JP2008162879A - 接合材組成物及びその製造方法並びに接合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二つ以上の被接合物が接合材層を介して一体化されてなる接合体を得るための接合材組成物であって、板状粒子、非板状粒子、スメクタイト系粘土及び無機接着剤を主成分とする接合材組成物。
【選択図】なし
Description
(ハニカムセグメント(被接合物)の作製)
ハニカムセグメント原料として、SiC粉末及び金属Si粉末を80:20の質量割合で混合し、これに造孔材、有機バインダー、界面活性剤及び水を添加して、可塑性の坏土を作製した。この坏土を押出成形し、乾燥して隔壁の厚さが310μm、セル密度が約46.5セル/cm2(300セル/平方インチ)、断面が一辺35mmの正四角形、長さが152mmのハニカムセグメント成形体を得た。このハニカムセグメント成形体を、端面が市松模様状を呈するように、セルの両端面を目封じした。すなわち、隣接するセルが、互いに反対側の端部で封じられるように目封じを行った。目封じ材としては、ハニカムセグメント原料と同様の材料を用いた。セルの両端面を目封じし、乾燥させた後、大気雰囲気中約400℃で脱脂し、その後、Ar不活性雰囲気にて約1450℃で焼成して、SiC結晶粒子をSiで結合させた、多孔質構造を有するハニカムセグメントを得た。
表1に示す条件で、板状粒子、非板状粒子A、非板状粒子B、スメクタイト鉱物(スメクタイト系粘土)、有機バインダー、発泡樹脂を混合したものに、無機接着剤、分散剤、水を更に混合し、ミキサーにて30分間混練を行い、種類及び組成比の異なるペースト状の接合材組成物(接合材組成物No.1〜30)をそれぞれ得た。このとき、ペースト状の接合材組成物の粘度が20〜60Pa・sとなるように水の添加量を調整した。なお、接合材組成物No.16で板状粒子として用いた仮焼マイカは800℃で仮焼したものであり、接合材組成物No.17で板状粒子として用いた仮焼タルクは900℃で仮焼したものである。主成分である、板状粒子、非板状粒子A、非板状粒子B、スメクタイト鉱物、無機接着剤の割合は、これらの合計を100としたときの、それぞれの質量%で表示した。また、副成分である、有機バインダー、発泡樹脂、分散剤の割合は、主成分を100としたときの外配の質量%で表示した。板状粒子のアスペクト比は、当該粒子の「長径/厚さ」として算出され、前記「長径」及び「厚さ」の測定は、電子顕微鏡観察により行った。すなわち、板状粒子の厚さ方向に垂直な任意の方向から観察し、その電子顕微鏡写真を画像処理することにより、厚さを計測した。また、同じ画像において、厚さ方向に垂直な方向の粒子の長さを長径とし、画像処理により長径を計測した。なお、この計測は、観察視野中から無作為に選択した10ヶ以上の粒子について実施し、それらのアスペクト比の平均値を板状粒子のアスペクト比とした。
ハニカムセグメントの外壁面に、厚さ約1mmとなるように接合材組成物No.1を塗布方向をハニカムセグメントの長手方向としてコーティングして接合材層を形成し、その上に別のハニカムセグメントを載置する工程を繰り返し、4×4に組み合わせた16個のハニカムセグメントからなるハニカムセグメント積層体を作製し、適宜、外部より圧力を加えるなどして、全体を接合させた後、140℃で2時間乾燥してハニカムセグメント接合体を得た。得られたハニカムセグメント接合体の外周を円筒状に研削加工後、その外周面をコーティング材で被覆し、700℃で2時間乾燥硬化させて、ハニカム構造体を得た。
得られたハニカム構造体の接合材層について、気孔率、粗大気孔径(接合材層中の最も大きな気孔の気孔径)、ε2/ε1、被接合物のヤング率に対する接合材層の厚さ方向の圧縮ヤング率の割合、接合体の接合曲げ試験におけるヤング率と接合材層の圧縮ヤング率の比を、下記の方法により求めた。その結果を表2に示す。
ハニカム構造体から接合材層の部分を任意形状に切り出し(例えば、10×10×1mm)、アルキメデス法により算出した。
ハニカム構造体から接合材層を含む部分を任意形状に切り出し(例えば、20×10×10mm)、接合材層の断面を観察するべく、樹脂含浸後、所定の面を研磨し、観察面を得た。これを電子顕微鏡にて観察し、接合材層断面における気孔の大きさ、分布状態等を観察した。観察像を画像解析することにより、気孔部分を抽出し、気孔の大きさを計測した。また、接合材層を接合厚さ方向に4等分し、それぞれの箇所(一方のセグメント(被接合物A)に接する箇所から、反対側のセグメント(被接合物B)に向かって順にP1、P2、P3、P4とする)の気孔率を画像解析により算出し、P1とP4との平均をε1、P2とP3との平均をε2とし、ε2/ε1の値を算出した。
ハニカム構造体から接合材層の部分を所定の形状に切り出し(例えば、10×10×1mm)、切り出した試験片に対して所定の圧縮荷重を負荷したときの変位を計測し、その応力−歪線図から算出した(被接合物のヤング率は、JIS R1601に準じた3点曲げ試験における荷重−変位曲線から算出した。)。
JIS R 1624に準じて、二つの被接合物と接合材層とからなる接合体の試験片(例えば、10×15×70mm)を切り出し、曲げ試験での応力−歪曲線を得、その傾きを接合曲げ試験における曲げヤング率とした。
ハニカム構造体から接合材層の部分を任意形状に切り出し(例えば、10×10×1mm)、JIS R 1611に準じて測定した。
得られたハニカム構造体の接合後の状態を確認するとともに、下記の方法により、急速加熱試験(バーナースポーリング試験)を試験温度900℃、1000℃にて行った。試験後のハニカム構造体のクラックの発生状況を観察した。その結果を表3に示す。
ハニカム構造体にバーナーで加熱した空気を流すことにより中心部分と外側部分との温度差をつくり、ハニカム構造体のクラックの発生しない温度により耐熱衝撃性を評価する試験(温度が高いほど耐熱衝撃性が高い)である。なお、表3の表示では、×の場合、試験温度900℃でクラック発生あり、○の場合、試験温度900℃でクラック発生なし、◎の場合、試験温度1000℃でクラック発生なしを意味する。
実施例2〜26は、実施例1において、接合材組成物No.1を、表1に示す接合材組成物No.2〜26に変えたこと以外、実施例1と同様に、ハニカム構造体を作製した。また、比較例1〜4は、接合材組成物No.27〜30に変えたこと以外は実施例1と同様に、ハニカム構造体を作製した。それぞれ得られたハニカム構造体(実施例2〜26、比較例1〜4)について、実施例1と同様の評価及び試験を行った。その結果を表2及び表3に示す。
表2及び表3の結果から、本発明の実施例に係る実施例1〜26は、硬化後の接合材組成物(接合材層)の評価が良好であり、ハニカムセグメント間の接合状態も良好であり、かつ急速加熱試験後であっても、ハニカム構造体の端部、外周部及び接合材層にクラックが発生することなく、良品であった。一方、フィラーとして板状粒子の代わりにファイバーを含む接合材組成物を使用した比較例1は、接合体の接合曲げ試験におけるヤング率と接合材層の圧縮ヤング率の比が大きく、急速加熱試験後のハニカム構造体の端部にクラックが生じた。板状粒子を含まない接合材組成物を使用した比較例2は、被接合物のヤング率に対する接合材層の厚さ方向の圧縮ヤング率の割合が大きく、急速加熱試験後のハニカム構造体の外周部及び接合材層にクラックが生じた。非板状粒子を含まない接合材組成物を使用した比較例3と、スメクタイト鉱物を含まない接合材組成物を使用した比較例4とは、接合体の接合曲げ試験におけるヤング率と接合材層の圧縮ヤング率の比、及び被接合物のヤング率に対する接合材層の厚さ方向の圧縮ヤング率の割合が共に大きく、急速加熱試験後のハニカム構造体の外周部及び接合材層にクラックが生じた。
Claims (24)
- 二つ以上の被接合物が接合材層を介して一体化されてなる接合体を得るための接合材組成物であって、板状粒子、非板状粒子、スメクタイト系粘土及び無機接着剤を主成分とする接合材組成物。
- 前記接合材組成物に含まれる前記板状粒子の割合が、前記主成分全体の12〜38質量%である請求項1に記載の接合材組成物。
- 前記接合材組成物に含まれる前記スメクタイト系粘土の割合が、前記主成分全体の0.1〜5質量%である請求項1又は2に記載の接合材組成物。
- 前記接合材組成物に含まれる非板状粒子が、平均粒径10μm以上の非板状粒子Aと平均粒径10μm未満の非板状粒子Bとからなり、前記非板状粒子Bの割合が、前記主成分全体の30〜50質量%である請求項1〜3の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記接合材組成物の副成分として、有機バインダー、分散剤、発泡樹脂及び水を含む請求項1〜4の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記板状粒子のアスペクト比が3以上である請求項1〜5の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記板状粒子の平均粒径が、2〜200μmである請求項1〜6の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記板状粒子が、マイカ、タルク、窒化ホウ素及びガラスフレークよりなる群から選ばれた1種以上の材料からなる板状粒子である請求項1〜7の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記マイカが800℃以上で仮焼したマイカであり、前記タルクが900℃以上で仮焼したタルクである請求項8に記載の接合材組成物。
- 前記非板状粒子が、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム及びガラスよりなる群から選ばれた1種以上の材料からなる非板状粒子である請求項1〜9の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記無機接着剤が、コロイダルシリカである請求項1〜10の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記被接合物が、ハニカムセグメントである請求項1〜11の何れか一項に記載の接合材組成物。
- 前記ハニカムセグメントが、ディーゼル排ガス浄化用フィルターに使用するハニカム構造体を得るためのハニカムセグメントである請求項12に記載の接合材組成物。
- 二つ以上の被接合物が、請求項1〜13の何れか一項に記載の接合材組成物によって形成される接合材層を介して一体化されてなる接合体であって、前記接合材層の気孔率が40〜80%であり、かつ、前記接合材層が気孔径200μm以上の気孔を有する接合体。
- 被接合物Aと被接合物Bとが厚さtの前記接合材層を介して接合されており、前記接合材層の内、前記被接合物Aと前記接合材層との界面から厚さ0.25tまでの部分の接合材層を接合材層I、前記被接合物Bと前記接合材層との界面から厚さ0.25tまでの部分の接合材層を接合材層III、前記接合材層Iと前記接合材層IIIとの間の厚さ0.5tの部分の接合材層を接合材層IIとしたとき、前記接合材層Iと前記接合材層IIIとの平均の気孔率ε1と、前記接合材層IIの気孔率ε2とが、ε2/ε1>1.1の関係式を満たす請求項14に記載の接合体。
- 前記接合材層の厚さ方向の圧縮ヤング率が、前記被接合物のヤング率の20%以下である請求項14又は15に記載の接合体。
- 二つの被接合物とそれらを接合している接合材層とを試験片として切り出し、接合曲げ試験に供した場合において、当該接合曲げ試験における曲げヤング率と接合材層の厚さ方向の圧縮ヤング率との比が0.8〜20である請求項14〜16の何れか一項に記載の接合体。
- 前記接合材層の熱伝導率が、0.05〜5W/mKである請求項14〜17の何れか一項に記載の接合体。
- 前記被接合物が、ハニカムセグメントである請求項14〜18の何れか一項に記載の接合体。
- ディーゼル排ガス浄化用フィルターに使用される請求項14〜19の何れか一項に記載の接合体。
- 主成分として板状粒子、非板状粒子、スメクタイト系粘土及び無機接着剤が含まれる原料を、混合、混練してペースト状にする接合材組成物の製造方法。
- 前記原料に、更に副成分として有機バインダー、分散剤、発泡樹脂及び水が含まれる請求項21に記載の接合材組成物の製造方法。
- 二つ以上の被接合物を、請求項1〜13の何れか一項に記載の接合材組成物を用いて一体的に接合する接合体の製造方法。
- 前記被接合物がハニカムセグメントである、請求項23に記載の接合体の製造方法。
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