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高帯域幅効率化通信
本発明は、複数のアクセス技術の組み合わせにより、使用可能なスペクトル帯域幅を非常に有効に活用する通信方法に関する。
限られたスペクトル帯域幅−トで動作する通信システムは、少ない帯域幅ソースを非常に有効に使用して、満足のいくサービスを多くのユーザに提供しなくてはならない。多くのユーザ要求と少ない帯域幅ソースを扱うこうした通信システムには、例えば、携帯電話や個人通信システム等のワイヤレス通信システムがある。
かかるシステムに使用して帯域幅効率を向上するため、つまり所定のスペクトル帯域幅内で効率的に送信できる情報量を増やすために、多様な技術が提案されてきた。これらの技術の多くは、各ユーザ信号の独自性を維持しながら、複数のユーザに対して同じ通信ソースを再使用することを含む。かかる技術は一般的に、多アクセス技術または多アクセスプロトコルと呼ばれる。多アクセス技術の中には、時間分割多アクセス(TDMA)、コード分割多アクセス(CDMA)、空間分割多アクセス(SDMA)、周波数分割多アクセス(FDMA)がある。
かかる多アクセスプロトコルの技術的根拠は、例えば、Rappaportによる「Wireless Communications Principles and Practice」Prentice Hall 1996に述べられている。
時間分割多アクセス(TDMA)プロトコルは、多数のユーザからの情報を時間分割多重送信することにより、割り当てられた一つの周波数帯域で多くのユーザからの情報を送信することを含む。この多重送信式型(scheme)では、特定の時間スロットを特定のユーザに振り分ける。特定の情報が送信される時間スロットを知っていれば、通信チャンネルの受信側で各ユーザのメッセージを分離して再構築できる。
コード分割多アクセス(CDMA)プロトコルは、独自コードを使用して各ユーザのデータ信号を他のユーザのデータ信号から区別することを含む。特定の情報が一緒に送信される独自コードを知っていれば、通信チャンネルの受信側で各ユーザメッセージを分離して再構築できる。CDMAプロトコルには4種類あり、ユーザのデータを周波数スペクトルの広い部分に拡散するために使用される特定の技術によって分類される。つまり、直接列(または偽ノイズ)、周波数ホッピング、時間ホッピング、ハイブリッドシステムである。CDMAプロトコルの技術的根拠は、例えば、Prasadによって最近書かれた「CDMA for Wireless Personal Communications」Artech House, 1996に述べられている。
直接列CDMA(DS−CDMA)プロトコルは、ユーザのデータ信号を、このデータ信号よりも高い帯域幅の独自コード信号によって変調することで、周波数スペクトルの広い部分に拡散することを含む。コード信号の周波数は、データ信号の周波数よりずっと大きくなるように選ばれる。データ信号はコード信号により直接変調され、変調された符号化データ信号は、単一の広周波数範囲を継続的にカバーする単一の広帯域キャリアを変調する。DS−CDMA変調キャリア信号が送信された後、受信機は、ユーザの独自コード信号の、ローカルに生成されたバージョンを用いて受信信号を復調し、再構築されたデータ信号を得る。このように受信機は、多くの他のユーザのデータ信号を運ぶ変調キャリアから、ユーザのデータ信号を抽出できる。
周波数ホッピング拡散スペクトル(FHSS)プロトコルは、独自コードを使用して、ユーザデータ信号の連続発射用狭帯域キャリア周波数値を変化することを含む。キャリア周波数値は、独自コードにしたがって、周波数スペクトルの広範囲にわたって変化する。CDMAプロトコルは拡散スペクトル技術と密接に関係しており、拡散スペクトル多アクセス(SSMA)という単語は、比較的広い周波数範囲を使用して比較的狭い帯域データ信号を分配するDS−CDMAやFHSSといったCDMAプロトコル用にも使用される。
時間ホッピングCDMA(TH−CDMA)プロトコルは、単一狭帯域キャリア周波数を使用して、ユーザの独自コードによって決定された間隔の間に、ユーザデータを一気に送出することを含む。
ハイブリッドCDMAシステムは、2個以上のCDMAプロトコル(直接列/周波数ホッピング(DS/FH)、直接列/時間ホッピング(DS/TH)、周波数ホッピング/時間ホッピング(FH/TH)、直接列/周波数ホッピング/時間ホッピング(DS/FH/TH))の組み合わせを使用する。
CDMAプロトコルは、ユーザに独自の異なるコードによって各ユーザの情報を変調する。各ユーザの情報は、通信チャンネルの受信側で分離して再構築する。これは、多重送信信号の、ユーザコードと関連した部分を分離することで行う。特定の実施の形態では、直交コードを使用する。これにより、異なるコードに関連する情報を完全に分離でき、クロストークを生じない。直交コードを使用しない場合は、「コードナリング」を用いて、多様なコード間の相関によって生じる干渉を制限してもよい。この技術は、直交してはいないが、クロストークを最小限に抑えるコードを選択して行う。
空間分割多アクセス(SDMA)送信プロトコルは、エネルギーの有向ビームを形成して、異なる場所にいるユーザと通信することを含む。このビームのエネルギー放射パターンは、空間的に互いに重畳しない。適応アンテナ列を段階的なパターン(phased pattern)で駆動して、選択された複数の受信機の方向にエネルギーを同時に進めることができる。この送信技術によれば、別々の方向を向いた各ビームに他の多重放送式型を再使用できる。例えば、特定の同−CDMAコードを、空間的に分離された二本の異なるビームに使用できる。したがって、ビームが重畳しなければ、ビーム/コードの特定の組み合わせによって独自に身元を確認できる限り、異なるユーザを同一のコードに振り分ける事ができる。
SDMA受信プロトコルは、複数部材適応アンテナ列を使用して、アンテナ列の受信感度を選択された送信ソースに向けることを含む。デジタルビーム形成により、適応アンテナ列によって受信された信号を処理し、任意の所定方向から受信した純粋の信号から干渉とノイズとを分離する。受信局は、アンテナ列の各アンテナ部材が受信したRF信号をサンプル抽出し、デジタル化する。この時、デジタルベースバンド信号は、アンテナ列の各アンテナ部材が受信したRF信号の振幅と位相を示す。デジタル信号処理技術を、アンテナ列の各アンテナ部材からのデジタルストリームに適用する。ビーム形成処理は、各アンテナ部材からのデジタル信号に重み値を適用し、これらの振幅と位相の数的表現を調節することを含む。この調整は、互いに加算された時に、所望のビームつまり所望の指向性を有する受信感度を形成するように行う。こうして形成されたビームは、アンテナ列が任意の所定方向から受信した物理的RF信号(physical RF signal)の、コンピュータ内でのデジタル表現である。送信機においてナルステアリング処理を行い、ナル領域の空間的方向を送信されたRFエネルギーのパターンに配置する。
受信側で行うナルステアリングは、受信機の利得または感度におけるナルの効果的な方向を制御するためのデジタル信号処理技術である。これらの処理は共に、ビーム間での空間的干渉を最小限に抑えることを意図する。複数部材アンテナ列を使用して有向ビームを形成するSDMA技術は、Swales等によるIEEE Trans. Veh. Technol. Vol. 39. No. 1, February 1990、および米国特許第5,515,378号に開示されている。適応アンテナ列を使用するSDMAの技術的根拠は、例えば、LitvaとLoによる最近の本である「Digital Beamforming in Wireless Communications」Artech House, 1996に述べられている。
周波数分割多アクセス(FDMA)プロトコルは、一つの周波数帯で多くのユーザに対してサービスを提供する。これは、特定の周波数スロットを特定のユーザに振り分けること、つまり、異なるユーザに関連する情報を周波数分割多重送信することにより行う。任意の特定情報を乗せた周波数スロットを知っていれば、通信チャンネルの受信側で各ユーザの情報を再構築できる。
直交周波数分割多重送信(OFDM)は、例えば、パルス状の信号をFDMA方式で送信する場合に直面する問題を解決する。通信科学において周知の原則により、かかる信号が持続する時間を制限すると、周波数空間における信号の帯域幅が本来的に広くなる。したがって、異なる周波数チャンネルが大きく重畳するかもしれない。このため、FDMAが拠り所とする原則である、ユーザ認識パラメータとして周波数を使用することができなくなる。しかし、後述するように、信号の継続時間が制限されていることで周波数チャンネルが重畳するにもかかわらず、特定の周波数に乗って送信されるパルス状の情報は、OFDM原則にしたがって分離可能である。
OFDMでは、データ率(data rate)とキャリア周波数とが特定の関係にあることが必要である。特に、全体の信号周波数帯域はN個の周波数サブチャンネルに分割される。各周波数サブチャンネルは、同一のデータ率1/Tを有する。これらのデータストリームは、1/Tによって周波数分離される多数のキャリアに多重送信される。こうした制限下で信号を多重送信すると、各キャリアは1/Tの倍数でゼロを有する周波数反応を有するようになる。したがって、データ率に関連した、信号帯域の広がりに因るチャンネル重畳にもかかわらず、多様のキャリアチャンネル間に干渉が生じない。OFDMは、例えば、Changによる「Bell Sys. Tech. Jour., Vol. 45, pp. 1775−1796, Dec. 1966」および米国特許第4,488,445号に開示されている。
パラレルデータ送信は、FDMAに関連する技術である。これはマルチトーン送信(MT)、離散マルチトーン送信(DMT)、またはマルチキャリア送信(MCT)とも呼ばれる。パラレルデータ送信は、単なるFDMAと比べて、計算上の大きな利点がある。つまり、各ユーザ情報は分割され、異なる周波数つまり「トーン」にのせて送信されるのであって、標準的なFDMAのように単一の周波数によって送信されるのではない。この技術の例として、毎秒NFビットの入力データは、毎秒Fビットのデータ率でNビットのブロックにグループ分けされる。N個のキャリアつまり「トーン」を使用して、これらのビットを送信する。各キャリアは、毎秒Fビットを送信する。キャリアは、OFDMの原則にしたがって間隔をあけて配置される。
パラレルデータ送信の利点は、この送信技術に関連する計算上の利点のいくつかから得られる。つまり、パラレルデータ信号はオリジナルのシリアルデータ列のフーリェ変換と同等であり、トーンの復調は逆フーリェ変換と同等である。これにより、シヌソイドジェネレータ、モジュレータおよび可干渉性復調器といった高額のシステムではなく、FFTを都合良く利用して、この技術を実行できることになる。例えば、WeinsteinとEbertによる「IEEE Trans. on Comm. Tech., Vol. com−19, No.5, Oct. 1971. page 628」を参照のこと。
パラレルデータ送信を使用して、多数のユーザにサービスを提供できる。これは、特定のトーンを特定のユーザに振り分けることにより行う。この技術では、特定の情報を任意の特定ユーザに独自に関連させることができる。これは、かかるユーザに振り分けられた周波数セットまたはトーンセットによってのみ情報を送信して行う。複数の周波数を一人のユーザに対して使用することで、周波数領域の不連続ではあるが広範囲にわたって、信号を拡散できる。これにより、拡散スペクトル通信によってよく知られている利点を得る事ができる。RocheおよびWynerに与えられた米国特許第5,410,538号を参照のこと。
更に、多重送信は、同一の周波数セットまたはトーンセットを異なるユーザに再使用することでも実現できる。これは、ユーザ特定拡散コードに基づいてトーンセットを変調して行う。同一のトーンセットに振り分けられたユーザは、多重送信信号の、それぞれに振り分けられたコードと相関する部分を分離することで、区別できる。Yee, LinnartzおよびFettweisによる「Multicarrier CDMA in indoor wireless radio networks」Proc. PIMRC '93, Yokohama Japan, pp. 109−113, September 1993を参照のこと。
キャリアの位相と振幅の両方を変化させて、マルチトーン送信の信号を表現できる。このため、マルチトーン送信は、M関連デジタル変調式型によって実行できる。M関連変調式型では、2個以上のビットをまとめてグループ分けしてシンボルを形成し、M可能信号の一つを各シンボル期間中に送信する。M関連デジタル変調式型は、例えば、位相偏移キーイング(PSK)、周波数偏移キーイング(FSK)、高次横軸振幅変調(QAM)である。QAMでは、信号は、運搬波の位相と振幅とによって表現される。高次QAMでは、振幅/位相プロットによって多数のポイントを区別できる。例えば、64関連QAMでは、64個のポイントを区別できる。6ビットの0と1によって64通りの組み合わせができるので、例えば6ビット列のデータシンボルは、64関連QAMのキャリアに変調できる。これは、可能な64個のセットの中から1セットの位相と振幅のみを送信して行う。
上記時間的およびスペクトル的多重送信技術のいくつかを組み合わせるための提案がなされている。例えば、Schillingに対して発行された米国特許第5,260,967号では、TDMAとCDMAの組み合わせが開示されている。Bruckertに対して発行された米国特許第5,291,475号およびBartholomewに対して発行された米国特許第5,319,634号では、TDMAとFDMAとCDMAとの組み合わせを開示している。
他にも、各種の時間的およびスペクトル的多アクセス枝術を、空間的多アクセス技術と組み合わせるための提案がされている。例えば、1991年12月12目に出願された米国特許第5,515,378号で、Royは「同一周波数、コードまたは時間チャンネルにおける多数のメッセージを、これらが異なる空間的チャンネルにあるという事実を用いて分離すること」を提案している。Royは、彼の技術を「アンテナ列」を用いた携帯電話通信に特別に適用することを提案している。同様の提案がSwales等によって「IEEE Trans. Veh. Technol. Vol. 39, No. 1, February 1990」において、またDavies等によって「A.T.R., Vol. 22, No.1, 1988」や「Telecom Australia, Rev. Activities, 1985/1986 pp. 41−43」において、なされている。
1992年6月23日に出願された米国特許第5,260,968号では、GardnerとSchellが、「空間的に分離可能な」放射パターンに関連して「スペクトル的に解体された」通信チャンネルを使用することを提案している。放射パターンの決定は、適応アンテナ列を使用して、信号の「自己可干渉性(self coherence)」特性を回復することにより行う。「基地局の適応アンテナ列を自己可干渉性回復(self coherence restoral)の信号処理に関連して使用し、異なる特定の場所にいるユーザから送られる時間的およびスペクトル的に重畳する信号を分離する。」発明の要約を参照のこと。しかし、この特許では、適応的解析と自己可干渉性回復だけを用いて、最良のビームパターンを決定している。「従来のスペクトルフィルタを使用して、空間的に分離不可能なフィルタを分離する。」
Winterは「適応列処理(adaptive array processing)」を提案している。この処理では、「複数のアンテナからの周波数領域データを結合して、復調のために、チャンネルの分離および時間領域への変換を行う。」1993年10月20日に出願された米国特許第5,481,570号の第1コラム66−67行および第2コラム14−16行を参照のこと。
Ageeは、「任意の通信ネットワークの基地局にあるM要素マルチポートアンテナ列を使用することで、ネットワークでの再使用頻度を約M倍に増やすことができ、適切な復調に必要な入力SINRの範囲を大幅に広げることができる」ことを示している(「Wireless Personal Communications; Trends and Challenges」 Rappaport, Woerner and Reed, editors, Kluwer Academic Publishers, 1994, pp. 69−80, page 69。また、Proc. Virginia Tech. Third Symposium on Wireless Personal Communications, June 1993, pp. 15−1 to 15−12も参照のこと。)Ageeは、彼の著作のこの点において、「任意のネットワークアプローチや変調方法のために、空間的多様性を開発できる。これは、復調処理以前に、マルチポート適応アンテナ列を用いて時間一致加入者信号を分離して行う。」と主張している。op.cit.page 72。同じ著作で、Ageeは、「非常に垂離した伝達範囲にわたる信号」を受信するという問題は、「典型的な通信ネットワークが採用する変調フォーマット固有のスペクトル的多様性を開発することで解決できる」と別途説明している。op.cit.page 69。CDMAネットワークの場合、Ageeは、「信号アンテナが受信したデータ信号は、背景干渉が存在する状態において、空間的干渉信号を受信する狭帯域アンテナ列によって生成される信号と強い類似性を有するベクトル列に変換できる」としている。op.cit.p.76。この議論は、「Mチップモジュレーションオンシンボル(MOS)DSSS拡散フォーマットを使用するCDMAネットワーク」の観点からなされる。op.cit.p.69。(DSSSは、直接列スペクトル拡散、つまりDS−CDMAプロトコルの略語である。)
GardnerとSchellは、1992年6月23日に出願された米国特許第5,260,968号において、「同一周波数を用いて二重通信を行うために」「基地局およびユーザからの信号を時間分割多重送信すること」を提案している。「基地局における全携帯ユニットからの受信は、基地局から全携帯ユニットに向けた通信から一時的に分離される(第5コラム、44ff行)。」同様に、米国特許第4,383,332号は、ワイヤレス複数部材適応アンテナ列SDMAシステムを開示している。ここでは、全ての必要な適応信号処理を基地局のベースバンドで「時間分割再送信技術」を用いて行う。
Fazelは、「Narrow-Band Interference Rejection in Orthogonal Multi-Carrier Spread-Spectrum Communications」、Recod, 1994 Third Annual International Conference on Universal Personal Communications, IEEE, 1994, pp. 46-50において、拡散スペクトルとOFDMとの組み合わせに基づく通信式型を説明している。複数のサブキャリア周波数は、それらに振り分けられた拡散ベクトル成分を有し、受信側に周波数多様性を提供する。この式型は、周波数領域解析を用いて干渉を椎定する。これは、逆拡散前に、各受信サブキャリアを重み付けするために使用される。この結果、干渉を含むこれらのサブキャリアを消すことになる。
この分野における関連する他の説明は、非特許文献1〜4の通りである。
非特許文献5〜12の参考文献は、適応ビーム形成を、CDMAにおける拡散コード処理と組み合わせる多様な方法を開示している。
N. Yee, Jean-Paul M.G. Linnarta, G. Fettweis, "Multi-Carrier CDMA in Indoor Wireless Radio Networks", IEICE Transactions on Communications, Vol. E77-B, No. 7 pp. 900-904, July 1994. L. Vandendorpe, "Multitone Spread Spectrum Multiple Access Communications System in a Multipath Rician Fading Channel", IEEE Transactions on Vehicular Technology, Vol. 44 No.2, pp.327-337, May 1995. L. Vandendorpe, "Multitone Direct Sequence CDMA System in an Indoor Wireless Environment", IEEE First Symposium on Communications and Vehicular Technology, Benelux Delft Netherlands, pp.4. 1 - 1 to 4.1-8, October 27-28- 1993. K. Fazel, "Performance of CDMAIOFDM for Mobile Communication System", 2nd IEEE International Conference on Universal Personal Communications, Otawa, Ontario, pp.975-979, October 12-15, 1993. G. Tsoulos, et al. "Adaptive Antennas for third generation DS-CDMA cellular systems", Proc. IEEE VTC'95, pp. 45-49, Aug. 1995. Y. Wang et al., "Adaptive antenna arrays for cellular CDMA communication systems", Proc. IEEE Intl. Conf: Acoustics, Speech and Signal Processing, Detroit, pp. 1725-1728, 1995. B. Quach, et al, "Hopfield network approach to beamforming in spread spectrum communications", IEEE Proc. Seventh SP Workshop on Statistical Signal and Array Processing, pp. 409-412, June 1994. A. Sandhu, et al. "A Hopfield neurobeamformer for spread spectrum communications", Sixth IEEE Int. Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications, Sept. 1995(ページ表示なし) A. F. Naguib, et al. "Performance of CDMA cellular networks with base-station antenna arrays", in C. G. Gunther, ed. "Mobile Communications - Advanced systems and components", Springer-Verlag, pp. 87-100, March 1994. V. Ghazi-Moghadam, et al, "Interference cancellation using adaptive antennas", Sixth IEEE Int. Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications, pages 936-939, Sept. 1995. H. Iwai, et al. "An investigation of space-path hybrid diversity scheme for base station reception in CDMA mobile radio", IEEE J. Sel. Areas, Comm., Vol. SAC-12, pp. 962-969, June 1994. R. Kohno, et al. "A spatially and temporally optimal multi-user receiver using an array antenna for DS/CDMA", Sixth IEEE Int. Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications, Toronto, pages 950-954, Sept. 1995.
多アクセスプロトコルのいくつかを組み合わせて帯域幅の効率を改善するというこれらの提案にもかかわらず、こうした組み合わせを実行することは、あまり成功していない。その理由の一つは、より多くのパラメータを組み合わせると、最適動作パラメータの計算がより困難になるためである。組み合わせた多アクセスプロトコルを実行するネットワークは、より複雑で高価になる。したがって、多アタセスプロトコルの組み合わせを使用した高度帯域幅効率化通信は、まだ研究の余地を残す。
本発明によれば、高度帯域幅効率化情報送受信方法を実現する。本発明の一態様によれば、複数の多アクセス高度帯域幅効率化通信技術を組み合わせる。本発明は、高度に効率的な帯域幅多アクセスシステムにおいて各ユーザの信号を抽出するために、受信信号の明確なスペクトルと空間的解析とを、統合化した動作で組み合わせている、との出願者の認識に、一部基づくものである。
本発明の一態様は、信号を少なくとも空間的に離れた2個の送信機から、複数部材アンテナ列を有する受信基地局に通信する方法である。各送信機は、異なる情報を示す信号を送信する。本発明のこの態様によれば、信号のスペクトル的特徴の数学的表現は、複数部材アンテナ列によって受信された信号の空間的特徴の数学的表現と実質的に同一の数学的形式に表すことができる。このため、受信機は、受信信号を効率的に処理して、信号を、その騒音干渉比率まで強化する適応スペクトル的および空間的逆拡散および拡散重みを同時に得ることができる。この時受信機は、送信機によって送信された各信号に関連するデータを同定でき、そのデータを各受信者に進めることができる。「拡散利得」という言葉を「拡散重み」に代えて使用して、これらの値が適応的であり、大きさを変えられることを強調できる。
本発明の他の態様では、信号のスペクトルフォーマットは離散マルチトーンスタックキャリア(DMT−SC)と呼ばれるものである。このフォーマットでは、ユーザのデータ信号は、重み付けられた離散周波数またはトーンのセットによって変調される。重みは、広範囲の周波数をカバーする複数の離散トーンに信号を分配する拡散コードであり、トーンの振幅を変調するように作用する実数成分(real component)を伴う複素数である。一方、重みのコンプレックス成分は、同じトーンの位相を変調するように作用する。重み付けされたトーンセットの各トーンは、同一のデータ信号を運ぶ。送信局にいる複数のユーザは、同じトーンセットを使用して彼らのデータを送信できる。しかし、このトーンセットを共用する各ユーザは、異なる拡散コードのセットを持っていなくてはならない。特定のユーザに対する重み付けされたトーンセットが受信局に送信されると、そこで逆拡散コードによって処理されて、ユーザデータ信号を回復する。受信機側の、空間的に離れた各アンテナにおいて、本発明の方法は、受信マルチトーン信号を、時間領域信号から周波数領域信号に変換することを含む。逆拡散重みを、各アンテナ部材によって受信された信号の各周波数成分に振り分ける。逆拡散重み値は、受信信号と組合わさった時に、特定のマルチトーンセットおよび送信場所によって特徴づけられた個々の送信信号の最良の近似値となるように決定される。
本発明の別の態様では、逆拡散重みのスペクトル部分は、受信局においてその値を適応的に調整して受信信号の品質を向上する。この処理は、適応的コードナリングと呼ぶ。明確なデータ信号を拡散するために使用する拡散コードが直交する場合、チャンネルにおける干渉を拡散データから除去できる。しかし、拡散コードが直交しない場合、これは空間的セルを近い位置に置く際に使用される拡散コードの場合であるが、クロス変調が生じ、データ信号は、単純な逆拡散によっては正確に区別されない。こうした状況を補償するために、コードナリング重みに受信信号を乗算する。受信信号中のクロス変調をゼロにすることで、データビットの適切な値が受信機から出力される。適応コードナリングの手順は、信号の品質を最大化する包括的逆拡散重みを導入する間に実行されてもよい。
本発明の別の態様では、逆拡散重みの空間的部分は、受信局においてその値を適応的に調整して、受信機の低利得またはナル領域の空間的方向を、ナルが周知の干渉信号ソースに向けられるように適応的にパターンに配置する。このように、干渉信号は空間領域においてエネルギーをそがれる。この「ナルステアリング」手順も、信号の品質を最大化する包括的逆拡散重みを導入する間に実行されてもよい。
本発明の別の態様では、ナルステアリングを行うために用いる数学的形式主義が、コードナリングを行うために用いる形式主義と類似していることが分かった。この類似によると、トーンセット中のトーンがコンプレックス重みによって乗算されてトーンの振幅と位相を変化させるように、アンテナ部材によって受信された信号の利得と相対的位相も、倍数的に増加する重みセットによって乗算される。コンプレックス重みによるこの乗算は、スペクトル的概念であるコードナリング、および空間的概念であるコードナリングの双方に対するマトリクス形式で表現できる。したがって、スペクトルコード領域において実施される計算は、空間的領域において実行される計算と正式に対応する。この結果、本発明のこの態様では、ナルステアリングは、コードナリンダを使用するシステムにおいて、ナルステアリングは、コンプレックス重みを計算するために使用されるスペクトル的マトリクスに追加の「空間的」範囲(dimensions)を加え、これらの「統合された空間的/スペクトル的」重みで信号を乗算することにより、実行できる。
本発明の別の態様では、信号は時間分割二重形式で送信される。例えば、基地局から遠隔端末に向かう信号は、遠隔端末から基地局に向かう信号とは異なる時間帯に送信される。本発明のこの態様の一実施の形態において、第1バースト時間ガード時間期間(first-burst time-guard time-period)によって分離された第1の複数の受信信号によるバーストが、受信局に受信される。次に、受信局は、第2バースト時間ガード時間期間によって分離された第2の複数の送信信号によるバーストを送信する。第1と第2のバーストは、第1バースト時間ガード時間期間または第2バースト時間ガード時間期間よりも大きなバースト時間ガード時間期間(interburst time-guard time-pel-iod)によって分離される。バースト間時間ガード時間期間は、受信局が受信した信号と、他の受信局が送信した信号との間の干渉を減少するために充分な程大きい。
本発明の他の態様は、多アクセス技術のいくつかにしたがってスペクトル的に処理されたデータの表現と、複数部材適応アンテナ列によって空間的に処理されたデータの表現との間に存在するであろう数学的な類似のワイヤレス通信への適用である。出願者は、この類似ゆえに、これらの解析は統合された数学的演算で組み合わせ可能であることを発見した。これにより、拡散コードを含む最適演算パラメータの計算を非常に平易にし、各個人ユーザに関連する信号の同定を可能にする。したがって、本発明のこの態様では、高度帯域幅効率化のために最も望ましい演算パラメータの動的かつリアルタイムでの計算と、各ユーザ信号の同定とが、複数の多アクセス技術を使用しているにもかかわらず、より経済的に行われる。
本発明の他の態様においては、出願者は、DMT−SCにおいて重み付けされたトーンセットにわたって信号を拡散することは、複数部材適応アンテナ列によって処理されたデータのフォーマットに類似する多アタセススペクトル処理フォーマットの一つであることを示している。したがって、本発明の実施の形態においては、複数部材適応アンテナ列技術を使用した空間分割多アクセス(SDMA)は、DMT−SCと組み合わされて、大きな計算上の効果を奏する。
本発明の更に他の態様は、これらの技術は、より高次の変調フォーマット(より高次のQAM、M関連PSKまたはFSK等)と組合わさって、更に高度の帯域幅効率を得る。
本発明の実施の形態では、一回のマトリクス計算によって、以前はコード決定、コードナリング、ビーム形成、およびビームステアリングといった別々のステップであったものを含む拡散/逆拡散関数を実行する。この演算により、最良の信号雑音干渉比になる逆拡散重みを生じる。
現在、本発明は、ユーザの数やその必要性に比べて帯域幅が少ないワイヤレス通信の分野(セルラ通信や個人通信等)に有利に適用されている。この適用は、携帯、固定、あるいは最小限に携帯可能なシステムにおいて実行されるかもしれない。しかし、本発明は、ワイヤレスではない他の通信システムにも同様に有利に適用してもよい。
以下では、本発明の原理の態様を、純粋なスペクトル的多様性の例、純粋な空間的多様性の例、スペクトル的および空間的が混合された多様性の例をあげて、述べる。その後に、本発明を高レベルで概覧する。それには、本発明の態様を実行するにあたって使用する波形の説明も含まれる。また更に、より特定的な「発明の詳細」を続け、「本発明の特定の実施の形態」を詳述する。
(本発明の高レベル概覧)
(イントロダクション)
本発明は、複数部材適応または段階的アンテナ列によって形成されるビームの数学的記載と、ある種の多アクセス式型(典型的なDMT−SC等)によってフォーマットされた信号の数学的記載との間に類似性があることを認識したことに、一部基づく。この認識に基づき、出願者は、複数の多アクセス技術を組み合わせる際に必要な計算を簡素化できた。本発明を用いて電磁気スペクトルの限られた帯域幅領域を有効に使用し、多くのユーザにサービスを提供できるかもしれない。本発明の技術にしたがって組み合わせる技術は、複数部材アンテナ列を使用するSDMA、DMT−SC、および高次の変調フォーマット(高次QAM等)を含む。
(本発明の指導的表示)
図1Aから図1Cは、本発明の様態に含まれる技術を指導的に示した図である。図1Aは、異なる2人の加入者アリスとボブが同一のスペクトル周波数をいかにして使用できるかを指導的に示す図である。アリスとボブは同じ場所にいて、彼らのスペクトル周波数は同一であるが、これらの周波数は異なるように符号化されている。つまり、アリスの信号はコード1で符号化され、ボブの信号はコード2で符号化される。この結果、2つの信号が「混合」しても、異なるコードに基づいて、箱1A.1で分離され、アリスとボブの異なる信号を提供できる。
図1Bは,異なる2人の加入者チャックとデイブが同一のスペクトル周波数をいかにして使用できるかを指導的に示す図である。チャックとボブは同一の周波数を使用しているが、異なる場所にいる。彼らのスペクトル周波数は同一であり、信号は「混合」するが、彼らの信号は2つの異なる場所から発しているので、箱1Bで分離され、チャックとデイブの異なる信号を提供できる。
図1Cに示すように、もし、アリス、ホブ、チャック、デイブがみな同じ時間に同一の周波数を用いて送信したら、彼らの信号は図1に示すように分割されるであろう。
本発明の一態様によると、信号は、図1Cに示すように、一つの段階で分離され、箱1C.1における一つの信号動作によって分離される。出願者は、信号のスペクトル的記述と、空間的記述との間に数学的類似性があるために、この信号の統合された分離が可能であることを示した。
(エアリンク離散マルチトーン送信)
本発明が実行される典型的な通信システムが図1Dに示されている。同図では、多様な要素11は、典型的な、ユーザ向け固定遠隔端末であり、箱12は、これら遠隔端末のいくつかに関連する基地局である。ここでは、「固定」遠隔端末という言葉は、使用中に移動しない遠隔端末だけでなく、呼が成立している間は一つの基地局によってサービスを受けている限り、可動である端末にも適用される。他の「固定された」実施の形態では、呼が成立している間の空間セル間の移動や、時速10または5マイル未満の移動が可能である。他の遠隔端末と基地局を示す。
遠隔端子と基地局とは典型的なエアリンク13で接続されている。基地局は「ワイヤレスネットワークコントローラ」14に接続されていてもよく、このコントローラ14は、より広域の遠距離通信ネットワーク15に接続する。基地局とネットワークコントローラとの接続、およびコントローラと電話ネットワークとの接続は有線でも無線でもよい。
本発明の一態様は、典型的なエアリンタ13に関する。エアリンク13は、基地局と遠隔端末とを接続する。こうしたエアリンクは少ない帯域幅ソースを使用し、高度帯域幅効率化モードにおいて有利に動作して多くのユーザに対処する。図IDに13として示すエアリンクは、多数の複合(complex)通信技術を含む。
第一の技術例は、「離散マルチトーンスタックキャリア(DMT−SC)」と呼ばれるマルチトーン通信の実施の形態である。この技術では、図2に21で示すように、信号は離散運搬周波数によって送信される。同図に示すように、特定のトーンが特定のユーザに割り振られる。上記のように、トーンは「直交」するように1/Tの周波数毎に間隔をあけて配置され、OFDMのように、互いに干渉しない。この時、Tはシンボルレートである。つまり、各トーンは異なるデータを運ぶことができるが、ここでなされる議論の目的のため、周波数多様性の利点を理解するために、特定のユーザに振り分けられた多様なトーンの少なくともいくつかは余計な情報を運んでいると仮定する。周波数の幅にわたってこのように冗長な送信が行われることにより、周波数のいくつかが重大な干渉を受けた場合でも、信号を回復できる。重大な干渉は、固定遠隔端末を含む、本発明の実施の形態において、特別の関心事項である。上記のように、この信号フォーマットのいくつかの実施例において、高速フーリェ変換計算技術を用いて解析を行うことが可能である。
(DMT−SC)
本発明の一態様において、重み付けしたトーンセット上に信号を拡散することで、帯域幅効率を向上する。この時、各ユーザは、特定のトーンと重みセットに振り分けられる。この技術を図3に示す。同図では、1,2,3,4と同定される4つのトーン上で同じデータを送信する。ユーザ1は「+1」が、ユーザ2は「+1」が、ユーザ3は「+1」が、ユーザ4は「−1」が、それぞれ送信される。同一のトーンを使用して異なる4人のユーザに情報を送る。この時、各ユーザに対して異なる「重み」を使用する。これらの重みをユーザ特有コードと見なしてもよいし、これらを「重み」「コード」または「重みコード」と呼んでもよい。この帰納的な例では、ユーザとトーンの組み合わせ用の重みコード値を、データ値に乗算することで、特定のそのトーンの振幅を得る。たとえば、第2ユーザの重みコードは「1−1 1−1」である。これは、第2ユーザ用の第1トーンの振幅はデータ値の+1倍であり、第2トーンの値はデータ値の−1倍等であることを意味する。例えば、第2ユーザの第2トーン値は、データ値+1に、第2ユーザの第2トーン用の重みコード−1を乗算して、−1を導き出している。これを、第2行の第2位置に示す。この処理を「拡散」と呼ぶ。この処理によってトーンセット上へのデータ拡散を行うからである。
同図の最後の行に示す、多様なトーン値を加算して合成スペタトル(composite spectrum)を得て、これを送信する。拡散データを受信すると、データは「逆拡散」される。つまり、多くのユーザに送信されるデータは、合成スペクトルに特定ユーザの重みコードの逆数を乗算して得る。これは、適切なマトリクス技術を用いて、全ユーザに対して同時に行う。
この「離散マルチトーンスタックキャリア(DMT−SC)」技術と、占典的な拡散スペクトル技術の周知の実施の形態との間の相違を憶えておくことは役立つ。直接列拡散スペクトルでは、各データシンボルを一連のコードパルスで乗算する。これにより、スペクトルの、より広い領域にデータを拡散する。周波数ホップ拡散スペクトルでは、異なる時間スロット間に異なるスペクトル領域にわたってデータを送信する。これは、事前に規定されたホッピングコードにしたがって行う。本発明に用いるDMT−SCでは、直接列の場合のように継続した広域周波数ではなく、重み付けされた離散周波数セットによって信号を変調する。
この例では実数セットとして説明しているが、拡散コードは各ベクトルが複素数であるベクトルを含んでもよい。
(「符号化」処理のマトリクス表現)
たとえば、「拡散」と「非拡散」に用いる高次装置構成の概要を図4に示す。同図において、41はデータDであり、これはDMT−SC信号を変調する。42において、多様なDMT−SCキャリアは符号化される。これは、図3に示した通りである。拡散動作の数学的記述は、式43に示す。ここで、SDは「拡散データ」、CMは「コードマトリクス」、Dは「データ」を示す。マトリクス動作の詳細は式44に示す。ここでは、45は、図3のデータを示すデータベクトル列であり、46は同図のコードマトリクスであり、47は合成スペクトルまたは拡散データベクトル列である。
拡散データSDが受信されると、60で示されるベクトル動作によって「逆拡散」される。ここで、SDは受信された「拡散データ」であり、CM−1は、コードマトリクスの逆数であり、DDは「逆拡散データ」である。「逆拡散データ」は、オリジナルデータを反射する。このベクトル動作は、48に詳細に示す。ここで、49は受信拡散データであり、50はコードマトリクスの逆数であり、51は逆拡散データである。SDMAの効果に関する次章での議論において、このコードマトリクスの大きさは、使用されるトーンの全体数によって決定することに注意することが大切である。
「本発明に関する詳細」の章で次に述べるように、直交コードを使用することは必要ではない。実際、本発明の多くの実施の形態において、コードは、通常、直線的に独立しているだけで、異なるコードを有するユーザ間のクロストークの影響は「コードナリング」処理を用いて処理される。この「コードナリング」処理は、自動的に本発明の一態様の実施となる。
(「符号化された」マルチトーン送信におけるSDMAの使用)
本発明の重要な一態様は、スペクトル的に処理された信号(DMT−SC信号等)のいくつかの数学的記述は、複数部材適応アンテナ列によって空間的に処理された信号の数学的記述と類似するという認識を含む。したがって、このようなスペクトル的に処理された信号の数学的記述は、DMT−SCマトリクスの大きさを単純に大きくして、アンテナ列のアンテナ部材の数を考慮すれば、同時に、複数要素適応アンテナ列による空間的処理を記述することになるかもしれない。各トーンに乗算される拡散重みを含む「スペクトル的/空間的マトリクス」の組み合わせの寸法(dimentionality)は、エネルギーを与えられたアンテナ部材の数を乗算したトーンの数と等しい。
発明の説明で述べたように、本発明の一態様を記述する数学的形式主義は、受信信号のコードおよびアンテナ局面の双方を同様に扱う。したがって信号処理によって自動的に、符号化された他の信号とのクロストークが最小限であるコードを生み出すだけでなく、他のビームに照らされたユーザからの干渉を最小限にするビームの形成にもつながる。これらの効果は、通常は別個にもたらされるものであり、それぞれコードナリング、ナルステアリングとして知られている。これについては、「発明の詳細」の章で詳述する。
(チャンネル反応、平準化、および信号抽出)
この点の議論は、チャンネル反応の影響についてのいかなる記述も含まない。図5に示す「チャンネル反応」マトリクスによって、チャンネル反応に因る歪みを形式主義に導入できる。同図において、52で示す受信データ「RD」は、図4に示す拡散データとはもはや等しくはなく、チャンネル反応「CR」によって歪められる。受信データは、52に示すように、拡散データとチャンネル反応の産物である。この影響は、図3の例で用いた番号と共に53に示す。図示されるように、逆拡散データ54は、もはやオリジナルデータ値を有さず、チャンネル反応によって歪められた番号を有する。この歪みを訂正するために、コード逆拡散マトリクスは、チャンネル歪みを「平準化する」条件を含まなくてはならない。
本発明の一実施の形態において、このチャンネル反応ベクトルは、パイロット信号を送信して、チャンネルによって信号に生じた歪みに注目することで決定される(「パイロット駆動平準化」)。他の実施の形態では、チャンネル反応の影響は、送信データに関連する信号対雑音干渉比(signal-to-noise-and-interference)を最大化させる「逆拡散マトリクス」を単純に適応的に算出することで「平準化」される(データ駆動平準化)。算出された最適システムパラメータは、チャンネル反応の数学的表現を含んでもよい。これらのチャンネル反応パラメータを、基地局あるいは遠隔端末で使用して、チャンネル歪みを「平準化」してもよい。これらのパラメータは、リンクのどちら側で使用してもよい。これは、少なくとも短時間であれば、チャンネルは相互的であるからである。もちろん、遠隔端末ではなく中央でこうした計算を同様に行ってもよい。本発明のこの態様において主要なことは、ある種の計算が再利用できることである。したがって、受信信号に用いた逆拡散重みを、最小限の変更を加えただけで、再使用して、次の通信の信号を拡散できる。後方指向性と呼ぶ処理である。さらに、基地局で算出された重みを、遠隔端末で再使用できるかもしれない。
もちろん、最適システムパラメータの計算や、組み合わされた信号からの、各ユーザに関連するデータの適応抽出は、基地局で見られたり、また送信される全システム信号を考慮ながら、行われる。したがって、遠隔端末は、遠隔端子自身が受信し、基地局が受信しない干渉信号を考慮するために、自分自身の逆拡散重みを計算してもよい。簡単にするためには、遠隔端末においては、ビーム重みを計算するのではなく、固定ビームパターンを用いればよい。これは、遠隔端末はどこに固定基地局があるかを知っており、一旦そのビームパターンが固定されてしまえば、再度最適化する必要がないからである。
(変調形式)
ここまでは、信号を0と1として示してきたが、搬送波は、高次QAMなどの多数の信号変調形式のいずれかによって変調させてもよい。このような例示する形式では、複合スペクトルは、図6に学習を助けるように示すようになる。この図では、図2に示すようなトーン集合は、x軸に示されている。様々なトーン集合に使われる異なるコードは、z軸に示される。最後に、QAM変調に関連する配列は、円としてy軸に示される。電圧を加えられる特定の配列ポイントは、閉じた円として示す。z軸を「つぶし」て取得する複合スペクトルは、x−z次元に示す。にじみは、特定のトーンの電圧を加えられた全ての配列の複合を表わす。
(時分割双方向)
本発明の一つの実施形態では、本発明による効率的な帯域幅の送信技法が、時分割双方向(TDD)構成と組み合わされる。このTDD構成はすなわち、チャンネルが、タイムスロットに分割され、アップリンク送信とダウンリンク送信が、隣接するタイムスロットで交互に生じる。単純なTDD構成を図7に示す。この図に示すように、交互のタイムスロットでは、情報がアップリンク(基地局から遠隔局)で送信され、次にダウンリンク(遠隔局から基地局)で送信される。ガード時間が選択され、マルチパスによる遅延時間を可能にする。全ての遠隔局と基地局が同期化され、全ての遠隔局が同じ時間に送信し、全ての基地局が同じ時間に送信することもできる。広く知られたGPSの技術をこのような同期化に使用できる。
上に示すように、TDDの使用と、チャンネルの応答はTDD周期に比べて変化が遅いという仮定とによって、少なくとも与えられた場所において受信及び送信の、接触するサイクルの間、拡散及び逆拡散を交換して使用することを可能にする。同様に、第一の場所で計算された「拡散/逆拡散マトリックス」の大きな部分を第二の場所で再使用できる場合もある。例えば、基地局で、前のTDD周期の間に計算された重みを遠隔局で使用できる。この重みから各ユーザの情報を引き出すことができ、基地局での重みの計算は、基地で受信した信号の信号対雑音及び干渉比を最大にするように行われる。この実施形態では、基地がその遠隔局へ遠隔局の適切な「チャンネル等化コード」または「重み」をTDD形式を使って送信する。遠隔局は、重みの少なくともいくつかの再計算を行う場合もあるが、基地局で行われた重み分析のいくつかに頼る場合もある。これにより、計算の大きな部分は基地局、又は遠隔局から離れたほかの場所で行われることができる。これにより、数が多い遠隔局のコスト及び複雑さを、少なからず低減する。
もちろん、この本発明のもう一つの実施形態を実施するには、一つのアップリンク及び一つのダウンリンクタイムスロットの周期の間、最適化のパラメータが比較的一定である必要がある。その後は、周期毎に新しく計算された最適化パラメータを決定でき、遠隔局に送信できる。
(オンデマンドの帯域幅)
上に記載したように、本発明は特に、要求があり次第(オンデマンド)、様々な帯域幅を提供するようにうまく適合されている。このような追加の帯域幅の提供は、単純に、要請をしたユーザに、より多くのトーンまたはコードを割り当てるか、又はより高次の変調形式で送信するかによって達成される。
(本発明の詳細な例示)
(DMT−SCと適合アンテナアレイ処理との類比)
スペクトルマルチアクセス技法の使用を伴う本発明の態様は、適合アンテナアレイ信号の数学的な描写と数学的に類似し、理解を助けるための図14に関係してよりよく理解できる。この図では、10は、離散マルチトーンスタックキャリア(DMT−SC)の数学的な描写である。10では、ベースバンド信号、d(t)が、拡散コードと掛けられ、この拡散コードは、トーン周波数と関連するキャリヤの重み、gkの集合からなる。これは直接的な連続拡散スペクトルとは違うことを理解すべきであり、この直接的な連続拡散スペクトルでは、ベースバンド信号が重みを加えられたキャリヤではなくPNコードによって掛けられる。10の表現は、20のようなブロック形式に書き直すことができる。ここで、gkに関連して重みを付ける運算は、指数の運算から分離され、この指数の運算は図において「逆周波数チャンネル化」、例えば逆FFTとして示す。本発明のこの態様の重要な点は、出願人がこの表現方法が、適合アンテナアレイの表現方法に類似していることを認識した点であり、適合アンテナアレイの表現方法では、ベースバンド信号が開口ベクトルによって掛けられる。
DMT−SC逆拡散動作を、理解を助けるための図15に示し、出願人は、この動作も適合アンテナアレイ処理の類似した表現方法に類似することを発見した。10では、広帯域信号x(t)が帯域フィルタBPFを通され、次に逆拡散コードw(t)に掛けられ、元の信号d(t)を取得する。このw(t)は通常は図15の拡散コードの逆関数である。逆拡散における重みを、例えば信号対雑音の最大化のために、適切に計算することにより、チャンネルでの歪みや他の干渉信号を自動的に修正できる。20では、図14同様に、逆拡散動作がここでも指数係数から分離される。ここで、受信信号x(t)は、干渉項i(t)と、送信信号s(t)に歪み項h(t)を掛けたものとの和として示される。図14から、送信信号s(t)はg掛けるd(t)と等しく、図15の式30が導かれる。出願人は、この方程式が、適合アンテナアレイの出力を表わす方程式と類似していることを認識した。
本発明の一つの態様によれば、このDMT−SCと適合アンテナアレイ処理との類似によって、空間の式とスペクトルの式とが一つの数学的な式に組み合わさる可能性につながる。この一つの数学的な式は、一つの統一されたスペクトル/空間計算によって解くことができる。これはまた、適合アンテナアレイのヌルステアリング(null steering)と一般的なCDMA、特にDMT−SCにおいてのコードヌリング(code nulling)との更なる類似の発見にもつながる。本発明のもう一つの態様によれば、以前に概算されたスペクトル拡散及びビームステアリングの重みに逆拡散の重みを設定する代わりに、信号質のなんらかの一般的な測定基準を最大化するように逆拡散重みを適合して計算する。このなんらかの基準は、チャンネルから直接測定された特性又は機械的な適合動作、又はこの二つの組み合わせである。
(時分割双方向)
エアリンタの実施形態で使われるTDD信号プロトコルを図7に示す。図7には、二つの5MHzの周波数帯域が80MHz離れて示されていることに注目したい。一つの実施形態では、同一のデータが両方の5MHzの帯域上に送信され、マルチパスフェード効果を低減する。二つの帯域間の80MHzの間隙が、同じマルチパスフェードが両方の帯域と干渉しないことを保証する。これに加え、5MHzの周波数帯域は、4個の1MHzの副帯域に分けられ、各5MHzの帯域の下部及び上部の500Hzが、ガード帯域として指定される。下部の5MHz帯域の4個の1MHzの副帯域は、上部の5MHz帯域の対応する副帯域と調和される。つまり、例えば、下部の5MHz帯域の第一副帯域が上部の5MHz帯域の第一副帯域に複製を作られる、などである。
一つの好適な実施形態では、基地局から遠隔局への送信期間と、遠隔局から基地局への送信期間(Tsymbol)が、約340ミリ秒である。一つの実施形態では、送信と受信の間のガードタイム(Tguard)が約35ミリ秒であり、総合再訪時間(Trevisit)は約750ミリ秒である。既に述べられたように、また、より詳しく以下に説明するように、Trevisitの選択されたどの長さの期間であっても、実質上同一のチャンネル特性が観察されることを保証するために、エアチャンネルで重大な変化が起こりそうな時間の量よりも、Trevisitが小さいことは重要である。
前方送信バーストと後方送信バーストとの間のガードタイム、Tguard'は、マルチパス反射を相当に減衰することを可能にするために十分な長さである必要がある。基地と基地との干渉のため、前方送信バーストと後方送信バーストとの間に十分なガードタイムが必要になる。本発明の一つの実施形態では、4個の前方バーストが、介入する後方バースト無しに送信され、次に4個の後方バーストが送信される。4個のバーストの間のガードタイムは、4個のバーストの最後のガードタイムに比べて、非常に小さい。これにより、基地と基地との干渉を低減する。
(信号処理の高いレベルでの視点)
図8は、信号のフローチャートであり、本発明の一つの実施形態で、基地局と遠隔局との間のエアインタフェース上で送信される音、映像、音声、又はデータ信号に対して実行される信号処理ステップを概して示す。図8に示すように、信号(音、映像、音声またはデータを含んでもよい)が、通信リンクから入力端末1010に供給される。この信号は次に、信号全体が一つのパケットとして送信時間Tpacketで送信できるように、デジタル形式でパケット化される。ブロック1012内に示すように、パケット化された信号は次に、直交振幅変調(QAM)で符号化され、エラー符号化(例えば、広く知られたリードソロモン(Reed−Solomon)及び/又は格子状符号化技法などを使う)される。もちろん、本発明のほかの利点がある実施形態では、二進位相シフトキー(Binary phase shift keying)(BPSK)又はM進位相シフトキー(M−ary phase shift keying)(MPSK)を、QAMの代わりに用いてもよいことを理解すべきである。
写像装置1012は、写像計画に基づき、nビットの2進数の値を表わす複素数を出力する。例えば、もし16QAMが使われた場合、符号器1012は、4ビットの2進数の値を出力し、24=16なので、16通りの値のうちの一つを出力する。同様に、もし256QAMが使われた場合、28=256なので、符号器1012は、8ビットの2進数の値を表わす256の複素数を出力する。写像装置に入るビットは、チャンネルエラーに対して保護するために、前方エラー修正で符号化されてもよい。
符号化された信号は次に、ブロック1013内に示すように、周波数帯域の一部に拡散される。本発明の実施形態によれば、DMT−SC拡散技法が使われ、符号化された信号を、全体の周波数スペクトルの中のいくつかの周波数トーンに拡散する。符号化されたキャリア信号を拡散するために使う方法は、以下に図9の信号処理フロー図を参照にしてより詳しく説明する。
(マルチトーンを使っての並列データ送信)
信号を複数のキャリアに分割し、送信すること−並列送信−は、例えば、レオナルド・J・シミニジュニア(Leonard J.Cimini Jr.)による「Analysis and Simulation of a Digital Mobile Channel Using Orthogonal Frequency Division Multiplexing」,IEEE Transactions on Communications Vol.Com 33,No.7,July 1985という論文で説明されている。簡単には、並列送信とは、直列のデータストリームを並列のデータストリームに変換し、異なる離散キャリアトーンを並列の各データストリームで変調する技法である。
例えば、4個のトーンを含むキャリア(トーン集合と呼ばれる)の集合を考慮する。直列のデータストリームは次に4個の並列データストリームに分割され、この分割は4個目の記号ごとにその記号をトーンの特定の一つに割り当て行われる。例えば、1番目、5番目、及び9番目の記号が第一のトーンに割り当てられ、2番目、6番目、そして10番目の記号が第二のトーンに割り当てられる、などなどである。従って、トーン集合の第一のトーンは、第一の並列データストリームへの記号の値の出力に対応する振幅と位相に設定され、トーン集合の第二のトーンは第二の並列データストリームへの記号の値の出力に対応する振幅と位相に設定されるなどである。本発明の特定の有利な実施形態では、トーン間の間隔は、注意深く選択され、直交周波数分割多重放送(orthogonal frequency division multiplexing)(OFDM)を提供する。
変調計画などのPNコード方法を図9に示す。上述のように、並列データストリーム中のデータは、同一のデータであっても異なるデータであってもよい。この技法の主な利点は、処理された信号が事実上、元のデータストリームのフーリェ変換であることを示すことができ、列をなすコヒーレント復調器が事実上、フーリェ逆変換であることである。本発明の一つの態様では、これらの技法を使い、高速フーリェ変換(FFT)及び高速フーリェ逆変換(IFFT)処理の計算上の利点を取得する。
(DMT−SCの詳細)
本発明の例示する実施形態では、エアリンクに割り当てられた全体の帯域幅は、1850から1990MHzの範囲で10MHzである。この全体の帯域幅は、二つの5MHzの帯域に分割され、一方を下部RF帯域、もう一方を上部RF帯域と呼ぶ。下部RF帯域の最低周波数と上部RF帯域(DF)の最低周波数との間の間隔は、80MHzである。ネットワークのベース周波数(Fbase)は、下部RF帯域の最低周波数として定義される。
下部及び上部RF帯域は、さらに副帯域に副分割される。各帯域の最初及び最後の0.5MHzは、ガード帯域として指定され、したがって使用されない。各帯域の残存の4MHzは、次に4個の副帯域に副分割され、連続した番号0から3を与えられる。各副帯域は、下部RF帯域の周波数の集合と上部RF帯域のもう一つの周波数の集合を含む。拡張子Lは下部RF帯域内の集合を示し、拡張子Uは上部RF帯域内の集合を示す。
一つの実施形態では、全体で2560の周波数トーンが、8MHzの使用可能な帯域幅に等間隔で存在する。各帯域には1280のトーンが存在し、各副帯域には640のトーンが存在する(下部帯域に320の周波数、上部帯域に320の周波数)。トーン間の間隔(Df)は、単純に8MHz割る2560で、3.125KHzである。トーンは更に、4個のトーンを含むトーン集合にまとめてもよく、そして20個のトーン集合からなるトーンパーティションにまとめてもよい。その他の方法として、トーンを20個のトーンを含むトーンクラスタにまとめ4個のトーンクラスタからなるトーンパーティションにまとめることもできる。トラヒックチャンネルは、少なくとも一つのトラヒックパーティションを必要とする。制御及びアクセスチャンネルは、5MHzスロット内のトラヒックチャンネルに沿って散在させてもよい。以下に更に説明するようにデータはトーン集合上で重複する。
トーンのまとめはまた、トーンのユーザへの割り当ての標準化を可能にし、通常の仕方での企図される計算を可能にする。例えば、各ユーザはトラヒックパーティションの倍数のみに割り当てられる。全体の送信帯域を副帯域に分割することによって、低いサンプルレート及びきびしくないDSP要求を許す(処理された帯域は相当に小さな帯域幅に拡散されているため)。こrに加え、パーティションは、受信したベクトルの次元数を低減するために便利な分割を提供する。これは、選択されたトーン集合の値を組み合わせて達成される(すなわち、各クラスタ集合内の対応するトーン集合の値)。これは、自由度の数の低減を伴うが、このようなトレードオフは、正確にデータを複合するために自由度の数を最大にする必要がないシステムでは、便利な場合がある。したがって、トーン集合ベクトルの次元数を低減することにより、処理コストは、相当に削減される。
上述のように、別個のトーンに変調された信号が、他のトーンを重なりお互いに干渉しないことを保証するために、トーン集合は1/T、記号レート、の間隔で間を空けられている。もちろん、送信中はなんらかのゆがみが生じなんらかの干渉が発生する場合もあるが、エラー修正技法を付け加えることにより除去することもできる。
(DMT−SCの使用)
上述のように信号は、適切なコードまたは重みを使って割り当てられたトーンに最初に拡散してもよい。これらのコードは、与えられた空間的なセル内で直交してもよく、隣り合う空間的なセル内の同じトーンビンにランダムで割り当てられてもよい。よって、拡散コードは隣り合う空間的なセルで再使用でき、また隣り合う空間的なセルとランダムな相関関係であってもよい。基地局で行われる最初のコードの割り当ては、直交であってもよいが、適合等化の過程で行われる重みの調整に応答して、拡散コードは通常は、通信ネットワークがいくらかの時間活動した後で、直交しないコードに発展し、又は適合する。以下により詳細に説明するように、与えられた空間的セル内で使われる拡散コードの基準は、直交ではなく一次独立性が有利である。拡散コードの隣り合う空間セルでのランダム相関は、自動的に設定されたコードヌリング技法によって補償され、この技法は一次重みづけを使って送信された信号の相関部分を無効にする。
図8のブロック1013に表すように、一旦DMT−SC変調技法と関連付けられた拡散コードが、符号化されたデータ信号に割り当てられると、和ブロック1025に示すように処理された信号は一次的に合計される。ブロック1011から1013に対応するブロック1021から1023に示すように、同様の信号処理手続きが、到来する他の信号に使われる。ブロック1030に示すようにこれらの信号は、合計装置1025で合計され、図7に示す5MHzの副帯域内のキャリア周波数を割り当てられる。
上述のように、適合等化の間は、コードは一般には非直交となり、全体の通信ネットワーク100においてのSINRを最大化する。しかし、通信システム100を通じての自由度の数を最大にするには、与えられた空間的セルの中の複素数拡散ベクトルの一次的独立性を維持することが好適である。一次的に独立した複素数のベクトルとは、システム内のほかの複素数ベクトルの組み合わせの和、又はスカラー倍数として表現することができないベクトルである。よって、一次的な独立性を拡散コードに沿って維持することによって、一次式のマトリックス集合を導くことができ、各システム変数(すなわちデータ記号)を独特に複合することを可能にする。拡散コードが、より一次的に依存するようになる範囲において、データ記号の中で区別する能力がより困難になる。しかし、いくつかの適用法では、帯域フィルタの値が最初に確立され、その後、システムはこれらの制約の中で動作しなくてはならない。
拡散信号は、キャリア毎に一次的に加えられ全体のDMT−SC波形を取得する。この信号を逆拡散するためには、受信した信号が検出され、マトリックス形式に変換される。受信したベクトルは、スカラーの因数(拡散コードのビット数に比例する)と、拡散コードを含むマトリックスとを掛けられる。この結果のベクトルは、逆拡散データ記号を出力として提供する。この例から、拡散コードが一次的に独立している限りは拡散コードのビット数と同じだけのデータビット数が独特に逆拡散できることが導ける。
データの拡散に戻ると、一旦符号化された拡散スペクトル信号が周波数キャリア帯域に割り当てられると、信号は、離散周波数領域からアナログの時間領域へと高速フーリェ逆変換及びアナログ−デジタル変換器を使って変換されてもよい。IFFT及びFFTを使ってOFDMを提供することにより、この技術分野で広く知られているような複数の変調器を必要としない。これは、DMT−SC変調技法に関係する計算が、周波数領域では、時間領域に比べて集中的ではないからである。この理由のため、信号処理の大部分は、好適には周波数領域で行われ(暗号化、フィルタなどのモデム動作を除く)、送信の前の最後のステップの一つとして時間領域に変換される。
帯域幅の考慮に基づき、同一のユーザからの信号は一以上の拡散コード及び一以上のトラヒックパーティションに割り当てられる。異なる拡散コード及び追加のトラヒックパーティションを割り当て、更なる帯域幅を要求するユーザ装置(遠隔局の一つを介して通信する装置)に提供することは、設置の視点からは特に、科学的な精密さと簡潔さを備えている(TDMAを使う帯域幅の割り当てに比べて)。これは、新しい拡散コード及びトーン集合の割り当てが、数学的に単純であり、逆拡散ベクトルへの数字的な変化のみを必要とするか(新しいトーン集合の再割り当てのため)又は受信側の帯域フィルタの帯域幅の増加又は減少のみを必要とする(新しいトーン集合の再割り当てのため)からである。
(DMT−SCに関連した利点)
DMT−SCの使用は、本発明のシステムで大きな利点を得られる。例えば、DMT−SCを使うことにより、チャンネル特性を離散した点で評価することができ、これにより、複素数ベクトルとしてマトリックス形式で正確に表わすことができる。よって、各トーン集合内で選択されたトーンは、周波数帯域のすみからすみまで分配された指針として指定することができるため、有限数の複素数値の単純な評価の結果が、チャンネルの正確な評価となる。さらに、理論上は、チャンネルのゆがみは単純な複素数共役乗法によって離散したトーン周波数で補償できる。すなわち、離散したトーンが使われたため、チャンネルがトーン集合周波数の正確な点での動作のみに影響を及ぼし、トーン間の全体のチャンネル応答を知る必要が無い。もしチャンネルがこれらの離散した点で定義されると、受信したトーンは適切な複素数、振幅、及び位相で掛けられチャンネルを等化することのみが必要となる。これは、正確な等化を単純な複素数乗法で達成することを意味する。このチャンネル等化計算は、逆拡散/拡散の重みの計算に含むこともでき、この重みの計算は信号対雑音及び干渉比などの信号の特性を向上又は最適化する。
また、DMT−SCの使用によって、アンテナアレイ時間拡散の等化が非常に単純なことを保証する。マルチプルエレメントアンテナアレイでは、波がアレイにぶつかる時に空間的に分割されたセンサによって波形の受信の間に時間遅延が観測される。非常に広い帯域のシステムでは、この遅延が拡散を発生する。しかし、DMT−SCを使うことによりこの拡散は、計れるベクトルの離散した値として表わすことができ、これは、応答が周波数の離散点のみで評価されるからである。
更に、システムの各ユーザが異なるQAM(又は他のM進数)の配列の大きさで動作することもできる。これは、直接的な連続拡散スペクトルのように、記号が帯域幅全体に拡散していないからである。むしろ、DMT−SCでは、記号が様々な大きさの周波数ビンに拡散され、各ユーザが最適な大きさのQAM配列(すなわち与えられたSINRで許される最高次)を持つことができる。これにより、総合的なシステムの容量を増加させ、これはシステムが最小公分母(全てのチャンネルが動作できるQAM又はM進数配列の大きさ)に制約されないからである。これに加え、低い配列の大きさでは、信号を復調するために低い信号対雑音比が必要とされ、この低い信号対雑音比の要求を使い基地局の範囲を拡張し、さらなるシステムの柔軟性を提供することができる。
DMT−SC変調はまた、特定の通信技術と組み合わせて使用することにより、いくつかの予想されなかった利点を提供する。第一に、DMT−SC拡散は柔軟な拡散帯域幅及び利得率(すなわち与えられた信号は、望まれるままの帯域幅に拡散できる)を可能にするため、チャンネルのスペクトル分岐度を活用するのに特に有利である。すなわち、チャンネルは、他の帯域よりも応答が良い特定の帯域を持つため、信号を選択的により望ましい帯域に拡散できる。
これに加え、DMT−SCはまた、コードヌリングの使用を許可し、従来のCDMAの再使用容量をはるかに越えた通信リンクの再使用容量の向上を実現する。直接的な連続又は周波数ホップの代わりにDMT−SCが使われるため、拡散コードの選択された部分は、逆拡散器内で無効にできる。よって、拡散コードの、干渉拡散コードと共通しない部分のみが逆拡散される。さらに、DMT−SCは、様々な帯域幅のシステム内に設置された時に特に有利である。これは、帯域幅の割り当てがこのようなシステムでは高度に柔軟であり、追加のトーンの要求するユーザへの適切な割り当てによって設置できるからである。要約すると、DMT−SCは、干渉信号を無効にする解決法を提供する。
最後に、DMT−SCは、マルチエレメントアンテナアレイシステムに適用される時に有利である。このシステムでは、マトリックス計算が処理動作の大半を構成する。この技術分野には広く知られるように、マトリックスの次元数が増大するにしたがって、共変マトリックスを逆さにするために必要な計算動作は、マトリックスの次元数の三乗に比例して増加する。よって、処理する力は、マトリックスの次元数の三乗に比例して増加し、したがって、処理回路のコストもそのように増加する。よって、急騰するコストを避けるために、拡散及び逆拡散計算を行うために使われるマトリックスの次元数を制限することは有利である。マルチエレメントアンテナアレイシステムでは、アンテナセンサエレメントの数を変更しシステムのビーム形成能力を向上させることが望ましい時もあるので、このようなシステムは、通常はマトリックスの次元数の増加を招く(各センサがマトリックスの要素に対応するため)。しかし、DMT−SCシステムでは、もしセンサがアンテナアレイに追加されると、マトリックスの次元数は、各トーン集合のトーン数を低減することで維持することができる。
このマトリックスの次元数の維持が可能なのは、各センサの信号の振幅及び位相の重み付けを行う時に使った数学的形式が、トーン集合の各トーンの振幅及び位相の重み付けを行う時に使った数学的形式に類似しているからである。よって、アンテナアレイの複数のセンサとトーン集合の複数のトーンとの間には類比が存在する。したがって、同一のマトリックスを使いセンサエレメントとトーンとの両方の重みを決定でき、もしセンサエレメントの数が増加すれば、トーンの数を低減して補償(すなわち同じマトリックスの次元数を維持する)でき、又はその反対を実行できる。更に、事実上同じSTNRがこのようなシステムでは維持され、これは、トーンの数で失われた自由度が、ビームの数で回復できるからである。特に、本発明のコストは、直接的な連続拡散スペクトルを使ったその他のシステムのコストが容量の三乗に比例して増加するのに対し、容量におよそ比例して増加する。
一旦信号がDMT−SC変調されると、信号はアンテナに出力され送信される。DMT−SCは、適切な信号を適切なユーザ装置に方向づけすることを可能にする(すなわち以下に説明するアンテナビーム形成によって)。
(ビーム形成)
本発明の一つの態様によれば、適合アンテナアレイがビーム形成アルゴリズムと共に使われ、各空間的なセル内で空間的な多様性を達成しSDMAを設置する。すなわち、アンテナから出力された信号は、異なるアンテナセンサを異なる信号利得によって選択的に電力を供給ことにより方向的に形成される。これにより、空間的なセルの一部にある遠隔端末が、空間的セルの異なる部分にある他の遠隔端末が基地局と通信できる間に、この二つの端末が同一のトーン集合及びコードを使っていても同じ基地局と通信できる。本発明の固定された設置において、すなわち遠隔アクセス端末が基地局との通信の間、相当には動かず通常は空間セル内にとどまる場合においては、エアリンクにおいて使われるビーム形成アルゴリズムは、空間セルに入る又は出る移動遠隔装置を考慮する必要が無いことを理解すべきである。一つの有利な実施形態では、各空間セルが、4個のセクターに分割され、各セクターが4個の副帯域ペアの一つにおいて送信及び受信する。
上述のように、本発明のビーム形成方法は、コードの使用と同様、本発明の全体的な適合等化方法と別個のものとしてみるべきではない。むしろ、アンテナセンサに選択的に電力を供給する(送信している間)ために使われる方法又は異なるセンサエレメントで受信された信号に選択的に重みを付ける(受信している間)ために使われる方法は、SINRを最大化するために使われる全体の方法に含まれる。ビーム形成方法と全体的なSINRの最大化の方法との関係は、以下により詳しく説明する。
(コードヌリング)
本発明による、拡散スペクトル技術(特にDMT−SC)及び方向的なアンテナの好適なエアリンク内での使用により、コード及び空間での一次的な重みづけを使って、いくつかのエラー取り消しの利点を可能にし、この利点は、コードヌリング及びヌルステアリングに類似した効果を含む。
コードヌリングは、隣の空間セルから放射される非直交信号間を区別するために使われる。ここでも、コードヌリング方法は、本発明のSINR最大化方法に関して理解されるべきである。すなわち、コードヌリング方法は、コード領域に対してSINRを最大化させる方法の一部として考慮されるべきである。コードヌリング方法のこのような理解の仕方は、図10に関連してさらに詳しく説明される。
もし、同一の空間セル内又はビームで発生した信号が全て直交拡散コードを持っていた場合、交差変調が無いことを保証するには直交で十分なため、コードヌリングは通常必要でないことを理解すべきである。しかし、上述のように、特定の空間セル内で使われる拡散コードは、好適には一次独立性を持つが、直交でない場合もある。さらに、隣接する空間セルのトランシーバが、ローカルの空間セルに使われる拡散コードとランダムな相関関係を持つ拡散コードを用いている場合もある。
各通信チャンネルに関連する拡散の重みを調節することにより、基地局は、これらの信号を同じトーン集合で交差相関し「隣接」信号による干渉を減ずることができる。一つの実施形態では、基地局が同一のトーン集合に割り当てられた異なる信号を拡散するために使われる拡散コードを持ち、この情報を使って他のコードからの干渉をヌリングするための適切な重みを最初に計算できる。
上述のように、離散したデータ信号を拡散するために使われる拡散コードが直交の時は、拡散データは、逆拡散過程で精密に回復される。しかし、拡散コードが直交でない場合(隣接する空間セルに使われる拡散コードの場合など)は、交差変調が生じる場合もあり、データ信号は、単純な逆拡散によっては精密には区別されない(すなわちコードヌリング無しの逆拡散)。
この現象を補償するために、コードヌリングの重みが逆拡散器で使われる。受信した信号に存在する交差変調を無効にすることによって、受信機によって適切なデータビットの値が出力される。複素数の拡散の重みが一次独立している限りは、また、SNRが十分に高い限りは、この方法によって・確な記号の値を区別することができる。上のコードヌリング手続きは、SINRを最大化する全体の重みを導く過程で本質的に設置されるものと理解されたい。
(ヌルステアリング)
コードヌリングに加えて、図11及び図12に示す、スペクトル拡散を含まない例示方向アンテナは、ヌル領域(すなわちアンテナが到来信号を減衰する領域又は非常に低いアンテナ利得が存在する領域)を含む信号を形成する。これらのヌル領域は、パターンになって形成されることができ、これによりヌルが基地の干渉器(例えば、干渉信号源又は干渉マルチパス反射)に方向づけられる。このような方法により、空間領域では、干渉信号はあまり強調されない。以下により詳しく説明されるように、ヌルステアリングをコードヌリングと共に使うことにより、大いに利点を得られる。
本発明の一つの態様によれば、ヌルステアリングと個一づヌリングを行う方法の間には相当は類似点が存在するため、相当な処理時間及び複雑化を節約できる。特に、ヌルステアリングを達成するための数学的形式が、コードヌリングを達成するための数学的形式に類似する。この類似に基づき、トーン集合のトーンが複素数の重みで掛けられ、トーンの振幅と位相とが変更されたように、アンテナエレメントから出力され受信された信号の利得及び比較的位相が、乗法の重みの集合によって変更される。この複素数の重みによる乗法は、コードヌリング−スペクトルの考え−とヌルステアリング−空間的な考え−との両方のためにマトリクス形式で表すことができる。よってスペクトルのコード領域で行われる計算は、空間領域で行われる計算に形式的に対応する。したがって、ヌルステアリングは、コードヌリングを使うシステムで、単純に、複素数の重みを計算するために使うマトリックスに余分な次元を追加し、信号にこれらの重みを掛け、行うことができる。
図10は、概して、コード及び空間領域で計算された重みが、SINRを最大化させるためにどのように使われるかを示す。図10は、主に概念的な図であり、SINRを最大化する方法で起こる実際の処理ステップを示す意味のためではないことに注目すべきである。図10に示すように、3次元のグラフが、コード、空間、SINRの間の関係をに描く。特に、コード及び空間領域は一つの平面で示され、SINRは、コード及び空間領域によって定義される平面に垂直に描かれている。SINRは、0から1のスケールで描かれ、ここで0の値は、雑音及び干渉のみで構成された信号を示し、1の値は、興味対象の信号のみで構成された信号を示す。
グラフのコード領域軸は、各トーンに適用できる様々な重みの値を表し、グラフの空間領域軸は、各アンテナエレメントに適用できる重みの値を表す。図10のグラフに示されるように、コード及び空間値の正しい組み合わせで適用された特定の重みによって、1に近いSINRを導くことができ、図10に示す「ピーク」に収束するコード及び空間の重みを計算することにより、最適な信号の検出が達成される。コード及び空間領域の重みを変更しピークSINRの収束が達成される方法は、SINRを最大化する方法の部分を参照して以下により詳しく説明される。本発明は、空間とスペクトルとの拡散及び逆拡散を組み合わせ、受信した信号から最適に干渉を除去する。
空間領域で重みを計算する方法の一部を形成するヌルステアリング手続きに戻り、図13に示すヌルステアリング方法は、各基地局にユーザ容量の増加を提供する。図13に示すように、第一のビーム「ビームA」は、アンテナ120によってビーム形成技法を使って、特定の空間領域方向づけされる(すなわち信号の強度は、固線に囲まれて示された領域で強い)。第二のビーム「ビームB」は、アンテナ120によって異なる空間領域に方向づけられる(図13に破線で囲まれた領域)。両方の信号が側波帯を含み、この側波帯は通常は珍説下信号空間に干渉を発生させ、主要ビームと側波帯との間にヌル領域を発生させる。もちろん、いくつかの側波帯及びヌル領域を含む、より複雑なビームパターンを用いてもよいことを理解されたい。
本発明の一つの実施形態によれば、ビームAとビームBのヌル領域は、各干渉トランシーバ(例えば、予定しているトランシーバと同じトーン集合及び/又はコードで動作するトランシーバ)の方向に配置される。よって、図13に示すように、ビームAが遠隔局Aに対して方向づけられている(遠隔局Aが予定される受信者であるため)のに対し、ビームAのヌルは遠隔局Bに対して向けられている(遠隔局Bが干渉者であるため)。同様に、ビームBは遠隔局Bに向けられ(遠隔局Bが予定される受信者であるため)、ビームBのヌルは遠隔局Aに向けられる(遠隔局Aが干渉者であるため)。同様の重み付け計画が、遠隔局が送信し基地局が受信する時にも観測される。同一のヌルステアリング原理を適用し隣接する基地局による干渉を低減することもできる。
マルチパス反射装置を干渉信号源として処理し、これらの反射装置からの信号を無効にするようにヌル領域を配置できることに注目したい。しかし、一つの実施形態では、もし反射装置が時間に対して変化が少ない場合、反射した干渉者は、無効にされない。その代わりに反射した信号は位相シフトされ、建設的干渉を提供しSINRを増加するという利点を得られる。
アンテナアレイが提供できるヌル解像度(すなわちヌルの程度での近さ)は、いくつかの要因に依存する。二つの主要な要因は、アンテナセンサエレメントの間隔と到来信号のS/N比である。例えば、もし開口の大きさが十分に大きい場合(例えばもしセンサエレメントが十分に離れている場合)、結果としてよりよいヌル解像度が生じる。また、もし受信した興味対象信号のS/N比が十分に高ければ、興味対象信号の一部がヌル内に実際に配置されることができる(これにより信号の多少の利得が失われるが、干渉者の利得ヌルと興味対象信号の利得ヌルとの全体的な比は、干渉者と対象信号の検出との効果的な相殺を可能にする)。例えば、もし15dBの利得が与えられたチャンネルのリンクを閉じるために必要であり、興味対象信号のS/N比が30dBで干渉者のS/N比が60dBであった場合、もし−70dBのヌルが干渉者に配置され、興味対象信号が−15dBで同一のヌルであれば、干渉者は正味利得が−10dBで、興味対象は15dBの正味利得を得られ、これにより干渉者は相殺され、リンクは閉じられる。よって、より高いS/N比は、ヌルを興味対象信号の近くに配置することを可能にし、より高いヌル解像度が達成される。本発明の一つの有利な実施形態によれば、与えられたヌルの深さは相殺されるべき干渉者の強度に比例することに注目したい。これに加え、システムによって提供される周波数の多様性のため、もし二つの干渉する遠隔局のステアリングベクトルが、通信リンクを閉じるために必要な処理利得を提供するために十分に明確であれば、ヌルはお互いに対して比較的近くに配置されることができる。
もう一つの実施形態では、遠隔端末はまた、一つの好適な実施形態の方向アンテナを含み、遠隔端末もまたヌルステアリングをできる。図16はアンテナ利得(デシベルで測定)と方向(角度で測定)の関係を示すグラフである。図16には、いくつかの基地局が十字記号で示してあり、他の遠隔局(非直交コードを持つ)は小さな円で示される。
予想される最悪の筋書きでは、遠隔局は、3つの基地局から等距離の場所に(すなわち六角形の空間セルの頂点上)に位置する。この場合は図16には、実質上同じ信号強度で送信する3つの十字記号で示す。これらの基地局は、遠隔アンテナのゼロ方向から約0°,90°、−90°に示される。
通常は、各基地局が同じレベル(すなわち−85dBで)で受信し、遠隔局が受信する時に、3つの基地局の間に十分な干渉が生じる。しかし、遠隔局の方向アンテナによって適用されたビーム形成の重みのため、干渉する基地局(すなわち±90°の基地局)は、企図される基地局(すなわち0°の基地局)に比較して約50dB(すなわち120dB引く70dB)減衰される。よって、受信遠隔アンテナからのビームは、企図される基地局で最大の利得を持つように及び一番干渉が強い基地局で最小の利得(ヌル)を持つように形成されるという事実のため、遠隔端末は、興味対象信号と干渉信号の差別をより容易に行うことができる。すなわち、遠隔端末で用いられるビーム形成及びヌルステアリングによって、基地局と同じ方法で、より高い信号対干渉プラス雑音比(SINR)が取得できる。
遠隔端末がコードヌリングを用いてもいいことに注目すべきである。もう一つの実施形態では、最初のコードヌリングの重みが、基地局内で計算され、遠隔端末に送信される。遠隔端末はその後、送信された重みを適合し各遠隔局の特定の干渉環境で必要とされるように、SINRを最大化する。最初の重みを計算し、それを遠隔端末に送信することにより、集約した計算の大半を遠隔局で行う必要をなくす。よって、遠隔端末は、より高い費用効果で作ることができる。
本発明の一つの態様は「逆方向性」と呼ばれ、この態様では、信号を送信し受信するために基地局内で使われる拡散及び逆拡散の重みを、基地局が適合し、通信ネットワーク内の総体的なSINRを最大化する。もう一つの実施形態では、これは例えば、通信ネットワーク100中の平均ビットエラー率(BER)を監視し、各基地局及び各遠隔端末の拡散の重みを変更しBERを減らすことによって行われる。
(逆拡散重み適合アルゴリズム)
本発明の一つの実施形態では、トラヒックの確立段階では、既知の振幅と位相を持つ一連のパイロットトーンが、周波数スペクトル全体で送信される。パイロットトーンは既知のレベル(例えば0dB)にあり、約30KHzの間隔で配置され、チャンネル応答(すなわち通信チャンネル特性によって持ち込まれた振幅及び位相の歪み)を送信された帯域幅全体で正確に表現する。チャンネルのゆがみを補償するために、チャンネル応答の複素逆関数(振幅成分と位相成分を持つ)が計算され、到来信号によって掛けられる。これによりトラヒック確立段階での重みを開始する。
特定の場合では、チャンネルによって誘導されたフェードが、十分な信号対雑音比を提供するには深すぎ、これらの深いヌルが発生するトーンクラスタが削り取られる(すなわち捨てられ逆拡散では信号に考慮されない)。
チャンネル応答は時間が経つに連れて変化するので、複素共役補償の重みの集合が定期的に再計算され、正確なチャンネル評価を保証する。
チャンネル等化のもう一つの方法は、チャンネル効果(例えば雑音及び既知の干渉者による)をデータ方向方法で等化する。すなわち既知の一列の信号(例えばパイロットトーンの集合)のかわりに、重みを受信した信号に適用し、データ信号の選択された特性を検出する。例えば、もしPSK変調技法がデータに使われた場合、一定のパワー係数が受信信号に予測される。その他の方法として、QAM信号では、データが振幅−位相信号配列平面で検出され、実質上、同心円の輪を持つ。よって、もしチャンネルが等化され所望の信号特性が取得された場合、送信された記号は受信者に正確に復号化された可能性が高い。この一般的な技法は、特性復旧技法と呼ばれる。本発明の一つの実施形態では、復旧された性質は、有限のQAM又はM−PSK記号のアルファベットである。
もちろん、本発明によって使われるチャンネル等化方法は、本発明による他の信号の重み付け及び復号化の方法(下に記載する)から概念的に分割可能であるが、チャンネル等化方法は、複数の相殺及び逆拡散方法を内在的に含む場合もあることは当業者には理解できるであろう。したがって、SINRを最大化するために使われる本発明の適合チャンネル等化方法は、干渉相殺と信号逆拡散及び復号方法に関連する下に説明する追加の方法から分割した方法として考慮されるべきではない。むしろ、本発明の適合チャンネル等化方法は、複数の下に示す方法を含むと理解すべきである。
(相互関係及び逆方向性)
TDDを使うことにより、符号化された信号の送信及び受信の際にチャンネル千渉を補償するために使われる一次重み係数は、局で再計算される必要が無いため、本発明の実施において、TDDは特に有効である。基地局においての送信と受信との間の短時間の期間、送信及び受信は同じ周波数帯域で少しの時間の間隔のみで生じるという事実(TDD)、そして遠隔アクセス端末が基地局に対しては止まっているという事実は、チャンネルがおよそ相反することを保証する。すなわち、既知と遠隔端末との間のエアチャンネルの性質(すなわち送信信号にゆがみを持ち込む性質)が、実質上受信と送信の両方で同一である。よって、局において、実質上同じ重みを、受信での信号の逆拡散と送信での信号の拡散との両方に使うことができる。この逆方向性の原理に従って、基地局は、受信時に逆拡散の重みを計算する時に、送信拡散の重みの計算の大半を実行できる。送信拡散の重みは、単に受信逆拡散の重みのスカラーの倍数である。同様に、この逆方向性の原理に従って、遠隔局は受信時に逆拡散の重みを計算する時に、送信拡散の重みの計算の大半を実行できる。
本発明のもう一つの実施形態によれば、基地局が重みを遠隔局に送信し、遠隔局での次の受信に使うことができる。この方法により、集中した計算の大部分が基地局内で単独に実行されるため、遠隔局での処理が低減される。よって、禁止するほど複雑化されるかわりに、遠隔局を適切な大きさで妥当な値段で作ることができる。
各遠隔端末は、他の遠隔局及び基地に対して、通信ネットワーク上で異なる空間的な関係をもって位置するため、各遠隔端末は、遠隔局が割り当てられた基地局に送信する又は基地局から受信する信号のSINRを最大化するために個別に設定された等化の重みを有利に使用する。これは、いくつかの方法で達成できる。例えば、基地局が、遠隔局に送信された信号を、計算された重みの集合によって予備強調してもよい。この予備強調はチャンネルのゆがみをほぼ補償するので、遠隔局は、基地局で計算されるほどには、集中した重み調整計算を実行する必要が無い。よって、遠隔局は、本発明のこの特徴を設置するために、禁止するほどに複雑化した処理回路を含む必要がない。
本発明の一つの態様によれば、最適な送信の重みが基地局で受信された信号に基づいて計算される。これは、逆方向性と呼ばれる。逆方向性適合等化が使用され、受信と送信の両方に使われる重みの集合が決定される時は、ネットワーク中に及ぶ逆方向性適合等化が達成される。よって、システム全体にわたるチャンネル特性が本発明のこの態様によって考慮される。
もちろん、本発明のほかの態様と同様に、本発明による相反及びシステム中に及ぶ逆方向性の態様は、移動環境においても適用法があることを理解されたい。特に、もしTDDシステムでの送信と受信との間の期間が十分に小さい場合、チャンネルは又、移動トランシーバに対しても相反し上述と同様の原理が移動環境に適用できる。
(ゾーン制御)
本発明の特に好適な実施形態では、ゾーンコントローラを使い、隣接する空間セル内でお互いに対して近い遠隔端末間の干渉のリスクを最低限にできる。本発明のこの態様によれば、ゾーンコントローラは、各遠隔局及び各基地局の割り当てられたゾーン内での位置を通知される。干渉しそうな遠隔端末は、異なるコード及びトーン集合を割り当てられ、干渉のリスクを最低限にする。
(要求がある帯域幅)
本発明の一つの態様によれば、二方向通信が、複数の遠隔ユーザ装置と電話ネットワークとの間に高い帯域幅の基地局を介して、ユーザ毎に確立される。各速隔ユーザ装置は、活動化された時に高帯域幅の基地局との通信を、遠隔ユーザ装置内に含まれる遠隔端末の一つに遠隔ユーザ装置が望む帯域幅を示すことで開始する。遠隔端末は、空気(エア)を通じた制御チャンネル(すなわちエアリンク)を介して基地局と通信する。高帯域幅の基地局は次に、要求された帯域幅に関する情報を、図17に示す中央帯域幅コントローラに送信する。中央帯域幅コントローラは、要求された帯域幅を要求している遠隔ユーザ装置に割り当てられるか否かを決定する。この方法により、帯域幅は、ユーザ装置の種類及び送信されるデータの種類に基づいて、動的に割り当てられる。上述のように、要求するユーザに追加のトーン集合を割り当てることにより、様々な量の帯域幅を割り当てることができる。
(III本発明の特定の実施形態)
以下の説明は、本発明の特定の実施形態であり、上述の説明の多くの態様を含む。しかしこれは、いずれの形でも、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
(周波数の定義)
本発明のこの特定の実施形態のエアリンクのために割り当てられる全体の帯域幅は、1850から1990MHzの範囲で10MHzである。この全体の帯域幅は二つの5MHz帯域に分割され、下部RF帯域、上部RF帯域と呼ぶ。下部RF帯域の最低周波数と上部RF帯域の最低周波数との間の間隔(DF)は80MHzである。この実施形態のベース周波数(Tbase)は下部RF帯域の最低周波数として定義される。図18はこの実施形態の可能な動作帯域を示す。
下部及び上部RF帯域は更に、図19に示すように副帯域に副分割される。各RF帯域の最初及び最後の0.5MHzは、ガード帯域として指定され、したがって使われない。各RF帯域の残存する4MHzは、4個の副帯域に副分割され、0から3まで番号を付けられる。さらに、接尾語「A」は、下部RF帯域内の副帯域を示し、「B」は上部RF帯域の副帯域を示す。副帯域はペアにされ、各副帯域のペアが下部RF帯域の副帯域の一つと上部RF帯域の副帯域の一つを含む。
合計で2560のトーン(キャリア)が使用可能な8MHz内に等間隔で存在する。各帯域には1280のトーンが存在する。トーン間の間隔(Df)はしたがって、MHz割る1280、又は3.125kHzである。
トーンの全体的な集合は、最低の周波数のトーンから順番に、0から2559まで番号を付けられる。Tiは、i番目のトーンの周波数とすると、
0≦i≦1279では、
i=fbase+fguard+Df/2+(i)(Df)
であり、1280≦i≦2559では、
i=fbase+DF+fguard+Df/2+(i)(Df)
であり、ここでfbaseは、表2.3で定義されたベース周波数、fguardは0.5MHz、Dfは3.125kHz、DFは80MHzである。これと同じように、この関係は、
0≦1≦1279では、
i=fbase+500+(i+1/2)(3.125kHz)
で、1280≦i≦2559では
i=fbase+80500+(i+1/2)(3.125kHz)
と表すことができる。
各副帯域ペアは、640のトーンを含む(下部帯域に320の周波数と上部帯域に320の周波数)。各副帯域へのトーンの写像を図20に示す。2560のトーンの集合はトーンの空間である。トーン空間のトーンは二つの種類のデータを送信するために使われる。トラヒックデータとオーバーヘッドデータである。トラヒックの送信に使われるトーンはトラヒックトーンであり、残りのトーンはオーバーヘッドトーンである。
本発明のもう一つの実施形態によれば、トーンは3つまたは4つの副帯域に分配されることができ、この副帯域は大きな周波数のギャップで引き離されている。この大きなギャップにより、副帯域のいずれにも発生する可能性のある干渉又はフェードへの免疫を増加させる。
(トラヒックトーン)
トラヒックトーンはP0からP31として表す32のトラヒックパーティションに分割されている(この実施形態ではトラヒックチャンネルが少なくとも一つのトラヒックパーティションを必要とする)。各トラヒックパーティションは図21に示すように72のトーンを含む。トーンのi番目のトラヒックパーティション(Pi)への写像を表2.5に示す。
(オーバーヘッドトーン)
オーバーヘッドトーンは以下のチャンネルで使われる。
前方(フォワード)チャンネル:
基地によって遠隔装置へ制御情報を送信するために使われる共通リンクチャンネル(CLC)と、
基地から全ての遠隔装置に送信される放送情報を送信するために使われる放送チャンネル(BRC)と、
基地によって例えばパイロット信号、フレーム同期化情報を送信するために使われる遠隔装置同期化チャンネル(RSC)。
逆チャンネル;
遠隔装置から基地にメッセージを送信するために使われる共通アクセスチャンネル(CAC)と、
遠隔装置のTDDのタイミングを調整するために使われる遅延補償チャンネル(DCC)。
各副帯域のペアのために、各チャンネルにトーンの一つのグループが割り当てられる。これらのトーンのグループは、それらのチャンネルの名前とそれらの副帯域ペア索引(0,1,2,又は3)で呼ばれる。例えば、副帯域ペア2のCLCチャンネルは、CLC2と示される。
各副帯域ペアには二つの異なるCACが存在する。CACi,0とCACi,1であり、iは副帯域ペア索引である。この二つのチャンネルは、請求されて使われても(SCAC)、請求されずに使われても(UCAC)よい。i番目の副帯域のこれらのチャンネルの各々へのトーンの割り当てを図23に示す。与えられたチャンネル内での全てのトーンに索引が提供される。トーン空間内の、絶対的なトーンの索引は、図23に示す関係から決定できる。例えば:
前方チャンネルの場合、副帯域ペア2のCLCチャンネルの13番目のトーンが、CLC2(13)で示され、その絶対的なトーン索引は、
CLC2(13)=T230.2+1460=T2100
である。
逆チャンネルでは、副帯域ペア2の最初のCACチャンネルの13番目のトーンがCAC2,0(13)で示され、その絶対的なトーン索引は上と同一である。図24は、トーン空間の異なるトーングループへの分割を示す絵図である。
(時間定義)
TDDが基地及び遠隔装置によって使われ、データ及び制御情報を同一の周波数チャンネルで両方の方向に送信する。基地から遠隔装置への送信は、前方送信と呼ばれ、遠隔装置から基地への送信は逆送信と呼ばれる。
図25に示すように、前方送信の期間はTforwardであり、逆送信の期間はTreverseである。遠隔装置又は基地からの再発送信の間の時間は、TDDの周期であるTTDである。Tf-guardの継続時間のガード期間が前方送信と逆送信との間に挿入され、Tr-guardの継続時間のガード時間が逆送信と前方送信との間に挿入される。
図26に示すように、TDDの周期毎に、各方向に4つの連続した送信バーストが存在する。データは、各バーストで複数のトーンを使って送信される。バーストの継続時間はTburstである。Tb-guardの継続時間のガード期間が各バーストの間に挿入される。図27にTDDのパラメータの値を示す。
前項で定義したTDD構成と同期し順応させることに加え、基地と遠隔装置の両方は、フレーム構成と同期化する必要がある。図28にフレーム構成を示す。図に示す最小の時間の単位は、TDDの周期である。二つのTDDの周期は副フレームを形成し、8個の副フレームがフレームを形成し、32フレームが超フレームを形成する。
フレーム同期化は、超フレームのレベルで実行される。フレーム及び副フレームの境界は超フレームの境界から決定される。
この実施形態では、全ての空間セルにおいて、全ての使用可能な周波数を潜在的に再使用できる。しかし、最初は2の再使用係数が使われる。各遠隔装置は、空間セル内の場所及び副帯域ペアのトラヒックの負荷に基づいて副帯域ペアに割り当てられる。図29に示すように、各遠隔装置はその位置に基づき、4個の副帯域ペアのうちの二つを割り当てられてもよい。例えば、図29の空間セルの北東部分に位置する遠隔装置は、副帯域ペア0または副帯域ペア2を割り当てられることができる。もちろん、この再使用戦略は、容量を最大潜在容量の半分に低減する。図30に示すように、同じ副帯域ペア割り当てが全ての空間セルで使われる。
(前方チャンネル形式)
物理層は、望まれる送信の範囲(又は質)に基づいて3つの可能な設置方法がある。物理層は、3つの動作モードを提供することで帯域幅効率(ビット/記号)と送信適用範囲との間のトレードオフを管理する。
高容量モード(狭い範囲):3ビット/記号
中容量モード(中間範囲):2ビット/記号
低容量モード(広い範囲):1ビット/記号
各モードは、コード化された変調計画において異なる詳細を用い、したがって多少異なる形式を用いる。それにもかかわらず、3つのモードには、豊富な対称、重複、及び共通の要素が存在する。
高容量モード 高容量モードでは、一つのトラヒックパーティションが一つのトラヒックチャンネルに使われる。中及び低容量モードでは、それぞれ二つ及び三つのトラヒックパーティション使われる。基地は、その空間セル内の複数の遠隔装置に情報を送信する。この項は、64キロビット/秒のトラヒックチャンネルと4kbpsのリンク制御チャンネル(LCC)との、基地から単一の遠隔装置への送信形式を説明する。図31に、高容量モードのための基地送信機の上部物理層を示すブロック図を示し、一つの前方チャンネルバーストのデータ処理を示す(上部と下部物理層との境界は、ベースバンド信号が周波数トーンに変換されるところである。これにより下部物理層は様々なモード及び送信方向の共通エレメントとしてみることができる)。大きな影を付けられた範囲は、基地で一つのトラヒックチャンネルに必要な処理を示す。図の残りは様々なトラヒックチャンネルがどう組み合わされるかを示す。図の各ブロックの詳細は、この項内で説明される。
2進数源が、データを64キロビット/秒で基地送信機に届ける。これは、一つの前方送信バーストで48ビットに変換される。
情報ビットは三重データ暗号化標準(DES)アルゴリズムに基づいて暗号化される。
暗号化されたビットは、次に、データランダム化ブロッタでランダム化される。ビットから8進数への変換ブロックがランダム化した2進数の列を3ビット記号の一列に変換する。この一連の記号は16の記号ベクトルに変換される(この説明では、ベクトルは通常列ベクトルを参照する。ベクトルは、そうでないという表示がない限り、通常は複素数である。一般的に、列ベクトルは強調された小文字で示し、行ベクトルは同じ文字を移項し上付きTで示す。もう一つの広く使われここでも使われるベクトルは、共役移項ベクトルであり、エルミートと呼ぶ。)。LCCからの一つの記号が足されて、17個の記号のベクトルを形成する。
17記号ベクトルは、トレリス符号化される。トレリス符号化は、最上位記号(ベクトルの最初のエレメント)から開始し、順次続けられ、ベクトルの最後のエレメント(LCC記号)まで続く。この処理は、たたみ込み符号化を用いて入力信号(0と7の間の整数)をもう一つの記号(0と15の間)に変換し、符号化された記号を対応する16QAM(又は16PSK)信号コンステレーション点に写像する。トレリス符号器の出力はしたがって、17個のエレメントのベクトルであり、各エレメントが16QAM(又は16PSK)コンステレーション信号のセット内の信号である(信号という用語は通常信号コンステレーション点を意味する)。
リンク保持パイロット信号(LMP)が加えられ18記号ベクトルを形成し、LMPがベクトルの最初のエレメントとなる。この結果の(18x1)のベクトルdfwdは(18x18)の前方スミアマトリックスCfwd-smearによって予め掛けられ、(18x1)ベクトルbを生じる。
ベクトルbはエレメント毎に(18x1)の利得予備エンファシスベクトルgfwd(p)と掛けられもう一つの(18x1)ベクトルcを生じ、ここでpはトラヒックチャンネル索引を示し[0,Mbase]の範囲内である。Mbaseは一つのトラヒックパーティションで同時に運ぶことのできるトラヒックチャンネルの最大数を表す。ベクトルcはその後(1x32)前方空間及びスペクトル拡散ベクトルgH fwd(p)で掛けられ、(18x32)のマトリックスR(p)を生じる。32という数は、空間拡散係数4とスペクトル拡散係数8を掛けた結果導き出される。18x32のマトリックスは、運ばれる全てのトラヒックチャンネルに対応し、次に組み合わされて結果として18x32のマトリックスSfwdを生じる。
マトリックスSfwdは、8個(18x4)の副マトリックス(A0からA7)にパーティションされる(4つの列のグループによって)(索引0から7は、これらの記号が最終的に送信されるアンテナエレメントに対応する)。各副マトリックスは、一つのトラヒックパーティション(図31にはパーティションAで示す)内でトーンに写像され下部物理層に送られ、この写像は、図22に示した写像に基づく。
下部物理層は、ベースバンド信号を離散フーリェ移転(DFT)周波数ビンに配置し、ここではデータが時間領域に変換され、対応するアンテナエレメント(0から7)に送信され、空気中に送信される。下部物理層の詳細は以下に説明する。
この処理は、次の前方送信バーストで送信される、次の48ビットの2進数データの最初から繰返される。2進数データの変換の様々なステップを、図32に示す。図を簡略に保つために、拡散及びトラヒックチャンネル組合わせ機能は一つのステップで示す。
ミディアムキャパシティモード
ミディアムキャパシティモードにおけるベース発信機の上位物理的層を表すブロック図を、図33に示す。ハイキャパシティモードとミディアムキャパシティモードとの伝送形式の主な差異は、異なるトレリス符号化方式の使用である。ミディアムキャパシティモードでは、8QAM(または8PSK)のレート2/3トレリス符号器(16QAMまたは16PSKのレート3/4と比較して)と、一つの順方向伝送バーストにおいて二つのトラフィック区分(AおよびB)とを使用する。
2進ソースは、2進データをベース発信機へ64kビット/秒にて配信する。一つの順方向チャンネルバーストに対して、このデータは48ビットに翻訳される。これらの情報ビットは、トリプルDESアルゴリズムに従って暗号化される。暗号化ビットは続いて、データランダム化ブロックにおいてランダム化される。次にビットツービット変換ブロックが、ランダム化された2進シーケンスを、2ビットのシンボルのシーケンスに変換する。このシンボルシーケンスは、24個のシンボルから成るベクタ(ベクトル)に変換される。LCCからの2個のシンボルが追加され、さらにシーケンスの終端に1(ones)が8個挿入され、34個のシンボルによるベクタが形成される。(LCCからの2個のシンボルは、3ビットのLCC情報しか伝達しない。第二LCCシンボルの最も重要でないビットLSBは、常に1に設定されている。)
34個のシンボルのベクタは、トレリス符号化される。トレリス符号化は、最も重要なシンボル(ベクタの第一要素)から始められ、ベクタの最後の要素(第二LCCシンボル)まで順次続けられる。この工程では、たたみ込み符号化(convolutional encoding)を利用する。この符号化は、入力シンボル(0から3の間の整数)を他のシンボル(0から7の間)に変換し、符号化されたシンボルを、各々に対応する8QAM(または8PSK)信号コンステレーション(配座)点(signal constellation point)にマッピングする。従ってトレリス符号器の出力は34個の要素から成るベクタであって、その各要素は、8QAM(または8PSK)コンステレーション信号の集合内の信号である。
34要素ベクタは、二つの17要素ベクタに分割される。各ベクタにはLMPが追加され、二つの18要素ベクタdfwdおよびd'fwdが形成される。ここで、LMPがこれらのベクタの第一要素である。得られた各ベクタに、(18×18)順方向スミアリングマトリックス(forward smearing matrix)Cfwd-smearをプレ乗算し、さらに別の二つの(18×1)ベクタbおよびb'を生成する。続いてベクタbおよびb'は要素ごとに、二つの(18×1)ケインプレエンファシスベクタgfwd(P)およびg'fwd(P)が乗算され、二つの(18×1)ベクタcおよびc'が得られる。ここで(p)は、トラフィックチャンネル指数を表す。各ベクタには、それぞれに対応する(1×32)順方向空間およびスペクトル拡散ベクタ(gH fwd(p)またはg'H fwd(P))がポスト乗算され、二つの(18×32)マトリックスR(p)およびR'(p)が生成される。
トラフィック区分Aにて伝送されるすべてのトラフィックチャンネルに対応する多様な18×32マトリックスを結合し、18×32マトリックスSfwdを生成する。同様に、トラフィック区分Bにて伝送されるトラフィックチャンネルからのマトリックスを結合し、18×32マトリックスS'fwdを生成する。
マトリックスSfwdは、(4列ずつのグループにて)8個の(18×4)サブマトリックス(A0からA7)に区分される。各サブマトリックスは、図22において説明したマッピングに従って区分Aにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。同様にマトリックスS'fwdは、8個の(18×4)サブマトリックス(A'0からA'7)に区分される。各サブマトリックスは、図22において説明したマッピングに従って区分Bにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。
下位物理的層は、ベースバンド信号をDFT周波数ビン内に配置する。そこでデータは時間領域に変換され、それぞれに対応するアンテナ要素(0から7)へ送られて大気中に発信される。
上記の工程が、次の順方向チャンネル伝送バーストによって伝送される次の48ビットの2進データに対して始めから繰り返される。2進データの変換の際のさまざまなステップを、図34に示す。図示の簡素化のため、拡散機能およびトラフィックチャンネル結合機能は一つのステップとして表す。
ローキャパシティモードにおけるベース発信機の上位物理的層を表すブロック図を、図35に示す。
ローキャパシティモード
ハイキャパシティモードとローキャパシティモードとの伝送形式の主な差異は、異なるトレリス符号化方式の使用である。ローキャパシティモードでは、レート1/2トレリス符号器(ハイキャパシティモードのレート3/4符号器に対して)を用いる。一つの順方向伝送バーストにて48ビットを伝送するために、三つのトラフィック区分(A、B、およびC)を使用する。
2進ソースは、2進データをベース発信機へ64kビット/秒にて配信する。一つの順方向チャンネルバーストに対して、このデータは48ビットに翻訳される。これらの情報ビットは、トリプルDESアルゴリズムに従って暗号化される。暗号化ビットは続いて、データランダム化ブロックにおいてランダム化される。これらの48ビットが、一つのベクタに生成される。LCCからの3個のシンボルが追加されて、51個のシンボルのベクタが形成される。この51シンボルのベクタを、トレリス符号化する。トレリス符号化は、最も重要なシンボル(ベクタの第一要素)から始められ、ベクタの最後の要素(第三LCCシンボル)まで順次続けられる。この工程では、たたみ込み符号化を利用する。この符号化は、2進の入力シンボル(0または1)を他のシンボル(0、1、2、または3)に変換し、符号化されたシンボルを、各々に対応するQPSK信号コンステレーション点にマッピングする。従ってトレリス符号器の出力は51個の要素から成るベクタであって、その各要素は、QPSKコンステレーション信号の集合内の信号である。
51要素ベクタは、三つの17要素ベクタに分割される。各ベクタにはLMPが追加され、三つの18要素ベクタdfwd、d'fwd、およびd''fwdが形成される。ここで、LMPがこれらのベクタの第一要素である。得られた各ベクタに、(18×18)順方向スミアリングマトリックスCfwd-smearをプレ乗算し、さらに三つの(18×1)ベクタb、b'、およびb''を生成する。続いてベクタb、b'、およびb''は要素ごとに、各々に対応する(18×1)ゲインプレエンファシスベクタgfwd(p)、g'fwd(p)、およびg''が乗算され、三つの(18×1)ベクタc、c'、およびc''が得られる。ここでpは、トラフィックチャンネル指標を表す。各ベクタには、各々に対応する(1×32)順方向空間およびスペクトル拡散ベクタ(gH fwd(p)、g'H fwd(p)、またはg''H fwd(p))がポスト乗算され、三つの(18×32)マトリックスR(p)、R'(p)、およびR''(p)が生成される。
トラフィック区分Aにて伝送されるトラフィックチャンネルに対応する多様な18×32マトリックスを結合し、18×32マトリックスSfwdを生成する。同様に、トラフィック区分BおよびCにて伝送されるトラフィックチャンネルからのマトリックスを結合し、それぞれ18×32マトリックスS'fwdおよびS''fwd生成する。マトリックスSfwdは、(4列ずつのグループにて)8個の(18×4)サブマトリックス(A0からA7)に区分される。各サブマトリックスは、図22において説明したマッピングに従って区分Aにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。マトリックスS'fwdは、8個の(18×4)サブマトリックス(A'0からA'7)に区分される。各サブマトリックスは、図22において説明したマッピングに従って区分Bにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。同様にマトリックスS''fwdは、8個の(18×4)サブマトリックス(A''0からA''7)に区分される。各サブマトリックスは、図22において説明したマッピングに従って区分Cにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。下位物理的層は、ベースバンド信号をDFT周波数ビン内に配置する。そこでデータは時間領域に変換され、それぞれに対応するアンテナ要素(0から7)へ送られて大気中に発信される。
上記の工程が、次の順方向チャンネル伝送バーストによって伝送される次の48ビットの2進データに対して始めから繰り返される。2進データの変換の際のさまざまなステップを、図36に示す。図示の簡素化のため、拡散機能およびトラフィックチャンネル結合機能は一つのステップとして表す。同様に、暗号化およびランダム化機能も、一つのステップとして表す。
暗号化/解読
64kbpsの2進ソースは、ビットを暗号化モジュールへ48ビットずつ配信する。暗号化機能は、図37に示すとおり、DESアルゴリズムの三段カスケードから成る。
トレリス符号化/復号化
トレリス符号化技術は、たたみ込み符号化から成り、その後に信号マッピングが続く。物理的層の三つのモードでは、異なるトレリスコードを使用する。ハイキャパシティモードでは、16PSKおよび16QAMの、二つの信号コンステレーションが可能である。
16PSKコンステレーションのためのレート3/4たたみ込み符号器を、図38に示す。このたたみ込み符号器は、8状態(8-state)(k=4)14のレート1/2マザー符号器を用いる。このマザー符号器は、3ビットの入力シンボルのうち1ビットを符号化し、残りのビットは符号化せずに通過させる。
16PSKコンステレーションのためのレート1/2たたみ込み符号器は、8進法の表記にて生成多項式(G0=04、G1=13)によって説明され得る。
等価の多項式表現は、以下のとおりである:
0=D
1=D3+D2+1
16QAMコンステレーションのためのレート3/4たたみ込み符号器を、図39に示す。このたたみ込み符号器は、8状態(k=4)のレート1/2マザー符号器を用いる。このマザー符号器は、3ビットの入力シンボルのうち1ビットを符号化し、残りのビットは符号化せずに通過させる。
16QAMコンステレーションのためのレート1/2たたみ込み符号器は、8進法の表記にて生成多項式(G0=17、G1=13)によって説明され得る。等価の多項式表現は、以下のとおりである:
0=D3+D2+D+1
1=D3+D2
入力シンボルの二つの最も高位のビット(x2、x1)は符号化されずに通過され、出力シンボルの二つの最も高位のビット(y3、y2)を形成する。入力シンボルの最下位ビット(x0)は、レート1/2マザー符号器(影付きボックスとして図示する)に入り、出力シンボルの二つの最も下位のビット(y1、y0)を生成する。
トレリス符号化工程の次のステップは、16QAM(または16PSK)コンステレーション内の信号上に出力シンボルをマッピングすることである。16QAMおよび16PSKコンステレーションのための特定のマッピングを、図40に示す。
得られたトレリス符号器出力は、図40に示す16QAM(または16PSK)コンステレーション内に存在可能な16個のコンプレックス数のうちの一つである。各コンステレーション点(信号)の実際値を、図41に示す。コンステレーション上の点は、信号の平均エネルギーが1になるように選択されている。
ミディアムキャパシティモードでは、レート2/3トレリスコードを、8QAMまたは8PSK信号マッピングと共に用いる。8PSKコンステレーションのためのたたみ込み符号器を、図42に示す。このたたみ込み符号器は、32状態(k=6)のレート1/2マザー符号器を用いる。このマザー符号器は、2ビットの入力シンボルのうち1ビットを符号化し、残りのビットは符号化せずに通過させる。このレート1/2たたみ込み符号器は、8進法の表記にて生成多項式(G0=10、G1=45)によって説明され得る。等価の多項式表現は、以下のとおりである:
0=D2
1=D5+D3+D2+1
8QAMコンステレーションのためのたたみ込み符号器を、図43に示す。このたたみ込み符号器は、32状態(k=6)のレート1/2マザー符号器を用いる。このマザー符号器は、2ビットの入力シンボルのうち1ビットを符号化し、残りのビットは符号化せずに通過させる。このレート1/2たたみ込み符号器は、8進法の表記にて生成多項式(G0=53、G1=75)によって説明され得る。等価の多項式表現は、以下のとおりである:
0=D5+D4+D2+1
1=D5+D3+D2+1
入力シンボルの最高位ビット(x1)は符号化されずに通過され、出力シンボルの最高位ビット(y2)を形成する。入力シンボルの最下位ビット(x0)は、レート1/2マザー符号器に入り、出力シンボルの二つの最も下位のビット(y1、y0)を生成する。
トレリス符号化工程の次のステップは、8QAM(または8PSK)コンステレーション内の信号上に出力シンボルをマッピングすることである。8QAMおよび8PSKコンステレーションのための特定のマッピングを、図44に示す。得られたトレリス符号化出力は、図44に示す8QAM(または8PSK)コンステレーション内に存在可能な8個のコンプレックス数のうちの一つである。各コンステレーション点(信号)の実際値を、図45に示す。コンステレーション上の点は、信号の平均エネルギーが1になるように選択されている。
ローキャパシティモードでは、事実L標準的であるレート1/2符号器(図46に示す)を、QPSKマッピングと共に用いる。入力シンボルの唯一のビット(x0)がレート1/2マザー符号器に入り、出力シンボルの二つのビット(y1、y0)を生成する。
トレリス符号化王程の次のステップは、QPSKコンステレーション内の信号上に出力シンボルをマッピングすることである。自然マッピング(natural mapping)と呼ばれるQPSKコンステレーションのための特定のマッピングを、図46に示す。得られたトレリス符号化出力は、図47に示すQPSKコンステレーション内に存在可能な4個のコンプレックス数のうちの一つである。各コンステレーション点(信号)の実際値を、図48に示す。コンステレーション上の点は、信号の平均エネルギーが1になるように選択されている。
クラスタ(cluster)スミアリング/デスミアリング(desmearing)
このセクションにて、スミアリングマトリックスCfwd-smearを定義する。スミアリングブロックへの入力は、(18×1)ベクタdfwdである。したがって、スミアリング演算の出力(ベクタb)は、dfwdと(18×18)スミアリンダマトリックスCfwd-smearとのマトリックス乗算によって表現される。すなわち、
b=Cfwd-smearfwd
fwd-smearは、以下に示す一定値のマトリックスである。
Figure 2008187721
ここで、
a=(rLMF/(1+rLMP))1/2
b=(1/(1+rLMP))1/2
である。rLMPは、パイロット値対データベキの比率(ratio of pilot to data power)であり、物理的層によって供給され得るパラメータであって、その数値は公称(nominally)1に設定される。
ゲインプレエンファシス
このセクションにて、図31に示すケインプレエンファシスマトリックスgfwd(p)を説明する。ゲインプレエンファシスブロックへの入力は、(18×1)ベクタbである。ゲインプレエンファシス演算の出力(ベクタc)は、ベクタbとゲインプレエンファシスベクタgfwd(p)との要素ごとの乗算値である。
c=b・gfwd(P)
ここで、・は要素ごとのベクタ乗算を表す。gfwd(p)の要素は、ベースにて受信した情報を用いて算出される。これらの重みの算出は、実施例によって異なる。
スペクトルおよび空間拡散
このセクションにて、図31に示す(1×32)順方向空間およびスペクトル拡散ベクタgHfwd(P)を定義する。スペクトルおよび空間拡散ブロックへの入力は、18要素ベクタCである。スペクトルおよび空間拡散演算の出力(18×32)マトリックスR(p)は、cと(1×32)スペクトルおよび空間拡散ベクタgH fwd(p)とのマトリックス乗算値である。
R(p)=cgH fwd(p)
ここで、
H fwd(P)=[g012...g3031
ベクタgH fwd(p)の要素は、伝送中に渡って計算される発信拡散の重みである。これらの重みの算出のためのアルゴリズムは、実施例によって異なる。しかし、手順を明確にするために、これらの重みの算出のための特定のアルゴリズムを以下に説明する。
ベースは、逆方向チャンネルにて受信した最新データに基づいて、新しい重みを算出する。発信拡散の重みは、受信した重みに、各自4つの受信周波数を有する8個のアンテナの入力を用いてスケーリンク(比例尺)を適用したもの(scaled version)である。受信重みベクタwH rev(p)は、図49に示すように空間およびスペクトル成分にマッピングされた32要素(w0〜w31)を含む。
ベースのトラフィック確立手順において、発信重み(g0〜g31)が以下の等式によって計算される。
H fwd(p)=afwd(n)h(kfwdwH rev(p))
ここで、kfwdはベース発信定数である。afwd(n)は、n番目のパケットに対するベースゲインランプアップ係数である。そしてh(.)は、自身の変数のノルムを23dBmまでに制限する関数である。
‖v‖2<23dBmの時、
h(v)=v
さもなければ、
h(v)=23dBm(スケール係数)(v/‖v‖2
ベース定常手順においては、受信重みは以下の等式を用いて適応的に(adaptively)計算される。
rev(p)=R-1 xxxy
ここで、
rev(p)は(32×1)重みベクタであり、
xyは、受信した(32×1)ベクタxと逆拡散データyとの(32×1)相互相関ベクタの推定値に、チャンネル等化(equalization)重みの推定値を乗算したものであり、
-1 xxは、受信したベクタXの(32×32)反転自己相関マトリックスの推定値である。(R-1 xxは、帰納的変形グラムーシュミット(RMGS)アルゴリズム(Recursive Modified Gramm-Schmidt algorithm)を用いて算出してもよい。)
xvは、再スミアリンダステップおよびゲインプレエンファシス再適用ステップ後の逆拡散データに対して相互相関する。
受信重み(w0〜w31)は、図49に示すマッピングに従って、空間およびスペクトル成分にマッピングされる。発信重み(g0〜g31)は、受信重みにスケーリングを適用した値である。スケーリングは、以下の等式に従って為される。
H fwd(p)=kfwdH rev(p)
ここで、kfwdはベース定常発信定数である。
相関推定は、8つの逆方向チャンネルバーストに渡って計算される。新しい逆拡散の重みは、遅延なく8つの逆方向チャンネルバーストに適用される。重みは、バースト4つ分の遅延後に、8つの順方向チャンネルバーストに適用される。相関推定は、ベキ指数平均化ブロック総和(exponentially averaged block summation)を通じて為される。指数関数的減衰定数(exponential decay constant)は暫定的に、公称値0.7とされる。
図85に、スペクトルおよび空間重みの適応的解法の実施形態の例示的フローチャートを示す。
順方向(フォワード)制御チャンネル伝送フォーマット
共通リンクチャンネル(CLC)チャンネル伝送における物理的層のブロック図を、図50に示す。CLCメッセージは、64ビットの2進シーケンスである。ビットツー双ビット変換ブロックは、2進シーケンスを、2ビットシンボルから成る長さ32のシーケンスに変換する。ベクタ形成ブロックは、シンボルシーケンスを(32×1)ベクタに変換する。得られたベクタの各要素を、QPSK信号コンステレーション中の各々に対応する信号内にマッピングし、さらに別の(32×1)ベクタSを生成する。QPSK信号におけるマッピングを、図51に示す。
得られたベクタは、二つの並行経路に進められる。第一経路ではベクタsは直接、スペクトルおよび空間拡散へ送られる。そのスペクトルおよび空間拡散は、ベクタsに(1×32)拡散ベクタgH clcをポスト乗算することを含む。
H clc=[g0g1g2...g30g31]
(gH clcは、以下にてさらに説明する。)得られた(32×32)マトリックスは、Dclcである。続いてマトリックスDclcは、アンテナデマルチプレクサに送られ、(4列ずつのグループにて)8個の(32×4)サブマトリックスA0からA7に区分される。これらの各サブマトリックスの要素は最終的には、それぞれアンテナ0から7へ伝送される。
第二経路では、ベクタsはコードゲーティングされる。コードゲーティング演算は、(32×1)ベクタSと(32×1)コートゲーティングベクタYclcとの要素ごとの乗算であると説明される。生成される(32×1)ベクタS'は、
s=s・1clc
ベクタiclcは、以下にて説明する。
得られた(32×1)ベクタs'は、スペクトルおよび空間拡散へ送られる。そのスペクトルおよび空間拡散は、ベクタs'に(1×32)拡散ベクタgclc Hをポスト乗算することを含む。得られた(32×32)マトリックスは、D'clcである。続いてマトリックスD'clcは、アンテナデマルチプレクサに送られ、(4列ずつのグループにて)8個の(32×4)サブマトリックスA'0からA'7に区分される。これらの各サブマトリックスの要素(A0からA7)および(A'0からA'7)は続いて、タイムデマルチプレクサへ伝送され、さらに(4行ずつのグループにて)8個の(4×4)サブマトリックスに区分される。それにより、128個の(4×4)マトリックス(D0からD63)および(D'0からD'63)が生成される。
一つの64ビットCLCメッセージの伝送には、16の順方向チャンネルバーストまたは4つのTDD周期を要する。これらの各バーストにおいては、8個(各アンテナに1個)の(4×4)マトリックスがトーン上にマッピングされ、下位物理的層へ送られて大気中に発信される。インタリーブおよびトーンマッピング機能は、以下にて説明される。
ベクタgclcは、(8×1)空間拡散ベクタdと(4×1)スペクトル拡散ベクタfとのクロネッカー積であると定義される。
clc=kron(d,f)
ここで、dは
Figure 2008187721
であり、fは
Figure 2008187721
である。生成されるベクタgclcは、以下のとおりである。
Figure 2008187721
clc Hは、gclcの共役転置である。
拡散ベクタfは、(4×4)アダマールマトリックスH4のうちの一列であり、ベースにてランダムに選択され得る。
拡散ベクタdは、(8×72)CLC空間拡散の重み表のk番目の列である。列指数kは、パラメータCLCビームを通じてMAC層によって供給される。
(4×4)アダマールマトリックスはHNと表記され、以下の帰納によって得られる:H2Nは、
Figure 2008187721
に等しい。ここで、H0は1にて初期化される。たとえば、4×4アダマールマトリックス(H4)は以下のとおりである。
Figure 2008187721
コードゲーティングベクタiclcは、
clc=bclc・hclc
ここで、ベクタhclcは、すべて1のベクタ(ones vector)である(32×32)アダマールマトリックス(H32)の0番目の列である。(32×1)ベクタbclcのi番目の要素は、以下のとおりである。
clc=ej2pikoffset/32
offset(0から31の間の整数)は、伝送ベースのためのベース局オフセットコード(BSOC)である。
インタリーブ
各CLC伝送には、16のバースト(バースト0からバースト15)が含まれる。各アンテナに対して、インタリーバは各バースト内にて、16の可能な(4×4)マトリックスのうちの一つを出力する。図52に、インタリーバが使用する伝送順序を示す。
トーンマッピング
大気中に発信するトーン上にマッピングすべき(4×4)マトリックスは、128個ある。図53に、インタリーバの出力側におけるトーン内への(4×4)マトリックスのマッピングを示す。図23を用いて、絶対トーン指数(absolutetone indices)を得ることができる。
放送チャンネル
BRCチャンネル伝送の物理的層に関するブロック図を、図54に示す。このブロック図は、図50に示すCLCに関するものと近似している。しかし、完全を期すためおよび細かい差異を指摘するため、BRC伝送フォーマットの詳細をこのセタションにて示す。
順方向におけるCLC伝送とBRC伝送との主な差異は、以下のとおりである。
ベースは、すべての(4つのサブバンドペアにおける)BRCチャンネルを使用するが、CLCでは、チャンネル選択は作動中のサブバンドペアに基づく。
ベースは、10の空間ビーム(順次作動される)生成することで、一つの半球におけるすべてのRUをカバーする。すなわちBRCメッセージの放送には、CLCメッセージの伝送の10倍の時間がかかる。
BRCメッセージは、64ビットの2進シーケンスである。ビットツー双ビット変換ブロックは、2進シーケンスを、2ビットシンボルから成る長さ32のシーケンスに変換する。ベクタ形成ブロックは、シンボルシーケンスを(32×1)ベクタに変換する。得られたベクタの各要素を、QPSK信号コンステレーション中の各々に対応する信号内にマッピングし、さらに別の(32×1)ベクタsを生成する。QPSK信号におけるマッピングは、CLCに関して図51に示すものと同一である。
得られたベクタは、二つの並行経路に進められる。第一経路ではベクタsは直接、スペクトルおよび空間拡散へ送られる。そのスペクトルおよび空間拡散は、ベクタsに(1×32)スペクトルおよび空間拡散ベクタgbrc Hをポスト乗算することを含む。
H brc=[g0g1g2...g30g31]
brc Hは、以下にて説明する。
得られた(32×32)マトリックスは、Dbrcである。続いてマトリックスDbrcは、アンテナデマルチプレクサに送られ、(4列ずつのグループにて)8個の(32×4)サブマトリックスA0からA7に区分される。これらの各サブマトリックスの要素は最終的には、それぞれアンテナ0から7へ伝送される。
第二経路では、ベクタsはコードケーティングされる。コードゲーティングは、(32×1)ベクタsと(32×1)コートゲーティングベクタibrcとの要素ごとの乗算であると説明される。生成される(32×1)ベクタs'は、
s'=s・Yclc
ベクタYbrcは、以下にて説明する。
得られた(32×1)ベクタs'は、スペクトルおよび空間拡散へ送られる。そのスペクトルおよび空間拡散は、ベクタs'に(1×32)拡散ベクタgbrc Hをポスト乗算することを含む。得られた(32×32)マトリックスは、D'brcである。続いてマトリックスD'brcは、アンテナデマルチプレクサに送られ、(4列ずつのグループにて)8個の(32×4)サブマトリックスA'0からA'7に区分される。これらの各サブマトリックスの要素(A0からA7)および(A'0からA'7)は続いて、タイムデマルチプレクサへ伝送され、さらに(4行ずつのグループにて)8個の(4×4)サブマトリックスに区分される。それにより、128個の(4×4)マトリックス(D0からD63)および(D'0からD'63)が生成される。
一つの空間ビームにおいて、64ビットBRCメッセージの伝送には、16の順方向チャンネルバーストまたは4つのTDD周期を要する。これらの各バーストにおいては、8個(各アンテナに1個)の(4×4)マトリックスがトーン上にマッピングされ、下位物理的層へ送られて大気中に発信される。インタリーブおよびトーンマッピング機能は、以下にて説明される。
10の異なる方向の空間的ビームを得るために処理は10回繰り返され、空間的セルの中のすべてのRUが放送メッセージを検出できる。
ベクタgbrcは、(8×1)空間拡散ベクタdと(4×1)スペクトル拡散ベクタfとのクロネッカー積であると定義される。
brc=kron(d,f)
ここで、dは
Figure 2008187721
であり、fは
Figure 2008187721
である。生成されるベクタgbrcは、以下のとおりである。
Figure 2008187721
brc Hは、gbrcの共役転置である。拡散ベクタfは、(4×4)アダマールマトリックスH4のうちの一列であり、ベースにてランダムに選択され得る。拡散ベクタdは、BRC空間拡散の重み表のうちの一列であり、その表はこの文献の次の公開物にて説明される。ベースは、すべてのサブバンドペアにて同時に伝送する。各サブバンドペアにおいて、10の異なる空間ビームを生成し順次作動させることにより、空間セル内のすべてのRUをカバーする。
コードゲーティングベクタibrcは、
brc=bbrcbrc
ここで、ベクタhbrcは、すべて1のベクタである(32×32)アダマールマトリックス(H32)の0番目の列である。(32×1)ベクタbclcのi番目の要素は、以下のとおりである。
brc=ej2pikoffset/32
offset(0から31の間の整数)は、伝送ベースのためのBSOCである。
各空間ビームにおける各BRC伝送には、16のバースト(バースト0からバースト15)が含まれる。各アンテナに対して、インタリーバは各バースト内にて、16の可能な(4×4)マトリックスのうちの一つを出力する。インタリーブのルールは、図52に示すCLCインタリーブルールと同一である。空間ビームは、全部で10ある。したがってこの工程は、各空間ビームに対して1回ずつ、順次10回繰り返される。
大気中に発信するトーン上にマッピングすべき(4×4)マトリックスは、128個ある。図55に、インタリーバの出力側におけるトーン内への(4×4)マトリックスのマッピングを示す。図23を用いて、絶対トーン指数を得ることができる。
放送チャンネル信号は、空間的にビーム形成され、各サブバンドペア当たり10の所定ビームパターンを用いて順次発信される。それにより、4つの放送チャンネル信号(各サブバンドペアに1つ)が、各空間セルにおいて同時に掃引される。それを、図56に示す。
各BRCメッセージの伝送には、40のTDD周期または120msを要する。新しいBRCメッセージの開始は、偶数フレーム境界(even frame boundaries)においてのみ可能である。4つの各サブバンドペアは、同じBRCメッセージを同時に発信する。一つの空間セルにおいて、さらには本実施形態のシステムのすべてのベースにおいて、BRCビーム掃引は同期的である。BRCビームは、時計周りのパターンにて掃引される。
逆方向チャンネルフォーマット
順方向チャンネルにおいて、物理的層は3つの異なる実現形式がある。これらのモードは、以下のように呼ばれる。
ハイキャパシティモード(短距離):3ビット/シンボル
ミディアムキャパシティモード(中距離):2ビット/シンボル
ローキャパシティモード(長距離):1ビット/シンボル
ハイキャパシティモード
ハイキヤパシティモードにおけるリモートユニット発信機の上位物理的層を表すブロック図を、図57に示す。
2進ソースは、2進データをリモートユニット発信機へ64kビット秒にて配信する。一つの逆方向チャンネルバーストに対して、このデータは48ビットに翻訳される。これらの情報ビットは、トリプルDESアルゴリズムに従って暗号化される。暗号化ビットは続いて、データランダム化ブロックにおいてランダム化される。
ビットから8進値への変換ブロックは、ランダム化された2進シーケンスを、3ビットシンボルのシーケンスに変換する。このシンボルシーケンスは、16個のシンボルから成るベクタに変換される。LCCからの1個のシンボルが追加されて、17個のシンボルのベクタが形成される。
この17シンボルのベクタを、トレリス符号化する。トレリス符号化は、最も重要なシンボル(ベクタの第一要素)から始められ、ベクタの最後の要素(LCCシンボル)まで順次続けられる。この工程では、たたみ込み符号化を利用する。この符号化は入力シンボル(0から7の間の整数)を、他のシンボル(0から15の間)に変換し、その各々に対応する16QAM(または16PSK)信号コンステレーション点にマッピングする。従ってトレリス符号器の出力は17個の要素から成るベクタであって、その各要素は、16QAM(または16PSK)コンステレーション信号の集合内の信号である。
LMPが追加され、18要素ベクタが形成される。ここで、LMPがこのベクタの第一要素である。得られたベクタdrevに、(18×18)逆方向スミアリングマトリックスCrev-smearをプレ乗算し、(18×1)ベクタbを生成する。続いてベクタbには、(1×4)逆方向拡散ベクタgH revがポスト乗算され、(18×4)マトリックスSrevが生成される。マトリックスSrevの要素は、図22にて説明したマッピングに従ってトラフィック区分Aにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。下位物理的層はベースバンド信号を、それらの各々に対応するDFT周波数ビンに配置する。そこでデータは時間領域に変換され、大気中への発信のために送られる。
上記の工程が、次の逆方向チャンネル伝送バーストによって伝送される次の48ビットの2進データに対して始めから繰り返される。2進データの変換の際のさまざまなステップを、図58に示す。
ミディアムキャパシティモード
ミディアムキャパシティモードにおけるリモートユニット発信機の上位物理的層を表すブロック図を、図59に示す。
2進ソースは、2進データをリモートユニット発信機へ64kビット/秒にて配信する。一つの逆方向チャンネルバーストに対して、このデータは48ビットに翻訳される。これらの情報ビットは、トリプルDESアルゴリズムに従って暗号化される。暗号化ビットは続いて、データランダム化ブロックにおいてランダム化される。ビットツー双ビット変換ブロックは、ランダム化された2進シーケンスを、2ビットシンボルのシーケンスに変換する。このシンボルシーケンスは、24個のシンボルから成るベクタに変換される。LCCからの2個のシンボルが追加され、さらにシーケンスの終端に8個の1が挿入されて、34個のシンボルのベクタが形成される。
この34シンボルのベクタを、トレリス符号化する。トレリス符号化は、最も重要なシンボル(ベクタの第一要素)から始められ、ベクタの最後の要素(第二のLCCシンボル)まで順次続けられる。この工程では、たたみ込み符号化を利用する。この符号化は入力シンボル(0から3の間の整数)を、他のシンボル(0から7の間)に変換し、その各々に対応する8QAM(または8PSK)信号コンステレーション点にマッピングする。従ってトレリス符号器の出力は34個の要素から成るベクタであって、その各要素は、8QAM(または8PSK)コンステレーション信号の集合内の信号である。
34要素ベクタは、二つの17要素ベクタに分割される。各ベクタにはLMPが追加され、二つの18要素ベクタdrevおよびd'revが形成される。ここで、LMPがこれらのベクタの第一要素である。得られた各ベクタdrevおよびd'revに、(18×18)逆方向スミアリングマトリックスCrev-smearをプレ乗算し、さらに別の二つの(18×1)ベクタbおよびb'を生成する。それらの各ベクタには、(1×4)逆方向拡散ベクタ(gH revまたはg'H rev)がポスト乗算され、二つの(18×4)マトリックスSrevおよびS'revが生成される。マトリックスSrevの各要素は、図22にて説明したマッピングに従ってトラフィック区分Aにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。マトリックスS'revの要素は、同様にトラフィック区分Bにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。下位物理的層は、ベースバンド信号をDFT周波数ビンに配置する。そこでデータは時間領域に変換され、大気中への発信のために送られる。
上記の工程が、次の逆方向チャンネル伝送バーストによって伝送される次の48ビットの2進データに対して始めから繰り返される。2進データの変換の際のさまざまなステップを、図60に示す。
ローキャパシティモード
ローキャパシティモードにおけるリモートユニット発信機の上位物理的層を表すブロッタ図を、図61に示す。2進ソースは、2進データをリモートユニット発信機へ64kビット/秒にて配信する。一つの逆方向チャンネルバーストに対して、このデータは48ビットに翻訳される。これらの情報ビットは、トリプルDESアルゴリズムに従って暗号化される。暗号化ビットは続いて、データランダム化ブロックにおいてランダム化される。これらの48ビットは、一つのベクタに生成される。LCCから3ビットが追加され、51ビットのベクタが形成される。
この51ビットベクタを、トレリス符号化する。トレリス符号化は、最も重要なシンボル(ベクタの第一要素)から始められ、ベクタの最後の要素(第三のLCCビット)まで順次続けられる。この工程では、たたみ込み符号化を利用する。この符号化は、2進入力シンボル(0または1)を、他のシンボル(0、1、2、または3)に変換し、その各々に対応するQPSK信号コンステレーション点にマッピングする。従ってトレリス符号器の出力は51個の要素から成るベクタであって、その各要素は、QPSKコンステレーション信号の集合内の信号である。51要素ベクタは、三つの17要素ベクタに分割される。各ベクタにはLMPが追加され、三つの18要素ベクタdrev、d'rev、およびd''revが形成される。ここで、LMPがこれらのベクタの第一要素である。得られた各ベクタに(18×18)逆方向スミアリンダマトリックスCrev-smearをプレ乗算し、さらに別の三つの(18×1)ベクタb、b'、およびb''を生成する。それらの各ベクタには、(1×4)逆方向拡散ベクタ(gH rev、g'H rev、またはg''H rev)がポスト乗算され、三つの(18×4)マトリックスSrev、S'rev、およびS''revが生成される。マトリックスSrevの要素は、図22にて説明したマッピングに従ってトラフィック区分Aにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。マトリックスS'revおよびS''revの要素は、同様にそれぞれ、トラフィック区分BおよびCにおけるトーン内にマッピングされ、下位物理的層へ伝送される。下位物理的層は、ベースバンド信号をDFT周波数ビンに配置する。そこでデータは時間領域に変換され、大気中への発信のために送られる。
上記の工程が、次の逆方向チャンネル伝送バーストによって伝送される次の48ビットの2進データに対して始めから繰り返される。2進データの変換の際のさまざまなステップを、図62に示す。
暗号化機能は、上述した順方向チャンネルのためのものと同一である。
三つのキャパシティモードすべてのトレリス符号化方式は、上述した順方向チャンネルにおけるものと同一である。
以下のセクションにおいて、スミアリングマトリックスCrev-smearを特定する。スミアリングブロックへの入力は、(18×1)ベクタDrevである。スミアリング演算の出力(ベクタb)は、drevと(18×18)スミアリングマトリックスCrev-smearとのマトリックス乗算によって表現される。すなわち、
b=Crev-smearrev
fwd-smearは、以下に示す一定値のマトリックスである。
Figure 2008187721
ここで、
a=(rLMP/(1+rLMP))1/2
b=(1/(1+rLMP))1/2
である。rLMPは、パイロット値対データベキの比率(ratio of pilot to data power)であり、物理的層によって供給され得るパラメータであって、その数値は公称1に設定される。
isは、リモートユニット固有のクラスタスクランブリングベクタdsmearの要素である。dsmearは17要素ベクタであり、ローカル空間セルおよび隣接する空間セル内にて、ベースが特定のトラフィック区分において一人のユーザから受信したスミアリングデータが、同じトラフィック区分において他のユーザと相関しないことを確実にするために用いられる。dsmearは、以下によって表される。
Figure 2008187721
または
Figure 2008187721
smearのi番目の要素は、eif smear (i)と表示され、ここでfsmear(i)は、各リモートユニットに対して固有のシーケンスを作成する擬似乱数生成器によって生成された0から2pの間の実数である。擬似乱数生成器の詳細は、実施例によって異なり、ベースにて必要な情報ではない。
スペクトル拡散
このセクションにて、図57に示す(1×4)逆方向スペクトル拡散ベクタgH revを定義する。スペクトル拡散ブロックへの入力は、(18×1)ベクタbである。スペクトルおよび空間拡散演算の出力(18×4)マトリックスSrevは、bと(1×4)スペクトル拡散ベクタgH revとのマトリックス乗算値である。
rev=bgH rev
ここで、
H rev=[g012...g3031
ベクタgH revの要素は、伝送中に渡って計算される発信拡散の重みである。これらの重みの算出のためのアルゴリズムは、実施例によって異なる。しかし、手順を明確にするために、これらの重みの算出のための特定のアルゴリズムを以下に説明する。
リモートユニットは、順方向チャンネルにて受信した最新データに基づいて、新しい発信重みを算出する。発信拡散の重みは、受信した重みに、1つのアンテナに対して4つの受信周波数を用いてスケーリングを適用したものである。
受信重みベクタwH fwdは、図63に示すようにスペクトル成分にマッピングされた4要素(w0〜w3)を含む。
リモートユニットのトラフィック確立手順において、発信重み(g0〜g3)は以下の等式によって計算される。
H rev(p)=arev(n)prevH fwd
ここでarev(n)は、n番目のパケットに対するベースケインランプアップ係数である。そしてprevは、以下の等式によって規定される、リモートユニットのパワー管理係数である。
rev=1pfwd+(1−1p)krev(ploss(n,p)/‖(wfwd(p))‖
ここで、
pは、公称0.97に設定される、指数関数的減衰または「忘却係数(forget factor)」であり、
lossは、リモートユニット同期パイロットトーン(RSP)を用いて測定される、ベース−リモートユニット間チャンネルゲインの逆数であり、
revは、ベース受信パワーのターゲット値(公称−103dBm)であり、
nはバースト指数であり、
pはリンク指数である。
リモートユニットのトラフィック確立手順において、受信重みは以下の等式を用いて適応的に計算される。
fwd=R-1 xxxd
ここで、
fwdは(4×1)受信重みベクタであり、
xdは、受信した(4×1)ベクタxとLMP(または所望のデータ)dとの(4×1)相互相関ベクタの椎定値であり、
-1 xxは、受信したベクタxの(4×4)反転自己相関マトリックスの推定値である。
リモートユニット定常手順においては、受信重みは以下の等式を用いて適応的に計算される。
fwd=R-1 xxxy
ここで、
fwdは(4×1)重みベクタであり、
xyは、受信した(4×1)ベクタxと逆拡散データyとの(4×1)相互相関ベクタの推定値であり、
-1 xxは、受信したベクタxの(4×4)反転自己相関マトリックスの推定値である。
受信重み(w0〜w3)は、図63に示すマッピングに従って、スペクトル成分にマッピングされる。発信重み(g0〜g3)は、受信重みにスケーリングを適用した値である。スケーリングは、以下の等式に従って為される。
H rev(p)=prevH fwd
ここでprevは、上記にて定義したリモートユニットパワー管理係数である。
相関推定は、4つの順方向チャンネルバーストに渡って計算される。新しい逆拡散の重みは、遅延なく4つの順方向チャンネルバーストに適用される。重みは、バースト8つ分の遅延後に、8つの逆方向チャンネルバーストに適用される。相関推定は、ベキ指数平均化ブロック総和を通じて為される。指数関数的減衰定数は暫定的に、公称値0.7とされる。
逆方向制御チャンネル伝送フォーマット
共通アクセスチャンネル(CAC)での請求および非請求(solicited and unsolicited)チャンネル伝送における物理的層のブロック図を、図64に示す。
CACメッセージは、56ビットの2進シーケンスであり、トレーニングシーケンス、情報ビット、およびCRCパリティビットによって構成される。ベクタ形成ブロックは、2進シーケンスを(56×1)ベクタに変換する。得られたベクタの各要素を、BPSK信号コンステレーション中の各々に対応する信号内にマッピングし、さらに別の(56×1)ベクタsを生成する。BPSK信号におけるマッピングを、図65に示す。
得られたベクタは、二つの並行経路に進められる。第一経路ではベクタsは直接、スペクトル拡散へ送られる。そのスペクトル拡散は、ベクタsに(1×2)スペクトル拡散ベクタgcac Hをポスト乗算することを含む。
H cac=[1 1]
得られた(56×2)マトリックスは、Dcacであり、以下のように示される。
Figure 2008187721
ここでs(k)は、ベクタsのk番目の要素である。続いてマトリックスDcacはデマルチプレクサに送られ、(8列ずつのグループにて)7個の(8×2)サブマトリックスD0からD6に区分される。
第二経路では、ベクタsはコードゲーティングされる。コードゲーティング演算は、(56×1)ベクタsと(56×1)コートゲーティングベクタYcacとの要素ごとの乗算であると説明される。生成される(56×1)ベクタs'は、
s'=s・icac
ベクタicacは、以下にて説明する。
得られた(56×1)ベクタs'は、スペクトル拡散へ送られる。そのスペクトル拡散は、ベクタs'に(1×2)スペクトル拡散ベクタgcac Hをポスト乗算することを含む。得られた(56×2)マトリックスは、D'cacである。
Figure 2008187721
ここでs'(k)は、ベクタs'のk番目の要素である。続いてマトリックスD'cacは、デマルチフルクサに送られ、(8列ずつのグループにて)7個の(8×2)サブマトリックスD'0からD'6に区分される。
一つの56ビットCACメッセージの伝送には、14の逆方向チャンネルバーストを要する。これらの各バーストには、14個の(8×2)マトリックスのうちの1個がトーン上にマッピングれ、下位物理的層へ送られて大気中に発信される。インタリーブおよびトーンマッピング機能は、以下にて説明される。
コードゲーティングベクタicacは、
cac=bcac・hcac
であり、
cac=ej2pikoffset/56
である。ここでbcac(i)は、(56×1)ベクタbcacのi番目の要素である。koffsetは受信ベースのためのBSOCであり、0から31までの値である。各リモートユニットに対して、請求CACコードキーおよび非詰求CACコードキーである、一対のコードキーが指定される。これらのコードキーは、0から63の間の整数である。
ベクタhcacの56要素は、(64×64)アダマールマトリックス(H64)のk番目の列の最初の56要素である。ここでkは、発信するリモートユニットのための請求または非請求コードキーの値であり、CAC伝送の種類によって異なる。たとえば、あるリモートユニットの請求コードキーが13という数字であり、非請求コードキーは数字15であった場合:
SCAC伝送では、ベクタhcacの要素は、(64×64)アダマールマトリックスの13番目の列の最初の56要素であり、
UCAC伝送では、ベクタhcacの要素は、(64×64)アダマールマトリックスの15番目の列の最初の56要素である。
各CAC伝送には、14のバースト(バースト0からバースト13)が含まれる。インタリーバは各バースト内にて、14の可能な(8×2)マトリックス(D0からD6)または(D'0からD'6)のうちの一つを出力する。図66に、インタリーバが使用する伝送順序を示す。各サブバンドペアには、二つのCACが含まれる。リモートユニットは、自身のMAC層から受信したCAC IDパラメータに基づき、これらのチャンネルのうちの一つを使用する。CAC IDが0の場合、CACi,0が選択される。CAC IDが1の場合、CACi,1が選択される。図67に、インタリーバの出力側におけるトーン内への(8×2)マトリックスのマッピングを示す。
下層物理層フォーマット
本実施形態の下層物理層のための送信機の機能は、図68のブロック図により説明できる。下層物理層の機能は、順方向チャネル(通信路)および逆方向チャネルで同じである。
順方向チャネルでは、トラフィックチャネル通信のため、図68に示されるプロセスを8つの異なるアンテナ素子について並列に8回行う。さらに、ベースは種々のユーザに対するデータを同じDFTビンに組合わせ、処理の要件を少なくすることができる。トラフィックおよび制御情報は重ならない周波数トーンで伝送されるため、これらを(ベースまたはリモートユニットにおいて)同時に送信することにより、処理をさらに削減することができる。しかし、これらの技術はその実現例に依存するものであり、DFT動作の機能的な特徴を変えるものではない。図68に示されるように、複合ベースバンド信号がトーンマッピングブロックに入力され、ここでトラフィックまたは制御チャネルへの一意的なマッピングによってトーンに割当てられる。
トーンマッピングされた複合信号は、下層サブバンドおよび上層サブバンドトーンにデマルチプレクスされ、その対応するDFTビンに入れられる。残りのDFTビンはゼロで満たされ、逆DFT動作が行われて、データを時間領域に変換する。次に、離散的な時間領域サンプルがアナログ信号に変換され、適切なRF周波数に変換されて、アンテナを介して送信される。
サブバンド対は4つ存在するため、DFTブロック対も4つあり、各DFTブロックは使用可能な帯域幅1MHzにわたる。1つのDFTブロックにおける隣接するビン間の間隔は3.125kHzである。各DFTブロックは512のビンを有し、そのうち使用されるビンは320だけである。各DFTブロックにおける対応のDFTビンへのトーンマッピングが図69に示される。図70は、トーンマッピングを描写したものである。図示のように、1つのDFTブロックの周波数スパンは1.6MHzであり、データ送信に使われるのは1MHzにすぎない。各ビンについての実際の周波数とトーンとの関係をここで説明する。
逆DFT動作を行ってベースバンド信号を時間領域に変換する。この動作を数学的に表現すると次のようになる。
x(n)=SX(k)ej2pnk/512
ここで、X(k)は周波数領域における複合ベースバンド信号(DFTブロックのk番目のビンの内容)であり、x(n)は時間領域サンプルのn番目の実数値成分である。逆DFT動作は、高速フーリェ逆変換(IFFT)技術を用いて行つてもよい。
IDFT動作後に得られるベースバンド送信信号は実数でなくてはならない。次に、実数値時間領域サンプル出力が、送信のために適切なアナログ波形および適切なRF周波数に変換される。
エアリンク物理層電力出力特性
順方向チャネルにおけるベース送信の電力出力特性は、逆方向チャネルにおけるリモートユニットのそれとは異なる。
ベースからあるリモートユニットへの順方向チャネル送信は、接続が持続されている間、ある一定の電力レベルに維持される。電力レベルは、電力管理アルゴリズムを用いて接続開始前にベース無線管理エンティティ(RME)によって決定される。
順方向RFチャネル送信は、トラフィック確立期間中の180msランプアップ期間(240順方向チャネルバースト)によって開始される。ランプアップは、ベースと所与のリモートユニットとの間で接続が確立されてから開始される。この期間中に送信されるデータは、既知のリンクメンテナンスパイロットである。240チャネルバースト(180msec)後に最大(安定状態)電力に達し、接続中維持される。
以下の式は、安定状態電力に関する順方向チャネルランプアップスケジュールを示す。
n<240のとき
fwd(n)=(1−e-5(8[n/8]/(1−e-5))2
それ以外 afwd(n)=1
ここでnは送信開始に関しての順方向チャネルバースト数である。
リモートユニットからそのベースへの逆方向チャネル送信は、適応的に変化され、すべてのRUからそれらのベースで受けた電力が比較的一定のレベルに確実に維持されるようにする。リモートユニット電力管理アルゴリズムはその実現例に依存する。このアルゴリズムの一例については逆方向チャネルフォーマットに関するセクションで説明する。
逆方向RFチャネル送信は、トラフィック確立期間中、180msランプアップ期間(240逆方向チャネルバースト)によって開始される。ランプアップは、リモートユニットとそのベースとの間で接続が確立されてから開始される。この期間中に送信されるデータは既知のLMPである。240逆方向チャネルバースト(180msec)後に最大(安定状態)電力に達する。
以下の式は、安定状態電力に関しての逆方向チャネルランプアップスケジュールを示す。
n<240のとき
rev(n)=(1−e-5(8[n/8])/(1−e-5))2
それ以外
rev(n)=1
ここでnは送信開始に関しての逆方向チャネルバースト数である。
「概念を証明する」実施形態
これまで包括的に説明した信号処理手順は、高帯域幅基地局110および無線アクセス局187,192内の回路によって「概念を証明する」実施形態において実現できる。さらに、本発明の動的帯域幅割当て方法は、以下に示す通信ネットワーク100の回路内で「概念を証明する」実施形態において実現される。
図71は、帯域幅効率の高いオンデマンド帯域幅通信ネットワーク100の一実現例の主要な構造を成す要素を示す概略のブロック図である。具体的には、通信ネットワーク100は複数のフルレート高帯域幅無線アクセス局192とローレート高帯域幅無線アクセス局187とを含んで示される。一般に、フルレート高帯域幅無線アクセス局192は、基地局110と多数の加入者130との間の通信を与えることができ、一方、ローレート高帯域幅無線アクセス局187は、基地局110と一度に1または2,3の加入者のみとの通信を与えることができる。
加入者130は、ケーブル、または他の通信リンクを介してフルレートまたはローレート高帯域幅無線アクセス局192,187と通信する。高帯域幅無線アクセス局は無線通信チャネルを介して基地局110と双方向に通信してエアリンクを形成する。基地局110の構造および動作と、フルレートおよびローレート高帯域幅無線アクセス局192,187の構造および動作は図72および図73を参照して後により詳細に説明する。
基地局110とフルレートおよびローレート高帯域幅無線アクセス局192,187によってサブシステム150が構成される。サブシステム150は、陸線170を介してテレコミュニケーションネットワーク160と双方向に通信し、陸線170は、たとえば銅ケーブルまたは光ファイバ接続等を含んでもよい。または、リンク170はマイクロ波リンクを含んでもよい。当該分野では周知であるように、テレコミュニケーションネットワーク160は、たとえば、公衆交換電話網や、移動電話交換オフィス(MTSO)、専用データ網、モデムバンク、または構内回線等を含んでもよい。
図74は、オンデマンド帯域幅通信ネットワーク100の主要な機能的および構造的要素をより詳細に示す、簡略化された概略のブロック図である。図74において通信ネットワーク100は、複数の加入者ユニット(たとえば、コンピュータ131、電話132、公衆交換網と通信する複数の電話140、またはローカルエリアネットワーク内の複数のコンピュータ端末145)を公衆もしくは専用データまたは電話網150−156)に接続するように示される。公衆データ網150、専用データ網152、専用電話網154、および公衆電話網156は、包括的にブロック160で示される複数のネットワークインタフェースを介して、それぞれ線163,164,165,および166に沿って非同期テレコミュニケーションマルチプレクサ(ATM)162と通信する。非同期テレコミュニケーションマルチプレクサ162は、多重化スイッチとして動作し、通信リンク170を介して高帯域幅基地局192と接続する。通信リンク170は、有利には、光ファイバリンク、銅線、またはマイクロ波送信リンクを含む。高帯域幅基地局110は、アンテナ120を介して受信局に無線周波出力信号を与える。
帯域幅デマンドコントローラ175は、高帯域幅基地局110、非同期テレコミュニケーションマネジャスイッチ162、およびネットワークインタフェース160と、それぞれ線176,177,および178を介して通信する。帯域幅デマンドコントローラ175はまた、線179を介してインテリジェントサービスノード180とも通信する。インテリジェントサービスノード180は、線182を介してATMスイッチ162と通信する。オンデマンド帯域幅通信ネットワーク100の上述の要素は、オンデマンド帯域幅通信システム100のテレコミュニケーションネットワーク側183を構成する。テレコミュニケーションネットワーク側183は、アンテナ185を介してローレート高帯域幅無線アクセス局187と、またはアンテナ190を介してフルレート高帯域幅無線アクセス局192と通信する。無線アクセス局187は、電話132およびコンピュータ131を含む複数の加入者ユニットに接続する。無線アクセス局192は、通信リンク194を介して無線アクセス局192に接続する公衆交換網195を介して多数の加入者140と通信するように構成されている。フルレート無線アクセス局192はさらに、通信リンク196を介して無線アクセス局192に接続するローカルネットワーク197を介しでコンピュータ端末145に接続する。各加入者ユニット131,132,140および145は、通信システム100の要素185−197とともに、オンデマンド帯域幅通信システム100の加入者ネットワーク側199を構成する。
高帯域幅基地局110、エアリンクを介して高帯域幅基地局110と通信する高帯域幅無線アクセス局187,192、および帯域幅デマンドコントローラ175は、オンデマンド帯域幅通信システム100の中核をなす。図74には高帯域幅基地局100が1つしか示されていないが、高帯域幅通信システム100内には有利に複数の高帯域幅基地局が含まれることが理解されるであろう。高帯域幅基地局110の各々は、1ないし数百の同時双方向ユーザをサポートできる。各ユーザは前もって、または通信中随時、毎秒8キロビットないし1.544メガビットの帯域幅を要求し得る。さらに、各高帯域幅基地局110は1または複数の送信および受信アンテナ120を有してもよい。高帯域幅基地局110は、その関連のアンテナ120とともに塔の上、建物の上、建物の内部、または他の好都合な位置に配置できる高帯域幅無線トランシーバである。
帯域幅コントローラ175は、高帯域幅基地局110と関連する。帯域幅デマンドコントローラ175は、無線アクセス局187,192から基地局110に送信された情報をモニタするインテリジェンスを与える。すなわち、所与の無線アクセス局187,192にどれだけの帯域幅を与えるかを基地局110に指示するために、無線アクセス局187,192から送信された情報が帯域幅デマンドコントローラ175内のインテリジェンスに変換される。図74には高帯域幅基地局110とは別個の要素として図示されているが、帯域幅デマンドコントローラ175は基地局110と一体であっても、基地局110に局所的に装着されても、遠隔にあって通信リンク176を介して基地局110に接続されてもよい。帯域幅デマンドコントローラ175はさらに、通信ネットワーク183全体において各通信リンクに割当てられた帯域幅が、高帯域幅基地局110の特定のチャネルに割当てられた帯域幅と一致する事を確実にする中央帯域幅コントローラとして作用する。したがって、帯域幅デマンドコントローラ175は、非同期テレコミュニケーションマルチプレクサスイッチ162、およびネットワークインタフェース160内で割当てられた帯域幅を制御する。さらに、帯域幅デマンドコントローラ175は、ユーザデータを適切なネットワーク150−156に送るのを管理するのに用いられる帯域幅情報をインテリジェントサービスノード180に伝える。インテリジェントサービスノード180は、ネットワークインタフェース160、および帯域幅の変更を管理するためにATMスイッチ162を制御できる。
図74に示されるように、無線アクセス局187,192は、オンデマンド帯域幅通信システム100内に含まれる複数の高帯域幅無線アクセス局の例示的なものである。1つまたはそれ以上の高帯域幅無線アクセス局187,192は、エアインタフェースを利用して1つまたはそれ以上の高帯域幅基地局110と通信することができる。さらに、無線アクセス局187,192の各々は、電話132と標準コンピュータ131の間の接続、さらに電話網インタフェース(PBX)195、および端末145とLAN197を含むコンピュータネットワーク等の1つ以上のインタフェースをサポートすることができる。高帯域幅無線アクセス局187,192は、無線アクセス局187,192に接続された装置の帯域幅のニーズを解釈して、これらの帯域幅のニーズをエアインタフェースおよび基地局110を介して帯域幅デマンドコントローラ175に伝える。有利に、帯域幅デマンドコントローラ175は、さらに、これらの帯域幅の要求をATMスイッチ162、またはインテリジェントサービスノード180、およびネットワークインタフェース160に伝えることができる。
動作において、接続された加入者ユニット(コンピュータ131、電話132、PBX195、LAN197等)の1つが高帯域幅無線アクセス局187,192の1つへの接続を介して帯域幅を要求する。無線アクセス局187,192は、アクセスおよび帯域幅に対する要求をアンテナ185,190、エアインタフェース、およびアンテナ120を介して高帯域幅基地局110に送信する。アクセスの要求は、使用エリア内のすべての加入者が利用できる通信制御チャネルを介して行われる。2つの加入者が同時に接続を要求した場合には、ランダムアクセスプロトコルを使用してどちらのユニットに通信制御チャネルの制御を許可するかを決定する。
高帯域幅基地局110は、帯域幅の要求をすべて帯域幅デマンドコントローラ175に伝える。帯域幅デマンドコントローラは、要求された帯域幅の割り当てを行い、有利に、テレコミュニケーションネットワーク側183(インテリジェントサービスノード180、ATMスイッチ162、およびネットワークインタフェース160を含む)内のシステム資源を手配する。帯域幅デマンドコントローラ175が割当てに利用できる帯域幅の量を定め、これを要求された帯域幅と比較すると、帯域幅デマンドコントローラ175は要求された帯域幅を直ちに割当てるか、または利用可能な量の帯域幅を用いて交渉プロセスを開始する。この帯域幅の交渉は、帯域幅デマンドコントローラ175と無線アクセス局187,192との間で基地局110およびエアインタフェースを介して行われる。
このように、無線アクセス局187,192は、要求された帯域幅が利用可能であるという確認を受け取ってデータ送信を開始するか、または、帯域幅デマンドコントローラ175からより小さい帯域幅の提示を受け取る。より小さい帯域幅の提示が高帯域幅無線アクセス局187,192に送信されると、無線アクセス局187,192は接続された装置またはネットワークが提示された帯域幅で効果的に動作できるかどうかを判断する。接続された装置またはネットワークが提示された帯域幅で効果的に動作できる場合は、無線アクセス局187,192は提示された帯域幅でデータの送信を開始する。しかし、無線アクセス局187,192が提示された帯域幅は接続された装置またはネットワークの動作にとって十分でないと判断した場合には、無線アクセス局187,192は接続された装置またはネットワークにアクセス不可であることを知らせ、さらに、帯域幅デマンドコントローラ175に(基地局110およびエアインタフェースを介して)提示された帯域幅を無線アクセス局187,192が使用しないことを知らせる。
適切な帯域幅が利用できる場合には、帯域幅コントローラはこの帯域幅を割当てて、要求している加入者との通信チャネルを確立する。したがって、たとえば電話加入者ユニット132が毎秒8Kbのデータ速度(ある帯域幅に対応する)が必要であることを示し、一方、コンピュータ加入者ユニット131が高帯域幅基地局110と効果的な通信を確立するために毎秒128Kbの合計送信速度(さらにある帯域幅に対応する)が必要と示す可能性がある。通信ネットワーク100が要求された量の帯域幅を提供できない場合、交渉プロセスが始まり、高帯域幅基地局110が要求された帯域幅より小さい、代わりの帯域幅を、要求している加入者ユニットに無線アクセス局187を介して送信する。要求している加入者ユニットは、高帯域幅基地局110に、割当てられた帯域幅が加入者ユニットの通信ニーズにとって適切かどうかを知らせる。
以下により詳細に説明するように、帯域幅デマンドコントローラ175は、予め規定された帯域幅割当て手順にしたがって、1つ以上の周波数トーンセットおよび1つ以上の拡散コードを加入者ユニットに割当てることによって帯域幅を割当てる。各トーンセットおよび拡散コードはさらなる係数だけ帯域幅を増大する。有利な一実施形態では、通信チャネルを規定するのに、帯域幅は8Kビット/秒という小さい量から1.544Mビット/秒という大きい量まで割当てることができる。
要求した加入者130に対して通信チャネルが確立されると、人の音声の通信またはコンピュータ間の通信をデジタル形式で表すデータが高帯域幅基地局110と高帯域幅無線アクセス局187,192との間で送信される。以下により詳細に説明するように、デジタル符号化信号は前方誤り訂正と信号拡散および他の変調技術を含む。
通信するすべての無線アクセス局187,192から高帯域幅基地局110によって受信されたデータは、非同期テレコミュニケーション多重化データストリームに多重化され、通信リンク170を介してATMスイッチ162に送信される。ATMスイッチ162において、データストリームは、インテリジェントサービスノード180の助けをオプションで得て、適切なネットワークインタフェース160に切りかえられ(すなわちデマルチプレクスされ)、そこから適切なネットワーク150−156へと至る。
以下により詳細に説明するように、帯域幅デマンドコントローラ175はまた、ネットワークインタフェース160およびATMスイッチ162に対する帯域幅の割当ても制御する。この態様で、通信リンク全体にわたって(すなわち加入者からデータまたは電話網まで)割当てられた帯域幅を、各加入者ユニットのニーズに従って柔軟に割当てることができる。さらに、好適な実施形態では、エアインタフェースを介した帯域幅と陸線接続を介した帯域幅は適切に整合されることが保証されている。
高帯域幅無線アクセス局187,192に接続される装置またはネットワークがもう帯域幅を必要としなくなると、無線アクセス局187,192は基地局110への送信を停止し、帯域幅デマンドコントローラに帯域幅が解放されて再割り当てができるようになったことを知らせる。
「概念を証明する実施形態」−リモート端末ハードウェア
図72は、フルレート高帯域幅無線アクセス局192の主要な機能的要素を示す機能ブロック図である。説明の便宜上、ローレート高帯域幅無線アクセス局187が単一の加入者130のみに通信アクセスを与えること以外は、ここで説明するフルレート高帯域幅無線アクセス局192はローレート高帯域幅無線アクセス局187と構造も動作も実質的に同一であることを理解されたい。図72に示されるように、フルレート高帯域幅無線アクセス局192はアンテナ120と双方向に接続する送受信スイッチ300を含む。アンテナ120の構造および動作は、後に図6および図7を参照してより詳細に説明する。送受信スイッチ300は受信モードにおいてはダウンコンバータ305に、送信モードにおいてはアップコンバータ307に接続する。送受信スイッチ300はさらに同期回路312から同期およびパケットタイミングデータを受信する。
ダウンコンバータ305は、スイッチ300を介してアンテナ120から無線信号を受信する。さらに、ダウンコンバータ305は同期回路312からアナログ−デジタルコンバータクロックと局部発振器基準を受信する。ダウンコンバータ305は復調器310と通信し、これがダウンコンバータ305に自動利得制御レベルのフィードバックを与える。復調器310は同期回路312と双方向に通信し、コードヌリング回路315に出力を与える。コードヌリング回路315は、同期回路312に周波数エラー信号を与えるとともに、多次元トレリス復号器320と通信する。多次元トレリス復号器320は、デジタルデータインタフェース325に接続する。デジタルデータインタフェース325はリモート制御回路330と双方向通信する。リモート制御回路330は復調器回路310、コードヌリング回路315、および多次元トレリス復号器320からの入力を受ける。制御回路330はさらに状態信号を送信し、基地局110からコマンド信号を受信する(図74を参照)。さらに、リモート制御回路330は多次元トレリス符号器335に軸パラメータを出力し、符号器335がデジタルインタフェース325と通信する。多次元トレリス符号器335はSCMA符号化回路340と通信する。SCMA符号化回路340はさらにコードヌリング回路315からの入力を受信する。SCMA符号化回路340は変調器回路345に信号を出力し、回路345は同期回路312からの入力も受信する。さらに、変調回路345は同期回路312とともにアップコンバータ307に入力を与える。アップコンバータ307は、送受信スイッチ300が送信モードにあるとき、データ信号を送受信スイッチに出力する。この信号はアンテナ120を介し、複数の加入者130にエラーインタフェースを介して出力される。
動作において、データパケットを受信するのに適切な時間になると、送受信スイッチ300はアンテナ190をダウンコンバータ305へと切り替える。ダウンコンバータ305は送信周波数(たとえば約2ギガヘルツ)で信号を取りこみ、これをデジタル化に適した周波数に変換する。次にDMT−SC復調器が高速フーリェ変換(FFT)を行い、個々の周波数ビンをコードヌリングネットワーク315に与える。先に簡単に説明したように、コードヌリングネットワーク315は非直交拡散コードを有する送信による干渉を相殺するために、逆拡散コードにコードヌリング重みを与える。コードヌリングネットワーク315はDMT−SC復調器310によって与えられた復調信号を逆拡散し、出力復調シンボルを生成する。
復調されたシンボルは、プラグマティックビタビ復号方法に従ってシンボルを復号するために、多次元トレリス復号器に入力として与えられる。受信ビットは多次元トレリス復号器320の出力で与えられる。受信ビットはデジタルデータインタフェース325を通過し、これが一実施形態ではT1リンクのためのデータインタフェースとして機能する。
送信側では、送信すべきデータがT1リンクを介してデジタルデータインタフェース325に入力され、トレリス符号化のために多次元トレリス符号器335に入力される。もちろん、リードソロモンエラー符号化や、QAMまたはBPSKシンボル符号化等の他の種類のエラー符号化およびシンボル符号化が符号器335内で行われることが理解されるであろう。符号化されたシンボルは拡散回路340に入力され、ここで拡散コードと適切なコード重みが入力シンボルに与えられる。拡散シンボルは、ブロック345内に表されるようにDMT−SC変調され、結果として得られる信号がアップコンバータ307を介して高周波数帯に変換される。送受信スイッチ300はアップコンバータ307をアンテナ190に接続するように切り替えられて、変調および符号化されたデータ信号がアンテナ190を介して送信される。
無線アクセス端末187,192の1つが設置されて最初にオンラインとなった直後は、無線アクセス局187,192は割当てられた基地局110の位置に関する情報を得ていない。さらに、リモートアクセス局187,192は、リモート局187,192の環境における他の送信機および反射器から生じる干渉に関する情報を得ていない。したがって、初期化の際に各リモートは基地局の位置と、そのすぐ隣接した環境における様々な干渉および反射器の位置を「知る」必要がある。リモートインストーラはリモートアンテナアレイを最も近い基地局110の方向に向けるため、そのリモートが受信する最も強い信号は一般に0度の方向のあたりからのものである。リモートは次に、最も近傍の基地局110から受信した信号に対して最大のSINRを得るように形成するビームを微調整または適応的に調整する。
無線アクセス局192がベース110に送信するとき、基地局110はリモートから送信される各信号を同じ電力レベルで受信するものと期待する。したがって、DMT−SC復調器310から無線アクセス局192内のリモート制御330に利得制御レベルが報告される。この自動利得制御レベル(AGCL)はまた、DMT−SC変調器310からアップコンバータ307にも送信され、電力増幅器(アップコンバータ307内には図示せず)の利得を調整できるようにする。この態様で、基地局110はリモートアクセス端末187,192から送信された信号が適切なレベルで基地局110に到達することを確かにすることができる。
無線アクセス局187,192はまた同期化も行わなくてはならない。すなわち、リモートアクセス端末187,192はTDDシステム内で動作するように予めプログラムされているが、無線アクセス局が最初にオンラインとなったときに、無線アクセス局187,192は送信パッケージと受信パッケージとの違い、およびパケット転送の正確なタイミングに関する具体的情報を判断する必要がある。その後、リモート端末187,192は、DMT−SC信号に対する周波数同期を得て、リモートが基地局110と同じ周波数および位相で動作するようにしなくてはならない。このため、DMT−SC復調器310はパケット参照を生成し、同期回路312はこれを用いて基本的な送受信タイミング(すなわちT/Rスイッチ300に対するパケットタイミング)を確立する。さらに、パケットタイミングは復調器310に受信ゲートとして、変調器345に送信ゲートとして与えられ、リモートアクセス局187,192が適切な間隔で送受信を行うようにする。
コードヌリングネットワーク315内で、波形の測定が行われ、周波数エラーを測定する。測定された周波数エラーは同期回路312に与えられて、無線アクセス局187,192が基地局110と周波数および位相固定できるようにする。この同期情報は同期回路312からアップコンバータ307およびダウンコンバータ305に局部発振器基準およびデジタル−アナログコンバータクロック(または逆にアナログ−デジタルコンバータクロック)として送信される。
コードヌリングネットワーク315はまた、マルチタスクチャネルの特性(すなわちマルチパスチャネルの周波数応答)を推定する。チャネルの推定値は拡散回路340に与えられ、プリエンファシス機能を行ってマルチパスチャネルを適応的に等化できるようにする。さらに、コードヌリングネットワーク315はリモート制御回路330にSINRおよび受信電力の推定値を与える。また、ビット誤り率(BER)の推定値が多次元トレリス復号器320からリモート制御回路330に与えられる。リモート制御回路330はこれらのパラメータを用いて加入者(たとえばPBXまたはLAN)とのデジタルデータインタフェース325を介したデータの流れを制御する。さらに、リモート制御回路330へのこれらの入力パラメータに基づく状態信号が加入者に転送される。状態信号は加入者に無線アクセス端末が適切に動作しているかどうかを知らせる。
無線アクセス端末187,192がネットワーク100に最初にダイヤルする時(すなわちリモートがベースとの接続を確立しようとする時)、ベースはリモート187,192に、利用する適切な開始コード、どのトーンセットを送受信するか等を含むアクセスパラメータのセットを与えて、基地局110とリモート局187,192との間の通信チャネルを確立できるようにする。
図21Aおよび図21Bは、リモートアクセス端末187,192内のデジタルアーキテクチャを示す。リモートデジタルアーキテクチャは、層処理加速器(LPA)カード2110および送信LPAカード2120と双方向に通信するインタフェースカード2100を含む。
インタフェースカード2100(後の図76により詳細に示される)は、イーサネット(登録商標)インタフェースカード、衛星航法システム(GPS)インタフェースおよび他の制御インタフェースを含む。イーサネット(登録商標)インタフェースは、アップルマッキントッシュ等のモニタリングコンピュータと双方向に通信し、GPSインタフェースは基地局送信から同期化のためのタイミングデータを導出し、制御インタフェースは同調器を制御するためのプリンタ制御ビットを出力する。インタフェースカード2100は、有利にはテキサスインスツルメンツから入手可能なPMS320C40デジタル信号処理チップ(「C40」)を含む3つのデジタル信号処理チップをさらに含む。また、ビタビ復号器とT1および統合サービスデジタル通信網(ISDN)インタフェースがインタフェースカード2100に含まれ、T1通信リンクおよびISDN通信リンクと加入者との間のインタフェースを与える。
図75Aに示されるように、インタフェースカード2100はまた、図上、線が引かれている、さらに別のPMS320C40デジタル信号処理チップと、さらに別のビタビ、T1、ISDNインタフェースを含む。これは、これらのチップがインタフェースカード2100上に物理的には存在するものの、リモートデジタルサブシステム内では使用されていないことを示している。一般に基地局110でも同じインタフェースカードが使用される。これは、リモート187,192および基地局110に個別のカードを設けるよりも、リモートおよびベースの両方に対して単一のインタフェースカードを製造する方が安価だからである。
さらに、インタフェースカード2100は、受信機のデジタル−アナログコンバータからサンプルデータを受信するGリンク受信機と、送信機のデジタル−アナログコンバータにサンプルデータを送信するGリンク送信機とを含む。
デジタル−アナログコンバータから受信したサンプルデータは、インタフェースカード2100内のGリンク受信機を通過する。Gリンク受信機は受信した波形データを受信LPAカード2110(図75B)に与える。LPAカード2110については、図77A−77Dを参照して以下により詳細に説明する。簡単に言えば、受信LPAカード2110は1対のシャープ製LH9124(9124)デジタル信号処理チップ2112,2114と、1対のテキサスインスツルメンツ製TMS320C40デジタル信号処理チップ2116,2118を含む。
受信LPAカード2110は受信データを復調し、復調データをインタフェースカード2100内のTMS320C40 DSPチップの1つに与える。さらなるデジタル信号処理を行った後、データが復号され、T1インタフェースを介して加入者に送信される。もちろん、無線アクセス端末がローレート無線アクセス端末187の1つを含む場合、T1リンクではなく適切な通信リンクがインタフェースカード2100に接続することが理解されるであろう。
データを送信すべき場合、T1インタフェースまたは他の通信リンクによって供給される情報が、図75Aに示されるようにインタフェースカード2100に入力され、インタフェースカード2100内の一連のデジタル信号処理チップを通過する。インタフェースカード2100から出力された送信データは送信LPAカード2120に入力される。送信LPAカード2120は受信LPAカード2110とほぼ類似したアーキテクチャを有する。送信LPAカード2120は、インタフェースカード2100内のGリンク送信機を介して送信機のアナログ−デジタルコンバータに送信するのに適切な送信波形データに送信データを変換する。
図76は、無線アクセス端末187,192のデジタル信号処理アーキテクチャ内の各デジタル信号処理チップによって実行される一般的な処理ステップを示すソフトウェアブロック図である。具体的には、TMS320C40デジタル信号処理チップ2102,2106によって制御信号が発生され、デジタル信号処理チップ2104,2106によってシンボル変調(たとえばトレリス符号化、リードソロモン、およびQAM,BPSK,またはM−ARY変調を含む)が行われる。
受信LPA内において、9124デジタル信号プロセッサ2112はC40デジタル信号プロセッサ2116とともに高速フーリェ変換に関連する動作を行う。9124デジタル信号プロセッサ2114はC40デジタル信号処理チップ2118とともに本発明のコードヌリングおよび適応等化の局面に関する処理ステップを行う。同様の態様で、送信LPA2120内において、C40デジタル信号処理チップ2124は、9124デジタル信号処理チップ2128とともに、高速フーリェ逆変換(IFFT)に関するデジタル信号処理ステップを行い、一方、DSPチップ2122および2126は、本発明に従って変調を与えるのに使用する信号拡散動作を行う。
図78A−78Cは、リモート端末187,192のインタフェースカード2100上の主要なデジタル信号処理C40チップをサポートするのに使用するデジタルアーキテクチャを示す、より詳細なブロック図である。デジタル信号処理チップ2102によって受信されたデータを予め調整(precondition)するのにいくつかのインタフェースサポート回路を使用する。特に、送受信制御インタフェース回路、イーサネット(登録商標)インタフェース回路、消去可能プログラマブル論理装置(EPLD)同期回路、および汎用非同期式レシーバ/トランスミッタ(UART)は、DSPチップ2102とインタフェースカード2100の外部回路との間のインタフェースとして作用する。さらに、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)/ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気消去可能PROM,受信信号強度インジケータ(RSSI)入力回路、および複数の発光ダイオード(LED)スイッチドライバはすべて、共通のバスを介してDSPチップ2102と通信する。
C40 DSPチップ2104はまた、インタフェース回路によってサポートされる。すなわち、統合サービスデジタル通信網(ISDN)インタフェースおよびT1インタフェースは、ISDNおよびT1機器への接続を与え、一方、サポートするビタビ符号器/復号器、およびPROM/RAMは、共通の双方向バスを介してDSPチップ2104に対してデジタル信号処理サポートを与える。
打合わせ線FFTデータおよびDSPチップ2104からの信号の受信に加えて、C40 DSPチップ2106は、双方向共通バスを介してPROM/RAMおよびコーデックと双方向に通信する。DSP2106と通信するコーデックは、打合わせ線ヘッドセットと双方向に通信する。
Gリンク受信機は、Gリンク送信機およびEPLDにクロック同期信号を与える。さらに、受信Gリンクは、C40 DSPチップ2102と通信するRSSI入力にRSSIデータを送信する。受信Gリンク回路から同期信号を受信するEPLDは、受信アドレス、フレーム同期信号、および送信アドレスを制御出力として与える。
動作において、DSPチップ2102,2104,2106の各々は、ルックアップテーブルとして使用するためおよびデータの記憶および検索のためにローカルPROM/RAMを使用する。C40 DSPチップ2102は、RSSI入力データを受信して、自動ゲーム制御(AGC)を行う。つまり、信号強度を示すものがRSSI入力を介してDSPチップ2102に与えられ、リモート端末187,192が受信利得を自動的に調整できるようにすることで、信号が適切なレベルで受信されるようにする。イーサネット(登録商標)インタフェースにより、リモート端末187,192がデータをローカルコンピュータまたはオペレータに送信することが可能となる。送受信制御インタフェース回路は、制御ビットをリモート端末187,192の無線周波数エレクトロニクスに送って、RFエレクトロニクスを制御する。EPLD同期回路は、TDD同期を達成するために、リモート端末187,192の受信機内のRF回路からの検波器出力を受信する。UART回路は、リモート端末187,192によって使用されるユニバーサル衛星航法システム(GPS)時間クロックの入力を与える。さらに、電気消去可能PROMにより、無線アクセス端末187,192は1種の統計的記録として種々のテストの情報を記憶することが可能となる。
図78A−78Cに示される他のサポート回路の動作は当業者には周知であり、本発明を完全に理解するために詳細に説明しなくてはならないというものではない。
図77A−77Dは、リモート端末187,192のLPAカード2110,2120のより詳細なブロック図であって、シャープ製LH9124 DSPチップ、およびテキサスインスツルメンツ製TMS320C4 DSPチップの動作をサポートするのに使用するサポート回路を示す。図77A−77Dには受信LPAカード2110しか図示されていないが、LPAカード2110と送信LPAカード2120とはアーキテクチャがほぼ同じであり、本質的に同じ説明が両方のLPAカードに当てはまることを理解されたい。直交形式の入力データ(たとえば、24の同相ビットおよび24の直交ビット)が、48ビット入力バスを介してダブルバッファ2402への入力として与えられる。ダブルバッファ2402の第1の部分は入力アドレスおよび制御ビットによって制御され、ダブルバッファ2402の第2の部分はアドレスジェネレータ2404によって制御される。アドレスジェネレータ2404はバス2406を介してTMS320C40 DSPチップ2116と通信する。
ダブルバッファ2402は双方向バスを介してシャープ製LH9124デジタル信号処理チップ2112と通信するとともに、先入れ先出し(FIFO)バッファ2408への入力としてデータを供給する。好適な一実施形態では、FTFOは5K X 48ビットバッフアを含む。FIFO2408は、DSPチップ2112およびダブルバッファ2410と通信する。ダブルバッファ2402と同様に、ダブルバッファ2410は有利には1対の32K X 48ビットRAMを含む。さらに、ダブルバッファ2410は、バッファ2406と通信するアドレスジェネレータ2412の制御下にある。ダブルバッファ2410はバス2406を介してDSPチップ2116と双方向に通信する。
シャープ製DSPチップ2112はさらに、サイン/コサインルックアップテーブル2414から入力を受ける。サイン/コサインルックアップテーブル2414は方形−極線(rectangular-to-polar)コンバータ2416からの入力を受ける。コンバータ2416は一実施形態では、GECプレツシー(GEC Plessey)からモテル番号PDSP16330として市販されている信号処理チップを含む。さらに、DSPチップ2112は、シーケンサ2418から順序付け(シーケンシング)データを受信する。シーケンサ2418もまたバス2406と通信する。デジタル信号処理チップ2112の出力はダブルバッファ2420への入力として与えられる。ダブルバッファ2420の構造は、ダブルバッファ2402および2410とほぼ類似している。ダブルバッファ2420の第1の部分はアドレスジェネレータ2422の制御下にある。ジェネレータ2422は、バス2406を介してDSPチップ2116から信号を受信する。
LPAカード2110の残りの半分(第2の半分)のアーキテクチャは、上述した半分(第1の半分)とほぼ類似している。つまり、直交形式の入力データ(例えば24の同相ビットおよび24の直交ビット)が、ダブルバッファ2420の第1の半分からバッファ2420の第2の半分への入力として与えられる。ダブルバッファ2420の第2の半分は、アドレスジェネレータ2424を介して制御される。アドレスジェネレータ2404は、バス2426を介してTMS320C40 DSPチップ2118と通信する。
ダブルバッファ2420は双方向バスを介してシャープ製LH9124デジタル信号処理チップ2114と通信するとともに、先入れ先出し(FIFO)バッファ2428への入力としてデータを供給する。好適な一実施形態では、FIFO2428は5K X 48ビットバッファを含む。FIFO2428はDSPチップ2112およびダブルバッファ2430と通信する。ダブルバッファ2420と同様に、ダブルバッファ2430は有利には1対の32K X 48ビットRAMを含む。さらに、ダブルバッファ2430は、バッファ2426と通信するアドレスジェネレータ2432の制御下にある。ダブルバッファ2430はバス2426を介してDSPチップ2118と双方向に通信する。
シャープ製DSPチップ2114はさらに、サイン/コサインルックアップテーブル2434から入力を受ける。サイン/コサインルックアップテーブル2434は方形−極線コンバータ2436からの入力を受ける。コンバータ2436は一実施形態では、GECプレッシーからモデル番号PDSP16330として市販されている信号処理チップを含む。さらに、DSPチップ2114は、シーケンサ2438から順序付け(シーケンシング)データを受信する。シーケンサ2438もまたバス2426と通信する。デジタル信号処理チップ2114の出力はバッファ2440への入力として与えられる。バッファ2440は有利には32K X 48RAMを含む。バッファ2440は、アドレスジェネレータ2442の制御下にあり、ジェネレータ2442はDSPチップ2118からバス2426を介して信号を受信する。
C40 DSPチップ2116および2118はそれぞれ、UART回路2450,2452を介してGPSタイミングを受信する。さらに、DSPチップ2116,2118の各々はそれぞれのRAMチップ2454,2456と通信し、これらのRAMチップは有利には128K X 32ランダムアクセスメモリを含む。
DSPチップ2116,2118はさらに、それぞれローカルバス2464,2474を介して、それぞれEPROM2460,2470およびそれぞれRAM2462,2472と通信する。有利な一実施形態では、EPROM2460,2470は512K X 8メモリを含み、一方RAM2462,2472は128K X 32RAMを含む。一対の内部通信ポートがDSP回路2116,2118間の通信を与え、一方、2対の入出力外部通信ポートがDSPチップ2116,2118の各々に接続する。
動作において、DSPチップ2116,2118は、それぞれのメモリ2460,2462,2470,2472を使用して、コード拡散またはコードヌリング処理動作および高速フーリェ変換と関連する処理を行う。一方、ダブルバッファ2402は直交形式の入力データシンボルを集める。ダブルバッファ2402は、あるパケットからデータが収集されている間に前のパケットからのデータを処理できるように設けられる。
図77A−77Dからわかるように、2つの実質的に同一の処理エンジンがダブルバッファ2420に分離されて設けられる。有利な一実施形態では、9124DSP2112,2114の各々は40mHzのサンプル速度で動作し、6つの乗算器を含んでいて、データがほぼリアルタイムで流れることができるようにする。
「概念の証明(Proof-of-Concept)実施形態」−基地局ハードウェア
図73は、図74に示される基地局110の主要機能要素を示す機能ブロック図である。図73に示すように、基地局110は、複数のアンテナ120を双方向に通信する送信/受信スイッチ400を含む。スイッチ400は、受信モードにおいてはダウンコンバータ(周波数逓降変換器)405と通信し、送信モードにおいては、アップコンバータ407と通信する。ダウンコンバータ405はさらに、周波数基準回路409からの入力を受信し、復調器410に出力する。復調器410は、自動利得制御レベルをダウンコンバータ405にフィードバックするとともに、パケットタイミング発生器412からの入力を受信する。パケットタイミング発生器412は、周波数基準回路409からのアナログ−デジタル変換クロック入力を受信する。
復調器410は、ビーム形成及びコードヌリング回路(beam forming and code-nulling circuit)415への入力を供給する。ビーム形成及びコードヌリング回路415は、多次元トレリス(trellis)デコーダ420と通信し、デコーダ420は、ネットワーク/データインタフェース回路425と双方向の通信を行う。
ネットワーク/データインタフェース回路425は、通信ネットワーク160(図74参照のこと)に出力を出すと共にここからの入力を受信する。さらに、ネットワーク/データインタフェース回路425は、パケットタイミング発生器412に出力信号を供給し、かつベース制御回路430と双方向に通信する。ベース制御回路430は、復調器410、ビーム形成及びコードヌリング回路415、及び多次元トレリスデコーダ420から、入力を受信する。ベース制御回路430は、さらに、通信ネットワーク160内のオペレータステーション(図示せず)とも双方向に通信する。
ネットワーク/データインタフェース回路425は、多次元トレリスエンコーダ435と通信する。多次元トレリスエンコーダ435は、レトロアクティブ(逆向き)ビーム形成ネットワーク及びSCMA回路440に出力を供給する。
ネットワーク440は、ビーム形成コードヌリング回路415及びベース制御回路430からも入力を受信する。レトロアクティブビーム形成SCMAネットワーク440は、変調器445に出力を供給し、変調器445はパケットタイミング発生器412からも入力を受信する。最後に、変調器445は周波数基準回路409とともに、アップコンバータ407に入力を供給し、アップコンバータ407は、送受信スイッチ400が送信モードにあるときに出力を供給する。アップコンバータにより供給された信号は、アンテナ120により、種々の高帯域幅無線アクセスステーション192、187に送信される。
基地局の動作は、無線アクセスステーション187,192の操作と実質的に同様である。具体的には、送受信スイッチ400がアンテナアレイ120をダウンコンバータ405に切り換える。ダウンコンパータ405は、信号を送信周波数(例えば、約2ギガヘルツ)で受け取り、これをデジタル化に適した周波数に変換する。続いて、マルチセンサDMT−SC復調器410が高速フーリェ変換(FFT)を行い、個別の周波数ビンをビーム形成コードヌリングネットワーク415に示す。すでに簡単に説明したように、コードヌリングネットワーク415は、非直交型拡散コードを有する送信による干渉を相殺するために、逆拡散(despreading)コードに対してコードヌリング及びビーム形成重みを供給する。コードヌリングネットワーク415は、さらに、マルチセンサDMT−SC復調器410により提供された復調信号を逆拡散し、出力復調シンボルを生成する。
復調シンボルは、実用的Viterbi復号方法に従ってこれを復号するために、多次元トレリスデコーダ420に入力として供給される。多次元トレリスデコーダ420の出力には、受信ビットが供給される。受信ビットは、デジタルデータインタフェース425を通過するが、このデジタルデータインタフェース425は、1実施形態においてはT3/SONETインターフェースリンクとして機能する。
送信側においては、送信すべきデータはT3/SONETリンクを介して入力し、多次元トレリスエンコーダ435に入力されてトレリスコード化される。当然ながら、Reed-Solomonエラーコーディング及びQAMまたはBPSKシンボルエンコーディングなど゛、他のタイプのエラーコード化及びシンボルコード化がエンコーダ435において行われる。コード化されたシンボルは、ビーム形成及びコード拡散回路440に入力し、ここで、拡散コード及び適当なビーム形成ヌルステアリングコード重み(null-steering code weight)が入力シンボルに供給される。拡散シンボルは、ブロック445内に表されるように、DMT−SC変調され、結果として生成された信号はアップコンバータ407を介して高周波数帯域に変換される。つづいて、送受信スイッチ400が切り換えられてアップコンバータ407がアンテナアレイ120に接続され、変調されコード化されたデータ信号はアンテナ120を介して送信される。
基地局110の同期のために、全基地110はGPS時間にロックされる。このようにして、通信ネットワーク100がいかに大きくなろうとも、すべての基地局110は常に適当なTDD同期を有する。よって、基地局110は、常に同時に送信及び受信を開始する。パケットタイミング発生器409においては、周波数基準はGPSに基づき(derived)、これを用いて送受信スイッチ400を制御する。これは、タイミングを複数のリモート端末により送信された波形から求める必要がないため、特に効果的である。リモート端末187,192はその同期タイミングを基地局110から求めているので、これらの端末はGPS時間に同期される。
パケットタイミング発生器412はタイミング発生器409からクロック信号を受信するので、送信及び受信ゲート信号(gating signal)を変調器445及び復調器410にそれぞれ供給することができる。
別の実施形態においては、前記基地局110及びリモート端末187,192に対して、ネットワークインタフェース425を介してネットワークから供給されるユニバーサルタイミングメカニズムを確立することもできる。かかる実施形態においては、インタフェース425にクロックを供給するために特別に定義されたATM適合層を用いることができる。T3またはSONETリンクによって管理情報及び接続パワー制御情報を供給することもできる。このような情報はベース制御装置430に供給することができる。ベース制御装置は、適当な信号を、セットアップの接続のために無線信号ネットワークを通じてリモート端末187,192に送信し、他の管理機能を実行する。
さらに、ダウンコンバータ405及びアップコンバータ407は、完全には整合しないようにわずかな不完全性を含んだ個別のRF電子を含んでいる。このため、送信/受信補償は、付加的な補償重みを用いて行われる。この補償の目的は、送受信RF電子によって信号に導入された位相及び振幅の差を補償することである。補償重みの印加により、送信側において、受信側と同一のビームパタンが生成される。
図79Aから79Dは、基地局110内の全体的なデジタル信号処理アーキテクチャレイアウトを示す概略ブロックである。基地局110は、無線周波数シャシー部2500及びディジタルシャシー部2510内に配置されている。マルチエレメントアンテナアレイ120は、図79Aから79Dにおいては簡単に図示するために4つのアンテナを含んで示され、対応する送受信モジュール2512に接続されている。各送受信モジュール2512は、送受信スイッチ400,及び受信器、送信器、増幅器を含む。本発明の効果的な態様によれば、各アンテナエレメントには個別の増幅器が設けられている。アンテナアレイ全体に電力を供給する単一の大型増幅器ではなく、このように増幅器が分配された構成を用いることにより、電力を節約できる。さらに、増幅器に欠陥が発生した場合、アンテナアレイ全体ではなく複数のアンテナエレメントのうちの1つのみが使えなくなる。従って、本発明においては、アンテナ異常の発生時の信号品質の低下が小さい。
アナログ−デジタル変換器/デジタル−アナログ変換器の対2515は、受信又は送信された信号をアナログディジタル変換及びディジタルアナログ変換する。デジタル化された受信信号は、ディジタルシャシー2510に入力され、一方、デジタル送信信号はディジタルシャシー2510の出力として供給される。
ディジタルシャシー2510は、複数の32ビットバスを介して複数の受信器LPA2520に出力を供給するGリンタインターフェース回路を含む。LPA2520は、FFT及びチャネル推定(channel estimation)を平行して行う(例えば、LPAの1つが偶数シンボルのそれぞれに信号処理を行う一方で、他のLPAは奇数受信シンボルに同等の信号処理ステップを行う)。
LPA2520は、LPA2520及びLPA2110及び2120と構造が実質的に同様であるLPA2530に処理された信号を供給する。LPA2530はQR分解を行い、分解された信号をLPAカード2540に出力する。
LPAカード2540はヌルステアリング及びコードヌリング処理に含まれる行列演算を行う。LPAカード2540内で算出された逆方向性重み(retrodirective weights)は、送信パスにおいて、LPAカード2550への入力として供給され、データ拡散、ビーム形成、及びIFFT生成に用いられる。
さらなるLPAカード2560が、送信/受信較正(すなわちT/R補償)のデジタル信号処理エンジンとして供給されている。T/R較正LPAカード2560は、Gリンクインターフェース、アナログ−デジタル/デジタル−アナログ変換器、及び送信/受信較正モジュール2570を介してプローブアンテナ2565と通信する。送信/受信較正モジュール2570は、受信器、送信器、送信増幅器、及び送信/受信スイッチを含む。すでに簡単に説明したように、プローブアンテナの目的は、基地局110を通過する送信器及び受信器のパスによる歪みを補償することである。すなわち、送信/受信モジュール2512は、送信及び受信された信号中に相当量の歪み及び位相遅延を発生させるので、これらの歪みを補償して送受信信号を正確に生成する必要がある。プローブアンテナパスはリモートステーションと同様に作用するので、基地局110がアンテナアレイ120からの送信を受けている場合、この情報はプローブ2565において受信される。逆に、プローブアンテナが送信を行っている場合、アンテナアレイ120はプローブアンテナ2565によって送信された既知の信号を受信している。送信/受信較正LPAカード2560内で行われる信号処理により、送受信器パスを通過する差分振幅及び位相を決定することができる。よって、基地局110は、プローブアンテナ2565によって送受信された信号によってこれらの歪みを補償することができる。
GPSアンテナ2580はGPSタイミングを受信して基地局110内の局所発振器のそれぞれに基準クロックを供給する。これにより、無線通信システム100全体を通じて正確な同期が得られることが保証される。
図6及び図7には、本発明のシステムにおいて用いることのできる指向性アンテナアレイ120の別の実施形態が示されている。基地局アンテナ実施の第1の例が120aとして全体的に示されている。アンテナ120aは、RADIXテクノロジー社(Mountain View,California)から入手可能な保護レドーム(RADOME)505、一般的に円筒型のハウジング507及び支持ポール510を含む円形パッチスロットアレイアンテナである。複数のマルチエレメント垂直パッチアレイ515が、図6において切り取り内部図で示されている。各パッチアレイ515は、本発明を適切に実施するために必要なビーム形成能力を供給するために、無線周波数信号を指向的に発することができる。1実施形態においては、円筒部分507の高さは約18インチで、レドーム505の直径は約5から16インチである。
効果的な1実施形態においては、アンテナ120aは4つのマイクロストリップパッチアンテナの垂直方向のスタックを含む。これらのスタックのうちの4つがそれぞれ4つの90°の四分円をカバーするように向けられている。従って、合計16個のマイクロストリップフレアノッチアンテナの円周スタック(各垂直方向スタックは8つのノッチを含む)がベースアンテナ120aに含まれている。リモート及びベースアンテナのいずれに対しても、好ましいセンサエレメントスペースは、2分の1波長である。
図7は、本発明の基地局アンテナの第2の実施形態を、120bで示している。アンテナ120bは、レドーム520、概して円筒形の部分525、及び支持ポール530を含む。レドーム520は直径が約18から24インチで、円筒部分525の高さは約14インチである。切り取り内部図において示されるように、アンテナ120bはフレア状の円形ホーン構造535並びに複数の単極送信素子540を含む。単極素子540は、本発明の最適な操作に必要とされるような、ビーム形成の目的で使用できる。
図80は、図72に示されたダウンコンバータ305の主要構成素子を示すトランシーバブロック図である。図80に示されるように、アンテナ190と送信/受信スイッチ300は、バンドパスフィルタ702,704に接続され、バンドパスフィルタ702,704はそれぞれ増幅器706,708に接続されている。フィルタ702及び増幅器706を通過する経路はダウンコンバータ305の一部である受信パスを構成し、増幅器708及びバンドパスフィルタ704を通過する経路はアップコンバータ回路307の一部である送信パスの一部である送信パスの部分を構成する。増幅器706の出力及び増幅器708の入力はスイッチ710に接続される。スイッチ710は、ダウンコンバータ305及びアップコンバータ307にそれぞれ関連する送信及び受信パスの間の切り替えに用いられる。
図72においては、アップコンパータ307とダウンコンバータ305は機能的に別個のブロックとして示されているが、同一構造の素子を用いて、送信器及び受信機パス内で増幅器及びソーフィルタ(saw filters)を再使用するアーキテクチャにおいてアップコンバータとダウンコンバータいずれの機能をも行うことができる。スイッチ710はバンドパスフィルタ712に接続されている。効果的な1実施形態においては、バンドパスフィルタ712は1,865MHzから1,950MHzの間の帯域周波数を有する。バンドパスフィルタ712は、1667.5MHzの共振周波数(oscillation frequency)を有する第1局所発振器からの入力を受信する周波数乗算器715に接続されている。乗算器715は、復調器310(図72参照)からの利得制御入力を受信するデジタル減衰回路720に接続される。デジタル減衰器720は、スイッチ回路722を介して増幅器724に接続される。スイッチ回路722は、送信器及び受信器パスのいずれにおいても増幅器724が双方向に使用できるようにする。すなわち、第1の方向に切り替えられると、増幅器724の出力はデジタル減衰回路720に接続され、第2のモードに切り替わると、増幅器724の入力がデジタル減衰回路720に接続される。同一の増幅器(すなわち増幅器724)を送信及び受信のいずれのパスにおいても使用することにより、いずれのパスにおいても同一の増幅器特性が得られ、その結果、送信及び受信の補償が非常に簡単になる。スイッチネットワーク722は、さらに加算回路(summing circuit)725に接続されている。
受信モードでの演算においては、加算回路725は信号分割器(signal splitter)として作用し、送信モードでは加算回路725は入力信号の対を線形に加算する。加算回路725は、対応する素子を有する並列増幅及びフィルタリングパスに接続されている。加算回路725への1入力は270MHzの中心周波数及び1.5MHzの帯域幅を有するソーバンドパスフィルタ730を含む。対応するソーバンドパスフィルタ732は、200MHzの中心周波数及び1.5MHzの帯域幅を有する。バンドパスフィルタ730,732は、それぞれ、スイッチネットワーク734,736を介して増幅器738,740に接続されている。ここでも、スイッチネットワーク734,736が、送信及び受信のいずれのパスにおいても同一の増幅器特性が得られることを保証する。好適には、増幅器738,740は、増幅ファクタを提供する。スイッチ回路734,736は対応するソーバンドパスフィルタ742,744に接続されている。バンドパスフィルタ742は、約280MHzの中心周波数及び1.5MHzの帯域幅を有する。一方、バンドパスフィルタ744は、200MHzの中心周波数と1.5MHzの帯域幅を有する。バンドパスフィルタ742,744はそれぞれスイッチネットワーク746,748を介して対応する増幅器750,752に接続されている。増幅器750,752は、増幅係数を効果的に供給する。スイッチネットワーク746,748は、対応する乗算器754,756に接続されている。乗算器754は、281.25MHzで発振する局所発振器入力信号を受信し、乗算器756は、約201.25MHzで発振する局所発振器入力信号を受信する。
乗算器754,756は、ローパスフィルタ758,760に接続され、ローパスフィルタ758,760はそれぞれが対応するスイッチ762,764に接続されている。スイッチ762は増幅器766の入力を受信し、増幅器768に出力信号を供給する。一方、スイッチ764は増幅器770から入力信号を受信し、増幅器772に出力信号を供給する。本発明の効果として、増幅器766から772は、増幅係数を有する。増幅器766,770は送信パスの一部を形成し、よって図72のアップコンバータ307に適切に属する。一方、増幅器768,772は受信パスに属し、よって図72のダウンコンバータ305に適切に属する。増幅器766,770はそれぞれデジタル−アナログ変換器774,778に接続されている。デジタル−アナログ変換器774,778もさらにアップコンバータ307の一部を含み、同期回路312からデジタル−アナログクロックパルスを受信する。増幅器768,772はアナログ−デジタル変換器776,780に接続され、ダウンコンバータ305の一部を含み、同期回路312(図72参照のこと)からアナロダ−デジタル変換クロック入力を受信する。
デジタル−アナログ変換器774,778への入力は変調回路345から受信され、アナログ−デジタル変換器776,780の出力は復調回路310の入力として供給される。
図80に示されるアップ及びダウンコンバータ回路の動作について、受信パスについてまず説明し、次に送信パスに関して説明する。受信モードにおいては、アンテナ120によりピックアップされた信号は、スイッチ300に送信され、バンドパスフィルタ702を通過して、対象の周波数帯域(すなわち、1,865MHzから1,950MHzのあいだの周波数)の範囲にない信号を減衰する。濾波された信号は、次に、増幅器706において増幅係数により増幅される。増幅器706の出力はスイッチ710の入力として供給され、スイッチ710によって、増幅された信号がバンドパスフィルタ712を通過し、指定されたバンドパス領域外の所望されない信号が更に濾波される。
フィルタ712を通過した信号は、乗算器715において、1,667.5MHzの局所発振周波数により乗算される。よって、乗算器715は、約2GHzの範囲から200から300MHz範囲への信号の第1ダウン変換を発生させるべく使用できる同期検出器として作用する。ダウン変換されたこの信号は、デジタル減衰回路720により減衰され、増幅器724によって増幅係数で増幅される。ダウン変換された信号は、信号分割器725において分割され、この結果、この信号の一部分はソーバンドパスフィルタ730に入力され、一方、これと同一の信号部分はソーバンドパスフィルタ732に入力される。
バンドパスフィルタ730に入力された信号部分は、濾波されて、279.25MHzから280.75MHzのあいだの周波数外の信号が減衰される。このように濾波された信号は、増幅器738により係数で増幅され、フィルタ730と実質的に同一の特性を有するフィルタ742を通過して再び濾波される。濾波された信号は増幅器750において増幅信号により再び増幅され、この信号が乗算器754に入力される。乗算器754は、281.25MHzの発振信号を乗算することにより、増幅器750から出力された信号を実質的にベースバンド信号に変換する。ベースバンド信号はローパスフィルタ758を通過し、ここからスイッチ762を介して増幅器768に入力として供給される。増幅器768は係数によりベースバンド信号を増幅する。この信号がアナログ−デジタル変換器776によってディジタルデータに変換される。
信号分割器725によって出力された信号の第2部分は、信号分割器725の信号出力の第1部分が従ったのと実質的に同様のパスに従うが、信号の第2部分は、199.25MHzから200.75MHzの間の帯域幅を通過すべく濾波される点が異なる。さらに第2の信号部分は、乗算器756において、201.25MHzの局所発振信号によって同期的に検出される。このように、アンテナ120によって受信された信号は、非同期式に検出され、バンドベースレベルにダウン変換され、復調器310によって復調されるデジタル情報を供給すべくデジタル化される。
高帯域幅の基地局110により送信される信号の送信パスは、信号処理ステップの順序が逆である点を除き、ダウンコンバータを通過するのと実質的に同様にアップコンバータを通過する。具体的には、変調されたデジタル信号が、デジタル−アナログ変換器774及び778の入力として機能し、生成されたアナログ信号が増幅器766及び770によってそれぞれ増幅される。増幅された信号はスイッチ回路762,764を通過し、それぞれのローパスフィルタ758,760によって濾波される。アナログ信号は、第1のパスに沿って、281.25MHzの局所発振信号での変調(すなわち乗算)によりアップ変換される。一方、第2の信号は、201.25MHzの発振信号で変調によりアップ変換される。変調された第1の信号は増幅器750,738により増幅され、フィルタ742,730により濾波され、200と79.25MHzから280.75MHzの間に十分に定められた信号が供給される。一方、第2の信号も同様に、増幅器752,740により増幅され、フィルタ744,732により濾波されて、199.25MHzから200.75MHzの周波数範囲内に十分に定められた信号が供給される。バンドパスフィルタ730及び732から出力された2つの信号波、加算回路725に入力として供給される。2つの入力信号は、加算回路725によって線形に加算され、増幅器724によって増幅される。デジタル減衰回路720が増幅された出力信号を減衰し、乗算器715が1,667.5MHzの発振周波数による乗算によって、この信号をさらにアップ変換する。このようにして、通信情報を含んだオリジナル入力信号は、送信周波数範囲にアップ変換される。続いて、送信される信号は、フィルタ712において1,865から1,950MHzの間に濾波され、スイッチ710を通過後に増幅器708において増幅される。増幅された送信信号は、さらにバンドパスフィルタ704において濾波されて、この濾波及び増幅された信号が、送信/受信スイッチ300を介してアンテナ120への出力として供給される。
図80Aは、同期回路312の主要な内部機能素子を示す概略ブロック図である。図80Aに示されるように、同期回路312は、データクロック(図示せず)からの2ビット入力を有する40MHz基準発振器787(reference oscillator)に接続された周波数制御装置785を含む。40MHz基準発振器787は、8分割(divide-by-eight)バイナリカウンタ789に信号を出力し、カウンタ789は、局所発振器791,793及び795に出力信号基準を供給する。局所発振器791は1,667.5MHzの発振周波数を供給し、発振器793,795はそれぞれ281.25MHz及び201.25MHzの発振周波数を提供する。8分割バイナリカウンタ789は、さらに、アナログ−デジタル及びデジタル−アナログ変換器774から780のそれぞれにクロック入力パルスを供給する。
図81は、図73に示された基地局110内のダウンコンバータ405の主要な素子を示す概略ブロック図である。具体的には、アンテナ120は、送信/受信スイッチ400が受信モードにあるあいだにスイッチ400を介してバンドパスフィルタ802に接続される。フィルタ802は、約1,865MHz及び1,950MHz以下の周波数を通過させる。フィルタ802は増幅器804の入力に接続され、増幅器804は、フィルタ802と実質的に同一の特性を有する第2のバンドパスフィルタ806に接続されている。フィルタ806は乗算器809に入力を供給し、乗算器809は、局所発振器(図81には示されていない)からも1,667.5MHzの発振周波数において、入力を受信する。乗算器809の出力は、復調回路410として(図73を参照)利得制御入力フィーを受信するデジタル減衰器811に接続されている。デジタル減衰器811の出力は増幅係数を有する増幅器813への入力として作用する。
増幅器813からの増幅された信号出力は、例えば6つの実質的に同一部分に信号を分割する信号分割器815に入力される。信号分割器815から出力された6つの信号のそれぞれは、実質的に同一の方法によって、濾波され、増幅され、ダウン変換され、デジタル化される。
第1の信号は、帯域幅1.5MHzで281.5MHzの中心周波数を有するバンドパスフィルタ817に入力される。バンドパスフィルタ817の出力は、増幅係数を有する増幅器819への入力として機能する。増幅器819の出力は、バンドパスフィルタ817と実質的に同一の特性を有するバンドパスフィルタ821への入力となる。バンドパスフィルタ821の出力は増幅係数を有する増幅器823に接続され、増幅器823の出力は乗算器825の入力として作用する。乗算器825はさらに、282.5MHzの局所発振入力を受信することにより、ローパスフィルタ827に接続された出力を有する同期検出回路として作用する。ローパスフィルタ827の出力は増幅器829への入力として作用し、増幅器829の出力はアナログ−デジタル変換器831への入力として作用する。アナログ−デジタル変換器831はさらに、周波数基準回路409(図73参照)からの10MHzクロック入力を受信する。アナログ−デジタル変換器831の出力は図73の復調回路410への入力として機能する。
信号分割器815からの信号出力の第2部分は、280MHzの中心通過周波数および1.5MHzの帯域幅を有するソーバンドパスフィルタ833に入力される。バンドパスフィルタ833は増幅器835の入力に接続され、増幅器835は、バンドパスフィルタ833と実質的に同一の特性を有するバンドパスフィルタ837に信号を出力する。フィルタ837の出力は、増幅係数を有する増幅器839への入力として作用する。増幅器839の出力は、乗算回路841の入力に接続され、乗算回路841は282.5MHzの局所発振信号をさらに受信する。乗算回路841の出力はローパスフィルタ843への入力として機能し、ローパスフィルタ843は増幅係数を有する増幅器845の入力に接続される。増幅器845からの出力は、10MHzのアナログ−ディジタルクロックに作用する(operates off of)アナログ−デジタル変換器に入力される。10MHzのクロックは図73の周波数基準回路409から受信される。アナログ−デジタル変換器847の出力は、復調介路410への入力として作用する(図73参照)。
信号分割器815による信号出力の第3部分は、278.5MHzの中心通過周波数及び1.5MHzの帯域幅を有するバンドパスフィルタ849に入力される。バンドパスフィルタ849の出力は、増幅係数を有する増幅器851の入力に入り、増幅器851の出力は、フィルタ849と実質的に同一のバンドパス特性を有するバンドパスフィルタ853の入力に接続される。フィルタ853の出力は、増幅器855の入力に接続され、増幅器855は、ローパスフィルタ859及び増幅器861を介してアナログ−デジタル変換器863に接続される乗算器857に接続されている。増幅器855,乗算器857,ローパスフィルタ859,増幅器861及びアナログ−デジタル変換器863は対応する素子823,825,827,829及び831と実質的に同一であり、実質的に同一に機能する。
信号分割器815からの信号出力の第4部分は、201.5MHzの中心バンドパス周波数及び1.5MHzの帯域幅を有するバンドパスフィルタ865に入力される。バンドパスフィルタ865の出力は、増幅器866の入力として機能し、増幅器866は、バンドパスフィルタ865と実質的に同一の濾波特性を有するバンドパスフィルタ867に接続された出力を有する。バンドパスフィルタ867の出力は、増幅係数を有する増幅器868の入力に接続されている。増幅器868の出力は、202.5MHzの局所発振周波数をさらに受信する乗算器869に接続されている。よって、乗算器869は、ダウン変換されたベースバンド信号をローパスフィルタ870に出力する同期検出器として作用する。ローパスフィルタ870は、増幅係数を有する増幅器871に入力を供給し、増幅器871の出力は、周波数基準回路409から10MHzのアナログ−デジタル変換クロックを受信するアナログ−デジタル変換器872への入力となる。アナログ−デジタル変換器872の出力は、復調回路410(図73参照)への入力として機能する。
信号分割器815による信号出力の第5及び第6部分は、バンドパスフィルタ873,881、増幅器874,882、バンドパスフィルタ875,883、増幅器876,884、乗算器877,885、ローパスフィルタ878,886及び増幅器879,887をそれぞれ介して、アナログ−デジタル変換器880,888にそれぞれ入力される。分割器815からアナログ−デジタル変換器880,888の間の各回路素子は、信号分割器815からアナログ−デジタル変換器872の間の対応する素子と実質的に同一であるが、バンドパスフィルタ873及び875が200MHzの中心周波数を有し、バンドパスフィルタ881および883が198.5MHzの中心通過周波数を有する点が異なる。
基地局110のダウンコンバータの動作は、高帯域幅基地局110のダウンコンバータの動作と実質的に同様である。より詳細には、アンテナ120に受信され、スイッチ400により受信パスに切り替えられた信号は、フィルタ802,806及び増幅器804により濾波され増幅される。続いて、信号は、乗算器809内の同期検出器により低周波数バンドにダウン変換される。第1のダウン変換ステップの後、信号は減衰器811によりデジタルで減衰され、続いて増幅器813により増幅される。信号は、複数の実質的に同一の信号に分割され、各信号は異なる検出パスを通る。各検出パスは、検出された信号を異なるベースバンド周波数領域にダウン変換する以外は、それぞれが実質的に同一である。したがって、例えば、分割信号の第1部分は、バンドパスフィルタ817,821によって281.5MHzの中心周波数で濾波され、増幅器819,823により増幅される。濾波された信号は乗算器825によって同期的に検出され、ベースバンドに変換される。ベースバンド信号は、ローパスフィルタ827、増幅器829、及びアナログ−デジタル変換器831で濾波され、増幅され、デジタル化される。この検出シーケンスが、以下の点を除き、信号分割器815によって出力された6つの信号部分のそれぞれについて実施的に同一である。すなわち、各バンドパスフィルタは異なる中心周波数で動作し、異なる乗算器への入力である局所発振信号は、下の3つの信号部分と上の3つの信号部分とでは異なる。
図81Aは周波数基準回路409の主要な内部コンポーネントを示す簡素化された概略ブロック図である。図81Aに示されるように、周波数基準回路409は、周波数制御回路890、40MHz基準発振器891及び4分割回路892を含む。4分割回路892は、局所発振器893,894及び895ならびにアナログ−デジタル変換回路及びデジタル−アナログ変換回路のそれぞれ(図82参照)に出力を供給する。局所発振器893は1,667.5MHzの出力信号を供給し、局所発振器894及び895はそれぞれ281.25及び201..25MHzの発振信号を供給する。
図82は、基地局110の送信パスに沿ったアップコンバータ407(図73参照)の主要な内部コンポーネントを示す概略ブロック図である。アンテナ120は、スイッチ400が送信モードにあるときにスイッチモード400を介してバンドパスフィルタ902に接続される。バンドパスフィルタ902は、1,865MHzと1,950MHzの間の周波数を通過させる。バンドパスフィルタ902は、増幅係数を有する電力増幅器904の出力に接続されている。電力増幅器904の入力は、バンドパスフィルタ902と実質的に同一の周波数通過特性を有するバンドパスフィルタ906に接続されている。バンドパスフィルタ906の入力は、1,667.5MHzの発振周波数を有する局所発振器からの第1の入力とデジタル減衰回路910からの第2の入力とを受信する乗算器908の出力に接続されている。デジタル減衰回路910は、変調回路445(図73参照)からの利得制御入力を受信する。デジタル減衰回路910の入力は、電力増幅器912に接続され、電力増幅器912は、加算回路914から入力を受信する。1実施形態においては、加算回路914は6つの個別入力を受信し、これらを線形に加算して増幅器912の出力に供給する。加算回路914への6つの入力のそれぞれは、1.5MHzの帯域幅を有するバンドパスフィルタに接続されている。具体的には、バンドパスフィルタ920,930,940,950,960および970が、加算回路914への入力として機能する。バンドパスフィルタ920,930,940,950,960および970、それぞれ、281.5MHz、280MHz、278.5MHz、201.5MHz、200MHz、198.5MHzの中心通過周波数を有する。バンドパスフィルタ920−970は、それぞれ、増幅器921−971の出力に接続されている。増幅器921−971は、それぞれ、バンドパスフィルタ922−972から入力を受信する。バンドパスフィルタ922−972は、バンドパスフィルタ920−970と実質的に同一の周波数パス特性を有する。各パンドパスフィルタ922−972は、増幅回路923−973の出力に接続されている。
増幅回路923−973は各乗算器924−974の出力に接続されている。乗算器924,934,944は282.5MHzの発振周波数で局所発振器の入力信号を受信し、乗算器954,964,974は、202.5MHzの局所発振入力を受信する。各乗算器924−974は、対応するローパスフィルタ925−975に接続されている。これらのローパスフィルタは、各増幅器926−976の出力から入力を受信する。各増幅器926−976は、デジタル−アナログ変換器927−977からそれぞれ入力を受信する。デジタル−アナログ変換器927−977のそれぞれは、10MHzのデジタル−アナログ変換クロック入力信号を、4分割バイナリカウンタ892(図81A参照)の出力から受信し、さらに図73に示した変調回路445から入力を受信する。
動作においては、変調されたデータ信号がデジタル−アナログ変換器927−977への入力として機能する。デジタル−アナログ変換器927−977は変調されたディジタルデータ信号をアナログ信号に変換し、この信号が増幅器926−976により増幅され、さらにローパスフィルタ925−975によって濾波される。ローパスフィルタ925−975の出力は、乗算器924−974のそれぞれの1入力として入力される。乗算器924−974の第2の入力は、282.5MHz、202.5MHzのいずれかの局所発振入力を受信する。このように、ローパスフィルタ925−975からの信号出力は、第1に高周波数レベルにアップ変換される。乗算器924−974により出力されたアップ変換された信号は、続いて、増幅器923−973及び921−971、及びフィルタ922−972および920−970により増幅され、濾波される。フィルタ920−970の出力が加算回路914に入力され、ここで6つの入力端子に印加された信号のそれぞれが線形に加算される。
加算回路914により加算された出力は、電力増幅器912の入力となる。電力増幅器912の出力はデジタル減衰回路910に入力され、信号増幅器912からの信号出力に付与される利得制御を微調整する。デジタル減衰回路910の出力は乗算器908の第1の入力として作用する。乗算器908の第2の入力は、1,667.5MHzの局所発振信号である。よって、乗算器908は、デジタル減衰回路910からの信号出力を基地局110の送信周波数にアップ変換すべく機能する。乗算器908の出力は、フィルタ902,906により濾波され、増幅器904により増幅される。フィルタ902からの出力は送信モードのスイッチ400の入力となり、スイッチ400はアップコンバートされ増幅されたこの信号をアンテナ120に中継する。
帯域幅を動的に割り付ける方法
帯域幅要求制御装置(図74参照)によって実行される帯域幅割り付け方法が、図83に示される。この方法はスタートブロック3300において開始する。
帯域幅割り付け方法が開始されると、初期化機能が行われる。これには、図83に示すように、例えば基地局100またはリモート端末187,192を最後に使用してからアンテナセンサエレメントの数が変更されているかの判断が含まれる。例えば、基地局100またはリモートアクセス端末187,192の空間的解像能力を強化し、基地またはリモート局が入来する信号をより正確に弁別(discriminate できるようにすることが望ましい。このような場合、基地局110またはリモート端末187,192は、より多数のセンサエレメントを有し、当業界で周知のように、基地またはリモート局により高程度の指向的弁別性または空間的分割性を与える新たなアンテナがインストールされている間は、非作動状態となる。新しいアンテナのインストールが完了すると、インストーラにより基地局110またはリモート局187,192が再起動され、判定ブロック3305に示されるように、アンテナエレメントの数が変わっているかを判定するテストが行われる。アンテナエレメントの数が変わっている場合、制御手順は活動ブロック3310に進み、トーンセット内のトーンの数が再決定され(例えば、アンテナエレメントの数が増加した場合にはより小さい数にする)、センサ及びトーンセット内のトーンに付与される複合重み(complex weight)を計算するために用いる行列が同一の次元数(dimensionality)を維持するようにする。上述したように、処理コストが上昇することなく、本質的に同一のSTNRが維持される。活動ブロック3310で実行されるような初期化のあと、制御は判定ブロック3315にすすみ、新しいユーザが帯域幅を要求しているか否かの判断がなされる。しかしながら、判定ブロック3305において、アンテナエレメントの数が変わっていないと判断された場合には、方法手順は判定ブロック3305から直ちに判定ブロック3315に進む。
判定ブロック3315において、新しいユーザがアクセスチャネルを通過する帯域幅を要求していないと判断されると、制御はサブルーチンブロック3320に進み、ここで、通信リンク内においてすでに割り付けられた帯域幅割当を必要に応じて修正し、SINRを最大化する。新しいユーザが制御アクセスチャネル全体の帯域幅を要求していると判断されるまで、制御作業はサブルーチンブロック3320から判定ブロック3315に戻る。
新しいユーザが帯域幅を要求すると、制御手順は活動ブロック3325に進み、どのくらいの帯域幅が要求されているかが判定される。すでに説明したように、要求された帯域幅は、送信されたデータ(例えば、音声、ビデオ、データなど)並びに送信装置の種類に基づき子測される。例えば、個人用の電話機で送信されている場合、1秒につきわずか8キロビットの帯域幅が要求されている可能性があり、また、PBXに接続されたP−1リンクは、1,544MHzの帯域幅を要求する。1実施形態においては、要求を行う装置は、要求された装置の帯域幅要求をリモート局187,192に示す初期化または識別信号を送信する。
活動ブロック3325において要求された帯域幅の量が決定すると、制御手順は判定ブロック3330に進む。すなわち、通信チャネルが要求側の装置に適合する十分な自由帯域幅を有するかどうかが判断される。新しいユーザが要求する最適な帯域幅に適合する十分な自由帯域幅をチャネルが持たない場合、この方法の制御は調整段階(arbitration phase)に進み、まず、判定ブロック3335においてユーザがより小さい帯域幅を使用できるかどうかが判定される。ユーザが、要求したより小さい帯域幅では動作できない場合、ユーザとの接続が切られ、活動ブロック3340に示されるように、通信チャネルへのアクセスが拒否される。一方、ユーザがより小さい帯域幅で動作可能であることが判断された場合、活動ブロック3345において示されるように、基地局110は、リモート局187,192を介してユーザにより低い帯域幅の要求を求める。制御は活動ブロック3325に戻り、要求される帯域幅の量が再び決定される。もちろん、ユーザがト分にソフィスティケートされていて、基地局の提案した帯域幅が、ユーザの通信装置の通常の動作を行うのに十分であるか否かを判断できる場合には、基地局はリモート局187,192を介して、ユーザに許容できる帯域幅を提案して提示してもよい。
一方、通信チャネルが要求側のユーザに適合する十分な自由帯域幅を有すると判断された場合、制御は判定ブロック3330から判定ブロック3350に進み、ここで、自由なトーンセットがあるか否かを判定するテストが行われる。すなわち、要求側のリモート端末187,192の領域の他のユーザにまだ割り付けられていないトーンセットがあるかどうかが判断される。要求側のルームまたは端末187,192の領域内に自由なトーンセットがあれば、制御プロセスは活動ブロック3355に進み、ユーザに関連付けられたリモート局からリモート空間セル内の基地局へのデータ送信に使用する1つ以上の自由トーンセットをユーザに割り付ける。続いて、制御は活動ブロック3355から活動ブロック3360に進む。しかしながら、判定ブロック3350において、自由トーンセットがないと判断された場合には、制御は活動ブロック3365に進み、リモート局187,192と基地局110とのあいだのデータ送信のために、1つ以上の現在使用中のトーンセットがユーザに割り付けられる。ユーザが非常に高い帯域幅を要求している場合には、複数のトーンセットをそのユーザに割り付けることも可能である。さらに、トーンセットは、4つの約1MHzのバンドに分類されているので、複数のトーンセットが単一のユーザに割り付けられて、独立した通信チャネルを確立する場合、これらのトーンセットは通常同じ1MHzバンドの範囲にある。
制御プロセスが活動ブロック3355,3365のいずれかから活動ブロック3360に進むと、1つ以上のコード(すなわち、割り付けられたトーンセット内の種々のトーンを変調するために用いられる拡散コード)がユーザに割り付けられ、この新しいユーザに接続されたリモート局に近接するリモート局によって同一コード(すなわち同一のトーンセットのコード)が使用されていないことが確認される。このように、同じトーンセット及びコード割り当てを有するユーザを空間的に分離することにより最大限の周波数及びコード再使用が実現する。もちろん、上述の適合されたチャネル等化方法によれば、オンラインでは一般的にそうではない、最初にリモート端末に割り当てられた拡散コードは、十分に定められたコードであり、SINRを最大化する線形の適合化された拡散重みを構成する。したがって、新しく割り付けられたコードが、新しいユーザに割り当てられたリモート端末と同じ近接範囲にあるリモート端末に割り当てられた拡散重みのいずれかと同一である可能性は非常に高い。既に詳しく説明したように、新しいそれぞれのユーザに割り当てられた拡散コードを修正するための基準により、所与の空間セルサイト内の各ユーザに少なくとも1自由度を与えるために拡散重みは線形に独立していることが要求される。
制御プロセスは、活動ブロック3360から判定ブロック3370に進み、ここで、ユーザに割り付けられたトーンセット及びコードの数が与えられ、最大コンステレイションサイズ(すなわち、任意のM−ary変調フォーマットに対して)が、要求された帯域幅の維持に十分であるかが判断される。すなわち、新たに定められた通信チャネルが十分に高いコンストレイションサイズに耐えれば、要求された帯域幅は、要求側のユーザを満足させる。しかしながら、チャネルが新しいユーザの操作に要求される帯域幅を維持するための必要なコンストレイションサイズを扱えるほど必ずしも十分な抵抗性がない場合、記載される方法にしたがって、更なるコードまたはトーンセットをユーザに割り付けなければならない。新たに要求された通信チャネルに対してトーンセット、コード及び変調フォーマットが決定すると、制御はサブルーチンブロック3320に進み、帯域幅割り当てが必要に応じて修正され、SINRが最大化される。続いて、制御は判定ブロック3315に戻り、上記のプロセスが繰り返される。
本発明の別の実施形態:複数離散トーンに対する適合的ビーム形成及びこれに続く結果的な信号の結合
図84A及び図84Bには、本発明の別の実施形態が示される。ここでは、スペクトル理及び空間的処理は分離されている。空間的重みは、各キャリア周波数に対して独立的に算出される。空間的重みは、やはり個別に計算されたスペクトル重みと乗算されて、合成重みが生成される。すなわち、合成された空間的/スペクトルビームフォーマは、独立的に動作する個別のスペクトルビームフォーマと個別の空間的ビームフォーマとに分解される。図84Aには、アンテナM−1までによって受信された信号が空間的ビームフォーマによって処理され、係数A0からAN−1を生成する方法が示される。さらに図84Aには、アンテナ0からM−1において受信された信号がいかにスペクトルビームフォーマにより処理され、係数B0からBN−1が生成されるかが示される。図84Bは、空間的係数A0がどのようにトーン周波数0に付与され、その結果がスペクトル係数B0によっていかに独立的に操作され、その結果の信号がアンテナ0からM−1において送信されるかを示す。
同様に、図84Bは、空間的係数AN−1がどのようにトーン周波数n−1に付与され、その結果がスペクトル係数BN−1によっていかに独立的に操作され、その結果の信号がアンテナ0からM−1において送信されるかを示す。このように、どのように空間的重みが各キャリア周波数に対して独立的に計算され、この空間的重みが、別に計算されたスペクトルと乗算されて合成重みを生成するかわかる。
この別の実施形態の1形式においては、基地局及びリモートユニットは、2つのサブバンドのそれぞれに1つずつが含まれる2つのトーンまでを交換可能である。2つのサブバンド間を80MHz分離させることにより、トーンが十分に離れて拡散するため、1つのサブバンドにおけるノイズバースト及び干渉信号により他方のサブバンドにおける劣化が生じることはない。2つのトーンは空間的拡散及び逆拡散により別々に処理され、その後合成されて結果的な信号を生成する。この別の実施形態は、ノイズ及び干渉に対する適当な免疫性を保持しつつ、計算が簡素化されるという利点を有する。
受信局においては、マルチエレメントアンテナアレイにより受信された各トーンは、受信ビーム形成のプロセスに類似するプロセスにおいて空間的に逆拡散される。結果として得られた信号が合成される。第1の信号合成方法は、等価利得合成であり、この方法では信号が加算される。信号合成の別の方法は、最大定量(ration)合成であり、この方法ではよりよいSTNRを有する2つのトーンから出力信号が選択される。
送信局においては、この別の実施形態は第1のトーンで変調されたデータ信号を空間的に拡散する。この空間的拡散では、送信ビーム形成に類似したプロセスにおいて空間的拡散コードが使用される。別に、この実施形態では、第2のトーンで変調されたデータ信号を空間的に拡散する。これら2つの空間的に拡散された信号が合成され、マルチエレメントアンテナアレイから送信され、スペクトル的及び空間的に拡散した送信された拡散信号を形成する。
この別の実施形態は、受信感度の空間的方向を所望の信号ソースの方向に適応的に位置決めするか、干渉ソースからの受信感度を減少させるかの少なくもいずれかをおこなう空間的逆拡散ステップを有することができる。この別の実施形態は、さらに、送信された逆拡散信号の送信された信号エネルギーを受信された拡散信号のソースに向けて適合的に位置決めするか、送信された信号エネルギーをインタフェースに向けて適合的に減少させるかの少なくともいずれかを行う拡散ステップを有することができる。この実施形態は、TDDプロトコル内で十分に機能する。
図85Aは、基地局において実行される計算ステップを示した、好適な実施形態のフロー図である。基地局の送信部において、ライン5においてトラフィックシンボルがスメア(smear)行列ステップ10に入力される。リンクメンテナンスパイロット信号が、ライン7において、デジタル信号処理装置(DSP)データ処理RAM12に入力される。保存されたパイロット信号がRAM12からリンクメンテナンスパイロット(*LMP)レジスタ14に出力され、1入力としてスメアステップ10に供給される。スメアマトリクス16はスメアステップ10へも供給される。スメアマトリクス16の出力もスメアステップ10に供給される。スメアステップ10の出力は、利得強調ステップ20に供給される。利得RAM25からの出力値が利得強調ステップ20に供給され、その出力値はビーム形成拡散ステップ30に供給される。拡散RAM25の拡散重みはビーム形成拡散ステップに供給される。ライン40において、ビーム形成拡散ステップからXベクトルが出力され、さらに送信器に送られてリモート局に送信される。
基地局における信号処理の受信側においては、受信器からのXベクトルはオンライン50においてビーム形成逆拡散ステップ60に入力される。逆拡散重みづけRAM62は逆拡散重みをビーム形成逆拡散ステップ60に供給する。ビーム形成逆拡散ステップ60からの信号出力は、利得強調ステップ70に印加される。利得RAM25からの出力値も利得強調ステップ70に供給される。利得RAM25からの値は、利得強調ステップ70に供給される。利得強調ステップから出力された値は逆スメアステップ80に供給される。利得強調ステップ70からのパイロット信号のための値は、LMPレジスタ72に保存され、逆スメアステップ80に入力される。さらに、逆スメア行列がステップ74から逆スメアステップ80に供給される。この結果、逆スメアステップ80から出力されるトラフィックシンボルが使用され、さらに基地局において分配できるようになる。LMPレジスタ72から出力されたパイロット信号は、LMPデジタル信号処理DPRAM76に保存され、ライン78において出力される。
拡散及び逆拡散の計算に使用される種々の値は、図85Aに示すように更新される。ライン50のXベクトル入力は、更新重みステップ54に入力される。ライン50のXベクトル入力は、データ補正ステップ93にも入力され、その出力は更新重みステップ54に供給される。更新重みステップ54から出力された更新済みの重み値は、有効重みステップ56に送られ、さらに逆拡散RAM62に出力される。トラフィック確立サポート86は特性マップ84に値を供給し、特性マップ84はライン82からのトラフィック信号処理し、スメアステップ89にその出力を供給する。ライン81のメンテナンスパイロット信号は、デジタル信号処理DPRAM83に入力され、DPRAMの出力はLMPレジスタ85に供給され、LMPレジスタ85の出力はスメアステップ89に供給される。スメアステップ89にはスメア行列87も入力される。スメアステップ89の出力は、利得デエンファシスステップ91に供給され、利得デエンファシスステップ91の出力は、データ補正ステップ93に入力される。データ補正ステップ93の出力はすでに説明したように、更新重み付けステップ54に入力される。さらに、スメアステップ89からの出力は、エレメントワイズ利得共拡散(element-wise gain convariance)ステップ64に供給される。エレメントワイズ利得共拡散ステップ64への別の入力は、ビーム形成逆拡散ステップ60の出力から供給される。エレメントワイズ利得共拡散ステップ64の出力は、エレメントのブロック正規化ステップ66に供給され、さらにエレメントワイズ結合(conjugation)ステップ68に供給される。エレメントワイズ結合ステップ68は、出力値を利得RAM25に出力する。このようにして、基地局は、本発明に従って、ライン50における受信された信号ベクトルに対する逆拡散動作と、ライン5におけるトラフィックシンボル入力を送信するための拡散動作とのいずれをも行うことができる。
図85Bには共通アクセスチャネル信号の処理が示されている。送信器からの2つの共通アクセスチャネル(CAC)信号が処理される。入力ライン102において受信される第1の信号が処理され、RMGS自動相関ステップ104に供給され、その出力はデジタル信号行列ステップ106に入力される。デジタル信号行列ステップ106の出力は、デジタル信号処理装置に入力される。ライン102の共通アクセスチャネル信号は、選択アンゲートパケット(select ungated packets)ステップ108及び選択ゲートパケット(select gated packets)ステップ110にも供給される。選択アンゲートパケット108の出力は、減算奇偶パケット(subtract even/odd packet)ステップ112に供給される。選択ゲートバケット110の出力は、供給コードキー(apply code key)ステップ114に供給される。CACコードキーステップ116からの値も供給コードキーステップ114に供給される。供給コードキーステップ114の出力も、減算奇偶パケットステップ112に供給される。減算奇偶パケットステップ112からの出力は、RMGS自動相関ステップ118に供給され、その出力はさらに計算T行列ステップ106に供給される。計算T行列ステップ106からの出力は、デジタル信号処理装置に供給される。
ライン120において受信器から入力された2つのCAC信号のうちの第2の信号は、選択アンゲートパケットステップ122及び選択ゲートパケットステップ124に供給される。選択アンゲートパケットステップ122の出力は、1入力として、結合型ゲート/アンゲートパケットステップ126に供給される。選択ゲートパケットステップ124からの出力は、供給コードキーステップ128に供給される。供給コードキーステップ128は、CACコードステップ130からの信号も受信する。供給コードキーステップ128の出力は、結合型ゲート/アンゲートパケットステップ126の第2の入力であり、ここからの出力は、供給逆拡散重み付けステップ132に供給される。デジタル信号処理装置からの信号は、回転された重みRAM134に供給され、その出力は計算逆拡散重みステップ136に供給される。計算逆拡散重みステップ136の出力は、供給逆拡散重み132に供給され、その出力はデジタル信号処理装置に送られる。このように、図85Bに示されたステップにより、共通アクセスチャネル信号の処理が実行される。
本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、当業者には、発明の範囲または本質を逸脱することなく、明瞭な修正を本発明に行えることが明らかである。例えば、本発明のシステムに従って、PSK、BPSK及びQAM以外の信号コンステレイションフォーマットを使用することもできる。さらに、システムは、SINRではなく、ビットエラーレート(BER)を最適化することもできる。また、トーンセット中のトーンの数、バンドにおけるトーンセット及びクラスタセットの数は、特定のアプリケーションに基づき選択できる。選択された周波数バンドは、特定の条件による要求に従って変更することができる。マルチパス環境に基づきTDDフォーマットを変更して、連続するTDDフレームにおいて有効的な静的チャネルが観察されることを保証することもできる。定数率(constant modulus)など以外の信号特性に基づき、SINRを最大化することできる。
したがって、前述の説明は例示的であり、限定的でないとされ、本発明の範囲は以下の請求の範囲から決定すべきである。
(付録)
以下の5つの付録において、「離散マルチトーン拡散スペクトル」という用語、および「DMT−SS」という省略表記は、「離散マルチトーンスタックトキャリア」および「DMT−SC」に対応する。
付録A−無線ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信システムのための改良されたネットワークアクセス方法(4342)
付録B−離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムのための優先度メッセージング方法(4343)
付録C−離散マルチトーンスペクトル拡散通信システムにおける動作クオリティとメンテナンスデータのための遠隔局のポーリング方法(4348)
付録D−離散マルチトーンスペクトラム拡散通信方式に用いる電力管理法(4382)
付録E−離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムにおけるネットワーク逆指向性のための方法付録無線ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信システムのための改良されたネットワークアクセス方法(2455/4342)
関連出願の説明
ここで開示されている発明は、以下の同時係属米国特許出願、すなわち
(1) アラモウチ・ディー・ストラーツ(Alamouti,D.Stolarz)他による「ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信システムのための垂直適応アンテナアレイ」と題する、本特許出願と同日に出願され、AT&Tワイヤレスサービスに譲渡された、ここで引用している米国特許出願第 号と、
(2) フール(Hoole)他による「ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信システムにおける機能品質および保全データのための遠隔装置をポーリングするための方法」と題する、本特許出願と同日に出願され、AT&Tに譲渡された、ここで引用している米国特許出願第 号と、に関連するものである。
(発明の背景)
1.発明の分野
本発明は、通信システムおよび動作方法に関する。特に、本発明は、無線ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信システムおよび動作方法に関する。
2.背景の説明
無線通信システム、例えばセルラおよびパーソナル通信システムは、限定スペクトル帯域幅で動作する。このようなシステムは、多数の無線ユーザに優れたサービスを提供するために、限定帯域幅資源をかなり効率的に利用しなければならない。限定帯域幅を効率的に利用するために、符号分割多元接続(CDMA)プロトコルが無線通信システムによって使用されている。このプロトコルは、固有のコードを用いて、各ユーザのデータ信号と他のユーザのデータ信号とを区別する。特定の上方が伝送される固有のコードを知ることによって、通信チャネルの受信側で各ユーザのメッセージを分離および再構成することが可能になる。
引用したアラモウチ他の特許出願に記載されているパーソナル・ワイヤレス・アクセス・ネットワーク(PWAN)は、ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散(DMT−SS)として周知のCDMAプロトコルの形態を利用して、基地局と複数個の遠隔装置との間で効率的に通信を行う。このプロトコルでは、重み付き離散周波数またはトーンのセットによってユーザのデータ信号が変調される。この重みは、広範囲に亘る周波数に及ぶ多数の離散トーン上でデータ信号を分散した拡散コードである。この重みは、実構成要素がトーンの振幅を変調する複素数であり、一方、復合構成要素は、トーンの位相を変調するものである。重み付きトーンセットにおける各トーンは、同一データ信号を保持する。送信側における複数のユーザは、同一トーンセットを用いてそのデータを伝送することが可能であるが、トーンセットを共有する各ユーザは、異なるセットの拡散コードを有する。特定のユーザに対する重み付きトーンセットは受信側に送られ、そこで、ユーザの拡散コードに関する逆拡散コードで処理され、ユーザのデータ信号を回復する。受信機における空間的に分離されたアンテナの各々に対して、受信されたマルチトーン信号が時間領域信号から周波数領域信号に変換される。逆拡散重みは、各アンテナエレメントによって受信された信号の各周波数構成要素に割り当てられる。逆拡散重みの値は、受信された信号と組み合わされて、特定のマルチトーンセットおよび送信位置を特徴とする個別に送信された信号の最適の近似値を得る。PWANシステムは、合計2560個のディスクリートトーン(キャリア)が、1850MHzから1990MHzまでの範囲内で、8MHzの利用可能帯域幅で均等に間隔をあけている。トーンの間隔は、3.125KHzである。トーンのセットの合計は、最低周波数トーンから始まり、0から2559まで連続して番号付けされる。このトーンを用いて、基地局と複数個の遠隔装置との間にトラヒックメッセージおよびオーバーヘッドメッセージを送る。トラヒックトーンは、320個のトラヒック区画に分割され、各トラヒックチャネルは72個のトーンのうち少なくとも1個のトラヒック区画を必要とする。
さらに、PWANシステムは、オーバーヘッドトーンを利用して、同期を確立し、基地局と遠隔装置との間で制御情報を通過させる。基地局がコモンリンクチャネル(CLC)を用いて、遠隔装置に制御情報を送る。コモン・アクセス・チャネル(CAC)を用いて、遠隔装置から基地局にメッセージを送る。1個に集約されたトーンが、各チャネルに割り当てられている。これらのオーバーヘッドチャネルは、全ての遠隔装置によって共通に使用され、基地局と制御メッセージを交換している。PWANシステムにおいては、基地局および速隔装置が時分割二重化(TDD)を用いて、同一マルチトーン周波数チャネル上で両方向にデータおよび制御情報を伝送する。基地局から遠隔装置への伝送は順方向伝送と呼ばれ、遠隔装置から基地局への伝送は逆方向伝送と呼ばれる。遠隔装置または基地局からの回帰伝送にかかる時間は、TDD期間である。TDD期間毎に、各方向に4回連続して伝送が行われる。データは、多数のトーンを用いて各バーストで伝送される。基地局および遠隔装置は、TDDタイミング構造に同期して、それに従わなければならない。また、基地局および遠隔装置の両方は、フレーミング構造に同期しなければならない。全ての遠隔装置および基地局は、全ての遠隔装置が同時に伝送し、その後、全ての基地局が同時に伝送するように同期されなければならない。遠隔装置が最初にパワーアップすると、基地局から同期が得られ、それによって、規定されたTDD時間フォーマット内で制御およびトラヒックメッセージを交換できるようになる。遠隔装置はまた、基地局と同一の周波数および位相で動作するように、DMT−SS信号に対する周波数および位相同期を獲得しなければならない。
既存の無線システムでは、セットアップメッセージがネットワークスイッチに送られ、一般加入電話網(PSTN)での呼び出しを確立する前に、遠隔装置と基地局との間でトラヒックリンクが確立される。遠隔装置トラヒックリンクの確立は、接続が確立するのをユーザが「待つ」間、時間を浪費し、貴重な帯域幅を使用することになる。また、セットアップメッセージがネットワークスイッチに送られるまで、遠隔ユーザは、電話が「オフフック」になるとすぐにダイヤルトーンを受信するワイヤラインシステムとは異なり、ダイヤルトーンを受信しない。従って、スペクトラム拡散無線システムにおいて、「待機期間」を除去して、他のユーザのための帯域幅を保存する必要がある。さらに、遠隔装置が「オフフック」になり、それによって、ワイヤラインシステムと同一のサービスレベルを複製するとすぐに遠隔ユーザにダイヤルトーンを送る必要がある。
(発明の要約)
無線ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信方法およびシステムが開示されており、これは、遠隔ユーザの、通信システム、例えばPSTNにおけるネットワークスイッチへの接続において、遠隔ユーザと基地局との間の無線リンク上で接続を確立する際に呼び出しセットアップ時間を最小限にする。呼び出しセットアップ時間を最小限にすることにより、貴重な帯域幅がシステムの他のユーザに利用可能となる。このシステムにおいて、遠隔局は多数の加入者に仕え、各加入者は、送信機/受信機を介して無線リンク上で基地局に結合される。無線リンクは、制御メッセージのためのコモンリンクチャネル(CLC)と、トラヒッタのためのコモンアクセスチャネル(CAC)とを備える。メッセージは、PWANを用いて、遠隔局と基地局との間で交換される。基地局は、通信ネットワーク、例えばPSTNにおけるネットワークスイッチに結合される。呼び出しセットアップ時間を最小限にするために、加入者の電話が「オフフック」になると、基地局と遠隔局との間でトラヒックチャネルが確立される前に、遠隔局がCAC上でスイッチに最初のセットアップリクエストメッセージを送る。セットアップリクエストメッセージは、遠隔局IDと、加入者回線番号とを含む。セットアップリクエストメッセージに応答して、基地局は、データベースにアクセスし、ネットワークスイッチによって使用するために特定の加入者および関連のプロフィールを識別する。同時に、基地局は、遠隔ユーザと基地局との間の無線トラヒック接続を開始し、セットアッププロセッサを起動し、セットアップリクエストメッセージを処理のためのネットワークスイッチに送る。ネットワークスイッチは、セットアップリクエストメッセージを受け取ると、遠隔局における加入者にダイヤルトーンを送る。基地局が、無線伝搬または他の問題により、遠隔ユーザと基地局との間にトラヒックチャネルを確立することができない場合、基地局によってエラープロセッサが起動される。エラープロセッサは、ネットワークスイッチに信号または命令を発信し、セットアップ接続を逆アセンブルまたは「破壊」する。トラヒックチャネルが確立される前にネットワークスイッチにセットアップメッセージを送ることにより、呼び出しセットアップ時間が最小限にされ、帯域幅が保存され、遠隔ユーザがワイヤライン通信と同等のダイヤルトーンを受け取る。
(図面の簡単な説明)
図86A1は、ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信を利用し、且つ本発明の原理を導入した無線リンク上で基地局に結合された複数個の遠隔局を示すブロック図である。
図86A2は、図86A1における基地局のブロック図である。
図86A3は、図86A1および図86A2の発明の動作を実現するフロー図である。
(好ましい実施の形態の説明)
図86A1においては、遠隔局[X」と遠隔局[Y]とが、データトラヒックのためのトラヒックチャネル、ならびに制御情報のためのコモンアクセスチャネル(CAC)およびコモンリンクチャネル(CLC)を用いて無線リンク上で基地局「Z」に結合される。各遠隔局は、伝送するためのディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散プロトコルを使用する送信機/受信機に結合された複数の加入者を含む。遠隔局と基地局との間の通信は、上記エス・アラモウチ(S.A1amouti)他およびイー・フール(Hoole)他の出願に記載されている方法で行われる。
基地局は、各チャネルが遠隔局に結合された受信器/送信機を備える。基地局は、遠隔局との間でメッセージを処理する際に用いる加入者拡散重みおよび逆拡散重みのためのデータベースをさらに備える。呼び出しセットリクエストメッセージをネットワークスイッチに伝送する際に、基地局における呼び出しセットアッププロセッサが使用される。以下で述べるように、基地局と遠隔局との間でトラヒックリンクが確立できない時、基地局によってエラープロセッサが起動される。最終的に、基地局は、一般加入電話網等に仕えるネットワークスイッチへの回線リンクに結合される。
引用したアラモウチ他の特許出願に記載されたパーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)システムは、基地局をさらに詳細に説明する。基地局は、そのセル内の多数の遠隔局に情報を伝送する。伝送フォーマットは、基地局と遠隔局との間の4kbpsリンクコントロールチャネル(LCC)と共に、64kビット/秒トラヒックチャネルのためのものである。2進ソースは、送信側の送信機に64kビット/秒でデータを送る。これは、1送信バーストで48ビットに翻訳する。情報ビットは、トリプルデータ暗号化規格(DES)アルゴリズムに従って暗号化される。暗号化されたビットは、その後、データランダム化ブロックにおいてランダム化される。8進変換ブロックに対するビットは、ランダム化された2進シーケンスを3ビット記号のシーケンスに変換する。記号シーケンスは、16個の記号ベクトルに変換される。ベクトルの用語は、一般に、複素数である列ベクトルを示す。LCCからの1個の記号が追加されて、17個の記号のベクトルを形成する。
17−記号ベクトルは、トレリスコード化される。トレリスコード化は、最上位記号(ベクトルの最初のエレメント)で始まり、ベクトルの最後のエレメント(LCC記号)まで順次継続される。このプロセスは、重畳コード化を採用しており、この重畳コード化は、入力記号(0から7までの整数)を他の記号(0から15まで)に変換し、コード化された記号をその対応する16QAM8(または16PSK)信号配列点にマップする。従って、トレリスエンコーダの出力は、17個のエレメントのベクトルであり、ここでは、各エレメントが、16QAM(または16PSK)配列信号セット内の信号である。(以下、信号という用語は、一般に信号配列点を示す。)
リンク保守パイロット信号(LMP)を加算して、LMPをその最初のエレメントとする18信号ベクトルを形成する。その結果生じる(18x1)ベクトルに、予め(18x18)順方向スミアリングマトリックスを掛けて、(18x1)ベクトルbを生成する。
ベクトルbは、エレメント方式で(18x1)利得プリエンファシスベクトルが掛けられ、別の(18x1)ベクトルCを得る。pは、トラヒックチャネルインデックスを示し、整数である。ベクトルCには、(1x32)順方向空間スペクトル拡散ベクトルが後に掛けられ、(18x32)マトリックスR(p)を得る。番号32は、スペクトル拡散係数4と空間拡散係数8とを掛けて得られる。(同一トラヒック区画上の)保持された全てのトラヒックチャネルに対応する18x32個のマトリックスが、その後、組み合わされ(加算され)、その結果、18x32マトリックスSを生成する。
マトリックスSは、8個の(18x4)サブマトリックス(A0ないしA7)に(4桁のグループにより)分割される。(インデックス0ないし7は、これらの記号が最終的に伝送されるアンテナエレメントに対応する。)各サブマトリックスは、1個のトラヒック区画内でトーンにマップされる。
下位物理層は、離散フーリェ変換(DFT)周波数ビットの帯域幅信号を配置し、ここでは、データが、時間領域に変換され、空中で伝送するための対応するアンテナエレメント(0ないし7)に送られる。
このプロセスは、次の48ビットの2進データが次の順方向伝送バーストで伝送されるために、最初から繰り返される。
図86A2においては、基地局がスペクトルおよび空間逆拡散プロセッサ312をさらに備え、これは、既に引用したエス・アラモウチ他の出願に従って、拡散および逆拡散データベースと相互作用する。プロセッサはデコーダに結合され、このデコーダは、呼び出しで発信する加入者データを発生するために、ベクトル逆アセンブリバッファ316に出力を送る。デコーダはまた、加入者データベースバッファに結合され、この加入者データベースバッファは、加入者の名前、番号に関する情報、および例えば加入者プロフィールを含む他の標準加入者情報を備える。データベースバッファの出力は、以下でより詳細に述べるように、呼び出しセットアッププロセッサ330またはエラープロセッサ322に送られる。プロセッサ330および322は、ネットワークスイッチ202に接続される。
図86A1および図86A2の動作は、図86A3を参照して以下で述べる。ステップ710において、遠隔局に結合された加入者は、呼び出しを発信して、その局で「オフフック」状態を開始する。セットアップ接続リクエストは、ステップ720において遠隔局によって開始される。遠隔局は、セットアップリクエストメッセージ、遠隔局IDおよび加入者回線番号をCACトーンを用いて基地局に送る。基地局は、ステップ730においてセットアップ接続リクエストに応答し、データベース320にアクセスして、加入者を識別し、加入者プロフィールを得る。同時に、ステップ740および743において、基地局は、遠隔局へのトラヒックチャネルの確立を開始し、セットアップリクエスト、遠隔ユーザID、加入者回線番号および加入者プロフィールをネットワークスイッチ202に送る。ネットワークスイッチは、ステップ745において、セットアップを開始し、速隔局における加入者にダイヤルトーンを送る。トラヒックチャネルを確立するプロセスの間、基地局は、ステップ742において、トラヒックチャネルが遠隔局と基地局との間で確立されたかどうかを決定するためのテストを実施する。チャネルの無線伝搬特徴によって、リンクが確立できない場合もある。リンクが確立できない場合、テスト742からの「no」状態がエラープロセッサ322を起動し、ステップ744においてネットワークスイッチに、論理装置への信号を送り、この論理装置は、基地局がセットアップリクエストメッセージを既に送っている場合、ネットワークスイッチに信号を送ってPSTNにおける呼び出しセットアップを逆アセンブルまたは「破壊」する。論理装置の信号に応答して、ステップ749におけるネットワークスイッチがPSTN接続を「破壊」し、プロセスが終了する。トラヒックチャネルが完了した場合、「yes」状態が論理装置に信号を送り、もし呼び出しセットアップが既に開始されており、ダイヤルトーンがネットワークスイッチによって加入者に送られている場合、ネットワークスイッチは、ステップ747において呼び出しを完了する。
本発明は、特定の実施の形態に関して述べたが、添付の請求の範囲に規定されたように本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更が可能である。
(付録)
離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムのための優先度メッセージング方法
2455/4343
関連出願への相互参照
ここに開示する発明は、同時係属中のSiavash, Alamouti, Doug Stolarz, Joel Beckerによる米国特許出願「離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムのための垂直適応アンテナアレイ」、出願番号 に関連する。該出願は本願と同日出願であり、AT&Tワイヤレスサービスに譲渡されたものであり、本出願に参照として組み込む。
発明の背景
発明の分野
本出願は、無線離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムにおける通信システム及び方法の改良に関する。
関連技術の説明
無線通信システム、例えばセルラ及びパーソナル通信システムなどは、限定されたスペクトル帯域を越えて動作する。それらシステムは、多くのユーザに対して良いサービスを提供するために、少ない帯域資源を高い効率で利用しなければならない。コード分割多重アクセス(CDMA)プロトコルは、限られた帯域を効率的に利用するために、無線通信システムで利用されている。このプロトコルは、各ユーザのデータ信号を他のユーザのデータ信号から区別するために、一意的なコードを利用している。ある情報を伝送する際に用いている一意的なコードが分かっていると、通信チャネルの受信端で各ユーザのメッセージを分離して再構成することができる。
適応ビームフォーミング技術は、無線サービス業者に、広いカバー範囲、大容量、高品質のサービスを約束する技術となった。この技術に基づき、無線通信システムは、そのカバー能力、システム容量及び性能を著しく改善することができる。Alamouti, Stolarzらによる前記参考出願におけるパーソナル・ワイヤレス・アクセス・ネットワーク(PWAN)システムは、離散マルチトーンスペクトラム拡散(DMT−SS)として知られるCDMAプロトコルを適応ビームフォーミングと組み合わせることにより、基地局と複数のリモートユニットとの間の効率のよい通信を可能にしている。PWANシステムは、通常の、優先度の高いトラヒックチャネルでシステム管理情報を送ることを避けている。この代わりに、システム管理情報は、リンク制御チャネル上にメッセージとして送られる。システム制御情報には2つのタイプがある。第一は、比較的重要であるが時間的な厳密さは要求されない、例えばソフトウエアダウンロードなどのような、システム管理メッセージである。第二は、コール制御メッセージや接続メッセージ、コール制御の受信確認、シグナリングなどのように、時間的に厳密さが要求されるシステム管理メッセージである。リンク制御チャネルは、これらシステム制御メッセージのすべてを送るために利用できる唯一のチャネルである。時間的に厳密さが要求されるシステム、管理メッセージが、時間的に厳密さが要求されないメッセージよりも高い優先度が付与されることを保証する方法が求められる。
発明の概要
ここに開示する発明は、無線離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムおいて少ないスペクトル帯域を最も効率よく利用するための新たな方法である。本発明は、リンク制御チャネルを介した遠隔局と基地局との間のシステム管理メッセージの交換を管理し、これにより時間的に厳密さが要求されるシステム管理メッセージに対し、時間的に厳密さが要求されないシステム管理メッセージよりも高い優先度が付与されるようにする。本発明は、遠隔局から基地局へ送られるシステム管理メッセージ、又は、基地局から遠隔局へ送られるシステム管理メッセージのどちらにでも適用することができる。
以下は、基地局に対してシステム管理メッセージを送る遠隔局の処理の概要である。遠隔局と基地局は、無線離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムの一部である。遠隔局は、この例では送信局であるが、優先メッセージプロセッサを備え、このプロセッサは、システム管理メッセージ群がリンク制御チャネルを介して伝送されるときの順序を選択する。選択の順序は、メッセージに要求される時間的な厳密さによる。より高い時間的な厳密さを要求されるメッセージは早く送信されるように選択される。送信局の優先メッセージプロセッサは、例えばコール制御メッセージ、接続メッセージ、コール制御に対する受信確認メッセージ及びシグナリングメッセージなどが、システムステータスメッセージやソフトウエアダウンロードなどよりも、より高い時間的な厳密さが要求されるものとしてランク付けするようにプログラムされている。送信局から送信されるバーストサイズは、固定ビット長、例えば48ビットである。送信対象のメッセージがそのバーストサイズより長い場合は、送信局の優先メッセージプロセッサはそのメッセージを複数のセグメントに分割する。本発明に関して言えば、1ビット長の優先割込フラグが各メッセージセグメント同士の間に含まれ、どのセグメントがメッセージ中の最初に生じたセグメントかを識別できるようにしている。これにより、送信局と受信局が強調して、時間的な厳密さの要求レベルの異なるシステム管理メッセージの通信を管理することができる。
一例として、遠隔局が、複数セグメントを持つ第一のメッセージをリンク制御チャネルを介して基地局に送っている最中であるとする。この第一のメッセージは、例えば時間的な厳密さの要求度の低いステータスメッセージであると、遠隔局の優先メッセージプロセッサで評価される。その第一のメッセージの最初のセグメントは、1にセットされた優先割込フラグを有し、これは最初のセグメントであることを示す。そのメッセージの他のセグメントの優先割込フラグは0にセットされており、これは最初のセグメントでないことを示す。0にセットされたフラグを持つセグメントが、優先メッセージプロセッサで送信対象にスケジューリングされた時に、遠隔局がローカルの加入者から入力されたオフフック信号のようなコール制御メッセージ信号を受ける。遠隔局の優先メッセージプロセッサは、このコール制御メッセージが、現在送信中のステータスメッセージよりも時間厳守であることを判断する。本発明では、遠隔局の優先メッセージプロセッサは、第一のメッセージを切り捨てる。優先メッセージプロセッサは、その第二のメッセージをバーストサイズのセグメントに分割し、各セグメントに優先度フィールドを設ける。優先メッセージプロセッサは、最初のセグメントの優先割込フラグに値1を割り当て、リンク制御チャネルを介して基地局へそのセグメントを送信するようにする。優先メッセージプロセッサは、その第二のメッセージの他のセグメントの優先割込フラグには値0を割り当て、あとのバーストでリンク制御チャネルを介して送信するために、バッファに貯める。その後、遠隔局は、複数の離散的なトラヒック周波数に拡散されたデータ部を有するデータトラヒック信号を含む第一の離散マルチトーンスペクトラム拡散信号を含むバーストを送信する。遠隔局は、そのバーストで、第二の離散マルチトーンスペクトラム拡散信号も送信する。この第二の拡散信号には、コール制御メッセージの最初のメッセージセグメントを含むメッセージセグメント信号及び優先割込フラグ部が、複数の離散的なリンク制御チャネル周波数に拡散されている。
本発明では、基地局は第一の拡散信号と第二の拡散信号を含んだバーストを受信する。基地局は、受信した第一の拡散信号を逆拡散重みを用いて適応的に逆拡散し、データ部を再生する。基地局は、受信した第二の拡散信号を逆拡散重みを用いて適応的に逆拡散し、メッセージセグメント部と優先割込フラグ部を再生する。基地局は優先メッセージプロセッサを有し、これがリンク制御チャネルからコール制御メッセージの最初のメッセージセグメントを受信する。次に基地局の優先メッセージプロセッサは、もし優先割込フラグが第一の値である1であれば、基地局のメッセージセグメントバッファをリセットし、そのバッファにコール制御信号の最初のメッセージセグメントを格納する。優先割込フラグの第一の値1は、時間厳守のメッセージセグメントに対応する。この処理は、基地局にて、より時間厳守のコール制御メッセージを、第一のメッセージすなわちステータスメッセージと置き換える。
そのコール制御メッセージの残りのセグメントがリンク制御チャネルを介して基地局の優先メッセージプロセッサに受信されると、基地局の優先メッセージプロセッサは、それら残りのセグメントを、前述の最初に受信したメッセージに結合する。これは、それら残りのセグメントの優先割込フラグが第二の値0であるからである。優先割込フラグの第二の値0は、複数のセクメントを持つメッセージの中の最初のセグメントでないメッセージセグメントに対応する。
本発明の別の態様では、基地局が、自己のメッセージ処理能力を、送信中の低優先度のメッセージから、リンク制御チャネルで受信したより時間厳守のメッセージへと割り当て直す。本発明に関して、基地局は、今拡散信号を送信しており、この拡散信号は、複数の離散的なトラヒック周波数に拡散された出力データトラヒック信号と、複数のリンク制御周波数に拡散された出力メッセージセグメント信号とを含んでいるとする。これは、遠隔局との時分割二重セッションの送信インターバルの間に起こる。基地局からの出力メッセージセグメント信号は、遠隔局へのソフトウエアダウンロードのような、低優先度メッセージの一部である。時分割二重セッションの次の受信インターバルの間、基地局は拡散信号を受信しており、この拡散信号には、複数の離散的なトラヒック周波数に拡散された入力データトラヒック信号と、複数の離散的なリンク制御周波数に拡散された入力メッセージセグメント信号が含まれる。基地局は、基地局で受信した信号を逆拡散重みを用いて逆拡散する。その後、基地局は、そのメッセージセグメント信号における優先割込フラグの値を検出する。本発明の別の態様では、基地局は、第二の出力メッセージセグメント信号の次に予定された送信を中止することにより、メッセージ処理能力を再割り当てする。基地局は、基地局のメッセージセグメントバッファのリセットをも実行し、入力メッセージセグメント信号をそこに格納する。これらのステップは、優先割込フラグが第一の値1を持つ場合に、基地局により実行される。優先割込フラグの第一の値1は、時間厳守のメッセージセグメントに対応する。一方、優先割込フラグが第二の値0の場合は、基地局は、その入力メッセージセグメント信号を、既に受信したメッセージセグメントに結合する。優先割込フラグの第二の値0は、複数のセグメントを持つメッセージの中の最初のセグメントではないメッセージセグメントに対応する。この方法で、本発明は、遠隔局と基地局との間でのリンク制御チャネルを介するシステム制御メッセージの交換を管理し、時間厳守のシステム管理メッセージが、時間厳守でないメッセージより優先されるようにする。
本発明は、帯域がユーザの数や彼らが必要とする量に比べて少ないセルラ通信やパーソナル通信などの無線通信の分野で有用な応用がある。そのような応用は、例えばモバイルシステム、固定システム、又は最低限モバイルシステムに適用可能である。しかしながら、本発明には他の、無線方式でない、通信システムにも同様に適用できる。
図面の簡単な説明
図面において、
図86B1は、基地局に対して送信している遠隔局を含むPWANシステムの構成図である。
図86B2は、送信側としての遠隔局Xの構成図である。
図86B3は、受信側としての基地局Zの構成図である。
図86B4は、送信局の優先メッセージプロセッサ204のより詳細な構成図である。
図86B5は、送信側としての遠隔局と受信側としての基地局の動作を示すフローチャートである。
図86B6は、受信局の優先メッセージプロセッサ320のより詳細な構成図である。
好適な実施の形態の説明
図86B1は、参照するAlamouti, Stolarzらの特許出願に記載されたパーソナル・ワイヤレス・アクセス・ネットワーク(PWAN)システムの構成図である。二人のユーザ、アリスとボブは、遠隔局Xのところにおり、各々のデータメッセージを基地局Zに送信したいと思っている。X局は、基地局のアンテナ要素A,B,C,Dから等距離の位置にある。別の二人のユーザ、チャックとデイブは、遠隔局Yのところにおり、やはり各々のデータメッセージを基地局Zに送信したいと思っているとする。Y局は、地理的にX局とは離れた位置にあり、基地局Zのアンテナ要素A,B,C,Dから等距離の位置にはない。遠隔局X及びY、基地局Zは、離散マルチトーン拡散スペクトラム(DMT−SS)として知られているCDMAプロトコルを用い、基地局と複数の遠隔局のユニットとの間の効率的な通信を可能にしている。このプロトコルは、図86B1ではマルチトーンCDMAと示されている。このプロトコルでは、ユーザのデータ信号は、重み付けされた離散周波数、すなわちトーン、の組によって変調されている。重みは、データ信号を、広い周波数範囲をカバーする多くの離散トーンに分配するための拡散重みである。重みは、実数成分と虚数成分とからなる複素数であり、実数成分はトーンの振幅の変調に用い、虚数成分は該トーンの位相の変調に用いる。重み付けされたトーンの組における各トーンは、同じデータ信号を運ぶ。送信局の複数のユーザは、自分のデータを送信するの同じトーンのセットを用いることができるが、その同じトーセットを使う各ユーザは異なる拡散重み群を用いる。あるユーザの重み付けされたトーンセットは、受信局へと送信され、そこでそのユーザの拡散重みに関連する逆拡散重みを用いて処理され、そのユーザのデータ信号が再生される。受信側にある空間的に離れた複数のアンテナの各々について、受信されたマルチトーン信号は時間領域信号から周波数領域信号に変換される。逆拡散重みは、各アンテナ要素で受信された信号の各周波数成分に割り当てられる。逆拡散重みの値は、受信信号に組み合わされ、これにより、あるマルチトーンの組と送信位置とによって特徴づけられる個々の送信信号の最適な近似を得る。
PWANシステムは、1850〜1990MHZの範囲の中の8MHZの利用可能帯域に均等間隔で配置された合計2560の離散的なトーン(キャリア)を有する。各トーンの間隔は3.125MHZである。トーンのすべての組は、周波数が最も低いトーンから順に0から2559へと連続的に番号が振られている。トーン群は、基地局と複数の遠隔局との間で、トラヒックメッセージとオーバーヘッドメッセージを伝送するために用いられる。トラヒックトーンは、32のトラヒックパーティションに分割され、各トラヒックチャネルは、72トーンのトラヒックパーティションを少なくとも1つ必要とする。また、PWANシステムは、基地局と遠隔局との間での同期の確立と制御情報の通知のためにオーバーヘッドトーンを用いる。コモン・リンク・チャネル(CLC)が、基地局により、制御情報を遠隔ユニットに送信するために用いられる。コモン・アクセス・チャネル(CAC)は、遠隔ユニットから基地局へメッセージを送信するために用いられる。各チャネルに割り当てられたトーン群の1つのグループがある。これらオーバーヘッドチャネルは、遠隔局が制御メッセージを基地局と交換する際に、すべての遠隔局で共用される。
PWANシステムでは、時分割二重(TDD)方式が基地局と遠隔ユニットとの間で用いられ、これにより送信データと制御情報とが双方向に同じマルチトーン周波数チャネルを使って送信される。基地局から遠隔ユニットへの送信は、正方向送信と呼ばれ、遠隔ユニットから基地局への送信は逆方向送信と呼ばれる。遠隔ユニット又は基地局からの頻発する送信同士の間の時間が、TDD周期である。各TDD周期において、各方向に4回の続いた送信バーストが存在する。データは、多重トーンを使って各バーストにて送信される。基地局及び各遠隔ユニットは、TDDタイミングストラクチャに準拠し、同期しなければならず、基地局と遠隔ユニットの双方はフレーミングストラクチャに同期しなければならない。すべての遠隔ユニット及び基地局は同期し、これによりすべての遠隔ユニットは同時に送信を行い、すべての基地局は同時に送信する。遠隔ユニットは、電源投入されたとき、基地局から同期信号を取得し、これにより制御メッセージ及びトラヒックメッセージを、前述のTDDタイムフォーマットに従って交換することができる。遠隔ユニットは、DMT−SS信号のための周波数同期及び位相同期信号を取得し、これにより遠隔ユニットは基地局と同じ周波数、同じ位相で動作する。
各トーンセットから選択されたトーン群は、前記周波数帯域に全体に分散されるパイロット信号となる。パイロットトーンは、正確なチャネル分析を可能にする既知のデータパターンを伝搬する。既知の振幅及び位相を有する一連のパイロットトーンは、既知のレベルを有し、約30kHzの間隔となっており、全送信帯域にわたるチャネル応答(すなわち、通信チャネルの特性によってもたらされた振幅及び位相の歪み)の正確な表現を提供する。
本発明では、新たな方法が無線離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムにおける少ないスペクトル帯域の最も効率的な利用を可能にする。本発明では、遠隔局と基地局との間のリンク制御チャネルを介したシステム管理メッセージの交換を管理することにより、時間厳守のシステム管理メッセージが、時間厳守でないメッセージよりも優先されるようにする。本発明は、遠隔局から基地局へシステム管理メッセージを送る場合と、基地局から遠隔局へシステム管理メッセージを送る場合のどちらにも適用できる。
以下では、遠隔局Xが基地局Zにシステム管理メッセージを送る場合の処理を説明する。遠隔局と基地局とは無線離散マルチトーンスペクトラム拡散通信の一部を構成する。遠隔局は、この例では送信局であるが、図86B2及び図86B4に示される優先メッセージプロセッサ204を有し、このプロセッサが、各システム管理メッセージがリンク制御チャネル(LCC)を介して送信される順序を選択する。選択の順序は、各メッセージの時間的な厳密さの要求度合いによる。時間厳守の度合いの強いメッセージほど、先に送信されるように選ばれる。送信局の優先メッセージプロセッサ204は、図86B4のプログラム400でプログラムされており、例えばコール制御メッセージ、接続メッセージ、コール制御の受信確認メッセージ、及びシグナリングメッセージなどが、システムステータスメッセージやソフトウエアダウンロードよりも、より時間厳守となるようにランク付けを行う。送信局から送信されるバーストのサイズは、固定ビット長、例えば48ビットである。送信対象のメッセージがバーストサイズより長ければ、送信局の優先メッセージプロセッサ204は、図86B4の優先メッセージバッファ420を用い、そのメッセージを複数のセグメントに分割する。本発明に関して、長さ1ビットの優先割込フラグ“P”が、各メッセージセグメントに含まれる。そのフラグは、そのセグメントがあるメッセージの中の最初のセグメントであるかを示す。メッセージの最初のセグメントは、優先割込フラグビットP=1であり、最初に起こる送信バースト時間に送信されることになる。メッセージの最初のセグメント以外の残りのセグメントは、優先割込フラグP=0であり、その後の送信バースト時間に送信されることになる。これにより、送信局と受信局は、異なる時間厳守要求度を持つシステム管理メッセージの通信を協調管理することができる。
一例として、遠隔局Xが、複数のセグメントを持つ第一のメッセージを、リンク制御チャネルを介して基地局に送信している最中であるとする。この第一のメッセージは、例えば時間厳守の要求度の低いステータスメッセージであると、遠隔局の優先メッセージプロセッサ204で評価される。その第一のメッセージの最初のセグメントは、1にセットされた優先割込フラグ“P”を有し、これは最初のセグメントであることを示す。そのメッセージの残りのセグメントの優先割込フラグ“P”は0にセットされており、これは最初のセグメントでないことを示す。0にセットされたフラグを持つセグメントが、優先メッセージプロセッサ204で送信対象としてスケジューリングされた時に、遠隔局Xがローカルの加入者アリスから入力されたオフフック信号などのコール制御メッセージ信号を受けたとする。遠隔局Xの優先メッセージプロセッサ204は、このコール制御メッセージが、現在送信中のステータスメッセージよりも時間厳守であることを判断する。本発明では、遠隔局の優先メッセージプロセッサ204は、第一のメッセージを切り捨てる。優先メッセージプロセッサは、その第二のメッセージをバーストサイズのセグメントに分割し、各セグメントに優先度フィールドを設ける。優先メッセージプロセッサ204は、最初のセグメントの優先割込フラグにP=1の値を割り当て、リンク制御チャネルを介して基地局Zへそのセグメントを送信するように指示する。優先メッセージプロセッサ204は、第二のメッセージの残りのセグメントの優先割込フラグにはP=0の値を割り当て、あとのバーストでリンク制御チャネルを介して送信するために、優先メッセージバッファ420に貯める。その後、遠隔局Xは、複数の離散的なトラヒック周波数に拡散されたデータ部を有するデータトラヒック信号を含む第一の離散マルチトーンスペクトラム拡散信号を含むバーストを送信する。遠隔局Xは、そのバーストで、第二の離散マルチトーンスペクトラム拡散信号も送信する。この第二の拡散信号には、コール制御メッセージの最初のメッセージセグメントを含むメッセージセグメント信号及び優先割込フラグ部“P”が、複数の離散的なリンク制御チャネル周波数に拡散されている。
本発明では、図86B3の基地局Zは、第一の拡散信号と第二の拡散信号を含んだバーストを受信する。基地局は、受信した第一の拡散信号を、スペクトル・空間逆拡散プロセッサ312で、逆拡散重みを用いて適応的に逆拡散し、データ部を再生する。基地局Zは、受信した第二の拡散信号を逆拡散重みを用いて適応的に逆拡散し、メッセージセグメント部と優先割込フラグ部を再生する。基地局は、図86B3及び図86B6に示される優先メッセージプロセッサ320を有し、これがリンク制御チャネルからコール制御メッセージの最初のメッセージセグメントを受信する。次に基地局の優先メッセージプロセッサ320は、もし優先割込フラグ“P”が第一の値1であれば、基地局のメッセージセグメントバッファ322をリセットし、そのバッファにコール制御信号の最初のメッセージセグメントを格納する。優先割込フラグの第一の値1は、時間厳守のメッセージセグメントに対応する。この処理は、基地局Zにて、より時間厳守の要求度の高いコール制御メッセージを、第一のメッセージすなわちステータスメッセージと置き換える。
そのコール制御メッセージの残りのセグメントがリンク制御チャネルを介して基地局の優先メッセージプロセッサ320に受信されると、基地局の優先メッセージプロセッサ320は、それら残りのセグメントを、メッセージセグメントバッファ322にある前述の最初に受信したメッセージに結合する。これは、それら残りのセグメントの優先割込フラグ“P”が第二の値0であるからである。優先割込フラグの第二の値0は、複数のセグメントを持つメッセージのうち、最初のセグメントでないメッセージセグメントに対応する。
本発明の別の実施例では、図86B6に示す基地局の優先メッセージプロセッサ320が、自己のメッセージ処理能力を、送信中の低優先度のメッセージから、リンク制御チャネルで受信したより時間厳守のメッセージへと割り当て直す。本発明に関して、基地局は、今拡散信号を送信しており、この拡散信号は、複数の離散的なトラヒック周波数に拡散された出力データトラヒック信号と、複数のリンク制御周波数に拡散された出力メッセージセグメント信号とを含んでいるとする。これは、遠隔局Xとの時分割二重セッションの送信期間の間に起こる。基地局からの出力メッセージセグメント信号は、遠隔局へのソフトウエアダウンロードのような、低優先度メッセージの一部である。時分割二重セッションの次の受信期間の間に、基地局Zは拡散信号を受信する。この拡散信号には、複数の離散的なトラヒック周波数に拡散された入力データトラヒック信号と、複数の離散的なリンク制御周波数に拡散された入力メッセージセグメント信号が含まれる。基地局は、基地局で受信した信号を、図86B3のスペクトル・空間逆拡散プロセッサ312で、逆拡散重みを用いて逆拡散する。その後、図86B6の基地局の優先メッセージプロセッサ320は、そのメッセージセグメント信号における優先割込フラグ“P”の値を検出する。
本発明の別の実施例では、基地局の優先メッセージプロセッサ320は、第二の出力メッセージセグメント信号の次に予定された送信を中止することにより、当該基地局のメッセージ処理能力を再割り当てする。この処理が必要とされる例は、遠隔局Xが基地局に対し、基地局の素早い応答メッセージの返信を要求するコール制御メッセージを送った時である。優先メッセージプロセッサ320は、コール制御メッセージの最初のセダメントにて、優先割込フラグP=1を検出し、これに応じて、基地局内のメッセージセグメントバッファ322をリセットする。優先メッセージプロセッサ320は、受信メッセージセグメント信号をメッセージセグメントバッファ322に格納する。図86B6の優先メッセージプロセッサ320は、遠隔局から受信したコール制御メッセージが素早い返信を要求していることを検知する。これに応じ、基地局の優先メッセージプロセッサ320は、遠隔局に送信していた優先度の低い前記出力メッセージの最後のセグメント番号を格納する。その後、基地局は、返信メッセージをその遠隔局に送信可能となる。この手法によれば、リクエストメッセージに応じて、返信メッセージを素早く送ることができる。基地局により返信メッセージが送信された後、優先度の低い出力メッセージの送信された最後のセグメントの番号が、優先メッセージプロセッサ320により取り出され、その低優先度出力メッセージの次のセグメント番号から、基地局による送信が再開される。また、基地局は、優先割込フラグが第二の値0の場合は、受信メッセージセグメント信号を既に受信したメッセージセグメントと結合する。優先割込フラグの第二の値0は、複数のセグメントからなるメッセージのうちの、最初のセグメントでないメッセージセグメントに対応する。この方法で、本発明は、遠隔局と基地局との間のリンク制御チャネルを介したシステム管理メッセージの交換を管理し、時間厳守のシステム管理メッセージが、時間厳守でないメッセージよりも優先されるようにする。
図86B2では、アリスとボブが各々遠隔局Xでデータを入力している。送信側のトラヒックデータは、ベクトルフォーメーションバッファ202に送られ、送信側のシステム管理情報は優先メッセージプロセッサ204に送られる。これらは図86B4に詳細に示される。データベクトルは、バッファ202からトレリスエンコーダ206に出力される。そのデータベクトルは、送信バースト当たり48ビットのデータメッセージセグメントの形をとる。優先メッセージプロセッサ04からトレリスエンコーダ206に出力されるLCCベクトルは、送信バースト当たり48ビットの優先メッセージセグメントの形であり、これは47ビットのメッセージセグメントに1ビットの優先割込フラグを加えて形成される。トレリス符号化されたデータベクトルとLCCベクトルは、それから、スペクトル拡散プロセッサ208に出力される。その結果得られるデータトーンとLCCトーンは、それから、プロセッサ208から送信機210に送られ、基地局へ送信される。
図86B5のフロー図700の最初の4ステップは、遠隔局Xが送信側であるときのステップを示している。これらステップにおける遠隔局から基地局への送信の方法は、最初にステップ710で遠隔局が図86B4の優先メッセージプロセッサ204で優先メッセージセグメントを生成し、リンク制御チャネルにベクトルとして入力する。次にステップ720で、遠隔局がリンク制御チャネルベクトル及びデータブロックベクトルに対してトレリス符号化を実行する。次にステップ730で、遠隔局が、トレリス符号化されたリンク制御チャネルベクトルとデータブロックベクトルに対してスペクトル拡散を実行する。次にステップ740で、遠隔局は、リンク制御チャネルトーン及びデータブロックトーンを基地局へ送信する。
参照するAlamouti, Stolarzらの前述の特許出願に記載されたパーソナル・ワイヤレス・アクセス・ネットワーク(PWAN)システムは、1つのトラヒックパーティションが1つのトラヒックチャネルで使用される大容量モードについて、より詳しい説明を提供する。基地局は、そのセル内の複数の遠隔ユニットに対して情報を送信する。伝送フォーマットは、64キロビット/秒のトラヒックチャネルに対するものであり、基地局と遠隔ユニットとの間の4kbpsリンク制御チャネル(LCC)を備える。バイナリソースは、データを送信側の送信機に64キロビット/秒で渡す。これが、1送信バースト当たり48ビットに変換される。情報ビットは三重データ暗号化標準(DES)アルゴリズムに従って暗号化される。それから、暗号化されたビットはデータ乱数化ブロックで乱数化される。ビット−オクタル変換ブロックが、その乱数化されたバイナリのシーケンスを3ビットシンボルのシーケンスに変換する。そのシンボルは、16シンボルのベクトルに変換される。ベクトルという用語は、一般に複素数である列ベクトルのことを指す。LCCからの1つのシンボルが加えられ、17シンボルのベクトルを形成する。
17シンボルのベクトルは、トレリス符号化される。トレリス符号化は、最上位シンボル(ベクトルの最初の成分)から始まり、ベクトルの最後の成分(LCCシンボル)まで順に続けられる。このプロセスは、入力シンボル(0から7までの整数)を他のシンボル(0から15まで)に変換する畳み込み符号化を用い、符号化したシンボルを対応する16QAM(又は16PSK)の信号点に写像する。トレリスエンコーダの出力は、したがって17成分のベクトルであり、その各成分は16QAM(又は16PSK)信号点の信号セット内の信号である。(信号という用語は、信号点を意味する。)
リンク保守パイロット信号(LMP)が加えられ、18信号のベクトルが形成される。LMPはベクトルの最初の成分となる。結果として得られる(18×1)ベクトルには、(18×18)の正方向スミア行列が前から乗算され、(18×1)のベクトルbが生成される。
ベクトルbには、成分ごとに(18×1)のゲイン・プリエンファシス・ベクトルが乗算され、他の(18×1)のベクトルcが生成される。ここで、pはトラヒックチャネルのインデクスを示し、整数である。ベクトルCには、(1×32)の正方向の空間・スペクトル拡散ベクトルが後ろから乗算され、(18×32)行列R(p)が生成される。32という数は、スペクトル拡散ファクタ4と空間拡散ファクタ8の乗算の結果である。(同じトラヒックパーティションで伝搬される)すべてのトラヒックチャネルに対応する18×32の行列は、それから結合(加算)され、結果として18×32の行列Sが生成される。
行列Sは、(4列のグループにより)8個の(18×4)部分行列(A0〜A7)に区分される。(0〜7のインデクスは、これらシンボルが最終的に送信されるアンテナ要素に対応している。)各部分行列は、1つのトラヒックパーティション内のトーン群に写像される。
より下位の物理層は、ベースバンド信号を離散フーリェ変換(DFT)周波数ビンに置き、ここでデータは時間領域に変換され、対応するアンテナ要素(0〜7)に送られて空中へ送信される。
このプロセスは、最初から繰り返され、バイナリデータの次の48ビットが次の正方向送信バーストで送信される。
図86B3は、受信側としての基地局Zの構成図である。データトーンとLCCトーンは、基地局のアンテナA,B,C及びDで受信される。受信機310はそのデータトーン及びLCCトーンをスペクトル・空間逆拡散プロセッサ312に渡す。逆拡散された信号は、プロセッサ312からトレリスデコーダ314へと出力される。データベクトルは、それから、ベクトル分解(ディスアセンブリ)バッファ316へ出力される。LCCベクトルは、優先メッセージプロセッサ320へ出力される。プロセッサ320は、図86B6に更に詳細に示される。アリスのデータとボブのデータはバッファ316から公衆回線網(PSTN)へ出力される。優先メッセージセグメントは、優先メッセージプロセッサ320から優先メッセージバッファ322へ渡される。そこで、それらセグメントが結合されて1つの完全なメッセージ325となり、ライン330に出力される。
図86B5のフロー図700の後の5ステップは、受信側としての基地局Zを示している。ステップ750で、基地局は、リンク制御チャネルトーン及びデータトーンのスペクトル・空間逆拡散を実行する。次にステップ760で、基地局は、逆拡散したリンク制御チャネルトーン及びデータブロックトーンをトレリス復号化する。次にステップ770で、基地局の優先メッセージプロセッサ320は、優先割込フラグP=1であるかを判定する。もしそうならば、優先メッセージプロセッサ320は、優先メッセージバッファ322をリセットし、新たに受信されたメッセージセグメントをバッファ322にロードする。一方、ステップ780で、基地局の優先メッセージプロセッサ320が、優先割込フラグP=0と判定すると、そのプロセッサは、新たに受信されたメッセージセグメントを、バッファ322内の同じメッセージの既受信のメッセージセグメントに結合する。それから、ステップ790で、優先メッセージバッファ322は、それら複数のメッセージセグメントを組み合わせて完全なメッセージとし、それをライン330に出力する。完全なメッセージは、基地局内で処理される場合もあれば、受信データとともに公衆回線網に転送される場合もある。
この手法により、本発明は、遠隔局と基地局との間のリンク制御チャネルを介したシステム制御メッセージの交換を管理し、時間厳守のシステム管理メッセージが時間厳守でないシステム管理メッセージよりも優先されるようにする。
本発明の好適な実施の形態を示したが、当業者ならば、本発明の精神又は本質から逸脱することなく、自明な変形が可能であることを理解されよう。したがって、以上の説明は例示的なものであり、限定的なものであると解されるべきではなく、本発明の範囲は以下の請求の範囲から定められるべきである。
(付録)
離散マルチトーンスペクトル拡散通信システムにおける動作クオリティとメンテナンスデータのための遠隔局のポーリング方法
2455/4348
関連出願に対するクロスリファレンス
ここで開示されている発明は、Siavash Alamoutiと、Doug Stolarzと、Joel Beckerにより本発明と同臼に出願され、AT&Tワイヤレスサービスに譲渡された「離散マルチトーンスペクトル拡散通信システムにおける垂直アダプティブアンテナアレイ」という名称の番号 の米国特許出願に対応し、この参照としてここに挿入する。
発明の背景
発明の分野
この発明は、無線離散マルチトーンスペクトル拡散通信システムと方法の改良に関する。
関連技術の説明
無線通信システム例えばセルラやパーソナル通信システムは、限られたスペクトル帯域で動作する。これらは多数の利用者に対して良好なサービスを提供するために、この限られた帯域資源を高い効率で利用しなければならない。この限られた帯域を効率よく利用するために、符号分割多重化(CDMA)プロトコルが無線通信システムで用いられている。このプロトコルでは、各利用者のデータ信号を他の利用者のデータ信号から区別するために一意的な符号を用いている。任意の特定情報とともに送信される一意的符号が分かると、通信チャネルの受信端末で各利用者のメッセージの分離及び再構築が可能になる。
広い領域をカバーし、高い許容量を実現し、質の高いサービスを提供するための技術として、適応的にビームを形成する技術がサービス業者から期待されている。この技術によれば、無線通信システムはカバー領域の容量やシステムの容量、そしてパフォーマンスを飛躍的に増大させることができる。パーソナル無線アクセスネットワーク(PWAN)システムについては、参照としたAlamouti,Stolarz他による特許出願で説明されていて、これでは適応的ビーム形成と離散マルチトーンスペクトル拡散(DMT−SS)として知られるCDMAプロトコルとが、複数の遠隔局と基地局との間での通信を効率的にするために組み合われている。優先度の高いトラヒックチャネルが優先度の低いシステム管理情報の伝送のために普通に使われないようにあらゆる努力が払われなければならない。システム管理情報の一例は遠隔局の動作クオリティとメンテナンスデータである。動作クオリティデータは、例えば、遠隔局において基地局から受信された信号についての、信号対妨害及び雑音信号比(SINR)の履歴や既定の測定時間内でのパス喪失の履歴を含む。メンテナンスデータは、例えば遠隔局でのセルフテストの結果やバッテリの状況を含む。このような情報はシステムの故障に備えたり、高度なサービスをネットワーク利用者に提供するために用いられるのである。しかしながら、このような情報は、呼制御メッセージのように、より時間厳守の情報が伝達されるべきときにまで、伝達されるべきでない。必要なことは、より時間厳守なメッセージの伝送に悪影響を与えずに、動作クオリティとメンテナンスデータとを遠隔局から基地局に対し伝送する方法である。
発明の要約
本発明は、無線離散マルチトーンスペクトル通信システムにおいて限られたスペクトル帯域を最も効率的に利用する新しい方法を提供する。ネットワーク上の各遠隔局は各自、動作クオリティとメンテナンスデータとを集積している。当該遠隔局の基地局とのデータトラヒックセッションがあるときに、遠隔局は信号対妨害及び雑音信号比(SINR)を基地局から離散マルチトーンスペクトル拡散信号を受信する際に副次的に算出している。遠隔局はこのSINRデータをSINR履歴バッファに蓄積して格納している。遠隔局はまた、基地局からの信号受信のパス喪失を算出し、その値をパス喪失履歴バッファに蓄積して格納している。遠隔局はセルフテストプログラムを定期的に実行し、その結果をセルフテスト結果バッファに格納する。さらに、遠隔局はバックアップバッテリの状況をモニタし、その状況をバッテリ状況バッファに格納する。その他の動作クオリティやメンテナンスデータも遠隔局によりモニタされ、格納される。
この発明では、基地局は定期的に離散マルチトーンスペクトル拡散信号を共通リンクチャネルを介して各遠隔局に送信しており、各遠隔局をポーリングしている。この共通リンクチャネル(CLC)は、遠隔局に対して基地局から制御情報を送信するのに用いられている。このポーリング信号に対する応答において、各々の遠隔局はポーリング応答プロセッサを起動してポーリングに応答する。このポーリング応答プロセッサは、セルフテストバッファ、バッテリ状況バッファ、STNR履歴バッファ、そしてパス喪失バッファとにアクセスして動作クオリティとメンテナンスデータとを集積する。動作クオリティとメンテナンスデータメッセージは従って、共通アクセスチャネルを介して基地局に対して送信し返されることになる。
この発明では、遠隔局は動作クオリティとメンテナンスデータとをネットワークの共通アクセスチャネルを介して伝送すべく用意している。遠隔局は動作クオリティとメンテナンスデータとを複数の離散トーン周波数で拡散するための離散マルチトーンスペクトル拡散(DMT−SS)プロトコルで拡散される共通アクセスチャネルベクトルを生成し、共通アクセスチャネルの拡散信号を形成する。共通アクセスチャネル(CAC)は、遠隔局から基地局に対してメッセージを伝送するのに用いられる。トーンのグループが1つ、各チャネルに割り当てられる。これらのオーバーヘッドチャネルは制御メッセージを基地局と交換するときに、すべての遠隔ユニットに共通に用いられる。
基地局が動作クオリティとメンテナンスメッセージとを共通アクセスチャネルトーンを介してポーリングされた遠隔局から受信すると、信号のスペクトル及び空間的な逆拡散を行い、信号をトレリス復号化して動作クオリティ及びメンテナンスデータに関連する共通アクセスチャネルベクトルを取得する。動作クオリティとメンテナンスメッセージ情報は従って、各対応する遠隔局ごとに設けられた動作クオリティ及びメンテナンス・アーカイブ・バッファに格納される。
基地局の動作クオリティプロセッサは、動作クオリティ及びメンテナンスデータを処理し、遠隔プロセッサと基地局との間の任意のチャネルの規格外動作を示すものを検知する。ここで例えば低SINR等の規格外動作を検出すると、動作クオリティプロセッサは、そのチャネルについての拡散及び逆拡散の重みを更新して、トラヒックチャネルの動作クオリティを改善する。
基地局のメンテナンスプロセッサは、動作クオリティとメンテナンスデータとを処理して遠隔プロセッサにおいて正常でないコンポーネントを示すものを検出する。ここで、例えば低バッテリ容量等の正常でないコンポーネントを検出すると、メンテナンスプロセッサは、システム管理者に対してメンテナンスの注意を出力する。
動作クオリティとメンテナンスデータは他のリアルタイム制御で使われるアラームを始動してもよい。又は動作クオリティとメンテナンスデータはトラヒックチャネルのクオリティや遠隔局が正常動作しているかどうかの長期間レポートの集積のために記録されても構わない。
この場合には、より時間厳守なメッセージの伝送に悪影響を与えることなく、動作クオリティとメンテナンスデータとを遠隔局から基地局に対して伝送できる。
現在、本発明は利用者数や利用者のニーズに比べ帯域が狭い、例えばセルラ通信やパーソナル通信のような無線通信の分野で先進的なものである。
図面の簡単な説明
図面において
図86C1Aは、共通リンクチャネルを介して速隔局をポーリングする基地局を示したPWANシステムの構成ブロック図である。
図86C1Bは、動作クオリティとメンテナンスメッセージとを基地局に対して共通アクセスチャネルを介して送信する遠隔局を示したPWANシステムの構成ブロック図である。
図86C2は、動作クオリティとメンテナンスデータの送信機としての遠隔局Xの構成ブロック図である。
図86C3は、動作クオリティとメンテナンスデータの受信機としての基地局Zの構成ブロック図である。
図86C4は、本発明の一連の動作ステップを表すフローチャート図である。
好適な実施の形態の説明
図86C1Aは、共通リンクチャネルを介して遠隔局をポーリングする基地局を示したPWANシステムの構成ブロック図である。図86C1Bは、動作クオリティとメンテナンスメッセージとを基地局に対して共通アクセスチャネルを介して送信する遠隔局を示したPWANシステムの構成ブロック図である。パーソナル無線アクセスネットワーク(PWAN)システムは、参照としているAlamouti,Stolarz他の特許出願に説明されている。2人の利用者、アリスとボブは遠隔局Xにいて、それぞれのデータメッセージを基地局Zに送信したい。局Xは、基地局ZのアンテナエレメントA,B,C,Dから等距離にあるとする。2人の利用者、チャックとデイブは遠隔局Yにいて、同様にそれぞれのデータメッセージを基地局Zに送信したい。局Yは、地理的に局Xから離れたところにあって、基地局ZのアンテナエレメントA,B,C,Dからも等距離にない。複数の遠隔局ユニットと基地局との間の効率の高い通信を提供するために遠隔局X及びYと基地局Zは離散マルチトーンスペクトル拡散(DMT−SS)として知られるCDMAプロトコルの形態を用いる。このプロトコルは図C1にマルチトーンCDMAとして図示されている。このプロトコルでは、利用者のデータ信号は重みづけされた離散周波数又はトーンのセットで変調される。重みは、周波数のレンジをカバーする多くの離散トーンにデータ信号を拡散する拡散重みである。この重みはトーンの振幅を変調する働きをする実部と、同じトーンの位相を変調する働きをする虚部とからなる複素数である。重み付けされたトーンのセットの各トーンは、同じデータ信号を伝える。送信局にいる複数の利用者はデータを送信するための同じトーンのセットを使ってもよい。利用者の拡散重みに関連する逆拡散重みで処理し、利用者のデータ信号を再生する受信局に対して、特定の利用者の重み付けされたトーンのセットが送信される。受信機における空間的に隔離配置されたアンテナの各々により、受信されたマルチトーン信号が時間領域の信号から周波数領域の信号に変換される。逆拡散重みは、各アンテナエレメントで受信された各周波数コンポーネントに対応している。逆拡散重みの値は受信された信号を結合して、特定のマルチトーン及び送信場所によって特徴づけられる、送信された個々の信号の最適化して近似する。
PWANシステムは1850から1990MHzのレンジの利用可能帯域に、等しく間隔づけられた8MHzの全部で2560個の離散トーン(キャリア)を持つ。各トーンの間隔は、3.125kHzである。全部のトーンのセットは、最低周波数のトーンから始めて0から2559番まで順番に番号付けされている。トーンはトラヒックメッセージや、複数の遠隔ユニットと基地局との間でのオーバーヘッドメッセージを搬送するのに用いられる。トラヒックトーンは32のトラヒック部分に分割され、各トラヒックチャネルには少なくとも72トーンからなる1つのトラヒックパーティションが要求されている。
さらに、PWANシステムは、同期を確立し基地局と遠隔局との間での制御情報を授受するためにオーバーヘッドトーンを用いている。共通リンクチャネル(CLC)は、基地局により遠隔ユニットに対する伝送制御情報の伝送のために用いられている。共通アクセスチャネル(CAC)は、遠隔ユニットから基地局へのメッセージの伝送に使われる。各チャネルには1つのトーンのグループが割り当てられている。これらのオーバーヘッドチャネルは、制御メッセージを基地局との間で交換するときにはすべての遠隔ユニットにより共通して使われる。
PWANシステムでは、時分割二重(TDD)が基地局と遠隔ユニットとの間でデータと制御情報とを同一のマルチトーン周波数チャネルで双方向に送受するのに用いられている。基地局から遠隔ユニットへの伝送はフォワード伝送と呼ばれ、遠隔ユニットから基地局への伝送はリバース伝送と呼ばれている。遠隔ユニット又は基地局からの再帰的な伝送の時間間隔はTDD周期である。すべてのTDD周期で4つの連続した伝送バーストが各方向に存在する。データはマルチプルトーンを用いて各バーストで伝送される。基地局と各遠隔ユニットとはTDDタイミング構造に同期し、かつ従わなければならず、基地局と遠隔ユニットの両方がフレーム構造に同期しなければならない。すべての遠隔ユニットと基地局は同期しなければならず、従ってすべての遠隔ユニットは同時に伝送し、そのためすべての基地局は同時に伝送を行う。ある遠隔局に最初に電源が投入されると、上記のTDDタイムフォーマットに従って制御とトラヒックメッセージとを交換するために基地局から同期を捕捉する必要がある。この遠隔ユニットはまた、遠隔局が基地局と同じ周波数かつ同じ位相で動作するために、DMT−SS信号の周波数と位相の同期も捕捉する必要がある。
各トーンのセットのうち、選択されたトーンがパイロットとして周波数帯域に亘って拡散される。パイロットトーンにより、既知のデータパターンが搬送され、これにより適切なチャネルの確立が可能になっている。既知の振幅及び位相を持った一連のパイロットトーンが既知のレベルを持ち、かつ約30kHzだけ離れて配置され、伝送帯域全体で正確なチャネル応答(例えば通信チャネルの特性によって導入される振幅と位相の歪み)を示す。
本発明では、限られたスペクトル帯域を最も効率的に利用する無線離散マルチトーンスペクトル拡散通信システムを実現する新しい方法を提供する。ネットワークの各遠隔局は各自の動作タオリティとメンテナンスデータを集めている。遠隔局が基地局との間で行う各データトラヒックセッションの合間に、図86C2の遠隔局Xが信号対妨害及び雑音比(SINR)を基地局Zから受信された離散マルチトーンスペクトル拡散信号により副次的に演算する。遠隔局はSINRデータをSINR履歴バッファ224に蓄積して格納する。遠隔局は、また基地局から受信した信号のパス喪失を算出し、その値をパス喪失履歴バッファ226に蓄積して格納する。遠隔局は、定期的にセルフテストプログラムを実行してその結果をセルフテスト結果バッファ220に格納する。そして、遠隔局はバックアップバッテリの状況を監視してバッテリ状況バッファ222に格納する。その他の動作クオリティとメンテナンスデータとを遠隔局によりさらに監視してバッファに格納してもよい。
本発明では、基地局Zは定期的に離散マルチトーンスペクトル拡散(DMT−SS)信号を共通リンクチャネルを介して各遠隔局に伝送し、図86C1Aに示すように各遠隔局をポーリングする。共通リンクチャネル(CLC)は、基地局により伝送制御情報を遠隔局に伝送するのに用いられる。同時に、公衆電話回線網(PSTN)からのデータトラヒックも基地局Zに到来し、データトラヒックDMT−SSトーンに変換されて遠隔局に伝送される。入力部230で遠隔局Xが受信した基地局からのポーリング信号への応答において、図86C2の各遠隔局はポーリング応答プロセッサ228を起動してポーリングに応答する。ポーリング応答プロセッサ228はセルフテストバッファ220、バッテリ状況バッファ222、SINR履歴バッファ224及びパス喪失バッファ226にアクセスして動作クオリティとメンテナンスデータメッセージとを集積する。メッセージは共通アクセスチャネルベクトルとして形成され、トレリス符号化器206とスペクトル拡散プロセッサ208に入力され、共通アクセスチャネルトーンを生成する。動作クオリティとメンテナンスデータメッセージとを含む共通アクセスチャネルトーンは送信機210によりDMT−SS信号として基地局Zに対して共通アクセスチャネル上で伝送される。
本発明では、遠隔局Xは動作クオリティとメンテナンスメッセージとをネットワークの共通アクセスチャネルを介して伝送するために準備する。遠隔局は離散マルチトーンスペクトル拡散(DMT−SS)プロトコルを用いて拡散される共通アクセスチャネルベクトルを形成して、動作クオリティとメンテナンスデータメッセージとを複数の離散トーン周波数に亘って拡散し、共通アクセスチャネルの拡散信号を形成する。共通アクセスチャネル(CAC)は遠隔局から基地局へのメッセージの伝送に用いられる。各チャネルについてトーンのグループの1つが割り当てられている。これらのオーバーヘッドチャネルは制御メッセージを基地局と交換する際にすべての遠隔ユニットによって共通に用いられる。
図86C3の基地局Zが動作クオリティとメンテナンスメッセージをポーリングされた遠隔局Xから共通アクセスチャネルトーンで受信したとき、基地局は信号のスペクトル及び空間的な逆拡散をスペクトル及び空間的逆拡散プロセッサ312で行い、信号のトレリス復号化をトレリス復号器314で行って、動作クオリティとメンテナンスデータに関連した共通アクセスチャネルベクトルを取得する。動作クオリティとメンテナンスデータは、そして、遠隔局ごとに設けられた動作クオリティ及びメンテナンスデータ・アーカイブ・バッファ320に格納される。
基地局の動作クオリティプロセッサ332は、動作クオリティ及びメンテナンスデータを処理し、遠隔プロセッサと基地局との間の任意のチャネルの規格外動作を示すものを検知する。ここで例えば低SINR等の規格外動作を検出すると、動作クオリティプロセッサ322は、バッファ340内の、そのチャネルについての拡散及び逆拡散の重みを更新して、トラヒックチャネルの動作クオリティを改善する。
基地局のメンテナンスプロセッサ330は、動作クオリティとメンテナンスデータとを処理して遠隔プロセッサにおいて正常でないコンポーネントを示すものを検出する。ここで、例えば低バッテリ容量等の正常でないコンポーネントを検出すると、メンテナンスプロセッサ330は、システム管理者に対してメンテナンスの注意データ350を出力する。
動作クオリティとメンテナンスデータは他のリアルタイム制御で使われるアラームを始動してもよい。又は動作クオリティとメンテナンスデータはトラヒックチャネルのクオリティや遠隔局が正常動作しているかどうかの長期間レポートの集積のために記録されても構わない。
この場合には、より時間厳守なメッセージの伝送に悪影響を与えることなく、動作クオリティとメンテナンスデータとを遠隔局から基地局に対して伝送できる。
参照としたAlamouti, Stolarz他による特許出願に記載されている、パーソナル無線アクセスネットワーク(PWAN)システムは、1つのトラヒックパーティションが1つのトラヒックチャネルで用いられる、より詳しい高容量モードについての説明がある。基地局はそのセル内の複数の遠隔ユニットに対して情報を伝送する。伝送のフォーマットは基地局と遠隔局との間の4kbpsのリンク制御チャネル(LCC)とともに64kbit/secのトラヒックチャネル向けである。バイナリソースは、送信者となる送信機に対してデータを64kbits/secで伝送している。この送信機は一度の伝送バーストで48ビットを伝送する。情報ビットは、トリプルデータ標準暗号化(DES)アルゴリズムによって暗号化される。暗号化されたビットはデータ乱数化ブロックで乱数化される。1ビット8進変換ブロックは、乱数化された一連のバイナリを3ビットのシンボルの列に変換する。このシンボル列は16のシンボルベクトルに変換される。ベクトルという言葉は一般に複素数の列ベクトルを指す。LCCからのシンボルの一つが加算されて17シンボルからなるベクトルが形成される。
この17シンボルのベクトルはトレリス符号化される。トレリス符号化は、最上位シンボル(ベクトルの最初の要素)から始めて、ベクトルの最下位要素(LCCシンボル)まで続けて行われる。このプロセスは、入力されたシンボル(0から7までの整数)を他のシンボル(0から15)に変換し、符号化シンボルを対応する16QAM(又は16PSK)の信号点に写す、たたみ込み符号化を用いて行われる。トレリス符号化器の出力は従って、17要素からなるベクトルであり、各要素は、16QAM(又は16PSK)の信号のセットに含まれる。(信号という用語は信号点をも一般に指している。)
リンクメンテナンスパイロット信号(LMP)がベクトルの最初の要素として加えられて、18信号ベクトルをなす。この結果としての(18×1)ベクトルは(18×18)の前方スミアリング行列が予め乗算されて(18×1)のベクトルが得られる。
ベクトルbは、要素ごとに(18×1)のゲイン・プリエンファシス・ベクトルを乗算されてもう一つのベクトルcとなり、ここでpはトラヒックチャネルインデックスであり、かつ整数であるとする。ベクトルcは、後から(1×32)の前方空間及びスペクトル拡散ベクトルを乗算されて(18×32)の行列R(p)となる。数値32は、スペクトル拡散の要素4と、空間拡散の要素8との乗算から得られたものである。この18×32の行列はすべてのトラヒックの搬送チャネル(同一のトラヒックパーティション上の)に対応し、結合(加算)されて結果としての18×32行列Sを生成する。
行列Sは、(4列のグループごと)に8個の(18×4)の部分行列(A0からA7)(添字0から7は、シンボルが最終的に伝送されるアンテナエレメントに対応する)に分けられる。各部分行列は、1トラヒックパーティション内のトーンに写される。
下位の物理層は、ベースバンド信号を離散フーリェ変換(DFT)周波数のビンに変換し、データは時間領域に変換されて対応するアンテナ要素(0から7)
に送られ、無線で伝送される。
この処理は、続く先の伝送バーストで伝送される、次の48ビットのバイナリデータまで最初から繰り返して行われる。
図86C4は、本発明の一連の動作ステップを表すフローチャート700である。
ステップ710では、遠隔局は基地局とのセッションでのSINR及びパス喪失を含む、動作クオリティデータを監視してバッファする。ステップ720では、遠隔局はセルフテスト結果とバッテリ状況を含むメンテナンスデータを監視してバッファする。ステップ730では、基地局がポーリング信号を共通リンクチャネルトーンで遠隔局に伝送する。ステップ740では、遠隔局がバッファ内の動作クオリティデータとメンテナンスデータをアクセスしメッセージベクトルに集積し、共通アクセスチャネルトーンで基地局に伝送する。遠隔局は同時にデータトラヒックチャネルトーンを基地局に伝送している。ステップ750で基地局は共通アクセスチャネルトーンとデータトラヒックトーンのスペクトル及び空間的な逆拡散を行う。ステップ760で基地局はトレリス復号化を行って動作クオリティとメンテナンスメッセージに関連している共通アクセスチャネルベクトルを再生する。ステップ770で基地局は動作クオリティとメンテナンスメッセージをアーカイブする。ステップ780で基地局は動作クオリティを調査して、逆拡散及び拡散重みを更新し、遠隔局との間で確立されている、そのチャネルのクオリティを最大にする。ステップ790で基地局はメンテナンスデータを調査して、当該速隔局の修理又は動作不良コンポーネントの置き換えのためのメンテナンスの注意を出力する。この方法では、より時間厳守のメッセージの伝送に悪影響を与えることなく、動作クオリティとメンテナンスデータとを遠隔局から基地局へ伝送することができる。
好適な実施の形態が上記のように詳細に記載されているからといって、当該技術について通常の能力を有する者が、発明の骨子や要旨を変えることなく自明の変更を加えることができるのはいうまでもない。従って、上記の説明は例示であって限定的に捉えるべきではなく、発明の範囲は後述するクレームによって決定されるべきである。
(付録)
離散マルチトーンスペクトラム拡散通信方式に用いる電力管理法
2455/4382
関連出願についての説明
本出願に開示の発明は、AT&Tワイヤレスサービス社(AT&T Wireless Services,Inc.)から同日即時特許出願として出願されたシアバシュ(Siavash)、アラモウティ(Alamouti)、ダグ ストラーツ(Doug Stolarz)、およびジョエル ベッカー(Joel Becker)の名称「離散マルチトーンスペクトラム拡散通信方式に用いる垂直式適応アンテナアレイ(VERTICAL ADAPTIVE ANNTENA ARRAY FOR A DISCRETE MULTITONE SPREAD SPECTRUM COMMUNICATION SYSTEM)」の同時係属米国特許出願第 号に関し、この特許を参考文献として引用する。
本出願に開示の発明は、AT&Tワイヤレスサービス社(AT&T Wireless Services,Inc.)から同日即時特許出願として出願されたエリオット フール(Elliott Hoole)の名称「送/受信補正(TRANSMIT/RECEIVE COMPENSATION)」の同時係属米国特許出願第 号に関し、この特許を参考文献として引用する。
本出願に開示の発明は、AT&Tワイヤレスサービス社(AT&T Wireless Services,Inc.)から同日即時特許出願として出願されたクルゴリー ヴェンチミラ(Gregory Veintimilla)の名称「離散マルチトーンスペクトラム拡散通信方式において遠隔局と基地局との同期ロックを示す方法(METHOD TO INDICATE SYNCHRONIZATION LOCK OF A REMOTE STATION WITH A BASE STATION IN A DISCRETE MULTITONE SPREAD SPECTRUM COMMUNICATION SYSTEM)」の同時係属米国特許出願第 号に関し、この特許を参考文献として引用する。
発明の背景
発明の分野
本発明は、ワイヤレス離散マルチトーンスペクトラム拡散通信方式における通信方式および方法の改良に関する。
関連技術の説明
ワイヤレス通信方式、例えば、セルラおよびパーソナル通信方式は、限られたスペクトル帯域幅を用いて運用される。大入口のユーザに良好なサービスを提供するには、乏しい帯域幅資源を極めて効率的に用いなければならない。コード分割多元接続(CDMA)プロトコルは、限られた帯域幅を効率的に用いるためにワイヤレス通信方式で用いられてきている。このプロトコルは、ユニークなコードを用いて、各ユーザのデータ信号を他のユーザの信号データから区別する。特定の情報の伝送に付加されたユニークなコードを知ることによって、通信チャンネルの受信端で各ユーザのメッセージを分離し、再構成することが可能となる。
参考文献の一つであるアラモウティ、ストラーツらの特許出願明細書に記載のパーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)方式では、離散マルチトーンスペクトラム拡散(DMT−SS)として知られるCDMAプロトコルの一形式が用いられ、基地局と複数の遠隔局との間で効率的な通信が行われる。このプロトコルでは、ユーザの信号は、重み付けされた離散周波数つまりトーンのセットで変調される。重み(ウェイト;weight)は、広域周波数をカバーする多数の離散トーン上にデータ信号を分散するスプレッド(拡散;spread)コードである。ウェイトは、複素数であり、実数成分はトーンの振幅を変調する作用の成分であり、虚数成分は同じトーンの位相を変調する作用の成分である。重み付けされたトーンセット中の各トーンは同じデータ信号を備える。伝送局の複数のユーザは、同じトーンセットを用いて各自のデータを伝送することが出来るが、トーンセットを共有するユーザ各自は拡散コードの異なるセットを保有する。特定のユーザに対して重み付けされたトーンセットが受信局へ伝送され、受信局でユーザの拡散コードに関連するデスプレッド(逆拡散;despread)コードで処理され、ユーザのデータ信号が回復される。レシーバの所の空間分離アンテナ各々に対して、受信されたマルチトーン信号が時間ドメイン信号から周波数ドメイン信号へ変換される。逆拡散ウェイトが各アンテナ素子で受信された信号の周波数成分各々に割り当てられる。逆拡散ウェイトの値を、受信信号と一緒にすると、特定のマルチトーンセットと伝送位置とで特性化された独立伝送信号の最適化された概略値が得られる。本発明のPWAN方式は、1850〜1990MHZの範囲の利用可能帯域8MHZに均等に配置された全部で2560個の離散したトーン(搬送波)を備える。トーン間隔は3.125kHzである。トーンの全セットには、最も低い周波数のトーンからスタートして逐次0から2559までの数がつけられている。これらのトーンは、基地局と複数の遠隔ユニットとの間のトラヒック(情報)メッセージとオーバーへッドメッセージとを搬送するために用いられる。トラヒックトーンは32のトラヒック区分に分割される。各トラヒックチャネルは少なくとも72トーンのトラヒック区分を要求する。
更に、PWAN方式は、オーバーヘッドトーンを用いて、同期を行い、基地局と遠隔ユニットとの間に制御情報を通す。共通リンクチャンネル(CLC)を基地局が用い、遠隔ユニットへ制御情報を伝達する。共通アクセスチャンネル(CAC)を用いて、遠隔局から基地ユニットへメッセージを伝達する。各チャンネルに割り当てられるトーンダルーピングが一つある。これらのオーバーヘッドチャンネルは、遠隔ユニットが基地局と制御メッセージを交換している時に遠隔ユニット全部に共通に用いられる。
PWAN方式では、基地局と遠隔ユニットとで時分割二重化(TDD)が用いられ、データと制御情報とが同じマルチトーン周波数チャンネル上で双方向に伝送される。基地局から遠隔ユニットへの伝送は、フォワード伝送と称され、遠隔ユニットから基地局への伝送は、リバース伝送と称される。遠隔ユニットまたは基地局いずれからの双方向伝送の間の時間は、TDD期間である。TDD期間毎に各方向に4回の連続的な伝送バーストがある。データは各バースト時にマルチトーンを用いて伝送される。基地局と各遠隔ユニットとは、同期し、TDDタイミング構造に一致しなければならず、基地局と遠隔ユニットとは双方ともフレーミング構造に同期しなければならない。遠隔ユニットと基地局とは全部、遠隔ユニット全部が同時に伝送し、基地局全部が同時に伝送するように同期されねばならない。ある遠隔ユニットが最初に電源が人ると、このユニットは基地局からの同期を得て、所定のTDD時間フォーマット内で制御情報とトラヒックメッセージとを交換できるようになる。また、遠隔ユニットは、DMT−SS信号に対して周波数同期と位相同期を得て、遠隔ユニットが基地局と同一の周波数と位相とでオペレーションしているようにしなければならない。
PWAN方式では、トーン周波数の幾つかはパイロットトーンであり、基地局から遠隔ユニットへ、あるいは遠隔ユニットから基地局へ既知のシンボルを伝送するのに用い、局の同期を行うことが出来るようにする。参考文献の一つであるフールの特許出願明細書および参考文献の一つであるヴェンチミラの特許出願明細書には、これらの機能が幾つか論じられている。
PWAN方式では、指向性ヌル点形成とコードヌル化手順に含まれるマトリクス操作が行われる。PWAN方式で逆拡散ウェイトから計算される逆方向ウェイトが伝送パスに提供され、データ拡散、ビーム成形、逆高速フーリェ変換(IFFT)生成に当たって用いられる。
PWAN方式の態様の一つに従えば、適応アンテナアレイをビーム成形アルゴリズムに関連して用い、各セル内で空間ダイバーシチを行い、SDMAを組み込む。すなわち、アンテナによる信号出力を、異なる信号ゲインで異なるアンテナセンサを選択的に給電することによって、指向性を持つように形成し、セルの一部分の遠隔ターミナルが基地局と交信できている場合に、同じトーンセットと同じコードを用いているにかかわらず、セルの他の部分の他の遠隔ターミナルも同じ基地局と交信できるようにする。ここで理解しなければならないのは、現行のPWAN方式の固定的組み込に当たっては、つまり、遠隔の接続ターミナルが通信の際に実質的に動かず、通信の際にセル内に留まっている場合には、エアリンクに用いられるビーム成形アルゴリズムは、セルを出たり入ったりする移動遠隔ユニットを考慮する必要はないことである。有利な態様の一つでは、各セルは四つのセクターに分割され、各セクターが四つのサブバンドペアの一つ上を送受信するようにする。
上記のように、PWAN方式のビーム成形方法は、コード使用と同じように、PWAN方式の総括適応等化方法と別個なものと考えてはならない。むしろ、アンテナセンサを(送信の際に)選択的に給電したり、あるいは(受信の際に)異なるセンサ素子に受けた信号に選択的に重み付けしたりするのは、SINRを最大化するために用いられる総括方法に包摂されるのである。ビーム成形法とSTNR法の総括最大化法との関係は、より詳細に以下に記載する。
スペクトラム拡散技術(特にDMT−SS)とPWAN方式の好ましいエアリンク内での指向性アンテナとを用いれば、コードと空間とのリニア重み付けによって誤差解消を行える利点が幾つか生ずる。これらの利点としては、コードヌル化や指向性ヌル点形成に相似な効果が挙げられる。
コードヌル化は、隣接セルから発する非直交の信号の間を区別するために用いられる。また、コードヌル化法は、PWAN方式のSINR法の最大化に関連して理解されねばならない。すなわち、コードヌル化法は、コードドメインに関してSINRを最大化する方法の部分として考える必要がある。
理解すべきは、同一のセルまたはビーム内で発生される信号が全て直交拡散コードならば、直交性はクロス変調がないことを確実にするに十分であるので、コードヌル化は普通は必要でないことである。しかし、上記のように、特定のセル内で用いられる拡散コードは、好ましくは線形的に独立であるけれども、必ずしも直交であるとは限らない。更に、隣接セル内のトランシーバが、ローカルセルで用いられる拡散コードとランダム相関にある拡散コードを採用している可能性もある。
各通信に関連する拡散ウェイトを調整することによって、基地局は、同じトーンセット上のこれらの信号をクロス相関して、「隣接」信号に基づく干渉を無くしてしまうことができる。態様の一つでは、基地局は、同じトーンセットに割り当てられた異なる信号を拡散するために用いられる拡散コードを保有するので、この情報を用いて、他のコードからの干渉を無効にするために適切なウェイトを始めに計算することができる。
上記に論じたように、別々のデータ信号を拡散するのに用いられる拡散コードが直交している場合は、拡散されたデータは、逆拡散に当たって正確に復元することができる。しかし、拡散コードが直交していない場合は(当該拡散コードが隣接セルでも用いられている場合がそうである)、クロス変調が起こり、単純な逆拡散(すなわち、コードヌル化を行わない逆拡散)では、データ信号を正確には区別できない可能性がある。
この現象を補正するためには、コードヌル化ウェイトを受信信号ベクトルで乗積する。受信信号に存在するクロス変調を無効化することによって、データビットの適切な値がレシーバから出力される。複素数拡散ウェイトが線形的に独立である限り、正確なシンボル値を、本方法によって区別することができる。上に記載のコードヌル化手順は、SINRを最大化する総括ウェイトを導出するに当たって本質的に組み込まれるものであることが理解されよう。
コードヌル化に加えて、指向性アンテナは、ヌル領域(すなわち、アンテナが到来信号を減衰させる領域、またはアンテナ利得が非常に低い領域)を含む信号を形成する。これらのヌル領域の形成パターンは、既知の干渉波(例えば、干渉する信号源または干渉するマルチパスリフレクタからの)がヌル点に向かうように形成することができる。より詳細に以下に論じるように、指向性のヌル点形成をコードヌル化に関連して用いると、極めて大きい利点が得られる。
本発明のPWAN方式の態様の一つに従えば、処理の時間と手順の複雑さとを双方とも顕著に節約することが可能となる。ヌル指向性形成とコードヌル化とを行う方法には顕著な相似性が存在するからである。具体的に言えば、ヌル指向性形成に用いられる数学的表現式は、コードヌル化に用いられる表現式と相似である。この相似性に従えば、トーンセット中のトーンを、複素数ウェイトで乗積してトーンの振幅と位相とを変えるのと同じように、出力信号とアンテナ素子で受信された信号のゲインと相対位相とがウェイト乗積によって変えられる。複素数ウェイトのこの乗積は、コードヌル化−スペクトル概念と指向性ヌル点形成−空間概念双方に対してマトリクス形式で表示することができる。従って、スペクトルコードドメインで行われる計算が、空間ドメインで行われる計算に形式的に対応する。その結果、指向性ヌル点形成は、複素数ウェイトを計算しこれらのウェイトで信号を乗積するのに用いられるマトリクスにもう一つ別のディメンジョンを単に加えることによって、コードヌル化を用いるシステムで行うことが可能となる。
多元セルから構成されるワイヤレス通信方式で必要なことは、遠隔局と基地局から伝送される信号の電力レベルを制御し、信号を目的の到着先に確実に至らしめながら、干渉を最小限に抑える能力である。
発明の要約
本発明は、DMT−SSワイヤレスネットワーク中の遠隔局および基地局が送信する信号の電力レベルを制御して、信号を目的の到着先に確実に至らしめながら、干渉を最小限に抑えるものである。本発明によれば、先ず基地局は前準備された初期フォワード信号電力レベルでフォワードパイロットトーンを遠隔局へ伝送することから始める。遠隔局で受信された信号の電力レベルは、前準備された初期フォワード信号電力レベルより小さいので、この差は、基地局と遠隔局との間のチャンネル損失の指標となる。遠隔局は、測定したチャンネル損失値を記憶する。次に、遠隔局は前準備された初期リバース信号電力レベルでリバースパイロットトーンを基地局へ伝送し続ける。基地局で受信された信号の電力レベルは、前準備された初期リバース信号電力レベルより小さいので、この差は、基地局と遠隔局との間のチャンネル損失の指標となる。基地局は、測定したチャンネル損失値を記憶する。
基地局は、遠隔局から受信したDMT−SS信号を逆拡散するための逆拡散ウェイトを準備する。次に、基地局は、逆方向性原理を用いて、DMT−SS信号を遠隔局へ伝送するための拡散ウェイトを計算する。基地局で計算された拡散ウェイトには、基地局に記憶されたチャンネル損失測定値に基づいたファクタでチャンネル損失を回復するためのファクタが含まれるので、遠隔局へ伝送されるフォワード信号は、所望の受信信号電力レベルで遠隔局に到達することになる。
速隔局は、基地局から受信したDMT−SS信号を逆拡散するための逆拡散ウェイトを準備する。次に、遠隔局は、逆方向性原理を用いて、DMT−SS信号を基地局へ伝送するための拡散ウェイトを計算する。遠隔局で計算された拡散ウェイトには、遠隔局に記憶されたチャンネル損失測定値に基づいたファクタでチャンネル損失を回復するためのファクタが含まれるので、基地局へ伝送されるリバース信号は、所望の受信信号電力レベルで基地局に到達することになる。
このような方法で、本発明は、遠隔局および基地局が送信する信号の電力レベルを制御して、信号を目的の到着先に確実に至らしめながら、干渉を最小限に抑える。
現在では、本発明の有利な適用先は、ワイヤレス通信分野、例えば、セルラ通信またはパーソナル通信分野であり、これらの分野ではユーザの数や必要性に比較して帯域幅が少ない状況にある。適用先としては、移動体通信、固定体通信、あるいは最小限に移動性の通信方式にも考えられる。しかし、本発明は、他の非ワイヤレス通信方式にも同様に有利に適用可能である。
図面の簡単な説明
図86D1Aは、パーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)のアーキテクチャ図であり、基地局Zが、前準備された初期フォワード信号電力レベルでフォワードパイロットトーンを遠隔局Xと遠隔局Yとへ伝送している図を示す。
図86D1Bは、図86D1Aのパーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)のアーキテクチャ図であり、遠隔局Xが、前準備された初期リバース信号電力レベルでリバースパイロットトーンを基地局Zへ伝送している図を示す。
好ましい態様についての議論
図86D1Aは、パーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)のアーキテクチャ図であり、基地局Zが、前準備された初期フォワード信号電力レベルでフォワードパイロットトーンを遠隔局Xと遠隔局Yとへ伝送しているのを示す。遠隔局Xで受信された信号の電力レベルは、前準備された初期フォワード信号電力レベルより小さいので、この差は、基地局と遠隔局Xとの間のチャンネル損失の指標となる。遠隔局は、測定したチャンネル損失値を記憶する。
図86D1Bは、図86D1Aのパーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)のアーキテクチャ図であり、遠隔局Xが、前準備された初期リバース信号電力レベルでリバースパイロットトーンを基地局Zへ伝送しているのを示す。基地局Zで受信された信号の電力レベルは、前準備された初期リバース信号電力レベルより小さいので、この差は、基地局と遠隔局Xとの間のチャンネル損失の指標となる。基地局は、測定したチャンネル損失値を記憶する。基地局は、逆方向性電力管理ユニットを備える。基地局は、遠隔局Xから受信したDMT−SS信号を逆拡散するための逆拡散ウェイトを準備する。次に、基地局は、逆方向性原理を用いて、DMT−SS信号を遠隔局へ伝送するための拡散ウェイトを計算する。基地局で計算された拡散ウェイトには、基地局に記憶されたチャンネル損失測定値に基づいたファクタでチャンネル損失を回復するためのファクタが含まれるので、遠隔局Xへ伝送されるフォワード信号は、所望の受信信号電力レベルで遠隔局Xに到達することになる。
遠隔局は、逆方向性電力管理ユニットを備える。遠隔局は、基地局Zから受信したDMT−SS信号を逆拡散するための逆拡散ウェイトを準備する。次に、遠隔局Xは、逆方向性原理を用いて、DMT−SS信号を基地局Zへ伝送するための拡散ウェイトを計算する。遠隔局Xで計算された拡散ウェイトには、遠隔局Xに記憶されたチャンネル損失測定値に基づいたファクタでチャンネル損失を回復するためのファクタが含まれるので、基地局Zへ伝送されるリバース信号は、所望の受信信号電力レベルで基地局Zに到達することになる。
このように得られた本発明は、遠隔局および基地局が送信する信号の電力レベルを制御して、信号を目的の到着先に確実に至らしめながら、干渉を最小限に抑えることができる。
図86D1Aは、参考文献の一つであるアラモウティらの特許出願明細書に記載のパーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)方式を示す。二人のユーザ、アリスとボブが遠隔局Xに位置し、基地局Zとそれぞれデータメッセージを交換する。局Xは、基地局Zのアンテナ素子AとBとから等距離に位置する。他の二人のユーザ、チャックとデイブが遠隔局Yに位置し、彼らも基地局Zとそれぞれデータメッセージを交換する。局Yは、局Xに較べては地理的に遠くにあり、基地局Zのアンテナ素子AとBとからは等距離にはない。遠隔局XとYと、基地局Zとは、基地局と複数の遠隔局との間の効率的な通信を行うために、離散マルチトーンスペクトラム拡散(DMT−SS)として知られるCDMAプロトコルという形式を用いる。このプロトコルは、図86D1AではマルチトーンCDMAとして示されている。このプロトコルでは、ユーザの信号は、ウェイト付けされた離散周波数つまりトーンのセットで変調される。ウェイトとは、広域周波数をカバーする多数の離散トーン上にデータ信号を分散する拡散コードである。ウェイトは、複素数であり、実数成分はトーンの振幅を変調する作用の成分であり、虚数成分は同じトーンの位相を変調する作用の成分である。ウェイト付けされたトーンセット中の各トーンは同じデータ信号を備える。伝送局の複数のユーザは、同じトーンセットを用いて各自のデータを伝送することが出来るが、トーンセットを共有するユーザ各自は拡散コードの異なるセットを保有する。特定のユーザに対して重み付けされたトーンセットが受信局へ伝送され、受信局でユーザの拡散コードに関連する逆拡散コードで処理され、ユーザのデータ信号が回復される。レシーバの所の空間分離アンテナ各々に対して、受信されたマルチトーン信号が時間ドメイン信号から周波数ドメイン信号へ変換される。逆拡散ウェイトが各アンテナ素子で受信された信号の周波数成分各々に割り当てられる。逆拡散ウェイトの値を受信信号と一緒にすると、特定のマルチトーンセットと伝送位置とで特性化された独立伝送信号の最適化された概略値が得られる。本発明のPWAN方式は、1850〜1990MHZの範囲の利用可能帯域8MHZに均等に配置された全部で2560個の離散したトーン(搬送波)を備える。トーン間隔は3.125kHzである。トーンの全セットには、最も低い周波数のトーンからスタートして逐次0から2559までの数がつけられている。これらのトーンは、基地局と複数の遠隔ユニットとの間のトラヒック(情報)メッセージとオーバーヘッドメッセージとを搬送するために用いられる。トラヒックトーンは、32個のトラヒックパーティションに分割され、各トラヒックチャンネルは、72トーンで構成されるトラヒックパーティション少なくとも一個を要する。
更に、PWAN方式は、オーバーヘッドトーンを用いて、同期を行い、基地局と遠隔ユニットとの間に制御情報を通す。共通リンクチャンネル(CLC)を基地局が用い、遠隔ユニットへ制御情報を伝達する。共通アクセスチャンネル(CAC)を用いて、遠隔局から基地ユニットへメッセージを伝達する。各チャンネルに割り当てられるトーングルーピングが一つある。これらのオーバーヘッドチャンネルは、遠隔ユニットが基地局と制御メッセージを交換している時に遠隔ユニット全部に共通に用いられる。
PWAN方式では、基地局と遠隔ユニットとで時分割二重化(TDD)が用いられ、データと制御情報とが同じマルチトーン周波数チャンネル上で双方向に伝送される。基地局から遠隔ユニットへの伝送は、フォワード伝送と称され、遠隔ユニットから基地局への伝送は、リバース伝送と称される。遠隔ユニットまたは基地局いずれからの双方向伝送の間の時間は、TDD期間である。TDD期間毎に各方向に4回の連続的な伝送バーストがある。データは各バースト時にマルチトーンを用いて伝送される。基地局と各遠隔ユニットとは、同期し、TDDタイミング構造に一致しなければならず、基地局と遠隔ユニットとは双方ともフレーミング構造に同期しなければならない。遠隔ユニットと基地局とは全部、遠隔ユニット全部が同時に伝送し、基地局全部が同時に伝送するように同期されねばならない。ある遠隔ユニットが最初に電源が入ると、このユニットは基地局からの同期を得て、所定のTDD時間フォーマット内で制御情報とトラヒックメッセージとを交換できるようになる。また、遠隔ユニットは、DMT−SS信号に対して周波数同期と位相同期を得て、遠隔ユニットが基地局と同一の周波数と位相とでオペレーションしているようにしなければならない。
各トーンセット内に選択されたトーンは、周波数帯域全体に分散されたパイロットと称される。パイロットトーンは、既知のデータパターンを備えているので、これを用いて正確なチャンネル予測が可能である。既知の振幅と位相とを有する一連のパイロットトーンは、既知のレベルを有し、約30kHzの間隔で配置され、全伝送帯域にわたってチャンネル応答(すなわち、通信チャンネル特性によってもたらされる振幅と位相の歪み)を正確に示す。
参考文献の一つであるアラモウティらの特許出願明細書にはパーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)方式について、より詳細なシステム説明が行われている。基地局はセル内の多元遠隔ユニットへ情報を伝送する。伝送フオーマットは、基地局と遠隔ユニットとの間で4キロビット/秒のリンク制御チャンネル(LCC)と共に64キロビット/秒のトラヒックチャンネルに対する。バイナリソースは、64キロビット/秒でデータを送り手のトランスミッタへ伝達する。これは、伝達バースト一回で48ビットに変換する。情報ビットは、トリプルデータ暗号化規格(DES)に従って暗号化される。暗号化されたビットは、次いでデータランダム化ブロックでランダム化される。8進変換ブロックへ該ビットを送ると、ランダム化されたバイナリーシーケンスが3ビットシンボルのシーケンスに変換される。シンボルシーケンスは16要素ベクトルへ変換される。ベクトルという術語は、一般に複素数であるカラムベクトルを一般には意味する。リンク制御チャンネル(LCC)からシンボル1個を加えて17個のシンボルで構成されるベクトルを生成する。
17シンボルのベクトルは、トレリス(trellis)符号化される。トレリス符号化は、最も有意なシンボル(ベクトルの最初の要素)で始まり、ベクトルの最後の要素(LCCシンボル)に至るまで順次継続して行われる。この処理は、畳み込み符号化を用い、入力シンボル(0と7との間の整数)を別のシンボル(0と15との間)へ変換し、符号化されたシンボルを対応する16QAM(または16PSK)信号コンステレーション(constellation)点へマッピングする。従って、トレリス符号化器の出力は17要素のベクトルで、この場合各要素は16QAM(または16PSK)コンステレーション信号のセット内の信号である。(信号という術語は、一般に信号コンストレーション点を称する。)
リンクメンテナンスパイロット(LMP)信号を加えて、18要素の信号ベクトルを作る。LMPはこのベクトルの最初の要素である。得られた(18×1)ベクトルに(18×8)フォーワードスミア(smear)マトリクスを前乗積して(18×1)ベクトルbを作る。
ベクトルbに(18×1)利得前強調ベクトルを要素毎に乗積して、別の(18×1)ベクトルcを作る。ベクトルcには、(1×32)フォワード空間およびスペクトル拡散ベクトルを後乗積して、(18×32)マトリクスR(p)を作る。ここにpはトラヒックチャンネルインデックスを示し、整数である。32という数字は、スペクトル拡散ファクタ4を空間拡散ファクタ8に乗積することによって得られるものである。(同じトラヒックパーティション上に)搬送されたトラヒックチャンネル全てに対応する18×32マトリクスは、次いで一緒に合わされ(加算され)、18×32マトリクスSが得られる。
マトリクスSは、(4列をグループ化して)8個の(18×4)サブマトリクス(A0〜A7)へ区分けされる。(添字0〜7は、これらのシンボルが最終的に伝送されるアンテナ素子に対応する。)各サブマトリクスは、一個のトラヒックパーティション内でトーンにマッピングされる。
低物理層は、ベースバンド信号を離散フーリェ変換(DFT)周波数ビンに配置し、ここでデータは時間ドメインに変換され、対応するアンテナ素子(0〜7)に送られ、空中を伝送される。
この処理は、次ぎのフォワード伝送バーストで伝送される次の48ビットバイナリーデータに対して最初から繰り返される。
遠隔局からのリバースチャンネル伝送は、基地局からのフォーワードチャンネル伝送と相似である。
この項は、スミアマトリクスCrev=smearを規定する。スミアブロックへの入力は、(18×1)ベクトルdrevである。スミア操作の出力(ベクトルb)は、drevと(18×18)スミアマトリクスCrev=smearとのマトリクス乗積で説明することができる。すなわち、
b=Crev=smearrev
rev=smearは以下に示されるように定数の値が成分のマトリクスである(参考文献のアラモウティらの特許出願明細書を参照のこと)。
ここに、
α=(ρLMP/(1+ρLMP))1/2
β=(1/(1+ρLMP))1/2
ρLMPは、パイロット対データの電力比であり、物理層の暫定パラメータで、普通は1に設定される。
δは、遠隔局にユニークなクラスタスクランブルベクトルの要素である。δsmearは、17要素ベクトルであり、基地局の特定のトラヒックパーティションで受信したユーザからのスミアデータが、ローカルセルと隣接セル中の同じトラヒックパーティション内の他のユーザに無相関であることを確実にするために用いられる。δsmearは、次式で与えられる(参考文献のアラモウティらの特許出願明細書を参照のこと)。δsmearのi番目の要素は、e smear (i)である。ここで、φsmear(i)は、擬ランダムナンバー発生器で発生される0〜2πの間の実数で、各遠隔ユニットに対するユニークなシーケンスを作る。擬ランダムナンバー発生器の詳細は、実装依存であり、基地局で知る必要はない。
この項は、(1×4)リバーススペクトル拡散ベクトルgH revを規定する。スペクトル拡散ベクトルブロックへの入力は、(18×1)ベクトルbである。スペクトルおよび空間拡散操作の出力(18×4)マトリクスSrevは、bと(1×4)スペクトル拡散ベクトルgH revとのマトリクス乗積である。すなわち、
rev=bgH rev
ここに、
H rev=[g0g1g2....g30g31]
ベクトルgH revの要素は、伝送中にわたって計算される伝送拡散ウェイトである。これらのウェイトを導出するのに用いられるアルゴリズムは実装依存である。しかし、この手順を明解にするため、これらのウェイトを導出する具体的なアルゴリズムを以下に記載する。
遠隔局は、フォーワードチャンネルで最も最近に受信したデータに基づいて新しい伝送ウェイトを導出する。伝送ウェイトは、単一アンテナに対して四個の受信周波数を用いて行われる受信ウェイトのスケール処理バージョンである。
受信ウェイトベクトルwH fwdは、スペクトル成分へマッピングされる要素4個(w0〜w3)を有する。
遠隔ユニットトラヒック確立手順に対しては、伝送ウェイト(g0〜g3)が、以下の式に従って計算される。
H rev(p)=αrev(n)πrevH fwd
ここに、αrev(n)はn番目のパケットに対するベース局利得ランプアップファクタであり、πrevは、以下の式で定義される遠隔ユニット電力管理ファクタである。
πrev=λpfwd+(1−λp)Krev(πloss(n,p)/abs(wfwd(p)))
ここに、
λp=指数減衰、または「忘却ファクタ」で、普通は0.97に設定される。
πloss=遠隔ユニット同期パイロット(RSP)トーンを用いて測定された基地局−遠隔ユニットチャンネル利得の逆数
Krev=目標とする基地局受信電力(普通は−103dBm)
・n=バーストインデックス
・p=リンクインデックス
遠隔ユニットトラヒック確立手順に対しては、受信ウェイトが、以下の式を用いて適応計算される。
fwd=R-1 xxxd
ここに、
fwd=(4×1)受信ウェイトベクトル
xd=受信(4×1)ベクトルxとLMP(または所望のデータ)dの推算した(4×1)クロス相関ベクトル
-1 xx=受信ベクトルxの推算した(4×4)逆自動相関マトリクス
遠隔ユニット定常状態手順に対しては、受信ウェイトが、以下の式を用いて適応計算される。
rev=R-1 xxxy
ここに、
rev=(4×1)ウェイトベクトル
xy=受信(4×1)ベクトルxと所望のデータyの推算した(4×1)ロス 相関ベクトル
-1 xx=受信ベクトルxの推算した(4×4)逆自動相関マトリクス
受信ウェイト(w0〜w3)はスペクトル成分へマッピングされる。伝送ウェイト(g0〜g3)は、受信ウェイトのスケール処理バージョンである。スケール処理は、以下の式に従って行われる。
H rev(p)=πrevH fwd
ここに、πrev=前に定義した遠隔ユニット電力管理ファクタである。
相関推算は、4個のフォーワードチャンネルバーストの間に計算される。新しい逆拡散ウェイトは、遅延の無い4個のフォーワードチャンネルバーストに適用される。拡散ウェイトは、8バースト遅延後の8個のリバースチャンネルバーストに適用される。相関椎算は、指数平均ブロック総和を用いて行われる。指数減衰定数は、暫定的に通常値が0.7である。
フォーワードチャンネル上のベース局伝送の電力出力特性は、リバースチャンネル上の遠隔ユニット伝送のそれとは異なる。
基地局から所与の遠隔ユニットへのフォーワードチャンネル伝送は、接続が継続している間は固定した電力レベルに維持される。電力レベルは、電力管理アルゴリズムを用いて接続を始める前にベース局RMEで決定される。
フォワードRFチャンネル伝送が、トラヒック確立期問の際に180msランプアップ期間(240フォーワードチャンネルバースト)で開始される。ランプアップは、基地局と所与の遠隔ユニットとの間に接続が確立した後に開始する。この期間に伝送されたデータは既知のリンクメンテナンスパイロットである。最大(定常状態)電力には、240チャンネルパースト(180ms)後に達し、接続中はそのまま維持される。
以下の式は、定常状態電力に関してフォーワードチャンネルランプアップスケジュールを示す。
αfwd(n)=(1-e-5(8[n/8])/(1-e-5))2 n<240の場合
αfwd(n)=1 その他の場合
ここにn=伝送開始に関してフォーワードチャンネルバーストの数。
遠隔ユニットから基地局へのリバースチャンネル伝送を適応変化し、ベース局で遠隔ユニット全てから受信した電力が比較的一定のレベルに確実に維持するようにする。遠隔ユニット電力管理アルゴリズムは実装依存である。このアルゴリズムの一例は、リバースチャンネルフォーマットの節に論じられている。
リバースRFチャンネル伝送が、トラヒック確立期問の際に180msランプアップ期間(240リバースチャンネルバースト)で開始される。ランプアップは、遠隔ユニットと基地局との間に接続が確立した後に開始する。この期間に伝送されたデータは既知のLMPである。最大(定常状態)電力には、240リバースチャンネルバースト(180ms)後に達する。
以下の式は、定常状態電力に関してリバースチャンネルランプアップスケジュールを示す。
αrev(n)=(1-e-5(8[n/8])/(1-e-5))2 n<240の場合
αrev(n)=1 その他の場合
ここにn=伝送開始に関してリバースチャンネルバーストの数。
遠隔局が基地局へ伝送する時、基地局は、遠隔局から伝送される信号各々を同じ電力レベルで受信することを期待する。従って、DMT−SS復調器から遠隔局内の遠隔コントロールへ利得コントロールレベルをレポートする。また、この自動利得コントロールレベル(AGCL)を、DMT−SS復調器からアップ変換器へ伝送するので、電力アンプのゲインを調整することができる。このような方法で、基地局は、遠隔局から伝送された信号が適当なレベルで基地局に確実に到着できるようにする。
遠隔局も同期を行わなければならない。すなわち、遠隔局はTDD方式内でオペレーションするように予めプログラムされているけれども、遠隔局が最初に繋がった時、送信と受信パケット間の区別、並びにパケット転送の正確なタイミングに関する特定の情報は、遠隔局側で決定しなければならない。従って、遠隔局は、DMT−SS信号と周波数同期を取り、遠隔局は、基地局と同じ周波数および位相でオペレーションしなければならない。このため、DMT−SS復調器はパケット参照を発生し、これを同期回路に用いて、基本的な送信/受信タイミング(すなわち、T/Rスイッチに対するパケットタイミング)を確立する。更に、パケットタイミングを、復調器に対する受信ゲートとして、また変調器に対する送信ゲートとして設け、遠隔局が適切な問隔で送受信するようにする。
コードヌル化ネットワーク内で、波形を測定し、周波数誤差を決定する。この周波数誤差測定値を同期回路へ送ると、遠隔局が基地局と周波数および位相ロック状態にさせることができる。この同期情報は、ローカル発振器参照として、またデジタル/アナログ変換器タロック(または逆に、アナログ/デジタル変換器クロック)として同期回路からアップ変換器およびダウン変換器へ伝送される。
コードヌル化ネットワークでは、マルチタスクチャンネルの特性(すなわち、マルチパスチャンネルの周波数応答)も椎算される。チャンネル椎算が拡散回路で行われ、マルチパスチャンネルを適応等化させるために前強調機能を行わせることができる。更に、コードヌル化ネットワークでは、受信電力とSINRの椎算も遠隔制御回路に対して行われる。
このようにして得られた本発明は、遠隔局および基地局が送信する信号の電力レベルを制御し、信号を目的の到着先に確実に至らしめながら、干渉を最小限に抑えることが可能である。
本発明の好ましい態様は、上記に詳細に記載したけれども、本発明の精神または本質を逸脱することなく、本発明に明白な部分的改変が可能であることは当業者には明白であろう。従って、前記の記載は、説明目的であり、本発明を限定するものと考えてはならず、本発明の範囲は以下の請求の範囲に鑑みて決められるものである。
(付録)
離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムにおけるネットワーク逆指向性のための方法
(2455/4383)
(関連出願に対する相互参照)
本願において開示する本発明は、本特許出願と同日に出願され、エーティーティ社(AT&T Wireless Services)に譲渡された、シアバッシュ(Siavash)、アラマウチ(Alamouti)、ダグ・シュトラルツ(Doug Stolarz)およびジョエル・ベッカー(Joel Becker)による同時係属米国特許出願、発明の名称「離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムのための垂直適応アンテナアレイ」、出願番号____、に対する関連発明である。この特許出願は本願に引用して援用する。
本願において開示する本発明は、本特許出願と同日に出願され、エーティーティ社(AT&T Wireless Services)に譲渡された、エリオット・フール(Elliott Hoole)による同時係属米国特許出願、発明の名称「送信/受信補償」、出願番号____、に対する関連発明である。この特許出願は本願に引用して援用する。
本願において開示する本発明は、本特許出願と同日に出願され、エーティーテイ社(AT&T Wireless Services)に譲渡された、グレゴリー・ベインティミラ(Gregory Veintimilla)による同時係属米国特許出願、「離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムにおいて、基地局を用いて遠隔局に同期ロックを指示するための方法」、出願番号____、に対する関連発明である。この特許出願は本願に引用して援用する。
発明の背景
発明の分野
本発明は、無線離散マルチトーンスペクトラム拡散通信システムにおける通信システムおよび通信方法の改善に関する。
関連技術の説明
移動電話およびパーソナル通信システムなどの無線通信システムは、限られたスペクトル帯域幅で動作する。無線通信システムは、膨大な数のユーザに良好なサービスを提供するために乏しい帯域幅資源を高度に有効利用しなければならない。符号分割多重アクセス(CDMA)プロトコルは、限られた帯域幅を効率的に利用するために無線通信システムによって用いられてきた。このプロトコルは、各ユーザのデータ信号を他のユーザのデータ信号から区別するために独特のコードを用いる。特定のいかなる情報も送信するこの独特のコードの知識は、通信チャンネルの受信端において各ユーザのメッセージの分離および再構成を可能にする。
引用されたアラマウチ(Alamouti)、シュトラルツ(Stolarz)らの特許出願に記載されたパーソナル無線アクセスネットワーク(PWAN)システムは、離散マルチトーンスペクトラム拡散(DMT−SS)として知られている1つのCDMAプロトコル形態を用いて、基地局と複数の遠隔装置との間で効率的な通信を提供する。このプロトコルにおいて、ユーザのデータ信号は、一連の重み付き離散周波数またはトーンによって変調される。重み付けは、広範囲の周波数をカバーする多くの離散トーンにわたってデータ信号を分配する拡散コードである。重み付けは複素数であって、その実数成分はトーンの振幅を変調するために機能する一方で、重み付けの複素成分は同じトーンの位相を変調するために機能する。重み付けられたトーンセットにおける各トーンは、同一データ信号を生成する。送信局における複数のユーザは、同一トーンセットを使用してデータを送信することが可能であるが、トーンセットを共有する各々のユーザは、拡散コードの異なった組合せを有する。特定のユーザのために重み付けられたトーンセットは、ユーザの拡散コードに関連した逆拡散コードにより処理される受信局に送信され、ユーザのデータ信号を再生する。受信機における空間的に離れたアンテナの各々に対して受信されたマルチトーン信号は時間領域信号から周波数領域信号に変換される。逆拡散重み付けは各アンテナ素子によって受信された信号の各周波数成分に割当てられる。逆拡散重み付けの値は受信された信号と結合されて、特定のマルチトーンセットおよび送信する位置によって特性化された個別送信信号を最適化した近似値を獲得する。PWANシステムは、1850〜1990MHZの範囲内の使用可能な8MHZの帯域幅内に等間隔に配置された総数2560の離散トーン(搬送波)を有する。トーン間の間隔は3.125kHzである。トーンの全セットは、最低周波数のトーンから始まり0〜2559の通し番号が付される。これらのトーンは基地局と複数の遠隔装置との間でトラヒックメッセージおよびオーバーヘッドメッセージを搬送するために使用される。トラヒックトーンは32個のトラヒックパーティションに分割され、各トラヒックチャンネルは72個のトーンのトラヒックパーティションの少なくとも1つを必要とする。
さらに、PWANシステムは、オーバーヘッドトーンを使用して基地局と遠隔装置との間の同期を確立し、また制御情報を通過させる。コモンリンクチャネル(CLC)は基地局が使用し、遠隔装置に制御情報を送信する。コモンアクセスチャネル(CAC)は遠隔装置から基地局にメッセージを送信するために使用する。各チャネルに割当てられた1つのグループ化されたトーンが存在する。これらのオーバーヘッドチャネルは、すべての遠隔装置が基地局と制御メッセージを交換する時に共通に使用する。
PWANシステムにおいて、時分割多重(TDD)は基地局および遠隔装置が使用して、同一マルチトーン周波数チャネルにわたって両方向にデータおよび制御情報を送信する。基地局から遠隔装置への送信は順方向送信と呼称し、速隔装置から基地局への送信は逆方向送信と呼称する。遠隔装置または基地局のいずれかからの反復送信時間はTDD周期である。すべてのTDD周期において、各方向に4つの連続送信バーストが存在する。各バーストにおいて、データはマルチトーンを使用して送信される。基地局および各々の遠隔装置は、TDDタイミング構造に同期させかつ合致しなければならず、また基地局および遠隔装置の両方はフレーミング構造に同期しなければならない。すべての遠隔装置および基地局は、すべての遠隔装置が同時に送信し、その後すべての基地局が同時に送信するために同期をとらなければならない。遠隔装置に最初に電源が投入されたとき、遠隔装置は規定されたTDD時間フォーマット内の制御およびトラヒックメッセージの交換を可能にするために基地局から同期をとる。遠隔装置は、基地局と同一の周波数および位相で動作するためにDMT−SS信号に対する周波数および位相の同期もとらなければならない。
PWANシステムにおいて、トーン周波数のいくつかは、既知の記号を基地局から遠隔装置へ、または遠隔装置から基地局へ送信するために使用され、両者間の同期を可能にするパイロットトーンである。引用したフール(Hoole)およびベインティミラ(Veintimilla)の特許出願は、これらの特性のいくつかを論じている。
PWANシステムは、ヌルステアリングおよびコードナリング手順に関係するマトリックス動作を実行する。PWANシステムによる逆拡散重み付けから算出された逆指向性重み付けは送信経路に供給され、データ拡散、ビーム形成および高速フーリェ逆変換(IFFTs)を生成する間に使用される。
PWANシステムの1つの態様によると、適応アンテナアレイは各セル内の空間ダイバーシチを達成するためのビーム形成アルゴリズムと連携して使用され、空間分割多重アクセス(SDMA)を実現する。すなわち、遠隔端末と基地局が同一トーンセットおよびコードを使用しているにもかかわらず、セルの一部分にある遠隔端末が基地局と通信することが可能でありながら、セルの異なった部分にあるその他の遠隔端末が同じ基地局と通信することが可能であるために、アンテナによる信号出力は、異なった信号利得を有する異なったアンテナセンサを選択的に励起させることによって方向性をもつように形成される。現在のPWANシステム、すなわち、基地局との通信中、遠隔アクセス端末は実質的に移動せず、通常は通信中にセル内に留まるPWANシステムの一定の実現において、エアリンクにおいて使用されるビーム形成アルゴリズムは、セルから離れまたセル内に入る移動遠隔装置を説明する必要がないことが理解されるべきである。1つの有利な実施の形態において、各セルは4つのセクターに区分され、ここで各セクターは4つの副帯域対の1つで送受信を行う。
前述した通り、PWANシステムのビーム形成方法は、コードの使用と同様に、PWANシステムの全体的な適応等化方法と切り離して考えるべきではない。それどころか、アンテナセンサを選択的に励起するために用いられる方法(送信中)または異なったセンサ素子の受信信号を選択的に重み付けするために用いられる方法(受信中)は、信号対干渉雑音比(SINR)を最大にするために用いられる包括的な方法に包含される。SINRを全体的に最大化する方法とビーム形成方法との関係を以下に詳細に説明する。
スペクトラム拡散技術(特にDMT−SS)およびPWANシステムの好ましいエアリンク内での指向性アンテナの使用は、コードおよび空間における直線的重み付けによって、コードナリングおよびヌルステアリングに類似した効果を含む、ある程度の誤差相殺の利点を考慮に入れている。
コードナリングは、隣接するセルから放射する非直交信号問の識別に用いられる。再び、コードナリンク方法は、PWANシステムのSINRを最大化する方法の背景の中で理解するべきである。すなわち、コードナリング方法は、コード領域に対してSINRを最大化する方法の一部として考慮されるべきである。
同一セルまたはビーム内で生成された信号がすべて直交する拡散コードを有する場合、直交性は混変調が存在しないことを確実にするために十分なため、コードナリングは一般に必要ないことが理解されるべきである。しかし、前述の通り、特定のセル内で使用される拡散コードは直交でなくてもよい。但し、それらは、好ましくは、直線的に独立である。さらに、隣接するセル内の送受信機は、局部セルに使用される拡散コードとランダムな相関を有する拡散コードを用いてもよい。
各々の通信チャネルに関連する拡散重み付けを調整することにより、基地局は同一トーンセットでこれらの信号に相互相関させて、「隣接する」信号による干渉を弱めることが可能である。1つの実施形態において、基地局は同一トーンセットに割当てられた異なった信号を拡散するために用いられる拡散コード有しており、この情報はその他のコードからの干渉をなくすための適切な重み付けを初期に計算するために使用することができる。
これまで論じた通り、明確なデータ信号を拡散するために用いられる拡散コードが直交している時、拡散データは逆拡散中に正確に再生することが可能である。しかし、拡散コードが直交していない場合(隣接するセルに用いられる拡散コードと同様に)、混変調が生じて、データ信号を単純な逆拡散(即ち、コードナリングなしの逆拡散)によって正確に区別することが不可能な場合がある。
この現象を補償するために、コードナリングの重み付けは、受信信号ベクトルが乗算される。受信信号に存在する混変調をなくすことにより、データビットの適切な値は、受信機によって出力される。複素拡散重み付けが直線的に独立している場合、正確な記号値は、この方法によって識別することができる。上記のコードナリング手順は、本質的に、SINRを最大化する全体的な重み付けの誘導中に実行されることが理解されるであろう。
コードナリングに加えて、図11および12に示された例示的な指向性アンテナは、ゼロ領域(即ち、アンテナが到来信号を減衰させるかまたは非常に低いアンテナ利得が存在する領域)を含む信号を形成する。これらのゼロ領域はパターン中に形成されて、既知の干渉発生源(例えば、干渉する信号源または干渉するマルチパス反射器)に対してゼロを指向することができる。このように、干渉信号は空間領域において弱められる。以下に詳しく論じる通り、コードナリングと併せてヌルステアリングを使用すれば非常に有利である。
PWANシステムの1つの態様によると、ヌルステアリングおよびコードナリングを実行するための方法間にはかなりの類似性が存在するので、相当な処理時間および複雑さを不要にすることができる。特に、ヌルステアリングを達成するために用いられる数学的形式論はコードナリングを達成するために用いられる形式論と類似している。この類似性によると、トーンセットにおけるトーンは、複素数の重み付けが乗算されてトーンの振幅および位相を変えるように、アンテナ素子により出力および受信された信号の利得および相対位相は、倍数の重み付けセットによって変えられる。この複素数の重み付けによる乗算は、スペクトル概念であるコードナリングおよび空間概念であるヌルステアリングの両方に対してマトリックス形式で表現することができる。このように、スペクトルコード領域において実行された計算は、空間領域において実行された計算に正式に対応する。従って、ヌルステアリングは、複素数の重み付けを計算し、これらの重み付けで信号を乗算するために使用されたマトリックスに特別の寸法値を加算することによって、コードナリングを使用するシステムにおいて単純に実行することができる。
多重セルから成る無線通信システムにおいて必要とされるものは、セル間の干渉に対してネットワーク全体を最適化する能力である。
発明の要約
多重の基地局セルのネットワーク全体は、あらゆるセル内のあらゆる通信リンクが、最適化された信号干渉レベルに到達する均衡状態を達成する。セル内の各基地局および各遠隔装置はそれぞれの拡散重み付けに適応して、他のセルからの干渉を最小化する。その後、セル内の各基地局および各遠隔局はそれぞれの拡散重み付けに適応して、他のセルへの干渉信号の送信を最小化する。これは、セル間の干渉に対してネットワーク全体の最適化となるセルのネットワーク全体にわたる結合を作り出す。
発明の1つの態様において、最適の重み付けは、基地局において受信されたすべての信号に基づいて計算される。受信経路にある一連のトーン周波数が送信経路にある一連のトーン周波数と同じであるので、受信するために用いられる拡散重み付けは、送信のための拡散重み付けを計算するのに用いることができる。これは逆指向性の原理である。さらに、逆拡散重み付けの値は、干渉信号に対する受信感度を最小化するように調整されながら、適応性を考慮して計算される。逆拡散重み付けから得られた拡散重み付けも適応性が考慮されるため、それらの値は干渉信号源の方向に送り返された信号強度を弱めるように調整される。ヌルステアリングおよびコードナリングは、逆拡散重み付けおよび拡散重み付けを調整するために使用されて、適応可能に干渉信号の交換を最小化する。ネットワークの各セルにおける受信および送信の両方に対する一連の重み付けを決定するために適応逆指向性を用いる時、ネットワーク全体にわたる適応逆指向性を達成することが出来る。各セル内の基地局および遠隔局はヌルステアリングおよびコードナリングを用いて、他のセル内の局との干渉を弱める。各局における逆拡散重み付けから拡散重み付けの逆指向性の形成は、セルの境界を横断してチャネル最適化を伝達する。逆指向性の原理を用いるこのセルの結合は、システム全体にわたってチャネル特性を最適化する。
現在、本発明は、帯域幅がユーザ数およびユーザニーズと比べて乏しいセルラ通信またはパーソナル通信などの無線通信分野において有利な用途を有する。こうした用途は、移動システム、固定システムまたは最小に移動するシステムにおいてもたらされる。しかし、本発明は他の非無線通信システムにも有利に適用できる。
図面の簡単な説明
図86E1Aは、逆指向性結合の第1のステージに係わる2つのセルのネットワーク線図であり、ここでセル1内の基地局B1は隣接するセル2内の遠隔局R2からの干渉信号の存在を検出する。基地局B1は遠隔局R2方向に対する自局の送信を調整してその信号強度を弱める。
図86E1Bは、逆指向性結合の第2のステージにおける図86E1Aの2つのセルのネットワーク線図であり、ここで第2のセル内の基地局B2は第1のセル1内の遠隔局R1'からの干渉信号の存在を検出する。基地局B2は遠隔局R1'方向に対する自局の送信を調整してその信号強度を弱める。
図86E1Cは、図1Aおよび1Bに似た4つのセルのネットワーク線図であって、セルの境界を横断してシステム全体にわたってチャネル特性を最適化するためのチャネル最適化の伝達を示している。
図86E2Aは、セル1内の基地局B1と遠隔局R1'およびセル2内の遠隔局R2のさらに詳細なブロック線図であり、ここで遠隔局R2は干渉信号を基地局B1に送信している。
図86E2Bは、図86E2Aに似た詳細なブロック線図であって、基地局B1がセルの境界を横断して、強度が弱められた信号を干渉している遠隔局R2の方向に送信することを示している。
好ましい実施の形態の説明
図86E1AはPWAN通信システムにおける2つのセル1および2のネットワーク線図である。基地局B1はDMT−SSプロトコルを用いて遠隔局R1およびR1'と通信する。例えば、表記(B1−>R1')は基地局B1から遠隔局R1'への経路を示す。表記(R1'−>B1)は遠隔局R1'から基地局B1に戻る経路を示す。表記(R2−>B1)は隣接セル2内の遠隔局R2から基地局B1への経路を示す。セル1内の基地局B1は隣接するセル2内の遠隔局R2からの干渉信号の存在を検出する。本発明によると、基地局B1は遠隔局R2方向への自局の送信を調整してその信号強度を弱める。
図86E2Aはセル1内の基地局B1と遠隔局R1'およびセル2内の遠隔局R2のさらに詳細なブロック線図であり、ここで遠隔局R2は基地局B1に干渉信号を送出している。基地局B1と同一セル内の遠隔局R1'は、DMT−SSプロトコルを用いて基地局B1にデータトーンおよびパイロットトーンを送出する。隣接するセル2内の遠隔局R2も、DMT−SSプロトコルを用いて基地局B1に干渉信号を送出する。基地局B1は適応したプロセッサを用いて基地局で受信された全信号に基づいて最適の重み付けを計算する。受信経路上の一連のトーン周波数は、送信経路上の一連のトーン周波数と同じなので、受信するために用いられた逆拡散重み付けは、逆指向性の原理を用いて送信のための拡散重み付けを計算するために用いることができる。適応したプロセッサは、遠隔局R2からの干渉信号に対する受信感度を最小化するように調整された逆拡散重み付けの値を計算する。
図86E2Bは、図86E2Aに似た詳細なブロック線図であって、基地局B1がセルの境界を横断して、強度が弱められた信号を干渉している遠隔局R2の方向に送出していることを示している。逆拡散重み付けから得られた拡散重み付けにも適応性が考慮されて、干渉信号源R2の方向に送り返される信号の強度を弱めるためにそれらの値は調整される。ヌルステアリングおよびコードナリングは、逆拡散重み付けおよび拡散重み付けを調整するために使用されて、干渉信号の交換を適応可能に最小化する。
図86E1Aは、基地局B2がDMT−SSプロトコルを用いて遠隔局R2およびR2'と通信することを示している。図86E1Bは、逆指向性結合の第2のステージにおける図86E1Aの2つのセルのネットワーク線図であり、ここで第2のセル内の基地局B2は、第1のセル1内の遠隔局R1'からの干渉信号の存在を検出する。基地局B2は遠隔局R1'方向に自局の送信を調整して、その信号強度を弱める。ネットワークの各セル内の受信および送信の両方に対する一連の重み付けを決定するために適応逆指向性を用いる時、ネットワーク全体にわたる適応逆指向性を達成することができる。各セル内の基地局および遠隔局は、他のセル内の局との干渉を弱めるためにヌルステアリングおよびコードナリングを用いる。各局内の逆拡散重み付けから拡散重み付けの逆指向性の形成は、セルの境界を横断してチャネル最適化を伝達する。
図86E1Cは、図1Aおよび図1Bに似た、4つのセル1、2、3および4のブロック線図であって、システム全体にわたってチャネル特性を最適化するためにセルの境界を横断してチャネル最適化を伝達することを示している。
図86E1Aも、セル2内の遠隔局R2が、自局がセル1内の基地局から検出する干渉信号の存在に応答して、セル間の干渉に対して多重セルのネットワークをどのように最適化するかを示している。前述した通り、基地局B1はセル1内に位置する遠隔局R1'からの第1の経路(R1'−>B1)で受信された複数の離散トーンにわたり拡散された第1のデータ信号から成る第1の拡散信号を受信している。第1の信号は、セル2内に位置する遠隔局R2からの干渉経路(R2−>B1)で受信された複数の離散トーンにわたり拡散された干渉信号を更に含む。次に、基地局B1は、第1の経路(R1'−>B1)および干渉経路(R2−>B1)で受信された拡散信号の特性に基づく第1の逆拡散コードを用いることにより受信された信号を適応可能に逆拡散している。その後、基地局B1は、第1の経路(R1'−>B1)および干渉経路(R2−>B1)の逆指向性に基づく逆拡散コードから派生された第1の拡散コードを用いて第2のデータ信号を拡散している。第1の拡散コードは、複数の離散トーンにわたって第2のデータ信号を分配しており、第2の遠隔局R2に対する干渉経路(B1−>R2)において選択的に弱められる第2の拡散信号を形成する。その後、基地局B1は、第1の遠隔局R1'に対する第1の経路(B1−>R1')で第2の拡散信号を送信すると共に、第2の遠隔局R2に対する干渉経路(B1−>R2)で選択的に弱められた第2の信号を送信することによって継続する。
その後、セル2内の遠隔局R2は選択的に弱められた第2の拡散信号を受信する。次に、遠隔局R2は、干渉経路(B1−>R2)で受信された第2の信号の特性に基づく第2の逆拡散コードを用いることにより受信した選択的に弱められた第2の信号を適応可能に逆拡散することによって継続する。その後、遠隔局R2は、干渉経路(B1−>R2)の逆指向性に基づいて第2の逆拡散コードから得られた第2の拡散コードを用いて第3のデータ信号を拡散することによって継続する。第2の拡散コードは、複数の離散トーンにわたって第3のデータ信号を分配して、第1の基地局B1に対する干渉経路(R2−>B1)において選択的に弱められる第3の拡散信号を形成する。その後、遠隔局R2は、第1の基地局B1に対する干渉経路(R2−>B1)で選択的に弱められた第3の拡散信号の送信することによって継続する。このように、第2のセル内の遠隔局R2は、自局の逆拡散および拡散重み付けを修正して、基地局B1に対するセルの境界を横断する干渉信号の交換を最小化する。
本発明の好ましい実施の形態を今まで詳細に説明してきたが、本発明の明白な変形を本発明の精神または本質から逸脱せず作製できることは当業者に対して明らかであろう。従って、前の説明は限定的なものではなく、例として捉えるべきであり、本発明の範囲は以下の請求の範囲を考慮して決定されるべきである。
本発明において、互いに接近して配置された送信機から送られる2セットの離散マルチトーン信号を受信機がいかにして区別するかを示す純粋にスペクトル的な多様性の例を示す図である。 本発明において、互いに離れて配置された送信機から送られる2個の離散モノトーン信号を受信機がいかにして区別するかを示す純粋に空間的な多様性の例を示す図である。 本発明において、互いに離れて配置された送信機から送られる2個の離散マルチトーン信号を受信機がいかに区別するかを示すスペクトル的および空間的多様性の例を示す図である。 固定ワイヤレス通信システムにおける本発明の実施例を示す高レベル概略図である。 マルチトーン送信を簡単に示す図である。 離散マルチトーンスタックキャリア信号フォーマットの使用を簡単に示す図である。 本発明の実施例において使用されるマトリクス形式主義を簡単に示す図である。 チャンネル反応の影響を含む、本発明の実施例において使用されるマトリクス形式主義を簡単に示す図である。 典型的な高次QAM変調フォーマットを使用するDMT−SCを簡単に示す図である。 本発明の実施の形態で使用する一般的な時間分割二重信号およびプロトコルを示す時間図である。 本発明の実施の形態で使用して、高度帯域幅効率を実現するためのメイン信号処理ステップを示す信号処理フロー図である。 符号化されたキャリア信号を拡散するために使用される方法を示す信号処理フロー図である。 信号対干渉プラス雑音比(signal to interference plus noise ratio)、対、送信および受信信号に適用されるコード重みおよび空間的重みを示す3次元プロットである。 基地局アンテナの実施の形態を示す斜視切り取り図である。 基地局アンテナの第2の実施の形態を示す斜視切り取り図である。 本発明のナルステアリングを示す図である。 逆周波数チャンネル化拡散装置の実施例を示す概略図である。 周波数チャンネル化逆拡散装置の実施例を示す概略図ある。 アンテナ利得対角度方向を示す図である。 本発明の高度帯域幅効率化通信ネットワークの特定の適用を示す簡単なブロック図である。 本発明の特定の実施の形態の可能な動作周波数帯域のリストである。 本発明の特定の実施の形態のエアリンクのRFバンド/サブバンド組織を示す図である。 本発明の特定の実施の形態の各サブバンド内のトーンを示す図である。 本発明の特定の実施の形態のトラフィックパーティションを示す図である。 i番目のトラフィックパーティションへのトーンマッピングを示す図である。 i番目のサブバンド対に対するチャンネルへのオーバーヘッドトーンマッピングを示す図である。 トラフィックトーンおよびオーバーヘッドトーンへトーン空間の分割を示す図である。 ベースおよび遠隔ユニット送信のための時間分割二重フォーマットを示す図である。 前方および逆チャンネル時間パラメータの詳細を示す図である。 TDDパラメータ値を示す図である。 物理的層構成を示す図である。 空間セル内でのA段階でのサブバンド対振り分けを示す図である。 空間セルにかかるA段階でのサブバンド対振り分けを示す図である。 高容量モード用ベース送信機の上部物理層の機能ブロックを示す図である。 高容量前方チャンネル送信のデータ送信を示す図である。 中容量モードにおけるベース発信機上部物理的層の機能ブロック図である。 中容量順方向チャンネル発信を示すデータ変換図である。 低容量モードにおけるベース発信機上部物理的層の機能ブロック図である。 低容量順方向チャンネル発信を示すデータ変換図である。 トリプルDES暗号化アルゴリズムを示す図である。 高容量モードにおけるレート3/4、16PSKトレリス符号化器のフィードフォワードシフトレジスタの実施例を示す図である。 高容量モードにおけるレート3/4、16QAMトレリス符号化器のフィードフォワードシフトレジスタの実施例を示す図である。 高容量モードにて使用するレート3/4、16QAMおよび16PSKトレリス符号化方式における信号マッピングを示す図である。 高容量モードにて使用するレート3/4、プラグマティック16QAMおよび16PSKトレリス符号化方式における信号マッピングを示す図である。 中容量モードにおけるレート2/3、8PSKトレリス符号化器のフィードフォワードシフトレジスタの実施例を示す図である。 中容量モードにおけるレート2/3、8QAMトレリス符号化器のフィードフォワードシフトレジスタ実施例を示す図である。 中容量モードにて使用するレート2/3、8QAMおよび8PSKトレリス符号化方式における信号マッピングを示す図である。 中容量モードにて使用するレート2/3、8QAMおよび8PSKトレリス符号化方式における信号マッピングを示す図である。 低容量モードにおけるレート1/2たたみ込み符号化器のフィードフォワードシフトレジスタの実施例を示す図である。 低容量モードにて使用するレート1/2、QPSKプラグマティックトレリス符号化方式における信号マッピングを示す図である。 低容量モードにて使用するレート1/2、QPSKプラグマティックトレリス符号化方式におけるグレーコードマッピングを示す図である。 アンテナ要素およびトーンに対する受信重みベクトル要素のベースマッピングを示す図である。 CLC物理的層のフォーマットを示すブロック図である。 CLCチャンネルにおけるQPSK信号マッピングを示す図である。 CLCチャンネルにおけるQPSK信号マッピングを示す図である。 CLCインタリーブルールを示す図である。 (4×4)インタリーブマトリックス要素のトーンマッピングを示す図である。 BRC物理的層のフォーマットを示すブロック図である。 (4×4)インタリーブマトリックス要素のトーンマッピングを示す図である。 放送チャンネルビーム掃引を示す図である。 高容量モードにおける遠隔ユニット発信機の上位物理的層の図である。 高容量逆方向チャンネル発信のデータ変換図である。 中容量モードにおける遠隔ユニット発信機の上位物理的層の機能ブロック図である。 中容量逆方向チャンネル発信のデータ変換図である。 低容量モードにおける遠隔ユニット発信機の上位物理的層の機能ブロック図である。 低容量逆方向チャンネル発信のデータ変換図である。 受信重みベクトル要素の遠隔ユニットトーンマッピングを示す図である。 CAC物理的層フォーマットを示すブロック図である。 CACチャンネルにおけるBPSK信号マッピングを示す図である。 CACチャンネルにおけるBPSK信号マッピングを示す図である。 CACインタリーブルールを示す図である。 (8×2)インタリーブマトリックス要素のトーンマッピングを示す図である。 ベース送信機の下層物理層の機能ブロックである。 DFTビンへのトーンマッピングを示す図である。 DFTビンへのトーンマッピングを示す図である。 本発明のデマンド通信ネットワークの帯域幅の主な構成および機能要素を示すブロック図である。 高度帯域幅遠隔アクセス局の主な機能要素を示す機能ブロック図である。 高度帯域基地局の主な機能成分を示す機能ブロック図である。 高度帯域幅効率化通信システムの一実施例の主な構成および機能要素を示す包括的システム概略ブロック図である。 典型的遠隔アクセス端末内でのデジタルアーキテクチャを示す図である。 典型的遠隔アクセス端末内でのデジタルアーキテクチャを示す図である。 典型的遠隔アクセス端末内でのデジタルアーキテクチャを示す図である。 図75Aおよび図75Bのデジタル信号処理アーキテクチャ内で各デジタル信号処理チップによって行われる一般的な処理ステップを示すソフトウェアブロック図である。 図75Aおよび図75BのLPAカードのデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75BのLPAカードのデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75BのLPAカードのデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75BのLPAカードのデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75BのLPAカードのデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75Bのインタフェースカード上のメインデジタル信号処理チップを支持するために使用されるデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75Bのインタフェースカード上のメインデジタル信号処理チップを支持するために使用されるデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75Bのインタフェースカード上のメインデジタル信号処理チップを支持するために使用されるデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 図75Aおよび図75Bのインタフェースカード上のメインデジタル信号処理チップを支持するために使用されるデジタルアーキテクチャを詳細に示すブロック図である。 本発明の典型的基地局内の包括的なデジタル信号処理アーキテクチャを示す概略ブロック図である。 本発明の典型的基地局内の包括的なデジタル信号処理アーキテクチャを示す概略ブロック図である。 本発明の典型的基地局内の包括的なデジタル信号処理アーキテクチャを示す概略ブロック図である。 本発明の典型的基地局内の包括的なデジタル信号処理アーキテクチャを示す概略ブロック図である。 本発明の典型的基地局内の包括的なデジタル信号処理アーキテクチャを示す概略ブロック図である。 図74に示す高度帯域幅遠化アクセス局内で有利に使用される二重バンド無線周波数受信機を示す概略ブロック図である。 図74に示す高度帯域幅遠化アクセス局内で有利に使用される二重バンド無線周波数受信機を示す概略ブロック図である。 図74に示す高度帯域幅遠化アクセス局内で有利に使用される二重バンド無線周波数受信機を示す概略ブロック図である。 図80に示す同期回路のメイン内部機能要素を示す概略ブロック図である。 図74に示す高度帯域幅基地局内で有利に実行されるに二重バンド無線周波数受信機を示す概略ブロック図である。 図74に示す高度帯域幅基地局内で有利に実行されるに二重バンド無線周波数受信機を示す概略ブロック図である。 図74に示す高度帯域幅基地局内で有利に実行されるに二重バンド無線周波数受信機を示す概略ブロック図である。 図81に示す周波数基準回路のメイン内部機能要素を示す簡略化された概略ブロック図である。 本発明によりって構成された基地局内で有利に実行される型の二重バンド無線送信機を示す概略ブロック図である。 本発明によりって構成された基地局内で有利に実行される型の二重バンド無線送信機を示す概略ブロック図である。 本発明によりって構成された基地局内で有利に実行される型の二重バンド無線送信機を示す概略ブロック図である。 図74に示す帯域幅デマンドコントローラによって実行される帯域幅振り分け方法を示す図である。 スペクトル的処理と空間的処理が分離している、本発明の別の実施の形態を示す図である。 スペクトル的処理と空間的処理が分離している、本発明の別の実施の形態を示す図である。 スペクトル的および空間的重みの適応解法(solution)を示すフローチャートである。 スペクトル的および空間的重みの適応解法(solution)を示すフローチャートである。 スペクトル的および空間的重みの適応解法(solution)を示すフローチャートである。 スペクトル的および空間的重みの適応解法(solution)を示すフローチャートである。 スペクトル的および空間的重みの適応解法(solution)を示すフローチャートである。 スペクトル的および空間的重みの適応解法(solution)を示すフローチャートである。 スペクトル的および空間的重みの適応解法(solution)を示すフローチャートである。 ディスクリートマルチトーンスペクトラム拡散通信を利用し、且つ本発明の原理を導入した無線リンク上で基地局に結合された複数個の遠隔局を示すブロック図である。 図86A1における基地局のブロック図である。 図86A1および図86A2の発明の動作を実現するフロー図である。 基地局に対して送信している遠隔局を含むPWANシステムの構成図である。 送信側としての遠隔局Xの構成図である。 受信側としての基地局Zの構成図である。 送信局の優先メッセージプロセッサ204のより詳細な構成図である。 送信側としての遠隔局と受信側としての基地局の動作を示すフローチャートである。 受信局の優先メッセージプロセッサ320のより詳細な構成図である。 共通リンクチャネルを介して速隔局をポーリングする基地局を示したPWANシステムの構成ブロック図である。 動作クオリティとメンテナンスメッセージとを基地局に対して共通アクセスチャネルを介して送信する遠隔局を示したPWANシステムの構成ブロック図である。 動作クオリティとメンテナンスデータの送信機としての遠隔局Xの構成ブロック図である。 動作クオリティとメンテナンスデータの受信機としての基地局Zの構成ブロック図である。 本発明の一連の動作ステップを表すフローチャート図である。 パーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)のアーキテクチャ図であり、基地局Zが、前準備された初期フォワード信号電力レベルでフォワードパイロットトーンを遠隔局Xと遠隔局Yとへ伝送している図を示す。 図86D1Aのパーソナルワイヤレスアクセスネットワーク(PWAN)のアーキテクチャ図であり、遠隔局Xが、前準備された初期リバース信号電力レベルでリバースパイロットトーンを基地局Zへ伝送している図を示す。 逆指向性結合の第1のステージに係わる2つのセルのネットワーク線図であり、ここでセル1内の基地局B1は隣接するセル2内の遠隔局R2からの干渉信号の存在を検出する。基地局B1は遠隔局R2方向に対する自局の送信を調整してその信号強度を弱める。 逆指向性結合の第2のステージにおける図86E1Aの2つのセルのネットワーク線図であり、ここで第2のセル内の基地局B2は第1のセル1内の遠隔局R1'からの干渉信号の存在を検出する。基地局B2は遠隔局R1'方向に対する自局の送信を調整してその信号強度を弱める。 図1Aおよび1Bに似た4つのセルのネットワーク線図であって、セルの境界を横断してシステム全体にわたってチャネル特性を最適化するためのチャネル最適化の伝達を示している。 セル1内の基地局B1と遠隔局R1'およびセル2内の遠隔局R2のさらに詳細なブロック線図であり、ここで遠隔局R2は干渉信号を基地局B1に送信している。 図86E2Aに似た詳細なブロック線図であって、基地局B1がセルの境界を横断して、強度が弱められた信号を干渉している遠隔局R2の方向に送信することを示している。
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