JP2008133131A - 脱脂炉投入装置、及び、ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

脱脂炉投入装置、及び、ハニカム構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脱脂用治具内にセラミック成形体を同一条件で搭載させることができる脱脂炉投入装置を提供する。
【解決手段】複数のセラミック成形体を同時に移動可能な成形体移動機構と、セラミック成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に搬送する搬送テーブルとを備え、上記成形体移動機構により、複数のセラミック成形体を間隔をあけて、脱脂用治具内に同時に載置することを特徴とする脱脂炉投入装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、脱脂炉投入装置及びハニカム構造体の製造方法に関する。
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のパティキュレートを捕集して、排ガスを浄化するフィルタとして多孔質セラミックからなるハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが種々提案されている。
図3は、このようなハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図であり、図4(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、そのA−A線断面図である。
ハニカム構造体130では、図4(a)及び(b)に示すようなハニカム焼成体140がシール材層(接着剤層)131を介して複数個結束されてハニカムブロック133を構成し、さらに、このハニカムブロック133の外周にシール材層(コート層)132が形成されている。
また、ハニカム焼成体140は、図4(a)及び(b)に示すように、長手方向に多数のセル141が並設され、セル141同士を隔てるセル壁143がフィルタとして機能するようになっている。
すなわち、ハニカム焼成体140に形成されたセル141は、図4(b)に示すように、排ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが封口材層142により目封じされ、一のセル141に流入した排ガスは、必ずセル141を隔てるセル壁143を通過した後、他のセル141から流出するようになっており、排ガスがこのセル壁143を通過する際、パティキュレートがセル壁143部分で捕捉され、排ガスが浄化される。
従来、このようなハニカム構造体130を製造する際には、例えば、まず、セラミック粉末とバインダと分散媒液等とを混合して湿潤混合物を調製する。そして、この湿潤混合物をダイスにより連続的に押出成形し、押し出された成形体を所定の長さに切断することにより、角柱形状のハニカム成形体を作製する。
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させ、その後、所定のセルに目封じを施し、セルのいずれかの端部が封口材層により封止された状態とする。
目封じをされたハニカム成形体を脱脂炉に投入して、脱脂処理を行う。
次いで、脱脂されたハニカム成形体に焼成処理を施し、ハニカム焼成体を製造する。
この後、ハニカム焼成体の側面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体同士を接着させることにより、シール材層(接着剤層)を介してハニカム焼成体が多数結束した状態のハニカム焼成体の集合体を作製する。次に、得られたハニカム焼成体の集合体に、切削機等を用いて円柱、楕円柱等の所定の形状に切削加工を施してハニカムブロックを形成し、最後に、ハニカムブロックの外周にシール材ペーストを塗布してシール材層(コート層)を形成することにより、ハニカム構造体の製造を終了する。
なお、本明細書において、ハニカム成形体、ハニカム焼成体及びハニカム構造体のいずれの形態においても、それぞれの外形状をなす面のうち、セルが露出している面を端面といい、端面以外の面を側面という。
ここで、上記ハニカム構造体の製造工程の各工程で作製したハニカム焼成体等を次工程に移す装置の1つとして、例えば、特許文献1には、ハニカム構造製品の貫通孔を外気が通過する際の圧損を利用して、ハニカム構造製品の開口端面の開口率より大きい開口率を有する多孔吸引板にハニカム構造製品を吸着させ、上記多孔吸引板が取り付けられた可動アームにより移動させるハニカム構造製品の移載装置が開示されている。
特公平3−35057号公報
ここで、ハニカム成形体を脱脂するには、複数のハニカム成形体を可及的に同一条件で移動させ、同一条件で脱脂することが望ましい。しかし、特許文献1に記載の移載装置では、可動アームの回動運動によりハニカム構造製品を一つずつ移載させているので、複数のハニカム構造製品を同一条件で移動させることはできず、また、移動後のハニカム成形体の配置を考慮していないので、同一条件での脱脂を行うための脱脂炉への投入機としては不向きであった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、複数のセラミック成形体を同時に移動可能な成形体移動機構を用いることにより、脱脂用治具内にセラミック成形体を同一条件で搭載させることができることを見出し、本発明の脱脂炉投入装置、及び、このような脱脂炉投入装置を用いてハニカム成形体を脱脂炉に投入する本発明のハニカム構造体の製造方法を完成した。
すなわち、本発明の脱脂炉投入装置は、
複数のセラミック成形体を同時に移動可能な成形体移動機構と、
セラミック成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に搬送する搬送テーブルとを備え、
上記成形体移動機構により、複数のセラミック成形体を間隔をあけて、脱脂用治具内に同時に載置することを特徴とする。
上記成形体移動機構には、複数のセラミック成形体を同時に吸着することができる吸引機構を備えたアームが設けられていることが望ましい。また、上記吸引機構を備えたアームにおけるセラミック成形体の吸引力は、0.4〜2.0kPaであることが望ましい。
上記成形体移動機構は、上記セラミック成形体との接触部に緩衝部材を備えていることが望ましく、特に、上記緩衝部材は、ウレタンからなるものであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を成形することにより、多数のセルが隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、このハニカム成形体を脱脂炉投入装置により脱脂炉に投入して脱脂処理を行い、さらに、脱脂されたハニカム成形体を焼成処理することによりハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
上記脱脂炉投入装置は、複数のハニカム成形体を同時に移動可能な成形体移動機構と、
ハニカム成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に搬送する搬送テーブルとを備え、
上記成形体移動機構により、複数のハニカム成形体を間隔をあけて、脱脂用治具内に同時に載置した後、上記脱脂用治具を上記搬送テーブルにより上記脱脂炉に搬送して脱脂処理を行うことを特徴とする。
本製造方法で用いる上記成形体移動機構には、複数のハニカム成形体を同時に吸着することができる吸引機構を備えたアームが設けられていることが望ましい。また、上記吸引機構を備えたアームにおけるハニカム成形体の吸引力は、0.4〜2.0kPaであることが望ましい。
上記成形体移動機構は、上記ハニカム成形体との接触部に緩衝部材を備えていることが望ましい。特に、上記緩衝部材は、ウレタンからなるものであることが望ましい。
さらに、複数のハニカム成形体を脱脂用治具内に載置する際のハニカム成形体同士の間隔は、3〜10mmであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体の製造方法では、上記脱脂処理が施されたハニカム成形体を上記脱脂用治具に載置した状態で、上記焼成処理を行うことが望ましい。
本発明の脱脂炉投入装置は、複数のセラミック成形体を同時に移動可能な成形体移動機構を備えているので、セラミック成形体を脱脂用治具に同一条件で配置するためのさらなる工程や装置等を必要とすることなく、複数のセラミック成形体を一度に移動させることができ、また、セラミック成形体を同一条件で脱脂することができるようにセラミック成形体同士を間隔をあけて載置することができる。
従って、脱脂炉処理を行うための脱脂炉投入工程において、迅速かつ効率的にセラミック成形体を投入することができるので、作業効率の向上や費用の削減を図ることができ、また、要求される品質にばらつきが発生することを防止することができる。
また、本発明のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム成形体を脱脂炉に投入する際に、複数のハニカム成形体を同時に、かつ、所定間隔で脱脂用治具に載置することにより、すなわち、複数のハニカム成形体を同一条件で脱脂用治具に載置することにより、同一条件で脱脂処理を施すことができるので、脱脂炉への投入に要する時間短縮や品質の均一化等を効率よく達成することができる。
まず、本発明の脱脂炉投入装置について図面を参照しつつ説明する。
本発明の脱脂炉投入装置は、
複数のセラミック成形体を同時に移動可能な成形体移動機構と、
セラミック成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に搬送する搬送テーブルとを備え、
上記成形体移動機構により、複数のセラミック成形体を間隔をあけて、脱脂用治具内に同時に載置することを特徴とする。
本発明の脱脂炉投入装置は、成形体移動機構と搬送テーブルとを備えている。以下ではまず、成形体移動機構について説明する。
成形体移動機構は、複数のセラミック成形体を同時に移動可能な機構であれば特に限定されず、例えば、複数の把持機構を並列して備えている機構でもよく、吸引機構を並列して備えている機構でもよく、リフト機構を並列して備えている機構等でもよい。いずれの機構であっても適宜の設計変更とともに成形体移動機構を構成する機構として採用することができる。
本発明の脱脂炉投入装置において、成形体移動機構には、複数のセラミック成形体を同時に吸着することができる吸引機構を備えたアームが設けられていることが望ましい。
吸引機構によりセラミック成形体を損傷させることなく移動させることができ、また、アームが設けられていることにより、セラミック成形体の移動の自由度を向上させることができるので、セラミック成形体を破損等させることなく任意の配置態様で移動させることができる。
以下、成形体移動機構において吸引機構を備えたアームが設けられた本発明の脱脂炉投入装置について、図1を参照しつつ詳細に説明する。しかし、成形体移動機構の構成は、図1に具体的に示した実施の形態に限定されない。
なお、成形体移動機構が移動させる対象としては、脱脂処理を要するセラミック成形体である限りその種類は限定されず、従来技術の説明で記載したハニカム成形体であってもよく、その他のセラミック成形体であってもよい。以下では、従来技術の説明で記載したハニカム成形体をセラミック成形体の例として説明する。
図1は、本発明の脱脂炉投入装置の実施形態の一例を模式的に示す斜視図である。
成形体移動機構20を構成するアーム50には、図1に示すように、吸引機構60が備え付けられており、この吸引機構60において、吸引部材61a及び吸引板61bが対向して水平方向に7枚並設されている。下側の吸引板61bには、セラミック成形体100に対して吸引力を及ぼすための吸引孔(図示せず)が形成されている。一方、上側の吸引部材61aの上部には2箇所にチューブ接続孔が設けられており、このチューブ接続孔を介してそれぞれチューブ62が接続されている。これらのチューブ62は、内部に空洞を有する角柱形状のチューブ分配部材64に集められている。そして、チューブ分配部材64には、吸気ダクト63が接続され、この吸気ダクト63が吸引装置(図示せず)に接続されている。
従って、吸引機構60における吸引力(吸気)の流れとしては、吸引装置で発生した吸引力が、吸気ダクト63を介して、チューブ分配部材64に伝わり、このチューブ分配部材64に集められたチューブ62を介して各吸引部材61aに伝わる。このように、吸引装置により発生した吸引力は直接各吸引部材61aに伝わらずに、一度チューブ分配部材64を介しているので、各吸引部材61aへ伝わる吸引力は全て等しくなる。
また、吸引部材61aと吸引板61bとの間には、バネ及びチューブが挟まれており、吸引部材61aと吸引板61bとを連結している。このようにして、チューブ62からの吸引力が吸引部材61aに伝わり、そこから、吸引部材61aと吸引板61bとの間に挟まれたチューブを介して吸引板61bに形成された吸引孔に及ぶ。吸引機構60は、吸引孔に伝わった吸引力を利用してセラミック成形体100を吸着する。
なお、本明細書において、吸引力とは、吸引機構における吸引系内部と、外部との圧力差のことをいう。
また、チューブ分配部材64の側面には、吸引機構60を支持する支持板65が結合するとともに、支持板65には、シリンダ等の昇降機構67が垂直に設けられており、この昇降機構67を駆動させることによって、吸引機構60を昇降させることができるようになっている。
さらに、昇降機構67の上部から水平方向に設けられているアーム50を支持する部材は、図示しないボールネジと互いに螺合しており、ボールネジを回転させる等して、アーム50を水平方向に移動させることができるようになっている。アームを水平に移動させることができるアーム移動用手段は、ボールネジに限定されず、例えば、レールに沿って水平に移動することができるクレーン等の構成であってもよい。また、アーム50を支持する部材のさらに上部には、転回機構68が連結されており、吸引機構60を回転させることができるようになっている。
次に、吸引部材61aの間隔を調整する機構について、図2(a)及び(b)を用いて説明する。
図2(a)は、吸引部材61aの間隔が最も短い状態を示した斜視図であり、図2(b)は、吸引部材61aの間隔が最も長い状態を示した斜視図である。なお、図2(a)及び(b)中、吸引板61bは省略している。
図2(a)及び(b)に示したように、7枚の吸引部材61aのそれぞれには、吸引部材61aを水平方向に貫く貫通孔75が2箇所形成されている。そして、2本の支持シャフト71が、7枚の吸引部材61aを串刺しにするように、2箇所の貫通孔75の全てを通って挿入されている。さらに、2本の支持シャフト71の両端部が、2枚の板状の支持シャフト連結板72によって固定されることにより、7枚の吸引部材61aが一組となって、一定範囲で幅が変化する一枚の大きな板のように動作することが可能になっている。
また、各吸引部材61aの両端部には、釘形状の引掛部73が形成されており、隣り合う2つの引掛部73を一組として、一組ごとに結束リング74が掛けられている。一組ごとに掛けられた結束リング74によって、全ての隣り合う吸引部材61aの可動範囲が決定される。
さらに、間隔の調整のために使用される駆動手段66の両端部が、7枚並設されている吸引部材61aのうちの両端に存在する吸引部材61aの上面に固定されており、この駆動手段66により、吸引部材61a同士の間隔を調整することができる。
すなわち、駆動手段66の長さを最も短くした場合には、吸引部材61a同士が完全に接触する状態となり、反対に、駆動手段66の長さを最も長くした場合には、結束リング74が広がることのできる範囲で吸引部材61a同士の間隔が最も広くなる。こうして、吸引部材61a同士の間隔が、駆動手段66の長さを最も長くした場合と最も短くした場合の2つの状態で規定される。この場合は、結束リング74が広がることのできる範囲を調整することで、吸引部材61a同士の間隔を調整することができる。
さらに、結束リング74をゴムのような弾性部材で構成した場合は、駆動手段66の長さに関わらず、結束リング74が伸長することのできる範囲で、吸引部材61a同士を等間隔で広げることができる。
すなわち、結束リング74を弾性部材で構成した場合も上記のように、駆動手段66の伸縮により吸引部材61a同士の間隔も伸縮する。このとき、隣り合う吸引部材61aの引掛部73に結束リング74が引っ掛けられており、この結束リング74の弾性力によって隣り合う吸引部材61aが互いに近づく方向に同じ力で付勢されているので、吸引部材61aは互いの間隔は等しくなるように広がる。従って、結束リング74が伸長することのできる範囲で、駆動手段66が最も短い場合と最も長い場合との間の任意の状態で、吸引部材61a同士を等間隔で広げることができる。
結束リング74の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、鉄、ニッケル等の金属、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴム、フッ素ゴム等のゴム、PS樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、PC樹脂、PP樹脂、PE樹脂、PPE樹脂、PBT樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、吸引部材61a同士の間隔を調整するための機構として結束リングを説明したが、これに限定されず、隣り合う吸引部材61a同士の間にバネを介在させて調整してもよく、また、径の異なる円筒を嵌め合わせて構成される伸縮可能な筒状体を介在させて調整してもよい。このように、吸引部材61a同士の間隔を調整することができれば任意の部材を用いることができる。
次に、搬送テーブル30について図1を参照しつつ説明する。
搬送テーブル30は、ベルトコンベアやチェーンコンベアのようなコンベア、レール上を走行する荷台等の任意の搬送機構である。また、脱脂用治具40は、成形体載置板41とマット42とからなり、セラミック成形体100は炭素繊維等で構成されたマット42を介して脱脂用治具40上に搭載されている。そして搬送テーブル30は、図1に示す矢印の方向に脱脂用治具を搬送し、セラミック成形体100を搭載した後、脱脂用治具40を脱脂炉(図示せず)に搬送する。
上記のように構成された成形体移動機構20及び搬送テーブル30を備えた脱脂炉投入装置10では、成形体移動機構20により、複数のセラミック成形体100を間隔をあけて、脱脂用治具40内に同時に載置する。
複数のセラミック成形体の間隔は、セラミック成形体のサイズ、脱脂温度、脱脂時間に依存するため一慨にはいえない。なお、上記間隔は広すぎると脱脂が進行しすぎることとなり、間隔が狭すぎると脱脂が不十分になる。そして、脱脂が進行しすぎたり、脱脂が不充分であると、脱脂体の強度にバラツキが発生しやすい傾向にある。
以下、図1を参照しつつ、脱脂用治具40にハニカム成形体を載置する一連の手順を説明する。
まず、前工程を経て得られたセラミック成形体100がコンベア31により搬送されてくると、成形体受取部80に集められる。成形体受取部80では、図1に示すように、セラミック成形体100が互いに接触する状態となるように配置される。
続いて、吸引部材61aと吸引板61bとを一組としてこれを7組備えた吸引機構60を下降させ、セラミック成形体100の側面(図において上面)と吸引板61bとを当接させる。ここで、吸引部材61aと吸引板61bとの間にはバネが介在しているので、当接の際の衝撃を和らげることができる。このとき、一のセラミック成形体100の側面に対して一の吸引板61bが当接するように、吸引部材61aの間隔を調整する駆動手段66は最も短い状態にある。そして、図示しない吸引装置を作動させて吸気を行い、吸引板61bに形成された吸引孔を介してセラミック成形体100を吸引して吸引板61bに吸着させる。
その後、昇降機構67により吸引機構60を所定の位置まで上昇させ、アーム移動用機構によりアーム50を脱脂用治具40の上方まで水平方向に移動させる。
次いで、駆動手段66を駆動させて7個の吸引部材61aの間隔をセラミック成形体100の脱脂処理に適した所定の間隔となるように調整する。これにより、セラミック成形体100同士の間隔は等間隔となる。なお、脱脂処理に適した所定の間隔は、セラミック成形体100の種類やその数により変化させればよい。
この後、搬送テーブル30上に配置された脱脂用治具40にセラミック成形体100を載置するために、昇降機構67を作動させて吸引機構60を下降させる。セラミック成形体100とマット42とが接触した時点で、吸引機構60の下降を停止し、次いで、吸引装置による吸引を停止することにより、マット42を介してセラミック成形体100を脱脂用治具40上に同時に載置する。マット42は炭素繊維等で構成されているので、セラミック成形体100を脱脂用治具40に載置する際に、破損させることなく脱脂用治具40に同時に載置させることができる。
上述のように、吸引機構60の下降前に7個の吸引部材61aの間隔を調整しているので、セラミック成形体100同士は、脱脂用治具40において脱脂処理に適した間隔で配置される。
セラミック成形体100を間隔をあけて脱脂用治具40上に載置した後、搬送テーブル30を矢印の方向に作動させて脱脂用治具40を脱脂炉に搬送する。
以上の手順を経ることで、本発明の脱脂炉投入装置によるセラミック成形体の脱脂炉への投入が完了する。なお、順次セラミック成形体を搭載するために、新たな脱脂用治具が、テーブル32により搬送テーブル30の位置まで送られる。
上述した成形体移動機構20では、図1に示したように、コンベア31により送られてきた際におけるセラミック成形体100の配置の方向と、脱脂用治具40上に載置されたセラミック成形体100の配置の方向とは同じになっている。しかし、転回機構68を作動させることによりアーム50の回転が可能であり、例えば、セラミック成形体100を90°回転させた後、脱脂用治具40に載置することも可能である。上記回転角は適宜変更することができる。
成形体移動機構20において、セラミック成形体100に対する吸引機構60の吸着面は、セラミック成形体100の端面ではなく側面であることが望ましい。
脱脂処理を施す前のセラミック成形体100は軟らかいので、吸引板61bを端面に当接して吸引すると、端面が変形したり破損したりするおそれがあるからである。成形体移動機構20においては、セラミック成形体100に対する吸引機構60の吸着面が、セラミック成形体100の端面ではなく側面であるので、端面の変形や破損等を引き起こすことなく効率的に移動させることができる。
特に、ハニカム成形体では、側面のほうが端面よりも面積が広く、加えて、ハニカム成形体において、その端面を吸着しようとすると、セルを介して空気を継続的に吸い込むこととなるため、吸着しにくい傾向にある。
上記実施の形態に係るアーム50では、吸引部材61aと2箇所に吸引孔を有する吸引板61bとが7組並設された吸引機構60を備えているが、吸引部材61a及び吸引板61bの数は7組に限定されるものではなく、2組以上の任意の数であってもよい。しかしながら、一度に多数のセラミック成形体100を持ち上げ、間隔をあけて効率的に再配列させるためには、3〜10枚程度が望ましい。
上記吸引機構を備えたアームにおけるセラミック成形体の吸引力は、0.4〜2.0kPaであることが望ましい。
吸引力が0.4kPa未満であると、吸引力が弱くてセラミック成形体を吸着して持ち上げることができず、一方、2.0kPaを超えると、セラミック成形体の強度が耐えきれずに破損するおそれがある。
セラミック成形体を吸着するための吸引力は、吸着の対象とするセラミック成形体の重量や形状によって適宜変更すればよく、例えば、セラミック成形体の吸着面が平面であり、その重量が210gである場合は、0.7〜2.0kPaの範囲であればよい。
上記成形体移動機構は、上記セラミック成形体との接触部に緩衝部材を備えていることが望ましい。
セラミック成形体は、セラミック原料を成形し、この成形体を必要に応じて乾燥させて得られた状態であるので、軟らかく変形しやすい。成形体移動機構がセラミック成形体との接触部に緩衝部材を備えていると、当接や吸着の際のセラミック成形体の破損や変形等を有効に防止することができる。
上記緩衝部材は、緩衝作用のある材料からなるものであれば特に限定されず、その材料としては、ウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、ウレタン樹脂が望ましい。
緩衝部材がウレタン樹脂で構成されていると、吸引板とセラミック成形体との接触の際の衝撃を有効に抑制することができ、セラミック成形体が破損したり変形したりすることを防止することができる。
また、これらの材料からなる緩衝部材は、緻密体であってもよいし、発泡体であってもよい。
上記緩衝部材は、全体が上記した材料で構成されていてもよいし、上記材料からなるシート状物が、金属、樹脂又はセラミックからなる基材に張り付けられて構成されていてもよい。
なお、吸引板61bへの緩衝部材の取り付け位置は、セラミック成形体との接触面全体(吸引孔の部分を除く)であることが望ましい。セラミック成形体の不測の損傷を有効に防止することができるからである。また、緩衝部材として多孔質の緩衝部材を使用してもよく、この場合、吸引孔を含む接触面全体に緩衝部材を取り付けることができる。
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明のハニカム構造体の製造方法は、セラミック原料を成形することにより、多数のセルが隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、このハニカム成形体を脱脂炉投入装置により脱脂炉に投入して脱脂処理を行い、さらに、脱脂されたハニカム成形体を焼成処理することによりハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
上記脱脂炉投入装置は、複数のハニカム成形体を同時に移動可能な成形体移動機構と、
ハニカム成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に搬送する搬送テーブルとを備え、
上記成形体移動機構により、複数のハニカム成形体を間隔をあけて、脱脂用治具内に同時に載置した後、上記脱脂用治具を上記搬送テーブルにより上記脱脂炉に搬送して脱脂処理を行うことを特徴とする。
以下、本発明のハニカム構造体の製造方法について、工程順に説明する。
ここでは、構成材料の主成分が炭化ケイ素のハニカム構造体を製造する場合を例に、セラミック原料である炭化ケイ素粉末を使用した場合のハニカム構造体の製造方法について説明する。
勿論、ハニカム構造体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかでは、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、ケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらのなかでは、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
まず、セラミック原料として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末等の無機粉末と有機バインダとを乾式混合して混合粉末を調製するとともに、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合して混合液体を調製し、続いて、上記混合粉末と上記混合液体とを湿式混合機を用いて混合することにより、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
上記炭化ケイ素粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程で収縮の少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
ハニカム焼成体の気孔径等を調節するためには、焼成温度を調節する必要があるが、無機粉末の粒径を調節することにより、気孔径を調節することができる。
上記有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。
上記バインダの配合量は、通常、無機粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、上記潤滑剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、混合原料粉末に含まれていなくてもよい。
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、上記分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
また、ここで調製した、炭化ケイ素粉末を用いた湿潤混合物は、その温度が28℃以下であることが望ましい。温度が高すぎると、有機バインダがゲル化してしまうことがあるからである。
また、上記湿潤混合物中の有機分の割合は10重量%以下であることが望ましく、水分の含有量は8.0〜20.0重量%であることが望ましい。
上記湿潤混合物は、調製後搬送され、成形機に投入されることとなる。
上記搬送装置で搬送された湿潤混合物を押出成形機に投入した後は、押出成形により所定の形状のハニカム成形体とする。
次に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させ、乾燥させたハニカム成形体とする。
ここで、切断装置を用いて作製したハニカム成形体の両端を切断する切断工程を行い、ハニカム成形体を所定の長さに切断する。
次いで、必要に応じて、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。このセルの目封じの際には、ハニカム成形体の端面(すなわち切断工程後の切断面)に目封じ用のマスクを当てて、目封じの必要なセルにのみ封止材ペーストを充填する。
上記封止材ペーストとしては特に限定されないが、後工程を経て製造される封止材の気孔率が30〜75%となるものが望ましく、例えば、上記湿潤混合物と同様のものを用いることができる。
上記封止材ペーストの充填は、必要に応じて行えばよく、上記封止材ペーストを充填した場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体をハニカムフィルタとして好適に使用することができ、上記封止材ペーストを充填しなかった場合には、例えば、後工程を経て得られたハニカム構造体を触媒担持体として好適に使用することができる。
次に、上記封止材ペーストが充填されたハニカム成形体を脱脂するために、ハニカム成形体を脱脂炉投入装置により脱脂炉に搬送する。
本発明のハニカム構造体の製造方法で使用する脱脂炉投入装置は、上述の本発明の脱脂炉投入装置を好適に使用することができる。脱脂炉投入装置の詳細な構成は、すでに詳細に説明しているので、ここでは省略する。
上記成形体移動機構には、複数のハニカム成形体を同時に吸着することができる吸引機構を備えたアームが設けられていることが望ましい。
吸引機構によりハニカム成形体の側面を吸着することから、端面の破損等を生じることなく複数のハニカム成形体を同時に脱脂用治具に載置することができる。また、複数のハニカム成形体を同時に吸着して載置することができるので、載置後のハニカム成形体の状態は全て略同一であり、均質な焼成処理を施すことができる。
また、上記吸引機構を備えたアームにおけるハニカム成形体の吸引力は、0.4〜2.0kPaであることが望ましい。
押出成形後のハニカム成形体を乾燥させたハニカム成形体は、ある程度の強度を有するものの、焼成工程を経たハニカム焼成体より強度が弱く変形しやすいので、吸着したハニカム成形体の脱落を防止しつつ、吸着によるハニカム成形体の破損等を防止するために、上記範囲の吸引力でハニカム成形体を吸着することが望ましい。
さらに、上記成形体移動機構は、上記ハニカム成形体との接触部に緩衝部材を備えていることが望ましい。特に、上記緩衝部材は、ウレタンからなるものであることが望ましい。このように成形体移動機構に緩衝部材を備え付けることにより、ハニカム成形体の破損や変形等を有効に防止することができる。
複数のハニカム成形体を脱脂用治具内に載置する際のハニカム成形体同士の間隔は、3〜10mmであることが望ましい。
上記間隔が3mm未満であると、脱脂が進行しにくいとともに、ハニカム成形体の脱脂処理の際に生じる水分やガスの影響を特に隣り合うハニカム成形体同士で受けやすく、均一な脱脂処理を施すことが困難となり、一方、10mmを超えると、脱脂が進行しすぎやすく、均一な脱脂が困難であるとともに、吸引部材の間隔を調整する駆動手段を含む吸引機構自体が大きくなって装置全体のランニングコストや設置スペースが増加したり、脱脂炉内のスペースを有効に利用することができなくなったりする。
上記脱脂処理が施されたハニカム成形体を上記脱脂用治具に載置した状態で、上記焼成処理を行うことが望ましい。
脱脂用治具に載置したままハニカム成形体に焼成処理を施すことができれば、別途焼成処理用の治具にハニカム成形体を載置し直すための工程や装置が不必要となり、ハニカム構造体の製造工程全体の効率を向上させることができる。上記脱脂用治具は、焼成処理に耐えられる材料からなることが望ましく、その材料としては、例えば、炭素材料等が挙げられる。
上記脱脂炉投入装置によりハニカム成形体を脱脂炉に投入し、所定の条件で脱脂(例えば、ハニカム成形体のサイズが34mm×34mm×15〜40mmである場合には、ハニカム成形体同士の間隔を5〜8mmとし、200〜500℃で、2〜4時間脱脂する。)する。次いで、脱脂処理に用いた脱脂用治具にハニカム成形体を載置したまま焼成(例えば、1400〜2300℃)することにより、全体が一の焼成体から構成され、複数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、かつ、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体(図4(a)及び(b)参照)を製造することができる。
上記ハニカム成形体の脱脂及び焼成の条件は、従来から多孔質セラミックからなるフィルタを製造する際に用いられている条件を適用することができる。
次に、ハニカム焼成体の側面に、シール材層(接着剤層)となるシール材ペーストを均一な厚さで塗布してシール材ペースト層を形成し、このシール材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返し、所定の大きさのハニカム焼成体の集合体を作製する。
上記シール材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維及び/又は無機粒子とからなるもの等が挙げられる。
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記有機バインダのなかでは、カルボキシメチルセルロースが望ましい。
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバー等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粉末等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
さらに、上記シール材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
上記バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等を挙げることができる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
次に、このハニカム焼成体の集合体を加熱してシール材ペースト層を乾燥、固化させてシール材層(接着剤層)とする。
次に、ダイヤモンドカッター等を用い、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着されたハニカム焼成体の集合体に切削加工を施し、円柱形状のハニカムブロックを作製する。
そして、ハニカムブロックの外周に上記シール材ペーストを用いてシール材層(コート層)を形成することで、ハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して複数個接着された円柱形状のハニカムブロックの外周部にシール材層(コート層)が設けられたハニカム構造体とすることができる。
その後、必要に応じて、ハニカム構造体に触媒を担持させる。上記触媒の担持は集合体を作製する前のハニカム焼成体に行ってもよい。
触媒を担持させる場合には、ハニカム構造体の表面に高い比表面積のアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面に助触媒、及び、白金等の触媒を付与することが望ましい。
上記ハニカム構造体の表面にアルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に助触媒を付与する方法としては、例えば、Ce(NO等の希土類元素等を含有する金属化合物の溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
上記アルミナ膜に触媒を付与する方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液([Pt(NH(NO]HNO、白金濃度4.53重量%)等をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法等を挙げることができる。
また、予め、アルミナ粒子に触媒を付与して、触媒が付与されたアルミナ粉末を含有する溶液をハニカム構造体に含浸させて加熱する方法で触媒を付与してもよい。
また、ここまで説明したハニカム構造体の製造方法により製造されたハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体がシール材層(接着剤層)を介して結束された構成を有する集合型ハニカム構造体であるが、本発明の製造方法により製造するハニカム構造体は、柱形状のハニカムブロックが1つのハニカム焼成体から構成されている一体型ハニカム構造体であってもよい。ここで一体型ハニカム構造体の主な構成材料は、コージェライトやチタン酸アルミニウムであることが望ましい。
このような一体型ハニカム構造体を製造する場合は、まず、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きい以外は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様の方法を用いて、ハニカム成形体を作製する。
次に、集合型ハニカム構造体の製造方法と同様に、上記ハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させる。
次いで、乾燥させたハニカム成形体の両端部を切断する切断工程を行う。
次に、入口側セル群の出口側の端部、及び、出口側セル群の入口側の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。
その後、集合型ハニカム構造体の製造と同様に、脱脂、焼成を行うことによりハニカムブロックを製造し、必要に応じて、シール材層(コート層)の形成を行うことにより、一体型ハニカム構造体を製造することができる。また、上記一体型ハニカム構造体にも、上述した方法で触媒を担持させてもよい。
以上、説明した本発明のハニカム構造体の製造方法では、作業効率よくハニカム構造体を製造することができる。
また、上述した方法によりハニカム構造体を製造する場合、ハニカム成形体を脱脂炉に投入する際に、複数のハニカム成形体を同時に脱脂用治具に載置して、略同一条件で脱脂処理を施すことができるので、時間短縮や品質の均一化等を効率よく達成することができる。さらに、脱脂処理後にそのまま焼成処理を施すことで、一連の作業工程の流れをストリームライン化することができ、さらなる効率化を図ることができる。従って、本発明のハニカム構造体の製造方法では、その製造工程全体の効率をも向上させることができる。
またここでは、ハニカム構造体として、排ガス中のパティキュレートを捕集する目的でも用いるハニカムフィルタを中心に説明したが、上記ハニカム構造体は、排ガスを浄化する触媒担体(ハニカム触媒)としても好適に使用することができる。
以下に実施例を掲げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
本発明のハニカム構造体の製造方法において、本発明の脱脂炉投入装置を用いてハニカム成形体を脱脂用治具に載置する際に、脱脂炉投入装置におけるハニカム成形体を吸着する吸引力を変化させることにより、また、緩衝部材の有無により、焼成処理後のハニカム焼成体の状態がどのように変化するかを観察した。
(実施例1)
平均粒径10μmのα型炭化ケイ素粉末250kgと、平均粒径0.5μmのα型炭化ケイ素粉末100kgと、有機バインダ(メチルセルロース)と20kgとを混合し、混合粉末を調製した。
次に、別途、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)12kgと、可塑剤(グリセリン)5kgと、水65kgとを混合して液体混合物を調製し、この液体混合物と混合粉末とを湿式混合機を用いて混合し、湿潤混合物を調製した。
なお、ここで調製した湿潤混合物の水分含有量は、14重量%であった。
次に、搬送装置を用いて、この湿潤混合物を押出成形機に搬送し、押出成形機の原料投入口に投入した。
なお、押出成形機投入直前の湿潤混合物の水分含有量は、13.5重量%であった。
そして、押出成形により、図4(a)及び(b)に示した形状(セルの封止なし)の成形体を作製した。
次に、マイクロ波乾燥機等を用いて上記生成形体を乾燥させた後、上記湿潤混合物と同様の組成の封止材ペーストを所定のセルに充填した。この封止材ペーストを充填したハニカム成形体を、再び乾燥機を用いて乾燥させた後、乾燥後のハニカム成形体を図1に示す脱脂炉投入装置により脱脂炉に投入した。
なお、ここで用いた脱脂炉投入装置は、ウレタン製の緩衝部材を備えている。
具体的には、コンベアにより送られた乾燥後のハニカム成形体を成形体受取部において接触させた状態で配置し、その後、吸引機構を下降させて、ウレタン製の緩衝部材を備えた吸引板とハニカム成形体とを当接させた。
次いで、吸引装置を作動させて、1.2kPaの吸引力でハニカム成形体を吸着させた。
なお、ハニカム成形体の重量は、1個210gである。
そして、昇降機構により吸引機構を所定の位置まで上昇させた後、アーム移動用手段によりアームを脱脂用治具の上方まで移動させた。ここで、駆動手段を駆動することによりハニカム成形体の間隔を6mmに広げた。
次に、ハニカム成形体が脱脂用治具に接触するまで吸引機構を下降させ、その後、吸引装置の運転を停止することによってハニカム成形体の吸着を解放し、ハニカム成形体を脱脂用治具上に載置した。最後に搬送テーブルを作動させて、ハニカム成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に投入した。
脱脂炉に投入されたハニカム成形体を400℃で脱脂し、その後、脱脂用治具にハニカム成形体を載置したまま焼成炉に投入して、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことにより、気孔率が40%、平均気孔径が12.5μm、その大きさが34.3mm×34.3mm×250mm、セルの数(セル密度)が46.5個/cm、セル壁の厚さが0.20mmの炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を製造した。
(実施例2〜4)
ハニカム成形体の吸引力を表1の値に設定した以外は、実施例1と同様にハニカム焼成体を作製した。
(実施例5)
吸引板に緩衝部材を備え付けることなくハニカム成形体を吸着した以外は、実施例1と同様にハニカム焼成体を作製した。
(ハニカム焼成体の状態の観察)
実施例1〜5で作製したハニカム焼成体について、その表面状態を肉眼によって観察し、変形や破損等の発生の状況を調べた。
なお、表面状態の観察では、変形、破損が全く観察されなかったものを「◎」、わずかな変形、破損が観察されたものを「○」、製品の品質を大きく損ねる破損、変形が観察されたものを「×」と評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2008133131
表1から明らかなように、実施例1〜3で作製したハニカム焼成体は、変形や破損等がなく表面状態が良好であった。また、実施例4及び5で作製したハニカム焼成体は、側面にわずかな変形が発生していたものの製品としては充分使用可能であった。
実施例4及び5において、上記のようなわずかな変形が発生した理由としては、ハニカム成形体が軟性のある状態であることに加えて、以下の事由が考えられる。すなわち、実施例4では、製造工程におけるハニカム成形体の吸引力が2.5kPaであり、側面に対して耐久強度以上の吸引力が負荷されたこと、また、実施例5では、吸引板が緩衝部材を備えていないために、吸引板とハニカム成形体との当接の際に過度の衝撃が側面に加わったことである。
なお、ハニカム成形体の吸引力を0.3kPaに設定して吸着を行った場合、ハニカム成形体を吸着することができなかったり、吸着することができても移動の途中で脱落してしまったりする場合があり、ハニカム成形体を脱脂用治具に確実に載置することができなかった。脱落したハニカム成形体は破損や変形が生じており、再度使用することはできなかった。このことより、ハニカム成形体の吸引力は、少なくとも0.4kPaであることが望ましいといえる。
(実施例6〜20)
以下の点を除き、実施例1と同様にハニカム焼成体を作製した。
(i)押出成形により四角柱状に成形したハニカム成形体の断面の寸法、及び、吸引機構によりハニカム成形体を脱脂用治具内に載置する際のハニカム成形体同士の間隔を表2に示した値に設定したこと、
(ii)幅850mm×高さ1500mm×長さ23000mmの脱脂炉を用い、常圧の窒素雰囲気下(酸素濃度9vol%)で最高温度300℃に設定された脱脂炉内をコンベア速度140mm/minで脱脂用治具を通過させながらハニカム成形体を脱脂したこと、
(iii)幅1800mm×高さ1600mm×長さ29000mmの焼成炉を用い、常圧のアルゴン雰囲気下で最高温度2200℃に設定された焼成炉内をコンベア平均速度38mm/min(12分毎に460mm移動させる)で焼成用治具(脱脂用治具を焼成用治具として使用)を通過させながらハニカム成形体を焼成したこと。
(ハニカム焼成体の平均気孔径及び破壊荷重の測定)
実施例6〜20で作製したハニカム焼成体について平均気孔径及び破壊荷重を測定し、それらに及ぼすハニカム成形体の脱脂用治具内での載置間隔の影響を評価した。
平均気孔径は、ハニカム焼成体から1cmの幅の立方体を切り出してサンプルとし、JIS R 1655に準じ、水銀圧入法による細孔分布測定装置(島津製作所社製、オートポアIII 9405)を用い、細孔直径0.2〜500μmの範囲で細孔分布を測定し、そのときの平均細孔径を(4V/A)として計算し、平均気孔径を算出した。なお、サンプル数は1(N=1)であり、平均気孔径の設定値は11.0μmとした。
また、破壊荷重は、図5に示したテクスチャーアナライザーTA−XT2i(STABLE MICRO SYSTEM社製)を用いて、その破壊強度を下記の方法により評価した。すなわち、図5に示したテクスチャーアナライザー200の測定テーブル202上に、ハニカム焼成体を、側面が上面になるように載置し、その後、プローブ201を速度0.5mm/sで上面とした側面に降下させ、破壊時の圧縮荷重を測定した。なお、プローブ201としては、15mmφ円柱体の先に、先端に90°の円錐体が固定された形状で、全体の長さが50mmのプローブ(ステンレス製)を使用した。
結果を表2及び図6(a)及び(b)に示す。
図6(a)は、実施例6〜20のハニカム成形体における間隔と平均気孔径との関係を示すグラフであり、図6(b)は、実施例6〜20のハニカム成形体における間隔と破壊荷重との関係を示すグラフである。
Figure 2008133131
表2及び図6(a)及び(b)から明らかなように、実施例6〜20で作製したいずれのハニカム焼成体においても平均気孔径及び破壊荷重は良好な結果であった。特に、実施例7〜9、12〜14及び17〜19(これらの実施例をI群とする)については、それぞれのハニカム成形体の断面寸法に関わらず、平均気孔径及び破壊荷重ともに良好な結果であり、所定の品質を有するハニカム焼成体が製造されていることが明らかとなった。
実施例6、11及び16(これらの実施例をII群とする)に係るハニカム焼成体については、製品としては問題なく使用可能であるものの、I群と比較して、平均気孔径が約2〜3μm小さい値となっており、破壊荷重も約4〜6N小さい値を示した。
これは、II群では、ハニカム成形体同士の間隔を2.5mmとして脱脂を行っていることから脱脂が進行しにくく、また、脱脂の際にハニカム成形体から生じる水分やガスの影響を受けて均一な脱脂処理を施すことができなかったことが原因であると考えられる。
また、実施例10、15及び20(これらの実施例をIII群とする)において作製したハニカム焼成体では、平均気孔径の値は良好であった。しかし、破壊荷重については、製品として充分に使用可能な範囲であるが、I群と比較して低下していた。
これは、I群とは異なり、脱脂の際のハニカム成形体同士の間隔を15mmとしていることから、脱脂が進行しすぎ、均一な脱脂を行うことができなかったことに起因すると考えられる。
以上、本発明の脱脂炉投入装置を用いてハニカム成形体を脱脂炉に投入し、その後焼成することにより、平均気孔径及び破壊荷重の優れたハニカム焼成体を製造することができた。また、I〜III群に係る実施例の結果から、脱脂の際のハニカム成形体同士の載置間隔が一つの要因であることがわかった。さらに、上記載置間隔としては、3.0〜10.0mmが望ましいことが確認された。
このように、本発明の脱脂炉投入装置を用いてハニカム成形体を脱脂炉に投入することにより、ハニカム成形体の変形や破損の発生を防止しつつ、ハニカム成形体を間隔をあけて脱脂用治具に効率よく載置することができ、ハニカム構造体の製造工程の効率化に寄与することができる。また、焼成後の製品の気孔径が設計値通りのものを効率よく製造することができるとともに、製造したハニカム焼成体の破壊荷重を優れたものとすることができる。
図1は、本発明の脱脂炉投入装置の実施形態の一例を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、吸引部材の間隔が最も短い状態を示した斜視図であり、図2(b)は、吸引部材の間隔が最も長い状態を示した斜視図である。 図3は、ハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 図4(a)は、上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、そのA−A線断面図である。 図5は、テクスチャーアナライザーの模式図である。 図6(a)は、実施例6〜20のハニカム成形体における間隔と平均気孔径との関係を示すグラフであり、図6(b)は、実施例6〜20のハニカム成形体における間隔と破壊荷重との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 脱脂炉投入装置
20 成形体移動機構
30 搬送テーブル
31 コンベア
32 テーブル
40 脱脂用治具
41 成形体載置板
42 マット
50 アーム
60 吸引機構
61a 吸引部材
61b 吸引板
62 チューブ
63 吸気ダクト
64 チューブ分配部材
65 支持板
66 駆動手段
67 昇降機構
68 転回機構
71 支持シャフト
72 支持シャフト連結板
74 結束リング
75 貫通孔
100 セラミック成形体
140 ハニカム焼成体
200 テクスチャーアナライザー
201 プローブ
202 測定テーブル

Claims (12)

  1. 複数のセラミック成形体を同時に移動可能な成形体移動機構と、
    セラミック成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に搬送する搬送テーブルとを備え、
    前記成形体移動機構により、複数のセラミック成形体を間隔をあけて、脱脂用治具内に同時に載置することを特徴とする脱脂炉投入装置。
  2. 前記成形体移動機構には、複数のセラミック成形体を同時に吸着することができる吸引機構を備えたアームが設けられている請求項1に記載の脱脂炉投入装置。
  3. 前記吸引機構を備えたアームにおけるセラミック成形体の吸引力は、0.4〜2.0kPaである請求項2に記載の脱脂炉投入装置。
  4. 前記成形体移動機構は、前記セラミック成形体との接触部に緩衝部材を備えている請求項1〜3のいずれかに記載の脱脂炉投入装置。
  5. 前記緩衝部材は、ウレタンからなるものである請求項4に記載の脱脂炉投入装置。
  6. セラミック原料を成形することにより、多数のセルが隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム成形体を作製した後、このハニカム成形体を脱脂炉投入装置により脱脂炉に投入して脱脂処理を行い、さらに、脱脂されたハニカム成形体を焼成処理することによりハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造するハニカム構造体の製造方法であって、
    前記脱脂炉投入装置は、複数のハニカム成形体を同時に移動可能な成形体移動機構と、
    ハニカム成形体を搭載する脱脂用治具を脱脂炉に搬送する搬送テーブルとを備え、
    前記成形体移動機構により、複数のハニカム成形体を間隔をあけて、脱脂用治具内に同時に載置した後、前記脱脂用治具を前記搬送テーブルにより前記脱脂炉に搬送して脱脂処理を行うことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記成形体移動機構には、複数のハニカム成形体を同時に吸着することができる吸引機構を備えたアームが設けられている請求項6に記載のハニカム構造体の製造方法。
  8. 前記吸引機構を備えたアームにおけるハニカム成形体の吸引力は、0.4〜2.0kPaである請求項7に記載のハニカム構造体の製造方法。
  9. 前記成形体移動機構は、前記ハニカム成形体との接触部に緩衝部材を備えている請求項6〜8のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  10. 前記緩衝部材は、ウレタンからなるものである請求項9に記載のハニカム構造体の製造方法。
  11. 複数のハニカム成形体を脱脂用治具内に載置する際のハニカム成形体同士の間隔は、3〜10mmである請求項6〜10のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  12. 前記脱脂処理が施されたハニカム成形体を前記脱脂用治具に載置した状態で、前記焼成処理を行う請求項6〜11のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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