が縮むので当該クリープに伴う締結荷重抜けを防止し締結荷重を均一化することができる。ここでクリープとは、一定の応力のもとで生じる物体の塑性変形をいう。
また、上記燃料電池締結構造において、好ましくは、上記第一テンションプレート及び第二テンションプレートは一部がセルスタック外側へ折り曲げられており、上記第一テンションプレート及び第二テンションプレートの折り曲げられた各部位が荷重吸収部材を通じて締結されるように構成される。
これにより、本発明によれば、セルスタック外側へ折り曲げられた部位を設けるだけの簡易な装置構成により上述のような効果を得ることができ、これによりコストも抑えることができる。
また、上記燃料電池締結構造では、好ましくは、上記荷重吸収部材が、第一テンションプレートと第二テンションプレートとの間のクリープ量が概ね前記セルスタックのクリープ量と一致する材料で構成されるようにする。ここでクリープ量とは、クリープによる経時的な変形量をいうものとする。
このようにすれば、セルスタック構成部材がクリープによりセル積層方向に所定量短くなったとしても、荷重吸収部材のクリープによりその量と略同等の量で荷重吸収部材の厚みが減るため、当該クリープに伴う締結荷重抜けを一層確実に防止することができる。
また、上記燃料電池締結構造では、好ましくは、第一テンションプレートと第二テンションプレートとが弾性体と共に上記荷重吸収部材を通じて締結されるようにする。
このようにすれば、荷重吸収部材が縮むことによる各テンションプレート間の締結力が小さくなるのを防ぐことができるため、セルスタック構成部材のクリープ量が大きい場合にも長期間均一な締結荷重をメンテナンスなく与え続けることができる。
また、上記燃料電池締結構造では、上記テンションプレートが、第一テンションプレートと第二テンションプレートとの間に少なくとも1つの第三テンションプレートを更に有し、第一テンションプレートと第二テンションプレートと第三テンションプレートとがそれぞれ荷重吸収部材を通じて締結されるようにしてもよい。
これによれば、各荷重吸収部材にかかる荷重を少なくすることができる。
本発明によれば、簡易な構成で、燃料電池を構成する部材の寸法変化を吸収し燃料電池全体に対し適切な締め付け力を長期間付与する燃料電池締結構造を提供することができる。
以下、図面を参照して、それぞれ本発明の実施形態における燃料電池について説明する。なお、以下に述べる実施形態の構成は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
〔燃料電池構造〕
本発明の実施形態における燃料電池の構造について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態における燃料電池の構造を示す側面断面図である。本実施形態における燃料電池1は、積層された複数のセル3、燃料電池1の両端部で複数のセル3を挟むように配置されるエンドプレート10a及び10b、エンドプレート10a及び10bとセル3との間に配置されるインシュレータ5a及び5b等を備える。
各セル3は、電解質膜をアノードとカソードとで挟み、更にそれら電極の両側をセパレータで挟むように構成される。セパレータは、アノードに接する面及びカソードに接する面それぞれに溝を有しており、各溝にはそれぞれ燃料ガス若しくは酸化剤ガスが供給される。このように供給された燃料ガス及び酸化剤ガスが電解質膜を介して反応することにより発電が行われる。また、この化学反応により、カソードに設けられた触媒層では水が生成される。この生成水は電解質膜を透過しアノードへ移動する。
インシュレータ5a及び5bは、エンドプレート10a及び10bとセル3との間の絶縁を目的として設置されるものであり、例えばガラスエポキシ等の非金属製の材質で形成される。
エンドプレート10a及び10bは、複数のセル3、インシュレータ5a及び5bの積層体(以降、セルスタックと表記する)を両側から締め付け固定する。このエンドプレート10a及び10bに締め付け力を付与する構造については後述する。
ここで、各セル3、インシュレータ5a及び5bは、セルでの発電により生じた熱による熱膨張及び熱収縮、並びにセルを構成する電解質膜に含まれる水分による膨張及び収縮のような燃料電池の運転状態に応じた部材の変形を吸収し得る材質で形成される。なお、本発明は、これら部材の材質を限定するものではない。
更に、本実施形態における燃料電池は、エンドプレート10a及び10bの上面にボルト等の取付部材23a及び23bで固定された平板状のプレートでありセルスタック外部方向(図1の上方向)にL字型に折り曲げられたテンションプレート20a及び20b、エンドプレート10a及び10bの下面にボルト等の取付部材23c及び23dで固定された平板状のプレートでありセルスタック外部方向(図1の下方向)にL字型に折り曲げられたテンションプレート20c及び20dを備える。以降、テンションプレート20a、20b、20c及び20dにおけるセルスタック外部方向にL字型に折り曲げられた部分をそれぞれ折曲部位と表記する。
エンドプレート10a及び10bの上面に固定されたテンションプレート20a及び20bは、各折曲部位の間に荷重吸収部材30aを挟み、締め付けボルト25a及びナット27aにより各折曲部位の両側から荷重吸収部材30aを締め付け固定する。同様に、エンドプレート10a及び10bの下面に固定されたテンションプレート20c及び20dは、各折曲部位の間に荷重吸収部材30bを挟み、締め付けボルト25b及びナット27bにより各折曲部位の両側から荷重吸収部材30bを締め付け固定する。
ボルト25a及びナット27aで締め付けられることにより荷重吸収部材30aと共に
一体となったテンションプレート20a及び20bは、同様に一体となったテンションプレート20c及び20dと共に、エンドプレート10a及び10bをセルスタックの積層方向へ締結し、セルスタックをその内側に収容する。
このような構造により、ボルト25a及びナット27a、ボルト25b及びナット27bでそれぞれ与えられる締め付け力(ボルト25a及び25bの各軸力)は、エンドプレート10a及び10bの上面及び下面にそれぞれ伝わり、エンドプレート10a及び10bにおけるセルスタックを積層方向に締め付ける力となる。一方で、エンドプレートの上面と下面とでそれぞれ一体となった各テンションプレートは、この積層方向に押圧する荷重の反力をそれぞれ保持する。
荷重吸収部材30a及び30bは、弾性があり所定のクリープ量を持つ材質、例えば樹脂で形成される。荷重吸収部材30a及び30bは、各テンションプレートの折曲部位の間に挟まれており、両側から荷重が掛けられている。荷重吸収部材30a及び30bは、この荷重によりその材質に応じたクリープ量でクリープする。荷重吸収部材30a及び30bは、セルスタック全体のクリープ量(クリープ速度も含む)と略同等のクリープ量を持つ材質で形成されるものが選定される。
この荷重吸収部材30a及び30bの選定においては、この部材の端面(図1の左正面から見た面)の面積及び厚み(セル積層方向の長さ)も考慮される。すなわち、荷重吸収部材30a及び30bの端面にかかる単位面積当たりの荷重と荷重吸収部材の厚みとから推定される荷重吸収部材のクリープ量が、セルスタックの端面にかかる単位面積当たりの荷重から推定されるセルスタック全体のクリープ量と略同等となるように、荷重吸収部材の材質、端面の面積及び厚みを決定する。
なお、本実施形態における燃料電池1の上面及び下面の構造はどのように構成されてもよい。例えば、各テンションプレートがセルスタックの上面若しくは下面を全て覆うような一枚の平板で形成され、上面及び下面の各折曲部位を複数の締め付けボルト及びナットで締め付け固定するような構成としてもよい。この例では、各折曲部位に挟まれる荷重吸収部材30a及び30bはそれぞれ1枚の樹脂で形成されてもよいし、各締め付けボルト及びナットで締め付け固定される箇所にのみ所定の面積の端面を持つ複数の樹脂で形成されるようにしてもよい。また、各テンションプレートがそれぞれ複数の平板が所定の間隔で並ぶことで、セルスタックの上面若しくは下面を部分的に覆うように形成するようにしてもよい。
〔本実施形態の作用及び効果〕
以下、上述した本実施形態における燃料電池1の作用及び効果について述べる。
本実施形態の燃料電池1では、セルスタックの片側のエンドプレート10aの上面及び下面でそれぞれ固定されたテンションプレート20a及び20cが、反対側のエンドプレート10bの上面及び下面でそれぞれ固定されたテンションプレート20b及び20dとの各折曲部位の間に荷重吸収部材30a及び30bをそれぞれ挟み、締め付けボルトで締め付け固定されるという構造を持つ。
このような構造により、本実施形態では、テンションプレートの折曲部位の両側からボルト及びナットで与えられる荷重吸収部材への締め付け力により、各テンションプレートを固定するエンドプレート10a及び10bにおける積層方向への荷重となり、この荷重がセルスタックに与えられる。
よって、セルスタックを構成する各セルの電極面に均一に圧力が掛かりることにより各
セル内の接触抵抗が減らされ、燃料電池1の発電効率の低下を防ぐことができる。
更に、本実施形態における燃料電池1では、荷重吸収部材30a及び30bがそれぞれセルスタック全体のクリープ量と略同様のクリープ量を持つ樹脂で形成されるように選定される。
図2は、本実施形態における燃料電池の作用を示す図である。図2では、上図が初期の燃料電池1を示し、下図が例えば10年耐久後の燃料電池1を示す。上述のような荷重吸収部材が選定されることにより、耐久後の燃料電池1では荷重吸収部材のクリープ量とセルスタック全体のクリープ量が略同等になる。
すなわち、本実施形態によれば、セルスタック全体がクリープによりセル積層方向に所定量短くなったとしても、荷重吸収部材のクリープによりその量と略同等の量で荷重吸収部材の厚みが減るため、クリープによるセルスタックにかかる荷重の抜けを防止することができる。更に、例えば10年燃料電池が稼動されたとしてもクリープに基づく調整作業等が必要となるわけでもない。
また、本実施形態では、このような効果を得るために、セルスタック外部方向へ折り曲げられた部位を設けるだけで済むため、燃料電池装置自体が大掛かりなものになることもなくコストも抑えることができる。
〔第一変形例〕
上述の実施形態における燃料電池1では、締め付けボルト25a及び25bとナット27a及び27bとでテンションプレートの折曲部位の両側を締め付ける構造を採っていた。第一変形例における燃料電池1では、図3に示すように、締め付けボルトとテンションプレートの折曲部位との間、及びナットとテンションプレートの折曲部位との間にそれぞれ皿バネ等の弾性体40a、40b、40c及び40dを設ける。図3は、第一変形例における燃料電池の構造を示す側面断面図である。
弾性体40a、40b、40c及び40dは、皿バネ以外のバネであってもよい。なお、この弾性体は、クリープを生じないものであるか、又は荷重吸収部材30a及び30b等と比較にならない程少量のクリープ量を有するものであることが望ましい。
この第一変形例の構造によれば、ボルト25a及び25bの初期締め付け軸力を大きくしなくても、締め付けによるボルトの伸びる長さを超えた寸法変化をこの弾性体が吸収することになる。
従って、上述の実施形態における構造と較べよりクリープ量が大きくなった場合にもボルト25a及び25bを締め直すことなく、セルスタックに所定の荷重をかけ続けることが可能となる。更に、ボルトの初期締め付け軸力を小さくすることができるため、ボルトのサイズも小さくすることができる。
〔第二変形例〕
上述の実施形態及び第一変形例における燃料電池1は、エンドプレート10a及び10bの上面及び下面のそれぞれ1箇所において、各エンドプレートを締め付け固定する箇所(締め付けボルト25a及び25b)を設けていたが、この締め付け固定する箇所を上面及び下面それぞれにおいて複数設けるようにしてもよい。ここでは、第二変形例として、エンドプレート10a及び10bの上面及び下面のそれぞれ2箇所で締め付け固定する燃料電池を例に挙げ以下に説明する。図4は、第二変形例における燃料電池の構造を示す側面断面図である。
第二変形例における燃料電池1は、上述の実施形態と同様の構造を持ちそれよりもそれぞれセル積層方向に短くしたエンドプレート20a、20b、20c及び20dと共に、平板状プレートの両端がセルスタック外部方向(図4の上方向若しくは下方向)にL字型に折り曲げられたテンションプレート20e及び20fを更に備える。
テンションプレート20eは、一方の折曲部位とテンションプレート20aの折曲部位との間に荷重吸収部材30aを挟み、締め付けボルト25a及びナット27aにより各折曲部位の両側から荷重吸収部材30aを締め付け固定し、もう一方の折曲部位とテンションプレート20bの折曲部位との間に荷重吸収部材30bを挟み、締め付けボルト25b及びナット27bにより各折曲部位の両側から荷重吸収部材30bを締め付け固定する。
同様に、テンションプレート20fは、一方の折曲部位とテンションプレート20cの折曲部位との間に荷重吸収部材30cを挟み、締め付けボルト25c及びナット27cにより各折曲部位の両側から荷重吸収部材30cを締め付け固定し、もう一方の折曲部位とテンションプレート20dの折曲部位との間に荷重吸収部材30dを挟み、締め付けボルト25d及びナット27dにより各折曲部位の両側から荷重吸収部材30dを締め付け固定する。
このようにエンドプレート10a及び10bの上面において一体となったテンションプレート20a、20b及び20eは、同様に下面において一体となったテンションプレート20c、20d及び20fと共に、エンドプレート10a及び10bをセルスタックの積層方向へ締結しセルスタックをその内側に収容する。
第二変形例では、このような構造により、エンドプレートの上面及び下面のそれぞれ2箇所においてボルト及びナットでそれぞれ与えられる締め付け力は、エンドプレート10a及び10bの上面及び下面にそれぞれ伝わり、エンドプレート10a及び10bにおけるセルスタックを積層方向に締め付ける力となる。このように第二変形例では、締め付け固定する箇所がエンドプレートの上面及び下面でそれぞれ2箇所ずつあるため、各箇所のボルト及びナットによる締め付け力は上述の実施形態の略半分ですむ。
荷重吸収部材30a、30b、30c及び30dは、弾性があり所定のクリープ量を持つ材質、例えば樹脂で形成される。第二変形例における燃料電池1は、上面及び下面それぞれ2つずつの荷重吸収部材を備え、各荷重吸収部材にかかる荷重が上述の実施形態の略半分となるため、各荷重吸収部材のクリープ量は上述の実施形態に較べて半分となる。すなわち、荷重吸収部材のクリープ量のエンドプレートの上面毎及び下面毎の合計がセルスタック全体のクリープ量と略同等となるように、各荷重吸収部材を決定する。
第二変形例のような構造を採ることにより、上述の実施形態に較べて部品数は多くなるものの、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態におけるテンションプレートの締め付け箇所の数及び位置は、燃料電池の収納方法、収納場所等に応じて適宜変更可能であり、本発明は、この締め付け箇所の数及び位置を限定するものではない。
本発明の実施形態としての燃料電池の構造を示す側面断面図である。 本実施形態における燃料電池の作用を示す図である。 第一変形例における燃料電池の構造を示す側面断面図である。 第二変形例における燃料電池の構造を示す側面断面図である。 スルーボルト方式の燃料電池の構造を示す側面断面図である。
符号の説明
1 燃料電池
3 セル
10a、10b エンドプレート
5a、5b インシュレータ
20a、20b、20c、20d、20e、20f テンションプレート
23a、23b、23c、23d 取付部材
25a、25b、25c、25d 締め付けボルト
27a、27b、27c、27d ナット
30a、30b、30c、30d 荷重吸収部材
40a、40b、40c、40d 弾性体

Claims (5)

  1. 燃料電池セルが積層されたセルスタックの積層方向の両端面で前記セルスタックを挟み込む一組のエンドプレートと、
    前記セルスタックを両側から締め付けるように前記一組のエンドプレートを締結するテンションプレートと、を備え、
    前記テンションプレートは、一方のエンドプレートに固定された第一テンションプレートと他方のエンドプレートに固定された第二テンションプレートとを有し、
    前記第一テンションプレートと第二テンションプレートとが荷重吸収部材を通じて締結されている、
    ことを特徴とする燃料電池締結構造。
  2. 前記第一テンションプレート及び第二テンションプレートは一部が前記セルスタック外側へ折り曲げられており、
    前記第一テンションプレート及び第二テンションプレートの折り曲げられた各部位が前記荷重吸収部材を通じて締結されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池締結構造。
  3. 前記荷重吸収部材は、前記第一テンションプレートと第二テンションプレートとの間のクリープ量が概ね前記セルスタックのクリープ量と一致する材料で構成される、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池締結構造。
  4. 前記第一テンションプレートと第二テンションプレートとが弾性体と共に前記荷重吸収部材を通じて締結される、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池締結構造。
  5. 前記テンションプレートは、前記第一テンションプレートと第二テンションプレートとの間に少なくとも1つの第三テンションプレートを更に有し、
    前記第一テンションプレートと第二テンションプレートと第三テンションプレートとがそれぞれ荷重吸収部材を通じて締結されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池締結構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019186969A1 (ja) * 2018-03-29 2019-10-03 株式会社 東芝 電池パック

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