JP2008161147A - 非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する植物の作成方法 - Google Patents

非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する植物の作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む、新しいバイカラー等の複色花色の花卉を有する植物を提供する。
【解決手段】新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子中に挿入されたトランスポゾンとそれを利用したアシル基を有しないアシルアントシアニンである非アシルアントシアニンとアシル基を有しているアシルアントシアニンを含む花弁を有する植物を作成する方法。欠失等に関るトランスポゾンによる変異の有無を検出することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子中に挿入されたトランスポゾンとそれを利用したアシル基を有しないアシルアントシアニンである非アシルアントシアニンとアシル基を有しているアントシアニンであるアシルアントシアニンを含む花弁を有する植物を作成する方法に関する。詳しくは、本発明は、前記トランスポゾンが任意の場所に挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を、該変異遺伝子を持たない植物に導入すること、又は新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を持つ植物において、全部若しくは一部の遺伝子機能を欠失させることで、非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する植物を作成する方法、並びに当該欠失等に関るトランスポゾンによる変異の有無を検出する方法に関する。
花卉の特性で最も重要な性質は花色である。そのなかでもアントシアニンの花色はピンク・赤・青・紫の花色に深く関与しており重要である。これまでに様々な花色を得るため、交雑や変異や遺伝子組換えによる育種が行われてきた。その中でも同じ花弁に二色の花色を持つバイカラーの品種は珍重されてきた。しかし、その遺伝子や遺伝的背景が遺伝子レベルで明らかになることはなかった。
アントシアニンは様々なアシル基により修飾されることで、さまざまな色調を持つ分子になることが知られている。近年、その分子機構が明らかになるにつれ共通の配列を持つ植物BAHDアシル基転移酵素とそれをコードする一群の遺伝子が存在することがわかった(非特許文献1を参照)。
3大園芸花卉の一つであるカーネーション花弁にある色素は、通常はアシル基を持つアントシアニンである(非特許文献2を参照)。このアシル基は他の植物とは異なりリンゴ酸で修飾されていることに特徴がある。近年、アシル基を持たない品種(例えば、‘ナザレノ’ 、キリンアグリバイオ(株))が育成され、いままでの花色と明らかに異なる一群のカーネーションが作出されている(非特許文献3及び4を参照)。しかし、未だにその独特なカーネーションの花色を生み出す分子機構は明らかにされていなかった。
D’Auria, Curr. Opin. Plant Biol., 9, 331-340 (2006) 中山真義ら, Phytochemistry, 55, 937-939 (2000) 山口雅篤, 南九州大学園芸学部研究報告., 19, 1-78 (1989) 吉田洋之ら, 園芸学雑誌, 72別1, 130 (2003)
本発明は、トランスポゾンを含む新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を利用し、該新規アシル基転移酵素タンパク質を花弁で発現・抑制させることにより新規な複色花色を有する新規な花卉を提供すること、並びに植物において前記トランスポゾンによる変異の有無を検出する方法の提供を目的とする。
本発明者らは、独特なカーネーションの花色を生み出す分子機構について鋭意研究を重ねた結果、新たにカーネーションから新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を見出し、これがカーネーションで機能していることを確認した。すなわち、カーネーションのアシル基を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子は、公知の植物BAHDアシル基転移酵素という一群の遺伝子ではないことが判明した。また、アシル基を有しない非アシルアントシアニンとアシル基を有するアシルアントシアニンを同時にもつバイカラーの育種系統から、同遺伝子がトランスポゾンによって中断されていること、及びアシルアントシアニンを含む花弁では同トランスポゾンが脱離していることを確認した。本発明者らは、さらに本トランスポゾンで中断されている変異遺伝子は単純な遺伝を示すことを明らかにし、前記トランスポゾンを含む新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を利用することにより、植物の花弁で新規アシル基転移酵素タンパク質を発現させ、又は抑制し、新しい花色の花弁を有する植物を作成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] 配列番号2に示す新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列中に、以下のa)〜d)に示すいずれかのDNAがトランスポゾンとして挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子。
a)配列番号3に示す塩基配列からなるDNA
b)配列番号3に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつトランスポゾンとしての転移活性を有するDNA
c)配列番号3に示す塩基配列と80%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつトランズポゾンとしての転移活性を有するDNA
d)配列番号3に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA
[2] トランスポゾンが配列番号2の732番と733番の塩基の間にあるイントロンの内部に存在することを特徴とする、[1]の変異遺伝子。
[3] [1]又は[2]の変異遺伝子を含む植物。
[4] [1]又は[2]の変異遺伝子を有する植物であって、非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有することを特徴とする植物。
[5] MFA1系統又はMFA2系統の後代の植物である、[4]の植物。
[6] 下記の工程を含む[4]の植物の作出方法:
(1)[1]又は[2]の変異遺伝子を有する植物と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する工程;並びに
(2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
[7] 下記の工程を含む[5]のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法:
(1)MFA1系統又はMFA2系統と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する工程;並びに
(2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
[8] (1)の工程において、MFA1系統又はMFA2系統の交配により得られた後代と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する、[7]のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法。
[9] 下記の工程を含む[4]の植物の作出方法:
(1)[1]又は[2]の変異遺伝子を有する植物と、他の植物であってアシルアントシアニンを含み、対立遺伝子として、片側は正常な新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を1コピー有するが、もう片側は機能していない新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子又はその変異遺伝子を有するものとを交配する工程;並びに
(2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
[10] 下記の工程を含む[5]のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法:
(1)MFA1系統、MFA2系統又はその後代と、他の植物であってアシルアントシアニンを含み、対立遺伝子として、片側は正常な新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を1コピー有するが、もう片側は機能していない新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子又はその変異遺伝子を有するものとを交配する工程;並びに
(2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
[11] (1)の工程において、MFA1系統又はMFA2系統の交配により得られた後代と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する、[10]のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法。
本発明によれば、新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子にトランスポゾンが挿入された変異遺伝子を利用して、非アシルアントシアニン及びアシルアントシアニンを含む花弁を有する植物が提供される。交配によって前記変異遺伝子を持つ植物を育種すれば、花弁に非アシルアントシアニン及びアシルアントシアニンを含む、画期的な花色をもつバイカラーなどの複色花色の品種が育成できる。また、該トランスポゾンによる変異の有無を検出することもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子
本発明の遺伝子は、配列番号3で示される塩基配列からなるDNA即ち、配列番号2の任意の場所に、以下のa)〜d)に示すいずれかのDNA
a)配列番号3に示す塩基配列からなるDNA、
b)配列番号3に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、転移活性を有するDNA、
c)配列番号3に示す塩基配列と80%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつ、転移活性を有するDNA、又は
d)配列番号3に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA、
がトランスポゾンとして挿入した変異遺伝子である。
配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子は、新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子であり、該遺伝子がコードする新規アシル基転移酵素タンパク質のアミノ酸配列を配列番号1に示す。該新規アシル基転移酵素タンパク質は、配列番号1に示すアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アシル基としてリンゴ酸をアントシアニンに転移する活性を有するタンパク質を包含する。
配列番号1にアミノ酸配列が示される新規アシル基転移酵素タンパク質は、3位にグルコースをもつアントシアニンにアシル基としてリンゴ酸を付加する活性ならびに3位及び5位にグルコースをもつアントシアニンをサイクリックマリルアントシアニンに変換する活性を持つ新規アシル基転移酵素タンパク質である。図1Aに3位にグルコースをもつアントシアニンにリンゴ酸を付加する反応、図1Bに3位及び5位にグルコースをもつアントシアニンをサイクリックマリルアントシアニンに変換する反応を示す。
上記の「転移活性」とは、遺伝子に挿入された状態から脱離し、さらに遺伝子に挿入されるというように、植物ゲノム上を転移し得る活性をいう。
さらに、本発明の配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子の変異遺伝子は、例えば、配列番号2で示される塩基配列の732番と733番の塩基の間にあるイントロンの内部に配列番号3で示される塩基配列からなるDNAを包含する。
上記の「配列番号1に示すアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
アミノ酸の欠失、置換、挿入、又は付加は、上記タンパク質をコードする遺伝子を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行うことができる。遺伝子に改変を導入するには、Kunkel法又は Gapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行うことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した改変導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて改変が導入される。
上記の「新規アシル基転移酵素タンパク質活性」とは、3位にグルコースをもつアントシアニンにアシル基としてリンゴ酸を付加する活性ならびに3位及び5位にグルコースをもつアントシアニンをサイクリックマリルアントシアニンに変換することできる活性をいう。「配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質が有する活性と実質的に同等である活性を有する場合、新規アシル基転移酵素タンパク質活性を有するという。ここで、「活性が実質的に同等」とは、酵素の比活性を測定した場合に、80%以上、好ましくは90%以上の活性を示すことをいう。
上記のような改変タンパク質が、実際に新規アシル基転移酵素タンパク質活性を有するか否かは、カリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター等のプロモーターを上記タンパク質をコードする遺伝子の下流域に連結したベクターを作製し、該ベクターを用いて従来より周知慣用されている種々の形質転換法(後述)によりナザレノ(キリンアグリバイオ(株))等の非アシルアントシアニンを蓄積する植物に導入した後、花弁の色素を測定することにより確認できる。
配列番号2に示される塩基配列からなる遺伝子の変異遺伝子には、例えば、配列番号2で示される塩基配列の732番と733番の塩基の間にあるイントロンの内部に配列番号3で示される塩基配列を含む塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつトランスポゾンが転移し得る活性を有するDNAが含まれる。
ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、ナトリウム濃度が、10mM〜300mM、好ましくは20〜100mMであり、温度が25℃〜70℃、好ましくは42℃〜55℃での条件をいう。
また、本発明の変異遺伝子には、配列番号2で示される塩基配列の732番と733番の塩基の間にあるイントロン配列(図3)の内部に配列番号3を含む塩基配列と80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつ、トランスポゾンが転移する活性を有するDNAも含まれる。ここでいう相同性の数値は、塩基配列比較用プログラム:例えばDNASIS-Mac v3.7(日立ソフトウェアエンジニアリング社)やGENETYX ver4.0(ゼネティックス社)を用いて、デフォルト(初期設定)のパラメーターにより算出されるものである。
さらに本発明の変異遺伝子には、その縮重異性体も含まれる。ここいう縮重異性体とは、縮重コドンにおいてのみ異なっていて同一のタンパク質をコードすることのできるDNAを意味する。例えば、配列番号2の塩基配列をもつDNAに対して、そのアミノ酸のどれかに対応するコドンが、これと縮重関係にあるコドンに変わったものを本発明では縮重異性体と呼ぶ。例えばAsnに対応するコドン(AAC)が、これと縮重関係にあるコドン、例えばAATに変わったものを本発明では縮重異性体と呼ぶ。
また、上記の改変型遺伝子(改変型DNA)は、Kunkel法や Gapped duplex法などの公知の手法又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した改変導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製)など)を用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて作製することができる。上記突然変異誘発法については、遺伝子の塩基配列を参照すれば、Molecular Cloning [Sambrookら編集, 15, Site-directed Mutagenesis of Cloned DNA, 15.3〜15.113, Cold Spring Harbor Lab. Press, New York (1989)]等の文献の記載に従って、当業者であれば格別の困難性なしに選択し実施することができる。また、当業者であれば、遺伝子の塩基配列を基にして、当該塩基配列から1以上(1又は数個以上)の塩基の置換、欠失、挿入又は付加を人為的に行う技術(部位特異的突然変異誘発)については、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 5662-5666 (1984); WO85/00817; Nature, 316, 601-605 (1985); Gene, 34, 315-323 (1985); Nucleic Acids Res., 13, 4431-4442 (1985); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409-6413 (1982); Science, 224, 1431-1433 (1984) 等に記載の技術に従って実施することができる。
本発明の新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子は、茎や葉では発現しないように遺伝子の機能が阻害されている。一方、花弁では、変異遺伝子中のトランスポゾンの転移により、その一部の機能が復帰し得る。
本発明の変異遺伝子は、構造的には、新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を分断する形でトランスポゾンを含む。好ましくは、該トランスポゾンは、花弁での転移が良く起こるdTdic1, Tdic101などである。最も好ましいトランスポゾンとして、配列番号3に示される塩基配列からなるトランスポゾンが挙げられる。さらに、配列番号3に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、転移活性を有するDNA、配列番号3に示す塩基配列と80%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつ、転移活性を有するDNA、又は配列番号3に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNAが挙げられる。
上記トランスポゾンが分断する新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子上の位置はプロモーター領域、エクソン領域、イントロン領域及び非翻訳領域のいずれでもよく、遺伝子の分断により該遺伝子機能が阻害されるのならばいずれでもよい。この中でもイントロン領域の分断が好ましい。新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子のイントロン領域は、配列番号1に示される新規アシル基転移酵素タンパク質をコードするDNAの塩基配列を基にPCR用のプライマーを作成し、カーネーション花弁から抽出したmRNAを鋳型にして合成したcDNAとカーネーションのゲノムDNAとを比較することで位置が同定できる。
2.機能していない新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子
機能していない新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子は、配列番号2の遺伝子又はそのプロモーターに欠失又は挿入などによって遺伝子が機能しなくなるものであればよい。これらは配列番号2を基にプライマーを作成しRT-PCRやPCRを用いることで容易に検定することができる。好ましくは品種‘ナザレノ’(キリンアグリバイオ(株))が対立遺伝子としてホモで持つ、機能していない遺伝子を利用することができる。
3.非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する系統の育種
本発明のトランスポゾンが挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を持つ植物と新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を持たないか、又は機能していない植物を交配することにより、後代において、新たな本発明のトランスポゾンが挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を持つ植物であって、非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを有する植物を得ることができる。非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを有する植物は、今までにないバイカラー等の複色花色を有する植物となる。さらに、F1雑種等の後代の交配をさらに繰り返すことにより、バイカラーのみならず、トリカラー、テトラカラー等の複色花色の植物を得ることができる。
例えば、植物がカーネーションである場合、カーネーションの遺伝子記号として、フラボノイド-3’位水酸化酵素をR、その変異をr、フラボノイド-5位配糖化酵素をM、その変異をmと記述する。さらに、新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子をAcで表現すると、その変異遺伝子はac、さらにトランスポゾンを含んだ花のバイカラーを示す変異遺伝子はac-mで表現される。
例えば、本発明のトランスポゾンが挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を持つ植物の遺伝子型はr/r M/M ac/ac-mで表わされ、本発明のトランスポゾンが挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を持たない植物の遺伝子型はr/r M/M ac/acで表わされる。両植物の交配で得られる後代の系統の遺伝子型は、r/r M/M ac/ac-mとr/r M/M ac/acで表わされる。このうち、r/r M/M ac/ac-mで表わされる後代系統はバイカラーの花色の花弁を有する植物となる。
遺伝子型がr/r M/M ac/ac-mで表わされ、本発明のトランスポゾンが挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を持つカーネーションの系統の例として、MFA1系統及びMFA2系統が挙げられる。また、本発明のトランスポゾンが挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子を持たないカーネーションの系統の例として、ナザレノが挙げられる。
花色は、目視により判定することもできるし、表色測定試験により判定することもできる。表色測定試験においては、植物が開花し、花弁が充分に開ききった状態において、系統ごとに3個体の花弁についてその色度を日本電色工業の簡易型分光色差計(NF333型)で3回測定し、平均値を出すことにより花色を評価すればよい。なお、表色測定は観察された色の表現型を記述するための代替的な手段であり、認識された色の指標としてみなされるべきものであり、得られうる潜在的な色を限定するものではない。
4.トランスポゾンの検出
本発明のトランスポゾンの塩基配列を利用することによりサザンハイブリダイゼーション、又はPCRなどの手法を用いて、もととなる個体との相違を調査することにより突然変異体を容易に検出することができる。すなわち、トランスポゾンに特異的なプライマー又はプローブを用いることにより新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子中にトランスポゾンを検出することができる。トランスポゾンの有無の検出に用いるプライマーの設計はトランスポゾンの塩基配列のうち、連続する8塩基以上、望ましくは16塩基以上、更に望ましくは20塩基以上、更に好適には20〜30塩基の部分を2ヶ所任意に選ぶことにより可能である。トランスポゾンの有無の検出に用いるプローブには、トランスポゾンの塩基配列のうち少なくとも連続した20〜100塩基又はその相補的配列を有する20〜100塩基を含むプローブを用いることができる。プローブには、通常用いられる手段、例えば、放射線標識(アマシャム社メガプライム法)、DIG標識(ロシュ社方法準拠)等で標識することができる。
また、トランスポゾンの脱離を次のようにして確認できる。例えば、本発明により得られたトランスポゾンをプローブとしサザンハイブリダイゼーションにより、又は転移因子の塩基配列をもとにプライマーを作成しPCRを行うことにより、変異体と変異体が由来するもととなる個体の相違を検出することにより、変異遺伝子(トランスポゾンが挿入された遺伝子)の一部(断片)を単離することができる。このようにして得られたDNA断片を用い変異遺伝子全体を容易に単離することができる。トランスポゾンの脱離有無の検出に用いるプライマーの設計は、トランスポゾンの塩基配列と新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列から、それぞれ連続する8塩基以上、望ましくは16塩基以上、更に望ましくは20塩基以上、更に好適には20〜30塩基の部分を2ヶ所任意に選ぶことにより可能である。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
キリンアグリバイオ(株)以外の販売元名の記載のある系統や品種以外、以下の実施例で用いられたカーネーションの系統や品種は、キリンアグリバイオ(株)にて保存されており、販売又は実験材料として分譲要請に応じることができる。連絡先は、〒104-0032 日本国東京都中央区八丁堀2−24−2 日米ビル8F 電話番号03−5541−5875 ファクシミリ番号03−5541−5879である。
(実施例1)カーネーション花弁で発現する新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする候補cDNA断片の取得
カーネーション品種Lucia(キリンアグリバイオ(株)育成系統の桃色カーネーションで、主要色素はアシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3マリルグルコシド)を定法に従って温室で栽培し開花させた。花弁からのmRNAの調製は、RNeasy(キアゲン社)を用い、全cDNAの合成はスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)を用いて行った。
このcDNAに対し、トマトの耐虫性物質アシルアセタールを合成するグルコース・イソ酪酸転移酵素[Liら, PNAS, 97, 6902-6907 (2000)]とその配列に相同性があるイネのゲノム配列から予想されるセリンカルボキシペプチダーゼ[Genbank ACCESSION XP_474646]、同じく相同性のあるオオムギのセリンカルボキシペプチダーゼ[Genbank ACCESSION CAA70816]、同じく相同性のあるシロイヌナズナのセリンカルボキシペプチダーゼSNG2 [Genbank ACCESSION NP_568215]の遺伝子情報を基に作成したプライマー[U592: ATGATTTGGCTTACAGGNGGNCCNGGNTG (配列番号4)、U593: GCTGTRTGNCCNGCNCCYTT (配列番号5)]を用いてPCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃1分)を30回、72℃10分)を行った。PCR用酵素には以降の実験も同様に宝酒造製のExTaqを用いた。増幅産物は1%アガロースゲルを用い100Vで20分間電気泳動することにより分離し、エチジウムブロマイド染色により可視化した。予想される約1kベースの分子量にDNA断片が増幅していることが分かった。得られた増幅産物をTOPOTAクローニングキットシークエンシング用(インビトロジェン社製)を用いてクローニングし、ABI310(アプライドバイオシステムズ社)を用いて塩基配列を決定した。24のクローンの塩基配列を決定し4種のクローンAT3-1(13クローン)、AT3-2 (9クローン)、AT3-3 (1クローン)及びAT3-4 (1クローン)を得た。各4種のクローンに対してそれぞれ特異的なプライマーを合成した。[AT3-1: U609: GGTTGCTCTGCTTTCTCTGGCCTC (配列番号6)とU610: TTAACTGTAGCATAAACTAAGCGG (配列番号7)、AT3-2: U611: GGGTGCTCTTCTTGGAACGGTCTCG (配列番号8)とU612: CCCTTGACTGTCGCGTACGTCAAAG (配列番号9)、AT3-3: U622: CTGCTTTTTCTGGTTTAGCC (配列番号10)とU623: CAGTAGTATAGGTTAACCGG (配列番号11)、AT3-4: U624: GCTCTGCTTTGTCGGGCCTC (配列番号12)とU625: ACCGTAGCATAGACTAATCG (配列番号13)]
(実施例2)新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の単離
MFA1系統とMFA2系統はキリンアグリバイオ(株)の育種系統である。MFA1系統(図2)とその後代の4系統(MFA1-1からMFA1-4、いずれもキリンアグリバイオ(株))、MFA2系統とその後代の2系統(MFA2-1とMFA2-2、いずれもキリンアグリバイオ(株))は、画期的なバイカラーの系統で、いずれも花弁の地の色が薄紫で主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3,5ジグルコシド、斑がピンクで主要色素がアシルアントシアニンであるサイクリック5-3マリルペラルゴニジンである。葉からゲノムDNAをDNeasy(キアゲン社)を用いて抽出した。対照としてカーネーション品種Luciaの葉からもゲノムDNAを抽出した。MFA1系統、MFA2系統、Luciaの葉のゲノムDNAに対し実施例1で合成したプライマーを用いてゲノムを比較解析した。AT3-1特異的なプライマー(配列番号6、7)ではMFA1系統に特異的な挿入配列を認めたが、その後代の4系統(MFA1-1からMFA1-4)では遺伝はしていなかった。AT3-2とAT3-4特異的なプライマー(それぞれ配列番号8及び9並びに12及び13)ではMFA1系統とMFA2系統に特異的な挿入は認められなかった。AT3-3特異的プライマー(配列番号10及び11)ではMFA1系統とMFA2系統いずれにも約4kbの挿入断片が存在することがわかった。それぞれの後代系統(それぞれMFA1-1からMFA1-4および、MFA2-1とMFA2-2)にも遺伝していることが、同プライマー(AT3-3特異的プライマー(配列番号10))を用いた解析で明らかになった。
AT3-3遺伝子の全長配列を決定するため、実施例1で取得したLuciaのmRNAに対しジーンレーサーキット(インビトロジェン社)を使用し全長のcDNA配列を決定した(配列番号2)。その遺伝子がコードする新規アシル基転移酵素タンパク質(配列番号1)につき、それをコードする遺伝子を取得する元になったトマトの耐虫性物質アシルアセタールを合成するグルコース・イソ酪酸転移タンパク質とのアミノ酸の相同性を図3に示す。部分的な相同性が認められるが、全体としては44.6%の相同性を示す。植物のアシル基転移酵素の殆どが、D’Auria, Curr. Opin. Plant Biol., 9, 331-340 (2006)にある植物BAHDアシル基転移酵素という一群の遺伝子にコードされている。驚くべきことに、本遺伝子は植物BAHDアシル基転移酵素という一群の遺伝子との相同性は全く認められなかった。
(実施例3)新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子にあるMFA1系統とMFA2系統の特異的挿入断片
Luciaの全長cDNAの配列(配列番号2)に基づいて作成したプライマー[U627: GAATATGAACGTCGCGTATCAC(配列番号14)とU628: CATTGCAACTGATCTTGGCCG (配列番号15)]を用いてMFA1系統、MFA2系統の葉のゲノム断片を増幅し、TOPOTAクローニングキットシークエンシングを用いてクローニングし、塩基配列を決定した。挿入断片が配列番号2に示す塩基配列の732番と733番の塩基の間にある148bpのイントロン(図4)の内部にあり、図4に示す配列の117番から119番のAGTが重複していた。すなわち、AGT配列がTarget site duplication(TSD)を示す形で約3.6kbの挿入断片が挿入していた。挿入断片の塩基配列は配列番号3に示す。MFA1系統、MFA2系統は同一位置に同一の挿入が認められた。MFA1系統とMFA2系統の育種上の類縁関係は不明であるが、同じ挿入断片を持つものから育種されたことが推定された。
(実施例4)斑部分での特異的挿入断片の脱離
MFA1系統の後代の2系統(MFA1-2, MFA1-3)及びMFA2系統の花弁のピンクの斑の部分からゲノムDNAをDNeasyを用いて抽出した。実施例3で用いたプライマー(U627とU628)で用いたゲノム断片を増幅しTOPOTAクローニングキットシークエンシング用を用いてクローニングし、塩基配列を決定した。その結果、いずれの花弁からも実施例3の挿入断片が脱離しておりフットプリントが認められた(図5)。
以上の結果から、実施例3で見出された特異的挿入断片はトランスポゾンであることが分かった。葉や非アシルアントシアニンが蓄積している花弁では該トランスポゾンが挿入されたままである。このため、新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子は機能しないので非アシルアントシアニンが蓄積する。一方、アシルアントシアニンが蓄積している斑では同トランスポゾンが脱離している。その結果、、アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子が機能するようになりアシルアントシアニンに変換されることが判明した。この結果バイカラーの花色を有する植物ができる。
(実施例5)非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する系統の育種
03-28-2系統(キリンアグリバイオ(株))は、花弁の色が薄紫で主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3,5ジグルコシドであるポットタイプのカーネーションである。MFA1系統に03-28-2系統を交配した種子からは、03-28-2系統と同じく花弁の色が薄紫で主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3,5ジグルコシドである個体とMFA1系統と同じく花弁の色がバイカラーの個体が得られた。同様にしてMFA2系統に03-28-2系統を交配した種子からは、03-28-2系統と同じく花弁の色が薄紫で主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3,5ジグルコシドである個体とMFA1系統と同じく花弁の色がバイカラーの個体が得られた。以上の4種類の個体、系統につき、それぞれ5個体ずつ、計20個体からDNAを抽出し、実施例3で示したプライマーU627とU628を用いて挿入配列の遺伝を調べたところ、バイカラーの花色を有している個体、系統に挿入配列を持つ遺伝子、つまり劣性の変異遺伝子が遺伝していることが明らかになった。バイカラーの性質を示す変異遺伝子は、以上から単純な劣性の性質を示すことが明らかとなった。
以下に詳しく遺伝記号を用いてその原理とバイカラー品種の作出法を示す。カーネーションの遺伝子記号として、フラボノイド-3’位水酸化酵素をR、その変異をr、フラボノイド-5位配糖化酵素をM、その変異をmと記述する[Mehlquist (1939) Proc.Am.Soc.Hort.Sci 37, 1019-1021 (1939)]。また新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子は、山口ら[園芸学雑誌, 69別1, 352 (2000)]によって遺伝子記号をAcと推定していることからこの記号を用いると、その変異遺伝子はac、さらにトランスポゾンを含んだ花のバイカラーを示す変異遺伝子はac-mで表現される。MFA1系統とMFA2系統の遺伝子型はr/r M/M ac/ac-mである。一方、ポットタイプのカーネーション03-28-2系統の遺伝子型はr/r M/M ac/acである。よってその後代はr/r M/M ac/ac-mとr/r M/M ac/acが約1対1の割合で出現し、後代のバイカラー系統(MFA1-1〜MFA1-4、MFA2-1、MFA2-2など)の遺伝子型はすべてr/r M/M ac/ac-mであった。このようにして花弁の地の色が薄紫で花弁の地の主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3,5ジグルコシドであり、斑の色がピンクで斑の主要色素がアシルアントシアニンであるサイクリック5-3マリルペラルゴニジンであるバイカラーの系統を作出できる。MFA1系統又はMFA2系統に由来する本発明の変異遺伝子ac-mを持つものを片親にして交配すれば、バイカラーの系統を作出することができる。この場合、他方の片親としては03-28-2系統に限定する必要はなく、花弁の色が薄紫で花弁の主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3,5ジグルコシドである品種‘ナザレノ’などを利用することができる。花弁の色が薄紫で花弁の主要色素が非アシルアントシアニンであるが表層キメラであり内層の遺伝子型がAc/acである品種‘ミスティックバーバラ’(ヒルベルダ社)を利用する場合には、後代で期待するバイカラーの花色をもつ個体の出現頻度は低くなるが取得することは可能である。さらには、全くac変異を持たないカーネーションでも次々代で選抜することを目的とすれば、これを他方の片親として後代でバイカラーの花色をもつ系統を取得することが可能である。
(実施例6)非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有するさらに新しい系統の育種
新しい花色を出現させるため花弁の地の色がざらついた紫で花弁の地の主要色素が非アシルアントシアニンであるシアニジン-3,5ジグルコシドをもつHA2系統(キリンアグリバイオ(株)、遺伝型R/r M/M ac/ac、 L*a*b*表色系(日本工業規格JIS Z 8729)がL*=28.81, a*=18.72, b*=-8.75)とMFA2系統との交配を行った。その結果、花弁の地の色がざらついた紫で花弁の地の主要色素が非アシルアントシアニンであるシアニジン-3,5ジグルコシドであり、斑の色が赤紫で斑の主要色素がアシルアントシアニンであるサイクリック5-3マリルシアニジンである系統(図6と図7、地の非アシルアントシアニン部分のL*a*b*表色系がL*=38.22, a*=21.33, b*=-9.99、斑のアシルアントシアニン部分のL*a*b*表色系がL*=32.22, a*=53.16, b*=-9.01)を作出することに成功した。表色測定試験においては、カーネーションが開花し、花弁が充分に開ききった状態において、系統ごとに3個体の花弁についてその色度を日本電色工業の簡易型分光色差計(NF333型)で3回測定し、平均値を出すことにより花色を評価する。なお、表色測定は観察された色の表現型を記述するための代替的な手段であり、認識された色の指標としてみなされるべきものであり、得られうる潜在的な色を限定するものではない。HA2系統とMFA2系統の交配で得られる系統の遺伝子型はR/r M/M ac/ac-mである。片親にはHA2系統の代わりに品種‘リーベ’(非特許文献4)などを用いることもできる。
さらに、MFA1系統又はMFA2系統と他の系統との交配では、F2で選抜することになるが、花弁の主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3グルコシドであるカーネーションと交配することで、花弁の地の部分の主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3グルコシド、花弁の斑の部分の主要色素がアシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3マリルグルコシドである系統を作出できる。その際の片親には品種‘カシス’(第一園芸社)(吉田洋之ら, 園芸学雑誌, 72別1, 130 (2003))などを用いることができる。MFA1系統又はMFA2系統と‘カシス’との交配で得られるバイカラーの系統の遺伝子型はr/r m/m ac/ac-m、r/r m/m ac-m/ac-m、である。
また、MFA1系統又はMFA2系統と他の系統との交配では、F2で選抜することになるが、花弁の主要色素が非アシルアントシアニンであるシアニジン-3グルコシドであるカーネーションと交配することで、花弁の地の部分の主要色素が非アシルアントシアニンであるシアニジン-3グルコシド、花弁の斑の部分の主要色素がアシルアントシアニンであるシアニジン-3マリルグルコシドである系統を作出できる。その際の片親には品種‘ブリック’(吉田洋之ら, 園芸学雑誌, 72別1, 130 (2003))などを用いることができる。MFA1系統又はMFA2系統と‘ブリック’との交配で得られるバイカラーの系統の遺伝子型はR/r m/m ac/ac-m、R/R m/m ac/ac-m、R/r m/m ac-m/ac-m、R/R m/m ac-m/ac-mである。
さらに、既知のバイカラーの遺伝様式と組み合わせることでカーネーションでは知られていない、花卉園芸上でも極めて珍しいトリカラーもしくはテトラカラーの品種を作出することができる。図8に記載されているHA21系統の遺伝子型はr/r M/M ac/ac i/i-mである。ここで示すIはチャルコン異性化酵素であり、iは変異遺伝子を表す。i-mは図8に見られる条斑を示す遺伝子でありacやac-mとは異なる遺伝子であり独立に遺伝をする。MFA1系統やMFA2系統(r/r M/M ac/ac-m I/I)の変異遺伝子ac-mと組み合わせることでテトラカラー(遺伝子型はr/r M/M ac/ac-m i/i-mで地の色がチャルコンとペラルゴニジン-3,5ジグルコシドが含まれる淡い朱色、そこにできる斑がとサイクリック5-3マリルペラルゴニジンを含む黄色味がかったピンク色、条斑が薄紫で主要色素が非アシルアントシアニンであるペラルゴニジン-3,5ジグルコシド、条斑と斑が重なったところがサイクリック5-3マリルペラルゴニジンでピンク色)のものも作出できる。これらの親としてはHA21系統以外に、品種‘キリカオレン’(キリンアグリバイオ(株)、遺伝子型r/r m/m Ac/Ac i-m/i-m)のような黄色に赤い条班を持つものを利用することもできる。
本発明のトランスポゾンが挿入した遺伝子(変異遺伝子)とそれを用いる植物の作成方法は、花卉植物の花色の幅を広げることができ、観賞用植物の開発に有用である。また、当該トランスポゾンを検出することで花色の変異を捉えることができる。
新規アシル基転移酵素タンパク質が触媒する反応を示す図である。図1Aに3位にグルコースをもつアントシアニンにリンゴ酸を付加する反応、図1Bに3位及び5位にグルコースをもつアントシアニンをサイクリックマリルアントシアニンに変換する反応を示す。 MFA1系統の花の写真である。 新規アシル基転移酵素タンパク質活性を有するタンパク質をコードするcDNA配列から予想されるタンパク質(上段)と公知であり新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を取得する元になったトマトの耐虫性物質アシルアセタールを合成するグルコース・イソ酪酸転移タンパク質(下段)のアミノ酸配列とをDNA解析ソフトGENETYX(ver4.0、ゼネティックス社)で解析した結果を示す図である。部分的な相同性が認められるが、全体としては44.6%の相同性を示す。図中、*は同一アミノ酸、.は相同なアミノ酸を示す。 トランスポゾンが挿入していたイントロンの配列を示す図である。図中、下線がTSDを示す。 バイカラー系統の斑で確認されたトランスポゾン脱離後のフットプリントを示す図である。MFA1-3系統については2種のフットプリントが確認できた。 花弁の地の主要色素が非アシルアントシアニンであるシアニジン-3,5ジグルコシドであり、花弁の斑の主要色素がアシルアントシアニンであるサイクリック5-3マリルシアニジンである系統の花で、花弁の地の色がざらついた紫であり、斑の色が赤紫である系統の花の写真である。 花弁の地の主要色素が非アシルアントシアニンであるシアニジン-3,5ジグルコシドであり、花弁の斑の主要色素がアシルアントシアニンであるサイクリック5-3マリルシアニジンである系統の花で、花弁の地の色がざらついた紫であり、斑の色が赤紫である系統の花の花弁の写真である。地と扇状の斑が観察できる。 HA21系統の花の写真である。

Claims (11)

  1. 配列番号2に示す新規アシル基転移酵素をコードする遺伝子の塩基配列中に、以下のa)〜d)に示すいずれかのDNAがトランスポゾンとして挿入された新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子の変異遺伝子。
    a)配列番号3に示す塩基配列からなるDNA
    b)配列番号3に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつトランスポゾンとしての転移活性を有するDNA
    c)配列番号3に示す塩基配列と80%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつトランズポゾンとしての転移活性を有するDNA
    d)配列番号3に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA
  2. トランスポゾンが配列番号2の732番と733番の塩基の間にあるイントロンの内部に存在することを特徴とする、請求項1に記載の変異遺伝子。
  3. 請求項1又は2に記載の変異遺伝子を含む植物。
  4. 請求項1又は2に記載の変異遺伝子を有する植物であって、非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有することを特徴とする植物。
  5. MFA1系統又はMFA2系統の後代の植物である、請求項4記載の植物。
  6. 下記の工程を含む請求項4記載の植物の作出方法:
    (1)請求項1又は2に記載の変異遺伝子を有する植物と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する工程;並びに
    (2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
  7. 下記の工程を含む請求項5記載のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法:
    (1)MFA1系統又はMFA2系統と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する工程;並びに
    (2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
  8. (1)の工程において、MFA1系統又はMFA2系統の交配により得られた後代と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する、請求項7記載のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法。
  9. 下記の工程を含む請求項4記載の植物の作出方法:
    (1)請求項1又は2に記載の変異遺伝子を有する植物と、他の植物であってアシルアントシアニンを含み、対立遺伝子として、片側は正常な新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を1コピー有するが、もう片側は機能していない新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子又はその変異遺伝子を有するものとを交配する工程;並びに
    (2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
  10. 下記の工程を含む請求項5記載のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法:
    (1)MFA1系統、MFA2系統又はその後代と、他の植物であってアシルアントシアニンを含み、対立遺伝子として、片側は正常な新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子を1コピー有するが、もう片側は機能していない新規アシル基転移酵素タンパク質をコードする遺伝子又はその変異遺伝子を有するものとを交配する工程;並びに
    (2)F1雑種の中から非アシルアントシアニンとアシルアントシアニンを含む花弁を有する個体を選抜する工程。
  11. (1)の工程において、MFA1系統又はMFA2系統の交配により得られた後代と他の植物であって非アシルアントシアニンを含むものとを交配する、請求項10記載のMFA1系統又はMFA2系統の後代植物の作出方法。
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