JP2008206430A - 平膜エレメントおよび生物反応槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】 微生物や培養細胞の培養液を分離膜でろ過し、濾液から生産物を回収すると同時にろ過で阻止された微生物や培養細胞を培養液に保持または還流させることで、培養液中の微生物や細胞濃度を高く維持する連続発酵方法において、生物反応槽内の十分な水流と混合を確保しつつ膜の目詰まりを防ぐ方法を提供する。
【解決手段】 エレメントの両面に分離膜を有し、膜面が略円柱面あるいはその一部の面である平膜エレメントを用いる。また、該平膜エレメントを槽内に1個以上配置した、撹拌手段を有する生物反応槽であって、その膜面が撹拌手段を中心とした略同心円上に位置するように配置されたことを特徴とする生物反応槽を用いる。
【選択図】図6

Description

本発明は、膜分離を行いながら生物反応を行う際、特に微生物や培養細胞を用いて発酵生産を行う際に好適に適用することができる平膜エレメントおよび生物反応槽に関する。
従来、膜分離を生物反応に利用する技術としては、もっぱら膜分離活性汚泥法と呼ばれる生物学的廃水処理に利用されてきた。膜分離活性汚泥法においては、導入された有機性廃水を微生物の集合体である活性汚泥に作用させ、散気装置により曝気混合することによって、活性汚泥に対する酸素供給と槽内の汚泥の混合を行う。これにより、活性汚泥の作用によって有機物が分解され浄化される。膜分離活性汚泥法の中でも最も一般的な浸漬型膜分離活性汚泥法では、汚泥が作用する生物反応槽内に分離膜が浸漬され、酸素供給に用いられている曝気の気液混合流によるクロスフロー洗浄を行いながら汚泥混合液をろ過し、浄化された処理水を得る。この際に用いる分離膜には平膜や中空糸膜などが主として用いられる。
上記のように、通常、活性汚泥法などの廃水処理では機械撹拌が必要なほどの撹拌混合力は必要なく、曝気による旋回流での混合で十分である。このため、生物反応槽の構造は、製造・設置が容易な直方体型が一般的である。用いられる平膜エレメントの形状としても、製造や取り扱いの容易な平板型のエレメントが一般的であり、特に形状に関して問題も発生しないため、完全に平板型が常識であると言える。
一方、生物反応を利用する技術として、有用物質生産や菌体生産を行う技術である発酵法が知られている。発酵に用いられる生物としては、細菌や菌類などの微生物や動物細胞などの培養細胞が挙げられる。発酵法は、大きく、(1)バッチ発酵法(Batch発酵法)および流加発酵法(Fed−Batch発酵法)と(2)連続発酵法に分類することができる。
(1)のバッチおよび流加発酵法は、設備的には簡素であり、短時間で培養が終了し、雑菌汚染による被害が少ないというメリットがある。しかし、時間経過とともに培養液中の生産物濃度が高くなり、浸透圧あるいは生産物阻害等の影響により生産性及び収率が低下してくる。このため、長時間にわたり安定して高収率かつ高生産性を維持するのが困難である。
一方、(2)の連続発酵法は、発酵槽内で目的物質が高濃度に蓄積するのを回避することによって、長時間にわたって高収率かつ高生産性を維持できるという特徴がある。しかし、培養液へ原料の連続的な供給を行うとともに、微生物や細胞を含んだ培養液を抜き出すために、培養液中の微生物や細胞が希釈されることから、生産効率の向上は限定されたものであった。
このことから、連続発酵法において、微生物や培養細胞の培養液を分離膜でろ過し、濾液から生産物を回収すると同時にろ過で阻止された微生物や培養細胞を培養液に保持または還流させることで、培養液中の微生物や細胞濃度を高く維持する方法が提案されている。例えば、乳酸菌(ビフィズス菌)を培養するに際し、培養により培地中に生成した菌の阻害物質を培養槽に連通して配設したろ過膜を介して除去し、該阻害物質を除去した培養液を培養槽へ循環させると共に、上記ろ過膜を介して除去された部分に相当する液量の新鮮な培地を培養槽へ補給する方法が提案されている(特許文献1)。
また、特許文献2においては、ヨーグルトスターター乳酸菌を連続培養する方法において同様の方法が報告されている。これらの方法において、分離膜には、一般に多孔性分離膜が用いられるが、前述の廃水処理技術である膜分離活性汚泥法とは異なりこのような発酵技術に用いられる培養液はろ過対象としては非常に困難である。該膜の目詰まりによるろ過流量やろ過効率の低下は膜分離活性汚泥法と比べても非常に大きな問題となっており、このことが本方法の普及の大きな障害となっている。
微生物や培養細胞の目詰まりの抑制方法については、分離膜の洗浄やろ過条件の設定などに関する技術が、いくつか提案されているがいずれも十分なものとは言えない。例えば、目詰まり防止機能を備えた多孔質膜細管、すなわち、切換弁によって相互に切換えられるろ液取出管と送気管とが連結された多孔質膜細管が内部に配設された培養器又はバイオリアクターを用い、多孔質分離膜の培養液と接触している側と反対の側(多孔質膜細管の内部)から間欠的に通気し、細孔中に沈積する目詰まり原因物質を除去することにより、培養を行いながら、微生物又は細胞の培養液より、多孔質分離膜が目詰まりを起こすことなく該膜を通して生成物を含む液を効率よく回収する方法(特許文献3)や、培養液を筒状のフィルター内に通過させて代謝物と菌を分離し、菌体を含む培養液を培養槽へ循環させて連続的に培養を行うための装置(特許文献4)等が知られている。
しかし、これらの方法を用いてもなお、必要なろ過流束(単位膜面積・単位時間あたりのろ過水量)が大きなことには変わりがなく、その大きなろ過流束ゆえに膜の目詰まりによるろ過流量低下が生じてしまう。この膜の目詰まりによるろ過流量低下は大きな課題であり、結局のところ普及が妨げられているのが実情である。また、これらの方法は、生物反応槽の外部に膜分離槽を設けて生物反応槽内の培養液を循環させる方式をとっておりこの方法が技術としては主流であるが、純粋培養を必要とする培養環境を維持可能な槽を生物反応槽の他にさらに設置することは、コストの点、装置が複雑になる点、滅菌維持等の生産管理の点でも好ましいことではない。
一方で、反応槽中にローソク状の分離膜を浸漬する方法も一部でとられている(特許文献5)。しかし、反応槽全体を混合可能な大きさの槽において槽内に収容できる膜の膜面積は限られているため、必要なろ過流量を確保するためには結果として大きなろ過流束が必要となる。このことから、やはり膜の目詰まりが大きな課題として直面してしまう。必要な膜面積を確保するために槽自体の容積を上げることは初期コスト、運転コストに非常に大きな影響を与えてしまう。また、発酵と異なり強い撹拌混合がそれほど必要でない膜分離活性汚泥法と違って発酵法では高い反応速度を実現するため強力な撹拌混合が必要である。
さらに、発酵の培養液は活性汚泥と比べて非常に目詰まりしやすいため膜面を洗浄するクロスフロー水流を十分に確保する必要がある。よって曝気による旋回流混合ではなく機械撹拌による混合が採用されている。機械撹拌による強い水流の確保と混合の効果を十分に発揮するため、反応槽は撹拌手段を中心とした円柱状の形状をとることが必要であり一般的であるが、発酵において生物反応槽内に膜を浸漬する方法を用いると、特許文献5のようなローソク状膜はもちろん中空糸膜や通常の平膜エレメントを用いても回転流等の撹拌混合を妨げてしまうことになる。そのため、膜の目詰まりという課題だけでなくさらに強力な撹拌混合が可能な手段を必要とするという撹拌の課題もあった。
上記のように、膜分離を発酵技術に活用する際に発生する課題を受けて、目詰まりをできるだけ防ぎながらできる限り高いろ過流速を得る方向で従来から種々の検討が進められてきた。しかし、決定的な解決方法は見つかっておらず、膜分離を活用する発酵技術はこれまで実用利用が妨げられているというのが実態である。
特公平6−69367号公報 特開2001−211878号公報 特開平6−98758号公報 特開昭62−138184号公報 特開昭58−47485号公報
本発明は、従来技術における上記問題点を受けてなされたものであって、微生物や培養細胞の培養液を分離膜でろ過し、濾液から生産物を回収すると同時にろ過で阻止された微生物や培養細胞を培養液に保持または還流させることで、培養液中の微生物や細胞濃度を高く維持する連続発酵方法において、生物反応槽内の十分な水流と混合を確保しつつ膜の目詰まりを防ぐ方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
本発明によれば、平膜エレメントの両面に分離膜を有する、膜面が曲面の平膜エレメントを利用し、その膜面が撹拌手段を中心とした略同心円上に位置するように生物反応槽に配置するため、円柱状の生物反応槽でも撹拌水流を妨げることなく分離膜を浸漬設置することができる。これによって、大きな撹拌コストをかけずに反応槽内の混合性が改良されるだけではなく、膜面のクロスフロー水流が十分に確保されることから膜の洗浄性、目詰まり防止の観点からも有効である。さらに、槽内へ膜エレメントをより密に充填することができるため、ろ過流束を上げることによりろ過流量を稼ぐ方法ではなく、設置可能な膜面積を増やすことによって必要なろ過流量を確保することができる。これにより、膜の目詰まりを防ぎながら必要なろ過流量を得ることができる。また、必要な膜面積に対して最小限の槽容積の反応槽で発酵を実施することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明法は、例えば、図1に示すような連続培養装置を用いて実施することができる。この連続培養装置には、培地貯留槽から供給される培地を連続発酵する生物反応槽2とが備えられている。生物反応槽2には、この生物反応槽2内の培養液のpHを一定条件に保持するためにpHセンサー3とこのpH測定結果に応じた量で中和剤を添加する中和剤添加手段5が付設されている。この中和剤添加手段5によって、最終的に生物反応槽2のpHが一定に保たれる。さらに、培地貯留槽から生物反応槽2へと培地を送給するための培地供給配管と培地供給ポンプからなる培地供給手段7とが設けられている。また、生物反応槽2内の液を攪拌するための攪拌手段6が設けられている。
培養液の排出は、生物反応槽2内の液量がある一定範囲内に維持できるように行う。例えば、図2に示すように、生物反応槽2から取り出した培養液を、膜分離装置1によって濾液と未濾過液に分離し、ろ液排出手段8を用いて濾液を所望の発酵生産物の回収用に外部へ取り出すとともに、微生物などを含む未濾過液を環流手段9を用いて生物反応槽2に還流させる方法も可能であるが、図1に示すように、生物反応槽2内に膜分離装置1を浸漬し、膜分離装置1の分離膜を透過した濾液をろ液排出手段8を用いて排出することが好ましい。それは、純粋培養を必要とする培養環境を維持可能な槽を生物反応槽2の他に設ける必要がないので、イニシャルコストや、滅菌費用、初期滅菌時の非常に繁雑な操作の軽減、その滅菌環境の維持等の生産管理の点も含め優れているからである。
この際の膜分離装置1で用いる分離膜としては、発酵に使用する微生物および培養細胞による目詰まりが起こりにくく、かつ濾過性能が長期間安定に継続することができる多孔性膜を用いることが望ましい。例えば、平均細孔径が0.01μm以上1μm未満である多孔性膜を使用することができる。平均孔径がこの範囲内にあると、菌体などがリークすることのない高い排除率と、高い透水性を両立でき、さらに目詰まりしにくく、透水性を長時間保持することが、より高い精度と再現性を持って実施することができる。
本発明で用いられる撹拌手段としては、曝気による旋回流混合や機械撹拌が考えられるが、機械撹拌を実施することが望ましい。これは、膜分離活性汚泥法と異なり、困難なろ過対象である発酵培養液をろ過するにあたってクロスフロー水流による十分な膜洗浄力が必要であるとともに、一般に発酵生産では廃水処理より高い反応速度が必要とされるため高い撹拌混合能力が求められるからである。特に好気培養においては高い酸素供給効率を確保する上で撹拌混合能力は重要である。
また、嫌気培養においても空気曝気を行うことができないことから基本的に機械撹拌を実施する。機械撹拌としては、タービン翼による回転水流による撹拌(図3a:タービン型水流)やプロペラ翼による旋回水流による撹拌(図3b:プロペラ型水流)などが挙げられる。図3の回転の向きは逆方向でも構わない。一方、本発明で用いられる生物反応槽の形態としては、発酵法における混合の重要性から断面が点対称形であることが好ましく、タービン翼やプロペラなどの機械撹拌がむらなく行われる点で円柱型であることが好ましい。
本発明で用いられる平膜エレメントの形状としては、混合を妨げずかつ槽内への充填率を高くとることができ、膜面積を多くとることができるよう、エレメントの両面に分離膜が設置され膜面が曲面である平膜エレメントを用いる。これは、膜分離活性汚泥法とは異なり、発酵法では通常直方体型の槽形態を採用していないことから、槽壁に沿って流れる水流を攪乱することなく分離膜を設置する観点から、槽壁に応じて曲面の平膜エレメントを採用するのがよいのである。さらに、円柱型の槽形態を採用している発酵法においては、同様の観点から膜面の曲面が略円柱面あるいはその一部の面であることが好ましく、その膜面が生物反応槽の重心を中心とした略同心円上に位置するように配置されているのが好ましい。
また、発酵法において重要な混合をむらなく行う観点から、膜面を配置する略同心円の中心および槽を構成する円柱面の略同心円の中心に撹拌手段を設置することが好ましい。このような撹拌手段には例えばタービン型水流を発生させる機械撹拌手段やプロペラ型水流を発生させる機械撹拌手段を用いることができるが、本発明を実施することにより、これらの撹拌手段により生じた回転水流および旋回水流を効率よく活用することができる。
このように、膜分離活性汚泥法により発展した膜利用生物処理において用いられ、発酵法における用途においても用いられ続けてきた従来からの常識的な平板型の平膜エレメントではなく、本発明の平膜エレメントを用いることにより、発酵法において重要となる混合を妨げることなく膜分離を活用した発酵を行うことができるのである。さらには、本発明により混合水流をスムーズに流すことで、膜分離活性汚泥法の活性汚泥と比べて非常に難易度の高いろ過対象である培養液をろ過する際に重要となる膜洗浄力の要素においても重要な役割を本発明は果たす。ろ過が困難であればあるほど、クロスフローによる膜面の洗浄力が重要になってくるため、膜面の水流が滞ることは避けなければならないからである。
一方、膜の目詰まりを発生させることなく十分なろ過水量を得る上でも、本発明は重要な効果を発揮する。上述のように発酵法で対象となる培養液は非常に難易度の高いろ過対象であるが、ろ過水量を上げるためにはろ過流束を上げるか膜面積を増やす必要がある。これまでろ過流束を上げるための検討が多くなされてきたが、もともと困難なろ過対象であるため非常に高いろ過差圧を余儀なくされるなどその成果は実用化を推し進めるほどではないと言える。
一方、図2に示したような外部循環型の膜分離槽を設けるなど膜面積増加につながる検討も行われているが、前述のように純粋培養を必要とする培養環境を維持可能な槽を生物反応槽の他にさらに設置することは、イニシャルコストや、滅菌費用、初期滅菌時の操作の繁雑性、その滅菌環境の維持等の生産管理など、課題があった。これに対し、本発明ではエレメントの両面に分離膜が設置され膜面が曲面である平膜エレメントを用いる。発酵法では通常直方体型の槽形態を採用していないことから、槽壁に沿って曲面を構成し両面に分離膜を有する平膜エレメント設置することにより、限られた反応槽の中で最大限の膜面積を得ることができる。
さらに、円柱型の槽形態を採用している発酵法においては、同様の観点から膜面を略円柱面あるいはその一部の面で構成し、その膜面が生物反応槽の重心を中心とした略同心円上に位置するように配置されているのが好ましい。こうした効果は、平膜エレメントの両面に分離膜を設置することで、槽容積あたりの膜面積をできるだけ確保する効果を最大限発揮させることができる。
以上のように、本発明を実施することによって、発酵効率の点でも膜洗浄の点でも有効な槽内混合を最大限に活用しつつ、膜面積を確保しろ過流束を抑制することで膜の目詰まりを防ぎながら膜利用生物反応技術を行うことができるのである。
本発明における略円柱面形状およびその配置については、図4aのように例示することができる。エレメントの膜面は円柱面全周であってもよく、その一部であってもよいが、槽の中心側と外周側との培養液の流通を円滑に行う観点から、円柱面の一部で構成されるエレメントを用いることが好ましい。また、複数の平膜エレメントを配置する際には、1円柱面上でもよいが、膜面積を確保する観点から、同心円を構成する複数の円柱面に配置することが好ましい(図4b)。ここでは同心円の中心には撹拌手段10が配されている。また、混合を均一かつ円滑に行う観点から、エレメントは点対称に配置することが好ましい。図4cは、従来の平板型平膜エレメントを配置した場合を示した。このような従来の配置では、槽内の培養液の混合は十分に行われず、さらに膜面を通過し洗浄するクロスフロー水流が十分に得られないためろ過流束を上げることができない。また、槽内に設置可能な膜面積も図4bの場合と比べ限られてしまうため、同等のろ過水量を得るためにはろ過流束を高く設定する必要があり膜の目詰まりへとつながってしまうのである。
本発明で用いる両面に分離膜を有し膜面が曲面である平膜エレメントは、2枚の平膜の間に透過液流路材および/または支持板を有し、平膜の周縁部を原液側と透過液側すなわち流路材側を液体が行き来できぬよう封止されている。周縁部の封止方法については、接着剤、熱融着、超音波溶着、外枠と支持板とで平膜を挟み込む方法などが挙げられる一方、支持板や外枠の材質については、ポリサルフォンやポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン共重合体、フッ素樹脂などのプラスチックや、ステンレスなどの金属を用いることができる。
その中でも、発酵法では滅菌を行う必要があるため滅菌に通常用いられる蒸気滅菌への耐性の観点から、外枠と支持板とで挟み込む方法が好ましく、ステンレスなどの金属を支持板や外枠の材質に用いるのが好ましい。また、本発明では曲面の平膜エレメントを採用するためエレメント部材も曲面に加工する必要があるため、加工および製造の容易性、品質の安定性の利点からも好ましい。さらに、蒸気滅菌を繰り返しながらもこれらの部材は長期にわたって再利用できる利点もある。
また、廃水処理技術である膜分離活性汚泥法では、大量の膜面積が必要であるとともに廃水処理にかけられるコストは限られている関係で、コストを厳しく抑制する必要がある。一方、膜分離活性汚泥法とは異なり、発酵法においては膜エレメントを大量生産する必要はなく、発酵生産物に付与される付加価値との関係で膜エレメントにも一定のコストをかけることが可能である。そのため、ステンレスなど金属の部材を用いて曲面加工を施す発明が実施可能となったのである。
外枠と支持板とで平膜を挟み込む場合は、外枠はエレメントの周縁部を押さえることが可能な形であればよく、膜を外枠と支持板との間に配して外枠と支持板とをネジやクリップで固定すること周縁部を封止する。この時、原液と透過液とが行き来しないよう、弾性のあるシート状の部材(弾性材)を平膜と外枠の間に挟むことが好ましく採用できる。弾性材としては樹脂製のシートが好ましい。平膜エレメントの構造例を図5、図6に示すが、本発明の平膜エレメントの構造は、これらの図によって限定されない。図5は膜エレメントの縦断面図であり、図6は斜視図である。
平膜エレメントは図5、図6に示すように、剛性を有する支持板11の両面に、透過液流路材12、平膜13をこの順序で配し構成されている。周縁部の封止を接着剤、熱融着、超音波溶着によって行う場合には、以上の構成で周縁部を封止することで平膜エレメントとなる。周縁部の封止を外枠と支持板とで平膜を挟み込む方法によって行う場合には、さらに外枠15を要する。また、封止を確実に行うために、弾性材14を外枠15と平膜13との間に配することが好ましい。支持板11は、図6に示したように、両面に支持板凹部16を有している。透過液流路材12は、平膜13でろ過された透過液を効率よく支持板11に流すためのものである。支持板11に流れた透過液17は、支持板凹部16を通って外部に取り出される。
以上の効果を十分に発揮するために、本発明においては、平膜エレメントの両面に分離膜を有する、膜面が略円柱面で構成された曲面の平膜エレメントを利用し、その膜面が撹拌手段を中心とした略同心円上に位置するように生物反応槽に配置する。また、円柱型の槽形態に対して、その膜面が生物反応槽の重心を中心とした略同心円上に位置するように配置する。平膜エレメントの形状としては、円柱面の一部で構成されるエレメントを用い、複数の平膜エレメントを槽内に点対称に配置する。また、平膜エレメントは同心円を構成する複数の円柱面に配置し、槽内の水流確保の点で問題がない範囲でできるだけ多く配置する。
これにより、撹拌水流を妨げることなく分離膜を浸漬設置することができ、大きな撹拌コストをかけずに反応槽内の混合性が改良されるだけではなく、膜面のクロスフロー水流が十分に確保されることから膜の洗浄性が増し、膜の目詰まりが防止される。さらに、槽内へ膜エレメントをより密に充填することができるため、ろ過流束を上げることによりろ過流量を稼ぐ方法ではなく、設置可能な膜面積を増やすことによって必要なろ過流量を確保することができる。また、必要な膜面積に対して最小限の槽容積の反応槽で発酵を実施することができるのである。
本発明の連続培養装置の概念図である。 膜分離装置を生物反応槽の外部に設置した場合の概念図である。 機械撹拌手段の一例である。 平膜エレメントの形状および配置を示した図である。 平膜エレメントの縦断面図である。 平膜エレメントの斜視図である。
符号の説明
1:膜分離装置
2:生物反応槽
3:pHセンサー
4:中和剤
5:中和剤添加手段
6:撹拌手段
7:培地供給手段
8:ろ液排出手段
9:環流手段
10:撹拌手段
11:支持板
12:透過液流路材
13:平膜
14:弾性材
15:外枠
16:支持板凹部
17:透過液

Claims (2)

  1. エレメントの両面に分離膜を有する平膜エレメントであって、膜面が曲面であることを特徴とする平膜エレメント。
  2. 請求項1記載の平膜エレメントを槽内に1個以上配置した、撹拌手段を有する生物反応槽であって、平膜エレメントの膜面が略円柱面あるいはその一部の面であり、その膜面が撹拌手段を中心とした略同心円上に位置するように配置されたことを特徴とする生物反応槽。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018011530A (ja) * 2016-07-19 2018-01-25 株式会社日立製作所 分離装置、培養装置および分離方法
JP2018161115A (ja) * 2017-03-27 2018-10-18 株式会社日立製作所 細胞培養装置及び細胞培養方法

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