JP2008170138A - 真空太陽熱収集装置及び真空太陽熱収集システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真空室内に収容した集熱板に太陽光を入力させて太陽熱エネルギーを収集する真空太陽熱収集装置であって、上側及び下側の2枚のドーム状の窓ガラス2と、窓ガラス2を連結する筒部3とで真空室を形成し、集熱板4の前面に上側の窓ガラス2を通して太陽光を入力させ、集熱板4の背面に下側の窓ガラス2を通して反射鏡による太陽光の反射光を入力させるようにした。
【選択図】図1
Description
しかし、筐体が金属の場合には、窓ガラスの外周と金属筐体とを数mに亙って真空封止し、例えば0.1Pa(パスカル)以下の高真空を維持するのが難しいため、非真空にするか、或いは非特許文献1のように、内部の気圧を数百分の一程度の低真空にして、空気の代わりに熱伝導率の低い気体、例えばクリプトンを充填して熱絶縁を保っていた。この場合の熱伝導率は数十Paの空気と同じであり、高真空ではないので、太陽熱の収集が効率的でなかった。
しかしながら、特許文献1のコレクターは前面方向の太陽光の熱エネルギーのみを集熱するので、太陽光の入力が少ないという問題があった。
1はコレクター、2はドーム状の窓ガラス、3は上側及び下側の2枚の窓ガラス2を連結する筒部、4は両面で太陽光の熱を収集する集熱板、5は集熱板4の表裏両面に形成された選択吸収膜、6は集熱板4に密着して固定されている集熱パイプ、7は集熱パイプ6に液状の熱媒体を送り込むための入力パイプ、8は集熱パイプ6から熱媒体の蒸気をコレクター1の外部に取り出すための出力パイプ、9は入力パイプ8、出力パイプ9を通すための孔である。
筒部3はガラス又は金属で形成される。ガラス製の筒部3の場合は、窓ガラス2と同質な材料なので、ガラス同士で完全に溶着し、完全な真空封止となる。
このガラス材料のみで形成された真空室の筐体は、真空管やブラウン管で証明されているように、高真空を長期に亙って維持することができる。
金属の筒部3の場合は、筒部3と窓ガラス2との間を、金属とガラスの双方に親和性のある半田或いはろうで気密に溶着することにより高真空を長期に亙って維持することができる。
引っ張り応力には弱いが圧縮応力には強いガラスの特性を生かし、窓ガラス支持用の柱無しで大気圧を支えられる1枚の窓ガラスの厚さを5mm程度以下にし、且つ面積を1〜2m2にすることが容易にできる。
また、金属の筒部3と窓ガラス2とを半田付けにした場合、半田付け部分にドーム状の窓ガラス2の押し付け力が働いて半田付け部分の気密性を更に向上させることができる。
そのため、集熱板4の前面に上側の窓ガラス2を通して直接太陽光を入力させ、集熱板4の背面に下側の窓ガラス2を通して反射鏡による太陽光の反射光を入力させることができる。
入力パイプ7と出力パイプ8には、その線膨張率がガラスの線膨張率とほぼ同じである金属、例えばコバール(商品名)のような金属を用いると良い。
図1では、コレクター1は熱媒体が重力の働きで自動的に集熱パイプ6内を下方に移動するように、斜め或いは垂直に設けられる。このとき入力パイプ7はコレクター1の上部に、出力パイプ8はコレクター1の下部に設けられる。
熱媒体としては、気化熱が大きいことから、通常の場合水が推奨される。特に寒冷な地方では不凍液が用いられる。
この際、熱媒体は液体の状態で、集熱パイプ6内の気化した熱媒体の圧力より高い高圧で入力パイプ7から集熱パイプ6に送り込まれるので、蒸気は入力パイプ7の方には移動できず、全部が出力パイプ8から図示されていないが外部にある蓄熱槽に送り出される。このときパイプ8内を空気のような気体が存在しない真空或いはそれに近い状態にしておくと、蒸気の温度は蓄熱槽の温度に支配され、蓄熱槽の温度よりやや高い温度で熱媒体は気化する。集熱パイプ6内を1気圧の空気や窒素のような気体で満たしておくと、集熱パイプ6の温度が100℃以上になったときに出力が得られる。
液化した熱媒体は、図示されていないが、コレクターの外部に設けられているポンプの方向に移動して、ポンプの力で再び入力パイプ7に送り返されてこの系内を循環する。
10はコレクターで、例えば実施例1のコレクター1を想定し、11は反射鏡で、凹面鏡の例を示している。
図4、図5はコレクターに反射鏡をセットした平面図で、図4は角型のコレクター12に複数の長方形の平面鏡を角度をつけて集光できるように構成した反射鏡13を柱14によって結合した例を示し、図5は丸型のコレクター15に凹面鏡で構成した反射鏡16を柱14によって結合した例を示している。
同様に太陽光B1〜B2は反射鏡11で反射されて、コレクター10の下面から反射光が入射して集熱板に吸収される。
太陽光A2〜B2を代表して矢印Cで表示しているが、太陽光Cはコレクター10の上面から入射して集熱板の前面に直接入力され、吸収される。
図4、図5に示したコレクター12,15においても同様の動作が行われることは勿論である。
図3の場合、上面からのエネルギー量を1とすると、下面から入るエネルギー量はコレクターの陰になる部分を除いて約4倍となり、合計5倍である。反射鏡の面積を増やせば5倍以上にできることは明白である。
図3の例で、反射鏡11と同じ面積の効率50%の高真空コレクターを置いた場合は、コレクター特有の放射損失や、伝導損失も増加するので、全体のシステムに到来する太陽光の量は反射鏡11の場合と同じであるが、全体の効率は50%である。反射鏡11を使用した方が、価格も安く効率も高い。
曲線17は例えば図3のコレクター10自体の効率を示し、曲線18,19はコレクター10と反射鏡11との総合効率を示している。
曲線17で示されているようにコレクター10単体の効率は出力温度の上昇と共に減衰する。
しかし曲線17と曲線18、或いは曲線18と曲線19が互いに平行であるのは反射鏡11の効果が使用温度に左右されないことを意味している。
曲線17と曲線18との間隔は反射鏡11の面積を示し、反射鏡11が大きいほどこの間隔は増大する。曲線18は小さい反射鏡11、曲線19は大きい反射鏡11の出力を示している。
上乗せされる反射鏡による出力の量は出力温度に拘わらず同じで、その量は反射鏡11に到来した太陽熱の81%である。
それは太陽の表面温度が6000℃と言う高温であるため、選択吸収膜の出力温度が100℃であっても500℃であっても、その温度差は6000℃に比べて少ないために、その温度にほとんど関係なく、単位面積当たりに入力する太陽熱エネルギーの量は同じであるからである。従って反射鏡11を利用する場合は、高温出力で使う方が有利である。
この場合、従来の裸のパイプに反射鏡で太陽光を集めて発電する方法に比べて、集熱され、高温になったコレクターが真空断熱されているだけ損失が少ないため、発電効果が高く、太陽電池の効率の数倍に達し、大変優れている。
21はコレクター、22は平板ガラスで形成された上側及び下側の窓ガラス、23は筒部、24は集熱板、26は集熱パイプ、27は入力パイプ、28は出力パイプ、29は窓ガラスを支える柱である。
真空室は上側及び下側の窓ガラス22とそれらの窓ガラス22を連結する筒部23とで形成される。
なお、下側の窓ガラス22と筒部23を予め一体にして容器状に形成しても構造上は全く同じになる。
なお、この場合、筒部23の上下に窓ガラス22を載せた例を示しているが、筒部23の上下の内側に段差を設け、この段差に窓ガラス22をそれぞれ載せて筒部23の内側にはめ込むようにしても良い。このようにすると、ガラスより線膨張率の大きい金属、例えばステンレス等を筒部23に使用すると、冷却された際の筒部23の収縮力により半田等に圧力が掛かり、筒部23と窓ガラス22の端面との気密性を向上させることができる。
従来は金属製の筐体の上に窓ガラスを載せた方式で多数の支持柱を使用しているが、実施例2では真空室の上面及び下面にガラスを使用し、筒部23にガラス又は金属を使用しているので、高真空の長期保持を可能にすると共にコレクター21の前面及び背面の両方から太陽光の入力を可能にしている。
金属筐体では、大気圧を支える柱の長さが多少変化してもそれに応じて金属板が変形して対応してくれるが、ガラスの場合は、許容される変形量が金属板に比べて遥かに小さいので、柱29をそれだけ正確に立てなければならないのである。
なお、上下の窓ガラス22を通して集熱板24の前面及び背面から太陽光の熱エネルギーを入力させることができることは実施例1と同じである。
また、集熱パイプ26、入力パイプ27、出力パイプ28は実施例1と同様に構成されている。
なお、ドーム状の窓ガラスを使用せず、平面のガラス板を使用する点では実施例1より安価に製造できる。
また、真空コレクターの形状を円形、角型、楕円形、小判型等にして良いことは言うまでもない。
集熱パイプ36は太いパイプ37とその中に挿入された細いパイプ38との二層構造で形成されている。
太いパイプ37の先端部39は閉じて密閉され、細いパイプ38は両端共開放されている。太いパイプ37内には細いパイプ38が太いパイプ37の先端部39の近くまで通されている。
太いパイプ37の先端39は閉じているので、熱媒体は太いパイプ37内を下方に流れながら太陽光の熱エネルギーを吸収した集熱板34の熱エネルギーで暖められた太いパイプ37内で気化して蒸気となる。
この蒸気は太いパイプ37の出力側から矢印Fの方向に出力し、図示してない出力パイプを通してコレクターの外部へ取り出される。
41はコレクター、42は上下の窓ガラス、43は2枚の窓ガラス42を連結する筒部、44は集熱板、45は集熱板44の一方の面に張り付けられた布、46は2枚の集熱板44を連結する筒状体、47は布45に熱媒体を供給するための熱媒体供給パイプ、48は出力パイプ、49は2枚の集熱板44の間に設置された柱である。なお、2枚の窓ガラス42を大気圧から支える柱は複雑になるので図では省略している。
下側の窓ガラス42と筒部43を別体に形成してから融着させても、予め容器状に形成しても、ガラス同士の融着であるから一体になり、構造的には全く同じになる。
液体状の熱媒体を供給するパイプ47は、先端部がT字状をしており、T字状部分の布45に面する側に複数個の孔50が明けられ、両端部は閉じている。
図示してないポンプにより熱媒体供給パイプ47に矢印Gの方向から液状の熱媒体が送り込まれると、熱媒体はT字状部の孔50から噴水のように噴き出して布45を満遍なく濡らすことになる。
この密閉空間内に気化した熱媒体の蒸気が発生するがその圧力によって2枚の集熱板44が過度に膨れ上がることがないように、複数の柱49で2枚の集熱板44を互いに結び付けている。このように2枚の集熱板44を結合することにより密閉空間の破壊を防止している。
従って、集熱板44上のある位置における温度が、太陽熱によって上がると、その温度上昇は直ちに、その場所で布45に伝えられる。布45は集熱板44の全面に隙間なく張り付けられているので、集熱パイプの場合のように、大半の集熱板の場所が集熱パイプから離れているために、熱エネルギーを運ぶための温度差を必要とするというようなことはない。
また太陽熱を運ぶ距離は集熱板44の板厚で、通常1mm以下位であるから、銅のような熱伝導の良い高価な材料を必要とせず、鉄板のような安い材料でも熱損失はほとんど無視できる。
なお、実施例4はドーム状の窓ガラスを使用して真空室を形成した場合にも適用可能で、真空コレクターの形状を円形、角型、楕円形、小判型等にすることもできる。
ここで言うコレクターは、実施例1〜4で説明したコレクター単体に図3,4のように反射鏡をセットした状態のものを示している。
51は反射鏡をセットしたコレクター、52は複数のコレクター51を束ねるための長い軸、53はコレクター51を軸52に取り付ける支持体、54は軸52を支持する支柱、55は複数のコレクター51が集熱した太陽熱エネルギーを一箇所に集めるための太陽熱収集パイプ、56は軸52を所定角度回転させ、また元に復するように往復回転運動をさせる回転装置である。
また、回転装置56は公知のモーター、歯車、ベアリング等で構成される。
コレクター51は太陽熱の収集に適する方向に向くように複数個並べて軸52に取り付けられるが、具体的には軸52は東西の方向に長く設置され、コレクター51は集熱板が北半球の地域では南方向に、南半球の地域では北方向に向くように取り付けられる。
そしてその仰角は季節に応じて変化させる。それは太陽の位置が季節によって変わるからである。この変化は1年で一巡するので、軸52を太陽の位置の季節変動に対して1年周期で集熱板が常に太陽光に正対するように往復回転させる。即ち、春分、秋分を中心に冬至でミニマム、夏至でマキシムになるように仰角を変化させる。
上記した往復回転の運動速度は大変遅いので、その回転運動に必要なエネルギーは軸52を支えるベアリングの損失によってほとんど決まるが、ごく小さいからそのためのモーターは小さいもので良いので、太陽電池を利用して簡単に作ることができる。
従って、コレクターを多数東西に長く設置する大規模な設備、例えば発電、造水等に適用して優れた効果を発揮する。
61は単体のコレクター、62は反射鏡で、複数のコレクター61は太陽熱の収集に適する方向に向くようにして、東西方向に複数個1列に並べて設置される。その長さは通常数十mから数百mである。
反射鏡62はコレクター61と平行に東西に長く設置されるが、その全長は図示したようにコレクター61の列の全長より長くする。この長さは矢印で示したように、東西に並べたコレクター61の列の端と反射鏡62の端とのなす角度θが45度になる位が適当である。このときの矢印AM9、矢印PM3で示された太陽光の進路は午前9時及び午後3時における太陽光の進路である。
図12で明らかなように、午前9時より午後3時までの間の反射鏡62による太陽光の反射光はほとんどコレクター61によって吸収される。太陽光の有効な熱エネルギーの大半はこの時刻の間に集中しているので、反射鏡62の長さはこれで十分である。
コレクター61の移動は上記した1年に一巡する往復回転の移動だけである。これによってコレクター61の移動によるエネルギー消費その他の費用を最小限にすることができ、且つコレクター61に対する太陽光の移動による不利益のほとんどを除去することができる。
2,22,42 窓ガラス
3,23,43 筒部
4,24,34,44 集熱板
5 選択吸収膜
6,26,36 集熱パイプ
7,27,37,47 入力パイプ
8,28,38,48 出力パイプ
9 孔
11,13,16,62 反射鏡
14 柱
17,18,19 曲線
39 先端部
49 柱
50 孔
52 軸
53 支持体
54 支柱
55 太陽熱収集用パイプ
56 回転装置
Claims (8)
- 真空室内に収容した集熱板に太陽光を入力させて太陽熱エネルギーを収集する真空太陽熱収集装置であって、
上側及び下側の2枚の窓ガラスと、前記窓ガラスを連結する筒部とで真空室を形成し、前記集熱板の前面に前記上側の窓ガラスを通して太陽光を入力させ、前記集熱板の背面に前記下側の窓ガラスを通して反射鏡による太陽光の反射光を入力させることを特徴とする真空太陽熱収集装置。 - 真空室内に収容した集熱板に太陽光を入力させて太陽熱エネルギーを収集する真空太陽熱収集装置であって、
上側及び下側の2枚の窓ガラスと、前記窓ガラスを連結する筒部とで真空室を形成し、前記集熱板の前面に前記上側の窓ガラスを通して太陽光を入力させ、前記集熱板の背面に前記下側の窓ガラスを通して反射鏡による太陽光の反射光を入力させ、
前記集熱板に集熱パイプを固着し、前記集熱パイプを一端が閉じた太いパイプと、前記太いパイプに挿入した両端が開いた細いパイプとの二層構造で形成し、前記細いパイプを通して液状の熱媒体を供給し、前記太いパイプを通して前記熱媒体の蒸気を取り出すようにしたことを特徴とする真空太陽熱収集装置。 - 真空室内に収容した集熱板に太陽光を入力させて太陽熱エネルギーを収集する真空太陽熱収集装置であって、
上側及び下側の2枚の窓ガラスと、前記窓ガラスを連結する筒部とで真空室を形成し、前記集熱板の前面に前記上側の窓ガラスを通して太陽光を入力させ、前記集熱板の背面に前記下側の窓ガラスを通して反射鏡による太陽光の反射光を入力させ、
前記集熱板を一方の面に布を張り付けた2枚の集熱板で構成し、前記布を張り付けた面を互いに向かい合わせて筒状体で連結して密閉空間を形成すると共に前記2枚の集熱板を複数の柱で互いに結合し、前記密閉空間内に前記布に液状の熱媒体を供給する熱媒体供給パイプを設け、前記密閉空間に通じる出力パイプを設け、前記出力パイプを通して前記密閉空間内に発生する前記熱媒体の蒸気を取り出すことを特徴とする真空太陽熱収集装置。 - 前記筒部をガラス又は金属で形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置。
- 前記窓ガラスをドーム状に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置。
- 前記窓ガラスを平面のガラス板で形成し、前記窓ガラス間に複数の柱を設置して大気圧を支持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置を反射鏡と共に太陽熱の収集に適する方向に向くように複数個並べて軸に取り付け、前記軸に前記複数個の真空太陽熱収集装置が収集した太陽熱エネルギーを集中して取り出す熱絶縁物で覆われた太陽熱収集用パイプを設置し、太陽の位置の季節変動に対応して前記軸を1年周期で往復回転させる回転装置を備えたことを特徴とする真空太陽熱収集システム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の真空太陽熱収集装置を太陽熱の収集に適する方向に向くように複数個1列に並べて設置し、前記真空太陽熱収集装置と平行に反射鏡を設置し、前記真空太陽熱収集装置の列の全長より前記反射鏡の全長を長くすることを特徴とする真空太陽熱収集システム。
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