JP2008144252A - 銅系摺動材料の製造方法及びその方法で製造した銅系摺動材料 - Google Patents

銅系摺動材料の製造方法及びその方法で製造した銅系摺動材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 Biを含有しても鋼裏金との接合強度が高く、動荷重負荷を支持する軸受に好適な銅系摺動材料の製造方法およびその方法で製造した銅系摺動材料を提供する。
【解決方法】 鋼裏金2上に中間層3としてBiを含有しない銅合金粉が焼結されて緻密化された後に摺動層4としてBiを含有する銅合金粉を焼結するため、第2次焼結における焼結中に発生する摺動層銅合金4のBi液相が焼結により緻密化された中間層3に浸み込みにくく、このため、鋼裏金2と中間層3との界面にBi薄膜の形成が抑制されて鋼裏金2と中間層3及び摺動層4との接合強度の向上を図ることができ、内燃機関のような動荷重負荷を支持する軸受用の摺動材料として充分な耐疲労性を有する材料を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、内燃機関や各種産業機械用の軸受に使用される銅系摺動材料の製造方法及びその製造方法により製造された銅系摺動材料に関するものである。
従来、内燃機関や各種産業機械用の軸受として、鋼裏金付のCu−Pb系合金やCu−Sn−Pb系合金の銅系摺動材料が広く使用されてきた。しかし、近年は、環境面の問題から、例えば、特開平10−330868号公報(特許文献1)や特開2005−200703号公報(特許文献2)に示されるように、Pbに代えてBiを用いたCu−Bi系合金、Cu−Sn−Bi系合金の銅系摺動材料が使用されている。しかし、Pbに比べBiが高価であることから、低コストの銅系摺動材料を製造することを目的として、特表2005−506445号公報(特許文献3)に示されるように、Cu−Sn層とBi含有量の低いCn−Sn−Bi層と鋼裏金からなる銅系摺動材料の製造方法も提案されている。
特開平10−330868号公報(段落0039) 特開2005−200703号公報(段落0017) 特表2005−506445号公報(請求項1、図2)
ところで、Biは、Pbと同じく低融点金属であり、また、銅又は銅合金にほとんど固溶しない点で共通するためにPbに代わる潤滑成分として銅系摺動材料に用いられるようになった。しかし、焼結の加熱によってPbが液相となるが、銅合金結晶粒界におけるPb原子の拡散速度は遅く、また、液相となったPbの表面張力が大きいため、銅合金の結晶粒界で粒状となりやすいので、鋼と銅合金との界面にPbの薄膜が形成されるようなことはない。一方、焼結の加熱によってBiも液相となるが、銅合金結晶粒界におけるBi原子の拡散速度がPbに比べて速く、また、液相となったBiの表面張力もPbに比べて小さいため、銅合金結晶粒界に沿って薄く広がりやすいという特性の違いがある。このため、特許文献1や特許文献2に示されるように、鋼裏金上にBi含有銅合金を焼結した場合には、銅合金結晶粒界を拡散し鋼との界面に到達したBi原子は鋼相側へは拡散しないため鋼裏金との界面に強度が低く且つ脆いBi薄膜が形成される場合がある。特に、Biを5質量%を超えて含有する銅合金の場合には、鋼裏金との界面におけるBi薄膜の面積率が高くなる(例えば、5質量%のBiを含有する銅合金を焼結した場合、Bi薄膜の面積率は30%以上となる)ために接合強度が弱く、内燃機関のような動荷重負荷を支持する軸受用の摺動材料としては耐疲労性が不十分となる。
そこで、特許文献3に開示されるような、鋼裏金とBi含有銅合金摺動層との間にBiを含有しない青銅合金からなる中間層を形成する製造方法が、鋼裏金との界面のBi薄膜形成防止に有効であると考えられたが、この特許文献3に開示される方法に従って、出願人が実際に試みるとBi薄膜形成防止効果はなかった。これは、特許文献3に開示される製造方法では、中間層である青銅粉を鋼裏金上に散布後、Bi含有摺動層銅合金粉を散布した後に焼結を行うものであるため、焼結加熱の昇温の初期に、中間層銅合金粉末同士の焼結がほとんど進行していない状態で摺動層銅合金のうち低融点のBi相が液相となり中間層銅合金粉末間の隙間に浸透してしまうため、鋼裏金との界面にBi薄膜がより形成されやすくなると考えられるからである。
本願発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、Biを含有しても鋼裏金との接合強度が高く、動荷重負荷を支持する軸受に好適な銅系摺動材料の製造方法およびその方法で製造した銅系摺動材料を提供する。
上記した目的を達成するために採用された解決手段として、請求項1に係る発明は、銅系摺動材料の製造方法であって、鋼裏金上にBiを含有しない銅合金粉末を散布し焼結して中間層を形成する第1次焼結工程と、該第1次焼結工程によって形成された中間層を冷却した後Biを含有する銅合金粉末を散布し焼結して摺動層を形成する第2次焼結工程と、からなることを特徴とする。なお、中間層の銅合金粉末がBiを含有しない状態とは、原材料銅合金粉末製造での不可避不純物としてのBi含有は許容する。具体的な不可避不純物Bi量としては0.05質量%以下である。
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の銅系摺動材料の製造方法であって、前記第1次焼結工程と前記第2次焼結工程との間に、前記Biを含有する銅合金粉末を散布する前に前記中間層の緻密化を図る散布前圧延工程を含むことを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1記載の銅系摺動材料の製造方法であって、前記第1次焼結工程と前記第2次焼結工程との間に、前記Biを含有する銅合金粉末を散布した後に前記中間層の緻密化と該中間層と前記摺動層との接合を図る散布後圧延工程を含むことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、銅系摺動材料の製造方法であって、鋼裏金上にBiを含有しない銅合金粉末を散布し焼結して中間層を形成する第1次焼結工程と、該第1次焼結工程によって形成された中間層を冷却した後緻密化を図る緻密化圧延工程と、該緻密化圧延工程後に再度焼結する第2次焼結工程と、該第2次焼結工程後にBiを含有する銅合金粉末を散布し焼結して摺動層を形成する第3次焼結工程と、からなることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかの製造方法で製造した銅系摺動材料であることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、請求項5記載の銅系摺動材料において、前記中間層を構成する銅合金の固相線温度は、前記摺動層を構成するBiを含有する銅合金の固相線温度より0〜50℃高いことを特徴とする。
更に、請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6記載の銅系摺動材料において、前記摺動層を構成する銅合金は、1〜15質量%Sn、1〜30質量%Bi、残部銅の組成を有するものであることを特徴とする。
請求項1に係る発明においては、鋼裏金上に中間層としてBiを含有しない銅合金粉が焼結により緻密化された後に摺動層としてBiを含有する銅合金粉を焼結するため、第2次焼結工程における焼結中に発生する摺動層銅合金のBi液相が焼結により緻密化された中間層に浸み込みにくく、このため、鋼裏金と中間層との界面にBi薄膜の形成が抑制されて鋼裏金と中間層及び摺動層との接合強度の向上を図ることができ、内燃機関のような動荷重負荷を支持する軸受用の摺動材料として充分な耐疲労性を有する材料を提供することができる。
請求項2に係る発明においては、Biを含有する銅合金粉末の散布と第2次焼結工程の前に、中間層の緻密化を図る散布前圧延が行なわれるため、第2次焼結工程における焼結中に発生する摺動層銅合金のBi液相が散布前圧延によりさらに緻密化された中間層銅合金に浸み込みにくくなり、鋼裏金と中間層との界面におけるBi薄膜の形成をさらに抑制することができる。
請求項3に係る発明においては、第2次焼結工程の焼結前に、中間層と該中間層と散布されたBi含有銅合金粉末との予備的な接合を図る散布後圧延が行われるため、第2次焼結工程における焼結中に発生する摺動層銅合金のBi液相が散布後圧延によりさらに緻密化された中間層銅合金に浸み込みにくくなり、鋼裏金と中間層との界面におけるBi薄膜の形成をさらに抑制することができる。
請求項4に係る発明においては、鋼裏金上に中間層としてBiを含有しない銅合金粉が焼結により緻密化された後に、更に緻密化するために緻密化圧延工程と第2次焼結工程とを実行し、その後摺動層としてBiを含有する銅合金粉を焼結するため、第3次焼結工程における焼結中に発生する摺動層銅合金のBi液相が緻密化圧延工程と第2次焼結工程によりさらに緻密化された中間層に浸み込みにくくなり、鋼裏金と中間層との界面におけるBi薄膜の形成をさらに抑制することができる。
請求項5に係る発明においては、請求項1乃至請求項4のいずれかの製造方法で製造した銅系摺動材料は、鋼裏金と中間層との界面におけるBi薄膜の形成が抑制され鋼裏金と中間層及び摺動層との接合強度の向上を図ることができるため、内燃機関のような動荷重負荷を支持する軸受用の摺動材料として充分な耐疲労性を有する材料とすることができる。なお、本願における鋼裏金と中間層との界面におけるBi薄膜の形成が抑制された状態とは、鋼裏金と中間層の界面におけるBi薄膜の面積率が10%以下の状態であり、より好ましくは5%未満である。
請求項6に係る発明においては、中間層の銅合金が摺動層の銅合金に対して固相線温度が0〜50℃高い銅合金としたため、鋼との接合強度が高い。これは、中間層の銅合金の固相線温度が摺動層の銅合金の固相線温度より低い場合には、Biの中間層への拡散が早くなり、鋼との界面にBi薄膜が形成されやすい。なぜなら、摺動層の銅合金を十分に焼結する温度に加熱すると、中間層の銅合金自身の液相が必要以上に多く発生する。原子の拡散速度は固相中より液相中の方が速いため、摺動層の銅合金から中間層の銅合金へのBiの拡散が促進される。一方、中間層の銅合金の固相線温度が摺動層の銅合金の固相線温度に対し0〜50℃高い場合には、摺動層の銅合金を十分に焼結する温度に加熱しても、中間層の銅合金自身の発生液相量が少ないため、中間層の銅合金へのBi拡散が抑制される。さらに、中間層の銅合金が摺動層の銅合金の固相線温度に対し50℃を超えて高い場合には、摺動層を十分に焼結する温度で焼結すると、中間層の銅合金自身の発生液相量が少なすぎるため、中間層の銅合金と鋼との接合が不十分となる。また、中間層の銅合金と鋼が十分に接合する温度で焼結すると、摺動層の銅合金の発生液相量が多くなりすぎて中間層の銅合金へのBi拡散が促進される。これらの理由により、中間層の銅合金が摺動層の銅合金に対して固相線温度が0〜50℃高い銅合金とすることが望ましい。
請求項7に係る発明においては、前記摺動層を構成する銅合金として、1〜15質量%Sn、1〜30質量%Bi、残部銅の組成を有するものであることが望ましい。Snは、Bi相と銅相との密着性を向上させ、材料強度を向上させる作用を奏するが、15質量%を超えて添加すると摺動層銅合金の融点が低下し、高温化での摺動特性が低下するので、Snの添加量は、15質量%が望ましい。また、Biの添加量を1質量%未満とした場合には、相手材との焼き付きが発生し易くなり、Biの添加量が30質量%を超える場合には、高荷重が作用する部位への適用が困難となるので、Biの添加量は、1〜30質量%が望ましい。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第1の製造方法を説明するための工程図であり、図2は、本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第2の製造方法を説明するための工程図であり、図3は、本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第3の製造方法を説明するための工程図であり、図4は、本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第4の製造方法を説明するための工程図であり、図5は、第1の製造方法ないし第4の製造方法で製造した銅系摺動材料の断面の模式図であり、図6は、接着力測定用試験片の模式図である。
図1において、第1の製造方法は、鋼裏金上(例えば、帯鋼)にBiを含まない銅合金粉末を散布し、所定条件で一次焼結炉にて焼結後、冷却して中間層を有する複層材料を得る。次に得られた複層材料の中間層銅合金焼結層の表面にBiを含有する銅合金粉末を散布後、再び二次焼結炉で焼結(例えば、一次焼結炉における焼結条件と同じ条件の焼結)後、冷却して銅系摺動材料を製造する。なお、この第1の製造方法において、一次焼結炉における焼結による緻密化によって中間層銅合金焼結層の空孔率が10%以下、好ましくは3%以下の状態とすることが望ましい。空孔率を3%以下にすると、各空孔は独立した閉空孔となり連通しないので、Bi液相の浸み込みを効果的に防止することができる。また、鋼裏金上にBiを含まない銅合金粉末を散布した後に、一次焼結する前に、ロール圧延による緻密化を行うと、鋼裏金上の銅合金がロールとの接触により流動してロールに噛込まれないため十分に緻密化できないだけではなく、銅合金層厚さの制御も困難になるという欠点がある。
図2において、第2の製造方法は、鋼裏金上(例えば、帯鋼)にBiを含まない銅合金粉末を散布し、所定条件で一次焼結炉にて焼結後、冷却して中間層を有する複層材料を得る。次に得られた複層材料の中間層銅合金焼結層をロール圧延にて緻密化を図る散布前圧延した後、中間層銅合金焼結層の表面上にBiを含有する銅合金粉末を散布後、再び二次焼結炉で焼結(例えば、一次焼結炉における焼結条件と同じ条件の焼結)後、冷却して銅系摺動材料を製造する。なお、この第2の製造方法において、一次焼結炉における焼結による緻密化と散布前圧延による緻密化とによって中間層銅合金焼結層の空孔率を確実に10%以下にすることができる。なお、二次焼結炉による焼結の後に、摺動層の銅合金層を緻密化するために、さらにロール圧延や焼結を繰り返し行なってもよい。
図3において、第3の製造方法は、鋼裏金上(例えば、帯鋼)にBiを含まない銅合金粉末を散布し、所定条件で一次焼結炉にて焼結後、冷却して中間層を有する複層材料を得る。次に得られた複層材料の中間層銅合金焼結層の表面にBiを含有する銅合金粉末を散布後、ロール圧延にて中間層銅合金焼結層を緻密化とBi含有銅合金粉末との予備的な接合を図る散布後圧延した後、再び二次焼結炉で焼結(例えば、一次焼結炉における焼結条件と同じ条件の焼結)後、冷却して銅系摺動材料を製造する。なお、この第3の製造方法において、一次焼結炉における焼結による緻密化と散布後圧延による緻密化とによって中間層銅合金焼結層の空孔率を確実に10%以下にすることができる。また、二次焼結炉による焼結の後に、摺動層の銅合金層を緻密化するために、さらにロール圧延や焼結を繰り返し行なってもよい。
図4において、第4の製造方法は、鋼裏金上(例えば、帯鋼)にBiを含まない銅合金粉末を散布し、所定条件で一次焼結炉にて焼結後、冷却して中間層を有する複層材料を得る。次に得られた複層材料の中間層銅合金焼結層をロール圧延にて緻密化圧延した後、再び二次焼結炉で焼結(例えば、一次焼結炉における焼結条件と同じ条件の焼結)後、冷却した後、中間層銅合金焼結層の表面上にBiを含有する銅合金粉末を散布後、再び三次焼結炉で焼結(例えば、一次焼結炉における焼結条件と同じ条件の焼結)後、冷却して銅系摺動材料を製造する。なお、この第4の製造方法において、一次から三次焼結炉における焼結による緻密化と緻密化圧延による緻密化とによって中間層銅合金焼結層の空孔率を確実に3%以下にすることができる。また、三次焼結炉による焼結の後に、摺動層の銅合金層を緻密化するために、さらにロール圧延や焼結を繰り返し行なってもよい。
上記した第1から第4の製造方法で製造した銅系摺動材料は、図5に示すように、鋼裏金2の上に中間層としてBiを含まない銅合金焼結層3が積層され、さらにその中間層の上に摺動層としてBi含有銅合金層4が積層された3層構造の銅系摺動材料1として製作される。
ここで、摺動層のBi含有銅合金には、強度や耐食性を高めるためにNi,Ag,Fe,Co,Mn,Al,Si,Cr,Pの少なくとも1種を20質量%以下含有させてもよい。これら元素を添加しても本発明の効果には影響なく、銅合金の強度や耐食性を高めることができる。また、摺動層のBi含有銅合金は、さらに潤滑性を高めるためにGr,MoS2,WS2等の固体潤滑剤を含有させてもよいし、耐摩耗性を高めるために炭化物、窒素物、酸化物、珪化物、硼化物等の硬質粒子を含有させてもよい。更に、摺動層のBi含有銅合金の厚さは、50μm以上であることが望ましい。50μm未満では摺動機能が不十分となる。
また、中間層の銅合金の厚さが100μm以上であることが望ましい。100μm以上であれば、界面でのBi薄膜形成を抑制することができる。
更に、中間層の銅合金は、摺動層の銅合金に対して固相線温度が0〜50℃高いBiを含有しない銅合金としたため鋼との接合強度が高い。これは、前述したように、中間層の銅合金の固相線温度が摺動層の銅合金の固相線温度より低い場合には、Biの中間層への拡散が早くなり、鋼との界面にBi薄膜が形成されやすい。なぜなら、摺動層の銅合金を十分に焼結する温度に加熱すると、中間層の銅合金自身の液相が必要以上に多く発生する。原子の拡散速度は固相中より液相中の方が速いため、摺動層の銅合金から中間層の銅合金へのBiの拡散が促進される。一方、中間層の銅合金の固相線温度が摺動層の銅合金の固相線温度に対し0〜50℃高い場合には、摺動層の銅合金を十分に焼結する温度に加熱しても、中間層の銅合金自身の発生液相量が少ないため、中間層の銅合金へのBiの拡散が抑制される。さらに、中間層の銅合金が摺動層の銅合金の固相線温度に対し50℃を超えて高い場合には、摺動層を十分に焼結する温度で焼結すると、中間層の銅合金自身の発生液相量が少なすぎるため、中間層の銅合金と鋼との接合が不十分となる。また、中間層の銅合金と鋼が十分に接合する温度で焼結すると、摺動層の銅合金の発生液相量が多くなりすぎて中間層の銅合金へのBiの拡散が促進される。これらの理由により、中間層の銅合金が摺動層の銅合金に対して固相線温度が0〜50℃高い銅合金とすることが望ましい。なお、中間層銅合金は摺動特性に影響しないためBiを含有しない事以外には組成の制約はない。
次に、本発明に係る製造方法により製造した銅系摺動材料について表1、表2を参照して説明する。実施例3は、前述した第1の製造方法で製作した摺動材料である。即ち、厚さ1.5mmの鋼上に表1に示す組成、固相線温度の中間層銅合金粉末を散布し、還元雰囲気を有する焼結炉にて800℃〜950℃の温度で15分間焼結後冷却し複層材料を得た。次に得られた複層材料の中間層銅合金焼結層の表面に表1に示す組成、固相線温度の摺動層銅合金粉末を散布後、再び同条件で焼結後冷却し総厚1.6mm、摺動層銅合金層厚さが100μm、中間層銅合金厚さが200μmとなるように銅系摺動材料を製作した。
また、実施例4は、前述した第2の製造方法で製作した摺動材料である。即ち、厚さ1.5mmの鋼上に表1に示す組成、固相線温度の中間層銅合金粉末を散布し、還元雰囲気を有する焼結炉にて800℃〜950℃の温度で15分間焼結後冷却し複層材料を得た。次に得られた複層材料をロール圧延にて中間層銅合金焼結層を緻密化した後、中間層銅合金焼結層の表面に表1に示す組成、固相線温度の摺動層銅合金粉末を散布後、再び同条件で焼結後冷却し総厚1.6mm、摺動層銅合金層厚さが100μm、中間層銅合金厚さが200μmとなるように銅系摺動材料を製作した。
また、実施例1、2、5、6は、前述した第3の製造方法で製作した摺動材料である。即ち、厚さ1.5mmの鋼上に表1に示す組成、固相線温度の中間層銅合金粉末を散布し、還元雰囲気を有する焼結炉にて800℃〜950℃の温度で15分間焼結後冷却し複層材料を得た。次に得られた複層材料の中間層銅合金焼結層の表面に表1に示す組成、固相線温度の摺動層銅合金粉末を散布後、ロール圧延にて中間層銅合金焼結層を緻密化した後、再び同条件で焼結後冷却し総厚1.6mm、摺動層銅合金層厚さが100μm、中間層銅合金厚さが200μmとなるように銅系摺動材料を製作した。
更に、実施例7,8は、前述した第4の製造方法で製作した摺動材料である。即ち、厚さ1.5mmの鋼上に表1に示す組成、固相線温度の中間層銅合金を散布し、還元雰囲気を有する焼結炉にて800℃〜950℃の温度で15分間焼結後冷却し複層材料を得た。次に得られた複層材料の中間層銅合金焼結層をロール圧延にて緻密化した後、再び同条件で焼結後冷却し、その後中間層銅合金焼結層の表面に上に表1に示す組成、固相線温度の摺動層銅合金粉末を散布後再び同条件で焼結し総厚1.6mm、摺動層銅合金層厚さが100μm、中間層銅合金厚さが200μmとなるように銅系摺動材料を製作した。
比較例1は、特許文献3に示す製造方法で製作した摺動材料である。即ち、厚さ1.5mmの鋼上に表1に示す組成、固相線温度の中間層銅合金粉末を散布、次に中間層銅合金粉末の散布面上に表1に示す組成、固相線温度の摺動層銅合金粉末を散布し、還元雰囲気を有する焼結炉にて800℃〜950℃の温度で15分間焼結後冷却し複層材料を得た。得られた複層材をロール圧延にて中間層銅合金層が緻密化した後、再び同条件で焼結後冷却し総厚1.6mm、摺動層銅合金層厚さが100μm、中間層銅合金厚さが200μmとなるように銅系摺動材料を製作した。
比較例2は、特許文献1,2に示す製造方法で製作した摺動材料である。即ち、厚さ1.5mmの鋼上に表1に示す組成、固相線温度の摺動層銅合金粉末を散布し、還元雰囲気を有する焼結炉にて800℃〜950℃の温度で15分間焼結後冷却し複層材料を得た。次に得られた複層材料の銅合金層をロール圧延にて緻密化した後、再び同条件で焼結後冷却し総厚1.6mm、銅合金層厚さが300μm、となるように銅系摺動材料を製作した。なお、表1に示す固相線温度は示差熱分析法により測定した。
Figure 2008144252
上記のように製作された銅系摺動材料1を、図6に示す試験片5に加工した、試験片5には、円形の開口6が2つ設けられ、その円形開口6を引張試験機にて引っ張ることにより銅合金層と鋼裏金との接着力を測定した。試験結果を表1に示す。
上記のように製作された銅系摺動材料のうち、摺動層銅系合金組成が共通する実施例2、5、7と比較例1、2より半割形状軸受を製作し、この半割軸受2個を突合せて円筒状とし、表3に示す条件で耐疲労性試験を行った。耐疲労性試験結果(摺動層銅合金に疲労が発生しなかった限界の面圧)を表2に示す。
Figure 2008144252
Figure 2008144252
本願の実施例1〜8は、従来製法により製造しBiを含有しない銅合金からなる中間層が形成されていない比較例2に比べ鋼裏金と銅合金との接合強度が高い。本願の実施例1〜8は、接着力試験による銅合金と鋼面とのせん断面にはBi薄膜の形成が抑制されていた(せん断面でのBi薄膜面積率10%未満)ので接合強度が高い。比較例2には銅合金と鋼裏金とのせん断面の広範囲にBi薄膜が形成されていた。
比較例1は、Biを含有しない銅合金を散布後にBiを含有する摺動層銅合金を散布し焼結したために、焼結中に摺動層銅合金粉より発生したBi液相が中間層銅合金粉の隙間に浸透し中間層銅合金と鋼との界面にまで達しBi薄膜が形成されたため、接合強度が低い。
鋼裏金と中間層銅合金の界面にBi薄膜が形成された比較例1、2に対し、摺動層銅合金の組成が同一であるが鋼と中間層銅合金界面にBi薄膜の形成が抑制されている本願の実施例2、5、7は、接合強度が高いため疲労強度も高い。
本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第1の製造方法を説明するための工程図である。 本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第2の製造方法を説明するための工程図である。 本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第3の製造方法を説明するための工程図である。 本発明に係る銅系摺動材料を製造するための第4の製造方法を説明するための工程図である。 第1の製造方法ないし第4の製造方法で製造した銅系摺動材料の断面の模式図である。 接着力測定用試験片の模式図である。
符号の説明
1 銅系摺動材料
2 鋼裏金
3 中間層
4 摺動層
5 試験片
6 開口

Claims (7)

  1. 鋼裏金上にBiを含有しない銅合金粉末を散布し焼結して中間層を形成する第1次焼結工程と、
    該第1次焼結工程によって形成された中間層を冷却した後Biを含有する銅合金粉末を散布し焼結して摺動層を形成する第2次焼結工程と、
    からなることを特徴とする銅系摺動材料の製造方法。
  2. 前記第1次焼結工程と前記第2次焼結工程との間に、前記Biを含有する銅合金粉末を散布する前に前記中間層の緻密化を図る散布前圧延工程を含むことを特徴とする請求項1記載の銅系摺動材料の製造方法。
  3. 前記第1次焼結工程と前記第2次焼結工程との間に、前記Biを含有する銅合金粉末を散布した後に前記中間層の緻密化と該中間層と前記摺動層との接合を図る散布後圧延工程を含むことを特徴とする請求項1記載の銅系摺動材料の製造方法。
  4. 鋼裏金上にBiを含有しない銅合金粉末を散布し焼結して中間層を形成する第1次焼結工程と、
    該第1次焼結工程によって形成された中間層を冷却した後緻密化を図る緻密化圧延工程と、
    該緻密化圧延工程後に再度焼結する第2次焼結工程と、
    該第2次焼結工程後にBiを含有する銅合金粉末を散布し焼結して摺動層を形成する第3次焼結工程と、
    からなることを特徴とする銅系摺動材料の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかの製造方法で製造した銅系摺動材料。
  6. 前記中間層を構成する銅合金の固相線温度は、前記摺動層を構成するBiを含有する銅合金の固相線温度より0〜50℃高いことを特徴とする請求項5記載の銅系摺動材料。
  7. 前記摺動層を構成する銅合金は、1〜15質量%Sn、1〜30質量%Bi、残部銅の組成を有するものであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の銅系摺動材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106238739A (zh) * 2016-08-29 2016-12-21 靖江市金泰粉末冶金制品有限公司 一种双金属复合滑动轴承的生产工艺
KR101756754B1 (ko) * 2015-11-11 2017-07-12 주식회사 티엠시 철강재와 구리합금의 소결접합 방법 및 소결접합체
JP2018145505A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 大同メタル工業株式会社 摺動材料及びその製造方法、並びに摺動部材及び軸受装置

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