JP2008141527A - 光信号受信装置、光信号受信方法、光信号送信装置及び光信号送信方法 - Google Patents

光信号受信装置、光信号受信方法、光信号送信装置及び光信号送信方法 Download PDF

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Abstract

【課題】任意の光信号送信装置から自由に情報を取得することを可能とする光信号受信装置及び光信号受信方法を提供する。
【解決手段】複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、複数のうち一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する複数の信号光が光信号送信装置の複数の出射手段により同時に出射され、光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの複数の信号光を受光するように配置され、当該受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を備え、遮蔽物により光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、複数の信号光のうちの一部の信号光のみを受光手段が受光し情報伝達光に対応する信号を出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、信号光を出射する光信号送信装置及び光信号送信方法、並びに、当該出射された信号光を受信する光信号受信装置及び光信号受信方法の技術分野に関する。
近年、計算機を利用して情報を交換する際において、無線通信が重要な位置を占めるようになってきている。現在、規格化されている無線通信技術としては、例えば、IrDA(Infrared Data Association)、無線LAN(IEEE802.11等)、Bluetooth(IEEE802.15.1)等が存在している。また、RFID(Radio frequency identification)等も無線通信の例に挙げられる。
現在の無線通信システムとしては、情報交換そのものに着目したシステムと、相手を特定して情報交換を行うことに着目したシステムが存在する。
情報交換そのものに着目したシステムとしては、Bluetooth、無線LAN等を利用したシステムが挙げられる。こうしたシステムにおいては、無線の発信局をユーザが意識しなくとも情報交換を行うことが可能であり、また、大量の情報を転送することが可能である。
これに対して、相手を特定して情報交換を行うことに着目したシステムとしては、IrDA、RFID等を利用したシステムが挙げられる。こうしたシステムにおいては、それほど大量のデータを転送することができないが、特定の相手を選択して通信を行うことができる。この通信相手の特定方法としては、主として接近が利用される。例えば、IrDAでは、2つの機器を接近することで通信相手を特定する。また、RFIDは接触に近い状態で情報のやりとりを行っている。このように、通信相手を特定することができるので、実世界上に存在する「もの」に対して、情報を添付することが可能となる。
ところで、今後、あらゆる場所に計算機が設置され、計算機間での交換される情報のデータ量が大きくなってくると、ある程度離れた特定の相手と、ある程度大量の情報を瞬時に交換する必要が生じてくるものと想定される。ところが、IrDA、RFID等といった接近して通信相手を特定する方法では、限定された範囲でしか情報を交換することができない。
これに対し、空間を媒体とした光通信システムを構築して通信相手を特定することができれば、ある程度離れた特定の相手と、ある程度大量の情報を瞬時に交換することができるものと考えられる。
空間を媒体とした光通信の方法としては、例えば、環境側装置が信号光を照射する照射範囲内にユーザ端末が入った際にこの信号光をユーザ端末が受信し、当該信号光に付加されたデジタル信号を抽出してメモリを書き換える方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この方法によれば、環境側装置からの信号光の伝達範囲を照射範囲として設定し、その伝達範囲に、受信側であるユーザ端末が入ることで通信相手(情報を入手する環境側装置)を選択することができる。
また、光源からの光信号を反射する複数のミラーをマトリクス状に配するとともに夫々のミラーを互いに独立に制御する可動ミラーアレイにおいて、夫々異なる相手装置の方向に信号光を反射する複数のミラーグループを形成し、このミラーグループの数を変更可能にする方法が提案されている(特許文献)。この発明によれば、一対多の光空間通信において、相手装置の数が変更されても、柔軟に対応することができるとされている。
特開2004−363827号公報 特開2003−273809号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、受信側から見える範囲に環境側装置があったとしても、その環境側装置から情報を入手するためには、受信側が環境側装置に近づかなければならないし、また、複数の環境側装置が接近して配置されることにより互いの信号光の伝搬範囲が重なると、受信側が複数の光信号を受信して混信する虞がある。
また、特許文献2に記載の発明では、送信装置が受信側を指定することも可能と考えられるが、受信側が送信装置を選択することはできない。また、特許文献2に記載の発明では、相手装置の方向を入力する入力装置と、複数のミラーの方向を夫々独立して制御する制御回路とが必須となり、装置構成が複雑となる。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、任意の光信号送信装置から自由に情報を取得することを可能とする光信号受信装置及び光信号受信方法を提供することを目的とする。
また、光信号送信装置からの映像が人の目や撮像手段等によりとらえられている場合に、当該光信号送信装置から情報を取得するか否かを簡易な構成及び方法で選択することを可能とする光信号受信装置及び光信号受信方法を提供することを目的とする。
また、複数の光信号送信装置からの映像が同時に人の目や撮像手段等によりとらえられた場合でも、そのうちの任意の光信号送信装置からの情報のみを簡易な構成及び方法で取得することを可能とする光信号受信装置及び光信号受信方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、光信号送信装置が有する複数の出射手段により出射された複数の信号光を受信する光信号受信装置であって、前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光が前記光信号送信装置の前記複数の出射手段により同時に出射され、前記光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置され、当該受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を備え、遮蔽物により前記光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、前記複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする。
この発明によれば、光信号送信装置が有する複数の出射手段により同時に出射される複数の信号光の一部の信号光の和が情報伝達光を構成し、当該複数の信号光のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が情報伝達光を相殺するようになっている。情報伝達光は、光信号送信装置から伝達したい情報を搬送する光であり、複数の出射手段により出射された複数の光信号のうち前記一部の信号光のみを受光すれば、光信号送信装置から情報を取得することができる一方、前記複数の信号光の全てを同時に受光すると、光信号送信装置から情報を取得することができないようになっている。受光手段は、光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの複数の信号光を受光するように配置される。光信号送信装置からの映像としては、例えば、光信号送信装置自身の映像であっても良いし、光信号送信装置が設けられたオブジェクトの映像であっても良いし、あるいは、光信号送信装置により光(可視光線)を出射させた場合におけるこの光の映像であっても良い。このとき、受光手段が前記複数の信号光の全てを同時に受光するので、光信号送信装置から情報は取得できない。一方、光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮蔽物により遮られた映像がとらえられるとともに、当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該光信号送信装置からの複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを受光手段が受光し情報伝達光に対応する信号を出力する。
従って、光信号送信装置からの映像がとらえられている場合に、遮蔽物が配置されている方向から映像がとらえられている光信号送信装置のみからの情報伝達光を受信することができる。
これにより、例えば、光信号送信装置からの映像がとらえられている場合において、光信号送信装置と光信号受信装置との間に、前記他の信号光を遮るようにして遮蔽物を配置するか、または、当該配置をしないかによって、受信側が受信すると選択したときにのみ当該光信号送信装置からの情報伝達光を受信することができる。また、例えば、複数の光信号送信装置からの映像がとらえられている場合において、受信したい光信号送信装置からの映像をとらえながら光信号送信装置と光信号受信装置との間に遮蔽物を配置することで、受信側が選択した光信号送信装置のみからの情報伝達光を受信することができる。このように、映像を利用することで、通信相手を簡単に選択することができ、任意の光信号送信装置から自由に情報を取得することができる。
また、受光手段の構成を簡易にすることが可能であり、これにより、安価に光信号受信装置を構成することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光信号受信装置において、前記光信号送信装置の前記複数の出射手段は、3個の出射手段により構成され、前記3個の出射手段のうち中央に配置された前記出射手段から出射される信号光が前記情報伝達信号を相殺し、当該中央に配置された前記出射手段を除く2個の前記出射手段により出射される信号光の和が当該情報伝達信号を構成することを特徴とする。
この発明によれば、前記光信号送信装置に設けられた3個の出射手段のうちの中央に配置された出射手段と光信号受信装置との間に遮蔽物を配置して、中央に配置された出射手段からの信号光を遮り、当該中央に配置された出射手段を除く2個の出射手段からの信号光を遮らないようにすることで、情報伝達光を構成する信号光を受光することができるので、光信号送信装置からの映像がとらえられているときに、中央の出射手段を遮るという感覚的にわかりやすい方法で受信を選択することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光信号受信装置において、前記他の信号光は、前記情報伝達光の光強度に対して時系列的に反転した信号光であることを特徴とする。
この発明によれば、複数の出射手段により出射された複数の信号光の和は一定の光強度となり、当該複数の信号光を全て受光した受光手段からは、一定の信号レベルの信号が出力されることとなるため、光信号送信装置から情報は取得できない。従って、簡単な方法で効果的に情報伝達光を相殺することができる。また、光信号送信装置からの複数の信号光のうち遮蔽物により前記一部の信号光を遮ぎることにより、当該光信号送信装置からの複数の信号光のうちの前記他の信号光のみを受光手段が受光すると、情報伝達光に対応する信号の信号レベルに対して時系列的に反転した信号が受光手段から出力されるので、当該信号に基づいて光信号送信装置からの情報を取得するように構成することも可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光信号受信装置において、前記受光手段は、前記光信号送信装置からの映像が人の目によりとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置されたことを特徴とする。
この発明によれば、光信号送信装置からの映像が人の目によりとらえられたときに当該光信号送信装置からの複数の信号光を受光することができるので、目に見えている光信号送信装置に対して、例えば、手の指等の遮蔽物を向けることで情報伝達光を受信する光信号送信装置を視覚により直接選択することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光信号受信装置において、前記受光手段は、前記人の目により反射された前記複数の信号光を受光することを特徴とする。
この発明によれば、人の目に映る光信号送信装置からの複数の信号光が人の目で反射して、当該反射した複数の信号光を受光手段が受光することができるので、選択した光信号送信装置からの情報伝達光を確実に受信することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光信号受信装置において、撮像手段を更に備え、前記受光手段は、前記光信号送信装置からの前記撮像手段により撮像されたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置されたことを特徴とする。
この発明によれば、光信号送信装置からの映像が撮像手段により撮像されたときに当該光信号送信装置からの複数の信号光を受光することができるので、撮像手段で撮像された映像を利用して情報伝達光を受信する光信号送信装置を選択することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光信号受信装置において、前記受光手段は、前記撮像手段により反射された前記複数の信号光を受光することを特徴とする。
この発明によれば、撮像手段により撮像される光信号送信装置からの複数の信号光が、例えば、撮像手段のレンズ等で反射して、当該反射した複数の信号光を受光手段が受光することができるので、選択した光信号送信装置からの情報伝達光を確実に受信することができる。
請求項8に記載の発明は、光信号送信装置が有する複数の出射手段により出射された複数の信号光を受信する光信号受信方法であって、前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光が前記光信号送信装置の前記複数の出射手段により同時に出射され、受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を、前記光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置し、遮蔽物により前記光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、光信号受信装置により受信させる信号光を出射する光信号送信装置であって、複数の信号光を出射する複数の出射手段であって、前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光を前記複数の出射手段により同時に出射する複数の出射手段を備え、前記光信号受信装置は、当該光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置された受光手段であって、当該受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を有し、遮蔽物により当該光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする。
この発明によれば、複数の出射手段により出射される複数の信号光の一部の信号光の和が情報伝達光を構成し、当該複数の信号光のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が情報伝達光を相殺するようになっている。情報伝達光は、光信号送信装置から伝達したい情報を搬送する光であり、複数の出射手段により出射された複数の光信号のうち前記一部の信号光のみを受光すれば、光信号送信装置から情報を取得することができる一方、前記複数の信号光の全てを同時に受光すると、光信号送信装置から情報を取得することができないようになっている。光信号受信装置の受光手段は、光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの複数の信号光を受光するように配置される。光信号送信装置からの映像としては、例えば、光信号送信装置自身の映像であっても良いし、光信号送信装置が設けられたオブジェクトの映像であっても良いし、あるいは、光信号送信装置により光(可視光線)を出射させた場合におけるこの光の映像であっても良い。このとき、受光手段が前記複数の信号光の全てを同時に受光するので、光信号送信装置から情報は取得できない。一方、光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮蔽物により遮られた映像がとらえられるとともに、当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該光信号送信装置からの複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを受光手段が受光し情報伝達光に対応する信号を出力する。
従って、光信号送信装置からの映像がとらえられている場合に、遮蔽物が配置されている方向から映像がとらえられている光信号送信装置のみからの情報伝達光を受信することができる。
これにより、例えば、光信号送信装置からの映像がとらえられている場合において、光信号送信装置と光信号受信装置との間に、前記他の信号光を遮るようにして遮蔽物を配置するか、または、当該配置をしないかによって、受信側が受信すると選択したときにのみ当該光信号送信装置からの情報伝達光を受信することができる。また、例えば、複数の光信号送信装置からの映像がとらえられている場合において、受信したい光信号送信装置からの映像をとらえながら光信号送信装置と光信号受信装置との間に遮蔽物を配置することで、受信側が選択した光信号送信装置のみからの情報伝達光を受信することができる。このように、映像を利用することで、通信相手を簡単に選択することができ、任意の光信号送信装置から自由に情報を取得することができる。
また、受光手段の構成を簡易にすることが可能であり、これにより、安価に光信号受信装置を構成することができる。
請求項10に記載の発明は、光信号受信装置により受信させる複数の信号光を光信号送信装置が有する複数の出射手段により出射する光信号送信方法であって、前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光を前記複数の出射手段により同時に出射し、前記光信号受信装置は、前記光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置された受光手段であって、当該受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を有し、遮蔽物により前記光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする。
本発明によれば、光信号送信装置からの映像がとらえられている場合に、遮蔽物が配置されている方向から映像がとらえられている光信号送信装置のみからの情報伝達光を受信することができる。
これにより、例えば、光信号送信装置からの映像がとらえられている場合において、光信号送信装置と光信号受信装置との間に、前記他の信号光を遮るようにして遮蔽物を配置するか、または、当該配置をしないかによって、受信側が受信すると選択したときにのみ当該光信号送信装置からの情報伝達光を受信することができる。また、例えば、複数の光信号送信装置からの映像がとらえられている場合において、受信したい光信号送信装置からの映像をとらえながら光信号送信装置と光信号受信装置との間に遮蔽物を配置することで、受信側が選択した光信号送信装置のみからの情報伝達光を受信することができる。このように、映像を利用することで、通信相手を簡単に選択することができ、任意の光信号送信装置から自由に情報を取得することができる。
また、受光手段の構成を簡易にすることが可能であり、これにより、安価に光信号受信装置を構成することができる。
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。
[1.第1実施形態]
はじめに、光空間通信システムに本発明を適用した場合の実施形態について説明する。
[1―1.光空間通信システムの基本構成]
先ず、本実施形態に係る光空間通信システムSの基本構成について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る光空間通信システムSの基本構成の概要の一例を示す図である。また、図2(a)は、赤外線LsaとLsbとの合成波形の一例を示す図であり、図2(b)は、赤外線Lsa、Lsb及びLscの波形の一例を示す図であり、図2(c)は、赤外線Lsa、Lsb及びLscを同時に受光した場合における検出信号Sdの信号レベルを示す図である。
図1に示すように、光空間通信システムSは、送信側として、光信号送信装置の一例としての送信機1を備え、受信側として、光信号受信装置の一例としての受信機2と、撮像手段の一例としての受像機3と、コンピュータ4と、を備えている。また、これらとは別に、遮蔽物の一例としてのフィルター5が任意の位置に配置されている。なお、本発明に係る光通信において用いる信号光(光信号)としての電磁波の波長は任意に選択することが可能であるが、本実施形態においては、波長870nmの赤外線を用いることとする。
送信機1は、データ処理部11と、出射手段の一例としての発光部12a、12b及び12cと、を備えている。なお、送信機1は、何らかのオブジェクトに埋め込まれていても良いし、オブジェクトとは独立して配置されていても良い。
データ処理部11は、送信すべきデータ(例えば、画像データ、音声データ、テキストデータ、コンピュータプログラム等)に対して符号化処理、変調処理を施し、発光部12の点滅パターンを生成し、当該点滅パターンに基づいて駆動信号を発光部12a、12b及び12c夫々に供給する。
発光部12a、12b及び12cは、夫々、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子により構成され、データ処理部11から供給された駆動信号に基づいて、夫々波長870nmの赤外線Lsa、Lsb及びLscを出射する。赤外線Lsは、あらゆる方向で受光できるよう、拡散光であることが望ましい。また、発光部12a、12b、12cの位置関係において、発光部12bが中央に位置するように、夫々が送信機1の正面中央に設けられている。なお、発光部12は、LED以外にも、例えば、半導体レーザ、赤外線電球等、他の発光素子を用いても良い。
ここで、データ処理部11は、送信すべきデータに対応する情報伝達光の一例としての信号光(以下、データ光という)を発光部12aと発光部12cにより協働して(分けて)出射するように駆動信号を供給する。一方、データ処理部11は、発光部12bに対しては、データ光を相殺する信号光が出射されるように駆動信号を供給する。
具体的に、データ処理部11は、図2(a)に示すように、データ光(赤外線LsaとLscとの和により構成される)は、発光部12a及び12cが消灯(オフ)時においては、光強度が0となり、発光部12a及び12cが点灯(オン)時においては、光強度が1となるようにするために、図2(b)に示すように、点灯時において、赤外線LsaとLscとの光強度が夫々0.5となるように駆動信号を供給する。そして、データ処理部11は、データ光の光強度に対して、時系列的に反転した赤外線Lsbを出射するように、駆動信号を供給する。つまり、発光部12a及び12cがオン時には発光部12bを消灯させ、発光部12a及び12cがオフ時には発光部12bを点灯させて、光強度が1となる赤外線Lsbを出射させる。
受信機2は、受光手段の一例としての受光器22と、信号処理部23と、を備えている。
受光器22は、例えば、フォトダイオード等の受光部等により構成され、複数の信号光を同時に受光し、当該受光量に応じた検出信号Sd(電流)を出力するようになっている。具体的に、受光器22は、後述するレンズ部31からの反射光を受光可能なように、その受光部分がレンズ部31に向けられており、レンズ部31で反射した複数の信号光を受光するよう配置されている。また、受光器22は、レンズ部31に入射する光線を遮らないようにレンズ部31の光軸から離れて配置されている。
ここで、送信機1の発光部12a、12b及び12cにより同時に出射された赤外線Lsa、Lsb及びLscがレンズ部31で反射し、夫々、反射赤外線Lsra、Lsrb、Lsrcとして受光器22により受光されると、図2(c)に示すように、一定レベルの直流成分の信号として検出信号Sdが出力される。
信号処理部23は、例えば、増幅回路、A/D(Analog to Digital)コンバータ、フィルター回路等により構成され、受光器22から供給された検出信号Sdに対して増幅処理、アナログ/デジタル変換、閾値処理、フィルタリング処理等の復号、復調処理を施し、復調されたデータ信号をコンピュータ4に供給するようになっている。ここで、信号処理部23は、所定の信号レベル以上となった直流成分の信号をカットすることにより、データ光に対応する信号がデータ信号として出力されるようにしている。
受像機3は、レンズ部31と、受像部32と、により構成されており、光学フィルター21を介した外部の映像を撮影する(とらえる)ようになっている。
レンズ部31は、例えば、レンズ等により構成されており、入射した可視光線を屈折させて、受像部32上に結像させる。また、レンズ部31は、屈折率が空気と異なることから、入射した光の一部を反射する。これにより、レンズ部31に対して同時に入射した複数の信号光はレンズ部31で反射し、受光器22により受光される。なお、レンズ部31を、例えば、ピンホールレンズ等により構成しても良く、この場合は、ピンホールレンズに出射した光の少なくとも一部が反射するように材質を選定する必要がある。また、光の反射の態様は乱反射でも正反射でも良いが、受光器22の位置やレンズ部31の向きの自由度を鑑みると、乱反射する方が望ましい。
受像部32は、例えば、CCD(charge-coupled device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子により構成され、撮像素子により可視光線を受光し、当該受光量に応じた出力信号を出力する。
なお、図示はしていないが、受像部32からの出力信号は、映像信号処理部により映像信号に変換され、当該映像信号は、例えば、メモリ、ディスプレイに供給され、あるいは、外部に出力されるようになっている。
コンピュータ4は、例えば、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等であり、信号処理部23からのデータ信号を受信して、当該信号に対応するデータを、例えば、メモリに記憶し、ディスプレイに表示し、あるいは、再生等を行うようになっている。また、データがURL(Uniform Resource Locator)であれば、インターネット等のネットワークにアクセスして、Webページ等の情報を取得するように構成しても良い。
フィルター5は、少なくとも赤外線の透過を阻止するようになてっており、受信側の制御あるいは意思により、その位置を変更することが可能となっている。
[1−2.光空間通信システムの動作]
次に、光空間通信システムSの動作について説明する。
先ず、基本動作について説明する。図3は、受信機2による受信動作の一例を説明するための図であり、(a)は、赤外線Lsaを遮った場合であり、(b)は、赤外線Lsbを遮った場合であり、(c)は、赤外線Lscを遮った場合である。また、図4は、検出信号Sdの波形の一例を説明する図であり、(a)は、赤外線Lsaを遮った場合であり、(b)は、赤外線Lsbを遮った場合であり、(c)は、赤外線Lscを遮った場合である。
送信機1において、データ処理部11により、送信すべきデータに対して符号化、変調が施され、発光部12a、12b及び12cに駆動信号が供給される。そして、発光部12a、12b及び12cにより、駆動信号に対応した、例えば、図2(b)に示すような点滅パターン(波形)で赤外線Lsa、Lsb及びLscを出射する。
一方、受信側において、受像部32により、外部の映像が撮影されている。また、レンズ部31で反射した光が受光器22により受光される。
ここで、送信機1の映像が受像部32上に映っていない場合、すなわち、送信機1からの間接光Vbが受像部32に入射されない場合には、赤外線Lsa、Lsb及びLscは、レンズ部31に入射しない。従って、受光器22には赤外線Lsa、Lsb及びLscの何れも受光されないため、受光器22から検出信号Sdが出力されず、信号処理部23からはデータ信号が出力されない。
また、送信機1の映像が受像部32上に映って(送信機1からの間接光Vbが受像部32に入射されて)いても、図1に示すように、赤外線Lsa、Lsb及びLscがレンズ部31に入射すると、これらの赤外線がレンズ部31で反射し、受光器22には反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcの全てが受光されるため、受光器22から図2(c)に示すような一定レベルの検出信号Sdが出力され、信号処理部23においてカットされる。従って、信号処理部23からはデータ信号が出力されない。
ここで、図3(a)に示すように、発光部12aの部分が遮られた送信機1の映像が受像機3により撮影されるようにフィルター5を配置すると、赤外線Lsaは、フィルター5により遮られてレンズ部31に入射しない。このとき、赤外線Lsb及びLscがレンズ部31に入射し、受光器22にには、反射赤外線Lsrb及びLsrcが受光され、図4(a)に示すような検出信号Sdが出力される。この状態の検出信号Sdには直流成分が含まれており、図2(a)に示すようなデータ光に完全に対応した信号とはなっていないが、信号処理部23において、この直流成分を除去することにより、データ光に対応したデータ信号を出力することは可能である。
次に、図3(b)に示すように、赤外線Lsbがレンズ部31に入射することを阻む位置にフィルター5を配置すると、撮像部32により、フィルター5により送信機からの映像の一部(発光部12bの部分)が遮られた映像が撮影される。このとき、赤外線Lsa及びLscがレンズ部31に入射し、受光器22にには、反射赤外線Lsra及びLsrcが受光され、図4(b)に示すような検出信号Sdが出力される。この検出信号Sdは、図2(a)に示すようなデータ光に対応する信号であるため、信号処理部23において復号、復調処理が行われて、データ信号がコンピュータ4に供給される。そして、コンピュータ4において、送信機1から送信されたデータに対する処理が行われる。
次に、図3(c)に示すように、発光部12cの部分が遮られた送信機1の映像が受像機3により撮影されるようにフィルター5を配置すると、赤外線Lscは、フィルター5により遮られてレンズ部31に入射しない。このとき、赤外線Lsa及びLsbがレンズ部31に入射し、受光器22にには、反射赤外線Lsra及びLsrbが受光され、図4(c)に示すような検出信号Sdが出力される。この状態においても、発光部12aの部分が遮られた場合と同様にデータ光に完全に対応した信号とはなっていないが、信号処理部23において、データ光に対応したデータ信号を出力することは可能である。
このように、送信機1が受像機3の撮影範囲内であって、フィルター5により発光部12bの部分が遮られた映像が受像機3により撮影され且つ発光部12a及び12cの映像が撮影されている場合に、送信機1からのデータ光を受信することが可能である。また、フィルター5により発光部12aの部分が遮られた映像が受像機3により撮影され且つ発光部12b及び12cの映像が撮影されている場合、及び、フィルター5により発光部12cの部分が遮られた映像が受像機3により撮影され且つ発光部12a及び12bの映像が撮影されている場合においても、検出信号Sdの品質は低下するが、送信機1からのデータ光を受信することは可能である。一方、送信機1が受像機3の撮影範囲内であっても、上記条件が成立していない場合には、送信機1からのデータ光は相殺されるため、実質的にデータ光を受信されない。
このことについて、複数の送信機が受像部32上に映っている場合で説明する。図5は、複数の送信機1から信号光を出射した場合における受信機2の受信動作の一例を説明する図であり、(a)は、その様子を横から見た図であり、(b)は、撮像部32上に映る像を示す図であり、図中、Scは、受像機3の撮影範囲を示している。
図5(a)に示すように、2個の送信機1−1及び1−2(何れも送信機1と同様の構成)が配置されている。また、図5(b)に示すように、送信機1−1及び1−2は、受像機3の撮影範囲内に位置しており、そのうち、送信機1−1の発光部12bがフィルター5により遮られている。
ここで、送信機1−1の発光部12a、12b及び12cから夫々赤外線Ls1a、Ls1b及びLs1cを出射し、送信機1−2の発光部12a、12b及び12cから夫々赤外線Ls2a、Ls2b及びLs2cを出射すると、送信機1−2から出射された赤外線Ls2a、Ls2b及びLs2cは、レンズ部31に達し、当該レンズ部31で反射されて、反射赤外線Lsr2a、Lsr2b及びLsr2cとして受光器22により同時に受光され、受光器22からは一定レベルの検出信号Sdが出力され、信号処理部23によりカット。
一方、送信機1−1から出射された赤外線Ls1a、Ls1b及びLs1cのうち、赤外線Ls1bは、フィルター5で遮られてレンズ部31には達せず、赤外線Ls1b及びLs1cは、レンズ部31に達し、当該レンズ部31で反射されて、反射赤外線Lsr1a及びLsr1cとして受光器22により同時に受光され、データ光に対応する検出信号Sdが出力され、信号処理部23によりデータ信号が出力される。
このように、複数の送信機1が受像機3の撮影範囲内であっても、特定の送信機1からのデータ光のみを受光することができる。例えば、図5において、送信機1−2からのみデータ光を受信したい場合には、フィルター5を送信機1−2の発光部12bに向ければ良い。
以上説明したように、本実施形態によれば、送信機1が有する発光部12a、12b及び12cにより同時に出射される赤外線Lsa、Lsb及びLscの一部の信号光である赤外線Lsa及びLscの和がデータ光を構成し、赤外線Lsbがデータ光を相殺するようになっている。データ光は、送信機1から伝達したいデータを搬送する光であり、発光部12a、12b及び12cにより出射された赤外線Lsa、Lsb及びLscのうち赤外線Lsa及びLscのみを受光すれば、送信機1から情報を取得することができる一方、赤外線Lsa、Lsb及びLscを同時に受光すると、送信機1から情報を取得することができないようになっている。受光器22は、送信機1からの映像が受像機3によりとらえられたときに、レンズ部31でからの反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcを受光するように配置される。このとき、受光器22が赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcを同時に受光するので、送信機1から情報は取得できない。一方、送信機1の発光部12bの映像がフィルター5により遮られた映像が受像機3によりとらえられるとともに、送信機1からの赤外線Lsbがフィルター5で遮られたときに、反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcのうちの反射赤外線Lsra及びLsrcのみを受光器22が受光しデータ光に対応する検出信号Sdを出力する。
従って、送信機1からの映像がとらえられている場合に、フィルター5が配置されている方向から映像がとらえられている送信機1のみからのデータ光を受信することができる。
これにより、例えば、送信機1からの映像がとらえられている場合において、送信機1と受信機2及び受像機3との間に、赤外線Lsbを遮るようにしてフィルター5を配置するか、または、当該配置をしないかによって、受信側が受信すると選択したときにのみ当該送信機1からのデータ光を受信することができる。また、例えば、複数の送信機1からの映像がとらえられている場合において、受信したい送信機1からの映像をとらえながら送信機1と受信機2及び受像機3との間にフィルター5を配置することで、受信側が選択した送信機1のみからのデータ光を受信することができる。このように、映像を利用することで、通信相手を簡単に選択することができ、任意の送信機1から自由に情報を取得することができる。
また、受光器22の構成を簡易にすることが可能であり、これにより、安価に光信号受信装置を構成することができる。
また、送信機1に設けられた3個の発光部12a、12b及び12cのうちの中央に配置された発光部12bと受信機2及び受像機3との間にフィルター5を配置して、中央に配置された発光部12bからの赤外線Lsbを遮り、発光部12a及び12cからの赤外線Lsa及びLsbを遮らないようにすることで、データ光を構成する信号光を受光することができるので、送信機1からの映像がとらえられているときに、中央の発光部12bを遮るという感覚的にわかりやすい方法で受信を選択することができる。
また、発光部12bがら出射される赤外線Lsbは、データ光に対して時系列的に反転した信号光であるので、赤外線Lsa、Lsb及びLscの和は一定の光強度となり、反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcを全て受光した受光器22からは、一定の信号レベルの検出信号Sdが出力されるため、信号処理部23によりこの信号がカットされて、送信機1から情報は取得されない。従って、簡単な方法で効果的にデータ光を相殺することができる。
また、フィルター5により映像が遮られた送信機1からのデータ光に対応した検出信号Sdが受光器22から出力されるで、信号処理部23によりデータ信号が出力されてる一方、映像が遮られない送信機1からの信号光に対応して一定の信号レベルの検出信号Sdが受光器22から出力されることで、信号処理部23によりこの信号がカットされるので、複数の送信機1で同時に信号光を出射する場合において、例えば、各送信機1で用いる信号光の波長を変えたり、スペクトラム拡散等を用いた変復調を行うといったことが必要なく、簡易な構成により通信システムを構築することができる。
また、送信機1からの映像が受像機3により撮像されたときに、送信機1からの赤外線Lsa、Lsb及びLscを反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcとして受光することができるので、受像機3で撮像された映像を利用してデータ光を受信する送信機1を選択することができる。
また、受像機3により撮像される送信機1のからの複数の信号光が、レンズ部31で反射して、レンズ部31の光軸の角度(レンズ部31から見える送信機1の方向)と、受光器22が反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcとして受光する赤外線Lsa、Lsb及びLscの入射角度とをほぼ一致させることができるので、受像機3により撮影された映像上において選択された送信機1からの信号光を確実に受信することができる。
なお、上記実施形態においては、受光器22は、レンズ部31からの反射した信号光を受光するようにしていたが、光学フィルター21を通過した信号光を直接受光するようにしても良い。図6は、信号光を受光器22が直接受光する例について説明する図である。
図6に示すように、例えば、受光器22の受光部を外側に向ける。このようにすると、送信機1−1及び1−2のうち、フィルター5により赤外線Ls1aが遮られた送信機1−1から出射された赤外線Ls1a及びLs1cを直接受光器22が受光することができる。
ただし、この場合は、レンズ部31の光軸の角度と、受光器22が受光する赤外線Ls2の入射角度とのずれが若干生じる。もっとも、受光器22をレンズ部31の光軸上に配置させれば、受光器22が受像機3の撮影範囲内に入ることは別として、ずれの問題は生じない。
また、上記実施形態においては、送信機1の外観の映像または送信機1が埋め込まれたオブジェクトの外観の映像を利用して送信機1を選択する場合について説明したが、例えば、送信機1において、発光部12とは別に可視光線を出射する発光部を設け、当該発光部からの光の映像の映像を利用して送信機1を選択するようにしても良い。この場合であれば、送信機1が遠距離にあったり、宇宙空間や夜中であること等により、送信機1等の外観が確認できない場合でも情報を取得したい送信機1を任意に選択することができる。
また、上記実施形態においては、受像機3のレンズ部31で送信機1からの信号光を反射し、この反射光を受光器22で受光するようにしていたが、例えば、受信機2と受像機3の間に、ハーフミラー等を配し、当該ハーフミラー等で送信機1からの信号光を反射し、この反射光を受光器22で受光するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、複数の出射手段として3個の発光部を適用し、発光部12a及び12cからはデータ光に対応する信号光を出射し、発光部12bからはデータ光を相殺する信号光を出射するようにしていたが、一つの送信機1に設ける発光部の数、データ光に対応する信号光を出射する発光部の数、及びデータ光を相殺する信号光を出射する発光部の数を夫々任意に変更しても良い。例えば、一つの送信機1に2個の発光部を設け、一方の発光部からデータ光そのものを出射させ、他方の発光部からデータ光の光強度に対して時系列的に反転した信号光を出射させるようにすれば、フィルター5によりどちらの発光部を映像上において遮った場合においても、データ光に対応するデータ信号を出力させることは可能である。
また、上記実施形態においては、発光部12bからは、データ光の光強度に対して時系列的に反転した信号光を出射させてデータ光を相殺するようにしていたが、例えば、妨害波を出射させてデータ光を相殺するようにしても良い。
[2.第2実施形態]
次に、メガネ型の受信システムに本発明を適用し、メガネをかけた人の目によって送信機の映像がとらえられた場合に当該送信機からの信号光を受信する場合の実施形態について、図7及び図8を用いて説明する。
上述した第1実施形態においては、受像機3により外部の映像をとらえるようにしていたが、このような構成は本発明では必須ではなく、例えば、人の目(眼球)で外部の映像をとらえても良い。この場合は、角膜が受像機3のレンズ部31に対応し、網膜が受像部32に対応する。
図7(a)は、第2実施形態に係るメガネ型受信システムS2の概要構成の一例を示す図であり、図7(b)は、メガネ60の一例を示す正面図であり、図7(c)は、メガネ60の一例を示す側面図である。また、図8は、複数の送信機1から信号光を出射した場合におけるメガネ型受信システムS2の受信動作の一例を説明する図である。
図7(a)に示すように、光信号受信装置の一例としてのメガネ型受信システムS2は、メガネ60と、信号処理部70と、を備え、メガネ60と信号処理部70とは信号ケーブルCsにより接続されており、メガネ60で受光された信号光に対応するデータ信号が信号処理部70から出力されるようになっている。
図7(b)に示すように、メガネ60は、フレーム61の左目に対応するリムにフィルター手段の一例としてのメガネレンズ62が嵌め込まれ、右目に対応するリムにメガネレンズ63が嵌め込まれており、メガネレンズ62下部のリム上に受光手段の一例としての受光器64が取り付けられて構成されている。また、メガネレンズ62側の先セルには、信号ケーブルCsが接続されており、受光器64から信号線(図示せず)が、リム、智、テンプル、先セル及びCsの内部に通されて、受光器64からの検出信号がケーブルCsを介して出力されるようになっている。
受光器64は、例えば、フォトダイオードからなる受光部等により構成され、図7(c)に示すように、その受光部が、人間がメガネ60をかけたときの左目の虹彩部分に向くようにリムに取り付けられている。人間は、眼球によって視覚を得ており、外界から角膜を介して入射した光が網膜を刺激することにより、視神経を介して網膜からの信号は脳に伝達されて視覚が生じるが、角膜の屈折率は空気の屈折率と異なるため、角膜に入射する光は一部反射される。このような反射によって生じる像は、プルキンエ像(Purkinje)として知られている。受光器64は、この反射光を受光する。ここで、メガネ60と顔との隙間から入り込んでくる信号光を受光しないように、例えば、受光器64にフードをかぶせるようにする等の処置を施すことが望ましい。
信号処理部70は、メガネ60からケーブルCsを介して供給された検出信号に対して復号、復調処理を施し、データ信号を出力すようになっており、その構成は、前述した信号処理部23と同様である。ここで、人がまぶたを閉じているときや、顔の正面から目線を外しているときには、人の目から反射された信号光の信号レベルが低下するため、信号処理部70の閾値処理により所定の信号レベル以下の信号をカットするようになっている。
上記のように構成したメガネ型受信システムS2において、赤外線Lsa、Lsb及びLscが眼球Ebに入射すると、眼球Ebの角膜に入射した赤外線の一部は反射され、反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcとして受光器64に入射する。
反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcは、受光器64により受光され、当該受光量に応じた検出信号を出力し、ケーブルCsを介して検出信号が信号処理部23に供給される。
ここで、図8に示すように、2個の送信機1−1及び1−2が、人間の視界(左目の視界)内に位置しており、送信機1−1及び1−2から、夫々赤外線を同時に出射する。
ここで、ユーザが、例えば、腕を伸ばして、送信機1の発光部12bの部分のみを自分の視界から見えなくなるように人差し指Fgr(遮蔽物の一例)で遮る。
送信機1−2からの赤外線Ls2a、Ls2b及びLs2cは全て眼球Ebに達し、角膜で反射されて、反射赤外線Lsr2a、Lsr2b及びLsr2cとして受光器64により受光されるため、受光器22からは、一定レベルの検出信号Sdが出力され、信号処理部70においてカットされる。
一方、送信機1−1からの赤外線Ls2a、Ls2b及びLs2cのうち、赤外線Ls2bは人差し指Fgrで遮られるため、赤外線Ls2a及びLs2cのみが眼球Ebに達し、角膜で反射されて、反射赤外線Lsr2a及びLsr2cとして受光器64により受光されるため、受光器22からは、データ光に対応する検出信号Sdが出力される。そして、信号処理部23において復号、復調処理が行われて、データ信号がコンピュータ等に供給される。
このように、複数の送信機1が人間の視界内にあっても、指等の遮蔽物のある方向にある送信機1から出射されたデータ光のみを受光することができる。
従って、メガネ60をかけて、情報を取得したい送信機1または送信機が埋め込まれたオブジェクトに指等を指すことで、その送信機1のみから情報を取得することができる。
ここで、人間が腕をいっぱいに伸ばした際における人差し指の爪の幅に対する視野角は約1度(眼球からの距離約0.5m)であることを考慮して、送信機1における発光部12a、12b及び12cの発光面の大きさ、及び各発光部間の距離を通信環境(送信機1と人間との距離)に応じて選定することが望ましい。
以上説明したように、本実施形態によれば、送信機1からの映像が人の目によりとらえられたときに、送信機1からの赤外線Lsa、Lsb及びLscを反射赤外線Lsra、Lsrb及びLsrcとして受光することができるので、第1実施形態と同様の効果に加えて、目に見えている送信機1に対して、例えば、手の指等を向けることでデータ光を受光する送信機1を視覚により直接選択することができる。
また、眼球を利用した光通信のシステムにおいては、現在のところ、100KHzの搬送波による通信が可能であることが本願の発明者により確認されており、これによれば、一秒間でQR(Quick Response)コード1枚分の情報(23.624kbit)とほぼ同量の情報を受信することができる。また、QRコードにおいては、受信側がQRコードの相当近くに接近しなければならないが、本システムにおいては、送信機1とある程度離れた場所にいても情報を受信することができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、メガネレンズ62を通過した信号光を受光器64が直接受信するようにしても良い。
なお、本発明は、上記以外の様々な分野での光通信に適用することが可能である。
例えば、移動体(例えば、車、船舶、飛行機、人工衛星等)に通信装置(本発明に係る光信号送信装置及び光信号受信装置の一例)を取り付け、複数の移動体間での光通信に適用することも可能であるし、定着物(例えば、タワー、ビル等の建造物、樹木、岩等の自然物)に通信装置を取り付け、複数の定着物間での光通信に適用することも可能であるし、また、移動体と定着物との混在環境での光通信に適用することも可能である。
このとき、人手を介さずに自動で(または、自立的に)任意の相手からの信号光を受信する場合には、カメラ(撮像手段の一例)等により撮影された映像を解析して通信相手を特定する情報処理を行うためのコンピュータ等の情報処理手段が必要である。また、特定した通信相手からの信号光を受信するためには、少なくとも遮蔽物を通信相手に向ける制御手段が必要である。
第1実施形態に係る光空間通信システムSの基本構成の概要の一例を示す図である。 (a)は、赤外線LsaとLsbとの合成波形の一例を示す図であり、(b)は、赤外線Lsa、Lsb及びLscの波形の一例を示す図であり、(c)は、赤外線Lsa、Lsb及びLscを同時に受光した場合における検出信号Sdの信号レベルを示す図である。 受信機2による受信動作の一例を説明するための図であり、(a)は、赤外線Lsaを遮った場合であり、(b)は、赤外線Lsbを遮った場合であり、(c)は、赤外線Lscを遮った場合である。 検出信号Sdの波形の一例を説明する図であり、(a)は、赤外線Lsaを遮った場合であり、(b)は、赤外線Lsbを遮った場合であり、(c)は、赤外線Lscを遮った場合である。 複数の送信機1から信号光を出射した場合における受信機2の受信動作の一例を説明する図であり、(a)は、その様子を横から見た図であり、(b)は、撮像部32上に映る像を示す図である。 信号光を受光器22が直接受光する例について説明する図である。 (a)は、第2実施形態に係るメガネ型受信システムS2の概要構成の一例を示す図であり、(b)は、メガネ60の一例を示す正面図であり、(c)は、メガネ60の一例を示す側面図である。 複数の送信機1から信号光を出射した場合におけるメガネ型受信システムS2の受信動作の一例を説明する図である。
符号の説明
1、1−1、1−2 送信機
2 受信機
3 受像機
4 コンピュータ
5 フィルター
11 データ処理部
12 発光部
22 受光器
23 信号処理部
31 レンズ部
32 受像部
60 メガネ
61 フレーム
62、63 メガネフレーム
64 受光器
70 信号処理部
CS 信号ケーブル
S 光空間通信システム
S2 メガネ型受信システム

Claims (10)

  1. 光信号送信装置が有する複数の出射手段により出射された複数の信号光を受信する光信号受信装置であって、
    前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光が前記光信号送信装置の前記複数の出射手段により同時に出射され、
    前記光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置され、当該受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を備え、
    遮蔽物により前記光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、前記複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする光信号受信装置。
  2. 請求項1に記載の光信号受信装置において、
    前記光信号送信装置の前記複数の出射手段は、3個の出射手段により構成され、
    前記3個の出射手段のうち中央に配置された前記出射手段から出射される信号光が前記情報伝達信号を相殺し、当該中央に配置された前記出射手段を除く2個の前記出射手段により出射される信号光の和が当該情報伝達信号を構成することを特徴とする光信号受信装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光信号受信装置において、
    前記他の信号光は、前記情報伝達光の光強度に対して時系列的に反転した信号光であることを特徴とする光信号受信装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の光信号受信装置において、
    前記受光手段は、前記光信号送信装置からの映像が人の目によりとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置されたことを特徴とする光信号受信装置。
  5. 請求項4に記載の光信号受信装置において、
    前記受光手段は、前記人の目により反射された前記複数の信号光を受光することを特徴とする光信号受信装置。
  6. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の光信号受信装置において、
    撮像手段を更に備え、
    前記受光手段は、前記光信号送信装置からの前記撮像手段により撮像されたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置されたことを特徴とする光信号受信装置。
  7. 請求項6に記載の光信号受信装置において、
    前記受光手段は、前記撮像手段により反射された前記複数の信号光を受光することを特徴とする光信号受信装置。
  8. 光信号送信装置が有する複数の出射手段により出射された複数の信号光を受信する光信号受信方法であって、
    前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光が前記光信号送信装置の前記複数の出射手段により同時に出射され、
    受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を、前記光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置し、
    遮蔽物により前記光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする光信号受信方法。
  9. 光信号受信装置により受信させる信号光を出射する光信号送信装置であって、
    複数の信号光を出射する複数の出射手段であって、前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光を前記複数の出射手段により同時に出射する複数の出射手段を備え、
    前記光信号受信装置は、当該光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置された受光手段であって、当該受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を有し、
    遮蔽物により当該光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする光信号送信装置。
  10. 光信号受信装置により受信させる複数の信号光を光信号送信装置が有する複数の出射手段により出射する光信号送信方法であって、
    前記複数の信号光のうち一部の信号光の和が情報伝達光を構成するとともに、前記複数のうち前記一部の信号光を除く他の信号光が当該情報伝達光を相殺する前記複数の信号光を前記複数の出射手段により同時に出射し、
    前記光信号受信装置は、前記光信号送信装置からの映像がとらえられたときに当該光信号送信装置からの前記複数の信号光を受光するように配置された受光手段であって、当該受光された信号光に応じた信号を出力する受光手段を有し、
    遮蔽物により前記光信号送信装置からの映像の少なくとも一部が遮られた映像がとらえられ、且つ当該光信号送信装置からの前記他の信号光が当該遮蔽物で遮られたときに、当該複数の信号光のうちの前記一部の信号光のみを前記受光手段が受光し前記情報伝達光に対応する信号を出力することを特徴とする光信号送信方法。
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JP2016119673A (ja) * 2014-12-23 2016-06-30 テザト−スペースコム・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー 衛星通信リンク
CN113129641A (zh) * 2021-04-20 2021-07-16 中国科学院半导体研究所 停车位车辆检测装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016119673A (ja) * 2014-12-23 2016-06-30 テザト−スペースコム・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー 衛星通信リンク
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