JP2008193975A - ヒトt細胞由来hiv−1感染レポーター細胞 - Google Patents

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Abstract

【課題】HIV-1の感染力価自体を測定するだけでなく、細胞自体の生存率を測定するのに適した細胞の提供。
【解決手段】HIV-1ウィルスの増殖を検出するための第一のレポータータンパク質の検出系と、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質の検出系の両方を含む、ヒトT細胞由来細胞。具体的には、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含むベクター;および細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含むベクター;を含む、ヒトT細胞由来細胞。
【選択図】なし

Description

本発明は、HIV-1感染サイクルの前期過程および後期過程の両方の過程を評価することができるレポーター動物細胞であって、HIV-1ウィルスの増殖に対応する第一のレポータータンパク質を発現することができ、かつ細胞自体の生存に対応する第二のレポータータンパク質を発現することができる動物細胞、より詳細には、ヒトT細胞由来細胞を提供することに関する。
HIV-1ウィルスの標的細胞への侵入過程には、細胞側の主要ウイルス・レセプターであるCD4分子、およびコレセプターであるCXCR4あるいはCCR5を用いることが明らかにされた。その知見に基づいて、HIV-1ウィルス感染の測定系として、Emermanらにより開発されたCD4発現HeLa細胞(HeLa CD4/LTR-βGal;MAGI細胞とも呼ばれる)を用いた測定系(非特許文献1)や、この細胞の派生型として、CD4およびCCR5を発現するHeLa細胞、MAGIC5細胞を用いた測定系(特許文献1)が開発された。これらの細胞株は、HIV-1ウィルスのLTRプロモータ下流にSV40の核移行シグナルを付加したβ-ガラクトシダーゼを入れた発現ユニットを組み込んであり、感染したHIV-1ウィルスが発現する転写活性因子であるTatタンパク質により強力に駆動されるHIV-1 LTRプロモータによりβ-ガラクトシダーゼ酵素が感染細胞核内で発現することを利用した測定系である。
しかしながら、これらの細胞の由来細胞であるHeLa細胞は、HIV-1の天然の宿主ではないため、ウィルスの増殖が非生理的であり、通常1回のウィルス複製しか生じず、できたウィルス粒子も、力価が低いという欠点を持っていた(single replication)。そして、この感染測定系では、LTRプロモータが、Tatが発現した段階で活性化されるため、ウィルス感染の前期過程(すなわち、ウィルスの感染〜宿主ゲノム中へのHIV-1ゲノムの組込み〜Tatを含むタンパク質の発現)が起こっていれば、β-ガラクトシダーゼが発現されてしまい、HIV-1感染の後期過程(すなわち、Tatを含むタンパク質の発現〜ウィルス粒子の形成〜ウィルス粒子の放出)に関しては、評価することができないという欠点も持っていた。
これに対して、HIV-1感染の後期課程も含めた感染測定系を開発することを目的として、HIV-1ウィルスの本来の感染宿主であるT細胞に基づくレポーター細胞が開発された。たとえば、MOCHA細胞(CCR5を安定的に発現し、そしてHIV-1 LTRプロモータ-駆動性分泌性アルカリホスファターゼを保持するMOLT-4細胞)(非特許文献2)、CEM.NKR-CCR5-Luc細胞(HIV-2 LTRプロモータの転写調節下にてルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するように安定的に形質転換した、CEM.NKR-CCR5細胞由来の細胞)(非特許文献3)などが知られていた。
これらのT細胞に由来するレポーター細胞は、T細胞が本来のHIVの宿主細胞であるため、ウィルスの増殖が生理的であり、できたウィルス粒子も力価が高く、複数回のウィルス複製が行われた後にウィルス感染の評価をすることができるという長所を持っていた(multiple replication)。そのため、これらの感染測定系では、宿主細胞中において、ウィルス感染の前期過程(すなわち、ウィルスの感染〜宿主ゲノム中へのHIVゲノムの組込み〜Tatを含むタンパク質の発現)が進行しているか否かだけでなく、HIV感染の後期課程(すなわち、Tatを含むタンパク質の発現〜ウィルス粒子の形成〜ウィルス粒子の放出)が進行しているか否かも、評価することができるという特徴も持っていた。
特開2002-125668 Kimpton, J. et al., J. Virol., 66, 2232-2239, 1992 Miyake H., et al., J. Clin. Microbiol., 2003, Vol. 41, p. 2515-2521 Spenlehauer C., et al., Virology 280, 2001, 292-300
しかしながら、T細胞由来の上述した細胞はいずれも、LTRプロモータの制御下においてレポーター遺伝子を発現させるベクターのみにより形質転換された細胞であり、抗HIV薬剤の候補化合物をスクリーニングする際、薬物が細胞に対して直接的に及ぼす悪影響を調べることができず、抗HIV薬剤の候補化合物のスクリーニングに際して、障害となっていた。
本発明は、従来技術における上記した問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、抗HIV薬剤の候補化合物のスクリーニングに適した、HIV-1の感染価自体を測定するだけでなく、細胞自体の生存率を測定するのに適した細胞を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、鋭意検討した結果、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質の検出系と、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質の検出系の両方を含む、ヒトT細胞由来細胞を提供することにより、上記課題を解決することができることを明らかにした。具体的には、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクター;および細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクター;を含む、T細胞由来動物細胞、好ましくはヒトT細胞由来細胞を提供する。
即ち、本発明によれば、HIV-1ウィルスの感染・増殖に依存して第一のレポータータンパク質を発現することができると同時に、細胞自体の生存に依存して第二のレポータータンパク質を発現することができるT細胞由来動物細胞が提供される。
本発明の動物細胞は、HIV-1ウィルスの感染サイクルの前期過程(すなわちウィルスの感染〜宿主ゲノム中へのHIVゲノムの組込み〜Tatを含むタンパク質の発現)だけでなく、後期過程(すなわち、Tatを含むタンパク質の発現〜ウィルス粒子の形成〜ウィルス粒子の放出)も評価できるよう、複数回のウィルス複製が行われた後にウィルス感染の評価をすることができるT細胞に由来する動物細胞を利用する。この動物細胞は、ヒトに由来するものが好ましい。たとえば、このような細胞としては、MOLT-4細胞、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞、CEM.NKR細胞、MT-2細胞、M8166細胞等を使用することができる。
本発明のT細胞由来動物細胞にトランスフェクトする、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターは、LTRプロモータの制御下において第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を発現することにより、ウィルスの増殖を検出することができることを特徴とする。このような第一のレポータータンパク質は、比色反応または発光反応、染色等の、いずれか1種以上の測定系で検出できるタンパク質であればよく、それらの測定系に限定はない。
本発明のT細胞由来動物細胞にトランスフェクトする、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクターは、動物細胞中で活性化されるプロモータの制御下において、前述の第一のレポータータンパク質とは異なる、第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を発現することにより、細胞自体の生存を検出することができることを特徴とする。このベクターにおいて使用される、動物細胞中で活性化されるプロモータとしては、サイトメガロウィルス(CMV)プロモータ、チミジンキナーゼ(tk)プロモータ、エロンゲーションファクター1(EF1)プロモータ等を使用することができる。このような第二のレポータータンパク質は、第一のレポータータンパク質と異なっている限りそれらの測定系に限定はなく、比色反応または発光反応、染色等の、いずれか1種以上の測定系で検出できるタンパク質であればよい。
たとえば、本発明の第一のレポータータンパク質または第二のレポータータンパク質として使用することができるタンパク質としては、比色反応による測定系では、レポータータンパク質としてアルカリホスファターゼ、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)等を使用することができ;発光による測定系では、レポータータンパク質としてルシフェラーゼ(ホタル由来、レニラ由来、発光クラゲ由来など)、をもちいた化学発光や、DsRed、GFP、YFP、CFP等の蛍光発光を使用することができ;染色による測定系では、レポータータンパク質としてβガラクトシダーゼ(β-Gal)等を使用することができる。
本発明のT細胞由来動物細胞は、もとになる細胞が、HIV-1コレセプターとしてCXCR4またはCCR5の少なくともいずれか一方を天然に有することを特徴とするが、本発明においては、HIV-1コレセプターとしてCXCR4およびCCR5の両方を有することが好ましい。たとえば、本発明において実際に使用することができるヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞は、天然ではHIV-1コレセプターとしてCXCR4のみを発現しているが、この細胞の場合、もう一つのHIV-1コレセプターであるCCR5を発現することができる発現ベクターを用いて形質転換することにより、さらにHIV-1コレセプターCCR5を発現する能力を付加することが好ましい。
本発明の上述した動物細胞として特に好ましい細胞としては、受託番号FERM P-21125を有する細胞を挙げることができる。
このようにして作製した本発明のT細胞由来動物細胞は、第一のレポータータンパク質の発現を検出することにより、HIV-1の感染価を測定することができるだけでなく、第二のレポータータンパク質の発現を検出することにより、細胞自体の生存を検出することができることを特徴とする。このような特徴を有することにより、本発明のT細胞由来動物細胞を用いて、抗HIV薬剤の候補化合物のスクリーニングを効率よく行うことができる。すなわち、第一のレポータータンパク質の発現を検出することにより、HIV-1の増殖に対する抗HIV薬剤の候補化合物の作用を評価することができると同時に、細胞自体の生存を検出することにより、抗HIV薬剤の候補化合物が宿主となるT細胞由来動物細胞自体に与える細胞傷害作用(細胞毒性)を評価することができる。
発明の実施の形態
本発明の発明者らは、本発明の動物細胞として、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞を宿主細胞として、2種類の細胞、X4 MaRBLE系細胞(X4 MaRBLE(DsRed)細胞およびその派生細胞)およびX4 R5 MaRBLE系細胞(X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞およびその派生細胞)を作製することに成功した。以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
1. X4 MaRBLE系細胞の作製
X4 MaRBLE系細胞は、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞に由来するT細胞系の細胞である。ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞は、もともとHIV-1が感染するために必要とされる、主要ウィルスレセプターであるCD4分子とコレセプターであるCXCR4分子を発現する細胞である。したがって、HIV-1は、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞に感染するだけでなく、生理的条件に近い条件下において当該細胞内で複製を行うことができ、結果として感染価の高いウィルスを産生するため、複数回のウィルス複製が行われた後にウィルス感染の評価をすることができるという長所を持っている。
X4 MaRBLE系細胞は、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターと、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含むベクターとの2種類のベクターを用いて、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞を形質転換したものである。本発明においては、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターとしては、例えば「LTRプロモータ+Firefly luc+neo(ネオマイシン耐性)」またはそのベクターにさらにウィルス感染を視覚的に定性的に判断するためのDsRedを組み込んだ「LTRプロモータ+Firefly luc+DsRed+neo(ネオマイシン耐性)」構造を有するベクターを使用することができる。細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含むベクターとしては、例えば「CMVプロモータ+Renilla luc+pac(ピューロマイシン耐性)」、または「tkプロモータ+Renilla luc+pac」の構造を有するベクターの構造を有するベクターを使用することができる。すなわち、この細胞は、LTRプロモータの制御下にて発現されるホタルルシフェラーゼ(FL)(および場合によりさらにDsRed)により発せられる化学発光(または蛍光)を検出することによりウィルスの増殖を検出すると同時に、CMVプロモータまたはtkプロモータの制御下にて発現されるレニラルシフェラーゼ(RL)により細胞自体の生存を検出することができることを特徴としている細胞である。
本発明の一態様として、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターとして、HIV-1の長端末反復(long terminal repeat;LTR)プロモータの制御下にて、機能可能にホタルルシフェラーゼを発現することができる発現ベクター(LTRプロモータ+Firefly luc+neoの構造を有するベクター、「LTR-FLベクター」)を使用することができる。HIV-1を細胞に感染させる過程で、細胞中でのHIV-1の増殖を視覚的に定性的にモニタリングすることを希望する場合には、LTRプロモータの制御下にて、機能可能にホタルルシフェラーゼおよびDsRedの両方を発現することができる発現ベクター(LTRプロモータ+Firefly luc+DsRed+neoの構造を有するベクター、「LTR-FL-DsRedベクター」)を使用してもよい。これらの発現ベクターは、選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子を含有するため、形質転換された細胞を、G418の存在下にて培養することにより、容易に選択することができる。
一方、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクターとしては、例えばサイトメガロウィルス(CMV)プロモータの制御下にて、機能可能にレニラルシフェラーゼを発現することができる発現ベクター(CMVプロモータ+Renilla luc+pacの構造を有するベクター、「CMV-RLベクター」)、またはチミジンキナーゼ(tk)プロモータの制御下にて、機能可能にレニラルシフェラーゼを発現することができる発現ベクター(「tkプロモータ+Renilla luc+pac」の構造を有するベクター、tk-RLベクター)を使用することができる。これらの発現ベクターは、選択マーカーとしてピューロマイシン耐性遺伝子を含有するため、形質転換された細胞を、ピューロマイシンの存在下にて培養することにより、容易に選択することができる。
上述したヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞に対して、上述したHIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクター(LTR-FLベクターまたはLTR-FL-DsRedベクター)および細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクター(CMV-RLベクターまたはtk-RL)を同時にトランスフェクト(コトランスフェクション)する。
上記に例示したようなベクターを使用する場合、細胞をトランスフェクトするためのベクターの組合せは、2種類の第一のベクターと2種類の第二のベクターのいずれの組合せでも構わないが、第一のベクターとしての「LTR-FLベクター」と第二のベクターとしての「tk-RLベクター」との組み合わせ、または第一のベクターとしての「LTR-FL-DsRedベクター」と第二のベクターとしての「CMV-RLベクター」または「tk-RLベクター」との組み合わせが好ましい。本発明においては、「LTR-FLベクター」と「tk-RLベクター」とを組み合わせてトランスフェクトした細胞を単に「X4 MaRBLE細胞」と呼び、「LTR-FL-DsRedベクター」と「CMV-RLベクター」とを組み合わせてトランスフェクトした細胞を「X4 MaRBLE(DsRed)細胞」と、そして「LTR-FL-DsRedベクターと「tk-RLベクター」とを組み合わせてトランスフェクトした細胞を「X4 MaRBLE(DsRed/tk)細胞」とそれぞれ呼ぶ。
コトランスフェクションした細胞を、G418およびピューロマイシンの存在下で培養することにより、両方のベクターがトランスフェクションされた細胞を選択する。
2. X4 R5 MaRBLE系細胞の作製
X4 R5 MaRBLE系細胞は、基本的には、上述したX4 MaRBLE系細胞に対して、コレセプターCCR5をさらに発現させることにより、X4型のHIV-1だけでなく、R5型のHIV-1もまた感染することができるように改変を加えた細胞である。
具体的には、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターとして、前述したLTR-FLベクターまたはLTR-FL-DsRedベクターを使用し、一方細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクターとして、CMV-RLベクターまたはtk-RLベクターのいずれかを使用する。
X4 R5 MaRBLE系細胞を作製する際には、これら第一の発現ベクターおよび第二の発現ベクターの2種類の発現ベクターだけではなく、さらに細胞内においてコレセプターCCR5を発現することができる第三の発現ベクターを使用する。具体的には、たとえば、サイトメガロウィルス(CMV)プロモータの制御下にて、機能可能にCCR5を発現することができる発現ベクター(CMVプロモータ+CCR5+Hygro(ハイグロマイシン耐性)の構造を有するベクター、「CMV-CCR5ベクター」)を使用することができる。
X4 R5 MaRBLE系細胞は、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターと、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含むベクターと、細胞内においてコレセプターCCR5を発現することができる第三の発現ベクターとの3種類の発現ベクターを用いて、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞を形質転換したものである。
具体的には、まずヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞に対して第一のベクター(LTR-FLベクターまたはLTR-FL-DsRedベクター)、および第二のベクター(CMV-RLベクターまたはtk-RLベクター)をコトランスフェクションし、コトランスフェクションした細胞を、G418およびピューロマイシンの存在下で培養することにより、両方のベクターがトランスフェクションされた細胞を選択する。
次いで、このようにして得られた細胞に対して、さらにCCR5を発現するための第三の発現ベクター(たとえばCMV-CCR5ベクター)をトランスフェクションする。CMV-CCR5ベクターは、サイトメガロウィルス(CMV)プロモータの制御下にて発現可能なようにCCR5をライゲーションすることにより作成することができる。この発現ベクターは、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygro)を含むため、形質転換された細胞を、ハイグロマイシンの存在下にて培養することにより、容易に選択することができる。
このように3種類の発現ベクターをトランスフェクションすることにより、この細胞は、HIV-1の感染に必要なCD4分子、およびコレセプターCXCR4分子およびコレセプターCCR5分子を両方とも発現することができ、かつLTRプロモータの制御下にて発現されるホタルルシフェラーゼ(FL)(および場合によりさらにDsRed)による発光(および蛍光)を検出することによりウィルスの増殖を検出することができるとともに、CMVプロモータまたはtkプロモータの制御下にて発現されるレニラルシフェラーゼ(RL)により細胞自体の生存を検出することができる。
上記に例示したようなベクターを使用する場合、細胞をトランスフェクトするためのベクターの組合せは、2種類の第一のベクターと2種類の第二のベクターと1種類の第三のベクターのいずれの組合せでも構わないが、第一のベクターとしての「LTR-FLベクター」と第二のベクターとしての「tk-RLベクター」と第三のベクターとしての「CMV-CCR5ベクター」の組み合わせ、または第一のベクターとしての「LTR-FL-DsRedベクター」と第二のベクターとしての「CMV-RLベクター」または「tk-RLベクター」と第三のベクターとしての「CMV-CCR5ベクター」との組み合わせが好ましい。本明細書中においては、「LTR-FLベクター」と「tk-RLベクター」と「CMV-CCR5ベクター」とを組み合わせてトランスフェクトした細胞を単に「X4 R5 MaRBLE細胞」と呼び、「LTR-FL-DsRedベクター」と「CMV-RLベクター」と「CMV-CCR5ベクター」とを組み合わせてトランスフェクトした細胞を「X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞」、「LTR-FL-DsRedベクター」と「tk-RLベクター」と「CMV-CCR5ベクター」とを組み合わせてトランスフェクトした細胞を「X4 R5 MaRBLE(DsRed/tk)細胞」とそれぞれ呼ぶ。
3. X4 MaRBLE系細胞およびX4 R5 MaRBLE系細胞でのHIV-1増殖性の検出
本発明のX4 MaRBLE系細胞またはX4 R5 MaRBLE系細胞は、HIV-1に感染した場合、HIV-1の増殖に依存してホタルルシフェラーゼ(FL)(および場合によりさらにDsRed)を発現することができる。すなわち、HIV-1が増殖すると、LTRプロモータが活性化されることから、その下流に機能可能に組み込まれているホタルルシフェラーゼ(および場合によりさらにDsRed)を発現するため、ルシフェラーゼ活性が上昇(およびDSRed発現細胞が増加)する。
X4 MaRBLE系細胞およびX4 R5 MaRBLE系細胞(それぞれ1×105細胞)に対して、試験対象のHIV-1(各100 TCID50)をそれぞれ感染させて、7日間培養を継続した後、細胞浮遊液75μLをアッセイプレートに移し、等量のルシフェラーゼの基質を添加し細胞内のホタルルシフェラーゼ活性をルミノメータで測定することにより、ウィルスの増殖性を定量的に調べることができる。ルシフェラーゼ活性を測定するためにルシフェラーゼの基質に関してはDual-GloTM Luciferase Assay System(Promega)を用いたが、このキットはホタルルシフェラーゼ測定に続いて同サンプルでレニラルシフェラーゼの活性を測定することができる。
また、HIV-1の増殖性を調べる際、培養液中に0.2〜5μMを開始濃度として、連続的に希釈した試験対象となる候補化合物(例えば、8段階に連続5倍希釈した候補化合物)を添加し、7日間培養を継続したのち、ルシフェラーゼ活性を、上記と同様に測定し、IC50またはIC90を算出することにより、候補化合物が細胞内で増殖するHIV-1の増殖性に与える作用をスクリーニングすることができる。
HIV-1を細胞に感染させる過程で、細胞中でのHIV-1の増殖を視覚的に定性的にモニタリングすることを希望する場合には、場合により第一のベクター中に含まれていてもよいDsRedの発現に基づく赤色の発色を検出することによりモニタリングすることができる。DsRedの視覚的なモニタリングは、必ずしも定量性を有していないという欠点を有するが、増殖の事実を定性的に判断することは可能である。
4. 抗HIV-1薬剤候補化合物のX4 MaRBLE系細胞およびX4 R5 MaRBLE系細胞に対する細胞毒性の検出
本発明のX4 MaRBLE系細胞またはX4 R5 MaRBLE系細胞は、細胞自体の生存に依存してレニラルシフェラーゼを発現することができる。すなわち、細胞が生存しているときにはレニラルシフェラーゼを発現するためルシフェラーゼ活性が上昇するが、細胞が細胞死を起こすとレニラルシフェラーゼが発現されず、ルシフェラーゼ活性が低下する。
したがって、HIV-1を感染させた本発明のX4 MaRBLE系細胞またはX4 R5 MaRBLE系細胞を用いて抗HIV-1薬剤候補化合物のスクリーニングを行う際、細胞のレニラルシフェラーゼ活性を測定することにより、抗HIV-1薬剤候補化合物が細胞に対して及ぼす細胞毒性作用の影響を評価することができる。すなわち、HIV-1を感染させた本発明のX4 MaRBLE系細胞またはX4 R5 MaRBLE系細胞(試験群)と、HIV-1を感染させない同細胞(対照群)を調製し、試験群と対照群とを、抗HIV-1薬剤候補化合物を同条件で含有する培養条件下にて同条件で培養する。
対照群で生じた細胞死は、抗HIV-1薬剤候補化合物が本発明の細胞に対して直接的に及ぼす細胞毒性作用を反映したものであることから、対照群の結果に基づいて試験群の結果を補正することにより、抗HIV-1薬剤候補化合物のHIV-1の増殖に対する作用を、正確に判定することができる。もしくは対象群をおかずに試験群のみを抗HIV-1薬剤候補化合物を含有する培養条件下で培養し、FLとRLを同時に測定して判定することも可能である。
本発明の以下において、本発明をさらに具体的に説明する。しかしながら、これらの説明は、特許請求の範囲に記載される発明を限定することを目的とするものではない。
実施例1:X4 MaRBLE系細胞(X4 MaRBLE細胞およびその派生細胞)の作製
本実施例は、X4型HIV-1が感染することができるレポーター細胞を作製することを目的として行った。
X4 MaRBLE系細胞は、HIV-1感染のためのコレセプターCXCR4分子を天然で発現する、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞に由来する細胞であり、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターと、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクター2種類を用いて、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞を形質転換したものである。
すなわち、この細胞は、LTRプロモータの制御下にて発現されるホタルルシフェラーゼ(および場合によりさらにDsRed)による発光(および蛍光)を検出することによりウィルスの増殖を検出すると同時に、CMVまたはtkプロモータの制御下にて発現されるレニラルシフェラーゼにより細胞自体の生存を検出することができることを特徴としている細胞である。
具体的には、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターとして、HIV-1の長端末反復(long terminal repeat)プロモータ(HIV-1 HXB2株由来)の制御下にて、機能可能なようにレポータータンパク質(ホタルルシフェラーゼ(FL)またはホタルルシフェラーゼおよびDsRed(FL-DsRed))をコードする遺伝子をライゲーションした発現ベクター、「LTRプロモータ+Firefly luc+neo(ネオマイシン耐性)」の構造を有するベクター(LTR-FLベクター)(図1(a))または「LTRプロモータ+Firefly luc+DsRed+neo(ネオマイシン耐性)」の構造を有するベクター(LTR-FL-DsRedベクター)(図1(b))を作製した。
具体的には、「LTR-FLベクター」は、LTR遺伝子をHIV-1 HXB2株よりPCRで増幅し、このLTRをpGL4.10ベクターのホタルルシフェラーゼ(FL)上流に挿入したのち、LTR-ホタルルシフェラーゼ(FL)領域を切り出し、ネオマイシン耐性遺伝子を持つpcDNA3.1(+)ベクターのマルチプルクローニングサイトに挿入し、さらにこのベクターのCMVプロモーター領域を除くことにより作製した(図1(a))。また、「LTR-FL-DsRedベクター」は、LTR遺伝子をHIV-1 HXB2株よりPCRで増幅し、このLTRをpGLuc5ベクターのホタルルシフェラーゼ(FL)上流に挿入したのち、pDsRed1 N-1より切り出したDsRedをホタルルシフェラーゼ(FL)下流に挿入した。その後LTR-ホタルルシフェラーゼ(FL)-DeRed領域を切り出し、ネオマイシン耐性遺伝子を入れたpGEM-7Zf(+)ベクターのマルチプルクローニングサイトに挿入することにより作製した(図1(b、c))。
これらの発現ベクターは、選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子を含有する。したがって、これらのベクターのいずれかにより形質転換された細胞は、G418の存在下にて生存可能であることを指標として選択することができる。
一方、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクターとして、サイトメガロウィルス(CMV)またはチミジンキナーゼ(tk)プロモータの制御下にて、機能可能なようにレポータータンパク質(レニラルシフェラーゼ(RL))をコードする遺伝子をライゲーションした発現ベクター、「CMVプロモータ+Renilla luc+pac(ピューロマイシン耐性)」の構造を有するベクター(CMV-RLベクター)(図1(b))または「tkプロモータ+Renilla luc+pac」の構造を有するベクター(tk-RLベクター)(図1(a、c))を作製した。
具体的には、「CMV-RLベクター」はphRL-CMV(Promega)よりCMV-RL領域を切り出し、pPUR(Clontech)のピューロマイシン耐性遺伝子の上流に挿入することにより(図1(b))、「tk-RLベクター」はpPURベクター(Clontech)よりピューロマイシン耐性遺伝子を切り出し、phRL-TKベクター(Promega)のtkプロモーターの上流に挿入することにより(図1(a、c))、それぞれ作製した。
これらの発現ベクターは、選択マーカーとしてピューロマイシン耐性遺伝子を含有する。したがって、これらのベクターのいずれかにより形質転換された細胞は、ピューロマイシンの存在下にて生存可能であることを指標として選択することができる。
上述したヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞に対して、上述した第一のベクター(LTR-FLベクターまたはLTR-FL-DsRedベクター)、および第二のベクター(CMV-RLベクターまたはtk-RLベクター)を同時にトランスフェクト(コトランスフェクション)した。具体的にはベクターDNA各5μgを5×106ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)にエレクトロポーレーション法(250V、950μF)にてコトランスフェクションをおこなった。
コトランスフェクションした細胞を、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI 1640に250μg/mL G418、0.1μg/mLピューロマイシンを添加した培地でCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)で培養することにより、両方のベクターにより形質転換された細胞を選択した。
本明細書中においては、LTR-FLベクターおよびtk-RLベクターをトランスフェクションした細胞を「X4 MaRBLE細胞」と(図1(a));LTR-FL-DsRedベクターおよびCMV-RLベクターをトランスフェクションした細胞を「X4 MaRBLE(DsRed)細胞」と(図1(b));LTR-FL-DsRedベクターおよびtk-RLベクターをトランスフェクションした細胞を「X4 MaRBLE(DsRed/tk)細胞」と(図1(c));それぞれ呼ぶ。
このように作製されたX4 MaRBLE系細胞(例えば、X4 MaRBLE(DsRed)細胞)は、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)(FACSVantage system(BD Biosciences)を用いて細胞表面の抗原解析を行った結果、細胞表面にHIV-1の感染に必要なCD4分子、およびコレセプターCXCR4分子を両方とも発現していることが示された(図3)。
実施例2:X4 R5 MaRBLE系細胞(X4 R5 MaRBLE細胞およびその派生細胞)の作製
本実施例においては、X4型HIV-1だけでなく、R5型HIV-1も感染することができるレポーター細胞を作製することを目的とした。
X4 R5 MaRBLE系細胞は、基本的には、実施例1において上述したX4 MaRBLE系細胞またはその派生細胞に対して、コレセプターCCR5分子をさらに発現させることにより、X4型のHIV-1だけでなく、R5型のHIV-1もまた感染することができるように改良を加えた細胞である。
具体的には、X4 R5 MaRBLE系細胞は、HIV-1感染のためのコレセプターCXCR4分子を天然で発現する、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞に対して、HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクター、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクター、およびコレセプターCCR5分子を細胞内で発現させるための第三のベクター、の3種類のベクターを用いて、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞を形質転換することにより作製した。
HIV-1の増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクターとして、実施例1において作製したLTR-FLベクターまたはLTR-FL-DsRedベクターを使用した。
一方、細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクターとして、実施例1において作製したCMV-RLベクターまたはtk-RLベクターのいずれかを使用した。これらのベクターにより形質転換された細胞は、G418およびピューロマイシンの存在する培養条件下にて生存可能であることを指標として選択することができる。
また、CCR5を発現するための第三の発現ベクターとして、サイトメガロウィルス(CMV)プロモータの制御下にて、機能可能にCCR5分子を発現することができる発現ベクター(CMVプロモータ+CCR5+Hygro(ハイグロマイシン耐性)の構造を有するベクター)、CMV-CCR5ベクターを作製した。具体的には、「CMV-CCR5ベクター」は、pCEP4ベクター(Invitrogen)のマルチプルクローニングサイトにCCR5発現細胞よりPCRにて増幅したCCR5遺伝子を挿入して作製した。
CMV-CCR5ベクターは、選択マーカーとしてハイグロマイシン耐性遺伝子を含有する。したがって、このベクターにより形質転換された細胞は、ハイグロマイシンの存在する培養条件下にて生存可能であることを指標として選択することができる。
このように作製した各ベクターを用いて、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞を形質転換することにより、X4 R5 MaRBLE系細胞を作製した。まず、LTR-FLベクターまたはLTR-FL-DsRedベクター;およびCMV-RLベクターまたはtk-RLベクターのいずれか;の2種類のベクターを用いて、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞にコトランスフェクションした。
コトランスフェクションした細胞を、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI 1640に250μg/mL G418、0.1μg/mLピューロマイシンを添加した培地でCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)で培養することにより、両方のベクターがトランスフェクションされた細胞を選択した。
次いで、このようにして得られた細胞に対して、さらにCCR5を発現するための第三の発現ベクター、CMV-CCR5ベクターをトランスフェクションした。具体的にはベクターDNA 5μgを5×106のX4 MaRBLE系細胞にエレクトロポーレーション法(250V、950μF)でトランスフェクションをおこなった。
このようにしてトランスフェクションした細胞を、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI 1640に150μg/mLハイグロマイシンを添加した培地でCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)で培養した後、選択された細胞をさらに250μg/mL G418、0.1μg/mLピューロマイシン、150μg/mLハイグロマイシン存在下で培養することにより、CMV-CCR5ベクターにより形質転換された細胞を選択した。
このように作製されたX4 R5 MaRBLE系細胞は、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)(FACSVantage system(BD Biosciences)を用いて解析を行った結果、細胞表面にHIV-1の感染に必要なCD4分子、コレセプターCXCR4分子およびコレセプターCCR5分子をすべて発現していることが示された(図3)。また、LTRプロモータの制御下にて発現されるホタルルシフェラーゼ(および場合によりさらにDsRed)による発光(および蛍光)を検出することによりウィルスの増殖を検出すると同時に、CMVプロモータまたはtkプロモータの制御下にて発現されるレニラルシフェラーゼにより細胞自体の生存を検出することができることもまた特徴としている細胞であることが明らかになった。
本明細書中においては、LTR-FLベクター、tk-RLベクターおよびCMV-CCR5ベクターによりトランスフェクションした細胞を「X4 R5 MaRBLE細胞」と(図2(a));LTR-FL-DsRedベクター、CMV-RLベクターおよびCMV-CCR5ベクターをトランスフェクションした細胞を「X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞」と(図2(b));およびLTR-FL-DsRedベクター、tk-RLベクターおよびCMV-CCR5ベクターによりトランスフェクションした細胞を「X4 R5 MaRBLE(DsRed/tk)細胞」と(図2(c));それぞれ呼ぶ。
実施例3:X4 R5 MaRBLE系細胞での、R5型HIV-1の増殖性
本実施例においては、上述した実施例2において作製したX4 R5 MaRBLE系細胞において、HIV-1が効率的に増殖することができるか否かを確認することを目的として行った。
本実施例においては、HIV-1の細胞中での増殖をモニタリングしながら行うため、DsRedが挿入された第一のベクターを用いて形質転換を行った細胞を利用した。すなわちX4 R5 MaRBLE系細胞としてX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞を、X4 MaRBLE系細胞としてX4 MaRBLE(DsRed)細胞を、それぞれ使用した。X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞および対照としてのX4 MaRBLE(DsRed)細胞(それぞれ1×105細胞)に対して、野生型HXB2(X4型ウィルス)および野生型JRCSF(R5型ウィルス)(各50-400 TCID50)をそれぞれ感染させて、7日間培養を継続した後、細胞浮遊液75μLをアッセイプレートに移し、等量のルシフェラーゼの基質を添加し細胞内のホタルルシフェラーゼ活性をルミノメータで測定することにより、ウィルスの増殖性を調べた。
結果を図4に示す。この図からも明らかな様に、CCR5を発現していないX4 MaRBLE(DsRed)細胞ではHXB2(X4型ウィルス)のみが増殖したが、CCR5を発現させたX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞ではHXB2もJRCSF(R5型ウィルス)も同様に増殖がみられた。
また、FL量の測定により、ウィルス産生を定量的に評価できているかどうかを確認するため、細胞内のFLレベルと細胞培養上清中のウィルスカプシド抗原、p24の量の相関性を、X4 MaRBLE(DsRed)細胞株とX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞株の両方で調べた。まず、HXB2(X4型ウィルス)またはJRCSF(R5型ウィルス)を100TCID50/ウエルで感染させたX4 MaRBLE(DsRed)細胞株またはX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞株を、ウェル当たり1×105細胞となるように96-ウェルプレート中にまき、種々の濃度の抗HIV薬剤存在下で7日間培養した後、細胞を回収し、75μlのルシフェラーゼアッセイ試薬中で溶解した。ホタルルシフェラーゼ活性は、Dual-Gloルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega, Madison, WI)およびLMaxマイクロプレートルミノメーター(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使用して定量した。ウィルス産生は、p24抗原ELISA RETROtekキット(ZeproMetrix Co., Buffalo, US)により定量し、そしてホタルルシフェラーゼ活性と比較した。p24の量の代わりにFL活性を使用して、HIV-1産生を定量することの信頼性を確認するため、細胞内FL活性と上清p24抗原とを同一の培養物中で測定することにより評価した。結果を図5に示す。
図5において、実線、点線、および断続線はそれぞれ、HXB2-感染X4 MaRBLE(DsRed)細胞、HXB2感染X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞、およびJRCSF感染X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞を示す。細胞溶解物中のFL活性および培養上清中のp24抗原の量は、HXB2を感染させたX4 MaRBLE(DsRed)細胞中で(r2=0.98)、HXB2を感染させたX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞中で(r2=0.91)、そしてJRCSFを感染させたX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞中で(r2=0.94)、いずれも正の直線的な相関性を有することが示された。これらの結果から、X4 MaRBLE(DsRed)細胞株およびX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞株の両方により発現されたFL活性は、ウィルス複製レベルおよびウィルス産生レベルを正確に反映したものであることが確認された。これらの良好な相関関係はまた、感染細胞中の2つのLTR(すなわちルシフェラーゼを駆動するLTRと感染ウィルス由来のLTR)の間での干渉の可能性が低いことを示している。
実施例4:抗HIV-1薬剤に対するHIV-1の増殖性の検出(1)
本実施例においては、実施例1において作製したX4 MaRBLE系細胞および実施例2において作製したX4 R5 MaRBLE系細胞を用いて、抗HIV-1薬剤に対するHIV-1の増殖性の検出を行った。
本実施例においては、X4 MaRBLE系細胞としてX4 MaRBLE(DsRed)細胞を、X4 R5 MaRBLE系細胞としてX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞を、それぞれ使用した。CXCR4分子をコレセプターとして細胞に感染するX4型の野生型HIV-1HXB2株を使用して、実施例1において作製したX4 MaRBLE(DsRed)細胞および実施例2において作製したX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞にそれぞれ感染させた。一方、CCR5分子をコレセプターとして細胞に感染するR5型の野生型HIV-1JRCSF株を使用して、X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞に感染させた。感染は、各細胞1×105個/wellあたり、各HIV-1の感染力価100 TCID50(50%細胞感染量)を添加した。感染細胞を96 well丸底プラスチックプレート中で10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地中でCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)で培養した。
同一のウィルス株-細胞株-抗HIV-1薬剤の組合せについて、21から60検体の試料を調製し、各プラスチックプレートの培養液中に、抗HIV-1薬として代表的なAZT、3TC 、EFV 、およびLPVの各薬剤を連続5倍希釈したものを添加し、7日間培養を継続したのち、それぞれの薬剤濃度におけるルシフェラーゼ活性を測定した。本実施例において使用した各薬剤の濃度は、下記の通りである:
AZTとLPV:1、0.2、0.04、0.008、0.0016、0.00032、0.000064、0.0000128μM;
3TC:5、1、0.2、0.04、0.008、0.0016、0.00032、0.000064μM;
EFV:0.2、0.04、0.008、0.0016、0.00032、0.000064、0.0000128、0.00000256μM。
ウイルスを感染させていないときのルシフェラーゼ活性を0%、ウイルスを感染させて且つ薬剤を添加していないときのルシフェラーゼ活性を100%としてそれぞれの薬剤濃度での相対的ルシフェラーゼ活性を算出し、カーブフィッティングソフトウエアXlfit ver.4にて各薬剤のIC50値を求めた(計算式:f(x)=A+(B-A)/(1+(C/x)D)。求めたIC50の結果をグラフに表したものが、図6に示す図である。図6において、棒グラフは、IC50の分布のヒストグラムを示しており、曲線は、ばらつきを示す正規分布曲線である。この結果に基づいて算出した各薬剤のIC50値を、下記の表1にまとめた。
この結果から、X4 MaRBLE(DsRed)細胞およびX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞は共に、高感度で、ウィルス増殖性を測定することができるレポーター細胞であることが明らかになった。
実施例5:抗HIV-1薬剤に対するHIV-1の増殖性の検出(2)
本実施例においては、実施例2において作製したX4 R5MaRBLE(DsRed)細胞に対して、既知の薬剤耐性を獲得した臨床分離株を感染させ、既知の抗HIV-1薬剤(AZT、3TC、EFV、LPV)に対するそれぞれのウィルス株の薬剤耐性を検出することを目的として行った。
下記の表2に示した薬剤は現在使用可能な抗HIV-1薬剤であり、その作用機序により、ヌクレオシド類似体RT阻害剤(NRTI)系薬剤、非NRTI(NNRTI)系薬剤、そしてプロテアーゼ阻害剤(PI)系薬剤に分類されるが、本実施例ではそれぞれの系より下線で示す代表的な薬剤について評価を行った。
今回の試験に用いた臨床分離株に観察された薬剤耐性変異を下記の表3にまとめた。
これらの臨床分離株を、X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞に感染させ、表2に示したNRTI系抗HIV-1薬剤のうちAZTと3TC、NNRTI系抗HIV−1薬剤EFV、PI系薬剤ではLPVを、それぞれ使用し、実施例4に記載されたウィルス感染価測定方法に基づいて、各薬剤のIC50値を測定した。
結果を下記の表4にまとめる。この表において、野生型ウィルスJRCSF株をX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞に感染させた場合の各薬剤に対するIC50値を基準にして、それぞれの抗HIV-1薬剤ごとに、IC50値が何倍に上昇したか、すなわち薬剤耐性比率を、「倍」として示した。それぞれの値は、IC50値の平均±標準偏差を示す。
この結果から、薬剤耐性変異HIV-1ウィルス株を用いたX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞での薬剤感受性検査は、これまでに報告されている薬剤耐性の結果とほぼ一致することが明らかになった。
実施例6:薬剤に対する細胞の感受性の検出
本実施例においては、実施例1において作製したX4 MaRBLE(DsRed)細胞および実施例2において作製したX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞を用いて、薬剤に対するそれぞれの細胞の感受性(すなわち、薬剤の細胞毒性)の検出を行うことを目的として行った。
実施例1において作製したX4 MaRBLE(DsRed)細胞を、1×105細胞/ウェルの細胞密度で96ウェル丸底プレートに用意し、10%FCS、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むRPMI 1640に500、250、125、62.5、31.25、15.625μg/mLのハイグロマイシンB(Invitrogen)を添加した培地、または20、10、7.5、5、2.5、1.25μg/mLのブラスチシジンS(フナコシ)を添加した培地でCO2インキュベーター(37℃、5%CO2)で7日間培養後、細胞自体の生存に依存して発現するレニラルシフェラーゼ活性と、培養中の死細胞数を測定した。レニラルシフェラーゼは、Dual-GloTM Luciferase Assay System(Promega)を用い、レニラルシフェラーゼの活性を測定した。また、培養中の死細胞数は、トリパンブルーで染色された細胞(死細胞)を算定した。
結果を図7に示す。この図において、培養中の死細胞数を▲(点線)で示し、レニラルシフェラーゼ活性を●(実線)で示した。その結果、各抗生物質の濃度が高くなるのに伴って、死細胞が増加し、またレニラルシフェラーゼ活性の値が低下した。このことから、X4 MaRBLE(DsRed)細胞におけるCMVプロモータにより駆動されるレニラルシフェラーゼ活性は、死細胞数と逆相関することが示され、この細胞を候補薬物のスクリーニングに使用した場合に、レニラルシフェラーゼ活性を測定することにより、候補薬物の細胞毒性を評価することができることが示された。
このようにして作製した本発明のT細胞由来動物細胞は、第一のレポータータンパク質の発現を検出することにより、HIV-1の感染力価を測定することができるだけでなく、第二のレポータータンパク質の発現を検出することにより、細胞自体の生存を検出することができる。このような特徴を有することにより、本発明のT細胞由来動物細胞を用いて、抗HIV薬剤の候補化合物のスクリーニングを効率よく行うことができる。すなわち、第一のレポータータンパク質の発現を検出することにより、HIV-1の増殖に対する抗HIV-1薬剤の候補化合物の作用を評価することができると同時に、第二のレポータータンパク質の発現を検出することにより細胞自体の生存を検出でき、抗HIV-1薬剤の候補化合物が宿主となる動物細胞自体に与える細胞傷害作用(細胞毒性)を評価することができる。
図1は、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞にトランスフェクトしてX4 MaRBLE細胞を作製する際に用いた、LTR-FLベクターおよびtk-RLベクターの概略図(a)、X4 MaRBLE(DsRed)細胞を作製する際に用いた、LTR-FL-DsRedベクターおよびCMV-RLベクターの概略図(b)、そしてX4 MaRBLE(DsRed/tk)細胞を作製する際に用いた、LTR-FL-DsRedベクターおよびtk-RLベクターの概略図(c)をぞれぞれ示す。 図2は、ヒトTリンパ球由来HPB-M(a)細胞にトランスフェクトして、X4 R5 MaRBLE細胞を作製する際に用いた、LTR-FLベクター、tk-RLベクターおよびCMV-CCR5ベクターの概略図(a)、X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞を作製する際に用いた、LTR-FL-DsRedベクター、CMV-RLベクター、およびCMV-CCR5ベクターの概略図(b)そしてX4 R5 MaRBLE(DsRed/tk)細胞を作製する際に用いた、LTR-FL-DsRedベクター、tk-RLベクターおよびCMV-CCR5ベクターの概略図(c)をぞれぞれ示す。 図3は、X4 MaRBLE(DsRed)細胞およびX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞について、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)(FACSVantage system(BD Biosciences)を用いて細胞表面の抗原解析を行った結果を示す。 図4は、X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞では、HXB2(X4型ウィルス)もJRCSF(R5型ウィルス)も同様に増殖がみられることを示す図である。 図5は、HXB2-感染X4 MaRBLE(DsRed)細胞、HXB2感染X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞、およびJRCSF感染X4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞において、FLレベルと、ウィルスカプシド抗原、p24の量とを比較した図である。 図6は、CXCR4分子をコレセプターとして細胞に感染するX4型の野生型HIV-1HXB2株を感染させたX4 MaRBLE(DsRed)細胞(HXB2 / X4)およびX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞(HXB2 / X4 R5)、そしてCCR5分子をコレセプターとして細胞に感染するR5型の野生型HIV-1ウィルスJRCSF株を感染させたX4 R5 MaRBLE(DsRed)細胞(JRCSF / X4 R5)における、ウイルスに対する抗HIV-1薬剤のIC50の分布を示す図である。 図7は、X4 MaRBLE(DsRed)細胞におけるCMVプロモータにより駆動されるレニラルシフェラーゼ活性が、死細胞数と逆相関することを示す図である。

Claims (11)

  1. HIV-1ウィルスの増殖を検出するための第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第一のベクター;および
    細胞自体の生存を検出するための第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を含む第二のベクター;
    により形質転換された、T細胞由来動物細胞。
  2. ヒトT細胞由来細胞である、請求項1に記載のT細胞由来動物細胞
  3. 前記第一のベクターが、LTRプロモータの制御下において第一のレポータータンパク質をコードする遺伝子を発現することにより、HIV-1ウィルスの増殖を検出することができる、請求項1または2に記載のT細胞由来動物細胞。
  4. 第一のレポータータンパク質が、比色反応または発光反応のいずれか1種以上の測定系で検出できるタンパク質である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のT細胞由来動物細胞。
  5. 第一のレポータータンパク質が、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、DsRed、GFP、ペルオキシダーゼ、およびクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)からなる群から選択される、請求項4に記載のT細胞由来動物細胞。
  6. 前記第二のベクターが、サイトメガロウィルス(CMV)プロモータまたはチミジンキナーゼ(tk)プロモータの制御下において、前記第一のレポータータンパク質とは異なる第二のレポータータンパク質をコードする遺伝子を発現することにより、細胞自体の生存を検出することができる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のT細胞由来動物細胞。
  7. 第二のレポータータンパク質が、比色反応または発光反応いずれか1種以上の測定系で検出できるタンパク質である、請求項6に記載のT細胞由来動物細胞。
  8. 第二のレポータータンパク質が、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、DsRed、GFP、ペルオキシダーゼ、およびクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)からなる群から選択される、請求項7に記載のT細胞由来動物細胞。
  9. HIV-1ウイルス・コレセプターとして、CXCR4またはCXCR4とCCR5を発現している、請求項1〜8のいずれか1項に記載のT細胞由来動物細胞。
  10. 受託番号FERM P-21125を有する細胞。
  11. HIV-1感染価の測定のために使用する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のT細胞由来動物細胞。
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JPN6012027065; 薬剤耐性のモニタリングに関する技術開発研究 平成13-15年度 総合研究報告書 , 2004, p.6-19 *
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