以下、本発明をパチンコ機に適用した一実施形態について、各対応図面を参照しながら説明する。
(1.第1実施形態)
図1は、本発明の遊技機が適用された実施形態としてのパチンコ機1が複数で遊技機列を構成している様子を簡素化して表した平面図である。
パチンコ機1は、ホールの島設備において他のパチンコ機とともに遊技機列を構成しており、これらパチンコ機は、各々遊技者によって遊技されている。このホールの島設備においては、このパチンコ機1と同様の構成および機能を有する多数の他のパチンコ機が隣り合うように並べて配列されることで、遊技機列が構成されている。但し、この並び方の態様は横一列である必要はなく、複数の台が後述する「当選波」を受信可能な程度に近接していればよい。各パチンコ機1は、このような遊技機列の中で個々独立した遊技動作を実行している。これらパチンコ機1などの間には、これらパチンコ機1などがいわゆるCR機である場合、台間サンド69としてカードユニットが設けられている。
図2および図3は、一実施形態となるパチンコ機1の構成を具体的に示している。パチンコ機1は枠体および遊技盤4から構成され、枠体には外枠2をはじめ本体枠3、前面枠5等が含まれている。このうち外枠2は、上下左右の木枠材を矩形に組み合わせて構成されており、その前側下部には、本体枠3の下面を受けるための下受板6が備えられている。外枠2の左側縁部には、ヒンジ機構7を介して本体枠3の左側端部が連結されており、図3に示されているように、本体枠3は外枠2の手前側にて開閉可能となっている。この本体枠3は、前枠体8と遊技盤装着枠9、機構装着枠10を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。このうち前枠体8は、本体枠3の前面側に位置して形成されており、その外形は、下受板6を除く外枠2の外郭形状に合致する大きさを有している。
遊技盤装着枠9は前枠体8の後部に一体的に形成されており、この遊技盤装着枠9には遊技盤4が前方から嵌め込むようにして装着されている。遊技盤4もまたヒンジ機構25を介して本体枠3より前面側へ開閉可能となっており、この開閉動作に伴って遊技盤4は本体枠3に対して着脱可能となっている。遊技盤装着枠9のうち、遊技盤4が嵌め込まれる部位の下開口縁部にキャッチロック9a(いわゆる「パチン錠」)が設けられている。図示のように、遊技盤装着枠9に遊技盤4が嵌め込まれた状態でキャッチロック9aが締め付けられると、遊技盤4が下方に強く押し付けられるようにして遊技盤装着枠9に固定される。
また、遊技盤4の右上隅部と右下隅部にはそれぞれロック部材4cが取り付けられている。ロック部材4cは遊技盤4の幅方向に細長く延びたプレート形状をなしており、その先端部は遊技盤4から右側方に突き出た状態で遊技盤4を遊技盤装着枠9に対して係止する爪の働きをする。すなわち、ロック部材4cはその先端部分が遊技盤4の右側端から側方に突出した突出位置か、もしくは遊技盤4の右側端から内側(中心方向)に引っ込んだ引込位置のいずれかで遊技盤4に係止される。
一方、図3には示されていないが、遊技盤装着枠9の内縁には上下のロック部材4cにそれぞれ対応する位置に係止穴が形成されている。このため遊技盤4を遊技盤装着枠9に嵌め込んだ状態で、上下のロック部材4cをそれぞれ突出位置で係止させれば、その先端部が係止穴に入り込んだ状態で遊技盤4を遊技盤装着枠9に係止し、その前方への脱落を防止する。逆に、上下のロック部材4cを突出位置から退出させて遊技盤装着枠9との係止を解除すれば、遊技盤4を遊技盤装着枠9から容易に取り外すことができる。
遊技盤4の盤面(前面)には、環状に成形された案内レール11が設けられており、この案内レール11は外レールと内レールとから構成されている。そして遊技盤4の盤面には、案内レール11の内側にほぼ円形状の遊技領域12が区画して形成されている。なお、遊技領域12内の構成(盤面構成)については後述する。
前枠体8の左下隅の位置には、装着板13を介して低音用スピーカ14が内蔵されている。また、前枠体8の右下隅の位置には発射レール15が設けられており、この発射レール15は遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く役割を果たしている。そして前枠体8には、発射レール15や低音用スピーカ14よりも下方の位置に下前面部材16が装着されている。この下前面部材16のほぼ中央位置に下皿17が形成されており、さらにその右側位置に発射ハンドル18が設けられている。
図3に一部が示されているように、本体枠3(前枠体8)の右側端部には、その裏面側に施錠装置19が装着されている。この施錠装置19は、外枠2に対して本体枠3全体を施錠したり、あるいは、本体枠3に対して前面枠5を施錠したりする機能を備えている。施錠装置19は2種類の枠施錠ラッチ21および扉施錠ラッチ23を有しており、このうち一方の枠施錠ラッチ21は外枠2の閉止具20に対応している。例えば、図3に示されている状態から本体枠3を外枠2に対して押し込むと、上下で2つの枠施錠ラッチ21がそれぞれ対応する閉止具20に係合し、これにより本体枠3が外枠2に施錠された状態で固定される。
もう一方の扉施錠ラッチ23は、前面枠5の後面に設けられた閉止具22に対応しており、例えば図3に示されている状態から前面枠5を本体枠3に対して押し込むと、上下で3つの扉施錠ラッチ23がそれぞれ対応する閉止具22に係合し、これにより前面枠5が本体枠3に施錠された状態で固定される。
施錠装置19はまたシリンダー錠24を有しており、本体枠3および前面枠5が閉止された状態で、例えばホールの管理者・従業員がシリンダー錠24の鍵穴に専用の鍵を挿入して一方向に回すと、枠施錠ラッチ21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠される。また、これとは逆方向に鍵を回すと、扉施錠ラッチ23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、前枠体8および下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出しているため、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作を容易に行うことができるものとなっている。
なお、本実施形態では、時計回り方向に鍵を回動操作(捻り操作)することで外枠2に対して本体枠3が解錠され、反時計回り方向に鍵を回動操作(捻り操作)することで本体枠3に対して前面枠5が解錠される。このように、鍵の回動操作の方向を異ならせるだけで、本体枠3または前面枠5のいずれかを解錠させることができる。また、施錠装置19は、本体枠3が閉塞状態にて施錠されたときに、鍵以外のものを用いた外部操作によって枠施錠ラッチ21と外枠2の閉止具20との係合が解除されないように枠施錠ラッチ21の変位をロックするロック機構をさらに備えている。
これにより、本体枠3が閉塞状態で施錠されたときは、ロック機構により枠施錠ラッチ21がロックされる。また本体枠3(全面枠8)には、枠施錠ラッチ21よりも外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙に近い側(図3でみて右側方)にリブが突設して形成されており、不正行為を意図した遊技者等が外枠2と本体枠3(前面枠8)との間隙から針金等を差し込んで直接枠施錠ラッチ21を操作しようとしても、その針金等はリブに当接し、それ以上の進入を阻まれる。したがって、外枠2と本体枠3(前面枠3)との間隙から針金等を用いて本体枠3を不正に解錠するような行為を抑止することができる。
前面枠5はガラス枠やガラス扉とも称され、この前面枠5はヒンジ機構25を介して本体枠3の前面側に開閉可能に装着されている。前面枠5は、その裏側に扉本体フレーム26を有するほか、前側に枠ランプ27(サイド装飾装置)や上皿28、音響電飾装置29を備えている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材によって構成されており、この扉本体フレーム26は前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。前面枠5を閉じると、遊技盤4を含む前枠体8の前面側が前面枠5によって覆われることとなるが、扉本体フレーム26の中央にはほぼ円形の開口窓30が形成されており、この開口窓30を通じて遊技盤4の遊技領域12を前方から視認することができる。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられており、この窓枠31には透明な2枚のガラス板32が前後に間隔をおいて嵌め込まれている。
なお本実施形態の構成では、遊技盤4の右方ではなく下方にシリンダー錠24を配置し、合わせて遊技盤4の右方に配置された施錠装置19を薄型化することで、遊技盤4に形成された遊技領域12の面積を従来よりも大きく確保することができる。これにより遊技者の見る目を大いに引きつけ、その視認に対する興趣を高めることができる。また本実施形態の構成では、遊技領域12の拡大に合わせて前面枠8の開口窓30が拡大されているため、その部分では前面枠8の剛性が低下することとなるが、本実施形態では前面枠8の下部に上皿28が一体的に形成されているため、この上皿28の部分が補強となって前面枠8全体としての剛性の低下を抑制している。
図2に示されているように、前面枠5には開口窓30の周囲において、左右両側部に枠ランプ27が配設されているほか、その下部に上皿28が配設されており、さらには上部に音響電飾装置29が配設されている。これら枠ランプ27や音響電飾装置29、上皿28等は全体として前面枠5の外形を構成するべく一体をなし、相互に外観上の一体感を想起させるデザインが施されている。
このうち枠ランプ27は、ランプ基板を内蔵したサイド装飾体33を主体として構成されており、サイド装飾体33はちょうど開口窓30の左右で一対をなしている。サイド装飾体33には、横長に延びるスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、個々の開口孔には、ランプ基板に実装されたランプ(LED:発光ダイオード)に対応するレンズ34が組み込まれている。
また音響電飾装置29は、高音用に2つのスピーカ36を内蔵しており、これらスピーカ36の前面側はスピーカカバー37で覆われている。スピーカ36は前面枠5の左右に一対をなして配置されており、左右のスピーカ36をつなぐようにして透明カバー体35が設置されている。透明カバー体35は前面枠5の幅一杯に拡がっており、その奥には装飾用のLEDを有したランプ基板やリフレクタ体等が設置されている。音響電飾装置29は、これらスピーカ36やスピーカカバー37、透明カバー体35、ランプ基板、リフレクタ体等の構成部材が相互に組み付けられた状態でユニット化されている。
また上記前面枠5の開口窓30には、その開口窓30内に設けられた2枚のガラスの間に、後述する演出映像を表示する透明なエレクトロルミネセンス表示装置53が設けられている。このエレクトロルミネセンス表示装置53は、後述する期待演出動作を実行する際に演出映像(連動図柄)を表示するものである。また前面枠5の左右両側部は、多少の傾斜を持って構成されており、この前面枠5の開口窓30およびその周囲の部分は、この前面枠5の左右両側部に比べて遊技者側に突出した構成となっている。そして、この開口窓30の左右両側面における上部における両傾斜部(スピーカカバー37に隣接する部分)には、各々波送受装置80a,80bが設けられている。これら波送受装置80aおよび波送受装置80bは、各々隣のパチンコ機の方向に向けて波を出力する機能を有する。また、これら波送受装置80a,80bは、各々隣のパチンコ機が出力した波を検出する機能を有する。
また、これら波送受装置80a,80bは、各々例えば指向性のある超音波などの当選波を出力するなど、周囲に配置されている他のパチンコ機が出力した当選波を検出する機能を有する。具体的には、これら波送受装置80a,80bとしては、音センサの一例としてのいわゆるダイナミック型(導電型)マイクロホンを採用している。このダイナミック型マイクロホンは、磁石とコイルを用いたものを採用し、コイルが振動することによって発生した逆起電力によって上記当選波を検出する方式を採用している。また、このダイナミック型マイクロホンとしては、コンデンサを用いたものを採用してもよく、このマイクロホンは振動による容量変化から当選波を検出する方式を採用してもよい。
なお、本実施形態で用いる「右」とは、パチンコ機1に遊技者から向かって右方向を示しており、また「左」とは、パチンコ機1に遊技者から向かって左方向を示している。従って、この波送受装置80aは、例えば左側に波を出力したり左側に配列するパチンコ機が出力した波を検出する。一方、波送受装置80bが、例えば右側に波を出力したり右側に配列するパチンコ機が出力した波を検出する。このようにして波送受装置80a,80bは、各々波の出力源の方向を特定することができるようになっている。本実施形態では、波送受装置80aが左から当選波を検出した場合、「OFF(0)」であった当選波左検出フラグを「ON(1)」と設定する一方、波送受装置80bが右から当選波を検出した場合、「OFF(0)」であった当選波右検出フラグを「ON(1)」と設定している。
また、扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、下部に上皿28が前面枠8と一体的に設けられているほか、左右の両側部に枠ランプ27が装着されており、また上部に上部スピーカ36が装着されている。なお枠ランプ27については、各種遊技内容に応じてその点灯・消灯制御が実行されており、上部スピーカ36および下部スピーカ14については、各種遊技内容に応じて複数種類の音出力態様により音出力制御が実行される。このように本実施形態のパチンコ機1では、各種遊技内容に応じて枠ランプ27の点灯・消灯制御や、上部スピーカ29および下部スピーカ14の音出力制御を実行することで演出効果を高め、遊技者の興趣を向上するようになっている。また、上部スピーカ29および下部スピーカ14では、不正行為が実行されたことを報知する警告音や、遊技に関するエラーが発生したことを報知する情報音等の出力も行われる。
パチンコ機1の構造上、上記の枠体(外枠2、本体枠3、前面枠5)が本体を構成する部分であり、遊技盤4の板材、つまり遊技板は本体に着脱可能に支持された部分となっている。外枠2は遊技場(ホール)の島設備にパチンコ機1を固定する役割を担い、また本体枠3は遊技板を含めた遊技盤4全体を着脱可能に支持する役割を担う。遊技板はベニヤ板等の強度部材からなり、その前面および背面には各種構成要素(障害釘、役物、入賞装置、装飾品類、電子機器・制御基板類)が取り付けられている。
(2.盤面構成)
図4は、遊技盤4を単独で示している。上記のように遊技盤4は矩形状に成型された遊技板4aを強度部材として構成されており、その前面に遊技領域12が円形状に形成されている。遊技領域12内には、所定の配列で多数の障害釘が打ち付けられているほか、その適宜の位置に球誘導用の風車40が設けられている。遊技領域12内の上半分には、ひときわ大きく目を引く演出装置42が配置されており、この演出装置42にはパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等を象徴したデザインがあしらわれている。
演出装置42は、その全体が縦方向に扁平した楕円形状の外形をなしているが、そのところどころに角張った部分を有する。特に正面からみて演出装置42の頂部は山形状に突出し、その山頂に相当する部分から左右に延びる上縁部は、緩やかな下り傾斜を有している。また、演出装置42の左側縁部は縦方向にゴツゴツと切り立ったような形状をなしており、このため左側縁部の上端と下端がそれぞれ角張った外形をなしている。一方、演出装置42の右側縁部は遊技領域12の外縁に沿って円弧状に湾曲しており、その輪郭線は左側縁部と対照的に滑らかなカーブを描いている。また、演出装置42の下側縁部は中央に向かって直線的に絞り込まれたような下り傾斜を有しており、そして中央の位置では水平方向に屈曲されている。
演出装置42の内側には液晶表示装置50が設置されており、この液晶表示装置50は比較的大型の表示画面を有している。また演出装置42の内側で、液晶表示装置50の表示画面の上部に可動装飾体44が配置されている。
また、演出装置42の左右の遊技領域12にはゲート58が一対をなして配置されている。
演出装置42よりも下方の遊技領域12には上始動口52が配置されており、その直下の位置には、入球装置56と一体化された下始動口54が配置されている。入球装置56には左右一対の開閉部材56aが付属している。この入球装置56は、図中に示されているように開閉部材56aが左右に拡開した状態に変位すると下始動口54に遊技球が入賞可能となり、逆に開閉部材56aが閉じた状態に変位すると遊技球は下始動口54に入賞しなくなる。なお入球装置56にも、演出装置42と同様にパチンコ機1のゲームコンセプトを象徴したデザインが施されている。
入球装置56の下方の位置にはアタッカ装置60が配置されている。このアタッカ装置60は大入賞口62を開閉するための開閉部材60aを有している。図示のように開閉部材60aが手前側へ倒れ込むようにして開いた状態に変位すると、上方から流下してくる遊技球が開閉部材60aに案内されて大入賞口62に入賞可能となり、逆に開閉部材60aが盤面に沿う位置まで変位すると、大入賞口62が閉じられて遊技球は入賞しなくなる。
その他、遊技領域12の下縁部に沿って左右にサイド装飾部材64が配置されており、これらサイド装飾部材64に一般入賞口66が形成されている。これらサイド装飾部材64もまた、演出装置42と同様にパチンコ機1のゲームコンセプトを象徴したデザインを有し、その造形には演出装置42との視覚的な統一感が与えられている。
サイド装飾部材64では、遊技の進行に伴い各種情報の表示が行われるものとなっており、各種情報の表示は、各サイド装飾部材64に内蔵されたLEDの点灯・点滅により表示することができる。このため、例えば右側のサイド装飾部材64には、4つの発光領域64aが形成されており、これら発光領域64aはいずれも小円形状をなし、そして4つが菱形を描くようにして配列されている。さらに発光領域64aの上方には2つの発光領域64b,64cが形成されている。また、左側のサイド装飾部材64にも合計で4つの発光領域64d,64eが形成されている。これら発光領域64d,64eはいずれも小円形状をなし、縦方向に1列を描くようにして配列されている。以下、発光領域64a〜64eについて概略を説明する。
先ず右側に4つ配列された発光領域64aは、後述する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)として機能する。特別図柄は、パチンコ機1において特別図柄抽選(大当り抽選)が行われ、その当落の結果が出たということを外部に向けて表示するためのものである。例えば、パチンコ機1における通常遊技状態(大当り遊技でない状態)で上始動口52または下始動口54への入賞があると、それを契機に4つの発光領域64aがいろいろなパターンで点滅動作を開始し、特別図柄の変動状態が表示される。このような特別図柄の変動開始(いわゆる「始動」)により、遊技者は大当り抽選が行われたこと(あるいは、これから抽選の結果が出ること)を認識することができる。
この後、ある程度の時間が経過すると発光領域64aの点滅動作が停止し、そのときの抽選結果(当落結果)を表示する態様で特別図柄が停止表示される。特別図柄の停止表示の態様について、簡易な例では4つの発光領域64aが全て点灯していれば当選(大当り)を表し、4つの発光領域64aのいずれか1つでも消灯していれば落選を表すといった態様が挙げられる(ただし、これら以外の態様もある。)。これにより、遊技者は大当り抽選に当選したか否かを視覚的に認識することができる。なお本実施形態では、4つの発光領域64aの他に液晶表示装置50を用いて装飾的な図柄(例えば「0」〜「9」の数字をデザインしたもの)を変動・停止表示させることで、特別図柄の変動表示と停止表示に関連した各種の演出を行うことが可能である。
また、特別図柄表示器に関連して演出装置42の下縁部に4つの発光領域48が形成されており、これら4つの発光領域48は特別図柄の始動記憶ランプとして機能する。
具体的には、遊技中に上始動口52または下始動口54への入賞があると、これを契機として特別図柄の始動条件が記憶され、この状態で特別図柄が変動表示中であれば、発光領域48が1つ発光(点灯)して始動記憶数が「1」であることが表示される。一方、始動条件が記憶されている状態で、特別図柄が変動していなければ(変動状態から停止表示状態になった場合を含む)、記憶された始動条件に基づいて特別図柄の変動表示が開始される。この場合、始動条件の記憶は消去され、あわせて消去された始動記憶に対応する発光領域48の発光が停止(消灯)される。なお、本実施形態では始動記憶数の上限が4であるため、上限に達した場合、それ以上の始動条件は記憶されない。
次に、発光領域64aの上方に配置された2つの発光領域64b,64cのうち、右側に位置する発光領域64cはその点灯・点滅により普通図柄表示器(後述の普通図柄表示装置)として機能することができる。普通図柄は、パチンコ機1において普通図柄抽選が行われ、その当落の結果が出たということを表すためのものである。例えば、パチンコ機1における通常遊技状態(大当り遊技でない状態)でゲート58を遊技球が通過すると、それを契機に発光領域64cが点灯または点滅動作を開始し、これにより普通図柄の変動状態が表示される。一方、左側の発光領域64bは、その点灯または消灯によって内部的な遊技様態(大当り確率が比較的高い高確率遊技様態であるか、あるいは大当り確率が比較的低い低確率遊技様態であるかの様態)を表示することができる。
そして、左側のサイド装飾部材64に4つ縦に並んで配置された発光領域64d,64eのうち、下2つの発光領域64eは、点灯・点滅によって普通図柄の始動記憶数(1〜4)を表示することができる。また、上2つの発光領域64dは、大当りになった場合にいずれか1つが点灯し、それによって大当りの種類を表示することができる。なお、大当りの種類については、パチンコ機1の制御に関する構成と合わせて後述する。
(3.制御構成)
図5は、パチンコ機1の動作を制御するための制御構成を概略的に示している。なお、この図5においては電源に関係する構成(電源基板など)の図示を省略している。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板のグループと周辺基板のグループとで分担されている。このうち主基板のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。この他にも、パチンコ機1には、電源基板、インタフェース基板等が装備されているが、いずれも公知のものを適用できるため、ここでは図示とともに詳細な説明を省略する。
(3−1.主基板)
主基板は、主制御基板156と払出制御基板158とからなり、このうち主制御基板156は遊技盤4の裏面側に配設されている。もう一方の払出制御基板158は、賞球装置とともに本体枠3の裏面側に配設されている。主制御基板156は、CPU156cをはじめROM156eやRAM156d等の電子部品を装備しており、これら電子部品によって各種の遊技制御プログラムを実行する。このCPU156cは、ROM156eやRAM156dを内蔵した構成となっている。
この遊技制御プログラムは、上記始動入賞を契機として大当り抽選(内部的な抽選)の判定を実行し、この大当り抽選において当選している場合には、当選フラグに「1(ON)」を設定し、当選していない場合には当選フラグに「0(OFF)」を設定する。つまり、この当選フラグは、大当り抽選において当選したか否かを表すフラグである。
上記主制御基板156においては、例えば4msごとに実行される割込み処理においてコマンド送信処理が実行されている。このコマンド送信処理では、後述するコマンドバッファに送信すべきコマンドが格納されていると、この格納されているコマンドをサブ統合基板168や払出制御基板158に対して送信する。つまり、このコマンド処理では、コマンドバッファに送信予約されているコマンドが存在している場合、この送信予約されているコマンドを送信する。本実施形態では、遊技制御プログラムは、この当選フラグに関する情報(以下「当選情報」と呼称する)および変動時間などを含む演出コマンドを、コマンド送信処理においてサブ統合基板168に対して送信している。
ここで、本実施形態におけるコマンド送信処理について説明する。
まず、始動口52または始動口54への入賞を契機として大当り抽選(内部的な抽選)の判定が行われ、その後変動開始と同時に変動パターンの選択が行われる。
図6には、変動番号、コマンド、当落、変動内容、変動時間、魚群演出開始ポイント(詳しくは後述する)および魚群演出開始時間(詳しくは後述する)の情報が格納されている。前記変動パターンが選択されることにより変動番号が決定し、変動番号に対応するコマンドが得られる。そのコマンドには抽選結果、変動時間、変動内容の情報が含まれている。
主制御基板156は、得られたコマンドを演出用コマンドとして、サブ統合基板168に対して演出用コマンドとして送信する。送信された演出用コマンドは、サブ統合基板168において演出制御プログラム中で制御される。演出制御プログラムについては後述する。
一方、払出制御基板158は、CPU158cをはじめROM158eやRAM158d等の電子部品を装備しており、これら電子部品によって各種の払出制御プログラムを実行する。このCPU158cは、ROM158eやRAM158dを内蔵した構成となっている。
主制御基板156と払出制御基板158との間では、それぞれの入出力インタフェース156a,158aを介して双方向通信が実施されている。これら主制御基板156と払出制御基板158との間では、例えば主制御基板156が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板158が主制御基板156に対してACK信号を返す。
主制御基板156には、遊技盤4に設けられている特別図柄表示装置160(LED152)、普通図柄表示装置165および遊技様態表示装置163が接続されているほか、入球装置56、アタッカ装置60等を駆動するソレノイド162や入賞球を検出する入賞スイッチ164、保留ランプ(図5に示さず)等が接続されている。入賞スイッチ164は、これら入球装置56またはアタッカ装置60に遊技球が入賞したことを検出すると、遊技制御プログラムは、例えば4msごとの周期的な割込み処理に含まれるコマンド送信処理において入賞コマンドを出力する。また、この遊技制御プログラムは、パチンコ機1において所定時間遊技されなかった場合、例えば4msごとに周期的に実行される割込み処理に含まれるコマンド送信処理において、待機演出動作を開始すべき旨を表す待機演出コマンドをサブ統合基板168に対して出力する。このサブ統合基板168は、主制御基板156が送信したコマンドなどを受信するバッファを有している。
また、この一方、サブ統合基板168は、当選波を左方向から送出するにあたり当選波出力指示コマンドを格納することで出力予約をする当選波左送出バッファおよび、当選波を右方向から送出するにあたり当選波出力指示コマンドを格納することで出力予約をする当選波右送出バッファを有している。
払出制御基板158には、払出装置を駆動する払出モータ66が接続されているほか、モータインデックスセンサや賞球カウントスイッチ等(いずれも図示されていない)が接続されている。
(3−2.周辺基板)
周辺基板には、サブ統合基板168のほかに、例えば複数の電飾制御基板170,172や波形制御基板174等が含まれる。上記の主制御基板156とサブ統合基板168との間では、それぞれの入出力インタフェース156aと入力インタフェース168aとの間で一方向だけの通信が行われており、例えば主制御基板156からサブ統合基板168へのコマンドの送信はあってもその逆は行われない。
サブ統合基板168もまた、CPU168cをはじめROM168eやRAM168d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行する。このCPU168cは、ROM168eやRAM168dを内蔵した構成となっている。
このサブ統合基板168は、そのCPU168cの制御によって、この演出制御プログラムがRAM168dを作業領域として遊技の進行に伴う演出動作を制御するなど、次のような期待演出動作を制御する。この期待演出動作は、例えば変動後の停止図柄が所定の表示態様(例えば同一の図柄が1列に揃った表示態様)になるかもしれないことを暗示する演出動作の一種である。つまり、この期待演出動作は、大当り抽選において当選するかもしれないとの期待感を遊技者に与える演出動作である。ここで、このサブ統合基板168は、例えば2msごとに周期的に実行される割込み処理に含まれるコマンド受信処理において受信バッファを参照し、この受信バッファにコマンドなどが格納されているか否かを判断する。この受信バッファは、主制御基板156が送信した入賞コマンドや演出コマンドなどのコマンドを格納しておくものである。
この演出制御プログラムは、受信した演出コマンドなどを解析し、当選フラグの内容に応じて変動時間にわたり演出動作を制御する。この演出制御プログラムは、解析した演出コマンドが演出動作を開始すべき旨を表す場合には演出動作の制御を開始する一方、解析した演出コマンドが演出動作を終了すべき旨を表す場合には演出動作の制御を停止する。
また、サブ統合基板168とその他の電飾制御基板170,172や波形制御基板174との間では、それぞれの入出力インタフェース168b,170a,172a,174aとの間で双方向に通信が行われる。電飾制御基板170もまた、CPU170cをはじめROM170eやRAM170d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。このCPU170cは、ROM170eやRAM170dを内蔵した構成となっている。一方、電飾制御基板172もまた、CPU172cをはじめROM172eやRAM172d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。このCPU172cは、ROM172eやRAM172dを内蔵した構成となっている。また、この電飾制御基板172は、さらにRAM172fやROM172g(図面上「CROM」と図示する)を有している。
この電飾制御基板170には、主に演出用のランプ92が接続されており、サブ統合基板168から電飾制御基板170に対して演出用ランプ92の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板170が演出用ランプ92を点灯などさせる処理を行う。
一方、電飾制御基板172には、装飾用のランプ78、液晶表示装置50およびエレクトロルミネセンス表示装置53が接続されている。この電飾制御基板172は、サブ統合基板168から電飾制御基板172に対して装飾用ランプの点灯信号が送信されると、これを受けて装飾用ランプ78を点灯などさせる処理を行う。
また、この電飾制御基板172においては、CPU172cの制御によって、図示しない制御プログラムが動作しており、この制御プログラムは、そのエレクトロルミネセンス表示装置53に後述する演出画像などの映像を表示させる処理を実行する一方、液晶表示装置50に遊技の進行に応じた映像を表示させる処理を実行する。この液晶表示装置50は、液晶素子を用いた表示装置であり、このエレクトロルミネセンス表示装置53は、例えばエレクトロルミネセンス素子を用いた透明な自発光タイプの表示装置である。
この電飾制御基板172は、これらCPU172cなど以外にも、図示しない映像表示プロセッサおよびCROM172gが搭載されている。なお、本実施形態では、この映像表示プロセッサを「VDP」と省略して呼称する。このCROM172gには、通常遊技状態において用いられる演出映像に係るキャラクタデータ以外にも、例えばリーチ演出や大当り中において用いられる演出映像に係るキャラクタデータが格納されている。本実施形態では、このCROM172gに、例えば右から左に演出媒体(例えば魚群を例示する)が進行する演出映像(第1演出映像)に係るキャラクタデータが格納されているとともに、例えば左から右に演出媒体(例えば魚群を例示する)が進行する演出映像(第2演出映像)に係るキャラクタデータが格納されている。
この図示しないVDPは、CPU172cの制御によって、CROM172gからキャラクタデータを取得し、このキャラクタデータに基づいてこれら第1演出映像および第2演出映像のいずれかをエレクトロルミネセンス表示装置53に表示させるようになっている。なお、本実施形態では、このようなエレクトロルミネセンス表示装置53に表示する代わりに、液晶表示装置50に表示させるようにしても良いことはいうまでもない。
本実施形態では、遊技演出画像は、遊技の進行に応じて液晶表示装置50の表示領域に表示される演出画像を示しており、期待演出画像(演出画像)は、大当り抽選において当選している或いは当選しているかのように暗示する場合に、エレクトロルミネセンス表示装置53の表示領域に表示される演出画像を示している。
ここでサブ統合基板168が、電飾制御基板172に対して、表示コマンドを送信すると、これを受けて電飾制御基板172は、液晶表示装置50およびエレクトロルミネセンス表示装置53を各々独立させて表示動作を実行させる。
また電飾制御基板172には、またこれ以外にも、例えばドラムやキャラクタ体等の可動体によって演出動作を行う役物が盤面上に設けられている場合、これらを駆動するモータ、ソレノイド等が電飾制御基板170,172等に接続されている。
波形制御基板174は、音響出力としての可聴当選波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。この波形制御基板174もまた、CPU174cをはじめROM174eやRAM174d等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。このCPU174cは、ROM174eやRAM174dを内蔵した構成となっている。また、この波形制御基板174は、さらにROM174g(図面上「OROM」と図示する)を有している。例えば、サブ統合基板168から音響出力コマンドが波形制御基板174に送信されると、これを受けて波形制御基板174は上記のスピーカ14,36を駆動する処理を行う。
また、この波形制御基板174には、当選波出力用左ポートおよび当選波出力用右ポートが設けられており、これら当選波出力用左ポートおよび当選波出力用右ポートを介して各々波送受装置80a,80bが接続されている。これら波送受装置80a,80bは、波形制御基板174の制御によって、各々当選波出力用左ポートおよび当選波出力用右ポートから指示を与えることで波を出力したり、周囲のパチンコ機が出力した波を検出したりするようになっている。
ここで上記主制御基板156がサブ統合基板168に対して送信する演出コマンドには、始動入賞を契機として実行された大当り抽選において当選しているか否かに関する当選情報(上記当選フラグに関する情報)を含んでいる。この当選情報を受け取ったサブ統合基板168は、この当選情報を解析した結果大当り抽選に当選していた場合、波形制御基板174を制御して波送受装置80a,80bの一方(或いは両方)から、上記波として当選していることを表す当選波を出力させるようになっている。
なお、当選波としては、例えば人間の感覚によって知得することができない波を採用するのが望ましいが、人間の感覚によって知得することができる波を一部に採用してもよい。このような人間の感覚によって知得することができない波としては、超音波などの音波を挙げることができる。つまり、この波送受装置80a,80bは、各々複数のパチンコ機間で交換可能な情報を含めて波を出力するなど、この情報を含めた波を検出するようになっている。
波形制御基板174は、演出制御プログラムの指示に従って、波送受装置80a,80bが各々出力する当選波の振幅を変更自在に出力すべく制御している。すなわち、この波形制御基板174は、大当り抽選において当選している場合(当選フラグ=ONの場合)、これら波送受装置80a,80bが各々出力する当選波を、遊技機列において連動して期待演出動作を実行すべきパチンコ機のうち最も端に位置すべきパチンコ機(以下「最端パチンコ機(最端遊技機)」と呼称する)までの距離に応じて決定した振幅として出力させている。このとき波形制御基板174は、演出制御プログラムの指示に従って、この当選波に、出力した際の振幅の大きさに関する強度情報を含めて、当選波を波送受装置80a,80bに各々独立して出力させることが可能である。本実施形態において、波形制御基板174がこの強度情報を含めて当選波を出力しているのは、この当選波を受け取った他の遊技機が、受信した当選波の振幅の減衰量を取得する際の基準とするためである。
また演出制御プログラムは、当選波の出力方向を振り分けるための抽選に用いる出力方向振分テーブルを管理している。この出力方向振分テーブルは、大当り抽選において当選している場合、当選波を、遊技機列の配列方向に沿った一方向および他方向のいずれに出力すべきであるかに関する出力振分情報を管理している。演出制御プログラムは、大当り抽選に当選している場合、当選波を出力すべき方向として、遊技機列の配列方向に沿った一方向および他方向のうち少なくとも一方を選択する機能を有する。
波形制御基板174は、演出制御プログラムの指示に従って、これら波送受装置80a,80bを制御し、このように決定された出力方向に、上述のように決定された振幅で当選波を出力させる。具体的には、演出制御プログラムは、上述のように選択された出力方向が遊技機列の配列方向に沿った一方向である場合、波形制御基板174に対して指示を与えて波送受装置80a,80bのいずれか一方を制御し、その一方向に当選波を出力させる。一方、演出制御プログラムは、上述のように選択された出力方向が遊技機列の配列方向に沿った他方向である場合、波形制御基板174に対して指示を与えて波送受装置80a,80bのいずれか他方を制御し、その他方向に当選波を出力させる。また波形制御基板174は、これら波送受装置80a,80bが各々検出する周囲のパチンコ機からの当選波を解析し、この当選波の振幅を取得する。
ここで、周囲のパチンコ機が出力した当選波は、パチンコ機1とその周囲のパチンコ機との距離に応じて減衰するものである。サブ統合基板168のCPU168cは、この波形制御基板174によって検出された当選波の振幅の減衰量に基づいて、上記強度情報を考慮し、その減衰量から当選波の出力源までの距離を演算する機能を有する。ここでいう出力源とは、自己の内部的な抽選において当選しており、当選波を出力した周囲のパチンコ機(以下「当選パチンコ機」と呼称する)を意味している。
このときCPU168cは、検出した当選波の減衰量を演算するにあたり、当選波に含まれる強度情報に基づいて、検出した当選波が元々どの程度の振幅(出力時振幅)で出力されていたのかを把握し、上記検出した当選波の振幅がこの出力時振幅に比べてどの程度減衰しているのかを演算することで、上記距離を求めている。そしてサブ統合基板168のCPU168cは、この演算された距離に基づいて、自己の位置から出力源までの間に配置しているパチンコ機の配列台数を算出する。
一方、上記サブ統合基板168のCPU168cは、算出された当選パチンコ機から最端パチンコ機までの間に配列するパチンコ機1を含む各パチンコ機内における自己の位置を、上記当選波の減衰量に基づいて把握する。つまり、サブ統合基板168のCPU168cは、波送受装置80a,80bによって各々検出された当選波の振幅の減衰量が大きければ大きいほど、自己の位置が当選パチンコ機から離れていると判断する一方、検出された当選波の振幅の減衰量が小さければ小さいほど、自己の位置が当選パチンコ機に近接していると判断するのである。このようにして、サブ統合基板168のCPU168は、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間における自己の位置を取得する。
そしてサブ統合基板168のCPU168cは、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って、各パチンコ機が期待演出動作を順次実行するにあたり、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間における自己の位置に応じて、自己のパチンコ機が期待演出動作を実行すべき演出タイミングを取得する。ここで、本実施形態では、最端パチンコ機が期待演出動作の実行を完了すると、次に最端パチンコ機から当選パチンコ機に向かって1台目に配置している次のパチンコ機が期待演出動作を開始することになる。
そして、このパチンコ機が期待演出動作を完了すると、隣接するその次のパチンコ機が期待演出動作を開始するという順序で、これら最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各遊技機を含む遊技機列においては、遊技者やホール来場者の視覚に対して、期待演出動作が移動していくように遊技者などの視覚などに訴えている。
ここで当選パチンコ機は、自己の内部的な抽選において当選している場合、サブ統合基板168の制御によって、後述する自己の演出タイミングにおいて、それまで他のパチンコ機が実行してきた期待演出動作の演出態様とは異なる他の演出態様とした別の期待演出動作を実行している。或いは、この当選パチンコ機は、このサブ統合基板168の制御によって、その自己の演出タイミングにおいて、それまでの期待演出動作を実行しないようにしても良い。つまり本実施形態では、当選パチンコ機の手前までの各パチンコ機と当選パチンコ機とで、異なる演出態様を表すようになっている。一方、最端パチンコ機から当選パチンコ機の手前のパチンコ機までの各遊技機においては、当選パチンコ機における内部的な抽選に当選している場合には、サブ統合基板168の制御によって、自己の演出タイミング(隣接するパチンコ機に続くタイミング)にて期待演出動作を実行する。「隣接するパチンコ機」とは、前記内部的な抽選に当選した遊技機に近接して配置されている遊技機を示す。
ここで、この期待演出動作としては、演出映像を駆使した視覚的な演出動作を例示することができる。つまり演出制御プログラムは、電飾制御基板172を制御して、この期待演出動作として、視覚的な演出動作を実行させることを挙げることができる。本実施形態においては、サブ統合基板168が、電飾制御基板172を制御して、エレクトロルミネセンス表示装置53に演出映像を表示させることを例示している。
なお、このような期待演出動作としては、これ以外にも、演出制御プログラムが、電飾制御基板170を制御して演出用ランプ92によって光を出力させる、或いは電飾制御基板172を制御して装飾用ランプ78によって光を出力させてもよい。また、このような期待演出動作としては、演出制御プログラムが波形制御基板174を制御して、スピーカ14,36によって音波を出力させることを挙げることもできる。
本実施形態においては、サブ統合基板168は、当選波を受け取ると、演出制御プログラムの指示に従って、電飾制御基板170を制御して、期待演出動作として最初の2000msにわたり演出用ランプ92を点灯、消灯させたり或いは、点滅させるとともに、電飾制御基板172を制御して同様の時間にわたり装飾用ランプ78を点灯、消灯させたり或いは、点滅させている。このようにすると、遊技機列を構成する各遊技機において期待演出動作が開始したことを、周囲の遊技者やホール来場者に知らせることができる。
本実施形態では、この期待演出動作としてこのような最初の2000msにわたる点灯、消灯をさせる或いは、点滅させる光の出力の後に表示する上記演出映像として、例えば魚群のような演出媒体が左から右へと進行する演出映像(第1演出映像)を用意するとともに、この演出媒体が右から左へと進行する演出映像(第2演出映像)を用意している。
上記演出制御プログラムは、例えば当選パチンコ機が右側に位置しており、かつ、最端パチンコ機が左側に位置していると判断した場合、表示すべき演出映像として、演出媒体が左から右に進行する演出映像(第1演出映像)を選択する。その一方、この演出制御プログラムは、例えば当選パチンコ機が左側に位置しており、かつ、最端パチンコ機が右側に位置していると判断した場合、表示すべき演出映像として、演出媒体が右から左に進行する演出映像(第2演出映像)を選択する。
なお、本実施形態においては、少なくとも一方向(すなわち右から左、若しくは左から右)から演出映像を進行させる実施形態に特化して記載しているが、演出映像の進行は一方向からに限られないよう演出制御することも可能である。また、魚群が複数出現してもよい。本実施形態においては、当選波を受けた遊技機列内の範囲内であって、かつ当選パチンコ機の演出時間内に行うものであれば、魚群演出の開始方向および魚群の数は、制限されるものではない。
上記のように魚群の出現箇所を複数にすると、はずれ台に座っている遊技者期待感が、単数のときよりも高まる。また、最終的には当選したパチンコ機のもとに魚群が集まってくるような演出であるので、遊技機列内の遊技者やホール来場者に対して与えるインパクトは非常に大きいものとなる。
上述のように電飾制御基板172においては、これら演出映像に対応したキャラクタデータが予めROM172gに用意されている。本実施形態では、第1演出映像の表示に必要なキャラクタデータを第1演出映像データと呼称し、第2演出映像の表示に必要なキャラクタデータを第2演出映像データと呼称する。その演出制御プログラムは、上記のように定めた演出タイミングにおいて、電飾制御基板172に対して、表示すべき演出映像に関する指示を行い、この指示に基づく演出映像をエレクトロルミネセンス表示装置53に表示させるようになっている。
本実施形態では、電飾制御基板172が、演出制御プログラムの制御によって、エレクトロルミネセンス表示装置53に演出映像を表示させるにあたり、隣接する遊技機に続くタイミング(詳しくは後述する)で、例えば300msのインターバルを経て800msにわたり演出映像を表示している。つまり、隣り合うパチンコ機においては、一方のパチンコ機が演出映像を800msにわたり表示した後、それに続く隣のパチンコ機が300msにわたり演出映像を表示せず、その後に800msにわたり新たに演出映像を表示するようになる。
本実施形態は、複数のパチンコ機が一緒に魚群演出を行っているのではなく、独立した各パチンコ機が、当選波を受信することによりその当選波の情報に基づいて、各パチンコ機のタイミングで魚群を表示させている。したがって、遊技機列を一望したときに、結果として連動して魚群演出を行っているように見えるのである。
ここで、大当り抽選に当選したパチンコ機(当選パチンコ機)が隣接する遊技機列内の各パチンコ機に当選波を出力するタイミングおよび当選パチンコ機と当選波を受けた複数のパチンコ機とが連動して魚群演出を開始するタイミングについて説明する。
本実施形態の主制御基板156において、大当り抽選に当選し、変動番号が決定すると、それに伴いコマンド、変動内容、変動時間が得られる(図6参照)。
本実施形態における「変動内容」とは、演出表示装置50に表示される演出の内容およびこの演出内容に対応させてスピーカ14,36から出力される効果音や楽曲のことを示す。
本実施形態の主制御基板156において、例えば大当り抽選に当選(図6のテーブル中の当落が○)し、変動番号が「5」と決定した場合、コマンド「05H」、変動内容「ノーマルリーチ進・戻当り」、変動時間「20160ms」が得られる(図6参照)。
変動時間「20160ms」とは、当選パチンコ機における変動開始から変動終了(液晶表示装置50における図柄が停止する)までの時間を意味する。当選パチンコ機においては、この変動時間の範囲内で、魚群演出を含む期待演出が行われる。
本実施形態において「期待演出」の一例として「魚群」をモチーフとする動画を用いているが、魚群にとらわれず、「鳥の群れ」であったり、「人の群れ」であったり、「流星群」であってもよい。
サブ統合基板168が主制御基板156から当選結果情報に関する演出コマンド(図6に示す抽選結果、変動時間、変動内容)を受信すると、その情報は電飾制御基板170に送信され、後述する「当選波」を出力する。なお当選波を出力するか否かを抽選によって決めてもよい。これは各パチンコ機が連動して順次実行する魚群のような期待演出動作を実行することのみならず、各期待演出動作を規制して、演出動作を実行しないように規制することも含んでいるからである。
魚群演出を実行しないように制御する態様の一つとして、遊技が行われていないパチンコ機については、当選波を受信(受信については口述する)しても、魚群演出を行わないように制御していてもよい。このようにすると、遊技島において遊技している遊技者が一人であった場合であって、かつそのパチンコ機が大当りに当選したときに、魚群演出を一人だけで行うこともできる。魚群演出が行われるということは、つまり必ず大当りが含まれているため、一人しかいない遊技島において、複数台で魚群演出を行うことにより、大当りは確実に自分であるという実感と興奮を得られる。しかしながら自分が大当りであることを認識した後は、長時間魚群演出を行なう利点があまりない場合も考えられるからである。
当選波を出力したパチンコ機は、内部的な抽選において当選したことを表す当選波を出力するものの、この当選パチンコ機の遊技者のみならず周辺のパチンコ機の遊技者は、この当選波を知得することができないため、即座にこの当選を認識することができない。
一定の条件(詳しくは後述する)を満たして当選波を受信した、隣接する遊技機列内の各パチンコ機と当選パチンコ機は、パチンコ機上部に設置されている演出用ランプ92を一斉に点灯させる。
演出用ランプ92の点灯および点滅については、前記のように当選パチンコ機と当選波を受信した遊技機列内の各パチンコ機が同じタイミングで一斉に演出用ランプ92を点灯させてもよく、また、隣接する遊技機列のうち一方の最端に位置するパチンコ機からもう一方の最端に位置するパチンコ機へと連鎖するように順番に点灯させてもよい。また、後述する一定の条件を満たした遊技機列の範囲内であれば、点灯および点滅をランダムに行ってもよい。
前記演出用ランプ92が一斉に点灯および点滅することにより、遊技機列内の遊技者やホール来場者の視覚に対して刹那に強い光のインパクトを与える。同時に、演出用ランプ92が点滅している遊技機列内のどれかが当選パチンコ機であるということを一望することができる。また、これら遊技機列内の各遊技者は、この遊技機列内のどれかが当選パチンコ機であるということを認識するとともに、「もしかしたら自分の台が当選しているかもしれない」という期待を抱く。演出用ランプ92が点滅した遊技機列のうち必ず1機が大当りに当選していることが確実であるので、遊技機列内の各パチンコ機の遊技者の期待度が通常のリーチ演出よりもはるかに高いものになることはいうまでもない。
パチンコは基本的に一人で楽しむものであるため、誰かが自分の隣に座っても、隣のパチンコ機の遊技状態を観察するような行為は喜ばしいことではない。したがって、たとえ隣の台が大当りになったとしても、その遊技状態をチラッと見ることはあっても、まじまじと覗き込むことはご法度というのが暗黙の了解である。しかしながら本実施例におけるパチンコ機は、前述のように大当り抽選に当選したパチンコ機だけでなく、当選波を受信したパチンコ機(つまりはずれのパチンコ機)も一緒に期待演出を行う。したがって演出用ランプ92が一斉に点灯すると、後述する魚群演出が終了するまで、隣のパチンコ機、さらには演出用ランプ92が点灯しているすべてのパチンコ機のエレクトロルミネセンス面を覗きこんだり、自分のパチンコ機より少し離れたパチンコ機を観察するためにのけぞって見たりなど、堂々と隣接する遊技機列のパチンコ機を見ながら自分の台の当選を期待することになる。また、エレクトロルミネセンス面で表示する場合は、外部からも視認しやすいため、隣接するパチンコ機を覗き込むことを要しない。
演出用ランプ92が点灯したすべてのパチンコ機の遊技者およびホール来場者は、演出用ランプ92が一丸となって一斉に点灯するのと同時に、隣接するパチンコ機のエレクトロルミネセンス面に映し出される魚群演出に釘付けとなり、魚群の行く末を目で追いかけることになる。各遊技者は、魚群が自分のもとへ来れば当りであることがわかるため、自分のもとへ魚群が来ることを切に願いつつエレクトロルミネセンス面の魚群を追いかけるという点で、期待感に一体感が生まれる。
自分のパチンコ機が、内部的に大当り抽選に当選している場合には、魚群演出中において、魚群が自分のパチンコ機に出現したときは、はずれのパチンコ機とは異なる演出態様を行うため、はずれのパチンコ機に座っている遊技者は魚群に対して「できれば自分のパチンコ機を通過するのではなく、他の態様を見せて欲しい」という期待を抱く。この期待感を煽るため、各パチンコ機に出現する毎に、遊技者にボタンを押させるなどして魚群演出に遊技者を参加させるようにしてもよい。
通常、単調な遊技状態が長時間にわたって続くと、遊技者はやがて眠気を感じてくる。しかしながら本実施例におけるパチンコ機の演出用ランプ92が点灯すると、点灯した遊技機列周辺は急に明るくなる。この明るさは、遊技者が仮にうつむき加減で座っていたとしてもその明るさを感じることができる程度の明るさであるので、少々眠気を感じてきていても、その明るさで眠気が消え、さらに眠気により低下していた興趣を回復させることができる。
(魚群演出開始のタイミング)
次に、本実施形態における魚群演出を開始するタイミングの決定について説明する(図7参照)。演出制御プログラムでは、サブ統合基板168が受信した、当選情報に関する演出コマンド(図6に示す抽選結果、変動時間、変動内容)に対応する魚群演出の開始ポイント(図7の(1)を参照)および魚群演出を開始する時間(図7の(2)参照)を制御することができる。つまり、演出コマンドに基づいて、魚群演出の開始テーブルと魚群演出の開始時間を決定することができる。
魚群演出開始テーブルが決定すると、決定したテーブルに基づいて、変動開始から変動終了までのどのポイントから魚群演出を開始するかを抽選により決定する(図7の(1)のテーブル中のBに該当)。本実施形態において、魚群演出を行うポイントが変動開始時である確率は40%、上図柄停止時は30%、リーチ表示時は30%、下図柄停止時、前半終了直前、後半開始時、後半終了直前は0%であると予め設定されている。0%となっているポイントが選択されることはない。
本実施態様において、下図柄停止時、前半終了直前、後半開始時、後半終了直前での魚群演出開始を0%にしているのは、変動時間の範囲内で魚群演出を終了させることを目的としているからである。上記のポイントに魚群演出の可能性があるとなると、例えば演出コマンドに基づいて、長い演出時間の魚群演出が決定された場合に、変動時間内に魚群演出が終了しないような魚群演出開始ポイントから魚群演出が開始されるという事態が生じる。こうなると、結果的に仮に大当りのパチンコにおいて、変動は終了している(大当りが決定している)のに、魚群がまだやって来ないなどの違和感のある状態となってしまい、大当りの感動が興ざめしてしまう可能性があるからである。
本実施形態において、例えば、サブ統合基板168が受信したコマンドが「05H」であった場合、魚群演出開始ポイントは「B」であり、魚群演出開始時間は「a」と決定する(図6参照)。「B」において、「変動開始時」に魚群演出が開始されるということが抽選により決定されると(図7の(1)参照)、魚群演出開始テーブル中「a」においても、「変動開始時」の時間情報(0ms)が必然的に選択される(図7の(2)参照)。「変動開始時」の時間情報が「0ms」とは、変動開始から0ms後に魚群演出が行われることを示す。
図7の(1)のテーブルにおいて、魚群演出の開始ポイントの確率を「変動開始時」に一番多く割り当てているのは、変動時間内のより早い段階から魚群演出を行うことにより、魚群の出現時間は必然的に長くなり、多くの遊技者に期待感を感じさせることができるためである。
ここで、「魚群演出が行われる」とは、大当り抽選に当選していた当選パチンコ機のエレクトロルミネセンス表示装置53に魚群の画像を表示させるだけでなく、当選パチンコ機から出力された当選波を受けた隣接遊技機列内の各パチンコ機を含めて連動して、各パチンコ機のエレクトロルミネセンス表示装置53に、後述する所定の方向から魚群を順に表示させる一連の演出動作をも含むものである。
このように、魚群演出が行われる予定の当選パチンコ機において、上記方法により魚群演出の開始ポイントと開始時間を決定することにより、大当り抽選に当選しているパチンコ機であっても、変動開始から変動終了まで間、どのポイントから魚群演出を開始するかが毎回異なる。そうすると、大当り抽選に当選しているパチンコ機の遊技者は、演出用ランプ92が点滅してから各パチンコ機における魚群演出が終了するまでの間、自分の台が大当りかもしれないという期待感を抱き続ける。同様に、大当り抽選に当選していないパチンコ機であっても、演出用ランプ92が点滅した時点から魚群演出が終了するまで(演出用ランプ92の点滅が終了するまで)、その遊技者は内部的な抽選において当選しているかもしれないとの期待感を抱き続ける。すなわち、たとえランプの点灯時にリーチ演出などが特に行われていない場合、いわゆる通常の変動状態であっても、演出用ランプ92が点滅することにより、大当りへの期待感を高めることができる。
本実施例において、図7の(1)に示す魚群演出開始ポイントテーブル中「D」には、変動開始時から後半終了直前までのすべてのポイント(下図柄停止時を除く)に、魚群演出開始の確率を割り振っている。「後半終了直前」とは、例えば3枚ある図柄のうち、上図柄が停止、下図柄が停止、そして中央の図柄が停止する直前といった態様、または変動の途中で行われたリーチ演出の終了直前といった態様等が挙げられる。「後半終了直前」に魚群演出が開始するということは、変動開始から後半終了直前(魚群演出の開始ポイントの前)まで、通常の状態と同様の変動状態や、「いかにもハズレの変動状態」であってよい。
「いかにもハズレの変動状態」とは、例えば、一方の図柄(例えば上図柄)が「3」で停止した状態でもう一方の図柄(例えば下図柄)が「4」で停止し、最後に中央の図柄が未だ変動中ではあるが、中央の図柄がどの数字で停止しようともハズレに間違いないように思える変動状態である。このような状態は、遊技者が当りを期待することはないどころか、ストレスを与え、興趣の低下を招く。
しかしながら本実施例においては、前記に示すような「いかにもハズレの変動状態」であっても、魚群演出を開始させることができる。このようにすると、前記のように上図柄が「3」で停止した状態で下図柄が「4」で停止した場合においても、あえて中央の変動を長くするといった変動挙動を行わせることができる。
前記のように、本実施例においては、ハズレの変動状態中であっても大当りになる可能性があることから、ひとたび演出用ランプ92が点灯すれば、点灯した遊技機列中の各パチンコ機の遊技者全員が、「自分の台が当たりかもしれない」という期待感を抱くことができる。
(4.パチンコ機の動作例)
パチンコ機1は以上のような構成であり、次にパチンコ機1の動作例について説明する。
(4−1.通常遊技状態におけるパチンコ機の動作例)
まず、パチンコ機1における基本的な動作について説明する。このパチンコ機1においては、遊技者が発射ハンドル18を操作することによって遊技球が遊技領域12内に発射される。この遊技領域12内には所定の釘が多数設けられており、発射された遊技球が、これらの釘によって跳ね回り遊技者にとって予測不可能な挙動を示す。
この遊技領域12内には演出装置42に入球装置56が設けられており、遊技領域12内の遊技球がこの入球装置56に入賞すると所定の入賞信号が発生する。主制御基板156においては、その遊技制御プログラムが液晶表示装置50を用いた装飾図柄の変動表示の制御を開始するとともに、この入賞信号の発生を契機として所定の当り値判定用乱数を用いた抽選を実行する。
具体的には、遊技制御プログラムは、例えば4msごとに1ずつインクリメントすることで、例えば0〜670の間で繰り返し変動する当り値判定用乱数を発生している。この遊技制御プログラムは、始動入賞を契機に、この当り値判定用乱数としてこれら0〜670のいずれかの値を取得する。
このとき遊技制御プログラムは、この取得した当り値判定用乱数が所定の当り値に一致などすると、この大当り抽選において当選したものとし、まず当選フラグをON(1)とする。なお、本実施形態では、例えば2つの当り値が用意されているため、遊技制御プログラムは、1/335.5の抽選確率で当選するようになっている。
遊技制御プログラムは、当選フラグに関する情報(当選情報)および変動時間を決定し、これらを含む演出コマンドを、例えば4msごとに実行する定常処理に含まれるコマンド送信処理においてサブ統合基板168に送信する。なお、この変動時間とは、後述するリーチパターンなどの演出パターンを実行すべき時間に相当している。
一方、サブ統合基板168においては、演出制御プログラムが、演出コマンドを受け取った際、リーチ演出を実行すべきか否かを決定する演出抽選を実行しており、例えば1/11.5の確率でリーチ演出を実行するよう制御する。この演出制御プログラムは、この演出抽選の結果、リーチ演出を実行すべき場合、次のようなリーチパターン振分テーブルに基づいて、例えば4つのリーチパターンのうちどのリーチパターンを選択して実行すべきかについて抽選を実行する。
図8は、リーチパターン振分テーブルの内容の一例を示す図である。本テーブルには、演出制御プログラムが実行すべきリーチパターンの振り分けに関する情報、つまり変動番号、コマンド、変動内容、変動時間、ハズレ時乱数値および当り時乱数値が格納されている。本実施形態では、このリーチパターンとして、例えばノーマルリーチ、黒潮リーチ、珊瑚リーチ、レミリーチおよびなみリーチを例示して説明する。これらのリーチパターンは、各々、その変動時間(実行時間)が異なっている。
演出制御プログラムは、当選フラグの内容に応じて、例えば当選フラグがOFF(0)である場合に使用するハズレ乱数値を管理しているとともに、当選フラグがON(1)である場合に使用する当り時乱数値を管理している。この演出制御プログラムは、これらハズレ時乱数値および当り時乱数値を、例えば2msごとにカウントアップし、これらハズレ時乱数値および当り時乱数値を各々0〜199の間で繰り返し変動させている。
この演出制御プログラムは、上記演出コマンドを受信すると、この演出コマンドに基づいて演出抽選を実行し、この演出抽選の結果、リーチ演出を実行することになった場合で、当選フラグがOFFであるときにはハズレ時乱数値(例えば「0」〜「199」)を用いてリーチパターンを選択する一方、この当選フラグがONであるときには当り時乱数値(例えば「0」〜「199」)を用いて、リーチパターンを選択する。
具体的には、演出制御プログラムは、当選フラグがONである場合において、例えば当り時乱数値が0〜2の範囲内とき(図8中の変動番号「3」)はノーマルリーチ(変動時間21000ms)を選択し、例えば当り時乱数値が19〜25の範囲内とき(図8中の変動番号「11」)は黒潮リーチ(変動時間28000ms)を選択し、例えば当り時乱数値が55〜59の範囲内とき(図8中の変動番号「14」)は珊瑚リーチ(変動時間29000ms)を選択し、例えば当り時乱数値が70〜79の範囲内とき(図8中の変動番号「17」)はレミリーチ(変動時間32000ms)、例えば当り時乱数値が40〜44の範囲内とき(図8中の変動番号「30」)は、なみリーチ(変動時間24000ms)を選択する。
一方、演出制御プログラムは、当選フラグがOFFである場合において、例えばハズレ時乱数値が0〜179のとき(図8中の変動番号「1」)は通常変動を選択し、例えばハズレ時乱数値が180〜189のとき(図8中の変動番号「2」)はノーマルリーチを選択し、例えばハズレ時乱数値が192のとき(図8中の変動番号「13」)は黒潮リーチを選択し、例えばハズレ時乱数値が193のとき(図8中の変動番号「16」)は珊瑚リーチを選択し、例えばハズレ時乱数値が197のとき(図8中の変動番号「28」)はレミリーチを選択し、例えばハズレ時乱数値が198〜199のとき(図8中の変動番号「29」)は、なみリーチを選択する。
(4−2.当選波出力予約処理)
図9は、サブ統合基板168における当選波出力予約処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここで、この当選波出力予約処理は、例えば2msごとにサブ統合基板168のCPU168cの制御によって演出制御プログラムが実行する、割込み処理に含まれる処理である。この当選波出力予約処理は、大当り抽選において当選している場合に、既定の振幅を有する当選波を出力する予約をする処理である。なお、本実施形態では、当選遊技機を含め、遊技機列において例えば7台のパチンコ機が連動して期待演出動作を実行するものとして説明する。
まず、演出制御プログラムは、上記当選フラグをチェックして大当り抽選に当選しているか否かを判断し(ステップS1)、当選していない場合(当選フラグ=OFF)には当選波出力予約処理を終了する一方、当選している場合(当選フラグ=ON)には、演出方向を決定する演出方向決定処理を実行する(ステップS2)。
具体的には演出制御プログラムは、図10に示す演出進行方向選択テーブルを管理しており、この取得した演出進行方向用乱数値に基づいて、期待演出動作の進行方向を決定する。つまり、この演出制御プログラムは、取得した演出進行方向用乱数値に基づいて演出映像が進行すべき方向を選定しているのである。
具体的には、演出制御プログラムは、例えば演出進行方向用乱数値が0〜39である場合には、演出進行方向フラグを「0」に設定する。なお、演出進行方向フラグが「0」である場合、当選波を出力せず期待演出動作を実行させない(演出映像を表示させない)ことを示している。また演出制御プログラムは、例えば演出進行方向用乱数値が40〜69である場合には、演出進行方向フラグを「1」に設定する。なお、演出進行方向フラグが「1」である場合、演出映像を左方向から右方向に進行させることを表している。また演出制御プログラムは、例えば演出進行方向用乱数値が70〜99である場合には、演出進行方向フラグを「2」に設定する。なお、演出進行方向フラグが「2」である場合、演出映像を右方向から左方向に進行させることを表している。
次に演出制御プログラムは、当選波を出力すべき方向の振り分けを決定する(ステップS3)。この当選波の出力方向を振り分けるにあたっては、併せて、当選波を受け取らせるべき遊技機の台数に応じた当選波の振幅も決定している。
具体的には、演出制御プログラムは、例えば2msごとにカウントする出力振分用乱数値(例えば0〜99)を発生しており、例えば当選波を出力すべきタイミングにおいてこの出力振分用乱数値を取得する。これとともに演出制御プログラムは、図11に示す出力方向振分テーブルを参照し、取得した出力振分用乱数値に応じて当選波を出力すべき方向を定めている。この出力方向振分テーブルは、取得した出力振分用乱数値(図示の乱数値に相当)ごとに、出力すべき当選波の出力方向を振り分けるための情報を含むテーブルであるとともに、当選波を到達させるべきパチンコ機の台数を定めるための抽選を実行するための情報を含むテーブルである。
具体的には、この演出制御プログラムは、例えば自己のパチンコ機を含めて7台で連動して期待演出動作を実行する場合、取得した出力振分用乱数値が0〜29であったときは、左側3台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側3台のパチンコ機で連動するものと設定する。また、この演出制御プログラムは、取得した出力振分用乱数値が30〜59であったときは、左側4台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側2台のパチンコ機で連動するものと設定する。また、演出制御プログラムは、取得した出力振分用乱数値が60〜89であったときは、左側2台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側4台のパチンコ機で連動するものと設定する。
また、この演出制御プログラムは、取得した出力振分用乱数値が90〜93であったときは、左側5台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側1台のパチンコ機で連動するものと設定する。そして、この演出制御プログラムは、取得した出力振分用乱数値が94〜97であったときは、左側1台のパチンコ機と自己のパチンコ機と右側5台のパチンコ機で連動するものと設定する。
また、この演出制御プログラムは、取得した出力振分用乱数値が98であったときは、左側6台のパチンコ機と自己のパチンコ機のみで連動するものと設定する。そして、この演出制御プログラムは、取得した出力振分用乱数値が99であったときは、自己のパチンコ機と右側6台のパチンコ機で連動するものと設定する。本実施形態では、このように演出制御プログラムが設定した当選波の出力方向および台数に関する情報(出力すべき当選波の振幅に関する情報)を「出力設定情報」と呼称する。この出力設定情報としては、右側に当選波を出力すべきか否かを表す右出力フラグを含んでいるとともに、左側に当選波を出力すべきか否かを表す左出力フラグを含んでいる。
このうち右出力フラグは、自己のパチンコ機の右側において少なくとも1台のパチンコ機が連動して期待演出動作を実行すべき場合には「1」に設定され、この右側に連動して期待演出動作を実行すべきパチンコ機が存在しない場合には「0」に設定される。また、その一方、この左出力フラグは、自己のパチンコ機の左側において少なくとも1台のパチンコ機が連動して期待演出動作を実行すべき場合には左出力フラグを「1」に設定し、この左側に連動して期待演出動作を実行すべきパチンコ機が存在しない場合には「0」に設定される。
演出制御プログラムは、右出力フラグが「1」である場合(図9のステップS4)、当選波右側送出バッファに当選波右出力指示コマンドを格納することで出力予約をする(ステップS5)。この出力予約した当選波右出力指示コマンドは、当選波を到達させるべきパチンコ機の台数に応じて振幅の大きさ(強度の一例)に関する強度情報を含んでいる。一方、この演出制御プログラムは、左出力フラグが「1」である場合(ステップS4)、当選波左側送出バッファに当選波左出力指示コマンドを格納することで出力予約をする(ステップS6)。この出力予約した当選波左出力指示コマンドは、当選波を到達させるべきパチンコ機の台数に応じて振幅(強度の一例)に関する情報を含んでいる。
また演出制御プログラムは、右出力フラグおよび左出力フラグが各々「0」である場合、これら当選波右側送出バッファおよび当選波左側送出バッファに各々当選波右側出力指示コマンドおよび当選波左側出力指示コマンドを格納しない。なお、本実施形態においては、これら当選波右出力指示コマンドおよび当選波左出力指示コマンドを総称して「当選波出力指示コマンド」と呼称する。つまり、この場合、演出制御プログラムは当選波側出力指示コマンドの出力予約をしない。
(4−3.当選波出力実行処理)
図12は、サブ統合基板168における当選波出力実行処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、この当選波出力実行処理は、例えば2msごとにサブ統合基板168のCPU168cの制御によって演出制御プログラムが実行する、割込み処理に含まれる処理である。この当選波出力実行処理は、上記当選波右側送出バッファに当選波右出力指示コマンドが存在している場合、或いは、上記および当選波左側送出バッファに当選波左出力指示コマンドが存在している場合、実際に当選波の出力を実行する処理である。
まず演出制御プログラムは、当選波右側送出バッファに、当選波を右側から出力すべき旨の当選波右出力指示コマンドが存在しているか否かを判断する(ステップS20)。当選波右出力指示コマンドが存在していない場合には、演出制御プログラムが当選波出力実行処理を終了する。
ここで、当選波右出力指示コマンドが存在する場合には、サブ統合基板168の演出制御プログラムが、波形制御基板174に対して当選波右出力指示コマンドを出力することで波形制御基板174を制御し、この波形制御基板174が、当選波出力用右側ポートから当選波送受装置80bに当選波右出力指示コマンドを与え、この当選波送受装置80bに当選波を出力させる(ステップS21)。なお、この当選波の振幅は、自己のパチンコ機から、遊技機列において連動して期待演出動作を実行すべき最端パチンコ機までの距離に応じて決定された振幅となっている。
一方、演出制御プログラムは、当選波左側送出バッファに当選波左出力指示コマンドが存在しているか否かを判断する(ステップS22)。当選波左出力指示コマンドが存在していない場合には、演出制御プログラムが当選波出力実行処理を終了する。一方、この当選波左出力指示コマンドが存在する場合には、演出制御プログラムが、波形制御基板174に対して当選波左指示コマンドを出力することで波形制御基板174を制御し、この波形制御基板174が、当選波出力用左側ポートから当選波送受装置80aに当選波出力指示コマンドを与え、この当選波送受装置80aに当選波を出力させる(ステップS23)。ここで、この当選波の振幅は、自己の遊技機から、遊技機列において連動して期待演出動作を実行すべき最端遊技機までの距離に応じて決定された振幅となっている。なお、この当選波には、出力時における当選波の振幅に関する強度情報が含められている。
(5.期待演出処理)
(5−1.当選波検出処理)
図13は、サブ統合基板168が実行する当選波検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、この当選波検出処理は、例えば2msごとにサブ統合基板168のCPU168cの制御によって演出制御プログラムが実行する、割込み処理に含まれる処理である。この当選波検出処理は、周囲のパチンコ機が大当り抽選において当選した場合に出力した当選波を検出する処理である。
まず、サブ統合基板168のCPU168cは、その演出制御プログラムの動作によって波形制御基板174を制御し、当選波送受装置80a,80bにそれぞれ対応した当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポート(当選波検出用ポート)を参照させる。これら当選波送受装置80a,80bは、それぞれ対応する当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートを参照する(ステップS30)。
そして演出制御プログラムは、これら当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートにおいて、当選波が検出されているか否かを判断する(ステップS31)。ここで、これら当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートのいずれにも当選波が検出されていないと判断されると、当選波送受処理を終了する。一方、演出制御プログラムは、これら当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートのいずれかに当選波が到着している場合には、期待演出動作を実行すべきか否かを表す期待演出実行フラグをまずOFFに初期化した後(ステップS32)、この当選波の解析を行う(ステップS33)。この解析内容としては、検出した当選波の振幅を取得することを挙げることができる。なお、本実施形態では、当選波の振幅を例示しているが、これに限られず、当選波の減衰が確認できればどのような要素を解析しても良い。
次に演出制御プログラムは、検出された当選波が当選波左送受ポートおよび当選波右送受ポートのうちどちらの当選波送受ポートを経由しているかを判断し(ステップS34)、当選波右送受ポートを経由している場合には、「OFF(0)」であった当選波右検出フラグを「ON(1)」と設定する一方(ステップS35)、当選波送受用左ポートを経由している場合には、「OFF(0)」であった当選波左検出フラグを「ON(1)」と設定する(ステップS36)。これら当選波右検出フラグおよび当選波左検出フラグは、各々検出した当選波の出力源(当選パチンコ機)の方向が右であることおよび左であることを表している。
図14は、演出タイミング決定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図15は、当選波および減衰した当選波の振幅の一例を示す図であり、図16は、検出された当選波の減衰量に対応した自己の位置を表すテーブルである。
なお、この図14に示す演出タイミング決定処理は、例えば2msごとにサブ統合基板168のCPU168cの制御によって演出制御プログラムが実行する割込み処理に含まれる処理である。この演出タイミング決定処理は、周囲のパチンコ機が大当り抽選に当選していることが判明した場合、期待演出動作を実行すべき演出タイミングを決定する処理である。
まず演出制御プログラムは、上記期待演出実行フラグが「ON」であるか否かを判断し、この期待演出実行フラグが「ON」でない場合(「OFF」である場合)、期待演出動作を実行すべきでないとして演出タイミング決定処理を終了する。一方、演出制御プログラムは、この期待演出実行フラグが「ON」である場合、期待演出動作を実行すべきであると判断し、次のように処理を進める。
すなわち演出制御プログラムは、まず、上記当選波右検出フラグおよび当選波左検出フラグのいずれかが「ON」であるか否かを判断する(ステップS41)。なお、図示の例においては、これら当選波右検出フラグおよび当選波左検出フラグを総称して「当選波検出フラグ」と呼称している。これら当選波右検出フラグおよび当選波左検出フラグのいずれも「ON」でない場合には、この演出タイミング決定処理を終了する一方、これら当選波右検出フラグおよび当選波左検出フラグのいずれが「ON」である場合には、図15に示すように検出した当選波の出力波形99bの振幅W1、第1検出波形99cの振幅W2、第2の検出波形99dの振幅W3などと、出力波形99aの既定の振幅W0とを比較する(ステップS42)。つまり演出制御プログラムは、検出された当選波の減衰量をチェックしているのである。
ここで演出制御プログラムは、例えば図16に示すテーブルに基づいて、当選波の減衰量に対応して配列台数を判断するとともに、この配列台数に基づいて演出映像を表示する演出タイミングを設定する。ここでいう「配列台数」とは、当選波を出力した当選パチンコ機から最端パチンコ機まで遊技機列において、この当選遊技機から何台目に自己が位置しているかを表している。なお、本実施形態では、このような演出映像を、遊技機列を構成する6台のパチンコ機(当選遊技機を含めず)によって連動して期待演出動作を実行するものと例示している。
具体的には、演出制御プログラムは次のようにして当選波の減衰量に基づいて演出タイミングを決定している(ステップS43)。まず、図16に示すように当選波の減衰量が0%である場合には、当選パチンコ機に極めて近接しており当選パチンコ機からの配列台数が1台目であることから、最後に(7番目)演出映像を表示すべく演出タイミングを8600msに設定する。そして、当選波の減衰量が約10%、20%、30%、40%、50%、60%である場合には、各々配列が2台目、3台目、4台目、5台目、6台目および7台目であることから、6番目(7500ms後)、5番目(6400ms後)、4番目(5300ms後)、3番目(4200ms後)、2番目(3100ms後)および1番目(2000ms後)に演出映像を表示すべく演出タイミングを設定する。ここで、例えば2番目に演出映像を表示する場合を例示すると、この「3100ms後」とは、当選パチンコ機が出力した当選波を検出した時点を基準として3100ms後であることを意味している。
ここで、演出制御プログラムは、このように演出タイミングを決定すると、例えば図示しない演出タイミング管理タイマによって、この演出タイミングを管理している。この演出管理タイミングタイマは、例えば割込み処理において2msごとにカウントアップすることで、例えば演出タイミングが3100ms後である場合を例示すると、演出管理タイミングタイマが1550となるまでカウントアップするようになっている。つまり、本実施形態において各パチンコ機が期待演出動作を実行する間隔が1100msと設定している。
以上のようにして、演出制御プログラムは、当選パチンコ機から最端パチンコ機までの間に配列する遊技機列における自己の位置を取得するとともに、この自己の位置に応じて期待演出動作として、例えば最端パチンコ機から演出映像の表示を開始した場合における、自己が演出映像の表示を実行すべき演出タイミングを把握することができるのである。つまり本発明のパチンコ機は、このパチンコ機列を構成する当選パチンコ機と最端パチンコ機との相対的な位置関係を把握することができるのである。
そして本発明のパチンコ機は、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って、各パチンコ機が期待演出動作を順次実行する場合、自らが期待演出動作を実行すべき演出タイミングを決定し、このタイミングにおいて、自己のパチンコ機を除く当選パチンコ機において内部的な抽選において当選している旨を、期待演出動作として実行する。このため本発明のパチンコ機によれば、自己が期待演出動作を実行すべき演出タイミングを正確に取得することができるばかりでなく、その正確な演出タイミングで期待演出動作を実行することができる。
本実施形態では、演出制御プログラムは、期待演出実行フラグがONである場合のみならず「OFF」である場合においても、演出管理タイミングタイマが1000となるまで、つまり最初の2000msにわたり、電飾制御基板170を制御して装飾用の演出用ランプ92を点滅させるとともに、電飾制御基板172を制御して装飾用ランプ78を点滅させている。つまり、この2000msにわたり、連動して期待演出動作を実行する遊技機列内の各パチンコ機は、連動して演出用ランプ92などの点滅をさせて、遊技機列内の遊技者やホール来場者に、この遊技機列内において当選パチンコ機が存在することを表明しているのである。このようにすると、この期待演出動作に接した各遊技者は、遊技機列を構成している周囲のパチンコ機のいずれかにおいて大当り抽選に当選したことを知得することができる。
このような各演出用ランプ92などの点滅の開始とともに、演出制御プログラムは、波形制御基板172を制御してエレクトロルミネセンス表示装置53に表示されている背景画像を予め定められた背景画像に変化させ、遊技者やホール来場者に対して、上記期待演出動作の実行(演出映像の表示)を開始する旨を予告する。
(5−2.演出映像表示処理)
図17は、演出映像表示処理の手順の一例を示すフローチャートであり、図18〜図25は、それぞれ期待演出動作の一例として表示される演出映像の一例を示すイメージ図である。なお、この図17に示す演出映像表示処理は、例えば2msごとにサブ統合基板168のCPU168cの制御によって、演出制御プログラムが実行する割込み処理に含まれる処理である。この演出映像表示処理は、決定された演出タイミングで演出映像を実際に表示させる処理である。
まず、パチンコ機1においては、遊技者による遊技の進行に応じて様々な演出表示が実行されており、その一方で始動入賞を契機として、上記大当り抽選を実行する一方、この液晶表示装置50において図柄の変動表示が実行されている。演出制御プログラムは、主制御基板156から受け取った演出コマンドに基づいて、この演出コマンドに含まれる大当り抽選の結果に応じて停止図柄を決定し、電飾制御基板172を制御して液晶表示装置50に停止図柄を表示させている。
またこの一方、演出制御プログラムは、自己の演出タイミングとなったかどうか、つまり、演出管理タイミングタイマが例えば「1550」となっているかどうかを判断する(ステップS51)。次に演出制御プログラムは、当選波右検出フラグが「ON(1)」であるかどうか、つまり、検出した当選波が、右方向の出力源(当選パチンコ機)から到着したものであるかどうかを判断する(ステップS52)。
ここで、演出制御プログラムは、当選波が左方向から検出された場合には、右から左に向かって流れる演出映像(第1演出映像)を選択する(ステップS54)。そして演出制御プログラムは、この選択した演出映像に関する表示を指示する(ステップS55)。
この表示の指示としては、例えば演出制御プログラムが電飾制御基板172に対して表示すべき演出映像を指示する。ここで電飾制御基板172には、上述のようにCROM172gや図示しないVDPなどが搭載されている。このVDPは、電飾制御基板172のCPU172cの指示に従って、このCROM172gから、選択された演出映像データを読み出すとともに、この読み出した演出映像データに基づく演出映像として、例えば図18〜図21に各々示すように第1演出映像SP1を、エレクトロルミネセンス表示装置53に表示させる。
図18に示す表示態様においては、第1演出映像SP1の一例としての魚群の前部が表示領域右側に表示されるとともに、時間の経過に従って魚群が右から左に向かって進行し、図19に示す表示態様のように魚群のほぼ全体が表示領域全体に現れる。さらに時間が経過すると、図20に示す表示態様のように魚群が左に向かって進行し、この魚群のやや後部が表示領域内に表示される。そしてさらに時間が経過すると、図21に示す表示態様のように、この魚群がさらに左に進み、この魚群の最後尾が表示される。なお、表示される演出映像に含まれる演出媒体は、図示のような魚群に限られず、その他の移動体であっても良いことはいうまでもない。
一方、演出制御プログラムは、当選波が右方向から検出された場合には、左から右に向かって流れる演出映像(第2演出映像)を選択する(ステップS53)。そして演出制御プログラムは、この選択した演出映像に関する表示を指示する(ステップS55)。
この表示の指示としては、例えば演出制御プログラムが電飾制御基板172に対して表示すべき演出映像を指示する。ここで電飾制御基板172には、上述のようにCROM172gや図示しないVDPなどが搭載されている。このVDPは、電飾制御基板172のCPU172cの指示に従って、このCROM172gから、選択された演出映像データを読み出すとともに、この読み出した演出映像データに基づく演出映像として、例えば図22〜図25に各々示すように第2演出映像SP2を、エレクトロルミネセンス表示装置53に表示させる。
図22に示す表示態様においては、第2演出映像SP2の一例としての魚群の前部が表示領域左側に表示されるとともに、時間の経過に従って魚群が左から右に向かって進行し、図23に示す表示態様のように魚群のほぼ全体が表示領域全体に現れる。さらに時間が経過すると、図24に示す表示態様のように魚群が右に向かって進行し、この魚群のやや後部が表示領域内に表示される。そしてさらに時間が経過すると、図25に示す表示態様のように、この魚群がさらに右に進み、この魚群の最後尾が表示される。なお、表示される第2演出映像SP2に含まれる演出媒体は、図示のような魚群に限られず、その他の移動体であっても良いことはいうまでもない。
本実施形態においては、これら図18〜図21或いは図22〜図25に示す各演出映像SP1,SP2は、各々、隣り合う両パチンコ機における演出タイミングの間隔(例えば1100ms)とすると、隣のパチンコ機が800msにわたり演出映像を表示した後、300msのインターバルを経て続けて、自己のパチンコ機が800msにわたり演出映像を表示することから、これら隣のパチンコ機や自己のパチンコ機で構成される遊技機列によって、演出映像SP1,SP2のいずれかが連続的に連動して表示されるようになる。
このようにすると、本実施形態によれば、隣のパチンコ機による800msにわたる演出映像の表示が完了してから自己のパチンコ機が演出映像の表示を開始するまでの間に、300msにわたる多少の待ち時間が生じ、自己のパチンコ機に演出映像が表示されないのが、この待ち時間によるものであるか当選しているためであるのかを判別しにくくすることで、遊技者を心理的に翻弄し、興趣が尽きないようにすることができる。
図26〜36は、例えば複数で遊技機列を構成しているうちの3台における各遊技機の正面および各遊技機の演出態様の一例を示している。
図26中(a)、(b)、(c)は、例えば各々のパチンコ機において始動口52または始動口54への入賞を契機とする大当り抽選(内部的な抽選)の判定、変動開始〜変動の停止等の一連の動作を行っている状態を示す。92は演出用ランプを示し、1110は液晶表示装置中の演出表示領域を示し、1120はエレクトロルミネセンス表示装置53中の表示領域を示す。エレクトロルミネセンス表示装置53はガラス枠部のガラス部に設けられている。
図27中(b)は、(b)のパチンコ機がリーチ状態であることを液晶表示装置中の演出表示領域1110に表示している。この段階では、(b)が当選台であるか否かは遊技者からは判別できない。また、演出用ランプ92は点灯していない状態である。
図28は、(a)、(b)、(c)の演出用ランプ92が一斉に点灯したことを示している。これはパチンコ機(a)、(b)、(c)のうちどれか一台が確実に大当り抽選に当選していることを示している。さらに(c)のエレクトロルミネセンス(1120)には、期待演出に係る移動体(1130)(以下、「魚群」と記載する。)の演出が開始(エレクトロルミネセンス表示装置に表示)され始めている。ここで(a)、(b)、(c)の各遊技者は、自分の台がリーチであるか否かにかかわらず「もしかしたら自分の台が当選しているのかもしれない」という期待感を抱く。特に前記(b)のリーチ演出はまだ終わっておらず、また(a)のパチンコ機がリーチ状態に突入しているため、(a)および(b)の遊技者の心は翻弄される。魚群は遊技機列を右から左(もしくは左から右)へと予め背御された方向に通過するように進んでゆく。魚群はハズレの遊技機については通過するだけであるので、遊技者は魚群が自分の台を通過した後でようやく、自分の台がハズレ台であることを認識する。ただし、本実施例においてこの魚群の遊泳態様は一例であり、演出時間の範囲内であれば一度通過した魚群が引き返してくるように制御することも可能である。したがってどの遊技者にとっても、魚群が自分の台を通過した後にまた戻ってくる可能性があるという期待を抱くことができる。
魚群は大当りのパチンコ機に到着すると、他のパチンコ機での動作態様とは異なる態様をすることから、その態様を視認することにより、その遊技機が大当り台であることがわかる。他のパチンコ機での動作態様とは異なる態様をするとは、例えば魚群がマスゲームを行いうように魚群で「大当り」の文字を形成して表示する、他には魚群が方向転換して遊技者の方に向かってくるように泳ぐ、または遊技者に対して背を向けるように泳いで去っていく等が挙げられる。このように、魚群が1120で他のパチンコ機での動作態様とは異なる態様をすることが大当りにつながることから、(c)の遊技者は、魚群が出現すると、「魚群は通過するのではなく、自分の台で他の態様を見せてほしい」と願い続け、魚群が完全に通過するまで(演出用ランプ92が消えるまで)期待を持ち続ける。
図29の(b)は(c)から(b)に魚群が移動するのに、例えば300msのインターバルを経て(b)に出現しつつあることを示している。また、(b)と(c)の魚群をよく見ると、小さな魚が集まって、大きな魚を形作っていることを確認することができる。このいわば「大きな魚」は、遊技機より少し距離をとって観察する方が確認しやすく、他の遊技者やホール来場者に、遊技機列が連動して行っているエキシビションとしてアピールすることができる。
図30の(a)と(b)は、(c)から(b)への魚群の動きと同様、(b)から(a)に魚群が移動するのに、例えば300msのインターバルを経て(a)に魚群が出現しつつあることを示している。(a)の台に魚群が出現することにより、(a)の遊技者の心理は大当りの期待から確信へと変遷する。
図31および図32の(c)は、魚群が通過した後、演出用ランプ92の点滅が終了していることを示す図である。大当りでなかったパチンコ機の演出用ランプが、魚群の通過後に順に消灯していくので、最終的に演出用ランプ92が点灯し続けている台が大当りであるということがわかるようになっている。この演出用ランプの演出は、遊技者やホール来場者に対して、大当り台に向かってカウントダウンしているかのように見えることで注目を集める。
図33および図34の(b)は、図32(c)と同様、魚群が通過した後、演出用ランプ92の点滅が終了していることを示している。また、(a)のパチンコ機に到着した魚群が、他のパチンコ機では見られなかった動作を行っていることを示している。これにより、演出表示領域1110に「大当り」という文字がまだ表示されていない状態であっても、他の遊技者やホール来場者は「(a)のパチンコ機が大当りである。」ということを想到し得る。また、大当り台の遊技者は、「複数あるパチンコ機の中で、自分だけが大当りに選ばれた」という優越感を得ることができる。
図35は、変動が終了し、演出表示領域1110の図柄が揃ったことを示す。図36は図柄の停止後、「大当り」の文字が1110に表示されたことを示す。このとき、大当りでなかった隣接するパチンコ機の演出用ランプ92は点灯していないのに対し、大当り台の演出用ランプ92だけが点灯していることで、まるで大当り台がスポットライトを浴びているかのように目立たせることができる。
(5−3.当選パチンコ機における挙動)
そして当選パチンコ機においては、当選フラグがONであることを確認した後、自己の演出タイミング、つまり最後の演出タイミング(8100ms)において、これまでの演出映像の表示とは異なる演出態様とする。具体的には、演出制御プログラムは、これまで隣のパチンコ機などが期待演出動作としてきた演出映像の表示に代えて、例えば大当り抽選において当選したことを表す特定の演出映像を表示することを挙げることができる。
またさらに、これまでの演出映像の表示とは異なる演出態様としては、例えば演出制御プログラムが本来、自己の演出タイミングで演出映像を表示すべきであるにもかかわらず、この演出映像を表示しないことを挙げることができる。このようにすると、遊技機列を構成している各遊技機の遊技者は、隣のパチンコ機が演出映像の表示を完了した後、次は自己のパチンコ機で演出映像が表示されなければ、自己のパチンコ機が大当りに当選していることを知得することができるため、自己のパチンコ機において演出映像が表示されないことを祈りつつ待ち続けることができる。
(5−4.特別遊技状態におけるパチンコ機の動作例)
このように本実施形態では、遊技機列を構成するいずれかのパチンコ機において、大当り抽選に当選した場合、この遊技機列を構成する複数のパチンコ機の各遊技者に対して自己のパチンコ機が当選しているのではないかとの錯覚にも似た期待感を生じさせ、これら遊技者の遊技意欲を頻繁に高めることができる。そして、この遊技機列においては、このような期待演出動作が終了すると、当選パチンコ機の存在が明確に示され、この当選パチンコ機においては、特別遊技状態に移行するとともに、次のような特別遊技状態に特有の挙動を示す。
具体的には、この特別遊技状態では、所定のラウンド数にわたりアタッカ装置60がその開閉部材46aの開閉動作を実行し、この開閉動作に伴い遊技球がアタッカ装置60に入賞しやすい状態となる。このときアタッカ装置60に遊技球が入賞すると、主制御基板156が、払出制御基板158に対して賞球信号を出力することで、遊技者に対して賞球がなされるようになっている。この特別遊技状態では、このような遊技者に対する賞球がなされつつ、例えば演出動作に伴って波(所定の旋律など)が出力されることを含め特別な演出動作が実行される。
パチンコ機1は、このようなラウンド動作が予め設定されたラウンド数にわたり繰り返した後、通常の遊技状態に戻るものの、その状態でいわゆる時短状態や確率変動状態といった遊技者にとって有利な挙動を示す場合もある。このような時短状態や確率変動状態に移行している場合には、通常の遊技の進行に伴う演出動作とは異なる特殊な演出動作を実行する。そして演出制御プログラムは、このような特別遊技状態が終了すると、上記当選フラグをOFFに設定する。
(6.本実施形態による有用性についての言及)
上記遊技機列は、パチンコ機が複数配列して構成されている。この遊技機列を構成する各パチンコ機1は、始動入賞を契機として大当り抽選を実行しており、各々遊技の進行に応じていつしか大当り抽選に当選する可能性がある。ここで、この遊技機列を構成するあるパチンコ機(以下「当選パチンコ機」と呼称する)において当選した場合、この当選パチンコ機は、まず、大当り抽選において当選したことを表す当選波を出力するものの、その遊技者や周囲で遊技している遊技者は、この当選波を知得することができないため、即座に、この当選を認識することができない。ここで当選パチンコ機は、遊技機列を構成するパチンコ機のうち期待演出動作を連動して実行すべき遊技機の台数に応じた振幅で当選波を出力している。
一般的に、この当選波のような波が出力されると、この波は空気中を伝送された際に、その伝送距離に応じて振幅などが減衰することが知られている。パチンコ機1は、この検出した当選波について振幅の減衰量を把握することで、この減衰量に応じて自らが期待演出動作を実行すべき演出タイミングを決定し、このタイミングにおいて、自己のパチンコ機を除く他のパチンコ機のうち当選パチンコ機において内部的な抽選において当選している旨を、期待演出動作として実行する。
本発明の具体例として、この減衰量の態様に応じて、期待演出の態様を異ならせてもよい。上記の通り、一般的には当選波のような波が出力されると、この波は空気中を伝送された際に、その伝送距離に応じて振幅などが減衰するので、出力された当選波の強度に応じて、演出態様を異ならせるのである。具体的には、例えば当選波の強度が強い場合(連動して期待演出を行うパチンコ機の台数が多い場合とも考えられる)には大きな魚の群、当選波の強度が小さい場合(連動して期待演出を行うパチンコ機の台数が少ない場合とも考えられる)には小さな魚の群などのバリエーションが考えられる。勿論、魚群以外の態様であってよいことは言うまでもない。
このようにすると、例えばホールの遊技機列においては、最端パチンコ機から当選パチンコ機に向けて、これらの間に位置する各パチンコ機が、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って、各演出タイミングにおいて順次期待演出動作を実行する。このため、この遊技機列においては、まず、最端パチンコ機が期待演出動作を実行し、その実行が完了すると、その隣のパチンコ機が期待演出動作を実行し、その実行が完了することを繰り返すようになる。このため、この最端パチンコ機から当選パチンコ機に向けて、各パチンコ機が連続的に順次期待演出動作を実行するようになる。そして本実施形態においては、大当り抽選において当選している場合、その当選パチンコ機においては、このような期待演出動作が実行されないようになっている。
従って、各パチンコ機の遊技者は、この遊技機列の各パチンコ機が実行する期待演出動作が近づいてきたことを認識すると、この遊技機列の中に、自己のパチンコ機を含め少なくとも1台のパチンコ機が確実に当選していることを認識することができる。従って、各パチンコ機の遊技者は、この遊技機列に当選しているパチンコ機が確実に存在していることから、もしかすると自己のパチンコ機が当選しているのではないかとの都合の良い妄想を膨らませ、当選により利益を享受することが確定したかのような大きな期待感を抱きつつ待ち続けるようになる。
しかも、この遊技者は、1台のパチンコ機が期待演出動作を完了して次のパチンコ機が期待演出動作を開始するたびに、自己のパチンコ機が当選している確率がさらに高くなることから、1台のパチンコ機が期待演出動作を完了するたびに当選への妄想に浸りつつさらに大きな期待を抱き、より遊技意欲を高めることができる。
ところで、当選パチンコ機によって出力される当選波の振幅が仮に予め定まったものとなっていると、当選パチンコ機が内部的な抽選において当選した場合、期待演出動作を最初に実行する最端パチンコ機から当選パチンコ機までの距離(台数)が予め定まってしまうことになる。従って、遊技者やホール来場者などが、期待演出動作を最初に実行する最端遊技機がどれであるかをしばらくの間観察しつづけると、そのうち期待演出動作を最初に実行しはじめる最端パチンコ機の位置に基づいてどのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかに関して特定することができてしまうことも考えられる。
しかしながら本実施形態においては、次のようにして遊技機列内において当選パチンコ機を特定することができないようにしている。すなわち本実施形態では、当選パチンコ機が、期待演出動作をともに連動して実行すべき最も端に位置する最端パチンコ機までの配列台数を適宜変更すべく、出力する当選波の振幅および出力方向を出力の度に変更自在としている。
従って、遊技機列内における当選パチンコ機が仮に前回の当選と今回の当選とで同じであった場合においても、ともに期待演出動作を連動して実行する最端パチンコ機の位置が、前回の当選と今回の当選とで異なる可能性が高く、連動して期待演出動作を実行する各遊技機の台数に毎回規則性がなくなる。このため、周囲の遊技者やホール来場者が、仮に期待演出動作を最初に実行する最端パチンコ機の位置を発見できたとしても、遊技機列内における当選パチンコ機の位置を全く特定することができなくなる。
従って本実施形態では、遊技機列内において当選パチンコ機が発生した場合、当選パチンコ機から最端パチンコ機までの間における各パチンコ機の遊技者は、遊技機列における当選パチンコ機を全く特定することができない状態において、期待演出動作を実行するパチンコ機が徐々に近寄ってくると、自分が当選しているのではないかと錯覚して、あたかも既に大当りによる利益を享受することが確実であるかのように期待しながら遊技を継続することができるようになる。このため各遊技者は、遊技に対する興趣が尽きず、遊技意欲を高めつつ継続的に遊技を継続するようになる。
ここで、通常、このような遊技機列を構成するいずれか1台のパチンコ機において大当り抽選に当選する確率は低いかもしれないが、この遊技機列を構成する各パチンコ機のいずれかにおいて当選する確率は比較的高くなる。しかも、この遊技機列を構成するパチンコ機の台数が増えれば増えるほど、これに比例して、この遊技機列を構成するいずれかのパチンコ機において当選する確率は必然的に高くなる。
従って本実施形態によれば、遊技機列を構成するパチンコ機の台数が多ければ多いほど、いずれかのパチンコ機において当選する頻度が高くなり、各遊技者が頻繁に期待感を抱く機会が増えるため、各遊技者の遊技意欲を高める機会をより多くするとともに、徐々に迫ってくる期待演出動作に接した遊技者の心を翻弄させ、遊技者に飽きを感じさせず興趣が尽きないようにすることができる。
また本実施形態によれば、隣接するパチンコ機と物理的に接続する配線など余分なものがなくホール店員の視認性が良いことから、ホール店員が不正行為を見落としにくくすることができるとともに、不正行為そのものを抑止することができる。また本実施形態によれば、配線などの作業が不要であるため、遊技機列内にパチンコ機1などを設置する作業が容易である。
本実施形態では、サブ統合基板168の演出制御プログラムは、パチンコ機1が内部的な抽選に当選している場合、その内部的な抽選に当選していることを表す当選波を出力すべき方向として、遊技機列の配列方向に沿った一方向および他方向のうち少なくとも一方を選択している。波送受装置80a,80bは、各々その決定された出力方向に向けて独立して当選波を出力している。
まず、パチンコ機が当選パチンコ機である場合においては、出力する当選波の出力方向が固定されていると、各パチンコ機が連動して期待演出動作を実行している様子を周囲の遊技者が参照した場合、一見すると、周囲の遊技者が、期待演出動作を連動するパチンコ機の数が毎回変わるものの、この出力方向においてどのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかをおおよその範囲で特定することができてしまうおそれがある。
しかしながら本実施形態においては、自らが当選パチンコ機である場合、遊技機列における各パチンコ機の配列方向に沿って選択された一方向或いは他方向を出力方向として当選波を出力するため、当選波を出力する度に出力方向が不規則になる。このため遊技機列における各遊技者は、この当選波を受けて連動して期待演出動作を実行する各パチンコ機を注意深く観察しても、各期待演出動作の実行状況からどのパチンコ機が当選パチンコ機であるかを特定することができなくなる。
従って各パチンコ機の遊技者は、遊技機列を構成するいずれかのパチンコ機が期待演出動作を実行し始めると、どのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかについて全く認識することができず、自らのパチンコ機が当選パチンコ機であることの祈りつつ期待を膨らませて遊技を継続しつつ待ち続ける。このため本実施形態によれば、当選の度に不規則に遊技者の遊技意欲を刺激しつつ各遊技者に遊技を継続させることができる。
また本実施形態では、演出タイミングの具体的な決定手法として、次のような手法を採用している。つまり、サブ統合基板168のCPU168cが、波送受装置80a,80bによって当選波が検出された場合、この当選波に関する振幅の減衰量に基づいて当選パチンコ機までの距離を演算するとともに、この当選パチンコ機までの距離に応じた各パチンコ機の配列台数に基づいて、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間における自己の位置を取得している。また、このサブ統合基板168のCPU168cは、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って、各パチンコ機が期待演出動作を順次実行するにあたり、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間における自己の位置に応じて、自己が期待演出動作を実行すべき演出タイミングを決定している。
上記のようにパチンコ機1は、この検出した当選波について振幅の減衰量を把握することで、その出力源である当選パチンコ機からの距離を把握することができる。そして、このパチンコ機1は、この把握した当選パチンコ機までの距離に基づいて、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの配列順における自己の位置について把握することができる。つまりパチンコ機1は、この遊技機列を構成する当選パチンコ機と最端パチンコ機との相対的な位置関係を把握することができるのである。
そしてパチンコ機1は、最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の配列順に従って、各パチンコ機が期待演出動作を順次実行する場合、自らが期待演出動作を実行すべき演出タイミングを決定し、このタイミングにおいて、自己のパチンコ機を除く他のパチンコ機のうち当選パチンコ機において内部的な抽選において当選している旨を、期待演出動作として実行する。このため本実施形態よれば、遊技機列を構成しているパチンコ機1は、自己が期待演出動作を実行すべき演出タイミングを正確に取得することができるばかりでなく、その正確な演出タイミングにおいて期待演出動作を実行することができるようになる。
また本実施形態では、遊技機列の配列方向に沿った一方向に配列する当選パチンコ機が出力した当選波を検出する波送受装置80aおよび、パチンコ機列の配列方向に沿ったその一方向とは逆方向に配列する当選パチンコ機が出力した当選波を検出する波送受装置80bを採用しているため、次のような有用性を発揮することができる。
このような構成によれば、波送受装置80aが当選波を検出すると、この当選波が上記一方向から出力されたものと特定することができ、当選パチンコ機が上記一方向に配置しているものと認識することができる。一方、波送受装置80bが当選波を検出すると、この当選波が上記逆方向から出力されたものと特定することができ、当選パチンコ機がその一方向とは逆方向に配置しているものと認識することができる。
このため本実施形態によれば、この特定された当選パチンコ機の配置方向に応じて期待演出動作を実行することができることから、各パチンコ機の遊技者に、当選パチンコ機の配置方向を認識させるものの、どのパチンコ機が当選パチンコ機であるのかについて認識させないようにすることができる。このようにすると、本実施形態によれば、遊技機列内における当選パチンコ機が存在しているものの、その当選パチンコ機が自己のパチンコ機を含めてどのパチンコ機であるかを把握できないことから遊技者を翻弄させ、この遊技者の興趣が尽きないようにして遊技意欲を維持することができる。
また本実施形態では、パチンコ機1には、自己の始動入賞を契機として、上記特別図柄表示器とは別に、自己の内部的な抽選の抽選結果に応じた装飾停止図柄を表示する液晶表示装置50が設けられているばかりでなく、波送受装置80a,80bによって当選波が検出された場合、期待演出動作として、自己のパチンコ機を除く他のパチンコ機のうち当選パチンコ機が大当り抽選に当選していることを示す連動図柄を表示するエレクトロルミネセンス表示装置53が設けられているため、次のような有用性を発揮することができる。ここで、エレクトロルミネセンス表示装置53が表示する図柄としては、例えば数字、文字、絵、キャラクタ、背景、静止画、動画を挙げることができる。
本実施形態では、遊技の進行に応じて、まず、上記特別図柄表示器には、自己のパチンコ機1における内部的な抽選結果に応じた停止図柄を表示している。これと同時に液晶表示装置50には、自己のパチンコ機における大当り抽選結果に応じた装飾停止図柄を表示している。さらに、これとは独立して、エレクトロルミネセンス表示装置53には、自己のパチンコ機以外の他のパチンコ機のうちの当選パチンコ機から当選波を検出した場合、このような液晶表示装置50の表示態様とは関係なく、期待演出動作として、自己のパチンコ機以外の当選パチンコ機における大当り抽選において当選していることを示す連動図柄が表示される。
つまり本実施形態においては、この液晶表示装置50は、自己のパチンコ機1の都合に応じて表示動作を実行しているのに対して、エレクトロルミネセンス表示装置53は、自己のパチンコ機以外の当選パチンコ機の都合に応じて表示動作を実行している。ここで、遊技の進行にあたり液晶表示装置50を凝視していた遊技者は、一応、エレクトロルミネセンス表示装置53に表示された演出映像に気付くものの、これらに接したことによって特段遊技を阻害されることはなくなる。従って本実施形態によれば、個々の遊技者の遊技を阻害することなく、そのエレクトロルミネセンス表示装置53に表示した演出映像によって強いインパクトで、各遊技者に、内部的な抽選において当選しているかもしれないとの期待感を持たせ、しかも任意のタイミングで遊技意欲を享受させることができる。
また本実施形態では、波送受装置80aは、その一方向(左方向)に向けて当選波を出力する第1当選波出力部を含む一方、波送受装置80bは、その一方向とは逆方向(右方向)に向けて当選波を出力する第2当選波出力部を含んでいる。また電飾制御基板172にはCROM172gが搭載されており、このCROM172gは、視覚的な演出媒体がその一方向(左方向)に進行する表示態様で、上記連動図柄として第1演出映像を表示させるのに用いる第1演出映像画像データが予め記憶されている。さらに、このCROM172gは、視覚的な演出媒体が他方向(右方向)に進行する表示態様で、上記連動図柄として第2演出映像を表示させるのに用いる第2演出映像画像データが予め記憶されている。
また本実施形態では、サブ統合基板168のCPU168cは、波送受装置80aが他方向(右方向)から当選波を検出した場合、第1演出映像を選択すべく制御する一方、波送受装置80bが一方向(左方向)から当選波を検出した場合、第2演出映像を選択すべく制御している。また、VDPは、サブ統合基板168のCPU168cによって選択された演出映像に応じて、CROM172dから読み出した第1演出映像データおよび第2演出映像データの一方に基づいて、第1演出映像および第2演出映像の一方を、演出タイミングにおいて予め定められた時間にわたりエレクトロルミネセンス表示装置53に表示させている。
このような構成とすると、遊技機列を構成する最端パチンコ機から当選パチンコ機に向けて演出映像が進行する表示態様となるため、これら最端パチンコ機から当選パチンコ機までの各パチンコ機の遊技者は、具体的にどの遊技機が当選しているのかについては認識することができないものの、当選パチンコ機の配置方向については認識することができる。
従って、本実施形態によれば、これら最端パチンコ機から当選パチンコ機までの間に配置する各パチンコ機の遊技者は、演出映像が自らに近づいていることを視認すると、当選への期待感を抱くようになるとともに、さらに演出映像が自らに近づくに連れてさらに、当選への期待が一気に高まる。
このため本実施形態によれば、遊技者が自ら遊技しているパチンコ機において実際には当選していない場合においても、遊技機列を構成するいずれかの遊技機において大当り抽選(内部的な抽選)に当選する度に、毎回、沸き上がる期待感を抑制しつつも高鳴る期待を旨に遊技を継続することができる。このような本実施形態によれば、遊技者に心の落ち着きを与えず、日常的に遊技者の心を刺激することができることから、遊技者の興趣が尽きず遊技意欲を高めることができる。
また本実施形態では、本体枠、この本体枠に対してヒンジ構造を介して開閉可能に装着された前面枠、前面枠に設けられたガラス枠部および、このガラス枠部において遊技領域12を透過して視認可能とするガラス部を備えており、このガラス部は、偏光素子による光の偏光作用を用いて第1演出映像および第2演出映像を各々表示するエレクトロルミネセンス表示装置53を有している。このため、次のような有用性を発揮することができる。なお、ここでいうガラス部は、いわゆるPP(ポリプロピレン)、ガラス或いはアクリルを材質とする透明部材を総称したものである。また「ガラス部がエレクトロルミネセンス表示装置53を有する」とは、このエレクトロルミネセンス表示装置53がガラス部の一部を構成していることを示し、例えばガラス部がエレクトロルミネセンス表示装置53を内蔵していることおよび、ガラス部の表面に沿って或いは裏面に沿って薄くエレクトロルミネセンス表示装置53が配置されていることを示している。
ここでまず、一般的なパチンコ機においては、液晶表示装置50が遊技領域における遊技者に相対して奥に設けられている場合が多い。一般的に液晶表示装置50が配置されている遊技領域の中央には、いわゆるセンター役物とも呼ばれる演出装置42が設けられているため、隣の遊技者は、この遊技領域の奥に設けられた液晶表示装置50の表示内容を視認しにくくなっている。
ところが本実施形態においては、エレクトロルミネセンス表示装置53がガラス枠部のガラス部に設けられており、隣の遊技者が覗き込まなくても、このエレクトロルミネセンス表示装置53に表示されている演出映像を、隣の遊技者から視認しやすい構成となっている。このため本実施形態におけるパチンコ機1では、例えば隣のパチンコ機がエレクトロルミネセンス表示装置53に演出映像を表示した場合、その隣の遊技者が演出映像を視認しやすくなる。この隣の遊技者は、この演出映像を視認することにより、自己のパチンコ機が当選しているかもしれないとの淡い期待を抱きつつ期待感を高めることができる。しかも、この演出映像は、これら遊技者のみならずホール来場者も視認でき、これら遊技者は、これらホール来場者の注目を浴びつつ遊技を継続することとなる。
また本実施形態においては、サブ統合基板168は、遊技機列を構成する隣のパチンコ機による演出映像の表示が完了してから、仮に演出媒体の進行速度で隣り合うパチンコ機間の距離(例えば台間サンド69の幅のみならず、隣り合う両パチンコ機のエレクトロルミネセンス表示装置53間の距離)を進行したと想定した場合の通過時間にわたり、その演出映像の表示開始を規制した後、この演出映像の表示を開始している。このようにすると、次のような有用性を発揮することができる。
この遊技機列においては、隣のパチンコ機による演出映像(上記第1演出映像および第2演出映像のいずれか一方)の表示が完了した後、次は自己のパチンコ機による演出映像の表示が開始されるが、本実施形態では、その隣のパチンコ機による演出映像の表示が完了してから自己のパチンコ機による演出映像の表示が開始されるまでに、待ち時間が存在している。
このため本実施形態においては、隣のパチンコ機による演出映像の表示が完了すると、その表示待ち時間において遊技者が、次に自己のパチンコ機において演出映像の表示が開始されるか否かに関して妄想を繰り返すことで心理的に翻弄されながら、演出映像が表示されないことを祈りつつ待ち続けるようになる。この遊技者は、この表示待ち時間にわたり、自己のパチンコ機が内部的な抽選に当選しているのではなかと期待を込めて待ち続けることから、遊技に対する興趣が尽きず、遊技意欲を維持することができる。
また本実施形態では、上記エレクトロルミネセンス表示装置53は、液晶表示装置50よりも遊技者側に配置している。このようにすると、遊技者は、液晶表示装置50よりもエレクトロルミネセンス表示装置53に近接しているため、遊技の進行に応じた液晶表示装置50の表示よりも、そのエレクトロルミネセンス表示装置53に突然表示された第1演出映像および第2演出映像(連動図柄)に確実に気付きやすくなる。このため本実施形態によれば、遊技機列内のいずれかのパチンコ機が大当り抽選に当選したことを、各遊技者に確実に認識させるとともに、その当選したのがあたかも自分であるかのように各遊技者に錯覚を与えて深い期待感に浸らせることができる。
また本実施形態では、エレクトロルミネセンス表示装置53は、その表示領域が液晶表示装置50の表示領域よりも広くなっている。このようにすると、遊技の進行に応じた液晶表示装置50の表示よりも、そのエレクトロルミネセンス表示装置53による第1演出映像および第2演出映像の表示が目立つため、このようにエレクトロルミネセンス表示装置53に第1演出映像(連動図柄)または第2演出映像(連動図柄)が表示された場合、仮に遊技中であっても各遊技者が確実に気付くようになる。このため本実施形態によれば、遊技機列内のいずれかのパチンコ機が大当り抽選に当選したことを、各遊技者に確実に認識させるとともに、その当選したのがあたかも自分であるかのように各遊技者に錯覚を与えて深い期待感に浸らせることができる。
また本実施形態においては、上記当選波が音波であると、次のような有用性を発揮することができる。まず、一般的に音波は、光に比べてそれほど指向性がないことが知られている。仮にこのような光を用いた当選波を利用しようとすると、各パチンコ機1に受光器および発光器を搭載する必要がある。仮にこのようにすると、隣り合うパチンコ機においては、光の指向性を考慮して互いに発光器および受光器の向きを位置合わせる必要があるため、ホールにパチンコ機を設置する際の手間が掛かってしまうことも考えられる。
しかしながら、このパチンコ機1は、そもそも発光器および受光器が不要であることから、ホールにおける各遊技機の設置にあたり、この光の発光器および受光器の向きを正確に位置合わせる必要がなくなる。そしてパチンコ機1は、当選波として音波を用いており音波は光と比べて指向性が比較的ないことから、波送受装置80a,80bの向きを厳密に設定する必要がなくなる。従って、当選波として音波を用いるパチンコ機1は、ホールに設置の際の手間を少なくし、作業の手間を少なくして作業を容易にすることができる。また本実施形態では、当選波として音波を利用していることから、隣接する他のパチンコ機と配線などによって物理的に接続されていなくても、隣接する他のパチンコ機との間で通信を行うことができる。
(7.その他の実施形態についての言及)
以上は一実施形態についての説明であるが、本発明の実施の形態がこれに制約されることはない。以下に、その他の実施形態についていくつか例を挙げて言及する。上記実施形態の各構成は、上述のような形態のみならず、適宜組み合わせを変更することができる。また当選波としては音波を採用するのが望ましいが、人体への影響が及ばない程度であれば電磁波を採用してもよい。ここでいう「音波」としては、空気などの媒質を経由して伝達される可聴周波、超低周波、超音波などの音波、振動を採用しても良い。
例えば上記実施形態では、波送受装置80a,80bが各々当選波を出力する機能を有しているのみならず、遊技機列を構成する他のパチンコ機が出力した当選波を検出する機能を有している形態を例示しているが、これに限られない。
つまり、本実施形態は、これら波送受装置80a,80bが各々当選波を出力する機能のみを有しており、パチンコ機1が、大当り抽選において当選した場合、遊技機列を構成している周囲のパチンコ機に対して当選波を出力することで、この周囲のパチンコ機に上記期待演出動作を実行させる機能のみを有している形態であってもよい。また、本実施形態は、これら波送受装置80a,80bが各々周囲のパチンコ機が出力した当選波を検出する機能のみを有しており、遊技機列を構成しているいずれかのパチンコ機が大当り抽選において当選して当選波を出力した場合、その当選したパチンコ機の周囲に配置しているパチンコ機1が、この当選波を検出して周囲のパチンコ機と連動して期待演出動作を実行する機能のみを有する形態であってもよい。
また上記実施形態においては、遊技機列を構成する各パチンコ機が期待演出動作として演出映像を連動して表示する形態を採用しているが、その代わりに或いは併せて、これら各パチンコ機に連動して枠ランプ27および装飾用ランプ78から各々光を出力したり、上部スピーカ29および下部スピーカ14から各々音を出力したり、液晶表示装置50によって映像を表示するようにしても良い。
また本実施形態では、遊技機列を構成する各パチンコ機が連動して実行する期待演出動作として、エレクトロルミネセンス表示装置53に魚群などの演出映像を表示する形態を採用しているが、これに限られず、その他の移動体を表示する形態を採用しても良い。
本実施形態における上始動口52及び下始動口54が「始動口」に相当し、液晶表示装置50が「画像表示手段」に相当し、主制御基板156が「主制御手段」に相当し、サブ統合基板168が「周辺制御手段」に相当し、エレクトロルミネセンス表示装置53が「期待演出表示手段」に相当する。また、本実施形態における魚群演出及び演出用ランプ92の点灯が「期待演出」に相当する。
このように、上述した本実施形態の遊技機を技術思想で示すと、以下のとおりとなる。なお、以下の技術思想1〜9は単独で、若しくは、適宜組み合わされて備えられている。
技術思想1.遊技機設置手段に独立するように設置固定されることで遊技機列を構成し、
内部的な抽選に当選して当選台になると、変動演出に並行して大当りを期待させるための期待演出を実行可能であると共に、外部へ信号を送信可能となっており、
一方、前記遊技機列に属する別の遊技機から送信される信号を受信可能であって、当該信号を受信した場合にも、変動演出に並行して前記期待演出を実行するように構成され、
遊技球を遊技領域に発射する発射手段と、
前記遊技領域に向けて前記発射手段により発射された遊技球が入球可能な始動口と、
少なくとも前記変動演出を実行するための画像表示手段と、
遊技の進行を制御する主制御手段と、
前記主制御手段に配線接続され、当該主制御手段からの指示に基づいて演出制御を行う周辺制御手段と
を備えた遊技機であって、
前記主制御手段は、
前記始動口への入球を検出する入球検出手段と、
前記入球検出手段による入球の検出に基づき、前記内部的な抽選を行う抽選手段と、
前記変動演出のパターンである複数の変動パターンを記憶する変動パターン記憶手段と、
前記抽選手段による抽選結果に応じ、前記変動パターン記憶手段から前記変動パターンを読み出し、当該変動パターンに基づく変動情報を前記周辺制御手段へ送出する変動情報送出手段と、を少なくとも有し、
前記周辺制御手段は、
前記変動情報送出手段にて送出される前記変動情報に基づく変動演出を、前記画像表示手段を介して実行制御する画像表示制御手段と、
前記抽選手段による抽選に当選した場合、さらに前記変動演出とは別の前記期待演出に係る実行制御を行うか否かを決定する実行決定手段と、
前記実行決定手段にて前記期待演出に係る実行制御を行う旨の決定がなされた場合、前記変動情報送出手段にて送出される変動情報に基づき、当選台の特定が困難となるよう都度異なるタイミングで、外部の遊技機に前記期待演出を実行させるための演出指示信号を送信する実行送信制御手段と、を少なくとも有していること
を特徴とする遊技機。
技術思想1の遊技機は、いわゆる遊技島と呼ばれる遊技機設置手段に独立するように設置固定されることで遊技機列を構成している。すなわち、各遊技機同士が配線等で接続されることなく、直列に並べて配置されている。そして、内部的な抽選に当選して当選台になると、大当りを期待させるための期待演出を実行可能であると共に、外部へ信号を送信可能となっている。一方、遊技機列に属する別の遊技機から送信される信号を受信可能であって、当該信号を受信した場合にも、期待演出を実行する。
つまり、当選台が期待演出を実行すると共に、当選台からの開始信号を受信した遊技機が期待演出を実行するのである。これにより、期待演出を実行した遊技機群の中には当選台が含まれることになり、確実性のない従来のリーチ演出とは異なり、遊技者に対して確実な期待感を抱かせることができる。
すなわち、1台の遊技機で演出を行おうとすると、当選確率がそれほど高くないことから、いわゆるガセ演出が多くなってしまう。これに対し、遊技機群を対象にして複数の遊技機で連動する演出を行えば、実際に当選台が含まれる演出が可能となり、当選台以外の遊技機で遊技する遊技者に対しても、期待を持たせることができる。
ただし、当選台を含む遊技機群で同様の演出を行ったとしても、上記演出指示信号の送信タイミングが一律であると、当選台の特定が容易になってしまう。これに対し、ここで特に、当選台は、変動情報送出手段にて送出される変動情報に基づき、当選台の特定が困難となるよう都度異なるタイミングで、外部の遊技機に期待演出を実行させるための演出指示信号を送信する。これにより、当選台を特定することが困難となっており、当選台以外の別の遊技機で遊技している遊技者に対しても確実な期待感を抱かせることができる。
しかも、各々の遊技機が独立していることから、演出指示信号の出力は、無線通信によって行われる。これにより、従来の遊技機の構成を利用することができ、遊技機同士の配線接続等を必要とする構成でないため、不正行為の対象とされることも抑制される。
なお、上記期待演出を変動演出に優先して行う構成も考えられるが、その場合、期待度の高い変動演出の途中で期待演出が実行されてしまい、期待度の高い変動演出を見られなくなってしまうという問題がある。これに対し、ここにある技術思想は、主制御手段からの変動情報に基づく変動演出は実行しつつ、周辺制御手段が、変動演出に並行するように期待演出を行うというものである。これにより、期待演出によって変動演出が阻害されることがなく、期待演出の実行で興趣が低下してしまうという事態を招くこともない。
技術思想2.技術思想1に記載の遊技機において、
前記実行送信制御手段は、当選台の特定が困難となるよう都度異なるタイミングで、所定のランプを点灯すると共に、外部の遊技機にも所定のランプを点灯させるための演出指示信号を送信すること
を特徴とする遊技機。
技術思想2では、実行送信制御手段により、当選台の特定が困難となるよう都度異なるタイミングで、所定のランプが点灯されると共に、外部の遊技機にも所定のランプを点灯させるための演出指示信号が送信される。例えば、所定のランプには、トップランプを採用することが例示される。このようにすれば、ランプが点灯した遊技機群の中に当選台が含まれることになり、確実性のない従来のリーチ演出とは異なり、遊技者に対して確実な期待感を抱かせることができる。また、都度異なるタイミングで遊技機群のランプが点灯されるため、当選台を特定することが困難となっており、当選台以外の別の遊技機で遊技している遊技者に対しても確実な期待感を抱かせることができる。
技術思想3.技術思想1又は2に記載の遊技機において、
前記実行送信制御手段は、前記変動演出に対して予め定められる複数の開始タイミングの中のいずれかとして、前記タイミングを決定すること
を特徴とする遊技機。
技術思想3によれば、変動演出に対して予め定められる複数の開始タイミングの中のいずれかとしてタイミングが決定されるため、タイミングの決定処理が比較的簡単になる。
技術思想4.技術思想1乃至3のいずれかに記載の遊技機において、
前記演出指示信号には、当該演出指示信号の出力時の振幅を示す情報が含まれており、
前記実行送信制御手段は、前記演出指示信号の出力時の振幅を変更可能であること
を特徴とする遊技機。
技術思想4によれば、演出指示信号の出力時の振幅が変更されるため、遊技機列における受信範囲の遊技機を変更することができる。これにより、当選台が同じであったとしても、連動して期待演出を行う遊技機群を異なるものとすることができる。これにより、当選台の特定をより困難にすることができ、当選台以外の別の遊技機で遊技している遊技者に対しても確実な期待感を抱かせることができる。
技術思想5.技術思想1乃至4のいずれかに記載の遊技機において、
前記実行送信制御手段は、前記遊技機列に沿った配列方向における第1方向及び当該第1方向とは反対向きの第2方向のうち少なくとも一方へ指向性のある前記演出指示信号を出力可能であること
を特徴とする遊技機。
技術思想5によれば、遊技機列に沿った配列方向における第1方向及び当該第1方向とは反対向きの第2方向のうち少なくとも一方へ指向性のある演出指示信号が出力されるため、当選台から一方の側に配置される遊技機に対して演出指示信号を出力することができる。これにより、当選台の特定をより困難にすることができ、当選台以外の別の遊技機で遊技している遊技者に対しても確実な期待感を抱かせることができる。
技術思想6.技術思想1乃至5のいずれかに記載の遊技機において、
前記画像表示手段とは別に、前記期待演出を実行するための期待演出表示手段を備えており、
前記実行送信手段は、前記期待演出を、前記期待演出表示手段を介し実行すること
を特徴とする遊技機。
技術思想6によれば、画像表示手段とは別の期待演出表示手段にて期待演出が実行されるため、期待演出を目立つものとすることができ、上記効果が際立つ。なお、期待演出は、上述したようにランプを点灯するものであってもよいし、ランプの点灯に代え或いは加え、図柄の表示を行うような演出としてもよい。
技術思想7.技術思想6に記載の遊技機において、
前記期待演出表示手段は、前記画像表示手段よりも遊技者側に配置されていること
を特徴とする遊技機。
技術思想7によれば、期待演出表示手段が画像表示手段よりも遊技者側に配置されているため、期待演出を視認し易くなる。特に、隣の遊技機で実行される期待演出も、遊技機をそれほど覗き込むことなく視認可能となる。その結果、上記効果が際立つ。
技術思想8.技術思想6又は7に記載の遊技機において、
前記期待演出表示手段は、その表示領域が前記画像表示手段の表示領域よりも広くなっていること
を特徴とする遊技機。
技術思想8によれば、期待演出表示手段の表示領域が画像表示手段の表示領域よりも広くなっているため、期待演出が目立つものとなり、上記効果が際立つ。
技術思想9.技術思想1乃至8のいずれかに記載の遊技機において、
前記実行送信制御手段は、外部の遊技機に前記期待演出を実行させるための演出指示信号として音波を送信すること
を特徴とする遊技機。
電磁波等の光を演出指示信号として用いると、各遊技機に受光器および発光器を搭載する必要がある。その場合、各遊技機において光の指向性を考慮して互いに発光器および受光器を位置合わせる必要があるため、ホールに遊技機を設置する際に手間がかかる。この点、技術思想9によれば、演出指示信号として音波が送信されるため、厳密な位置合わせが必要なくなる。その結果、ホールに遊技機を設置する際の手間が少なくなる。