JP2008139954A - 製品環境評価方法、システム及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 効率的に製品環境評価処理を行える様にし、短時間・短サイクルでサプライチェーン実行につなげることのできる製品環境評価システム、特に設計変更発生時の環境評価とサプライチェーンへの反映を支援し、正確かつ鮮度の高い環境評価情報を作成することが可能な技術を提供する。
【解決手段】 製品の環境評価を行う環境評価システムにおける環境評価方法において、製品の販売、製造、部品の調達に至るサプライチェーンにおける製品構成情報、工程情報及び在庫情報を記憶装置へ格納し、前記在庫情報を記憶装置から読み出してその読み出した在庫情報に示される在庫管理品目の環境情報を記憶装置へ格納し、前記記憶装置に格納した製品構成情報及び工程情報を読み出してその読み出した製品構成情報及び工程情報に従って前記在庫管理品目の環境情報を記憶装置から読み出してサプライチェーンにおける製品の環境評価処理を実行するものである。
【選択図】図1
【解決手段】 製品の環境評価を行う環境評価システムにおける環境評価方法において、製品の販売、製造、部品の調達に至るサプライチェーンにおける製品構成情報、工程情報及び在庫情報を記憶装置へ格納し、前記在庫情報を記憶装置から読み出してその読み出した在庫情報に示される在庫管理品目の環境情報を記憶装置へ格納し、前記記憶装置に格納した製品構成情報及び工程情報を読み出してその読み出した製品構成情報及び工程情報に従って前記在庫管理品目の環境情報を記憶装置から読み出してサプライチェーンにおける製品の環境評価処理を実行するものである。
【選択図】図1
Description
本発明は製品の環境評価を行う製品環境評価技術に関するものである。
欧州や米国、アジア、そして日本に広がる環境政策に対応するため、製品の設計段階から環境への配慮を十分に行う環境適合設計は、製造業にとって不可欠となっている。製品に対する環境政策は、製品が含有する化学物質に対する規制、使用済になった製品の回収とリサイクルに関する規制、製品のライフサイクルを通じたCO2(二酸化炭素)排出量や資源枯渇といった環境負荷に対する規制等多岐に渡っている。更に、仕入先からの調達品に関するデータを収集し、自社の部品表データや製品構成データ、生産管理データに反映させ、出荷製品の含有化学物質の集計や環境負荷を事前に評価し、素早く、生産・調達手配へと連携する仕組みを構築することが求められている。
従来、部品に含まれる化学物質等の情報収集方法については幾つかの方式が開示されている。特許文献1では、自製品を製造する際に必要な他製品の環境情報を他企業の環境情報データベースから収集し、収集した他製品の環境情報と自製品の製造で追加される環境情報を項目毎に集計して自製品の環境情報を作成する技術が考案されている。
一方、製品構成は、部品数が数万件と膨大な量となり、多品種少量生産によって製品数も増大傾向にある。製品評価の効率向上や評価時間の短縮等需要変動への対応力強化と平行して環境適合度改善への取り組みが企業活動を左右する様になってきた。
この様な背景から、特許文献2に代表される様に、製品の環境評価を効率的に実施する方法が考案されている。この技術では、設計データと発注データ、発注先の有害化学物質データを含む材質データとから、製品の環境データを生成し、製品の環境情報を把握して製品廃棄時の環境汚染防止や製品の信頼性向上、リサイクルの推進、有害化学物質の廃棄量の削減を支援することができるシステムを提供している。
特許文献1では、自製品の製造時に自製品の環境情報と他社製品の環境情報を項目毎に集計し、自己環境データベースに格納し、利用価値の高い環境情報の保持を述べているが、効率の良い環境情報の処理については記述されていない。
特許文献2は、製品の環境情報を効率的に処理することができる環境情報システムの提供を目的とした公知例である。このシステムでは、製品の構成情報と評価情報を内部に併せ持つことで、効率的な環境情報の処理が可能となるが、製品全体に渡る全ての情報を保持しなければならないためデータ量の膨大になる。また、設計変更が生じた際、常に製品を構成する部品全体に対しての評価を処理した後、評価結果を保持しなければならないため、設計変更に応じた最新の評価情報を取得という点では効率が悪いという第1の課題が挙げられる。
この様に製品の設計段階での評価情報を保持し、効率的に処理するシステムが求められているが、製品構成情報は部品数が数万件に渡るため、その評価は容易ではない上に、評価情報を得る為には製品全体に評価を実行する必要があるため、全体の設計が終了するまで評価を完了することができない。
更に、製品の設計情報と生産・調達情報、部品・材料の環境情報はリンクしていないため、製品の環境評価を実施できたとしても、生産や調達手配へ素早く連携できなければ、環境適合度の高い製品をタイムリーに出荷することができない。また、顧客から環境情報の提供を要求された場合で、該顧客への出荷予定製品が生産計画の段階であるため設計変更により環境情報の変更がある場合等、正確かつ鮮度の高い製品の環境評価情報を得ることができないという第2の課題がある。
本発明の目的は上記問題を解決し、効率的に製品環境評価処理を行える様にし、短時間・短サイクルでサプライチェーン実行につなげることのできる製品環境評価システム、特に設計変更発生時の環境評価とサプライチェーンへの反映を支援し、正確かつ鮮度の高い環境評価情報を作成することが可能な技術を提供することにある。
本発明は、製品の環境評価を行う環境評価システムにおいて、在庫管理品目の環境情報を保持しておき、その保持した環境情報を用いてサプライチェーンにおける製品の環境評価処理を行うものである。
本発明の環境評価システムでは、前記第1の課題を解決する為に、サプライチェーンの在庫管理品目に着目した製品構成を作成(第二の製品構成と呼ぶ)して製品評価を実施することで、評価処理性能を上げることができる。また、在庫管理品目に対してのみ、部品の環境評価情報を保管することで、効率の良い環境評価情報の保持を実現する。
第二の製品構成の作成、及び環境評価は、製品評価手段、サプライチェーン管理手段を用いる。製品評価手段は、サプライチェーン管理手段が管理する第一の製品構成・工程情報・在庫情報と環境情報管理手段が管理する環境情報とから、在庫管理品目のみから構成される第二の製品構成を作成して製品評価を実施し、製品の環境評価情報として保管する手段であり、製品を構成する部品の設計変更による部品交換を受け付けるとサプライチェーン管理手段から在庫管理品目のみを読み出し在庫管理品目のみから構成される第二の製品構成を生成し、交換部品の評価を実施して該環境評価結果を該交換部品情報へ登録し、該交換部品の親部品へ加算して親部品の評価結果とし、これを繰り返して製品の評価結果とする手段を有する。
前記第二の課題を解決する為に、本発明の製品環境評価システムは製品構成と共に、製品の製造や出荷、部品の調達といったサプライチェーンを管理するサプライチェーン管理手段と、製品を構成する部品の化学物質含有量といった環境情報を管理する環境情報管理手段と、製品の環境評価を実施する製品評価手段とを有することで、製品の環境評価を素早く、サプライチェーンへ反映することができる。
本発明によれば、効率的に製品環境評価処理を行える様にし、短時間・短サイクルでサプライチェーン実行につなげることのできる製品環境評価システム、特に設計変更発生時の環境評価とサプライチェーンへの反映を支援し、正確かつ鮮度の高い環境評価情報を作成することが可能である。
以下に製品の環境評価を行う一実施形態の製品環境評価システムについて説明する。
図1は本実施形態の在庫管理品目を意識した製品の製品環境評価システムの概略構成を示す図である。製品環境評価システム101とデータベースシステム116をネットワーク117で接続する。製品環境評価システム101は、次のサプライチェーン管理手段102、環境情報管理手段104及び製品評価手段103の3つの手段によって構成される。
図1は本実施形態の在庫管理品目を意識した製品の製品環境評価システムの概略構成を示す図である。製品環境評価システム101とデータベースシステム116をネットワーク117で接続する。製品環境評価システム101は、次のサプライチェーン管理手段102、環境情報管理手段104及び製品評価手段103の3つの手段によって構成される。
サプライチェーン管理手段102は、一般に、SCM(Supply Chan Managementの略)と呼ばれる、製品の販売から製造、部品の調達に至る一連の企業活動を管理する手段である。サプライチェーン管理手段102は、部品表管理部105、工程管理部106、在庫管理部107から構成される。
環境情報管理手段104は、製品に含まれる化学物質や使用済みになった製品のリサイクル性、製品のライフサイクルを通じたCO2排出量や資源の枯渇に関する情報である環境情報、即ち企業活動を通じて環境にあたえる負荷を管理する手段である。本実施形態においては、環境情報として製品に含まれる化学物質を用いて説明する。環境情報管理手段104は、材料情報管理部111、化学物質管理部112から構成される。
製品評価手段103は、サプライチェーン管理手段102と環境情報管理手段104と連動し製品の環境評価に必要な製品構成を作成して環境評価処理を実行する手段である。製品評価手段103は、製品構成作成部108、製品評価処理部109、評価結果管理部110から構成される。
本実施形態において、前記手段としてコンピュータを機能させる為のプログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記録され磁気ディスク等に格納された後、メモリにロードされて実行されるものとする。なお前記プログラムを記録する記録媒体はCD−ROM以外の他の記録媒体でも良い。また前記プログラムを当該記録媒体からコンピュータにインストールして使用しても良いし、ネットワークを通じて当該記録媒体にアクセスして前記プログラムを使用するものとしても良い。
次に製品環境評価システム101が利用するデータを管理するデータベースシステム116について説明する。データベースシステム116は、次のSCMDB113、環境情報DB115及び評価結果DB114の3つのデータベースで構成される。
SCMDB113は、サプライチェーン管理に必要なマスタデータ、例えば、品目マスタ、部品表、工程情報、在庫情報等から構成され、生産計画や調達計画、出荷計画の立案と実行の為に使用される。
環境情報DB115は、環境情報管理に必要なマスタデータ、例えば、材料マスタ、化学物質含有量(鉛、カドミウム、水銀等)等から構成され、製品の環境評価計算の為に使用される。
評価結果DB114は、製品の環境評価結果を格納する為に使用される。部品の環境評価点を加算した製品の環境評価点やサプライチェーン実行に必要な生産計画と製品の環境評価の関連情報等を格納する。
なお、製品環境評価システム101とデータベースシステム116は、図1の様にネットワークに接続される、異なるシステムでも良いが、データベースシステム116を製品環境評価システム101内に包含した構成でも良い。
次に各データベースに格納されるデータについて説明する。図2は本実施形態のSCMDB113に格納される製品や部品に関わる情報を格納する品目マスタの一例を示す図である。品目コードや品目名称から構成され、例えば、図2では、品目コードの「製品X」と品目名称の「パソコン」という、システムで内部的に使用する品目コードとその名称の関係を格納する。
図3は本実施形態の製品を表す部品表であり、製品の構成情報の一例を示す図である。図3のSCMDB113に格納される部品表では、製品の構成情報を表している。
親部品、子部品、員数を含み親部品は子部品から組立てられる、或いは、親部品は子部品から構成されるといった様に親子関係を表し、員数は親部品を組立てる場合の子部品の使用個数を表す。例えば、図3では「製品X」は、「部品A」が1個から構成され、「部品A」は「部品B」1個と、部品Cが1個、部品Dが1個から組立てられることを示す。
図4は本実施形態の製品や部品における工程情報の一例を示す図である。図4のSCMDB113に格納される工程情報は、ショップマスタ、供給マスタから成る。図4は部品調達から製造工程を経て顧客へ出荷するまでのモノの流れや製造ライン、部品倉庫といった工程種別を表す工程情報の一例である。
ショップマスタは、サプライチェーンにおけるそれぞれの工程の意味を示しており、図4の例の場合、「UNIT組立」は「製造工程」を、「部品庫」は「倉庫」ということを示す。また、供給マスタは、サプライチェーンにおける製品及び部品のモノの流れを示しており、図4の例の場合、「部品A」は、供給元である「UNIT組立」から供給先である「製造組立工程」に供給されることを示している。
図5は本実施形態の製品を構成する部品の在庫情報の一例を示す図である。図5のSCMDB113に格納される在庫情報では、部品庫毎の部品の在庫量を表現する。例えば、部品庫には12000個の部品Bが在庫として存在することを表す。サプライチェーンにて、部品を供給先に供給が必要な場合に、在庫があれば在庫を使用し、在庫がなければサプライチェーンの供給元へ部品の発注を行う。
図6は本実施形態の部品を構成する材料マスタの一例を示す図である。環境情報DB115に格納される材料マスタは、材料コード、材料名、単位等から構成され、例えば、材料コードの「材料H」と材料名の「カドミウム」の関係を格納する。
図7は本実施形態の環境情報DB115に格納される環境情報の一例を示す図である。図7(a)では、環境情報として化学物質含有量を用いており、部品と部品に含まれる複数の材料や原料と含有量からなる。例えば、部品Nは、カドミウムを0.2mg、水銀を10mg含む、或いは、部品Nのカドミウム含有量は0.2mgであるといった有害物質の含有量を表している。
環境情報の別の一例としては、図3で示した部品表の様に親子関係で表現しても良い。図7(b)は、環境情報を親子関係で示した図である。部品と部品に含まれる材料を、それぞれ、親部品、子部品とし化学物質含有量を員数として格納したものである。
次に本実施形態を実現するシステムの原理の一実施形態を図1、図8を用いて説明する。図8は本実施形態のサプライチェーンモデル801の作成原理を示す図である。図8では、サプライチェーン管理手段102が、サプライチェーンモデル801を作成する原理を示している。
はじめに、部品表管理部105はSCMDB113から部品表806を読み取り、親子関係を構築して製品構成804を作成する。次に、工程管理部はSCMDB113から工程情報(図4)を読み取り、製品毎、部品毎にモノの流れを構築してサプライチェーンモデル801を作成する。最後に、在庫管理部107は、SCMDB113から在庫情報805を読み取り、部品、工程、在庫量をサプライチェーンモデル801の在庫ポイント802、803に設定する。例えば、部品庫803における部品Bの在庫量を12000個と設定する(図8の太枠で表記)。
図9は本実施形態の環境情報を有した製品構成の一例を示す図である。図9では、環境情報管理手段104が、製品の環境情報を取得する原理を示している。はじめに、環境情報管理手段104は環境情報DB115から化学物質含有量(図7(a))を読み取り、サプライチェーン管理手段102が作成した、製品構成804の該当する部品の属性として登録する。これにより、環境情報903を付与した製品構成901が作成される。
図10は本実施形態の製品の環境評価を作成する作成処理例の流れを示す図である。図10は、製品評価手段103が製品の環境評価を実施する原理を示している。製品評価処理部109は、サプライチェーン管理手段102が作成した製品構成804と環境情報管理手段104が付与した環境情報903から製品の環境評価1001を実施する。製品構成の末端部品である部品E、部品C、部品Dへ付与した環境情報903から始めて製品X方向へ環境情報を足しこむ。部品Eのカドミウム含有量が0.2mgであるから部品Bのカドミウム含有量も0.2mgとなる。同様に、部品Bのカドミウム含有量が0.2mgであるから部品Aのカドミウム含有量は、部品B、部品C、部品Dのカドミウム含有量合計の0.22(0.2+0.01+0.01)mgとなる。部品Aのカドミウム含有量が0.22mgであるから製品Xのカドミウム含有量も0.22mgとなる。水銀含有量についても同様に計算した結果、製品Xのカドミウム含有量は0.22(0.2+0.01+0.01)、水銀含有量は10.06(10+0.01+0.05)となり、環境情報1002として製品Xへ付与され製品Xの環境評価が完了する。また、員数を考慮した製品の環境評価結果1003で示す様に、親部品Aに対する子部品Cの員数が2(×2と表記)であった場合は、化学物質含有量に掛け合わせる。この例の場合は、製品Xのカドミウム含有量は0.23(0.2+0.01*2+0.01)、水銀含有量は10.07(10+0.01*2+0.05)となる。
以上の環境評価手順を示したフローチャートが図18である。図18は本実施形態の各部品の環境評価結果と員数を考慮して、製品全体の環境評価を累積して算出する処理の処理手順を示すフローチャートである。図18の処理は、製品評価処理部109で行われる。末端部品を探索し(ステップ1801)、評価対象部品に設定する(ステップ1802)。次に、部品の環境情報を取得し(ステップ1803)、員数を積算して親部品の環境情報へ加算する(ステップ1804)。兄弟部品があれば(ステップ1805)、ステップ1802から繰り返す。兄弟部品がなければ親部品へ遡り親部品を検索する(ステップ1806)。親部品がなくなるまで(ステップ1807)ステップ1802からステップ1806を繰り返す(図10では探索順を{}で記載)。
図10で示す本例の場合の環境評価とは、製品Xに含まれる化学物質の量を求めることである。製品の環境評価のその他の態様として、法規制や企業規則等製品に含まれる化学物質含有量の制限値を決めておき、制限値以下であるかどうかを判定して環境評価としても良いし、製品の重量に占める割合を環境評価としても良い。
図11は本実施形態の製品の環境評価結果の一例を示す図である。図11は、製品の環境評価結果の例を示している。製品の環境評価結果(含有量)1101は、製品に含まれる化学物質の含有量を示している。製品の環境評価を実施した結果、製品Xに含まれるカドミウム、水銀の含有量がそれぞれ、0.22mg、10.06mgであったこと表す。
製品の環境評価は含有量ではなく、含有率で評価する場合もある。製品の環境評価結果(含有率)1102は、含有率で評価結果を示した場合の例である。製品の環境評価を実施した結果、製品Xに含まれるカドミウム、水銀の含有率がそれぞれ、0.001%、0.7%であったことを表す。製品の評価結果は最終的に、化学物質の含有量や含有率が法規制や企業規則の制限値以内かどうかで判定を行い、製品が出荷可能かどうかを判定する。図11の1103は製品の環境評価判定結果を示している。製品Xのカドミウム、水銀に関する化学物質含有量は、制限値以下であるので製品の環境評価結果は「OK」の判定となる。しかし、製品Yについては、カドミウムの化学物質含有率は制限値以下であるが、水銀に関する化学物質含有率は制限値を越えているので「NG」の判定となる。
この様に製品評価処理部109が評価した結果は、評価結果管理部110によってデータベースシステム116の評価結果DB114へ保管される。格納例を図12に示す。評価結果の保管内容として、製品の環境評価を実施した日付を加えても良い。図21に図10に示した製品構成情報例の表示データ例を示す。
以上本実施形態を実現するシステムの構成と製品の環境評価方法について説明した。本製品評価システムの利用者は、評価の対象となる製品を指定し評価処理を要求するか、評価結果を参照し取引先からの情報提供要求に回答することになる。
次に、利用者の業務効率向上の側面から本実施形態を実現するシステムの別の態様を説明する。一般に、製品を構成する部品数は多く、また、企業が生産・販売する製品数も多い。また、サービスパーツや補修部品といった製品構成の最上位品だけでなく中間品も販売するケースが多い。
図8のサプライチェーンモデルで言えば、製品とは製品構成の最上位品「製品X」を指し、中間品とは製品構成の最上位品以外の部品を指す。例えば、部品庫に格納された「部品B」を指す。部品Bをサービスパーツとすると、製品Xも部品Bも販売の対象品であり、取引先(お客様)から環境評価情報の提出を求められる場合がある。この場合、製品のみならず中間品の環境評価情報を保管した方が便利である。中間品の環境評価情報を保管していなければ、中間品に対する環境評価を末端部品から再度実施しなければならないため、処理に時間がかかってしまう。また、サプライチェーンの観点から言うと、販売対象品は在庫として倉庫に保管することが一般的である。
図1と図8、図13、図14を用いて、「販売対象品は在庫として倉庫に保管する」ことに着眼した本実施形態を実現するシステムの原理を説明する。その概要は、サプライチェーンの在庫管理品目に着目した製品構成を作成(第二の製品構成と呼ぶ)して評価対照部品数を削減し、処理時間を短縮することで、一定時間内に複数回の評価を実施できる様にする。また、在庫管理品目に対してのみ、部品の環境評価情報を保管することで、評価結果の格納量を削減することができ、保管エリアを節約することができる。また、評価結果の利用場面から製品構成の最上位品のみならず中間品についても、取引先への環境評価情報の提出を可能にした点を説明する。
図13は本実施形態の第一の製品構成と第二の製品構成の一例を示す図である。初めに、第二の製品構成の作成手段について説明する。サプライチェーン管理手段102の部品表管理部105が作成した製品構成804を第一の製品構成1301とする。工程管理部106が作成したサプライチェーンモデル801には、在庫管理部107が読み取った在庫情報805が在庫ポイント802、803に設定してある。
製品評価手段103の製品構成作成部108は、サプライチェーンモデル801の在庫ポイント802、803を参照して、第一の製品構成1301から第二の製品構成1302を在庫ポイントに在庫されている部品のみから作成する。製品は、在庫ポイントに在庫されていなくても、第二の製品構成に加えても良い。第一の製品構成1301から第二の製品構成1302を作成する処理フローを図19に示す。
図19は本実施形態の在庫管理ポイントと第一の製品構成から第二の製品構成を作成する処理の処理手順を示すフローチャートである。はじめに、第一の製品構成から製品を選択する(ステップ1901)。次に第一の製品構成から取得した部品が在庫ポイントに在庫されている部品かの判定を行い(ステップ1902)、在庫されている部品であれば第二の製品構成に登録する(ステップ1903)。ステップ1902で判定を行った部品について、第一の製品構成から子部品を取得し(ステップ1905)、在庫ポイントに格納されている部品かの判定を行い(ステップ1906)、そうであれば第二の構成に登録(ステップ1907)し、ステップ1905で取得した子部品に対して子部品が存在するかどうかを判定し(ステップ1908)、存在する場合はステップ1904からの処理を繰り返し行う。存在しない場合は次の兄弟部品に関して、ステップ1904からステップ1909のループ処理を繰り返す。ループ処理を抜けたところで処理の終了となる。
図14は本実施形態の環境情報を有した第二の製品構成情報の作成処理例の流れを示す図である。図10の製品の環境評価例で説明した様に、第二の製品構成作成にあたっては、環境情報管理手段104が付与した環境情報を足しこんでおく。第一の製品構成1301について製品の環境評価1401を実施する。部品Eの環境情報1403は親部品である部品Bの環境情報に足しこむ。全ての在庫ポイントに在庫された部品(太枠で表記)に環境情報を付与するまで評価を繰り返す。
その結果、製品の環境評価1402で示す様に製品Xと在庫ポイントに在庫された部品B、部品C、部品Dについてのみからなる環境情報を付与した第二の製品構成を得る。この結果を図15に示す通り評価結果DB114へ保管する。
図15は本実施形態の製品の環境評価結果の一例を示す図である。製品の環境評価結果1501は製品のみならず中間品である部品の環境情報も保管した状態である。この様に、「販売対象品は在庫として倉庫に保管する」ことに着眼すると環境評価結果を在庫ポイントに在庫された部品だけに削減することができ評価結果の格納量を削減することができる。取引先へ環境評価情報を提出する際にも取り出し処理時間を短縮することができる。
次に、第二の製品構成を作成することによる更なる効果を図16、図17、図20を用いて説明する。
図16は本実施形態の第一の製品構成に対して設計変更を行った場合の一例を示す図である。図16では、例えば性能向上やコスト削減・環境負荷軽減を理由に部品を交換する設計変更の一例を表しており、環境負荷軽減を例に説明する。設計者が、評価したい製品Xを指定すると、製品Xの製品構成が作成される。ここでは部品Eを部品Gに交換する。
図17は本実施形態の設計変更が生じた際の変更通知の一例を示す図である。図17では、設計変更が生じた際に、第二の製品構成情報が有する環境情報に変更を通知する一例を表している。
図20は本実施形態の環境情報を有した第二の製品構成情報を作成する処理の処理手順を示すフローチャートである。図20では、図16の第一の製品構成例から図17の環境情報を持った第二の構成情報を作成するフローチャートを表している。
図20の処理は、製品評価処理部109で行われる。サプライチェーン管理手段102が、部品Eを部品Gに交換という設計変更要求を受け付けると(ステップ2001)、部品Gに関する環境情報の取得を環境情報管理手段104に依頼する(ステップ2002)。次に、環境情報管理手段104が環境情報DB115から部品Gに関する環境情報1605を取得する(ステップ2003)。そして、部品Eを部品Gに交換した製品構成1601を作成する(ステップ2004)。製品評価手段103は、部品Gの環境情報を部品Bの環境情報に足しこみ、部品Bの環境情報1604を作成する(ステップ2005)。
次に図17に示す第二の製品構成1701を作成し(ステップ2006)、製品の環境評価を実施して評価結果を得る(ステップ2007)。製品Xの環境情報を作成する際は、既に作成済みの部品C、部品Dの環境情報と交換部品の環境情報1702を足しこむだけで良い(部品Aの環境情報作成は不要である。)
この様に、設計変更発生時は、設計変更の影響を受ける部分構成1607だけの環境情報を作成し、再評価するだけで良い。この結果、水銀含有量が10.06mgから0.06mgに削減された評価結果を得ることができる。
この様に、設計変更発生時は、設計変更の影響を受ける部分構成1607だけの環境情報を作成し、再評価するだけで良い。この結果、水銀含有量が10.06mgから0.06mgに削減された評価結果を得ることができる。
以上、本実施形態によれば、第二の製品構成によって評価対象のデータ量を削減し、評価効率を上げる効果がある。また評価処理時間の短縮や評価結果管理や確認工数等の間接業務時間の削減も実現できる。更に、設計変更が生じた時点で製品の評価情報を取得できるので、全体の設計が終了する前に問題部品の摘出/排除が可能となり、手戻り防止の効果がある。また、第二の製品構成が、企業間の取引の発生する部品で構成されているため、取引先への環境情報提供を容易にする効果がある。
次に、製品の環境評価情報をタイムリーにサプライチェーンへ反映することの利点を説明する。近年、顧客の多様なニーズに対応する為に、生産方式を従来の見込み生産から受注生産へ切り替え、更に顧客の希望する仕様に応じて特注製品を生産・販売する注文仕様生産への移行が増えている。例えばパソコンの生産においては、CPUは勿論、OS・メモリ・周辺機器等、ユニットの数万通りの組み合わせから、目的に合った仕様を選択することができる。自動車の生産においても、車種や色、オプションの組み合わせを販売店で決定してから生産を行うことによって、顧客満足度を向上しつつ、注文から納期までのリードタイム短縮や在庫リスクの軽減を図る試みが開始されている。受注生産や注文仕様生産におけるサプライチェーン管理方式や生産・調達方式については、一般に多く報告されているので、ここでの説明は省略する。
そこで、まず図22及び図23を用いて生産計画の状況に応じた環境評価の必要性を説明する。図22は本実施形態の生産拠点や生産工程、生産品目等から構成される某工場の生産計画の一例を示す図である。例えば、製造番号#00003の生産計画は、「製品Xを2005/03/12に500台、拠点2の製品組立工程で生産する計画」である。そして、見込みの生産計画であり顧客からの注文はない。製造番号#00002の生産計画は、顧客Bから既に受注している生産計画であり、製造番号#00001の生産計画は、生産を完了しており顧客Aへ既に出荷していることを示している。この様子を図23に示す。
図23は本実施形態の生産計画に応じた製品組立と部品組立の関連を示す図である。製品組立工程には、製品Xの生産計画2301〜2303があり、それぞれ500台を記載の完成予定日に完成する。図23の矢印線で示しているのは製品Xを構成する構成部品である。
例えば、2005/02/21の生産計画2302は、部品Eを構成部品に持つ。今日2005/02/25時点の製品Xの水銀含有量が10.06mg(生産計画2302で生産される製品Xの水銀含有量)であっても、生産計画2303で生産される製品Xの水銀含有量は0mgとなり得る。これは、生産計画2302の生産着手から生産計画2303の生産着手までの間で設計変更が発生し、製品Xの構成部品Eが部品Gへ交換されたからである。前述の通り、本実施形態によれば設計変更が生じた時点で製品の評価情報を取得できサプライチェーンへ反映できるので、この様な外部からの変動要因に対して柔軟に対応することができる。
更に、本実施形態によれば、製品の設計段階では評価しきれない注文仕様生産のケースにも対応できる。図24は本実施形態の注文仕様生産の一例を示す図である。図24に示す様に、注文仕様生産ではユニット品のレベルで一旦生産を完了する。そして顧客仕様の注文を受けた段階でユニット品を組立て、製品を出荷する。この生産形態では、設計段階で環境評価できるのはユニット品までであり、注文受付時に製品を評価する必要がある。注文仕様生産2401ではユニットA、ユニットB、ユニットCを組立てて製品Xを生産し出荷する。ユニット品の環境情報は図24に示す通りであり、製品Xのカドミウム含有量(環境情報)は0.5mgとなる。一方、注文仕様生産2402ではユニットD、ユニットB、ユニットCを組立て、製品Yを生産し出荷する。この場合は、製品Yのカドミウム含有量(環境情報)は0.3mgとなる。
この様に、注文仕様生産においては注文時に製品の環境評価を実施しサプライチェーンへ反映する必要があるが、注文仕様生産に対応するサプライチェーンシステムでは、一般に製品の注文を受け付けると注文に応じた製品構成を作成することができる。従って本実施形態による製品環境評価システムを用いれば、ここで作成した製品構成に対して環境評価を実施することができる。
以上本実施形態によれば、需要変動や調達変動に即応した製品の環境評価を実施でき、設計・調達・生産・出荷のいずれの段階においても、正確かつ鮮度の高い環境評価情報を得ることができる。
本実施形態によれば、製品の環境評価情報をタイムリーにサプライチェーンへ反映することができるため、需要変動や調達変動に即応した製品の環境評価を実施でき、設計・調達・生産・出荷のいずれの段階においても、正確かつ鮮度の高い環境評価情報を得ることができる。更に、本実施形態によれば、第二の製品構成によって評価対象のデータ量を削減し、評価効率を上げる効果がある。データ量を削減することにより、評価処理時間の短縮や評価結果管理や確認工数等の間接業務時間の削減も実現できる。
更に、設計変更が発生した時点で製品の評価情報を取得できるので、全体の設計が終了する前に問題部品の摘出/排除が可能となり、手戻り防止の効果がある。また、第二の製品構成が、企業間の取引の発生する部品で構成されているため、取引先への環境情報提供を容易にする効果がある。
101…製品環境評価システム、102…サプライチェーン管理手段、103…製品評価手段、104…環境情報管理手段、105…部品表管理部、106…工程管理部、107…在庫管理部、108…製品構成作成部、109…製品評価処理部、110…評価結果管理部、111…材料情報管理部、112…化学物質管理部、113…SCMDB、114…評価結果DB、115…環境情報DB、116…データベースシステム、117…ネットワーク、801…サプライチェーンモデル、802及び803…在庫ポイント、804…製品構成、805…在庫情報、901…製品構成、902…化学物質含有量、903…環境情報、1001…製品の環境評価、1002…環境情報、1003…員数を考慮した製品の環境評価、1101…製品の環境評価結果(含有量)、1102…製品の環境評価結果(含有率)、1103…製品の環境評価判定結果、1201…製品の環境評価判定結果、1301…第一の製品構成、1302…第二の製品構成、1401…製品の環境評価、1402…製品の環境評価、1403…環境情報、1501…製品の環境評価結果、1601…第一の製品構成、1602…環境情報、1604…環境情報、1605…環境情報、1607…部分構成、1701…第二の製品構成、1702…環境情報、1703…環境情報、2301〜2303…生産計画、2304及び2305…生産計画、2401及び2402…注文仕様生産。
Claims (5)
- 製品の環境評価を行う環境評価システムにおける環境評価方法において、
製品の販売、製造、部品の調達に至るサプライチェーンにおける製品構成情報、工程情報及び在庫情報を記憶装置へ格納し、前記在庫情報を記憶装置から読み出してその読み出した在庫情報に示される在庫管理品目の環境情報を記憶装置へ格納し、前記記憶装置に格納した製品構成情報及び工程情報を読み出してその読み出した製品構成情報及び工程情報に従って前記在庫管理品目の環境情報を記憶装置から読み出してサプライチェーンにおける製品の環境評価処理を実行することを特徴とする環境評価方法。 - 在庫管理品目から構成される製品構成における環境評価結果を記憶装置に格納しておき、製品を構成する部品の設計変更を受け付けた場合に、前記記憶装置へ格納した環境評価結果を読み出してその読み出した環境評価結果に対して前記設計変更における変更部品の環境情報による評価を加えて設計変更後の環境評価結果とすることを特徴とする請求項1に記載された環境評価方法。
- 前記環境情報は、製品に含まれる化学物質や使用済みになった製品のリサイクル性、製品のライフサイクルを通じた二酸化炭素排出量や資源の枯渇に関する情報を示すことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載された環境評価方法。
- 製品の環境評価を行う環境評価システムにおいて、
製品の販売、製造、部品の調達に至るサプライチェーンにおける製品構成情報、工程情報及び在庫情報を記憶装置へ格納するサプライチェーン管理手段と、前記在庫情報を記憶装置から読み出してその読み出した在庫情報に示される在庫管理品目の環境情報を記憶装置へ格納する環境情報管理手段と、前記記憶装置に格納した製品構成情報及び工程情報を読み出してその読み出した製品構成情報及び工程情報に従って前記在庫管理品目の環境情報を記憶装置から読み出してサプライチェーンにおける製品の環境評価処理を実行する製品評価手段とを備えることを特徴とする環境評価システム。 - 製品の環境評価を行う環境評価システムにおける環境評価方法をコンピュータに実行させる為のプログラムにおいて、
製品の販売、製造、部品の調達に至るサプライチェーンにおける製品構成情報、工程情報及び在庫情報を記憶装置へ格納し、前記在庫情報を記憶装置から読み出してその読み出した在庫情報に示される在庫管理品目の環境情報を記憶装置へ格納し、前記記憶装置に格納した製品構成情報及び工程情報を読み出してその読み出した製品構成情報及び工程情報に従って前記在庫管理品目の環境情報を記憶装置から読み出してサプライチェーンにおける製品の環境評価処理を実行する環境評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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-
2006
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