JP2008138130A - 光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法、及び光硬化型粘着テープ又はシート - Google Patents

光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法、及び光硬化型粘着テープ又はシート Download PDF

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Abstract

【課題】 光硬化型粘着剤層が多種多様の粘着付与樹脂を含有できる光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法は、光重合性粘着剤組成物層を光硬化することにより光硬化型粘着剤層を形成して光硬化型粘着テープ又はシートを製造する方法であって、粘着付与樹脂を含有する支持体層と前記粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを接触させ、支持体層中の粘着付与樹脂を光硬化型粘着剤層へ移行させて、前記粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を形成する工程を含むことを特徴とする。また、粘着付与樹脂を含有する支持体層と前記粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを接触させた後、さらに高温下で保存する工程を含むことが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法、及び該製造方法により製造される光硬化型粘着テープ又はシートに関する。
一般に、アクリル系の感圧性接着剤(粘着剤)は、(メタ)アクリル酸エステルを単量体主成分とした単量体混合物を溶液重合することにより調製されてきたが、有機溶剤の安全性や環境衛生上の制約から、最近では、エマルション重合や光重合が多く用いられつつある。中でも、エマルション重合で調製された感圧性接着剤は、溶液重合で調製された感圧性接着剤と比較して、同等以上の性能を発現できないことが問題となっている。また、光重合で調製された感圧性接着剤は、溶液重合で調製された感圧性接着剤と比較して、同等以上の性能を発現できる点で、有利である。
近年、多種多様な塗装鋼板、凹凸の多い表面を持つもの、ポリオレフィン板といった、これまで粘着テープ又はシート(以下、「テープ又はシート」を、単に「テープ」あるいは「シート」と称する場合がある)が接着し難い接着体に対して、強接着、高保持力を有する粘着剤に対する要求が高まっている。このような要求に対して、従来、アクリル系単量体を熱重合することにより調製される粘着剤では、その粘着力を高めるために、粘着付与樹脂を添加することが知られている。
しかしながら、アクリル系単量体を単量体主成分とする粘着剤組成物に光照射して重合させることにより感圧性接着剤(粘着剤)を調製する方法(光重合法)において、該組成物に粘着付与剤が添加されていると、粘着付与剤の重合阻害効果により、重合が完全に起こらず単量体成分が最終組成物である粘着剤に残存し粘着特性を悪化させたり、又は重合を完結させるためには極めて長い時間光を照射しなければならず、生産性を悪化させるという問題があった。
このような問題を解決するために、この種の感圧性接着剤に配合される粘着付与剤としては、光重合の阻害作用ができるだけ低いものを選択使用するという観点から、例えば脂肪族ポリマー樹脂(特許文献1参照)、水素化ロジンエステル系粘着付与剤(特許文献2参照)、フェノール変性ロジン系粘着付与剤(特許文献3参照)、脂環族飽和炭化水素樹脂(特許文献4参照)を、それぞれ用いることが提案されている。
特開平1−66280号公報 特開平2−18485号公報 特開平4−320471号公報 特開平7−33832号公報
しかし、最近では、被着体が多様化し、今まで以上に多種多様の被着体への接着性が重要となっている。この点で、光重合(光硬化)により調製される粘着剤において、上述の粘着付与剤を用いたとしても、光重合を用いて調製する際の重合阻害を抑制するという点で確かに効果がみられるが、ポリプロピレンなどの非極性の被着体からステンレス鋼のような極性の被着体までの良好な接着性(粘着特性)には未だ十分に対応できず、必ずしも満足できるものではない。このため、粘着特性を満足させるためには、光重合反応を阻害する粘着付与樹脂(「光重合阻害性粘着付与樹脂」と称する場合がある)を含む、溶液重合で用いられている多種多様の粘着付与樹脂が使用できることが望まれている。
従って、本発明の目的は、光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法において、光硬化型粘着剤層が多種多様の粘着付与樹脂を含有できる光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、また、光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法において、光硬化型粘着剤層が光重合阻害性粘着付与樹脂を含有できる光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する粘着テープ又はシートを提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、粘着付与樹脂を含有する支持体層と、少なくとも支持体層に含まれる粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを、接触させると、支持体層中の粘着付与樹脂が光硬化型粘着剤層に移行することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、光重合性粘着剤組成物層を光硬化することにより光硬化型粘着剤層を形成して光硬化型粘着テープ又はシートを製造する方法であって、粘着付与樹脂を含有する支持体層と前記粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを接触させ、支持体層中の粘着付与樹脂を光硬化型粘着剤層へ移行させて、前記粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を形成する工程を含むことを特徴とする光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法を提供する。
前記製造方法は、粘着付与樹脂を含有する支持体層と前記粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを接触させた後、さらに高温下で保存する工程を含むことが好ましい。
光硬化型粘着剤層を形成する光重合性粘着剤組成物は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜100重量%、極性基含有モノマー0〜30重量%の組成を有するモノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して光重合開始剤を0.001〜5重量部含有する光重合性組成物であることがことが好ましい。
光硬化型粘着剤層と、支持体層が含有する粘着付与樹脂との組み合わせは、光硬化型粘着剤層のベースポリマーを構成する主モノマー成分、共重合性モノマーとしての極性基含有モノマー、光重合開始剤の総量100重量部から構成される光重合性組成物により形成される光硬化層に対して、支持体層が含有する粘着付与樹脂を20重量部配合したときのヘイズ値が15%以下となる組み合わせであることが好ましい。
粘着付与樹脂を含有する支持体層は、粘着付与樹脂を含有する粘着剤組成物で構成されていることが好ましい。
粘着付与樹脂は、光重合阻害性粘着付与樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明は、前記光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法を用いて製造された光硬化型粘着テープ又はシートを提供する。
さらに、本発明は、光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着テープ又はシートを提供する。
前記光硬化型粘着テープ又はシートにおいて、光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜100重量%、極性基含有モノマー0〜30重量%のモノマー組成を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して、光重合開始剤を0.001〜5重量部、光重合阻害性粘着付与樹脂を1〜50重量部を含有することが好ましい。
なお、本明細書では、光硬化型粘着剤層は、光重合性粘着剤組成物の活性エネルギー光線による硬化(光重合)によって形成される粘着剤層のことを意味している。
本発明の粘着テープ又はシートの製造方法によれば、前記構成を有しているので、光硬化型粘着剤層に多種多様の粘着付与樹脂を含有させることができ、粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着テープ又はシートを得ることができる。特に、本発明の粘着テープ又はシートの製造方法によれば、光硬化型粘着剤層に光重合阻害性粘着付与樹脂を含有させることができ、光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着テープ又はシートを得ることができる。
本発明の光硬化型粘着シートの製造方法は、支持体層中に含まれる粘着付与樹脂を、少なくとも含有する光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着シートを製造する方法であり、該製造方法を用いて作製される光硬化型粘着シートは、様々な被着体(例えば、ポリプロピレンなどの非極性の被着体、ステンレス鋼のような極性の被着体など)に対して良好な粘着特性を発揮する光硬化型粘着剤層を有する。
また、本発明の光硬化型粘着シートの製造方法では、粘着付与樹脂を含有する層である支持体層と、支持体層中に含まれる粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを、接触させることにより、経時で粘着付与樹脂が光硬化型粘着剤層に移行する現象が生じ、さらに、支持体層と光硬化型粘着剤層との積層構造が得られる。
支持体層と光硬化型粘着剤層との積層構造の形成する方法は、例えば、形成された支持体層と形成された光硬化型粘着剤層とを貼り合わせること;形成された支持体層上に、光硬化型粘着剤層を形成する光重合性粘着剤組成物の層を設けて、活性エネルギー光線を照射して光硬化型粘着剤層を形成させること;形成された光硬化型粘着剤層上に、支持体層を形成する組成物(「支持体層組成物」と称する場合がある)の層を設けて、必要に応じて、乾燥・硬化(例えば、熱による硬化や活性エネルギー光線による硬化など)をして支持体層を形成させることなどが挙げられる。
光硬化型粘着シートにおける粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層は、少なくとも、支持体層が含有する粘着付与樹脂を含有する。これは、支持体層が含有する粘着付与樹脂が、支持体層と光硬化型粘着剤層との接触により、支持体層から光硬化型粘着剤層へ移行するためである。なお、粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層は、支持体層が含有する粘着付与樹脂のみを含有してもよいし、支持体層が含有する粘着付与樹脂に加え、さらに他の粘着付与樹脂を含有していてもよい。
(光硬化型粘着剤層)
光硬化型粘着剤層は、光重合性粘着剤組成物を、活性エネルギー光線を用いて光硬化(光重合)させることにより、形成される粘着剤層である。また、本発明の製造方法を用いて作製される粘着シートにおいて、光硬化型粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有する支持体層と光硬化型粘着剤層との接触により粘着付与樹脂が経時で支持体層から光硬化型粘着剤層に移行するため、少なくとも支持体層に含まれる粘着付与樹脂を含有する。なお、光重合性粘着剤組成物に含まれるモノマー成分の組成は、支持体層組成物に含まれるモノマー成分の組成と同じであってもよい。
光硬化型粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されず、公知の感圧性接着剤(粘着剤)(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤など)から適宜選択することができる。粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、光硬化型粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤は、通常、ベースポリマーとして、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするアクリル系ポリマーを含有している。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを好適に用いることができる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2-10アルキルエステル]などが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
このような(メタ)アクリル酸エステルは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル系ポリマーのモノマー主成分として用いられているので、(メタ)アクリル酸エステル[特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル]の割合は、例えば、アクリル系ポリマーを調製するためのモノマー成分全量に対して60重量%以上(好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80%以上)であることが重要である。
前記アクリル系ポリマーでは、モノマー成分として、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種の共重合性モノマーが用いられていてもよい。モノマー成分として共重合性モノマーを用いることにより、例えば、接着力を向上させたり、粘着剤の凝集力を高めたりすることができる。なお、共重合性モノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有モノマー;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその無水物が好適である。
極性基含有モノマーの使用量としては、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して30重量%以下(例えば、1〜30重量%)であり、好ましくは3〜20重量%である。極性基含有モノマーの使用量が、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して30重量%を超えると、例えば、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、粘着剤の感圧接着性が低下するおそれがある。なお、極性基含有モノマーの使用量が少なすぎると(例えば、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して1重量%未満であると)、例えば、アクリル系粘着剤の凝集力が低下し、高いせん断力が得られないおそれがある。
前記多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能性モノマーの使用量としては、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して2重量%以下(例えば、0.01〜2重量%)であり、好ましくは0.02〜1重量%である。多官能性モノマーの使用量が、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して2重量%を超えると、例えば、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、感圧接着性が低下するおそれがある。なお、多官能性モノマーの使用量が少なすぎると(例えば、アクリル系粘着剤を調製するためのモノマー成分全量に対して0.01重量%未満であると)、例えば、アクリル系粘着剤の凝集力が低下する。
また、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、光硬化型粘着剤層におけるベースポリマー(特に、アクリル系ポリマー)の調製に際して、光重合開始剤を用いた活性エネルギー光線による硬化反応(光重合反応)が利用される。すなわち、光硬化型粘着剤層を形成する光重合性粘着剤組成物には、光重合開始剤が含まれている。従って、光硬化型粘着剤層は、光重合性粘着剤組成物を活性エネルギー光線を用いて硬化することにより形成される。なお、光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記光重合開始剤としては、特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。また、ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、光重合性粘着剤組成物に含まれる全モノマー成分[特に、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするアクリル系ポリマーを形成するための全モノマー成分]100重量部に対して0.001〜5重量部(好ましくは0.01〜3重量部)の範囲から選択することができる。
光重合開始剤の活性化に際しては、活性エネルギー光線を光重合性粘着剤組成物に照射することが重要である。このような活性エネルギー光線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。また、活性エネルギー光線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
光重合性粘着剤組成物には、必要に応じて適宜な範囲内(例えば、光重合反応を阻害しない範囲内など)で、添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴムなどの増粘剤;コロイドシリカ、ポリビニルピロリドンなどのチキソトロープ剤;炭酸カルシウム、酸化チタン、クレーなどの増量剤;無機中空体(例えば、ガラスバルーン、アルミナバルーン、セラミックバルーンなど)、有機中空体(例えば、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなど)、有機球状体(例えば、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコーンビーズなど)、単繊維(例えば、ポリエステル、レーヨン、ナイロン等の単繊維)、微粉末(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の微粉末)などの充填剤;可塑剤;老化防止剤;酸化防止剤;顔料や染料などの着色剤;ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)などの架橋剤;粘着付与剤などが挙げられる。
なお、本発明では、光硬化型粘着剤層を形成する際、塗工を容易にする観点から、形成に用いる光重合性粘着剤組成物の粘度を高くすることが好ましい。粘度としては、粘度計としてBH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃の条件で測定された粘度として、5〜50Pa・s(好ましくは10〜40Pa・s)であることが望ましい。粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、30℃)が、5Pa・s未満であると、粘度が低すぎるため、適宜な基材や支持体層などの支持体等に光重合性粘着剤組成物を塗布すると、光重合性粘着剤組成物が流動し、光硬化型粘着剤層の形成が困難となる場合があり、一方、50Pa・sを超えていると、粘度が高すぎて、適宜な基材や支持体層などの支持体等への塗布が困難となる場合がある。
つまり、光重合性粘着剤組成物は、粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、30℃)が上述の範囲内でない場合、上述の範囲内に調整されることが好ましい。粘度を調整する方法としては、特に制限されないが、例えば、粘度を調整する前の光重合性粘着剤組成物(「光重合性粘着剤組成物前駆体」と称する場合がある)に、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマー成分等を配合する方法、粘着剤におけるベースポリマーを形成するためのモノマー成分[例えば、アクリル系ポリマーを形成させるための(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分など]を一部重合させる方法などが挙げられる。具体的には、例えば、粘着剤におけるベースポリマーを形成するためのモノマー成分[例えば、アクリル系ポリマーを形成させるための(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分など]と、重合開始剤(例えば、光重合開始剤など)とを混合してモノマー混合物を調製し、該モノマー混合物に対して重合開始剤の種類に応じた重合反応を行って、一部のモノマー成分のみが重合した組成物(シロップ)を調製することが挙げられる。
なお、前記より、光重合性粘着剤組成物には、必要に応じて適宜な範囲内で、添加剤が添加されていてもよいが、添加剤を添加する時期は、特に制限されず、例えば、粘度を調整する前にすでに添加されていてもよいし、粘度を調整した後(例えば、シロップ調製後)に添加されてもよい。
さらに、光硬化型粘着剤層は、気泡を含有していてもよいが、気泡を含有する場合、気泡を安定的に混合して存在させるために、気泡を、光重合性粘着剤組成物中に配合する最後の成分として配合して混合させることが好ましく、特に、光重合性粘着剤組成物の粘度を高くすることが好ましい[例えば、粘度(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、30℃):5〜50Pa・s(好ましくは10〜40Pa・s)]。
光硬化型粘着剤層は、光重合性粘着剤組成物を用いて、従来公知の方法(例えば、光重合性粘着剤組成物を、所定の面上に塗布し、必要に応じて乾燥や硬化等を行うこと)により、形成される。
光硬化型粘着剤層の厚みとしては、特に制限されず、良好な接着強度を確保する点から、例えば、2〜5000μm(好ましくは5〜3000μm、さらに好ましくは10〜2000μm)の範囲から選択することができる。なお、光硬化型粘着剤層は、単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。
なお、光硬化型粘着剤層は、支持体層に含まれる粘着付与樹脂が移行することにより、厚みに変化が生じてもよい。
(支持体層)
支持体層は、光硬化型粘着シートにおいて、光硬化型粘着剤層と接触する層であり、さらに、光硬化型粘着剤層へ移行する粘着付与樹脂を含有する層である。このような支持体層としては、粘着付与樹脂を含有している層である限り特に制限されず、例えば、粘着付与樹脂を含有する各種基材による層や、粘着付与樹脂含有する支持体層組成物により形成される層(「支持体ポリマー層」と称する場合がある)などが挙げられる。
粘着付与樹脂を含有する各種基材における各種基材としては、例えば、ポリオレフィン系基材(ポリエチレン系基材、ポリプロピレン系基材等)、ポリエステル系基材(ポリエチレンテレフタレート系基材、ポリエチレンナフタレート系基材、ポリブチレンテレフタレート系基材等)、ポリアミド系基材(いわゆる「ナイロン」系基材)、セルロース系基材(いわゆる「セロハン」系基材)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどのプラスチック系基材;和紙、洋紙、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、クルパック紙、クレープ紙、クレーコート紙、トップコート紙、合成紙、プラスチックラミネート紙、プラスチックコート紙などの紙系基材;各種繊維素材が用いられている織布、不織布などの繊維系基材などが挙げられる。
粘着付与樹脂を含有する各種基材において、粘着付与樹脂を含有させる形態としては、特に制限されず、例えば、各種基材を形成する組成物に粘着付与樹脂を含有させる形態、各種基材に粘着付与樹脂を含浸させる形態などが挙げられる。
支持体ポリマー層は、少なくともポリマー及び粘着付与樹脂を含んでいる。このようなポリマーとしては、特に制限されないが、各種粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤など)におけるベースポリマーが好ましく用いられる。中でも、アクリル系粘着剤におけるベースポリマーがより好適に用いられる。また、支持体ポリマー層におけるポリマーは、このようなベースポリマーを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、支持体ポリマー層におけるポリマーとして、前記光硬化型粘着剤層におけるベースポリマーが用いられていてもよい。
ゆえに、支持体層としての支持体ポリマー層を形成する支持体層組成物は、前記各種粘着剤のベースポリマーを構成するモノマー成分及び粘着付与樹脂を含有する粘着剤組成物であってもよく、また、前記光硬化型粘着剤層におけるベースポリマーを構成するモノマー成分及び粘着付与樹脂を含有する粘着剤組成物であってもよい。
粘着付与樹脂(タッキファイヤー;粘着付与剤)としては、特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。具体的には、ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの原料ロジン類の他、これらに対応するロジン誘導体が挙げられる。ロジンフェノール系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油などのロジンとフェノールとを共重合したロジンフェノール樹脂の他、これらに対応するロジンフェノール系樹脂をエステル化、水素添加、不均化、二量化したロジンフェノール樹脂などが挙げられる。テルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン、β―ピネンなどのテルペンを重合したテルペン樹脂などが挙げられる。石油樹脂としては、例えば、脂肪族炭化水素系石油樹脂、例えば、芳香族炭化水素系石油樹脂、例えば、ノルボルネン樹脂などの脂環式炭化水素系石油樹脂などが挙げられる。フェノール系樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾールなどのフェノール類と、アルデヒドとを重縮合したフェノール樹脂などが挙げられる。ケトン系樹脂としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトンと、ホルムアルデヒドとを重縮合したケトン樹脂などが挙げられる。アミド系樹脂としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−もしくは1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−もしくはp−キシリレンジアミンなどのジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸とを重縮合したポリアミド、例えば、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカンカルボン酸などのアミノカルボン酸が重縮合したポリアミド、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムが重縮合したポリアミドなどが挙げられる。エポキシ系樹脂としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリコールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。なお、粘着付与樹脂は、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
支持体層中の粘着付与樹脂の含有量は、特に制限されず、例えば、支持体層が支持体ポリマー層である場合、支持体ポリマー層を構成する全モノマー成分100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜60重量部である。なお、支持体層に含有される粘着付与樹脂は、支持体層において均一に存在していてもよいし、偏在していてもよい。また、支持体層のヘイズについても、特に制限されない。
また、光重合阻害性粘着付与樹脂とは、粘着付与樹脂を含む光重合性粘着剤組成物に活性エネルギー光線を照射することにより光重合(光硬化)させようとする場合に光重合を阻害する作用をする粘着付与樹脂のことをいう。なお、光重合阻害性粘着付与樹脂は、光重合阻害性粘着付与樹脂を含む光重合性の組成物において、光重合を阻害する作用をするため、通常、光重合阻害性粘着付与樹脂を含む光重合性粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射し光重合させることによって、光重合阻害性粘着付与樹脂を含む光硬化型粘着剤層を得ることは難しい。
このような光重合阻害性粘着付与樹脂としては、例えば、上記粘着付与樹脂のうち、下記で規定する重合率が95%以下となる粘着付与樹脂が挙げられる。
重合率は、アクリル系モノマー[組成:2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/アクリル酸(AA)=95/5]:90重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製):0.1重量部、粘着付与樹脂:10重量部からなるモノマー混合物の重量[M0]、及び、前記モノマー混合物をセパレーター(剥離ライナー)で被覆した状態で、ブラックライト(照度:2.5mW/cm2)を用いて5分間紫外線を照射し、光重合させることにより得られる光硬化層(厚さ:50μm)を、空気にさらして120℃で2時間乾燥させた後の重量[M1]から、下記式を用いて求められる。
重合率(%)=M1/M0×100
なお、前記光硬化層は、例えば、窒素置換後空気が遮断できる紫外線透過性容器(例えば石英製容器など)内において、前記モノマー混合物を塗布しモノマー混合物層を形成させ、窒素置換後、ブラックライトを用いる紫外線の照射(照度:2.5mW/cm2、照射時間:5分)によって得ることができる。
支持体層組成物には、その他のモノマー成分としての、極性基含有モノマーや多官能性モノマーなどの各種共重合性モノマーが含まれていてもよい。また、重合開始剤(例えば、アゾ系、過酸化物系、レドックス系などの各種熱重合開始剤、ケタール系、α−ヒドロキシケトン系、α−アミノケトン系、アシルホスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、芳香族スルホニルクロリド系、光活性オキシム系、ベンゾイン系、ベンジル系などの各種光重合開始剤など);架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など);可塑剤;充填剤(例えば、金属粒子やその金属酸化物粒子、窒化物粒子、セラミック粒子、天然原料粒子、ポリマー粒子、中空や中実の微小球状体など);老化防止剤;着色剤(顔料や染料など)などの適宜な添加剤が含まれていてもよい。
また、支持体層には、気泡が含有されていてもよい。支持体層に気泡を含有することで、クッション性や密着性が向上するという利点がある。
なお、支持体層は、その表面において、粘着特性を発現していてもよいし、粘着特性を発現していなくてもよい。
支持体ポリマー層は、支持体層組成物を従来公知の重合方法(例えば溶液重合や乳化重合、塊状重合、熱重合など)を用いて重合させることにより調製されるが、有機溶媒を使用しないという観点から、乳化重合を用いることが好ましい。
支持体ポリマー層は、支持体層組成物を、活性エネルギー光線(特に、紫外線)による光重合を用いて重合させることにより調製されてもよい。ただし、かかる方法で調製する場合、粘着付与樹脂の存在により、支持体層組成物における光重合反応が阻害されることがある。特に、このような阻害は、粘着付与樹脂として光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する場合に起きやすい。しかしながら、理由は必ずしも明らかではないが、このような阻害が生じても表面物性に影響することはないので、通常より多くの重合開始剤を含有させて重合率を増大させることにより支持体ポリマー層を得ることができる。
例えば、支持体層組成物を光重合させることにより支持体ポリマー層を得ようとする場合において、上述のように、粘着付与樹脂の存在によって光重合反応が阻害され支持体層組成物が十分に重合しないということが生じても、通常なら粘着特性の発現が困難となる大量の重合開始剤(特に光重合開始剤)をあらかじめ支持体層組成物に含有させて重合率を増大させる手法を採れば、粘着付与樹脂を含有する支持体ポリマー層を得ることができる。
支持体層の厚みとしては、特に制限されず、例えば、5〜5000μm(好ましくは10〜3000μm、さらに好ましくは30〜2000μm)の範囲から選択することができる。支持体層の厚みが5μmより小さいと、充分な量の粘着付与樹脂が粘着剤層へ供給できず、粘着剤層が支持体層中の粘着付与樹脂を含有することにより奏する効果を得にくく、一方、5000μmより大きいと粘着剤層への粘着付与樹脂の供給を制御し難い場合がある。なお、支持体層は、単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。なお、支持体に含まれる粘着付与樹脂が移行することにより、厚みは、変化する場合がある。
(剥離ライナー)
剥離ライナー(セパレータ)は、光硬化型粘着シート作製の際に用いられたり、また、作製後使用されるまでの間における粘着面等の保護材として用いられる。なお、光硬化型粘着シート作製の際、剥離ライナーは必ずしも用いられなくてもよいが、光重合反応は空気中の酸素等により反応が阻害されるため、剥離ライナーで表面を被覆し酸素との接触を防止するために、用いられいることが好ましい。なお、光硬化型粘着シートを利用する際には、通常、剥離ライナーは、剥がされる。
このような剥離ライナーとしては、酸素を遮断し、且つ光透過性を有する限り特に制限されないが、例えば剥離処理剤(離型処理剤)により少なくとも一方の面が剥離処理(離型処理)された基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などが挙げられる。なお、低接着性基材では、両面を剥離面として利用することができ、一方、剥離処理された基材では、剥離処理された面を剥離面として利用することができる。
剥離ライナーとして用いられる、少なくとも一方の面が剥離処理(離型処理)された基材において、基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のオレフィン系樹脂フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;ポリイミドフィルム;ナイロンフィルムなどのポリアミドフィルム;レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)が挙げられる。また、紙製基材(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など紙類から構成される基材)が用いられていてもよい。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムが好適に用いられる。
剥離処理剤(離型処理剤)としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。剥離ライナーは、例えば、公知慣用の方法により作製される。
剥離ライナーの厚さは、酸素を遮断し、且つ光透過性を有する限り、特に制限されない。また、剥離ライナーは、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
(光硬化型粘着テープ又はシート)
光硬化型粘着シートは、支持体層と光硬化型粘着剤層とが接触しており、少なくとも支持体層に含まれる粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する粘着シートである。光硬化型粘着剤層は、支持体層と接触して、支持体層に含まれる粘着付与樹脂が経時で光硬化型粘着剤層に移行することによって、支持体層に含まれる粘着付与樹脂を含有するようになる。
光硬化型粘着シートは、両面が粘着面(接着面)となっている両面粘着シートの形態を有していてもよく、片面のみが粘着面となっている片面粘着シートの形態を有していてもよい。
具体的には、光硬化型粘着シートの形態としては、例えば(i)粘着性を有する支持体層の一方の面に光硬化型粘着剤層を有する両面粘着シートの形態、(ii)支持体層の両方の面に光硬化型粘着剤層を有する両面粘着シートの形態、(iii)粘着性を有しない支持体層の一方の面に光硬化型粘着剤層を有する片面粘着シートの形態などが挙げられる。
また、光硬化型粘着シートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。すなわち、シート状、テープ状などの形態を有することができる。
光硬化型粘着シートは、粘着面を保護する目的などで、剥離ライナー(セパレータ)を有していてもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
光硬化型粘着シートの作製方法は、特に制限されないが、例えば公知・慣用の粘着シートの作製方法を用いて作製される。このような作製方法としては、例えば、(1)前記剥離ライナーの剥離処理面上に光重合性粘着剤組成物を塗布し、光重合性粘着剤組成物層を形成させて、活性エネルギー線を照射して光硬化させ、光硬化型粘着剤層を有するシート(「光硬化型粘着剤層シート」と称する場合がある)を作製し、一方で、前記剥離ライナーの剥離処理面上に支持体層組成物を用いて支持体ポリマー層を形成させて、支持体ポリマー層を有するシート(「支持体ポリマー層シート」と称する場合がある)を作製して、光硬化型粘着剤層シートと支持体ポリマー層シートとを、光硬化型粘着剤層と支持体ポリマー層を接触する形態で貼り合わせて、光硬化型粘着シートを作製する方法、(2)支持体層上に、光重合性粘着剤組成物を塗布し、光重合性粘着剤組成物層を形成させて、活性エネルギー線を照射して光硬化させ、光硬化型粘着剤層を形成させることによって、光硬化型粘着シートを作製する方法、(3)前記光硬化型粘着剤層シートを作製し、光硬化型粘着剤層シートの光硬化型粘着剤層上に、支持体層を形成させることによって、光硬化型粘着シートを作製する方法などがが挙げられる。
なお、所定の面上に、光重合性粘着剤組成物や支持体組成物を塗布する際、ロールコータ、バーコーダー、ダイコーダーなどの従来公知の塗布装置を用いてもよい。
光硬化型粘着剤層は、支持体層から光硬化型粘着剤層に移行した粘着付与樹脂を、光硬化型粘着剤層を形成するポリマー成分(特に、アクリル系ポリマー)100重量部に対して、通常1〜50重量部(好ましくは、2〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部)含有している。
また、支持体層が含有する粘着付与樹脂において、光硬化型粘着剤層へ移行する割合は、特に制限されないため、最終的には支持体層に含まれる粘着付与樹脂の全てが移行してもよいが、通常、支持体層に含まれる粘着付与樹脂100重量部のうち、1〜60重量部程度移行する。
光硬化型粘着シートにおいて、支持体層に含まれる粘着付与樹脂を、さらに多く、支持体層から光硬化型粘着剤層に移行させるためには、支持体層と光硬化型粘着剤層を接触させた後、さらに長期間保存する工程や、さらに高温下で保存する工程を行えばよい。従って、さらに長期間保存する工程や、さらに高温下で保存する工程を経て作製される光硬化型粘着シートは、これらの工程を行わなかった光硬化型粘着シートと比較して、光硬化型粘着剤層において、より多くの、支持体層に含まれる粘着付与樹脂を、含有する。
また、光硬化型粘着シートにおいて、支持体層に含まれる粘着付与樹脂が経時で支持体層から光硬化型粘着剤層に移行する量は、高温下で保存する工程が、長期間保存する工程と比較して、大量である場合が多い。
なお、光硬化型粘着シートを作製する際、支持体層と光硬化型粘着剤層とを接触させた後、長期間保存する工程を行い、さらに高温下で保存する工程を行ってもよいし、また、高温下で保存する工程を行い、さらに長期間保存する工程を行ってもよい。さらにまた、支持体層と光硬化型粘着剤層とを接触させた後、長期間高温下で保存する工程を行ってもよい。
長期間保存する工程としては、例えば、室温(例えば、20〜30℃)程度の温度での2月間〜12月間程度の保存が挙げられる。好ましい長期間保存する工程としては、例えば、室温(25℃)中の6月間の保存などが挙げられる。なお、保存する際の湿度や圧力については、特に制限されない。
高温下で保存する工程としては、例えば、30℃以上200℃以下(好ましくは、40℃以上100℃以下)の温度雰囲気下での保存が挙げられる。温度が30℃より低いと粘着付与樹脂の移行速度が遅くなる場合があり、一方、200℃より高いと支持体層や粘着剤層の劣化を生じる場合がある。また、高温下で保存する期間としては、例えば、1〜30日間(好ましくは、1〜15日間)程度である。なお、保存する際の湿度や圧力については、特に制限されない。
また、支持体層から移行する粘着付与樹脂と光硬化型粘着剤層の好ましい組み合わせとしては、例えば、支持体層に含まれる粘着付与樹脂が光硬化型粘着剤層に相溶することのできる組み合わせが挙げられる。このような組み合わせであれば、粘着付与樹脂が速やかに移行し、特性が発現するまでの時間が短縮される。また、粘着付与樹脂は光硬化型粘着剤層に均一に分散し、均一な特性が得られる点で有利であるためである。
前記支持体層に含まれる粘着付与樹脂が光硬化型粘着剤層に相溶することのできる組み合わせは、光硬化型粘着剤層のベースポリマーを構成する主モノマー成分、共重合性モノマーとしての極性基含有モノマー、光重合開始剤の総量100重量部から構成される光重合性組成物(「ヘイズ値測定用光重合性組成物」と称する場合がある)により形成される光硬化層に対して、支持体層が含有する粘着付与樹脂を20重量部配合したときのヘイズ値が15%以下(好ましくは、10%以下)となる組み合わせである。ヘイズ値が15%を超える組み合わせであると、支持体層に含まれる粘着付与樹脂の、支持体層から光硬化型粘着剤層への移行が生じにくくなり、光硬化型粘着剤層が支持体層に含まれる粘着付与樹脂を含有することによって発現される特性(例えば、粘着力の増加など)得るまでに、非常に長い時間光硬化型粘着シートを保存しなければならない場合がある。なお、ヘイズ値測定用光重合性組成物において、組み合わせをみる光硬化型粘着剤層で用いられている架橋性モノマーや添加剤等は含んでおらず、また、各成分の割合は、組み合わせをみる光硬化型粘着剤層に含まれる割合と原則同じである。
前記ヘイズ値を測定する光硬化層は、例えば、以下のようにして作製される。ヘイズ値測定用光重合性組成物に活性エネルギー光線を照射し、粘着性ポリマーを形成させ、該粘着性ポリマー:30重量部を酢酸エチル:70重量部に溶解させ粘着剤溶液を調製し、該粘着剤溶液:100重量部に、組み合わせをみる粘着付与樹脂:6重量部を添加して粘着付与樹脂含有粘着剤溶液とする。次に、厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名「ルミラーS−1038」東レ株式会社)上に層形成後の厚さが50μmとなるように塗布し、乾燥させることによって酢酸エチルを蒸発させ層を形成させることにより、作製される。
ヘイズ値は、全光線透過率及び拡散透過率を測定し、下記式に従って算出される。
ヘイズ値(%)=拡散透過率/全光線透過率×100
光硬化型粘着シートは、支持体層と、少なくとも支持体層に含まれる粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層との、積層により、支持体層と光硬化型粘着剤層とが接触している構造を形成させて、さらに、支持体層に含まれる粘着付与樹脂を光硬化型粘着剤層に移行させてることにより作製される。このため、光硬化型粘着シートは、光硬化型粘着剤層において、多種多様の粘着付与樹脂を含有することができる。
例えば、光硬化型粘着シートは、粘着付与樹脂を含有している光重合性粘着剤組成物に活性エネルギー光線を照射して光硬化型粘着剤層を形成させる方法では光硬化型粘着剤層中に含有させることが難しい前記光重合阻害性粘着付与樹脂を、含有することができる。
よって、本発明の光硬化型粘着シートの製造方法を用いれば、光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する支持体層と光硬化型粘着剤層とを接触させることにより、支持体層中の光重合阻害性粘着付与樹脂を光硬化型粘着剤層へ移行させることができるため、支持体上に光重合阻害性粘着付与樹脂を含有している光重合性粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて乾燥や硬化(光重合による硬化)を行い、光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を形成させることによって粘着シートを製造する方法では、光重合阻害性粘着付与樹脂が光重合を阻害するため、得ることが困難であった光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する粘着シートを、容易に得ることができる。
そして、このようにして得られた光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着シートは、従来の光硬化型粘着剤層を有する粘着シートでは十分に粘着性(粘着力)を得られなかった被着体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塗装板など)に対して、十分な粘着性を得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(剥離ライナーの使用例)
一方の面に剥離処理が施されているPETフィルム(厚さ:38μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離ライナーとして使用した。なお、光透過率は100%であった。
(光硬化型粘着剤層シートの作製例)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸(AA)、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を、下記の表1に示される割合で、それぞれフラスコに投入し混合して、1時間窒素置換した後、紫外線を照射し、粘度が10Pa・s(BH型粘度計、No.3ローター、10rpm、30度)になるまで部分重合を行い、光硬化型粘着剤層シート(A)〜(C)でそれぞれで用いられる光重合性粘着剤組成物のプレポリマーを、それぞれ調製した。
調製したそれぞれの光重合性粘着剤組成物のプレポリマーに、下記の表1に示される割合で、架橋剤としてのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を、それぞれに配合し、光硬化型粘着剤層シート(A)〜(C)のそれぞれで用いられる光重合性粘着剤組成物とした。
それぞれの光重合性粘着剤組成物を、前記剥離ライナーの剥離処理面に、光硬化型粘着剤層形成後の厚さが50μmとなるように塗布して、光重合性粘着剤組成物層を形成させ、該層上に、前記剥離ライナーを、剥離処理面が接する形態で、貼り合わせた。次に、ブラックライトを用いて、5分間、紫外線(照度:2.85mW/cm2)を照射し、光硬化型粘着剤層を形成させることにより、光硬化型粘着剤層シート(A)〜(C)を、それぞれ作製した。
Figure 2008138130
(支持体層シートの作製例)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸(AA)、 アゾジイソブチロニトリル(AIBN)を、下記の表2に示される割合で、それぞれ、酢酸エチル:150重量部中に混合させて、常法により共重合させて、アクリル系共重合体を含む溶液(「アクリル系共重合体含有溶液」と称する場合がある)(1)〜(3)を得た。
支持体層シート(A)〜(E)の支持体層を形成するそれぞれの光重合性組成物溶液は、下記の表3に示される組み合わせで、対応するアクリル系共重合体含有溶液に、アクリル系共重合体の固形分:100重量部に対して、粘着付与樹脂としてのTF−1(脂環族飽和炭化水素系樹脂;軟化点100℃;商品名「アルコンM−100」荒川化学工業株式会社製)やTF−2(フェノール樹脂;軟化点150℃;商品名「スミライトレジンPR−12603」住友ベークライト株式会社製)を20重量部、さらに、架橋剤としての1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを0.03重量部添加することにより調製した。
支持体層シート(A)〜(E)は、それぞれの光重合性組成物溶液を、前記剥離ライナーの剥離処理面に、支持体層形成後の厚さが50μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて、支持体層を形成させ、該層上に、前記剥離ライナーを、剥離処理面が接する形態で、貼り合わせることにより、作製した。
Figure 2008138130
Figure 2008138130
(実施例)
実施例1〜5の粘着シートは、光硬化型粘着剤層シート及び支持体層シートの、一方の剥離ライナーを剥がし、光硬化型粘着剤層及び支持体層を露出させ、下記の表4に示される組み合わせで、それぞれ、光硬化型粘着剤層シート及び支持体層シートを、光硬化型粘着剤層と支持体層とが接触する形態で、貼り合わせることにより作製した。
Figure 2008138130
(参考例)
参考例の粘着シートは、支持体層シートの作製において粘着付与樹脂を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
(評価)
実施例1〜5及び参考例の粘着シートについて、下記の測定方法により、支持体層シートのヘイズ値、及びヘイズ値測定用粘着剤層シートのヘイズ値、初期粘着力、長期保存後粘着力、長期保存後増加率、高温保存後粘着力、及び高温保存後増加率を測定又は算出した。そして、その結果を表5に示した。
(支持体層シートのヘイズ値の測定方法)
支持体層シートのヘイズ値は、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製 HM−150型)を用いて、支持体層シートの全光線透過率及び拡散透過率を測定し、下記式に従って算出した。
ヘイズ値(%)=拡散透過率/全光線透過率×100
(ヘイズ値測定用粘着剤層シートのヘイズ値)
ヘイズ値測定用粘着剤層シートのヘイズ値は、ヘイズ値測定用粘着剤層シートを作製した後、該ヘイズ値測定用粘着剤層シートのヘイズ値を、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製 HM−150型)を用いて、全光線透過率及び拡散透過率を測定し、下記式に従って算出した。
ヘイズ値(%)=拡散透過率/全光線透過率×100
ヘイズ値測定用粘着剤層シートは、以下のようにして作製した。
光硬化型粘着剤層シートに用いられている成分のうち、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸(AA)、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を、上記の表1に示される割合で、それぞれフラスコに投入し混合して、1時間窒素置換した後、紫外線を照射し、それぞれの粘着性ポリマーを形成させた。次に、該粘着性ポリマー:30重量部を酢酸エチル:70重量部に溶解させて粘着剤溶液を調製し、該粘着剤溶液:100重量部に、それぞれの実施例で用いられている粘着付与樹脂を6重量部添加して、粘着付与樹脂含有粘着剤溶液を得た。そして、該粘着付与樹脂含有粘着剤溶液を、前記剥離ライナー上に、粘着剤層形成後の厚さが50μmとなるように塗布し、乾燥させて、粘着剤層を形成させることによって、それぞれの実施例のヘイズ値測定用粘着剤層シートを、それぞれ作製した。
(初期粘着力)
実施例1〜5の粘着シート及び参考例の粘着シートについて、幅20mm、長さ70mmとなるようにカットし、測定用サンプルとした。
該測定サンプルを用いて、下記粘着力の測定方法により、初期粘着力を測定した。
(長期保存後粘着力)
実施例1〜5の粘着シート及び参考例1〜5の粘着シートについて、幅20mm、長さ70mmとなるようにカットし、測定用サンプルとした。測定用サンプルを、50℃の環境下に2週間静置させて保存した。
保存後、該測定サンプルを用いて、下記粘着力の測定方法により、長期保存後粘着力を測定した。
なお、50℃の環境下に2週間、静置させた状態での保存は、室温で約半年間、静置させた状態での保存に相当する。
(高温保存後粘着力)
実施例1〜5の粘着シート及び参考例1〜5の粘着シートについて、幅20mm、長さ70mmとなるようにカットし、測定用サンプルとした。測定用サンプルを、70℃での環境下に1週間静置させて保存した。
保存後、該測定サンプルを用いて、下記粘着力の測定方法により、高温保存後粘着力を測定した。
(粘着力の測定方法)
測定用サンプルの支持体層シート側の剥離ライナーを剥がし、露出した面に、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材を、裏打ち基材として貼り合わせた。温度:20℃、湿度:65RHの雰囲気下、光硬化型粘着剤層シートの剥離ライナーを剥がし、粘着面を露出させ、当該粘着面を、メタノールで表面を拭いて洗浄したポリプロピレン(PP)板に、2kgローラ1往復の条件で圧着させた。30分後、引張速度300mm/min、180°方向にて40mm引き剥がした時の応力を測定し、その際の応力の振幅を読み取り、該応力の平均値を粘着力(N/20mm)とした。
(長期保存後増加率)
実施例1〜5の粘着シート及び参考例の粘着シートについての保存後増加率は、初期粘着力の値及び保存後粘着力の値から、下記式を用いて、求めた。
長期保存後増加率=保存後粘着力/初期粘着力
(高温保存後増加率)
実施例1〜5の粘着シート及び参考例の粘着シートについての高温保存後増加率は、初期粘着力の値及び高温保存後粘着力の値から、下記式を用いて、求めた。
高温保存後増加率=高温保存後粘着力/初期粘着力
Figure 2008138130
実施例1の粘着シートの粘着力は、粘着剤層に粘着付与樹脂を含有していない対応する参考例の粘着シートの粘着力と比較して大きいため、光硬化型粘着剤層に支持体層中の粘着付与樹脂が移行して、粘着力が増大していることが確認できた。
実施例1〜5の粘着シートの長期保存後粘着力及び高温保存後粘着力は、初期粘着力と比較して、ともに大きいため、光硬化型粘着剤層に支持体層中の粘着付与樹脂が長期保存中や高温保存中にさらに移行して、粘着力が増大することが確認できた。
また、実施例2及び実施例5は、ヘイズ値測定用粘着剤層シートのヘイズ値の値が大きく、粘着付与樹脂と光硬化型粘着剤層との組み合わせが相溶性の乏しい組み合わせであるため、実施例2及び実施例5の長期保存後増加率及び高温保存後増加率は、実施例1、3、及び4の長期保存後増加率及び高温保存後増加率と比較して小さいことが確認できた。
さらに、実施例1〜3、5では、粘着シートの高温保存後粘着力が長期保存後粘着力より大きいため、高温保存中に移行する粘着付与樹脂は、長期保存中の場合と比較して多いことが確認できた。
(比較例)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸(AA)、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)を、下記の表6に示される割合で、それぞれフラスコに投入し混合して、1時間窒素置換した後、紫外線を照射し、粘度が10Pa・s(BH型粘度計、No.3ローター、10rpm、30度)になるまで部分重合を行い、比較例1〜6の粘着シートの作成に用いられる光重合性粘着剤組成物のプレポリマーを、それぞれ調製した。
それぞれの光重合性粘着剤組成物のプレポリマーに、下記の表5に示される割合で、架橋剤としてのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)及び粘着付与樹脂(TF−1やTF−2)を、それぞれに配合し、比較例1〜6の粘着シートの作成に用いられる光重合性粘着剤組成物とした。
比較例1〜6の粘着シートの作成に用いられる光重合性粘着剤組成物を、前記剥離ライナーの剥離処理面に、光硬化型粘着剤層形成後の厚さが50μmとなるように塗布して、光重合性粘着剤組成物層を形成させ、該層上に、前記剥離ライナーを、剥離処理面が接する形態で、貼り合わせた。
次に、ブラックライトを用いて、5分間、紫外線(照度:2.85mW/cm2)を照射したところ、全ての粘着剤層シートにおいて、光重合が生じることははなく、光硬化型粘着剤層を得ることができず、比較例1〜6の粘着シートの作成に用いられるそれぞれの粘着剤層シートを作成することができなかった。
従って、比較例1〜6の粘着シートを得ることはできなかった。
なお、5分間、紫外線を照射した後の全ての粘着剤層シートの系において、手で触った感じで凝集力が全くなく、粘着剤と呼べるほど重合しないことが確認された。
Figure 2008138130

Claims (9)

  1. 光重合性粘着剤組成物層を光硬化することにより光硬化型粘着剤層を形成して光硬化型粘着テープ又はシートを製造する方法であって、粘着付与樹脂を含有する支持体層と前記粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを接触させ、支持体層中の粘着付与樹脂を光硬化型粘着剤層へ移行させて、前記粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を形成する工程を含むことを特徴とする光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法。
  2. 粘着付与樹脂を含有する支持体層と前記粘着付与樹脂を含有しない光硬化型粘着剤層とを接触させた後、さらに高温下で保存する工程を含む請求項1記載の光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法。
  3. 光硬化型粘着剤層を形成する光重合性粘着剤組成物が、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜100重量%、極性基含有モノマー0〜30重量%の組成を有するモノマー混合物又はその部分重合物100重量部に対して光重合開始剤を0.001〜5重量部含有する光重合性組成物である請求項1又は2記載の光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法。
  4. 光硬化型粘着剤層と、支持体層が含有する粘着付与樹脂との組み合わせが、光硬化型粘着剤層のベースポリマーを構成する主モノマー成分、共重合性モノマーとしての極性基含有モノマー、光重合開始剤の総量100重量部から構成される光重合性組成物により形成される光硬化層に対して、支持体層が含有する粘着付与樹脂を20重量部配合したときのヘイズ値が15%以下となる組み合わせである請求項1〜3何れかの項に記載の光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法。
  5. 粘着付与樹脂を含有する支持体層が、粘着付与樹脂を含有する粘着剤組成物で構成されている請求項1〜4何れかの項に記載の光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法。
  6. 粘着付与樹脂が、光重合阻害性粘着付与樹脂である請求項1〜5何れかの項に記載の光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法。
  7. 請求項1〜6記載の何れかの項に記載の光硬化型粘着テープ又はシートの製造方法を用いて製造された光硬化型粘着テープ又はシート。
  8. 光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層を有する光硬化型粘着テープ又はシート。
  9. 光重合阻害性粘着付与樹脂を含有する光硬化型粘着剤層が、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜100重量%、極性基含有モノマー0〜30重量%のモノマー組成を有するアクリル系ポリマー100重量部に対して、光重合開始剤を0.001〜5重量部、光重合阻害性粘着付与樹脂を1〜50重量部を含有する請求項8記載の光硬化型粘着テープ又はシート。
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