JP2008218859A - 電磁波吸収体 - Google Patents

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JP2008218859A JP2007056774A JP2007056774A JP2008218859A JP 2008218859 A JP2008218859 A JP 2008218859A JP 2007056774 A JP2007056774 A JP 2007056774A JP 2007056774 A JP2007056774 A JP 2007056774A JP 2008218859 A JP2008218859 A JP 2008218859A
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Abstract

【課題】電磁波吸収体としての吸収特性を単独で評価できるカーボンナノファイバーシートを得る。
【解決手段】荷電紡糸で形成されたカーボンナノファイバーシートを用いた電磁波吸収体を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気機器、電子機器から漏洩する電磁波を吸収することで、室内の電磁波環境を改善するために用いられる電磁波吸収体に関するものである。
従来、電磁波吸収体は、フェライトなどの磁性体やカーボン粉末、炭素繊維を誘電体に混ぜ合わせたものが使われているが、ピラミッド型などの嵩張った構造にしないと十分な性能は得られていなかった。
例えば、通常の炭素繊維(黒鉛繊維)の1,000倍程度の抵抗値を持つ電磁波吸収炭素繊維及びそのシートが考案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、このシートはビルの窓、飛行機の機体外面、電子機器の筺体のコーナー部にとりつけて使うとされているが、実際の吸収特性は示されておらず、炭素繊維及びシートの物性についても、炭素繊維の長さについての記述はあるが、炭素繊維の繊維径、シートの厚みについては言及されるには至っていなかった。
また、CVD法によって得られた微細炭素繊維がマトリックス中に含有された電磁波吸収体が考案されている(例えば、特許文献2)。
この微細炭素繊維含有電磁波吸収体は周波数1〜10GHzで優れた吸収特性を示しているが、この微細炭素繊維の使われ方は従来の導電体としてのカーボン粉末を含有する電磁波吸収体と何ら変わりはなく、単独でシート化して評価できるものは見出されていない。
カーボンナノファイバーシートに関しても堅いフィルムのようなものは得られているが、形態を安定化して評価するには至っていなかった。
特開平10−204730号公報 特開2007−36154号公報
本発明者はかかる事情に鑑み、電磁波吸収体としての吸収特性を単独で評価できるカーボンナノファイバーシートを提供することを目的としたものである。
本発明者は鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.荷電紡糸で形成されたカーボンナノファイバーシートを用いた電磁波吸収体。
2.炭素繊維前駆体からなる基材上に荷電紡糸で形成されたナノファイバーシートを炭化・賦活して得られるカーボンナノファイバーシートを用いた上記1に記載の電磁波吸収体。
本発明により、薄くて緻密ではあるが、空隙も十分存在するカーボンナノファイバーシートを電磁波の吸収に用いることで、電磁波がシート内を透過しやすく、かつ繊維との衝突による熱エネルギーへの変換も生じやすくなり、電磁波吸収特性を向上することができる。
本発明において、基材として用いる活性炭素繊維前駆体は、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、フェノール系など活性炭素繊維となるものであればいずれでも使用することができるが、荷電紡糸されたナノファイバーシートと同様な炭化、賦活を得ることにより該ナノファイバーシートのシート特性を得るためには同じ原料系であることが望ましい。糸状としてはステープルから得られる紡績糸あるいはフィラメント糸状いずれの場合でも良く、また両者を混合した混繊糸状でも良い。単繊維繊度は1.1dtex〜5.5dtexが好ましい。単繊維繊度が1.1dtex以下であると、加工後の単繊維強度が著しく弱くなり、また単繊維繊度が5.5dtex以上であると、炭化、賦活の進行具合が繊維表面と内部で偏りを生じ、やはり単繊維強度が著しく弱くなり、不織布、織物、編物といった組織体にした時の強度を保持することができないため好ましくない。
このような糸状を用いた不織布、織物、編物といった組織体を基材としてアースに繋がった電極の上にセットし、活性炭素繊維前駆体となる原料を溶解した溶液を注射器の筒状容器に入れ、注射器の先端部の溶液噴出ノズルに電圧をかけ、前記基材上に噴出することでナノファイバーシートを得る。
このようにして得られたナノファイバーシート形成活性炭素繊維前駆体基材を活性炭にする際には、バッチ式あるいは連続式に炭化・賦活工程を施すことで得られるが、活性炭素繊維の生地特性や電磁波吸収性能の均一性を得ることや工業的生産性を考慮すると炭化・賦活を連続的に行うことが好ましい。またポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系などの活性炭素繊維前駆体は予め400℃以下の温度で不融化処理を行う必要がある。原料シートを350℃以上1300℃以下の温度の不活性雰囲気で炭化し、次いで500℃以上1300℃以下の温度で炭素と反応する水蒸気、酸素、二酸化炭素などを含む活性な雰囲気で賦活し活性炭化する。又、場合によっては雰囲気条件を制御することにより炭化と賦活を同時に行うことも可能である。尚、賦活処理、すなわち活性炭化を行う際の最高到達温度を1300℃以上にすると重量収率が著しく減少するため、最高到達温度は1300℃以下にすることが好ましい。これにより、BET比表面積が300〜3000m/gである活性炭素繊維が得られる。
得られたカーボンナノファイバーシートは、基材を含めても電磁波吸収体として使用できるが、カーボンナノファイバーシート単独の性量は、0.1〜10g/m、好ましくは0.2〜5g/mである。0.1g/m以下の場合シートの強度が弱く、10g/m以上の場合繊維間の隙間がほとんどなくなり、電磁波が反射しやすくなるため好ましくない。
繊維間の隙間を通気性で評価することができる。該活性炭素繊維の通気性としては、JIS L1018「ニット生地試験方法」に記載の方法による通気性で2cm/cm・sec以上必要である。これを下回る場合は、繊維間の隙間がほとんどなくなり、電磁波が反射し易くなるため好ましくない。
カーボンナノファイバーの繊維径は50nm以上が好ましい。これを下回る場合は、カーボンナノファイバーを形成する部分が焼成後保持できる厚さにおいて、通気性2cm/cm・sec以上を達成できなくなるため好ましくない。またカーボンナノファイバーの繊維径は500nm以下であることが好ましい。これを上回る場合は、繊維間の空隙が多くなりすぎて熱伝導性が悪くなり、反応性が低下するため好ましくない。
荷電紡糸においてナノファイバーの形成する厚さは1μm以上、好ましくは3μm以上が良い。厚さ1μ未満ではカーボンナノファイバーを形成する部分が焼成後保持できないため好ましくない。また厚さの上限は100μm以下であることが好ましい。これを上回る場合は、嵩高で低密度になり、繊維間の空隙が多くなりすぎて熱伝導性が悪くなり、反応性が低下するため好ましくない。
このような活性炭素繊維を得るには、前駆体繊維がフェノール系繊維であることが望ましい。繊維状活性炭の前駆体繊維としては他にセルロース系、ピッチ系やPAN系が知られている。セルロース系繊維を全駆体とする場合は炭化・賦活により十分な吸着性能を発揮する比表面積を有する活性炭素繊維が得られるが、収率が低く、また収縮率が大きいので剛性が高く、布帛の強度、特に引裂強さの小さいものとなる。PAN系繊維を前駆体繊維とする場合には、比較的布帛強度の高いものが得られるが、大きな吸着性能を有する活性炭素繊維を得ることが困難である。ピッチ系繊維を用いるとセルロース系とPAN系の中間程度の強度と吸着性能が得られるが、必ずしも両方の特性とも満足するものではない。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例はこの発明を制限するものではなく、前・後記の主旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
尚、シートの各特性値の測定法は次の通りである。
(通気性)
通気性については、JIS L1018に準拠した。
(BET比表面積)
1Mの塩酸水溶液で12時間以上洗浄し、充分に水洗し、乾燥した試料を約0.03g採取し、120℃で12時間真空乾燥して秤量し、液体窒素の沸点(−195.8℃)における窒素の吸着量を相対圧0.0から0.15の範囲で徐々に高めながら数点測定し、B.E.Tプロットにより単位重量当たりの比表面積(m/g)を求めた。
(繊維径)
走査電子顕微鏡にて5000倍に拡大した写真から30点の繊維径を測定し、その平均値を繊維径(単位nm)とした。
(電磁波吸収特性)
20cm角の試料を用い、電波暗室を用いたフリースペース法にて、18〜26.5GHzの送受信アンテナを取り付け台にセットし、試料と反射体であるアルミ綱板をアンテナ間に両アンテナから5cm空けて置き、アルミ綱板のみをブランクとして、ネットワークアナライザで減衰量(単位dB)を測定した。
<実施例1>
平均繊維径16μmのポリアクリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化した後、該耐炎化繊維の短繊維を水流絡合法にて目付100g/m、厚さ0.5mmの不織布を得た。この不織布を基材として、アクリロニトリルをポリアクリルアミドに溶解させた溶液から荷電紡糸によって厚さ10μmのナノファイバーを形成させた。ナノファイバーの繊維径は400nmであった。ナノファイバーが形成された不織布を常温から700℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気20wt%を含有する雰囲気中700℃の温度で90分間賦活した。この複合カーボンナノファイバーシートからカーボンナノファイバー層のみをはがし、カーボンナノファイバーシートを得た。このカーボンナノファイバーシートは、絶乾目付1.7g/m、厚さ7μm、通気性6cm/cm・sec、繊維径145nm、BET比表面積は1320m/gと非常に高い吸着性能を有するものであった。このカーボンナノファイバーシートの電磁波吸着特性は23dBと非常に良好であった。結果を表1に示す。
<比較例1>
平均繊維径16μmのポリアクリロニトリル繊維を空気中200〜300℃で耐炎化した後、該耐炎化繊維の短繊維を水流絡合法にて目付100g/m、厚さ0.5mmの不織布を得た。この不織布を常温から700℃まで30分間、不活性雰囲気中で炭化させ、次に水蒸気20wt%を含有する雰囲気中700℃の温度で90分間賦活した。得られた活性炭素繊維不織布は、絶乾目付55g/m、厚さ0.4mm、通気性200cm/cm・sec 、BET比表面積は1008m/gであった。このカーボンナノファイバーシートの電磁波吸着特性は10dBであった。結果を表1に示す。
Figure 2008218859
本発明により、電磁波吸収体に用いられるカーボンナノファイバーシートの特性を明らかにし、単独あるいは積層体としての利用が容易であることから、産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (2)

  1. 荷電紡糸で形成されたカーボンナノファイバーシートを用いた電磁波吸収体。
  2. 炭素繊維前駆体からなる基材上に荷電紡糸で形成されたナノファイバーシートを炭化・賦活して得られるカーボンナノファイバーシートを用いた請求項1に記載の電磁波吸収体。
JP2007056774A 2007-03-07 2007-03-07 電磁波吸収体 Withdrawn JP2008218859A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011054839A (ja) * 2009-09-03 2011-03-17 Shinshu Univ セラミクス被覆ナノ構造炭素繊維からなる電磁波吸収材及びその製造方法
CN106757418A (zh) * 2016-11-08 2017-05-31 南通新澳新材料科技有限公司 一种静电纺纳米纤维发生装置

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