JP2008197629A - 組立式実験装置を用いた教育システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実験に関するコンテンツを格納しネトワークを介して配信するサーバ(メンターサーバ)と、該サーバにネトワークを経由して接続され該コンテンツの配信を受ける端末(学習者端末)と、複数の目的の実験に共通して使用する汎用部品と、該汎用部品と組み合わせて特定の実験目的を構成する専用部品に分割し、該汎用部品と該専用部品を再構成して実験の目的を達成する組立式実験装置とを有し、該組立式実験装置による実験結果を、該学習者端末により、ネトワークを介して、上記メンターサーバへ送信することを特徴とする組立式実験装置を用いた教育システム。
【選択図】 図1
Description
しかし上記実験キットまたは実験情報提案システム、教育研修システムは、いずれも特定の技術分野や目的に限定されているので、教育や開発・研究の現場で、eラーニングと組み合わせて多目的に実験を行う場合には不十分である。
また教育や開発・研究において、実験は重要不可欠であり、様々な技術分野において複合化、高度化している。そのため高感度、高分解能の新鋭機器が日々開発されているが、それらは、概して、大型・専用・高級化の途をたどっている。そのため実験準備室の棚には年に幾度かしか使用しない専用器具が多数並んでいてスペースを占有し、効果/負担比率を低下させている。それにも関わらず、例えば物理学教育の場合、実験による観測、体験学習が極めて重要であって、ビデオ教材では、不充分であり、物理学の面白さ、楽しさを体験できない。最近の国立教育政策研究所の小・中学生理科の授業の課題調査によると、8割以上の子どもが「実験や観察が好き」と回答したが、実験結果から考察・活用力は定着していない。しかし高価な実験器具は購入できず、購入しても保管場所がないので、少人数による多様な一斉実験をすることができず、結局、授業時間が不足しているのが原因の一つである。
特定目的のための専用実験装置は完成度が高いが、内部構造が一見しただけでは分かりにくくブラックボックスであり、想定外の使用を行なえるように変形する事が極めて難しい。加えて、教育現場へ持ち運ぶということも容易ではない。
さらに、授業コースの単元ごとに実施される多様な体験学習(実験)をともなったeラーニングでは、実験の目的、課題、使用物品、実験手順の確認、質問、回答が負担となった。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、極めて簡単な構成でしかも卓上程度の広さで、異なる技術分野において、多様な実験目的を達成する組立式実験装置を用いた教育システムを提供することを目的とする。
特に教育現場では、ビデオ画像、シミュレーションモデル、ヴァーチャルリアリティ技術を用いたシステムよりも、実際の実験装置を用いる方が良い場合が多い。特に基礎物理実験では物理現象自体を観察することが重要であるが、従来のシステムでは対応することが困難である。
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究し、実験装置を複数の目的の実験に共通して使用する汎用部品と、該汎用部品と組み合わせて特定の実験目的を構成する専用部品に分割し、該汎用部品と該専用部品を、基板に構成する組立式実験装置(特願2006−069380号)、及びこの実験装置に用いるのに適した各種センサー(特願2005−239958、2006−199741等)を開発した。
(1)汎用性
実験装置の要素部品の組立、設置、交換を実験者自身が行なえるので実験の仕組が理解しやすいと共に、組合せ方を変える事によって多様な実験が可能となる。しかもネットワークを介して遠隔地から多数の実験者に同時に実験モジュールの組み合わせ、手順を指示できるため、実験者は自立的な実験が可能になり教育効果が極めて高い。
形状が小型であるため製造や使用時に消費する材料やエネルギーが少なくてすみ安価になる。発展途上国での使用も容易である。
形状が小型であるため他の場所(教室、学校、工場、自宅など)へ容易に持ち運ぶことができる。野外実験も可能である。
実験装置自体は小型であるので、パソコンとの接続によって、パソコンがもっている高度な機能(オシロスコープ、波形解析、デジタルマルチメーター、信号発生、作図・画像表示など)を実験に利用する事ができる。実験装置の信号の処理、表示、記憶または実験の制御機能、あるいは実験遂行に有用な情報を提供する手段と有する実験装置の構成も可能である。
本発明は、図1に示すように、(1)メンターサーバ、(2)学習者端末、(3)ネットワーク、(4)その他の周辺装置(5)組立式実験装置を含む。以下に、説明する。また本発明の教育システムを用いた学習過程のフローチャートを図6〜9に示す。
メンターサーバは、実験を行う学習者(以下学習者)と指導する者(以下教員)のコミュニケーションを支援・援助するサーバであり、少なくとも、実験計画、実験装置データ、実験手順、チェックポイント、トラブルシューティング、その他、学習者を指導するためのコンテンツ(学習者指導用コンテンツ)を有し、該コンテンツは、インターネット等のネットワークを介して学習者端末へ配信される。なお配信とは、メンターサーバから学習者端末へコンテンツをネットワーク経由で送る場合に限らず、学習者がネットワークを経由してメンターサーバにアクセスする場合等も含む。以下にコンテンツの概要を説明する。
実験計画は、目的、目標、課題を含むコンテンツである。実験目的は、授業のシラバスに従って、例えば表1に示すものが考えられる。
実験装置情報は、下記(5)の組立式実験装置に関するコンテンツで、実験計画で指定される汎用部品と専用部品の単品機能、組み合わせに関する情報である。学習者が、手元にある実物と対比できるように、部品番号や画像を含むことが望ましい。学習者には予めこれらの部品が送られており、実際に自分が手にしている部品と実験装置情報を比較して確認できる。
実験手順は、実験計画で指示された特定の実験のため組み立てた実験装置を用いた実験の手順を示すコンテンツで、実験の手順、実験装置の使用方法、機能、注意点等を学習者へ提供する。
上記学習者指導用コンテンツは、パターン化されたチェックポイントおよび/または、トラブルシューティングを含む。組立式実験装置はモジュール化しているので、チェックポイントもこれに合わせてパターン化することが望ましい。例えば部品の選択、組み合わせ、手順の誤りやすい点について、ツリー形式やメニュー形式で、実験者の質問への回答を得ることができるようにする。あるいは、実験者からのトラブル報告に対する解決を配信できるようにする。予めパターン化されたチェックポイントを学習してから、実験を行うようにすることもできる。
また、学習者が行った実験結果を、学習者端末で、サーバから配信された複数フォーマットから選択されたレポートとして作成し、メンターサーバへ送り、該メンターサーバで、該レポートと、メンターサーバにあるチェックリストとを対比して選択されたトラブルシューティングを、学習者端末に配信するように構成しても良い。
学習者端末は、上記メンターサーバが配信する実験計画、実験装置情報、実験手順に関するコンテンツあるいは学習者指導用コンテンツを学習者に提供し、組立式実験装置により得られた実験結果を、オシロスコープ、波形解析、デジタルマルチメーター、信号発生、作図・画像表示などを利用して、解析して、メンターサーバより配信されたフォーマットのレポートにして、ネトワークを介して、メンターサーバへ送信する。該メンターサーバでは、該レポートと、メンターサーバにあるチェックリストとを対比して選択されたトラブルシューティングを、学習者端末に提供するように構成しても良い。メンターサーバは図1においては図示しないが、教員の手元で利用できる情報端末にネットワークを介して接続されていることが望ましい。
インターネット、衛星通信、携帯電話通信網、デジタルテレビジョン、構内ネットワーク等が利用できる。利用分野も、大学、高校、中学、小学校等の教育現場、通信教育、家庭内教育等で用いることができる。
学習者と教員のコミュニケーションを円滑にするため、様々な装置を工夫すると良い。例えば、小型カメラで、学習者の実験進捗状況を観察し、あるいは実験装置の不具合箇所をチェックして、その画像を、メンターサーバに送信する。教員はこれらを参照しつつ、あるいはメンターサーバへネットワークを経由してアクセスして、該画像を確認して適切なアドバイスを提供できる。
本発明の組立式実験装置は、個人の机上で使える小型ものであり、例えば、二人一組で利用する。(5−1)基板、(5−2)学習者端末へのインターフェース・コントローラ、(5−3)、(5−4)汎用部品、専用部品を含む。以下に説明する。
実験部品を設置する基板は、金属、例えば、鉄板を用いる。表面は、防錆処理され、該基板に、実験要素を固定するビスネジ穴があいている。実験部品に配設したマグネットを介して基板に設置することもできる。制御部は、上記実験装置の基板上または外部に配置して、該実験装置を制御するインターフェースやコントローラを含む。限られたスペースの基板に、いかに、実験部品を構成するかを学習者自身が工夫することにより、高い教育効果を期待できる。
組立実験装置を、上記インターフェース、コントローラを介して、上記学習者端末に接続する。学習者端末は、学習者のために、メンターサーバが配信する実験計画、実験装置情報、実験手順に関するコンテンツを受信し、卓上実験装置により得られた実験結果を、オシロスコープ、波形解析、デジタルマルチメーター、信号発生、作図・画像表示などを利用して、データ処理、蓄積、学習者サーバへ送信する。実験結果を解析するソフトウエアを搭載した通信機能を有するノートパソコンを利用するができる。
本発明の実験装置で想定する実験に共通な構成要素を組み合わせたもの(以下汎用部品という)で、例えば、計測・機構部品として、例えば、ノギス、マイクロメーターヘッド、スタンド、CCDカメラ、AD・DA変換器が選択される。複数の基本モジュールを組み合わせて構成することもできる。
信号発生器および信号検出器から選択され、表1の目的の実験のために適宜、組み合わされた専用部品を上記汎用部品と組み合わせて、例えば、研究室から教室へ運び、実験装置を再構成する。または、複合した実験目的の場合は、複数の専用部品を組み合わせることもできる。汎用部品は、教育効果を高めるために、底部に配設したマグネットにより、鉄製基板に、脱着自在に配置、移動、変更することができる。
獲得したデータから結果を計算・導出してメンターサーバへ送る。教員は学習者が計算して得た結果と(以下実験結果)と想定(標準結果)を比較して一致、不一致を評価する。
この際チェックポイント(例えば図11の実験結果の処理)を用いれば、教員の負担を軽減できる。実験結果が一致している場合、学習者は第一の課題を終了する。
構成しても良い。教員は、学習者が実験の目標を達成していない場合や実験結果が標準結果と比較して不充分な場合は、学習者の回答の修正や再実験を指示する。
以下の本実験の具体例を示す。実験に関するコンテンツは、メンターサーバから実験者端末へ配信される。
(実験例1)光の偏光実験
メンターサーバは以下の実験目的、学習到達目標、実験内容と原理の説明を学習者端末にインターネットを介して提供する。
(実験目的と目標)
図2に示すものは、表1・実験1−1−10の光の偏光実験装置である。この実験は光の偏光性を学ぶ目的として、フォトダイオードを用いた光の強度測定法を習得する。
(実験原理)
光は、その進行方向に垂直な方向の電磁場が伝わっていく横波である。白熱電球や太陽光から来る直接の光(自然光)では、光の電場や磁場は、進行方向に垂直な面内で360度のうちいろいろな方向を向いている。このような光波を、偏光フィルターを通すと、電場がある一定方向、即ち、フィルターの透過軸方向に偏った光(直線偏光)が透過する。
この様子は、簾を通して隙間に平行な振動成分だけ伝わる様子に似ている。偏光子の様子は、直線偏光を、再び、偏光フィルターを通すことによって調べることができる。直線偏光の偏光面と2枚目の偏光フィルター(光検子という)の通過軸がなす角をφとすると、2枚目の偏光フィルター(光検子)を通過する波は、透過軸に平行なcosφの成分だけである。光の強度は、振幅の二乗に比例するので、入射光強度をIoとすると透過強度I(φ)は、次式で与えられる
「光」分野汎用部品の基板5(光学台)、光源8(LD光源)、電池6、光源と電池を接続するリード線7、フォトダイオード9(以下PDとする。)とその負荷抵抗、デジタルマルチテスター1(以下、DMTとする。)、そのリード線2を用いる。実験机を基板とし兼用しても良い。
光の偏光測定では、偏光子4、検光子3を用いる。例えば、図2に示すように、プラスチックのケースの底と蓋を用いて、小型にすることができる。
(実験方法とレポート)
次に、学習者は、実験計画、実験装置情報を確認したら、実験装置を組み立て、実験手順を確認したら、完了をメンターサーバへ送る。メンターサーバは、学習者の理解度を確かめる小クイズを設定する。次に、実験者は、以下の手順により実験を行う。
メンターサーバは以下の実験目的、学習到達目標、実験内容と原理の説明を学習者端末にインターネットを介して提供する。
(実験目的と目標)
図3、図4、図5aは、表1・1−1−13弦の共振実験を目的とする。交流の電磁石によって鋼鉄線の弦に横振動を起こし、共振状態をつくりだす。この共振が両端を固定した波動方程式であることを確かめる。
振動理論は、二つのナイフエッジA,B間(間隔L)に張った均一な弦が、横振動をしている場合を考える。この運動方程式は、次式で与えられる。弦の密度をσ、張力をTとする。図2に示すAB方向をx軸にとり、Aの座標をx=0,Bの座標をx=Lとする。また、x軸に垂直な弦の横方向の変位を、y(x,t)とすると、弦のxとx+δxの間の微少部分の運動方程式は、yが小さいとき、次式(1)で与えられる。
「力」分野汎用部品から、基板5に加えて、図4に示す発振回路18を備え同軸線16により交流で駆動する電磁石17、天秤、重り14を用いる。なお、図2で用いた基板5に代えて、実験机としても良い。
弦の共振実験から、鋼鉄製の弦15、ナイフエッジ11a,b、弦の固定板12、滑車13を用いる。
(実験方法とレポート)
以下の手順により実験を行う。
(ステップ1)ドライバーを使って、弦の固定板12のねじに、弦15の端を取り付ける。弦15を滑車13にかけて、弦15がまっすぐになるように、固定板12と滑車13の位置を調整して、それぞれをクランプ等で、図3に示すように基板5または机に固定する。
(ステップ2)弦15に、ナイフエッジ(A,B)11a,bを設置して、その間隔Lを計って記録する。
(ステップ3)図示はしないが、天秤で重り14の質量を計る。重り14をつるした場合の弦15の基本振動を、上記基本振動式によって計算しておく。
(ステップ4)弦15に重り14をつるす。発振器18の出力に、同軸線16により接続した電磁石17を準備する。
(ステップ5)基本振動をさせるため、ナイフエッジ(A,B)11a,bの中点辺りへ電磁石17を近づける。このとき、発振器18の周波数を計算で求めた弦の基本振動数の1/2とすると、弦が大きく振動する。
(ステップ6)重り14の質量を増やし、基本振動と、共振周波数を求める。以上の結果から、実験者に運動方程式を求めさせる。なお、n=2に対する共振(2倍振動)は、電磁石をL/4の位置に置くと良い。振動の様子は、汎用部品としての小型CCDカメラを用いて撮影して、その画像データをノート型パーソナルコンピュータで処理して表示しても良い。
(実験例3)
トラブルシューティングの例を表1・1−1−08光の屈折方法の確認での例を図10に示す。この場3つのケースが設定されており、それぞれについてのチェックポイントとアドバイスが設定され、学習者端末で確認できる。実験装置の組み立て例を図5bに示す。
レポート評価時のチェックリスト例を表1・1−1−02の物質の比熱測定の例を図11に示す。実験方法、実験結果、考察に関してレポート作成の際のチェックポイントが示される。学習者は学習者端末でこれを確認しながら図12のレポートを作成して提出する。
2…リード線
3…検光子
4…偏光子
5…基板
6…電池(電源)
7…リード線
8…光源
9…PD
10…フォトダイオードの結線
11a,b…ナイフエッジ
12…固定板
13…滑車
14…重り
15…弦
16…同軸線
17…電磁石
18…発振器
Claims (7)
- 実験に関するコンテンツを有しネットワークを介して配信するサーバ(メンターサーバ)と、該サーバにネトワークを介して接続され該コンテンツの配信を受ける端末(学習者端末)と、複数の目的の実験を実施する組立式実験装置と、該組立式実験装置による実験に関する結果を、該学習者端末により、ネットワークを介して、上記メンターサーバへ送信することを特徴とする組立式実験装置を用いた教育システム。
- 上記組立式実験装置が、複数の目的の実験に共通して使用する汎用部品と、該汎用部品と組み合わせて特定の実験目的を構成する専用部品に分割し、該汎用部品と該専用部品を組み合わせて実験の目的を達成する組立式実験装置であることを特徴とする請求項1記載の教育システム。
- 上記実験に関するコンテンツは、実験計画、実験装置情報、実験手順、学習者と教員用コンテンツを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の実験システム。
- 上記実験に関するコンテンツは、実験のステップに応じて、メンターサーバから学習者端末へ配信されることを特徴とする請求項1ないしは3いずれか1項に記載の組立式実験装置を用いた教育システム。
- 上記実験に関するコンテンツは、予め、学習者端末に配信しておくことを特徴とする請求項1ないしは3いずれか1項記載の組立式実験装置を用いた教育システム。
- 上記実験に関するコンテンツは、パターン化されたチェックポイントおよび/またはトラブルシューティング、あるいは一定時間間隔で配信されるメッセージを含むことを特徴とする請求項1ないしは5いずれか1項に記載の組立式実験装置を用いた教育システム。
- 実験に関する結果を学習者端末でレポートフォーマットにより作成されネットワークを介してメンターサーバへ送り、該メンターサーバで該レポートとチェックリストとを対比して選択された回答を学習者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の組立式実験装置を用いた教育システム。
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