JP2008142409A - 脱気モジュール付医療用送液管 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体に含まれる溶存空気又は気泡を除去しつつ送液する場合、液体が排気部から外部への漏出と、排気部の閉塞を抑制し、液体を安定的に正確に継続性をもって送液でき、医療機器に組み込んで使用する場合も、術者の操作性や患者の安全性など治療環境に悪影響を及ぼさない、より安全でかつ安定した運転状態とすることにある。
【解決手段】液体Wが内部を流通する医療用送液管に、液体W中に含まれる気泡や溶存気体Kを除去する脱気モジュールMを設けた脱気モジュール付医療用送液管において、脱気モジュールMは、液体Wが流入する流入部11、液体Wが流出する流出部12、及び、液体W中から除去した気体Kを外部に排出する排気部13が形成された外装体10と、外装体10内に設けられ液体W中の溶存空気Kを透過する通気性のある多孔性のガス交換膜15と、を有し、排気部13に、排気部13から滲出する液体Wを吸収する液体吸収部Eを設けたことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】液体Wが内部を流通する医療用送液管に、液体W中に含まれる気泡や溶存気体Kを除去する脱気モジュールMを設けた脱気モジュール付医療用送液管において、脱気モジュールMは、液体Wが流入する流入部11、液体Wが流出する流出部12、及び、液体W中から除去した気体Kを外部に排出する排気部13が形成された外装体10と、外装体10内に設けられ液体W中の溶存空気Kを透過する通気性のある多孔性のガス交換膜15と、を有し、排気部13に、排気部13から滲出する液体Wを吸収する液体吸収部Eを設けたことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、輸液剤に含まれる気泡や溶存気体を除去する脱気モジュールを有する医療用送液管に関する。
近年、人の血管内の治療又は診断用として、超音波、マイクロ波、赤外線あるいはレーザー等を媒介とする医療機器が開発されている。この医療機器では、生理食塩水などの液体が内部に充填されあるいは流通されているので、レーザー等を液体中で照射すると、液体中の水分子の運動が活性化し、溶存空気が気泡化する現象が起こる。また、輸液剤を昇温したときや、送液ポンプの駆動部の加減圧などでも気泡が発生する。
このような気泡は、医療分野では下記のような種々の問題を起こす。
(1)生体内へ送液するときには、発生した気泡が送液と共に流れ、血管閉塞を引き起こし、閉塞部位によっては身体に重篤な障害を引き起こす虞がある。
(2)生体内への送液如何に拘わらず超音波やレーザー等の伝達を妨害し、ノイズの発生による正確な生体内の情報収集を妨げたり、出力を不安定にする原因となる。
(3)輸液システムや腹膜透析システムにおいて、輸液剤や透析液を昇温させるときや、輸液ポンプの駆動部の加減圧などにより発生する気泡は、気泡センサーの気泡感知により、輸液がストップしたり、多量の透析液では透析療法に弊害をもたらし、また、このストップに伴って警報を発することにより安眠の妨げにもなる。
このような溶存空気などは、速やかに除去されるべきものであるが、従来から使用されている脱気装置としては、多孔質の中空糸膜を容器に収容し、この中空糸膜の端部を接着剤により液密に封止したものがある(下記特許文献1参照)。
この装置では、例えば、外部潅流方式で使用する場合、流入口から流入した輸液剤を中空糸膜の外部に導き、溶存空気は中空糸膜の内腔を通り排気口より外部に排出し、輸液剤は流出口から流出する。ここで使用される中空糸膜は、疎水性を有するものが使用される。
しかし、輸液剤が界面活性剤を含有するもの(例えば、脂溶性ビタミンを含む輸液剤の溶媒)では、界面活性剤により中空糸膜の疎水性が損なわれ、輸液剤が中空糸膜に浸透し外部に滲み出ることがある。
この結果、輸液剤が排気口を塞ぎ、脱気能力の低下を招くだけでなく、輸液ライン自体の汚染を招く虞がある。また、排気口に減圧装置を連結した場合、漏出した輸液剤が減圧装置に入り込み、減圧装置の故障の原因となる虞もある。さらに、滲み出た輸液剤が患者に付着したり、場合によっては流出により正確に所定量送液できないという事態が生じる虞もある。
特開平8−289930号公報(要約、図1a参照)
本発明の目的は、液体に含まれる溶存空気又は気泡を除去しつつ送液する場合に、排気部からの液体の漏出や、排気部の閉塞を防止し、液体を安定的に適正に継続的に送液でき、医療機器に組み込んで使用する場合も、術者の操作性や患者の安全性など治療環境に悪影響を及ぼさない、より安全でかつ安定した運転状態とする脱気モジュール付医療用送液管を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、液体が内部を流通する医療用送液管に、前記液体中に含まれる溶存気体あるいは気泡を除去する脱気モジュールを設けた脱気モジュール付医療用送液管において、前記脱気モジュールは、前記液体が流入する流入部、前記液体が流出する流出部、及び、前記液体中から除去した気体を外部に排出する排気部が形成された外装体と、当該外装体内に設けられ前記液体中の溶存空気又は気泡を透過する通気性のある多孔性のガス交換膜と、を有し、前記排気部に、当該排気部から滲出する前記液体を吸収する液体吸収部を設けたことを特徴とする特徴とする脱気モジュール付医療用送液管である。
本発明では、ガス交換膜を透過した溶存空気などを外部に排気する排気部に、液体を吸収する液体吸収部を設けたので、液体がガス交換膜に浸透し外部に移動しても、これを吸着保持し、排気部から外部への漏出や、排気部を閉塞することを防止する。したがって、排気部での排気は常に円滑に行われ、脱気能力が低下することはなく、輸液ラインなどの汚染、減圧装置の故障、漏出した液体が患者に付着する事態が生じることもなく、適正で安定的に体内への輸液などが可能となる。特に、液体吸収部を、排気部の内周壁に液体を吸収する吸収部材を設けたものにより構成すると、液体を確実に吸着保持することができる。
前記吸収部材を、排気部の内壁の一部をなすように設けると、減圧装置の連結も円滑にでき、吸収部材を排気部の内壁に沿って点在させると、あらゆる位置から滲み出る液体の吸着が確実となり、排気部の内壁全周に設けると、液体の吸着保持がより確実なものとなる。これは、ガス交換膜として中空糸膜を使用し、端部が開口状態を保った状態でポッティングした場合に顕著となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施施形態に係る脱気モジュール付医療用送液管を点滴装置に使用した状態を示す要部破断した概略正面図、図2は図1の要部拡大断面図、図3は脱気モジュールのポッティング部の要部拡大断面図、図4は排気部の要部拡大断面図である。
図1は本発明の第1の実施施形態に係る脱気モジュール付医療用送液管を点滴装置に使用した状態を示す要部破断した概略正面図、図2は図1の要部拡大断面図、図3は脱気モジュールのポッティング部の要部拡大断面図、図4は排気部の要部拡大断面図である。
本実施施形態に係る脱気モジュール付医療用送液管は、図1に示すように、点滴装置1に組み込まれたものである。この点滴装置1は、輸液バッグ2に充填された輸液剤Wを、点滴筒3やチューブ4を経て、脱気モジュールMに導き、ここで輸液剤Wに含まれる溶存空気や気泡(以下単に溶存空気Kと略称し、図上破線矢印で示す)を除去し、輸液ポンプ5により送液するようにしたものである。なお、図1において、符号「6」は駆動部、「7」は気泡センサーである。
脱気モジュールMについてさらに詳述する。本実施施形態に係る脱気モジュールM1は、内部潅流式で、図2に示すように、チューブ4が連結される外装体10を有している。外装体10には、チューブ4からの輸液剤W(図上実線矢印で示す)が導入される流入部11と、輸液剤Wを流出させる流出部12と、除去した溶存空気Kを外部に排気する排気部13が設けられている。なお、流入部11、流出部12及び排気部13の外周にねじ部(不図示)を設け、ここにYコネクタあるいは他の接続具あるいはクリップなどの固定具を設けて連結することもある。
外装体10内には、輸液剤W中の溶存空気Kを透過させる通気性のあるガス交換膜15が設けられている。ガス交換膜15の材料としては、フッ素系やポリオレフィン系の疎水性樹脂の多孔質膜を使用することが望ましく、いわゆる中空糸膜により構成することが望ましい。中空糸膜は、複数本使用されるが、取扱いを容易にするため、束ねることが好ましい。
束ねられた中空糸膜の両端部は、シール剤あるいは接着剤などのポッティング剤P(図3参照)により外装体10の内壁面10aにポッティングされている。ポッティング部14は、図3に示すように、各中空糸膜の外周面にポッティング剤Pが塗布され、端部は、開口状態を保った状態となっている。なお、中空糸膜は、束ねた状態でポッティングすれば、作業性が向上する。
ここにおいて、中空糸膜の肉厚が非常に薄い場合には、界面活性剤を含む輸液剤Wが長期間接すると、界面活性剤によりその疎水性が損なわれ、輸液剤Wが中空糸膜に透過して排気部13まで移動し、排気口Oの付近が輸液剤Wで満たされる虞がある。このため本実施施形態では、排気部13に、当該排気部13から滲出する輸液剤Wを吸収する液体吸収部Eを設け、輸液剤Wが外部に漏れ出ないようにしている。
具体的には、本実施施形態の液体吸収部Eは、図4に示すように構成されている。つまり、流入部11と流出部12との間の外装体10に形成され、外装体10の軸線に対し直交する方向に突出された、排気部13を構成する突管16に設けられており、この突管16の内周壁16aであってかつ可及的に中空糸膜に近い位置に形成された環状溝17と、環状溝17内に埋設された平板状の吸水性材料からなる吸収部材18と、を有している。
吸収部材18として使用される材料としては、ガス透過性を有する程度の気孔を有することが望ましく、具体的には、でんぷん−アクリルニトリル、でんぷん−アクリル酸、でんぷん−アクリルアミド、でんぷん−ナトリウムアクリレートなどのアクリレート系のでんぷん(その加水分解物含む)グラフト化物、部分ケン化したポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩系やアクリル酸−ビニルアルコール系重合体、ポリエチレンオキサイド、セルロース系重合体、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド樹脂、アルファー化デンプン、アクリル系重合体などを挙げることができる。
また、水分を吸収した吸収部材18は、ゲル状になり、外部を汚染する虞があり、外部から異物が侵入する虞もあるので、突管16の外端部にエアベントフィルタ19を貼着してもよい。エアベントフィルタ19の材料としては、特に限定されないがPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)多孔質膜であるポアフロンメンブレン(商標:住友電工ファインポリマー株式会社)が望ましい。
次に作用を説明する。
図1に示す点滴装置1においては、点滴筒3を調整し、輸液ポンプ5を作動すると、輸液バッグ2に充填された輸液剤Wは、チューブ4を経て脱気モジュールM1に導かれ、中空糸膜の内部を通り送液され、輸液剤W中に含まれる溶存空気Kは中空糸膜の外部に除去される。
脱気モジュールM1では、流入部11において束ねられた中空糸膜の端部がポッティング剤Pにより外装体10の内壁面10aにポッティングされているので、輸液剤Wは、円筒状の中空糸膜の内部に導かれる。そして、中空糸膜の内部を流通している間に溶存空気Kが中空糸膜の外部に移動し、これが排気部13の突管16内に集まり、ガス透過性を有する吸収部材18を通って外部に排出される。
ところが、中空糸膜に界面活性剤を含む輸液剤Wが長期間接すると、その疎水性が損なわれ、輸液剤Wが中空糸膜に透過して排気部13まで移動することがある。この輸液剤Wは、可及的に中空糸膜に近い位置に設けられている液体吸収部Eの吸収部材18により吸収され内部に保持される。この結果、輸液剤Wが脱気モジュールM1の外部に暴露し、患者に付着したり、排気部13を閉塞し脱気能力を低減させるという事態が防止される。
<変形例1>
図5は第1実施形態の変形例1を示す概略断面図、図6は吸収部材の他の配置状態を示す要部断面図、図7は吸収部材の別の配置状態を示す要部断面図、図8は吸収部材のさらに他の配置状態を示す要部断面図であり、図1〜図4に示す部材と共通する部材には同一符号を付し、説明を省略する。
図5は第1実施形態の変形例1を示す概略断面図、図6は吸収部材の他の配置状態を示す要部断面図、図7は吸収部材の別の配置状態を示す要部断面図、図8は吸収部材のさらに他の配置状態を示す要部断面図であり、図1〜図4に示す部材と共通する部材には同一符号を付し、説明を省略する。
上述した液体吸収部Eは、排気口Oを吸収部材18により覆い、滲出した輸液剤Wを吸収しているので、輸液剤Wが外部に暴露しないものの、吸水性材料が膨潤した結果、排気部13の通気性が損なわれ、排気能力が低下する虞がある。このため、本例の液体吸収部Eでは、吸収部材18として平板状でないものを使用している。
本例の脱気モジュールM2は、輸液剤Wが中空糸膜の内腔を流れる内部潅流式であるが、液体吸収部Eは、図5に示すように、突管16の内周壁16aに形成された環状溝17内にリング状の吸収部材18を埋設している。
本例の吸収部材18は、環状をしたものであり、突管16の内周壁16a全周に渡って設けられているので、吸収部材18が貫通路を規定し、排気通路を閉鎖せず、より広範囲に輸液剤Wを吸着保持できる。
この吸収部材18は、突管16の軸線に対し直交する面に配置するのみでなく、図6に示すように、ある角度θを有するように傾斜した状態で配置してもよい。このようにすると、輸液剤Wの吸着保持が下方から徐々に行われ、吸着保持効果が長期にわたり、好ましい。
また、例えば、図7に示すように、吸収部材18を周方向に点在させてもよく、図8に示すように、軸方向に点在せてもよい。これらの場合、内周壁16aに形成された前記環状溝17は、単に凹部とし、これに吸収部材18を埋設してもよい。
このようにすれば、排気口Oから漏れた輸液剤Wによって吸収部材18の吸水性材料が膨潤したとしても、排気口Oが閉塞する虞はなく、常時通気性が確保され、排気能力の低下を抑えることができる。
ただし、例えば、減圧装置あるいは接続具などを、この排気部13に連結することを考慮すれば、吸収部材18が突管16の内周壁15aより突出しないことが好ましい、つまり、吸収部材18が内周壁15aの一部を構成することが好ましい。
<第2の実施の形態>
前述したものは、内部灌流式であるが、本発明は、中空糸膜の外側に輸液剤Wが流れる外部灌流式とすることもできる。外部灌流式とすれば、中空糸膜のサイズと本数が同じ場合、相対的に内部灌流式よりも液体に対する接触面積を大きくすることができ、好ましい。ただし、ポッティング部14を除く。
前述したものは、内部灌流式であるが、本発明は、中空糸膜の外側に輸液剤Wが流れる外部灌流式とすることもできる。外部灌流式とすれば、中空糸膜のサイズと本数が同じ場合、相対的に内部灌流式よりも液体に対する接触面積を大きくすることができ、好ましい。ただし、ポッティング部14を除く。
図9は本発明の第2実施形態を示す概略断面図であり、図1〜図8に示す部材と共通する部材には同一符号を付し、説明を省略する。
本実施形態の脱気モジュールM3は、図9に示すように、外装体10内に複数本束ねて収納されたガス交換膜15である中空糸膜の両端から溶存空気Kを排出するように、外装体10の両端に排気部13を設け、これら排気部13間の連通路20に流入部11と流出部12を設けている。なお、図示の例では、上方の流入部11から下方の流出部12に輸液剤Wが流通するようになっているが、逆に下方に流入部11を、上方に流出部12を設けてもよい。
本実施形態の脱気モジュールM3では、両排気部13は、いずれもガス交換膜15である中空糸膜の端部が開口状態を保った状態でポッティング剤Pを用いてポッティングされている(図3に示す状態参照)が、このポッティング部14の外端面は、外装体10の端部と略面一とされている。したがって、外装体10の各端部にスリーブ状の突管16を螺合あるいは接着などの常法により外装体10から突出するように取り付け、突管16の内周壁16a、特に、ガス交換膜15の端部に近い位置に環状溝17を形成し、環状溝17内に吸収部材18を埋設し、液体吸収部Eとしている。なお、本実施形態でも、吸収部材18の設置位置は、周方向あるいは軸方向に点在させてもよい。
このようにした本実施形態は、外部灌流式であり、流入部11から流入した輸液剤Wは、中空糸膜相互間の空間を通り流出部12から送液される。輸液剤Wの溶存空気Kは、中空糸膜の外周面から内腔15a内に移動し、中空糸膜の端部から外部に排出される。
界面活性剤を含む輸液剤Wが中空糸膜に長期間接し、輸液剤Wが中空糸膜に透過して排気部13まで移動しても、この輸液剤Wは、突管16内に設けられた液体吸収部Eの吸収部材18により吸着保持される。
<変形例1>
上述したものは、外装体10の両端にそれぞれ排気部13を設けているが、一方であってもよい。
上述したものは、外装体10の両端にそれぞれ排気部13を設けているが、一方であってもよい。
図10は同実施形態の変形例1を示す概略断面図、図11は図10の要部を示す断面図であり、図1〜図9に示す部材と共通する部材には同一符号を付し、説明を省略する。
本変形例の脱気モジュールM4も、外部潅流式であるが、図10に示すように、外装体10の一端側から溶存空気Kを排出するようになっている。外装体10の一端部は、中空糸膜が開口状態を保った状態でポッティング剤Pを用いてポッティングされた排気部13となっており、他端側は、脱気された後の輸液剤Wが流出する流出部12となっている。この流出部12では、中空糸膜は、図11に示すように、内腔15aの端部が閉塞され、脱気された溶存空気Kは流出しない。なお、中空糸膜の内腔15aの端部に封止部15bを形成する手段としては、例えば、熱融着などが使用できるが、ポッティング剤Pを用いて封止してもよい。
なお、図示の例では、上方の流入部11から側部の流出部12に輸液剤Wが流通するようになっているが、逆に側部が流入部11、上方が流出部12としてもよい。
本例では、流入部11から流入した輸液剤Wは、中空糸膜相互間の空間を通り溶存空気Kは、中空糸膜の外周面から内腔15aに移動し、中空糸膜の端部から外部に排出され、脱気された後の輸液剤Wは流出部12から送液される。
本例においても、輸液剤Wが中空糸膜に浸透して排気部13まで移動しても、突管16内に設けられた液体吸収部Eの吸収部材18により吸着保持される。
特に、本例では、外部灌流方式でありながら、排気部13が1箇所であるため、ポッティング部14を1箇所にすることができ、効率よく外部灌流方式の脱気モジュールを製造できるというメリットがある。
<変形例2>
図12は第2実施形態の変形例2を示す概略断面図であり、図1〜図11に示す部材と共通する部材には同一符号を付し、説明を省略する。
図12は第2実施形態の変形例2を示す概略断面図であり、図1〜図11に示す部材と共通する部材には同一符号を付し、説明を省略する。
本変形例の脱気モジュールM5も、外部潅流式であるが、図12に示すように、外装体10内に複数本束ねてU字状に形成されたガス交換膜15である中空糸膜が収納され、外装体10の一端側は、開口状態を保った状態でポッティング剤Pを用いてポッティングされ、溶存空気Kを排出する排気部13とされている。このポッティング部14の端面は、前述した図10に示すものと同様、外装体10の端部と略面一とされ、外装体10の各端部にスリーブ状の突管16が設けられ、突管16の内周壁16aのガス交換膜15に近い位置に形成された環状溝17内に吸収部材18が埋設されている。外装体10の他端部は、U字状に湾曲された中空糸膜の湾曲部15cが存在するのみである。
上述した変形例1の脱気モジュールM4は、中空糸膜の一端部が開口状態とされ、他端側が熱融着などにより内腔15aが閉塞したものであるが、本変形例の脱気モジュールM5のように中空糸膜自体をU字状に形成すると、前記ポッティング部14を1箇所とすることによる製造上のメリットをさらに高めることができる。
本例の排気部13も、先の例と同様、突管16内に液体吸収部Eの吸収部材18が設けられており、吸収部材18が中空糸膜に透過し排気部13まで移動した輸液剤Wを吸着保持する。
<変形例3>
図13は第2実施形態の変形例3を示す概略断面図である。前記変形例2の脱気モジュールM5は、内部にU字状に湾曲された中空糸膜収納された1本の外装体10であるが、本発明は、これのみでなく、図13に示す脱気モジュールM6のように、多段に外装体10を連結して使用することもできる。なお、多段にする場合には、各外装体10における流入部11から離れた位置に流出部12が位置するように連結すると、輸液剤Wの流通経路が長くなり、脱気性能が向上する。
図13は第2実施形態の変形例3を示す概略断面図である。前記変形例2の脱気モジュールM5は、内部にU字状に湾曲された中空糸膜収納された1本の外装体10であるが、本発明は、これのみでなく、図13に示す脱気モジュールM6のように、多段に外装体10を連結して使用することもできる。なお、多段にする場合には、各外装体10における流入部11から離れた位置に流出部12が位置するように連結すると、輸液剤Wの流通経路が長くなり、脱気性能が向上する。
<第3の実施の形態>
上述した各変形例の排気部13では、各中空糸膜の端部が略同一面に整列して開口状態とされているが、排気部13に漏出した輸液剤Wを効率よく吸収部材18で吸着保持するには、排気部13となる中空糸膜の端部がより輸液剤Wを吸収しやすい形状にすることが好ましい。
上述した各変形例の排気部13では、各中空糸膜の端部が略同一面に整列して開口状態とされているが、排気部13に漏出した輸液剤Wを効率よく吸収部材18で吸着保持するには、排気部13となる中空糸膜の端部がより輸液剤Wを吸収しやすい形状にすることが好ましい。
図14は本発明の第3実施形態を示す要部概略断面図であり、図1〜図13に示す部材と共通する部材には同一符号を付し、説明を省略する。
本実施形態に係る脱気モジュールM7は、外部潅流式であるが、外装体10内に設けられる中空糸膜は、前述したU字状のものあるいは直管状のものいずれであってもよく、開口状態を保った状態でポッティング剤Pを用いてポッティングされているものであればよい。
この脱気モジュールM7の排気部13は、ポッティング部14の外周縁部をテーパ状に削落して削落部21を形成し、この削落部21の近傍に液体吸収部Eとしての吸収部材18を設けている。
このようにすると、中空糸膜に滲み込んだ輸液剤Wを、より早期に吸収部材18により吸収でき、削落部21を形成することにより生じた空間部で輸液剤Wをより多く収容することもできる。また、排気面を構成するポッティング部14の表面積が増加するので、溶存空気Kの排出能力も向上する。
<変形例1>
図15は同変形例1を示す概略断面図である。図15に示す変形例1の脱気モジュールM8は、前記実施形態の削落部21をさらに大きなものとし、排気部13の中空糸膜の端部を円錐形状としたものである。
図15は同変形例1を示す概略断面図である。図15に示す変形例1の脱気モジュールM8は、前記実施形態の削落部21をさらに大きなものとし、排気部13の中空糸膜の端部を円錐形状としたものである。
このようにすれば、前記削落部21よりさらに大きな輸液剤収容空間となり、吸収部材18の吸収もより早くなり、溶存空気Kの排出能力も向上することになり、さらに効率よく輸液剤Wを吸収し、排気部13の閉塞を抑制し、脱気能力を長寿命化することができる。また、排気部13を上向きに設置することにより、テーパー状の削落部21の下方(裾野部分)に滲み出た輸液剤Wが集まるため、該裾野部分に設けた吸収部材18が、効率的に吸水することができる。
種々の脱気モジュールMに関し条件を適宜設定し具体的に実験した。ここで使用した脱気モジュールMの形態を例示すれば、図2に示すように、外装体10の内径を「X(mm)」、ガス交換膜(中空糸膜)15の有効長を「L(mm)」、中空糸膜の外径を「x(mm)」、充填率(充填密度)を「D(%)」、外装体10の内腔面積を「A(mm2)」、中空糸膜の断面積を「B(mm2)」、充填率100%時の中空糸膜の本数「N(本)」、とした。その結果、下記の表で示すものが得られた。
表1は、種々の脱気モジュールMを用いて実験により得られた最大値と最小値を示しており、表2は、この最大値と最小値の内、好ましい値を示し、表3は、さらに好ましい値を示している。
この表から脱気モジュールMは、下記の条件を有するものが好ましいことが判明した。
(1)外装体10の内径(X)は、1mm〜20mm、より好ましくは、2mm〜10mm、さらに好ましくは、4mm〜7mmである。また、外装体10の内腔面積(A)は、0.79mm2〜314mm2、より好ましくは、3.14mm2〜78.5mm2、さらに好ましくは、12.56mm2〜38.47mm2である。
さらに、ガス交換膜15の有効長(L)は、10mm〜100mm、より好ましくは、15mm〜50mm、さらに好ましくは、20mm〜30mmである。
外装体10やガス交換膜15の寸法は、上記したものより大きくても、また小さくても、操作性に問題があったり、脱気性能を十分発揮することができない。
(2)中空糸膜の外径(x)は、0.1mm〜0.5mm、より好ましくは、0.15mm〜0.5mm、さらに好ましくは、0.2mm〜0.4mmである。これら外径寸法より大きくても、また小さくても、充填する長さにおいて問題が生じ、脱気性能を十分発揮することができず、問題がある。
(3)中空糸膜の充填率(充填密度)
多孔性中空糸膜を外装体10内にポッティングするに当っては、中空糸膜の充填密度、つまり、外装体10の軸直角断面積に対する、内腔を含む中空糸膜の軸直角断面積の総計が占める割合が、40%〜85%、より好ましくは、50%〜70%、さらに好ましくは、55%〜65%である。
多孔性中空糸膜を外装体10内にポッティングするに当っては、中空糸膜の充填密度、つまり、外装体10の軸直角断面積に対する、内腔を含む中空糸膜の軸直角断面積の総計が占める割合が、40%〜85%、より好ましくは、50%〜70%、さらに好ましくは、55%〜65%である。
この範囲を上回ると、外装体10内へのポッティングが困難になる可能性があり、この範囲を下回ると、有効に脱気できる膜面積を得るためには、低い充填率を補うために外装体10の径を大型化する必要があり、生産効率や運搬性が悪くなる虞がある。
(4)中空糸膜の空孔率
液体が中空糸膜を通る空孔は、10%〜50%が好ましく、より好ましくは、35%〜45%であることが判明している。この範囲を上回ると、液体が中空糸膜の孔内に入り込んで吸気側に流入する可能性があり、この範囲を下回ると、中空糸膜の反対側に溶存空気を吸気できず、溶存空気が透過しがたく、脱気不十分になる可能性がある。
液体が中空糸膜を通る空孔は、10%〜50%が好ましく、より好ましくは、35%〜45%であることが判明している。この範囲を上回ると、液体が中空糸膜の孔内に入り込んで吸気側に流入する可能性があり、この範囲を下回ると、中空糸膜の反対側に溶存空気を吸気できず、溶存空気が透過しがたく、脱気不十分になる可能性がある。
(5)中空糸膜の平均孔径
中空糸膜の空孔の平均孔径は、好ましくは0.05μm〜0.5μm、より好ましくは、0.05μm〜0.15μmである。この範囲を上回ると、液体が中空糸膜の孔内に入り込んで吸気側に流入する可能性があり、この範囲を下回ると、中空糸膜の反対側に溶存空気を吸気できず、溶存空気が透過しがたく、脱気不十分になる可能性がある。
中空糸膜の空孔の平均孔径は、好ましくは0.05μm〜0.5μm、より好ましくは、0.05μm〜0.15μmである。この範囲を上回ると、液体が中空糸膜の孔内に入り込んで吸気側に流入する可能性があり、この範囲を下回ると、中空糸膜の反対側に溶存空気を吸気できず、溶存空気が透過しがたく、脱気不十分になる可能性がある。
なお、前述の中空糸膜の空隙率と平均孔径の測定は、特開平5−64663号公報の段落「0090」に開示の測定方法に準拠するものであり、測定機器としては、水銀圧入式ポロシメーター 2000型(製造元:CARLO ERBAINSTRUMENTS)を用いた。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々変更使用することができる。例えば、前述した脱気手段は、中空糸膜を使用しているが、これのみでなく、スポンジ状の棒材である、いわゆる稠密ロッドを使用することもでき、液体中から溶存空気などを透過させる通気性のある多孔性のガス交換膜であればよい。また、上述した実施形態では、外装体内に輸液剤を流通させているが、これのみに限定されるものではなく、薬の調合などの場合には、水を使用することもあることから、液体であればよい。
本発明は、主に血液中に注入される輸液剤などの医療用液体に含まれる気泡や溶存気体を生体に注入する前に除去し、より安全な治療や処置に利用することができる。
10…外装体、
11…流入部、
12…流出部、
13…排気部、
15…ガス交換膜、
16a…排気部の内壁、
18…吸収部材、
19…フィルタ、
E…液体吸収部、
K…気体、
M…脱気モジュール、
P…ポッティング剤、
W…液体。
11…流入部、
12…流出部、
13…排気部、
15…ガス交換膜、
16a…排気部の内壁、
18…吸収部材、
19…フィルタ、
E…液体吸収部、
K…気体、
M…脱気モジュール、
P…ポッティング剤、
W…液体。
Claims (12)
- 液体が内部を流通する医療用送液管に、前記液体中に含まれる溶存気体あるいは気泡を除去する脱気モジュールを設けた脱気モジュール付医療用送液管において、
前記脱気モジュールは、前記液体が流入する流入部、前記液体が流出する流出部、及び、前記液体中から除去した気体を外部に排出する排気部が形成された外装体と、当該外装体内に設けられ前記液体中の溶存空気又は気泡を透過する通気性のある多孔性のガス交換膜と、を有し、前記排気部に、当該排気部から滲出する前記液体を吸収する液体吸収部を設けたことを特徴とする脱気モジュール付医療用送液管。 - 前記液体吸収部は、前記排気部の内周壁に前記液体を吸収する吸収部材を取り付けることにより構成したことを特徴とする請求項1に記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記吸収部材は、前記排気部の内壁の一部をなすように設け、排気のための貫通路を規定することを特徴とする請求項2に記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記吸収部材は、前記排気部の内壁に沿って点在するように設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記吸収部材は、前記排気部の内壁全周に設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記吸収部材は、吸水性材料から構成したことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記ガス交換膜は、中空糸膜により構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記脱気モジュールは、前記外装体に排気部を2箇所形成し、両排気部間の連通路に前記流入部と流出部を設け、前記排気部の少なくとも一方は、前記中空糸膜の端部が開口状態を保った状態でポッティング剤を用いてポッティングされていることを特徴とする請求項7に記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記脱気モジュールは、前記外装体に排気部を2箇所形成し、両排気部間の連通路に前記流入部と流出部を設け、前記排気部の一方は、前記中空糸膜の端部が開口状態を保った状態でポッティング剤を用いてポッティングし、前記排気部の他方は、前記中空糸膜の内腔端部が閉鎖状態とされていることを特徴とする請求項7に記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記脱気モジュールは、前記外装体に少なくとも1つの前記流入部及び流出部と、複数の排気部とを形成し、各排気部に、U字状に湾曲して収納した前記中空糸膜の合せ端部が開口状態を保った状態でポッティング剤を用いてポッティングし、前記流入部から前記流出部に至る前記液体が前記中空糸膜を外部潅流するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の脱気モジュール。
- 前記排気口にポッティングされた前記ガス交換膜の端部は、外周縁部を削落したことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の脱気モジュール付医療用送液管。
- 前記排気口は、フィルタで被覆されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の脱気モジュール付医療用送液管。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010001939A1 (ja) * | 2008-07-02 | 2010-01-07 | テルモ株式会社 | コネクタおよび輸液チューブセット |
US20120225186A1 (en) * | 2011-03-02 | 2012-09-06 | Abbott Cardiovascular Systems Inc. | In-line Bubble Removal Mechanism |
-
2006
- 2006-12-12 JP JP2006334782A patent/JP2008142409A/ja active Pending
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