JP2008180092A - 立軸バルブ型水車発電設備およびその運転制御方法 - Google Patents

立軸バルブ型水車発電設備およびその運転制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】立軸バルブ型水車発電設備における吸込み渦の発生およびその成長を抑制する。
【解決手段】立軸バルブ型水車発電設備は、主軸4が鉛直方向を向くように配置された水車41と、水車41に接続されてその水車41によって駆動される発電機40と、自由水面14が形成されて水車41の上方に向かって水がほぼ水平に流れる水平流路13と、水平流路13に接続されて水平流路13を通った水が水車に向かって下向きに流れる縦方向流水路10と、水車41の上方で水車に向かって流れる水による渦12の発生を監視する監視手段と、を有する。監視手段は、超音波式センサー20a、水面画像センサー20bや、水平流路の流速分布を観測する流速観測手段が好適である。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸が鉛直方向を向くように配置された水車および発電機を有する立軸バルブ型水車発電設備およびその運転制御方法に関する。
水車にプロペラ状の翼を用いて可動可能にするとともに、あわせて設置されるガイドベーンも可動させて、水車を通過する流体の流量変化に対して、高い効率で運転できるようにしたものをカプラン水車というが、そのカプラン水車を用いた発電設備の一種である立軸バルブ型水力発電設備は、比較的低落差用に適用されることが多い。このため、水車上方の水平流路上部水面から縦方向流水路の入口に至るまでの鉛直方向距離L(図1参照)がフランシス水車などに比べて短い。また、同様に水車内を流れる水量が相対的に多い。
特開2005−163563号公報
以上の事情から、立軸バルブ型水力発電設備を運転した際に水平流路水面から水車に向かって吸込み渦といわれる強い旋回速度成分を持ったロープ状の渦流が局所的に発生することが懸念される(特許文献1参照)。
この渦流は水車運転によって水が急激に水車流路へと吸引されることによって発生するものであるが、水面から水車へと連続的に発生する。このために、水車にはこの渦による大きな水力的損失が発生したり、渦が水車に衝突することで振動・騒音を発生し水車をはじめとする主要機器の運転にも支障をきたしたりすることになる。一般にこの渦は、水が流れる流路の形状に密接に関係するものであり、水平流路の流水方向速度の不均一性が旋回方向の流れを発達させ渦流となって成長するものである。
この渦の発生を回避する手段としては、バルブ水車導水口とダム水面間の距離を大きくなるようにバルブ水車を設置することが有効であるが、この手段は建設コスト増大につながる。
また、渦の発生を回避する手段として、特許文献1には、バルブの上面から上方に延びる整流棒を配置して固定する技術が開示されている。しかしこの技術によると余分な流動抵抗を生じさせる懸念がある。
汎用のポンプでは上記のような吸込み渦を回避する手段としては吸込み配管形状の適正化や旋回流防止の吸込み装置が考察されているが、立軸バルブ水車に関してはそのようなものが実用化されていない。また、吸込み渦を検出する装置などの実用化もなされていない。
以上述べたように、立軸バルブ型水車発電設備においては、水車の流水路を形成する水面には渦流が水車に向かって発生する。この渦流により水力損失が著しく増大し水車性能が悪化する。同じようにカプラン水車の一種であるチューブラ水車も低落差領域に適用する水車であることから、比較的小さな損失であっても有効落差に対する比率として表される水車損失の観点からは、無視できない大きなものになる。また、渦流が水車に衝突・接触する際には騒音・振動といった水車の運転に支障をきたす現象が発生する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、立軸バルブ型水車発電設備における吸込み渦の発生およびその成長を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備は、回転軸が鉛直方向を向くように配置された水車と、前記水車に接続されてその水車によって駆動される発電機と、自由水面が形成されて前記水車の上方に向かって水がほぼ水平に流れる水平流路と、前記水平流路に接続されて前記水平流路を通った水が前記水車に向かって下向きに流れる縦方向流水路と、前記水車の上方で前記水車に向かって流れる水による渦の発生を監視する監視手段と、を有すること、を特徴とする。
また本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の運転制御方法は、回転軸が鉛直方向を向くように配置された水車と、前記水車に接続されてその水車によって駆動される発電機と、自由水面が形成されて前記水車の上方に向かって水がほぼ水平に流れる水平流路と、前記水平流路に接続されて前記水平流路を通った水が前記水車に向かって下向きに流れる縦方向流水路と、を有する立軸バルブ型水車発電設備の運転制御方法であって、前記水車の上方で前記水車に向かって流れる水による渦の発生を監視し、前記監視によって前記渦の発生またはその発生の兆候が観測されたときに、前記水車への流入水流量を減少させること、を特徴とする。
本発明によれば、立軸バルブ型水車発電設備における吸込み渦の発生およびその成長を抑制することができる。
以下、本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第1の実施形態を概略的に示す立断面図であり、図2は図1の立軸バルブ型水車発電設備のII−II線矢視平断面図である。図示のように、水平流路13に自由水面14が形成され、水平流路13の底部から下方に向かう縦方向流水路10が形成され、この縦方向流水路10の下部に、主軸4を鉛直にした水車発電機が配置されている。
水車発電機は、たまご型をしたバルブ1を有し、バルブ1の内部に発電機固定子2、回転子3を主要構成部材とした発電機40が内蔵されている。回転子3には主軸4が結合されており、その主軸4の下端部には水車41のランナ5が取り付けられている。ランナ5は、複数のランナベーン5aと、ランナベーン5aを保持するランナボス5bによって構成されている。
ランナ5の上流には流量を調節するガイドベーン6が複数枚円周状に配置されており、これらの外周部に位置するゲートリング(図示せず)とリンク機構により連動する。任意の負荷要求に対応するために、ガイドベーン6の開度と連動し、ランナベーン5aの取付角度を設定し、負荷変動に対しても高効率な水車運転が可能なようにしている。
ガイドベーン6の上流側(上方)には、バルブ1を支えるためのステー7および、防振ステー9と呼ばれる支持部材が、バルブ1から縦方向流水路10の外壁に向かって放射状に設置されている。さらに発電機40の内部を点検するための点検口8が設置されている。
水車運転中の水の流れ方向を図中矢印50にて示すが、ダムの底部付近に配置された縦方向流水路10内部に導かれた水は中央部のバルブ1を取り囲むように下方に向かって流れ、ガイドベーン6によって整流され、ランナ5へと導かれる。ランナ5内で仕事をした水はその下流に位置する吸出し管11へと流出し、下池(図示せず)へと導かれる。
第1の実施形態では、空気吸込み渦流12を監視するために、バルブ1を取り巻くように構成される立軸バルブ水車の縦方向流水路10の上方に、超音波式センサー20aが設けられている。さらに、この超音波式センサー20aの出力に応じてガイドベーン6の開度を調節して水車の運転を制御する制御装置30が配置されている。
超音波式センサー20aは、常時、水流中に超音波を発振して、流れによる超音波反射波の変化を捉えるものである。一般的には魚群探知機として用いられている探査装置であるが、本実施形態では、空気吸込み渦流12が発生した場合の水流の変化によって超音波反射波の挙動が変化することを捉えて空気吸込み渦流12の発生として検知するものである。超音波式センサー20aの設置位置は、縦方向流水路10と水平流路13の境界付近に設置することにより高精度な機能を提供することができる。
本実施形態によれば、超音波式センサー20aを設けることにより、空気吸込み渦流12の発生の有無を容易に即座に検出することができるため、空気吸込み渦流12の発生と水車の運転を連携させ安定した水車の運転を提供することができる。
[第2の実施形態]
図3は本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第2の実施形態を概略的に示す立断面図であり、図4は図3の立軸バルブ型水車発電設備のIV−IV線矢視平断面図である。図示のように、この実施形態では、空気吸込み渦流12を監視するために、バルブ1を取り巻くように構成される立軸バルブ水車の上方の水平流路13の上部に水面画像センサー20bが設けられている。
水面画像センサー20bは、常時、水平流路13の水面14を画像により監視する。これにより、空気吸込み渦流12が発生した時の大きな特徴である水面陥没現象を捉えて空気吸込み渦流12の発生を検出することができる。一般的に、空気吸込み渦流12が発生した際には局部的に水面がくぼむ挙動を示すことから、空気吸込み渦流12発生の有無を水面の挙動画像により診断することは比較的容易である。
本実施形態によれば、この装置は水面付近の変化を捉えることにより、空気吸込み渦流12発生の有無を容易に即座に検出することができ、この情報に基づいて、空気吸込み渦流12の発生と水車の運転を連携させ安定した水車の運転を提供することができる。
[第3の実施形態]
図5は本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第3の実施形態を概略的に示す立断面図であり、図6は図5の立軸バルブ型水車発電設備のVI−VI線矢視平断面図である。図示のように、この実施形態では、立軸バルブ水車の上流流路である水平流路13の水流の水平方向速度分布を常時測定するために超音波流速計20cが設けられている。
ここで、水平流路13の流速分布と空気吸込み渦流12発生の関係を、図6を用いて説明する。水平流路13の速度Vmの分布が、実線31に示すように壁面から他方の壁面まで水平方向にほぼ一様な状態では、空気吸込み渦流12を発生させることはほとんどない。一方、速度Vmの分布が、点線32で示すようにどちらかの壁面付近で流速が速くなるような場合は、空気吸込み渦流12が発生しやすくなる。空気吸込み渦流12は、水平流路13から縦方向流水路10内に水が吸引される時に、水平流路13内の速度分布に著しい偏り流れがあると、渦流をつかさどる旋回速度成分が増大し、空気吸込み渦流12を発生させるものである。したがって、水平流路13内の水流の速度分布を常時監視することにより、空気吸込み渦流12発生の予測が可能となる。
本実施形態で示す超音波流速計20cは汎用的に用いられている一般的なものでよい。すなわち、超音波を発振し、反射波との時間差を計測して流速を測定するものである。複数個の超音波流速計20cを、水平流路13の流れ方向を横切るように水平方向に配列することにより、流路全体の水平方向速度分布を常時測定することができる。
さらに、流速分布と空気吸込み渦流12発生の関係をあらかじめ流れ解析、模型実験などで求めておくことにより容易に空気吸込み渦流12の発生が予測できる。
本実施形態によれば、空気吸込み渦流12の発生を容易に即座に予測することができるため、空気吸込み渦流12の発生と水車の運転を連携することができ、安定した水車の運転を提供することができる。
[第4の実施形態]
図7は本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第4の実施形態を概略的に示す立断面図であり、図8は図7の立軸バルブ型水車発電設備のVIII−VIII線矢視平断面図である。この実施形態は第3の実施形態の変形であって、水平方向速度分布測定のために、第3の実施形態における超音波流速計20cの代わりにピトー管流速センサー20dを設けたものである。
本実施形態でのピトー管は、流水に対して垂直に測圧口が対向する単管式のものを用いている。このピトー管流速センサー20dを、水平流路13中に流れ方向を横切るように水平方向に複数個配列し、それぞれの計測結果を比較することで流速分布が容易に求められる。これにより、第3の実施形態と同様の効果を得られる。
[第5の実施形態]
図1および図9を参照して、本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第5の実施形態を説明する。ここに、図1は第1の実施形態を示す図として前出のものである。また、図9は本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第5の実施形態の運転制御方法を示すフローチャートである。
第5の実施形態では、立軸バルブ水車の運転を空気吸込み渦流12の発生あるいは発生予測の情報に基づいて制御するものである。その他の構成は第1の実施形態と同様である。超音波式センサー20aにより空気吸込み渦流12の発生を検知した場合、あるいは空気吸込み渦流12発生の予測をした場合(ステップS1)には、たとえばガイドベーン6を操作して、水車に流れる水量を減少さる(ステップS2)。この運転状態で空気吸込み渦流12が消滅した場合または、空気吸込み渦流12発生の予測が消滅したかどうかを判断し(ステップS3)、消滅した場合は、その状態での運転を続行する(ステップS4)。また、流量を減少させても空気吸込み渦流12の発生が観測されるようであれば、水車の運転を停止する(ステップS5)。
空気吸込み渦流12の発生と水車運転の関係は、水車に流れる流量(流速)と水平流路13の水面14の高さと水車導水口までの高さに大きく影響される。しかしながら、水平流路13の水面14高さはダムの水位条件で決定されるものであり、容易に変更することはできない。そこで、水車に流れる流量(流速)を制御することで空気吸込み渦流12の発生を制御するものである。
本実施形態によれば、空気吸込み渦流12の発生あるいは発生予測に基づいて水車の運転制御を行なうために、水車運転中の空気吸込み渦流12発生を極力抑えることができる。したがって空気吸込み渦流12による水車の騒音・振動、水力損失増加に伴う性能低下といった問題を引き起こすことなく安定した水車運転が可能となる。
[他の実施形態]
以上説明した各実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
たとえば、第3の実施形態では水平流路13の水流の速度分布を測定するために超音波流速計20cを設けるとしたが、超音波流速計20cに代えてレーザー流速計を用いることもできる。
また、第5の実施形態では、空気吸込み渦流12の発生を監視する監視手段として第1の実施形態における超音波式センサー20aを用いる例を示しているが、監視手段としては、第2の実施形態の水面画像センサー20b、第3の実施形態の超音波流速計20c、第4の実施形態のピトー管流速センサー20dのいずれかを用いてもよい。
さらに、空気吸込み渦流12の発生を監視する監視手段として、第1〜第4の実施形態の種々のセンサーの複数種類を組み合わせることにより、測定精度および信頼性を高めることもできる。
本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第1の実施形態を概略的に示す立断面図。 図1の立軸バルブ型水車発電設備のII−II線矢視平断面図。 本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第2の実施形態を概略的に示す立断面図。 図3の立軸バルブ型水車発電設備のIV−IV線矢視平断面図。 本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第3の実施形態を概略的に示す立断面図。 図5の立軸バルブ型水車発電設備のVI−VI線矢視平断面図。 本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第4の実施形態を概略的に示す立断面図。 図7の立軸バルブ型水車発電設備のVIII−VIII線矢視平断面図。 本発明に係る立軸バルブ型水車発電設備の第5の実施形態の運転制御方法を示すフローチャート。
符号の説明
1:バルブ
2:発電機固定子
3:発電機回転子
4:主軸(回転軸)
5:ランナ
5a:ランナベーン
5b:ランナボス
6:ガイドベーン
7:ステー
8:点検口
9:防振ステー
10:縦方向流水路
11:吸出し管
12:空気吸込み渦流(渦)
13:水平流路
14:水面
20a:超音波式センサー
20b:水面画像センサー
20c:超音波流速計
20d:ピトー管流速センサー
30:制御装置
40:発電機
41:水車

Claims (9)

  1. 回転軸が鉛直方向を向くように配置された水車と、
    前記水車に接続されてその水車によって駆動される発電機と、
    自由水面が形成されて前記水車の上方に向かって水がほぼ水平に流れる水平流路と、
    前記水平流路に接続されて前記水平流路を通った水が前記水車に向かって下向きに流れる縦方向流水路と、
    前記水車の上方で前記水車に向かって流れる水による渦の発生を監視する監視手段と、
    を有すること、を特徴とする立軸バルブ型水車発電設備。
  2. 前記監視手段は、超音波式センサーを含むこと、を特徴とする請求項1に記載の立軸バルブ型水車発電設備。
  3. 前記監視手段は、前記自由水面を監視する画像センサーを含むこと、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の立軸バルブ型水車発電設備。
  4. 前記監視手段は、前記水平流路の流速分布を観測する流速観測手段を含むこと、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の立軸バルブ型水車発電設備。
  5. 前記流速観測手段はレーザー流速センサーを含むこと、を特徴とする請求項4に記載の立軸バルブ型水車発電設備。
  6. 前記流速観測手段は超音波流速センサーを含むこと、を特徴とする請求項4に記載の立軸バルブ型水車発電設備。
  7. 前記流速観測手段はピトー管流速センサーを含むこと、を特徴とする請求項4に記載の立軸バルブ型水車発電設備。
  8. 前記監視手段によって前記水車の上方での渦の発生またはその発生の兆候を観測したときに、前記水車への流入水流量を減少させる制御手段をさらに有すること、を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の立軸バルブ型水車発電設備。
  9. 回転軸が鉛直方向を向くように配置された水車と、
    前記水車に接続されてその水車によって駆動される発電機と、
    自由水面が形成されて前記水車の上方に向かって水がほぼ水平に流れる水平流路と、
    前記水平流路に接続されて前記水平流路を通った水が前記水車に向かって下向きに流れる縦方向流水路と、
    を有する立軸バルブ型水車発電設備の運転制御方法であって、
    前記水車の上方で前記水車に向かって流れる水による渦の発生を監視し、
    前記監視によって前記渦の発生またはその発生の兆候が観測されたときに、前記水車への流入水流量を減少させること、
    を特徴とする立軸バルブ型水車発電設備の運転制御方法。
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