JP2008202110A - 亜硫酸電解セル - Google Patents
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Abstract
【課題】高い電解性能と水素発生能力を有する亜硫酸電解セルを提供する。
【解決手段】アノードガス拡散電極層3と陽イオン交換膜2との間に、アノードガス拡散電極層3側で生成した硫酸を洗い流す希硫酸の流路5を設けるとともに、カソードガス拡散電極層4のガスシール部11および陽イオン交換膜2を積層方向に貫通する貫通孔12を設け、この貫通孔12を介して、カソード側から希硫酸流路5に希硫酸を供給する構成として、アノードガス拡散電極層3とそのガスシール部10の境界を避けるように希硫酸流路5を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】アノードガス拡散電極層3と陽イオン交換膜2との間に、アノードガス拡散電極層3側で生成した硫酸を洗い流す希硫酸の流路5を設けるとともに、カソードガス拡散電極層4のガスシール部11および陽イオン交換膜2を積層方向に貫通する貫通孔12を設け、この貫通孔12を介して、カソード側から希硫酸流路5に希硫酸を供給する構成として、アノードガス拡散電極層3とそのガスシール部10の境界を避けるように希硫酸流路5を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、亜硫酸を電気分解して水素を生成する亜硫酸電解セルに関し、さらに詳しくは、高い亜硫酸供給能力と水素イオン(プロトン)伝導性を有する亜硫酸電解セルに関するものである。
硫酸の合成と分解反応を組み合わせて電気化学的および熱化学的に水から水素を製造するハイブリッド熱化学法プロセスは、従来から数多くの方法が提案されている。その一つとして、硫酸(H2SO4)を熱分解して三酸化硫黄(SO3)と水(H2O)を生成する硫酸加熱工程と、三酸化硫黄を二酸化硫黄(SO2)と酸素(O2)に分解する三酸化硫黄分解工程と、二酸化硫黄の水溶液からなる亜硫酸を電気分解して水素(H2)と硫酸を生成する亜硫酸電解工程とを組み合わせたハイブリッド熱化学法プロセスによる水素製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かようなハイブリッド熱化学法プロセスにおいて、実際に水素を生成する亜硫酸電解工程では、アノード(陽極)側に供給した亜硫酸を電気分解することによりアノード側で硫酸が、カソード(陰極)側で水素ガスがそれぞれ生成される。生成された硫酸は硫酸加熱工程に循環供給され、水素ガスは製品として排出される。
特開2004−232031号公報
しかしながら、従来の亜硫酸電解セルでは、アノード側の触媒表面が、電解反応により生成された硫酸に覆われることにより、触媒表面への亜硫酸ガスの供給が困難となって、亜硫酸電解セルの性能低下を起こす現象が生じることがあった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、アノード側の触媒表面に亜硫酸ガスを確実に供給することができ、高い電解性能と水素発生能力を確保することができる亜硫酸電解セルを提供することを目的とする。
本発明に係る亜硫酸電解セルは、陽イオン交換膜の一方の面側にアノードガス拡散電極層を、他方の面側にカソードガス拡散電極層をそれぞれ配し、上記アノードガス拡散電極層に供給した亜硫酸を電気分解することにより、上記アノードガス拡散電極層側に硫酸が、上記カソードガス拡散電極層側に水素がそれぞれ生成されるようにした亜硫酸電解セルにおいて、上記アノードガス拡散電極層と上記陽イオン交換膜との間に、上記アノードガス拡散電極層側で生成した硫酸を洗い流す希硫酸の流路を設けるとともに、上記カソードガス拡散電極層のガスシール部および上記陽イオン交換膜を積層方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を介して、カソード側から上記希硫酸流路に希硫酸を供給する構成として、上記アノードガス拡散電極層とそのガスシール部の境界を避けるように上記希硫酸流路を形成したことを特徴とするものである。
上記亜硫酸電解セルにおいては、上記アノードガス拡散電極層または上記陽イオン交換膜上に壁体を立設して、それら壁体により上記希硫酸流路を区画形成する構成とすることが可能である。その場合、上記壁体を多孔質の壁体により構成することが望ましい。
本発明によれば、アノードガス拡散電極層側で生成した硫酸を希硫酸で洗い流すようにしたので、生成した硫酸がアノード側の触媒表面を覆う現象の発生を防止することができ、アノード側の触媒表面に亜硫酸ガスを確実に供給することができる。
また、カソードガス拡散電極層のガスシール部および陽イオン交換膜を積層方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を介して、カソード側から希硫酸流路に希硫酸を供給する構成として、アノードガス拡散電極層とそのガスシール部の境界を避けるように希硫酸流路を形成したので、上記境界からの希硫酸の液漏れを防止しつつ、希硫酸流路の形成層(アノードガス拡散電極層と陽イオン交換膜との間の中間層)を薄くすることができる。
すなわち、アノード側から希硫酸を供給する構成とした場合には、上記境界を跨ぐように希硫酸流路を形成するしかなく、その場合、上記境界部分で液漏れが生じ易く、これを防ぐためにその部分にシールを入れようとすると希硫酸流路がその部分で絞られてしまうため、希硫酸の流量を確保するには、積層方向に希硫酸流路を拡げなければならないという問題点があるのに対して、本発明においては、カソード側から希硫酸流路に希硫酸を供給する構成として、上記境界を避けるように希硫酸流路を形成したので、かかる問題点が生じることはなく、上記液漏れ防止用のシールが不要になる分、上記中間層の厚さを薄くすることができる。
したがって、電気分解の電圧損失を抑制することができ、高い電解性能と水素発生能力を確保することができる。
また、カソードガス拡散電極層のガスシール部および陽イオン交換膜を積層方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を介して、カソード側から希硫酸流路に希硫酸を供給する構成として、アノードガス拡散電極層とそのガスシール部の境界を避けるように希硫酸流路を形成したので、上記境界からの希硫酸の液漏れを防止しつつ、希硫酸流路の形成層(アノードガス拡散電極層と陽イオン交換膜との間の中間層)を薄くすることができる。
すなわち、アノード側から希硫酸を供給する構成とした場合には、上記境界を跨ぐように希硫酸流路を形成するしかなく、その場合、上記境界部分で液漏れが生じ易く、これを防ぐためにその部分にシールを入れようとすると希硫酸流路がその部分で絞られてしまうため、希硫酸の流量を確保するには、積層方向に希硫酸流路を拡げなければならないという問題点があるのに対して、本発明においては、カソード側から希硫酸流路に希硫酸を供給する構成として、上記境界を避けるように希硫酸流路を形成したので、かかる問題点が生じることはなく、上記液漏れ防止用のシールが不要になる分、上記中間層の厚さを薄くすることができる。
したがって、電気分解の電圧損失を抑制することができ、高い電解性能と水素発生能力を確保することができる。
また、アノードガス拡散電極層または陽イオン交換膜上に壁体を立設して、それら壁体により希硫酸の流路を区画形成するようにしたので、アノードガス拡散電極層と陽イオン交換膜との間に、凹凸を有する板状部材やフィルム等を介装して希硫酸流路を形成する場合に比べて、上記中間層の厚さを薄くすることができ、その分、水素イオンの伝導性を高めることができる。
また、上記壁体を多孔質の壁体により構成したので、当該壁体内に希硫酸を蓄えることができ、これにより希硫酸流路における水素イオンの伝導性をさらに高めることができる。
また、上記壁体を多孔質の壁体により構成したので、当該壁体内に希硫酸を蓄えることができ、これにより希硫酸流路における水素イオンの伝導性をさらに高めることができる。
ハイブリッド熱化学法プロセス、またはWestinghouse法による水素製造プロセスは、以下に示す亜硫酸電解工程、硫酸加熱工程および三酸化硫黄電解工程により構成される。
亜硫酸電解工程:
SO2+2H2O → H2SO4+H2 (<100℃) … [1]
(SO2を一度水に溶解させる場合:H2SO3+H2O → H2SO4+H2)
硫酸加熱工程:
H2SO4 → SO3+H2O (〜400℃) … [2]
三酸化硫黄電解工程:
SO3 → SO2+1/2O2 (500℃) … [3]
SO2+2H2O → H2SO4+H2 (<100℃) … [1]
(SO2を一度水に溶解させる場合:H2SO3+H2O → H2SO4+H2)
硫酸加熱工程:
H2SO4 → SO3+H2O (〜400℃) … [2]
三酸化硫黄電解工程:
SO3 → SO2+1/2O2 (500℃) … [3]
本発明に係る亜硫酸電解セル1は、上記亜硫酸電解工程において用いられるもので、図1に示すように、陽イオン交換膜2の一方の面側にアノードガス拡散電極層3が、他方の面側にカソードガス拡散電極層4がそれぞれ配されて、それら電極間に電圧が印加される構成となっている。
アノードガス拡散電極層3側では、下記反応式[4]の電解酸化反応により硫酸が生成される。この反応で生成した水素イオン(H+)は陽イオン交換膜2を透過してカソードガス拡散電極層4側へ移行した後、下記反応式[5]により水素ガスとなる。この水素ガスは、カソードガス拡散電極層4にN2のごときパージガスを流すことにより、カソードガス拡散電極層4から製品として排出される。
(アノード)SO2+2H2O → H2SO4+2H++2e- … [4]
(カソード)2H++2e- → H2 … [5]
(カソード)2H++2e- → H2 … [5]
従来の亜硫酸電解セルにおいては、前述したように、上記反応式[4]の電解酸化反応により生成された硫酸にアノードガス拡散電極層3の触媒表面が覆われることにより、亜硫酸ガスの供給が困難となり、亜硫酸電解セルの性能低下を起こす現象が生じることがあった。
これを防止するため、本発明に係る亜硫酸電解セル1においては、アノードガス拡散電極層3と陽イオン交換膜2との間に、アノードガス拡散電極層3側で生成された硫酸を洗い流す希硫酸の流路5を設けている。
これを防止するため、本発明に係る亜硫酸電解セル1においては、アノードガス拡散電極層3と陽イオン交換膜2との間に、アノードガス拡散電極層3側で生成された硫酸を洗い流す希硫酸の流路5を設けている。
図2は、本発明に係る亜硫酸電解セルの一実施形態を示すもので、この亜硫酸電解セル1においては、陽イオン交換膜2の一方の面側に、希硫酸流路5が形成された中間層6を介してアノードガス拡散電極層3が、他方の面側にカソードガス拡散電極層4がそれぞれ積層配置され、それら電極層の外側にセパレータ7,8がそれぞれ配置される構成となっている。
アノードガス拡散電極層3およびカソードガス拡散電極層4は、何れも触媒層3a,4aと拡散層3b,4bとからなり、触媒層3a,4aが陽イオン交換膜2側に配置されている。アノードガス拡散電極層3の一端側には、後述する液シール用ガスケット9とセパレータ7の間に挟まれる状態で、ガスシールのためのアノード電極端シール部10が配設され、同様に、カソードガス拡散電極層4の一端側には、陽イオン交換膜2とセパレータ8の間に挟まれる状態で、カソード電極端シール部11が配設されている。
本実施形態では、陽イオン交換膜2、各セパレータ7,8、アノードガス拡散電極層3とそのシール部10からなる層、カソードガス拡散電極層4とそのシール部11からなる層の平面形状がそれぞれほぼ同形状とされ、シール部10,11を除いた電極層の大きさが、アノードガス拡散電極層3よりもカソードガス拡散電極層4の方が小さい設定となっている。このため、アノードガス拡散電極層3とカソード電極端シール部11とが積層方向に重なる領域Sが存在し、本実施形態では、その領域S内に、カソード電極端シール部11および陽イオン交換膜2を積層方向に貫通する貫通孔12を設けている。この貫通孔12は、後述するカソード側セパレータ8の内部流路13と、アノード側の希硫酸流路5とを中継する機能を有している。
セパレータ7,8は、電極層3,4に対向する面に溝状のガス流路14,15を有し、電極層3,4の表面に沿ってガスを流すようになっている。アノード側のセパレータ7は、アノードガス拡散電極層3に対して亜硫酸ガスを供給する機能を有し、カソード側のセパレータ8は、カソードガス拡散電極層4に対してN2等のパージ用ガスを供給する機能を有している。さらに、カソード側のセパレータ8は、希硫酸を流す内部流路13を備え、この内部流路13は、セパレータ8の外周部に流入口を有し、終端部が上述した貫通孔12に接続されている。
中間層6は、アノードガス拡散電極層3または陽イオン交換膜2上に直接立設された多孔質の壁体16により構成され、それら壁体16により希硫酸流路5が区画形成されている。希硫酸流路5は、例えば、図3に示すように、中間層6の両側部で順次折り返しながら中間層6の一端側から他端側に向けて延びる連続する流路としたり、或いは途中で複数に分岐する流路としたりすることが可能であるが、如何なる経路を辿る流路であっても良い。この希硫酸流路5を区画する多孔質の壁体16は、例えば、SiCなどの無機材料、PTFEなどの有機材料、或いはカーボン材料などにより構成することができる。
この中間層6は、アノードガス拡散電極層3の触媒表面上で生成した水素イオン(H+)のカソード側への移行を容易にするために、その厚みをなるべく薄くすることが望ましく、少なくとも、0.5mm未満とすることが望ましい。すなわち、0.1A/cm2で運転し0.1Vの抵抗損が許容限度と考えると、1Ω・cm2が許容抵抗値となる。これに対応する許容厚みは、硫酸の抵抗を高湿度状態のNafion(登録商標)並の50μmで0.1Ω・cm2と想定すると、50μm×1/0.1=0.5mmとなる。
一方、アノードガス拡散電極層3側で生成した硫酸を洗い流すのに十分な希硫酸を供給するためには、中間層6の厚みを30μm以上とすることが望ましい。例えば、5cm角のセルを0.1A/cm2で運転すると、2.5Aの電流が流れる。アノードでは96500クローン×2で98gの硫酸を発生するから、2.5×98/96500/2=0.00125g/sの硫酸を排出しなければならない。硫酸比重を1.8とすると、0.7ml/sの希硫酸を洗い流す必要がある。ここで、仮に10倍の希硫酸で洗い流すとすれば、7ml/sの希硫酸を流す必要がある。その際に、水系液体の流速は5m/s以上にはできない。これ以上だと腐食が激しくなるためである。よって、希硫酸を流す断面積は7/500=0.008cm2は必要となる。5cm角セルは並列溝とし中間層6の山谷比を1:1とすると、断面積の幅は2.5cmとなるから、中間層6の厚みは、0.008/2.5=0.003cm=30μmが必要となる。
なお、中間層6は、凹凸付き多孔質フィルムで構成することも可能であるが、フィルムの厚み(凹部における厚み)の分、全体の厚みが増すこととなるため、本実施形態のように、区画用の壁体16のみにより構成することが望ましい。
一方、アノードガス拡散電極層3側で生成した硫酸を洗い流すのに十分な希硫酸を供給するためには、中間層6の厚みを30μm以上とすることが望ましい。例えば、5cm角のセルを0.1A/cm2で運転すると、2.5Aの電流が流れる。アノードでは96500クローン×2で98gの硫酸を発生するから、2.5×98/96500/2=0.00125g/sの硫酸を排出しなければならない。硫酸比重を1.8とすると、0.7ml/sの希硫酸を洗い流す必要がある。ここで、仮に10倍の希硫酸で洗い流すとすれば、7ml/sの希硫酸を流す必要がある。その際に、水系液体の流速は5m/s以上にはできない。これ以上だと腐食が激しくなるためである。よって、希硫酸を流す断面積は7/500=0.008cm2は必要となる。5cm角セルは並列溝とし中間層6の山谷比を1:1とすると、断面積の幅は2.5cmとなるから、中間層6の厚みは、0.008/2.5=0.003cm=30μmが必要となる。
なお、中間層6は、凹凸付き多孔質フィルムで構成することも可能であるが、フィルムの厚み(凹部における厚み)の分、全体の厚みが増すこととなるため、本実施形態のように、区画用の壁体16のみにより構成することが望ましい。
この中間層6の周縁部には、アノードガス拡散電極層3とそのシール部10の境界部分を、内側(陽イオン交換膜2側)から覆う状態で、希硫酸の液シール用ガスケット9が配設されている。すなわち、アノードガス拡散電極層3とそのシール部10の境界を避けるように、希硫酸流路5が形成されている。このため、上記境界部分からの液漏れを防止しつつ、必要な流量の希硫酸をアノードガス拡散電極層3に供給することが可能となっている。また、希硫酸流路5に希硫酸を中継する貫通孔12がカソード電極端シール部11内に形成されているため、当該シール部11とカソードガス拡散電極層4の境界部分から液漏れが生じる心配もない。
上記構成からなる亜硫酸電解セル1において、カソード側セパレータ8の外周部から導入した希硫酸は、上述したように、セパレータ8の内部流路13、貫通孔12を経由して希硫酸流路5に流入し、この希硫酸流路5に沿って、陽イオン交換膜2とアノードガス拡散電極層3の間を流れた後、外周部から亜硫酸電解セル1の外部に排出される。
また、亜硫酸電解反応の原料となるSO2ガスは、亜硫酸電解セル1とは別に設けられた加湿装置(図示省略)内において所定湿度(H2O量はSO2の2倍以上)まで加湿された後、アノード側のセパレータ7内のガス流路14を経て、アノードガス拡散電極層3に供給される。アノードガス拡散電極層3に供給されたSO2+2H2Oのガスは、拡散層3b内を通って触媒層3aに到達し、この触媒層3a内で、前述した反応式[4]の反応により電気的に酸化されて液状の硫酸を生成する。拡散層3bは触媒層3aへの電気供給にも使用される。
また、亜硫酸電解反応の原料となるSO2ガスは、亜硫酸電解セル1とは別に設けられた加湿装置(図示省略)内において所定湿度(H2O量はSO2の2倍以上)まで加湿された後、アノード側のセパレータ7内のガス流路14を経て、アノードガス拡散電極層3に供給される。アノードガス拡散電極層3に供給されたSO2+2H2Oのガスは、拡散層3b内を通って触媒層3aに到達し、この触媒層3a内で、前述した反応式[4]の反応により電気的に酸化されて液状の硫酸を生成する。拡散層3bは触媒層3aへの電気供給にも使用される。
上記触媒層内で生成した硫酸(H2SO4)は、拡散層3b側から供給されるSO2+2H2Oのガスにより、触媒層3aと陽イオン交換膜2間の希硫酸流路5に排出される。希硫酸流路5に排出された硫酸は、この希硫酸流路5を流れる希硫酸により洗い流されて、強制的に亜硫酸電解セル1の外部に排出される。
一方、硫酸とともに触媒層3a内で生成された水素イオン(H+)は、希硫酸流路5または多孔質の壁体16、陽イオン交換膜2を順次通過して、カソードガス拡散電極層4内の触媒層4aに到達し、この部分で還元されて水素ガスを生成する。生成した水素ガスは、カソード側セパレータ8内のガス流路15に排出され、このガス流路15を流れる窒素等のパージガスによりセル外に排出される。
以上のように、本実施形態の亜硫酸電解セル1によれば、アノードガス拡散電極層3側で生成した硫酸を希硫酸で洗い流すようにしたので、生成した硫酸がアノード側の触媒表面を覆う現象の発生を防止することができ、アノード側の触媒表面に亜硫酸ガスを確実に供給することができる。
また、カソード電極端シール部11および陽イオン交換膜2を積層方向に貫通する貫通孔12を設け、この貫通孔12を介して、カソード側から希硫酸流路5に希硫酸を供給する構成として、アノードガス拡散電極層3とそのガスシール部10の境界を避けるように希硫酸流路5を形成したので、上記境界からの希硫酸の液漏れを防止しつつ、中間層6の厚みを薄くすることができる。
したがって、電気分解の電圧損失を抑制することができ、高い電解性能と水素発生能力を確保することができる。
また、壁体16を多孔質の壁体により構成したので、当該壁体16内に希硫酸を蓄えることができ、これにより希硫酸流路5における水素イオン(H+)の伝導性を高めることができる。
また、カソード電極端シール部11および陽イオン交換膜2を積層方向に貫通する貫通孔12を設け、この貫通孔12を介して、カソード側から希硫酸流路5に希硫酸を供給する構成として、アノードガス拡散電極層3とそのガスシール部10の境界を避けるように希硫酸流路5を形成したので、上記境界からの希硫酸の液漏れを防止しつつ、中間層6の厚みを薄くすることができる。
したがって、電気分解の電圧損失を抑制することができ、高い電解性能と水素発生能力を確保することができる。
また、壁体16を多孔質の壁体により構成したので、当該壁体16内に希硫酸を蓄えることができ、これにより希硫酸流路5における水素イオン(H+)の伝導性を高めることができる。
なお、本実施形態においては、亜硫酸電解セル1を水素生成用に使用する場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、亜硫酸電解セル1を直接亜硫酸燃料電池として使用することも可能である。すなわち、上記亜硫酸電解セル1のカソード側に酸素を供給するようにすれば、アノード側から来る水素イオン(H+)と反応して約1.23Vの電圧が発生するので、この電圧の一部をアノード側で亜硫酸の酸化反応に使用すれば、外部から電圧を供給しなくてもアノード側で水素イオンが生成し(理論電圧0.17V)、当該亜硫酸電解セル1を直接亜硫酸燃料電池として作動させることができる。
1 亜硫酸電解セル
2 陽イオン交換膜
3 アノードガス拡散電極層
4 カソードガス拡散電極層
5 希硫酸流路
6 中間層
10 アノード電極端シール部
11 カソード電極端シール部
12 貫通孔
16 壁体
2 陽イオン交換膜
3 アノードガス拡散電極層
4 カソードガス拡散電極層
5 希硫酸流路
6 中間層
10 アノード電極端シール部
11 カソード電極端シール部
12 貫通孔
16 壁体
Claims (3)
- 陽イオン交換膜の一方の面側にアノードガス拡散電極層を、他方の面側にカソードガス拡散電極層をそれぞれ配し、上記アノードガス拡散電極層に供給した亜硫酸を電気分解することにより、上記アノードガス拡散電極層側に硫酸が、上記カソードガス拡散電極層側に水素がそれぞれ生成されるようにした亜硫酸電解セルにおいて、
上記アノードガス拡散電極層と上記陽イオン交換膜との間に、上記アノードガス拡散電極層側で生成した硫酸を洗い流す希硫酸の流路を設けるとともに、
上記カソードガス拡散電極層のガスシール部および上記陽イオン交換膜を積層方向に貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を介して、カソード側から上記希硫酸流路に希硫酸を供給する構成として、上記アノードガス拡散電極層とそのガスシール部の境界を避けるように上記希硫酸流路を形成したことを特徴とする亜硫酸電解セル。 - 上記アノードガス拡散電極層または上記陽イオン交換膜上に壁体を立設して、それら壁体により上記希硫酸流路を区画形成したことを特徴とする請求項1に記載の亜硫酸電解セル。
- 上記壁体を多孔質の壁体により構成したことを特徴とする請求項2に記載の亜硫酸電解セル。
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