JP2008132565A - 超砥粒工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】超砥粒がメタルボンドで結合された超砥粒チップを台金にロー付け接合した超砥粒工具で、ビスマスや錫など融点が低い金属が含まれるメタルボンドの超砥粒チップであっても台金との接合強度を安定して向上させることができる超砥粒工具を提供する。
【解決手段】メタルボンド4aに融点が600℃以下の金属を含む超砥粒チップ4の台金2と接合する面には金属被覆5を設ける。金属被覆は、銅またはニッケルを使うのが好ましく、メッキまたは溶射で形成するのが好ましい。また金属被覆は、超砥粒チップの全面に設けることが好ましい。
【選択図】図2
【解決手段】メタルボンド4aに融点が600℃以下の金属を含む超砥粒チップ4の台金2と接合する面には金属被覆5を設ける。金属被覆は、銅またはニッケルを使うのが好ましく、メッキまたは溶射で形成するのが好ましい。また金属被覆は、超砥粒チップの全面に設けることが好ましい。
【選択図】図2
Description
本発明は、石材、コンクリート、アスファルト、その他各種材料の切断や研磨加工を行うための超砥粒工具に関するものであり、特にメタルボンドの超砥粒チップと台金との接合力を安定して向上させた超砥粒工具に関する。
石材、コンクリートあるいはアスファルトなどを加工する代表的な工具の例として、切断砥石がある。切断砥石は円板状の台金の周囲に超砥粒層を設けたものであり、超砥粒層は台金の外周に連続して形成されたもの(図示せず)や、図1のような断続的にセグメント状の超砥粒チップが設けられたものがある。図1に示す切断砥石を例にすると、円板状の台金2の周囲にダイヤモンド砥粒や立方晶窒化硼素砥粒などの超砥粒をメタルボンドからなる結合材で結合したセグメント状の超砥粒チップ4が設けられており、この超砥粒チップ4はロー付けなどにより台金2に接合されている。
切断砥石の具体例として、特許文献1に記載のものがある。この切断砥石は、台金の外周にメタルボンドからなる切刃(本願の超砥粒チップに相当)を設けたものであり、切れ味を落とすことなく長寿命化を図るために切刃の側面に切刃のマトリックスよりも硬さが高い高質金属被膜を形成している。この切断砥石の切刃周辺の断面を図4に示す。切刃4のマトリックスであるメタルボンド4aは主に青銅系、鉄系、コバルト系などが使用され、メタルボンド4aの硬さはビッカース硬さHv150〜400程度のものであるのに対し、高質金属被膜7は高質クロムメッキ、ニッケル・リン合金メッキ、ニッケル・ホウ素合金メッキ、ニッケル・ホウ素・タングステン合金メッキ、ニッケル・リン・炭化珪素複合メッキなどHv400〜1500の硬い被膜を形成することが記載されている。
また、メタルボンドの切断砥石の別の例として、特許文献2に記載の切断砥石がある。この切断砥石の超砥粒チップ周辺の断面を図5に示す。この切断砥石1も円板状の台金2の外周にメタルボンドの超砥粒チップ4をロー付けしたものであり、超砥粒チップ4と台金2との接合強度を向上させるために、超砥粒チップ4の台金2との接合部に銅などの金属薄板層8を設けて、金属薄板層8を台金2の外周部にロー付けしたものである。超砥粒チップ4に金属薄板層8を設けるにあたっては、型内で超砥粒4bを含む金属粉末を金属薄板8上に充填し焼結することで得られ、この方法により金属粉末と金属薄板8とが焼付き、強固な接着強度を有する一体化された超砥粒チップ4が得られる。そして、この超砥粒チップ4と台金2との接合においては、金属薄板8と台金2の外周をロー付けすることで接着強度の優れた切断砥石にすることができるとされている。
ところで、超砥粒チップを形成するメタルボンドは、それを構成する成分により切れ味や寿命などの性能に大きく影響する。メタルボンドの一般的な組成として、Co−Fe−Cu−SnやCo−Cu−Snを主成分とするものがあるが、切れ味を向上させるための一つの方法としてBiを添加するのが有効である。これは、Biを添加するとメタルボンドを焼結する際にCoの粒成長が妨げられ切れ味が向上するためである。
しかしながら、Biのように融点が低い金属が含まれるチップをロー付けした場合、ロー付け時に加熱することによりBiがBi単体やSn−BiやCu−Sn−Biの液相となってロー材の中に溶出するため、ロー材の強度を著しく低下させ、チップと台金との接合強度を低下させるという問題が生じやすい。この問題は、加熱時間や温度を細かく制御することで改善させることはできるが、接合強度を安定させるのは容易ではない。
特許文献2に記載の切断砥石のように超砥粒チップの台金との接合部に金属薄板層を設ければ、メタルボンドに融点が低い金属が含まれロー付け時にロー材の中に溶出しようとしてもある程度は防止することができると思われる。しかしながら、金属薄板層を設けて焼結した時点で金属薄板層の周囲には融点の低い金属が溶出している恐れがあり、この状態でロー付けを行えばすでに溶出している金属がロー材に混ざって強度を低下させる恐れがある。
本発明は、このような問題を解決するものであり、融点が低い金属が含まれるメタルボンドのチップであっても台金との接合強度を安定して向上させることができる超砥粒工具を提案するものである。
本発明の超砥粒工具の第1の特徴は、超砥粒がメタルボンドで結合された超砥粒チップを台金にロー付け接合した超砥粒工具であって、
前記メタルボンドには、融点が600℃以下の金属を含み、
前記超砥粒チップの少なくとも前記台金と接合する面には、金属被覆を有することである。
前記メタルボンドには、融点が600℃以下の金属を含み、
前記超砥粒チップの少なくとも前記台金と接合する面には、金属被覆を有することである。
メタルボンドに融点が低い金属が含まれロー付けの際に加熱されても、超砥粒チップの台金と接合する面に金属被覆を有しているので、融点の低い金属がロー材へ溶出することが防止され、ロー材の強度低下が防止されて超砥粒チップと台金との接合強度を安定して向上させることができる。
第2の特徴は、前記融点が600℃以下の金属は、ビスマス、錫、または亜鉛のいずれかであることである。
ビスマス、錫、または亜鉛のいずれかを含むメタルボンドとすることで、切れ味の優れた超砥粒工具とすることができる。
第3の特徴は、前記金属被覆は、メッキまたは溶射で形成されたものであることである。
金属被覆をメッキまたは溶射で行えば容易に形成することができる。
第4の特徴は、前記金属被覆は、銅またはニッケルであることである。
金属被覆を銅またはニッケルにすることで、被覆が容易にできる上、金属被覆とメタルボンドとは強固に接着されるので、金属被覆が超砥粒チップから剥がれることもなく、超砥粒チップと台金との接合強度を高くすることができる。
第5の特徴は、前記金属被覆は、前記超砥粒チップの全面に設けられていることである。
金属被覆は、少なくとも超砥粒チップの台金と接合する面に設けられていれば、融点の低い金属がロー材へ溶出することは防止できるが、加熱時間が長くなったり加熱温度が高くなった場合に、超砥粒チップの側面などから融点の低い金属が溶出して流れ出しロー材に混ざる恐れがあるが、超砥粒チップの全面に設けることでこの恐れもなくなり、より完全にロー材への溶出を防止することが可能になる。
本発明の超砥粒工具によれば、ビスマスなどの融点の低い金属を含むメタルボンドとして切れ味の優れたものとしながら、超砥粒チップと台金との接合強度も安定して向上させることができる。
本発明の超砥粒工具として、切断砥石を例にあげて説明する。図1は切断砥石の一部を示す正面図であり、図2は本発明の切断砥石の超砥粒チップ周辺の断面を表した模式図である。
切断砥石1は、円板状で厚みの薄い台金2の外周に超砥粒チップ4がロー付けにより接合されている。超砥粒チップ4は、メタルボンド4aを構成する金属粉末とダイヤモンド砥粒4bとが混合され、成形・焼結されたものである。メタルボンド4aの成分として、コバルト、銅、錫、ビスマスなどが使われ、切味を向上させるために融点が600℃以下であるビスマスあるいは錫などが含まれている。この超砥粒チップ4の台金との接合を行う面には、銅メッキやニッケルメッキなどの金属メッキ、あるいは銅やニッケルなどが溶射された金属被覆層5が形成されている。この金属被覆層5は、超砥粒チップ4が焼結されたあとに形成されるため、その表面にはメタルボンドに含まれる成分が溶出することは起こらない。そして、超砥粒チップ4は台金2にロー付けされているため、金属被覆層5と台金2との間にロー材層6が形成されている。
なお、上記の例では超砥粒チップ4の台金との接合を行う面のみに金属被覆層5を形成した例をあげたが、図3に示すように超砥粒チップ4の側面に形成してもよく、あるいは超砥粒チップ4の全面に形成しても良い。
本発明の切断砥石として、図2および図3に示す構造のものを製作し、従来の切断砥石として、図6に示す構造のものを製作して、比較試験を行った。
本発明1の切断砥石1として、メタルボンド4aの組成がCo−Cu−Sn−Biのものを使い、このメタルボンド4aをダイヤモンド砥粒4bと混合した上、成形・焼結を行った。そして、焼結後に全面に銅メッキ5を行い超砥粒チップ4とした。最後に、この超砥粒チップ4を試験用の台金2にロー付けした。
本発明2の切断砥石として、超砥粒チップ4の台金2との接合面のみに金属被覆層5を形成したものを製作した(図2に示す構造のもの)。金属被覆層5は、ニッケルを溶射することで形成した。その他の点については、本発明1と同様とした。
従来の切断砥石として、超砥粒チップ4には金属被覆層5を設けないものを製作した(図6に示す構造のもの)。その他の点については、本発明1および2と同様とした。
以上の3種類の切断砥石を使い、超砥粒チップ4の台金2への接合強度を測定した。測定の方法は、台金2を固定しておき、超砥粒チップ4の部分にトルクレンチを使って曲げモーメントを与えることにより超砥粒チップ4が台金2から外れるかどうかを見る方法で行った。
試験の結果、曲げモーメントが9.8N・mの時には、本発明1および2の切断砥石は超砥粒チップが1つも外れなかったのに対し、従来の切断砥石は25ヶ中4ヶの超砥粒チップが外れた。また、曲げモーメントが14.7N・mの時には、本発明1は25ヶ中1ヶ、本発明2は25ヶ中2ヶの超砥粒チップが外れたのに対し、従来のものは25ヶ中18ヶの超砥粒チップが外れ、本発明の切断砥石は超砥粒チップの接合力が大幅に安定して高くなっていることが分かった。
本発明の超砥粒工具は、実施例で示した切断砥石の他、研削砥石や穴明け加工用工具などメタルボンドの超砥粒チップを台金にロー付けした各種工具に利用することができる。
1 切断砥石
2 台金
3 取付孔
4 超砥粒チップ
4a メタルボンド
4b 超砥粒
5 金属被覆層
6 ロー材層
7 高質金属被覆層
8 金属薄板層
2 台金
3 取付孔
4 超砥粒チップ
4a メタルボンド
4b 超砥粒
5 金属被覆層
6 ロー材層
7 高質金属被覆層
8 金属薄板層
Claims (5)
- 超砥粒がメタルボンドで結合された超砥粒チップを台金にロー付け接合した超砥粒工具であって、
前記メタルボンドには、融点が600℃以下の金属を含み、
前記超砥粒チップの少なくとも前記台金と接合する面には、金属被覆を有する超砥粒工具。 - 前記融点が600℃以下の金属は、ビスマス、錫、または亜鉛のいずれかである請求項1に記載の超砥粒工具。
- 前記金属被覆は、メッキまたは溶射で形成されたものである請求項1または2に記載の超砥粒工具。
- 前記金属被覆は、銅またはニッケルである請求項3に記載の超砥粒工具。
- 前記金属被覆は、前記超砥粒チップの全面に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の超砥粒工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006320465A JP2008132565A (ja) | 2006-11-28 | 2006-11-28 | 超砥粒工具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006320465A JP2008132565A (ja) | 2006-11-28 | 2006-11-28 | 超砥粒工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008132565A true JP2008132565A (ja) | 2008-06-12 |
Family
ID=39557771
Family Applications (1)
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JP2006320465A Pending JP2008132565A (ja) | 2006-11-28 | 2006-11-28 | 超砥粒工具 |
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JP (1) | JP2008132565A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110153909A (zh) * | 2019-05-29 | 2019-08-23 | 郑州中岳机电设备有限公司 | 一种钢板底层金属结合剂超硬砂轮 |
CN113910103A (zh) * | 2021-11-09 | 2022-01-11 | 珠海市世创金刚石工具制造有限公司 | 硬质材料加工烧结超硬磨头、制备方法及磨头结构 |
-
2006
- 2006-11-28 JP JP2006320465A patent/JP2008132565A/ja active Pending
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